IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ トヨタ自動車株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-車載用撮像装置 図1
  • 特開-車載用撮像装置 図2
  • 特開-車載用撮像装置 図3
  • 特開-車載用撮像装置 図4
  • 特開-車載用撮像装置 図5
  • 特開-車載用撮像装置 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024124676
(43)【公開日】2024-09-13
(54)【発明の名称】車載用撮像装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 23/61 20230101AFI20240906BHJP
   H04N 23/60 20230101ALI20240906BHJP
   B60R 11/02 20060101ALI20240906BHJP
   B60R 1/24 20220101ALI20240906BHJP
【FI】
H04N23/61
H04N23/60 500
B60R11/02 C
B60R1/24
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023032516
(22)【出願日】2023-03-03
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100187311
【弁理士】
【氏名又は名称】小飛山 悟史
(74)【代理人】
【識別番号】100161425
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 鉄平
(72)【発明者】
【氏名】堀本 修平
【テーマコード(参考)】
3D020
5C122
【Fターム(参考)】
3D020BA04
3D020BA20
3D020BB01
3D020BC02
3D020BD05
3D020BE03
5C122DA14
5C122EA61
5C122FH09
5C122FH11
5C122HB01
(57)【要約】
【課題】撮像部の撮像画像において適切な切出エリアを自動的に設定することができる車載用撮像装置を提供する。
【解決手段】車載用カメラ1は、撮像部5により車両2の周囲を撮像し、撮像部5の撮像画像Gを切り出して出力する。車載用カメラ1は、撮像画像Gに撮像部5の周辺に配置されたカメラカバー10が映り込んだ映込エリアAcが存在するかどうかを検知する映込検知部12と、映込検知部12の検知結果に応じて撮像画像Gの切出エリアAtを決定する切出エリア決定部13とを備え、切出エリア決定部13は、映込検知部12により撮像画像Gに映込エリアAcが存在することが検知されたときは、撮像画像Gにおいて映込エリアAcを避ける方向の位置に切出エリアAtを設定する。
【選択図】図2

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像部により車両の周囲を撮像し、前記撮像部の撮像画像を切り出して出力する車載用撮像装置であって、
前記撮像画像に前記撮像部の周辺に配置された車両部品が映り込んだ映込エリアが存在するかどうかを検知する映込検知部と、
前記映込検知部の検知結果に応じて前記撮像画像の切出エリアを決定する切出エリア決定部とを備え、
前記切出エリア決定部は、前記映込検知部により前記撮像画像に前記映込エリアが存在することが検知されたときは、前記撮像画像において前記映込エリアを避ける方向の位置に前記切出エリアを設定する車載用撮像装置。
【請求項2】
前記切出エリア決定部は、前記映込検知部により前記撮像画像に前記映込エリアが存在することが検知されたときは、前記映込エリアが含まれない位置に前記切出エリアを設定する請求項1記載の車載用撮像装置。
【請求項3】
前記映込検知部は、前記撮像画像の中心側に対して凹形状の映込候補領域が存在するときに、前記撮像画像に前記映込エリアが存在すると判定する請求項1または2記載の車載用撮像装置。
【請求項4】
前記映込検知部は、前記撮像画像の中心側に対して前記凹形状の映込候補領域が存在すると共に、前記映込候補領域の規定比率以上が同系色であるときに、前記撮像画像に前記映込エリアが存在すると判定する請求項3記載の車載用撮像装置。
【請求項5】
前記車両部品は、前記撮像部を覆う部品であり、
前記映込検知部は、前記撮像画像の下側部分、上側部分、左側部分及び右側部分の何れかに前記映込エリアが存在するかどうかを検知する請求項4記載の車載用撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載用撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の車載用撮像装置としては、例えば特許文献1に記載されている技術が知られている。特許文献1に記載の車載用撮像装置は、車両の後側方を撮影するカメラと、運転者によって入力操作されることで、カメラにより撮影されたカメラ画像中において運転者が見たいと希望する希望範囲を切替え可能な入力部と、入力部から入力される入力信号に基づいて、カメラ画像中に設定される希望範囲を変更して、その変更した希望範囲をカメラ画像から切出して切出し画像を作成する制御部とを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-27353号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来技術においては、運転者が入力部の入力操作によってカメラの撮像画像から希望範囲(切出し画像)を選択することにより、撮像画像を切り出すようにしている。この場合には、撮像画像の切出エリアの設定に手間がかかるうえに、切出エリア設定用のボタン等を用意する必要がある。従って、カメラ(撮像部)の撮像画像において適切な切出エリアを自動的に設定することが求められている。
【0005】
本発明の目的は、撮像部の撮像画像において適切な切出エリアを自動的に設定することができる車載用撮像装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、撮像部により車両の周囲を撮像し、撮像部の撮像画像を切り出して出力する車載用撮像装置であって、撮像画像に撮像部の周辺に配置された車両部品が映り込んだ映込エリアが存在するかどうかを検知する映込検知部と、映込検知部の検知結果に応じて撮像画像の切出エリアを決定する切出エリア決定部とを備え、切出エリア決定部は、映込検知部により撮像画像に映込エリアが存在することが検知されたときは、撮像画像において映込エリアを避ける方向の位置に切出エリアを設定する。
【0007】
切出エリア決定部は、映込検知部により撮像画像に映込エリアが存在することが検知されたときは、映込エリアが含まれない位置に切出エリアを設定してもよい。
【0008】
映込検知部は、撮像画像の中心側に対して凹形状の映込候補領域が存在するときに、撮像画像に映込エリアが存在すると判定してもよい。
【0009】
映込検知部は、撮像画像の中心側に対して凹形状の映込候補領域が存在すると共に、映込候補領域の規定比率以上が同系色であるときに、撮像画像に映込エリアが存在すると判定してもよい。
【0010】
車両部品は、撮像部を覆う部品であり、映込検知部は、撮像画像の下側部分、上側部分、左側部分及び右側部分の何れかに映込エリアが存在するかどうかを検知してもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、撮像部の撮像画像において適切な切出エリアを自動的に設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態に係る車載用撮像装置である車載用カメラが車両に搭載された状態を示す断面図である。
図2図1に示された車載用カメラの構成を示すブロック図である。
図3】撮像部の撮像画像の一例を示す図である。
図4】撮像部により格子状の部品を撮像したときの撮像画像を示す図である。
図5図2に示された映込検知部により実行される映込検知処理の手順を示すフローチャートである。
図6】撮像部の撮像画像に設定される切出エリアの幾つかの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0014】
図1は、本発明の一実施形態に係る車載用撮像装置が車両に搭載された状態を示す断面図である。図1において、本実施形態の車載用撮像装置である車載用カメラ1は、自動車等の車両2に搭載されている。車載用カメラ1は、例えば車両2のルーフ3にブラケット4を介して取り付けられている。なお、車載用カメラ1は、車両2のフロントガラス8の上部にブラケット4を介して取り付けられていてもよい。
【0015】
ブラケット4には、車載用カメラ1を覆う部品であるカメラカバー10が取り付けられている。カメラカバー10は、車載用カメラ1の周辺に配置された車両部品である。カメラカバー10の色は、例えば黒系の色である。なお、車載用カメラ1を覆う部品としては、カメラカバー10の代わりにカメラフードを使用してもよい。
【0016】
図2は、図1に示された車載用カメラ1の構成を示すブロック図である。図2において、車載用カメラ1は、車両2の前方を撮像する撮像部5と、この撮像部5と接続された画像処理ユニット6とを備えている。画像処理ユニット6には、ECU(Electronic Control Unit)7が接続されている。
【0017】
撮像部5は、図1に示されるように、車両2のフロントガラス8を通して車両2の前方を撮像する。車載用カメラ1の前端部には、広角レンズ9が配置されている。車載用カメラ1は、広角レンズ9により上下方向に対して画角θを有している。このため、車載用カメラ1の画角θ内にカメラカバー10の一部が配置されていると、撮像部5の撮像画像にカメラカバー10の一部が映り込むことがある(図1中のA参照)。撮像部5の撮像画像の使用にあたっては、その映込部分は不要である。
【0018】
画像処理ユニット6は、そのような撮像部5の撮像画像におけるカメラカバー10の映込部分を少なくしたり無くすための画像処理を行う。画像処理ユニット6は、撮像部5の撮像画像を切り出してECU7に出力する。画像処理ユニット6は、CPU、RAM、ROM及び入出力インターフェース等により構成されている。
【0019】
画像処理ユニット6は、撮像画像取得部11と、映込検知部12と、切出エリア決定部13と、画像切出部14と、画像データ出力部15とを有している。なお、撮像画像取得部11、映込検知部12、切出エリア決定部13、画像切出部14及び画像データ出力部15の機能は、例えばソフトウェアにより構成されている。
【0020】
撮像画像取得部11は、撮像部5の撮像画像Gを取得する。撮像画像Gは、図3に示されるように、矩形状を呈している。撮像画像Gの外枠は、撮像部5の撮像範囲全体が映る全画角エリアA0となっている。また、撮像画像Gは、矩形状の画像認識エリアAgを有している。画像認識エリアAgは、撮像画像Gを画像として認識するエリアである。画像認識エリアAgの外形寸法は、全画角エリアA0の外形寸法よりも小さい。なお、画像認識エリアAgは、全画角エリアA0と等しくてもよい。
【0021】
映込検知部12は、図3に示されるように、撮像画像取得部11により取得された撮像部5の撮像画像Gにカメラカバー10が映り込んだ映込エリアAcが存在するかどうかを検知する。映込検知部12は、撮像画像Gの中心O側(内側)に対して凹形状の映込候補領域Rが存在すると共に、映込候補領域Rの規定比率以上が同系色であるときに、撮像画像Gに映込エリアAcが存在すると判定する。映込候補領域Rは、カメラカバー10が映り込んだ映込エリアAcの候補となる凹形状の有色領域である。
【0022】
車載用カメラ1の広角レンズ9は、レンズ中心から離れるほど歪みが大きくなるという特性を有している。このため、撮像部5により格子状の物体を撮像した場合、広角レンズ9を通して得られた撮像部5の撮像画像Gとしては、図4に示されるように、格子が歪んで映るようになる。つまり、実際には平らな撮像対象であっても、広角レンズ9を通すと、撮像対象が丸まって見える。従って、カメラカバー10の表面が平らになっていても、図3に示されるように、撮像画像Gの下側部分に映り込んだカメラカバー10の形状は凹形状となる。
【0023】
図5は、映込検知部12により実行される映込検知処理の手順を示すフローチャートである。本処理は、例えば車両2の始動時に毎回実行されてもよいし、或いは周期的に実行されてもよい。
【0024】
図5において、映込検知部12は、まず撮像画像取得部11により取得された撮像部5の撮像画像Gを入力する(手順S101)。続いて、映込検知部12は、撮像画像Gの画像認識エリアAgの下側部分に映込候補領域Rが存在するかどうかを判断する(手順S102)。映込候補領域Rは、映込エリアAcの候補となり得る何らかの有色物体が映り込んだ領域である。
【0025】
映込検知部12は、撮像画像Gの画像認識エリアAgの下側部分に映込候補領域Rが存在すると判断したときは、画像認識エリアAgの左右両端部に映込候補領域Rとの交点が存在しているかどうかを判断する(手順S103)。
【0026】
図3に示される撮像画像Gでは、画像認識エリアAgと映込候補領域Rとの交点である頂点P1,P2が存在している。頂点P1,P2は、撮像画像Gの垂直方向中心線Lyよりも下側にある。頂点P1は、撮像画像Gの水平方向中心線Lxよりも左側にある。頂点P2は、撮像画像Gの水平方向中心線Lxよりも右側にある。水平方向中心線Lxは、撮像画像Gの上下方向(Y方向)に延びる中心線である。垂直方向中心線Lyは、撮像画像Gの左右方向(X方向)に延びる中心線である。なお、撮像画像Gの中心Oは、水平方向中心線Lxと垂直方向中心線Lyとの交点である。
【0027】
映込検知部12は、画像認識エリアAgの左右両端部に映込候補領域Rとの交点が存在していると判断したときは、映込候補領域Rの水平方向の中心部に撮像画像Gの中心O側(ここでは上側)に対する凹形状の底部が存在するかどうかを判断する(手順S104)。
【0028】
図3に示される撮像画像Gでは、映込候補領域Rの水平方向中心線Lx上に凹形状の底部である頂点P3が存在している。頂点P3は、撮像画像Gにおける頂点P1,P2よりも下側にある。なお、頂点P3は、映込候補領域Rの水平方向中心線Lxから左右に多少ずれていてもよい。
【0029】
映込検知部12は、映込候補領域Rの水平方向の中心部に凹形状の底部が存在すると判断したときは、映込候補領域Rの規定比率以上が同系色であるかどうかを判断する(手順S105)。規定比率は、予め決められており、例えば90%である。映込候補領域Rは、カメラカバー10の色(ここでは黒系色)に依存している。
【0030】
映込検知部12は、映込候補領域Rの規定比率以上が同系色であると判断したときは、映込候補領域Rがカメラカバー10の映り込みであると判定する(手順S106)。これにより、映込検知部12は、撮像画像Gの下側部分にカメラカバー10が映り込んだ映込エリアAcが存在すると判定する。
【0031】
映込検知部12は、手順S102~S105の条件を満たしていない判断したときは、カメラカバー10の映り込みは無いと判定する(手順S107)。これにより、映込検知部12は、撮像画像Gの下側部分にカメラカバー10が映り込んだ映込エリアAcが存在しないと判定する。
【0032】
映込検知部12は、手順S106または手順S107を実行した後、映込検知データを切出エリア決定部13に出力する(手順S108)。映込検知データは、カメラカバー10が映り込んだ映込エリアAcの有無情報と、カメラカバー10が映り込んだ映込エリアAcが存在する場合における画像認識エリアAg上の映込エリアAcの位置情報とを含んでいる。
【0033】
図2に戻り、切出エリア決定部13は、図3に示されるように、映込検知部12の検知結果に応じて撮像画像Gの切出エリアAtを決定する。切出エリア決定部13は、映込検知部12により撮像画像Gに映込エリアAcが存在することが検知されたときは、撮像画像Gにおいて映込エリアAcを避ける方向の位置に切出エリアAtを設定する。
【0034】
切出エリアAtは、撮像画像Gにおいて、使用する画像として切り出すエリアである。切出エリアAtは、撮像画像Gの画像認識エリアAg内に設定される。切出エリアAtの形状は、例えば矩形状である。切出エリアAtの外形寸法は、画像認識エリアAgの外形寸法よりも小さい。映込エリアAcを避ける方向の位置は、切出エリアAtにおいて映込エリアAcが占める部分が少なくなる方向の位置である。映込エリアAcを避ける方向の位置としては、映込エリアAcが全く含まれない位置だけでなく、映込エリアAcが少し含まれる位置であってもよい。
【0035】
車載用カメラ1のデフォルト状態では、切出エリアAtは、例えば図6(a)に示されるような位置に設定されている。切出エリアAtのデフォルト位置は、撮像画像Gの上下方向の中央部を含んだ撮像画像Gの下側寄りに設定されている。その状態では、切出エリアAtは、カメラカバー10が映り込んだ映込エリアAcを含んでいる。
【0036】
切出エリア決定部13は、撮像画像Gの下側部分に映込エリアAcが存在することが検知されたときは、撮像画像Gにおいて映込エリアAcを避けるように切出エリアAtを設定する。具体的には、切出エリア決定部13は、図6(b)に示されるように、切出エリアAtが映込エリアAcを含まないように切出エリアAtをデフォルト位置から撮像画像Gの上方に移動させた位置に設定する。これにより、カメラカバー10が切出エリアAtに映らなくなる。この場合には、撮像画像Gにおける映込エリアAcの凹部内領域Sが使用されない。
【0037】
切出エリア決定部13は、図6(c)に示されるように、切出エリアAtの下端が映込エリアAcの凹部の底と重なるように切出エリアAtをデフォルト位置から撮像画像Gの上方に移動させた位置に設定してもよい。この場合には、撮像画像Gにおける映込エリアAcの凹部内領域Sを使用可能としつつ、不要なカメラカバー10の映り込みを最小化することができる。
【0038】
また、図6(d)に示されるように、撮像画像Gの下側部分に存在する映込エリアAcが大きい場合には、映込エリアAcが含まれない位置に切出エリアAtを設定すると、切出エリアAtの上端部が画像認識エリアAgからはみ出てしまうことがある。この場合には、切出エリアAtにおける画像認識エリアAgからはみ出る部分が無駄になる。
【0039】
そこで、切出エリア決定部13は、図6(e)に示されるように、切出エリアAtの上端部が画像認識エリアAgからはみ出ない範囲内で切出エリアAtをデフォルト位置から撮像画像Gの上方に移動させた位置に設定してもよい。このとき、切出エリアAtの上端位置は、例えば画像認識エリアAgの上端位置と一致している。この場合には、切出エリアAtにおいて無駄になる部分を最小限に抑えることができる。
【0040】
図2に戻り、画像切出部14は、撮像画像取得部11により取得された撮像部5の撮像画像Gから、切出エリア決定部13により決定された切出エリアAtを切り出す。
【0041】
画像データ出力部15は、画像切出部14により切り出された撮像画像を画像データとしてECU7に出力する。すると、ECU7は、例えば画像データをメモリに記憶して保存したり、或いは画像データに基づいて車両2の周囲環境を検知し、必要な制御処理を実行する。
【0042】
以上のように本実施形態にあっては、撮像部5の撮像画像Gにカメラカバー10が映り込んだ映込エリアAcが存在するかどうかが検知され、その検知結果に応じて撮像画像Gの切出エリアAtが決定される。ここで、撮像画像Gに映込エリアAcが存在することが検知されたときは、撮像画像Gにおいて映込エリアAcを避ける方向の位置に切出エリアAtが設定される。このため、切出エリアAt内における映込エリアAcが占める部分が少なくなる。これにより、撮像部5の撮像画像Gにおいて適切な切出エリアAtが自動的に設定される。これにより、ユーザが撮像画像Gの切出エリアAtを設定しなくて済むため、ユーザの手間が省けると共に、切出エリア設定用のボタン等が不要となる。
【0043】
また、本実施形態では、撮像部5の撮像画像Gに映込エリアAcが存在することが検知されたときは、映込エリアAcが含まれない位置に切出エリアAtが設定される。従って、切出エリアAt内における映込エリアAcが占める部分が無くなるため、撮像部5の撮像画像Gにおいて更に適切な切出エリアAtが設定される。
【0044】
また、本実施形態では、撮像部5の撮像画像Gの中心O側に対して凹形状の映込候補領域Rが存在するときに、撮像画像Gに映込エリアAcが存在すると判定される。車載用カメラ1に使用される広角レンズ9は、レンズ中心から離れるほど歪みが大きくなるという特性を有している。このため、カメラカバー10の表面が実際には平らであっても、広角レンズ9を通して取得された撮像画像Gでは、カメラカバー10が凹形状に映るようになる。そこで、撮像画像Gに凹形状の映込候補領域Rが存在するかどうかを判断することにより、葉っぱ等の遮蔽物をカメラカバー10と誤判定することが抑制される。従って、撮像画像Gに映込エリアAcが存在するかどうかが精度良く検知される。
【0045】
また、本実施形態では、撮像部5の撮像画像Gの中心O側に対して凹形状の映込候補領域Rが存在すると共に、映込候補領域Rの規定比率以上が同系色であるときに、撮像画像Gに映込エリアAcが存在すると判定される。カメラカバー10は、全体的に同系色であることが多い。そこで、撮像画像Gに凹形状の映込候補領域Rが存在するかどうかを判断することに加え、凹形状の映込候補領域Rの規定比率以上が同系色であるかどうかを判断することにより、遮蔽物をカメラカバー10と誤判定することが更に抑制される。従って、撮像画像Gに映込エリアAcが存在するかどうかが更に精度良く検知される。
【0046】
また、本実施形態では、撮像部5の撮像画像Gの下側部分に映込エリアAcが存在するかどうかが検知される。撮像部5を覆うカメラカバー10は、撮像画像Gの下側部分に映りやすくなる。そこで、撮像画像Gの下側部分に映込エリアAcが存在するかどうかを検知することにより、カメラカバー10が映り込んだ部分が少ない適切な切出エリアAtが設定される。
【0047】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されない。例えば上記実施形態では、切出エリアAtは撮像画像Gの画像認識エリアAg内に設定されているが、特にその形態には限られず、画像認識エリアAgが無い場合には、切出エリアAtが撮像画像Gの全画角エリアA0内に設定されてもよい。
【0048】
また、上記実施形態では、切出エリアAtのサイズが一定であるが、特にその形態には限られず、切出エリアAtのサイズを車載用カメラ1のデフォルト状態から変えてもよい。
【0049】
また、上記実施形態では、映込候補領域Rの水平方向の中心部に凹形状の底部が存在するときに、撮像画像Gの下側部分にカメラカバー10が映り込んだ映込エリアAcが存在すると判定されているが、特にそのような形態には限られない。例えば、撮像画像Gの中心O側に対して凹形状の映込候補領域Rが存在していれば、映込候補領域Rの水平方向の中心部からずれた箇所に凹形状の底部が存在するときでも、撮像画像Gの下側部分に映込エリアAcが存在すると判定してもよい。
【0050】
また、上記実施形態では、車載用カメラ1が車両2のルーフ3またはフロントガラス8の上部に取り付けられているため、撮像部5の撮像画像Gの下側部分にカメラカバー10が映り込んだ映込エリアAcが存在しているが、特にそのような形態には限られない。例えば、車載用カメラ1が車両2のインストルメントパネルに取り付けられる場合には、カメラカバー10もインストルメントパネルに取り付けられるため、撮像部5の撮像画像Gの上側部分にカメラカバー10が映り込んだ映込エリアAcが存在することとなる。この場合には、撮像画像Gにおいて、頂点P1,P2が垂直方向中心線Lyよりも上側に位置し、頂点P3が頂点P1,P2よりも上側に位置する。また、撮像部5の撮像画像Gの左側部分または右側部分にカメラカバー10が映り込んだ映込エリアAcが存在することもあり得る。
【0051】
また、上記実施形態では、車載用カメラ1を覆う部品であるカメラカバー10が撮像部5の撮像画像Gに映り込んでいるが、車載用カメラ1の周辺に配置された車両部品としては、特に車載用カメラ1を覆う部品には限られず、ECUまたはミラー等であってもよい。この場合には、撮像部5の撮像画像Gの下側部分または上側部分に車両部品が映り込んだ映込エリアが存在することもあり得るし、撮像部5の撮像画像Gの左側部分または右側部分に車両部品が映り込んだ映込エリアが存在することもあり得る。
【0052】
また、上記実施形態では、車載用カメラ1自体に画像処理ユニット6が備えられているが、特にその形態には限られず、ECU7に画像処理ユニットの機能が含まれていてもよい。この場合、車載用撮像装置は、車載用カメラとECU7の画像処理ユニットとから構成されることとなる。
【0053】
また、上記実施形態は、撮像部5により車両2の前方を撮像する車載用カメラ1であるが、本発明は、特にその形態には限られず、撮像部5により車両2の周囲(例えば後方または側方)を撮像する車載用カメラであっても適用可能である。
【符号の説明】
【0054】
1…車載用カメラ(車載用撮像装置)、2…車両、5…撮像部、10…カメラカバー(車両部品)、12…映込検知部、13…切出エリア決定部、Ac…映込エリア、At…切出エリア、G…撮像画像、O…中心、R…映込候補領域。
図1
図2
図3
図4
図5
図6