(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024124684
(43)【公開日】2024-09-13
(54)【発明の名称】座席用テーブル
(51)【国際特許分類】
B60N 3/00 20060101AFI20240906BHJP
A47C 7/62 20060101ALI20240906BHJP
【FI】
B60N3/00 A
A47C7/62 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023032535
(22)【出願日】2023-03-03
(71)【出願人】
【識別番号】390021577
【氏名又は名称】東海旅客鉄道株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】390010054
【氏名又は名称】コイト電工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104237
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 秀昭
(72)【発明者】
【氏名】横山 晃治
(72)【発明者】
【氏名】▲伊▼東 隼
(72)【発明者】
【氏名】西田 万里子
(72)【発明者】
【氏名】峰 克博
(72)【発明者】
【氏名】秋野 啓輔
【テーマコード(参考)】
3B084
3B088
【Fターム(参考)】
3B084JA04
3B088AA02
(57)【要約】
【課題】テーブルを着座姿勢に応じた快適な状態で使用することが可能となり、ノートパソコンの使用に際して利便性を向上させることができる座席用テーブルを提供する。
【解決手段】座席1の背面側への収納状態と、後方座席1A側へ水平に倒した使用状態と、に起倒可能なテーブルトレイ11を備え、テーブルトレイ11の載置面13をなすトレイ本体12は、使用状態で水平な位置よりさらに着座者の手前方向へ水平移動した後、載置面13が水平面より着座者の手前側下方に傾斜した位置に変位可能である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
座席の背面側に設けられ、前方座席背面への収納状態、および前方座席背面より後方へ水平に倒した使用状態に起倒可能なテーブルトレイを備えた座席用テーブルにおいて、
前記テーブルトレイの載置面をなすトレイ本体は、前記使用状態で水平な位置よりさらに着座者の手前方向へ水平移動した後、前記載置面が水平面より着座者の手前側下方に傾斜した位置に変位可能であることを特徴とする座席用テーブル。
【請求項2】
前記テーブルトレイを、前記収納状態と前記使用状態とに起倒可能に支持する起倒機構と、
前記トレイ本体を、前記使用状態で前記水平な位置から前記傾斜した位置に変位可能に支持する変位機構と、を有し、
前記変位機構は、前記テーブルトレイの一部として設けられたことを特徴とする請求項1に記載の座席用テーブル。
【請求項3】
前記起倒機構は、座席後部に起倒可能に支持された左右一対の支柱を備え、
前記変位機構は、前記各支柱の起倒端に回動可能に連結され、前記トレイ本体を少なくとも両側から支えるフレーム部材を備え、
前記フレーム部材は、前記トレイ本体を前記水平な位置に保持すると共に、該水平な位置より前記トレイ本体を後方へスライドさせると、前記傾斜した位置にそのまま保持することを特徴とする請求項2に記載の座席用テーブル。
【請求項4】
前記変位機構は、前記フレーム部材に設けられ、該フレーム部材の途中から後方へ向かって直線状に延びた後、下方へ屈曲したガイド溝と、前記トレイ本体に設けられ、前記ガイド溝に対してスライド可能に係合する前後に離れた一対の軸部と、を備えてなることを特徴とする請求項3に記載の座席用テーブル。
【請求項5】
前記テーブルトレイは一ユニットとして、既存の前記支柱に対して交換可能であることを特徴とする請求項3または4に記載の座席用テーブル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、座席の背面側に設けられた座席用テーブルに関する。
【背景技術】
【0002】
新幹線車両のように前後に並ぶリクライニング式座席装置と一体の座席用テーブルの構造について、従来技術には、非使用時は垂直に立てて前方座席の背面へ一体的に収納でき、使用時はそれを斜め下から支える左右一対の支柱ごと倒すと水平になるような可動式のものがよく知られている(例えば特許文献1の
図2参照)。
【0003】
座席用テーブルは、飲み物等を置くだけではなく、ノートパソコンを置いてパソコン作業を行うケースもある。
図18に示すように、ノートパソコンをテーブル上に置いて使用する場合、従来の座席用テーブルにおいては、入力操作するキーボード面がテーブルの載置面の角度と同じく水平な状態となり、着座者の肘が肘掛から浮いた状態で入力操作を行うことになるため、長時間使用時は疲労感があるという問題があった。
【0004】
また、
図19に示すように、着座者が背もたれを後方へ傾けた際、前方座席にある座席用テーブル位置は変わらないため、テーブル上に載せたノートパソコンは、背もたれを後方へ傾けた分だけ遠ざかる。新幹線における最近の座席は、背もたれの傾きと連動して座面が沈み込む構造もあり、本構造においてはテーブルの相対的な高さが少し上がる状態となる。以上より、座席用テーブルにノートパソコンを置いてパソコン作業する際に、キーボード面に対する手首との位置関係が不自然となり、着座者は肘を伸ばさざるをえなくなる、もしくは背もたれから背中を浮かさざるをえなくなるような、無理な体勢となる場合があるという問題があった。
【0005】
以上のような従来技術における問題を解決するため、別の座席用テーブルとして、テーブルを着座者の手前方向へ水平移動する構造が知られている。本構造は、一般に複雑なスライド機構を備えている。さらに、別の座席用テーブルとして、テーブルを着座者の手前側に傾けることが可能な構造も知られている(例えば特許文献2参照)。本構造は、テーブル使用時、常にテーブルが傾いた状態であるものが多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11-225842号公報
【特許文献2】特表2016-519626号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前述した従来の座席用テーブルに関して、テーブルを水平移動できる構造は、複雑なスライド機構にも関わらずテーブルが水平移動するのみであり、ノートパソコンのキーボード面は水平な状態のままである。従って、キーボード面に対する手首との位置関係はテーブルの水平移動前後で変わらず、ノートパソコン作業時の着座者の体勢に関する課題は解決されない。
【0008】
また、前述した従来の座席用テーブルに関して、テーブルを手前側に傾けることができる構造においても、
図20に示すように、背もたれを後方へ傾けた場合、着座者からテーブルまでの距離は依然として遠く、ノートパソコン作業時の着座者の体勢に関する課題は解決されない。さらに、テーブル使用時、常にテーブルが傾いている状態となる構造では、水平のままで使用したい要望に応じることができない。
【0009】
本発明は、以上のような従来の技術の有する問題点に着目して実施されたものであり、テーブルを着座姿勢に応じて快適な状態で使用することを可能とし、特にノートパソコンの使用に際して利便性向上が可能な座席用テーブルを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前述した目的を達成するため、本発明の一態様は、
座席の背面側に設けられ、前方座席背面への収納状態、および前方座席背面より後方へ水平に倒した使用状態に起倒可能なテーブルトレイを備えた座席用テーブルにおいて、
前記テーブルトレイの載置面をなすトレイ本体は、前記使用状態で水平な位置よりさらに着座者の手前方向へ水平移動した後、前記載置面が水平面より着座者の手前側下方に傾斜した位置に変位可能であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る座席用テーブルによれば、簡易な構成、かつテーブルを着座姿勢に応じた快適な状態で使用することが可能となり、特にノートパソコンの使用に際して利便性向上が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の実施形態におけるトレイ本体が使用状態で水平位置にある状態を示す斜視図である。
【
図2】本発明の実施形態におけるトレイ本体が使用状態で傾斜位置にある状態を示す斜視図である。
【
図3】本発明の実施形態におけるフレーム枠が使用状態で水平位置にある状態を示す斜視図である。
【
図4】本発明の実施形態におけるフレーム枠が使用状態で傾斜位置にある状態を示す斜視図である。
【
図5】本発明の実施形態における一対の支柱とスライドフレームを示す斜視図である。
【
図6】本発明の実施形態における一対のスライドフレームと連結バーを示す斜視図である。
【
図7】本発明の実施形態におけるテーブル枠を示す斜視図である。
【
図8】本発明の実施形態におけるトレイ本体が使用状態で水平位置から傾斜位置に変位する様子を模式的に示す説明図である。
【
図9】本発明の実施形態におけるトレイ本体の内部構造を模式的に示す断面図である。
【
図10】本発明の実施形態におけるトレイ本体が水平位置にあるときの変位機構のガイド溝と一対の軸部との係合関係を模式的に示す説明図である。
【
図11】本発明の実施形態におけるトレイ本体が傾斜位置にあるときの変位機構のガイド溝と一対の軸部との係合関係を模式的に示す説明図である。
【
図12】本発明の実施形態における座席用テーブルを設けた座席全体を示す側面図である。
【
図13】本発明の実施形態におけるトレイ本体が収納状態にあるときの座席全体を後方から見た斜視図である。
【
図14】本発明の実施形態におけるトレイ本体が使用状態で水平位置にあるときの座席全体を後方から見た斜視図である。
【
図15】本発明の実施形態におけるトレイ本体が使用状態で傾斜位置にあるときの座席全体を後方から見た斜視図である。
【
図16】本発明の実施形態における座席用テーブルを使用する着座者が背もたれを後方に傾けない状態でパソコン作業を行う状況を説明する側面図である。
【
図17】本発明の実施形態における座席用テーブルを使用する着座者が背もたれを後方に傾けた状態でパソコン作業を行う状況を説明する側面図である。
【
図18】従来の座席用テーブルを使用する着座者が背もたれを後方に傾けない状態でパソコン作業を行う状況を説明する側面図である。
【
図19】従来の座席用テーブルを使用する着座者が背もたれを後方に傾けた状態でパソコン作業を行う状況を説明する側面図である。
【
図20】従来の座席用テーブルを使用する着座者がテーブルを手前側下方に傾けて、背もたれを後方に傾けた状態でパソコン作業を行う状況を説明する側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面に基づき、本発明を代表する実施形態を説明する。
図1から
図17は、本発明の一実施形態を示している。
本実施形態の座席用テーブル10は、
図16に示すように、座席1の背面側に設けられ、後方座席1Aの着座者の使用に供されるものである。ここで座席1の種類は特に限定されないが、以下、鉄道車両の客室内に設置される腰掛に適用した場合を例に説明する。なお、以下に説明する実施形態で示される構成要素、形状、数値等は、何れも本発明の一例であり、本発明を何ら限定するものではない。
【0014】
<座席1の概要>
図12に示すように、座席1は、床面上に固定された脚台2に、座部3および背もたれ4が設置されている。背もたれ4は、座部3の後端側に周知の傾斜機構を介して傾動可能に支持されている。ここで背もたれ4は、前方へ起立したアップライト姿勢(
図16参照)と、後方へ倒したリクライニング姿勢(
図17参照)に保持することができる。また、座部3の両側には、肘掛7が設けられている。なお、座部3を、脚台2上に周知の回転機構を介して支持することにより、座席1を前後に方向転換できるように構成しても良い
【0015】
図13に示すように、本実施形態の座席1は、座部3および背もたれ4を3組ずつ並設した3人掛け用であるが、座部3および背もたれ4が1組だけの1人掛け用、あるいは2組ずつ並設した2人掛け用等に構成しても良い。また、
図16においては、座席1の後方に間隔を空けて、同じ構成の後方座席1Aを配置しているが、例えば新幹線車両の客室内には、一般に通路を挟んだ左右両側に、それぞれ3つ程度の座席1が前後方向に並ぶように配置されている。
【0016】
本実施形態の座席用テーブル10は、これを取り付けた座席1の着座者が使用するものではなく、前述の通り後方座席1Aの着座者の使用に供されるものである。ここで座席1は、本発明の「前方座席」に該当する。なお、本実施形態に記載に関して、「前」と「後」、「左」と「右」、「上」と「下」等の方向を表す用語は、各構成要素の位置関係を説明するために便宜上定めたものであり、実際の座席1の設置状態等を限定するものではない。特に以下の説明において、座席用テーブル10の各構成要素における「前」と「後」とは、座席用テーブル10が設けられた座席1を基準とした方向とする。
【0017】
<座席用テーブル10の概要>
図13に示すように、座席用テーブル10は、座席1の背面側、詳しくは背もたれ4の背面側に設けられている。座席用テーブル10は、テーブルトレイ11と、テーブルトレイ11を起倒可能に支持する起倒機構を有している。
図1に示すように、テーブルトレイ11は、その載置面13をなすトレイ本体12と、該トレイ本体12を両側から支える左右一対のスライドフレーム20,20を有してなる。ここでスライドフレーム20は、本発明の「フレーム部材」に該当する。
【0018】
テーブルトレイ11は、起倒機構によって、背もたれ4の背面側への収納状態(
図13参照)と、背もたれ4の背面側より後方座席1A側(以下「後方」)へ水平に倒した使用状態(
図14参照)に起倒可能に支持されている。背もたれ4の背面側には、テーブルトレイ11を収納状態に保持する手段として、例えばトレイ本体12の端縁に係脱する周知の回転式掛け金8(
図13参照)が設けられている。なお、背もたれ4の背面側には、収納状態のテーブルトレイ11が収まるくぼみを設けても良い。
【0019】
トレイ本体12は、後述の変位機構によって、前記使用状態で水平な位置(以下「水平位置」)よりさらに着座者の手前方向へ水平移動した後、その載置面13が水平面より着座者の手前側下方に傾斜した位置(以下「傾斜位置」)に変位可能に構成されている。ここで「着座者の手前方向」とは、座席用テーブル10が設けられた座席1を基準とすれば後方となる。
図14は、トレイ本体12の水平位置を示し、
図15は、トレイ本体12の傾斜位置を示している。なお「水平」とは、厳密な意味での水平だけを意味するものではなく、ほぼ水平に視認できる程度(いわゆる「略水平」)で足りる。
【0020】
<起倒機構>
図12、
図14に示すように、起倒機構は、座席1の後部、詳しくは背もたれ4の下部に起倒可能に支持された左右一対の支柱5,5を備えている。各支柱5は、後方座席1Aの着座者から見て後方となるテーブルトレイ11の基端縁側を両側から挟むように互いに平行に配置されている。各支柱5は、例えば金属材により上下方向に緩やかに湾曲して延びるアーム状に形成されている。各支柱5の基端部5aは、例えば座部3の後端側で背もたれ4の傾動中心と同軸上の回転軸を介して、所定の角度範囲、すなわちテーブルトレイ11が収納状態ないし使用状態となる角度の間で回動可能に枢支されている。
【0021】
一方、各支柱5の起倒端となる先端部5bの間には、テーブルトレイ11が所定の角度範囲で回動可能に連結されている。
図1に示すように、支柱5の先端部5bには、スライドフレーム20の基端部20aが、収納状態では支柱5と長手方向に連なる角度と、使用状態では斜め後方に倒した支柱5に対して水平となる角度との間で回動可能に連結されている。ここで支柱5の先端部5bとスライドフレーム20の基端部20aとの回転軸6の傍らには、使用状態で斜め後方に倒した支柱5に対して、スライドフレーム20を水平に保持するための例えばカム等による周知のストッパ構造が設けられている。
【0022】
<トレイ本体12>
図1に示すように、トレイ本体12は、テーブルトレイ11の主要部として載置面13をなすものであり、いわゆる天板に相当する。トレイ本体12は、例えば合成樹脂により略長方形の板状に形成されるが、その内部には金属製で枠組み状のフレーム枠14(
図3参照)が内蔵されている。ここでトレイ本体12は、例えばフレーム枠14の表裏より、合成樹脂製で載置面13側となるトレイ上面部12aと、同じく合成樹脂製で底面側となるトレイ下面部12bとを、上下に重ね合わせるように構成されている。また、フレーム枠14の枠組み内には、平面的な剛性を確保するために、例えば金属板等の芯材19(
図9参照)も組み込まれている。
【0023】
図1に示すように、トレイ本体12が水平位置にあるとき、各支柱5の先端部5bより遠位の先端縁側は後方に向かっているが、トレイ本体12を使用する後方座席1Aの着座者から見れば、トレイ本体12の先端縁側が手前側で前方となる。トレイ本体12のうち各支柱5の先端部5bに近位の基端縁側は前方に向かっているが、後方座席1Aの着座者から見れば、トレイ本体12の基端縁側が後方となる。このようにトレイ本体12を含めてテーブルトレイ11の前後関係は、見る側によって相対的に変化するものとなる。
【0024】
トレイ本体12(トレイ上面部12a)の載置面13は、その全域に亘り平坦面として形成されており、例えば摩擦係数の高いシート材の貼付や滑り止め用の表面加工を施しても良い。トレイ本体12(トレイ下面部12b)の底面側も、載置面13とほぼ平行な平坦面であるが、その先端縁側は、内側のフレーム枠14も含めて少し上向きに傾斜するテーパー状に形成すると良い。これにより、トレイ本体12の意匠性が向上する。
【0025】
図1、
図2に示すように、トレイ本体12の基端縁側の両端には、それぞれ内部のフレーム枠14(
図3参照)に肉薄するまで凹む左右一対の切欠部15,15が形成されている。各切欠部15より後方となるトレイ本体12の両側縁側に沿った内側には、次述するスライドフレーム20が出し入れ可能なスライド挿入部16が設けられている。スライド挿入部16は、切欠部15の端面よりスライドフレーム20の出入口として開口しており、出入口の反対側となる奥端は閉じられている。なお、
図8に示すテーブルトレイ11は、模式的に表したものであり、
図1に示したテーブルトレイ11とは形状が一部異なる。
【0026】
<スライドフレーム20>
図3、
図4に示すように、左右一対のスライドフレーム20,20は、前述したように支柱5の先端部5bに連結された状態で、トレイ本体12を両側から支えるものである。スライドフレーム20は、トレイ本体12を前記使用状態で水平位置から傾斜位置に変位可能に支持する変位機構の一部をなしている。各スライドフレーム20は、例えば金属材によりほぼ直線状に延びたバー状に形成されているが、各スライドフレーム20の後方となる先端部20bは下方へ傾斜している。なお、各スライドフレーム20の基端部20aの外側には、前述した支柱5の先端部5bを、回転軸6およびストッパ構造によって連結する取付部21が設けられている。
【0027】
各スライドフレーム20は、トレイ本体12の両側にあるスライド挿入部16の間の寸法に合わせて互いに平行に配されている。また、各スライドフレーム20の前方となる基端部20aの間には、連結バー24が一体に架け渡されており、各スライドフレーム20および連結バー24は、トレイ本体12の外形の内側に収まる略コ字状の枠組み状に組み合わされている。各スライドフレーム20は、それぞれ先端部20bよりトレイ本体12のスライド挿入部16に対して相対的に出し入れ可能に挿入されている。
【0028】
図8(a)に模式的に示すように、トレイ本体12が使用状態で水平位置にあるとき、スライドフレーム20は、スライド挿入部16内に深く没入しており、トレイ本体12の外部には基端部20aのみが露出している。一方、
図8(b)に示すように、トレイ本体12が使用状態で傾斜位置まで着座者の手前方向へ水平移動すると、スライドフレーム20は、スライド挿入部16内から大きく抜き出されて、スライド挿入部16内には先端部20bのみが残った状態となる。このような各スライドフレーム20に対するトレイ本体12の相対的な変位は、次述する変位機構によって実現される。
【0029】
<変位機構>
図3、
図4に示すように、変位機構は、スライドフレーム20に設けられ、その途中から後方へ向かって直線状に延びた後、下方へ屈曲したガイド溝23と、トレイ本体12側に設けられ、ガイド溝23に対してスライド可能に係合する前後に離れた一対の軸部17,17を備えてなる。このように変位機構は、テーブルトレイ11自体の一部として構成されている。
【0030】
図6に示すように、ガイド溝23は、スライドフレーム20の腹部で、長手方向の略中間から後方へ向かって直線状に延び、その全長に亘って左右方向へ水平に貫通する孔として設けられている。ガイド溝23の後端側は、スライドフレーム20の先端部20bの下向きの傾斜に合わせて、同様に下向きに傾斜した傾斜溝部23aとなっている。なお、傾斜溝部23aの端末は、ガイド溝23の一律な溝幅よりも若干縮小するように設けると良い。
【0031】
図7に示すように、一対の軸部17,17は、フレーム枠14の両側部14a,14aに、それぞれ外側に向けて突設されており、その側方に配されたスライドフレーム20のガイド溝23に対してスライド可能に係合する。ここで軸部17は、ガイド溝23の中で滑り動くように、例えば円柱形のピン状に突出したものであれば良く、その外径はガイド溝23の溝幅よりも若干小さく設定されるが、前述した傾斜溝部23aの端末に対してはほぼ合致させると良い。なお、各軸部17の先端には、抜け止め用の頭部17aが設けられている
【0032】
また、
図9に示すように、各軸部17には、フレーム枠14の側部14aを左右から挟み込むような介装部材18が嵌め合わされている。ここで介装部材18は、トレイ本体12のスライド移動に際してがたつきを防ぎ、かつ滑らかにスライドさせるための部材である。介装部材18としては、例えば低コスト化の観点からドーナツ状の樹脂製の安価なワッシャーを用いると良い。なお、介装部材18の作用について、詳しくは後述する。
【0033】
<指挟み防止構造>
図1に示すように、一対のスライドフレーム20,20の左右間隔について、各先端部20bは、常にトレイ本体12のスライド挿入部16に収まっており(
図8(b)参照)、おのずと一定に維持される。一方、各基端部20aの間には、これらの間隔を一定に保つと共に、支柱5を含めた平行確保と剛性向上のために、前述した連結バー24を架け渡すことが必要となる。よって、基端部20aでは、連結バー24と、支柱5の先端部5bに枢支する回転軸6との配置上、斜め下から延びる支柱5の先端部5bと水平なスライドフレーム20の基端部20aとの間に、ハサミのような形状の部位が生じてしまう。
【0034】
仮に、ハサミのような形状の部位に指等を入れたまま、テーブルトレイ11を収納状態に戻そうと各支柱5を縦に立てると、ハサミが閉じるように指等を挟んでしまう虞がある。このとき、連結バー24が各スライドフレーム20を内側から突っ張って支えることも相俟って、指等の逃げ場に乏しく、安全面での大きな懸念があった。そこで、安全性を高めるために、各スライドフレーム20の基端部20aのうち回転軸6より先の突端側の外壁を左右方向の内側に向けて肉薄とし、支柱5の先端部5bと交差するときに隙間を拡大するための凹み22を設けている。さらに、基端部20aの突端は、側面視で半円形となるように丸味を持たせている。
【0035】
<座席用テーブル10の作用>
図12に示すように、座席1の背もたれ4がアップライト姿勢にあるとき、着座者は自然に多少前屈するような安楽な姿勢で着座することができ、長時間着座しても疲れが生じにくい。
図13に示すように、起立した背もたれ4の背面側にあるテーブルトレイ11は、通常は回転式掛け金8によって、背もたれ4の背面に収まる収納状態に保持されている。
【0036】
図14に示すように、回転式掛け金8によるテーブルトレイ11の保持を外して、テーブルトレイ11を左右一対の支柱5,5と共に後方へ斜めに倒すと、テーブルトレイ11は水平な使用状態となる。このように、テーブルトレイ11を収納状態から使用状態まで後方へ倒すとき、急に倒れないようにするために、各支柱5の基端部5aにダンパー等を付設すると良い。後方座席1Aの着座者は、自席の背もたれ4を後方に傾けるか否かに関わらず、使用状態にあるトレイ本体12を、水平位置と傾斜位置とに任意に選択して使用することができる。
【0037】
すなわち、
図1に示すように、テーブルトレイ11を各支柱5ごと倒した後、トレイ本体12を後方(着座者の手前側)へスライドさせなければ、トレイ本体12は両側のスライドフレーム20,20の間で、従来通り水平に展開した水平位置のまま保持される。一方、トレイ本体12を水平位置から着座者の手前側へ引き寄せるように水平移動させると、トレイ本体12は着座者の手前側下方へそのまま傾斜して、
図2に示す傾斜位置に変位させることができる。これにより、トレイ本体12の載置面13上のノートパソコンP(
図12参照)のキーボード面も手前側下方へ適度に傾いた状態となる。
【0038】
<<トレイ本体12のスライド動作の詳細>>
図8(a)に示すように、座席1の後部から斜め上方に倒された各支柱5の先端部5bより、それぞれスライドフレーム20は後方へ向かって水平に延びる。そして、各スライドフレーム20は、トレイ本体12の左右両側にあるスライド挿入部16に対して、相対的に没入させたり抜き出すことができる。換言すれば、トレイ本体12の左右両側には、各スライドフレーム20が出し入れ可能であり、各スライドフレーム20の着座者から見て奥側となる基端部20aが、それぞれ支柱5の先端部5bに連結されている。
【0039】
図8(a)に示すように、テーブルトレイ11を各支柱5と共に後方へ斜めに倒しただけの状態では、各支柱5の先端部5bより水平に延びるスライドフレーム20は、トレイ本体12のスライド挿入部16内に深く没入している。このとき、
図3に示すように、トレイ本体12のフレーム枠14より突出した前後一対の軸部17,17は、スライドフレーム20の腹部で直線状に延びるガイド溝23に係合しており、トレイ本体12はそのまま水平位置に保持される。
【0040】
着座者が水平位置にあるトレイ本体12を手前方向へ水平移動させることで、支柱5およびスライドフレーム20は動かないため、トレイ本体12だけをスライドフレーム20から引き抜くように手元へ引き寄せることができる。このとき、トレイ本体12側の各軸部17が、ガイド溝23のうち傾斜溝部23aに未だ到達しない範囲内であれば、トレイ本体12を水平状態に保ったままでスライドさせる距離を調節することができる。すなわち、トレイ本体12の水平位置では、その前後のスライド距離をさらに細かく、多くの着座者にとって腕や手首との相対的な位置関係や、リクライニング時の体勢に即して、身体的負担が最少となる最適な水平位置に調整することができる。
【0041】
<<スライドフレーム20によるトレイ本体12の上下方向の案内>>
トレイ本体12のスライド移動に際して、上下方向のがたつきを防ぎ滑らかに引き出すことを可能とするため、スライドフレーム20の腹部には、左右へ水平に貫通するように長手方向へ延びるガイド溝23を設けている。このガイド溝23に、トレイ本体12側の一対の軸部17,17を差し通して滑り動くように案内することで、トレイ本体12を円滑にスライド移動させることができる。
【0042】
すなわち、トレイ本体12ひいては一対の軸部17,17が上下・前後方向に傾こうとしても、ガイド溝23の内壁に接触して歯止めがかかるため、トレイ本体12の姿勢が安定する。さらに、トレイ本体12が傾斜位置になるまでスライド移動すると、後側の軸部17が傾斜溝部23aの末端に合致するため、なおさらトレイ本体12を安定した状態に保持することができる。
【0043】
<<スライドフレーム20によるトレイ本体12の左右方向の案内>>
図9に示すように、各軸部17には、それぞれスライドフレーム20を左右から挟み込むように介装部材18を嵌め合わせている。この介装部材18によって、トレイ本体12の水平位置におけるスライド移動に際して、左または右の斜め方向へのがたつきを防ぎ、かつ滑らかにスライドさせることができる。
【0044】
すなわち、トレイ本体12ひいては一対の軸部17,17が左右へ斜めに傾こうとすると、右または左の介装部材18がスライドフレーム20の外壁に接触して歯止めがかかるため、トレイ本体12の姿勢が安定する。なお、介装部材18の素材や、スライドフレーム20との接触面積・左右からの挟み込みの隙間量等の調整により、摩擦を適度に調節することで、トレイ本体12のスライド動作の緩慢、固渋を防ぐことができる。
【0045】
<<トレイ本体12の傾斜動作の詳細>>
図1から
図2に示すように、使用状態で水平位置にあるトレイ本体12を、さらに着座者の手前方向へ水平移動させると、
図3から
図4に示すように、トレイ本体12側の一対の軸部17,17は、スライドフレーム20側のガイド溝23に沿って水平に移動した後、ガイド溝23の傾斜溝部23aに到達する。すると、一対の軸部17,17は、トレイ本体12の自重も相俟って、傾斜溝部23aの下向きの傾斜に沿って落ち込むため、トレイ本体12は、そのまま先端縁側が下向きに傾斜する。
【0046】
トレイ本体12が傾斜位置にあるとき、トレイ本体12のスライド挿入部16内からスライドフレーム20は相対的に大きく抜き出されている。ここでスライドフレーム20の基端部20aは、支柱5の先端部5bに水平な状態に支持され、スライドフレーム20の先端部20bに、トレイ本体12は傾斜した状態に保持される。よって、トレイ本体12に乗せたノートパソコン等の重量も十分に支えることができる。なお、傾斜溝部23aの端末を、ガイド溝23の一律な溝幅よりも若干縮小することにより、後方の軸部17が、傾斜溝部23aの端末に対して位置がずれないように係合する。従って、傾斜位置にあるトレイ本体12のがたつきを確実に防止することができる。
【0047】
トレイ本体12を手で押して前方へ戻すようにスライドさせることで、一対の軸部17,17は、ガイド溝23の傾斜溝部23aの傾斜を登って水平位置まで戻る。このとき、トレイ本体12のスライド挿入部16内にスライドフレーム20が相対的に没入する。なお、仮にトレイ本体12を水平(前後)方向にスライドさせるための機構と、トレイ本体12を傾斜させるための機構を、それぞれ別個独立に設けると、全体的に複雑で重くなり、利用者にとっても操作が分かりにくくなる。本座席用テーブル10では、スライドフレーム20の先端部20bを下向きに曲げることにより、トレイ本体12を最大長までスライド移動させれば傾斜するように、スライドと傾斜の両動作をシームレスに連動させることができる。
【0048】
<<指挟みの防止>>
前述したように、テーブルトレイ11を収納状態に戻そうと各支柱5を縦に立てるとき、支柱5の先端部5bとスライドフレーム20の基端部20aとの間に、ハサミが閉じるように指等を挟んでしまう虞がある。そこで、このような虞を未然になくして安全性を高めるべく、
図1に示すように、スライドフレーム20の基端部20aの外壁を内側に向けて肉薄とする凹み22を設けたことで、支柱5の先端部5bとの間で交叉する箇所の隙間を拡大する。これにより、指等の逃げ場が生じるため、安全性を高めることができる。加えて、基端部20aの突端に丸味を持たせることで、より安全性を高めることができる。
【0049】
<トレイ本体12の利便性>
図16は、後方座席1Aの背もたれ4がアップライト姿勢にあるとき、トレイ本体12を、具体的には例えば100mmほど着座者の手前方向へ水平移動させると共に、後方座席1Aの着座者の手前側へ10°傾斜した傾斜位置に変位させた状態を示している。このような状態では、トレイ本体12上に載せたノートパソコンに対して、肘を肘掛に乗せて快適な姿勢でパソコン作業等を行うことができる。
【0050】
一方、従来の座席用テーブルは、
図18に示すように、背もたれ4がアップライト姿勢にあるとき、水平な状態のテーブル上にノートパソコンを載せてパソコン作業を行うと、肘が肘掛から浮いてしまうため、利便性が悪い。なお、本実施形態の座席用テーブル10において、例えば物を置く場合には、トレイ本体12を着座者の手前方向へ水平移動させて傾斜させることなく、水平位置のままで使用する選択もできる。さらに、トレイ本体12の水平位置は、その前後のスライド距離を調整することも可能である。
【0051】
また、
図17は、後方座席1Aの背もたれ4をリクライニング姿勢まで倒したとき、トレイ本体12を、前述した
図16と同様に例えば100mmほど着座者の手前方向へ水平移動させると共に、後方座席1Aの着座者の手前側へ10°傾斜した傾斜位置に変位させた状態を示している。このような状態でも、快適な姿勢でパソコン作業等を行うことができる。すなわち、後方座席1Aの着座者は、背もたれ4に身体を預けながら、トレイ本体12上に載せたノートパソコンに対して、肘が伸びきらずに適度に曲げた状態でパソコン作業等を行うことが可能となり、腕の疲労が発生しにくい。
【0052】
一方、従来の座席用テーブルでは、
図19に示すように、背もたれ4をリクライニングさせると、通常の水平な状態にあるトレイ本体12上のノートパソコンまで手を伸ばすことになり、肘が伸びきった姿勢を強いられるため、腕の疲労が発生しやすい。さらに、背もたれ4から背中を浮かさざるを得なくなるため、背もたれ4と背中の間に隙間が生じた姿勢を維持する必要があり、無理な体勢となり疲労が生じやすくなる。
【0053】
<テーブルトレイ11のユニット化と交換>
本実施形態の座席用テーブル10は、トレイ本体12の水平方向のスライドおよび傾斜の仕組みである変位機構を、現行とほぼ同寸法を維持したテーブルトレイ11の内部へ完結的に内蔵させ、一ユニット化している。これにより、従来の座席用テーブルを支持するための既存の支柱5の傾斜角度や長さ、背もたれ4の背面側の回転式掛け金8、及び収納状態でのテーブルの奥行き寸法等を可能な限り変更せず、テーブルトレイ11のみを交換することで設置可能である。
【0054】
このような座席用テーブル10とすることにより、従来の座席用テーブルにおける支柱5等の既存の部材は原則として変更せず、テーブルトレイ11のみを一ユニットとして交換すれば良いため、着脱作業が容易である。これにより、旅客のニーズに合わせた設置・撤去が可能であり、旅客サービス向上に資する。
【0055】
<本発明の構成と作用効果>
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前述した実施形態に限定されるものではない。前述した実施形態から導かれる本発明について、以下に説明する。
【0056】
本発明は、座席1の背面側に設けられ、前方座席背面への収納状態、および前方座席背面より後方へ水平に倒した使用状態に起倒可能なテーブルトレイ11を備えた座席用テーブル10において、
前記テーブルトレイ11の載置面13をなすトレイ本体12は、前記使用状態で水平な位置よりさらに着座者の手前方向へ水平移動した後、前記載置面13が水平面より着座者の手前側下方に傾斜した位置に変位可能であることを特徴とする。
【0057】
このような座席用テーブル10によれば、物を載せるトレイ本体12を、背もたれ4の後方への傾き等、座席1の着座姿勢に応じて、快適な状態で使用することが可能となり、特にノートパソコンの使用に際してトレイ本体12が傾斜しつつ着座者の近くに寄せられるため、利便性を向上させることができる。また、前後に一定間隔で座席が配置された鉄道車両の環境下において、従来同様に収納状態では着座者のスムーズな出入り性を確保することができる。
【0058】
また、本発明は、前記テーブルトレイ11を、前記収納状態と前記使用状態とに起倒可能に支持する起倒機構と、
前記トレイ本体12を、前記使用状態で前記水平な位置から前記傾斜した位置に変位可能に支持する変位機構と、を有し、
前記変位機構は、前記テーブルトレイ11の一部として設けられたことを特徴とする。
【0059】
このような構成により、座席用テーブル10を使用する後方座席1Aの着座者は、テーブルトレイ11を収納状態と使用状態とに容易に起倒させることができ、また、トレイ本体12を、使用状態で水平な位置から傾斜した位置へ容易に変位(スライドおよび傾斜)させることができる。
【0060】
また、本発明では、前記起倒機構は、座席1後部に起倒可能に支持された左右一対の支柱5,5を備え、
前記変位機構は、前記各支柱5の起倒端に回動可能に連結され、前記トレイ本体12を少なくとも両側から支えるフレーム部材20を備え、
前記フレーム部材20は、前記トレイ本体12を前記水平な位置に保持すると共に、該水平な位置より前記トレイ本体12を後方へスライドさせると、前記傾斜した位置にそのまま保持することを特徴とする。
【0061】
このような構成により、前記起倒機構だけでなく前記変位機構も、簡易な部品で構成することが可能となる。特に、前記変位機構のフレーム部材20によれば、トレイ本体12を確実に水平位置、もしくは傾斜位置に保持することができ、かつ容易に水平位置から傾斜位置まで変位させることができる。
【0062】
また、本発明では、前記変位機構は、前記フレーム部材20に設けられ、該フレーム部材20の途中から後方へ向かって直線状に延びた後、下方へ屈曲したガイド溝23と、前記トレイ本体12に設けられ、前記ガイド溝23に対してスライド可能に係合する前後に離れた一対の軸部17,17と、を備えてなることを特徴とする。
【0063】
このような構成により、前記変位機構は、最小限の部品点数でより簡易に構成することができ、また、トレイ本体12を手前に引く1動作で、極めて容易に水平位置から傾斜位置まで確実に変位させることができる。
【0064】
さらに、本発明では、前記テーブルトレイ11は一ユニットとして、既存の前記支柱5に対して交換可能であることを特徴とする。
【0065】
このような構成により、テーブルトレイ11のみで、そのトレイ本体12のスライドおよび傾斜機能を実現でき、前記起倒機構の支柱5に対して後付け可能となる。よって、既存のテーブルからテーブルトレイ11のみを交換するだけで、スライド及び傾斜機能を付加することが可能であり、また、必要に応じて変更前のテーブルにも容易に復帰させることができる。
【0066】
以上、実施形態を図面によって説明したが、具体的な構成はこれらの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。例えば、座席1の脚台2、座部3、背もたれ4、およびテーブルトレイ11等の形状は図示したものに限定されることはない。また、座席1は3人掛けの例を説明したが、1人掛けや2人掛けでも良い。また、鉄道車両用の座席に限られるものでもない。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明は、鉄道車両やバス等の車両に装備される座席に限らず、他に例えば船舶や航空機等の各種乗物に装備される座席にも広く適用することができる。
【符号の説明】
【0068】
1…座席
1A…後方座席
2…脚台
3…座部
4…背もたれ
5…支柱
10…座席用テーブル
11…テーブルトレイ
12…トレイ本体
13…載置面
20…スライドフレーム
21…取付部
22…凹み
23…ガイド溝
24…連結バー