(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024124687
(43)【公開日】2024-09-13
(54)【発明の名称】分離装置
(51)【国際特許分類】
E03F 5/14 20060101AFI20240906BHJP
B01D 29/00 20060101ALI20240906BHJP
【FI】
E03F5/14
B01D23/02 Z
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023032548
(22)【出願日】2023-03-03
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-02-16
(71)【出願人】
【識別番号】523078801
【氏名又は名称】株式会社NRマネジメント
(74)【代理人】
【識別番号】100172225
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 宏行
(72)【発明者】
【氏名】奥村 暢浩
【テーマコード(参考)】
2D063
4D116
【Fターム(参考)】
2D063DB01
4D116AA12
4D116AA13
4D116BB01
4D116BC28
4D116BC45
4D116BC47
4D116BC71
4D116DD01
4D116DD05
4D116FF12B
4D116GG02
4D116KK01
4D116QA02A
4D116QA02D
4D116QA02F
4D116QB40
4D116QB50
4D116RR02
4D116VV06
4D116VV09
4D116VV15
4D116VV19
(57)【要約】 (修正有)
【課題】コンパクトな構造を実現するとともに、回収した混合物から分離させた固体状物を容易に廃棄することができる分離装置を提供する。
【解決手段】分離装置1は、混合物21が収容される内部空間22を有する収容部(容器3)と、内部空間22に送り込まれた混合物21のうち所定サイズの固体状物21aを捕捉するとともに液体21bを透過させるフィルタ4と、フィルタ4を透過した液体21bを収容部の底部11を通じて排出する排出部(パイプ25,バルブ26)と、収容部を上方から覆う蓋部5と、蓋部5に設けられた吸引手段(吸引装置6)と、一端7a側が外部に開口し、他端7b側が蓋部5に装着されたホース部材7と、を備える。ホース部材7の他端7b側は蓋部5に形成された貫通孔34と連通し、吸引手段によって内部空間22を吸引することによって、ホース部材7の一端7a側から混合物21を吸い込んで内部空間22に送り込む。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上方が開口し、液体と固体状物を含む混合物が収容される内部空間を有する収容部と、
前記収容部に着脱自在であって、前記内部空間に送り込まれた前記混合物のうち所定サイズの固体状物を捕捉するとともに液体を透過させるフィルタと、
前記フィルタを透過した液体を前記収容部の底部を通じて排出する排出部と、
前記収容部に対し着脱自在であって、当該収容部を上方から覆う蓋部と、
前記蓋部に設けられ、前記内部空間を吸引する吸引手段と、
一端側が外部に開口し、他端側が前記蓋部に装着されたホース部材と、を備え、
前記蓋部は厚み方向に貫通した貫通孔を有し、前記ホース部材の前記他端側は前記貫通孔と連通し、
前記吸引手段によって前記内部空間を吸引することによって、前記ホース部材の一端側から前記混合物を吸い込んで前記内部空間に送り込む、分離装置。
【請求項2】
前記収容部を下受けする第1の下受け部と第2の下受け部が所定間隔をあけて設けられ、
前記排出部は前記第1の下受け部と前記第2の下受け部の間に位置する、請求項1に記載の分離装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体と、土や砂利やゲル化した油脂などの固体状物を含む混合物を、液体と固体状物に分離する分離装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年においては、豪雨や地震などに起因して、土や砂利を含んだ大量の泥水が建造物(戸建て住宅やアパートをはじめとする集合住宅の低層階など)の屋内に流れ込んで堆積するほどの自然災害が多発している。そこで従来、自然災害からの復旧作業において、建造物の屋内に堆積した泥水を除去するための装置が提案されている(例えば特許文献1)。
【0003】
特許文献1には、回収ノズルと吸引ポンプを有し泥土(泥水)を回収する回収装置と、分離槽と搬送装置を有し回収装置で回収した泥土に含まれる砂を分離する分離装置と、凝集沈殿装置および膜分離装置を備え、分離装置で砂を分離した後の泥土を処理する処理装置と、で構成される泥土処理システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の従来技術では、螺旋流路および複数の分級室が形成された分離層と、砂搬送部と砂取り出し部を有する搬送装置等を含み、搬送装置から搬送された固体状物(砂)を回収するように構成されていることから、装置が複雑化するとともに大型化し、装置自体を建造物の屋内に持ち込んで混合物の回収作業を手軽に行うことができない。さらに従来技術では、分離させた固体状物を使用者の手作業により容易に装置外へ廃棄することができないといった課題があった。
【0006】
そこで本発明は、コンパクトな構造を実現するとともに、回収した混合物から分離させた固体状物を使用者が容易に廃棄することができる分離装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の分離装置は、上方が開口し、液体と固体状物を含む混合物が収容される内部空間を有する収容部と、前記収容部に着脱自在であって、前記内部空間に送り込まれた前記混合物のうち所定サイズの固体状物を捕捉するとともに液体を透過させるフィルタと、前記フィルタを透過した液体を前記収容部の底部を通じて排出する排出部と、前記収容部に対し着脱自在であって、当該収容部を上方から覆う蓋部と、前記蓋部に設けられ、前記内部空間を吸引する吸引手段と、一端側が外部に開口し、他端側が前記蓋部に装着されたホース部材と、を備え、前記蓋部は厚み方向に貫通した貫通孔を有し、前記ホース部材の前記他端側は前記貫通孔と連通し、前記吸引手段によって前記内部空間を吸引することによって、前記ホース部材の一端側から前記混合物を吸い込んで前記内部空間に送り込む。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、コンパクトな構造を実現するとともに、回収した混合物から分離させた固体状物を容易に廃棄することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一実施の形態における分離装置の(a)前方斜視図(b)後方斜視図
【
図2】本発明の一実施の形態における分離装置の分解斜視図
【
図3】本発明の一実施の形態における分離装置の分解断面正面図
【
図4】本発明の一実施の形態における分離装置の使用例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1、
図2、
図3及び
図4を参照して、本発明の一実施の形態における混合物の分離装置を説明する。分離装置1は、例えば自然災害の発生によって、戸建て住宅やアパートをはじめとする集合住宅(主に低層階)などの建造物の屋内に侵入し、堆積した固体状物21aと液体21bの混合物21(
図4)を回収するとともに、回収した混合物を所定サイズ以上の固体状物とそれ以外(所定サイズ以下の固体状物と液体)に分離させる機能を有する。本実施の形態における固体状物21aには、例えば、土、砂利などの固形物の他、ゲル化した油脂などの固体状(ゲル状)の物質も含まれる。液体21bは例えば、生活排水、業務用厨房からの排水、海水、地表水(河川、ダム湖、湖沼などから流出した水)の他に、工場から流出した工業用油が挙げられる。
【0011】
図1及び
図2において、分離装置1はベース部2と、ベース部2に下受けされる容器3と、容器3に着脱自在なフィルタ4と、容器3に着脱自在であって該容器3を上方から覆う蓋部5と、蓋部5に取り付けられた吸引装置6と、蓋部5に着脱自在なホース部材7と、を含んで構成される。
【0012】
図2に示すように、ベース部2は平面視して「コ」の字状であり、所定間隔をあけて一の方向に並行に伸びた第1の下受け部8および第2の下受け部9と、これらを連結する連結部10と、を含んで構成される。ベース部2の所定の箇所には、容器3の底部11の平面形状に対応した溝部12が形成されている。溝部12に容器3を嵌め合わせることによって、ベース部2は容器3を下受けする。
【0013】
図2において、第1の下受け部8と第2の下受け部9の先端部の下方の夫々の位置には車輪13が設けられている。車輪13はベース部2に対して、鉛直方向(紙面上下方向)の軸回りに旋回することができる。
【0014】
ベース部2には第1の支柱14、第2の支柱15、第3の支柱16および第4の支柱17が立設されている。4本の支柱のうち連結部10に対応する位置に立設された第1の支柱14と第2の支柱15は、連結部10を貫通している。第1の支柱14、第2の支柱15、2個の車輪13を接地させることで、ベース部2は容器3を水平な姿勢で下受けする。
【0015】
図2において、第3の支柱16と第4の支柱17には「コ」の字状の手摺り18が架設されている。分離装置1の使用者P(
図1(a))は、手摺り18を把持した状態で分離装置1を手前側に傾けることで第1の支柱14と第2の支柱15を接地面から離し、この状態で所定の方向に操作(押し引き)することで、車輪13を介して分離装置1を所望の方向へ移動させることができる。すなわち、分離装置1は使用者Pによる操作によって、車輪13を介して所望の方向に移動自在となっている。これにより、使用者Pは分離装置1を屋内に手軽に移動させることができる。
【0016】
図1,2において、4本の支柱(符号14~17)には、容器3の平面形状に対応した開口を有するリング状部材19が固定されている。容器3は、リング状部材19の開口に挿入された状態でベース部2に下受け支持される。これにより、容器3はリング状部材19によって横方向への移動が制限され、容器3がベース部2から脱落することが防止される。
【0017】
図2,3において、容器3は円筒状であり、上方が開口した開口部(第1の開口部)20を有する。また、容器3は有底である。容器3にはホース部材7を経由して送り込まれた混合物21(
図4)が収容される内部空間22を有し、この内部空間22にはフィルタ4が配置される。すなわち、容器3は上方が開口し、固体状物21aと液体21bを含む混合物21が収容される内部空間22を有する収容部となっている。
【0018】
図3において、容器3の上部には下受け面23aを有する段差部23が周方向に沿って形成されている。
図4に示すように、下受け面23aに蓋部5が接触することで、蓋部5は容器3の開口部20を覆う。これにより、内部空間22は密閉された状態となる。蓋部5の詳細は後述する。
【0019】
図3において、容器3の底部11には上下方向に貫通した開口部(第2の開口部)24が形成されており、開口部24は略L字状のパイプ25の一端側と接続されている。パイプ25の他端側は図示しない外部パイプと接続されている。パイプ25にはバルブ26が設けられており、バルブ26を「開」状態にすることで、容器3に収容された液体21bはパイプ25を通じて外部パイプへ流れ込み、分離装置1の外部にある所定の場所へと排出される。パイプ25とバルブ26は、フィルタ4を透過した液体を容器3の底部11を通じて排出する排出部を構成する。
【0020】
図2,3において、フィルタ4は無数の網目を有する多孔質の金属フィルタであって、円筒状であり、上方が開口するとともに有底である。フィルタ4は、容器3に着脱自在であて、内部空間22に送り込まれた混合物21のうち、フィルタ孔径よりも大きい所定サイズ以上の固体状物21aを捕捉する(
図4)。その一方で、フィルタ孔径よりも小さいサイズの固体状物21aおよび液体21bは捕捉せず、容器3の底部11側へ透過する。
図3,4では便宜上、フィルタ4の一部の図示を省略している。
【0021】
フィルタ4の上部には鍔部27が設けられており、例えば使用者Pがフィルタ4を容器3から取り出す際、鍔部27を把持した状態で上方へ持ち上げる。フィルタ4の底部28にはスペーサ29が設けられており、フィルタ4を容器3に装着した状態では、スペーサ29によってフィルタ4の底部28と容器3の底部11との間に所定の隙間S(
図4)が設けられる。
【0022】
この隙間Sには、フィルタ4によって捕捉された所定サイズ以上の固体状物21aは浸入しない。隙間Sの設け方は本実施の形態に限定されない。例えば、容器3の下受け面23aによって、フィルタ4の鍔部27を下受けすることで、フィルタ4の底部28と容器3の底部11との間に大きな隙間Sを設けるようにしてもよい。
【0023】
図3において、蓋部5の下面には、段差部23を形成する内壁23bに対向する外周面を有する円筒部材30が設けられている。
図4に示すように、円筒部材30の下端を段差部23の下受け面23aによって下受けさせることで、段差部23の内壁23bと円筒部材30の外周面は僅かなクリアランスを有した状態で対向する(クリアランスを無くして接触させてもよい)。
【0024】
この状態では、蓋部5の外縁近傍に位置する下面5aと、容器3の上面3aとが接触する(
図4)。これにより、容器3は蓋部5によって容器3の開口部20が閉じられ、内部空間22が密閉された状態となる。このように、蓋部5は容器3に対し着脱自在であって、当該容器3を上方から覆う。
【0025】
蓋部5の構造としては本実施の形態に限定されず、例えば、段差部23の内壁23bに対向する外周面を有するサイズの蓋部5を用いてもよい。
【0026】
蓋部5には吸引装置6が取り付けられている。吸引装置6を構成する筐体31は蓋部5の上面側に固定されており、筐体31には図示しない吸引機構が内蔵されている。吸引装置6は、蓋部5を厚み方向(
図3における紙面上下方向)に貫通し、容器3の内部空間22に対して開口した図示しない吸引口を有している。
【0027】
蓋部5の下面には、吸引口を周囲から覆うように多孔質のフィルタ32が設けられている。フィルタ32は吸引口にエア以外の異物(固体状物21aなど)が吸い込まれるのを防止する。
図3,4では便宜上、フィルタ32の一部の図示を省略している。
【0028】
筐体31の上面には、吸引口から吸引したエアを排出するための図示しない排気口が設けられている。吸引装置6は例えばバッテリーで駆動し、筐体31に設けられた操作スイッチ33が操作されることによって、吸引口を通じて内部空間22を吸引する。このように、吸引装置6は、蓋部5に設けられ、内部空間22を吸引する吸引手段となっている。
【0029】
図1~3において、蓋部5には、厚み方向(
図3における紙面上下方向)に貫通した貫通孔34が形成されている。蓋部5の上面には、貫通孔34の外縁に沿った所定の厚みを有する環状部材35が設けられている。また、蓋部5の下面5aにおいて、貫通孔34に対応する位置には、上下方向の長さ寸法がフィルタ32と略同じサイズのパイプ36が固定されている。パイプ36は両端が開口する。パイプ36は、貫通孔34を通じて分離装置1の外部から内部空間22へ送り込まれた混合物21がフィルタ32側へ吸い寄せられるのを防止するためのものである。
【0030】
フィルタ32のパイプ36と対向する一部の領域は、シート状部材38で覆われている。シート状部材38は例えばアルミニウム製のフィルムであり、パイプ36の下端から排出された一部の混合物21が吸引装置6の吸引口に吸い寄せられても、フィルタ32に付着することを防止する役割を有する。すなわちシート状部材38は、内部空間22に送り込まれた一部の混合物21が吸引装置6の吸引口を覆うフィルタに付着するのを防止する付着防止手段となっている。
【0031】
図1(a)及び
図3において、蓋部5にはホース部材7が装着される。ホース部材7は例えば、軟質塩化ビニール製など、可撓性を有する素材を含んで構成され、両端が開口し、一端7a側が外部に開口する。ホース部材7の他端7b側にはコネクタ37が取り付けられている。コネクタ37はコネクタ本体37aと、コネクタ本体37aに保持された接続部37bと、を含んで構成される。コネクタ本体37aと接続部37bは何れも硬質の円筒形状を成す。
【0032】
貫通孔34に接続部37bを挿入させつつ、コネクタ本体37aの外周面を環状部材35の内周面に対して圧接させることで、ホース部材7は蓋部5に装着される。この装着状態では、ホース部材7の他端7b側がコネクタ37と貫通孔34を介して内部空間22と連通する。
【0033】
本実施の形態において、コネクタ37はホース部材7を構成する一要素として説明している。このように、ホース部材7は一端7a側が外部に開口し、他端7b側が蓋部5に装着される。ホース部材7の蓋部5への装着方法は任意であり、ホース部材7の他端7b側の所定範囲を貫通孔34に嵌入させるようにしてもよい。かかる場合、コネクタ37は省略してもよい。
【0034】
本実施の形態における分離装置1は以上のように構成される。次に
図4を参照して、分離装置1の使用例について説明する。
図4は、屋内の床面F上に混合物21が侵入した状態を示しており、分離装置1はこの床面Fから混合物21を回収し、さらに固体状物21aと液体21bに分離させる。分離装置1を駆動させるに際して、容器3の開口部20を蓋部5によって塞ぐとともに、ホース部材7を蓋部5に装着しておく。そして、使用者Pは分離装置1を所望の位置まで移動させる。
【0035】
次いで、使用者Pはバルブ26を操作して「閉」状態とし、さらに吸引装置6の操作スイッチ33を操作して「ON」にすると、吸引装置6が駆動し、密閉された内部空間22を吸引する(矢印a)。吸引装置6による吸引はホース部材7の内部に作用し、ホース部材の一端7a側を通じて床面F上の混合物21が吸引される(矢印b)。
【0036】
床面F上の混合物21は、ホース部材7、蓋部5の貫通孔34及びパイプ36を経由して内部空間22へ送り出され、フィルタ4に向けて落下する。フィルタ4に落下した混合物21のうち、所定サイズ以上の固体状物21aはフィルタ4によって捕捉され、それ以外の固体状物(所定サイズ以下の微粒な固体状物)21aおよび液体21bはフィルタ4を透過する。
【0037】
なお、フィルタ4を透過する固体状物21aはパイプ25を通じて屋外の所定の場所へ排出しても問題がないものとする。換言すれば、屋外へ排出するのに適さないサイズの固体状物21aはフィルタ4によって捕捉できるよう、フィルタ孔径を任意に定めておく。
【0038】
使用者Pは容器3に一定量の混合物21が収容されたと判断したならば、操作スイッチ33を操作して「OFF」にすることで、吸引装置6の駆動を停止させる。次いで使用者Pは、バルブ26を操作して「開」状態とする。これにより、フィルタ4を透過した微粒な固体状物21aと液体21bはパイプ25と該パイプ25に連結した図示しない外部パイプを通じて屋外へ排出される。
【0039】
以上説明したように、本実施の形態における分離装置1は、上方が開口し、液体21bと固体状物21aを含む混合物21が収容される内部空間22を有する収容部(容器3)と、収容部に着脱自在であって、内部空間22に送り込まれた混合物21のうち所定サイズ以上の固体状物21aを捕捉するとともにそれ以外(所定サイズ以下の固体状物21aと液体21b)を透過させるフィルタ4と、フィルタ4を透過した液体21bを収容部の底部11を通じて排出する排出部(パイプ25,バルブ26)と、収容部に対し着脱自在であって、当該収容部を上方から覆う蓋部5と、蓋部5に設けられ、内部空間22を吸引する吸引手段(吸引装置6)と、一端7a側が外部に開口し、他端7b側が蓋部5に装着されたホース部材7と、を備え、蓋部5は厚み方向に貫通した貫通孔34を有し、ホース部材7の他端7b側は貫通孔34と連通し、吸引手段によって内部空間22を吸引することによって、ホース部材7の一端7a側から混合物21を吸い込んで内部空間22に送り込むように構成されている。
【0040】
上記構成によれば、分離装置1を屋内へ手軽に運び込んで混合物21の回収作業を行うこができる。また、フィルタ4に捕捉された固体状物21aが所定量溜まり、これを廃棄したい場合、使用者Pは蓋部5を容器3から外し、フィルタ4を持ち上げるだけで容器3からフィルタ4を容易に取り外すことができる。その際、容器3の内周面にはフィルタ4に干渉する構造物が存在しないので、フィルタ4をスムーズに取り外すことができる。このように、本実施の形態の分離装置1によれば、コンパクトな構造を実現するとともに、回収した混合物21から分離させた固体状物21aを作業者が容易に廃棄することができる。
【0041】
また、
図1(b)に示すように、排出部(パイプ25およびバルブ26)は、第1の下受け部8と第2の下受け部9の間に位置するように配置されている。その意義について説明すると、容器3に収容された液体21bおよび所定サイズ以下の固体状物21aを排出するに際しては、容器3の外周面ではなく底部11に排出用の開口部24を設けることが望ましい。そこで、排出部の位置を避けるように第1の下受け部8と第2の下受け部9を設けることで、容器3の底部11の下方における所望の位置に排出部を配置することができるようになっている。
【0042】
本発明は、業務用厨房に設置されるグリーストラップ(油脂分離阻集器)の清掃にも用いることもできる。以下、グリーストラップについて簡単に説明する。グリーストラップは、厨房排水に混ざっている残飯、生ごみ、油脂等のうち大きなサイズのゴミを捕捉する第1槽と、第1槽から流入した厨房排水に含まれる油脂、汚泥等を分離する第2槽と、第2槽から流入した厨房排水(汚泥と油脂がある程度分離された排水)が流入する第3槽と、を含んで構成される。
【0043】
本発明の分離装置1を用いてグリーストラップを清掃する場合、ホース部材7を通じて第1槽、第2槽、第3槽の夫々に堆積する残飯、生ごみ、油脂、汚泥などの固体状物と液体(排水)の混合物を吸引して容器3に送り込む。容器3内のフィルタ4は、所定サイズ以上の固体状物を捕捉するが、それ以外の微粒な固体状物と液体(排水)は容器3の底部11側に透過する。これにより、固体状物と液体を回収、分離することができる。
【0044】
本発明の分離装置1はこれまで説明した実装の形態に限定されず、発明の趣旨を逸脱しない範囲で設計変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0045】
コンパクトな構造を実現するとともに、回収した混合物21から分離させた固体状物21aを容易に廃棄することができる分離装置1を提供することができる。
【符号の説明】
【0046】
1 分離装置
3 容器
4 フィルタ
5 蓋部
6 吸引装置
7 ホース部材
7a 一端
7b 他端
21 混合物
21a 固体状物
21b 液体
25 パイプ
26 バルブ 本体部
34 貫通孔
【手続補正書】
【提出日】2023-12-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上方が開口し、液体と固体状物を含む混合物が収容される内部空間を有する収容部と、
前記収容部に着脱自在であって、前記内部空間に送り込まれた前記混合物のうち所定サイズの固体状物を捕捉するとともに液体を透過させる第1のフィルタと、
前記フィルタを透過した液体を前記収容部の底部を通じて排出する排出部と、
前記収容部に対し着脱自在であって、当該収容部を上方から覆う蓋部と、
前記蓋部に設けられ、前記内部空間を吸引する吸引手段と、
一端側が外部に開口し、他端側が前記蓋部に装着されたホース部材と、
前記蓋部の下面に設けられ、前記吸引手段が備える吸引口を周囲から覆う第2のフィルタと、
前記内部空間に送り込まれた前記混合物が前記第2のフィルタに付着するのを防止する付着防止手段と、を備え、
前記蓋部は厚み方向に貫通した貫通孔を有し、前記ホース部材の前記他端側は前記貫通孔と連通し、
前記吸引手段によって前記内部空間を吸引することによって、前記ホース部材の一端側から前記混合物を吸い込んで前記内部空間に送り込む、分離装置。
【請求項2】
前記蓋部の下面において、前記貫通孔に対応する位置には、両端が開口したパイプが固定され、
前記付着防止手段は、前記第2のフィルタの前記パイプと対向する領域を覆うシート状部材である、請求項1に記載の分離装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
本発明の分離装置は、上方が開口し、液体と固体状物を含む混合物が収容される内部空間を有する収容部と、前記収容部に着脱自在であって、前記内部空間に送り込まれた前記混合物のうち所定サイズの固体状物を捕捉するとともに液体を透過させる第1のフィルタと、前記フィルタを透過した液体を前記収容部の底部を通じて排出する排出部と、前記収容部に対し着脱自在であって、当該収容部を上方から覆う蓋部と、前記蓋部に設けられ、前記内部空間を吸引する吸引手段と、一端側が外部に開口し、他端側が前記蓋部に装着されたホース部材と、前記蓋部の下面に設けられ、前記吸引手段が備える吸引口を周囲から覆う第2のフィルタと、前記内部空間に送り込まれた前記混合物が前記第2のフィルタに付着するのを防止する付着防止手段と、を備え、前記蓋部は厚み方向に貫通した貫通孔を有し、前記ホース部材の前記他端側は前記貫通孔と連通し、前記吸引手段によって前記内部空間を吸引することによって、前記ホース部材の一端側から前記混合物を吸い込んで前記内部空間に送り込む。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0011】
図1及び
図2において、分離装置1はベース部2と、ベース部2に下受けされる容器3と、容器3に着脱自在なフィルタ
(第1のフィルタ)4と、容器3に着脱自在であって該容器3を上方から覆う蓋部5と、蓋部5に取り付けられた吸引装置6と、蓋部5に着脱自在なホース部材7と、を含んで構成される。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0027
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0027】
蓋部5の下面には、吸引口を周囲から覆うように多孔質のフィルタ
(第2のフィルタ)32が設けられている。フィルタ32は吸引口にエア以外の異物(固体状物21aなど)が吸い込まれるのを防止する。
図3,4では便宜上、フィルタ32の一部の図示を省略している。