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特開2024-124705場所打ちコンクリート杭および場所打ちコンクリート杭の施工方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024124705
(43)【公開日】2024-09-13
(54)【発明の名称】場所打ちコンクリート杭および場所打ちコンクリート杭の施工方法
(51)【国際特許分類】
   E02D 5/34 20060101AFI20240906BHJP
   E02D 5/44 20060101ALI20240906BHJP
   E02D 29/05 20060101ALI20240906BHJP
   E02D 15/06 20060101ALI20240906BHJP
【FI】
E02D5/34 Z
E02D5/44 Z
E02D29/05 Z
E02D15/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023032577
(22)【出願日】2023-03-03
(71)【出願人】
【識別番号】000206211
【氏名又は名称】大成建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】濱 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 徹
(72)【発明者】
【氏名】堀井 良浩
(72)【発明者】
【氏名】藤山 淳司
(72)【発明者】
【氏名】村瀬 正樹
【テーマコード(参考)】
2D041
2D045
2D147
【Fターム(参考)】
2D041AA01
2D041BA12
2D041BA44
2D041DA03
2D041EA04
2D041EB02
2D045AA02
2D045AA04
2D045BA04
2D045CA11
2D045CA23
2D147AB04
(57)【要約】
【課題】施工時に構真柱が杭軸に対して傾くのを防ぐとともに、軸剛性を高めることができる場所打ちコンクリート杭を提供する。
【解決手段】軸部10よりも拡径された拡底部20が形成された場所打ちコンクリート杭1Aであって、軸部10および拡底部20には、鋼製の構真柱40が埋め込まれ、構真柱40の下端部は、拡底部20内に配置されている。拡底部20の下端面から下方に突出した突出部30が形成され、軸部10と突出部30とが同一軸線上に形成されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸部よりも拡径された拡底部が形成された場所打ちコンクリート杭であって、
前記軸部および前記拡底部には、鋼製の構真柱が埋め込まれ、
前記構真柱の下端部は、前記拡底部内に配置されており、
前記拡底部の下端面から下方に突出した突出部が形成され、
前記軸部と前記突出部とが同一軸線上に形成されていることを特徴とする場所打ちコンクリート杭。
【請求項2】
前記拡底部の上部は、下方に向かうに連れて拡径され、
前記拡底部の下部は、下方に向かうに連れて縮径されていることを特徴とする請求項1に記載の場所打ちコンクリート杭。
【請求項3】
前記軸部と前記突出部とが同径に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の場所打ちコンクリート杭。
【請求項4】
前記構真柱の表面には、複数の突起部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の場所打ちコンクリート杭。
【請求項5】
地盤に掘削孔を形成する掘削工程と、
開閉可能な掘削翼を有する拡径バケットを前記掘削孔に挿入し、前記掘削孔の下端部よりも上方で前記掘削翼を開きながら前記拡径バケットを回転させて、前記掘削孔の内面の一部を掘削することで、前記掘削孔の下部に拡径部を形成する拡径工程と、
前記掘削孔に構真柱を挿入し、前記構真柱の下端部を前記拡径部内に配置する構真柱挿入工程と、
前記掘削孔にトレミー管を挿入し、前記トレミー管の下端部を前記拡径部よりも下方に配置するトレミー管挿入工程と、
前記トレミー管の下端部から前記掘削孔内にコンクリートを吐出させ、前記掘削孔内にコンクリートを打設するコンクリート打設工程と、を備えていることを特徴とする場所打ちコンクリート杭の施工方法。
【請求項6】
前記拡径部は、上部が下方に向かうに連れて拡径し、下部が下方に向かうに連れて縮径していることを特徴とする請求項5に記載の場所打ちコンクリート杭の施工方法。
【請求項7】
前記掘削工程において、前記地盤に均一な内径の前記掘削孔を形成することを特徴とする請求項5に記載の場所打ちコンクリート杭の施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、場所打ちコンクリート杭およびその施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
構造物の基礎杭として利用される場所打ちコンクリート杭としては、鋼製の構真柱を埋め込んで軸剛性を高めているものがある。前記した場所打ちコンクリート杭に引き抜き力が作用した場合には、引張応力を構真柱で負担することで、コンクリート部に生じるひび割れを低減できる。また、前記した場所打ちコンクリート杭に圧縮力が作用した場合には、圧縮応力を構真柱で負担することで、長期的に作用する圧縮力によるクリープ変形を抑制できる。
前記した場所打ちコンクリート杭を施工するときには、地盤に掘削孔を形成し、掘削孔に構真柱を挿入した後に、掘削孔にトレミー管を挿入し、トレミー管の下端部の吐出口からコンクリートを掘削孔の底部に吐出させている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3878772号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記した場所打ちコンクリート杭の施工方法では、トレミー管の吐出口が構真柱の下部の横に配置されるため、トレミー管からコンクリートを吐出し始めたときに、コンクリートによって構真柱の下部が揺れてしまう。これにより、杭軸に対して構真柱が傾いた状態で、場所打ちコンクリート杭が形成されてしまう虞がある。
本発明は、前記した問題を解決し、施工時に構真柱が杭軸に対して傾くのを防ぐとともに、軸剛性を高めることができる場所打ちコンクリート杭およびその施工方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するため、第一の発明は、軸部よりも拡径された拡底部が形成された場所打ちコンクリート杭であって、前記軸部および前記拡底部には、鋼製の構真柱が埋め込まれ、前記構真柱の下端部は、前記拡底部内に配置されている。前記拡底部の下端面から下方に突出した突出部が形成され、前記軸部と前記突出部とが同一軸線上に形成されている。
【0006】
前記課題を解決するため、第二の発明は、場所打ちコンクリート杭の施工方法であって、地盤に均一な内径の掘削孔を形成する掘削工程と、開閉可能な掘削翼を有する拡径バケットを前記掘削孔に挿入し、前記掘削孔の下端部よりも上方で前記掘削翼を開きながら前記拡径バケットを回転させて、前記掘削孔の内面の一部を掘削することで、前記掘削孔の下部に拡径部を形成する拡径工程と、前記掘削孔に構真柱を挿入し、前記構真柱の下端部を前記拡径部内に配置する構真柱挿入工程と、前記掘削孔にトレミー管を挿入し、前記トレミー管の下端部を前記拡径部よりも下方に配置するトレミー管挿入工程と、前記トレミー管の下端部から前記掘削孔内にコンクリートを吐出させ、前記掘削孔内にコンクリートを打設するコンクリート打設工程と、を備えている。
【0007】
本発明の場所打ちコンクリート杭を施工するときには、掘削孔に構真柱を挿入して、構真柱の下端部を掘削孔の拡径部内に配置する。また、掘削孔に挿入したトレミー管の吐出口は、掘削孔において拡径部よりも下方に配置する。このようにすると、構真柱よりも下方でトレミー管からコンクリートを吐出し始めることになり、構真柱がコンクリートの流動の影響を受け難くなるため、構真柱が杭軸に対して傾くのを防ぐことできる。
つまり、本発明では、場所打ちコンクリート杭を施工するときに、拡底部よりも下方に突出した突出部となる空間を利用してコンクリートを掘削孔に打設することで、構真柱が杭軸に対して傾くのを防ぐことできる。
なお、構真柱の下端部をトレミー管の吐出口から上下方向に2m以上離れるように、突出部の大きさを設定することが好ましい。
また、掘削孔にコンクリートを充填していくときに、構真柱の下端部がコンクリートに埋め込まれると、構真柱が安定する。したがって、コンクリートを吐出させながらトレミー管を掘削孔から引き抜いていくときに、構真柱がコンクリートの流動の影響を受け難い。
【0008】
本発明の場所打ちコンクリート杭に引き抜き力が作用した場合には、拡底部が引き抜き荷重に抵抗するため、引き抜き抵抗力を大きくすることができる。なお、杭の底部に大きな引き抜き抵抗力を負担させた場合には、杭の軸部に作用する引き抜き力が大きくなるが、本発明の場所打ちコンクリート杭では、軸部および拡底部に構真柱が埋め込まれており、構真柱が引き抜き力を負担する。このように、本発明の場所打ちコンクリート杭は、軸剛性が高くなるため、コンクリート部に生じるひび割れを低減できる。
なお、場所打ちコンクリート杭に生じる引張ひずみが200μ以下となるように、構真柱の軸断面積を設定することが好ましい。
【0009】
本発明の場所打ちコンクリート杭に圧縮力が作用した場合には、拡底部が圧縮荷重に抵抗するため、圧縮抵抗力を大きくすることができる。なお、杭の底部に大きな圧縮抵抗力を負担させた場合には、杭の軸部に作用する圧縮力が大きくなるが、本発明の場所打ちコンクリート杭では、軸部および拡底部に構真柱が埋め込まれており、構真柱が圧縮力を負担する。このように、本発明の場所打ちコンクリート杭は、軸剛性が高くなるため、長期的な圧縮力が作用したときのクリープ変形を抑制できる。
【0010】
前記した場所打ちコンクリート杭において、前記拡底部の上部は、下方に向かうに連れて拡径し、前記拡底部の下部は、下方に向かうに連れて縮径することが好ましい。このような形状の拡底部を形成するためには、前記掘削孔の前記拡径部の上部は下方に向かうに連れて拡径し、前記拡径部の下部は下方に向かうに連れて縮径させることになる。
この構成では、掘削孔に形成された拡径部の下部の内面が下方に向かうに連れて縮径された傾斜面となるため、拡径部の下部の壁部が崩れるのを防ぐことができる。
【0011】
前記した場所打ちコンクリート杭の前記軸部と前記突出部とを同径に形成することが好ましい。この構成では、前記掘削工程において、前記地盤に均一な内径の前記掘削孔を形成することで、掘削孔に軸部および突出部となる空間を形成できる。
前記した場所打ちコンクリート杭において、前記構真柱の表面に複数の突起部を形成して、構真柱とコンクリートとを一体化することが好ましい。なお、突起部としては、例えば、構真柱の表面に頭付きスタッドを溶接することで形成できる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の場所打ちコンクリート杭およびその施工方法では、施工時に構真柱が杭軸に対して傾くのを防ぐとともに、軸剛性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施形態に係る場所打ちコンクリート杭を示した側面図である。
図2】本発明の実施形態に係る場所打ちコンクリート杭の施工方法における掘削工程を示した側面図である。
図3】本発明の実施形態に係る場所打ちコンクリート杭の施工方法における拡径工程において掘削孔の一部を拡径する前の状態を示した側面図である。
図4】本発明の実施形態に係る場所打ちコンクリート杭の施工方法における拡径工程において掘削孔に拡径部を形成した状態を示した側面図である。
図5】本発明の実施形態に係る場所打ちコンクリート杭の施工方法における鉄筋挿入工程を示した側面図である。
図6】本発明の実施形態に係る場所打ちコンクリート杭の構真柱を示した部分拡大図である。
図7】本発明の実施形態に係る場所打ちコンクリート杭の施工方法における構真柱挿入工程を示した側面図である。
図8】本発明の実施形態に係る場所打ちコンクリート杭の施工方法におけるトレミー管挿入工程を示した側面図である。
図9】本発明の他の実施形態に係る場所打ちコンクリート杭を示した側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る場所打ちコンクリート杭を示した側面図である。
本実施形態の場所打ちコンクリート杭1Aは、図1に示すように、ビル等の構造物の基礎杭である。
本実施形態の場所打ちコンクリート杭1Aには、軸部10と、軸部10の下端部に連続して形成された拡底部20と、拡底部20の下端面から下方に突出した突出部30と、が形成されている。また、本実施形態の場所打ちコンクリート杭1Aでは、軸部10および拡底部20に構真柱40が埋め込まれ、軸部10、拡底部20および突出部30に鉄筋かご50が埋め込まれている。
本実施形態の場所打ちコンクリート杭1Aは、軸部10、拡底部20および突出部30を形成するコンクリート部と、軸部10および拡底部20に埋め込まれた鋼製の構真柱40と、軸部10、拡底部20および突出部30に埋め込まれた鋼製の鉄筋かご50と、によって構成された鉄筋鉄骨コンクリート造の杭である。
【0015】
軸部10は、円柱状の部位であり、全長に亘って均一な同径に形成されている。軸部10の上端面は建物基礎の下端部と同じ高さに配置されている。
拡底部20は、場所打ちコンクリート杭1Aの底部を構成するものである。拡底部20の軸断面の中心と軸部10の軸断面の中心とは、同一軸線上に配置されている。
拡底部20は軸部10よりも拡径されている。拡底部20には、軸部10の下端部に連続して形成された上部21と、上部21の下端部に連続して形成された中間部22と、中間部22の下端部に連続して形成された下部23と、が形成されている。
上部21は、下方に向かうに連れて拡径された円錐台形状に形成されている。中間部22は、上部21の下端部と同径の円柱状に形成されている。下部23は、下方に向かうに連れて縮径された円錐台形状に形成されている。
本実施形態の場所打ちコンクリート杭1Aでは、中間部22の高さが上部21および下部23の高さよりも小さく形成され、上部21の高さよりも下部23の高さが小さく形成されている。
【0016】
軸部10および拡底部20には、構真柱40が埋め込まれ、軸部10、拡底部20および突出部30には、鉄筋かご50が埋め込まれている。
構真柱40は、直線状の鉄骨であり、軸部10および拡底部20の中心部に埋め込まれている。構真柱40の下端部は、拡底部20内に配置されている。本実施形態では、構真柱40の下端部は、拡底部20の下端部に配置されており、突出部30には入り込んでいない。
図6は、本発明の実施形態に係る場所打ちコンクリート杭の構真柱を示した部分拡大図である。
構真柱40の表面には、図6に示すように、複数の突起部41が形成されている。本実施形態の突起部41は、鋼製の頭付きのスタッドである。
鉄筋かご50は、図1に示すように、構真柱40を囲んで配置される円筒状の鉄筋部材である。鉄筋かご50の下端部は、突出部30内に配置されている。本実施形態では、鉄筋かご50の下端部は、突出部30の下端部に配置されている。
【0017】
突出部30は、拡底部20の下端面から下方に向けて突出している円柱状の部位である。突出部30の軸断面の中心は、軸部10および拡底部20の軸断面の中心と同一軸線上に配置されている。また、突出部30は、軸部10と同径に形成されている。突出部30には、構真柱40が埋め込まれておらず、コンクリート部および鉄筋かご50によって形成されている。
【0018】
次に、本実施形態の場所打ちコンクリート杭1Aの施工方法について説明する。
(掘削工程)
図2は、本発明の実施形態に係る場所打ちコンクリート杭の施工方法における掘削工程を示した側面図である。
掘削工程では、図2に示すように、ドリリングバケット3によって地盤に掘削孔2を掘削する。このとき、掘削孔2は、突出部30(図1参照)の先端部となる位置まで形成する。掘削孔2の内径は、全長に亘って均一にする。
【0019】
(拡径工程)
図3は、本発明の実施形態に係る場所打ちコンクリート杭の施工方法における拡径工程において掘削孔の一部を拡径する前の状態を示した側面図である。図4は、本発明の実施形態に係る場所打ちコンクリート杭の施工方法における拡径工程において掘削孔に拡径部を形成した状態を示した側面図である。
拡径工程では、図4に示すように、掘削孔2の下部の一部を拡径する。まず、図3に示すように、拡径バケット4を掘削孔2内に挿入する。拡径バケット4は、本体部4aに連結された複数の掘削翼4bを油圧によって径方向に開閉可能な掘削装置である。
本体部4aに対して各掘削翼4bを閉じた状態で、拡径バケット4を掘削孔2に挿入し、拡径バケット4を掘削孔2の下部に配置する。このとき、掘削孔2の下端面よりも上方に拡径バケット4を配置する。
【0020】
続いて、図4に示すように、本体部4aに対して各掘削翼4bを開きながら、拡径バケット4を回転させて、掘削孔2の内面の一部を掘削することで、掘削孔2の下部の一部を拡径する。これにより、掘削孔2の下部に拡径部2aが形成される。
拡径部2aには、上部2bと、中間部2cと、下部2dと、が形成されている。上部2b内には、下方に向かうに連れて拡径された円錐台形状の空間が形成され、中間部2c内には、円柱状の空間が形成され、下部2d内には、下方に向かうに連れて縮径された円錐台形状の空間が形成されている。拡径部2aの下部2dの内周面は、下方に向かうに連れて縮径された傾斜面となっている。
【0021】
(鉄筋挿入工程)
図5は、本発明の実施形態に係る場所打ちコンクリート杭の施工方法における鉄筋挿入工程を示した側面図である。
鉄筋挿入工程では、図5に示すように、掘削孔2に鉄筋かご50を挿入する。そして、鉄筋かご50の下端部を掘削孔2の下端部に配置した状態で、掘削孔2に対して鉄筋かご50を固定する。
【0022】
(構真柱挿入工程)
図7は、本発明の実施形態に係る場所打ちコンクリート杭の施工方法における構真柱挿入工程を示した側面図である。
構真柱挿入工程では、図7に示すように、掘削孔2に構真柱40を挿入する。構真柱40は、掘削孔2の中心部に挿入する。これにより、構真柱40が鉄筋かご50に囲まれた状態となる。そして、構真柱40の下端部を拡径部2aの下端部に配置した状態で、掘削孔2に対して構真柱40を固定する。
【0023】
(トレミー管挿入工程)
図8は、本発明の実施形態に係る場所打ちコンクリート杭の施工方法におけるトレミー管挿入工程を示した側面図である。
トレミー管挿入工程では、図8に示すように、掘削孔2にトレミー管5を挿入する。トレミー管5は、掘削孔2内にコンクリートを打設するため管体であり、下端部に吐出口が形成されている。
本実施形態では、構真柱40と鉄筋かご50との間に複数のトレミー管5を挿入している。トレミー管5の下端部は、拡径部2aよりも下方の空間に配置する。つまり、トレミー管5の下端部は、構真柱40の下端部よりも下方に配置されることになる。なお、トレミー管5の下端部は、構真柱40の下端部から2m以上離すことが好ましい。
【0024】
(コンクリート打設工程)
コンクリート打設工程では、トレミー管5の下端部から掘削孔2内にコンクリートを吐出させる。本実施形態では、構真柱40の下端部よりも下方で、トレミー管5からコンクリートが吐出される。
図1に示すように、掘削孔2全体にコンクリートが打設されると、掘削孔2内に場所打ちコンクリート杭1Aの各部が形成され、軸部10および拡底部20に構真柱40が埋め込まれ、軸部10、拡底部20および突出部30に鉄筋かご50が埋め込まれた状態となる。このようにして、地盤内に場所打ちコンクリート杭1Aが形成される。
【0025】
以上のような場所打ちコンクリート杭1Aおよびその施工方法では、図8に示すように、掘削孔2内にコンクリートを打設するときに、構真柱40よりも下方でトレミー管5からコンクリートを吐出し始める。これにより、構真柱40がコンクリートの流動の影響を受け難くなる。このように、図1に示す場所打ちコンクリート杭1Aを施工するときに、拡底部20よりも下方に突出した突出部30となる空間を利用してコンクリートを掘削孔2に打設することで、構真柱40が杭軸に対して傾くのを防ぐことできる。
なお、掘削孔2にコンクリートを充填していくときに、構真柱40の下端部がコンクリートに埋め込まれると、構真柱40が安定する。したがって、コンクリートを吐出させながらトレミー管5(図8参照)を掘削孔2から引き抜いていくときに、構真柱40がコンクリートの流動の影響を受け難い。
また、場所打ちコンクリート杭1Aでは、図6に示すように、構真柱40の表面に複数の突起部41を形成することで、構真柱40とコンクリートとの定着力を高めて一体化している。
【0026】
本実施形態の場所打ちコンクリート杭1Aに引き抜き力が作用した場合には、図1に示すように、拡底部20が引き抜き荷重に抵抗するため、引き抜き抵抗力を大きくすることができる。
また、本実施形態の場所打ちコンクリート杭1Aでは、軸部10および拡底部20に構真柱40が埋め込まれているため、軸剛性が高い。場所打ちコンクリート杭1Aに引抜力が作用した場合には、構真柱40が引き抜き力を負担することで、軸剛性が高くなるため、コンクリート部に生じるひび割れを低減できる。
【0027】
本実施形態の場所打ちコンクリート杭1Aに圧縮力が作用した場合には、拡底部20が圧縮荷重に抵抗するため、圧縮抵抗力を大きくすることができる。
また、場所打ちコンクリート杭1Aに圧縮力が作用した場合には、構真柱40が圧縮力を負担するため、長期的な圧縮力が作用したときのクリープ変形を抑制できる。
【0028】
本実施形態の場所打ちコンクリート杭1Aの施工方法では、図2に示すように、全長に亘って均一な内径の掘削孔2を地盤に形成することで、図1に示す場所打ちコンクリート杭1Aの軸部10および突出部30となる空間を掘削孔2に形成しているため、施工効率を高めることができる。
また、本実施形態の場所打ちコンクリート杭1Aの施工方法では、図5に示すように、掘削孔2に形成した拡径部2aの下部の内面が下方に向かうに連れて縮径された傾斜面となるため、拡径部2aの下部の壁部が崩れるのを防ぐことができる。
【0029】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜に変更が可能である。
図9は、本発明の他の実施形態に係る場所打ちコンクリート杭を示した側面図である。
本実施形態の場所打ちコンクリート杭1Aでは、図1に示すように、拡底部20の上部21は下方に向かうに連れて拡径され、拡底部20の下部23は下方に向かうに連れて縮径されているが、拡底部20の形状は限定されるものではない。例えば、図9に示す場所打ちコンクリート杭1Bのように、拡底部20の下部23を下方に向かうに連れて縮径することなく、全長に亘って均一な外径に形成してもよい。
本実施形態の場所打ちコンクリート杭1Aでは、図5および図7に示すように、掘削孔2に鉄筋かご50を挿入した後に、掘削孔2に構真柱40を挿入しているが、掘削孔2に構真柱40を挿入した後に、掘削孔2に鉄筋かご50を挿入してもよい。
本実施形態の本実施形態の場所打ちコンクリート杭1Aでは、図1に示すように、鉄筋かご50の下端部が突出部30に配置されているが、鉄筋かご50の下端部を拡底部20に配置してもよい。
本実施形態の場所打ちコンクリート杭1Aの施工方法では、図4に示すように、拡径バケット4を用いて掘削孔2に拡径部2aを形成しているが、掘削孔2の一部を拡径する方法は限定されるものではない。
本実施形態の場所打ちコンクリート杭1Aでは、図1に示すように、軸部10と突出部30とが同径に形成されているが、突出部30を軸部10よりも縮径してもよい。
【符号の説明】
【0030】
1A コンクリート杭(実施形態)
1B コンクリート杭(他の実施形態)
2 掘削孔
2a 拡径部
2b 上部
2c 中間部
2d 下部
3 ドリリングバケット
4 拡径バケット
4a 本体部
4b 掘削翼
5 トレミー管
10 軸部
20 拡底部
21 上部
22 中間部
23 下部
30 突出部
40 構真柱
41 突起部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9