(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024124713
(43)【公開日】2024-09-13
(54)【発明の名称】栓体
(51)【国際特許分類】
B65D 51/16 20060101AFI20240906BHJP
F16K 24/00 20060101ALI20240906BHJP
【FI】
B65D51/16 310
F16K24/00 F
F16K24/00 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023032589
(22)【出願日】2023-03-03
(71)【出願人】
【識別番号】000003702
【氏名又は名称】タイガー魔法瓶株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100136319
【弁理士】
【氏名又は名称】北原 宏修
(74)【代理人】
【識別番号】100143498
【弁理士】
【氏名又は名称】中西 健
(72)【発明者】
【氏名】水流 猛志
【テーマコード(参考)】
3E084
3H055
【Fターム(参考)】
3E084AA06
3E084AA22
3E084AB10
3E084BA02
3E084DB12
3E084FA09
3E084FB01
3E084GA01
3E084GB01
3E084HA03
3E084HB09
3E084HC03
3E084HC10
3E084HD01
3E084KA06
3E084KA19
3H055AA02
3H055AA11
3H055AA22
3H055BA12
3H055BB02
3H055CC06
3H055CC21
3H055GG26
3H055HH03
(57)【要約】
【課題】排気弁および吸気弁を備えた栓体において、容器の内部の内容物が漏れ出るおそれをできるだけ低減することにある。
【解決手段】本発明に係る栓体100は、上方に開口する容器10に装着される栓体であって、容器の開口を閉塞するための栓130と、容器の内部の圧力が第1圧力以上に上昇した場合に容器の内部の気体を排気する排気弁150と、容器の内部の圧力が第2圧力以下に低下した場合に容器の内部に容器の外部の空気を吸い込ませる吸気弁140と、を備え、栓には、容器の内部と容器の外部とを連通させる第1連通孔LP4aが形成され、排気弁は、弁体VBと、弁体が第1連通孔を閉塞するように弁体を第1連通孔に向けて付勢する付勢部材SPとを有し、容器の内部の圧力が第1圧力以上に上昇した場合、弁体は、付勢部材の付勢方向とは反対方向に移動することで第1連通孔を開放する。
【選択図】
図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上方に開口する容器に装着される栓体であって、
前記容器の開口を閉塞するための栓と、
前記容器の内部の圧力が第1圧力以上に上昇した場合に前記容器の内部の気体を排気する排気弁と、
前記容器の内部の圧力が第2圧力以下に低下した場合に前記容器の内部に前記容器の外部の空気を吸い込ませる吸気弁と、を備え、
前記栓には、前記容器の内部と前記容器の外部とを連通させる第1連通孔が形成され、
前記排気弁は、弁体と、前記弁体が前記第1連通孔を閉塞するように前記弁体を前記第1連通孔に向けて付勢する付勢部材とを有し、
前記容器の内部の圧力が前記第1圧力以上に上昇した場合、前記弁体は、前記付勢部材の付勢方向とは反対方向に移動することで前記第1連通孔を開放する
栓体。
【請求項2】
前記栓は、第1栓形成部材と、前記第1栓形成部材の下側に配置されて前記第1連通孔が形成される第2栓形成部材とを有し、
前記排気弁および前記吸気弁は、前記第2栓形成部材に設けられる
請求項1に記載の栓体。
【請求項3】
前記弁体には、前記容器の内部と前記容器の外部とを連通させる第2連通孔が形成され、
前記吸気弁は、前記第2連通孔を閉塞するように前記弁体に取り付けられ、前記容器の内部の圧力が前記第2圧力以下に低下した場合に前記第2連通孔を開放する
請求項1または2に記載の栓体。
【請求項4】
前記第1栓形成部材と前記第2栓形成部材との間には、隙間が形成される
請求項2に記載の栓体。
【請求項5】
前記第2栓形成部材は、前記第1栓形成部材に対して回転可能に前記第1栓形成部材に取り付けられる
請求項2に記載の栓体。
【請求項6】
前記栓は、第3栓形成部材と、前記第3栓形成部材の下側に配置されて前記第1連通孔が形成される第4栓形成部材とを有し、
前記吸気弁は、前記容器の内部と前記容器の外部とを連通させる第3連通孔が形成される基体部を有し、前記基体部が前記第1連通孔の内側に配置されるように前記第4栓形成部材に設けられ、
前記排気弁は、前記基体部の直上に位置し、前記弁体が前記第3連通孔を閉塞するように前記第3栓形成部材に設けられる
請求項1に記載の栓体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、栓体に関する。
【背景技術】
【0002】
過去に「上部に開口部が設けられた容器本体と、前記開口部を開閉する蓋体とを備え、前記蓋体は、前記容器本体の外周部に着脱自在に取り付けられる外蓋と、前記外蓋の内側に位置して、前記開口部から前記容器本体の内側に嵌め込まれる中栓と、前記中栓の外周部に位置して、前記容器本体と前記中栓との間を密閉するシール部材と、前記中栓の下面部に位置して、前記容器本体内の圧力を調整する圧力調整部とを有し、前記圧力調整部は、前記容器本体の内側と連通される脱気孔が設けられた弾性部材と、前記脱気孔の一端側と当接された状態で前記脱気孔を閉塞する当接部とを有することを特徴とする蓋付き容器。」が提案されている(例えば、特開2019-077476号公報等参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述のような蓋体では、容器本体の内部の圧力が所定以上に上昇した場合に容器本体の内部の気体を排気し、容器本体の内部の圧力が所定以下に低下した場合に容器本体の内部に容器の外部の空気を吸い込ませる圧力調整部が設けられる。これは、容器本体の内部の圧力が所定以上に上昇した場合には容器本体に装着された蓋体が外れるおそれが生じ、容器本体の内部の圧力が所定以下に低下した場合には蓋体を容器本体から取り外すことが困難になるおそれが生じるためである。そして、上述のような蓋体では、圧力調整部は弾性材料から形成されており、容器本体の内部の圧力が所定以上に上昇した場合、圧力調整部が変形することで脱気孔が開放され、容器本体の内部の気体が排気される。しかし、弾性部材から形成される圧力調整部は変形しやすく、例えば蓋付き容器が振られる等して容器本体の内部の内容物が圧力調整部に衝突した場合にも圧力調整部が変形して脱気孔が不意に開放されるおそれが生じる。かかる場合、開放された脱気孔を容器本体の内部の内容物が通り、蓋体が開かれた場合に内容物が漏れ出るおそれが生じる。
【0005】
本発明の課題は、排気弁および吸気弁を備えた栓体において、容器の内部の内容物が漏れ出るおそれをできるだけ低減することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る栓体は、
上方に開口する容器に装着される栓体であって、
前記容器の開口を閉塞するための栓と、
前記容器の内部の圧力が第1圧力以上に上昇した場合に前記容器の内部の気体を排気する排気弁と、
前記容器の内部の圧力が第2圧力以下に低下した場合に前記容器の内部に前記容器の外部の空気を吸い込ませる吸気弁と、を備え、
前記栓には、前記容器の内部と前記容器の外部とを連通させる第1連通孔が形成され、
前記排気弁は、弁体と、前記弁体が前記第1連通孔を閉塞するように前記弁体を前記第1連通孔に向けて付勢する付勢部材とを有し、
前記容器の内部の圧力が前記第1圧力以上に上昇した場合、前記弁体は、前記付勢部材の付勢方向とは反対方向に移動することで前記第1連通孔を開放する。
【0007】
上記構成によれば、容器の内部と容器の外部とを連通させる第1連通孔を、弁体と、弁体を付勢する付勢部材の付勢力とで閉塞することができる。このため、この栓体では、容器の内部の圧力が第1圧力以上に上昇した場合に弾性変形することで第1連通孔を開放する排気弁を備える栓体に比べて、第1連通孔が不意に開放されるおそれをできるだけ低減することができる。したがって、この栓体では、容器の内部の内容物が漏れ出るおそれをできるだけ低減することができる。
【0008】
本発明では、
前記栓は、第1栓形成部材と、前記第1栓形成部材の下側に配置されて前記第1連通孔が形成される第2栓形成部材とを有し、
前記排気弁および前記吸気弁は、前記第2栓形成部材に設けられると好適である。
【0009】
上記構成によれば、断熱空間が第1栓形成部材の上側に設けられる場合に、排気弁および吸気弁の少なくとも一方が第1栓形成部材に設けられる場合に比べて、断熱空間をできるだけ広くとることができる。このため、この栓体では、容器の内部から外部への伝熱をできるだけ遮断することができる。
【0010】
本発明では、
前記弁体には、前記容器の内部と前記容器の外部とを連通させる第2連通孔が形成され、
前記吸気弁は、前記第2連通孔を閉塞するように前記弁体に取り付けられ、前記容器の内部の圧力が前記第2圧力以下に低下した場合に前記第2連通孔を開放すると好適である。
【0011】
上記構成によれば、吸気弁および排気弁による弁構造をできるだけコンパクトにすることができる。
【0012】
本発明では、
前記第1栓形成部材と前記第2栓形成部材との間には、隙間が形成されると好適である。
【0013】
上記構成によれば、排気弁が働く場合、容器の内部の気体を第1栓形成部材と第2栓形成部材との間の隙間を通じて容器の外部に十分に排気することができ、吸気弁が働く場合、容器の外部の空気を第1栓形成部材と第2栓形成部材との間の隙間を通じて容器の内部に十分に吸い込ませることができる。
【0014】
本発明では、
前記第2栓形成部材は、前記第1栓形成部材に対して回転可能に前記第1栓形成部材に取り付けられると好適である。
【0015】
上記構成によれば、第1栓形成部材を回転させることで容器に装着されている栓体を容器から取り外すことができる場合に、第1栓形成部材の回転に伴って第2栓形成部材が回転しないようにすることができる。このため、この栓体では、例えば第2栓形成部材に栓と容器との間をシールするパッキンが取り付けられている場合に、第1栓形成部材を回転させて容器に装着されている栓体を容器から取り外すときにパッキンの擦れ音が鳴ることをできるだけ防止することができる。
【0016】
本発明では、
前記栓は、第3栓形成部材と、前記第3栓形成部材の下側に配置されて前記第1連通孔が形成される第4栓形成部材とを有し、
前記吸気弁は、前記容器の内部と前記容器の外部とを連通させる第3連通孔が形成される基体部を有し、前記基体部が前記第1連通孔の内側に配置されるように前記第4栓形成部材に設けられ、
前記排気弁は、前記基体部の直上に位置し、前記弁体が前記第3連通孔を閉塞するように前記第3栓形成部材に設けられると好適である。
【0017】
上記構成によれば、第1連通孔に対して、容器の内部と容器の外部とを連通させる通気孔としての役目だけではなく、吸気弁を第4栓形成部材に設けるための取付孔としての役目も担わせることができる。このため、この栓体では、第4栓形成部材に形成される孔の数をできるだけ抑えることができる。したがって、この栓体では、第4栓形成部材にウエルドライン等が生じるおそれをできるだけ低減し、第4栓形成部材の外観が損なわれるおそれをできるだけ低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る飲料容器を、真空二重容器の筒軸を含むと共に上側挟込部材の係止部およびカバー部材の係止部を通る面で切ったときの断面図である。
【
図2】
図1に示される真空二重容器の上端部および栓体の拡大断面図である。
【
図3】本発明の第1実施形態に係る飲料容器を、真空二重容器の筒軸を含むと共に上側挟込部材における筒軸を挟んで互いに正対する第2リブを通る面で切ったときの真空二重容器の上端部および栓体の拡大断面図である。
【
図4】本発明の第1実施形態に係る栓、吸気弁および排気弁の分解斜視図である。
【
図5】本発明の第1実施形態に係る栓の上側栓形成部材の下方斜視図である。
【
図6】本発明の第1実施形態に係る栓の下側栓形成部材の上側挟込部材の斜視図である。なお、本図では、下側栓形成部材の上側挟込部材の上下を逆にした状態が示されている。
【
図7】本発明の第1実施形態に係る栓の下側栓形成部材の下側挟込部材の上方斜視図である。
【
図8】本発明の第1実施形態に係る栓の下側栓形成部材の上方斜視図である。
【
図9】
図2において吸気弁が働いている状態を示す図である。
【
図10】
図2において排気弁が働いている状態を示す図である。
【
図11】本発明の第2実施形態に係る飲料容器を、真空二重容器の筒軸を含むと共に栓の下側栓形成部材の係止部および上側壁部の切り欠き部を通らない面で切ったときの真空二重容器の上端部および栓体の拡大断面図である。
【
図12】本発明の第2実施形態に係る飲料容器を、真空二重容器の筒軸を含むと共に栓の下側栓形成部材の係止部を通る面で切ったときの真空二重容器の上端部および栓体の拡大断面図である。
【
図13】本発明の第2実施形態に係る栓の上側栓形成部材および排気弁の分解斜視図である。
【
図14】本発明の第2実施形態に係る栓の下側栓形成部材の斜視図である。
【
図15】
図11において吸気弁が働いている状態を示す図である。
【
図16】
図11において排気弁が働いている状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
-第1実施形態-
<本発明の第1実施形態に係る飲料容器の構成>
本発明の第1実施形態に係る飲料容器1は、
図1~
図3に示されるように、主に、真空二重容器10および栓体100から構成されている。なお、この飲料容器1は、栓体100が真空二重容器10に装着されることによって組み立てられている。以下、これらの構成要素についてそれぞれ詳述する。
【0020】
1.真空二重容器
真空二重容器10は、ステンレス鋼等の金属製の容器であって、
図1~
図3に示されるように、上方に開口しており、主に、有底の内筒11および有底の外筒12から形成されている。具体的には、内筒11と外筒12との間に断熱空間が形成されるように内筒11の内筒側壁部11Aの上端部と外筒12の外筒側壁部12Aの上端部とが接合された後、断熱空間が真空状態とされることにより真空二重容器10が形成される。なお、真空二重容器10の筒軸AXは、平面視における内筒11の内筒側壁部11Aの中心(または外筒12の外筒側壁部12Aの中心)から上下方向に延びる仮想線である(
図1~
図3参照)。
【0021】
内筒11は、
図1~
図3に示されるように、主に、内筒側壁部11Aおよび内筒底壁部11B等から形成されている。内筒側壁部11Aは、略円筒形状を呈している(
図1~
図3参照)。内筒底壁部11Bは、
図1に示されるように、内筒側壁部11Aの下端から内方(真空二重容器10の筒軸AX側)に延びており、中央部が上側に向かって略半球状に盛り上がっている。
【0022】
外筒12は、
図1~
図3に示されるように、主に、外筒側壁部12A、外筒底壁部12Bおよび雄ネジ部12C等から形成されている。外筒側壁部12Aは、略円筒形状を呈している(
図1~
図3参照)。
図1~
図3に示されるように、栓体100が真空二重容器10に装着されている時、外筒側壁部12Aの上端部の周囲には栓体100の外装体110の側壁部111が位置する。外筒底壁部12Bは、略円盤形状を呈しており、
図1に示されるように、外筒側壁部12Aの下端に接合されている。雄ネジ部12Cは、
図1~
図3に示されるように、外筒側壁部12Aの上端部の外周面に形成されている。この雄ネジ部12Cは、
図2および
図3に示されるように、栓体100が真空二重容器10に装着される時に、栓体100の外装体110の雌ネジ部113と螺合することができる。
【0023】
2.栓体
栓体100は、
図1~
図3に示されるように、主に、外装体110、断熱材120、栓130、吸気弁140および排気弁150等から構成される。以下、これらの構成要素についてそれぞれ詳述する。
【0024】
(1)外装体
外装体110は、樹脂等から形成されており、
図1~
図3に示されるように、主に、側壁部111、天壁部112および雌ネジ部113等から形成されている。側壁部111は、略円筒形状を呈している(
図2および
図3参照)。天壁部112は、略円盤形状を呈しており、
図2および
図3に示されるように、側壁部111の上端から内方に延びている。雌ネジ部113は、
図2および
図3に示されるように、側壁部111の内周面に形成されている。この雌ネジ部113は、上述の通り、栓体100が真空二重容器10に装着される時に、真空二重容器10の外筒12の雄ネジ部12Cと螺合することができる。
【0025】
(2)断熱材
断熱材120は、
図1~
図3に示されるように、外装体110と栓130の上側栓形成部材131との間に形成される空間に配置されている。断熱材120は、真空二重容器10の内部から外部への伝熱を遮断する役目を担っている。
【0026】
(3)栓
栓130は、
図1~
図3に示されるように、栓体100が真空二重容器10に装着される時に真空二重容器10の内筒11の内側に位置し、真空二重容器10の上側開口を閉塞する。また、栓130は、
図2~
図4に示されるように、主に、上側栓形成部材131および下側栓形成部材132等から構成されている。以下、これらの構成要素について詳述する。なお、上側栓形成部材131と下側栓形成部材132との間には隙間が形成されるように、上側栓形成部材131に下側栓形成部材132が取り付けられる。
【0027】
(3-1)上側栓形成部材
上側栓形成部材131は、
図2~
図4に示されるように、下側栓形成部材132の上側に配置されると共に外装体110の天壁部112の下側に配置される。また、上側栓形成部材131は、
図2~
図5に示されるように、天壁部131a、上側壁部131b、中間壁部131c、下側壁部131d、底壁部131e、凹部131fおよびリブ131g等から形成されている。天壁部131aは、
図2~
図5に示されるように、略円環形状を呈している。なお、
図2および
図3に示されるように、天壁部131aの上面が、超音波溶着等によって外装体110の天壁部112の下面に接合されることで、上側栓形成部材131および外装体110が一体化される。上側壁部131bは、
図2~
図5に示されるように、略円筒形状を呈しており、天壁部131aの内端から下方に延びている。中間壁部131cは、
図2、
図3および
図5に示されるように、略円環形状を呈しており、上側壁部131bの下端から内方に延びている。下側壁部131dは、
図2~
図5に示されるように、略円筒形状を呈しており、中間壁部131cの内端から下方に延びている。底壁部131eは、
図2~
図5に示されるように、下側壁部131dの下端から内方に延びると共に外方に延びている。なお、底壁部131eの外端部(すなわち、下側壁部131dの下端から外方に延びる部分)には、下側栓形成部材132の栓パッキンPKのリブPK6が係止される。これにより、下側栓形成部材132が上側栓形成部材131に取り付けられる。凹部131fは、
図2~
図5に示されるように、底壁部131eの中央部が上側に凹むことで形成されている。
図2および
図3に示されるように、下側栓形成部材132が上側栓形成部材131に取り付けられている時、凹部131fの内側には下側栓形成部材132のカバー部材CPが配置される。リブ131gは、
図2、
図3および
図5に示されるように、底壁部131eの下面に形成されており、円周方向に沿って等間隔に4つ形成されている。また、リブ131gは、
図2および
図3に示されるように、下側栓形成部材132が上側栓形成部材131に取り付けられているときに上側栓形成部材131と下側栓形成部材132との間に隙間を形成する役目を担っている。
【0028】
(3-2)下側栓形成部材
下側栓形成部材132は、
図2~
図4に示されるように、上側栓形成部材131の下側に配置され、主に、上側挟込部材UP、下側挟込部材LP、カバー部材CPおよび栓パッキンPK等から構成されている。以下、これらの構成要素について詳述する。
【0029】
(3-2-1)上側挟込部材
上側挟込部材UPは、
図2~
図4、
図6に示されるように、外側壁部UP1、円環壁部UP2、内側壁部UP3、第1リブUP4、第2リブUP5および係止部UP6等から形成されている。外側壁部UP1は、
図2~
図4、
図6に示されるように、略円筒形状を呈している。円環壁部UP2は、
図2~
図4、
図6に示されるように、略円環形状を呈しており、外側壁部UP1の下部から内方に延びている。内側壁部UP3は、
図2、
図4および
図6に示されるように、略円筒形状を呈しており、円環壁部UP2の内端から下方に延びている。なお、
図6に示されるように、内側壁部UP3の下端部には切り欠き部UP3aが4箇所形成されており、内側壁部UP3の内周面のうちこの切り欠き部UP3aの上側に位置する内周面から第2リブUP5が内方に延びることになる。第1リブUP4は、
図4および
図6に示されるように、内側壁部UP3の内周面における4箇所から内方に延びており、第1リブUP4a、第1リブUP4b、第1リブUP4cおよび第1リブUP4dの4つから形成されている。ここで、第1リブUP4aおよび第1リブUP4cは、平面視において内側壁部UP3の中心を通る第1直線上に位置しており(
図6参照)、第1リブUP4bおよび第1リブUP4dは、平面視において内側壁部UP3の中心を通る第2直線(平面視において内側壁部UP3の中心を軸として第1直線を時計回りに回転させた直線)上に位置している(
図6参照)。また、第1リブUP4は、
図8に示されるように、上側挟込部材UPおよび下側挟込部材LPで栓パッキンPKを挟み込むときに下側挟込部材LPの内側壁部LP3の第1切り欠き部LP3aに嵌められる。第2リブUP5は、
図4および
図6に示されるように、内側壁部UP3の内周面(上述の通り、切り欠き部UP3aの上側に位置する内周面)における4箇所から内方に延びており、第2リブUP5a、第2リブUP5b、第2リブUP5cおよび第2リブUP5dの4つから形成されている。ここで、第2リブUP5aおよび第2リブUP5cは、平面視において内側壁部UP3の中心を通る第3直線上に位置しており(
図6参照)、第2リブUP5bおよび第2リブUP5dは、平面視において内側壁部UP3の中心を通る第4直線(平面視において内側壁部UP3の中心を軸として第3直線を時計回りに回転させた直線)上に位置している(
図6参照)。また、第2リブUP5は、
図8に示されるように、上側挟込部材UPおよび下側挟込部材LPで栓パッキンPKを挟み込むときに、下側挟込部材LPの内側壁部LP3の第2切り欠き部LP3bに嵌められると共に栓パッキンPKのリブPK6に載置される。係止部UP6は、
図2、
図4および
図6に示されるように、内側壁部UP3の内周面に8つ形成されている。より詳細には、係止部UP6は、
図6に示されるように、隣接する第1リブUP4と第1リブUP4との間における内側壁部UP3の内周面、隣接する第1リブUP4と第2リブUP5との間における内側壁部UP3の内周面、隣接する第2リブUP5と第2リブUP5との間における内側壁部UP3の内周面にそれぞれ形成されている。また、係止部UP6は、上側挟込部材UPおよび下側挟込部材LPで栓パッキンPKを挟み込むときに下側挟込部材LPの内側壁部LP3の面LP3dに係止される。
【0030】
(3-2-2)下側挟込部材
下側挟込部材LPは、
図2~
図4、
図7に示されるように、外側壁部LP1、円環壁部LP2、内側壁部LP3、底壁部LP4および円筒壁部LP5等から形成されている。外側壁部LP1は、
図2~
図4、
図7に示されるように、略円筒形状を呈している。円環壁部LP2は、
図2~
図4、
図7に示されるように、略円環形状を呈しており、外側壁部LP1の下端から内方に延びている。内側壁部LP3は、
図2~
図4、
図7に示されるように、略円筒形状を呈しており、円環壁部LP2の内端から上方に延びている。なお、
図4および
図7に示されるように、内側壁部LP3には、上端から上下方向中間部まで切り欠かれた第1切り欠き部LP3aが4つ形成されると共に、上端から下部まで切り欠かれた第2切り欠き部LP3bが4つ形成される。ここで、内側壁部LP3における第1切り欠き部LP3aの形成位置は、上側挟込部材UPおよび下側挟込部材LPで栓パッキンPKが挟み込まれるときに上側挟込部材UPの第1リブUP4を第1切り欠き部LP3aに嵌めることができる位置である。また、内側壁部LP3における第2切り欠き部LP3bの形成位置は、上側挟込部材UPおよび下側挟込部材LPで栓パッキンPKが挟み込まれるときに上側挟込部材UPの第2リブUP5および栓パッキンPKのリブPK6を第2切り欠き部LP3bに嵌めることができる位置である。また、
図2、
図4および
図7に示されるように、内側壁部LP3には貫通孔LP3cが8つ形成されている。
図2、
図4および
図7に示されるように、貫通孔LP3cが形成されることで、内側壁部LP3には下方を向く面LP3dが8つ形成されることになる。上述の通り、上側挟込部材UPおよび下側挟込部材LPで栓パッキンPKが挟み込まれるとき、上側挟込部材UPの係止部UP6が面LP3dに係止される。底壁部LP4は、
図2~
図4、
図7に示されるように、内側壁部LP3の下端から内方に延びている。なお、
図2、
図3および
図7に示されるように、底壁部LP4の中央部には、真空二重容器10の内部と外部とを連通させる連通孔LP4aが形成されている。連通孔LP4aは、排気弁150によって閉塞されている。円筒壁部LP5は、
図2~
図4、
図7に示されるように、略円筒形状を呈しており、底壁部LP4の連通孔LP4aの周囲から上方に延びている。なお、
図2、
図4および
図7に示されるように、円筒壁部LP5の下端部には、平面視において円周上に等間隔となるように貫通孔LP5aが4つ形成されている。貫通孔LP5aが形成されることで、
図2および
図7に示されるように、円筒壁部LP5には下方を向く面LP5bが4つ形成されることになり、カバー部材CPが下側挟込部材LPに取り付けられるときにカバー部材CPの係止部CP5がこの面LP5bに係止される。
【0031】
(3-2-3)カバー部材
カバー部材CPは、下側挟込部材LPに取り付けられる部材であって、
図2~
図4、
図8に示されるように、天壁部CP1、上側壁部CP2、中間壁部CP3、下側壁部CP4および係止部CP5等から形成されている。天壁部CP1は、
図2~
図4、
図8に示されるように、中央部に貫通孔CP1aが形成された略円環形状を呈している。
図2および
図3に示されるように、貫通孔CP1aの内側には、排気弁150の弁体VBの円筒壁部VB1の上端部が挿通される。上側壁部CP2は、
図2~
図4、
図8に示されるように、略円筒形状を呈しており、天壁部CP1の外端から下方に延びている。中間壁部CP3は、
図2~
図4、
図8に示されるように、略円環形状を呈しており、上側壁部CP2の下端から外方に延びている。下側壁部CP4は、
図2~
図4、
図8に示されるように、略円筒形状を呈しており、中間壁部CP3の外端から下方に延びている。なお、
図2および
図3に示されるように、カバー部材CPが下側挟込部材LPに取り付けられているとき、下側壁部CP4と下側挟込部材LPの底壁部LP4との間には隙間が形成される。係止部CP5は、
図2に示されるように、下側壁部CP4の下端部から内方に延びており、平面視において円周上に等間隔となるように4つ形成されている。
【0032】
(3-2-4)栓パッキン
栓パッキンPKは、ゴムやエラストマー等の弾性材料から形成されており、上側壁部PK1、下側壁部PK2、シール部PK3、上側環状突起部PK4、下側環状突起部PK5およびリブPK6等から形成されている。上側壁部PK1は、
図2~
図4に示されるように、略円筒形状を呈している。下側壁部PK2は、
図2~
図4に示されるように、略円筒形状を呈しており、上側壁部PK1の下端部の内周側に形成されると共に下方に延びている。シール部PK3は、
図2~
図4に示されるように、上側壁部PK1の下端から外方に延びた後に栓パッキンPKの筒軸側(すなわち、平面視における栓パッキンPKの中心から上下方向に延びる仮想線側)に斜め下方向に延びている。なお、シール部PK3は、
図2および
図3に示されるように、栓体100が真空二重容器10に装着されている時に、真空二重容器10の内筒11の内筒側壁部11Aと栓130との間をシールする役目を担う。上側環状突起部PK4は、略円環形状を呈しており、
図2および
図3に示されるように、上側壁部PK1の上端部の外周側に形成されている。また、上側環状突起部PK4は、上側挟込部材UPおよび下側挟込部材LPで栓パッキンPKが挟み込まれるときに、外端が下方を向くように変形する。なお、上側環状突起部PK4の内端から外端までの長さは、上側環状突起部PK4が変形して外端が下方を向いているときに上側環状突起部PK4が下側環状突起部PK5に接触しないように調整される。下側環状突起部PK5は、略円環形状を呈しており、
図2および
図3に示されるように、上側壁部PK1の上下方向中間部の外周側に形成されている。また、下側環状突起部PK5は、上側挟込部材UPおよび下側挟込部材LPで栓パッキンPKが挟み込まれるときに、外端が下方を向くように変形する。なお、下側環状突起部PK5の内端から外端までの長さは、下側環状突起部PK5が変形して外端が下方を向いているときに上側壁部PK1の下端部における外方に僅かに延びている部分に下側環状突起部PK5が接触しないように調整される。リブPK6は、
図3および
図4に示されるように、上側壁部PK1の上下方向中間部から下端までの部位における4箇所から内方に延びている。なお、栓パッキンPKにおけるリブPK6の形成位置は、上側挟込部材UPおよび下側挟込部材LPで栓パッキンPKが挟み込まれるときに下側挟込部材LPの内側壁部LP3の第2切り欠き部LP3bにリブPK6を嵌めることができる位置である。
【0033】
ここで、栓130の組立方法について、
図2、
図3および
図8を参照しながら説明する。まず、下側栓形成部材132を組立てるために、栓パッキンPKが下側挟込部材LPに取り付けられる。より詳細には、栓パッキンPKの下側壁部PK2が、下側挟込部材LPの外側壁部LP1、円環壁部LP2および内側壁部LP3により形成される凹部に嵌められ、下側挟込部材LPの外側壁部LP1が、栓パッキンPKの上側壁部PK1、下側壁部PK2およびシール部PK3により形成される凹部に嵌められる。また、栓パッキンPKのリブPK6が、下側挟込部材LPの内側壁部LP3の第2切り欠き部LP3bに嵌められる。なお、このとき、栓パッキンPKのリブPK6の内端部は、下側挟込部材LPの内側壁部LP3の内側に突出する。次に、上側挟込部材UPが、栓パッキンPKが取り付けられた下側挟込部材LPに取り付けられる。より詳細には、栓パッキンPKの上側壁部PK1が、上側挟込部材UPの外側壁部UP1、円環壁部UP2および内側壁部UP3により形成される凹部に嵌められる。また、上側挟込部材UPの第1リブUP4が、下側挟込部材LPの内側壁部LP3の第1切り欠き部LP3aに嵌められると共に、上側挟込部材UPの第2リブUP5が、下側挟込部材LPの内側壁部LP3の第2切り欠き部LP3bに嵌められて栓パッキンPKのリブPK6に載置される。また、上側挟込部材UPの係止部UP6が、下側挟込部材LPの内側壁部LP3の面LP3dに係止される。このように上側挟込部材UPおよび下側挟込部材LPが栓パッキンPKを挟み込むことで、上側挟込部材UPと下側挟込部材LPとの間が栓パッキンPKによってシールされる。次に、カバー部材CPが、下側挟込部材LPに取り付けられる。より詳細には、下側挟込部材LPの底壁部LP4の連通孔LP4aを排気弁150が閉塞している状態で、カバー部材CPが、排気弁150を上側から覆うと共に、カバー部材CPの係止部CP5が、下側挟込部材LPの円筒壁部LP5の面LP5bに係止される。このようにして、下側栓形成部材132が組立てられる。なお、吸気弁140が排気弁150に取り付けられるタイミングは、カバー部材CPが下側挟込部材LPに取り付けられる前であってもよいし後であってもよい。また、カバー部材CPが下側挟込部材LPに取り付けられるタイミングは、下側栓形成部材132を上側栓形成部材131に取り付ける前であればいつでもよい。次に、下側栓形成部材132が上側栓形成部材131に取り付けられる。より詳細には、下側栓形成部材132の栓パッキンPKのリブPK6が上側栓形成部材131の底壁部131eの外端部の下側に位置している状態において、下側栓形成部材132が上側栓形成部材131側に押し込まれる。そして、下側栓形成部材132の栓パッキンPKのリブPK6は、弾性変形しながら上側栓形成部材131の底壁部131eの外端部を超えた後、元の形状に戻る。そして、下側栓形成部材132の栓パッキンPKのリブPK6は、上側栓形成部材131の底壁部131eの外端部の上側に位置して上側栓形成部材131の底壁部131eの外端部に係止される。このようにして、下側栓形成部材132は、上側栓形成部材131に対して回転可能に上側栓形成部材131に取り付けられる。なお、上述の通り、上側栓形成部材131と下側栓形成部材132との間には隙間が形成される。以上のようにして、栓130が組立てられる。
【0034】
(4)吸気弁
吸気弁140は、真空二重容器10の内部の圧力が所定(例えば、0.7気圧)以下に低下した場合に真空二重容器10の内部に真空二重容器10の外部の空気を吸い込ませる弁であって、
図2および
図3に示されるように、排気弁150に取り付けられることで栓130の下側栓形成部材132に設けられる。また、吸気弁140は、ゴムやエラストマー等の弾性材料から形成されており、
図2~
図4に示されるように、基体部141、脱落防止部142およびシール部143等から形成されている。基体部141は、
図2~
図4に示されるように、略円柱形状を呈している。脱落防止部142は、吸気弁140が排気弁150に取り付けられている状態を維持するための部位であって、
図2~
図4に示されるように、基体部141の上端部から外方に延びている。吸気弁140を排気弁150に取り付ける場合、まず、基体部141および脱落防止部142が、下側から上側に向かって排気弁150の弁体VBの底壁部VB2の取付孔VB2aに差し込まれる。そして、脱落防止部142は、弾性変形しながら排気弁150の弁体VBの底壁部VB2の取付孔VB2aを通り抜けた後、元の形状に戻って排気弁150の弁体VBの底壁部VB2に載置される(
図2および
図3参照)。これにより、吸気弁140が排気弁150に取り付けられている状態が維持される。シール部143は、
図2~
図4に示されるように、基体部141の下端から外方に延びており、湾曲形状を呈している。なお、
図2および
図3に示されるように、吸気弁140が排気弁150に取り付けられているとき、排気弁150の弁体VBの底壁部VB2における連通孔VB2bより外側の部位にシール部143の外端部が当接することで、排気弁150の弁体VBの底壁部VB2の連通孔VB2bが閉塞される。
【0035】
(5)排気弁
排気弁150は、真空二重容器10の内部の圧力が所定(例えば、4気圧)以上に上昇した場合に真空二重容器10の内部の気体を排気する弁であって、
図2および
図3に示されるように、栓130の下側栓形成部材132のカバー部材CPの内側に収容されることで栓130の下側栓形成部材132に設けられる。また、排気弁150は、
図2~
図4に示されるように、主に、弁体VB、コイルバネSPおよびパッキンPL等から構成されている。以下、これらの構成要素について詳述する。
【0036】
(5-1)弁体
弁体VBは、
図2~
図4に示されるように、円筒壁部VB1、底壁部VB2、鍔部VB3および環状リブVB4から形成されている。円筒壁部VB1は、
図2~
図4に示されるように、略円筒形状を呈している。底壁部VB2は、
図2および
図3に示されるように、円筒壁部VB1の下端から外方に延びている。なお、底壁部VB2の中央部には、吸気弁140を排気弁150に取り付けるための取付孔VB2aが形成され、底壁部VB2の部位のうち平面視における円筒壁部VB1の内側且つ取付孔VB2aの周囲には、真空二重容器10の内部と外部とを連通させる連通孔VB2bが2つ形成される(
図2および
図3参照)。鍔部VB3は、
図2~
図4に示されるように、底壁部VB2の上部の外周面から外方に延びている。
図2および
図3に示されるように、鍔部VB3にはパッキンPLが取り付けられる。環状リブVB4は、
図2~
図4に示されるように、底壁部VB2の外端部から上方に延びている。
【0037】
(5-2)コイルバネ
コイルバネSPは、
図2~
図4に示されるように、円柱螺旋形のものであって、栓130の下側栓形成部材132の下側挟込部材LPの底壁部LP4の連通孔LP4aを弁体VBが閉塞するように弁体VBをこの連通孔LP4aに向けて(すなわち下方に)付勢するためのものである。また、
図2および
図3に示されるように、コイルバネSPの上端は、下側栓形成部材132のカバー部材CPの天壁部CP1の下面に取り付けられ、コイルバネSPの下端は、弁体VBの円筒壁部VB1、底壁部VB2および環状リブVB4により形成される凹部に取り付けられる。
【0038】
(5-3)パッキン
パッキンPLは、ゴムやエラストマー等の弾性材料から形成されており、
図2~
図4に示されるように、略円環形状を呈している。また、パッキンPLは、上述の通り弁体VBの鍔部VB3に取り付けられ、
図2および
図3に示されるように弁体VBと栓130の下側栓形成部材132の下側挟込部材LPとの間をシールする役目を担っている。
【0039】
なお、本発明の第1実施形態に係る飲料容器1では、栓体100が真空二重容器10に装着されているとき、平面視における栓体100の各部材(外装体110、栓130、吸気弁140、排気弁150)の中心から上下方向に延びる仮想線は、真空二重容器10の筒軸AXと一致する。
【0040】
<本発明の第1実施形態に係る吸気弁の動作態様について>
ここで、真空二重容器10の内部の圧力が所定以下に低下した場合の吸気弁140の動作態様について、
図9を参照しながら説明する。なお、真空二重容器10の内部の圧力は、例えば、真空二重容器10の内部の内容物が冷めた場合等に所定以下に低下する。真空二重容器10の内部の圧力が所定以下に低下すると、吸気弁140のシール部143が弾性変形し、吸気弁140のシール部143の外端部が、排気弁150の弁体VBの底壁部VB2から離れる。これにより、排気弁150の弁体VBの底壁部VB2の連通孔VB2bが開放される。そして、真空二重容器10の外部の空気が、
図9の太線矢印で示されるように、栓130の上側栓形成部材131と下側栓形成部材132との間の隙間を流れると共に、排気弁150の弁体VBの円筒壁部VB1の内部を流れる。そして、真空二重容器10の外部の空気は、
図9の太線矢印で示されるように、排気弁150の弁体VBの底壁部VB2の連通孔VB2bおよび栓130の下側栓形成部材132の下側挟込部材LPの底壁部LP4の連通孔LP4aを通じて、真空二重容器10の内部に導入される。このようにして真空二重容器10の内部の圧力が元に戻っていくと、吸気弁140のシール部143が元の形状に戻っていき、排気弁150の弁体VBの底壁部VB2の連通孔VB2bが閉塞される。
【0041】
<本発明の第1実施形態に係る排気弁の動作態様について>
ここで、真空二重容器10の内部の圧力が所定以上に上昇した場合の排気弁150の動作態様について、
図10を参照しながら説明する。なお、真空二重容器10の内部の圧力は、例えば、真空二重容器10の内部の内容物が腐敗して気体が発生した場合等に所定以上に上昇する。真空二重容器10の内部の圧力が所定以上に上昇すると、排気弁150の弁体VBおよびパッキンPLが、コイルバネSPの付勢力に逆らって上方に移動する。これにより、栓130の下側栓形成部材132の下側挟込部材LPの底壁部LP4の連通孔LP4aが開放される。そして、真空二重容器10の内部の気体が、
図10の太線矢印で示されるように、栓130の下側栓形成部材132の下側挟込部材LPの底壁部LP4の連通孔LP4aを通じて、下側栓形成部材132のカバー部材CPの下側壁部CP4と下側栓形成部材132の下側挟込部材LPの底壁部LP4との間の隙間を流れた後、栓130の上側栓形成部材131と下側栓形成部材132との間の隙間を流れる。このように真空二重容器10の内部の気体が排気されて真空二重容器10の内部の圧力が元に戻っていくと、排気弁150の弁体VBおよびパッキンPLがコイルバネSPにより下方に付勢され、栓130の下側栓形成部材132の下側挟込部材LPの底壁部LP4の連通孔LP4aが閉塞される。
【0042】
<本発明の第1実施形態に係る栓体の特徴>
(1)
本発明の第1実施形態に係る栓体100では、真空二重容器10の内部の圧力が所定以上に上昇した場合に真空二重容器10の内部の気体を排気する排気弁150と、真空二重容器10の内部の圧力が所定以下に低下した場合に真空二重容器10の内部に真空二重容器10の外部の空気を吸い込ませる吸気弁140とが備えられる。そして、真空二重容器10の内部の圧力が所定以上に上昇していない場合、排気弁150のコイルバネSPが排気弁150の弁体VBおよびパッキンPLを下方に付勢することで、栓130の下側栓形成部材132の下側挟込部材LPの底壁部LP4の連通孔LP4aが閉塞される。そして、真空二重容器10の内部の圧力が所定以上に上昇した場合、排気弁150の弁体VBおよびパッキンPLが排気弁150のコイルバネSPの付勢力に逆らって上方に移動することで、栓130の下側栓形成部材132の下側挟込部材LPの底壁部LP4の連通孔LP4aが開放される。このため、この栓体100では、真空二重容器10の内部の圧力が所定以上に上昇した場合に栓130の下側栓形成部材132の下側挟込部材LPの底壁部LP4の連通孔LP4aを弾性変形によって開放する排気弁を備える栓体に比べて、栓130の下側栓形成部材132の下側挟込部材LPの底壁部LP4の連通孔LP4aが不意に開放されるおそれをできるだけ低減することができる。したがって、この栓体100では、真空二重容器10の内部の内容物が漏れ出るおそれをできるだけ低減することができる。
【0043】
(2)
本発明の第1実施形態に係る栓体100では、栓130は、上側栓形成部材131、および、上側栓形成部材131の下側に配置される下側栓形成部材132から構成される。そして、吸気弁140および排気弁150は、栓130の下側栓形成部材132に設けられる。このため、この栓体100では、吸気弁140および排気弁150の少なくとも一方が栓130の上側栓形成部材131に設けられる場合に比べて、外装体110と栓130の上側栓形成部材131との間に形成される断熱空間をできるだけ広くとることができる。このため、この栓体100では、真空二重容器10の内部から外部への伝熱をできるだけ遮断することができる。
【0044】
(3)
本発明の第1実施形態に係る栓体100では、吸気弁140は排気弁150に取り付けられる。そして、吸気弁140は、真空二重容器10の内部の圧力が所定以下に低下した場合、排気弁150の弁体VBの底壁部VB2の連通孔VB2bを開放し、真空二重容器10の内部に真空二重容器10の外部の空気を吸い込ませる。このため、この栓体100では、吸気弁140および排気弁150による弁構造をできるだけコンパクトにすることができる。
【0045】
(4)
本発明の第1実施形態に係る栓体100では、栓130の下側栓形成部材132が栓130の上側栓形成部材131に取り付けられているとき、栓130の上側栓形成部材131と下側栓形成部材132との間には隙間が形成される。このため、この栓体100では、排気弁150が働く場合、真空二重容器10の内部の気体を栓130の上側栓形成部材131と下側栓形成部材132との間の隙間を通じて真空二重容器10の外部に十分に排気することができ、吸気弁140が働く場合、真空二重容器10の外部の空気を栓130の上側栓形成部材131と下側栓形成部材132との間の隙間を通じて真空二重容器10の内部に十分に吸い込ませることができる。
【0046】
(5)
本発明の第1実施形態に係る栓体100では、栓130の下側栓形成部材132は、栓130の上側栓形成部材131に対して回転可能に栓130の上側栓形成部材131に取り付けられる。このため、この栓体100では、栓130の上側栓形成部材131が接合された外装体110を回転させ、外装体110の雌ネジ部113と真空二重容器10の外筒12の雄ネジ部12Cとの螺合状態を解除させる場合、栓130の上側栓形成部材131および外装体110の回転に伴って栓130の下側栓形成部材132が回転しないようにすることができる。したがって、この栓体100では、外装体110の雌ネジ部113と真空二重容器10の外筒12の雄ネジ部12Cとの螺合状態を解除させるときに栓130の下側栓形成部材132の栓パッキンPKの擦れ音が鳴ることをできるだけ防止することができる。
【0047】
<変形例>
(A)
先の第1実施形態に係る栓体100では、排気弁150の弁体VBの底壁部VB2に取付孔VB2aおよび連通孔VB2bが形成され、吸気弁140は排気弁150に取り付けられていた。しかし、排気弁150の弁体VBの底壁部VB2に取付孔VB2aおよび連通孔VB2bが形成されないようにし、吸気弁140が排気弁150に取り付けられないようにしてもよい。かかる場合、例えば、栓130の下側栓形成部材132の下側挟込部材LPの底壁部LP4に連通孔および取付孔が形成されるとよい。そして、吸気弁140の基体部141および脱落防止部142がこの取付孔に差し込まれることで吸気弁140が栓130の下側栓形成部材132の下側挟込部材LPに取り付けられ、吸気弁140のシール部143がこの連通孔を閉塞するとよい。
【0048】
(B)
先の第1実施形態に係る栓体100では、栓130の下側栓形成部材132が栓130の上側栓形成部材131に取り付けられているとき、栓130の上側栓形成部材131と下側栓形成部材132との間には隙間が形成されていた。しかし、栓130の下側栓形成部材132が栓130の上側栓形成部材131に取り付けられているとき、栓130の上側栓形成部材131と下側栓形成部材132との間には隙間が形成されなくてもよい。かかる場合、例えば、栓130の上側栓形成部材131の凹部131f、栓130の下側栓形成部材132のカバー部材CP、排気弁150の弁体VBの円筒壁部VB1等の寸法が大きくされ、これらの部材の内部が広く空けられるとよい。
【0049】
(C)
先の第1実施形態に係る栓体100では、栓130の下側栓形成部材132は、栓130の上側栓形成部材131に対して回転可能に栓130の上側栓形成部材131に取り付けられていた。しかし、栓130の下側栓形成部材132は、栓130の上側栓形成部材131に対して回転不可能に栓130の上側栓形成部材131に取り付けられてもよい。かかる場合、例えば、栓130の上側栓形成部材131の下側壁部131dの外周面に突起部が複数形成され、この突起部によって、栓130の下側栓形成部材132の栓パッキンPKのリブPK6が円周方向に沿って移動することが阻止されるとよい。また、例えば、栓130の下側栓形成部材132は、栓130の上側栓形成部材131に取り付けられた後で接合されるとよい。
【0050】
(D)
先の第1実施形態に係る栓体100では、排気弁150の弁体VBを下方に付勢する付勢部材として円柱螺旋形のコイルバネSPが用いられていた。しかし、付勢部材としてはコイルバネSPに限られず、例えば、円錐バネ、樽型バネ、板バネ等が用いられてもよい。
【0051】
(E)
先の第1実施形態に係る栓体100では、栓130の上側栓形成部材131のリブ131gは、円周方向に沿って等間隔に4つ形成されていた。しかし、栓130の上側栓形成部材131のリブ131gの数は限定されない。ただし、数が1つである場合、栓130の上側栓形成部材131のリブ131gの一部に切り欠き部を形成する必要がある。これは、栓130の上側栓形成部材131と下側栓形成部材132との間を流れる気体の通り道を作るためである。また、栓130の上側栓形成部材131のリブ131gは、等間隔に形成されなくてもよい。
【0052】
(F)
先の第1実施形態に係る栓体100では、下側栓形成部材132の上側挟込部材UPの第1リブUP4および第2リブUP5はそれぞれ4つずつ形成されていた。しかし、下側栓形成部材132の上側挟込部材UPの第1リブUP4の数および第2リブUP5の数は、4つに限定されない。なお、下側栓形成部材132の上側挟込部材UPの第1リブUP4の数および第2リブUP5の数に合わせて、下側栓形成部材132の下側挟込部材LPの第1切り欠き部LP3aの数および第2切り欠き部LP3bの数が調整されると共に、下側栓形成部材132の栓パッキンPKのリブPK6の数が調整される必要がある。
【0053】
なお、上記変形例は各例単独で適用されてもよいし、複数の例が組み合わされて適用されてもよい。
【0054】
-第2実施形態-
<本発明の第2実施形態に係る飲料容器の構成>
本発明の第1実施形態に係る飲料容器2は、
図11および
図12に示されるように、主に、真空二重容器10および栓体200から構成されている。なお、この飲料容器2は、栓体200が真空二重容器10に装着されることによって組み立てられている。以下、これらの構成要素についてそれぞれ詳述する。
【0055】
1.真空二重容器
真空二重容器10は、本発明の第1実施形態に係る飲料容器1の構成で説明した通りである。
【0056】
2.栓体
栓体200は、
図11および
図12に示されるように、主に、外装体110、断熱材220、栓230、吸気弁240および排気弁250等から構成される。以下、これらの構成要素についてそれぞれ詳述する。
【0057】
(1)外装体
外装体110は、本発明の第1実施形態に係る飲料容器1の構成で説明した通りである。
【0058】
(2)断熱材
断熱材220は、
図11および
図12に示されるように、外装体110と栓230の上側栓形成部材233の本体部材231との間に形成される空間に配置されている。断熱材220は、真空二重容器10の内部から外部への伝熱を遮断する役目を担っている。
【0059】
(3)栓
栓230は、
図11および
図12に示されるように、栓体200が真空二重容器10に装着される時に真空二重容器10の内筒11の内側に位置し、真空二重容器10の上側開口を閉塞する。また、栓230は、
図11および
図12に示されるように、主に、上側栓形成部材233、下側栓形成部材232および栓パッキンPM等から構成されている。以下、これらの構成要素について詳述する。なお、上側栓形成部材233と下側栓形成部材232との間には隙間が形成されるように、上側栓形成部材233に下側栓形成部材232が取り付けられる。
【0060】
(3-1)上側栓形成部材
上側栓形成部材233は、
図11および
図12に示されるように、下側栓形成部材232の上側に配置されると共に外装体110の天壁部112の下側に配置され、主に、本体部材231およびカバー部材CQ等から構成されている。以下、これらの構成要素について詳述する。
【0061】
(3-1-1)本体部材
本体部材231は、
図11~
図13に示されるように、天壁部231a、上側壁部231b、第1被係止部231c、中間壁部231d、下側壁部231e、底壁部231f、リブ231g、凹部231h、円筒リブ231iおよび第2被係止部231j等から形成されている。天壁部231aは、
図11~
図13に示されるように、略円環形状を呈している。なお、
図11および
図12に示されるように、天壁部231aの上面が、超音波溶着等によって外装体110の天壁部112の下面に接合されることで、本体部材231および外装体110が一体化される。上側壁部231bは、
図11~
図13に示されるように、略円筒形状を呈しており、天壁部231aの内端から下方に延びている。第1被係止部231cは、
図11~
図13に示されるように、上側壁部231bの下端部から外方に延びている。
図11および
図12に示されるように、この第1被係止部231cには、下側栓形成部材232の係止部232bが係止される。これにより、下側栓形成部材232が上側栓形成部材233に取り付けられる。中間壁部231dは、
図11~
図13に示されるように、略円環形状を呈しており、上側壁部231bの下端から内方に延びている。下側壁部231eは、
図11~
図13に示されるように、略円筒形状を呈しており、中間壁部231dの内端から下方に延びている。底壁部231fは、
図11~
図13に示されるように、下側壁部231eの下端から内方に延びている。リブ231gは、
図11~
図13に示されるように、底壁部231fの下面に形成されており、円周方向に沿って等間隔に4つ形成されている。また、リブ231gは、
図11および
図12に示されるように、下側栓形成部材232が上側栓形成部材233に取り付けられているときに上側栓形成部材233と下側栓形成部材232との間に隙間を形成する役目を担っている。凹部231hは、
図11~
図13に示されるように、底壁部231fの中央部が上側に凹むことで形成されている。
図2および
図3に示されるように、凹部231hの内側には排気弁250が設けられる。円筒リブ231iは、略円筒形状を呈しており、
図11および
図12に示されるように、凹部231hの上端壁部の下面から下方に延びている。また、
図11および
図12に示されるように、円筒リブ231iの外側には排気弁250のコイルバネSQが配置され、本体部材231の円筒リブ231iの内側には排気弁250の弁体VCの基体部VC1の上部が配置される。第2被係止部231jは、
図12および
図13に示されるように、凹部231hの下端部の内周面に2つ形成されている。
図13に示されるように、この第2被係止部231jがカバー部材CQの凹部CQ3の内側に嵌ることで、カバー部材CQが本体部材231に取り付けられる。
【0062】
(3-1-2)カバー部材
カバー部材CQは、
図11~
図13に示されるように、底壁部CQ1、側壁部CQ2および凹部CQ3等から形成されている。底壁部CQ1は、
図11~
図13に示されるように、中央部に連通孔CQ1aが形成された略円環形状を呈している。
図11および
図12に示されるように、連通孔CQ1aの内側には、排気弁250の弁体VCの底壁部VC2が配置される。側壁部CQ2は、
図11~
図13に示されるように、略円筒形状を呈しており、底壁部CQ1の外端から上方に延びている。凹部CQ3は、
図12および
図13に示されるように、側壁部CQ2の上下方向中間部の外周部が内側に凹むことで形成されており、2つ形成されている。
【0063】
(3-2)下側栓形成部材
下側栓形成部材232は、
図11、
図12および
図14に示されるように、上側栓形成部材233の下側に配置され、上側壁部232a、係止部232b、中間壁部232c、下側壁部232d、底壁部232eおよびリブ232f等から形成されている。上側壁部232aは、
図11、
図12および
図14に示されるように、略円筒形状を呈している。なお、
図14に示されるように、上側壁部232aには切り欠き部232zが4つ形成される。切り欠き部232zは、
図14に示されるように、1つの係止部232bの両隣に位置するように上側壁部232aに形成される。係止部232bは、
図12および
図14に示されるように、上側壁部232aの上端部の内周面に互いに正対するように2つ形成されている。中間壁部232cは、
図11、
図12および
図14に示されるように、略円筒形状を呈しており、上側壁部232aの下端から内方に延びている。下側壁部232dは、
図11、
図12および
図14に示されるように、略円筒形状を呈しており、中間壁部232cの内端から下方に延びている。底壁部232eは、
図11、
図12および
図14に示されるように、下側壁部232dの下端から外方に延びると共に内方に延びている。なお、
図11、
図12および
図14に示されるように、底壁部232eの中央部には、真空二重容器10の内部と外部とを連通させる第1連通孔232yが形成され、底壁部232eの第1連通孔232yの周囲には、真空二重容器10の内部と外部とを連通させる第2連通孔232xが2つ形成される。リブ232fは、
図14に示されるように、上側壁部232aの外周面に形成されている。また、リブ232fは、下側栓形成部材232が上側栓形成部材233に取り付けられているときに上側栓形成部材233と下側栓形成部材232との間に隙間を形成する役目を担っている。
【0064】
(3-3)栓パッキン
栓パッキンPMは、ゴムやエラストマー等の弾性材料から形成されており、
図11および
図12に示されるように、下側栓形成部材232の中間壁部232cの下側且つ下側壁部232dの外側において下側栓形成部材232に取り付けられる。また、栓パッキンPMは、栓体200が真空二重容器10に装着されている時に、真空二重容器10の内筒11の内筒側壁部11Aと栓230との間をシールする役目を担う。
【0065】
ここで、栓230の組立方法について、
図11~
図13を参照しながら説明する。まず、上側栓形成部材233を組立てるために、排気弁250が本体部材231の凹部231hの内部に配置される。このとき、本体部材231の円筒リブ231iの外側に排気弁250のコイルバネSQが位置し、本体部材231の円筒リブ231iの内側に排気弁250の弁体VCの基体部VC1の上部が位置する。そして、本体部材231の第2被係止部231jがカバー部材CQの凹部CQ3の内側に嵌るようにして、カバー部材CQが本体部材231に取り付けられる。このようにして、上側栓形成部材233が組立てられ、上側栓形成部材233に排気弁250が設けられる。次に、下側栓形成部材232に吸気弁240が取り付けられる。次に、吸気弁240が取り付けられた下側栓形成部材232が、組立てられた上側栓形成部材233に取り付けられる。より詳細には、下側栓形成部材232の係止部232bが上側栓形成部材233の本体部材231の第1被係止部231cの下側に位置している状態において、下側栓形成部材232が上側栓形成部材233側に押し込まれる。そして、下側栓形成部材232の係止部232bは、上側栓形成部材233の本体部材231の第1被係止部231cを越え、上側栓形成部材233の本体部材231の第1被係止部231cの上側に位置する。そして、下側栓形成部材232の係止部232bは、上側栓形成部材233の本体部材231の第1被係止部231cに係止される。このようにして、下側栓形成部材232は、上側栓形成部材233に対して回転可能に上側栓形成部材233に取り付けられる。なお、上述の通り、上側栓形成部材233と下側栓形成部材232との間には隙間が形成される。以上のようにして、栓230が組立てられる。
【0066】
(4)吸気弁
吸気弁240は、真空二重容器10の内部の圧力が所定(例えば、0.7気圧)以下に低下した場合に真空二重容器10の内部に真空二重容器10の外部の空気を吸い込ませる弁であって、上述の通り、栓230の下側栓形成部材232に取り付けられる。また、吸気弁240は、ゴムやエラストマー等の弾性材料から形成されており、
図11および
図12に示されるように、基体部241、脱落防止部242およびシール部243等から形成されている。基体部241は、
図11および
図12に示されるように、略円筒形状を呈している。すなわち、
図11および
図12に示されるように、基体部241には、真空二重容器10の内部と外部とを連通させる連通孔241aが形成されることになる。連通孔241aは、
図11および
図12に示されるように、排気弁250の弁体VCにより閉塞されている。脱落防止部242は、吸気弁240が栓230の下側栓形成部材232に取り付けられている状態を維持するための円環形状の部位であって、
図11および
図12に示されるように、基体部241の上端部から外方に延びている。吸気弁240を栓230の下側栓形成部材232に取り付ける場合、まず、基体部241および脱落防止部242が、下側から上側に向かって栓230の下側栓形成部材232の底壁部232eの第1連通孔232yに差し込まれる。そして、脱落防止部242は、弾性変形しながら栓230の下側栓形成部材232の底壁部232eの第1連通孔232yを通り抜けた後、元の形状に戻って栓230の下側栓形成部材232の底壁部232eに載置される(
図11および
図12参照)。これにより、吸気弁240が栓230の下側栓形成部材232に取り付けられている状態が維持される。また、脱落防止部242は、上側栓形成部材233のカバー部材CQと下側栓形成部材232との間の隙間をシールしないように、上側栓形成部材233のカバー部材CQから離れている。シール部243は、
図11および
図12に示されるように、基体部241の下端から外方に延びており、湾曲形状を呈している。なお、
図11および
図12に示されるように、吸気弁240が栓230の下側栓形成部材232に取り付けられているとき、栓230の下側栓形成部材232の底壁部232eにおける第2連通孔232xより外側の部位にシール部243の外端部が当接することで、栓230の下側栓形成部材232の底壁部232eの第2連通孔232xが閉塞される。
【0067】
(5)排気弁
排気弁250は、真空二重容器10の内部の圧力が所定(例えば、4気圧)以上に上昇した場合に真空二重容器10の内部の気体を排気する弁であって、
図11および
図12に示されるように、吸気弁240の直上に位置し、上側栓形成部材233に設けられる。また、排気弁250は、
図11~
図13に示されるように、主に、弁体VCおよびコイルバネSQ等から構成されている。以下、これらの構成要素について詳述する。
【0068】
(5-1)弁体
弁体VCは、弁体VCは、
図11~
図13に示されるように、基体部VC1、底壁部VC2および鍔部VC3等から形成されている。基体部VC1は、
図11~
図13に示されるように、略円柱形状を呈している。底壁部Vc2は、
図11~
図13に示されるように、基体部VC1の下側に形成されており、平面視における直径が基体部VC1より長い略円柱形状を呈している。また、底壁部VC2は、
図11および
図12に示されるように、下側栓形成部材232の底壁部232eの第1連通孔232yを閉塞すると共に、吸気弁240の基体部241の連通孔241aを閉塞する。鍔部VC3は、
図11~
図13に示されるように、底壁部VC2の上部の外周面から外方に延びている。また、鍔部VB3は、
図11および
図12に示されるように、栓230の上側栓形成部材233のカバー部材CQの底壁部CQ1と当接する。
【0069】
(5-2)コイルバネ
コイルバネSQは、
図11~
図13に示されるように、円柱螺旋形のものであって、下側栓形成部材232の底壁部232eの第1連通孔232yおよび吸気弁240の基体部241の連通孔241aを弁体VCが閉塞するように弁体VCをこれらの孔に向けて(すなわち下方に)付勢するためのものである。
図11および
図12に示されるように、コイルバネSQの内側には、栓230の本体部材231の円筒リブ231iおよび排気弁250の弁体VCの基体部VC1が配置される。そして、コイルバネSQの上端は、栓230の本体部材231の凹部231hの上端壁部の下面に取り付けられ、コイルバネSQの下端は、弁体VCの底壁部VC2の上面に取り付けられる。
【0070】
なお、本発明の第2実施形態に係る飲料容器2では、栓体200が真空二重容器10に装着されているとき、平面視における栓体200の各部材(外装体110、栓230、吸気弁240、排気弁250)の中心から上下方向に延びる仮想線は、真空二重容器10の筒軸AXと一致する。
【0071】
<本発明の第2実施形態に係る吸気弁の動作態様について>
ここで、真空二重容器10の内部の圧力が所定以下に低下した場合の吸気弁240の動作態様について、
図15を参照しながら説明する。真空二重容器10の内部の圧力が所定以下に低下すると、吸気弁240のシール部243が弾性変形し、吸気弁240のシール部243の外端部が、栓230の下側栓形成部材232の底壁部232eから離れる。これにより、栓230の下側栓形成部材232の底壁部232eの第2連通孔232xが開放される。そして、真空二重容器10の外部の空気が、
図15の太線矢印で示されるように、栓230の上側栓形成部材233と下側栓形成部材232との間の隙間を流れる。そして、真空二重容器10の外部の空気は、
図15の太線矢印で示されるように、栓230の下側栓形成部材232の底壁部232eの第2連通孔232xを通じて、真空二重容器10の内部に導入される。このようにして真空二重容器10の内部の圧力が元に戻っていくと、吸気弁240のシール部243が元の形状に戻っていき、栓230の下側栓形成部材232の底壁部232eの第2連通孔232xが閉塞される。
【0072】
<本発明の第2実施形態に係る排気弁の動作態様について>
ここで、真空二重容器10の内部の圧力が所定以上に上昇した場合の排気弁250の動作態様について、
図16を参照しながら説明する。真空二重容器10の内部の圧力が所定以上に上昇すると、排気弁250の弁体VCが、コイルバネSQの付勢力に逆らって上方に移動する。これにより、下側栓形成部材232の底壁部232eの第1連通孔232yおよび吸気弁240の基体部241の連通孔241aが開放される。そして、真空二重容器10の内部の気体が、
図16の太線矢印で示されるように、下側栓形成部材232の底壁部232eの第1連通孔232yおよび吸気弁240の基体部241の連通孔241aを通る。そして、真空二重容器10の内部の気体は、
図16の太線矢印で示されるように、吸気弁240の脱落防止部242と排気弁250の弁体VCの底壁部VC2との間の隙間を流れた後、栓230の上側栓形成部材233と下側栓形成部材232との間の隙間を流れる。このように真空二重容器10の内部の気体が排気されて真空二重容器10の内部の圧力が元に戻っていくと、排気弁250の弁体VCがコイルバネSQにより下方に付勢され、下側栓形成部材232の底壁部232eの第1連通孔232yおよび吸気弁240の基体部241の連通孔241aが閉塞される。
【0073】
<本発明の第2実施形態に係る栓体の特徴>
(1)
本発明の第2実施形態に係る栓体200では、真空二重容器10の内部の圧力が所定以上に上昇した場合に真空二重容器10の内部の気体を排気する排気弁250と、真空二重容器10の内部の圧力が所定以下に低下した場合に真空二重容器10の内部に真空二重容器10の外部の空気を吸い込ませる吸気弁240とが備えられる。そして、真空二重容器10の内部の圧力が所定以上に上昇していない場合、排気弁250のコイルバネSQが排気弁150の弁体VCを下方に付勢することで、下側栓形成部材232の底壁部232eの第1連通孔232yおよび吸気弁240の基体部241の連通孔241aが閉塞される。そして、真空二重容器10の内部の圧力が所定以上に上昇した場合、排気弁250の弁体VCが排気弁250のコイルバネSQの付勢力に逆らって上方に移動することで、下側栓形成部材232の底壁部232eの第1連通孔232yおよび吸気弁240の基体部241の連通孔241aが開放される。このため、この栓体200では、真空二重容器10の内部の圧力が所定以上に上昇した場合に下側栓形成部材232の底壁部232eの第1連通孔232yおよび吸気弁240の基体部241の連通孔241aを弾性変形によって開放する排気弁を備える栓体に比べて、下側栓形成部材232の底壁部232eの第1連通孔232yおよび吸気弁240の基体部241の連通孔241aが不意に開放されるおそれをできるだけ低減することができる。したがって、この栓体200では、真空二重容器10の内部の内容物が漏れ出るおそれをできるだけ低減することができる。
【0074】
(2)
本発明の第2実施形態に係る栓体200では、栓230は、上側栓形成部材233、および、上側栓形成部材233の下側に配置される下側栓形成部材232から構成される。そして、吸気弁240は、連通孔241aを有する基体部241が栓230の下側栓形成部材232の底壁部232eの第1連通孔232yの内側に配置されるように栓230の下側栓形成部材232に設けられる。そして、排気弁250は、吸気弁240の直上に位置し、栓230の下側栓形成部材232の底壁部232eの第1連通孔232yおよび吸気弁240の基体部241の連通孔241aを閉塞するように栓230の上側栓形成部材233に設けられる。このため、この栓体200では、栓230の下側栓形成部材232の底壁部232eの第1連通孔232yに対して、吸気弁240を栓230の下側栓形成部材232に設けるための取付孔としての役目を担わせることができ、栓230の下側栓形成部材232に形成される孔の数をできるだけ抑えることができる。したがって、この栓体200では、栓230の下側栓形成部材232にウエルドライン等が生じるおそれをできるだけ低減し、栓230の下側栓形成部材232の外観が損なわれるおそれをできるだけ低減することができる。
【0075】
(3)
本発明の第2実施形態に係る栓体200では、栓230の下側栓形成部材232が栓230の上側栓形成部材233に取り付けられているとき、栓230の上側栓形成部材233と下側栓形成部材232との間には隙間が形成される。このため、この栓体200では、排気弁250が働く場合、真空二重容器10の内部の気体を栓230の上側栓形成部材233と下側栓形成部材232との間の隙間を通じて真空二重容器10の外部に十分に排気することができ、吸気弁240が働く場合、真空二重容器10の外部の空気を栓230の上側栓形成部材233と下側栓形成部材232との間の隙間を通じて真空二重容器10の内部に十分に吸い込ませることができる。
【0076】
(4)
本発明の第2実施形態に係る栓体100では、栓230の下側栓形成部材232は、栓230の上側栓形成部材233に対して回転可能に栓230の上側栓形成部材233に取り付けられる。このため、この栓体200では、栓230の上側栓形成部材233の本体部材231が接合された外装体110を回転させ、外装体110の雌ネジ部113と真空二重容器10の外筒12の雄ネジ部12Cとの螺合状態を解除させる場合、栓230の上側栓形成部材233の本体部材231および外装体110の回転に伴って栓230の下側栓形成部材232が回転しないようにすることができる。したがって、この栓体200では、外装体110の雌ネジ部113と真空二重容器10の外筒12の雄ネジ部12Cとの螺合状態を解除させるときに栓230の下側栓形成部材232の栓パッキンPQの擦れ音が鳴ることをできるだけ防止することができる。
【0077】
<変形例>
(A)
先の第2実施形態に係る栓体200では、吸気弁240は、連通孔241aを有する基体部241が栓230の下側栓形成部材232の底壁部232eの第1連通孔232yの内側に配置されるように栓230の下側栓形成部材232に設けられていた。しかし、栓230の下側栓形成部材232の底壁部232eに第1連通孔232yとは別の連通孔が2つ以上形成されてもよい。そして、吸気弁240が、その1つの連通孔の内側に基体部241が配置されるようにして栓230の下側栓形成部材232に設けられ、吸気弁240のシール部243が、残りの連通孔を閉塞してもよい。
【0078】
(B)
先の第2実施形態に係る栓体200では、栓230の下側栓形成部材232が栓230の上側栓形成部材233に取り付けられているとき、栓230の上側栓形成部材233と下側栓形成部材232との間には隙間が形成されていた。しかし、栓230の下側栓形成部材232が栓230の上側栓形成部材233に取り付けられているとき、栓230の上側栓形成部材233と下側栓形成部材232との間には隙間が形成されなくてもよい。かかる場合、例えば、栓230の上側栓形成部材233の本体部材231の凹部231h等の寸法が大きくされ、栓230の上側栓形成部材233の本体部材231の凹部231hの内部が広く空けられるとよい。
【0079】
(C)
先の第2実施形態に係る栓体200では、栓230の下側栓形成部材232は、栓230の上側栓形成部材233に対して回転可能に栓230の上側栓形成部材233に取り付けられていた。しかし、栓230の下側栓形成部材232は、栓230の上側栓形成部材233に対して回転不可能に栓230の上側栓形成部材233に取り付けられてもよい。かかる場合、例えば、上側栓形成部材233の本体部材231の上側壁部231bの下端部の外周面に突起部が複数形成され、この突起部によって、栓230の下側栓形成部材232の係止部232bが円周方向に沿って移動することが阻止されるとよい。また、例えば、栓230の下側栓形成部材232は、栓230の上側栓形成部材233に取り付けられた後で接合されるとよい。
【0080】
(D)
先の第2実施形態に係る栓体200では、排気弁250の弁体VCを下方に付勢する付勢部材として円柱螺旋形のコイルバネSQが用いられていた。しかし、付勢部材としてはコイルバネSQに限られず、例えば、円錐バネ、樽型バネ、板バネ等が用いられてもよい。
【0081】
(E)
先の第2実施形態に係る栓体200では、栓230の上側栓形成部材233の本体部材231のリブ231gは、円周方向に沿って等間隔に4つ形成されていた。しかし、栓230の上側栓形成部材233の本体部材231のリブ231gの数は限定されない。ただし、数が1つである場合、栓230の上側栓形成部材233の本体部材231のリブ231gの一部に切り欠き部を形成する必要がある。これは、栓230の上側栓形成部材233と下側栓形成部材232との間を流れる気体の通り道を作るためである。また、栓230の上側栓形成部材233の本体部材231のリブ231gは、等間隔に形成されなくてもよい。
【0082】
なお、上記変形例は各例単独で適用されてもよいし、複数の例が組み合わされて適用されてもよい。
【符号の説明】
【0083】
10 真空二重容器(容器)
100 栓体
130 栓
131 上側栓形成部材(第1栓形成部材)
132 下側栓形成部材(第2栓形成部材)
140 吸気弁
150 排気弁
200 栓体
230 栓
232 下側栓形成部材(第4栓形成部材)
232y 第1連通孔
233 上側栓形成部材(第3栓形成部材)
240 吸気弁
241 基体部
241a 連通孔(第3連通孔)
250 排気弁
LP4a 連通孔(第1連通孔)
SP コイルバネ(付勢部材)
SQ コイルバネ(付勢部材)
VB 弁体
VB2b 連通孔(第2連通孔)
VC 弁体