IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 花王株式会社の特許一覧

<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024124714
(43)【公開日】2024-09-13
(54)【発明の名称】身体用水性組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/86 20060101AFI20240906BHJP
   A61Q 15/00 20060101ALI20240906BHJP
【FI】
A61K8/86
A61Q15/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023032590
(22)【出願日】2023-03-03
(71)【出願人】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000084
【氏名又は名称】弁理士法人アルガ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】讃岐 僚太
(72)【発明者】
【氏名】川本 康一
(72)【発明者】
【氏名】照沼 絵美
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AC102
4C083AC181
4C083AC182
4C083AC421
4C083AC422
4C083AD041
4C083AD042
4C083AD391
4C083AD392
(57)【要約】
【課題】汗をかく前に身体に塗布することで、汗が出た際に、汗とともに組成物が衣類に移行し、汗と組成物が衣類中に拡散し、汗を蒸発させることにより、はりつき感を抑制し、汗の不快感を低減する身体用水性組成物を提供する。
【解決手段】次の成分(A)、(B)、(C)及び(D):
(A)アルキル基の炭素鎖長が10~18であり、HLB10~18であるポリオキシエチレンアルキルエーテル、
(B)脂肪酸の炭素鎖長が6~14であり、HLB4~12であるグリセリン脂肪酸エステル又はポリグリセリン脂肪酸エステル、
(C)分子量500~5000のアルキレンオキシド誘導体、
(D)水
を含有する身体用水性組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(A)、(B)、(C)及び(D):
(A)アルキル基の炭素鎖長が10~18であり、HLB10~18であるポリオキシエチレンアルキルエーテル、
(B)脂肪酸の炭素鎖長が6~14であり、HLB4~12であるグリセリン脂肪酸エステル又はポリグリセリン脂肪酸エステル、
(C)分子量500~5000のアルキレンオキシド誘導体、
(D)水
を含有する身体用水性組成物。
【請求項2】
成分(B)に対する成分(A)の質量割合(A)/(B)が、1~6である請求項1記載の身体用水性組成物。
【請求項3】
成分(A)及び(B)の合計含有量が、0.3~2.4質量%である請求項1又は2記載の身体用水性組成物。
【請求項4】
成分(C)が、ポリオキシアルキレンアルキルグルコシドである請求項1~3のいずれか1項記載の身体用水性組成物。
【請求項5】
成分(C)の含有量が、0.5~5質量%である請求項1~4のいずれか1項記載の身体用水性組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、身体用水性組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、皮脂や汗のべたつきや臭いを抑制し、清涼感を付与するための皮膚外用剤として、様々なデオドラント剤が使用されている。このようなデオドラント剤には、汗を止めるため、制汗剤である各種金属塩などが配合されている。
例えば、特許文献1には、制汗成分及び殺菌成分と、トリグリセリド、脂肪酸イソアミル及び直鎖状アルキル変性シリコーンから選ばれる1種以上と、特定のポリオキシエチレンアルキルエーテル、水を含有する制汗剤組成物が、塗布後に肌のべたつき、肌のつっぱり感、肌への刺激がなく、防臭効果及び製剤の安定性に優れることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-55937号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のデオドラント剤は、肌に塗布し、汗腺をふさいで汗を止めるものであるため、汗本来の機能が発揮しきれない可能性がある。また、発汗量が多すぎると、汗を止めることができず、衣類がぬれて、はりつくなどの不快感が生じるという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、発汗量を調整することなく、発汗の機能を最大限活かしながら、汗を素早く衣類に移行させて、衣類中に拡散・蒸発させることにより、はりつき感などの汗による不快感を解消することについて、検討した。その結果、特定のポリオキシエチレンアルキルエーテルと、グリセリン脂肪酸エステル又はポリグリセリン脂肪酸エステル、さらに、アルキレンオキシド誘導体を組合わせた水性組成物を用いることにより、これら課題を解決することを見出した。
【0006】
本発明は、次の成分(A)、(B)、(C)及び(D):
(A)アルキル基の炭素鎖長が10~18であり、HLB10~18であるポリオキシエチレンアルキルエーテル、
(B)脂肪酸の炭素鎖長が6~14であり、HLB4~12であるグリセリン脂肪酸エステル又はポリグリセリン脂肪酸エステル、
(C)分子量500~5000のアルキレンオキシド誘導体、
(D)水
を含有する身体用水性組成物に関する。
【発明の効果】
【0007】
本発明の身体用水性組成物は、汗をかく前に身体に塗布することで、汗が出た際に、汗と共に組成物が衣類に移行し、汗と組成物が衣類中に拡散し、汗を蒸発させることにより、はりつき感を抑制し、汗の不快感を低減することができる。また、本発明の組成物は、肌や衣類上に残留することにより、効果を持続させる効果を併せ持つものである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明で用いる成分(A)のポリオキシエチレンアルキルエーテルは、アルキル基の炭素鎖長が10~18であり、12~16が好ましい。
また、HLB10~18であり、12~14が好ましい。
【0009】
本発明において、HLB(親水性-親油性のバランス〈Hydrophilic-Lipophilic Balance〉)は、界面活性剤の全分子量に占める親水基部分の分子量を示すものであり、グリフィン(Griffin)の式により求められるものである。また、2種以上のノニオン界面活性剤から構成される場合、混合界面活性剤のHLBは、次のようにして求められる。混合界面活性剤のHLBは、各ノニオン界面活性剤のHLB値をその配合比率に基づいて相加算平均したものである。
混合HLB=Σ(HLBx×Wx)/ΣWx
HLBxは、ノニオン界面活性剤XのHLB値を示す。
Wxは、HLBxの値を有するノニオン界面活性剤Xの質量(g)を示す。
【0010】
成分(A)としては、汗に溶解し衣類への移行を向上させることで、衣類の肌へのはりつき感を抑制する観点から、炭素鎖長が12~16でHLBが12~14のポリオキシエチレンアルキルエーテルが好ましい。
【0011】
成分(A)は、1種又は2種以上を組合わせて用いることができ、含有量は、衣類への移行性を向上させてはりつき感を低減させる観点、並びに含有量が多くなるとべたつき感を生じさせる観点から、全組成中に0.15~2質量%であるのが好ましく、0.2~1.5質量%がより好ましく、0.2~1質量%がさらに好ましい。
【0012】
成分(B)のグリセリン脂肪酸エステル又はポリグリセリン脂肪酸エステルは、脂肪酸の炭素鎖長が6~14であり、8~12が好ましい。
また、HLB4~12であり、6~9が好ましい。
【0013】
また、成分(B)は、衣類への移行後の濡れ広がり性を向上させて衣類の肌へのはりつき感を抑制する観点から、モノエステル、トリエステルであるのが好ましい。
成分(B)としては、衣類への移行後の濡れ広がり性を向上させて衣類の肌へのはりつき感を抑制する観点から、脂肪酸の炭素鎖長が8~12であり、HLBが6~9のグリセリン脂肪酸エステル又はポリグリセリン脂肪酸エステルが好ましい。
【0014】
成分(B)は、1種又は2種以上を組合わせて用いることができ、含有量は、衣類への移行後の濡れ広がり性を向上させて衣類の肌へのはりつき感を低減させる観点、並びに含有量が多くなるとべたつき感を生じさせる観点から、全組成中に0.04~1.2質量%であるのが好ましく、0.1~0.6質量%がより好ましく、0.1~0.3質量%がさらに好ましい。
【0015】
本発明において、成分(A)及び(B)の合計含有量は、衣類への移行性、かつ、衣類中への濡れ広がり性を向上させ、並びに皮膚に塗布した際の優れた使用感の観点から、全組成中に0.3~2.4質量%であるのが好ましく、0.6~2.4質量%がより好ましく、0.6~1.2質量%がさらに好ましい。
【0016】
本発明において、成分(B)に対する成分(A)の質量割合(A)/(B)は、汗と共に組成物が衣類へ移行し、移行後の衣類中での濡れ広がり性を向上させる観点から、1~6であるのが好ましく、2~5がより好ましく、2~3がさらに好ましい。
【0017】
本発明で用いる成分(C)は、分子量500~5000のアルキレンオキシド誘導体である。
成分(C)は、成分(A)及び(B)と共に皮膚上や衣類中に残留性し、はりつき感を低減させる観点から、分子量は500~5000であり、600~1500が好ましい。
ここで、分子量は、分子構造から計算される値である。
【0018】
成分(C)のアルキレンオキシド誘導体は、ポリオキシアルキレン基を有し、アルキレンオキシ基の平均付加モル数は、成分(A)及び(B)と共に皮膚上での残留性の観点から、5~500であるのが好ましく、5~250がより好ましく、5~100がさらに好ましく、5~50がよりさらに好ましい。
また、アルキレンオキシ基のアルキレン基は、炭素数1~4であるのが好ましく、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基が挙げられ、エチレン基、プロピレン基が好ましい。
【0019】
成分(C)のアルキレンオキシド誘導体としては、ポリアルキレンオキシドの多価アルコールエーテル化合物(ポリアルキレンオキシドポリオールエーテル)、ポリアルキレンオキシドの低級アルキルエーテル化合物(ポリアルキレンオキシド低級アルキルエーテル)等が挙げられ、成分(A)及び(B)と共に皮膚上での残留性の観点から、ポリアルキレンオキシドポリオールエーテルが好ましい。
【0020】
ポリアルキレンオキシドポリオールエーテルとしては、例えば、
ポリオキシエチレンメチルグルコシド、ポリオキシプロピレンメチルグルコシド等のポリアルキレンオキシドのグルコースエーテル化合物又はメチルグルコースエーテル化合物;
ポリオキシエチレングリセリルエーテル、ポリオキシプロピレングリセリルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリセリルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンポリオキシブチレングリセリルエーテル等のポリアルキレンオキシドのグリセリルエーテル化合物;
ポリオキシプロピレンジグリセリルエーテル等のポリアルキレンオキシドのジグリセリルエーテル化合物;
ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンヘキシレングリコール等のポリアルキレンオキシドのグリコールエーテル化合物;
ポリオキシプロピレンソルビトールエーテル等のポリアルキレンオキシドのソルビトールエーテル化合物などが挙げられる。
これらのうち、成分(A)及び(B)と共に皮膚上での残留性の観点から、ポリアルキレンオキシドのグルコースエーテル化合物又はメチルグルコースエーテル化合物、ポリアルキレンオキシドのグリセリルエーテル化合物が好ましい。
【0021】
ポリアルキレンオキシド低級アルキルエーテルとしては、ポリアルキレンオキシドブチルエーテルが好ましく、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブチルエーテルがより好ましい。
【0022】
成分(C)のアルキレンオキシド誘導体は、市販品を用いても常法に従って合成したものを用いてもよい。
ポリアルキレンオキシドのメチルグルコースエーテル化合物の市販品としては、例えば、ポリオキシエチレンメチルグルコシドであるマクビオブライドMG-10E、MG-20E、ポリオキシプロピレンメチルグルコシドであるマクビオブライドMG-10P、MG-20P(以上、日油社製)等が挙げられる。
【0023】
ポリアルキレンオキシドのグリセリルエーテル化合物の市販品としては、例えば、ポリオキシエチレングリセリルエーテルであるコニオンRG-120(新日本理化社製)、ポリオキシプロピレングリセリルエーテルであるニューポール GP-600(三洋化成工業社製)、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリセリルエーテルであるユニルーブ 50TG-32(日油社製)、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンポリオキシブチレングリセリルエーテルであるウィルブライド S-753D(日油社製)等が挙げられる。
ポリアルキレンオキシドのジグリセリルエーテル化合物の市販品としては、例えば、ポリオキシプロピレンジグリセリルエーテルであるSY-DP9、SY-DP14T(以上、阪本薬品工業社製)、ユニルーブ DGP-700,950(以上、日油社製)等が挙げられる。
【0024】
ポリアルキレンオキシドのグリコールエーテル化合物の市販品としては、例えば、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンヘキシレングリコールであるニューポール 75 H-90000(三洋化成工業社製)等が挙げられる。
ポリアルキレンオキシドのソルビトールエーテル化合物の市販品としては、例えば、ポリオキシプロピレンソルビトールエーテルであるニューポール SP-750(三洋化成工業社製)等が挙げられる。
【0025】
ポリアルキレンオキシドブチルエーテルの市販品としては、例えば、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブチルエーテルであるユニルーブ 50MB-26(日油社製)、ニューポール 50HB-260、50HB-5100(以上、三洋化成工業社製)等が挙げられる。
【0026】
成分(C)としては、成分(A)及び(B)を皮膚上に残留させる観点から、ポリオキシアルキレンアルキルグルコシドが好ましく、アルキレンオキシ基の平均付加モル数が10~20で、アルキレン基が炭素数1~4のものがより好ましい。さらに、ポリオキシアルキレンメチルグルコシドが好ましく、ポリオキシエチレンメチルグルコシド、ポリオキシプロピレンメチルグルコシドがより好ましい。
【0027】
成分(C)は、1種又は2種以上を組合わせて用いることができ、含有量は、成分(A)及び(B)を皮膚上に残留させる観点から、全組成中に0.5~5質量%であるのが好ましく、0.5~3質量%がより好ましい。
【0028】
本発明において、成分(D)の水の含有量は、成分(A)、(B)、(C)ならびにその他の成分を均一に溶解、分散させる観点から、全組成中に10~99.2質量%であるのが好ましく、15~80質量%がより好ましく、20~60質量%がさらに好ましく、20~40質量%がさらに好ましい。
【0029】
本発明の身体用水性組成物は、さらに、皮膚への塗布時及び塗布後の使用感の観点、並びに清涼感付与の観点から、エタノールを含有することが好ましい。エタノールの含有量は、全組成中に0~90質量%であるのが好ましく、20~80質量%がより好ましく、40~80質量%がさらに好ましい。
【0030】
本発明の身体用水性組成物は、前記成分以外に、通常化粧料に用いられる成分、例えば、前記以外の界面活性剤、水溶性増粘剤、多価アルコール、粉体、酸化防止剤、紫外線吸収剤、香料、防腐剤、pH調整剤、血行促進剤、冷感剤、皮膚賦活剤、清涼剤等を含有することができる。
【0031】
本発明の身体用水性組成物は、通常、デオドラント効果を有する組成物に用いられる殺菌剤や制汗剤を含有しなくても、汗によるはりつき感などの不快感を解消することができるが、これらを含有していても良い。
ここで、殺菌剤としては、例えば、イソプロピルメチルフェノール、塩化ベンザルコニウム、トリクロサン、ピロクトンオラミン、塩化ベンゼトニウム、塩化アルキルトリメチルアンモニウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム、トリクロカルバン、サリチル酸、パラベン、クロルヘキシジン又はその塩、リゾチーム又はその塩、アクリノール、グルコン酸、アルキルジアミノグリシン又はその塩、ポピドンヨード、ヨウ化カリウム、ヨウ素、クレゾール、感光素101号、感光素201号、フェノキシエタノール、1,2-ペンタンジオール、ハロカルバン、3,4,4-トリクロロカルバニリド、トリエチルシトレート、レゾルシン、フェノール、ソルビン酸、ヘキサクロロフェン、銀担持ゼオライト、銀担持シリカ等が挙げられる。
また、制汗剤としては、例えば、クロルヒドロキシアルミニウム、酸化亜鉛、フェノールスルホン酸亜鉛、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウムカリウム、硫酸アルミニウム、酢酸アルミニウム、アラントインクロルヒドロキシアルミニウム、アルミニウムジルコニウムオクタクロルハイドレート、アルミニウムジルコニウムテトラクロルハイドレート、アルミニウムジルコニウムトリクロルハイドレート、ジルコニウムクロルハイドレート等が挙げられる。
殺菌剤及び制汗剤から選ばれる1種以上を用いる場合には、その合計含有量が、全組成中に0.1~20質量%であるのが好ましく、0.3~15質量%がより好ましい。
【0032】
本発明の身体用水性組成物は、通常の方法により製造することができ、液状の組成物とするのが好ましい。例えば、室温(25℃)にて、成分(A)、(B)、(C)、(D)、及びエタノールやその他成分を均一に混合攪拌することにより、製造することができる。
【0033】
本発明の身体用水性組成物の剤形は特に限定されないが、例えば、ロールオンタイプ、スプレー、ミスト、エアゾール、ローション、ジェル、不織布等に含浸させたシート状等の形態とすることができる。なかでも、スプレー、ミスト、ロールオンタイプが好ましい。
【0034】
本発明の身体用水性組成物は、肌に塗布して使用される。
その後、汗をかいても、汗を衣類に移行させ、衣類中で拡散させて、汗を素早く蒸発させることにより、はりつき感などの不快感を低減することができる。汗を止めることなく、汗機能を活かしながら、不快感を低減することができるものである。
【0035】
本発明の身体用水性組成物においては、成分(A)が汗に溶解することで、汗の表面張力や衣類への接触角が小さくなり、衣類への移行性(吸水性)が向上すると考えられる。また、成分(B)が汗に溶解することで、汗の繊維上での前進接触角は小さくなり、濡れ広がり性(拡散性)が向上すると考えられる。さらに、成分(C)が、成分(A)及び(B)と組み合わさることで、肌上や衣類上に成分(A)及び(B)を留めやすくする効果が得られると考えられる。すなわち、本発明の組成物は、汗に溶解することにより、徐々に汗と共に衣類に移行し、拡散することにより、衣類のはりつき感を抑制することで不快感を低減すると考えられる。
【実施例0036】
実施例1~15、比較例1~14
表1~表2に示す組成の身体用水性組成物を製造し、試験布を用いたはりつき試験を行なった。結果を表1~表2に併せて示す。
【0037】
(製造方法)
室温(25℃)にて、成分(A)、(B)、(C)、(D)及びその他の成分を均一に混合攪拌することにより、身体用水性組成物を製造した。
【0038】
(評価方法)
5cm四方の人工皮革上に各組成物を0.05g噴霧し、2時間静置した後、汗想定の水分として、0.3質量%のNaCl水溶液を0.1g噴霧し、6cm四方のポリエステル試験布(ジャージ:谷頭商店社製)を載せ、更に5cm四方の100gの重しを載せ、布と人工皮革を密着させた後に、重しを除き、一定速度(16mm/min)で布を引っ張った際の静止摩擦力を、以下の装置を用いて測定した。
なお、この条件で測定される静止摩擦力が小さいほど、はりつき感が小さいことを示す。
(測定装置)
トライボギア(摩擦計):新東科学社製、
往復動装置:新東科学社製
【0039】
【表1】
【0040】
【表2】
【0041】
*1:エマルゲン109P(花王社製、HLB13.6)、
*2:エマルゲン1620G(花王社製、HLB14)、
*3:エマルゲン108(花王社製、HLB12.1)、
*4:エマルゲン120(花王社製、HLB15.3)、
*5:エマルゲン116(花王社製、HLB15.8)、
*6:エマルゲン123P(花王社製、HLB16.9)、
*7:エマルゲン103KG(花王社製、HLB8.3)、
*8:エマルゲン150(花王社製、HLB18.4)、
*9:エマルゲン320P(花王社製、HLB13.9)、
*10:エマルゲン2020G-HA(花王社製、HLB13)、
*11:レオドールTW-L106(花王社製、HLB13.3、有効成分量97.3%;表中の値は、有効成分量を示す)、
*12:エマノーンCH-40(花王社製、HLB12.5)、
*13:サンソフトA-14E-C(太陽化学社製、HLB15.4)、
*14:サンソフト760-C(太陽化学社製、HLB6.5)、
*15:サンソフト700P-2-C(太陽化学社製、HLB7.2)、
*16:サンソフトQ-12D-C(太陽化学社製、HLB8.5)、
*17:サンソフトQ-10D-C(太陽化学社製、HLB9.5)、
*18:サンソフトQ-123Y-C(太陽化学社製、HLB10.4)、
*19:サンソフトO-30S-C(太陽化学社製、HLB2.8)、
*20:サンソフトQ-81F-C(太陽化学社製、HLB13)、
*21:エマルゲン103KG(花王社製、HLB8.3)、
*22:エマルゲン306P(花王社製、HLB9.4)、
*23:マクビオブライトMG-20P(日油社製、分子量1354)、
*24:マクビオブライトMG-10P(日油社製、分子量774)、
*25:マクビオブライトMG-20E(日油社製、分子量1074)、
*26:マクビオブライトMG-10E(日油社製、分子量634)、
*27:ウィルブライドS-753D(日油社製、分子量950)