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特開2024-12472監視対象識別装置、監視対象識別システム、および、監視対象識別方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024012472
(43)【公開日】2024-01-30
(54)【発明の名称】監視対象識別装置、監視対象識別システム、および、監視対象識別方法
(51)【国際特許分類】
   H04N 7/18 20060101AFI20240123BHJP
   G08B 25/00 20060101ALI20240123BHJP
   H04M 11/00 20060101ALI20240123BHJP
   H04M 11/04 20060101ALI20240123BHJP
【FI】
H04N7/18 D
H04N7/18 U
G08B25/00 510M
H04M11/00 301
H04M11/04
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023187818
(22)【出願日】2023-11-01
(62)【分割の表示】P 2018241050の分割
【原出願日】2018-12-25
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】成田 康雄
(57)【要約】
【課題】監視映像に含まれる対象の個体識別を可能とした監視対象識別装置、監視対象識別システム、および、監視対象識別方法を提供する。
【解決手段】監視対象識別装置としての監視情報管理サーバ10は、発信機40の識別情報と、発信機40を保持した監視対象を識別可能に示す情報である対象識別情報とが対応付けられた発信機管理データを記憶する。また、監視情報管理サーバ10は、監視映像に含まれる撮影対象の位置を特定し、受信機30が受信した上記識別情報を発信した発信機40の位置を、受信機30が検出した発信機40からの電波の状態に基づいて特定する。さらに、監視情報管理サーバ10は、発信機管理データと、特定した撮影対象の位置と、特定した発信機40の位置とに基づいて、撮影対象と発信機40を保持する監視対象との対応を特定することにより、監視映像に含まれる監視対象の個体識別を行う。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
監視領域内を撮影して監視映像として出力する撮影端末と、前記撮影端末の撮影範囲内に位置する監視対象に保持された第1通信機からその識別情報を近距離での無線通信によって受信する第2通信機と、表示装置と、に接続される監視対象識別装置であって、
前記第1通信機の識別情報と、当該第1通信機を保持した前記監視対象を識別可能に示す情報である対象識別情報と、当該監視対象が属するグループとが対応付けられた管理データを記憶する記憶部と、
前記監視映像に含まれる撮影対象の位置を特定する監視映像処理部と、
前記第2通信機が受信した前記識別情報を発信した前記第1通信機の位置を、前記第2通信機が検出した前記第1通信機からの電波の状態に基づいて特定する通信機特定部と、
前記管理データと、前記監視映像処理部が特定した前記撮影対象の位置と、前記通信機特定部が特定した前記第1通信機の位置とに基づいて、前記撮影対象と前記第1通信機を保持する前記監視対象との対応を特定することにより、前記監視映像に含まれる前記監視対象の個体識別を行う個体識別部と、
前記監視映像と、前記撮影対象との対応が特定された前記監視対象の前記グループを示す情報とを含む画像の表示データを生成する表示データ生成部と、
前記表示データを前記表示装置に出力する出力部と、
を備える監視対象識別装置。
【請求項2】
前記第1通信機と前記第2通信機との通信には、Bluetooth Low Energyが用いられる
請求項1に記載の監視対象識別装置。
【請求項3】
前記監視映像処理部が位置を特定した前記撮影対象のなかに、前記個体識別部による前記監視対象との対応の特定ができない対象が含まれるとき、外部への通知を行う
請求項1または2に記載の監視対象識別装置。
【請求項4】
前記表示データ生成部は、前記監視映像処理部が位置を特定した前記撮影対象のなかに、前記個体識別部による前記監視対象との対応の特定ができない対象である未確認対象が含まれるとき、前記監視映像と、前記監視映像における前記未確認対象の位置を示す情報とを含む画像の表示データを生成する
を備える請求項1または2に記載の監視対象識別装置。
【請求項5】
前記監視映像処理部による前記撮影対象の特定の処理には、人工知能が利用される
請求項1~4のいずれか一項に記載の監視対象識別装置。
【請求項6】
監視領域内を撮影して監視映像として出力する撮影端末と、
監視対象に保持される第1通信機と、
前記撮影端末の撮影範囲内に位置する前記第1通信機からその識別情報を近距離での無線通信によって受信する第2通信機と、
前記撮影端末および前記第2通信機と接続された監視対象識別装置と、
前記監視対象識別装置と接続された表示装置と、を備える監視対象識別システムであって、
前記監視対象識別装置は、
前記第1通信機の識別情報と、当該第1通信機を保持した前記監視対象を識別可能に示す情報である対象識別情報と、当該監視対象が属するグループとが対応付けられた管理データを記憶する記憶部と、
前記監視映像に含まれる撮影対象の位置を特定する監視映像処理部と、
前記第2通信機が受信した前記識別情報を発信した前記第1通信機の位置を、前記第2通信機が検出した前記第1通信機からの電波の状態に基づいて特定する通信機特定部と、
前記管理データと、前記監視映像処理部が特定した前記撮影対象の位置と、前記通信機特定部が特定した前記第1通信機の位置とに基づいて、前記撮影対象と前記第1通信機を保持する前記監視対象との対応を特定することにより、前記監視映像に含まれる前記監視対象の個体識別を行う個体識別部と、
前記監視映像と、前記撮影対象との対応が特定された前記監視対象の前記グループを示す情報とを含む画像の表示データを生成する表示データ生成部と、
前記表示データを前記表示装置に出力する出力部と、を備える
監視対象識別システム。
【請求項7】
撮影端末が、監視領域内を撮影して、その映像である監視映像を監視対象識別装置に出力することと、
監視対象に保持される第1通信機が、前記第1通信機の識別情報を発信することと、
第2通信機が、前記撮影端末の撮影範囲内に位置する前記第1通信機から前記識別情報を近距離での無線通信によって受信して、当該識別情報と、前記第2通信機が検出した前記第1通信機からの電波の状態を示す情報とを前記監視対象識別装置に出力することと、
前記監視対象識別装置が、前記監視映像に含まれる撮影対象の位置を特定することと、
前記監視対象識別装置が、前記第2通信機が受信した前記識別情報を発信した前記第1通信機の位置を、前記電波の状態を示す情報に基づいて特定することと、
前記監視対象識別装置が、前記第1通信機の識別情報と、当該第1通信機を保持した前記監視対象を識別可能に示す情報である対象識別情報と、当該監視対象が属するグループとが対応付けられたデータと、特定した前記撮影対象の位置と、特定した前記第1通信機の位置とに基づいて、前記撮影対象と前記第1通信機を保持する前記監視対象との対応を特定することにより、前記監視映像に含まれる前記監視対象の個体識別を行うことと、
前記監視対象識別装置が、前記監視映像と、前記撮影対象との対応が特定された前記監視対象の前記グループを示す情報とを含む画像の表示データを生成することと、
前記監視対象識別装置が、前記表示データを表示装置に出力することと、
を含む監視対象識別方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、映像による対象の監視に用いられる監視対象識別装置、監視対象識別システム、および、監視対象識別方法に関する。
【背景技術】
【0002】
インターネット等のネットワークに接続された撮影端末であるネットワークカメラを、対象の監視に利用するシステムが知られている。撮影端末は、監視の対象領域を撮影し、その撮影データは、上記ネットワークに接続されたサーバを経由して表示端末に送信される。そして、表示端末は、受信した撮影データに基づく映像を表示する。これにより、利用者は、表示端末を用いて対象領域の様子を確認することができる。
【0003】
さらに、撮影端末に加えて、赤外線センサー等の各種のセンサーを利用したシステムも提案されている。こうしたシステムでは、対象領域における人の出入りや設備の異常等の変化がセンサーによって検出され、利用者は、これらの変化が検出されたときの対象領域の様子を、撮影端末が撮影した映像によって確認することができる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005-208878号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述のような監視を要する種々の状況のなかには、予め定められた人物や物品について、それの位置や動きの監視が望まれる状況がある。例えば、工場や工事現場等において、複数の作業者のうちの誰がどの場所で作業をしているかを監視したいという要望がある。一方、上述した撮影端末からの映像のみを頼りにして、映像に含まれる人物や物品を見分けることは、映像を確認する利用者にとって負担が大きい。他方、上記特許文献1に記載のシステムのように赤外線センサーを利用すれば、人物の位置や動きは検出可能であるものの、周囲と同等の温度を有する物品の位置や動きの検出は困難であり、また、赤外線センサーによっては人物や物品の個体識別ができない。
【0006】
本発明は、監視映像に含まれる対象の個体識別を可能とした監視対象識別装置、監視対象識別システム、および、監視対象識別方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決する監視対象識別装置は、監視領域内を撮影して監視映像として出力する撮影端末と、前記撮影端末の撮影範囲内に位置する監視対象に保持された第1通信機からその識別情報を近距離での無線通信によって受信する第2通信機と、に接続される監視対象識別装置であって、前記第1通信機の識別情報と、当該第1通信機を保持した前記監視対象を識別可能に示す情報である対象識別情報とが対応付けられた管理データを記憶する記憶部と、前記監視映像に含まれる撮影対象の位置を特定する監視映像処理部と、前記第2通信機が受信した前記識別情報を発信した前記第1通信機の位置を、前記第2通信機が検出した前記第1通信機からの電波の状態に基づいて特定する通信機特定部と、前記管理データと、前記監視映像処理部が特定した前記撮影対象の位置と、前記通信機特定部が特定した前記第1通信機の位置とに基づいて、前記撮影対象と前記第1通信機を保持する前記監視対象との対応を特定することにより、前記監視映像に含まれる前記監視対象の個体識別を行う個体識別部と、を備える。
【0008】
上記課題を解決する監視対象識別システムは、監視領域内を撮影して監視映像として出力する撮影端末と、監視対象に保持される第1通信機と、前記撮影端末の撮影範囲内に位置する前記第1通信機からその識別情報を近距離での無線通信によって受信する第2通信機と、前記撮影端末および前記第2通信機と接続された監視対象識別装置と、を備える監視対象識別システムであって、前記監視対象識別装置は、前記第1通信機の識別情報と、当該第1通信機を保持した前記監視対象を識別可能に示す情報である対象識別情報とが対応付けられた管理データを記憶する記憶部と、前記監視映像に含まれる撮影対象の位置を特定する監視映像処理部と、前記第2通信機が受信した前記識別情報を発信した前記第1通信機の位置を、前記第2通信機が検出した前記第1通信機からの電波の状態に基づいて特定する通信機特定部と、前記管理データと、前記監視映像処理部が特定した前記撮影対象の位置と、前記通信機特定部が特定した前記第1通信機の位置とに基づいて、前記撮影対象と前記第1通信機を保持する前記監視対象との対応を特定することにより、前記監視映像に含まれる前記監視対象の個体識別を行う個体識別部と、を備える。
【0009】
上記課題を解決する監視対象識別方法は、撮影端末が、監視領域内を撮影して、その映像である監視映像を監視対象識別装置に出力することと、監視対象に保持される第1通信機が、前記第1通信機の識別情報を発信することと、第2通信機が、前記撮影端末の撮影範囲内に位置する前記第1通信機から前記識別情報を近距離での無線通信によって受信して、当該識別情報と、前記第2通信機が検出した前記第1通信機からの電波の状態を示す情報とを前記監視対象識別装置に出力することと、前記監視対象識別装置が、前記監視映像に含まれる撮影対象の位置を特定することと、前記監視対象識別装置が、前記第2通信機が受信した前記識別情報を発信した前記第1通信機の位置を、前記電波の状態を示す情報に基づいて特定することと、前記監視対象識別装置が、前記第1通信機の識別情報と、当該第1通信機を保持した前記監視対象を識別可能に示す情報である対象識別情報とが対応付けられたデータと、特定した前記撮影対象の位置と、特定した前記第1通信機の位置とに基づいて、前記撮影対象と前記第1通信機を保持する前記監視対象との対応を特定することにより、前記監視映像に含まれる前記監視対象の個体識別を行うことと、を含む。
【0010】
上記構成によれば、監視映像が含む撮影対象の位置の特定と、第1通信機からの電波の状態を利用した第1通信機の位置の特定に基づく監視対象の位置の特定との連携によって、監視映像に含まれる監視対象の個体識別が可能となる。したがって、監視映像のみによっては、監視映像に含まれる監視対象の個体識別が困難な状況においても、当該監視対象の個体識別が可能である。
【0011】
上記構成において、前記第1通信機は、自発的に電波を発する発信機であり、前記第2通信機は、当該電波を受信する受信機であってもよい。
上記構成によれば、第1通信機が、第2通信機からの電波を受けて起動する場合と比較して、第1通信機と第2通信機との通信が可能な距離や向きについての制約が小さい。したがって、監視対象識別システムの汎用性が高められる。
【0012】
上記監視対象識別装置において、前記監視対象識別装置は、表示装置と接続され、前記監視映像と、前記撮影対象との対応が特定された前記監視対象の前記対象識別情報を、前記監視映像における当該撮影対象の位置と対応付けて示す情報とを含む画像の表示データを生成する表示データ生成部と、前記表示データを前記表示装置に出力する出力部と、を備えてもよい。
【0013】
上記構成によれば、表示装置の利用者は、表示装置に表示される画像を見ることによって、監視映像に含まれる監視対象の個々の識別を容易に把握することができる。
上記監視対象識別装置において、前記監視映像処理部が位置を特定した前記撮影対象のなかに、前記個体識別部による前記監視対象との対応の特定ができない対象が含まれるとき、外部への通知を行ってもよい。
【0014】
上記構成によれば、第1通信機を保持していない対象、すなわち、監視領域に存在することが想定されていない対象が監視領域に侵入していることを、外部の監視者等が把握することができる。
【0015】
上記監視対象識別装置において、前記監視対象識別装置は、表示装置と接続され、前記監視映像処理部が位置を特定した前記撮影対象のなかに、前記個体識別部による前記監視対象との対応の特定ができない対象である未確認対象が含まれるとき、前記監視映像と、前記監視映像における前記未確認対象の位置を示す情報とを含む画像の表示データを生成する表示データ生成部と、前記表示データを前記表示装置に出力する出力部と、を備えてもよい。
【0016】
上記構成によれば、表示装置の利用者は、表示装置に表示される画像を見ることによって、監視領域に存在することが想定されていない対象が監視領域に侵入していることを視覚的に把握できる。したがって、こうした対象の侵入に配する対処を的確に進めやすい。
【0017】
上記監視対象識別装置において、前記監視映像処理部による前記撮影対象の特定の処理には、人工知能が利用されてもよい。
上記構成によれば、監視映像に含まれる撮影対象をより正確に特定することができる。
【0018】
上記監視対象識別装置において、前記電波の状態には、前記第2通信機が検出した前記電波の強度および方向が含まれてもよい。
上記構成によれば、第2通信機に対する第1通信機の距離と方向との算出が可能であるため、第1通信機の位置の的確な特定が可能である。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、監視映像に含まれる対象の個体識別を可能とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】監視対象識別システムの一実施形態について、監視対象識別システムの全体構成を示す図。
図2】一実施形態の監視情報管理サーバ、登録端末、および、監視端末の各々の構成を示す図。
図3】一実施形態の発信機管理データの一例を示す図。
図4】一実施形態の監視映像表示システムにおける発信機管理データの登録の手順を示すシーケンスチャート。
図5】一実施形態の監視映像表示システムにおける監視対象の個体識別の手順を示すシーケンスチャート。
図6】一実施形態の監視映像表示システムにおいて特定される発信機の位置を模式的に示す図。
図7】一実施形態の監視映像表示システムにおける発信機の配置の一例を示す図。
図8】一実施形態の監視映像表示システムにおける発信機の配置の一例を示す図。
図9】一実施形態の監視映像表示システムにおいて特定される撮影対象の位置を模式的に示す図。
図10】一実施形態の監視映像表示システムにおける統合画像の表示の手順を示すシーケンスチャート。
図11】一実施形態の監視映像表示システムにおける統合画像の一例を示す図。
図12】一実施形態の監視映像表示システムにおける統合画像の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1図12を参照して、監視対象識別装置、監視対象識別システム、および、監視対象識別方法の一実施形態について説明する。
[監視対象識別システムの構成]
図1を参照して、監視対象識別システムの全体構成について説明する。
【0022】
図1が示すように、監視対象識別システムは、監視対象識別装置の一例である監視情報管理サーバ10、撮影端末20、受信機30、発信機40、登録端末50、および、監視端末60を含む。発信機40は、第1通信機の一例であり、受信機30は、第2通信機の一例である。撮影端末20、受信機30、発信機40、登録端末50、および、監視端末60の各々の数は、1以上であればよい。
【0023】
監視情報管理サーバ10と、撮影端末20、受信機30、登録端末50、および、監視端末60とはネットワークに接続され、監視情報管理サーバ10は、これらの装置の各々とネットワークを通じて相互にデータの送信および受信を行う。各装置の通信に用いられるネットワークは、独立した複数のネットワークを含んでいてもよいし、共通した1つのネットワークであってもよい。これらのネットワークは、インターネット等の汎用通信回線であってもよいし、各装置の通信のための専用通信回線であってもよい。
【0024】
撮影端末20は、動画の撮影機能と、ネットワークを通じて監視情報管理サーバ10にデータを送信する機能とを有する。撮影端末20は、ネットワークカメラに具体化される。撮影端末20は、撮影端末20の識別情報である撮影端末IDを記憶している。撮影端末IDは、撮影端末20ごとに固有の情報であり、撮影端末20に予め記憶されている。
【0025】
撮影端末20は、撮影によって生成された動画データを、撮影端末20が記憶している撮影端末IDとともに、逐次、すなわち、リアルタイムで監視情報管理サーバ10に送信する。
【0026】
受信機30は、近距離での無線通信によって、発信機40からデータを受信する機能と、ネットワークを通じて監視情報管理サーバ10にデータを送信する機能とを有する。上記無線通信の通信規格としては、Bluetooth(登録商標)が用いられ、特に、BLE(Bluetooth Low Energy)が用いられることが好ましい。Bluetoothに対応する受信機30と発信機40との各々は、バッテリーを内蔵し、発信機40は、自発的に電波を発信して、当該電波を受信機30が受信する。
【0027】
詳細には、受信機30は、発信機40の識別情報である発信機IDを発信機40から受信する。受信機30を基準とする範囲のなかで、発信機40の発する電波が受信機30に届く範囲が、受信機30の受信範囲である。受信機30は、その受信機30の受信範囲内に位置する発信機40から、発信機40が発する電波を搬送波として、所定の間隔で発信される発信機IDを受信する。
【0028】
また、受信機30は、受信機30の識別情報である受信機IDを記憶している。受信機IDは、受信機30ごとに固有の情報であり、受信機30に予め記憶されている。
受信機30は、発信機40から発信機IDを受信すると、発信機IDを、受信機30が記憶している受信機IDとともに、監視情報管理サーバ10に送信する。このとき、受信機30は、発信機IDの受信の際に検出した発信機40からの電波の強度を示す電波強度情報と、上記電波が伝播してきた方向を示す電波方向情報とを、監視情報管理サーバ10に併せて送信する。
【0029】
撮影端末20と受信機30とは、監視が行われる領域である監視領域に設置される。監視領域は、例えば、工場、工事現場、医療現場等において作業者が各種の作業を行う領域であり、こうした作業者である監視対象の行動の監視が望まれる領域である。
【0030】
監視領域は、区画された複数の部屋を含んでいてもよいし、区切りのない連続した1つの空間であってもよいし、互いに離間した複数の空間を含んでいてもよい。また、監視領域は屋内であってもよいし、屋外であってもよい。
【0031】
受信機30は、その受信範囲が、監視領域内に広がるように設置される。監視対象識別システムが複数の受信機30を含む場合、複数の受信機30は、各受信機30の受信範囲が、監視領域内の互いに異なる領域となり、これらの受信機30の受信範囲を合わせた範囲が監視領域の全域に広がるように、設置される。なお、各受信機30の受信範囲の一部は、他の受信機30の受信範囲の一部と重なっていてもよい。
【0032】
撮影端末20によって撮影される範囲が撮影範囲であり、撮影端末20は、その撮影範囲が、監視領域内に広がるように設置される。監視対象識別システムが複数の撮影端末20を含む場合、複数の撮影端末20は、各撮影端末20の撮影範囲が、監視領域内の互いに異なる領域となり、これらの撮影端末20の撮影範囲を合わせた範囲が監視領域の全域に広がるように、設置される。なお、各撮影端末20の撮影範囲の一部は、他の撮影端末20の撮影範囲の一部と重なっていてもよい。
【0033】
撮影端末20ごとの撮影範囲の各々は、1以上の受信機30の受信範囲と重なる。以下では、例として、1つの撮影端末20の撮影範囲と1つの受信機30の受信範囲とが重なる場合について説明する。すなわち、1つの撮影端末20と1つの受信機30とが対応付けられる。
【0034】
具体的には、例えば、図1が示すように、区画された2つの領域である領域RAと領域RBとから監視領域が構成され、領域RAには撮影端末IDがC01である撮影端末20が設置され、領域RBには撮影端末IDがC02である撮影端末20が設置されている。すなわち、C01の撮影端末20によって領域RAが撮影され、C02の撮影端末20によって領域RBが撮影される。そして、領域RAには、受信機IDがBR01である受信機30が設置され、領域RBには、受信機IDがBR02である受信機30が設置されている。BR01の受信機30の受信範囲は、領域RAの全体とほぼ重なり、すなわち、C01の撮影端末20の撮影範囲の全体とほぼ重なる。BR02の受信機30の受信範囲は、領域RBの全体とほぼ重なり、すなわち、C02の撮影端末20の撮影範囲の全体とほぼ重なる。このように、撮影範囲と受信範囲との重なりによって、撮影端末20と受信機30とが対応付けられる。
【0035】
発信機40は、受信機30に対応した無線通信によるデータの送信機能を有する。具体的には、発信機40は、データの搬送波となる電波を継続的に発信し、当該データとして発信機IDを所定の間隔で発信する。発信機IDは、発信機40自体の存在を発信機40の周囲に通知するための信号として機能する。発信機IDは、発信機40ごとに固有の情報であり、発信機40に予め記憶されている。
【0036】
発信機40は、監視対象、すなわち、監視領域で作業を行う作業者に携帯される。発信機40は、監視対象ごとに1つずつ割り当てられる。
登録端末50は、監視対象と発信機40との対応付けに用いられる端末であり、発信機40に対応した無線通信によるデータの受信機能と、ネットワークを通じて監視情報管理サーバ10との間でデータを送受信する機能とを有する。例えば、登録端末50は、パーソナルコンピュータやタブレット端末やスマートフォンに具体化される。
【0037】
監視端末60は、表示装置の一例である。監視端末60は、撮影端末20が監視領域内を撮影した動画である監視映像の確認に用いられる端末であり、ネットワークを通じて監視情報管理サーバ10との間でデータを送受信する機能、および、監視情報管理サーバ10から受信したデータに基づいて画像を表示する機能を有する。監視端末60は、例えば、パーソナルコンピュータやタブレット端末やスマートフォンに具体化される。
【0038】
監視情報管理サーバ10は、撮影端末20および受信機30から受信した情報に基づき、監視映像に含まれる監視対象の個体識別を行うサーバである。また、監視情報管理サーバ10は、監視端末60からの要求に応じて生成した表示データを監視端末60に送信する。表示データは、監視映像を含む画像である統合画像を監視端末60に表示させるためのデータである。
【0039】
[各装置の詳細構成]
図2を参照して、監視情報管理サーバ10、登録端末50、および、監視端末60の詳細構成について説明する。
【0040】
監視情報管理サーバ10は、通信部11と、記憶部12と、制御部13とを備えている。
通信部11は、ネットワークを通じて、監視情報管理サーバ10と上述の各装置との接続処理を実行し、監視情報管理サーバ10と各装置との間でデータの送信および受信を行う。通信部11は、撮影端末20および受信機30から情報を受信する受信部、および、表示データを監視端末60に出力する出力部として機能する。
【0041】
記憶部12は、ハードディスクドライブ等の不揮発性メモリを含む構成を有し、制御部13が実行する処理に必要なプログラムやデータを記憶している。こうしたデータの一部として、記憶部12は、受信機管理データ12a、発信機管理データ12b、監視映像データ12c、および、検知データ12dを記憶している。
【0042】
受信機管理データ12aは、受信範囲と撮影範囲とが重なる受信機30と撮影端末20との対応付けを管理するためのデータを含む。例えば、受信機管理データ12aにおいては、受信機IDと撮影端末IDとが対応付けられている。また、受信機管理データ12aは、互いに対応付けられている受信機30と撮影端末20とについて、受信機30および撮影端末20が位置する空間内の位置を、例えば三次元直交座標系を用いて管理するためのデータを含む。
【0043】
発信機管理データ12bは、発信機40と、発信機40を保持する監視対象との対応付けを管理するためのデータであり、発信機管理データ12bでは、発信機IDと、監視対象に関する情報である対象情報とが対応付けられている。
【0044】
監視映像データ12cは、撮影端末20にて撮影された監視映像を示す動画データを、監視映像を撮影した撮影端末20の撮影端末IDと対応付けて管理するデータである。上記動画データは、監視映像の撮影された時刻を示す時刻情報を含む。
【0045】
検知データ12dは、監視情報管理サーバ10が、撮影端末20による監視映像の撮影中に受信機30から取得した情報、および、監視情報管理サーバ10が、上記情報と監視映像との解析によって取得した情報を含む。具体的には、検知データ12dは、受信機30が受信した発信機IDおよびその発信機IDの受信が継続されていた期間、監視映像に含まれる監視対象の識別結果等を含む。
【0046】
制御部13は、CPUや、RAM等の揮発性メモリを含む構成を有し、記憶部12に記憶されたプログラムやデータに基づいて、通信部11による通信の制御、記憶部12における情報の読み出しや書き込み、各種の演算処理等、監視情報管理サーバ10が備える各部の制御を行う。こうした制御部13は、管理データ登録部13a、監視映像処理部13b、受信機情報処理部13c、および、表示データ生成部13dを備えている。
【0047】
管理データ登録部13aは、登録端末50から監視情報管理サーバ10が受信した発信機IDと対象情報とを対応付けて、発信機管理データ12bとして記憶部12に記憶させる。また、管理データ登録部13aは、受信機管理データ12aを生成して記憶部12に記憶させる。受信機管理データ12aの生成に要する受信機IDや撮影端末IDの入力は、監視情報管理サーバ10とネットワークを介して接続された任意のコンピュータ端末を通じて行われればよい。
【0048】
受信機管理データ12aは、撮影端末20による監視領域の撮影が開始される前に構築され、発信機管理データ12bは、監視対象が監視領域に入る前に構築される。
監視映像処理部13bは、撮影端末20から監視情報管理サーバ10が受信した監視映像を解析して、監視映像に含まれる撮影対象の種類を識別し、撮影対象の位置を特定する。こうした識別には、人工知能(AI:Artificial Intelligence)が利用されることが好ましい。具体的には、例えば、YOLO等の物体検出(Real Time Object Detection)技術が用いられる。撮影対象の種類とは、例えば、人物、所定の物品といった分類であり、識別される撮影対象の種類は、人工知能のプログラムにて予め設定されていればよい。監視対象が人物である場合、監視映像処理部13bは、監視映像に含まれる対象のうち、少なくとも人物である撮影対象を検出する。
【0049】
また、監視映像処理部13bは、監視映像を示す動画データを撮影端末IDと対応付けて、監視映像データ12cとして記憶部12に記憶させる。
受信機情報処理部13cは、通信機特定部および個体識別部として機能する。具体的には、受信機情報処理部13cは、受信機30から監視情報管理サーバ10が受信した電波強度情報および電波方向情報を用いて、受信機30が受信した発信機IDに対応する発信機40の位置を特定する。さらに、受信機情報処理部13cは、発信機40の位置の特定結果と、監視映像処理部13bによる撮影対象の検出結果と、発信機管理データ12bとを照らし合わせて、監視映像に含まれる監視対象の個体識別を行う。
【0050】
また、受信機情報処理部13cは、受信機30から受信した情報や、監視対象の個体識別の結果を、検知データ12dとして記憶部12に記憶させる。監視映像データ12cと検知データ12dとは、撮影端末20による監視領域の撮影中に逐次構築される。
【0051】
表示データ生成部13dは、監視端末60からの要求に応じて、記憶部12に記憶されている各データを用いて、表示データを生成する。表示データは、通信部11を介して、監視端末60に送信される。
【0052】
なお、制御部13において、管理データ登録部13a、監視映像処理部13b、受信機情報処理部13c、および、表示データ生成部13dの各々は、複数のCPUや、RAM等からなるメモリ等の各種のハードウェアと、これらを機能させるソフトウェアとによって各別に具体化されてもよく、あるいは、共通する1つのハードウェアに複数の機能を与えるソフトウェアによって具体化されてもよい。こうしたソフトウェアは、監視情報管理プログラムとして、記憶部12に記憶される。
【0053】
登録端末50は、通信を制御する通信部51、利用者の操作を受け付ける操作部52、画像を表示する表示部53、および、プログラムやデータを記憶する記憶部54、これらの各部の制御や演算処理を記憶部54に記憶されたプログラムやデータに基づいて行う制御部55を備えている。記憶部54は、不揮発性メモリを含む構成を有し、制御部55は、CPUおよびRAM等の揮発性メモリを含む構成を有する。
【0054】
通信部51は、ネットワークを通じて、登録端末50と監視情報管理サーバ10とを接続し、これらの装置の間でのデータの送受信を行う機能と、発信機40に対応した近距離での無線通信を利用して、登録端末50と発信機40とを接続し、これらの装置の間でのデータの送受信を行う機能とを有している。
【0055】
通信部51は、上記無線通信によって、発信機40から発信機IDを受信する。また、操作部52に対する操作を通じて、登録端末50には対象情報が入力され、制御部55は、発信機IDと対象情報とを、通信部51から監視情報管理サーバ10に送信させる。
【0056】
監視端末60は、通信を制御する通信部61、利用者の操作を受け付ける操作部62、画像を表示する表示部63、プログラムやデータを記憶する記憶部64、および、これらの各部の制御や演算処理を記憶部64に記憶されたプログラムやデータに基づいて行う制御部65を備えている。記憶部64は、不揮発性メモリを含む構成を有し、制御部65は、CPUおよびRAM等の揮発性メモリを含む構成を有する。
【0057】
通信部61は、ネットワークを通じて、監視端末60と監視情報管理サーバ10とを接続し、これらの装置の間でのデータの送受信を行う機能を有する。また、通信部61は、監視情報管理サーバ10から表示データを受信し、制御部65は、表示データを用いて表示部63に画像を表示させる。
【0058】
なお、登録端末50の制御部55、および、監視端末60の制御部65の各々の機能は複数のCPUや、RAM等からなるメモリ等の各種のハードウェアと、これらを機能させるソフトウェアとによって各別に具体化されてもよく、あるいは、共通する1つのハードウェアに複数の機能を与えるソフトウェアによって具体化されてもよい。こうしたソフトウェアは、各端末にインストールされたアプリケーションソフトウェアであってもよいし、監視情報管理サーバ10からウェブアプリケーションとして提供されたアプリケーションソフトウェアであってもよい。
【0059】
また、登録端末50の担う機能と監視端末60の担う機能とが、1つのコンピュータ端末によって実現されてもよい。すなわち、登録端末50と監視端末60とは同一の端末であってもよい。
【0060】
[発信機管理データの構成]
図3を参照して、監視情報管理サーバ10に記憶される発信機管理データ12bのデータ構成について説明する。
【0061】
図3が示すように、発信機管理データ12bは、発信機IDと対象情報とを含み、発信機IDと対象情報とは互いに対応付けられている。対象情報には、監視対象を識別可能に示す情報である対象識別情報が含まれる。対象識別情報は、例えば、監視対象である作業員ごとに割り当てられた識別情報である対象IDや、監視対象の氏名、ニックネーム等である。対象情報は、対象識別情報に加えて、監視対象の属性を示す情報をさらに含んでいてもよい。監視対象の属性を示す情報は、例えば、監視対象の属するグループや、監視対象の役職や役割等を含む。
【0062】
発信機管理データ12bにて、発信機IDと対応付けられている対象情報は、その発信機IDを有する発信機40が割り当てられて、当該発信機40を保持している監視対象についての情報である。例えば、図3に示す例では、BC01の発信機IDが、対象情報における対象識別情報として、P01の対象IDおよび「秋葉一郎」という監視対象の氏名と対応付けられている。これは、BC01という発信機IDの発信機40を保持する監視対象に割り当てられた対象IDがP01であり、当該監視対象の氏名が「秋葉一郎」であることを示す。
【0063】
対象識別情報は、発信機IDごとに異なる。一方、監視対象の属性を示す情報は、複数の発信機IDに対して共通に設定されていてもよい。
[監視対象識別システムの動作]
図4図12を参照して、監視対象識別システムの動作、すなわち、監視対象識別方法の手順について説明する。監視対象識別システムの動作には、発信機管理データ12bの登録の処理と、監視対象の個体識別の処理と、統合画像の表示の処理とが含まれる。なお、受信機管理データ12aは、撮影端末20による監視領域の撮影が開始される前に適宜のタイミングで構築される。
【0064】
まず、発信機管理データ12bの登録の処理について、図4を参照して説明する。発信機管理データ12bの登録の処理は、換言すれば、監視対象の登録の処理であり、例えば、工場等において作業者が作業を開始する前に、登録端末50と監視情報管理サーバ10との協働により行われる。図4に示す処理は、監視対象となる作業者ごとに行われる。図4に示す各ステップの処理は、例えば、所定の操作に基づき監視対象の登録のための画面が登録端末50に表示され、この画面の指示に従った操作を作業者や登録の管理者が行うことにより、実施される。
【0065】
図4が示すように、登録端末50の操作を通じて、登録端末50に対象情報が入力される(ステップS10)。すなわち、監視対象となる作業者の氏名等が登録端末50に入力される。なお、登録端末50に入力される対象情報は、発信機管理データ12bにて発信機IDに対応付けられる対象情報の一部であってもよく、例えば、対象IDは登録端末50に入力されず、発信機管理データ12bの登録時に監視情報管理サーバ10の管理データ登録部13aによって割り当てられればよい。
【0066】
続いて、監視対象となる作業者に割り当てられる発信機40が登録端末50に近づけられることに基づいて、近距離での無線通信を通じて、登録端末50は、この発信機40の発信機IDを取得する(ステップS11)。
【0067】
なお、対象情報の入力と発信機IDの取得との順序は上記順序に限定されず、登録端末50が発信機IDを取得した後に、登録端末50に対象情報が入力されてもよい。
対象情報と発信機IDとを取得すると、登録端末50は、ネットワークを通じて、対象情報と発信機IDとを監視情報管理サーバ10に送信する(ステップS12)。対象情報と発信機IDとを受信すると、監視情報管理サーバ10の管理データ登録部13aは、対象情報と発信機IDとを対応付けて、発信機管理データ12bとして記憶部12に記憶させる。このとき、管理データ登録部13aは対象情報と発信機IDとの組ごとに、対象IDを割り当て、対象IDを対象情報に含めて、発信機管理データ12bを生成する。
【0068】
これにより、監視対象の登録、すなわち、発信機管理データ12bの登録が完了する。登録に用いられた発信機40は、監視対象である作業者、すなわち、登録端末50に入力された対象情報に対応する監視対象に渡され、監視対象に携帯される。
【0069】
次に、監視対象の個体識別の処理について、図5図9を参照して説明する。
図5が示すように、撮影端末20は、監視領域の撮影を開始すると(ステップS20)、撮影によって生成された監視映像の動画データを、撮影端末20の撮影端末IDとともに、ネットワークを通じて、監視情報管理サーバ10に送信する(ステップS21)。
【0070】
また、受信機30は、受信範囲内に位置する発信機40から発信機IDを受信すると(ステップS22)、発信機IDと電波強度情報および電波方向情報とを、受信機30の受信機IDとともに、監視情報管理サーバ10に送信する(ステップS23)。こうした受信機30から監視情報管理サーバ10への発信機IDを含む情報の送信は、例えば、所定の間隔で、その時点において受信機30が受信しているすべての発信機IDについて、発信機IDと電波強度情報および電波方向情報とを監視情報管理サーバ10へ送信することにより行われる。
【0071】
監視映像の動画データを受信すると、監視情報管理サーバ10の監視映像処理部13bは、監視映像を解析して、撮影対象の種類ごとに、監視映像に含まれる撮影対象を検出する(ステップS24)。これにより、監視映像において、撮影対象の種類と位置とが特定される。具体的には、監視映像において、人物である撮影対象の位置が特定される。
【0072】
受信機30から情報を受信すると、監視情報管理サーバ10の受信機情報処理部13cは、電波強度情報および電波方向情報を用いて、受信機30が受信した発信機IDに対応する発信機40の位置を特定する(ステップS25)。
【0073】
続いて、受信機情報処理部13cは、互いに対応付けられている撮影端末20と受信機30とについて、ステップS24の撮影対象の検出結果と、ステップS25の発信機40の位置の特定結果と、発信機管理データ12bとを用いて、監視映像に含まれる監視対象の個体識別を行う(ステップS26)。
【0074】
監視情報管理サーバ10は、撮影端末20および受信機30から受信した各種のデータ、および、こうしたデータの解析によって得られた監視対象の個体識別結果等のデータを、記憶部12に記憶させる(ステップS27)。
【0075】
なお、ステップS24の処理とステップS25の処理との順序は特に限定されない。ステップS24~ステップS27の処理は、撮影端末20および受信機30から監視情報管理サーバ10が動画データ等の情報を受信し続けている間、繰り返し行われる。
【0076】
また、監視対象識別システムが複数の撮影端末20を含む場合、上記ステップS21およびステップS24の処理は、撮影端末20ごとに行われ、監視対象識別システムが複数の受信機30を含む場合、上記ステップS23およびステップS25の処理は、受信機30ごとに行われる。そして、互いに対応付けられている撮影端末20と受信機30、すなわち、撮影範囲と受信範囲とが重なる撮影端末20と受信機30とについて、当該撮影端末20が撮影した監視映像に対するステップS24の撮影対象の検出結果と、当該受信機30が受信した発信機IDに対応するステップS25の発信機40の位置の特定結果とを用いて、ステップS26の監視対象の個体識別が行われる。撮影端末20と受信機30との対応付けは、受信機管理データ12aに基づいて特定される。
【0077】
図6図9を参照して、上記図5のフローにて説明したステップS24の撮影対象の検出およびステップS25の発信機40の位置の特定の処理と、ステップS26の監視対象の個体識別の処理との詳細を説明する。
【0078】
発信機40の位置の特定の処理では、受信機30が発信機IDを受信したときの、当該発信機IDを搬送する発信機40からの電波の電波強度情報および電波方向情報が用いられる。そして、図6が示すように、受信機30の位置を基準とした発信機40の位置が特定される。詳細には、電波強度情報を用いることにより、受信機30から発信機40までの距離Lが算出される。また、電波方向情報を用いることにより、受信機30を中心とする三次元直交座標系において、受信機30に対して発信機40が位置する方向が算出される。例えば、上記三次元直交座標系のx軸方向およびy軸方向が監視領域における水平方向に沿った方向に設定され、z軸方向が監視領域における垂直方向に沿った方向に設定される場合、受信機30に対する発信機40の水平方向での方位角θ1および垂直方向での仰俯角θ2が算出されることに基づき、受信機30に対して発信機40が位置する方向が求められる。これにより、受信機30に対する発信機40の位置が特定される。
【0079】
なお、図6では、理解を容易にするために、仰俯角θ2を仰角として示しているが、受信機30は、天井等のように監視領域の上部に設置されることが好ましく、この場合、仰俯角θ2は俯角となる。
【0080】
受信機30が複数の発信機40の発信機IDを受信した場合には、発信機IDごとに、電波強度情報および電波方向情報を用いて、発信機IDに対応する発信機40の位置の特定が行われる。図7が示すように、受信機30に対して同一の方向に複数の発信機40が存在する場合でも、電波強度情報の違いによって、受信機30と各発信機40のとの距離の違いが検出されるため、各発信機40の識別が可能である。また、図8が示すように、受信機30から同一の距離に複数の発信機40が存在する場合でも、電波方向情報の違いによって、受信機30に対して各発信機40が位置する方向の違いが検出されるため、各発信機40の識別が可能である。このように、電波強度情報および電波方向情報を用いることによって、受信機30に対する発信機40の位置の的確な特定が可能である。
【0081】
一方で、監視映像の解析により、監視映像に含まれる撮影対象が種類ごとに検出され、これによって、監視映像内での撮影対象の位置が特定される。これに基づき、図9が示すように、撮影端末20を基準とした撮影対象Obの位置が算出される。監視映像に複数の撮影対象Obが含まれる場合には、各撮影対象Obの位置が特定される。
【0082】
例えば、撮影端末20を中心とする三次元直交座標系が予め設定され、これにより、監視領域における壁や柱等の固定物の位置座標が定められる。撮影対象Obを検出した際、さらに、固定物に対する撮影対象Obの位置関係を画像解析によって求めることにより、撮影対象Obの位置座標が得られる。
【0083】
監視対象の個体識別の処理では、受信機30を基準とする発信機40の位置と、撮影端末20を基準とする撮影対象Obの位置とが照らし合わされることによって、撮影対象Obと発信機40との対応が特定される。このとき、発信機40を保持している監視対象と同じ種類の撮影対象Obが、特定対象として選出される。具体的には、監視対象が人物であるとき、人物であると判定された撮影対象Obが、発信機40との対応が特定される対象となる。
【0084】
例えば、受信機30を基準とする三次元直交座標系の軸方向と、撮影端末20を中心とする三次元直交座標系の軸方向とが合わせられて、発信機40の位置と撮影対象Obの位置とが近接している場合に、当該発信機40と当該撮影対象Obとが対応すると判定される。撮影対象Obの位置は、点として特定されてもよいし、領域として特定されてもよい。撮影対象Obの位置が点として特定される場合、例えば、撮影対象Obが人物である場合にはその頭部や胴体部の略中央と判定される位置の点を撮影対象Obの位置としてもよいし、撮影対象Obの全体を囲む直方体や球体や楕円体が設定されてその重心を撮影対象Obの位置としてもよいし、撮影対象Obの外形や特徴部が抽出されてそこに位置する点の分布に基づき、撮影対象Obの位置を定めてもよい。また、撮影対象Obの位置が領域として特定される場合、例えば、撮影対象Obの全体を囲む直方体や球体や楕円体等の立体が設定されて、この立体の位置する領域が撮影対象Obの位置とされてもよいし、撮影対象Obの外形や特徴部が抽出されてそこに位置する点の分布に基づく範囲が、撮影対象Obの位置とされてもよい。
【0085】
撮影対象Obの位置が点として特定される場合、例えば、撮影対象Obの位置から所定の範囲内に、発信機40の位置が含まれる場合に、当該発信機40と当該撮影対象Obとが対応すると判定される。撮影対象Obの位置が領域として特定される場合、当該領域内に発信機40の位置が含まれる場合に、当該発信機40と当該撮影対象Obとが対応すると判定される。また、発信機40の位置も、点として特定されてもよいし、領域として特定されてもよい。
【0086】
なお、撮影対象Obの位置は、必ずしも三次元座標として規定される必要はなく、撮影端末20に対する撮影対象Obの距離および方向の一部によって規定されてもよい。例えば、監視領域にて、受信機30と撮影端末20とが同一の垂直軸上に配置される構成であれば、受信機30を基準とする座標系の軸方向と撮影端末20を基準とする座標系の軸方向とが物理的に合わせられる。撮影端末20が監視領域の上部に設置され、監視対象が地上に位置する人物である場合、垂直方向での撮影端末20に対する撮影対象Obの仰俯角を求めずとも、水平方向での撮影端末20に対する撮影対象Obの方位角が判明すれば、発信機40の位置との照らし合わせは可能である。
【0087】
このように、撮影端末20に対する撮影対象Obの位置は、上述した例に限らず、撮影端末20の配置や予想される監視対象の配置に応じて、発信機40の位置との照らし合わせが可能なように規定されればよい。
【0088】
互いに対応する撮影対象Obと発信機40とは、すなわち、当該撮影対象Obの位置から当該発信機40が電波を発していること、言い換えれば、当該撮影対象Obが当該発信機40を保持していることを示す。
【0089】
さらに、発信機管理データ12bの参照によって、発信機IDと対応付けられている対象情報が特定される。これにより、発信機IDを介して撮影対象Obと対象識別情報との対応が特定され、結果として、撮影対象Obに対応する対象識別情報、すなわち、撮影対象Obに対応する監視対象である個人が特定される。以上により、監視映像に含まれる監視対象の個体識別が完了する。なお、発信機IDと対応付けられている対象情報の特定は、撮影対象Obと発信機40との対応が特定される前に行われてもよい。
【0090】
また、監視映像において、監視対象と同じ種類、すなわち、人物として検出された撮影対象Obのなかには、発信機40との対応が特定できない撮影対象Ob、言い換えれば、撮影対象Obの位置に存在する発信機40が確認できない撮影対象Obがある場合があり得る。この場合、当該撮影対象Obの位置と、対応する発信機40が確認できなかったことを示す情報とが、検知データ12dに含められて記憶部12に記憶されることが好ましい。
【0091】
次に、統合画像の表示の処理について、図10を参照して説明する。統合画像の表示の処理は、監視端末60と監視情報管理サーバ10との協働により行われる。
図10が示すように、監視端末60の操作を通じて、監視端末60から監視情報管理サーバ10へ、統合画像が要求される(ステップS30)。監視対象識別システムに複数の撮影端末20が含まれる場合、いずれの撮影端末20が撮影した監視映像に基づく統合画像を要求するかが、監視端末60にて監視領域内の領域が指定されることによって決定されてもよい。
【0092】
監視端末60から要求を受けると、監視情報管理サーバ10の表示データ生成部13dは、記憶部12に記憶されている各データを用いて、表示データを生成する(ステップS31)。統合画像は、監視映像を、監視対象の個体識別結果と共に示す画像であり、表示データは、こうした統合画像を監視端末60に表示させるためのデータである。
【0093】
監視情報管理サーバ10は、生成した表示データを監視端末60に送信し(ステップS32)、監視端末60は、受信した表示データを用いて、表示部に統合画像を表示する(ステップS33)。これにより、監視端末60の利用者である監視者は、監視領域における監視対象の様子を、監視対象を個々に識別しつつ確認することができる。
【0094】
図11を参照して、統合画像の構成について説明する。図11が示すように、統合画像IMは、撮影端末20が撮影した監視映像Iaと、監視映像に含まれる監視対象の位置および当該監視対象に対応する対象識別情報を示す識別情報Ibとを含む。識別情報Ibは、上述の監視対象の個体識別の処理の結果、互いに対応するとして特定された撮影対象Obと対象識別情報とについて、監視映像内での撮影対象Obの位置を示すとともに、この位置と対応付けて対象識別情報を示す。
【0095】
表示データ生成部13dは、監視映像Iaと同一の画面に識別情報Ibを表示させるように、統合画像IMの表示のための表示データを生成する。こうした表示データは、例えば、複数のレイヤーの合成によって、監視映像Iaと重ねて識別情報Ibを表示させるデータであってもよいし、監視映像Iaと識別情報Ibの少なくとも一部とを、1つの画面内における互いに異なる領域に表示させるデータであってもよい。
【0096】
図11が示す例では、監視映像Iaに含まれる撮影対象Obを囲む表示によって監視対象の位置が識別可能に示され、かつ、当該表示の付近に、監視対象の名前である対象識別情報が表示される。これにより、監視端末60にて統合画像IMを見る監視者は、監視映像に含まれる各撮影対象Obが監視対象のうちの誰であるかを個々に識別しつつ、監視対象の様子を確認することができる。
【0097】
また、監視映像にて人物として検出された撮影対象Obのなかに、発信機40との対応が確認できない撮影対象Obが存在する場合、図12が示すように、統合画像IMには、当該撮影対象Obの位置および当該撮影対象Obに対応する対応識別情報が特定できないことを示す非識別情報Icが含められることが好ましい。表示データ生成部13dは、監視映像Iaと同一の画面に非識別情報Icを表示させるように、統合画像IMの表示のための表示データを生成する。
【0098】
発信機40との対応が確認できない撮影対象Obが存在することは、すなわち、当該撮影対象Obが発信機40を保持していないことを示し、当該撮影対象Obが、部外者等のように、監視領域に存在することが想定されていない人物である可能性が高いことを示唆する。統合画像IMに非識別情報Icが含められることによって、監視者は、こうした撮影対象Obの存在を容易に把握することができるため、監視領域に存在すべきではない人物が監視領域に侵入していることを早期に発見し、対処することができる。
【0099】
なお、監視映像内に、発信機40との対応が確認できない撮影対象Obが存在した場合、監視情報管理サーバ10は、監視端末60に音声や文字による警告を行わせてもよいし、メール等によって監視者への通知を行ってもよい。このように、統合画像IMにおける非識別情報Icの表示や、上記警告や、上記通知によって、発信機40との対応が確認できない撮影対象Obが存在することが外部に通知される。
【0100】
以上のように、本実施形態によれば、監視映像での撮影対象の位置の特定と、発信機40の位置の特定に基づく監視対象の位置の特定との連携によって、監視映像に含まれる監視対象の個体識別が可能となる。言い換えれば、監視映像にて位置が特定された撮影対象に、電波の状態から特定される位置に基づき発信機40を対応させることで、撮影対象と発信機40を保持する監視対象との対応が特定できる。
【0101】
そして、監視映像と共に、監視対象の個体識別結果が、統合画像として監視端末60に表示される。したがって、監視映像のみによっては、監視映像に含まれる監視対象の個体識別が困難な状況においても、当該監視対象の個体識別が可能であり、監視対象を的確に監視することができる。
【0102】
特に、工場や工事現場、医療現場等の作業現場においては、作業者の服装やヘルメット等の装着品が、互いに異なる作業者の間で似通っていることも多い。こうした作業現場を撮影した映像のみを頼りにして、映像に含まれる人物を見分けることは、監視者にとって負担が大きいため、本実施形態の監視対象識別システムの利用によって、監視者の負担を大きく減じることができる。また、例えば、顔認識の技術を利用すれば、監視映像のみによって監視対象の人物の個体識別を行うことも可能ではあるが、顔認識により監視対象を識別するためには、監視対象の撮影の方向等、監視映像の撮影に求められる条件の制約が大きい。また、監視対象が帽子やマスク等のように作業上必要な共通の装着品を身に着けている場合には、識別の精度が低下せざるを得ない。これに対し、本実施形態によれば、撮影の条件や監視対象の装着品等による制約を受けることなく、監視対象の個体識別が可能であるため、有用性が高い。
【0103】
また、上述の説明では、発信機40を保持する監視対象が人物である場合を例示したが、発信機40を物品に取り付けることによって物品を監視対象とし、監視映像にて当該物品に対応する種類の撮影対象Obを検出することで、物品の個体識別も可能である。すなわち、発信機40を保持可能であるとともに、監視映像における検出が可能であれば、監視対象の種類は限定されない。監視対象が物品である場合、統合画像に含まれる対象識別情報は、対象IDや物品の名称等、監視対象を識別可能な情報であればよい。本実施形態では、近距離での無線通信を利用した発信機40と受信機30との情報の授受を通じて、監視対象の位置を特定するため、赤外線センサーを利用して監視対象を検出する場合と異なり、人物のみならず物品を監視対象とすることができる。
【0104】
特に、近距離での無線通信としてBLEが利用されることにより、受信機30は、当該受信機30を中心として、最大で半径が20m~30m程度の範囲にて、発信機40の電波を受信することが可能であり、この範囲内において所望の範囲に受信範囲を設定可能である。例えば、近距離での無線通信のシステムの他の例として、HF帯やUHF帯を利用したパッシブ型のRFIDのシステムが挙げられるが、こうしたシステムにおいて、受信機が発信機としてのRFIDタグを検知可能な範囲、すなわち、受信機とRFIDタグとの間の通信距離は、HF帯で最大約1m程度であり、UHF帯で最大約10m程度である。これと比較して、BLEが利用されることにより、受信機30の受信範囲の設定についての自由度が高まり、受信範囲を広く確保することが可能であるため、監視領域が大きい場合であっても、システムに要する受信機30の数を低減することができる。
【0105】
また、RFIDのシステムにおいて、受信機がRFIDタグを検知するためには、受信機とRFIDタグとが向かい合っている必要があるため、検知のための受信機とRFIDタグとの向きついての制約が大きい。これに対し、BLEが利用される構成であれば、検知のための受信機30と発信機40との向きによる制約が小さくなるため、受信機30の配置位置の設定に要する負荷が大きくなることや、検知のために監視対象の作業者の作業効率が低下することが抑えられる。さらに、近年、BLEに対応したスマートフォンやタブレット端末等の端末が増加しているため、登録端末50として用いることの可能な端末についての選択の自由度も高められる。したがって、BLEの利用によって、監視対象識別システムの汎用性が高められる。
【0106】
[統合画像の表示に関する他の形態]
監視端末60から監視情報管理サーバ10に統合画像を要求する際に、統合画像の生成についての条件である表示条件が指定されてもよい。監視情報管理サーバ10の表示データ生成部13dは、表示条件に応じた表示データを生成する。
【0107】
具体的には、表示条件には、監視映像の視聴のモードの指定と、監視映像の抽出の条件とが含まれる。視聴のモードは、ライブモードおよびアーカイブモードのいずれかである。ライブモードは、撮影端末20が撮影している監視映像を逐次、監視端末60に表示させるモードであり、すなわち、監視者が、撮影端末20が撮影している監視映像をリアルタイムで見るモードである。
【0108】
アーカイブモードは、撮影端末20が過去に撮影して監視情報管理サーバ10に記憶されている監視映像を監視端末60に表示させるモードであり、監視者が、撮影端末20が過去に撮影した監視映像を見るモードである。アーカイブモードの利用によって、監視者は、過去の監視領域や監視対象について、確認したい場所や対象を的確に確認することが可能である。したがって、監視者の利便性が高められ、過去の監視映像が、過去の監視領域における監視対象の記録として有効に利用できる。
【0109】
監視映像の抽出の条件には、監視領域内の領域を指定する情報、および、監視対象を指定する情報の少なくとも一方が含まれる。監視領域内の領域の指定は、例えば、撮影端末IDや受信機IDの指定を通じて行われ、監視対象の指定は、例えば、対象IDや対象識別情報や発信機IDの指定を通じて行われる。また、アーカイブモードが指定される場合、監視映像の抽出の条件には、監視映像が撮影された時刻を指定する時刻指定情報も含まれる。
【0110】
表示データ生成部13dは、表示条件としてライブモードが指定されているとき、撮影端末20から逐次受信している動画データを用いて、表示データを生成する。また、表示データ生成部13dは、表示条件としてアーカイブモードが指定されているとき、監視映像データ12cとして記憶部12に記憶されている動画データのうち、時刻指定情報にて指定される期間に撮影された動画データを用いて、表示データを生成する。
【0111】
また、表示データ生成部13dは、表示条件として監視領域内の領域が指定されているとき、指定された領域の監視映像を、統合画像の生成に用いる監視映像として抽出し、当該監視映像についての監視対象の個体識別結果を用いて、統合画像の表示データを生成する。監視領域内の領域の指定として受信機IDが指定される場合には、指定された領域の監視映像を撮影した撮影端末20は、受信機管理データ12aにおける受信機IDと撮影端末IDとの対応付けを参照することによって、特定できる。こうした構成によれば、監視領域内の特定の領域を指定して、その領域を撮影した監視映像Iaを識別情報Ibとともに監視端末60に表示させることができるため、監視者は、確認したい場所を容易に確認することができる。
【0112】
また、表示データ生成部13dは、表示条件として監視対象が指定されているとき、指定された監視対象が含まれる監視映像を、統合画像の生成に用いる監視映像として抽出し、当該監視映像についての監視対象の個体識別結果を用いて、統合画像の表示データを生成する。指定された監視対象が含まれる監視映像を撮影した撮影端末20は、発信機管理データ12bにおける対象IDおよび対象識別情報と発信機IDとの対応付け、検知データ12dにおける受信機30が受信した発信機IDの記録、および、受信機管理データ12aにおける受信機IDと撮影端末IDとの対応付けを参照することによって、特定できる。指定された監視対象が、互いに異なる撮影端末20の撮影範囲を移動する場合には、各撮影端末20が撮影した監視映像が繋ぎ合わされた映像が表示されるように、表示データが構成される。こうした構成によれば、特定の監視対象を指定して、その監視対象を撮影した監視映像Iaを識別情報Ibとともに監視端末60に表示させることができるため、監視者は、確認したい監視対象を容易に確認することができる。
【0113】
さらに、表示条件として監視領域内の領域と監視対象とが指定されている場合には、指定された領域、かつ、指定された監視対象が含まれる監視映像が、統合画像の生成に用いる監視映像として抽出される。
【0114】
以上説明したように、本実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(1)監視映像が含む撮影対象の位置の特定と、発信機40からの電波の状態を利用した発信機40の位置の特定に基づく監視対象の位置の特定との連携によって、監視映像に含まれる監視対象の個体識別が可能となる。
【0115】
(2)監視端末60に表示される統合画像IMが、監視映像Iaと、撮影対象との対応が特定された監視対象の対象識別情報を、監視映像における撮影対象の位置と対応付けて示す識別情報Ibとを含む。こうした構成によれば、監視者は、統合画像を見ることによって、監視映像に含まれる監視対象の個々の識別を容易に把握することができる。
【0116】
(3)監視映像において位置が特定された撮影対象のなかに、監視対象との対応の特定ができない撮影対象である未確認対象が含まれるとき、外部への通知が行われる。こうした構成であれば、監視領域に存在することが想定されていない対象が監視領域に侵入していることを、監視者等が把握することができる。
【0117】
(4)上記外部への通知として、統合画像IMに、監視映像における上記未確認対象の位置を示す非識別情報Icが含められる形態であれば、監視者は、監視領域に存在することが想定されていない対象が監視領域に侵入していることを視覚的に把握できる。したがって、こうした対象の侵入に配する対処を的確に進めやすい。
【0118】
(5)監視映像における撮影対象の種類および位置の特定の処理に、人工知能が利用される。こうした形態によれば、監視映像に含まれる撮影対象をより正確に特定することができる。
【0119】
(6)発信機40の位置の特定に用いられる電波の状態には、受信機30が検出した発信機40の電波の強度および方向が含まれる。こうした構成によれば、受信機30に対する発信機40の距離と方向との算出が可能であるため、発信機40の位置の的確な特定が可能である。
【0120】
[変形例]
上記実施形態は、以下のように変更して実施することが可能である。
・上記実施形態では、1つの撮影端末20と1つの受信機30とが対応付けられている例を説明したが、1つの撮影端末20と複数の受信機30とが対応付けられてもよいし、複数の撮影端末20と1つの受信機30とが対応付けられてもよい。換言すれば、1つの撮影端末20は、1つの受信機30の受信範囲を撮影してもよいし、複数の受信機30の受信範囲を撮影してもよい。また、1つの受信機30の受信範囲が、複数の撮影端末20によって撮影されてもよい。要は、監視映像での撮影対象の位置の特定と、発信機40の位置の特定に基づく監視対象の位置の特定との連携によって、撮影対象と監視対象とを対応させることが可能なように、撮影端末20と受信機30とが配置されるとともに、監視情報管理サーバ10における位置の演算のためのデータが設定されていればよい。
【0121】
・統合画像には、複数の監視映像Iaと、監視映像Iaごとの識別情報Ibとが含まれてもよい。例えば、表示条件として複数の領域や複数の監視対象が指定された場合や、1つの受信機30に複数の撮影端末20が対応付けられている場合には、複数の監視映像が抽出され、監視映像ごとの監視対象の個体識別結果を用いて、複数の監視映像を含む統合画像の表示データが生成される。
【0122】
・上記実施形態では、監視対象識別装置がサーバである例を説明したが、監視対象識別装置は、撮影端末20および受信機30と有線または無線にて接続されて情報を授受するコンピュータ端末であればよい。
【0123】
・監視端末60に表示される統合画像は、監視映像および対象識別情報に加えて、この対象識別情報とともに発信機IDに対応付けられている監視対象の属性を示す情報や、この対象識別情報に対応する発信機IDを受信している受信機30についての情報や、監視映像を撮影した撮影端末20についての情報を含んでもよい。すなわち、監視情報管理サーバ10の表示データ生成部13dは、これらの情報を1つの画面内に表示させるように、表示データを生成してもよい。
【0124】
・上記実施形態では、第1通信機として自発的に電波を発信する発信機40を用い、第2通信機として当該電波を受信する受信機30を用いた。これに限らず、第2通信機は、近距離での無線通信によって、第1通信機の識別情報を受信可能に構成されていればよく、当該無線通信は、電波の状態によって第1通信機の位置を特定可能な無線通信であればよい。例えば、第1通信機は、第2通信機からの電波を受けて起動して、第1通信機の識別情報を第2通信機に反射し、その結果、第2通信機が第1通信機の識別情報を受信してもよい。第1通信機は監視対象に保持され、第2通信機は監視領域内に設置される。
【0125】
具体的には、第1通信機と第2通信機との間における情報の授受に用いられる無線通信は、BLEに限らず、例えば、RFIDのシステムにて用いられる、HF帯やUHF帯を利用した非接触通信であってもよい。この場合、第1通信機として、RFIDシステムにて利用されるICタグ等の通信媒体が用いられ、第2通信機として、RFIDシステムにて利用されるリーダー/ライター装置等の通信機器が用いられる。そして、通信機器が発する電波を利用したコマンド通信により、通信機器は通信媒体からその識別情報を含むレスポンスを受信する。通信機器が通信媒体からレスポンスを受信した際の電波の強度および方向から、通信媒体の位置を特定することができる。また、監視領域内に複数の通信機器を設置し、各通信機器と通信媒体との通信時における電波の状態から通信媒体の位置を特定することで、通信媒体の位置の高精度な測位を実現することもできる。
【符号の説明】
【0126】
Ia…監視映像、Ib…識別情報、Ic…非識別情報、IM…統合画像、Ob…撮影対象、10…監視情報管理サーバ、11…通信部、12…記憶部、12a…受信機管理データ、12b…発信機管理データ、12c…監視映像データ、12d…検知データ、13…制御部、13a…管理データ登録部、13b…監視映像処理部、13c…受信機情報処理部、13d…表示データ生成部、20…撮影端末、30…受信機、40…発信機、50…登録端末、60…監視端末。
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