(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024124728
(43)【公開日】2024-09-13
(54)【発明の名称】浴槽装置
(51)【国際特許分類】
A61B 5/276 20210101AFI20240906BHJP
A61B 5/26 20210101ALI20240906BHJP
A47K 3/00 20060101ALI20240906BHJP
【FI】
A61B5/276
A61B5/26 100
A47K3/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023032608
(22)【出願日】2023-03-03
(71)【出願人】
【識別番号】000010087
【氏名又は名称】TOTO株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100123630
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 誠
(72)【発明者】
【氏名】山下 誠
(72)【発明者】
【氏名】林 勇樹
(72)【発明者】
【氏名】田中 涼太
(72)【発明者】
【氏名】草場 勇介
(72)【発明者】
【氏名】辛嶋 一樹
【テーマコード(参考)】
2D005
4C127
【Fターム(参考)】
2D005FA00
4C127AA02
4C127CC01
4C127CC06
4C127EE01
4C127KK03
4C127KK05
4C127LL04
4C127LL15
(57)【要約】
【課題】心電信号の検出機能を備えた浴槽装置において、重大事故に繋がる故障の発生確率を、限りなくゼロに近づける。
【解決手段】本発明は、心電信号の検出機能を備えた浴槽装置(1)であって、湯水を貯留するための浴槽本体(2)と、この浴槽本体に設けられ、浴槽本体内に入浴している入浴者の心電信号を、浴槽本体内に貯留されている湯水を介して検出するための正電極(4b)、及び負電極(4a)と、これら正電極と負電極の間の電位差に基づいて、入浴者の心電信号を取得する心電信号取得部(6)と、この心電信号取得部に電力を供給する電力供給部(10)と、商用電源に接続され、電力供給部に電力を供給する電源部(12)と、この電源部から電力供給部への電力の供給、停止を制御する電源制御部(14)と、を有し、電源部は、電力供給部に対し、非接触で電力を伝送することを特徴としている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
心電信号の検出機能を備えた浴槽装置であって、
湯水を貯留するための浴槽本体と、
この浴槽本体に設けられ、上記浴槽本体内に入浴している入浴者の心電信号を、上記浴槽本体内に貯留されている湯水を介して検出するための正電極、及び負電極と、
これら正電極と負電極の間の電位差に基づいて、入浴者の心電信号を取得する心電信号取得部と、
この心電信号取得部に電力を供給する電力供給部と、
商用電源に接続され、上記電力供給部に電力を供給する電源部と、
この電源部から上記電力供給部への電力の供給、停止を制御する電源制御部と、を有し、
上記電源部は、上記電力供給部に対し、非接触で電力を伝送することを特徴とする浴槽装置。
【請求項2】
さらに、上記電源制御部に対し、非接触で信号を送信する信号送信部を備え、上記信号送信部は、上記心電信号取得部によって取得された上記正電極と上記負電極の間の電位差に基づく信号を上記電力供給部を経由して上記電源制御部に送信し、上記電源制御部は送信された信号に基づいて、上記電源部から上記電力供給部への電力の伝送を継続又は停止させる請求項1記載の浴槽装置。
【請求項3】
上記電源制御部は、上記心電信号取得部によって電位不定信号が検出されている場合には、少なくとも一時的に上記電源部から上記電力供給部への電力の伝送を停止させる請求項2記載の浴槽装置。
【請求項4】
上記電源制御部は、上記浴槽本体に湯水が貯留されているが、上記浴槽本体内に入浴者が居ないことが上記心電信号取得部によって検出されている場合には、上記電源部から上記電力供給部への電力の伝送を継続させる請求項2記載の浴槽装置。
【請求項5】
上記電源制御部は、上記浴槽本体に湯水が貯留されており、上記浴槽本体内に入浴者が居ることが上記心電信号取得部によって検出されている場合には、上記電源部から上記電力供給部への電力の伝送を継続させる請求項2記載の浴槽装置。
【請求項6】
上記電源制御部は、上記浴槽本体内に入浴者が居ることが検出されている状態から、上記心電信号取得部により電位不定信号が検出されている状態に変化した場合には、上記電力供給部への電力の伝送を停止させる請求項2記載の浴槽装置。
【請求項7】
上記電源部は、電磁誘導により、非接触で上記電力供給部に電力を伝送する請求項1乃至6の何れか1項に記載の浴槽装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴槽装置に関し、特に、心電信号の検出機能を備えた浴槽装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2022-16063号公報(特許文献1)には、浴槽装置が記載されている。この浴槽装置は、一組の電極が浴槽本体の内壁面に備えられており、これらの電極により、入浴者の心電信号を検出している。即ち、浴槽本体内に貯留されている湯水を介して、これらの電極の間に現れる電位差を検出することにより、浴槽本体内の入浴者の心電信号を取得している。ここで、電極の間に現れる電位差の信号は、増幅回路やフィルタ回路によって処理された後、心電信号として取得される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1記載の発明において、電極の間に現れる電位差の信号を入力する増幅回路等を作動させるための電源を、商用電源から直接取得した場合、装置の故障により、浴槽本体の内壁面に設けた電極に、商用電源の電圧が印加されてしまう可能性がある。このような故障は、商用電源から電力を取得するための複数の回路部品に、同時に不具合が起きた場合にのみ発生するものであり、その発生確率は極めて小さいものの、発生した場合には重大な事故に繋がる可能性がある。このため、このような事故の発生確率は、限りなくゼロに近づけておく必要がある。
【0005】
従って、本発明は、心電信号の検出機能を備えた浴槽装置において、重大事故に繋がる故障の発生確率を、限りなくゼロに近づけることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために、本発明は、心電信号の検出機能を備えた浴槽装置であって、湯水を貯留するための浴槽本体と、この浴槽本体に設けられ、浴槽本体内に入浴している入浴者の心電信号を、浴槽本体内に貯留されている湯水を介して検出するための正電極、及び負電極と、これら正電極と負電極の間の電位差に基づいて、入浴者の心電信号を取得する心電信号取得部と、この心電信号取得部に電力を供給する電力供給部と、商用電源に接続され、電力供給部に電力を供給する電源部と、この電源部から電力供給部への電力の供給、停止を制御する電源制御部と、を有し、電源部は、電力供給部に対し、非接触で電力を伝送することを特徴としている。
【0007】
このように構成された本発明によれば、電源部が、電力供給部に対し非接触で電力を伝送するので、電源部と電力供給部の間が物理的に繋がっておらず、電源部及び電力供給部を構成する回路部品に不具合が発生した場合でも、電源部に接続された商用電源の電圧が電力供給部に直接印加されることがなく、安全性を極めて高くすることができる。この結果、心電信号の検出機能を備えた浴槽装置において、重大事故に繋がる故障の発生確率を、限りなくゼロに近づけることができる。
【0008】
本発明において、好ましくは、さらに、電源制御部に対し、非接触で信号を送信する信号送信部を備え、信号送信部は、心電信号取得部によって取得された正電極と負電極の間の電位差に基づく信号を、電力供給部および電源部を経由して電源制御部に送信し、電源制御部は送信された信号に基づいて、電源部から電力供給部への電力の伝送を継続又は停止させる。
【0009】
このように構成された本発明によれば、正電極と負電極の間の電位差に基づきマイコンが信号処理をした結果の動作継続可否の信号が電源制御部に送信され、送信された信号に基づいて、電源部から電力供給部への電力の伝送が継続又は停止される。このため、浴槽装置の動作に異常が発生した場合等に、早期に電力供給部への電力の伝送を停止させることができ、不具合による事故の発生確率を更に低減することができる。また、心電信号を検出するために浴槽本体に設けられた正電極及び負電極によって検出された信号に基づいて、電力の伝送を継続又は停止させるので、特別なセンサを設けることなく、異常の発生等を検出することができる。
【0010】
本発明において、好ましくは、電源制御部は、心電信号取得部によって電位不定信号が検出されている場合には、少なくとも一時的に電源部から電力供給部への電力の伝送を停止させる。
【0011】
浴槽本体に設けられ正電極及び負電極が、浴槽本体内に貯留された湯水に水没していない場合、及び、正電極又は負電極に接続されている導線が外れた場合においては、正電極と負電極の間の電位差が不定な状態となる。上記のように構成された本発明によれば、心電信号取得部によって電位不定信号が検出されている場合には、少なくとも一時的に電源部から電力供給部への電力の伝送を停止させる。このため、浴槽装置に異常がある場合や、浴槽本体内に湯水が十分に貯留されていない状態で電力供給部に電力が伝送されるのを防止することができ、事故の発生確率を更に低減すると共に、無駄な電力の伝送を回避することができる。
【0012】
本発明において、好ましくは、電源制御部は、浴槽本体に湯水が貯留されているが、浴槽本体内に入浴者が居ないことが心電信号取得部によって検出されている場合には、電源部から電力供給部への電力の伝送を継続させる。
【0013】
浴槽本体に湯水が貯留されているが、浴槽本体内に入浴者が居ない場合には、正電極と負電極の間の電位差がほぼゼロの状態が継続する。上記のように構成された本発明によれば、浴槽本体に湯水が貯留されているが、浴槽本体内に入浴者が居ないことが検出されている場合には、電源部から電力供給部への電力の伝送が継続される。このため、心電信号取得部は正常に作動し、浴槽本体内に入浴者が入ったとき、直ぐに心電信号の取得を開始することができる。
【0014】
本発明において、好ましくは、電源制御部は、浴槽本体に湯水が貯留されており、浴槽本体内に入浴者が居ることが心電信号取得部によって検出されている場合には、電源部から電力供給部への電力の伝送を継続させる。
【0015】
浴槽本体に湯水が貯留されており、浴槽本体内に入浴者が居る場合には、入浴者の心電信号が、正電極と負電極の間の電位差として現れる。上記のように構成された本発明によれば、浴槽本体に湯水が貯留され、浴槽本体内に入浴者が居ることが検出されている場合には、電源部からの電力の伝送を継続させる。これにより、正常に動作している浴槽装置により、安全に心電信号を取得することができ、これを入浴者への入浴に関する情報の提供や、入浴者の見守り等に役立てることができる。
【0016】
本発明において、好ましくは、電源制御部は、心電信号取得部により、浴槽本体内に入浴者が居ることが検出されている状態から、心電信号取得部により電位不定信号が検出されている状態に変化した場合には、電力供給部への電力の伝送を停止させる。
【0017】
入浴者が浴槽本体から出た場合には、通常、入浴者の心電信号が検出されている状態から、正電極と負電極の間の電位差がほぼゼロの状態に移行する。このため、浴槽装置の通常の動作では、心電信号が検出されている状態から、電位不定信号が検出されている状態に変化することはない。上記のように構成された本発明によれば、このような場合に電力供給部への電力の伝送を停止させるので、浴槽装置の異常を迅速に検出し、電力の伝送を停止することができる。これにより、事故の発生確率を更に低減すると共に、無駄な電力の伝送を防止することができる。
【0018】
本発明において、好ましくは、電源部は、電磁誘導により、非接触で電力供給部に電力を伝送する。
このように構成された本発明によれば、電力が電磁誘導により電源部から電力供給部に伝送されるので、安価な装置で、効率良く非接触で電力を伝送することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、心電信号の検出機能を備えた浴槽装置において、重大事故に繋がる故障の発生確率を、限りなくゼロに近づけることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の実施形態による浴槽装置を設置した浴室全体を示す斜視図である。
【
図2】本発明の実施形態による浴槽装置を斜め上方から見た斜視図である。
【
図3】本発明の実施形態による浴槽装置の電気系統の概略を示すブロック図である。
【
図4】本発明の実施形態による浴槽装置に備えられている心電信号取得部の概略構成を示すブロック図である。
【
図5】本発明の実施形態による浴槽装置において、電源部と電力供給部の間における非接触による電力伝送の一例を示す概略図である。
【
図6】本発明の実施形態による浴槽装置において、心電信号取得部によって取得された有入浴者信号波形の一例を示す図である。
【
図7】本発明の実施形態による浴槽装置において、規定以上の水位がある状態で、心電信号取得部によって取得された無入浴者信号波形の一例を示す図である。
【
図8】本発明の実施形態による浴槽装置において、規定の水位を満たしていない状態で、心電信号取得部によって取得された電位不定信号波形の一例を示す図である。
【
図9】本発明の実施形態による浴槽装置の作用を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
次に、添付図面を参照して、本発明の実施形態による浴槽装置を説明する。
図1は、本発明の実施形態による浴槽装置を設置した浴室全体を示す斜視図である。
図2は、本発明の実施形態による浴槽装置を斜め上方から見た斜視図である。
図3は、本発明の実施形態による浴槽装置の電気系統の概略を示すブロック図である。
【0022】
図1に示すように、本発明の実施形態の浴槽装置1は、浴槽本体2と、この浴槽本体2に取り付けられた負電極4a、正電極4b、及び基準電極4cと、電極によって取得された信号を処理する心電信号取得部6と、浴槽本体2の上縁に設けられた吐水装置8と、を有し、浴室R内に設置される。また、浴室Rの壁面には、リモコン6aが取り付けられており、このリモコン6aにより、浴槽装置1の心電信号の表示機能や、吐水装置8を操作できるようになっている。さらに、本実施形態において、浴槽装置1は、浴室Rの一側に、壁面に接するように配置されている。
【0023】
浴槽本体2は、平面視において略長方形の箱形に形成され、内部に湯水を貯留するように構成されている。本実施形態においては、浴槽本体2は、その1つの長辺、及びその両側の2つの短辺全体が、浴室Rの内壁面に接するように配置されている。また、浴槽本体2の一方の短辺を構成する内壁面は、入浴者が寄りかかるように形成された第1の内壁面である背もたれ面2aとして構成されている。ここで、背もたれ面とは、入浴の際に、入浴者の背中が接する内壁面である。
【0024】
吐水装置8は、浴槽本体2の背もたれ面2aの上部に設けられ、浴槽本体2の内方に向けて湯水を吐出するように構成されている。
図2に示すように、本実施形態において、吐水装置8は、背もたれ面2a上縁に沿って延びる扁平で幅広な吐水口8aを備えており、背もたれ面2aに寄りかかった入浴者の肩に向けて湯水を吐出するように構成されている。
【0025】
図2に示すように、負電極4a及び正電極4bは、浴槽本体2内に貯留された湯水を介して入浴者の心電信号を検出するために、浴槽本体2に取り付けられた一組の電極である。入浴者の心電信号は、これらの負電極4aと正電極4bの間の電位差の信号として取得される。負電極4a及び正電極4bからなる一組の電極は、何れも浴槽本体2の短辺を構成する背もたれ面2a上に配置されている。また、基準電極4cは、負電極4a及び正電極4bによって検出される電位の基準電位を取得するための電極であり、この電極も浴槽本体2の背もたれ面2a上に配置されている。なお、基準電極4cは省略することもできる。
【0026】
心電信号取得部6は、負電極4a、正電極4b、及び基準電極4cに電気的に接続され、正電極4bと負電極4aの間の電位差に基づいて、入浴者の心電信号を取得するように構成されている。本実施形態においては、心電信号取得部6は、取得した心電信号に基づいて入浴者の心拍数を検出し、リモコン6aのディスプレイ(図示せず)に表示するように構成されている。これにより、入浴者は、自身の健康状態や、身体の温まり具合を確認することができる。また、心電信号取得部6により取得された情報を、外部の無線通信機器(図示せず)に送信し、入浴者の状態を浴室外から見守ることができるように、本発明を構成することもできる。
【0027】
次に、
図3を参照して、本発明の実施形態による浴槽装置1における電力の供給系統を説明する。
図3に示すように、浴槽装置1は、心電信号取得部6に電力を供給する電力供給部10と、商用電源に接続され、電力供給部10に電力を供給する電源部12と、電源部12を制御する電源制御部14と、電源制御部14に電力供給部10と電源部12を経由して非接触で信号を送信する信号送信部16と、を有する。
【0028】
電力供給部10は、心電信号取得部6に電気的に接続され、これを作動させるための電力を、心電信号取得部6に供給するように構成されている。また、電力供給部10は、信号送信部16にも電気的に接続され、これを作動させるための電力を、信号送信部16に供給するように構成されている。即ち、本実施形態において、心電信号取得部6及び信号送信部16は、電力供給部10から供給された電力によって作動される。一方、電力供給部10は、商用電源には接続されておらず、電源部12から伝送された電力を、心電信号取得部6及び信号送信部16に供給および電源部12へ信号送信部16からの情報を送信するように構成されている。
【0029】
信号送信部16は、電源制御部14に対し、電力供給部10を経由して非接触で信号を送信するように構成されている。即ち、信号送信部16は、心電信号取得部6によって取得された正電極4bと負電極4aの間の電位差の信号に基づいて、電源制御部14に制御信号を送信するように構成されている。上述したように、信号送信部16を作動させる電力は、電気的に接続された電力供給部10から供給される一方、電源制御部14への信号は、電力供給部10を経由して無線により、非接触で送信される。
【0030】
電源部12は、漏電遮断器(ELB)12aを介して商用電源18に接続され、電力供給部10に電力を供給するように構成されている。また、電源部12は、電力供給部10と物理的に接続されておらず、非接触で電力供給部10に電力を伝送および信号送信部16からの信号を電力供給部10を経由して受信するように構成されている。このため、電力供給部10及び電源部12を構成する電気部品等が故障した場合でも、電源部12に接続された商用電源18の電圧(100V)が、電力供給部10に直接印加されることはない。従って、電力供給部10には、心電信号取得部6や、信号送信部16、負電極4a、正電極4b、基準電極4cが電気的に接続されているものの、これらに商用電源18の電圧が直接印加されることもない。
【0031】
電源制御部14は、電源部12に接続され、電源部12から電力供給部10への電力の供給、停止を制御するように構成されている。即ち、信号送信部16は、電源制御部14に制御信号を電力供給部10を経由して送信し、この制御信号に基づいて、電源部12から電力供給部10への電力の供給、停止が制御される。本実施形態においては、電源制御部14を作動させるための電力は、電気的に接続された電源部12から供給される一方、信号送信部16から電源制御部14への制御信号の送信は、電力供給部10を経由して無線により非接触で行われる。このように、本実施形態においては、
図3のブロック図に示す一点鎖線の右側と左側が物理的に分離されており、構成部品に故障が発生した場合でも、商用電源18の電圧が、一点鎖線の右側の領域に直接印加されることはない。
【0032】
次に、
図4を参照して、心電信号取得部6の構成を説明する。
図4は、心電信号取得部6の概略構成を示すブロック図である。
【0033】
心電信号取得部6は、負電極4a、正電極4b、及び基準電極4cが接続される電気回路であり、浴槽本体2の背もたれ面2aの背面側に配置されている。負電極4a、正電極4b、及び基準電極4cによって取得された信号は、心電信号取得部6によって処理され、処理結果が浴室R内に配置されたリモコン6a及び/又は浴室R外に配置された表示装置(図示せず)に表示される。
【0034】
図4に示すように、心電信号取得部6は、差動増幅回路26と、フィルタ回路28と、増幅回路30と、A/Dコンバータ32と、判別回路34と、心拍数換算部36cと、を有する。また、上述したように、これらの回路を作動させる電力は、電力供給部10から供給される。
差動増幅回路26は、負電極4a及び正電極4bから夫々延びる導線22が接続される増幅回路であり、負電極4aと正電極4bの間の差電圧を増幅するように構成されている。
【0035】
フィルタ回路28は、差動増幅回路26によって増幅された差電圧が入力され、ハムなどの不要な周波数帯域の成分を除去し、必要な周波数帯域の信号成分を通過させるように構成されている。
増幅回路30は、フィルタ回路28によって、ハムなどの不要な周波数帯域成分が除去された信号が入力され、入力された信号を増幅するように構成されている。また、基準電極4cから延びる導線(図示せず)は、差動増幅回路26、フィルタ回路28、及び増幅回路30のグラウンドに接続される。
【0036】
A/Dコンバータ32は、増幅回路30によって増幅されたアナログ信号を、ディジタル信号に変換するように構成されている。
判別回路34は、A/Dコンバータ32によってA/D変換されたディジタル信号が入力され、入力されたディジタル信号に基づいて、入力された信号波形を判別するように構成されている。
【0037】
また、A/Dコンバータ32によりA/D変換されたディジタル信号は、信号送信部16の、心拍数換算部36cに送られ、入浴者の心拍数を計算し、結果をリモコン6aなどに非接触で送信されるよう構成されている。本実施形態において、信号送信部16は、Bluetooth(登録商標)を使用した無線通信により、ディジタル信号をリモコン6aに送信している。また、本実施形態において、信号送信部16は、判別回路34による判別結果を、電力供給部10を介して、後方散乱変調を使用した後方散乱通信により、非接触で電源制御部14に送信している。判別回路34による判別、電源制御部14に対する後方散乱通信については後述する。
【0038】
リモコン6aには、記録部36a、表示部36b等が内蔵されている。心電信号取得部6から送られた信号は、記録部36aに記録され、入浴者の心電波形および心拍数が表示部36bにグラフ表示される。また、心電波形や入浴者の心拍数を、浴室Rの外部の表示装置(図示せず)に表示することもでき、これにより、入浴者の健康状態を浴室Rの外から監視することができる。
【0039】
次に、
図5を参照して、電源部12と電力供給部10の間の、非接触の電力伝送について説明する。
図5は、電源部12と電力供給部10の間における非接触による電力伝送の一例を示す概略図である。
【0040】
図5に示すように、電源部12には、インバータ12bと、送電コイル12cと、コンデンサ12dが内蔵されている。一方、電力供給部10には、受電コイル10aと、整流回路10bが内蔵されている。さらに、受電コイル10aの両端には、変調用FET(Field Effect Transistor)16aと、コンデンサ16bが並列に接続されており、これらの変調用FET16a及びコンデンサ16bは、信号送信部16の一部を構成する。
【0041】
電源部12は、商用電源18から供給された交流電力を整流した後、インバータ12bにより、所定周波数のパルス波を生成するように構成されている。インバータ12bにより生成されたパルス波は、コンデンサ12dにより直流成分が除去された後、送電コイル12cに印加される。パルス波が印加されると、送電コイル12cは、所定の周波数で交番する交番磁界を生成する。
【0042】
一方、電力供給部10に備えられた受電コイル10aは、送電コイル12cとは非接触であるが、送電コイル12cによって生成された交番磁界の磁束が鎖交するように配置されている。受電コイル10aに交番磁界が鎖交すると、受電コイル10aに起電力が発生する。受電コイル10aに発生した起電力は、整流回路10bにより整流され、直流に変換される。この直流に変換された電力が、心電信号取得部6等に供給され、これらが作動される。このように、本実施形態において、電源部12は、電磁誘導方式により非接触で電力供給部10に電力を伝送する。また、変形例として、磁界共鳴方式、電界結合方式、電波方式、光方式等、任意の方式を使用して、非接触で電力が伝送されるように、本発明を構成することもできる。
【0043】
また、上記のように、受電コイル10aには、変調用FET16a及びコンデンサ16bが並列に接続されている。この変調用FET16aは、ゲート端子に加えられる変調用信号によりオン/オフされる(ソース端子、ドレイン端子間が導通、非導通にされる)。このため、受電コイル10aの両端子間のインピーダンスは、変調用FET16aのオン/オフにより変化する。
【0044】
受電コイル10aのインピーダンスが変化すると、これと磁気的に結合された送電コイル12cのインピーダンスも変化する。これに伴い、送電コイル12cの端子間の電圧(送電コイル12cに印加されているパルスの高さ)も変化する。このため、変調用FET16aのオン/オフの情報は、送電コイル12cの端子間の電圧の変化として、非接触で送電コイル12c側に伝達される。この送電コイル12c側に伝達された情報は、電源制御部14により取得される。このように、本実施形態においては、後方散乱変調により、非接触で、信号送信部16(の変調用FET16a)から、電源制御部14に情報が送信される。また、本実施形態においては、信号送信部16から、受電コイル10a、送電コイル12cを介して電源制御部14に情報が送信されているが、変形例として、任意の無線通信により、非接触で信号送信部16から電源制御部14に信号が送信されるように、本発明を構成することもできる。
【0045】
次に、
図6乃至
図8を参照して、心電信号取得部6によって取得される信号波形について説明する。
図6乃至
図8は、心電信号取得部6によって取得された信号波形の一例を示す図である。
【0046】
図6は、負電極4a及び正電極4bが設けられている位置よりも高い水位まで浴槽本体2内に湯水が貯留され、浴槽本体2内に入浴者が入っているときに、心電信号取得部6によって取得された電圧波形の一例を示している。この場合には、
図6に示すように、入浴者の心電波形が、浴槽本体2内に貯留されている湯水を介して、負電極4aと正電極4bの間の電位差の信号として心電信号取得部6により取得される。本実施形態においては、この心電波形に基づいて、信号送信部16に内蔵された心拍数換算部36c(
図4)により、入浴者の心拍数が検出される。なお、本明細書において、浴槽本体2内に入浴者が居るときに検出される
図6に示すタイプの信号を「有入浴者信号」と呼ぶ。
【0047】
図7は、負電極4a及び正電極4bが設けられている位置よりも高い水位まで浴槽本体2内に湯水が貯留されているが、浴槽本体2内に入浴者が入っていないときに、心電信号取得部6によって取得された波形の一例を示している。この状態においては、負電極4a、正電極4bとも、浴槽本体2内の湯水に接触しており、負電極4aと正電極4bの間の電位はほぼゼロとなる。従って、この場合には、
図7に示すように電圧がほぼゼロで推移する電圧波形が心電信号取得部6によって取得される。なお、本明細書において、浴槽本体2内に入浴者が居ないときに検出される
図7に示すタイプの信号を「無入浴者信号」と呼ぶ。
【0048】
図8は、浴槽本体2内に湯水が貯留されていないか、貯留されていても負電極4a及び正電極4bが設けられている位置よりも水位が低い場合に、心電信号取得部6によって取得された波形の一例を示している。このような状態では、負電極4a及び正電極4bの電位は不定(フロート状態)となり、負電極4aと正電極4bの間の電位差も不定な状態となり、波形が激しく変動する。従って、このような状態では、心電信号取得部6によって取得される波形は、ランダムなノイズ波形となる。また、浴槽本体2内に湯水が貯留されていても、負電極4a又は正電極4bに接続されている導線(図示せず)が断線する等の故障が発生した場合にも、負電極4aと正電極4bの間の電位差は不定な状態となる場合がある。なお、本明細書において、負電極4aと正電極4bの間の電位差が不定な状態であるときに検出される
図8に示すタイプの信号を「電位不定信号」と呼ぶ。
【0049】
心電信号取得部6に内蔵された判別回路34(
図4)は、心電信号取得部6によって取得された負電極4aと正電極4bの間の電位差の波形が、「有入浴者信号」、「無入浴者信号」、「電位不定信号」の何れに該当するかを判別する。この判別回路34による判別結果は、信号送信部16により、電力供給部10の受電コイル10a、及び電源部12の送電コイル12cを介して、非接触で電源制御部14に送信される。即ち、信号送信部16は、心電信号取得部6によって取得された正電極4bと負電極4aの間の電位差に基づく信号を電源制御部14に送信する。また、後述するように、電源制御部14は、信号送信部16から送信された信号に基づいて、電源部12から電力供給部10への電力の伝送を継続又は停止させる。
【0050】
次に、
図9を参照して、本発明の実施形態による浴槽装置1の作用を説明する。
図9は、本実施形態の浴槽装置1の作用を示すフローチャートである。本実施形態の浴槽装置1において、リモコンの「自動」ボタンが押された場合には、
図9に示すフローチャートの処理が実行される。即ち、本実施形態の浴槽装置1においては、浴室R内のリモコン6a、又は浴室R外のリモコン(図示せず)に設けられている「自動」ボタン(図示せず)が押された場合に、浴槽本体2内に湯水が貯留されていなければ湯張りを行い、湯水が貯留されていれば浴槽本体2内の湯水を設定温度まで加熱(追い焚き)するように構成されている。
【0051】
まず、
図9のステップS1においては、電源部12から電力供給部10への電力の伝送が開始される。これにより、心電信号取得部6への給電が開始される。
次に、ステップS2においては、浴槽本体2内が湯張り前の状態(浴槽本体2内に所定水位まで湯水が貯留されていない状態)であるか否かが判断される。なお、本実施形態の浴槽装置1は、浴槽本体2内の水位を測定する水位計(図示せず)を備えており、この水位計の検出値によって、湯張り前の状態であるか否かが判断される。湯張り前である場合にはステップS3に進み、湯張りが完了している場合にはステップS5に進む。
【0052】
ステップS3においては、浴槽本体2への湯張りが開始される。即ち、給湯器(図示せず)から浴槽本体2内へ湯水が供給される。
その後、給湯器(図示せず)から所定温度の湯水が、浴槽本体2内へ所定量供給されると、ステップS4において、浴槽本体2内への湯張りが完了する。
【0053】
次に、ステップS5においては、浴槽本体2内に所定水位まで湯水が貯留されているか否かが判断される。ステップS5においては、まず、心電信号取得部6によって取得された正電極4bと負電極4aの間の電位差の信号波形が、心電信号取得部6の判別回路34によって判別される。ここで、取得された信号波形が、「有入浴者信号」又は「無入浴者信号」である場合には、正電極4b及び負電極4aが設けられている高さよりも湯水の水位が高いと判断され、フローチャートにおける処理はステップS6に進む。
【0054】
一方、心電信号取得部6によって取得された信号波形が、「電位不定信号」である場合には、ステップS10に進み、異常発生と判断される。即ち、「電位不定信号」波形の検出は、ステップS4において所定量の湯水の浴槽本体2内への供給が完了しているにも関わらず、浴槽本体2内の水位が正電極4b及び負電極4aの高さよりも低いことを示している。この原因としては、浴槽本体2の栓(図示せず)が開いていて、湯水を供給しても浴槽本体2内に貯留されなかったことが考えられる。或いは、正電極4bと負電極4aの間の電位差を検出する信号系統に何らかの不具合があったことも考えられる。このため、心電信号取得部6は、浴室R内のリモコン6a及び浴室R外のリモコン(図示せず)に信号を送り、異常が発生した旨をリモコンに表示して、使用者に報知する。
【0055】
さらに、ステップS11において、信号送信部16は、電源制御部14に信号を送って、電源部12から電力供給部10への電力の伝送を停止させ、
図9に示すフローチャートの1回の処理を終了する。このように、信号送信部16は、心電信号取得部6によって取得された正電極4bと負電極4aの間の電位差に基づく信号を電源制御部14に送信する。一方、電源制御部14は送信された信号に基づいて、電源部12から電力供給部10への電力の伝送を停止させる。これにより、心電信号を検出できない状態、又は故障のある状態での心電信号取得部6への電力の供給を回避することができ、電力の浪費又は事故の発生を防止することができる。
【0056】
このように、本実施形態においては、心電信号取得部6によって取得された波形が「有入浴者信号」、「無入浴者信号」、「電位不定信号」の何れに該当するかが判別回路34により判別され、その判別結果を示す制御信号が、信号送信部16から電力供給部10を経由して電源制御部14に送信される。電源制御部14は受信した制御信号に基づいて、電源部12から電力供給部10への電力の伝送又は停止を決定している。これに対して、変形例として、判別回路34による判別結果に基づいて、信号送信部16が電力の伝送又は停止を決定し、電力の伝送又は停止を指示する制御信号を電力供給部10を経由して電源制御部14に送信するように、本発明を構成することもできる。或いは、心電信号取得部6によって取得された波形の信号を信号送信部16から電力供給部10を経由して電源制御部14に送信し、電源制御部14において、受信した波形の信号が何れの波形であるかを判別して、電力の伝送又は停止を決定するように、本発明を構成することもできる。
【0057】
なお、ステップS11において、電力の伝送を停止させた後、間欠的に、電源部12から電力供給部10への電力の伝送を再開し、正電極4bと負電極4aの間の電位差の信号を取得するように本発明を構成することもできる。これにより、浴槽本体2内の水位、又は心電信号取得部6等の故障を監視し続けることができる。このように、本実施形態の浴槽装置1において、正電極4bと負電極4aの間の電位差が不定な状態(「電位不定信号」が取得されている状態)であることが心電信号取得部6によって検出されている場合には、電源制御部14は、少なくとも一時的に電源部12から電力供給部10への電力の伝送を停止させる。
【0058】
一方、
図9のステップS5において、心電信号取得部6によって取得された正電極4bと負電極4aの間の電位差の信号波形が、「有入浴者信号」又は「無入浴者信号」の波形である場合には、ステップS6に進む。この場合には、浴槽本体2内の水位が、正電極4b及び負電極4aが設けられている高さよりも高いと判断されるため、その旨を示す信号が、信号送信部16から電力供給部10を経由して電源制御部14に送信される。これにより、ステップS6において、電源制御部14は、電源部12から電力供給部10への電力の伝送を継続させる。
【0059】
次に、ステップS7においては、浴槽本体2内に入浴者が居るか否かが判断される。即ち、正電極4bと負電極4aの間の電位差の信号波形が、判別回路34により「有入浴者信号」の波形であると判断された場合には、浴槽本体2内に入浴者が居ると判断され、ステップS8へ進む。一方、電位差の信号波形が「無入浴者信号」の波形であると判断された場合には、浴槽本体2内には入浴者が居ないと判断され、ステップS6へ戻る。従って、浴槽本体2内には入浴者が居ない状態では、ステップS6→S7→S6の処理が繰り返され、電源部12から電力供給部10への電力の伝送が継続される。このように、浴槽本体2に湯水が貯留されているが、浴槽本体2内に入浴者が居ないことが心電信号取得部6によって検出されている場合には、電源制御部14は、電源部12から電力供給部10への電力の伝送を継続させる。
【0060】
次いで、浴槽本体2内に入浴者が入ると、フローチャートにおける処理はステップS7からステップS8に進む。
さらに、ステップS8においては、入浴者の心電信号が検出されているか否か(「有入浴者信号」の波形が検出されているか否か)が判断される。心電信号が検出されている場合には、ステップS9に進んで、電源部12から電力供給部10への電力の伝送が継続され、フローチャートにおける処理はステップS9からステップS8へ戻る。従って、浴槽本体2内には入浴者が居る状態では、ステップS8→S9→S8の処理が繰り返され、電源部12から電力供給部10への電力の伝送が継続される。このように、浴槽本体2に湯水が貯留されており、浴槽本体2内に入浴者が居ることが心電信号取得部6によって検出されている場合には、電源制御部14は、電源部12から電力供給部10への電力の伝送を継続させる。
【0061】
次いで、ステップS8において、入浴者の心電信号が検出されていないと判断された場合には、フローチャートにおける処理はステップS8からステップS12へ進む。ステップS12においては、浴槽本体2に湯水が貯留されているか否かが判断される。即ち、正電極4bと負電極4aの間の電位差の信号波形が、「無入浴者信号」の波形であるか否かが判断される。「無入浴者信号」の波形であると判断された場合には、入浴者が浴槽本体2から出たものと考えられ、フローチャートにおける処理はステップS12からステップS6へ戻り、以降、ステップS6→S7→S6の処理が繰り返される。
【0062】
一方、ステップS12において、浴槽本体2に湯水が貯留されていないと判断された場合には、ステップS13へ進む。即ち、正電極4bと負電極4aの間の電位差の信号波形が、「電位不定信号」の波形である場合に、フローチャートにおける処理はステップS12からステップS13へ進む。この場合には、浴槽本体2に入浴者が居る状態(ステップS8→S9→S8の処理が繰り返されている状態)から、直接、浴槽本体2に湯水が貯留されていない状態に移行(ステップS8→S12→S13)したこととなり、心電信号取得部6等に異常が発生している可能性が高い。
【0063】
このため、ステップS13においては、異常が発生したと判断され、心電信号取得部6は、浴室R内のリモコン6a及び浴室R外のリモコン(図示せず)に信号を送り、異常が発生した旨をリモコンに表示して、使用者に報知する。
さらに、ステップS14において、信号送信部16は、電源制御部14に信号を送って、電源部12から電力供給部10への電力の伝送を停止させ、
図9に示すフローチャートの1回の処理を終了する。
【0064】
このように、心電信号取得部6により、浴槽本体2内に入浴者が居ることが検出されている状態(「有入浴者信号」)から、正電極4bと負電極4aの間の電位差が不定な状態(「電位不定信号」)に変化した場合には、電源制御部14は、電力供給部10への電力の伝送を停止させる。これにより、故障のある状態での心電信号取得部6への電力の供給を回避することができ、事故の発生を確実に防止することができる。
【0065】
本発明の実施形態の浴槽装置1によれば、電源部12が、電力供給部10に対し非接触で電力を伝送するので、電源部12と電力供給部10の間が物理的に繋がっておらず、電源部12及び電力供給部10を構成する回路部品に不具合が発生した場合でも、電源部12に接続された商用電源の電圧が電力供給部10に直接印加されることがなく、安全性を極めて高くすることができる。この結果、心電信号の検出機能を備えた浴槽装置1において、重大事故に繋がる故障の発生確率を、限りなくゼロに近づけることができる。
【0066】
また、本実施形態の浴槽装置1によれば、正電極4bと負電極4aの間の電位差に基づく信号が電源制御部14に送信され、送信された信号に基づいて、電源部12から電力供給部10への電力の伝送が継続又は停止される。このため、浴槽装置1の動作に異常が発生した場合等に、早期に電力供給部10への電力の伝送を停止させることができ、不具合による事故の発生確率を更に低減することができる。また、心電信号を検出するために浴槽本体2に設けられた正電極4b及び負電極4aによって検出された信号に基づいて、電力の伝送を継続又は停止させるので、特別なセンサを設けることなく、異常の発生等を検出することができる。
【0067】
さらに、本実施形態の浴槽装置1によれば、正電極4bと負電極4aの間の電位差が不定な状態である場合には、少なくとも一時的に電源部12から電力供給部10への電力の伝送を停止させる。このため、浴槽装置1に異常がある場合や、浴槽本体2内に湯水が十分に貯留されていない状態で電力供給部10に電力が伝送されるのを防止することができ、事故の発生確率を更に低減すると共に、無駄な電力の伝送を回避することができる。
【0068】
また、本実施形態の浴槽装置1によれば、浴槽本体2に湯水が貯留されているが、浴槽本体2内に入浴者が居ないことが検出されている場合には、電源部12から電力供給部10への電力の伝送が継続される。このため、心電信号取得部6は正常に作動し、浴槽本体2内に入浴者が入ったとき、直ぐに心電信号の取得を開始することができる。
【0069】
さらに、本実施形態の浴槽装置1によれば、浴槽本体2に湯水が貯留され、浴槽本体2内に入浴者が居ることが検出されている場合には、電源部12からの電力の伝送を継続させる。これにより、正常に動作している浴槽装置1により、安全に心電信号を取得することができ、これを入浴者への入浴に関する情報の提供や、入浴者の見守り等に役立てることができる。
【0070】
また、本実施形態の浴槽装置1によれば、心電信号が検出されている状態から、正電極4bと負電極4aの間の電位差が不定な状態に変化した場合に電力供給部10への電力の伝送を停止させるので、浴槽装置1の異常を迅速に検出し、電力の伝送を停止することができる。これにより、事故の発生確率を更に低減すると共に、無駄な電力の伝送を防止することができる。
【0071】
さらに、本実施形態の浴槽装置1によれば、電力が電磁誘導により電源部12から電力供給部10に伝送されるので、安価な装置で、効率良く非接触で電力を伝送することができる。
【0072】
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、上述した実施形態に種々の変更を加えることができる。
【符号の説明】
【0073】
1 浴槽装置
2 浴槽本体
4a 負電極
4b 正電極
4c 基準電極
6 心電信号取得部
6a リモコン
8 吐水装置
10 電力供給部
10a 受電コイル
10b 整流回路
12 電源部
12a 漏電遮断器
12b インバータ
12c 送電コイル
12d コンデンサ
14 電源制御部
16 信号送信部
16a 変調用FET
16b コンデンサ
18 商用電源
26 差動増幅回路
28 フィルタ回路
30 増幅回路
32 A/Dコンバータ
34 判別回路
36a 記録部
36b 表示部
36c 心拍数換算部