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特開2024-124730浴室制御システム、及びそれを備えたユニットバス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024124730
(43)【公開日】2024-09-13
(54)【発明の名称】浴室制御システム、及びそれを備えたユニットバス
(51)【国際特許分類】
   A47K 4/00 20060101AFI20240906BHJP
   E04H 1/12 20060101ALI20240906BHJP
【FI】
A47K4/00
E04H1/12 301
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023032610
(22)【出願日】2023-03-03
(71)【出願人】
【識別番号】000010087
【氏名又は名称】TOTO株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100123630
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 誠
(72)【発明者】
【氏名】中村 翔馬
(72)【発明者】
【氏名】井藤 洋輝
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 基和
(72)【発明者】
【氏名】篠原 邦彰
(72)【発明者】
【氏名】入江 順吉
【テーマコード(参考)】
2D132
2E025
【Fターム(参考)】
2D132GA00
2E025BA01
2E025BA02
(57)【要約】
【課題】利用者に潜在的な不安感を与えることなく、浴室の利用者を精度良く検出することができる浴室制御システムを提供する。
【解決手段】本発明は、浴槽(4)と、これに隣接する洗い場(2f)を備えた浴室(2)に設置される浴室制御システム(1)であって、浴室の利用者が洗い場内に居るか否かを検出するための第1の検出手段と、利用者が、洗い場から浴室に隣接する隣接室(18)に退出したか否かを検出するための第2の検出手段と、第1の検出手段による検出結果、及び第2の検出手段による検出結果に基づいて、利用者が、浴槽内、洗い場内、又は隣接室内を含む浴室外の何れに居るかを判別する判別部(16a)と、この判別部の判別結果に基づいて、浴室機器を制御する制御部(16b)と、を有することを特徴としている。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴槽と、これに隣接する洗い場を備えた浴室に設置される浴室制御システムであって、
上記浴室の利用者が上記洗い場内に居るか否かを検出するための第1の検出手段と、
上記利用者が、上記洗い場から上記浴室に隣接する隣接室に退出したか否かを検出するための第2の検出手段と、
上記第1の検出手段による検出結果、及び上記第2の検出手段による検出結果に基づいて、上記利用者が、上記浴槽内、上記洗い場内、又は上記隣接室内の何れに居るかを判別する判別部と、
この判別部の判別結果に基づいて、浴室機器を制御する制御部と、を有することを特徴とする浴室制御システム。
【請求項2】
上記第2の検出手段は、上記利用者の、上記洗い場からの移動距離及び/又は上記洗い場からの移動方向を検出するように構成されている請求項1記載の浴室制御システム。
【請求項3】
上記第2の検出手段は、上記利用者が上記隣接室内に居るか否かを検出するように構成されている請求項1記載の浴室制御システム。
【請求項4】
上記判別部は、上記利用者が上記隣接室内に居ると判別した後、上記第1の検出手段によって、上記利用者が上記洗い場内に居ることが検出されると、上記利用者が上記隣接室から上記洗い場に入ったと判別する請求項2又は3に記載の浴室制御システム。
【請求項5】
上記判別部は、上記利用者が上記洗い場内に居ると判別した後、上記第1の検出手段によって上記利用者が上記洗い場内に居ないことが検出され、且つ、上記第2の検出手段によって上記利用者が上記隣接室に退出したことが検出されない場合に、上記利用者は上記浴槽内に居ると判別する請求項2又は3に記載の浴室制御システム。
【請求項6】
上記判別部は、上記利用者が上記浴槽内に居ると判別した後、上記第1の検出手段によって上記利用者が上記洗い場内に居ることが検出された場合に、上記利用者は上記浴槽から上記洗い場に出たと判別する請求項2又は3に記載の浴室制御システム。
【請求項7】
上記判別部は、上記利用者が上記洗い場内に居ると判別した後、上記第1の検出手段によって上記利用者が上記洗い場内に居ないことが検出され、且つ上記第2の検出手段によって上記利用者が上記隣接室に退出したことが検出された場合に、上記利用者は上記洗い場から上記隣接室に出たと判別する請求項2又は3に記載の浴室制御システム。
【請求項8】
上記第1の検出手段及び上記第2の検出手段は、上記浴室内に電波を照射し、照射した電波の反射波を受信することにより、上記利用者を検出する単一のドップラーセンサにより構成されている請求項1又は2に記載の浴室制御システム。
【請求項9】
上記ドップラーセンサは、上記浴槽の上端面の高さよりも下側に配置されている請求項8記載の浴室制御システム。
【請求項10】
上記浴室は、これに出入りするための扉を有し、上記ドップラーセンサは、上記ドップラーセンサから照射される電波の半値角の内側に、上記扉の少なくとも一部が入るように向けられている請求項8記載の浴室制御システム。
【請求項11】
上記浴槽は上記洗い場に面するバスエプロンを有し、上記ドップラーセンサは、上記バスエプロンの内側に配置されている請求項8記載の浴室制御システム。
【請求項12】
上記浴室内には浴室カウンター装置が設けられ、上記ドップラーセンサは、上記浴室カウンター装置に設けられている請求項8記載の浴室制御システム。
【請求項13】
上記浴室機器は、上記浴室に設けられた照明装置、上記洗い場を洗浄する洗い場床洗浄装置、上記浴室内を暖房する浴室暖房装置、又は上記浴室内を換気する浴室換気扇装置である請求項1記載の浴室制御システム。
【請求項14】
浴室機器を制御可能なユニットバスであって、
浴槽と、
側壁面と、
天井壁面と、
床面と、
請求項1記載の浴室制御システムと、
この浴室制御システムによって制御される浴室機器と、
を有することを特徴とするユニットバス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴室制御システムに関し、特に、浴槽と、これに隣接する洗い場を備えた浴室に設置される浴室制御システム、及びそれを備えたユニットバスに関する。
【背景技術】
【0002】
特開平11-338614号公報(特許文献1)には、操作入力装置が記載されている。この操作入力装置は、浴室内の浴室リモコンに内蔵された撮像部により、入浴者の画像を取り込んで、入浴者の動作を認識している。そして、認識された入浴者の動作パターンが、予め登録されている動作パターンと一致した場合に、操作信号を浴室リモコンや、シャワー装置に出力し、これらを作動させるように構成されている。
【0003】
また、特許第6711731号公報(特許文献2)には、入浴管理システム、入浴管理方法、およびコンピュータプログラムが記載されている。この入浴管理システムでは、浴室内にセンサとして定在波レーダを設け、定在波レーダから電波を発信することにより、浴室内、浴室外の人の存在を検知している。そして、定在波レーダにより、人が浴槽にいるか、洗い場にいるか、浴室外にいるかを繰り返し判定して、人に異常が発生したか否かを検出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11-338614号公報
【特許文献2】特許第6711731号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1記載の操作入力装置では、入浴中の入浴者の画像が取得されるため、操作入力装置から画像情報が窃取された場合、入浴者のプライバシーが侵害される虞がある。このため、特許文献1記載の操作入力装置では、入浴者に潜在的な不安感を与えてしまうという問題がある。
【0006】
また、特許文献2記載の入浴管理システムでは、入浴者の画像を取得するのではなく、電波を使用して入浴者の動作を検出しており、入浴者に潜在的な不安感を与えることはない。しかしながら、電波は、浴槽内に貯留された湯水によっても反射される性質がある。特に、浴槽内の湯水が波立つと、これによって反射された電波が検出されることにより、浴槽内に入浴者が居る、と誤検知されてしまう場合がある。
【0007】
従って、本発明は、利用者に潜在的な不安感を与えることなく、浴室の利用者を精度良く検出することができる浴室制御システム、及びそれを備えたユニットバスを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決するために、本発明は、浴槽と、これに隣接する洗い場を備えた浴室に設置される浴室制御システムであって、浴室の利用者が洗い場内に居るか否かを検出するための第1の検出手段と、利用者が、洗い場から浴室に隣接する隣接室に退出したか否かを検出するための第2の検出手段と、第1の検出手段による検出結果、及び第2の検出手段による検出結果に基づいて、利用者が、浴槽内、洗い場内、又は隣接室内の何れに居るかを判別する判別部と、この判別部の判別結果に基づいて、浴室機器を制御する制御部と、を有することを特徴としている。
【0009】
このように構成された本発明によれば、利用者が洗い場内に居るか否かを検出するための第1の検出手段、及び利用者が洗い場から隣接室に退出したか否かを検出するための第2の検出手段を備えるだけで、利用者が、浴槽内、洗い場内、又は隣接室内の何れに居るかを判別することができ、利用者の画像を取得することなく、正確に利用者の行動を検出することができる。この結果、利用者に潜在的な不安感を与えることなく、浴室の利用者を精度良く検出することができる。ここで、隣接室とは、単に浴室の隣に設けられた脱衣室等だけではなく、浴室の外を含むことを意味する。つまり、本発明によれば、第1の検出手段および第2の検出手段を備えるだけで、利用者が、浴槽内、洗い場内、又は浴室の外の何れに居るかを判別することができることを含む。
【0010】
本発明において、好ましくは、第2の検出手段は、利用者の、洗い場からの移動距離及び/又は洗い場からの移動方向を検出するように構成されている。
【0011】
このように構成された本発明によれば、第2の検出手段が、利用者の洗い場からの移動距離及び/又は洗い場からの移動方向を検出するため、隣接室に検出手段を設けることなく、正確に利用者の行動を検出することが可能になる。
【0012】
本発明において、好ましくは、第2の検出手段は、利用者が隣接室内に居るか否かを検出するように構成されている。
【0013】
このように構成された本発明によれば、第2の検出手段が、利用者が隣接室内に居るか否かを検出するものであるため、簡便なセンサで、正確に利用者の行動を検出することが可能になる。
【0014】
本発明において、好ましくは、判別部は、利用者が隣接室内に居ると判別した後、第1の検出手段によって、利用者が洗い場内に居ることが検出されると、利用者が隣接室から洗い場に入ったと判別する。
【0015】
このように構成された本発明によれば、利用者が洗い場内に居ることが、第1の検出手段によって検出されると、利用者が隣接室から洗い場に入ったと判別するので、利用者が洗い場に入ったことが確実に検出され、浴室機器を適切に制御することができる。
【0016】
本発明において、好ましくは、判別部は、利用者が洗い場内に居ると判別した後、第1の検出手段によって利用者が洗い場内に居ないことが検出され、且つ、第2の検出手段によって利用者が隣接室に退出したことが検出されない場合に、利用者は浴槽内に居ると判別する。
【0017】
このように構成された本発明によれば、第1の検出手段によって利用者が洗い場内に居ないことが検出され、且つ、第2の検出手段によって利用者が隣接室に退出したことが検出されない場合に、利用者が浴槽内に居ると判別されるので、第1、第2の検出手段の検出領域を浴槽内に設定することなく、利用者が浴槽内に居ることを判別することができる。
【0018】
本発明において、好ましくは、判別部は、利用者が浴槽内に居ると判別した後、第1の検出手段によって利用者が洗い場内に居ることが検出された場合に、利用者は浴槽から洗い場に出たと判別する。
【0019】
このように構成された本発明によれば、利用者が浴槽内に居ると判別部により判別された後、第1の検出手段によって利用者が洗い場内に居ることが検出された場合に、利用者が浴槽から洗い場に出たと判別されるので、第1、第2の検出手段の検出領域を浴槽内に設定することなく、利用者の浴槽内から洗い場への動きを判別することができる。
【0020】
本発明において、好ましくは、判別部は、利用者が洗い場内に居ると判別した後、第1の検出手段によって利用者が洗い場内に居ないことが検出され、且つ第2の検出手段によって利用者が隣接室に退出したことが検出された場合に、利用者は洗い場から隣接室に出たと判別する。
【0021】
このように構成された本発明によれば、第1の検出手段によって利用者が洗い場内に居ないことが検出され、且つ第2の検出手段によって利用者が隣接室に退出したことが検出された場合に、利用者が洗い場から隣接室に出たと判別するので、隣接室に検出手段を配置しない場合でも、洗い場から隣接室への利用者の動きを検知することが可能になる。
【0022】
本発明において、好ましくは、第1の検出手段及び第2の検出手段は、浴室内に電波を照射し、照射した電波の反射波を受信することにより、利用者を検出する単一のドップラーセンサにより構成されている。
【0023】
このように構成された本発明によれば、第1の検出手段及び第2の検出手段が、浴室内に電波を照射する単一のドップラーセンサにより構成されているので、単一のセンサにより、利用者が洗い場内に居るか否か、及び利用者が洗い場から隣接室に退出したか否かを検出することができる。
【0024】
本発明において、好ましくは、ドップラーセンサは、浴槽の上端面の高さよりも下側に配置されている。
【0025】
このように構成された本発明によれば、ドップラーセンサが浴槽の上端面の高さよりも下側に配置されているので、ドップラーセンサが射出した電波が、浴槽内に貯留された湯水の水面に入射しにくく、ドップラーセンサが水面の揺動を検知することによる誤検知の発生を抑制することができる。
【0026】
本発明において、好ましくは、浴室は、これに出入りするための扉を有し、ドップラーセンサは、ドップラーセンサから照射される電波の半値角の内側に、扉の少なくともの一部が入るように向けられている。
【0027】
このように構成された本発明によれば、ドップラーセンサが照射する電波の半値角の内側に、扉が入るように向けられているので、扉付近の利用者を精度良く検出することができ、利用者の浴室への入退室を精度良く検知することができる。
【0028】
本発明において、好ましくは、浴槽は洗い場に面するバスエプロンを有し、ドップラーセンサは、バスエプロンの内側に配置されている。
【0029】
このように構成された本発明によれば、ドップラーセンサがバスエプロンの内側に配置されているので、ドップラーセンサから射出された電波が、浴槽内の湯水の影響を受けにくく、ドップラーセンサは、ノイズの少ない反射波を受信することができる。これにより、ドップラーセンサによる利用者の検出精度を向上させることができる。
【0030】
本発明において、好ましくは、浴室内には浴室カウンター装置が設けられ、ドップラーセンサは、浴室カウンター装置に設けられている。
【0031】
このように構成された本発明によれば、ドップラーセンサが浴室カウンター装置に設けられているので、洗い場に居る利用者の近くから電波を照射することができ、ドップラーセンサにより、精度良く利用者を検出することができる。
【0032】
本発明において、好ましくは、浴室機器は、浴室に設けられた照明装置、洗い場を洗浄する洗い場床洗浄装置、浴室内を暖房する浴室暖房装置、又は浴室内を換気する浴室換気扇装置である。
【0033】
このように構成された本発明によれば、浴室機器として、浴室照明装置、洗い場床洗浄装置、浴室暖房装置、又は浴室換気扇装置が、制御部により制御されるので、利用者に快適な浴室環境を提供することができる。
【0034】
また、本発明は、浴室機器を制御可能なユニットバスであって、浴槽と、側壁面と、天井壁面と、床面と、本発明の浴室制御システムと、この浴室制御システムによって制御される浴室機器と、を有することを特徴としている。
【発明の効果】
【0035】
本発明の浴室制御システム、及びそれを備えたユニットバスによれば、利用者に潜在的な不安感を与えることなく、浴室の利用者を精度良く検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】本発明の第1実施形態の浴室制御システムが設置された浴室を示す斜視図である。
図2】本発明の第1実施形態の浴室制御システムが備えられた浴室、及び浴室に隣接する脱衣室を示す平面図である。
図3】本発明の第1実施形態の浴室制御システムに備えられた電波センサの構造及び電波の照射方向を概略的に示す図である。
図4】本発明の第1実施形態の浴室制御システムが備えられた浴室内を側面から見た図であり、電波センサの浴槽への取り付け部分を断面で示した図である。
図5A】本発明の第1実施形態の浴室制御システムに備えられた電波センサの取付構造を示す断面図である。
図5B】本発明の第1実施形態の浴室制御システムに備えられた電波センサの取付構造を示す断面図である。
図5C】本発明の第1実施形態の浴室制御システムに備えられた電波センサの取付構造を示す断面図である。
図5D】本発明の第1実施形態の浴室制御システムに備えられた電波センサの取付構造を示す断面図である。
図5E】本発明の第1実施形態の浴室制御システムに備えられた電波センサの取付構造を示す断面図である。
図5F】本発明の第1実施形態の浴室制御システムに備えられた電波センサの取付構造を示す断面図である。
図6】本発明の第1実施形態の浴室制御システムに備えられた電波センサによって取得される信号の一例を示す図である。
図7】本発明の第1実施形態の浴室制御システムにおいて、実行される処理を示すフローチャートである。
図8】本発明の第2実施形態による浴室制御システムを設置した浴室の平面図である。
図9】本発明の第3実施形態による浴室制御システムを設置した浴室及びそれに隣接する脱衣室を示す側面図である。
図10】本発明の第3実施形態の浴室制御システムにおいて、実行される処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0037】
次に、添付図面を参照して、本発明の第1実施形態による浴室制御システム、及びそれを備えたユニットバスを説明する。
図1は、本発明の第1実施形態の浴室制御システムが設置されたユニットバスである浴室内を示す斜視図である。図2は、本発明の第1実施形態の浴室制御システムが備えられた浴室、及び浴室に隣接する隣接室である脱衣室を示す平面図である。
【0038】
図1及び図2に示すように、本実施形態の浴室制御システム1が備えられた浴室2内には、浴槽4と、シャワー装置6と、鏡8及び浴室カウンター装置10が設置されている。また、浴室2の天井壁面2aには、浴室機器である浴室暖房換気装置12aと、浴室照明装置12bが設けられている。また、浴室カウンター装置10には、浴室機器として、洗い場床洗浄装置10aが内蔵されている。
【0039】
さらに、浴槽4には、本実施形態の浴室制御システム1を構成する電波センサ14、判別部16a、及び制御部16bが設けられている。電波センサ14は、電波を照射し、照射した電波の反射波を受信することにより、浴室2の利用者を検出するように構成されている。また、判別部16aは、電波センサ14の検出信号に基づいて、利用者が、浴槽4内、洗い場内、又は脱衣室18内の何れに居るかを判別する。また、制御部16bは、判別部16aの判別結果(電波センサ14による検出結果)に基づいて、浴室機器である洗い場床洗浄装置10a、浴室暖房換気装置12a、及び浴室照明装置12bを制御するように構成されている。さらに、図2に示すように、浴室2に隣接するように隣接室である脱衣室18が設けられ、扉18aを介して脱衣室18から浴室2に入室できるようになっている。なお、電波センサ14、判別部16a及び制御部16bの詳細については、後述する。
【0040】
浴室2は、天井壁面2a、4つの側壁面2b、2c、2d、2e、及び床面2fから構成された室である。浴室2の床面2fは、浴槽4に隣接して設けられており、「洗い場」を構成している。また、浴室2の1つの側壁面2bには、シャワー装置6、鏡8、及び浴室カウンター装置10が取り付けられている。さらに、側壁面2bに隣接する側壁面2cに沿って浴槽4が配置されている。側壁面2cに対向する側壁面2eには、脱衣室18に通じる扉18aが設けられている。
【0041】
浴槽4は、浴室2の側壁面2cに沿って配置され、側壁面2cに隣接している一方の側壁面2bから他方の側壁面2dまで延びており、上面視において略長方形に構成されている。即ち、シャワー装置6、鏡8、浴室カウンター装置10は、浴槽4が配置された側壁面2cに隣り合う側壁面2bに設けられている。
シャワー装置6は、側壁面2cに支持されたハンドシャワーヘッドを備えており、利用者は、このハンドシャワーヘッドから吐出されるシャワー吐水を浴びることができる。
【0042】
鏡8は、側壁面2bの、シャワー装置6の側方に取り付けられており、縦長の長方形に構成されている。
浴室カウンター装置12は、側壁面2bの、シャワー装置6及び鏡8の下方に取り付けられた棚であり、所定の高さに水平方向に延びている。また、浴室カウンター装置12の棚部分の下側にはハウジングが設けられており、このハウジングに洗い場床洗浄装置10aが内蔵されている。この洗い場床洗浄装置10aは、浴室2の使用後に、床面2fにシャワー吐水を行い、床面2fを洗浄するように構成されている。
【0043】
浴室暖房換気装置12aは、浴室2の天井壁面2aに設けられ、浴室2内の空気を温めて暖房する機能、及び浴室2内の空気を排出し、換気する機能を備えている。なお、本実施形態においては、浴室機器として浴室暖房換気装置12aが備えられているが、浴室暖房換気装置12aに代えて、浴室暖房装置及び/又は浴室換気扇装置が備えられていても良い。
【0044】
浴室照明装置12bは、浴室2の天井壁面2aに設けられ、浴室2内を照明するように構成されている。また、本実施形態において、浴室照明装置12bは、調光、調色機能を備えており、利用者の好みに応じて照明の明るさや、色温度を調整することができる。これにより、入浴の満足度を高めることができる。
【0045】
脱衣室18は、浴室2に隣接して設けられた隣接室であり、側壁面2eに設けられた扉18aを介して、浴室2内の洗い場(床面2f)から出入りできるようになっている。なお、扉18aを側壁面2d(図2)に設け、この側壁面2dに沿って隣接室である脱衣室18を設けることもできる。
【0046】
次に、図3及び図4を新たに参照して、電波センサ14を説明する。
図3は、電波センサ14の構造及び電波の照射方向を概略的に示す図である。図4は、浴室2内を側面から見た図であり、電波センサ14の浴槽4への取り付け部分を断面で示している。
【0047】
図3に示すように、本実施形態において、電波センサ14はドップラーセンサであり、誘電体基板14aと、誘電体基板14aの前面側に設けられたパッチ14bと、誘電体基板14aの背面側に設けられたグランドプレート14cから構成されたパッチアンテナを備えている。誘電体基板14aは誘電体材料製の平面の基板であり、その前面側に導体製のパッチ14bが形成され、このパッチ14bの表面がアンテナ面を構成している。また、誘電体基板14aの背面側には導体製のグランドプレート14cが設けられている。そして、前面側のパッチ14bに給電を行うことにより、誘電体基板14aの前面側に向けて電波が射出される。なお、電波センサ14が、射出する電波を制御するための誘電体レンズ(図示せず)を備えている場合には、その誘電体レンズの表面がアンテナ面を構成する。或いは、電波センサ14が、射出する電波を制御するためのホーン(図示せず)を備えている場合は、そのホーンの開口面がアンテナ面を構成する。
【0048】
また、電波センサ14は、浴室2内に電波を所定の時間間隔で照射し、浴室2の利用者の検出を実行する。本実施形態において、電波センサ14は、周波数24GHz帯のマイクロ波を照射して、反射波を受信するように構成されている。好ましくは、3GHz帯乃至300G帯、の電波を照射する電波センサを使用する。また、電波センサ14から射出される電波はパッチ14bの法線方向が主軸方向であり、この方向の電波強度が最も強く、主軸方向から外れるに従って電波強度が低下する。そして、電波強度が主軸方向の電波強度の1/2になる角度を半値角αという。また、本明細書において、「アンテナ面の向き」とは、パッチ14bの法線方向を意味する。
【0049】
次に、図4に示すように、浴室2に設けられた浴槽4はバスエプロン4aを備えており、電波センサ14は、バスエプロン4aの内側に配置されている。バスエプロン4aは浴槽4の外側の側壁面であり、浴室2の床面2f(洗い場)に隣接して配置されている。一方、浴槽4には、浴槽4に湯水を貯留するための内側壁面4bも備えられており、電波センサ14は、浴槽4のバスエプロン4aと、内側壁面4bの間の空間に設けられている。これにより、電波センサ14は、浴槽4の上端面4cの高さよりも下側に配置されることになる。電波センサ14から射出された電波は、樹脂製のバスエプロン4aを透過し、浴室2内に照射される。なお、電波センサ14は、バスエプロン4aの内側の、側壁面2bに近い側の端部に配置されている(図2)。尚、ここでは、電波センサ14は、バスエプロン4aの内側の、側壁面2bに近い側の端部に配置した例を示したが、配置位置はこの限りではなく、バスエプロン4aの内側の中央付近、または、バスエプロン4aの内側の、側壁面2dに近い側の端部に配置されてもよく、扉18a、シャワー装置6、または鏡8の位置により適宜配置すればよい。
【0050】
また、浴槽4の内側壁面4bには、電波センサ14から射出された電波を遮蔽する遮蔽部材15が取り付けられている。即ち、遮蔽部材15は、湯水を貯留している内側壁面4bの裏側に取り付けられた金属製のシート状の部材であり、電波を反射するように構成されている。即ち、遮蔽部材15は、電波センサ14と浴槽4に貯留されている湯水との間に配置されており、電波センサ14から射出された電波が、浴槽4内の湯水に入射するのを抑制する。これにより、電波センサ14から射出され、浴槽4内の湯水によって反射された反射波により、誤検知が発生するのを抑制することができる。また、遮蔽部材15は、電波センサ14から射出された電波を反射する金属製のシートの他に、電波を窮する電波吸収材を用いてもよい。
【0051】
さらに、図4に示すように、本実施形態において、電波センサ14は、斜め上方に向けて、浴室2空間内の洗い場(床面2f)の上方の空間に向けて、電波Rを照射するように構成されている。即ち、電波センサ14のアンテナ面は、斜め上方に、洗い場(床面2f)の上方の空間に向けられている。また、図2に示すように、電波センサ14は、平面視において、浴室2の側壁面2eに設けられた扉18aに向けて、電波Rを照射するように向けられている。即ち、電波センサ14のアンテナ面は、電波センサ14から照射される電波Rの半値角αの内側に扉18aが入るように向けられている。このように、電波センサ14から照射された電波Rの主軸は、洗い場(床面2f)をほぼ対角線の方向に横切ることなる。
【0052】
次に、図5A乃至図5Fを参照して、電波センサの取付構造を説明する。
図5A乃至図5Fは電波センサの取付構造を示す断面図である。なお、本実施形態において、電波センサ14は、浴槽4の外側の側壁面(バスエプロン4a)に取り付けられているが、浴室2内に電波を照射することができるよう、浴室2の側壁面等、種々の部材に取り付けることができる。図5A乃至図5Fは、電波センサ14を種々の部材へ取り付ける際の取り付け構造を例示するものである。
【0053】
なお、本実施形態においては、図5Aに示すように、電波センサ14は、そのパッチ14b(図3)がバスエプロン4aの裏面に隣接するようにバスエプロン4aに取り付けられ、これがバスエプロン4aの裏側に取り付けたセンサ筐体14dにより覆われている。これに対して変形例として、図5Bに示すように、電波センサ14をバスエプロン4aの表側(洗い場側)に取り付け、この電波センサ14をバスエプロン4aの表側に取り付けたセンサ筐体14dによって覆うように本発明を構成することもできる。
【0054】
さらに、図5Cに示すように、電波センサ14全体がセンサ筐体14dによって覆われている場合には、バスエプロン4aの電波センサ14を取り付ける部分に開口を設け、この開口にセンサ筐体14dを嵌め込むことにより、電波センサ14をバスエプロン4aに設けることもできる。また、電波センサ14は、図5Cに示すようにセンサ筐体14dの中の浴槽4側に取り付けられていても良いし、図5Dに示すように、センサ筐体14dの中の洗い場側に取り付けられていても良い。
【0055】
或いは、図5Eに示すように、電波センサ14全体を覆うセンサ筐体14dをバスエプロン4aの裏側に取り付け、又は、図5Fに示すように、センサ筐体14dをバスエプロン4aの表側に取り付けることもできる。なお、本明細書において、「電波センサを設ける」には、図5A乃至図5Fの全ての態様で電波センサを取り付けることが含まれるものとする。また、図5A乃至図5Fは、バスエプロン4aに電波センサ14を設ける態様を例示しているが、上述したように、浴室2の側壁面や、浴室カウンター装置10の筐体(図示せず)の内部に電波センサ14を設けることもできる。
【0056】
次に、判別部16a及び制御部16bは、電波センサ14によって検出された信号に基づいて、浴室2の利用者の行動を検出するように構成されている。具体的には、判別部16a及び制御部16bは、マイクロプロセッサ、メモリ、インターフェイス回路、及びこれらを作動させるためのソフトウェア(以上、図示せず)から構成されている。さらに、本実施形態においては、制御部16bは、検出された使用者の位置の変化に基づいて、浴室機器である洗い場床洗浄装置10a、浴室暖房換気装置12a、及び浴室照明装置12bを制御するように構成されている。尚、ここでは、判別部16a及び制御部16bは、バスエプロン4aの内側に配置した例を示したが、配置位置はこの限りではなく、天井壁面2a、または4つの側壁面2b、2c、2d、2eの裏面に配置されてもよく、配線または無線にて電波センサ14と判別部16a及び制御部16bを接続する構成としてもよい。例えば、判別部16a及び制御部16bを天井壁面2aの裏面に設置することで、他の浴室機器の制御部と集約することができ、メンテナンスを向上することができる。
【0057】
即ち、制御部16bは、浴室2の利用者が脱衣室18から洗い場(床面2fの上方の空間)に入室したことが検知されると、浴室照明装置12bを制御して、これを点灯させる。また、温度センサ(図示せず)によって検出された浴室2内の気温が所定温度以下である場合には、制御部16bは、浴室暖房換気装置12aを制御して、暖房運転を開始させる。或いは、気温が所定温度以下である場合には、予め暖房運転を行っておき、利用者の入室が検知されると、暖房風量を入浴に適した風量に切り替えるようにしても良い。
【0058】
また、利用者が洗い場から浴槽4の中に入ったことが検知されると、制御部16bは、浴室照明装置12bを制御して照明光の調光を行う。例えば、照明光の色温度を低下させ、利用者にくつろぎ空間を提供する。また、制御部16bは、利用者が浴槽4の中に入ったことが検知されると、浴室暖房換気装置12aを制御して、暖房運転を停止させる。
【0059】
さらに、利用者が浴槽4から洗い場に出たことが検知されると、制御部16bは、浴室照明装置12bを制御して照明光の調光を行い、例えば、照明光の色温度を上げて、浴室2入室したときの色温度に復帰させる。
【0060】
さらに、利用者が洗い場から脱衣室18からに退室したことが検知されると、制御部16bは、浴室照明装置12bを制御して、これを消灯させる。また、制御部16bは、浴室暖房換気装置12aを制御して換気運転を開始させると共に、洗い場床洗浄装置10aを制御して、洗い場床(床面2f)の洗浄を開始させる。このように、本実施形態の浴室制御システム1は、電波センサ14によって検出された利用者の行動に基づいて、制御部16bが種々の浴室機器を制御し、利用者に快適な入浴を提供する。
【0061】
次に、図6を参照して、電波センサ14による利用者の行動の検出原理を説明する。
図6は電波センサ14によって取得される信号の一例を示す図であり、左欄には利用者が浴室2の浴槽4内に居る場合を示し、中欄には利用者が浴室2の洗い場に居る場合を示し、右欄には利用者が洗い場から脱衣室18に退室した場合を示している。また、図6の各欄の上段には、電波センサ14によって取得された振幅の信号を示し、下段には離反距離の信号を示している。
【0062】
本実施形態において、電波センサ14は、射出した電波の反射波を受信し、受信した反射波の振幅の信号、及び離反距離の信号を出力するように構成されている。ここで、電波センサ14から得られる振幅の信号は受信した反射波の強度を表し、これに基づいて利用者が洗い場内に居るか否かを検知することができる。また、離反距離の信号は、2位相検知により、電波を反射している対象物が電波センサ14に近づくように動いているか、遠ざかるように動いているかを検知し、これに基づいて、対象物の移動方向、移動距離を検出した信号である。従って、離反距離の信号に基づいて、利用者が洗い場から脱衣室18に退出したか否かを検知することができる。
【0063】
このように、ドップラーセンサである電波センサ14は、受信した反射波の振幅の信号に基づいて、浴室2の利用者が洗い場内に居るか否かを検出するための第1の検出手段として機能する。また、電波センサ14は、離反距離の信号に基づいて、利用者が、洗い場から浴室2に隣接する隣接室である脱衣室18に退出したか否かを検出するための第2の検出手段としても機能する。このように、本実施形態においては、第1の検出手段及び第2の検出手段が、浴室2内に電波を照射し、照射した電波の反射波を受信することにより、利用者を検出する単一の電波センサ14により構成されている。
【0064】
まず、図6の左欄に示すように、利用者が浴室2の浴槽4内に居る場合には、電波センサ14から出力される振幅の信号(上段)、及び離反距離の信号(下段)は、極めて小さい値(ほぼゼロ付近)で変動する。即ち、図4に示すように、電波センサ14はバスエプロン4aに設けられ、洗い場(床面2f)の上方の空間に向けて電波を照射しているため、利用者が浴槽4内に居る場合には、利用者によって電波が反射されることはなく、電波センサ14によって取得される信号は極めて小さくなる。
【0065】
なお、電波センサ14から射出された電波は、浴室2内にある金属製の物体等によっても反射され、その反射波は電波センサ14によって受信される。しかしながら、これらの物体は、通常、静止しているため、浴室2の利用者等の動いている対象物から反射された反射波とは容易に区別することができ、フィルタ処理等によって除去することができる。なお、浴槽4内に貯留されている湯水も、電波センサ14から射出された電波を反射する。ここで、浴槽4内の湯水は揺動する場合があり、揺動している水面から反射された反射波を、利用者によって反射された反射波と区別することは困難である。
【0066】
しかしながら、本実施形態においては、電波センサ14がバスエプロン4aに設けられ、洗い場に向けて電波を照射しているため、電波センサ14から射出された電波は、浴槽4内の湯水には殆ど入射せず、浴槽4内の湯水による悪影響を回避することができる。また、電波センサ14をバスエプロン4a以外に設けた場合でも、電波センサ14を浴槽4の上端面4cの高さよりも低い位置に配置することにより、浴槽4内の湯水の水面に電波が入射しにくくなり、悪影響を低減することができる。
【0067】
次に、図6の中欄に示すように、利用者が浴室2の洗い場(床面2fの上)に居る場合には、電波センサ14から出力される振幅の信号(上段)は大きくなり、離反距離の信号(下段)は、所定の範囲で変動する。即ち、バスエプロン4aに設けられた電波センサ14から射出された電波は、洗い場に居る利用者によって反射され、電波センサ14によって受信される。洗い場の利用者は、電波センサ14の近くに居るため、電波センサ14によって受信される反射波は強くなり、電波センサ14から出力される振幅の信号は大きくなる。本実施形態においては、電波センサ14から出力される振幅の信号が、所定の振幅判定閾値よりも大きくなった場合に、判別部16aは利用者が洗い場に居ると判断する。
【0068】
一方、電波センサ14から出力される離反距離の信号(図6の中欄下段)は、洗い場内での利用者の動き(電波センサ14からの距離)に合わせて変動する。しかしながら、洗い場内に居る利用者の、電波センサ14からの距離は、洗い場の大きさによって制限され、離反距離の信号が所定値を超えることはない。
【0069】
次に、図6の右欄に示すように、利用者が浴室2の洗い場から脱衣室に移動した場合には、電波センサ14から出力される振幅の信号(上段)は小さくなり、離反距離の信号(下段)は、大きくなる。即ち、洗い場に居る利用者が、扉18aを通って脱衣室18に移動した場合には、利用者が電波センサ14から遠くに離れるため、利用者によって反射された反射波は弱くなり、電波センサ14から出力される振幅の信号が小さくなる。
【0070】
一方、電波センサ14から出力される離反距離の信号(図6の右欄下段)は、利用者が電波センサ14から離れるに従って大きくなる。本実施形態においては、電波センサ14から出力される離反距離の信号が、所定の距離判定閾値よりも大きくなった場合に、判別部16aは利用者が脱衣室18に移動したと判断する。なお、電波センサ14から射出された電波は、浴室2と脱衣室18の間の樹脂製もしくはガラス製の扉18を透過するため、利用者が浴室2から出た後も、利用者からの反射波は電波センサ14によって受信される。
【0071】
利用者が浴室2から離れ、電波の届かない(電波が十分に弱くなる)距離まで移動すると、電波センサ14から出力される振幅の信号及び離反距離の信号は、極めて小さい値(ほぼゼロ)となり、図6の左欄に示す状態と同等になる。また、本実施形態においては、脱衣室18へ出るための扉18aが、電波センサ14から照射される電波の半値角αの内側に位置するため、比較的強い電波が扉18aに向けて照射され、浴室2の洗い場から脱衣室に移動する利用者を精度良く検出することができる。
【0072】
次に、図7を参照して、利用者の居場所を判別する判別処理を説明する。
図7は、電波センサ14の検出信号に基づいて、利用者が、浴槽4内、洗い場(床面2f)内、又は脱衣室18内(浴室2外)の何れに居るかを判別する処理を示すフローチャートである。
【0073】
まず、電波センサ14により、利用者が洗い場に居ることが検出されると、図7に示すフローチャートのステップS3が実行され、判別部16aは利用者が洗い場に居ることを判別する。即ち、図6の中欄に示すように、電波センサ14から出力される振幅の信号が所定の振幅判定閾値以上であり、離反距離の信号が所定の距離判定閾値以下である場合に、判別部16aは利用者が洗い場に居ると判別する。このように、電波センサ14の振幅の信号に基づく第1の検出手段によって、利用者が洗い場内に居ることが検出される。
【0074】
次いで、ステップS4では、この状態が継続しているか否かが判断され、継続している場合には、ステップS3に戻る。即ち、利用者が洗い場に居り、振幅の信号が振幅判定閾値以上、離反距離の信号が距離判定閾値以下の状態では、ステップS3→S4→S3の処理が繰り返され、利用者は洗い場に居ると判別される。
【0075】
一方、ステップS4において、利用者が洗い場に居ないと判断された場合には、ステップS5に進み、ステップS5では、利用者が浴室2から退室したか否かが判断される。即ち、図6の右欄に示すように、電波センサ14から出力される振幅の信号が所定の振幅判定閾値未満になると、利用者が洗い場に居ないと判断され、フローチャートにおける処理はステップS4からステップS5に進む。さらに、ステップS5において、離反距離の信号が所定の距離判定閾値よりも大きな値に増大すると、判別部16aは利用者が浴室2から退室したと判断し、フローチャートにおける処理はステップS1に進む。即ち、電波センサ14の離反距離の信号に基づく第2の検出手段によって、利用者が脱衣室18に退出したことが検出される。ステップS1において、判別部16aは、利用者が脱衣室18に入り、浴室2の外に居ると判別する。
【0076】
このように、判別部16aは、利用者が洗い場内に居ると判別(ステップS3)した後、電波センサ14の振幅の信号(第1の検出手段)によって利用者が洗い場内に居ないことが検出され、且つ電波センサ14の離反距離の信号(第2の検出手段)によって利用者が脱衣室18に退出したことが検出された場合に、利用者は洗い場から脱衣室18に出たと判別(ステップS1)する。
【0077】
次いで、ステップS2において、利用者が洗い場に居るか否かが判断され、利用者が洗い場に居ないと判断された場合には、ステップS1に戻る。即ち、利用者が洗い場におらず、振幅の信号が振幅判定閾値未満の状態では、ステップS1→S2→S1の処理が繰り返され、利用者が浴室2外に居ると判別される。
【0078】
このように、判別部16aは、利用者が脱衣室18に(浴室2の外に)出たと判別(ステップS1)した後、利用者が洗い場に居ると判断されるまでは、利用者は浴室2外に居ると判別する。
【0079】
一方、ステップS2において、利用者が洗い場に居ると判別された場合には、フローチャートにおける処理はステップS3に進む。このように、判別部16aは、利用者が脱衣室18に(浴室2の外に)居ると判別(ステップS1)した後、電波センサ14の振幅の信号(第1の検出手段)によって、利用者が洗い場内に居ることが検出されると、利用者が脱衣室18から洗い場に入ったと判別(ステップS3)する。
【0080】
一方、利用者が洗い場に居ると判別された(ステップS3)後、ステップS4において利用者は洗い場に居ないと判断され、ステップS5において利用者は洗い場から脱衣室18に退室していないと判断された場合には、ステップS6に進み、利用者は浴槽4の中に居ると判別される。即ち、電波センサ14による検出信号が、図6の中欄に示す状態から、図6の左欄に示す状態に直接移行した場合には、利用者は浴槽4の中に居ると判別される。
【0081】
このように、判別部16aは、利用者が洗い場内に居ると判別した(ステップS3)後、電波センサ14の振幅の信号(第1の検出手段)によって、利用者が洗い場内に居ないことが検出(ステップS4→S5)され、且つ、電波センサ14の離反距離の信号(第2の検出手段)によって利用者が脱衣室18に退出したことが検出されない(ステップS5→S6)場合に、利用者は浴槽4内に居ると判別(ステップS6)する。
【0082】
次いで、ステップS7において、利用者が洗い場内に居るか否かが判断され、利用者が洗い場内に居ないと判断された場合には、ステップS6に戻る。即ち、利用者が洗い場に居らず、振幅の信号が振幅判定閾値未満の状態では、ステップS7→S6→S7の処理が繰り返され、利用者が浴槽4内に居ると判別される。
【0083】
一方、ステップS7において、利用者が洗い場内に居ると判断された場合には、ステップS3に進み、利用者は洗い場内に居ると判別される。即ち、電波センサ14による検出信号が、図6の左欄に示す状態から、図6の中欄に示す状態に直接移行した場合には、利用者は浴槽4から洗い場に出たと判断される。このように、判別部16aは、利用者が浴槽4内に居ると判別(ステップS6)した後、電波センサ14の振幅の信号(第1の検出手段)によって、利用者が洗い場内に居ることが検出された場合に、利用者は浴槽4から洗い場に出たと判別する。
【0084】
以上のように、電波センサ14は、浴室2内の浴槽4の部分を検知範囲とせず、利用者が洗い場内に居るか否か、及び洗い場から浴室2に隣接する脱衣室18に退出したか否かを検出するだけで利用者の行動を検知することができ、判別部16aは、利用者が、浴槽4内、洗い場内、又は脱衣室18内の何れに居るかを判別することができる。
【0085】
本発明の第1実施形態の浴室制御システム1によれば、利用者が洗い場内に居るか否かを検出するための第1の検出手段(電波センサ14から出力される振幅の信号)、及び利用者が洗い場から隣接室に退出したか否かを検出するための第2の検出手段(電波センサ14から出力される離反距離の信号)を備えるだけで、利用者が、浴槽4内、洗い場(床面2f)内、又は脱衣室18内の何れに居るかを判別することができ、利用者の画像を取得することなく、正確に利用者の行動を検出することができる。この結果、利用者に潜在的な不安感を与えることなく、浴室の利用者を精度良く検出することができる。
【0086】
また、本実施形態の浴室制御システム1によれば、第2の検出手段(電波センサ14から出力される離反距離の信号)が、利用者の洗い場からの移動距離及び/又は洗い場からの移動方向を検出するため、脱衣室18に検出手段を設けることなく、正確に利用者の行動を検出することが可能になる。
【0087】
さらに、本実施形態の浴室制御システム1によれば、利用者が脱衣室18内に居ると判別した後、利用者が洗い場内に居ることが、電波センサ14から出力される振幅の信号に基づいて検出されると、利用者が脱衣室18から洗い場に入ったと判別するので、利用者が洗い場に入ったことが確実に検出され、浴室機器を適切に制御することができる。
【0088】
また、本実施形態の浴室制御システム1によれば、電波センサ14からの振幅の信号に基づいて利用者が洗い場内に居ないことが検出され、且つ、電波センサ14からの離反距離の信号に基づいて利用者が脱衣室18に退出したことが検出されない場合に、利用者が浴槽4内に居ると判別されるので、電波センサ14の検出手段の検出領域を浴槽4内に設定することなく、利用者が浴槽4内に居ることを判別することができる。
【0089】
さらに、本実施形態の浴室制御システム1によれば、利用者が浴槽内に居ると判別部16aにより判別された後、電波センサ14からの振幅の信号に基づいて利用者が洗い場内に居ることが検出された場合に、利用者が浴槽4から洗い場に出たと判別されるので、電波センサ14の検出領域を浴槽4内に設定することなく、利用者の浴槽4内から洗い場への動きを判別することができる。
【0090】
また、本実施形態の浴室制御システム1によれば、利用者が洗い場内に居ると判別した後、電波センサ14からの振幅の信号に基づいて利用者が洗い場内に居ないことが検出され、且つ電波センサ14からの離反距離の信号に基づいて利用者が脱衣室18に退出したことが検出された場合に、利用者が洗い場から脱衣室18に出たと判別するので、脱衣室18に検出手段を配置しない場合でも、洗い場から脱衣室18への利用者の動きを検知することが可能になる。
【0091】
さらに、本実施形態の浴室制御システム1によれば、第1の検出手段及び第2の検出手段が、浴室2内に電波を照射する単一のドップラーセンサ(電波センサ14)により構成されているので、単一のセンサにより、利用者が洗い場内に居るか否か、及び利用者が洗い場から脱衣室18に退出したか否かを検出することができる。
【0092】
また、本実施形態の浴室制御システム1によれば、ドップラーセンサ(電波センサ14)が浴槽4の上端面4cの高さよりも下側に配置されているので、ドップラーセンサが射出した電波が、浴槽4内に貯留された湯水の水面に入射しにくく、ドップラーセンサが水面の揺動を検知することによる誤検知の発生を抑制することができる。
【0093】
さらに、本実施形態の浴室制御システム1によれば、ドップラーセンサ(電波センサ14)が照射する電波の半値角αの内側に、扉18aの少なくとも一部が入るように向けられているので、扉18a付近の利用者を精度良く検出することができ、利用者の浴室2への入退室を精度良く検知することができる。
【0094】
また、本実施形態の浴室制御システム1によれば、ドップラーセンサ(電波センサ14)がバスエプロン4aの内側に配置されているので、ドップラーセンサから射出された電波が、浴槽4内の湯水の影響を受けにくく、ドップラーセンサは、ノイズの少ない反射波を受信することができる。これにより、ドップラーセンサによる利用者の検出精度を向上させることができる。
【0095】
さらに、本実施形態の浴室制御システム1によれば、浴室機器として、浴室照明装置、洗い場床洗浄装置、浴室暖房装置、又は浴室換気扇装置が、制御部により制御されるので、利用者に快適な浴室環境を提供することができる。
【0096】
また、本実施形態の浴室制御システム1によれば、浴室機器として、浴室照明装置12b、洗い場床洗浄装置10a、及び浴室暖房換気装置12a(浴室暖房装置、及び浴室換気扇装置)が、制御部16bにより制御されるので、利用者に快適な浴室環境を提供することができる。
【0097】
次に、図8を参照して、本発明の第2実施形態による浴室制御システムを説明する。
本実施形態の浴室制御システムは、電波センサ14を設置する位置が、上述した第1実施形態とは異なる。従って、以下では、本発明の第2実施形態の、第1実施形態とは異なる点のみを説明し、同様の構成、作用、効果については説明を省略する。図8は、本発明の第2実施形態による浴室制御システムを設置したユニットバスである浴室2の平面図である。
【0098】
図8に示すように、本実施形態の浴室制御システムにおいては、電波センサ14が、浴室カウンター装置10の棚部の下側のハウジング内に配置されている。なお、変形例として、浴室カウンター装置10の棚部の中に電波センサ14を埋め込むこともできる。本実施形態においても、電波センサ14は、浴槽4の上端面4cの高さよりも下側に配置されている。そして、電波センサ14の電波を照射するアンテナ面は、浴室2の空間内の、洗い場(床面2f)の上方の空間に向けられると共に、斜め上方に向けられている。
【0099】
このため、電波センサ14から射出された電波Rは、浴槽4に貯留された湯水の水面に入射しにくく、湯水の水面で反射された反射波によるノイズを抑制することができる。また、図8に示すように、本実施形態においても、浴槽4のバスエプロン4aの裏側に沿って遮蔽部材15を設けることにより、浴槽4に貯留された湯水に入射する電波を減衰させることができ、湯水からの反射波によるノイズを更に抑制することができる。
【0100】
本実施形態の浴室制御システムによれば、電波センサ14が浴室カウンター装置10に設けられているので、洗い場に居る利用者の近くから電波を照射することができ、電波センサ14により、精度良く利用者を検出することができる。
【0101】
次に、図9及び図10を参照して、本発明の第3実施形態による浴室制御システムを説明する。
本実施形態の浴室制御システムは、浴室の利用者を検出するためのセンサが、上述した第1実施形態とは異なる。従って、以下では、本発明の第3実施形態の、第1実施形態とは異なる点のみを説明し、同様の構成、作用、効果については説明を省略する。図9は、本発明の第3実施形態による浴室制御システムを設置したユニットバスである浴室2及びそれに隣接する脱衣室を示す側面図である。図10は、センサの検出信号に基づいて、利用者が、浴槽4内、洗い場(床面2f)内、又は脱衣室18内の何れに居るかを判別する処理を示すフローチャートである。
【0102】
図9に示すように、本発明の第3実施形態による浴室制御システムも、浴槽4及びそれに隣接する洗い場(床面2f)を備えた浴室2に設置され、浴室2の隣には隣接室である脱衣室18が設けられている。そして、本実施形態においても、洗い場と脱衣室18は、扉18a(図9には図示せず)を介して出入りできるようになっている。
【0103】
一方、上述した第1実施形態においては、浴室2の利用者が洗い場内に居るか否かを検出するための第1の検出手段、及び、利用者が、洗い場から浴室2に隣接する隣接室である脱衣室18に退出したか否かを検出するための第2の検出手段が、単一の電波センサ14によって構成されていた。これに対し、本実施形態においては、第1の検出手段、及び第2の検出手段が、別々の2つのセンサによって構成されている。具体的には、本実施形態においては、第1、第2の検出手段は、夫々、第1赤外線センサ24a、第2赤外線センサ24bで構成されている。
【0104】
第1の検出手段として機能する第1赤外線センサ24aは、浴室2の天井壁面2aの、洗い場(床面2fの上方)に配置されており、その検知範囲は洗い場内に設定され、浴室2内の浴槽4上方の部分には検知範囲が設定されていない。従って、第1赤外線センサ24aの検知範囲は、浴室2の洗い場のみに設定され、浴槽4の上方の空間は検知範囲外にされている。尚、ここでは、第1赤外線センサ24aは、浴室2の天井壁面2aの、洗い場(床面2fの上方)に配置した例を示したが、配置位置はこの限りではなく、バスエプロン4a、または4つの側壁面2b、2c、2d、2eに配置されてもよい。
【0105】
第2の検出手段として機能する第2赤外線センサ24bは、脱衣室18の天井壁面に配置されており、その検知範囲は脱衣室18内のみに設定されている。なお、本実施形態において、これらの第1赤外線センサ24a、第2赤外線センサ24bは、夫々の検知範囲内に利用者が居るか否かのみを検出するように構成されている。
【0106】
第1赤外線センサ24a、及び第2赤外線センサ24bは、室内に赤外線Iを射出し、受光した反射赤外線の強度に基づいて、検知範囲内に利用者が居るか否かを検出するように構成されている。なお、本実施形態においては、第1、第2の検出手段として、第1赤外線センサ24a、第2赤外線センサ24bが夫々設けられているが、第1、第2の検出手段として、電波式のセンサ等、任意のセンサを使用することができる。
【0107】
次に、図10を参照して、利用者の居場所を判別する判別処理を説明する。
なお、図10に示すフローチャートにおける処理は、判別部16a及び制御部16b(図9には図示せず)により実行される。
【0108】
まず、第1赤外線センサ24aにより、利用者が洗い場に居ることが検出されると、図10に示すフローチャートのステップS13が実行され、判別部16aは利用者が洗い場に居ることを判別する。即ち、第1赤外線センサ24aが赤外線Iを射出し、受光された反射波が所定の強度閾値以上である場合に、判別部16aは利用者が洗い場に居ると判別する。このように、第1赤外線センサ24aの検出信号に基づく第1の検出手段によって、利用者が洗い場内に居ることが検出される。
【0109】
次いで、ステップS14では、この状態が継続しているか否かが判断され、継続している場合には、ステップS13に戻る。即ち、利用者が洗い場に居り、第1赤外線センサ24aが所定の強度閾値以上の反射波を受光している状態では、ステップS13→S14→S13の処理が繰り返され、利用者は洗い場に居ると判別される。
【0110】
一方、ステップS14において、利用者が洗い場に居ないと判断された場合には、ステップS15に進み、ステップS15では、利用者が浴室2から退室したか否かが判断される。即ち、第1赤外線センサ24aによって受光されている反射波が所定の強度閾値未満になると、利用者が洗い場に居ないと判断され、フローチャートにおける処理はステップS14からステップS15に進む。さらに、ステップS15においては、第2赤外線センサ24bが所定の強度閾値以上の反射波を受光しているか否かが判断される。即ち、第2赤外線センサ24bが赤外線Iを射出し、受光された反射波が所定の強度閾値以上である場合に、判別部16aは利用者が脱衣室18に居ると判別する。このように、第2赤外線センサ24bが所定の強度閾値以上の反射波を受光すると、判別部16aは利用者が浴室2から退室したと判断し、フローチャートにおける処理はステップS11に進む。即ち、第2赤外線センサ24bの検出信号に基づく第2の検出手段によって、利用者が脱衣室18に退出したことが検出される。ステップS11において、判別部16aは、利用者が脱衣室18に入り、浴室2の外に居ると判別する。
【0111】
このように、判別部16aは、利用者が洗い場内に居ると判別(ステップS13)した後、第1の検出手段である第1赤外線センサ24aの検出信号によって利用者が洗い場内に居ないことが検出され、且つ第2の検出手段である第2赤外線センサ24bの検出信号によって利用者が脱衣室18に退出したことが検出された場合に、利用者は洗い場から脱衣室18に出たと判別(ステップS11)する。
【0112】
次いで、ステップS12において、利用者が洗い場に居るか否かが判断され、利用者が洗い場に居ないと判断された場合には、ステップS11に戻る。即ち、利用者が洗い場におらず、第1赤外線センサ24aによって受光される反射波が所定の強度閾値未満の状態では、ステップS11→S12→S11の処理が繰り返され、利用者が浴室2外に居ると判別される。
【0113】
このように、判別部16aは、利用者が脱衣室18に(浴室2の外に)出たと判別(ステップS11)した後、利用者が洗い場に居ると判断されるまでは、利用者は浴室2外に居ると判別する。
【0114】
一方、ステップS12において、利用者が洗い場に居ると判別された場合には、フローチャートにおける処理はステップS13に進む。このように、判別部16aは、利用者が脱衣室18に(浴室2の外に)居ると判別(ステップS11)した後、第1赤外線センサ24aの検出信号によって、利用者が洗い場内に居ることが検出されると、利用者が脱衣室18から洗い場に入ったと判別(ステップS13)する。
【0115】
一方、利用者が洗い場に居ると判別された(ステップS13)後、ステップS14において利用者は洗い場に居ないと判断され、ステップS15において利用者は洗い場から脱衣室18に退室していない(脱衣室18には居ない)と判断された場合には、ステップS16に進み、利用者は浴槽4の中に居ると判別される。即ち、第1赤外線センサ24aによって、利用者は洗い場に居ないと判断され、且つ第2赤外線センサ24bによって、利用者は脱衣室18に退出していないと判断された場合には、利用者は浴槽4の中に居ると判別される。
【0116】
このように、判別部16aは、利用者が洗い場内に居ると判別した(ステップS13)後、第1赤外線センサ24aによって、利用者が洗い場内に居ないことが検出(ステップS14→S15)され、且つ、第2赤外線センサ24bによって利用者が脱衣室18に退出したことが検出されない(ステップS15→S16)場合に、利用者は浴槽4内に居ると判別(ステップS16)する。
【0117】
次いで、ステップS17において、利用者が洗い場内に居るか否かが判断され、利用者が洗い場内に居ないと判断された場合には、ステップS16に戻る。即ち、利用者が洗い場に居らず、第1赤外線センサ24aによって受光される反射光が所定の強度閾値未満の状態では、ステップS17→S16→S17の処理が繰り返され、利用者が浴槽4内に居ると判別される。
【0118】
一方、ステップS17において、利用者が洗い場内に居ると判断された場合には、ステップS13に進み、利用者は洗い場内に居ると判別される。即ち、第1赤外線センサ24aによって受光される反射光が所定の強度閾値以上になると、利用者は浴槽4から洗い場に出たと判断される。このように、判別部16aは、利用者が浴槽4内に居ると判別(ステップS16)した後、第1赤外線センサ24aによって、利用者が洗い場内に居ることが検出された場合に、利用者は浴槽4から洗い場に出たと判別する。
【0119】
以上のように、第1赤外線センサ24a及び第2赤外線センサ24bは、何れも浴室2内の浴槽4の部分を検知範囲とせず、利用者が洗い場内に居るか否か、及び洗い場から浴室2に隣接する脱衣室18に退出したか否かを検出するだけで利用者の行動を検知することができ、判別部16aは、利用者が、浴槽4内、洗い場内、又は脱衣室18内の何れに居るかを判別することができる。
【0120】
本発明の第3実施形態の浴室制御システムによれば、第2の検出手段が、利用者が脱衣室18内に居るか否かを検出する第2赤外線センサ24bであるため、簡便なセンサで、正確に利用者の行動を検出することが可能になる。
【0121】
以上、本発明の実施形態を説明したが、上述した実施形態に種々の変更を加えることができる。
【符号の説明】
【0122】
1 浴室制御システム
2 浴室(ユニットバス)
2a 天井壁面
2b、2c、2d、2e 側壁面
2f 床面(洗い場)
4 浴槽
4a バスエプロン
4b 内側壁面
4c 上端面
6 シャワー装置
8 鏡
10 浴室カウンター装置
10a 洗い場床洗浄装置(浴室機器)
12a 浴室暖房換気装置(浴室機器)
12b 浴室照明装置(浴室機器)
14 電波センサ(ドップラーセンサ)
14a 誘電体基板
14b パッチ
14c グランドプレート
14d センサ筐体
15 遮蔽部材
16a 判別部
16b 制御部
18 脱衣室(隣接室)
18a 扉
24a 第1赤外線センサ(第1の検出手段)
24b 第2赤外線センサ(第2の検出手段)
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図5F
図6
図7
図8
図9
図10