(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024124731
(43)【公開日】2024-09-13
(54)【発明の名称】屋根構造体及び屋根構造体の施工方法
(51)【国際特許分類】
E04B 1/343 20060101AFI20240906BHJP
E04H 6/02 20060101ALI20240906BHJP
E04H 1/12 20060101ALI20240906BHJP
【FI】
E04B1/343 G
E04B1/343 D
E04H6/02 A
E04H6/02 H
E04H1/12 306A
E04H1/12 306Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023032611
(22)【出願日】2023-03-03
(71)【出願人】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 通博
(72)【発明者】
【氏名】陳 茜茜
(57)【要約】
【課題】樋構造を備える屋根構造体において、意匠性を向上させることができる屋根構造体を提供すること。
【解決手段】屋根構造体1は、1又は複数の柱材2と、1又は複数の柱材2に接続される梁3と、梁3に接続され傾斜して形成される屋根体4と、を備え、梁3Bは、屋根体4の下り傾斜の下端部から外側に延出する梁延長部5を有し、1又は複数の柱材2は、少なくとも、梁延長部5における屋根体4とは反対側の端部に接続される梁延長側柱材2Aを有し、梁延長部5は、内部に、屋根体4からの水を流す梁延長樋構造60を有する。
【選択図】
図14
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1又は複数の柱材と、
前記1又は複数の柱材に接続される梁と、
前記梁に接続され傾斜して形成される屋根体と、を備え、
前記梁は、前記屋根体の下り傾斜の下端部から外側に延出する梁延長部を有し、
前記1又は複数の柱材は、少なくとも、前記梁延長部における前記屋根体とは反対側の端部に接続される梁延長側柱材を有し、
前記梁延長部は、内部に、前記屋根体からの水を流す梁延長樋構造を有する、屋根構造体。
【請求項2】
前記屋根体は、下り傾斜の下端部に配置される屋根体側樋構造を有し、
前記梁延長樋構造の前記屋根体側の端部は、前記屋根体側樋構造に接続される、請求項1に記載の屋根構造体。
【請求項3】
前記梁延長樋構造は、前記屋根体側から前記梁延長側柱材側に向かうに従って下る下り傾斜で延びて形成される、請求項1又は2に記載の屋根構造体。
【請求項4】
前記梁延長側柱材は、前記梁延長側柱材の縦方向に水を流す柱材側樋構造を有し、
前記梁延長樋構造の前記梁延長側柱材側の端部は、前記柱材側樋構造に接続される、請求項1又は2に記載の屋根構造体。
【請求項5】
前記梁延長部は、前記梁延長部の下部に取り付けられる下部梁カバーを有し、
前記梁延長樋構造は、前記下部梁カバーにより構成される、請求項1又は2に記載の屋根構造体。
【請求項6】
1又は複数の柱材と、
前記1又は複数の柱材に接続される梁と、
前記梁に接続される屋根体と、を備える屋根構造体の施工方法であって、
前記梁は、前記屋根体の外側に延出する梁延長部を有し、
前記1又は複数の柱材は、少なくとも、前記梁延長部における前記屋根体とは反対側の端部に接続される梁延長側柱材を有し、
前記1又は複数の柱材に前記梁を接続する梁接続工程と、
前記梁に前記屋根体を接続する屋根体接続工程と、
前記梁延長部の下面に下部梁カバーを取り付けて前記梁延長部の内部に前記屋根体からの水を流す梁延長樋構造を設ける樋構造設置工程と、
前記屋根体と前記下部梁カバーの前記屋根体側の端部とを接続する屋根体側端部接続工程と、
前記下部梁カバーの前記梁延長側柱材側の端部と前記梁延長側柱材に設けられる柱材側樋構造とを接続する柱材側端部接続工程と、を含む、屋根構造体の施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、屋根構造体及び屋根構造体の施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、柱材と、柱材に接続される梁と、梁に接続される屋根体と、外部から視認される位置に配置される樋構造と、を備える屋根構造体が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の屋根構造体の樋構造は、外部から視認される位置に配置される。樋構造を備える屋根構造体において、意匠性を向上させることが望まれる。
【0005】
本開示は、樋構造を備える屋根構造体において、意匠性を向上させることができる屋根構造体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、1又は複数の柱材と、前記1又は複数の柱材に接続される梁と、前記梁に接続され傾斜して形成される屋根体と、を備え、前記梁は、前記屋根体の下り傾斜の下端部から外側に延出する梁延長部を有し、前記1又は複数の柱材は、少なくとも、前記梁延長部における前記屋根体とは反対側の端部に接続される梁延長側柱材を有し、前記梁延長部は、内部に、前記屋根体からの水を流す梁延長樋構造を有する、屋根構造体に関する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】一実施形態に係るカーポートを斜め上方側から見た斜視図である。
【
図2】一実施形態に係るカーポートを斜め下方側から見た斜視図である。
【
図3】一実施形態に係るカーポートの平面図である。
【
図7】屋根体側樋構造と支柱側樋構造との接続状態及び屋根体側樋構造と梁延長樋構造との接続状態を示す斜視図である。
【
図8】屋根体側樋構造と支柱側樋構造との接続状態を示す拡大斜視図である。
【
図9】梁の梁延長部に下部梁カバーが取り付けられた状態を斜め上方側から見た斜視図である。
【
図10】梁の梁延長部に下部梁カバーが取り付けられた状態を斜め下方側から見た斜視図である。
【
図13】梁延長樋構造を斜め上方側から見た分解斜視図である。
【
図14】梁延長樋構造を斜め下方側から見た分解斜視図である。
【
図15A】梁の梁延長部に下部梁カバーを取り付ける手順を示す図であって、梁の下部突出板に下部梁カバーのネジ固定部を引っ掛ける状態を示す図である。
【
図15B】梁の梁延長部に下部梁カバーを取り付ける手順を示す図であって、位置決め部が下部突出板側への下部梁カバーの移動を規制して位置決めする状態を示す図である。
【
図15C】梁の梁延長部に下部梁カバーを取り付ける手順を示す図であって、下部梁カバーの篏合部を梁本体の梁側篏合部に篏合させた状態を示す図である。
【
図15D】梁の梁延長部に下部梁カバーを取り付ける手順を示す図であって、下部梁カバーの篏合部と梁本体の梁側篏合部の篏合部分を中心に回転させながら、ネジ固定部を梁の下部突出板の上面に配置した状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本開示の梁構造を含む屋根構造体の一実施形態について、図面を参照しながら説明する。本実施形態においては、屋根構造体をカーポート1に適用した例について説明する。カーポート1は、屋根体4の下方に、1台又は複数台の自動車の駐車スペースが確保されている。なお、本実施形態においては、屋根構造体をカーポート1に適用した例について説明するが、これに限定されない。また、屋根構造体を、カーポート以外の構造物、例えば、駐輪場、シェルター、休憩所、テラス、バス停などの構造物に適用してもよい。
【0009】
なお、本実施形態の説明においては、カーポート1の梁3が延びる方向であって、長尺形材41(長尺材)が延びる方向に直交する方向を左右方向X(長尺形材41の長手方向に交差する方向)ともいう。また、梁3が延びる左右方向Xにおいて、一方側(
図1における右手前)をX1側ともいい、他方側(
図1における左奥側)をX2側ともいう。カーポート1の屋根体4を構成する複数の長尺形材41(長尺材)が延びる方向を前後方向Y(長尺形材41の長手方向)ともいう。また、
図1の前後方向Yにおいて、カーポート1の左手前側を前側ともいい、カーポート1の右奥側を奥側ともいう。
【0010】
まず、本実施形態のカーポート1の全体構造について説明する。本実施形態のカーポート1は、
図1~
図3に示すように、屋根体4を左右方向Xの両側それぞれにおいて一対の支柱2で支持する、いわゆる、両持ち構造のカーポートである。また、本実施形態のカーポート1は、支柱2に接続された梁3の下部(下方)に、屋根体4が吊られて接続される吊構造で構成される。
【0011】
本実施形態のカーポート1は、3つの梁3が設けられている。3つの梁3は、
図1に示すように、カーポート1の前後方向Yに離間して配置される。3つの梁3は、それぞれ、一対の支柱2の上端部同士を接続して、屋根体4の左右方向Xに延びる。3つの梁3は、前後方向Yの両端部側に配置される2つの梁3Aと、前後方向Yの中央側に配置される1つの梁3Bと、を有する。本実施形態の梁3A及び梁3Bの説明について、区別する必要がある場合には、「梁3A」又は「梁3B」と記載し、特に区別する必要が無い場合には、単に「梁3」と記載する。本実施形態のカーポート1は、屋根体4が配置された部分から、3つの梁3のうちの、前後方向Yの中央側に配置される梁3Bの長さを延長した、いわゆる、梁延長のカーポートである。梁3Bの長手方向において、屋根体4が配置された部分から延長した部分の下部には、屋根体4が設けられておらず、下部梁カバー35が取り付けられている。なお、前後方向Yの両端部側に配置される梁3Aの長さを延長してもよい。
【0012】
図1~
図3に示すように、本実施形態のカーポート1は、地面に立設される3組の一対の支柱2(柱材)と、支柱2の上端部から支柱2に交差する方向に延びる3つの梁3と、3つの梁3の下部に接続される屋根体4と、を備える。支柱2、梁3、及び屋根体4を構成する複数の長尺形材41は、アルミニウム材料の押出し形材で形成され、断面が中空状の中空部を有するホロー構造を有する。
【0013】
3組の支柱2(柱材)は、
図1に示すように、一対の支柱2が前後方向Yに3組並んで配置される。一対の支柱2は、
図3に示すように、カーポート1の左右方向Xの両側(X1側及びX2側)に屋根体4を挟んで対向して配置され、梁3の左右方向Xの両端部に接続される。
【0014】
3組の一対の支柱2のうち、前後方向Yの両端部側に配置される2つの梁3Aの左右方向Xの両端部に接続される支柱2は、屋根体4の左右方向Xの両端部に設けられる。3組の一対の支柱2のうち、前後方向Yの中央側に配置される梁3Bの左右方向XのX2側に接続される支柱2は、屋根体4の左右方向XのX2側の端部に設けられ、前後方向Yの中央側に配置される梁3Bの左右方向XのX1側の端部を支持する支柱2A(梁延長側柱材)は、梁3Bにおける屋根体4の外側に延長された梁延長部5(後述)における屋根体4とは反対側の端部に接続される。
【0015】
3組の一対の支柱2は、
図1に示すように、カーポート1の前後方向Yに離間して配置される。支柱2は、上下方向に延びて形成される。支柱2は、
図4~
図6に示すように、横断面が角筒状に形成される中空状の支柱側ホロー部21と、支柱側ホロー部21の屋根体4側の側面から屋根体4側に突出すると共に上下方向に延びる一対のカバー取付壁22(
図1参照)と、を有する。一対のカバー取付壁22には、支柱カバー部材23が取り付けられる。支柱2の上端部には、支柱2の上端部の開口を覆うように、支柱キャップ24が配置される。
【0016】
3つの梁3のうち前後方向Yの両端部側に配置された2つの梁3Aの左右方向XのX1側に配置される支柱2と支柱カバー部材23との間には、
図4に示すように、屋根体4の屋根体側樋構造40(後述)から排出された雨水などの水が流される。
【0017】
また、3つの梁3のうち前後方向Yの中央側に配置された梁3Bの左右方向XのX1側に配置される支柱2Aと支柱カバー部材23との間には、
図6に示すように、屋根体4の屋根体側樋構造40(後述)から誘導されて梁延長樋構造60(後述)を流通されて排出された雨水などの水が流される。
【0018】
X1側に配置される支柱2,2Aと支柱カバー部材23との間には屋根体4の屋根体側樋構造40(後述)や梁延長樋構造60(後述)から排出された水が流入して水が流れるため、支柱2,2A及び支柱カバー部材23は、支柱2,2Aの縦方向に水を流す支柱側樋構造20,20A(柱材側樋構造)として構成される。
【0019】
本実施形態においては、X1側に配置される支柱2,2Aと支柱カバー部材23との間に雨樋用のホースなどが配置されずに、支柱2,2A及び支柱カバー部材23だけで、縦樋を構成する。支柱側樋構造20,20Aは、支柱側ホロー部21の屋根体4側の側面が支柱カバー部材23に覆われるため、カーポート1の外部からは視認されない。そのため、支柱2が樋の機能を備えることが外部からは視認されず、意匠性を向上できる。
【0020】
3つの梁3のうち、前後方向Yの両端部側に配置される2つの梁3Aは、屋根体4の左右方向XのX2側の端部からX1側の端部まで延びるように形成されており、左右方向XのX2側の端部及びX1側の端部において、それぞれ、支柱2の上端部に接続される。
【0021】
3つの梁3のうち、前後方向Yの中央側に配置される梁3Bは、屋根体4の左右方向XのX2側の端部からX1側の端部側から更に外側に延長するように延びる梁延長の構造で構成されており、屋根体4のX1側の外側において、梁3Bの左右方向XのX1側の端部が、支柱2A(梁延長側柱材)の上端部に接続される。
【0022】
3つの梁3は、
図4~
図6に示すように、いずれも、左右方向Xにおいて、X1側の支柱2側が下る下り傾斜で形成される。3つの梁3の左右方向Xの両端部(X1側の端部及びX2側の端部)は、
図4~
図6に示すように、L字状の接続部材25を介して、支柱2の上端部に接続される。3つの梁3の下部には、屋根体4が接続される。
【0023】
3つの梁3は、
図1、
図3~
図6に示すように、それぞれ、断面が角筒状の中空部を有する梁本体31と、下部突出板34と、を有する。
【0024】
下部突出板34は、
図3~
図6に示すように、梁本体31の下端部から、屋根体4における前後方向Yの一方側(梁3の幅方向の一方側)に向けて突出すると共に、左右方向Xに延びる板状に形成される。下部突出板34は、左右方向Xに並んで配置される複数のネジ部材101により、下部突出板34において、屋根体4に固定される。なお、本実施形態においては、下部突出板34を、梁3の下端部において、梁3の幅方向の片方側(一方側のみ)に突出する構成としたが、これに限定されない。下部突出板34を、梁3の下端部において、梁3の幅方向の両方側に突出する構成としてもよい。
【0025】
屋根体4は、
図1に示すように、屋根体4が3つの梁3の下部に吊られて配置される吊り下げ構造であって、3つの梁3の下部に取り付けられる(接続される)。屋根体4は、左右方向Xにおいて、X1側の支柱2側が下る下り傾斜で形成される。
【0026】
本実施形態においては、3つの梁3のうち、前後方向Yの中央側に配置される梁3Bは、屋根体4の左右方向XのX1側の下り傾斜の下端部から左右方向XのX1側の外側に延出する梁延長部5を有する。梁3Bの梁延長部5は、
図6に示すように、内部に梁延長樋構造60を有する。梁延長部5の下部には、屋根体4は配置されていない。梁延長部5の下部には、下部梁カバー35が取り付けられている。下部梁カバー35は、屋根体4から流された水を流す梁延長樋構造60を構成する。梁延長樋構造60は、屋根体4側から支柱2A側に向かうに従って下る下り傾斜で延びて形成される。梁延長部5の下部に下部梁カバー35が取り付けられる梁構造30の詳細については後述する。
【0027】
屋根体4は、
図1~
図6に示すように、複数の長尺形材(長尺材)41が、梁3が延びる方向に並んで連設されて互いが嵌合して連結されて構成される。複数の長尺形材41は、それぞれ、カーポート1の前後方向Y(梁3が延びる方向に直交する方向)に延びており、所定の厚さを有する。複数の長尺形材41は、それぞれ、アルミニウム材料の押出し形材で形成され、断面が中空状に形成される中空部を有するホロー構造を有する。屋根体4は、上面4a及び下面4bがフラット(平面状)に形成される。
【0028】
屋根体4は、X1側の支柱2側が下る下り傾斜に配置されており、上面4a及び下面4bは、カーポート1の左右方向X(梁3が延びる方向)において、X1側の支柱2側が下る下り傾斜に形成される。屋根体4は、アルミニウム材料の押出し形材で形成された複数の長尺形材41を連結して屋根体4を構成することで、複数の長尺形材41を、屋根体4の面材として使用できると共に、屋根体4の強度を確保することができる。また、屋根体4を構成する複数の長尺形材41を、中空部を有する形材で構成することで、屋根体4自体を強度部材として使用でき、屋根体4の強度を出すための部材を別に設ける必要がない。よって、屋根体4を構成する部材の部品点数を低減できる。
【0029】
屋根体4を構成する複数の長尺形材41は、
図5に示すように、左右方向Xにおいて、最もX2側に配置されるX2側端部形材42と、
図4及び
図6に示すように、最もX1側に配置される樋構成形材44と、
図4~
図6に示すように、X2側端部形材42と樋構成形材44との間に配置される複数の中間形材43と、を備えて構成される。
【0030】
複数の長尺形材41は、隣り合う長尺形材41同士が篏合により取り付けられると共に、複数の長尺形材41は、それぞれ、ネジ部材101により、梁3に直接固定されて接続される。詳細には、上方側から移動されたネジ部材101により、梁3の下部突出板34と長尺形材41(X1側端部形材42、中間形材43)の上面とが固定される。
【0031】
樋構成形材44は、
図4~
図6に示すように、屋根体4において、複数の長尺形材41が並ぶ左右方向XのX1側の端部に、複数の長尺形材41に対して並列に並んで配置され、上部側が上方側に向けて開口する長尺形材により形成される。本実施形態においては、樋構成形材44は、中空部を有さないソリッド材により形成され、上部側が開口する断面U字形状に形成される。
【0032】
樋構成形材44は、屋根体4の左右方向XのX1側の端部において、屋根体4の上面4aをX2側からX1側に流れてX1側の端部に達した水を受け止めて流通させる屋根体側樋構造40を構成する。屋根体側樋構造40は、樋構成形材44の長手方向に延びて形成される。屋根体側樋構造40は、
図3、
図4及び
図6に示すように、屋根体4における下り傾斜の下端部である左右方向XのX1側の端部に配置される。
【0033】
屋根体側樋構造40は、上部側が開口しているため、屋根体側樋構造40を屋根体4の下方から見た場合に、長尺形材41のフラットな(平面状の)下面が見えるだけで、屋根体4の上面4a側に樋が存在することを認識させずに樋を構成でき、意匠性を向上できる。
【0034】
屋根体側樋構造40には、
図7に示すように、樋構成形材44の長手方向における3つの梁3それぞれが設けられる位置において、樋構成形材44のX1側の側面には、開口を介して、3つの誘導部材26が接続されている。3つの誘導部材26は、前後方向Yに延びる樋構成形材44において、前後方向Yの両端部側に設けられる2つの端部側誘導部材27と、前後方向Yの中央側に設けられる梁延長屋根体側誘導部材28と、を有する。
【0035】
端部側誘導部材27は、
図4及び
図8に示すように、屋根体側樋構造40における樋構成形材44において、前後方向Yの両端部側に配置される2つの梁3Aが設けられる位置に配置される。端部側誘導部材27は、一端側が、樋構成形材44のX1側の側面の開口に接続される共に、他端側が、X1側の支柱2と支柱カバー部材23との間の支柱側樋構造20(柱材側樋構造)に接続される。
【0036】
端部側誘導部材27は、屋根体側樋構造40に流れ込んで滞留した水を、支柱側樋構造20に誘導する。端部側誘導部材27は、
図8に示すように、ケース部271と、フィルタ部275と、を有する。ケース部271は、方形筒状の筒状部272と、筒状部272の外周面から外側に突出する外周突出板273と、を有する。筒状部272の内部にはフィルタ部275が配置される。筒状部272は、左右方向Xの両端が開口して形成されている。
【0037】
筒状部272の一方の開口は、屋根体側樋構造40の樋構成形材44の側面の開口に取り付けられる。筒状部272の他方の開口は、X1側の支柱2と支柱カバー部材23との間の支柱側樋構造20に向けて開口する。
【0038】
フィルタ部275は、筒状部272の内部に配置される。フィルタ部275は、端部側誘導部材27に誘導された汚れ(例えば、落ち葉など)をせき止めて捕捉する。フィルタ部275は、
図8に示すように、筒状部272の開口を格子状に仕切るように形成され、筒状部272の開口における上下方向の略中央において上下に仕切るように横方向に延びる中間板材276と、中間板材276から上下方向に立設される複数の立設板277と、を有する。
【0039】
これにより、屋根体側樋構造40は、
図8に示すように、樋構成形材44の長手方向の途中において、端部側誘導部材27を介して、X1側の支柱2と支柱カバー部材23との間の支柱側樋構造20(柱材側樋構造)に接続される。端部側誘導部材27は、屋根体側樋構造40に流れ込んで滞留した水を、支柱側樋構造20に誘導する。
【0040】
梁延長屋根体側誘導部材28は、
図7に示すように、屋根体側樋構造40における樋構成形材44において、前後方向Yの中央側に配置される梁3Bの梁延長部5が設けられる位置において、樋構成形材44のX1側の側面に接続されている。梁延長屋根体側誘導部材28の詳細については後述する。
【0041】
次に、梁3Bの梁延長部5の下部に下部梁カバー35が取り付けられる梁構造30の詳細について説明する。本実施形態においては、梁構造30の説明において、
図9~
図11に示すように、梁3の長手方向に直交する幅の方向を幅方向Wという。幅方向Wにおいて一方側を一方側W1(
図11における左側)といい、幅方向Wにおいて他方側を他方側W2(
図11における右側)という。
図9及び
図10に示すように、梁構造30は、梁3Bと、下部梁カバー35と、を備える。下部梁カバー35は、梁3Bの長手方向において屋根体4が配置されていない梁延長部5の下部に取り付けられている。
【0042】
図9~
図11に示すように、梁3Bの梁延長部5は、所定方向に延びる長尺の梁本体31と、梁本体31の下部において梁本体31の幅方向Wの他方側W2の外側に突出する下部突出板34と、下部梁カバー35と、を有する。
【0043】
梁本体31は、
図11に示すように、断面が角筒状の梁側ホロー部32(梁構成部)と、梁側ホロー部32の下面に固定される梁アタッチメント部33(アタッチメント部)と、を有する。
【0044】
梁側ホロー部32は、中空部を有する中空枠321と、位置決め突起322(梁側位置決め部)と、を有する。位置決め突起322は、中空枠321の幅方向Wの一方側W1の端部側の部分から、下方に突出する。
【0045】
梁アタッチメント部33は、梁側ホロー部32の長手方向に延びる。なお、梁アタッチメント部33は、梁側ホロー部32の長手方向に延びる1つの部材により構成してもよいし、梁側ホロー部32の長手方向の長さが所定長さで形成される複数のピース状のアタッチメント部材により構成してもよい。
【0046】
梁アタッチメント部33は、
図11に示すように、幅方向Wに延びる板状に形成され梁側ホロー部32の下面にネジ331aにより固定される固定板331と、固定板331の幅方向Wの一方側W1の端部から下方に延出する下方延出板332と、下方延出板332の先端(下端)に設けられる梁側篏合部333(被篏合部)と、下方延出板332の上下方向の途中の上側寄りの部分から幅方向Wの一方側W1に突出すると共に下方に向けて開放するL字状突起334と、を有する。梁側篏合部333は、下部梁カバー35の篏合固定部352の篏合部352b(後述)に篏合される。L字状突起334の先端側の下方に突出する突出片の幅方向Wの一方側W1の面は、梁本体31の位置決め突起322の幅方向Wの他方側W2の面に沿って当接する。
【0047】
下部梁カバー35は、
図9及び
図10に示すように、梁3Bの梁延長部5の長手方向に沿って長尺に形成される。下部梁カバー35は、アルミニウム材料の押出し形材で形成される。下部梁カバー35は、上方側が開放して形成されており、下面35aが平面状に形成される。梁3の梁延長部5の下部に取り付けられた下部梁カバー35は、
図11に示すように、下部梁カバー35の上面側の部分が、梁延長部5の内部において水を流す梁延長樋構造60を構成する。これにより、梁3Bの梁延長部5は、屋根体4の外側に向かって下り傾斜で傾斜して延びて形成され屋根体4からの水を流す梁延長樋構造60を備える。梁延長樋構造60の屋根体4側の端部は、屋根体側樋構造40に接続される。梁延長樋構造60の支柱2A側の端部は、支柱側樋構造20Aに接続される。
【0048】
下部梁カバー35の下面35aと屋根体4の下面4bとは、同一平面上又は略同一平面上に配置される。これにより、屋根体4を下方側から見た場合の見栄えが向上され、意匠性を向上できる。なお、「略同一平面上」とは、完全な同一平面上でなくてもよく、平面が連続するように視認されて、意匠性を高めることができれば、多少ずれて配置されていてもよいことを意味する。
【0049】
下部梁カバー35は、
図11に示すように、上方側が開放した断面視U字状のカバー本体351と、カバー本体351の幅方向Wの一方側W1に形成される篏合固定部352と、カバー本体351の幅方向Wの他方側W2に形成されるネジ固定部353と、カバー本体351の底面から上方に突出する仕切り突出片354及び篏合突出片355と、を有する。
【0050】
カバー本体351は、底板部351aと、底板部351aの幅方向Wの一方側W1の端部から上方側に延出する一方側壁部351bと、底板部351aの幅方向Wの他方側W2の端部から上方側に延出する他方側壁部351cと、を有する。
【0051】
仕切り突出片354は、カバー本体351の底板部351aの幅方向Wの途中の他方側W2寄りの部分から上方に突出する。篏合突出片355は、カバー本体351の底板部351aの幅方向Wの途中の一方側W1寄りの部分から上方に突出する。篏合突出片355の上端部には、後述する篏合固定部352の篏合部352bが形成される。
【0052】
篏合固定部352は、カバー本体351の幅方向Wの一方側W1に形成され、梁本体31に篏合により固定される。篏合固定部352は、位置決め部352aと、篏合部352bと、を有する。
【0053】
位置決め部352aは、カバー本体351の一方側壁部351bの先端側において上下方向に延びる直線状の部分により構成される。位置決め部352aは、梁側ホロー部32の位置決め突起322の幅方向Wの一方側W1の外側の面に沿って配置される。位置決め部352aは、下部梁カバー35が梁本体31に近づく方向及び離れる方向への移動が許容された状態で、下部突出板34側(ネジ固定部353側)への下部梁カバー35の移動を規制して位置決めする。
【0054】
篏合部352bは、カバー本体351の底板部351aの幅方向Wの途中の一方側W1寄りの部分から上方に突出する篏合突出片355の上端部に形成される。篏合部352bは、梁本体31の梁側篏合部333に篏合される。篏合部352bと梁本体31の梁側篏合部333とが篏合される上下方向の位置は、梁本体31に下部梁カバー35が取り付けられた場合に、ネジ固定部353が下部突出板34の上面に配置される位置となるように設定される。
【0055】
ネジ固定部353は、カバー本体351の他方側壁部351cの先端よりも僅かに下方の位置から幅方向Wの一方側W1に突出する板状に形成される。ネジ固定部353は、下部突出板34の上面に配置された状態で、上方側から、ネジ353aにより、下部突出板34にネジ固定される。
【0056】
下部梁カバー35と梁延長部5との接続部やネジ353aにより固定された部分は、止水方法により止水されている。なお、止水方法には限定されない。例えば、
図11において、下部梁カバー35のカバー本体351の位置決め部352aと梁側ホロー部32の位置決め突起322との接続部は、シール材を貼り付けたり、上からコーキング材を塗布することになどにより止水される。また、例えば、下部梁カバー35のネジ固定部353と梁延長部5の下部突出板34との接続部は、シール材を貼り付けたり、上からコーキング材を塗布することなどにより止水される。ネジ353aにより固定された部分は、上からコーキング材を塗布することなどにより止水される。
【0057】
下部梁カバー35の長手方向の屋根体4側(左右方向XのX2側)の端部には、
図12に示すように、梁延長屋根体側誘導部材28(第1梁延長接続部)が接続されている。下部梁カバー35の長手方向の支柱2A側(左右方向XのX1側)の端部には、梁延長支柱側誘導部材29(第2梁延長接続部)が接続されている。
【0058】
梁延長屋根体側誘導部材28は、
図12~
図14に示すように、一端側が、樋構成形材44のX1側の側面の開口441に接続される共に、他端側が、梁延長部5の下部梁カバー35により構成される梁延長樋構造60に接続される。
【0059】
梁延長屋根体側誘導部材28は、
図6及び
図12に示すように、屋根体側樋構造40に流れ込んで滞留した水を、梁延長部5の下部梁カバー35により構成される梁延長樋構造60に誘導する。
【0060】
梁延長屋根体側誘導部材28は、端部側誘導部材27の構成と同様に、
図13及び
図14に示すように、ケース部281と、フィルタ部285と、を有する。梁延長屋根体側誘導部材28の構成は、端部側誘導部材27の構成と同様の構成であるため、端部側誘導部材27の「ケース部271」及び「フィルタ部275」を、「ケース部281」及び「フィルタ部285」に読み替えて、対応する符号を付けて、その説明を省略する。
【0061】
梁延長屋根体側誘導部材28は、梁延長屋根体側誘導部材28の外周突出板283が端部キャップ枠371に係止された状態で、筒状部282の屋根体4側(一方側)の開口が、屋根体側樋構造40を構成する樋構成形材44の側面の開口441に取り付けられ、筒状部282の下部梁カバー35側(他方側)の開口が、梁延長部5の下部梁カバー35により構成される梁延長樋構造60に向けて開口する。
【0062】
これにより、屋根体側樋構造40は、
図6及び
図12に示すように、樋構成形材44の長手方向の途中において、梁延長屋根体側誘導部材28を介して、梁延長部5の下部梁カバー35により構成される梁延長樋構造60に接続される。梁延長屋根体側誘導部材28は、屋根体側樋構造40に流れ込んで滞留した水を、梁延長部5の下部梁カバー35により構成される梁延長樋構造60に誘導する。
【0063】
梁延長支柱側誘導部材29は、
図12~
図14に示すように、一端側が、梁延長部5の下部梁カバー35により構成される梁延長樋構造60のX1側の端部の開口601に接続される共に、他端側が、支柱2Aに形成された支柱側樋構造20Aに接続される。
【0064】
梁延長支柱側誘導部材29は、梁延長部5の下部梁カバー35により構成される梁延長樋構造60に流れ込んだ水を、梁延長部5のX1側の端部に接続された支柱2Aに形成された支柱側樋構造20Aに誘導する。
【0065】
梁延長支柱側誘導部材29は、端部側誘導部材27の構成と同様に、
図13及び
図14に示すように、ケース部291と、フィルタ部295と、を有する。梁延長支柱側誘導部材29の構成は、端部側誘導部材27の構成と同様の構成であるため、端部側誘導部材27の「ケース部271」及び「フィルタ部275」を、「ケース部291」及び「フィルタ部295」に読み替えて、対応する符号を付けて、その説明を省略する。
【0066】
梁延長支柱側誘導部材29は、梁延長支柱側誘導部材29の外周突出板293が端部キャップ枠372に係止された状態で、筒状部292の下部梁カバー35側(一方側)の開口が、梁延長樋構造60のX1側の端部の開口601に取り付けられ、筒状部292の支柱2A側(他方側)の開口は、支柱側樋構造20Aに向けて開口する。
【0067】
これにより、梁延長樋構造60は、
図6及び
図12に示すように、梁延長支柱側誘導部材29を介して、支柱側樋構造20Aに接続される。梁延長支柱側誘導部材29は、梁延長部5の下部梁カバー35により構成される梁延長樋構造60に流れ込んだ水を、支柱側樋構造20Aに誘導する。
【0068】
次に、梁3Bの梁延長部5の下面に下部梁カバー35を取り付けることで、梁3Bの梁延長部5に梁延長樋構造60を設ける手順について、
図1を参照して説明する。
【0069】
まず、3組の一対の支柱2を設置して、3組の一対の支柱2に3つの梁3を接続する(梁接続工程)。そして、梁3の下部に、複数の長尺材41を取り付けることで、梁3に屋根体4を接続する(屋根体接続工程)。
【0070】
次に、屋根体4の前後方向Yの中央側に配置された梁3Bの梁延長部5において、
図13及び
図14に示すように、梁3Bの梁延長部5の下面に下部梁カバー35を取り付けて梁延長部5の内部に屋根体4からの水を流す梁延長樋構造60を設ける(樋構造設置工程)。そして、下部梁カバー35の左右方向XのX2側(屋根体4側)の端部と屋根体4における屋根体側樋構造40とを、梁延長屋根体側誘導部材28により接続する(屋根体側端部接続工程)。また、下部梁カバー35の左右方向XのX1側(支柱2A側)の端部と支柱2Aに設けられる支柱側樋構造20Aとを、梁延長支柱側誘導部材29により接続する(柱材側端部接続工程)。
【0071】
なお、梁3Bの梁延長部5の下面に下部梁カバー35を取り付けて梁延長部5の内部に屋根体4からの水を流す梁延長樋構造60を設ける作業の順番は、取付構造の設計によって異なる。梁3Bの梁延長部5の下面に下部梁カバー35を取り付る取付構造を、梁延長屋根体側誘導部材28及び梁延長支柱側誘導部材29を取り付ける前に行う取付構造とすることもできるし、梁延長屋根体側誘導部材28及び梁延長支柱側誘導部材29を取り付けた後に行う取付構造とすることもできる。
【0072】
梁3Bの梁延長部5の下面に下部梁カバー35を取り付ける場合には、
図15Aに示すように、作業者は、下部梁カバー35を幅方向Wの一方側W1が下になるように傾けた状態で、下部梁カバー35の幅方向Wの他方側W2の端部側(一端側)において、下部梁カバー35のネジ固定部353を梁3Bの梁延長部5の下部突出板34の上方側に引っ掛ける(引っ掛け工程)。作業者は、下部梁カバー35のネジ固定部353を梁3Bの下部突出板34の上方側に引っ掛けた状態で次の作業を行うことができるため、梁3Bの下面に下部梁カバー35を取り付ける作業を容易に行うことができる。
【0073】
続けて、作業者は、下部梁カバー35の幅方向Wの他方側W2の引っ掛けた部分を中心に回転して、下部梁カバー35の幅方向Wの一方側W1の端部側の部分を上方に移動させて、
図15Bに示すように、位置決め部352aを、梁本体31の位置決め突起322の幅方向Wの一方側W1の外側の面に沿って配置する。これにより、梁3Bの幅方向Wの一方側W1側の端部側(他端側)において、下部梁カバー35の位置決め部352aにより下部梁カバー35が梁本体31に近づく方向及び離れる方向への移動が許容された状態で、下部突出板34側(ネジ固定部353側)への下部梁カバー35の移動を規制して位置決めする(位置決め工程)。
【0074】
そして、
図15Bに示すように、作業者は、下部梁カバー35の幅方向Wの一方側W1の部分を上方に移動させることで、カバー本体351の位置決め部352aを位置決め突起322の幅方向Wの一方側W1の外側の面に沿って上方側に移動させながら、
図15Cに示すように、下部梁カバー35の篏合部352bを梁本体31の梁側篏合部333に篏合させる(篏合工程)。この状態においては、下部梁カバー35の位置決め部352aは、下部突出板34側(ネジ固定部353側)への移動が規制された状態で位置決めをしている。しかし、下部梁カバー35の位置決め部352aは、上下方向への移動は許容されている。
【0075】
次に、
図15Cに示すように、作業者は、下部梁カバー35の位置決め部352aにおいて上下方向への移動が許容された状態で、下部梁カバー35の篏合部352bと梁本体31の梁側篏合部333の篏合部分を中心に回転させながら、
図15Dに示すように、ネジ固定部353を、梁3Bの梁延長部5の下部突出板34の上面に配置する。そして、作業者は、ネジ353aをネジ固定部353の上方側から下方側に移動させて、ネジ353aにより、ネジ固定部353を梁3の下部突出板34にネジ固定する(固定工程)。ネジ固定部353は、梁3Bの梁延長部5の下部突出板34の上面において、上方側から移動されたネジ353aにより固定される。ネジ353aは、下部梁カバー35の上側に配置されているため、カーポート1の下方からは視認されない。よって、意匠性を向上できる。
【0076】
本実施形態の梁構造30は、梁本体31と、梁本体31の下部において梁本体31の幅方向Wの外側に突出する下部突出板34と、を有する梁3Bの梁延長部5と、梁3Bの梁延長部5の下部に取り付けられる下部梁カバー35と、を備え、下部梁カバー35は、梁本体31に篏合により固定される篏合固定部352と、下部突出板34にネジ固定されるネジ固定部353と、を有し、篏合固定部352は、下部梁カバー35が梁本体31に近づく方向及び離れる方向への移動が許容された状態で下部突出板34側への下部梁カバー35の移動を規制して位置決めする位置決め部352aと、梁本体31に篏合される篏合部352bと、を有する。
【0077】
そのため、篏合固定部352の位置決め部352aにより下部梁カバー35が梁本体31に近づく方向及び離れる方向への移動が許容された状態で下部梁カバー35を位置決めして、下部梁カバー35を梁本体31に篏合して、ネジ固定部353を下部突出板34にネジ固定できる。これにより、下部梁カバー35を梁3Bの梁延長部5の正しい位置に容易に固定できる。よって、意匠性を向上させつつ、梁3Bの梁延長部5の下面に下部梁カバー35を容易に取り付けることができる。従って、梁3Bの梁延長部5の下部に、下部梁カバー35により梁延長樋構造60を容易に設けることができる。梁延長樋構造60は、梁3Bの梁延長部5の下面に取り付けられた下部梁カバー35により構成されるため、外部から視認されずに、意匠性を向上できる。
【0078】
また、篏合固定部352の位置決め部352aにより、下部梁カバー35が梁本体31に近づく方向及び離れる方向への移動が許容された状態で下部梁カバー35を位置決めして、下部梁カバー35を梁本体31に篏合できる。そのため、従来のような梁の下面に設けられた篏合部に下方から所定の押し込み長さだけ押し込んで下部梁カバーを取り付ける構造と比べて、下部梁カバー35を梁3Bの梁延長部5に取り付ける際の下部梁カバー35への押し込み長さを短くできる。
【0079】
従来、例えば、下部梁カバーのネジ固定部を梁の下部突出板の上面に引っ掛けて配置した後に、梁の下面に設けられた篏合部に下方から所定の押し込み長さだけ押し込んで、下部梁カバーを梁に取り付ける梁構造を採用しようとしても、従来の梁構造では、下部梁カバーのネジ固定部を梁の下部突出板の上面に引っ掛けて配置した後に、梁の下面に設けられた篏合部に下方から所定の押し込み長さだけ押し込んだ場合に、上方側への押し込み長さが存在すると、上方側への押し込み長さの分だけ、ネジ固定部が上方側に浮いて離れてしまう。そのため、ネジ固定部が梁の下部突出板から上方側に浮いて離れてしまって、ネジ固定部を下部突出板34の上面に配置できずに固定できなかった。
【0080】
これに対して、本開示は、篏合固定部352の位置決め部352aにより下部梁カバー35が梁本体31に近づく方向及び離れる方向への移動が許容された状態で下部梁カバー35を位置決めして、下部梁カバー35を梁本体31に篏合できるため、従来のような梁の下面に設けられた篏合部に下方から所定の押し込み長さだけ押し込んで下部梁カバーを取り付ける構造と比べて、下部梁カバー35を梁3Bの梁延長部5に取り付ける際の下部梁カバー35への押し込み長さを短くできる。その結果、ネジ固定部353を下部突出板34の上面から離れない位置に配置して固定できる。
【0081】
また、本実施形態において、梁本体31は、梁側ホロー部32と、梁側ホロー部32に固定される梁アタッチメント部33と、を有し、梁アタッチメント部33には、下部梁カバー35の篏合部352bに篏合される梁側篏合部333が設けられる。これにより、梁本体31に後付けで梁アタッチメント部33を固定して、梁アタッチメント部33を介して、梁3Bの梁延長部5の下面に下部梁カバー35を容易に取り付けることができる。また、例えば、梁本体31をアルミニウム材料の押し出し成形で製造する場合に、下部梁カバー35を梁本体31に篏合させて固定させる形状を1部材の梁本体31に設けることが、製造上の理由などにより難しいことがある。そのような場合であっても、梁本体31を、梁側ホロー部32及び梁アタッチメント部33の2部材で構成することで、容易に製造できる。
【0082】
また、本実施形態のカーポート1(屋根構造体)は、前記梁構造30と、梁3Bの下方に梁3Bに吊られて配置される屋根体4と、を備える。これにより、梁3Bの下方に吊られて配置される屋根体4を備える構成において、梁3Bの下面において、屋根体4が配置されていない梁延長部5に、下部梁カバー35を取り付けることで、梁延長樋構造60を構成できるため、意匠性を向上できる。
【0083】
また、本実施形態において、屋根体4の下面4bと下部梁カバー35の下面35aとは、同一平面上又は略同一平面上に配置される。これにより、屋根体4を下方側から見た場合の見栄えが向上され、意匠性を向上できる。
【0084】
以上説明した本実施形態のカーポート1によれば、以下のような効果を奏する。本実施形態のカーポート1は、複数の支柱2と、複数の支柱2に接続される梁3と、梁3に接続され傾斜して形成される屋根体4と、を備え、梁3Bは、屋根体4の下り傾斜の下端部から外側に延出する梁延長部5を有し、複数の支柱2は、少なくとも、梁延長部5における屋根体4とは反対側の端部に接続される支柱2Aを有し、梁延長部5は、内部に、屋根体4からの水を流す梁延長樋構造60を有する。これにより、梁3Bが屋根体4の外側に延出する梁延長部5を有するカーポート1において、梁延長部5の外部に露出する樋構造を設けることなく、梁延長部5の内部に梁延長樋構造60を設けることができる。よって、梁延長部5に樋構造を設けた場合でも、意匠性を向上できる。
【0085】
また、本実施形態では、屋根体4は、下り傾斜の下端部に配置される屋根体側樋構造40を有し、梁延長樋構造60の屋根体4側の端部は、屋根体側樋構造40に接続される。これにより、屋根体4の端部に配置される屋根体側樋構造40から流れ込んだ水を、梁延長樋構造60により、屋根体4の外側に流すことができる。
【0086】
また、本実施形態においては、梁延長樋構造60は、屋根体4側から支柱2A側に向かうに従って下る下り傾斜で延びて形成される。これにより、梁延長樋構造60により、屋根体4側から支柱2A側に水を流すことができる。
【0087】
また、本実施形態では、支柱2Aは、支柱側樋構造20Aを有し、梁延長樋構造60の支柱2A側の端部は、支柱側樋構造20Aに接続される。これにより、梁延長樋構造60により屋根体4の外側に流された水を、支柱側樋構造20Aを通して地面へ流すことができる。
【0088】
また、本実施形態では、梁延長部5は、梁延長部5の下部に取り付けられる下部梁カバー35を有し、梁延長樋構造60は、下部梁カバー35により構成される。これにより、下部梁カバー35を梁延長部5の下部に取り付けることで、梁延長部5に、梁延長樋構造60を容易に設けることができる。
【0089】
また、本開示のカーポートの施工方法は、複数の支柱2に梁3Bを接続する梁接続工程と、梁3Bに屋根体4を接続する屋根体接続工程と、梁延長部5の下面に下部梁カバー35を取り付けて梁延長部5の内部に屋根体4からの水を流す梁延長樋構造60を設ける樋構造設置工程と、屋根体4と下部梁カバー35の屋根体4側の端部とを接続する屋根体側端部接続工程と、下部梁カバー35の支柱2A側の端部と支柱2Aに設けられる支柱側樋構造20Aとを接続する柱材側端部接続工程と、を含む。これにより、梁3Bが屋根体4の外側に延出する梁延長部5を有するカーポート1の施工方法において、梁延長部5の外部に露出する樋構造を設けることなく、梁延長部5の内部に梁延長樋構造60を設けることができる。よって、梁延長部5に樋構造を設けた場合でも、意匠性を向上できる。
【0090】
以上、本開示のカーポート(屋根構造体)の好ましい一実施形態について説明したが、本開示は、上述した実施形態に制限されるものではなく、適宜変更が可能である。
【0091】
前記実施形態においては、梁延長樋構造を、梁延長部の下部に配置した下部梁カバーにより構成したが、これに限定されない。梁の梁延長部を構成する型材の一部に上方に向けて開放する部分を設けて水を流す構造とすることで、梁延長樋構造を構成してもよい。
【0092】
前記実施形態においては、カーポートを、屋根体4を左右方向Xの両側それぞれにおいて一対の支柱2で支持する、いわゆる、両持ち構造のカーポートとしたが、これに限定されず、屋根体4を左右方向Xの一方の端部を支柱で支持する、いわゆる、片持ち構造のカーポートとしてもよい。
【0093】
前記実施形態において、梁本体31を、梁構成部(梁側ホロー部32)とアタッチメント部33の2部材で構成したが、これに限定されない。梁本体31を、梁構成部(梁側ホロー部32)とアタッチメント部33とを一体とした1部材で構成してもよい。
【符号の説明】
【0094】
1 カーポート(屋根構造体)、2 支柱(柱材)、2A 支柱(梁延長側柱材)、3B 梁、4 屋根体、5 梁延長部、20A 支柱側樋構造(柱材側樋構造)、28 梁延長屋根体側誘導部材(第1梁延長接続部)、29 梁延長支柱側誘導部材(第2梁延長接続部)、35 下部梁カバー、40 屋根体側樋構造、60 梁延長樋構造