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  • -重量物設置構造 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024124733
(43)【公開日】2024-09-13
(54)【発明の名称】重量物設置構造
(51)【国際特許分類】
   E04H 5/02 20060101AFI20240906BHJP
   H02B 1/01 20060101ALN20240906BHJP
   H02B 3/00 20060101ALN20240906BHJP
   H02B 13/035 20060101ALN20240906BHJP
【FI】
E04H5/02 E
H02B1/01 Z
H02B3/00 D
H02B13/035 301D
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023032613
(22)【出願日】2023-03-03
(71)【出願人】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】浅田 裕二
【テーマコード(参考)】
5G017
【Fターム(参考)】
5G017GG02
(57)【要約】
【課題】床面をはつって埋設ベースを形成することができない建物内の床版上に重量物を設置する場合に、容易且つ短時間で設置作業を行うことができ、また、必要とする耐震強度を確保することが可能な重量物設置構造を提供する。
【解決手段】建物内の床梁20を備えた床版2上に重量物(GIS本体6)を設置するに当たり、床版2上であって、床梁20の上方に位置する部分に基礎プレート3を設置し、その基礎プレート3に渡すように重量物のベース(GIS本体ベース5)を設置する。重量物の荷重を基礎プレート3を介して床梁20で受けることが可能となるので、耐震強度を確保するために別途補強構造が不要となる。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物内の床梁を備えた床版上に重量物を設置するに当たり、
前記床版上であって、前記床梁の上方に位置する部分に基礎プレートを設置し、その基礎プレートに架けるように前記重量物のベースを設置するようにしたことを特徴とする重量物設置構造。
【請求項2】
並設された複数の床梁を備えた床版上に重量物を設置するに当たり、
前記床版上であって、少なくとも2つの床梁のそれぞれの上方に位置する部分に基礎プレートを設置し、それぞれの前記基礎プレートに架け渡すように前記重量物のベースを設置したことを特徴とする重量物設置構造。
【請求項3】
前記重量物のベースは、前記基礎プレート上に固定されたアダプタを介して設置されることを特徴とする請求項1又は2記載の重量物設置構造。
【請求項4】
前記基礎プレートは前記床版に対してアンカーボルトによって固定されることを特徴とする請求項1又は2記載の重量物設置構造。
【請求項5】
前記重量物の高さ調整は、前記基礎プレートと前記床版との間に必要に応じてライナを介在させ、また、前記アダプタと前記重量物のベースとの間に必要に応じてライナを介在させて行うことを特徴とする請求項2記載の重量物設置構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、屋内変電所のように建物内にガス絶縁開閉装置等の重量物を設置する場合に有用な重量物設置構造に関し、設置作業を短時間で容易に行うことが可能な重量物設置構造に関する。
【背景技術】
【0002】
屋内変電所におけるガス絶縁開閉装置(GIS: Gas Insulated Switchgear)の取り替え作業においては、GIS本体がかなりの重量を有することから、建物の床版に何らかの工夫が必要となる。
そこで、従来においては、図7(a)に示されるように、建物の床版はつってH鋼101からなるベースをセットし、その周囲にコンクリート102を打設して床面にH鋼を埋設した埋設ベース100を形成し、この埋設ベース100上にGIS本体6を載置固定するようにしていた(類似技術として特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭63―257407号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、建物の床構造上、新たに床面をはつって埋設ベースを設置できないような場合、特に、建物の上階の床版(スラブ)上にGIS本体6を設置する場合には、図7(b)に示すように、床版2下に補強材103を設置するなど、床版2の補強を行いながら設置ベースを構築する必要があり、多大な手間と労力を要し、また、設置作業に時間を要するものであった。すなわち、上階の床版2でGIS本体を直接受ける場合には、床梁20から外れた床版表面にもGISの荷重がかかるため、床版2の下面に鉄板等の補強材103を設置して床版2を補強し、耐震強度を確保する必要があった。
【0005】
本発明は係る事情に鑑みてなされたものであり、床面をはつって埋設ベースを形成することができない建物内の床版上にGIS等の重量物を設置する場合に、容易且つ短時間で設置作業を行うことができ、また、必要とする耐震強度を確保することが可能な重量物設置構造を提供することを主たる課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を達成するために、本発明に係る重量物設置構造は、
建物内の床梁を備えた床版上に重量物を設置するに当たり、
前記床版上であって、前記床梁の上方に位置する部分に基礎プレートを設置し、その基礎プレートに架けるように前記重量物のベースを設置することを特徴としている。
特に、並設された複数の床梁を備えた床版上に重量物を設置する場合には、床版上であって、少なくとも2つの床梁のそれぞれの上方に位置する部分に基礎プレートを設置し、それぞれの前記基礎プレートに架け渡すように前記重量物のベースを設置するとよい。
【0007】
したがって、床梁の上方に位置する床版上の部分に基礎プレートを設置し、その基礎プレートに架けるように重量物のベースが設置されるので、重量物の荷重を基礎プレートを介して床版の床梁で受けることが可能となる。このため、耐震強度を確保するために埋設ベースを設置するなどの補強構造が不要となる。
【0008】
特に、並設された複数の床梁のうち、少なくとも2つの床梁のそれぞれの上方に基礎プレートを設置し、それぞれの基礎プレートに渡すように重量物の基礎を設置する場合には、重量物の荷重を複数の床梁に分散させることが可能となり、耐震強度を確保しやすくなる。
【0009】
なお、重量物のベースの確実な設置状態を確保するために、重量物のベースは基礎プレート上に固定されたアダプタを介して設置するとよい。
また、基礎プレートは床版に対してアンカーボルトによって固定すればよく、前記重量物の高さ調整(レベル調整)は、前記基礎プレートと前記床版との間に必要に応じてライナを介在させ、また、前記アダプタと前記重量物のベースとの間に必要に応じてライナを介在させて行うようにしてもよい。
【発明の効果】
【0010】
以上述べたように、本発明に係る重量物の設置構造は、床版上であって、床梁の上方に位置する部分に基礎プレートを設置し、その基礎プレートに架けるように重量物のベースを設置するようにしたので、重量物の荷重を床梁で受けることが可能となる。このため、重量物を床版上に設置するために別途補強構造が不要となり、重量物の設置作業を短時間で容易に行うことが可能となる。また、従来のような埋設ベースの設置が不要となるので、狭隘な場所での重量物の設置にも対応可能となる.。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本発明に係る重量物設置構造の構成例を示す図であり、(a)は、床版上にGIS本体を設置した状態を、床版と平行に、且つ、GIS本体ベースの軸方向(図2のAの矢視で示す方向)から見た図であり、(b)は、床版上にGIS本体を設置した状態を、床版と平行に、且つ、GIS本体ベースの軸方向と直交する方向(図2のBの矢視で示す方向)から見た図である。
図2図2は、床版2上にGIS本体を設置する設置状態を示す平面図である。
図3図3は、矩形状の基礎プレートを床版にアンカーボルトによって固定した状態を示す斜視図である。
図4図4は、基礎プレートに設けられるネジ穴に各種ボルトを取り付けた状態を示す図であり、(a)は、ネジ穴にアイボルトを取り付けた状態を示す図、(b)は、ネジ穴に調節用ネジを取り付けた状態を示す図、(c)は、ネジ穴に閉塞ボルトを取り付けた状態を示す図である。
図5図5は、アンカーボルトによって基礎プレートを床版に設置した状態を示す断面図である。
図6図6は、隣り合う床梁の間隔がGIS本体の長さよりも長い場合の設置状態を示す図であり、(a)は、GIS本体ベースの長さを長くして対応した例を示す図であり、(b)は、隣り合う床梁間に床梁の代替材を設けて対応した例を示す図である。
図7図7は、従来の重量物(GIS)の設置構造を説明する図であり、(a)は、埋設ベースを形成した例を示す図、(b)は、補強材を床版下に設けた例を示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明に係る重量物設置構造の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0013】
図1図2において、屋内変電所の建物の上階の床版2に重量物としてのガス絶縁開閉装置(以下、GISという)1を設置した状態が示されている。ここで、図1(a)は、床版2上にGIS1(GIS本体6)を設置した状態を、床版2と平行に、且つ、後述するGIS本体ベース5の軸方向(図2のAの矢視で示す方向)から見た概要図であり、図1(b)は、床版2上にGIS1(GIS本体6)を設置した状態を、床版2と平行に、且つ、GIS本体ベース5の軸方向と直交する方向(図2のBの矢視で示す方向)から見た概要図である。また、図2は、床版2上にGIS1(GIS本体6)を設置する設置状態を示す平面図である。
これらの図に示すように、GIS1は、上階と下階との間の床版(コンクリートスラブ)2の上に基礎プレート3を配置し、この基礎プレート3にアダプタ4を介してGIS本体ベース5を架設し、このGIS本体ベース5にGIS本体6を固定するようにしている。
【0014】
基礎プレート3は、鉄などの金属板で構成され、特に形状や大きさは問わないが現場の設置場所に合わせて、運搬や設置のし易さ、載置する重量物の形状等を考慮して複数に分割されている(図2で示す例では4枚の基礎プレート3a,3b,3c,3dを用いている)。また、基礎プレート3は、材質や厚みも特に問わないが、重量物を載置しても変形しない強度が必要となるので、例えば、鉄製で厚みが20mm以上のものを用いるとよい。
【0015】
これらの基礎プレート3は、床版2上であって、床版2を支持する床梁20の上方に位置する部分を含むように配置されている。床梁20の上方に位置する部分からはみ出た部分があっても差し支えないが、GIS本体ベース5を載置固定するアダプタ4は、基礎プレート3の床梁20の上方となる部分に配置され、このアダプタ4に係る荷重のほぼ全てを基礎プレート3を介して床梁20で受けることができるようにしている。
【0016】
基礎プレート3は、自身を床版2に固定するためのアンカーボルト10を挿通させる通孔11が周縁部に所定の間隔で複数形成され、また、表面の適所、例えば、基礎プレート3の角部付近であって、隣り合う通孔11(アンカーボルト10)の間に、ネジ穴(雌ネジ穴)12が設けられている。
【0017】
例えば、基礎プレート3が図3に示すような矩形状に形成されたものについて説明すると、その周縁部、この例では、長手方向の2辺の周縁に、略等間隔にアンカーボルト10を挿通させる通孔11が多数形成されている。
また、角部近傍の通孔11と通孔11との間には(矩形状の基礎プレートの場合には、4隅のそれぞれの近傍に)、後述するアイボルト15、調節用ネジ16、閉塞ボルト17を選択して着脱可能に羅合させることが可能なネジ穴12が設けられている。
すなわち、基礎プレート3のネジ穴12は、図4に示されるように、運搬時や設置時に基礎プレートを吊り上げるためのアイボルト15を着脱自在に螺合可能であり、また、基礎プレート3のレベル調整(床版2からの高さ調整)を行う際の調節用ネジ16が着脱自在に螺合可能であり、また、基礎プレート3の設置後にネジ穴12を塞ぐための閉塞ボルト17が着脱自在に螺合可能となっている。
【0018】
このネジ穴12は、基礎プレート3を貫通するように設けられ、したがって、基礎プレート3の厚みよりも長いネジ部を有するボルトが上面側から羅合されると、下面から突出させることが可能となっている。
この例では、アイボルト15や閉塞ボルト17のネジ部15a,17aは、基礎プレート3のネジ穴12の長さよりも短く形成され、調節用ネジ16のネジ部16aは、基礎プレート3のネジ穴12の長さよりも長く形成されている。このため、調節用ネジ16にあっては、基礎プレート3の下面からの突出量を調節することによって、基礎プレート3の床版2からの距離を調節可能としている。
【0019】
基礎プレート3は、床版2に対して、前記通孔11に取付けられるアンカーボルト10によって固定されている。このアンカーボルト10は、床版2に設けられたアンカーボルト取付孔21にコンクリート用接着剤によって固定され、後述するライナ7や基礎プレート3に形成された通孔13,11 に挿通され、ナットを上方から螺合させることで基礎プレート3をライナ7と共に床版2上に固定させている。
【0020】
アンカーボルト10は、図5に示されるように、床梁20に埋設されている鉄筋22と干渉することがない程度の深さまで挿入された状態で固定されている。これは、床梁20の鉄筋22が損傷すると建物構造上問題となり、梁補強工事が必要となるため、これを回避するためであり、また、鉄筋22に干渉した場合には、穴位置を変える必要があり、基礎プレート3が設計位置とずれる不都合があるためである。
【0021】
また、この例では、基礎プレート3のレベルを調整するために床版2との間にライナ7を介在させている。ライナ7は、レベルを調整するために必要に応じて設けられるもので、必ずしも必須のものではないが、介在させる場合には、必要な厚みを選択して介在させるようにしても、所定の厚みのライナの枚数を調節して介在させるようにしてもよい。このライナ7は、基礎プレート3と略同形状に形成され、基礎プレート3の通孔11と整合する位置にアンカーボルト10を挿通させる通孔13が形成されている。
【0022】
アダプタ4は、図1に示されるように、基礎プレート3の上面に溶接によって強固に固定されているもので、このアダプタ4の上面には、GIS本体ベース5をボルト留めするための取付ボルト18を螺合させるネジ穴4aが穿設されている。GIS本体ベース5を基礎プレート3に固定するに当たり、ボルトの数や羅合させる深さ等を調節して、GIS本体ベース5を基礎プレート3に直接ボルト留めすることも可能であるが、GISが地震や機器動作時の振動等で接続部がずれてガス漏れが生じないように確実に固定するためには、アダプタ4を基礎プレート3に溶接した上で、このアダプタ4に十分な螺合長をもってGIS本体ベース5をしっかりボルト留めするとよい。
【0023】
GIS本体ベース5は、例えば、対をなすH鋼5a,5bで構成され、このGIS本体ベース5を複数の基礎プレート3に掛け渡すように配置されている(アダプタ4が設けられるこの例では、アダプタ4に掛け渡すように配置されている)。
床版2が並行する少なくとも2つの床梁20(20a,20b)によって支持されており、図2に示されるように、GIS本体6がこの2つの床梁20(20a,20b)に掛けて設置される場合には、2つの基礎プレート3a,3bを一方の床梁20aの上方に併設し、他の2つの基礎プレート3c、3dを他方の床梁20bの上方に併設し、一方のH鋼5aを、一方の床梁20aの上方に配置した基礎プレート3aと他方の床梁20bの上方に配置した基礎プレート3cとを架け渡すようにアダプタ4を介して載置し、また、他方のH鋼5bを、一方の床梁20aの上方に配置した基礎プレート3bと他方の床梁20bの上方に配置した基礎プレート3dとを架け渡すようにアダプタ4を介して載置される。
【0024】
その上で取付ボルト18をGIS本体ベース5(H鋼5a,5b)に設けられた図示しない通孔を介してアダプタ4のネジ穴4aに羅合させることで、GIS本体ベース5(H鋼5a,5b)をアダプタ4に固定するようにしている。
そして、基礎プレート3にアダプタ4を介して固定されたGIS本体ベース5に、GIS本体6が溶接やボルト等によって固定されている。
【0025】
以上の構成において、埋設基礎がない床版2上にGIS本体6を設置するには、
GIS本体6の形状や床版2の床梁20の位置を見越した上で、床版上に設置する基礎プレート3の形状や枚数、レイアウトを決定する。
設置する基礎プレート3は、他所において作成され、基礎プレート3上に形成されているネジ穴12にアイボルト15を取り付け、適宜ワイヤやロープなどを通してつり上げ,設置箇所まで運搬し、また、床版2上の所定の位置へ移動させる。
【0026】
その後、アイボルト15を取り外し、基礎プレート3を床版上の所定位置に固定するために、基礎プレート3の通孔11の位置に合わせて床版2にアンカーボルト10を挿入するためのアンカーボルト取付孔21を穿設する。
そして、床版2に設けられたアンカーボルト取付孔21にコンクリート用接着剤(例えば、主剤と硬化剤を混合させたもの)を充填し、そこにアンカーボルト10を挿入して床版2に固定する。
【0027】
その後、基礎プレート3に形成された通孔11にアンカーボルト10を挿通させて基礎プレート3を床版上に載置させるが、基礎プレート3のレベル出しを行うために、基礎プレート3のネジ穴12に調節用ネジを螺合させ、その先端部をネジ穴12から下方へ突出させ、その突出量を調節することで基礎プレート3の床版2からの高さを決定し、その高さに見合う枚数のライナ7を基礎プレート3と床版2との間に介在させる。
すなわち、床版2に固定されたアンカーボルト10を必要数のライナ7や基礎プレート3の通孔13,11に通し、基礎プレート3をライナ7と共に床版2上に位置決めし、基礎プレート3の通孔11から上方へ突出したアンカーボルト10の部分にナット14を螺合させて締めつけ、基礎プレート3をライナ7と共に床版2に固定する。
【0028】
なお、基礎プレートのネジ穴に取付けられた調節用ネジ16は、基礎プレート3のレベル調整の後に取り外され(ライナ7を重ねる前に取り外され)、開口しているネジ穴12は、閉塞ボルト17を螺合させて閉塞しておく。
【0029】
その後、基礎プレート3の上面であって、床梁20の真上の位置に対応する箇所にアダプタ4を溶接し、このアダプタ4上にGIS本体ベース5を載置させ、取付ボルト18によってボルト留めする。この際、GIS本体ベース5のレベルを微調整するために、最終ライナ19をアダプタ4とGIS本体ベース5との間に必要に応じて介在させる。そして、基礎プレート3にアダプタ4を介して設置されたGIS本体ベース5に、GIS本体6を溶接やボルト留め等によって固定することで、GIS本体6の床版2への設置を完了させる。
【0030】
したがって、以上のGIS(重量物)の設置構造によれば、GIS本体6の荷重は、GIS本体ベース5を介してアダプタ4で受けることになるが、このアダプタ4は、床梁20の上方に配置されている基礎プレート3で受けているので、結局、GIS本体6の荷重の殆どは、基礎プレート3を介して床梁20で受けることになる。
このため、GIS本体6の荷重は、梁上以外の床版部分にかかりにくくなるため、床版2に埋設ベースを設けることが不要となり、また、床版2を鉄板等の補強材によって補強する(耐震補強する)ことが不要となる。
【0031】
以上の例では、隣り合う床梁20の間隔がGIS本体6と同程度かそれより短い場合の例を示したが、隣り合う床梁20の間隔がGIS本体6の長さよりも長い場合には、図6(a)に示されるように、GIS本体ベース5を長尺にして床梁20間に架け渡し(床梁の直上の基礎プレート3間に架け渡し)、そのGIS本体ベース5の一部にGIS本体6を載置固定すればよい。
【0032】
または、図6(b)に示されるように、床版2の下に床梁20の代替材(例えば、H鋼)23を設置した上で一方の床梁20と代替材23の上方のそれぞれに基礎プレート3を配置し、その基礎プレート3間を渡すようにGIS本体ベース5をアダプタ4を介して設置するようにしてもよい。
このような構成においては、GIS本体の荷重の約半分は床梁20で受けることになるので、代替材23も従来の埋設ベースのような強度までは不要となり、構造の簡素化を図ることが可能となる。
【符号の説明】
【0033】
1 ガス絶縁開閉装置(GIS)
2 床版
3,3a,3b.3c,3d 基礎プレート
4 アダプタ
5,5a,5b GIS本体ベース
6 GIS本体
7 ライナ
10 アンカーボルト
19 最終ライナ
20,20a,20b 床梁
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7