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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024124735
(43)【公開日】2024-09-13
(54)【発明の名称】カテーテル
(51)【国際特許分類】
   A61M 25/06 20060101AFI20240906BHJP
【FI】
A61M25/06 500
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023032619
(22)【出願日】2023-03-03
(71)【出願人】
【識別番号】000109543
【氏名又は名称】テルモ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003683
【氏名又は名称】弁理士法人桐朋
(72)【発明者】
【氏名】水野 慎一
【テーマコード(参考)】
4C267
【Fターム(参考)】
4C267AA22
4C267AA24
4C267BB03
4C267BB05
4C267BB11
4C267BB12
4C267BB24
4C267BB40
4C267CC08
4C267HH08
(57)【要約】      (修正有)
【課題】生体(患者)の体動等に起因してカテーテル本体の先端が血管から抜けることを容易且つ効果的に防止できるカテーテルを提供する。
【解決手段】カテーテル10は、生体B内に挿入され留置される留置部16を有し、留置部16の基端側のハブ延出部36の外周部361には、外周部361から径方向外方に突出したアンカー部18が設けられる。アンカー部18は、カテーテル10の軸方向及び周方向に対して傾斜する方向に延在する。カテーテル10の軸線Lを中心とする第1回転方向R1にカテーテル10を回転させることで、アンカー部18を生体Bの対象部位Tに係止することができる。第1回転方向R1とは逆方向である第2回転方向R2にカテーテル10を回転させることで、アンカー部18を生体Bの対象部位Tから離脱させることができる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
管状のカテーテル本体と、
前記カテーテル本体の基端に接続されるカテーテルハブと、
を備え、
生体に対して少なくとも先端が挿入され前記生体内に一部が留置されるカテーテルであって、
前記カテーテルは、前記生体内に挿入され留置される留置部を有し、
前記留置部の外周部には、前記外周部から径方向外方に突出したアンカー部が設けられ、
前記アンカー部は、前記カテーテルの軸方向及び周方向に対して傾斜する方向に延在し、
前記カテーテルの軸線を中心とする第1回転方向に前記カテーテルを回転させることで、前記アンカー部を前記生体の対象部位に係止することができ、
前記第1回転方向とは逆方向である第2回転方向に前記カテーテルを回転させることで、前記アンカー部を前記生体の前記対象部位から離脱させることができる、カテーテル。
【請求項2】
請求項1記載のカテーテルにおいて、
前記留置部は、前記カテーテル本体の基端部及び前記カテーテルハブの先端部の少なくともいずれか一方に配置される、カテーテル。
【請求項3】
請求項1又は2記載のカテーテルにおいて、
前記アンカー部は、前記カテーテルの前記軸線を中心として螺旋状に形成されたねじ山状突起である、カテーテル。
【請求項4】
請求項1又は2記載のカテーテルにおいて、
前記アンカー部は、針先を有した鉤状突起である、カテーテル。
【請求項5】
請求項4記載のカテーテルにおいて、
前記鉤状突起は、前記留置部の前記第1回転方向及び前記留置部の前記軸方向の少なくともいずれか一方の方向に互いに間隔を空けて複数設けられる、カテーテル。
【請求項6】
請求項1又は2記載のカテーテルにおいて、
前記留置部の基端側には、前記第1回転方向を示すマークを備える、カテーテル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体の対象部位に留置されるカテーテルに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1のカテーテルは、先端が開口したカテーテルと、カテーテルの基端に接続されるカテーテルハブと、カテーテルの内部に配置される内針とを備える。患者の皮膚に内針の先端を穿刺すると共にカテーテルの先端を挿入した後、内針を抜去し、カテーテルを生体内に留置してカテーテルを通じて薬液の注入が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8-103504号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
カテーテルの先端を皮下に留置した状態で、患者の体動等によってカテーテルの先端が血管から抜けてしまうことがある。特許文献1のカテーテルでは、カテーテルの先端を留置した状態で、カテーテルハブの先端と共に患者に対して縫合糸等を巻き付けることで、患者の体動等によってカテーテルの先端が皮膚から脱抜することを防止している。しかしながら、患者に対するカテーテルの固定作業が繁雑であると共に、カテーテルの固定状態が安定しないという問題がある。
【0005】
本発明は、上述した課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明の態様は、管状のカテーテル本体と、前記カテーテル本体の基端に接続されるカテーテルハブと、を備え、生体に対して少なくとも先端が挿入され前記生体内に一部が留置されるカテーテルであって、前記カテーテルは、前記生体内に挿入され留置される留置部を有し、前記留置部の外周部には、前記外周部から径方向外方に突出したアンカー部が設けられ、前記アンカー部は、前記カテーテルの軸方向及び周方向に対して傾斜する方向に延在し、前記カテーテルの軸線を中心とする第1回転方向に前記カテーテルを回転させることで、前記アンカー部を前記生体の対象部位に係止することができ、前記第1回転方向とは逆方向である第2回転方向に前記カテーテルを回転させることで、前記アンカー部を前記生体の前記対象部位から離脱させることができる、カテーテルである。
【0007】
このカテーテルによれば、カテーテルの留置部を生体内に留置するとき、留置部を第1回転方向に回転させながら生体内に挿入することで、生体に対してアンカー部を係合させることができるため、生体(患者)の体動等に起因してカテーテル本体の先端が血管から抜けることを容易且つ効果的に防止できる。カテーテルを第2回転方向に回転させることで、生体に対する留置部の固定を容易に解除することができる。
【0008】
(2)上記の(1)記載のカテーテルにおいて、前記留置部は、前記カテーテル本体の基端部及び前記カテーテルハブの先端部の少なくともいずれか一方に配置されてもよい。
【0009】
この構成により、生体に向けてカテーテルを挿入するとき、留置部の先端が皮膚に到達するまではカテーテルを回転させる必要がなく、留置部が生体の対象部位に到達するタイミング(挿入の最終段階)で回転させればよいため、生体に対するカテーテルの係止が簡単であり、且つカテーテルの挿入操作が容易である。
【0010】
(3)上記の(1)又は(2)記載のカテーテルにおいて、前記アンカー部は、前記カテーテルの前記軸線を中心として螺旋状に形成されたねじ山状突起であってもよい。
【0011】
この構成により、ねじ山状突起を生体の対象部位に対して螺合させることで、生体に対して留置部を簡単に固定することができる。ねじ山状突起からアンカー部を容易に形成することができる。
【0012】
(4)上記の(1)又は(2)記載のカテーテルにおいて、前記アンカー部は、針先を有した鉤状突起であってもよい。
【0013】
この構成により、針先を介して鉤状突起を生体の対象部位に対して係合させることで、生体に対して留置部を簡単に固定することができる。鉤状突起からアンカー部を容易に形成することができる。
【0014】
(5)上記の(4)記載のカテーテルにおいて、前記鉤状突起は、前記留置部の前記第1回転方向及び前記留置部の前記軸方向の少なくともいずれか一方の方向に互いに間隔を空けて複数設けられてもよい。
【0015】
この構成により、複数の鉤状突起によって、より確実に留置部を生体内に係合させて固定することができる。
【0016】
(6)上記の(1)~(5)のいずれか1つに記載のカテーテルにおいて、前記留置部の基端側には、前記第1回転方向を示すマークを備えてもよい。
【0017】
この構成により、カテーテルの留置部を生体内に固定するとき、マークによってカテーテルの回転方向(第1回転方向)を容易且つ確実に確認できる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、カテーテルは、生体内に挿入され留置される留置部の外周部に、外周部から径方向外方に突出したアンカー部を備え、アンカー部は、カテーテルの軸方向及び周方向に対して傾斜する方向に延在する。カテーテルの軸線を中心とする第1回転方向にカテーテルを回転させることで、アンカー部を生体の対象部位に係止することができる。これにより、カテーテルの留置部を生体内に留置するとき、留置部を第1回転方向に回転させながら生体内に挿入することで、生体に対してアンカー部を係合させることができるため、生体(患者)の体動等に起因してカテーテル本体の先端が血管から抜けることを容易且つ効果的に防止できる。カテーテルを第2回転方向に回転させることで、生体に対する留置部の固定を容易に解除することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は、本発明の第1実施形態に係るカテーテルの全体構成図である。
図2図2は、図1のカテーテルの先端が生体に挿入された状態を示す説明図である。
図3図3は、本発明の第2実施形態に係るカテーテルの全体構成図である。
図4図4は、図3のアンカー部近傍を示す断面図である。
図5図5は、図3のカテーテルの先端が生体に挿入された状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1に示されるように、第1実施形態に係るカテーテル10は、生体B(図2参照)に対して少なくとも先端が挿入され生体B内に一部が留置される。カテーテル10は、カテーテル本体12と、カテーテル本体12の基端に接続されるカテーテルハブ14と、生体Bに挿入されたときに生体B内に留置される留置部16と、留置部16の外周部に設けられ生体Bの対象部位Tに係合可能なアンカー部18とを備える。生体Bの対象部位Tとは、例えば生体Bにおける皮膚の表皮から血管までの間の生体組織である。カテーテル10と、カテーテル10の内部に挿通された針部材20とによりカテーテル組立体22が構成される。針部材20は、内針24と、内針24の基端に接続される針ハブ26とを備える。図2に示すように、カテーテル10を含むカテーテル組立体22の先端が、生体Bの皮下に挿入される。
【0021】
図1に示すように、カテーテル本体12は、内部にルーメン(不図示)を有した管状に形成される。カテーテル本体12は可撓性を有する。カテーテル本体12の先端は、先端方向に向けてテーパ状である。カテーテル本体12の先端は、先端方向に向けて開口する。カテーテル本体12の先端は、生体Bに挿入される端部である。ルーメンには、針部材20の内針24が挿通される。内針24の先端が、カテーテル本体12の先端から突出している。
【0022】
カテーテルハブ14は、ハブ内腔30を有した筒状に形成される。カテーテルハブ14は、ハブ本体32と、ハブ本体32の先端に設けられるハブ先端部34と、ハブ先端部34のさらに先端に配置されるハブ延出部36とを備える。ハブ本体32の基端は開口する。ハブ内腔30は、ハブ本体32、ハブ先端部34及びハブ延出部36まで延在する。ハブ内腔30の先端がカテーテル本体12のルーメンと連通する。ハブ本体32の基端には、針部材20の針ハブ26が挿入される。カテーテル10から針部材20が抜去されたとき、ハブ本体32の基端には、薬液チューブ38等が接続可能である(図2参照)。図2に示すように、薬液チューブ38は、図示しない薬液供給装置に接続されるチューブ部材40と、チューブ部材40の先端に接続されるコネクタ42とを備える。コネクタ42の先端が、ハブ本体32の基端に接続可能である。なお、カテーテルハブ14の基端に接続されるのは、薬液チューブ38に限定されるものではない。例えば、カテーテルハブ14の基端に対してシリンジを接続してもよい。
【0023】
ハブ先端部34は、ハブ本体32より小径でありハブ本体32の先端に接続される。ハブ延出部36は、ハブ先端部34より小径でありハブ先端部34の先端に接続される。ハブ延出部36は、例えば円筒状に形成されハブ先端部34から先端方向に延在する。ハブ延出部36には、カテーテル本体12の基端部が保持される。
【0024】
留置部16は、カテーテル本体12の基端部及びカテーテルハブ14の先端部の少なくともいずれか一方に設けられる。本実施形態では、カテーテルハブ14の先端部(具体的にはハブ延出部36)に留置部16を備える場合について説明する。
【0025】
留置部16の基端側であるハブ先端部34には、生体Bの対象部位Tに留置部16を係止する際のカテーテル10の第1回転方向R1(図2参照)を示すマーク44を備える。マーク44は、ハブ先端部34の外周面に設けられる。マーク44は、例えば矢印である。マーク44の先端が、第1回転方向R1を示す。マーク44は、矢印に限定されるものではない。カテーテル10の回転方向(第1回転方向R1)を示すものであればよい。マーク44は、1つであってもよいし、留置部16の周方向において複数あってもよい。なお、マーク44は、ハブ先端部34に配置される場合に限定されず、例えば、カテーテルハブ14のハブ本体32に設けられていてもよい。
【0026】
なお、カテーテル本体12の基端部に留置部16を設ける場合は、カテーテルハブ14がハブ延出部36を備えず、且つハブ先端部34にカテーテル本体12の基端部が保持されると共に、カテーテル本体12の基端部のうち、ハブ先端部34から先端方向に露出する部分の外周部に留置部16を備える。
【0027】
アンカー部18は、ハブ延出部36の外周部361に配置される。アンカー部18は、ハブ延出部36の外周部361から径方向外方に突出する。アンカー部18は、ハブ延出部36の外周部361に設けられたねじ山状突起48である。
【0028】
ねじ山状突起48は、カテーテル10の軸線Lを中心として螺旋状に形成される。ねじ山状突起48は、ハブ延出部36の外周部361から径方向外方に最も突出した頂部481を有する。頂部481は、カテーテル本体12の軸方向に沿って連続して形成される。隣接する頂部481の間は、頂部481に対して径方向内方に窪んでいる。アンカー部18は、ハブ延出部36の外周部361に沿って形成され、カテーテル本体12の軸方向及び周方向(第1回転方向R1)に対して傾斜する方向に延在する。
【0029】
以下、カテーテル本体12の基端から軸方向に沿って先端方向に向けて見たとき、アンカー部18が先端方向に向けて時計回りに形成される場合について説明する。すなわち、カテーテル本体12の先端方向に向けて見たとき、アンカー部18(ねじ山状突起48)が右ねじである。なお、アンカー部18は、カテーテル本体12の基端から先端方向に見たとき、時計回りに形成される場合に限定されない。カテーテル本体12の基端から先端方向に見たとき、反時計回りにアンカー部18が形成されてもよい。
【0030】
図2に示すように、カテーテル10の先端が生体Bに対して挿入され生体B内に留置部16を留置するとき、カテーテル10の軸線Lを中心とする第1回転方向R1にカテーテル10を回転させることで、アンカー部18が生体Bの対象部位Tに係合されて係止される。このとき、カテーテル10の第1回転方向R1は、カテーテル本体12の基端から先端方向に向かって見たときの時計回りである。
【0031】
生体Bに対して留置されたカテーテル10を生体Bから抜去するとき、カテーテル10の軸線Lを中心として第1回転方向R1とは逆方向である第2回転方向R2にカテーテル10を回転させることで、生体Bの対象部位Tに対するアンカー部18の係合が解除される。このとき、カテーテル10の第2回転方向R2は、カテーテル本体12の基端から先端方向に向かって見たときの反時計回りである。
【0032】
次に、カテーテル10の生体Bへの留置を行う場合について説明する。
【0033】
カテーテル組立体22の内針24の先端を生体Bの皮膚に穿刺する。針部材20の内針24の先端が血管BVに穿刺されると共に、カテーテル本体12の先端が血管BVに挿入される。その後、カテーテル10から針部材20を基端方向へ引き抜いて抜去する。
【0034】
カテーテル10をさらに先端方向に進行させ、留置部16の先端を生体Bの皮膚に到達させる。次に、ユーザは、マーク44の指示方向に合わせてカテーテル10の軸線Lを中心としてカテーテル10を第1回転方向R1に回転させながら、カテーテル10をさらに生体Bの血管BVに向けて挿入する。カテーテル10を回転させる際、ユーザは、カテーテルハブ14に設けられたマーク44を参照することができる。生体Bに対してカテーテル10が先端方向に進行し、カテーテル10と共にアンカー部18が回転しながら生体Bの対象部位Tに向けて挿入される。螺旋状のねじ山状突起48が生体B内の組織にねじ込まれ、ねじ山状突起48が生体Bの組織に係合される。
【0035】
カテーテル10が生体Bの対象部位Tに対してハブ延出部36の基端付近まで挿入されることで、カテーテル本体12の先端が血管BV内に配置された状態で、アンカー部18が生体Bの対象部位Tに挿入されて係合される。生体B内の組織とアンカー部18とが係合されることで、対象部位Tに対して留置部16が軸方向に係止される。
【0036】
カテーテル10の留置部16の留置が完了した後、図2に示すように、カテーテルハブ14の基端に薬液チューブ38のコネクタ42を接続する。次に、カテーテル10のカテーテルハブ14及び薬液チューブ38のコネクタ42を、テープ等の固定部材50によって生体Bの皮膚に対して固定する。その後、カテーテル本体12のルーメンを通じて薬液が生体B内に投与される。
【0037】
生体Bの対象部位Tへの薬液の投与が完了した後、カテーテル10を抜去する場合には、ユーザは、アンカー部18を皮膚に係止するときとは逆方向となる第2回転方向R2にカテーテル10を回転させながら、生体Bに対してカテーテル10を基端方向に引き抜いていく。カテーテル10の第2回転方向R2への回転によって、アンカー部18による生体Bの組織に対するアンカー部18の螺合が解除され、生体Bに対してカテーテル10が軸方向へ移動可能となる。すなわち、アンカー部18によるカテーテル10の留置部16の軸方向への移動規制が解除される。
【0038】
カテーテル10の先端部を生体Bの表皮に対して外部に離脱させることで、カテーテル10の抜去が完了する。
【0039】
第1実施形態は、以下の効果を奏する。
【0040】
図1に示すように、カテーテル10は、生体B内に挿入され留置される留置部16を有し、留置部16(ハブ延出部36)の外周部361には、外周部361から径方向外方に突出したアンカー部18が設けられる。アンカー部18は、カテーテル10の軸方向及び周方向に対して傾斜する方向に延在し、カテーテル10の軸線Lを中心とする第1回転方向R1にカテーテル10を回転させることで、アンカー部18を生体Bの対象部位Tに係止することができる。
【0041】
これにより、カテーテル10の留置部16を生体B内に留置するとき、留置部16を第1回転方向R1に回転させながら生体B内に挿入することで、生体Bに対してアンカー部18を容易且つ効果的に係合させることができるため、生体Bの体動等に起因してカテーテル本体12の先端が血管BVから抜けることを容易且つ効果的に防止できる。
【0042】
第1回転方向R1とは逆方向である第2回転方向R2にカテーテル10を回転させることで、アンカー部18を生体Bの対象部位Tから離脱させることができる。このため、生体Bに対する留置部16の留置が完了したとき、カテーテル10を第2回転方向R2に回転させることで、生体Bに対する留置部16の固定を容易に解除し、留置部16を生体Bから容易に取り外すことができる。
【0043】
留置部16を、カテーテル本体12の基端部及びカテーテルハブ14の先端部の少なくともいずれか一方に配置することで、生体Bの血管BVに向けてカテーテル10を挿入するとき、留置部16の先端が皮膚に到達するまではカテーテル10を回転させる必要がなく、留置部16が生体Bの対象部位Tに到達するタイミング(挿入の最終段階)で回転させればよい。そのため、生体Bの対象部位Tに対するカテーテル10の係止が簡単であり、且つカテーテル10の挿入操作が容易である。
【0044】
アンカー部18が、カテーテル10の軸線Lを中心として螺旋状に形成されたねじ山状突起48であるため、ねじ山状突起48を生体Bの対象部位Tに螺合させることで、生体Bに対して留置部16を簡単に固定することができる。ねじ山状突起48によってアンカー部18を容易に構成することができる。
【0045】
図2に示すように、留置部16の基端側のカテーテルハブ14には、カテーテル10の第1回転方向R1を示すマーク44を備えているため、カテーテル10の留置部16を生体Bの対象部位Tに挿入して固定するとき、マーク44によってカテーテル10の回転方向(第1回転方向R1)をユーザが容易に確認して、カテーテル10の留置を正しく行うことができる。
【0046】
図3に示す第2実施形態に係るカテーテル60は、留置部16の外周部361(ハブ延出部36)に設けられ生体Bに係合可能なアンカー部62を備える。
【0047】
アンカー部62は、例えば金属材料の線材から形成され、針先64を有した鉤状突起66である。図4に示すように、アンカー部62は、ホルダ68の外周面681に対して径方向外方に突出する。ホルダ68は、円筒状に形成されハブ延出部36の外周部361の径方向外方に配置される。ホルダ68は、ハブ延出部36の外周部361を覆うと共に外周部361に固定される。なお、アンカー部62は、金属材料の線材から形成される場合に限定されない。アンカー部62は、樹脂材料から形成されてもよい。アンカー部62は、ホルダ68の外周面681から突出した爪状であってもよい。アンカー部62を、ハブ延出部36の外周部361に直接設けてもよい。
【0048】
図3に示すように、アンカー部62は、基端に形成されるアンカー基部70と、アンカー基部70に対して先端方向に配置されるアンカー先端72とを有する。図4に示すように、アンカー基部70は、ホルダ68の外周面681に固定される。アンカー基部70は、ホルダ68の外周面681に対して略直交し、外周面681に開口した孔部74に挿入されて固定される。図3に示すカテーテル60の平面視において、アンカー基部70からアンカー先端72に向けて、アンカー部62がカテーテル本体12の軸方向及び周方向に対して傾斜する方向に延在する。
【0049】
図4に示すように、カテーテル本体12の基端から軸方向に沿って先端方向を見たとき、アンカー部62がアンカー基部70からアンカー先端72に向けて時計回りに延在する。なお、アンカー部62は、カテーテル本体12の基端から先端方向に見たとき、時計回りに延在する場合に限定されない。カテーテル本体12の基端から先端方向に見たとき、反時計回りにアンカー部62が延在してもよい。
【0050】
図3に示すように、アンカー先端72は、アンカー部62の先端に配置される。アンカー先端72は、ホルダ68の外周面681と略平行である。アンカー先端72の最先端は、針先64を有する。針先64の先端は鋭利であり、生体Bの対象部位Tに留置部16が留置されるとき、針先64が生体Bの対象部位Tを穿刺可能である。
【0051】
アンカー部62は、留置部16において複数配置される。複数のアンカー部62は、留置部16の周方向及び留置部16の軸方向に互いに間隔を空けて配置される。複数のアンカー部62の間隔は、等間隔でもよいし、不等間隔であってもよい。
【0052】
なお、アンカー部62が、留置部16の回転方向及び留置部16の軸方向のいずれか一方の方向のみに複数設けられてもよい。アンカー部62が複数ではなく、1つのアンカー部62であってもよい。
【0053】
生体Bに対してカテーテル60の先端を挿入し、カテーテル本体12の先端を血管BV内に配置した状態で、カテーテル60を先端方向に進行させて留置部16の先端を皮膚に到達させる。その後に、カテーテル60の軸線Lを中心としてカテーテル60を第1回転方向R1に回転させながら先端方向に挿入する。留置部16の回転によって、図5に示すように鉤状突起66の針先64が、生体Bの対象部位Tに対して穿刺される。鉤状突起66が生体Bの組織内に食い込むことで係合される。これにより、複数の鉤状突起66を有したアンカー部62が生体Bの対象部位Tに係止され、対象部位Tに対して留置部16が軸方向に係止される。
【0054】
カテーテル60を抜去する場合には、カテーテル60の軸線Lを中心としてカテーテル60を第2回転方向R2に回転させながら、生体Bに対してカテーテル60を基端方向に引き抜いていく。カテーテル60の第2回転方向R2への回転によって、生体Bの組織に対して針先64が基端方向に脱抜し、アンカー部62による留置部16の固定状態が解除される。これにより、生体Bに対してカテーテル60が軸方向へ移動可能となる。
【0055】
第2実施形態は、以下の効果を奏する。
【0056】
図3に示すように、カテーテル60は、生体B内に挿入され留置される留置部16を有し、留置部16の外周部361には、外周部361から径方向外方に突出したアンカー部62が設けられる。アンカー部62は、カテーテル60の軸方向及び周方向に対して傾斜する方向に延在し、カテーテル60の軸線Lを中心とする第1回転方向R1にカテーテル60を回転させることで、アンカー部62を生体Bの対象部位Tに係止することができる。
【0057】
これにより、カテーテル60の留置部16を生体B内に留置するとき、留置部16を第1回転方向R1に回転させながら生体B内に挿入することで、生体Bに対してアンカー部62を容易且つ効果的に係合させることができるため、生体Bの体動等に起因してカテーテル本体12の先端が血管BVから抜けることを容易且つ効果的に防止できる。
【0058】
第1回転方向R1とは逆方向である第2回転方向R2にカテーテル60を回転させることで、アンカー部62を生体Bの対象部位Tから離脱させることができるため、生体Bに対する留置部16の留置が完了したとき、カテーテル60を第2回転方向R2に回転させることで、留置部16を生体Bから容易に取り外すことができる。
【0059】
アンカー部62が、針先64を有した鉤状突起66であるため、針先64を介して鉤状突起66を生体Bの対象部位Tに対して係合させることで、生体Bに対して留置部16を簡単に固定することができる。鉤状突起66からアンカー部62を容易に形成することができる。
【0060】
鉤状突起66が、留置部16の回転方向(第1回転方向R1)及び留置部16の軸方向の少なくともいずれか一方の方向に互いに間隔を空けて複数設けられるため、複数の鉤状突起66によって、留置部16をより確実に生体Bの対象部位Tに係合させて固定することができる。
【0061】
なお、本発明は、上述した開示に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得る。
【符号の説明】
【0062】
10、60…カテーテル
12…カテーテル本体
14…カテーテルハブ
16…留置部
18、62…アンカー部
B…生体
T…対象部位
図1
図2
図3
図4
図5