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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024012475
(43)【公開日】2024-01-30
(54)【発明の名称】サーバシステム及び車両
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/00 20060101AFI20240123BHJP
   G08G 1/13 20060101ALI20240123BHJP
   G08G 1/09 20060101ALI20240123BHJP
   G16Y 10/40 20200101ALI20240123BHJP
   G16Y 20/20 20200101ALI20240123BHJP
   G16Y 40/30 20200101ALI20240123BHJP
【FI】
G08G1/00 D
G08G1/13
G08G1/09 V
G16Y10/40
G16Y20/20
G16Y40/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023187878
(22)【出願日】2023-11-01
(62)【分割の表示】P 2022020659の分割
【原出願日】2022-02-14
(71)【出願人】
【識別番号】501440684
【氏名又は名称】ソフトバンク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】小林 謙吾
(72)【発明者】
【氏名】海老沢 憲一
(72)【発明者】
【氏名】河村 浩彰
(57)【要約】
【課題】各車両の位置によらずに、各車両が同じ車線に車線変更を行う際における衝突の発生を、処理を煩雑化させずに抑制する。
【解決手段】サーバシステム(1)は、第1~第3車線を有する道路の道路情報を取得する取得部(4)と、第1~第4情報を受信する受信部(14)と、第1~第4情報を参照して、第1車両(100)が第1車線から第2車線へ車線変更を行い且つ第2車両(100)が第3車線から第2車線へ車線変更を行うとした場合に、各車両(100)が衝突する虞があるとき、各車両(100)のうち少なくとも何れか一方の車両(100)に対して、車線変更を禁止する判定を行う判定部(6)と、各車両(100)の双方に、少なくとも何れか一方の車両(100)に対する車線変更の禁止判定結果を示す禁止情報を送信する送信部(12)と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1車線、第2車線及び第3車線を有し、前記第1車線と前記第2車線とが隣接し、かつ前記第2車線と前記第3車線とが隣接し、かつ前記第1車線、前記第2車線、及び前記第3車線が同一の進行方向である道路の道路情報を取得する取得部と、
前記第1車線を走行する第1車両の位置及び速度を示す第1情報、前記第3車線を走行する第2車両の位置及び速度を示す第2情報、前記第1車両が前記第1車線から前記第2車線へ車線変更を行うことの要求を示す第3情報、並びに、前記第2車両が前記第3車線から前記第2車線へ車線変更を行うことの要求を示す第4情報を受信する受信部と、
前記第1情報、前記第2情報、前記第3情報及び前記第4情報を参照して、前記第1車両が前記第1車線から前記第2車線へ車線変更を行い且つ前記第2車両が前記第3車線から前記第2車線へ車線変更を行うとした場合に、前記第1車両と前記第2車両とが衝突する虞があるとき、前記第1車両と前記第2車両とのうち少なくとも何れか一方の車両に対して、前記車線変更を禁止する判定を行う判定部と、
前記第1車両と前記第2車両との双方に、少なくとも何れか一方の車両に対する前記車線変更の禁止判定結果を示す禁止情報を送信する送信部と、を備えるサーバシステム。
【請求項2】
第1車線、第2車線及び第3車線を有し、前記第1車線が前記第2車線に合流するような形状の道路であって、前記第2車線と前記第3車線とが隣接しかつ同一の進行方向である道路の道路情報を取得する取得部と、
前記第1車線を走行する第1車両の位置及び速度を示す第1情報、前記第3車線を走行する第2車両の位置及び速度を示す第2情報、前記第1車両が前記第1車線から前記第2車線へ車線変更を行うことの要求を示す第3情報、並びに、前記第2車両が前記第3車線から前記第2車線へ車線変更を行うことの要求を示す第4情報を受信する受信部と、
前記第1情報、前記第2情報、前記第3情報及び前記第4情報を参照して、前記第1車両が前記第1車線から前記第2車線へ車線変更を行い且つ前記第2車両が前記第3車線から前記第2車線へ車線変更を行うとした場合に、前記第1車両と前記第2車両とが衝突する虞があるとき、前記第1車両と前記第2車両とのうち少なくとも何れか一方の車両に対して、前記車線変更を禁止する判定を行う判定部と、
前記第1車両と前記第2車両との双方に、少なくとも何れか一方の車両に対する前記車線変更の禁止判定結果を示す禁止情報を送信する送信部と、を備えるサーバシステム。
【請求項3】
第1車線、第2車線及び第3車線を有し、前記第1車線と前記第2車線及び前記第3車線とが交わりT字路又は交差点となる形状の道路であって、前記第2車線と前記第3車線とが隣接しかつ同一の進行方向である道路の道路情報を取得する取得部と、
前記第1車線を走行する第1車両の位置及び速度を示す第1情報、前記第3車線を走行する第2車両の位置及び速度を示す第2情報、前記第1車両が前記第1車線から前記第2車線へ車線変更を行うことの要求を示す第3情報、並びに、前記第2車両が前記第3車線から前記第2車線へ車線変更を行うことの要求を示す第4情報を受信する受信部と、
前記第1情報、前記第2情報、前記第3情報及び前記第4情報を参照して、前記第1車両が前記第1車線から前記第2車線へ車線変更を行い且つ前記第2車両が前記第3車線から前記第2車線へ車線変更を行うとした場合に、前記第1車両と前記第2車両とが衝突する虞があるとき、前記第1車両と前記第2車両とのうち少なくとも何れか一方の車両に対して、前記車線変更を禁止する判定を行う判定部と、
前記第1車両と前記第2車両との双方に、少なくとも何れか一方の車両に対する前記車線変更の禁止判定結果を示す禁止情報を送信する送信部と、を備えるサーバシステム。
【請求項4】
第1車線、第2車線及び第3車線を有し、前記第1車線と前記第2車線とが隣接し、かつ前記第2車線と前記第3車線とが隣接し、かつ前記第1車線、前記第2車線、及び前記第3車線が同一の進行方向である道路の道路情報を取得する取得部と、
前記第1車線を走行する第1車両の位置及び速度を示す第1情報、前記第3車線を走行する第2車両の位置及び速度を示す第2情報、前記第1車両が前記第1車線から前記第2車線へ車線変更を行うことの要求を示す第3情報、並びに、前記第2車両が前記第3車線から前記第2車線へ車線変更を行うことの要求を示す第4情報を受信する受信部と、
前記第1情報、前記第2情報、前記第3情報及び前記第4情報を参照して、前記第1車両が前記第1車線から前記第2車線へ車線変更を行い且つ前記第2車両が前記第3車線から前記第2車線へ車線変更を行うとした場合に、前記第1車両と前記第2車両とが衝突する虞があるとき、前記第1車両と前記第2車両とのうち少なくとも何れかに対して、前記車線変更を禁止する判定を行う判定部と、
前記判定結果を示す情報を、少なくとも前記車線変更を禁止する判定の対象となる車両に送信する送信部と、を備え
前記判定部は、
(1)前記第2車両が前記第1車両を追い越すまでに要する第1時間と、(2)前記第2車両が前記第3車線の終端に達するまでに要する時間又は前記第3車線上の障害物に達するまでに要する時間と、前記第2車両が車線変更を行うことに要する時間との和である第2時間とを比較し、前記第1時間の長さが前記第2時間の長さ以下である場合、前記第2車両に対して、前記第1時間経過後において前記車線変更を許可する判定を行う、サーバシステム。
【請求項5】
第1車線、第2車線及び第3車線を有し、前記第1車線が前記第2車線に合流するような形状の道路であって、前記第2車線と前記第3車線とが
隣接しかつ同一の進行方向である道路の道路情報を取得する取得部と、
前記第1車線を走行する第1車両の位置及び速度を示す第1情報、前記第3車線を走行する第2車両の位置及び速度を示す第2情報、前記第1車両が前記第1車線から前記第2車線へ車線変更を行うことの要求を示す第3情報、並びに、前記第2車両が前記第3車線から前記第2車線へ車線変更を行うことの要求を示す第4情報を受信する受信部と、
前記第1情報、前記第2情報、前記第3情報及び前記第4情報を参照して、前記第1車両が前記第1車線から前記第2車線へ車線変更を行い且つ前記第2車両が前記第3車線から前記第2車線へ車線変更を行うとした場合に、前記第1車両と前記第2車両とが衝突する虞があるとき、前記第1車両と前記第2車両とのうち少なくとも何れかに対して、前記車線変更を禁止する判定を行う判定部と、
前記判定結果を示す情報を、少なくとも前記車線変更を禁止する判定の対象となる車両に送信する送信部と、を備え
前記判定部は、
(1)前記第2車両が前記第1車両を追い越すまでに要する第1時間と、(2)前記第2車両が前記第3車線の終端に達するまでに要する時間又は前記第3車線上の障害物に達するまでに要する時間と、前記第2車両が車線変更を行うことに要する時間との和である第2時間とを比較し、前記第1時間の長さが前記第2時間の長さ以下である場合、前記第2車両に対して、前記第1時間経過後において前記車線変更を許可する判定を行う、サーバシステム。
【請求項6】
第1車線、第2車線及び第3車線を有し、前記第1車線と前記第2車線及び前記第3車線とが交わりT字路又は交差点となる形状の道路であって、前記第2車線と前記第3車線とが隣接しかつ同一の進行方向である道路の道路情報を取得する取得部と、
前記第1車線を走行する第1車両の位置及び速度を示す第1情報、前記第3車線を走行する第2車両の位置及び速度を示す第2情報、前記第1車両が前記第1車線から前記第2車線へ車線変更を行うことの要求を示す第3情報、並びに、前記第2車両が前記第3車線から前記第2車線へ車線変更を行うことの要求を示す第4情報を受信する受信部と、
前記第1情報、前記第2情報、前記第3情報及び前記第4情報を参照して、前記第1車両が前記第1車線から前記第2車線へ車線変更を行い且つ前記第2車両が前記第3車線から前記第2車線へ車線変更を行うとした場合に、前記第1車両と前記第2車両とが衝突する虞があるとき、前記第1車両と前記第2車両とのうち少なくとも何れかに対して、前記車線変更を禁止する判定を行う判定部と、
前記判定結果を示す情報を、少なくとも前記車線変更を禁止する判定の対象となる車両に送信する送信部と、を備え
前記判定部は、
(1)前記第2車両が前記第1車両を追い越すまでに要する第1時間と、(2)前記第2車両が前記第3車線の終端に達するまでに要する時間又は前記第3車線上の障害物に達するまでに要する時間と、前記第2車両が車線変更を行うことに要する時間との和である第2時間とを比較し、前記第1時間の長さが前記第2時間の長さ以下である場合、前記第2車両に対して、前記第1時間経過後において前記車線変更を許可する判定を行う、サーバシステム。
【請求項7】
第1車線、第2車線及び第3車線を有し、前記第1車線と前記第2車線とが隣接し、かつ前記第2車線と前記第3車線とが隣接し、かつ前記第1車線、前記第2車線、及び前記第3車線が同一の進行方向である道路の第1車線又は第3車線を走行する自車両の位置及び速度を示す走行情報を取得する取得部と、
前記走行情報、及び走行中の車線から前記第2車線へ車線変更を行うことの要求を示す要求情報を送信する送信部と、
前記自車両と関連付けられたサーバシステムによって、前記自車両と、前記第2車線へ車線変更を行うことを要求する他の車両とが衝突する虞があることを含む条件が満たされると判定された場合であって、前記車線変更を禁止する判定が前記他の車両に対して行われた場合、前記サーバシステムから送信された禁止情報であって、前記他の車両の前記車線変更を禁止することを示す禁止情報を受信する受信部と、を備える車両。
【請求項8】
第1車線、第2車線及び第3車線を有し、前記第1車線が前記第2車線に合流するような形状の道路であって、前記第2車線と前記第3車線とが
隣接しかつ同一の進行方向である道路の第1車線又は第3車線を走行する自車両の位置及び速度を示す走行情報を取得する取得部と、
前記走行情報、及び走行中の車線から前記第2車線へ車線変更を行うことの要求を示す要求情報を送信する送信部と、
前記自車両と関連付けられたサーバシステムによって、前記自車両と、前記第2車線へ車線変更を行うことを要求する他の車両とが衝突する虞があることを含む条件が満たされると判定された場合であって、前記車線変更を禁止する判定が前記他の車両に対して行われた場合、前記サーバシステムから送信された禁止情報であって、前記他の車両の前記車線変更を禁止することを示す禁止情報を受信する受信部と、を備える車両。
【請求項9】
第1車線、第2車線及び第3車線を有し、前記第1車線と前記第2車線及び前記第3車線とが交わりT字路又は交差点となる形状の道路であって、前記第2車線と前記第3車線とが隣接しかつ同一の進行方向である道路の第1車線又は第3車線を走行する自車両の位置及び速度を示す走行情報を取得する取得部と、
前記走行情報、及び走行中の車線から前記第2車線へ車線変更を行うことの要求を示す要求情報を送信する送信部と、
前記自車両と関連付けられたサーバシステムによって、前記自車両と、前記第2車線へ車線変更を行うことを要求する他の車両とが衝突する虞があることを含む条件が満たされると判定された場合であって、前記車線変更を禁止する判定が前記他の車両に対して行われた場合、前記サーバシステムから送信された禁止情報であって、前記他の車両の前記車線変更を禁止することを示す禁止情報を受信する受信部と、を備える車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サーバシステム及び車両に関する。
【背景技術】
【0002】
車両が備えるセンサによって取得した周辺の情報を運転者に通知することによって、事故が発生するリスクを軽減させることができる装置が従来技術として知られている。
【0003】
特許文献1では、認識した周辺環境情報に基づいて車線変更時における割込車両を検出し、警報出力を行う運転支援装置が開示されている。特許文献2では、車載ステレオカメラ等を用いて取得した情報に基づいて自車両の車線変更を安全で円滑に行うための車両用制御装置が開示されている。特許文献3では、外界を認識するセンサの情報に基づいて衝突リスクの高い周囲車両が存在する場合に車線変更を停止する車線変更システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017-68461号公報
【特許文献2】特開2019-209813号公報
【特許文献3】特開2017-65420号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述のような従来技術は、車両の位置によってはセンサの死角又は検知範囲外に位置する他車等の情報を取得することができない。また、各車両間において情報を送受信する場合、同期タイミング等を各車両で制御することを要し、特に道路上の車両が増えるほど車両における処理負荷が増加し、処理が煩雑になるという問題がある。
【0006】
本発明の一態様は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、各車両の位置によらずに、各車両が同じ車線に車線変更を行う際における衝突の発生を、処理を煩雑化させずに抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係るサーバシステムは、第1車線、第2車線及び第3車線を有し、前記第1車線と前記第2車線とが隣接し、かつ前記第2車線と前記第3車線とが隣接し、かつ前記第1車線、前記第2車線、及び前記第3車線が同一の進行方向である道路の道路情報を取得する取得部と、前記第1車線を走行する第1車両の位置及び速度を示す第1情報、前記第3車線を走行する第2車両の位置及び速度を示す第2情報、前記第1車両が前記第1車線から前記第2車線へ車線変更を行うことの要求を示す第3情報、並びに、前記第2車両が前記第3車線から前記第2車線へ車線変更を行うことの要求を示す第4情報を受信する受信部と、前記第1情報、前記第2情報、前記第3情報及び前記第4情報を参照して、前記第1車両が前記第1車線から前記第2車線へ車線変更を行い且つ前記第2車両が前記第3車線から前記第2車線へ車線変更を行うとした場合に、前記第1車両と前記第2車両とが衝突する虞があるとき、前記第1車両と前記第2車両とのうち少なくとも何れか一方の車両に対して、前記車線変更を禁止する判定を行う判定部と、前記第1車両と前記第2車両との双方に、少なくとも何れか一方の車両に対する前記車線変更の禁止判定結果を示す禁止情報を送信する送信部と、を備える。
【0008】
本発明の他の態様に係る車両は、第1車線、第2車線及び第3車線を有し、前記第1車線と前記第2車線とが隣接し、かつ前記第2車線と前記第3車線とが隣接し、かつ前記第1車線、前記第2車線、及び前記第3車線が同一の進行方向である道路の第1車線又は第3車線を走行する自車両の位置及び速度を示す走行情報を取得する取得部と、前記走行情報、及び走行中の車線から前記第2車線へ車線変更を行うことの要求を示す要求情報を送信する送信部と、前記自車両と関連付けられたサーバシステムによって、前記自車両と、前記第2車線へ車線変更を行うことを要求する他の車両とが衝突する虞があることを含む条件が満たされると判定された場合であって、前記車線変更を禁止する判定が前記他の車両に対して行われた場合、前記サーバシステムから送信された禁止情報であって、前記他の車両の前記車線変更を禁止することを示す禁止情報を受信する受信部と、を備える。
【0009】
コンピュータを本発明の各態様に係るサーバシステム又は車両が備える各部(ソフトウェア要素)として動作させることにより前記サーバシステムをコンピュータにて実現させるサーバシステム又は車両の制御プログラム、およびそれを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も、本発明の範疇に入る。
【0010】
また、前記制御プログラムは、コンピュータを前記各部として動作させる処理又はその他の処理において、各種の機械学習手法を用いてもよい。この場合、機械学習手法を用いるプログラムはサーバシステム又は車両で動作するものであってもよいし、他の装置(例えばエッジコンピュータまたはクラウドサーバ等)で動作するものであってもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明の一態様によれば、各車両の位置によらずに、各車両が同じ車線に車線変更を行う際における衝突の発生を、処理を煩雑化させずに抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】サーバシステム、及びサーバシステムに関連付けられた車両の機能的構成を示すブロック図の一例である。
図2】実施形態の一態様に係る道路を既存の車両が走行している様子を示す概念図の一例である。
図3】実施形態の一態様に係る道路を、サーバシステムと関連付けられた車両が走行している様子を示す概念図の一例である。
図4】サーバシステムが実行する処理の流れを示すフローチャートの一例である。
図5図4のフローチャートに示す処理において参照される各値について説明するための概念図の一例である。
図6】実施形態の一態様に係る道路を、サーバシステムと関連付けられた車両が走行している様子を示す概念図の一例である。
図7】実施形態の一態様に係る道路を、サーバシステムと関連付けられた車両が走行している様子を示す概念図の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態について、詳細に説明する。
【0014】
〔1.サーバシステム1及び車両100の構成例〕
図1は、サーバシステム1、及びサーバシステム1に関連付けられた車両100の機能的構成を示すブロック図の一例である。
【0015】
サーバシステム1は、1又は複数台の車両100に対するサーバとして機能する装置であって、車両100の位置及び速度を示す走行情報等を各車両100から受信すると共に、車両100の挙動を規定するための情報等を各車両100に送信する装置である。ここで、車両100の挙動を規定するための情報には、自動運転車の挙動を制御する制御信号、及び運転者に対する指示内容を示す情報が含まれ得る。
【0016】
サーバシステム1は、制御部2、記憶部8及び通信部10を備えている。制御部2は、サーバシステム1全体を統括する制御装置であって、取得部4及び判定部6を備えている。
【0017】
取得部4は、車両100が走行する道路に関する情報である道路情報を取得する。取得部4が道路情報を取得する取得先は、記憶部8であってもよいし、インターネット上等であってもよい。
【0018】
判定部6は、車両100の車線変更を許可又は禁止する判定等を行う。例えば判定部6は、複数の車両100が車線変更を行うとした場合に、車両100同士の距離が所定距離以下になるとき、少なくとも何れかの車両100に対して、車線変更を禁止する判定を行う。前記所定距離は、特定の距離に限定されず、例えば1mであってもよいし、車両100の車種に応じた距離であってもよい。
【0019】
記憶部8は、各種情報を記憶する記憶装置であって、例えば各車両100を識別するための情報、各車両100の状態を示す情報、並びに道路及び地図に関する情報等を記憶する。
【0020】
通信部10は、制御部2による制御に基づいて各種情報の送受信を行う部材であって、送信部12及び受信部14を備えている。送信部12は、例えば判定部6が車線変更を禁止する判定を行った場合に、当該判定結果を示す禁止情報を、少なくとも車線変更を禁止する判定の対象に送信する。受信部14は、例えば車両100の位置及び速度を示す走行情報、及び車線変更を行うことの要求を示す要求情報を受信する。
【0021】
車両100は、コネクテッドカー若しくは自動運転自動車又はこれらに準ずる自動車であって、制御部102、記憶部108、通信部110及び動作部116を備えている。
【0022】
制御部102は、車両100全体を統括する制御装置である。記憶部108は、各種情報を記憶する記憶装置であって、例えば、サーバシステム1に接続するための情報、自車両に関する情報、並びに道路及び地図に関する情報等を記憶する。
【0023】
通信部110は、制御部102による制御に基づいて各種情報の送受信を行う部材であって、送信部112及び受信部114を備えている。送信部112は、例えば自車両の走行情報、及び車線変更を行うことの要求を示す要求情報を送信する。受信部114は、例えば自車両の車線変更を禁止することを示す禁止情報を受信する。
【0024】
また、サーバシステム1と各車両100との間において送受信される情報は、前述した情報に限定されず、例えば運転者によって車両100に入力された、所望の目的地を示す情報等の送受信が行われてもよい。また、自動運転車に対して送信部12は、車両100の挙動を制御する制御信号を送信する。
【0025】
動作部116は、自車両の各部を動作させる機構、及び動作する各部自体である。自車両が自動運転車である場合、動作部116は、受信部114が受信した制御信号が示す制御内容に従って、自車両の各部を自動的に動作させる。動作部116には、車両100の移動に直接的に関係しないスピーカー等の部材も含まれ得る。
【0026】
サーバシステム1及び車両100が備える単一の部材の機能が、別の複数の部材によって実現されてもよく、サーバシステム1及び車両100が備える複数の部材の機能が、別の単一の部材によって実現されてもよい。また、サーバシステム1は、例えばデータベースを有する第1のサーバ装置と、車両100との通信を行う第2サーバ装置とによって実現される構成であってもよい。
【0027】
〔2.補足事項〕
続いて、既存の車両によって実現される道路交通における課題、及び本開示における用語の定義について図2を参照して補足する。
【0028】
図2は、本実施形態の一態様に係る道路を既存の車両が走行している様子を示す概念図の一例である。図2に示すように、前記道路は、第1車線、第2車線、第3車線を有し、少なくとも第2車線と第3車線とが隣接し、同一の進行方向である。本開示においては、特に断りが無い限り、車両の進行方向を向いたときに最も右側に位置する追越車線が第3車線であるものとして説明する。ただし、第1車線と第3車線とは互いに置き換えて説明を適用してもよいし、本開示の説明を片側4車線以上の道路に対して適用してもよい。また、本開示の説明を、車両の進行方向を向いたときに追越車線が最も左側に位置する他国の道路に対して適用してもよい。また、後述するように、本開示において対象となる道路には、T字路及び交差点等が含まれる。
【0029】
まず、或る時点において第1車線を走行する車両を第1車両と呼称し、第3車線を走行する車両を第2車両と呼称するものとする。なお、図2に例示するように、第3車線が途中で終端に達し、その先において進行方向左側から合流車線が合流すること等によって、車線の番号が道路の途中で入れ替わる場合もある。
【0030】
また、図2内の既存の車両は、周囲の状況を目視、カメラ及びセンサのみによって取得する構成である。道路の区間21においては、互いに死角に位置する第1車両と第2車両とが、略同じタイミングにおいて第2車線に車線変更を行った場合に、衝突する虞がある。道路の区間22においては、第1車両と第2車両とが、間に他の車両が存在するために互いを視認できず、略同じタイミングにおいて当該他の車両を追い抜いて第2車線に車線変更を行った場合に、衝突する虞がある。
【0031】
図3は、図2と同様の道路を、サーバシステム1と関連付けられた車両100が走行している様子を示す概念図の一例である。
【0032】
図3に示す構成においては、各車両100から送信された走行情報が、サーバシステム1において集約される。また、各車両100は、車線変更を行うことの要求を示す要求情報をサーバシステム1に送信し、当該要求がサーバシステム1によって許可された場合に車線変更を行うことができる。これにより、死角が生じるような位置であっても各車両100の位置によらずに、各車両100が同じ車線に車線変更を行う際における衝突の発生を、処理を煩雑化させずに抑制する制御が可能となる。
【0033】
以下、図3における車線変更を一例に挙げて具体的に説明する。まず、第1車両100は、自車両の位置及び速度を示す第1情報をサーバシステム1に一定間隔で送信しながら、第1車線を走行している。また、第2車両100は、自車両の位置及び速度を示す第2情報をサーバシステム1に一定間隔で送信しながら、第3車線を走行している。ここで、第1情報及び第2情報は、走行情報の一例である。
【0034】
また、第1車両100の送信部112は、自車両が第1車線から第2車線へ車線変更を行うことの要求を示す第3情報を送信する。また、第2車両100の送信部112は、自車両が第3車線から第2車線へ車線変更を行うことの要求を示す第4情報を送信する。ここで、第3情報及び第4情報は、要求情報の一例である。
【0035】
なお、要求情報は、車両100が車線の合流地点又は終端付近等の車線変更を要する場所に位置する場合に、サーバシステム1に対して自動的に送信される構成であってもよい。また、車両100が前記の場所に位置することを示す走行情報自体を、車線変更を要求する要求情報であるものとして扱ってもよい。
【0036】
サーバシステム1が備える判定部6は、受信部14が受信した第1~第4情報を参照して、第1車両100と第2車両100との各々に対して、車線変更を許可する判定又は禁止する判定を行う。具体的には、第1車線を走行する第1車両100と第3車線を走行する第2車両100とが、第2車線に車線変更を行うとした場合に、第1車両100と第2車両100との間の距離が所定距離になるとき、判定部6は、第1車両100と第2車両100とのうち少なくとも何れかに対して、車線変更を禁止する判定を行う。つまり、おおよそ並走する各車両100が略同じタイミングにおいて第2車線に車線変更を行うことをサーバシステム1に要求した場合、少なくとも何れかの車両100の車線変更は許可されない。また、第1車両100と第2車両100との間の距離が所定以下になるか否かの判定は、判定部6が行う構成であってもよい。
【0037】
また、前述の車線変更を実現するために、第1車両100及び第2車両100が備える取得部4、送信部112、受信部114及び動作部116は、以下の構成を有している。即ち、取得部4は、第1車線又は第3車線を走行する自車両の位置及び速度を示す走行情報を取得する。また、送信部112は、前記走行情報、及び走行中の車線から第2車線へ車線変更を行うことの要求を示す要求情報を送信する。また、受信部114は、自車両と関連付けられたサーバシステム1によって、自車両と、第2車線へ車線変更を行うことを要求する他の車両100との間の距離が所定以下になることを含む条件が満たされると判定された場合、サーバシステム1から送信された禁止情報であって、自車両の車線変更を禁止することを示す禁止情報を受信する。また、動作部116は、受信部114が禁止情報を受信した場合に、自車両が車線変更を禁止するための動作を行う。ここで、前記車線変更を禁止するための動作には、車両100の向きの変更を制限すること、及び、スピーカー等によって運転者に車線変更を禁止することを通知すること等が含まれる。ただし、前記車線変更を禁止するための動作には、通常、車両100を加速又は減速することを禁止する動作は含まれない。
【0038】
前記の構成によって、自車両が第2車線に車線変更を行う際における衝突の発生を抑制又は防止することができる。
【0039】
〔3.サーバシステム1の処理例〕
続いて、サーバシステム1が実行する処理の流れについて説明する。図4は、前記処理の流れを示すフローチャートの一例である。
【0040】
図4のフローチャートに示す処理は、前述した例のように、第1車線を走行する第1車両100と、おおよそ並行して第3車線を走行する第2車両100とが、第2車線への車線変更を要求する要求情報をサーバシステム1に送信した場合に実行される。また、理解を容易にするため、第2車両100を自車両とする視点において説明を行う。別の側面から言えば、サーバシステム1が第2車両100に対して車線変更を許可するか禁止するか否かについての処理を例示して説明を行う。
【0041】
S101において、判定部6は、第1時間tと第2時間tとを比較し、tの長さがtの長さ以下であるか否かを判定する。第1時間tは、第2車両100が第1車両100を追い越すまでに要する時間であって、以下の式によって算出される時間である。t=(L+I)/V-V
また、図5は、図4のフローチャートに示す処理において参照される各値について説明するための概念図の一例である。前記の式及び図5における距離Lは、或る時点の第1車両100と第2車両100との間の距離を示している。また、距離Iは、第1車両100が車線変更を開始して終了するまでに要する任意の所定距離を示している。また、速度Vは、第1車両100の速度を示しており、速度Vは、第2車両100の速度を示している。ただし、前述した距離L及びI並びに速度V及びVの値は、道路に沿った方向成分の値である。
【0042】
また、第2時間tは、第2車両100が第3車線の終端に達するまでに要する時間又は第3車線上の障害物に達するまでに要する時間と、第2車両100が車線変更を行うことに要する時間との和である。第2時間tは、以下の式によって算出される。
【0043】
以下の式及び図5における距離Lminは、第2車両100と第3車線の終端との間の距離と、第2車両100と第3車線上の障害物との間の距離とのうち、短い方の距離を示している。また、時間Tは、第2車両100が車線変更を行うことに要する任意の所定時間を示している。
=Lmin/V+T
また、前述した車線上の障害物には、工事現場又は落下物等の静的な障害物に加え、一時停車若しくは著しく低速で走行する他の車両、又は渋滞等の動的な障害物が含まれ得る。
【0044】
判定部6は、第1時間tの長さが第2時間tの長さ以下であると判定した場合(S101:YES)、S102において、第2車両100に対して、車線変更を第1時間tの間禁止する判定を行ったのちに、車線変更を許可する判定を行う。換言すると、判定部6は、第2車両100が第1車両100を追い越したタイミングである第1時間tの経過後において車線変更を許可する判定を行う。また、送信部12は、判定部6による判定結果を示す情報を第2車両100に送信し、第2車両100の車線変更が行われる。これにより、第2車両100は、第3車線の終端等に達する前に第1車両100を追い越して安全に車線変更を行うことができる。
【0045】
一方で、判定部6は、第1時間tの長さが第2時間tの長さを超えると判定した場合(S101:NO)、S103において、第2車両100が現時点の速度Vから、法定速度である制限速度Vlimit以下の範囲において速度V’まで加速できるか否かを判定する。換言すると、判定部6は、第2車両100が制限速度Vlimitには達してないか、或いは既に達しているかを判定する。
【0046】
判定部6は、第2車両100が制限速度Vlimit以下の範囲において加速できると判定した場合(S103:YES)、S104において、第2車両100が速度V’まで加速した場合における第1時間t’と第2時間t’とを比較して、t’の長さがt’の長さ以下となるか否かを判定する。
【0047】
判定部6が、第1時間t1’の長さが第2時間t’の長さ以下となると判定した場合(S104:YES)、S105において、送信部12は、第2車両100に対して、速度V’まで加速することを指示する情報を送信する。前記速度V’は、本開示における追越可能速度の一例である。続いて、第1時間t’及び第2時間t’を用いてS101の処理が繰り返される。また、各車両100を加速又は減速させる判定は、判定部6が行う構成であってもよい。
【0048】
また、S105の処理に続くS101の判定において「YES」の判定がなされることは、第2車両100が所定速度以下の追越可能速度V’まで加速した場合に限り第1時間t’の長さが第2時間t’の長さ以下となることを意味している。また、前記判定がなされることは、判定部6が、第2車両100に対して、追越可能速度V’まで加速することを条件としたうえで、第1時間t’の経過後において車線変更を許可する判定を行うことを意味している。これにより、第2車両100は、追越可能速度V’まで加速することによって、第3車線の終端等に達する前に第1車両100を追い越して安全に車線変更を行うことができる。
【0049】
判定部6は、S103において第2車両100が制限速度Vlimit以下の範囲において加速することができないと判定した場合(S103:NO)、又は、S104において第1時間t’の長さが第2時間t’の長さを超えると判定した場合(S104:NO)、S106の処理を実行する。
【0050】
S106において、判定部6は、第2車両100に対して車線変更を禁止する判定を行う。また、送信部12は、第2車両100に対して、当該車線変更を禁止することを示す禁止情報と、現時点の速度Vよりも減速することを指示する情報とを送信する。
【0051】
S107において、判定部6は、第2車両100が第1車両100よりも後方に位置し、且つ第2車両100の速度Vが第1車両100の速度V以下であるという条件が満たされているか否かを判定する。判定部6は、当該条件が満たされていると判定した場合(S107:YES)、S108において、第2車両100に対して車線変更を許可する判定を行う。また、送信部12は、判定部6による判定結果を示す情報を第2車両100に送信し、第2車両100の車線変更が行われる。
【0052】
また、S104の処理に続いてS106~S108の処理が行われることは、第2車両100が所定速度まで加速したとしても第1時間tの長さが第2時間tの長さを超えることを意味している。また、当該処理が行われることは、判定部6が、第2車両100に対して、第2車両100が第1車両100よりも後方に位置し、且つ第2車両100の速度Vが第1車両100の速度V以下であることを条件としたうえで、車線変更を許可する判定を行うことを意味している。これにより、第2車両100は、第3車線の終端等に達する前に第1車両100を追い越さずに安全に車線変更を行うことができる。
【0053】
一方で、判定部6は、S107の当該条件が満たされていないと判定した場合(S107:NO)、当該条件が満たされるまで、S107における判定を継続する。
【0054】
図4のフローチャートを参照して例示した構成によれば、各車両100が同じ車線に車線変更を行う際における衝突の発生を抑制することができる。特に、第1車両100及び第2車両100が自動運転車である場合においては、送信部12が各車両100に対して挙動を制御する制御信号を送信することによって、各車両100の衝突の発生を防止した自動運転制御が可能となる。
【0055】
なお、送信部12は、判定部6の車線変更に関する判定結果を示す情報を、対応する要求情報を送信した車両100以外の車両100にも送信してもよい。例えば送信部12は、判定部6が第1車両100と第2車両100とのうち何れかに対して、車線変更を禁止する判定を行った場合に、当該判定結果を示す情報を、車線変更を禁止する判定の対象となる車両100と、車線変更を許可する他方の車両100とに送信してもよい。これにより、例えば自車両の近傍に位置する他の車両100が車線変更を行おうとしていることを通知する制御が可能となる。
【0056】
また、S103の判定における制限速度Vlimitは、法定速度であることに限定されず、その他の所定速度に置き換えられてもよい。例えば、制限速度Vlimitは、法定速度に対して、天候、道路の路面状態、道路における過去の事故に関する情報、及び道路における急ブレーキの多寡を示す情報のうち、少なくとも何れかに応じた1以下の係数を乗じた速度であってもよい。ここで、道路の路面状態には、路面の角度が含まれ得る。また、前述した天候等の情報、及び道路上の障害物に関する情報は、サーバシステム1が、通信部10を介してインターネット上等から取得する構成であってもよいし、各車両100から取得して統計として蓄積した情報であってもよい。
【0057】
前述の構成によれば、例えば天候が雪である場合、或いは急ブレーキが多いエリアに車両100が位置する場合等に制限速度Vlimitの値を低く設定することによって、安全性を向上させることに寄与する。
【0058】
〔4.実施形態に係る変形例1〕
前述したように、本開示において対象となる道路の形状は、図2図3及び図5に示す形状に限定されない。図6は、一態様に係る道路を、サーバシステム1と関連付けられた車両100が走行している様子を示す概念図の一例である。図6に示す道路は、隣接し且つ同一の進行方向である第2車線と第3車線とを有する片側2車線の道路に対して、略垂直な方向から第1車線を有する片側1車線の道路が交わるT字路である。
【0059】
第1車両100は、第1情報と、第1車線から第2車線へ右折して車線変更することの要求を示す第3情報とをサーバシステム1に送信する。第2車両100は、第2情報と、第3車線から第2車線へ車線変更することの要求を示す第4情報とをサーバシステム1に送信する。そして、サーバシステム1が備える判定部6は、受信部14が受信した第1~第4情報を参照して、各車両100の間の距離が所定以下になるときに少なくとも何れかの車両100に対して、一時的に車線変更を禁止する判定を行う。また、判定部6は、何れかの車両100に対して加速又は減速を指示する判定を行ってもよい。送信部12は、判定部6による判定結果を示す情報を第1車両100及び第2車両100に送信する。
【0060】
特に、図6に例示するように第3車線において渋滞が生じている場合、第1車両100及び第2車両100が共に第2車線へ車線変更を行う可能性が高くなるが、前述した構成によれば、T字路等においても各車両100の衝突の発生を抑制することができる。
【0061】
〔5.実施形態に係る変形例2〕
他の形状の道路を更に例示して説明する。図7は、一態様に係る道路を、サーバシステム1と関連付けられた車両100が走行している様子を示す概念図の一例である。図7に示す道路は、隣接し且つ同一の進行方向である第2車線と第3車線とを有する片側2車線の道路に対して、略垂直な方向から第1車線を有する片側1車線の道路が交わるT字路を図7の中央付近に含んでいる。且つ、図7に示す道路は、前記片側2車線の道路が、略垂直な方向から別の片側1車線の道路に交わるT字路を図7の右方に含んでいる。
【0062】
第1車両100は、第1情報と、第1車線から第2車線へ左折して車線変更することの要求を示す第3情報とをサーバシステム1に送信する。第2車両100は、第2情報と、第3車線から第2車線へ車線変更することの要求を示す第4情報とをサーバシステム1に送信する。そして、サーバシステム1が備える判定部6は、変形例1と同様の判定を行い、送信部12は、判定部6による判定結果を示す情報を第1車両100及び第2車両100に送信する。
【0063】
特に、図7に例示するように第3車線において右折待ちの車両100による渋滞が生じている場合、第1車両100及び第2車両100が共に第2車線へ車線変更を行う可能性が高くなるが、前述した構成によれば、各車両100の衝突の発生を抑制することができる。
【0064】
〔6.付記事項〕
本発明の一態様に係るサーバシステムは、第1車線、第2車線及び第3車線を有し、少なくとも前記第2車線と前記第3車線とが隣接しかつ同一の進行方向である道路の道路情報を取得する取得部と、前記第1車線を走行する第1車両の位置及び速度を示す第1情報、前記第3車線を走行する第2車両の位置及び速度を示す第2情報、前記第1車両が前記第1車線から前記第2車線へ車線変更を行うことの要求を示す第3情報、並びに、前記第2車両が前記第3車線から前記第2車線へ車線変更を行うことの要求を示す第4情報を受信する受信部と、前記第1情報、前記第2情報、前記第3情報及び前記第4情報を参照して、前記第1車両が前記第1車線から前記第2車線へ車線変更を行い且つ前記第2車両が前記第3車線から前記第2車線へ車線変更を行うとした場合に、前記第1車両と前記第2車両との間の距離が所定距離以下になるとき、前記第1車両と前記第2車両とのうち少なくとも何れかに対して、前記車線変更を禁止する判定を行う判定部と、前記判定結果を示す情報を、少なくとも前記車線変更を禁止する判定の対象となる車両に送信する送信部と、を備える。
【0065】
本発明の他の態様に係る車両は、第1車線、第2車線及び第3車線を有し、少なくとも前記第2車線と前記第3車線とが隣接しかつ同一の進行方向である道路の第1車線又は第3車線を走行する自車両の位置及び速度を示す走行情報を取得する取得部と、前記走行情報、及び走行中の車線から前記第2車線へ車線変更を行うことの要求を示す要求情報を送信する送信部と、前記自車両と関連付けられたサーバシステムによって、前記自車両と、前記第2車線へ車線変更を行うことを要求する他の車両との間の距離が所定以下になることを含む条件が満たされると判定された場合、前記サーバシステムから送信された禁止情報であって、前記自車両の前記車線変更を禁止することを示す禁止情報を受信する受信部と、を備える。
【0066】
〔7.ソフトウェアによる実現例〕
サーバシステム1(以下、「装置」と呼ぶ)の機能は、当該装置としてコンピュータを機能させるためのプログラムであって、当該装置の各制御ブロック(特に制御部2に含まれる各部)としてコンピュータを機能させるためのプログラムにより実現することができる。
【0067】
この場合、上記装置は、上記プログラムを実行するためのハードウェアとして、少なくとも1つの制御装置(例えばプロセッサ)と少なくとも1つの記憶装置(例えばメモリ)を有するコンピュータを備えている。この制御装置と記憶装置により上記プログラムを実行することにより、上記各実施形態で説明した各機能が実現される。
【0068】
上記プログラムは、一時的ではなく、コンピュータ読み取り可能な、1または複数の記録媒体に記録されていてもよい。この記録媒体は、上記装置が備えていてもよいし、備えていなくてもよい。後者の場合、上記プログラムは、有線または無線の任意の伝送媒体を介して上記装置に供給されてもよい。
【0069】
また、上記各制御ブロックの機能の一部または全部は、論理回路により実現することも可能である。例えば、上記各制御ブロックとして機能する論理回路が形成された集積回路も本発明の範疇に含まれる。この他にも、例えば量子コンピュータにより上記各制御ブロックの機能を実現することも可能である。
【0070】
また、上記各実施形態で説明した各処理は、AI(Artificial Intelligence:人工知能)に実行させてもよい。この場合、AIは上記制御装置で動作するものであってもよいし、他の装置(例えばエッジコンピュータまたはクラウドサーバ等)で動作するものであってもよい。
【0071】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0072】
1 サーバシステム
2 制御部
4 取得部
6 判定部
8 記憶部
10 通信部
12 送信部
14 受信部
100 車両、第1車両、第2車両
102 制御部
108 記憶部
110 通信部
112 送信部
114 受信部
116 動作部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7