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特開2024-124758核医学診断装置、制御方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024124758
(43)【公開日】2024-09-13
(54)【発明の名称】核医学診断装置、制御方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G01T 1/161 20060101AFI20240906BHJP
   A61B 6/03 20060101ALI20240906BHJP
【FI】
G01T1/161 A
A61B6/03 330B
A61B6/03 377
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023032653
(22)【出願日】2023-03-03
(71)【出願人】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】潟山 一樹
(72)【発明者】
【氏名】山田 泰誠
【テーマコード(参考)】
4C093
4C188
【Fターム(参考)】
4C093AA22
4C093AA30
4C093CA34
4C093FA06
4C093FA18
4C093FA53
4C093FF16
4C188EE02
4C188FF07
4C188GG19
4C188GG21
4C188KK09
4C188KK15
4C188KK35
4C188LL08
(57)【要約】
【課題】CT撮影時における被検体の被爆線量低減とCT画像の画質の維持とを可能とすること。
【解決手段】本実施形態に係る核医学診断装置は、収集部と、推定部と、決定部とを備える。収集部は、核医学データを収集する。推定部は、核医学データに基づいて、被検体の形状を推定する。決定部は、推定された形状に基づいて、CTスキャンにおける管電流を決定する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
核医学データを収集する収集部と、
前記核医学データに基づいて、被検体の形状を推定する推定部と、
前記形状に基づいて、CTスキャンにおける管電流を決定する決定部と、
を備える核医学診断装置。
【請求項2】
前記推定部は、前記核医学データを再構成することで得られた核医学再構成データに基づいて、前記形状を推定する、
請求項1に記載の核医学診断装置。
【請求項3】
前記推定部は、前記核医学データをTOFの時間差情報に基づきプロットした核医学プロットデータから前記形状を推定する、
請求項1に記載の核医学診断装置。
【請求項4】
前記推定部は、前記被検体が載置される寝台の当該被検体の体軸方向の位置毎に、当該被検体の体厚を推定し、
前記決定部は、前記被検体の撮影部位と、推定された前記体厚とに基づいて、前記管電流を決定する、
請求項1乃至3の何れか1項に記載の核医学診断装置。
【請求項5】
前記被検体のCT撮影の撮影位置を決めるためのスキャノ撮影で得られた位置決め画像を取得する取得部を更に備え、
前記決定部は、前記形状と、前記位置決め画像とに基づいて、前記CTスキャンにおける前記管電流を決定する、
請求項1乃至3の何れか1項に記載の核医学診断装置。
【請求項6】
前記推定部は、前記位置決め画像に撮影を行っていない方向がある場合、前記核医学データに基づいて、当該位置決め画像の当該方向における前記被検体の体輪郭を抽出するための情報を補間し、抽出した前記体輪郭から前記形状を推定する、
請求項5に記載の核医学診断装置。
【請求項7】
前記収集部は、本スキャンの収集よりも短時間で前記核医学データの収集を行う、
請求項1乃至3の何れか1項に記載の核医学診断装置。
【請求項8】
核医学診断装置の制御方法であって、
核医学データを収集する収集ステップと、
前記核医学データに基づいて、被検体の形状を推定する推定ステップと、
前記形状に基づいて、CTスキャンにおける管電流を決定する決定ステップと、
を含む核医学診断装置の制御方法。
【請求項9】
コンピュータに、
核医学データを収集する収集ステップと、
前記核医学データに基づいて、被検体の形状を推定する推定ステップと、
前記形状に基づいて、CTスキャンにおける管電流を決定する決定ステップと、
を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書及び図面に開示の実施形態は、核医学診断装置、制御方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、PET(Positron Emission Tomography)装置やCT(Computed Tomography)装置等のX線診断装置が用いられている。また、PET装置とCT装置とを一体的に備えたX線診断装置(以下、PET-CT装置)が存在している。
【0003】
係るPET-CT装置では、CT撮影において、被検体の被爆線量の低減とCT画像の画質の維持とを目的として、CT撮影時の管電流を被検体の体厚に応じて変調させるAEC(Auto Exposure Control)機能が使用されることがある。
【0004】
ところで、AEC機能を使用するためには、管電流算出の基となるデータが必要である。このため、従来はスキャノ等の位置決めCT撮影を実施して管電流算出の基となるデータを取得していた。ただし、位置決めCT撮影前は体厚を求めることができないため、位置決めCT撮影については、固定の管電流で実施されることが一般的である。
【0005】
固定の管電流で位置決めCT撮影を行うと、体厚が薄い部分も厚い部分も同じ管電流で被検体にX線の照射が行われることになる。このため、位置決めCT撮影では、被検体の被爆量を低減させることができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第4387638号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本明細書及び図面に開示の実施形態が解決しようとする課題の一つは、CT撮影における被検体の被爆線量低減とCT画像の画質の維持とを可能とする核医学診断装置、制御方法及びプログラムを提供することである。ただし、本明細書及び図面に開示の実施形態により解決しようとする課題は上記課題に限られない。後述する実施形態に示す各構成による各効果に対応する課題を他の課題として位置づけることもできる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態に係る核医学診断装置は、収集部と、推定部と、決定部とを備える。収集部は、核医学データを収集する。推定部は、核医学データに基づいて、被検体の形状を推定する。決定部は、推定された形状に基づいて、CTスキャンにおける管電流を決定する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施形態に係るPET-CT装置の構成の一例を示す図である。
図2図2は、実施形態に係るPET画像から体輪郭を抽出する処理の一例を説明する図である。
図3図3は、実施形態に係るPET画像から体輪郭を抽出する処理の一例を説明する図である。
図4図4は、実施形態に係る抽出した体輪郭から管電流を決定する処理の一例を示す図である。
図5図5は、実施形態に係る抽出した体輪郭から管電流を決定する処理の一例を示す図である。
図6図6は、実施形態に係るPET-CT装置が実行する処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下に添付図面を参照して、この発明に係る核医学診断装置、制御方法及びプログラムの実施形態を説明する。
【0011】
図1は、本実施形態に係るPET-CT装置1の構成を示す図である。PET-CT装置1は、核医学診断装置の一例である。図1に示すように、PET-CT装置1は、PETガントリ10、CTガントリ30、寝台50及びコンソール70を有する。典型的には、PETガントリ10、CTガントリ30、及び寝台50は、共通の検査室に設置される。コンソール70は、検査室に隣接する制御室に設置される。
【0012】
PETガントリ10は、被検体PをPETスキャンするための撮影装置である。CTガントリ30は、被検体PをCTスキャンするための撮影装置である。寝台50は、撮影対象の被検体Pを載置する天板53を移動自在に支持する。コンソール70は、PETガントリ10、CTガントリ30及び寝台50などを制御するコンピュータである。
【0013】
PETガントリ10は、例えば、複数のPET検出器リング、信号処理回路13、同時計数回路15、及びリング移動機構16を有する。図1では、1つのPET検出器リング11が示されているが、実際のPETガントリ10には、被検体Pを載置する天板53が挿入されるボア20内の中心軸方向(Z方向)に沿って天板53に対して相対的に移動可能な複数のPET検出器リングが搭載される。
【0014】
信号処理回路13及び同時計数回路15は、例えば、複数のPET検出器リング各々に対して設けられる。リング移動機構16は、複数のPET検出器リング各々を、ボア20の中心軸方向(Z方向)に沿って移動可能に支持する。なお、PETガントリ10とCTガントリ30とは、同一の筐体に収められてもよい。
【0015】
PET検出器リング11は、中心軸Z回りの円周上に配列された複数のガンマ線検出器17を有する。ガンマ線検出器17は、PET検出器とも称される。PET検出器リング11の開口部には、画像視野(FOV:Field Of View)が設定される。画像視野に被検体Pの撮影部位が含まれるように、被検体Pが位置決めされる。
【0016】
被検体Pには陽電子放出核種により標識された薬剤が投与される。陽電子放出核種から放出された陽電子は周囲の電子と対消滅する。対消滅により、一対の対消滅ガンマ線が発生される。ガンマ線検出器17は、被検体Pの体内から放出された対消滅ガンマ線を検出する。ガンマ線検出器17は、検出された対消滅ガンマ線の光量に応じた電気信号を生成する。
【0017】
例えば、ガンマ線検出器17は、複数のシンチレータと複数の光電子増倍管とを有する。シンチレータは、被検体P内の放射性同位元素に由来する対消滅ガンマ線を受けて、シンチレーション光を発生する。光電子増倍管は、シンチレーション光の光量に応じた電気信号を発生する。発生された電気信号は、信号処理回路13に供給される。
【0018】
信号処理回路13は、ガンマ線検出器17から出力された電気信号に基づいてシングルイベントデータを生成する。具体的には、信号処理回路13は、当該電気信号に対して、例えば、検出時刻計測処理、位置計算処理、及びエネルギー計算処理を施す。
【0019】
信号処理回路13は、検出時刻計測処理、位置計算処理、及びエネルギー計算処理を実行可能に構成された特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)やフィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA)、他の複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)により実現される。
【0020】
検出時刻計測処理において信号処理回路13は、ガンマ線検出器17によるガンマ線の検出時刻を計測する。具体的には、信号処理回路13は、ガンマ線検出器17からの電気信号の波高値をモニタリングし、波高値が予め設定された閾値を超える時刻を検出時刻として計測する。
【0021】
換言すれば、信号処理回路13は、波高値が閾値を超えたことを検知することにより、電気的に対消滅ガンマ線を検出する。位置計算処理において信号処理回路13は、ガンマ線検出器17からの電気信号に基づいて、対消滅ガンマ線の入射位置を計算する。対消滅ガンマ線の入射位置は、対消滅ガンマ線が入射したシンチレータの位置座標に対応する。エネルギー計算処理において信号処理回路13は、ガンマ線検出器17からの電気信号に基づいて、検出した対消滅ガンマ線のエネルギー値を計算する。
【0022】
シングルイベントに関する検出時刻のデータと位置座標のデータとエネルギー値のデータとは関連付けられる。シングルイベントに関するエネルギー値のデータと位置座標のデータと検出時刻のデータとの組合せは、シングルイベントデータと呼ばれている。シングルイベントデータは、対消滅ガンマ線が検出される毎に次々に生成される。生成されたシングルイベントデータは、同時計数回路15に供給される。
【0023】
同時計数回路15は、信号処理回路13からのシングルイベントデータに対して、同時計数処理を施す。ハードウェア資源としては、同時計数回路15は、同時計数処理を実行可能に構成されたASICやFPGA、CPLD、SPLDにより実現される。
【0024】
同時計数処理において同時計数回路15は、繰り返し供給されるシングルイベントデータの中から、予め定められた時間枠内に収まる2つのシングルイベントに関するシングルイベントデータを繰り返し特定する。この対のシングルイベントは、同一の対消滅点から発生された対消滅ガンマ線に由来すると推定される。対のシングルイベントは、まとめて同時計数イベントと呼ばれる。
【0025】
この対消滅ガンマ線を検出した対のガンマ線検出器17(より詳細にはシンチレータ)を結ぶ線は、LOR(Line Of Response)と呼ばれる。LORを構成する対のイベントに関するイベントデータは、同時計数イベントデータと呼ばれる。同時計数イベントデータとシングルイベントデータとは、コンソール70に伝送される。
【0026】
また、同時計数イベントデータは、PET画像を再構成する際に使用される。以下、同時計数イベントデータをPET生データともいう。PET生データは、核医学データの一例である。
【0027】
なお、上記構成において信号処理回路13と同時計数回路15とは、PETガントリ10に含まれるとしたが、本実施形態はこれに限定されない。例えば、同時計数回路15、又は信号処理回路13と同時計数回路15との双方が、PETガントリ10とは別体の装置に含まれてもよい。また、同時計数回路15は、PETガントリ10に搭載される複数の信号処理回路13に対して一つ設けられてもよいし、PETガントリ10に搭載される複数の信号処理回路13を複数のグループに区分し、各グループに対して一つ設けられてもよい。
【0028】
リング移動機構16は、複数のPET検出器リングを、後述の処理回路73における撮影制御機能733による制御の下で、ボア20の中心軸方向(Z方向)に沿って移動させる。リング移動機構16は、例えば、複数のPET検出器リングを、ボア20の中心軸方向(Z方向)に沿って移動可能に支持するリング支持機構と、リング支持機構において複数のPET検出器リングを移動させる移動機構と、当該移動部を駆動させる駆動機構とを有する。
【0029】
リング支持機構は、例えば、ボア20の中心軸方向(Z方向)に沿ってPETガントリ10に配置された直動軸受により実現される。リング支持機構の実現手段は、直動軸受けに限定されず、既知の各種軸受け等が適宜利用可能である。直動軸受けのレールは、ボア20の中心軸方向(Z方向)に沿って、PETガントリ10における固定フレームに設けられる。また、直動軸受けにおいて、レール上を走行するブロックは、複数のPET検出器リング各々をリング状に保つ支持フレームを搭載する。
【0030】
移動機構は、複数のPET検出器リングに対応する複数のラックアンドピニオンにより実現される。移動機構の実現手段は、ラックアンドピニオンに限定されず、ボールねじなど既知の装置が適宜利用可能である。複数のラックアンドピニオンにおける複数のラックギアは、ボア20の中心軸方向(Z方向)に沿って配置され、複数のPET検出器リングに対応する複数の保持フレームにそれぞれ接続される。
【0031】
複数のピニオンギアは、複数のラックギアにそれぞれ勘合する。ピニオンギアには、例えば、ピニオンギアの回転数を計測するロータリーエンコーダが設けられてもよい。このとき、ロータリーエンコーダからに出力は、処理回路73へ出力される。
【0032】
駆動機構は、例えばモータにより実現される。モータの回転軸は、例えば、各種のギアを介してピニオンギアに接続される。なお、ピニオンギアにロータリーエンコーダが設けられていない場合、モータの回転軸又は各種ギアには、例えば、当該回転軸の回転数を計測するロータリーエンコーダが設けられてもよい。
【0033】
このとき、ロータリーエンコーダからに出力は、処理回路73へ出力される。モータは、撮影制御機能733による制御信号に従って、駆動する。モータの回転によりピニオンギアが回転することで、ボア20の中心軸方向(Z方向)に沿ってラックギアが移動する。ラックギアの移動により複数のPET検出器リングは、ボア20の中心軸方向(Z方向)に沿って移動する。
【0034】
図1に示すように、CTガントリ30は、CT撮影機構を有する。CT撮影機構は、被検体Pに対してCTスキャンを行う。なお、CT撮影機構は、X線によるスキャノ撮影等の位置決め撮影を、被検体Pに対して行ってもよい。CT撮影機構は、X線管31、X線検出器32、回転フレーム33、X線高電圧装置34、CT制御装置35、ウェッジ36、コリメータ37及びDAS38を有する。
【0035】
X線管31は、X線を発生する。具体的には、X線管31は、熱電子を発生する陰極と、陰極から飛翔する熱電子を受けてX線を発生する陽極とを保持する真空管を有する。X線管31は、高圧ケーブルを介してX線高電圧装置34に接続されている。
【0036】
陰極と陽極との間には、X線高電圧装置34により管電圧が印加される。管電圧の印加により陰極から陽極に向けて熱電子が飛翔する。陰極から陽極に向けて熱電子が飛翔することにより、管電流が流れる。X線高電圧装置34からの高電圧の印加及びフィラメント電流の供給により、陰極から陽極に向けて熱電子が飛翔し、熱電子が陽極に衝突する。これにより、X線が発生される。
【0037】
X線検出器32は、X線管31から発生され被検体Pを通過したX線を検出する。X線検出器32は、検出されたX線の線量に対応した電気信号を、DAS38へ出力する。X線検出器32は、チャネル方向に複数のX線検出素子が配列されたX線検出素子列がスライス方向(列方向、row方向ともいう)に複数配列された構造を有する。
【0038】
X線検出器32は、例えば、グリッド、シンチレータアレイ及び光センサアレイを有する間接変換型の検出器である。シンチレータアレイは、複数のシンチレータを有する。シンチレータは、入射X線量に応じた光量の光を出力する。グリッドは、シンチレータアレイのX線入射面側に配置される。グリッドは、散乱X線を吸収するX線遮蔽板を有する。
【0039】
光センサアレイは、シンチレータから出力された光を、当該光の光量に応じた電気信号に変換する。光センサとしては、例えば、フォトダイオード又は光電子増倍管が用いられる。なお、X線検出器32は、入射X線を電気信号に変換する半導体素子を有する直接変換型の検出器(半導体検出器)により実現されてもよい。
【0040】
回転フレーム33は、X線管31とX線検出器32とを回転軸Z回りに回転可能に支持する円環状のフレームである。具体的には、回転フレーム33は、X線管31とX線検出器32とを対向支持する。回転フレーム33は、固定フレーム(図示せず)に回転軸Z回りに回転可能に支持される。
【0041】
CT制御装置35による制御のもとで回転フレーム33が回転軸Z回りに回転する。これにより、X線管31とX線検出器32とは、回転軸Z回りに回転する。回転フレーム33は、CT制御装置35の駆動機構からの動力を受けて、回転軸Z回りに一定の角速度で回転する。回転フレーム33の開口部には、画像視野(FOV)が設定される。
【0042】
なお、本実施形態では、非チルト状態での回転フレーム33の回転軸又は寝台50の天板53の長手方向をZ軸方向、Z軸方向に直交し、床面に対し水平である軸方向をX軸方向、Z方向に直交し、床面に対し垂直である軸方向をY軸方向と定義する。
【0043】
X線高電圧装置34は、変圧器(トランス)及び整流器等の電気回路を有する。また、X線高電圧装置34は、X線管31に印加する高電圧及びX線管31に供給するフィラメント電流を発生する高電圧発生装置と、X線管31が照射するX線に応じた出力電圧の制御を行うX線制御装置とを有する。
【0044】
高電圧発生装置は、変圧器方式であってもよいし、インバータ方式であっても構わない。X線高電圧装置34は、CTガントリ30内の回転フレーム33に設けられてもよいし、CTガントリ30内の固定フレーム(図示しない)に設けられても構わない。
【0045】
ウェッジ36は、被検体Pに照射されるX線の線量を調節する。具体的には、ウェッジ36は、X線管31から被検体Pへ照射されるX線の線量が予め定められた分布になるように、X線を減衰する。例えば、ウェッジ36としては、ウェッジフィルタ(wedge filter)やボウタイフィルタ(bow-tie filter)などのアルミニウム等の金属板が用いられる。
【0046】
コリメータ37は、ウェッジ36を透過したX線の照射範囲を限定する。コリメータ37は、X線を遮蔽する複数の鉛板をスライド可能に支持し、複数の鉛板により形成されるスリットの形態を調節する。
【0047】
DAS(Data Acquisition System:データ収集システム)38は、X線検出器32により検出されたX線の線量に応じた電気信号を、X線検出器32から読み出す。DAS38は、読み出した電気信号を可変の増幅率で増幅する。次いで、DAS38は、増幅された電気信号をビュー期間に亘り積分することで、当該ビュー期間に亘るX線の線量に応じたデジタル値を有するCT生データ(例えば、サイノグラム)を収集する。
【0048】
DAS38は、例えば、CT生データを生成可能な回路素子を搭載したASICにより実現される。CT生データは、非接触データ伝送装置等を介してコンソール70に伝送される。
【0049】
CT制御装置35は、コンソール70の処理回路73の撮影制御機能733により、CTスキャンを実行するために、X線高電圧装置34やDAS38などを制御する。
【0050】
CT制御装置35は、CPU(Central Processing Unit:中央処理装置)等を有する処理回路と、モータ及びアクチュエータ等の駆動機構とを有する。処理回路は、ハードウェア資源として、CPUやMPU(Micro-Processing Unit:マイクロプロセッサ)等のプロセッサとROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等のメモリとを有する。また、CT制御装置35は、ASICやFPGA、CPLD、SPLDなどにより実現されてもよい。
【0051】
なお、CTガントリ30は、X線発生部とX線検出部とが一体として被検体Pの周囲を回転するRotate/Rotate-Type(第3世代CT)、リング状にアレイされた多数のX線検出素子が固定され、X線発生部のみが被検体Pの周囲を回転するStationary/Rotate-Type(第4世代CT)等の様々なタイプがあり、何れのタイプでも一実施形態へ適用可能である。
【0052】
図1に示すように、寝台50は、スキャン対象の被検体Pを載置し、載置された被検体を移動させる。寝台50は、PETガントリ10とCTガントリ30とで共有される。
【0053】
寝台50は、基台51、支持フレーム52、天板53及び寝台駆動装置54を備える。基台51は、床面に設置される。基台51は、支持フレーム52を、床面に対して垂直方向(Y軸方向)に移動可能に支持する筐体である。支持フレーム52は、基台51の上部に設けられるフレームである。支持フレーム52は、天板53を中心軸Zに沿ってスライド可能に支持する。天板53は、被検体Pが載置される柔軟性を有する板である。
【0054】
寝台駆動装置54は、寝台50の筐体内に収容される。寝台駆動装置54は、被検体Pが載置された支持フレーム52と天板53とを移動させるための動力を発生するモータ又はアクチュエータである。寝台駆動装置54は、コンソール70等による制御に従い作動する。
【0055】
PETガントリ10とCTガントリ30とは、PETガントリ10の開口の中心軸ZとCTガントリ30の開口の中心軸Zとが略一致するように配置される。天板53の長軸がPETガントリ10及びCTガントリ30の開口の中心軸Zに平行するように寝台50が配置される。
【0056】
CTガントリ30及びPETガントリ10は、例えば、寝台50に近い方からCTガントリ30及びPETガントリ10の順番に設置される。以下では、PETガントリ10でPETスキャンを行った後、CTガントリ30でCTスキャンを行う例を説明するが、CTスキャンとPETスキャンとの実行順序は逆順であってもよい。
【0057】
コンソール70は、PETデータメモリ71、CTデータメモリ72、処理回路73、ディスプレイ74、メモリ75及び入力インタフェース76を有する。例えば、PETデータメモリ71、CTデータメモリ72、処理回路73、ディスプレイ74、メモリ75及び入力インタフェース76間のデータ通信は、バス(bus)を介して行われる。
【0058】
PETデータメモリ71は、PETガントリ10から伝送されたシングルイベントデータ及びPET生データを記憶する記憶装置である。PETデータメモリ71は、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)、集積回路記憶装置等の記憶装置である。
【0059】
CTデータメモリ72は、CTガントリ30から伝送されたCT生データを記憶する記憶装置である。CTデータメモリ72は、HDDやSSD、集積回路記憶装置等の記憶装置である。
【0060】
処理回路73は、ハードウェア資源として、CPU、MPU、GPU(Graphics Processing Unit)等のプロセッサとROMやRAM等のメモリとを有する。処理回路73は、当該メモリから読み出した各種プログラムの実行により、再構成機能731、画像処理機能732、撮影制御機能733、推定機能734、決定機能735、及び表示制御機能736を実現する。すなわち、処理回路73は、メモリからプログラムを読み出して実行することで各プログラムに対応する機能を実現するプロセッサに相当する。
【0061】
換言すると、各プログラムを読み出した状態の処理回路73は、読み出したプログラムに対応する機能を有することとなる。なお、再構成機能731、画像処理機能732、撮影制御機能733、推定機能734、決定機能735、及び表示制御機能736は、一の基板の処理回路73により実装されてもよいし、複数の基板の処理回路73により分散して実装されてもよい。
【0062】
ここで、撮影制御機能733は、収集部の一例である。また、推定機能734は、推定部の一例である。決定機能735は、決定部の一例である。
【0063】
再構成機能731は、PET生データに基づいて、被検体Pに投与された陽電子放出核種の分布を示すPET画像を再構成する。PET画像は、核医学データの一例である。また、再構成機能731は、CT生データに基づいて、被検体Pに関するCT値の空間分布を表現するCT画像を再構成する。
【0064】
画像再構成アルゴリズムとしては、FBP(Filtered Back Projection)法や逐次近似再構成法等の既存の画像再構成アルゴリズムが用いられればよい。また、処理回路73は、PETイベントデータに基づいてPETに関する位置決め画像を生成したり、CT生データに基づいてCTに関する位置決め画像(以下、CT位置決め画像ともいう)を生成したりすることも可能である。
【0065】
また、例えば、再構成機能731は、後述するAEC機能用PETスキャンで収集されたPET生データに基づいて、後述するAEC機能用PET画像を再構成する。AEC機能用PET画像は、核医学再構成データの一例である。
【0066】
画像処理機能732は、再構成機能731により再構成されたPET画像及びCT画像に種々の画像処理を施す。例えば、画像処理機能732は、PET画像及びCT画像にボリュームレンダリングや、サーフェスボリュームレンダリング、画素値投影処理、MPR(Multi-Planer Reconstruction)処理、CPR(Curved MPR)処理等の3次元画像処理を施して表示画像を生成する。
【0067】
撮影制御機能733は、PET撮影を行うために、PETガントリ10と寝台50とを同期的に制御する。また、撮影制御機能733は、CT撮影を行うために、CTガントリ30と寝台50とを同期的に制御する。PET撮影とCT撮影とを連続して行う場合、撮影制御機能733は、PETガントリ10、CTガントリ30及び寝台50を同期的に制御する。
【0068】
なお、撮影制御機能733は、PET撮影やCT撮影を行う際、寝台50をステップアンドシュート方式で移動してもよいし、寝台50をシーケンシャルに移動してもよい。
【0069】
また、撮影制御機能733は、PETガントリ10による位置決めスキャン(以下、PET位置決めスキャンと呼ぶ)やCTガントリ30による位置決めスキャン(以下、CT位置決めスキャンと呼ぶ)を実行可能である。
【0070】
PET位置決めスキャンは、PET撮影の撮影位置を決めるためのPETスキャンである。PET位置決めスキャンは、被検体Pに投与した薬剤の集積状態を確認するための本スキャンと比較して、撮影時間を抑えたスキャンである。
【0071】
CT位置決めスキャンは、CT撮影の撮影位置を決めるためのCTスキャンである。CT位置決めスキャンは、被検体Pの状態を確認するための本スキャンと比較して、X線の被爆量及び撮影時間を抑えたスキャンである。
【0072】
PET位置決めスキャンのために、撮影制御機能733は、PETガントリ10と寝台50とを同期的に制御する。CT位置決めスキャンのために処理回路73は、CTガントリ30と寝台50とを同期的に制御する。
【0073】
また、撮影制御機能733は、PETガントリ10によるAEC機能用PETスキャンを実行可能である。撮影制御機能733は、AEC機能用PETスキャンのために、PETガントリ10と寝台50とを同期的に制御する。
【0074】
ここで、AEC機能は、被検体Pの体厚に応じてCTスキャンにおけるX線管31に印加する管電圧を制御する機能である。例えば、AEC機能により、予め設定されたCT画像の画質を維持できる範囲で、被検体Pの体厚が厚い部分には管電流が高く設定され、被検体Pの体厚が薄い部分には管電流が低く設定される。撮影制御機能733は、設定された管電流でX線を照射できるようX線管31に印加する管電圧を制御してCTスキャンを実行する。
【0075】
ところで、被検体Pの体厚が厚い部分は、CT撮影において、X線の曝射量が少ないと、画像が白くなってCT画像の画質が低下することがある。一方、被検体Pの体厚が薄い部分は、曝射量が多いと、画像が黒くなってCT画像の画質が低下することがある。このため、被検体Pの体厚の薄い場所については、X線の曝射量を少なくしてもCT画像の画質を低下させずに済む場合がある。
【0076】
つまり、AEC機能は、被検体Pの体厚に応じて、X線の曝射量に関連する管電流を調整することで、生成されるCT画像の画質を保った上で、被検体Pの被爆量を低下させる機能であるとも言える。
【0077】
したがって、AEC機能の実行により、生成されるCT画像の画質を維持できる範囲内で、被検体Pの体厚に応じたX線の強度での被検体PのCTスキャンが行われることになる。このため、本実施形態に係るPET-CT装置1は、AEC機能を実行することで、生成されるCT画像の画質を維持した上で、被検体Pの被爆量を低減することができる。
【0078】
AEC機能用PETスキャンは、CTスキャン前に被検体Pの形状を推定するために行われるPETスキャンである。AEC機能用PETスキャンは、被検体Pに投与された薬剤の集積状態を確認するためのPETスキャン(以下、本スキャンともいう)よりも短時間のスキャンである。本実施形態では、撮影制御機能733は、CT位置決めスキャンの前にAEC機能用PETスキャンを実行する。
【0079】
ところで、従来のPET-CT装置では、被検体Pの体厚の情報を得るために、CT位置決めスキャンが行われることがあった。CT位置決めスキャンの前には被検体Pの体厚の情報が不明のため、CT位置決めスキャンでは、AEC機能を実行することができず、固定の管電流でX線の曝射が行われることになる。つまり、被検体Pの体厚が薄く、X線の被爆量を低減できる可能性がある部分についても、体厚が厚い部分と同じ量のX線が曝射されることになってしまう。
【0080】
本実施形態では、CT位置決めスキャンの前にAEC機能用PETスキャンを実行するため、CT位置決めスキャンの実行時もAEC機能の実行が可能である。このため、本実施形態に係るPET-CT装置1は、生成されるCT画像の画質を維持した上で、被検体Pの被爆量を低減することができる。
【0081】
また、従来のPET-CT装置では、事前に被検体Pに薬剤が投与されているにも関わらず、CT撮影では、当該薬剤の情報が活用されていなかった。本実施形態に係るPET-CT装置1では、当該薬剤の被検体Pの体内における分布を表す情報を、被検体Pの形状を推定するために利用している。つまり、本実施形態に係るPET-CT装置1は、事前に被検体Pに投与された薬剤の情報をCT撮影において有効に活用することができる。
【0082】
以下、AEC機能用PETスキャン及びCT位置決めスキャンを行う場合を例に撮影制御機能733の動作を説明する。この場合、まず、撮影制御機能733は、PETガントリ10を被検体PのCT位置決めスキャンを行う位置へ移動させる。次いで、撮影制御機能733は、PETガントリ10と寝台50とを同期的に制御して被検体PのAEC機能用PETスキャンを実行する。
【0083】
次いで、撮影制御機能733は、CTガントリ30を被検体PのCT位置決めスキャンを行う位置へ移動させる。そして、撮影制御機能733は、CTガントリ30と寝台50とを同期的に制御して被検体PのCT位置決めスキャンを実行する。
【0084】
なお、撮影制御機能733が、PETガントリ10及びCTガントリ30を被検体PのCT位置決めスキャンを行う位置へ移動させる方法については、種々の方法を用いることができる。
【0085】
例えば、撮影制御機能733は、寝台50及び寝台50の天板53に載置された被検体Pを撮影可能なカメラが撮影した画像等に基づいて、自動的にPETガントリ10及びCTガントリ30を移動させてもよい。また、例えば、ユーザにPETガントリ10及びCTガントリ30を被検体PのCT位置決めスキャンを行う位置へ移動させるよう報知を行い、ユーザの指示に従ってPETガントリ10及びCTガントリ30を移動させてもよい。
【0086】
推定機能734は、AEC機能用PETスキャンで得られたPET生データに基づいて、被検体Pの形状を推定する。
【0087】
例えば、推定機能734は、再構成機能731により再構成されたAEC機能用PET画像に基づいて、被検体Pの体輪郭を抽出する。また、推定機能734は、被検体Pが載置された寝台50の被検体Pの体軸方向(Z軸方向)における位置毎に、被検体Pの体厚を推定する。
【0088】
以下、被検体Pの体厚を推定する処理について、図2及び図3を用いて説明する。図2及び図3は、PET画像から体輪郭を抽出する処理の一例を説明する図である。図2は、PET生データに基づいて再構成された被検体Pの側面方向のAEC機能用PET画像PI1の一例である。AEC機能用PET画像PI1は、被検体Pに事前に投与された18F-FDG等の薬剤の被検体Pの体内における分布を表している。
【0089】
被検体Pにがん等の疾患がある場合、薬剤は、疾患部位に集積されるが、このような場合でも、全ての薬剤が疾患部位に集積されることはなく、薬剤は被検体Pの全身に分布している状態になると考えられる。推定機能734は、被検体Pの体内の薬剤が存在している部分の外縁を被検体Pの体輪郭として抽出することで、被検体Pの形状を推定する。
【0090】
図2の例では、推定機能734は、被検体Pの体輪郭O1を抽出している。この場合、推定機能734は、抽出した被検体Pの体輪郭O1で表される形状を、被検体Pの側方から見た形状(以下、側方形状ともいう)として推定する。
【0091】
また、推定機能734は、推定した被検体Pの側方形状に基づき、被検体PのY軸方向の体厚を寝台位置毎に推定する。例えば、推定機能734は、被検体Pが載置された天板53でのZ軸方向の位置毎に、被検体PのY軸方向の体厚を推定する。
【0092】
ここで、被検体Pは、寝台50の天板53に載置されることから、被検体PのZ軸方向の位置を表す座標(以下、Z座標ともいう)は、Z軸方向における、天板53の基準位置と、ボア20の基準位置とに基づいて、ボア20内の座標系における被検体PのZ方向の位置を、天板53の座標系のZ方向の位置に変換した位置を表す。つまり、被検体PのZ座標は、被検体Pが載置された寝台50の天板53のZ軸方向の位置を表していることになる。
【0093】
なお、天板53の基準位置は、例えば、天板53の先端位置等である。また、ボア20の基準位置は、例えば、PETガントリ10のボア20の中心位置等である。
【0094】
したがって、推定機能734は、被検体PのZ座標毎に、推定した被検体Pの側方形状から、Y軸方向の被検体Pの厚みを算出することで、寝台位置毎にY軸方向の被検体Pの体厚を推定できる。
【0095】
図2では、推定機能734が、寝台位置Z1における被検体PのY軸方向の体厚をTY1、寝台位置Z2における被検体PのY軸方向の体厚をTY2と推定した例を示している。
【0096】
図3は、PET生データに基づいて再構成された被検体Pの正面方向のAEC機能用PET画像PI2の一例である。図2の例と同様に、推定機能734は、抽出した被検体Pの体輪郭O2で表される形状を、被検体Pの正面(又は背面)から見た形状(以下、正面形状ともいう)として推定する。また、推定機能734は、推定した被検体Pの正面形状から、X軸方向の被検体PのX軸方向の体厚を寝台位置毎に推定する。
【0097】
一例として、図3では、推定機能734は、Z3で表される寝台位置におけるX軸方向における被検体Pの体厚をTX1、Z4で表される寝台位置におけるX軸方向における被検体Pの体厚をTX2と推定する。
【0098】
ここで、被検体Pの体輪郭の抽出方法としては、深層畳み込みネットワーク(以下、DCNともいう)等の学習済モデルを用いる手法が挙げられる。この場合の学習済モデルは、AEC機能用PET画像を入力すると、被検体Pの体輪郭の推定結果を出力するように機能付けられた学習済モデルである。例えば、この場合の学習済モデルは、AEC機能用PET画像を入力側教師データ、当該画像に表された被検体Pの体輪郭を出力側教師データとした学習用データセットを用いて、両者の関係を機械学習したものである。
【0099】
なお、被検体Pの体輪郭の抽出に用いる手法は、DCNを用いた手法に限定されない。例えば、推定機能734は、DCN以外の公知の各種機械学習アルゴリズムで学習された学習済モデルを用いて、被検体Pの体輪郭を抽出することが可能である。
【0100】
なお、図2及び図3では、推定機能734は、側面方向及び正面方向の被検体PのAEC機能用PET画像に基づき、X軸方向及びY軸方向における被検体Pの体厚の推定を行う例を示したが、体厚推定に用いるAEC機能用PET画像はこれに限らないものとする。
【0101】
例えば、推定機能734は、側面方向及び正面方向以外の複数の角度から被検体Pをスキャンして得られたAEC機能用PET画像に基づき被検体Pの体厚の推定を行ってもよい。また、例えば、推定機能734は、3次元的なデータとして再構成されたAEC機能用PET画像に基づき被検体Pの体厚の推定を行ってもよい。
【0102】
図1に戻り、説明を続ける。決定機能735は、推定機能734により推定された被検体Pの形状に基づいて、CTスキャンにおける管電流を決定する。換言すると、決定機能735は、撮影制御機能733がAEC機能による管電流を制御したCTスキャンを実行するための管電流を、推定された被検体Pの形状に基づいて決定する。例えば、決定機能735は、推定機能734により推定された寝台位置毎の被検体Pの体厚に基づいて、寝台位置毎のCT位置決めスキャンにおける管電流を決定する。
【0103】
一例として、決定機能735は、予め設定された画質の位置決めCT画像の生成を実現できる範囲で、被検体Pの体厚が厚い寝台位置については管電流を高く、体厚が薄い寝台位置については管電流を低く設定する。
【0104】
以下、管電流を決定する処理について、図4及び図5を用いて説明する。図4及び図5は、抽出した体輪郭から管電流を決定する処理の一例を示す図である。図4は、寝台位置と、Y軸方向にX線を照射する場合おける管電流の大きさとの関係の一例を表すグラフG1である。
【0105】
図4のグラフG1の縦軸は、寝台位置、つまり、寝台50の天板53のZ座標を表している。図4の縦軸の位置は、図2のZ座標に対応している。また、図4のグラフの横軸は、管電流の大きさを表している。グラフG1は、寝台位置毎に決定機能735が決定したY軸方向にX線を照射する場合における管電流をプロットしたものである。
【0106】
一例として、図2に示すように、寝台位置Z1は、周囲と比較して被検体PのY軸方向の体厚が薄くなっている。このため、図4に示すように、決定機能735は、寝台位置Z1のY軸方向における管電流を周囲よりも低いmA1に設定している。また、同様に、寝台位置Z2は、寝台位置Z1よりも被検体PのY軸方向における体厚が厚くなっている。このため、決定機能735は、寝台位置Z2のY軸方向における管電流をmA1よりも高いmA2に設定している。
【0107】
また、図5は、寝台位置と、X軸方向にX線を照射する場合おける管電流の大きさとの関係の一例を表すグラフG2である。
【0108】
図5のグラフG2の縦軸及び横軸は、図4のグラフG1と同様に、寝台位置を、横軸は、管電流の大きさを表している。グラフG2は、寝台位置毎に決定機能735が決定したX軸方向にX線を照射する場合における管電流をプロットしたものである。
【0109】
一例として、図3に示すように、寝台位置Z3は、周囲と比較して被検体PのX軸方向における体厚が薄くなっている。このため、図5に示すように、決定機能735は、寝台位置Z3のX軸方向における管電流を周囲よりも低いmA3に設定している。また、同様に、寝台位置Z4は、寝台位置Z3よりも被検体PのX軸方向における体厚が厚くなっている。このため、決定機能735は、寝台位置Z4のX軸方向における管電流をmA3よりも高いmA4に設定している。
【0110】
なお、図3及び図4の例では、決定機能735は、X軸方向においてX線を照射する場合の管電流と、Y軸方向においてX線を照射する場合の管電流とを決定する例を示したが、管電流の決定処理はこれに限らないものとする。
【0111】
例えば、決定機能735は、側面方向及び正面方向以外の複数の角度から被検体Pをスキャンして得られたAEC機能用PET画像に基づき推定された被検体Pの体厚からX軸方向及びY軸方向以外の方向にX線を照射する場合の管電流を決定してもよい。
【0112】
また、例えば、決定機能735は、3次元的なデータとして再構成されたAEC機能用PET画像に基づき推定された被検体Pの体厚から複数方向にX線を照射する場合の各方向の管電流を決定してもよい。
【0113】
以下、決定機能735で決定された管電流に従ってCT位置決めスキャンを行う場合の撮影制御機能733の動作について説明する。撮影制御機能733は、被検体PのCT位置決めスキャンの開始位置にCTガントリ30を移動させる。撮影制御機能733は、当該開始位置における天板53のZ軸方向の位置に対応する管電流で被検体PにX線を照射する。
【0114】
具体的には、撮影制御機能733は、X軸方向にX線を照射する場合は、天板53のZ軸方向の位置に対応する、X軸方向にX線を照射する場合の管電流になるよう、X線管31に印加する管電圧を制御して被検体PにX線を照射する。同様に、撮影制御機能733は、Y軸方向にX線を照射する場合は、天板53のZ軸方向の位置に対応する、Y軸方向にX線を照射する場合の管電流になるよう、X線管31に印加する管電圧を制御して被検体PにX線を照射する。
【0115】
なお、X軸方向及びY軸方向以外にX線を照射する場合、撮影制御機能733は、X軸方向又はY軸方向のうち、X線を照射する方向に近い方向の管電流を用いて被検体PにX線を照射してもよい。また、X軸方向及びY軸方向以外についても管電流を決定している場合は、夫々の方向について夫々の方向に対応する管電流を用いて被検体PにX線を照射してもよい。
【0116】
また、撮影制御機能733は、CTガントリ30を徐々に天板53のZ軸方向へ移動させながら、天板53のZ軸方向の位置に対応する管電流で上記のように、X軸方向及びY軸方向にX線を照射する。
【0117】
このように、撮影制御機能733は、生成されるCT画像の画質を維持できる範囲内で、X線を照射する方向における被検体Pの体厚に応じて、体厚が薄い部分は管電流が低くなるように、体厚が厚い部分は管電流が高くなるように管電流を調整してX線を照射する。これにより、撮影制御機能733は、生成されるCT画像の画質を維持した上で、被検体Pの被爆量を低下させることができる。
【0118】
図1に戻り、説明を続ける。表示制御機能736は、各種情報を表示装置に表示させる制御を行う。例えば、表示制御機能736は、再構成機能731により再構成され、画像処理機能732によって画像処理が施されたPET画像やCT画像を後述のディスプレイ74に表示させる。
【0119】
また、例えば、表示制御機能736は、推定機能734による被検体Pの体輪郭の抽出結果をディスプレイ74に表示させてもよい。この場合、処理回路73は、後述の入力インタフェース76を介してユーザから被検体Pの体輪郭の補正指示を受付けてもよい。これにより、自動的に抽出された被検体Pの体輪郭に誤りがあったような場合でも、被検体Pの体厚に応じた管電流の調整を行うことができる。
【0120】
ディスプレイ74は、処理回路73における表示制御機能736の制御のもとで、種々の情報を表示する。
【0121】
ディスプレイ74としては、例えば、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイや液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)、有機ELディスプレイ(OELD:Organic Electro Luminescence Display)、LED(Light Emitting Diode)ディスプレイ、プラズマディスプレイ、又は当技術分野で知られている他の任意のディスプレイが適宜利用可能である。
【0122】
また、ディスプレイ74は、デスクトップ型でもよいし、コンソール70と無線通信可能なタブレット端末等で構成されてもよい。
【0123】
メモリ75は、種々の情報を記憶するHDDやSSD、集積回路記憶装置等の記憶装置である。また、メモリ75は、CD(Compact Disc)-ROMドライブやDVD(Digital Versatile Disc)ドライブ、フラッシュメモリ等の可搬性記憶媒体との間で種々の情報を読み書きする駆動装置等であってもよい。
【0124】
メモリ75は、例えば、再構成機能731、画像処理機能732、撮影制御機能733、推定機能734、決定機能735、表示制御機能736等の実行に関する各種プログラム及び各種データなどを記憶する。また、メモリ75は、例えば、再構成機能731が再構成したCT画像やPET画像等を記憶する。
【0125】
入力インタフェース76は、ユーザからの各種の入力操作(例えば、CTスキャン及びPETスキャンの実行指示、撮影範囲の選択など)を受け付け、受け付けた入力操作を電気信号に変換して処理回路73に出力する。
【0126】
例えば、入力インタフェース76としては、例えば、マウス、キーボード、トラックボール、スイッチ、ボタン、ジョイスティック、タッチパッド及びタッチパネルディスプレイ等が適宜、使用可能となっている。なお、本実施形態において、入力インタフェース76は、マウス、キーボード、トラックボール、スイッチ、ボタン、ジョイスティック、タッチパッド及びタッチパネルディスプレイ等の物理的な操作部品を備えるものに限られない。
【0127】
例えば、装置とは別体に設けられた外部の入力機器から入力操作に対応する電気信号を受け取り、この電気信号を処理回路73へ出力する電気信号の処理回路も入力インタフェース76の例に含まれる。また、入力インタフェース76は、コンソール70と無線通信可能なタブレット端末等で構成されることにしても構わない。
【0128】
以下、図6を参照して、PET-CT装置1が実行する処理の一例について説明する。図6は、PET-CT装置1が実行する処理の一例を示すフローチャートである。
【0129】
まず、撮影制御機能733は、CTスキャン用のPET生データの収集を行う(ステップS101)。例えば、撮影制御機能733は、PETガントリ10を被検体PのCT位置決めスキャンを行う位置へ移動させる。次いで、撮影制御機能733は、PETガントリ10と寝台50とを同期的に制御し、被検体Pに対してAEC機能用PETスキャンを実行する。
【0130】
また、再構成機能731は、収集されたPET生データに基づいて、PET画像の再構成処理を実行する(ステップS102)。例えば、再構成機能731は、ステップS101で収集されたPET生データに基づいて、被検体Pの側面方向及び正面方向のAEC機能用PET画像を再構成する。
【0131】
次いで、推定機能734は、再構成されたPET画像に基づいて、寝台位置毎の被検体Pの体厚を推定する(ステップS103)。例えば、推定機能734は、ステップS102で再構成された側面方向及び正面方向のAEC機能用PET画像に基づいて、被検体Pの側面方向の体輪郭及び正面方向の体輪郭を抽出する。また、推定機能734は、抽出した被検体Pの側面方向の体輪郭及び正面方向の体輪郭に基づいて、寝台位置毎にX軸方向における被検体Pの体厚及びY軸方向における被検体Pの体厚を推定する。
【0132】
次いで、決定機能735は、推定された被検体Pの体厚に基づいて、管電流を決定する(ステップS104)。例えば、決定機能735は、ステップS103で推定された、寝台位置毎のX軸方向における被検体Pの体厚及びY軸方向における被検体Pの体厚に基づいて、X軸方向にX線を照射する場合の管電流及びY軸方向にX線を照射する場合の管電流を決定する。
【0133】
一例として、決定機能735は、予め指定された画質の位置決めCT画像が生成できる範囲内で、被検体Pの体厚が厚い部分は、管電流を高く、被検体Pの体厚が薄い部分は管電流が低くなるように、管電流を決定する。
【0134】
次いで、撮影制御機能733は、決定された管電流で被検体PのCTスキャンを実行する(ステップS105)。例えば、撮影制御機能733は、CT位置決めスキャンを行う位置にCTガントリ30を移動させる。次いで、撮影制御機能733は、ステップS104で決定された管電流を用いて、被検体Pの位置決めスキャンを実行する。
【0135】
以上に述べた本実施形態に係るPET-CT装置1は、収集したPET生データに基づいて、被検体Pの形状を推定し、当該形状に基づいて、CTスキャンにおける管電流を決定する。
【0136】
これにより、本実施形態に係るPET-CT装置1は、収集したPET生データに基づいて推定した被検体Pの体厚に応じた強度でX線の照射を行うことができる。例えば、被検体Pの体厚が薄い部分は、低い管電流でX線の照射が行われることになるため、被検体Pの被爆量を低減させることができる。また、所定の画質を維持できる範囲でX線の強度を調整することで、生成されるCT画像の画質を保った上で、被検体Pの被爆量を低減させることが可能である。
【0137】
また、収集したPET生データに基づいて、被検体Pの体厚を推定することで、例えば、被検体Pの体厚を把握するためのスキャノ撮影を行わなくても、生成されるCT画像の画質を保った上で、被検体Pの被爆量を低減させることができる。したがって、例えば、CT位置決めスキャンを行う場合にも、位置決めCT画像の画質を保った上で、被検体Pの被爆量を低減させることが可能である。
【0138】
また、本実施形態に係るPET-CT装置1は、収集したPET生データに基づいて推定した被検体Pの体厚に応じた強度でX線の照射を行う。このため、本実施形態に係るPET-CT装置1は、CTスキャンにおける管電流の決定処理に、被検体Pに事前投与された薬剤の情報を活用することができる。
【0139】
なお、上述した実施形態は、PET-CT装置1が有する構成又は機能の一部を変更することで、適宜に変形して実施することも可能である。そこで、以下では、上述した実施形態に係るいくつかの変形例を他の実施形態として説明する。なお、以下では、上述した実施形態と異なる点を主に説明することとし、既に説明した内容と共通する点については詳細な説明を省略する。また、以下で説明する変形例は、個別に実施されてもよいし、適宜組み合わせて実施されてもよい。
【0140】
(変形例1)
上述の実施形態では、推定機能734が収集されたPET生データに基づいて、再構成したPET画像から被検体Pの形状を推定する形態について説明した。しかしながら、推定機能734は、TOF(Time Of Flight)情報に基づいてプロットしたプロットデータから被検体Pの形状を推定してもよい。
【0141】
ここで、TOF情報とは、消滅ガンマ線の飛行時間差を検出した情報である。TOF情報から同時計数されたガンマ線検出器17間のライン上のPET-CT装置1の時間分解能で規定される範囲内で陽電子の消滅が発生した位置を特定することができる。
【0142】
したがって、PET-CT装置1の時間分解能を上げることで、消滅ガンマ線の飛行時間差の検出結果をプロットしたプロットデータから被検体Pの体輪郭を抽出することができる。なお、この場合のプロットデータは、核医学プロットデータの一例である。
【0143】
本変形例によれば、AEC機能用PET画像の再構成処理が不要になるため、処理回路73の処理負担を軽減することができる。
【0144】
(変形例2)
上述の実施形態では、PET画像から推定した被検体Pの体厚に基づいて決定された管電流を用いて行ったCTスキャンにより生成されるCT画像を、CT撮影時の位置決めに用いる形態について説明した。しかしながら、当該CT画像をPET撮影における減弱補正用の画像として用いてもよい。
【0145】
本変形例によれば、例えば、1回のCT位置決めスキャンを行えば、CT撮影における位置決めと、PET撮影における減弱補正との両方を実行することができるため、画像検査に係る被検体Pの負担を軽減することができる。
【0146】
(変形例3)
上述の実施形態では、CTスキャン前に実行したPETスキャンで収集したPET生データをCT位置決めスキャンにおける管電流の決定処理に用いる形態について説明した。しかしながら、当該PET生データを、位置決めCT画像と組み合わせて、CTの本スキャンにおける管電流の決定処理に用いてもよい。
【0147】
例えば、位置決めCT画像が1又は2方向のCT画像のみの場合、位置決めCT画像は、CT位置決めスキャンを行った方向についてのみ被検体Pの体輪郭を抽出するための情報を有している。つまり、この場合、位置決めCT画像は、CT位置決めスキャンを行っていない方向については、当該方向における被検体Pの体輪郭を抽出するための情報を有していない。
【0148】
そこで、推定機能734は、CT位置決めスキャンを行っていない方向について、当該方向における被検体Pの体輪郭を抽出するための情報をPET生データで補間する。この場合、推定機能734は、位置決めCT画像とPET生データとを組み合わせた情報に基づいて、被検体Pの体輪郭を推定する。
【0149】
そして、推定機能734は、推定した被検体Pの体輪郭から多方向における被検体Pの体厚を推定する。また、決定機能735は、このように推定された被検体Pの体厚からCTの本スキャンにおける寝台位置毎の管電流を決定する。
【0150】
これにより、位置決めCT画像から算出した被検体Pの体厚のみを用いて、CTの本スキャンの管電流を決定する処理を行った場合よりも、高精度に被検体Pの体厚を推定できる。このため、本変形例によれば、CTの本スキャンにおいて、CT画像の画質を維持した上で、より被検体Pの被爆量を低減することが可能である。
【0151】
なお、推定機能734は、補間時に位置決めCT画像と同一方向のPET生データを用いて、位置決めCT画像から算出した被検体Pの体厚とPET生データから推定した被検体Pの体厚とを比較検証してもよい。
【0152】
例えば、位置決めCT画像から算出した被検体Pの体厚とPET生データから推定した被検体Pの体厚との乖離する場合(例えば、両者の差が閾値を超える場合等)、推定機能734は、予め定めた優先順位に従って、何れか一方の被検体Pの体厚を被検体Pの体厚として推定してもよい。また、推定機能734は、両者の平均値を算出して、当該平均値を被検体Pの体厚として推定してもよい。
【0153】
(変形例4)
上述の実施形態のPET-CT装置1は、カメラや3次元計測デバイスを更に備えていていてもよい。ここで、3次元計測デバイスは、例えば、ステージ上の対象物に接触子を当て、縦、横、高さから三次元の座標を取得し、対象物の寸法・位置関係・輪郭形状・幾何公差などを測定可能な測定機等である。なお、本変形例に係るPET-CT装置1は、カメラのみを備えていてもよいし、3次元計測デバイスのみを備えていてもよい。
【0154】
本変形例では、推定機能734は、カメラや3次元計測デバイスから取得できる情報とPET生データとを組み合わせて、被検体Pの体厚を推定する。例えば、推定機能734は、薬剤の集積が多い部位では、PET生データを用いて被検体Pの体厚を推定し、薬剤の集積が少ない部位では、カメラや3次元計測デバイスから得た外見的情報を用いて被検体Pの体厚を算出する。
【0155】
本変形例によれば、位置決めCT画像を用いなくても、CTの本スキャンにおいて、CT画像の画質を維持した上で、被検体Pの被爆量を低減することが可能である。
【0156】
(変形例5)
上述の実施形態では、核医学診断装置が、PET-CT装置である形態について説明したが、核医学診断装置は、PET-CT装置に限定されない。核医学診断装置は、例えば、SPECT(Single Photon Emission Computed Tomography)-CT装置等であってもよい。
【0157】
本変形例によれば、SPECT-CT装置等においても、位置決め画像の有無に関わらず、CT撮影時における被検体の被爆線量とCT画像の画質とを最適化させることができる。
【0158】
なお、上述した実施形態では、PET-CT装置1が備える機能構成を、処理回路73によって実現する場合の例を説明したが、実施形態はこれに限られない。例えば、本明細書における機能構成は、ハードウェアのみ、又は、ハードウェアとソフトウェアとの混合によって同機能を実現するものであっても構わない。
【0159】
また、上述した説明で用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU、MPU、GPU、或いは、ASIC、プログラマブル論理デバイス(例えば、SPLD、CPLD、及びFPGA)等の回路を意味する。プロセッサは、メモリ75に保存されたプログラムを読み出して実行することで、機能を実現する。
【0160】
なお、メモリ75にプログラムを保存する代わりに、プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むように構成しても構わない。この場合は、プロセッサは回路内に組み込まれたプログラムを読み出して実行することで機能を実現する。また、本実施形態のプロセッサは、単一の回路として構成される場合に限らず、複数の独立した回路を組み合わせて一つのプロセッサとして構成され、その機能を実現するようにしてもよい。
【0161】
ここで、プロセッサによって実行されるプログラムは、ROMや記憶回路等に予め組み込まれて提供される。なお、このプログラムは、これらの装置にインストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD(Compact Disk)-ROM、FD(Flexible Disk)、CD-R(Recordable)、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記憶媒体に記録されて提供されてもよい。
【0162】
また、このプログラムは、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納され、ネットワーク経由でダウンロードされることにより提供又は配布されてもよい。例えば、このプログラムは、上述した各機能部を含むモジュールで構成される。実際のハードウェアとしては、CPUが、ROM等の記憶媒体からプログラムを読み出して実行することにより、各モジュールが主記憶装置上にロードされて、主記憶装置上に生成される。
【0163】
以上説明した少なくとも一つの実施形態等によれば、CT撮影時における被検体の被爆線量低減とCT画像の画質の維持とを可能とする核医学診断装置、核医学診断装置の制御方法及びプログラムを提供することができる。
【0164】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、組み合わせを行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0165】
1 PET-CT装置
10 PETガントリ
30 CTガントリ
50 寝台
70 コンソール
73 処理回路
731 再構成機能
732 画像処理機能
733 撮影制御機能
734 推定機能
735 決定機能
736 表示制御機能
図1
図2
図3
図4
図5
図6