(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024124761
(43)【公開日】2024-09-13
(54)【発明の名称】スクリーン枠取付装置
(51)【国際特許分類】
B41F 15/36 20060101AFI20240906BHJP
B41N 1/24 20060101ALI20240906BHJP
【FI】
B41F15/36 B
B41N1/24
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023032658
(22)【出願日】2023-03-03
(71)【出願人】
【識別番号】000250502
【氏名又は名称】理想科学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100170575
【弁理士】
【氏名又は名称】森 太士
(72)【発明者】
【氏名】川井 宗明
【テーマコード(参考)】
2C035
2H114
【Fターム(参考)】
2C035AA06
2H114AB03
2H114AB05
2H114EA08
2H114GA11
(57)【要約】
【課題】簡易な方法で被印刷物にスクリーン枠を固定することが可能なスクリーン枠取付装置を提供する。
【解決手段】平板矩形状をなす印圧面を有し、印圧面の一のコーナ部に受け部材11が設けられ、一のコーナ部に対して対角方向のコーナ部に押圧機構12が設けられたベース板1と、スクリーン枠32を収納する収納溝21を有し、印圧面に被印刷物31が載置されたベース板1に対して、上方向から挟んで被印刷物31を固定するフレームセット板2を備える。押圧機構12は、フレームセット板2を対角方向に押圧するスプリング124と、スプリング124による押圧、解除を操作可能な操作子123aと、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スクリーン印刷に用いるスクリーン枠を取り付ける取付装置であって、
平板矩形状をなす印圧面を有し、前記印圧面の一のコーナ部に受け部材が設けられ、前記一のコーナ部に対して対角方向のコーナ部に押圧機構が設けられたベース板と、
前記スクリーン枠を収納する収納溝を有し、前記印圧面に被印刷物が載置されたベース板に対して、上方向から挟んで前記被印刷物を固定するフレームセット板と、を備え、
前記押圧機構は、前記フレームセット板を前記対角方向に押圧する弾性部材と、前記弾性部材による押圧、解除を操作可能な操作子と、
を備えたスクリーン枠取付装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被印刷物にスクリーン枠を固定する際に用いるスクリーン枠取付装置に関する。
【背景技術】
【0002】
Tシャツなどの被印刷物に画像を印刷するために、スクリーン印刷が用いられている。スクリーン印刷では、被印刷物にフレームセット板を固定し、更にこのフレームセット板にスクリーン枠を収納する(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来におけるスクリーン印刷では、フレームセット枠がずれないように一方の手で押さえ、他方の手でスキージングする必要があり作業性が悪い。また、多版刷りの場合には正確に位置決めができないことにより、版ずれが生じるという問題がある。
【0005】
本発明は、このような従来の課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、簡易な方法で被印刷物にスクリーン枠を固定することが可能なスクリーン枠取付装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本願発明は、スクリーン印刷に用いるスクリーン枠を取り付ける取付装置であって、平板矩形状をなす印圧面を有し、前記印圧面の一のコーナ部に受け部材が設けられ、前記一のコーナ部に対して対角方向のコーナ部に押圧機構が設けられたベース板と、前記スクリーン枠を収納する収納溝を有し、前記印圧面に被印刷物が載置されたベース板に対して、上方向から挟んで前記被印刷物を固定するフレームセット板と、を備え、前記押圧機構は、前記フレームセット板を前記対角方向に押圧する弾性部材と、前記弾性部材による押圧、解除を操作可能な操作子と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、簡易な方法で被印刷物にスクリーン枠を固定することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態に係るスクリーン枠取付装置の構成を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係るスクリーン枠取付装置の構成を示す分解斜視図である。
【
図3A】
図3Aは、受け部材の詳細な構成を示す斜視図である。
【
図4】
図4は、押圧機構の詳細な構成を示す断面斜視図であり、スプリングが縮んでいる状態を示す。
【
図5】
図5は、押圧機構の詳細な構成を示す断面斜視図であり、スプリングが伸びている状態を示す。
【
図6】
図6は、被印刷物に本実施形態に係るスクリーン枠取付装置を装着した様子を示す斜視図である。
【
図7】
図7は、被印刷物に本実施形態に係るスクリーン枠取付装置、及びスクリーン枠を装着した様子を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
次に、図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。但し、図面は模式的なものであり、部材ないし部分の縦横の寸法や縮尺は実際のものとは異なることに留意すべきである。従って、具体的な寸法や縮尺は以下の説明を参酌して判断すべきものである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることはもちろんである。
【0010】
また、以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定するものではない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
【0011】
図1は、実施形態に係るスクリーン枠取付装置100の構成を示す斜視図、
図2は同分解斜視図である。
【0012】
図1、
図2に示すようにスクリーン枠取付装置100は、ベース板1と、フレームセット板2を備えている。
【0013】
ベース板1は平板形状を有しており、中央の矩形状部分がスクリーン印刷を実施するときの印圧面とされている。矩形状部分の、一のコーナ部には受け部材11が設けられ、一のコーナ部に対して対角方向のコーナ部には押圧機構12が設けられている。即ち、ベース板1は、平板矩形状をなす印圧面を有し、印圧面の一のコーナ部に受け部材11が設けられ、一のコーナ部に対して対角方向のコーナ部に押圧機構12が設けられている。
【0014】
図3Aは、受け部材11の詳細な構成を示す斜視図、
図3Bは、受け部材11の側面図である。
図3Aに示すように、受け部材11は、平面視「L字」形状を有しており、上板111及び下板112が若干の隙間j1を開けて対向配置されている。上板111と下板112は、側壁113により連結されている。隙間j1は、例えば被印刷物であるTシャツの布地が挿入可能な程度の間隔を有している。
【0015】
図3Bに示すように、上板111の、下板112と対向する側の面は、辺部がテーパ面t1とされている。テーパ面t1とすることにより、後述するように上板111と下板112の隙間j1にTシャツなどの被印刷物31(後述する
図6参照)を挿入し易くすることができる。
【0016】
図4は、押圧機構12の詳細な構成を示す断面図である。
図4に示すように、押圧機構12は、ハウジングベース121と、ハウジング122と、押し部材123と、スプリング124(弾性部材)、を備えている。
【0017】
ハウジングベース121は、ベース板1に対して平行に、且つ、若干の隙間j2を開けて配置されている。隙間j2は、上述した上板111と下板112との間の隙間j1とほぼ同一とされている。
【0018】
ハウジング122は、ハウジングベース121の上面に配置されており、スプリング124を収容する収容部122bを備えている。収容部122bの内部側面には、スプリング124が配置され、更に該スプリング124を支持するための突起部122cが形成されている。突起部122cが形成された側面に対向する面は開放されている。ハウジング122の上面には、矩形状の開口部122aが穿設されている。
【0019】
押し部材123は、スプリング124の伸縮方向に沿ってスライド移動可能とされており、該押し部材123のおよそ半分がハウジング122に形成された収容部122b内に収容されている。押し部材123の収容部122b側の端部は、スプリング124に接している。押し部材123の上面には、操作子123aが形成されている。操作子123aは、ハウジング122に形成された開口部122aから上方に向けて突起している。
【0020】
図5は、スプリング124が縮んだ状態を示す断面斜視図であり、ユーザが操作子123aを操作して矢印Y1の方向に押し込むことにより、スプリング124が付勢して押し部材123が収容部122b内に移動する。ユーザが手で操作子123aを
図5に示す矢印Y1の方向に押すことにより、押し部材123を矢印Y1の方向に移動させ、手を離すことにより押し部材123を矢印Y1の反対方向に戻すことができる。即ち、押圧機構12は、フレームセット板2を対角方向に押圧する弾性部材(スプリング124)と、弾性部材による押圧、解除を操作可能な操作子123aを備えている。
【0021】
図1、
図2に戻って、フレームセット板2は、一つのコーナ部に切欠h1が形成された矩形状をなしている。フレームセット板2には数mm程度の高さを有する矩形状の収納溝21が形成され、更に、収納溝21の内側には開口部22が形成されている。収納溝21の適所には位置決めピンp1、p2が形成されている。収納溝21は、スクリーン印刷に用いるスクリーン枠を収納するための溝である。
【0022】
図2に示すように、フレームセット板2の対角方向となる2つのコーナ部を、それぞれベース板1の受け部材11及び押圧機構12に合わせるように載置すると、
図4に示したように押し部材123の先端が切欠h1に接する。従って、フレームセット板2はベース板1の上面の所定の位置にて固定される。
【0023】
即ち、
図5に示したようにユーザが操作子123aを矢印Y1の方向に移動させ、押し部材123を矢印Y1側へ移動させた状態で、ベース板1上にフレームセット板2を載置し、ユーザが操作子123aから手を離すと、スプリング124の付勢力により押し部材123の先端がフレームセット板2の切欠h1を押圧し、該フレームセット板2をベース板1の所定位置に固定することができる。
【0024】
即ち、フレームセット板2は、スクリーン枠を収納する収納溝21を有し、印圧面に被印刷物が載置されたベース板1に対して、上方向から挟んで被印刷物を固定する機能を備えている。
【0025】
次に、上記のように構成された本実施形態に係るスクリーン枠取付装置100の動作について、
図6、
図7を参照して説明する。
図6、
図7は、スクリーン枠取付装置100に被印刷物31を装着した様子を示す斜視図であり、
図6はスクリーン枠32を取り付ける前、
図7はスクリーン枠32を取り付けた後の状態を示している。
図5、
図6では、被印刷物31がTシャツである場合の例を示している。
【0026】
初めに
図6に示すように、被印刷物31にベース板1を装着し、その上からフレームセット板を取り付ける。具体的には、
図2に示したように、ベース板1の受け部材11に形成されている上板111と下板112との隙間j1(
図3A、
図3B参照)、及び、押圧機構12に形成されているハウジングベース121とベース板1との隙間j2(
図4、
図5参照)に被印刷物31を装着する。
【0027】
図5に示したように、ユーザが操作子123aを矢印Y1の方向に移動させて、ベース板1上にフレームセット板2を載置する。その結果、
図6に示すように被印刷物31を挟んだ状態で、ベース板1上にフレームセット板2が固定される。
【0028】
その後、
図6に示すように、スクリーン印刷に用いるスクリーン枠32をフレームセット板2の収納溝21内に挿入し、位置決めピンp1、p2を、ピン孔q1、q2に挿入してスクリーン枠32をフレームセット板2の所定位置に固定する。
【0029】
その後、
図7に示すように、矢印Y2の方向からインクを注入し、更にスキージングすることによりスクリーン印刷を行うことができる。
【0030】
このように、本実施形態に係るスクリーン枠取付装置100では、被印刷物31を固定することができ、スクリーン枠32を被印刷物31の所定位置に固定することができる。このため、簡易な方法で被印刷物31にスクリーン枠32を固定することが可能になる。
【0031】
また、本発明は、上述の実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階でその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化することができる。また、上述の実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成することができる。例えば、実施の形態に示される全構成要素を適宜組み合わせても良い。このような、発明の趣旨を逸脱しない範囲内において種々の変形や応用が可能であることはもちろんである。以下に、本願の出願当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
【0032】
[付記1]
スクリーン印刷に用いるスクリーン枠を取り付ける取付装置であって、
平板矩形状をなす印圧面を有し、前記印圧面の一のコーナ部に受け部材が設けられ、前記一のコーナ部に対して対角方向のコーナ部に押圧機構が設けられたベース板と、
前記スクリーン枠を収納する収納溝を有し、前記印圧面に被印刷物が載置されたベース板に対して、上方向から挟んで前記被印刷物を固定するフレームセット板と、を備え、
前記押圧機構は、前記フレームセット板を前記対角方向に押圧する弾性部材と、前記弾性部材による押圧、解除を操作可能な操作子と、
を備えたスクリーン枠取付装置。
【符号の説明】
【0033】
1 ベース板
2 フレームセット板
11 受け部材
12 押圧機構
21 収納溝
22 開口部
31 被印刷物
32 スクリーン枠
100 スクリーン枠取付装置
111 上板
112 下板
113 側壁
121 ハウジングベース
122 ハウジング
122a 開口部
122b 収容部
122c 突起部
123 押し部材
123a 操作子
124 スプリング
h1 切欠
j1、j2 隙間
p1、p2 位置決めピン
q1、q2 ピン孔
t1 テーパ面