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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024124769
(43)【公開日】2024-09-13
(54)【発明の名称】オシレータ
(51)【国際特許分類】
   H03K 3/02 20060101AFI20240906BHJP
   H01L 21/822 20060101ALI20240906BHJP
   H03K 3/354 20060101ALI20240906BHJP
【FI】
H03K3/02 P
H01L27/04 F
H03K3/354 B
H03K3/354 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023032669
(22)【出願日】2023-03-03
(71)【出願人】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】三島 光紀
【テーマコード(参考)】
5F038
5J300
【Fターム(参考)】
5F038AZ04
5F038AZ05
5F038BG02
5F038BH10
5F038CA02
5J300AA01
5J300AA14
5J300AA25
5J300BB01
5J300BB06
5J300DD02
5J300DD05
5J300DD07
5J300DD15
(57)【要約】
【課題】発振動作により得られる矩形波信号の特性を安定化させる。
【解決手段】基準抵抗(2205)を有し、基準抵抗の値に応じた基準電流(Iref)を生成する基準電流生成回路(2200)と、ループ状に接続された複数段の信号遅延回路を有し、複数段の信号遅延回路に発振動作を行わせることで出力矩形波信号(Sout)を生成するよう構成された発振回路(2300)と、を備えたオシレータ(2000)であって、発振回路は、基準電流に応じた充電用定電流(Icc)を用いて充電されるよう構成されたコンデンサ(2311)を有し、コンデンサが充電されるときにおけるコンデンサの両端子間電圧の変化速度に応じた周波数を持つ出力矩形波信号を生成する。
【選択図】図13
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基準抵抗を有し、前記基準抵抗の値に応じた基準電流を生成するよう構成された基準電流生成回路と、
ループ状に接続された複数段の信号遅延回路を有し、前記複数段の信号遅延回路に発振動作を行わせることで出力矩形波信号を生成するよう構成された発振回路と、を備え、
前記発振回路は、前記基準電流に応じた充電用定電流を用いて充電されるよう構成されたコンデンサを有し、前記コンデンサが充電されるときにおける前記コンデンサの両端子間電圧の変化速度に応じた周波数を持つ前記出力矩形波信号を生成する
、オシレータ。
【請求項2】
前記複数段の信号遅延回路は、2つの信号遅延回路として、第1特定遅延回路と、前記第1特定遅延回路の次段に設けられる第2特定遅延回路を有し、
前記第1特定遅延回路は、前記出力矩形波信号に基づく入力矩形波信号に同期してオン、オフされるよう構成されたスイッチング素子と、
前記スイッチング素子に並列接続される前記コンデンサと、
前記スイッチング素子及び前記コンデンサの並列回路に対して前記充電用定電流を供給するよう構成された充電用電流源と、を有し、
前記コンデンサの両端間電圧が前記第2特定遅延回路に入力される
、請求項1に記載のオシレータ。
【請求項3】
前記第2特定遅延回路は、前記コンデンサの両端間電圧をゲート-ソース間にて受けるNチャネル型の電界効果トランジスタと、前記電界効果トランジスタのドレインに接続された負荷と、を有して、前記電界効果トランジスタ及び前記負荷によりソース接地型アンプを形成し、前記電界効果トランジスタのドレインにおける信号を次段の信号遅延回路に出力する
、請求項2に記載のオシレータ。
【請求項4】
可変抵抗を有し、前記基準電流及び前記可変抵抗の各値に応じた電流値を前記充電用定電流に設定するよう構成された定電流設定回路を更に備える
、請求項1~3の何れかに記載のオシレータ。
【請求項5】
前記可変抵抗は第1可変抵抗及び第2可変抵抗を含み、
前記定電流設定回路は、前記基準電流に比例する第1電流を前記第1可変抵抗を用いて電圧に変換し、変換により得られた前記電圧を前記第2可変抵抗を用いて第2電流に変換し、前記第2電流に比例する電流を前記充電用定電流として前記充電用電流源に発生させる
、請求項4に記載のオシレータ。
【請求項6】
前記定電流設定回路は、前記第1可変抵抗の第1端に接続されたベース及び前記第1可変抵抗の第2端に接続されたコレクタを有するPNP型のバイポーラトランジスタと、前記PNP型のバイポーラトランジスタのエミッタに接続されたベース及び前記第2可変抵抗に接続されたエミッタを有するNPN型のバイポーラトランジスタと、を備え、
前記第1電流は前記第1可変抵抗を通じて流れ、前記第2電流は前記NPN型のバイポーラトランジスタのコレクタ及びエミッタ間並びに前記第2可変抵抗を通じて流れる
、請求項5に記載のオシレータ。
【請求項7】
前記基準電流を入力側の電流として用いる第1カレントミラー回路により前記第1電流を発生させ、前記第2電流を入力側の電流として用いる第2カレントミラー回路により前記充電用定電流を発生させる
、請求項5に記載のオシレータ。
【請求項8】
前記出力矩形波信号は前記発振回路への入力信号の論理否定信号であり、
前記発振回路において、前記複数段の信号遅延回路の内、最終段の信号遅延回路から前記出力矩形波信号が出力され、前記出力矩形波信号を前記発振回路への入力信号として初段の信号遅延回路に入力することで前記発振動作を行う
、請求項1~3の何れかに記載のオシレータ。
【請求項9】
前記出力矩形波信号の波形整形を行うよう構成された波形整形回路を更に備える
、請求項1~3の何れかに記載のオシレータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、オシレータに関する。
【背景技術】
【0002】
所謂リングオシレータ構造を用いた発振動作により、矩形波信号を得ることができる(下記特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007-88885号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
発振動作により得られる矩形波信号の特性安定化は重要である。
【0005】
本開示は、安定した特性を持つオシレータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係るオシレータは、基準抵抗を有し、前記基準抵抗の値に応じた基準電流を生成するよう構成された基準電流生成回路と、ループ状に接続された複数段の信号遅延回路を有し、前記複数段の信号遅延回路に発振動作を行わせることで出力矩形波信号を生成するよう構成された発振回路と、を備え、前記発振回路は、前記基準電流に応じた充電用定電流を用いて充電されるよう構成されたコンデンサを有し、前記コンデンサが充電されるときにおける前記コンデンサの両端子間電圧の変化速度に応じた周波数を持つ前記出力矩形波信号を生成する。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、安定した特性を持つオシレータを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、信号伝達装置の基本構成を示す図である。
図2図2は、トランスチップの基本構造を示す図である。
図3図3は、2チャンネル型のトランスチップとして用いられる半導体装置の斜視図である。
図4図4は、図3に示す半導体装置の平面図である。
図5図5は、図3の半導体装置において低電位コイルが形成された層を示す平面図である。
図6図6は、図3の半導体装置において高電位コイルが形成された層を示す平面図である。
図7図7は、図6に示すVIII-VIII線に沿う断面図である。
図8図8は、図7に示す領域XIIIの拡大図(分離構造)を示す図である。
図9図9は、トランスチップのレイアウト例を模式的に示す図である。
図10図10は、本開示の実施形態に係る発振回路の概略構成図である。
図11図11は、本開示の実施形態に係り、発振回路の入出力信号の概略波形図である。
図12図12は、参考例に係るオシレータの回路図である。
図13図13は、本開示の実施形態に属する第1実施例に係り、オシレータの回路図である。
図14図14は、本開示の実施形態に属する第1実施例に係り、発振回路の出力信号とオシレータの出力信号の波形図である。
図15図15は、本開示の実施形態に属する第1実施例に係り、発振回路内のコンデンサの充電に関わるタイミングチャートである。
図16図16は、本開示の実施形態に属する第1実施例に係り、発振回路のタイミングチャートである。
図17図17は、本開示の実施形態に属する第2実施例に係り、オシレータの回路図である。
図18図18は、本開示の実施形態に属する第3実施例に係り、オシレータの回路図である。
図19図19は、本開示の実施形態に属する第3実施例に係り、電子機器の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<信号伝達装置(基本構成)>
図1は、信号伝達装置の基本構成を示す図である。本構成例の信号伝達装置200は、一次回路系200p(VCC1-GND1系)と二次回路系200s(VCC2-GND2系)との間を絶縁しつつ、一次回路系200pから二次回路系200sにパルス信号を伝達し、二次回路系200sに設けられたスイッチ素子(不図示)のゲートを駆動する半導体集積回路装置(いわゆる絶縁ゲートドライバIC)である。例えば、信号伝達装置200は、コントローラチップ210と、ドライバチップ220と、トランスチップ230と、を単一のパッケージに封止して成る。
【0010】
コントローラチップ210は、電源電圧VCC1(例えばGND1基準で最大7V)の供給を受けて動作する半導体チップである。コントローラチップ210には、例えば、パルス送信回路211と、バッファ212及び213が集積されている。
【0011】
パルス送信回路211は、入力パルス信号INに応じて送信パルス信号S11及びS21を生成するパルスジェネレータである。より具体的に述べると、パルス送信回路211は、入力パルス信号INがハイレベルである旨を通知するときには、送信パルス信号S11のパルス駆動(単発または複数発の送信パルス出力)を行い、入力パルス信号INがローレベルである旨を通知するときには、送信パルス信号S21のパルス駆動を行う。すなわち、パルス送信回路211は、入力パルス信号INの論理レベルに応じて、送信パルス信号S11及びS21のいずれか一方をパルス駆動する。
【0012】
バッファ212は、パルス送信回路211から送信パルス信号S11の入力を受けて、トランスチップ230(具体的にはトランス231)をパルス駆動する。
【0013】
バッファ213は、パルス送信回路211から送信パルス信号S21の入力を受けて、トランスチップ230(具体的にはトランス232)をパルス駆動する。
【0014】
ドライバチップ220は、電源電圧VCC2(例えばGND2基準で最大30V)の供給を受けて動作する半導体チップである。ドライバチップ220には、例えば、バッファ221及び222と、パルス受信回路223と、ドライバ224が集積されている。
【0015】
バッファ221は、トランスチップ230(具体的にはトランス231)に誘起される受信パルス信号S12を波形整形してパルス受信回路223に出力する。
【0016】
バッファ222は、トランスチップ230(具体的にはトランス232)に誘起される受信パルス信号S22を波形整形してパルス受信回路223に出力する。
【0017】
パルス受信回路223は、バッファ221及び222を介して入力される受信パルス信号S12及びS22に応じてドライバ224を駆動することにより出力パルス信号OUTを生成する。より具体的に述べると、パルス受信回路223は、受信パルス信号S12のパルス駆動を受けて出力パルス信号OUTをハイレベルに立ち上げる一方、受信パルス信号S22のパルス駆動を受けて出力パルス信号OUTをローレベルに立ち下げるようにドライバ224を駆動する。すなわち、パルス受信回路223は、入力パルス信号INの論理レベルに応じて出力パルス信号OUTの論理レベルを切り替える。なお、パルス受信回路223としては、例えば、RSフリップフロップを好適に用いることができる。
【0018】
ドライバ224は、パルス受信回路223の駆動制御に基づいて出力パルス信号OUTを生成する。
【0019】
トランスチップ230は、トランス231及び232を用いてコントローラチップ210とドライバチップ220との間を直流的に絶縁しつつ、パルス送信回路211から入力される送信パルス信号S11及びS21をそれぞれ受信パルス信号S12及びS22としてパルス受信回路223に出力する。なお、本明細書中において、「直流的に絶縁する」とは、絶縁すべき対象物が導体では接続されていないということである。
【0020】
より具体的に述べると、トランス231は、一次側コイル231pに入力される送信パルス信号S11に応じて、二次側コイル231sから受信パルス信号S12を出力する。一方、トランス232は、一次側コイル232pに入力される送信パルス信号S21に応じて、二次側コイル232sから受信パルス信号S22を出力する。
【0021】
このように、絶縁間通信に用いられるスパイラルコイルの特性上、入力パルス信号INは、2本の送信パルス信号S11及びS21(=ライズ信号及びフォール信号に相当)に分離された後、2つのトランス231及び232を介して一次回路系200pから二次回路系200sに伝達される。
【0022】
なお、本構成例の信号伝達装置200は、コントローラチップ210及びドライバチップ220とは別に、トランス231及び232のみを搭載するトランスチップ230を独立に有しており、これら3つのチップを単一のパッケージに封止して成る。
【0023】
このような構成とすることにより、コントローラチップ210、及び、ドライバチップ220については、いずれも一般の低耐圧~中耐圧プロセス(数V~数十V耐圧)で形成することができるので、専用の高耐圧プロセス(数kV耐圧)を用いる必要がなくなり、製造コストを低減することが可能となる。
【0024】
なお、信号伝達装置200は、例えば、車両に搭載される車載機器の電源装置またはモータ駆動装置などで好適に利用することができる。上記の車両には、エンジン車のほか、電動車(BEV[battery electric vehicle]、HEV[hybrid electric vehicle」、PHEV/PHV(plug-in hybrid electric vehicle/plug-in hybrid vehicle]、又は、FCEV/FCV(fuel cell electric vehicle/fuel cell vehicle]などのxEV)も含まれる。
【0025】
<トランスチップ(基本構造)>
次に、トランスチップ230の基本構造について説明する。図2は、トランスチップ230の基本構造を示す図である。本図のトランスチップ230において、トランス231は、上下方向に対向する一次側コイル231pと二次側コイル231sを含む。トランス232は、上下方向に対向する一次側コイル232pと二次側コイル232sを含む。
【0026】
一次側コイル231p及び232pは、いずれも、トランスチップ230の第1配線層(下層)230aに形成されている。二次側コイル231s及び232sは、いずれも、トランスチップ230の第2配線層(本図では上層)230bに形成されている。なお、二次側コイル231sは、一次側コイル231pの直上に配置され、一次側コイル231pに対向している。また、二次側コイル232sは、一次側コイル232pの直上に配置され、一次側コイル232pに対向している。
【0027】
一次側コイル231pは、内部端子X21に接続された第1端を始点として、内部端子X21の周囲を時計回りで取り囲むように螺旋状に敷設されており、その終点に相当する第2端が内部端子X22に接続されている。一方、一次側コイル232pは、内部端子X23に接続された第1端を始点として、内部端子X23の周囲を反時計回りで取り囲むように螺旋状に敷設されており、その終点に相当する第2端が内部端子X22に接続されている。内部端子X21、X22及びX23は、図示の順で直線的に配列されている。
【0028】
内部端子X21は、導電性の配線Y21及びビアZ21を介して、第2層230bの外部端子T21に接続されている。内部端子X22は、導電性の配線Y22及びビアZ22を介して、第2層230bの外部端子T22に接続されている。内部端子X23は、導電性の配線Y23及びビアZ23を介して、第2層230bの外部端子T23に接続されている。なお、外部端子T21~T23は、直線的に並べて配置されており、コントローラチップ210とのワイヤボンディングに用いられる。
【0029】
二次側コイル231sは、外部端子T24に接続された第1端を始点として、外部端子T24の周囲を反時計回りで取り囲むように螺旋状に敷設されており、その終点に相当する第2端が外部端子T25に接続されている。一方、二次側コイル232sは、外部端子T26に接続された第1端を始点として、外部端子T26の周囲を時計回りで取り囲むように螺旋状に敷設されており、その終点に相当する第2端が外部端子T25に接続されている。なお、外部端子T24、T25及びT26は、図示の順で直線的に並べて配置されており、ドライバチップ220とのワイヤボンディングに用いられる。
【0030】
二次側コイル231s及び232sは、それぞれ、磁気結合によって一次側コイル231p及び232pに交流接続されると共に、一次側コイル231p及び232pから直流絶縁されている。すなわち、ドライバチップ220は、トランスチップ230を介してコントローラチップ210に交流接続されると共に、トランスチップ230によりコントローラチップ210から直流絶縁されている。
【0031】
<トランスチップ(2チャンネル型)>
図3は、2チャンネル型のトランスチップとして用いられる半導体装置5を示す斜視図である。図4は、図3に示す半導体装置5の平面図である。図5は、図3に示す半導体装置5において低電位コイル22(=トランスの一次側コイルに相当)が形成された層を示す平面図である。図6は、図3に示す半導体装置5において高電位コイル23(=トランスの二次側コイルに相当)が形成された層を示す平面図である。図7は、図6に示すVIII-VIII線に沿う断面図である。図8は、図7に示す領域XIIIの拡大図であって、分離構造130を示す図である。
【0032】
図3図7を参照して、半導体装置5は、直方体形状の半導体チップ41を含む。半導体チップ41は、シリコン、ワイドバンドギャップ半導体および化合物半導体のうちの少なくとも1つを含む。
【0033】
ワイドバンドギャップ半導体は、シリコンのバンドギャップ(約1.12eV)を超える半導体からなる。ワイドバンドギャップ半導体のバンドギャップは、2.0eV以上であることが好ましい。ワイドバンドギャップ半導体は、SiC(炭化シリコン)であってもよい。化合物半導体は、III-V族化合物半導体であってもよい。化合物半導体は、AlN(窒化アルミニウム)、InN(窒化インジウム)、GaN(窒化ガリウム)およびGaAs(ヒ化ガリウム)のうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。
【0034】
半導体チップ41は、この形態では、シリコン製の半導体基板を含む。半導体チップ41は、シリコン製の半導体基板およびシリコン製のエピタキシャル層を含む積層構造を有するエピタキシャル基板であってもよい。半導体基板の導電型は、n型またはp型であってもよい。エピタキシャル層は、n型またはp型であってもよい。
【0035】
半導体チップ41は、一方側の第1主面42、他方側の第2主面43、及び、第1主面42並びに第2主面43を接続するチップ側壁44A~44Dを有している。第1主面42及び第2主面43は、それらの法線方向Zから見た平面視(以下、単に「平面視」という)において、四角形状(この形態では長方形状)に形成されている。
【0036】
チップ側壁44A~44Dは、第1チップ側壁44A、第2チップ側壁44B、第3チップ側壁44Cおよび第4チップ側壁44Dを含む。第1チップ側壁44Aおよび第2チップ側壁44Bは、半導体チップ41の長辺を形成している。第1チップ側壁44Aおよび第2チップ側壁44Bは、第1方向Xに沿って延び、第2方向Yに対向している。第3チップ側壁44Cおよび第4チップ側壁44Dは、半導体チップ41の短辺を形成している。第3チップ側壁44Cおよび第4チップ側壁44Dは、第2方向Yに延び、第1方向Xに対向している。チップ側壁44A~44Dは、研削面からなる。
【0037】
半導体装置5は、半導体チップ41の第1主面42の上に形成された絶縁層51をさらに含む。絶縁層51は、絶縁主面52および絶縁側壁53A~53Dを有している。絶縁主面52は、平面視において第1主面42に整合する四角形状(この形態では長方形状)に形成されている。絶縁主面52は、第1主面42に対して平行に延びている。
【0038】
絶縁側壁53A~53Dは、第1絶縁側壁53A、第2絶縁側壁53B、第3絶縁側壁53Cおよび第4絶縁側壁53Dを含む。絶縁側壁53A~53Dは、絶縁主面52の周縁から半導体チップ41に向けて延び、チップ側壁44A~44Dに連なっている。絶縁側壁53A~53Dは、具体的には、チップ側壁44A~44Dに対して面一に形成されている。絶縁側壁53A~53Dは、チップ側壁44A~44Dに面一な研削面を形成している。
【0039】
絶縁層51は、最下絶縁層55、最上絶縁層56および複数(この形態では11層)の層間絶縁層57を含む多層絶縁積層構造からなる。最下絶縁層55は、第1主面42を直接被覆する絶縁層である。最上絶縁層56は、絶縁主面52を形成する絶縁層である。複数の層間絶縁層57は、最下絶縁層55および最上絶縁層56の間に介在する絶縁層である。最下絶縁層55は、この形態では、酸化シリコンを含む単層構造を有している。最上絶縁層56は、この形態では、酸化シリコンを含む単層構造を有している。最下絶縁層55の厚さおよび最上絶縁層56の厚さは、それぞれ1μm以上3μm以下(たとえば2μm程度)であってもよい。
【0040】
複数の層間絶縁層57は、最下絶縁層55側の第1絶縁層58および最上絶縁層56側の第2絶縁層59を含む積層構造をそれぞれ有している。第1絶縁層58は、窒化シリコンを含んでいてもよい。第1絶縁層58は、第2絶縁層59に対するエッチングストッパ層として形成されている。第1絶縁層58の厚さは、0.1μm以上1μm以下(たとえば0.3μm程度)であってもよい。
【0041】
第2絶縁層59は、第1絶縁層58の上に形成されている。第1絶縁層58とは異なる絶縁材料を含む。第2絶縁層59は、酸化シリコンを含んでいてもよい。第2絶縁層59の厚さは、1μm以上3μm以下(たとえば2μm程度)であってもよい。第2絶縁層59の厚さは、第1絶縁層58の厚さを超えていることが好ましい。
【0042】
絶縁層51の総厚さDTは、5μm以上50μm以下であってもよい。絶縁層51の総厚さDT及び層間絶縁層57の積層数は任意であって、実現すべき絶縁耐圧(絶縁破壊耐量)に応じて調整される。また、最下絶縁層55、最上絶縁層56および層間絶縁層57の絶縁材料は任意であり、特定の絶縁材料に限定されない。
【0043】
半導体装置5は、絶縁層51に形成された第1機能デバイス45を含む。第1機能デバイス45は、1つ又は複数(この形態では複数)の変圧器21(先出のトランスに相当)を含む。つまり、半導体装置5は、複数の変圧器21を含むマルチチャネル型デバイスである。複数の変圧器21は、絶縁側壁53A~53Dから間隔を空けて絶縁層51の内方部に形成されている。複数の変圧器21は、第1方向Xに間隔を空けて形成されている。
【0044】
複数の変圧器21は、具体的には、平面視において絶縁側壁53C側から絶縁側壁53D側に向けてこの順に形成された第1変圧器21A、第2変圧器21B、第3変圧器21Cおよび第4変圧器21Dを含む。複数の変圧器21A~21Dは、同様の構造をそれぞれ有している。以下では、第1変圧器21Aの構造を例にとって説明する。第2変圧器21B、第3変圧器21Cおよび第4変圧器21Dの構造の説明については、第1変圧器21Aの構造の説明が準用されるものとし、省略する。
【0045】
図5図7を参照して、第1変圧器21Aは、低電位コイル22および高電位コイル23を含む。低電位コイル22は、絶縁層51内に形成されている。高電位コイル23は、法線方向Zに低電位コイル22と対向するように絶縁層51内に成されている。低電位コイル22および高電位コイル23は、この形態では、最下絶縁層55および最上絶縁層56に挟まれた領域(つまり複数の層間絶縁層57)に形成されている。
【0046】
低電位コイル22は、絶縁層51内において最下絶縁層55(半導体チップ41)側に形成されており、高電位コイル23は、絶縁層51内において低電位コイル22に対して最上絶縁層56(絶縁主面52)側に形成されている。つまり、高電位コイル23は、低電位コイル22を挟んで半導体チップ41に対向している。低電位コイル22および高電位コイル23の配置箇所は任意である。また、高電位コイル23は、1層以上の層間絶縁層57を挟んで低電位コイル22に対向していればよい。
【0047】
低電位コイル22及び高電位コイル23の間の距離(つまり層間絶縁層57の積層数)は、低電位コイル22及び高電位コイル23の間の絶縁耐圧及び電界強度に応じて適宜調整される。低電位コイル22は、この形態では、最下絶縁層55側から数えて3層目の層間絶縁層57に形成されている。高電位コイル23は、この形態では、最上絶縁層56側から数えて1層目の層間絶縁層57に形成されている。
【0048】
低電位コイル22は、層間絶縁層57において第1絶縁層58及び第2絶縁層59を貫通して埋め込まれている。低電位コイル22は、第1内側末端24、第1外側末端25、ならびに、第1内側末端24および第1外側末端25の間を螺旋状に引き回された第1螺旋部26を含む。第1螺旋部26は、平面視において楕円形状(長円形状)に延びる螺旋状に引き回されている。第1螺旋部26の最内周縁を形成する部分は、平面視において楕円形状の第1内側領域66を区画している。
【0049】
第1螺旋部26の巻回数は、5以上30以下であってもよい。第1螺旋部26の幅は、0.1μm以上5μm以下であってもよい。第1螺旋部26の幅は、1μm以上3μm以下であることが好ましい。第1螺旋部26の幅は、螺旋方向に直交する方向の幅によって定義される。第1螺旋部26の第1巻回ピッチは、0.1μm以上5μm以下であってもよい。第1巻回ピッチは、1μm以上3μm以下であることが好ましい。第1巻回ピッチは、第1螺旋部26において螺旋方向に直交する方向に隣り合う2つの部分の間の距離によって定義される。
【0050】
第1螺旋部26の巻回形状及び第1内側領域66の平面形状は任意であり、図5などに示される形態に限定されない。第1螺旋部26は、平面視において三角形状、四角形状等の多角形状、または、円形状に巻回されていてもよい。第1内側領域66は、第1螺旋部26の巻回形状に応じて、平面視において三角形状、四角形状等の多角形状、または、円形状に区画されていてもよい。
【0051】
低電位コイル22は、チタン、窒化チタン、銅、アルミニウム及びタングステンのうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。低電位コイル22は、バリア層および本体層を含む積層構造を有していてもよい。バリア層は、層間絶縁層57内においてリセス空間を区画する。バリア層は、チタンおよび窒化チタンのうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。本体層は、銅、アルミニウムおよびタングステンのうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。
【0052】
高電位コイル23は、層間絶縁層57において第1絶縁層58及び第2絶縁層59を貫通して埋め込まれている。高電位コイル23は、第2内側末端27、第2外側末端28、ならびに、第2内側末端27および第2外側末端28の間を螺旋状に引き回された第2螺旋部29を含む。第2螺旋部29は、平面視において楕円形状(長円形状)に延びる螺旋状に引き回されている。第2螺旋部29の最内周縁を形成する部分は、この形態では、平面視において楕円形状の第2内側領域67を区画している。第2螺旋部29の第2内側領域67は、法線方向Zに第1螺旋部26の第1内側領域66に対向している。
【0053】
第2螺旋部29の巻回数は、5以上30以下であってもよい。第1螺旋部26の巻回数に対する第2螺旋部29の巻回数は、昇圧すべき電圧値に応じて調整される。第2螺旋部29の巻回数は、第1螺旋部26の巻回数を超えていることが好ましい。むろん、第2螺旋部29の巻回数は、第1螺旋部26の巻回数未満であってもよいし、第1螺旋部26の巻回数と等しくてもよい。
【0054】
第2螺旋部29の幅は、0.1μm以上5μm以下であってもよい。第2螺旋部29の幅は、1μm以上3μm以下であることが好ましい。第2螺旋部29の幅は、螺旋方向に直交する方向の幅によって定義される。第2螺旋部29の幅は、第1螺旋部26の幅と等しいことが好ましい。
【0055】
第2螺旋部29の第2巻回ピッチは、0.1μm以上5μm以下であってもよい。第2巻回ピッチは、1μm以上3μm以下であることが好ましい。第2巻回ピッチは、第2螺旋部29において螺旋方向に直交する方向に隣り合う2つの部分の間の距離によって定義される。第2巻回ピッチは、第1螺旋部26の第1巻回ピッチと等しいことが好ましい。
【0056】
第2螺旋部29の巻回形状及び第2内側領域67の平面形状は任意であり、図6などに示される形態に限定されない。第2螺旋部29は、平面視において三角形状、四角形状等の多角形状、または、円形状に巻回されていてもよい。第2内側領域67は、第2螺旋部29の巻回形状に応じて、平面視において三角形状、四角形状等の多角形状、または、円形状に区画されていてもよい。
【0057】
高電位コイル23は、低電位コイル22と同一の導電材料によって形成されていることが好ましい。つまり、高電位コイル23は、低電位コイル22と同様に、バリア層および本体層を含むことが好ましい。
【0058】
図4を参照して、半導体装置5は、複数(本図では12個)の低電位端子11、及び、複数(本図では12個)の高電位端子12を含む。複数の低電位端子11は、対応する変圧器21A~21Dの低電位コイル22にそれぞれ電気的に接続されている。複数の高電位端子12は、対応する変圧器21A~21Dの高電位コイル23にそれぞれ電気的に接続されている。
【0059】
複数の低電位端子11は、絶縁層51の絶縁主面52の上に形成されている。複数の低電位端子11は、具体的には、複数の変圧器21A~21Dから第2方向Yに間隔を空けて絶縁側壁53B側の領域に形成され、第1方向Xに間隔を空けて配列されている。
【0060】
複数の低電位端子11は、第1低電位端子11A、第2低電位端子11B、第3低電位端子11C、第4低電位端子11D、第5低電位端子11Eおよび第6低電位端子11Fを含む。複数の低電位端子11A~11Fは、この形態では、2個ずつそれぞれ形成されている。複数の低電位端子11A~11Fの個数は任意である。
【0061】
第1低電位端子11Aは、平面視において第2方向Yに第1変圧器21Aに対向している。第2低電位端子11Bは、平面視において第2方向Yに第2変圧器21Bに対向している。第3低電位端子11Cは、平面視において第2方向Yに第3変圧器21Cに対向している。第4低電位端子11Dは、平面視において第2方向Yに第4変圧器21Dに対向している。第5低電位端子11Eは、平面視において第1低電位端子11Aおよび第2低電位端子11Bの間の領域に形成されている。第6低電位端子11Fは、平面視において第3低電位端子11Cおよび第4低電位端子11Dの間の領域に形成されている。
【0062】
第1低電位端子11Aは、第1変圧器21A(低電位コイル22)の第1内側末端24に電気的に接続されている。第2低電位端子11Bは、第2変圧器21B(低電位コイル22)の第1内側末端24に電気的に接続されている。第3低電位端子11Cは、第3変圧器21C(低電位コイル22)の第1内側末端24に電気的に接続されている。第4低電位端子11Dは、第4変圧器21D(低電位コイル22)の第1内側末端24に電気的に接続されている。
【0063】
第5低電位端子11Eは、第1変圧器21A(低電位コイル22)の第1外側末端25および第2変圧器21B(低電位コイル22)の第1外側末端25に電気的に接続されている。第6低電位端子11Fは、第3変圧器21C(低電位コイル22)の第1外側末端25および第4変圧器21D(低電位コイル22)の第1外側末端25に電気的に接続されている。
【0064】
複数の高電位端子12は、複数の低電位端子11から間隔を空けて絶縁層51の絶縁主面52の上に形成されている。複数の高電位端子12は、具体的には、複数の低電位端子11から第2方向Yに間隔を空けて絶縁側壁53A側の領域に形成され、第1方向Xに間隔を空けて配列されている。
【0065】
複数の高電位端子12は、平面視において対応する変圧器21A~21Dに近接する領域にそれぞれ形成されている。高電位端子12が変圧器21A~21Dに近接するとは、平面視において高電位端子12および変圧器21の間の距離が、低電位端子11および高電位端子12の間の距離未満であることを意味する。
【0066】
複数の高電位端子12は、具体的には、平面視において第1方向Xに沿って複数の変圧器21A~21Dと対向するように第1方向Xに沿って間隔を空けて形成されている。複数の高電位端子12は、さらに具体的には、平面視において高電位コイル23の第2内側領域67および隣り合う高電位コイル23の間の領域に位置するように第1方向Xに沿って間隔を空けて形成されている。これにより、複数の高電位端子12は、平面視において第1方向Xに複数の変圧器21A~21Dと一列に並んで配列されている。
【0067】
複数の高電位端子12は、第1高電位端子12A、第2高電位端子12B、第3高電位端子12C、第4高電位端子12D、第5高電位端子12Eおよび第6高電位端子12Fを含む。複数の高電位端子12A~12Fは、この形態では、2個ずつそれぞれ形成されている。複数の高電位端子12A~12Fの個数は任意である。
【0068】
第1高電位端子12Aは、平面視において第1変圧器21A(高電位コイル23)の第2内側領域67に形成されている。第2高電位端子12Bは、平面視において第2変圧器21B(高電位コイル23)の第2内側領域67に形成されている。第3高電位端子12Cは、平面視において第3変圧器21C(高電位コイル23)の第2内側領域67に形成されている。第4高電位端子12Dは、平面視において第4変圧器21D(高電位コイル23)の第2内側領域67に形成されている。第5高電位端子12Eは、平面視において第1変圧器21Aおよび第2変圧器21Bの間の領域に形成されている。第6高電位端子12Fは、平面視において第3変圧器21Cおよび第4変圧器21Dの間の領域に形成されている。
【0069】
第1高電位端子12Aは、第1変圧器21A(高電位コイル23)の第2内側末端27に電気的に接続されている。第2高電位端子12Bは、第2変圧器21B(高電位コイル23)の第2内側末端27に電気的に接続されている。第3高電位端子12Cは、第3変圧器21C(高電位コイル23)の第2内側末端27に電気的に接続されている。第4高電位端子12Dは、第4変圧器21D(高電位コイル23)の第2内側末端27に電気的に接続されている。
【0070】
第5高電位端子12Eは、第1変圧器21A(高電位コイル23)の第2外側末端28および第2変圧器21B(高電位コイル23)の第2外側末端28に電気的に接続されている。第6高電位端子12Fは、第3変圧器21C(高電位コイル23)の第2外側末端28および第4変圧器21D(高電位コイル23)の第2外側末端28に電気的に接続されている。
【0071】
図5図7を参照して、半導体装置5は、絶縁層51内にそれぞれ形成された第1低電位配線31、第2低電位配線32、第1高電位配線33及び第2高電位配線34を含む。この形態では、複数の第1低電位配線31、複数の第2低電位配線32、複数の第1高電位配線33および複数の第2高電位配線34が形成されている。
【0072】
第1低電位配線31および第2低電位配線32は、第1変圧器21Aの低電位コイル22および第2変圧器21Bの低電位コイル22を同電位に固定している。また、第1低電位配線31および第2低電位配線32は、第3変圧器21Cの低電位コイル22および第4変圧器21Dの低電位コイル22を同電位に固定している。第1低電位配線31および第2低電位配線32は、この形態では、変圧器21A~21Dの全ての低電位コイル22を同電位に固定している。
【0073】
第1高電位配線33および第2高電位配線34は、第1変圧器21Aの高電位コイル23および第2変圧器21Bの高電位コイル23を同電位に固定している。また、第1高電位配線33および第2高電位配線34は、第3変圧器21Cの高電位コイル23および第4変圧器21Dの高電位コイル23を同電位に固定している。第1高電位配線33および第2高電位配線34は、この形態では、変圧器21A~21Dの全ての高電位コイル23を同電位に固定している。
【0074】
複数の第1低電位配線31は、対応する低電位端子11A~11Dおよび対応する変圧器21A~21D(低電位コイル22)の第1内側末端24にそれぞれ電気的に接続されている。複数の第1低電位配線31は、同様の構造を有している。以下では、第1低電位端子11Aおよび第1変圧器21Aに接続された第1低電位配線31の構造を例にとって説明する。他の第1低電位配線31の構造の説明については、第1変圧器21Aに接続された第1低電位配線31の構造の説明が準用されるものとし、省略する。
【0075】
第1低電位配線31は、貫通配線71、低電位接続配線72、引き出し配線73、第1接続プラグ電極74、第2接続プラグ電極75、1つまたは複数(この形態では複数)のパッドプラグ電極76、および、1つまたは複数(この形態では複数)の基板プラグ電極77を含む。
【0076】
貫通配線71、低電位接続配線72、引き出し配線73、第1接続プラグ電極74、第2接続プラグ電極75、パッドプラグ電極76および基板プラグ電極77は、低電位コイル22等と同一の導電材料によってそれぞれ形成されていることが好ましい。つまり、貫通配線71、低電位接続配線72、引き出し配線73、第1接続プラグ電極74、第2接続プラグ電極75、パッドプラグ電極76および基板プラグ電極77は、低電位コイル22等と同様に、バリア層および本体層をそれぞれ含むことが好ましい。
【0077】
貫通配線71は、絶縁層51において複数の層間絶縁層57を貫通し、法線方向Zに沿って延びる柱状に延びている。貫通配線71は、この形態では、絶縁層51において最下絶縁層55および最上絶縁層56の間の領域に形成されている。貫通配線71は、最上絶縁層56側の上端部、および、最下絶縁層55側の下端部を有している。貫通配線71の上端部は、高電位コイル23と同一の層間絶縁層57に形成され、最上絶縁層56によって被覆されている。貫通配線71の下端部は、低電位コイル22と同一の層間絶縁層57に形成されている。
【0078】
貫通配線71は、この形態では、第1電極層78、第2電極層79、および、複数の配線プラグ電極80を含む。貫通配線71では、第1電極層78、第2電極層79および配線プラグ電極80が低電位コイル22等と同一の導電材料によってそれぞれ形成されている。つまり、第1電極層78、第2電極層79および配線プラグ電極80は、低電位コイル22等と同様に、バリア層および本体層をそれぞれ含む。
【0079】
第1電極層78は、貫通配線71の上端部を形成している。第2電極層79は、貫通配線71の下端部を形成している。第1電極層78は、アイランド状に形成され、法線方向Zに低電位端子11(第1低電位端子11A)に対向している。第2電極層79は、アイランド状に形成され、法線方向Zに第1電極層78に対向している。
【0080】
複数の配線プラグ電極80は、第1電極層78および第2電極層79の間の領域に位置する複数の層間絶縁層57にそれぞれ埋設されている。複数の配線プラグ電極80は、互いに電気的に接続されるように最下絶縁層55から最上絶縁層56に向けて積層され、かつ、第1電極層78および第2電極層79を電気的に接続している。複数の配線プラグ電極80は、第1電極層78の平面積および第2電極層79の平面積未満の平面積をそれぞれ有している。
【0081】
なお、複数の配線プラグ電極80の積層数は、複数の層間絶縁層57の積層数に一致している。この形態では、6個の配線プラグ電極80が各層間絶縁層57内に埋設されているが、各層間絶縁層57内に埋設される配線プラグ電極80の個数は任意である。もちろん、複数の層間絶縁層57を貫通する1つまたは複数の配線プラグ電極80が形成されていてもよい。
【0082】
低電位接続配線72は、低電位コイル22と同一の層間絶縁層57内において第1変圧器21A(低電位コイル22)の第1内側領域66に形成されている。低電位接続配線72は、アイランド状に形成され、法線方向Zに高電位端子12(第1高電位端子12A)に対向している。低電位接続配線72は、配線プラグ電極80の平面積を超える平面積を有していることが好ましい。低電位接続配線72は、低電位コイル22の第1内側末端24に電気的に接続されている。
【0083】
引き出し配線73は、層間絶縁層57内において半導体チップ41および貫通配線71の間の領域に形成されている。引き出し配線73は、この形態では、最下絶縁層55から数えて1層目の層間絶縁層57内に形成されている。引き出し配線73は、一方側の第1端部、他方側の第2端部、ならびに、第1端部および第2端部を接続する配線部を含む。引き出し配線73の第1端部は、半導体チップ41および貫通配線71の下端部の間の領域に位置している。引き出し配線73の第2端部は、半導体チップ41および低電位接続配線72の間の領域に位置している。配線部は、半導体チップ41の第1主面42に沿って延び、第1端部および第2端部の間の領域を帯状に延びている。
【0084】
第1接続プラグ電極74は、層間絶縁層57内において貫通配線71および引き出し配線73の間の領域に形成され、貫通配線71および引き出し配線73の第1端部に電気的に接続されている。第2接続プラグ電極75は、層間絶縁層57内において低電位接続配線72および引き出し配線73の間の領域に形成され、低電位接続配線72および引き出し配線73の第2端部に電気的に接続されている。
【0085】
複数のパッドプラグ電極76は、最上絶縁層56内において低電位端子11(第1低電位端子11A)および貫通配線71の間の領域に形成され、低電位端子11および貫通配線71の上端部にそれぞれ電気的に接続されている。複数の基板プラグ電極77は、最下絶縁層55内において半導体チップ41および引き出し配線73の間の領域に形成されている。基板プラグ電極77は、この形態では、半導体チップ41および引き出し配線73の第1端部の間の領域に形成され、半導体チップ41および引き出し配線73の第1端部にそれぞれ電気的に接続されている。
【0086】
図6及び図7を参照して、複数の第1高電位配線33は、対応する高電位端子12A~12Dおよび対応する変圧器21A~21D(高電位コイル23)の第2内側末端27にそれぞれ電気的に接続されている。複数の第1高電位配線33は、同様の構造をそれぞれ有している。以下では、第1高電位端子12A及び第1変圧器21Aに接続された第1高電位配線33の構造を例にとって説明する。他の第1高電位配線33の構造の説明については、第1変圧器21Aに接続された第1高電位配線33の構造の説明が準用されるものとし、省略する。
【0087】
第1高電位配線33は、高電位接続配線81、および、1つまたは複数(この形態では複数)のパッドプラグ電極82を含む。高電位接続配線81およびパッドプラグ電極82は、低電位コイル22等と同一の導電材料によって形成されていることが好ましい。つまり、高電位接続配線81およびパッドプラグ電極82は、低電位コイル22等と同様に、バリア層および本体層を含むことが好ましい。
【0088】
高電位接続配線81は、高電位コイル23と同一の層間絶縁層57内において高電位コイル23の第2内側領域67に形成されている。高電位接続配線81は、アイランド状に形成され、法線方向Zに高電位端子12(第1高電位端子12A)に対向している。高電位接続配線81は、高電位コイル23の第2内側末端27に電気的に接続されている。高電位接続配線81は、平面視において低電位接続配線72から間隔を空けて形成され、法線方向Zに低電位接続配線72には対向していない。これにより、低電位接続配線72と高電位接続配線81の間の絶縁距離が増加し、絶縁層51の絶縁耐圧が高められている。
【0089】
複数のパッドプラグ電極82は、最上絶縁層56内において高電位端子12(第1高電位端子12A)および高電位接続配線81の間の領域に形成され、高電位端子12及び高電位接続配線81にそれぞれ電気的に接続されている。複数のパッドプラグ電極82は、平面視において高電位接続配線81の平面積未満の平面積をそれぞれ有している。
【0090】
図7を参照して、低電位端子11および高電位端子12の間の距離D1は、低電位コイル22および高電位コイル23の間の距離D2を超えていることが好ましい(D2<D1)。距離D1は、複数の層間絶縁層57の総厚さDTを超えていることが好ましい(DT<D1)。距離D1に対する距離D2の比D2/D1は、0.01以上0.1以下であってもよい。距離D1は、100μm以上500μm以下であることが好ましい。距離D2は、1μm以上50μm以下であってもよい。距離D2は、5μm以上25μm以下であることが好ましい。距離D1および距離D2の値は任意であり、実現すべき絶縁耐圧に応じて適宜調整される。
【0091】
図6及び図7を参照して、半導体装置5は、平面視において変圧器21A~21Dの周囲に位置するように絶縁層51内に埋設されたダミーパターン85を含む。
【0092】
ダミーパターン85は、高電位コイル23および低電位コイル22とは異なるパターン(不連続なパターン)で形成されており、変圧器21A~21Dから独立している。つまり、ダミーパターン85は、変圧器21A~21Dとしては機能しない。ダミーパターン85は、変圧器21A~21Dにおいて低電位コイル22および高電位コイル23の間の電界を遮蔽し、高電位コイル23に対する電界集中を抑制するシールド導体層として形成されている。ダミーパターン85は、この形態では、単位面積当たりにおいて高電位コイル23のライン密度と等しいライン密度で引き回されている。ダミーパターン85のライン密度が高電位コイル23のライン密度と等しいとは、ダミーパターン85のライン密度が高電位コイル23のライン密度の±20%の範囲内に収まることを意味する。
【0093】
絶縁層51の内部におけるダミーパターン85の深さ位置は任意であり、緩和すべき電界強度に応じて調整される。ダミーパターン85は、法線方向Zに関して低電位コイル22に対して高電位コイル23に近接する領域に形成されていることが好ましい。なお、法線方向Zに関してダミーパターン85が高電位コイル23に近接するとは、法線方向Zに関して、ダミーパターン85および高電位コイル23の間の距離が、ダミーパターン85および低電位コイル22の間の距離未満であることを意味する。
【0094】
この場合、高電位コイル23に対する電界集中を適切に抑制できる。法線方向Zに関して、ダミーパターン85及び高電位コイル23の間の距離を小さくするほど、高電位コイル23に対する電界集中を抑制できる。ダミーパターン85は、高電位コイル23と同一の層間絶縁層57内に形成されていることが好ましい。この場合、高電位コイル23に対する電界集中を更に適切に抑制できる。ダミーパターン85は、電気的状態が異なる複数のダミーパターンを含む。ダミーパターン85は高電位ダミーパターンを含んでもよい。
【0095】
絶縁層51の内部における高電位ダミーパターン86の深さ位置は任意であり、緩和すべき電界強度に応じて調整される。高電位ダミーパターン86は、法線方向Zに関して低電位コイル22に対して高電位コイル23に近接する領域に形成されていることが好ましい。法線方向Zに関して高電位ダミーパターン86が高電位コイル23に近接するとは、法線方向Zに関して、高電位ダミーパターン86および高電位コイル23の間の距離が、高電位ダミーパターン86及び低電位コイル22の間の距離未満であることを意味する。
【0096】
ダミーパターン85は、変圧器21A~21Dの周囲に位置するように絶縁層51内に電気的に浮遊状態に形成された浮遊ダミーパターンを含む。
【0097】
浮遊ダミーパターンは、この形態では、平面視において高電位コイル23の周囲の領域を部分的に被覆し、かつ、部分的に露出させるように密なライン状に引き回されている。浮遊ダミーパターンは、有端状に形成されていてもよいし、無端状に形成されてもよい。
【0098】
絶縁層51の内部における浮遊ダミーパターンの深さ位置は任意であり、緩和すべき電界強度に応じて調整される。
【0099】
浮遊ラインの個数は任意であり、緩和すべき電界に応じて調整される。浮遊ダミーパターンは、複数の浮遊ラインから構成されていてもよい。
【0100】
図7を参照して、半導体装置5は、デバイス領域62において半導体チップ41の第1主面42に形成された第2機能デバイス60を含む。第2機能デバイス60は、半導体チップ41の第1主面42の表層部、および/または、半導体チップ41の第1主面42の上の領域を利用して形成され、絶縁層51(最下絶縁層55)によって被覆されている。図7では、第2機能デバイス60が第1主面42の表層部に示された破線によって簡略化して示されている。
【0101】
第2機能デバイス60は、低電位配線を介して低電位端子11に電気的に接続され、高電位配線を介して高電位端子12に電気的に接続されている。低電位配線は、第2機能デバイス60に接続されるように絶縁層51内に引き回されている点を除いて、第1低電位配線31(第2低電位配線32)と同様の構造を有している。高電位配線は、第2機能デバイス60に接続されるように絶縁層51内に引き回されている点を除いて、第1高電位配線33(第2高電位配線34)と同様の構造を有している。第2機能デバイス60に係る低電位配線および高電位配線の具体的な説明は省略される。
【0102】
第2機能デバイス60は、受動デバイス、半導体整流デバイスおよび半導体スイッチングデバイスのうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。受動デバイスは、第2機能デバイス60は、受動デバイス、半導体整流デバイスおよび半導体スイッチングデバイスのうちの任意の2種以上のデバイスが選択的に組み合わされた回路網を含んでいてもよい。回路網は、集積回路の一部または全部を形成していてもよい。
【0103】
受動デバイスは、半導体受動デバイスを含んでいてもよい。受動デバイスは、抵抗及びコンデンサのいずれか一方または双方を含んでいてもよい。半導体整流デバイスは、pn接合ダイオード、PINダイオード、ツェナーダイオード、ショットキーバリアダイオードおよびファーストリカバリーダイオードのうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。半導体スイッチングデバイスは、BJT[Bipolar Junction Transistor]、MISFET[Metal Insulator Field Effect Transistor]、IGBT[Insulated Gate Bipolar Junction Transistor]およびJFET[Junction Field Effect Transistor]のうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。
【0104】
図5図7を参照して、半導体装置5は、絶縁層51内に埋設されたシール導体61をさらに含む。シール導体61は、平面視において絶縁側壁53A~53Dから間隔を空けて絶縁層51内に壁状に埋設され、絶縁層51をデバイス領域62および外側領域63に区画している。シール導体61は、外側領域63からデバイス領域62への水分の進入及びクラックの進入を抑制する。
【0105】
デバイス領域62は、第1機能デバイス45(複数の変圧器21)、第2機能デバイス60、複数の低電位端子11、複数の高電位端子12、第1低電位配線31、第2低電位配線32、第1高電位配線33、第2高電位配線34およびダミーパターン85を含む領域である。外側領域63は、デバイス領域62外の領域である。
【0106】
シール導体61は、デバイス領域62から電気的に切り離されている。シール導体61は、具体的には、第1機能デバイス45(複数の変圧器21)、第2機能デバイス60、複数の低電位端子11、複数の高電位端子12、第1低電位配線31、第2低電位配線32、第1高電位配線33、第2高電位配線34およびダミーパターン85から電気的に切り離されている。シール導体61は、さらに具体的には、電気的に浮遊状態に固定されている。シール導体61は、デバイス領域62に繋がる電流経路を形成しない。
【0107】
シール導体61は、平面視において、絶縁側壁53~53Dに沿う帯状に形成されている。シール導体61は、この形態では、平面視において、四角環状(具体的には長方形環状)に形成されている。これにより、シール導体61は、平面視において四角形状(具体的には長方形状)のデバイス領域62を区画している。また、シール導体61は、平面視においてデバイス領域62を取り囲む四角環状(具体的には長方形環状)の外側領域63を区画している。
【0108】
シール導体61は、具体的には、絶縁主面52側の上端部、半導体チップ41側の下端部、ならびに、上端部および下端部の間を壁状に延びる壁部を有している。シール導体61の上端部は、この形態では、絶縁主面52から半導体チップ41側に間隔を空けて形成され、絶縁層51内に位置している。シール導体61の上端部は、この形態では、最上絶縁層56によって被覆されている。シール導体61の上端部は、1つまたは複数の層間絶縁層57によって被覆されていてもよい。シール導体61の上端部は、最上絶縁層56から露出していてもよい。シール導体61の下端部は、半導体チップ41から上端部側に間隔を空けて形成されている。
【0109】
このように、シール導体61は、この形態では、複数の低電位端子11および複数の高電位端子12に対して半導体チップ41側に位置するように絶縁層51内に埋設されている。また、シール導体61は、絶縁層51内において第1機能デバイス45(複数の変圧器21)、第1低電位配線31、第2低電位配線32、第1高電位配線33、第2高電位配線34およびダミーパターン85に絶縁主面52に平行な方向に対向している。シール導体61は、絶縁層51内において、第2機能デバイス60の一部に絶縁主面52に平行な方向に対向していてもよい。
【0110】
シール導体61は、複数のシールプラグ導体64、および、1つまたは複数(この形態では複数)のシールビア導体65を含む。シールビア導体65の個数は任意である。複数のシールプラグ導体64のうちの最上のシールプラグ導体64は、シール導体61の上端部を形成している。複数のシールビア導体65は、シール導体61の下端部をそれぞれ形成している。シールプラグ導体64およびシールビア導体65は、低電位コイル22と同一の導電材料によって形成されていることが好ましい。つまり、シールプラグ導体64およびシールビア導体65は、低電位コイル22等と同様に、バリア層および本体層を含むことが好ましい。
【0111】
複数のシールプラグ導体64は、複数の層間絶縁層57にそれぞれ埋め込まれ、平面視においてデバイス領域62を取り囲む四角環状(具体的には長方形環状)にそれぞれ形成されている。複数のシールプラグ導体64は、互いに接続されるように最下絶縁層55から最上絶縁層56に向かって積層されている。複数のシールプラグ導体64の積層数は、複数の層間絶縁層57の積層数に一致している。むろん、複数の層間絶縁層57を貫通する1つまたは複数のシールプラグ導体64が形成されていてもよい。
【0112】
複数のシールプラグ導体64の集合体により1つの環状のシール導体61が形成されるのであれば、複数のシールプラグ導体64の全てが環状に形成される必要はない。たとえば、複数のシールプラグ導体64の少なくとも1つが有端状に形成されていてもよい。また、複数のシールプラグ導体64の少なくとも1つが複数の有端帯状部分に分割されていてもよい。ただし、デバイス領域62への水分及びクラックの進入のリスクを鑑みると、複数のシールプラグ導体64は、無端状(環状)に形成されていることが好ましい。
【0113】
複数のシールビア導体65は、最下絶縁層55において半導体チップ41およびシールプラグ導体64の間の領域にそれぞれ形成されている。複数のシールビア導体65は、半導体チップ41から間隔を空けて形成され、シールプラグ導体64に接続されている。複数のシールビア導体65は、シールプラグ導体64の平面積未満の平面積を有している。単一のシールビア導体65が形成されている場合、単一のシールビア導体65は、シールプラグ導体64の平面積以上の平面積を有していてもよい。
【0114】
シール導体61の幅は、0.1μm以上10μm以下であってもよい。シール導体61の幅は、1μm以上5μm以下であることが好ましい。シール導体61の幅は、シール導体61が延びる方向に直交する方向の幅によって定義される。
【0115】
図7及び図8を参照して、半導体装置5は、半導体チップ41及びシール導体61の間に介在し、シール導体61を半導体チップ41から電気的に切り離す分離構造130を更に含む。分離構造130は、絶縁体を含むことが好ましい。分離構造130は、この形態では、半導体チップ41の第1主面42に形成されたフィールド絶縁膜131からなる。
【0116】
フィールド絶縁膜131は、酸化膜(酸化シリコン膜)及び窒化膜(窒化シリコン膜)のうちの少なくとも一方を含む。フィールド絶縁膜131は、半導体チップ41の第1主面42の酸化によって形成された酸化膜の一例としてのLOCOS(local oxidation of silicon)膜からなることが好ましい。フィールド絶縁膜131の厚さは、半導体チップ41およびシール導体61を絶縁できる限り任意である。フィールド絶縁膜131の厚さは、0.1μm以上5μm以下であってもよい。
【0117】
分離構造130は、半導体チップ41の第1主面42に形成され、平面視においてシール導体61に沿う帯状に延びている。分離構造130は、この形態では、平面視において四角環状(具体的には長方形環状)に形成されている。分離構造130は、シール導体61の下端部(シールビア導体65)が接続された接続部132を有している。接続部132は、シール導体61の下端部(シールビア導体65)が半導体チップ41側に向けて食い込んだアンカー部を形成していてもよい。むろん、接続部132は、分離構造130の主面に対して面一に形成されていてもよい。
【0118】
分離構造130は、デバイス領域62側の内端部130A、外側領域63側の外端部130B、ならびに、内端部130Aおよび外端部130Bの間の本体部130Cを含む。内端部130Aは、平面視において第2機能デバイス60が形成された領域(つまり、デバイス領域62)を区画している。内端部130Aは、半導体チップ41の第1主面42に形成された絶縁膜(図示せず)と一体的に形成されていてもよい。
【0119】
外端部130Bは、半導体チップ41のチップ側壁44A~44Dから露出し、半導体チップ41のチップ側壁44A~44Dに連なっている。外端部130Bは、より具体的には、半導体チップ41のチップ側壁44A~44Dに対して面一に形成されている。外端部130Bは、半導体チップ41のチップ側壁44A~44Dおよび絶縁層51の絶縁側壁53A~53Dとの間で面一な研削面を形成している。むろん、他の形態において、外端部130Bは、チップ側壁44A~44Dから間隔を空けて第1主面42内に形成されていてもよい。
【0120】
本体部130Cは、半導体チップ41の第1主面42に対してほぼ平行に延びる平坦面を有している。本体部130Cは、シール導体61の下端部(シールビア導体65)が接続された接続部132を有している。接続部132は、本体部130Cにおいて内端部130A及び外端部130Bから間隔を空けた部分に形成されている。分離構造130は、フィールド絶縁膜131の他、種々の形態を採り得る。
【0121】
図7を参照して、半導体装置5は、シール導体61を被覆するように絶縁層51の絶縁主面52の上に形成された無機絶縁層140をさらに含む。無機絶縁層140は、パッシベーション層と称されてもよい。無機絶縁層140は、絶縁主面52の上から絶縁層51及び半導体チップ41を保護する。
【0122】
無機絶縁層140は、この形態では、第1無機絶縁層141及び第2無機絶縁層142を含む積層構造を有する。第1無機絶縁層141は、酸化シリコンを含んでいてもよい。第1無機絶縁層141は、不純物無添加の酸化シリコンであるUSG(undoped silicate glass)を含むことが好ましい。第1無機絶縁層141の厚さは、50nm以上5000nm以下であってもよい。第2無機絶縁層142は、窒化シリコンを含んでいてもよい。第2無機絶縁層142の厚さは、500nm以上5000nm以下であってもよい。無機絶縁層140の総厚さを大きくすることにより、高電位コイル23上の絶縁耐圧を高めることができる。
【0123】
第1無機絶縁層141がUSGからなり、第2無機絶縁層142が窒化シリコンからなる場合、USGの絶縁破壊電圧(V/cm)は窒化シリコンの絶縁破壊電圧(V/cm)を超える。したがって、無機絶縁層140を厚化する場合、第2無機絶縁層142よりも厚い第1無機絶縁層141が形成されることが好ましい。
【0124】
第1無機絶縁層141は、酸化シリコンの一例としてのBPSG(boron doped phosphor silicate glass)およびPSG(phosphorus silicate glass)のうちの少なくとも一方を含んでいてもよい。ただし、この場合、酸化シリコン内に不純物(ホウ素又はリン)が含まれるため、高電位コイル23上の絶縁耐圧を高める上では、USGからなる第1無機絶縁層141が形成されることが特に好ましい。むろん、無機絶縁層140は、第1無機絶縁層141および第2無機絶縁層142のいずれか一方からなる単層構造を有していてもよい。
【0125】
無機絶縁層140は、シール導体61の全域を被覆し、シール導体61外の領域に形成された複数の低電位パッド開口143及び複数の高電位パッド開口144を有している。複数の低電位パッド開口143は、複数の低電位端子11をそれぞれ露出させている。複数の高電位パッド開口144は、複数の高電位端子12をそれぞれ露出させている。無機絶縁層140は、低電位端子11の周縁部に乗り上げたオーバラップ部を有していてもよい。無機絶縁層140は、高電位端子12の周縁部に乗り上げたオーバラップ部を有していてもよい。
【0126】
半導体装置5は、無機絶縁層140の上に形成された有機絶縁層145を更に含む。有機絶縁層145は、感光性樹脂を含んでいてもよい。有機絶縁層145は、ポリイミド、ポリアミドおよびポリベンゾオキサゾールのうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。有機絶縁層145は、この形態では、ポリイミドを含む。有機絶縁層145の厚さは、1μm以上50μm以下であってもよい。
【0127】
有機絶縁層145の厚さは、無機絶縁層140の総厚さを超えていることが好ましい。さらに、無機絶縁層140および有機絶縁層145の総厚さは、低電位コイル22及び高電位コイル23の間の距離D2以上であることが好ましい。この場合、無機絶縁層140の総厚さは2μm以上10μm以下であることが好ましい。また、有機絶縁層145の厚さは5μm以上50μm以下であることが好ましい。これらの構造によれば、無機絶縁層140及び有機絶縁層145の厚化を抑制できると同時に、無機絶縁層140及び有機絶縁層145の積層膜により高電位コイル23上の絶縁耐圧を適切に高めることができる。
【0128】
有機絶縁層145は、低電位側の領域を被覆する第1部分146及び高電位側の領域を被覆する第2部分147を含む。第1部分146は、無機絶縁層140を挟んでシール導体61を被覆している。第1部分146は、シール導体61外の領域において複数の低電位端子11(低電位パッド開口143)をそれぞれ露出させる複数の低電位端子開口148を有している。第1部分146は、低電位パッド開口143の周縁(オーバラップ部)に乗り上がったオーバラップ部を有していてもよい。
【0129】
第2部分147は、第1部分146から間隔を空けて形成されており、第1部分146との間から無機絶縁層140を露出させている。第2部分147は、複数の高電位端子12(高電位パッド開口144)をそれぞれ露出させる複数の高電位端子開口149を有している。第2部分147は、高電位パッド開口144の周縁(オーバラップ部)に乗り上がったオーバラップ部を有していてもよい。
【0130】
第2部分147は、変圧器21A~21Dおよびダミーパターン85を一括して被覆している。第2部分147は、具体的には、複数の高電位コイル23、複数の高電位端子12、第1高電位ダミーパターン87、第2高電位ダミーパターン88および浮遊ダミーパターン121を一括して被覆している。
【0131】
本発明の実施形態は、さらに他の形態で実施できる。前述の実施形態では、第1機能デバイス45および第2機能デバイス60が形成された例について説明した。しかし、第1機能デバイス45を有さずに、第2機能デバイス60だけを有する形態が採用されてもよい。この場合、ダミーパターン85は取り除かれてもよい。この構造によれば、第2機能デバイス60について、第1実施形態において述べた効果(ダミーパターン85に係る効果を除く)と同様の効果を奏することができる。
【0132】
つまり、低電位端子11および高電位端子12を介して第2機能デバイス60に電圧が印加された場合において、高電位端子12およびシール導体61の間の不所望な導通を抑制できる。また、低電位端子11および高電位端子12を介して第2機能デバイス60に電圧が印加された場合において、低電位端子11およびシール導体61の間の不所望な導通を抑制できる。
【0133】
また、前述の実施形態では、第2機能デバイス60が形成された例について説明した。しかし、第2機能デバイス60は必ずしも必要ではなく、取り除かれてもよい。
【0134】
また、前述の実施形態では、ダミーパターン85が形成された例について説明した。しかし、ダミーパターン85は必ずしも必要ではなく、取り除かれてもよい。
【0135】
また、前述の実施形態では、第1機能デバイス45が、複数の変圧器21を含むマルチチャネル型からなる例について説明した。しかし、単一の変圧器21を含むシングルチャネル型からなる第1機能デバイス45が採用されてもよい。
【0136】
<トランス配列>
図9は、2チャンネル型のトランスチップ300(先出の半導体装置5に相当)におけるトランス配列の一例を模式的に示す平面図(上面図)である。本図のトランスチップ300は、第1トランス301と、第2トランス302と、第3トランス303と、第4トランス304と、第1ガードリング305と、第2ガードリング306と、パッドa1~a8と、パッドb1~b8と、パッドc1~c4と、パッドd1~d4と、を有する。
【0137】
トランスチップ300において、第1トランス301を形成する二次側コイルL1sの一端には、パッドa1及びb1が接続されており、二次側コイルL1sの他端には、パッドc1及びd1が接続されている。第2トランス302を形成する二次側コイルL2sの一端には、パッドa2及びb2が接続されており、二次側コイルL2sの他端には、パッドc1及びd1が接続されている。
【0138】
また、第3トランス303を形成する二次側コイルL3sの一端には、パッドa3及びb3が接続されており、二次側コイルL3sの他端には、パッドc2及びd2が接続されている。第4トランス304を形成する二次側コイルL4sの一端には、パッドa4及びb4が接続されており、二次側コイルL4sの他端には、パッドc2及びd2が接続されている。
【0139】
なお、第1トランス301を形成する一次側コイル、第2トランス302を形成する一次側コイル、第3トランス303を形成する一次側コイル、及び、第4トランス304を形成する一次側コイルは、いずれも本図に明示されていない。ただし、一次側コイルは、それぞれ、基本的に二次側コイルL1s~L4sと同様の構成を有しており、二次側コイルL1s~L4sとそれぞれ対向する形で、二次側コイルL1s~L4sそれぞれの直下に配置されている。
【0140】
すなわち、第1トランス301を形成する一次側コイルの一端には、パッドa5及びb5が接続されており、一次側コイルの他端には、パッドc3及びd3が接続されている。また、第2トランス302を形成する一次側コイルの一端には、パッドa6及びb6が接続されており、一次側コイルの他端には、パッドc3及びd3が接続されている。
【0141】
また、第3トランス303を形成する一次側コイルの一端には、パッドa7及びb7が接続されており、一次側コイルの他端には、パッドc4及びd4が接続されている。また、第4トランス304を形成する一次側コイルの一端には、パッドa8及びb8が接続されており、一次側コイルの他端には、パッドc4及びd4が接続されている。
【0142】
ただし、上記のパッドa5~a8、パッドb5~b8、パッドc3並びにc4、及び、パッドd3並びにd4については、不図示のビアを介してトランスチップ300の内部から表面まで引き出されている。
【0143】
上記複数のパッドのうち、パッドa1~a8は、それぞれ、第1の電流供給用パッドに相当し、パッドb1~b8は、それぞれ、第1の電圧測定用パッドに相当する。また、パッドc1~c4は、それぞれ、第2の電流供給用パッドに相当し、パッドd1~d4は、それぞれ、第2の電圧測定用パッドに相当する。
【0144】
従って、本構成例のトランスチップ300であれば、その不良品検査時に各コイルの直列抵抗成分を正確に測定することができる。従って、各コイルの断線が生じている不良品をリジェクトすることはもちろん、各コイルの抵抗値異常(例えば、コイル同士の中途短絡)が生じている不良品についても、これを適切にリジェクトすることが可能となり、延いては、不良品の市場流出を未然に防止することが可能となる。
【0145】
なお、上記の不良品検査を通過したトランスチップ300については、上記複数のパッドを一次側チップ及び二次側チップ(例えば先出のコントローラチップ210及びドライバチップ220)との接続手段として用いればよい。
【0146】
具体的に述べると、パッドa1並びにb1、パッドa2並びにb2、パッドa3並びにb3、及び、パッドa4及びb4は、それぞれ、二次側チップの信号入力端または信号出力端に接続すればよい。また、パッドc1並びにd1、及び、パッドc2及びd2は、それぞれ、二次側チップのコモン電圧印加端(GND2)に接続すればよい。
【0147】
一方、パッドa5並びにb5、パッドa6並びにb6、パッドa7並びにb7、及び、パッドa8及びb8は、それぞれ、一次側チップの信号入力端または信号出力端に接続すればよい。また、パッドc3並びにd3、及び、パッドc4及びd4は、それぞれ、一次側チップのコモン電圧印加端(GND1)に接続すればよい。
【0148】
ここで、第1トランス301~第4トランス304は、図9に示すように、それぞれの信号伝達方向毎にカップリングして並べられている。本図に即して述べると、例えば一次側チップから二次側チップに向けて信号を伝達する第1トランス301と第2トランス302が第1ガードリング305によって第1のペアとされている。また、例えば二次側チップから一次側チップに向けて信号を伝達する第3トランス303と第4トランス304が第2ガードリング306によって第2のペアとされている。
【0149】
このようなカップリングを行った理由は、第1トランス301~第4トランス304をそれぞれ形成する一次側コイルと二次側コイルをトランスチップ300の基板上下方向に積み重ねる形で積層形成した場合において、一次側コイルと二次側コイルとの間で耐圧を確保するためである。ただし、第1ガードリング305、及び、第2ガードリング306については、必ずしも必須の構成要素ではない。
【0150】
なお、第1ガードリング305及び第2ガードリング306は、それぞれ、パッドe1及びe2を介して、接地端などの低インピーダンス配線に接続すればよい。
【0151】
また、トランスチップ300において、パッドc1及びd1は、二次側コイルL1sと二次側コイルL2sとの間で共有されている。また、パッドc2及びd2は、二次側コイルL3sと二次側コイルL4sとの間で共有されている。また、パッドc3及びd3は、一次側コイルL1pと一次側コイルL2pとの間で共有されている。また、パッドc4及びd4は、対応するそれぞれの一次側コイルとの間で共有されている。このような構成とすることにより、パッド数を削減して、トランスチップ300の小型化を図ることが可能となる。
【0152】
また、図9に示したように、第1トランス301~第4トランス304をそれぞれ形成する一次側コイルと二次側コイルは、トランスチップ300の平面視において、長方形状(または角を丸めたトラック状)となるように巻き回すことが望ましい。このような構成とすることにより、一次側コイルと二次側コイルが互いに重複する部分の面積が大きくなり、トランスの伝達効率を高めることが可能となる。
【0153】
もちろん、本図のトランス配列はあくまでも一例であり、コイルの個数、形状、配置、及び、パッドの配置は任意である。また、これまでに説明してきたチップ構造及びトランス配列などについては、半導体チップ上にコイルを集積化した半導体装置全般に適用することが可能である。
【0154】
<オシレータ>
次に本実施形態に係るオシレータの構成について説明する。オシレータの説明にあたり、幾つかの用語について説明を設ける。グランドとは、基準となる0V(ゼロボルト)の電位を有する基準導電部を指す又は0Vの電位そのものを指す。基準導電部は金属等の導体を用いて形成されて良い。0Vの電位をグランド電位と称することもある。以下の説明において、特に基準を設けずに示される電圧はグランドから見た電位を表す。
【0155】
レベルとは電位のレベルを指し、任意の注目した信号又は電圧についてハイレベルはローレベルよりも高い電位を有する。任意の注目した信号について、当該信号がハイレベルであるとき、当該信号の反転信号はローレベルをとり、当該信号がローレベルであるとき、当該信号の反転信号はハイレベルをとる。
【0156】
任意の注目した信号又は電圧において、ローレベルからハイレベルへの切り替わりをアップエッジと称する。アップエッジをライジングエッジに読み替えて良い。任意の注目した信号又は電圧において、ハイレベルからローレベルへの切り替わりをダウンエッジと称する。ダウンエッジをフォーリングエッジに読み替えて良い。
【0157】
MOSFETを含むFET(電界効果トランジスタ)として構成された任意のトランジスタについて、オン状態とは、当該トランジスタのドレイン及びソース間が導通している状態を指し、オフ状態とは、当該トランジスタのドレイン及びソース間が非導通となっている状態(遮断状態)を指す。FETに分類されないトランジスタについても同様である。MOSFETは、特に記述無き限り、エンハンスメント型のMOSFETであると解される。MOSFETは“metal-oxide-semiconductor field-effect transistor”の略称である。また、特に記述なき限り、任意のMOSFETにおいて、バックゲートはソースに短絡されていると考えて良い。
【0158】
MOSFETの電気的特性にはゲート閾電圧が含まれる。Nチャネル型且つエンハンスメント型のMOSFETである任意のトランジスタについて、当該トランジスタのゲート電位が当該トランジスタのソース電位よりも高く、且つ、当該トランジスタのゲート-ソース間電圧(ソース電位から見たゲート電位)の大きさが当該トランジスタのゲート閾電圧以上であるとき、当該トランジスタはオン状態となり、そうでないとき、当該トランジスタはオフ状態となる。Pチャネル型のMOSFETについても同様である。任意のFETについて、ゲート閾電圧とは、所定の周辺温度環境下において、当該FETのドレイン及びソース間に所定電圧を印加している際に所定の大きさのドレイン電流を流すために必要なゲート-ソース間電圧として定義される。
【0159】
以下、任意のトランジスタについて、オン状態、オフ状態を、単に、オン、オフと表現することもある。任意のトランジスタについて、オフ状態からオン状態への切り替わりをターンオンと表現し、オン状態からオフ状態への切り替わりをターンオフと表現する。また、任意のトランジスタについて、トランジスタがオン状態となっている期間をオン期間と称し、トランジスタがオフ状態となっている期間をオフ期間と称する。
【0160】
ハイレベル又はローレベルの信号レベルをとる任意の信号について、当該信号のレベルがハイレベルとなる期間をハイレベル期間と称し、当該信号のレベルがローレベルとなる期間をローレベル期間と称する。
【0161】
任意の回路素子、配線、ノードなど、回路を形成する複数の部位間についての接続とは、特に記述なき限り、電気的な接続を指すと解して良い。尚、本明細書では、記述の簡略化上、情報、信号、物理量、機能部、回路、素子又は部品等を参照する記号又は符号を記すことによって、該記号又は符号に対応する情報、信号、物理量、機能部、回路、素子又は部品等の名称を省略又は略記することがある。
【0162】
図10にオシレータに設けられる発振回路1000の基本構成を示す。発振回路1000に対しグランドを基準に電源電圧VACCが入力される。電源電圧VACCは所定の正の直流電圧値を有する。発振回路1000はグランド電位を基準に電源電圧VACCに基づいて駆動する。
【0163】
発振回路1000は、所謂リングオシレータの構造を有し、ループ状に接続された複数段の信号遅延回路D[1]~D[N]を有する。Nは3以上の任意の整数である。発振回路1000に対する入力信号を記号“Sin”にて表し、発振回路1000からの出力信号を記号“Sout”にて表す。入力信号Sin及び出力信号Soutは矩形波信号であって、ハイレベル又はローレベルの信号レベルを持つ。入力信号Sin及び出力信号Soutの夫々において、ハイレベルは実質的に電源電圧VACCの電位を有し、ローレベルは実質的にグランド電位を有する。出力信号Soutは発振回路1000が導出すべき出力矩形波信号に相当する。
【0164】
信号遅延回路D[1]~D[N]の夫々は、自身への入力信号に応じた出力信号を生成する。信号遅延回路D[i]から出力される信号を記号“S[i]”にて表す。iは任意の整数を表す。信号遅延回路D[i+1]は信号遅延回路D[i]の後段に配置され、信号遅延回路D[i]の出力信号S[i]は信号遅延回路D[i+1]へ入力される(但し、ここにおけるiは“1≦i≦N-1”を満たす整数)。故に、信号S[i]は信号遅延回路D[i+1]への入力信号であり、信号遅延回路D[i+1]は自身への入力信号S[i]に応じた出力信号S[i+1]を生成及び出力する。
【0165】
信号遅延回路D[1]~D[N]の内、信号遅延回路D[1]が初段の信号遅延回路であって、信号遅延回路D[N]が最終段の信号遅延回路である。発振回路1000への入力信号Sinは入力信号S[0]として信号遅延回路D[1]に入力される。信号遅延回路D[N]は出力信号S[N]を発振回路1000の出力信号Soutとして出力する。発振回路1000の出力信号Soutは発振回路1000への入力信号Sinとして(従って信号遅延回路D[1]への入力信号S[0]として)信号遅延回路D[1]へ帰還入力される。
【0166】
信号遅延回路D[1]に対して入力信号Sinが供給されると、発振回路1000の応答特性に応じた遅延時間を経て、入力信号Sinに応じた出力信号Soutが信号遅延回路D[N]から出力される。ここで、出力信号Soutは入力信号Sinの論理否定信号である。このため、発振回路1000は全体として負のゲインを持つので、発振回路1000にて(信号遅延回路D[1]~D[N]にて)発振動作が行われ、結果、矩形波信号が出力信号Soutとして導出される。
【0167】
図11に入力信号Sin及び出力信号Soutの波形を概略的に示す。時間の進行につれて時刻T1、T2、T3、T4が、この順番で訪れる。今、時刻T1にて入力信号Sinにアップエッジが発生したとする。時刻T1にて入力信号Sinにアップエッジが生じると、時刻T1より遅延時間td1だけ後の時刻T2にて出力信号Soutにダウンエッジが発生する。時刻T2における出力信号Soutのダウンエッジを契機に、時刻T3にて入力信号Sinにダウンエッジが生じる。尚、時刻T2及びT3間の差は、出力信号Soutから入力信号Sinとして帰還されるまでの遅延時間であり、極めて微小である。時刻T3にて入力信号Sinにダウンエッジが生じると、時刻T3より遅延時間td2だけ後の時刻T4にて出力信号Soutにアップエッジが発生する。
【0168】
このように、入力信号Sinがハイレベルであるとき、出力信号Soutは入力信号Sinの論理反転信号であるローレベルの信号となる。但し、入力信号Sinがローレベルからハイレベルに切り替わったとき、遅延時間td1を経てから出力信号Soutがハイレベルからローレベルに切り替わる。逆に、入力信号Sinがローレベルであるとき、出力信号Soutは入力信号Sinの論理反転信号であるハイレベルの信号となる。但し、入力信号Sinがハイレベルからローレベルに切り替わったとき、遅延時間td2を経てから出力信号Soutがローレベルからハイレベルに切り替わる。
【0169】
遅延時間td1及びtd2は発振回路1000の内部構成に依存して定まる。尚、図11では、遅延時間td1及びtd2の長さが概ね同等であるかのように図示されているが、遅延時間td1及びtd2の長さは互いに相違しうる。
【0170】
信号遅延回路D[1]~D[N]は各々にインバータ回路(換言すれば否定回路)であって良く、この場合、Nは3以上の任意の奇数である。
【0171】
[参考例]
図12に参考例に係るオシレータ9000の回路図を示す。オシレータ9000は、ループ状に接続された複数段のインバータ回路を有し、遅延時間を設定して所望周波数の矩形波信号を得るために、抵抗及びコンデンサを利用する。オシレータ9000の内部構成の詳細な説明は省略するが、図12の回路構成では、オシレータ9000内で発生する遅延時間が、電源電圧の変動によって変動し、温度変動によっても変動する。これは、オシレータ9000で得られる出力矩形波信号の周波数が、電源電圧の変動又は温度の変動につれて変動することを意味する。また、製造時に発生する素子の特性ばらつきによって、得られる周波数が所望周波数からずれる。
【0172】
[第1実施例]
第1実施例を説明する。図13に第1実施例に係るオシレータ2000の回路図を示す。オシレータ2000は、起動回路2100、基準電流生成回路2200、発振回路2300、波形整形回路2400及びイネーブル回路2500を備える。また端子TM1及びTM2もオシレータ2000に設けられる。
【0173】
起動回路2100はトランジスタ2101~2103を備える。基準電流生成回路2200はトランジスタ2201~2204と基準抵抗2205を備える。発振回路2300はコンデンサ2311と、トランジスタ2312、2313、2321、2322、2331及び2332を備える。波形整形回路2400はフリップフロップ2401とインバータ回路2402を備える。イネーブル回路2500はAND回路2501を備える。トランジスタ2101、2201、2202、2313、2321及び2331はPチャネル型のMOSFETである。トランジスタ2102、2103、2203、2204、2312、2322及び2332はNチャネル型のMOSFETである。
【0174】
発振回路2300は図10の発振回路1000の例であり、発振回路2300では“N=3”である。発振回路2300は、信号遅延回路D[1]として信号遅延回路2310を有し、信号遅延回路D[2]として信号遅延回路2320を有し、且つ、信号遅延回路D[3]として信号遅延回路2330を有する。信号遅延回路2310はコンデン2311とトランジスタ2312及び2313により構成される。信号遅延回路2320はトランジスタ2321及び2322により構成される。信号遅延回路2330はトランジスタ2331及び2332により構成される。
【0175】
まずオシレータ2000における各素子の接続関係を説明する。電源配線WR1に対して上述の電源電圧VACCが加わる。トランジスタ2101、2201、2202、2313、2321及び2331の夫々のソースは電源配線WR1に接続されて電源電圧VACCを受ける。トランジスタ2102、2204、2312、2322及び2332の夫々のソースはグランドに接続され、故にグランド電位を有する。トランジスタ2101のゲートはグランドに接続される。トランジスタ2101のドレインと、トランジスタ2102のドレイン及びゲートと、トランジスタ2103のゲートは、互いに接続される。トランジスタ2201のゲート及びドレインと、トランジスタ2202、2313及び2321の各ゲートとは、互いに接続される。またトランジスタ2201、2103及び2203のドレイン同士は互いに接続される。トランジスタ2103のソースと、トランジスタ2203のソースと、トランジスタ2204のゲートと、基準抵抗2205の第1端とは、互いに接続される。基準抵抗2205の第2端はグランドに接続される。トランジスタ2203のゲートはトランジスタ2202及び2204の各ドレインに接続される。
【0176】
コンデンサ2311の第1端と、トランジスタ2312のドレインと、トランジスタ2313のドレインと、トランジスタ2322のゲートは、ノード2314にて共通接続される。ノード2314における信号を記号“Smid1”にて表す。コンデンサ2311の第2端はグランドに接続される。従って、コンデンサ2311とトランジスタ2312は並列接続される。トランジスタ2321及び2322のドレイン同士はノード2323にて共通接続される。ノード2323における信号を記号“Smid2”にて表す。トランジスタ2331及び2332の各ゲートもノード2323に接続される。トランジスタ2331及び2332のドレイン同士はノード2333にて共通接続される。ノード2333における信号が発振回路2300の出力信号Soutである。第1実施例において、信号Soutとはノード2333の信号を指すものとする。
【0177】
フリップフロップ2401はD型のフリップフロップであり、以下、DFF2401と表記する。DFF2401はD入力端子、Q出力端子、クロック入力端子及びR入力端子を有する。DFF2401のクロック入力端子はノード2333に接続され、故に発振回路2300からの出力信号Soutを受ける。DFF2401のQ出力端子からDFF2401の出力信号が出力される。DFF2401の出力信号は波形整形回路2400の出力信号である。波形整形回路2400の出力信号を記号“OSC_OUT”にて表す。DFF2401のQ出力端子は端子TM2に接続され、故に端子TM2に信号OSC_OUTが加わる。信号OSC_OUTはオシレータ2000の出力信号に相当する。インバータ回路2402の入力端子はDFF2401のQ出力端子に接続される。インバータ回路2402の出力端子はDFF2401のD入力端子に接続される。
【0178】
オシレータ2000の外部に設けられた図示されない回路から端子TM1に対してイネーブル信号Senが供給される。DFF2401のR入力端子はDFF2401のリセット入力端子であり、DFF2401のリセット入力端子では負論理が採用される。DFF2401のR入力端子は端子TM1に接続されてイネーブル信号Senを受ける。
【0179】
AND回路2501は2入力の論理積回路であり、第1及び第2入力端子と出力端子を有する。AND回路2501の第1入力端子は端子TM1に接続されてイネーブル信号Senを受ける。AND回路2501の第2入力端子はノード2333に接続されて信号Soutを受ける。AND回路2501の出力端子からAND回路2501の出力信号が出力される。AND回路2501の出力信号はイネーブル回路2500の出力信号であって、信号Sen及びSoutの論理積信号である。AND回路2501の出力信号が発振回路2300への入力信号Sinとして信号遅延回路2310に帰還入力される。詳細にはAND回路2501の出力端子がトランジスタ2312のゲートに接続され、故にトランジスタ2312のゲートに入力信号Sinが加わる。第1実施例において、信号Sinとはトランジスタ2312のゲートに加わる信号を指す。
【0180】
次に起動回路2100の動作を説明する。オシレータ2000に対する駆動電力が遮断されている状態を電源遮断状態と称する。電源遮断状態において電源配線WR1の電圧は0Vであり、オシレータ2000内の各回路は動作を停止している。電源遮断状態を起点に、オシレータ2000に駆動電力が供給開始されるとき、電源配線WR1の電圧値が0Vから所定の電圧値Vに向けて上昇する。この上昇過程においてトランジスタ2101にドレイン電流が流れ始め、トランジスタ2101のドレイン電流はトランジスタ2102のチャネルを通じて流れる。トランジスタ2102及び2103はカレントミラー回路を形成する。当該カレントミラー回路は、トランジスタ2102のドレイン電流に比例する電流がトランジスタ2103のドレインからソースに向けて流れるよう作用するので、電源配線WR1の電位に比べてトランジスタ2201及び2202のゲート電位が低くなる。結果、トランジスタ2201及び2202にドレイン電流が流れ始める。トランジスタ2201及び2202にドレイン電流が流れ始めた後、電源配線WR1の電圧値が所定の電圧値Vを有している状態において、基準電流生成回路2200が平衡状態に至る。ここにおける所定の電圧値Vは、電源遮断状態の後、オシレータ2000の動作状態において、電源電圧VACCが最終的に有するべき正の電圧値である。
【0181】
以下では、特に記述無き限り、電源電圧VACCが電圧値Vを有し、基準電流生成回路2200が平衡状態にあるものとする。尚、電圧値Vは直流の電圧値であるが、製造ばらつき又は温度変化により目標となる電圧値から変動しうる。
【0182】
基準電流生成回路2200の動作を説明する。基準電流生成回路2200の平衡状態におけるトランジスタ2201のドレイン電流を基準電流Irefと称する。基準電流Irefは、電源電圧VACCの値に依存することなく、一定の電流値を持つ定電流である。尚、図13の起動回路2100の構成では、オシレータ2000の起動時だけでなく基準電流生成回路2200が平衡状態に至った後においてもトランジスタ2103のチャネルに電流が流れる。但し、トランジスタ2103のドレイン電流は、抵抗として機能するトランジスタ2101の特性とトランジスタ2102及び2103から成るカレントミラー回路の電流比とで定まり、基準電流生成回路2200の平衡状態において基準電流Irefはトランジスタ2103のドレイン電流よりも十分に大きい。このため、基準電流Irefは全てトランジスタ2203のドレイン及びソース間を流れるとみなすことができる。
【0183】
基準抵抗2205が有する抵抗値を記号“R”にて表すと共に、トランジスタ2204のゲート閾電圧を記号“Vth1”で表す。そうすると以下の式(A1)が成立する。
Iref=Vth1/R ・・・(A1)
【0184】
式(A1)が成立する理由について説明を加える。基準抵抗2205に発生する電圧降下がトランジスタ2204のゲート-ソース間に加わる。基準電流生成回路2200の平衡状態では、基準抵抗2205に発生する電圧降下がゲート閾電圧Vth1と一致する。
【0185】
基準電流Irefが電流(Vth1/R)より高まると、基準抵抗2205に発生する電圧降下がトランジスタ2204のゲート閾電圧Vth1よりも高くなり、トランジスタ2204のオン抵抗の低下及びトランジスタ2203のソース電位の上昇を通じてトランジスタ2203のゲート-ソース間電圧が減少し、トランジスタ2203のドレイン電流が減少する(従って基準電流Irefが減少する)。
【0186】
逆に基準電流Irefが電流(Vth1/R)より低くなると、基準抵抗2205に発生する電圧降下がトランジスタ2204のゲート閾電圧Vth1より低くなり、トランジスタ2203のゲート電位の上昇を通じてトランジスタ2203のドレイン電流が増加する(従って基準電流Irefが増加する)
【0187】
このように、基準抵抗2205に発生する電圧降下がトランジスタ2204のゲート閾電圧Vth1と一致する平衡状態でバランスがとれる。基準抵抗2205に発生する電圧降下は電圧(Iref×R)であり、平衡状態では電圧(Iref×R)がゲート閾電圧Vth1と一致するため式(A1)が成立する。尚、トランジスタ2201及び2202にてカレントミラー回路が形成されるため、トランジスタ2202のドレイン及びソース間には基準電流Irefに比例する電流が流れる。
【0188】
発振回路2300の動作を説明する。トランジスタ2201及び2313にて形成されるカレントミラー回路は、基準電流Irefに比例する電流をトランジスタ2313のドレイン電流として発生させるよう作用する。トランジスタ2313のドレイン電流を記号“Icc”にて参照する。基準電流Irefは定電流であるため、トランジスタ2313のドレイン電流Iccも定電流である。このためトランジスタ2313のドレイン電流Iccは定電流Iccとも称され得る。定電流Iccはコンデンサ2311の充電に用いられる充電用定電流である。トランジスタ2313は、トランジスタ2201と協働して、コンデンサ2311及びトランジスタ2312の並列回路に定電流Iccを供給する充電用電流源を構成する。
【0189】
コンデンサ2311の両端間電圧を記号“Vc”にて表し、適宜、電圧Vcと称する。信号Smid1は電圧Vcを有する。電圧Vcはノード2314及びトランジスタ2322のゲートに加わる。電圧Vcはトランジスタ2322のゲート-ソース間電圧に等しい。トランジスタ2312のオン期間においてはノード2314がトランジスタ2312のチャネルを通じてグランドに短絡されるため、電圧Vcは実質的に0Vに等しい(以下、0Vとみなす)。トランジスタ2312のオフ期間においては定電流Iccにてコンデンサ2311が充電されるため、時間経過と共に電圧Vcが単調上昇する。
【0190】
トランジスタ2201及び2321にて形成されるカレントミラー回路は、基準電流Irefに比例する電流をトランジスタ2321のドレイン電流として発生させるよう作用する。トランジスタ2321は、トランジスタ2201と協働して、電源配線WR1からノード2323に向けて定電流(即ちトランジスタ2321のドレイン電流)を供給する。但し、ノード2323の電位が電源配線WR1の電位にまで高まると、トランジスタ2321のドレイン電流はゼロとなる。
【0191】
トランジスタ2322は、電圧Vcを自身のゲートとソースとの間で受け、トランジスタ2322のドレインに接続された負荷と共にソース接地型アンプを形成する。ここにおける負荷は能動負荷であり、トランジスタ2321による電流源である。但し、トランジスタ2322のドレインに接続される負荷は、電源配線WR1とトランジスタ2322のドレインとの間に接続される受動素子(抵抗)による負荷であっても良い。
【0192】
トランジスタ2322のゲート閾電圧を記号“Vth2”にて表す。電圧Vcがトランジスタ2322のゲート閾電圧Vth2より低いときには、トランジスタ2322がオフ状態にある。トランジスタ2322がオフ状態であるとき、過渡応答期間を無視すれば、ノード2323の電圧は実質的に電源電圧VACCに等しい(以下、電源電圧VACCに等しいとみなす)。ノード2323の電圧が電源電圧VACCに等しいとき、トランジスタ2331はオフ状態であり且つトランジスタ2332はオン状態であるので、過渡応答期間を無視すれば、ノード2333の電圧は実質的に0Vに等しい(以下、0Vに等しいとみなす)。
【0193】
電圧Vcがトランジスタ2322のゲート閾電圧Vth2以上のときには、トランジスタ2322がオン状態にある。トランジスタ2322がオン状態であるとき、過渡応答期間を無視すれば、ノード2323の電圧は実質的に0Vに等しい(以下、0Vとみなす)。ノード2323の電圧が0Vに等しいとき、トランジスタ2331はオン状態であり且つトランジスタ2332はオフ状態であるので、過渡応答期間を無視すれば、ノード2333の電圧は実質的に電源電圧VACCに等しい(以下、電源電圧VACCに等しいとみなす)。
【0194】
波形整形回路2400の動作を説明する。尚、DFF2401、インバータ回路2402及びAND回路2501に対しても電圧電圧VACCが供給され、それらは電源電圧VACCを元に駆動する。ノード2333における信号Soutはローレベル又はハイレベルの信号レベルを持つ。DFF2401の入力信号及び出力信号の夫々もハイレベル又はローレベルを有する。信号Soutと同様に、DFF2401の入力信号及び出力信号において、ハイレベルは実質的に電源電圧VACCの電位を有し、ローレベルは実質的にグランド電位を有する。インバータ回路2402及びAND回路2501についても同様である。
【0195】
DFF2401のR入力端子(リセット入力端子)への入力信号はイネーブル信号Senである。イネーブル信号Senはハイレベル又はローレベルの信号レベルを持つ二値信号である。イネーブル信号Senがハイレベルであることを前提に、DFF2401は信号Soutのアップエッジに同期して、D入力端子へ入力される信号のレベルを取り込んで保持する。イネーブル信号Senがハイレベルであることを前提に、DFF2401は保持したレベルを持つ信号をQ出力端子から出力する。イネーブル信号Senがローレベルであるとき、DFF2401はQ出力端子からの出力信号をローレベルで固定する。DFF2401のQ出力端子からの出力信号が信号OSC_OUTである。インバータ回路2402は、DFF2401のQ出力端子からの出力信号の反転信号を出力する。従って、DFF2401のQ出力端子からの出力信号がハイレベルであればインバータ回路2402からローレベルの信号が出力され、DFF2401のQ出力端子からの出力信号がローレベルであればインバータ回路2402からハイレベルの信号が出力される。インバータ回路2402の出力信号はDFF2401のD入力端子に入力される。
【0196】
このため波形整形回路2400は、図14に示す如く、信号Soutにアップエッジが生じるたびに、信号OSC_OUTのレベルをハイレベル及びローレベル間で反転させる。後の説明からも理解されるが、信号Soutのデューティは50%より随分と小さい。波形整形回路2400は、信号Soutの波形を整形し、整形された信号OSC_OUTを出力する。信号OSC_OUTのデューティは50%である。また、信号OSC_OUTの周波数は信号Soutの周波数の半分となる。故に、波形整形回路2400は分周器としての機能も持ち、波形整形回路2400における波形整形は分周の作用も持つ。尚、ハイレベル又はローレベルの信号レベルをとる任意の二値信号において、デューティとは、ローレベル期間とハイレベル期間との和に対するハイレベル期間の割合を指す。
【0197】
AND回路2501は、イネーブル信号Senのハイレベル期間においては、ノード2333における信号Soutを信号Sinとしてトランジスタ2312のゲートに出力する。AND回路2501は、イネーブル信号Senのローレベル期間においては、信号Sinのレベルをローレベルで固定する。信号Sinのローレベルはグランド電位を有し、信号Sinのローレベル期間においてトランジスタ2312はオフである。信号Sinのハイレベルは電源電圧VACCの電位を有し、信号Sinのハイレベル期間においてトランジスタ2312はオンである。
【0198】
イネーブル信号Senのローレベル期間においてはトランジスタ2312がオフ状態で固定されるため、過渡応答期間を除き、トランジスタ2322がオンとなり、結果、信号Soutはハイレベルで固定される。またイネーブル信号Senのローレベル期間において信号OSC_OUTはローレベルで固定される。イネーブル信号Senのハイレベル期間においてのみ信号Sinがローレベル及びハイレベル間で切り替わり、これに連動して信号Sout及びOSC_OUTもローレベル及びハイレベル間で切り替わる。ハイレベルのイネーブル信号Senは発振回路2300による発振動作の実行を指示する信号として機能し、ローレベルのイネーブル信号Senは当該発振動作の停止を指示する信号として機能する。以下では、特に記述無き限り、イネーブル信号Senがハイレベルで固定されると考える。
【0199】
第1実施例では、ノード2333における信号Soutが発振回路2300から出力される出力矩形波信号である。そして、出力矩形波信号(Sout)に基づく入力矩形波信号(Sin)に同期して、スイッチング素子としてのトランジスタ2312がオン、オフされる。
【0200】
ここで、図15に示す如く、時間tDELAYを定義する。時刻TA1にて信号Sinにダウンエッジが生じることでトランジスタ2312がオン状態よりオフ状態に切り替わる。トランジスタ2312のターンオフに伴い、時刻TA1からコンデンサ2311が充電開始される。故に、時刻TA1を起点に電圧Vcが0Vより上昇を開始する。そして、時刻TA2にて電圧Vcがゲート閾電圧Vth2に達する(“Vc=Vth2”となる)。時刻TA1及びTA2間の時間差が時間tDELAYである。即ち、トランジスタ2312がターンオフしてから電圧Vcがゲート閾電圧Vth2に達するまでに要する時間が、時間tDELAYである。
【0201】
コンデンサ2311の静電容量値を記号“C”で表す。そうすると、トランジスタ2312がターンオフしてから時間Δtだけ経過した後の電圧Vcは“Icc×Δt/C”で表される。“Δt=tDELAY”であるときの電圧Vcはゲート閾電圧Vth2と一致するため、時間tDELAYは以下の式(A2)を満たす。
DELAY=C×Vth2/Icc ・・・(A2)
【0202】
基準電流Iref及び定電流Icc間の比は1:1でなくても良いが、ここでは基準電流Iref及び定電流Icc間の比が1:1であるとする。そうすると、上記式(A1)及び(A2)より下記式(A3)が成立する。
DELAY=C×R×Vth2/Vth1 ・・・(A3)
【0203】
更にゲート閾電圧Vth1とゲート閾電圧Vth2とが等しいとすると、時間tDELAYは以下の式(A4)を満たす。トランジスタ2204及び2322に互いに同じ構造を持たせることで、トランジスタ2204及び2322に同じ電気的特性を持たせれば良く、これにより“Vth1=Vth2”が実現される。
DELAY=C×R ・・・(A4)
【0204】
信号Soutの周波数は時間tDELAYに依存して定まる。時間tDELAYは、コンデンサ2311が充電されるときにおける電圧Vcの変化速度(換言すればトランジスタ2312のオフ期間における電圧Vcの変化速度)に依存するので、信号Soutは当該変化速度に応じた周波数を持つことになる。一方で、コンデンサ2311の静電容量値C及び基準抵抗2205の抵抗値Rは温度特性を有する。即ち、温度TEMPが変化すると静電容量値C及び抵抗値Rも変化する。温度TEMPはオシレータ2000の温度であり、オシレータ2000の各素子(コンデンサ2311及び基準抵抗2205を含む)は共通の温度TEMPを有する。
【0205】
オシレータ2000では、静電容量値Cの温度変化による時間tDELAYの変化と、抵抗値Rの温度変化による時間tDELAYの変化と、が互いに相殺されるよう、コンデンサ2311及び基準抵抗2205の温度特性が設定される。静電容量値Cの温度変化とは温度TEMPの変化に起因する静電容量値Cの変化を指し、抵抗値Rの温度変化とは温度TEMPの変化に起因する抵抗値Rの変化を指す。
【0206】
具体的には、コンデンサ2311に正の温度特性を持たせる一方で基準抵抗2205に負の温度特性を持たせる。この場合、温度TEMPの上昇に伴って静電容量値Cが増大し且つ抵抗値Rが減少するように、コンデンサ2311及び基準抵抗2205の各構造が決定される。或いは、コンデンサ2311に負の温度特性を持たせる一方で基準抵抗2205に正の温度特性を持たせる。この場合、温度TEMPの上昇に伴って静電容量値Cが減少し且つ抵抗値Rが増大するように、コンデンサ2311及び基準抵抗2205の各構造が決定される。
【0207】
これによりオシレータ2000では、図12のオシレータ9000との比較において、発振周波数の温度変化を抑制できる。発振周波数の温度変化とは、温度TEMPの変化に起因する発振周波数の変化を指す。信号Soutの周波数及び信号OSC_OUTの周波数は発振周波数に属する。また、定電流Iccの値は電源電圧VACCの変動の影響を受けないため、発振周波数は電源電圧VACCの変動の影響を受け難い。
【0208】
図16に発振回路2300のタイミングチャートを示す。信号Sinにダウンエッジが発生する時刻TB1を起点に発振回路2300の動作を説明する。尚、時刻TBi+1は時刻TBiよりも後の時刻である。
【0209】
時刻TB1にて信号Sinにダウンエッジが生じることでトランジスタ2312がターンオフして電圧Vcの0Vからの上昇が開始される。時刻TB1から遅延時間tDELAYが経過した時刻TB2にて電圧Vcがゲート閾電圧Vth2に達することでトランジスタ2322がターンオンし、結果、時刻TB3にて信号Smid2にダウンエッジが生じる。信号Smid2のダウンエッジを契機にトランジスタ2331がターンオンし且つトランジスタ2332がターンオフすることで、時刻TB4にて信号Soutにアップエッジが生じる。時刻TB4での信号Soutのアップエッジを契機に、時刻TB5にて信号Sinにもアップエッジが生じる。
【0210】
時刻TB5にて信号Sinにアップエッジが生じることでトランジスタ2312がターンオンするので電圧Vcが急峻に0Vへと低下する。電圧Vcが0Vに低下することでトランジスタ2322がターンオフし、結果、時刻TB6にて信号Smid2にアップエッジが生じる。信号Smid2のアップエッジを契機にトランジスタ2331がターンオフし且つトランジスタ2332がターンオンすることで、時刻TB7にて信号Soutにダウンエッジが生じる。時刻TB7での信号Soutのダウンエッジを契機に、時刻TB8にて信号Sinにもダウンエッジが生じる。以後、信号Sinのダウンエッジを契機とした上述の動作が繰り返される。
【0211】
信号遅延回路2310~2330は、各々に、自身への入力信号の反転信号を出力するインバータ回路として機能する。
【0212】
信号遅延回路2310の入出力信号について説明する。信号遅延回路2310の入力信号は信号Sinであり、信号遅延回路2310の出力信号は信号Smid1である。信号遅延回路2310は自身への入力信号Sinの反転信号を出力する。このため、信号遅延回路2310は、入力信号Sinにダウンエッジが生じると、自身の出力信号Smid1の電位をグランド電位であるローレベルから上昇させる。但し、信号遅延回路2310では、入力信号Sinのダウンエッジを契機とした出力信号Smid1の電位変化速度が他の信号遅延回路と比べて極めて小さく、出力信号Smid1は遅延時間tDELAYをかけてゲート閾電圧Vth2分だけ上昇する。
【0213】
信号遅延回路2310は、自身への入力信号Sinにアップエッジが生じると、自身の出力信号Smid1の電位を現在の電位からローレベルへと急峻に低下させる。信号遅延回路2310は、自身への入力信号Sinがローレベルで維持されておれば出力信号Smid1の電位を電源電圧VACCのレベルまで上昇させる能力を有する。しかしながら、入力信号Sinにアップエッジが生じる時刻(時刻TB5に相当)の直前において出力信号Smid1が電源電圧VACCのレベルに達していなくとも、入力信号Sinにアップエッジが生じると、入力信号Sinの反転信号を出力すべく出力信号Smid1の電位をグランド電位に低下させる。入力信号Sinのアップエッジを契機とした出力信号Smid1の電位の低下速度は十分に大きい。図16では、入力信号Sinのアップエッジから出力信号Vmid1の電位がグランド電位に低下するまでの時間がゼロであるかのように示されている。
【0214】
信号遅延回路2320の入出力信号について説明する。信号遅延回路2320の入力信号は信号Smid1であり、信号遅延回路2320の出力信号は信号Smid2である。信号遅延回路2320は自身への入力信号Smid1の反転信号を出力する。信号遅延回路2320への入力信号Smid1において、ゲート閾電圧Vth2以上の電位はハイレベルに属し、ゲート閾電圧Vth2より低い電位はローレベルに属する。
【0215】
故に、信号遅延回路2320は、ゲート閾電圧Vth2以上の電位を持つ入力信号Smid1(即ちハイレベルの入力信号Smid1)を受けたとき、入力信号Smid1の反転信号であるローレベルの信号Smid2を出力する。時刻TB2及びTB3間の時間差は、ハイレベルの入力信号Smid1が信号遅延回路2320に与えられてから信号遅延回路2320の出力信号Smid2がローレベルに切り替わるまでの遅延時間である。信号遅延回路2320は、ゲート閾電圧Vth2より低い電位を持つ入力信号Smid1(即ちローレベルの入力信号Smid1)を受けたとき、入力信号Smid1の反転信号であるハイレベルの信号Smid2を出力する。時刻TB5及びTB6間の時間差は、ローレベルの入力信号Smid1が信号遅延回路2320に与えられてから信号遅延回路2320の出力信号Smid2がハイレベルに切り替わるまでの遅延時間である。
【0216】
信号遅延回路2330の入出力信号について説明する。信号遅延回路2330の入力信号は信号Smid2であり、信号遅延回路2330の出力信号は信号Soutである。信号遅延回路2330は自身への入力信号Smid2の反転信号を出力する。このため、信号遅延回路2330は、ローレベルの入力信号Smid2を受けるとハイレベルの出力信号Soutを出力し、ハイレベルの入力信号Smid2を受けるとローレベルの出力信号Soutを出力する。時刻TB3及びTB4間の時間差は、ローレベルの入力信号Smid2が信号遅延回路2330に与えられてから信号遅延回路2330の出力信号Soutがハイレベルに切り替わるまでの遅延時間である。時刻TB6及びTB7間の時間差は、ハイレベルの入力信号Smid2が信号遅延回路2330に与えられてから信号遅延回路2330の出力信号Soutがローレベルに切り替わるまでの遅延時間である。
【0217】
図16では、図示の便宜上、時刻TB2及びTB8間の長さが遅延時間tDELAYの数分の1程度で描かれているが、実際には、時刻TB2及びTB8間の長さは遅延時間tDELAYよりも遥かに小さい(例えば数100分の1)。故に、信号Soutの周波数は実質的に遅延時間tDELAYのみにて定まるとみなすことができる。尚、ここでは、信号Soutの周波数として数10MHzが想定されるが、信号Soutの周波数は任意である。
【0218】
[第2実施例]
第2実施例を説明する。図17に第2実施例に係るオシレータ2000Aの回路図を示す。第1実施例に係るオシレータ2000(図13)に対して定電流設定回路2600を追加することでオシレータ2000Aが得られる。この追加を除き、オシレータ2000Aはオシレータ2000と同様の構成を有する。同様の構成に対する説明を省略する。但し、定電流設定回路2600の追加に伴い、トランジスタ2313及び2321のゲートに接続先は第1実施例から変更される(詳細は後述)。
【0219】
定電流設定回路2600は、抵抗2601及び2602と、トランジスタ2603~2606と、抵抗2607と、を備える。抵抗2601及び2602は夫々に調整可能な抵抗値を持つ可変抵抗である。抵抗2607は、基準抵抗2205と同様、固定された抵抗値を持つ固定抵抗であって良い。トランジスタ2603はPNP型のバイポーラトランジスタであり、トランジスタ2604はNPN型のバイポーラトランジスタである。トランジスタ2605及び2606はPチャネル型のMOSFETである。
【0220】
定電流設定回路2600に関わる各素子の接続関係を説明する。トランジスタ2605及び2606の各ソース並びに抵抗2607の第1端は電源配線WR1に接続されて電源電圧VACCを受ける。抵抗2607の第2端はノード2608に接続される。トランジスタ2605のドレインはトランジスタ2603のベースに接続されると共に可変抵抗2601の第1端に接続される。トランジスタ2603のコレクタ及び可変抵抗2601の第2端はグランドにて互いに接続される。トランジスタ2603のエミッタはノード2608に接続される。ノード2608に加わる電圧を記号“Va”にて表す。トランジスタ2604のベースはノード2608に接続される。トランジスタ2604のエミッタは可変抵抗2602の第1端に接続され、可変抵抗2602の第2端はグランドに接続される。トランジスタ2604のコレクタはトランジスタ2606のドレインに接続される。
【0221】
図13のオシレータ2000と異なり、オシレータ2000Aにおいて、トランジスタ2313及び2321の各ゲートはトランジスタ2201及び2202の各ゲートに接続されておらず、代わりにトランジスタ2606のゲートに接続される。トランジスタ2606のゲート及びドレインは互いに接続される。また、オシレータ2000Aにおいて、トランジスタ2201及び2202の各ゲートはトランジスタ2605のゲートに接続される。
【0222】
定電流設定回路2600の動作を説明する。尚、可変抵抗2601の抵抗値を記号“R1”にて表し、可変抵抗2602の抵抗値を記号“R2”にて表す。トランジスタ2201及び2605にてカレントミラー回路が形成されるため、トランジスタ2605のドレイン及びソース間には基準電流Irefに比例する電流I1が流れる。つまり、基準電流Irefを入力側の電流として用いるカレントミラー回路(2201、2605)により電流I1が発生する。電流I1は可変抵抗2601に供給されるため、ノード2608における電圧Vaは下記式(B1)にて表される。Vf2603はトランジスタ2603のベース電位から見たエミッタ電位を表し、“Vf2603>0”である。尚、ここではトランジスタ2603のベース電流は十分に小さく、電流I1は全て可変抵抗2601を通じて流れるとみなす(ベース電流を無視する)。
Va=I1×R1+Vf2603 ・・・(B1)
【0223】
トランジスタ2606のドレイン及びソース間に流れる電流(即ちトランジスタ2606のドレイン電流)を記号“I2”にて表す。電流I2はトランジスタ2604のコレクタ及びエミッタ並びに可変抵抗2602を通じて流れる。トランジスタ2604のエミッタには、電圧Vaよりトランジスタ2604のベース-エミッタ間電圧だけ低い電圧が加わる。このため下記式(B2)が成立し、式(B2)を変形することで下記式(B3)が得られる。Vf2604はトランジスタ2604のエミッタ電位から見たベース電位を表し、“Vf2604>0”である。尚、ここではトランジスタ2604のコレクタ電流である電流I2はトランジスタ2604のベース電流と比べて十分に大きく、可変抵抗2602を通過する電流は電流I2のみであるとみなす(ベース電流を無視する)。
Va=I2×R2+Vf2604 ・・・(B2)
I2=(Va-Vf2604)/R2 ・・・(B3)
【0224】
電圧Vf2603及びVf2604の大きさが互いに一致するようにトランジスタ2603及び2604を形成すると良く、実際に、電圧Vf2603及びVf2604の大きさが互いに一致することを想定する。そうすると式(B1)及び(B2)により下記式(B4)が成立する。
I2=I1×R1/R2 ・・・(B4)
【0225】
図17のオシレータ2000Aでは、トランジスタ2606及び2313によりカレントミラー回路が形成されるため、定電流Iccは電流I2に比例する電流となる。つまり、電流I2を入力側の電流として用いるカレントミラー回路(2606、2313)により定電流Iccが発生する。尚、トランジスタ2606及び2321によってもカレントミラー回路が形成されるため、電流I2に比例する他の電流がトランジスタ2321のドレイン電流として流れる(但し、ノード2323の電圧が電源電圧VACCに達するとトランジスタ2321のドレイン電流はゼロとなる)。
【0226】
ここで、定電流Iccは電流I2のk倍の電流値を持つとし、且つ、電流I1は基準電流Irefのk倍の電流値を持つとする。そうすると、式(B4)から下記式(B5)が導かれる。k及びkは夫々に任意の正の値を持つが、典型的には“k=1”且つ“k=1”であって良い。
Icc=k×I2
=k×I1×R1/R2
=k×k×Iref×R1/R2 ・・・(B5)
【0227】
式(B5)から明らかなように、オシレータ2000Aにおいて、定電流Iccの値は基準電流Irefの値並びに可変抵抗2601及び2602の各値(R1、R2)に依存する。故に、定電流設定回路2600は、基準電流Irefの値並びに可変抵抗2601及び2602の各値(R1、R2)に応じた電流値を定電流Iccに設定する回路である、と言える。
【0228】
定電流設定回路2600は可変抵抗2601を用いて電流I1を電圧Vaに変換し(式(B1)参照)、電圧Vaを可変抵抗2602を用いて電流I2に変換する(式(B3)参照)。前者の変換のためにトランジスタ2603が利用され、後者の変換のためにトランジスタ2604が利用される。そして、定電流設定回路2600は電流I2に比例する電流を定電流Iccとして充電用電流源(2313)に発生させる。トランジスタ2313は、トランジスタ2206と協働して、コンデンサ2311及びトランジスタ2312の並列回路に定電流Iccを供給する充電用電流源を構成する。
【0229】
図13のオシレータ2000を構成する各素子の電気的特性は製造ばらつきによってばらつき、ばらつきは発振周波数(信号Sout又はOSC_OUTの周波数)が所望の目標周波数からずれる要因となる。第2実施例では、調整工程において抵抗値R1又はR2の調整を行うことで、発振周波数と目標周波数とのずれを減少させることができる。調整工程はオシレータ2000Aの製造段階又は出荷前の検査段階にて実施され、調整工程にて抵抗値R1及びR2が調整された後は、調停済みの抵抗値にて抵抗値R1及びR2が固定される。
【0230】
抵抗値R1を増大させたとき、電圧Vaの上昇を通じて電流I2が増加するため定電流Iccも増加し、定電流Iccの増加は発振周波数の上昇をもたらす。一方、抵抗値R2の増大は電流I2の減少を通じて定電流Iccを減少させ、定電流Iccを減少は発振周波数の低下をもたらす。このため、抵抗値R1及びR2の調整を通じて発振周波数と目標周波数とのずれを減少させることができ、発振周波数に対する製造ばらつきの影響を軽減することができる。
【0231】
尚、抵抗2601及び2602の内、何れか一方のみを可変抵抗として形成し、他方を固定された抵抗値を持つ固定抵抗として形成する変形も可能である。抵抗2601のみが可変抵抗として形成される場合、抵抗値R1を増大させる調整により発振周波数を上昇させることができ、抵抗値R1を減少させる調整により発振周波数を低下させることができる。抵抗2602のみが可変抵抗として形成される場合、抵抗値R2を増大させる調整により発振周波数を低下させることができ、抵抗値R2を減少させる調整により発振周波数を上昇させることができる。
【0232】
[第3実施例]
第3実施例を説明する。第1及び第2実施例では、コンデンサ2311を含む信号遅延回路2310を初段の信号遅延回路として設けている。即ち、第1及び第2実施例では、信号遅延回路2310を信号遅延回路D[1]として設けている(図10参照)。但し、信号遅延回路D[2]~D[N-1]の何れかとして信号遅延回路2310を発振回路1000に設けるようにして良い。この際、信号遅延回路2310の次段には信号遅延回路2320が設けられる。即ち、信号遅延回路2310が信号遅延回路D[i]であれば、信号遅延回路D[i+1]は信号遅延回路2320である(ここにおけるiは(N-1)以下の自然数)。信号遅延回路2310、2320を、夫々、第1特定遅延回路、第2特定遅延回路と称しても良い。
【0233】
一例として、図13のオシレータ2000を図18のオシレータ2000Bに変形することができる。オシレータ2000における発振回路2300を発振回路2300Bに置換することでオシレータ2000がオシレータ2000Bに変形される。図13の発振回路2300と図18の発振回路2300Bの相違点を説明する。ここで特に記述されない事項に関して、発振回路2300Bは発振回路2300と同様である。
【0234】
発振回路2300Bは、発振回路2300に対して信号遅延回路2340及び2350を追加した構成を持つ。信号遅延回路2340及び2350は夫々にインバータ回路である。発振回路2300Bは図10の発振回路1000の例であり、発振回路2300Bでは“N=5”である。発振回路2300Bにおいて、信号遅延回路2340、2350は、夫々、信号遅延回路D[1]、D[2]に相当し、信号遅延回路2310、2320、2330は、夫々、信号遅延回路D[3]、D[4]、D[5]に相当する。
【0235】
信号遅延回路2340及び2350は各々にハイレベル又はローレベルを有する二値信号を出力する。発振回路2300BではAND回路2501からの信号Sinが信号遅延回路2340に入力される。信号遅延回路2340は自身への入力信号Sinの反転信号を信号遅延回路2350に出力する。信号遅延回路2350は信号遅延回路2340の出力信号の反転信号を出力する。信号遅延回路2340、2350の出力信号は、夫々、信号Sf1、Sf2である。発振回路2300Bでは、トランジスタ2312のゲートに対し、信号Sinの代わりに、信号遅延回路2350の出力信号Sf2が入力される。
【0236】
発振回路2300Bにおいて信号Sinにダウンエッジが生じると、信号遅延回路2340の出力信号Sf1にアップエッジを生じ、結果、信号遅延回路2350の出力信号Sf2にダウンエッジを生じる。信号Sinのダウンエッジを契機に信号遅延回路2350の出力信号Sf2がローレベルになるとトランジスタ2312がターンオフする。トランジスタ2312のターンオフに伴って信号遅延回路2310~2330に生じる動作は第1実施例で示した通りである。逆に、発振回路2300Bにおいて信号Sinにアップエッジが生じると、信号遅延回路2340の出力信号Sf1にダウンエッジを生じ、結果、信号遅延回路2350の出力信号Sf2にアップエッジを生じる。信号Sinのアップエッジを契機に信号遅延回路2350の出力信号Sf2がハイレベルになるとトランジスタ2312がターンオンする。トランジスタ2312のターンオンに伴って信号遅延回路2310~2330に生じる動作は第1実施例で示した通りである。
【0237】
このため、図18の発振回路2300Bにて生成される信号Soutは図13の発振回路2300にて生成される信号Soutと同等となる。
【0238】
ここでは、第1実施例に係るオシレータ2000に対して信号遅延回路2340及び2350を追加する方法を説明したが、第2実施例に係るオシレータ2000Aに対して信号遅延回路2340及び2350を追加しても良い。即ち、第3実施例は第1実施例と第2実施例の何れとも組み合わせ可能である。信号遅延回路2310の前段に設けられる信号遅延回路の個数は任意であり、信号遅延回路2310の後段に設けられる信号遅延回路の個数も任意である。
【0239】
[第4実施例]
第4実施例を説明する。図19に第4実施例に係る電子機器4000の構成を示す。電子機器4000は、上位側装置4100、ゲートドライバ4200及びパワートランジスタ4300を有する。図19において、パワートランジスタ4300はIGBT(insulated gate bipolar transistor)であるが、パワートランジスタ4300はMOSFETであっても良い。
【0240】
上位側装置4100はゲートドライバ4200に対して制御信号CNTを供給する。ゲートドライバ4200は、上位側装置4100とパワートランジスタ4300との間の絶縁を確保しつつ、制御信号CNTに応じたゲート駆動信号DRVをパワートランジスタ4300のゲートに供給することでパワートランジスタ4300を駆動する。ゲートドライバ4200に上述の信号伝達装置200(図1参照)が搭載される。制御信号CNTは信号伝達装置200に対する入力パルス信号INとして機能し、信号伝達装置200からの出力パルス信号OUTがゲート駆動信号DRVとして機能する。
【0241】
ゲートドライバ4200は、制御信号CNTのハイレベル期間においてハイレベルのゲート駆動信号DRVを出力することでパワートランジスタ4300をオンに制御し、制御信号CNTのローレベル期間においてローレベルのゲート駆動信号DRVを出力することでパワートランジスタ4300をオフに制御する。パワートランジスタ4300に対して直列に図示されない負荷(例えばモータのコイル)が接続される。パワートランジスタ4300及び負荷の直列回路に対して駆動用電源電圧が供給され、パワートランジスタ4300のオン、オフにより、負荷への供給電流を制御する。
【0242】
電子機器4000においてゲートドライバ4200とパワートランジスタ4300の組を6組設けて、三相モータを駆動しても良い。この場合、第1組、第2組のパワートランジスタ4300をU相の上側アーム、下側アームとして用い、第3組、第4組のパワートランジスタ4300をV相の上側アーム、下側アームとして用い、第5組、第6組のパワートランジスタ4300をW相の上側アーム、下側アームとして用いることができる。そして、6組分のパワートランジスタ4300のオン、オフの制御を通じ、三相モータにおけるU相、V相及びW相のコイルへの供給電流を制御すれば良い。
【0243】
ゲートドライバ4200内にオシレータを設けることができる。第4実施例で述べるオシレータは、オシレータ2000、2000A又は2000Bの何れであっても良い。ゲートドライバ4200において、オシレータからの信号OSC_OUTを様々な用途におけるクロック信号として利用できる。例えば、ゲートドライバ4200には不揮発性メモリと当該不揮発性メモリを駆動するロジック回路が搭載されており、ロジック回路に含まれる同期回路のクロック信号として信号OSC_OUTを利用できる。また例えば、ゲートドライバ4200内で計測されるべき任意の時間の計測用途に信号OSC_OUTを用いて良い。
【0244】
[第5実施例]
第5実施例を説明する。オシレータに関する上述の各事項に対する変形技術又は補足事項を説明する。
【0245】
各実施例で述べられたFET(電界効果トランジスタ)のチャネルの種類は例示である。上述の主旨を損なわない形で、任意のFETのチャネルの種類はPチャネル型及びNチャネル型間で変更され得る。
【0246】
不都合が生じない限り、上述の任意のトランジスタは、任意の種類のトランジスタであって良い。例えば、MOSFETとして上述された任意のトランジスタを、不都合が生じない限り、接合型FET、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)又はバイポーラトランジスタに置き換えることも可能である。任意のトランジスタは第1電極、第2電極及び制御電極を有する。FETにおいては、第1及び第2電極の内の一方がドレインで他方がソースであり且つ制御電極がゲートである。IGBTにおいては、第1及び第2電極の内の一方がコレクタで他方がエミッタであり且つ制御電極がゲートである。IGBTに属さないバイポーラトランジスタにおいては、第1及び第2電極の内の一方がコレクタで他方がエミッタであり且つ制御電極がベースである。
【0247】
任意の信号又は電圧に関して、上述の主旨を損なわない形で、それらのハイレベルとローレベルの関係は上述したものの逆とされ得る。
【0248】
本開示において、任意の第1物理量と任意の第2物理量が“同じ”であるとは、誤差を含む概念と解される。即ち、第1物理量と第2物理量が“同じ”であるとは、第1物理量と第2物理量が“同じ”となることを目指して設計又は製造が成されていることを意味し、第1及び第2物理量間に若干の誤差が存在する場合も、第1物理量と第2物理量が“同じ”であると解されるべきである。これは、“同じ”に類する表現(例えば“同一”又は“一致”)についても同様に解されるべきである。
【0249】
本開示の実施形態は、特許請求の範囲に示された技術的思想の範囲内において、適宜、種々の変更が可能である。以上の実施形態は、あくまでも、本開示の実施形態の例であって、本開示ないし各構成要件の用語の意義は、以上の実施形態に記載されたものに制限されるものではない。上述の説明文中に示した具体的な数値は、単なる例示であって、当然の如く、それらを様々な数値に変更することができる。
【0250】
<<付記>>
上述の実施形態にて具体的構成例が示された本開示について付記を設ける。
【0251】
本開示の一側面に係るオシレータ(2000、2000A、2000B)は、基準抵抗(2205)を有し、前記基準抵抗の値に応じた基準電流(Iref)を生成するよう構成された基準電流生成回路(2100)と、ループ状に接続された複数段の信号遅延回路を有し、前記複数段の信号遅延回路に発振動作を行わせることで出力矩形波信号(Sout)を生成するよう構成された発振回路(2300、2300B)と、を備え、前記発振回路は、前記基準電流に応じた充電用定電流(Icc)を用いて充電されるよう構成されたコンデンサ(2311)を有し、前記コンデンサが充電されるときにおける前記コンデンサの両端子間電圧の変化速度に応じた周波数を持つ前記出力矩形波信号を生成する構成(第1の構成)である。
【0252】
コンデンサの両端子間電圧の変化速度に応じた周波数を出力矩形波信号に持たせる。この際、定電流を用いてコンデンサを充電する構成を採用すれば、コンデンサの両端子間電圧の変化速度が電源電圧の変動の影響を受け難い。従って出力矩形波信号の周波数は、電源電圧の変動の影響を受け難い。一方で、温度変化によるコンデンサの特性変化が懸念される。しかし、基準抵抗の値に応じて基準電流を生成することから、温度変化によるコンデンサの特性変化と温度変化による基準抵抗の特性変化とを相殺させることが可能である。即ち、コンデンサの特性変化が出力矩形波信号の周波数に与える影響と、基準抵抗の特性変化が出力矩形波信号の周波数に与える影響と、を相殺させることが可能である。このため、温度変化による、出力矩形波信号の周波数への影響を抑制できる。
【0253】
上記第1の構成に係るオシレータにおいて、前記複数段の信号遅延回路は、2つの信号遅延回路として、第1特定遅延回路(2310)と、前記第1特定遅延回路の次段に設けられる第2特定遅延回路(2320)を有し、前記第1特定遅延回路は、前記出力矩形波信号に基づく入力矩形波信号(図13ではSin、図18ではSf2)に同期してオン、オフされるよう構成されたスイッチング素子(2310)と、前記スイッチング素子に並列接続される前記コンデンサ(2311)と、前記スイッチング素子及び前記コンデンサの並列回路に対して前記充電用定電流を供給するよう構成された充電用電流源(2313)と、を有し、前記コンデンサの両端間電圧(Vc)が前記第2特定遅延回路に入力される構成(第2の構成)であっても良い。
【0254】
上記第2の構成に係るオシレータにおいて、前記第2特定遅延回路は、前記コンデンサの両端間電圧をゲート-ソース間にて受けるNチャネル型の電界効果トランジスタ(2322)と、前記電界効果トランジスタのドレインに接続された負荷(2321)と、を有して、前記電界効果トランジスタ及び前記負荷によりソース接地型アンプを形成し、前記電界効果トランジスタのドレインにおける信号(Smid2)を次段の信号遅延回路に出力する構成(第3の構成)であっても良い。
【0255】
上記第1~第3の構成の何れかに係るオシレータにおいて、可変抵抗を有し、前記基準電流及び前記可変抵抗の各値に応じた電流値を前記充電用定電流に設定するよう構成された定電流設定回路(2600)を更に備える構成(第4の構成)であっても良い。
【0256】
これにより、素子の特性ばらつきによる影響を可変抵抗の調整を通じて軽減することができる。
【0257】
上記第4の構成に係るオシレータにおいて、前記可変抵抗は第1可変抵抗(2601)及び第2可変抵抗(2602)を含み、前記定電流設定回路は、前記基準電流に比例する第1電流(I1)を前記第1可変抵抗を用いて電圧(Va)に変換し、変換により得られた前記電圧を前記第2可変抵抗を用いて第2電流(I2)に変換し、前記第2電流に比例する電流を前記充電用定電流として前記充電用電流源に発生させる構成(第5の構成)であっても良い。
【0258】
上記第5の構成に係るオシレータにおいて、前記定電流設定回路は、前記第1可変抵抗の第1端に接続されたベース及び前記第1可変抵抗の第2端に接続されたコレクタを有するPNP型のバイポーラトランジスタ(2603)と、前記PNP型のバイポーラトランジスタのエミッタに接続されたベース及び前記第2可変抵抗に接続されたエミッタを有するNPN型のバイポーラトランジスタ(2604)と、を備え、前記第1電流は前記第1可変抵抗を通じて流れ、前記第2電流は前記NPN型のバイポーラトランジスタのコレクタ及びエミッタ間並びに前記第2可変抵抗を通じて流れる構成(第6の構成)であっても良い。
【0259】
上記第5又は第6の構成に係るオシレータにおいて、前記基準電流を入力側の電流として用いる第1カレントミラー回路(2201、2605)により前記第1電流を発生させ、前記第2電流を入力側の電流として用いる第2カレントミラー回路(2606、2313)により前記充電用定電流を発生させる構成(第7の構成)であっても良い。
【0260】
上記第1~第7の構成の何れかに係るオシレータにおいて、前記出力矩形波信号は前記発振回路への入力信号(Sin)の論理否定信号であり、前記発振回路において、前記複数段の信号遅延回路の内、最終段の信号遅延回路から前記出力矩形波信号が出力され、前記出力矩形波信号を前記発振回路への入力信号として初段の信号遅延回路に入力することで前記発振動作を行う構成(第8の構成)であっても良い。
【0261】
上記第1~第8の構成の何れかに係るオシレータにおいて、前記出力矩形波信号の波形整形を行うよう構成された波形整形回路(2400)を更に備える構成(第9の構成)であっても良い。
【符号の説明】
【0262】
5 半導体装置
11、11A~11F 低電位端子
12、12A~12F 高電位端子
21、21A~21D 変圧器(トランス)
22 低電位コイル(一次側コイル)
23 高電位コイル(二次側コイル)
24 第1内側末端
25 第1外側末端
26 第1螺旋部
27 第2内側末端
28 第2外側末端
29 第2螺旋部
31 第1低電位配線
32 第2低電位配線
33 第1高電位配線
34 第2高電位配線
41 半導体チップ
42 第1主面
43 第2主面
44A~44D チップ側壁
45 第1機能デバイス
51 絶縁層
52 絶縁主面
53A~53D 絶縁側壁
55 最下絶縁層
56 最上絶縁層
57 層間絶縁層
58 第1絶縁層
59 第2絶縁層
60 第2機能デバイス
61 シール導体
62 デバイス領域
63 外側領域
64 シールプラグ導体
65 シールビア導体
66 第1内側領域
67 第2内側領域
71 貫通配線
72 低電位接続配線
73 引き出し配線
74 第1接続プラグ電極
75 第2接続プラグ電極
76 パッドプラグ電極
77 基板プラグ電極
78 第1電極層
79 第2電極層
80 配線プラグ電極
81 高電位接続配線
82 パッドプラグ電極
85 ダミーパターン
86 高電位ダミーパターン
87 第1高電位ダミーパターン
88 第2高電位ダミーパターン
89 第1領域
90 第2領域
91 第3領域
92 第1接続部
93 第1パターン
94 第2パターン
95 第3パターン
96 第1外周ライン
97 第2外周ライン
98 第1中間ライン
99 第1接続ライン
100 スリット
130 分離構造
140 無機絶縁層
141 第1無機絶縁層
142 第2無機絶縁層
143 低電位パッド開口
144 高電位パッド開口
145 有機絶縁層
146 第1部分
147 第2部分
148 低電位端子開口
149 高電位端子開口
200 信号伝達装置
200p 一次回路系
200s 二次回路系
210 コントローラチップ(第1チップ)
211 パルス送信回路(パルスジェネレータ)
212、213 バッファ
220 ドライバチップ(第2チップ)
221、222 バッファ
223 パルス受信回路(RSフリップフロップ)
224 ドライバ
230 トランスチップ(第3チップ)
230a 第1配線層(下層)
230b 第2配線層(上層)
231、232 トランス
231p、232p 一次側コイル
231s、232s 二次側コイル
300 トランスチップ
301 第1トランス
302 第2トランス
303 第3トランス
304 第4トランス
305 第1ガードリング
306 第2ガードリング
a1~a8 パッド(第1の電流供給用パッドに相当)
b1~b8 パッド(第1の電圧測定用パッドに相当)
c1~c4 パッド(第2の電流供給用パッドに相当)
d1~d4 パッド(第2の電圧測定用パッドに相当)
e1、e2 パッド
L1p、L2p 一次側コイル
L1s、L2s、L3s、L4s 二次側コイル
T21、T22、T23、T24、T25、T26 外部端子
X 第1方向
X21、X22、X23 内部端子
Y 第2方向
Y21、Y22、Y23 配線
Z 法線方向
Z21、Z22、Z23 ビア
1000 発振回路
D[1]~D[N] 信号遅延回路
Sin 入力信号
Sout 出力信号
S[1]~S[N] 信号
VACC 電源電圧
2000、2000A、2000B、9000 オシレータ
2100 起動回路
2200 基準電流生成回路
2300、2300B 発振回路
2310、2320、2330、2340、2350 信号遅延回路
2400 波形整形回路
2500 イネーブル回路
2600 定電流設定回路
Iref 基準電流
Icc 定電流
I1、I2 電流
Vth1、Vth2 ゲート閾電圧
WR1 電源配線
2311 コンデンサ
2205 基準抵抗
2101~2103、2201~2204、2312、2313、2321、2322、2331、2332、2603~2606 トランジスタ
2401 フリップフロップ
2402 インバータ回路
2501 AND回路
2601、2602 可変抵抗
2607 抵抗
4000 電子機器
4100 上位側装置
4200 ゲートドライバ
4300 パワートランジスタ
CNT 制御信号
DRV ゲート駆動信号
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19