(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024124775
(43)【公開日】2024-09-13
(54)【発明の名称】画像形成方法及び画像形成システム
(51)【国際特許分類】
G03G 5/10 20060101AFI20240906BHJP
G03G 9/08 20060101ALI20240906BHJP
G03G 9/097 20060101ALI20240906BHJP
【FI】
G03G5/10 B
G03G9/08
G03G9/097 374
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023032678
(22)【出願日】2023-03-03
(71)【出願人】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大浦 麗仁
(72)【発明者】
【氏名】長澤 寛
(72)【発明者】
【氏名】松原 政治
(72)【発明者】
【氏名】柴田 幸治
(72)【発明者】
【氏名】伊丹 明彦
(72)【発明者】
【氏名】野宮 誠
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 奈津紀
【テーマコード(参考)】
2H068
2H500
【Fターム(参考)】
2H068AA52
2H068CA05
2H068CA32
2H068FC08
2H068FC11
2H068FC15
2H500CB04
2H500EA53A
2H500EA57A
(57)【要約】
【課題】本発明の課題は、ケイ素を多く含有するアルミニウム製の支持体であっても、良好なクリーニング性を確保することができる画像形成方法及び画像形成システムを提供することである。
【解決手段】本発明の画像形成方法は、アルミニウムを主成分とする支持体上に感光層が形成された感光体上に形成された潜像を静電荷像現像用トナーにより現像し、前記感光体上のトナー像を被転写体に転写し、転写後の前記感光体上に残留する前記静電荷像現像用トナーを摺擦して除去する画像形成方法であって、前記支持体が、ケイ素を0.6質量%超、12.6質量%以下の範囲内で含有し、前記静電荷像現像用トナーに含まれるトナー粒子の形状係数が、0.800~0.970の範囲内であり、かつ、粒径が2μm以下の前記トナー粒子の含有量が、5~30個数%の範囲内であることを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルミニウムを主成分とする支持体上に感光層が形成された感光体上に形成された潜像を静電荷像現像用トナーにより現像し、前記感光体上のトナー像を被転写体に転写し、転写後の前記感光体上に残留する前記静電荷像現像用トナーを摺擦して除去する画像形成方法であって、
前記支持体が、ケイ素を0.6質量%超、12.6質量%以下の範囲内で含有し、
前記静電荷像現像用トナーに含まれるトナー粒子の形状係数が、0.800~0.970の範囲内であり、かつ、
粒径が2μm以下の前記トナー粒子の含有量が、5~30個数%の範囲内である
ことを特徴とする画像形成方法。
【請求項2】
前記トナー粒子の形状係数が、0.930~0.970の範囲内である
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成方法。
【請求項3】
前記トナー粒子が、チタン酸ストロンチウムを含有している
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の画像形成方法。
【請求項4】
前記支持体が、ケイ素を0.8~12.6質量%の範囲内で含有している
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の画像形成方法。
【請求項5】
前記支持体が、ケイ素を1.3~12.6質量%の範囲内で含有している
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の画像形成方法。
【請求項6】
前記支持体が、ケイ素を1.3~2.0質量%の範囲内で含有している
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の画像形成方法。
【請求項7】
アルミニウムを主成分とする支持体上に感光層が形成された感光体と、
前記感光体上に形成された潜像を静電荷像現像用トナーにより現像する手段と、
前記感光体上のトナー像を被転写体に転写する手段と、
前記転写後の前記感光体上に残留する前記静電荷像現像用トナーを摺擦して除去するクリーニング手段と、
静電荷像現像用トナーと、を備えた画像形成システムであって、
前記支持体が、ケイ素を0.6質量%超、12.6質量%以下の範囲内で含有し、
前記静電荷像現像用トナーに含まれるトナー粒子の形状係数が、0.800~0.970の範囲内であり、かつ、
粒径が2μm以下の前記トナー粒子の含有量が、5~30個数%の範囲内である
ことを特徴とする画像形成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成方法及び画像形成システムに関する。本発明は、特に、ケイ素を多く含有するアルミニウム製の支持体であっても、良好なクリーニング性を確保することができる画像形成方法等に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真法による画像形成装置について、その性能の向上に伴って比較的高画質の画像が得られるようになった。これにより、比較的少部数のプリントを得る軽印刷分野などにおいて、電子写真法による画像形成装置が広く用いられるようになってきた。その結果として、電子写真法による画像形成装置には、さらに高いレベルの画質が要求されている。
また、従来では稀な用途にも、電子写真法による画像形成装置が利用されるようになっている。前記用途として、例えば、コート紙へのプリント、高カバレッジ画像のプリント、極めて高精細な画像や微妙なトーン(色調)を有する画像のプリント、同一画像の大量連続プリントなどが挙げられる。
【0003】
一方、電子写真感光体に用いられるアルミニウム製支持体には展伸材が含まれている。このような展伸材の影響で、アルミニウム製支持体中の結晶粒がランダムな大きさになることがある。画像形成を繰り返し行うことで、結晶粒ごとの電子の流れやすさの違いが顕著になり、電位の面方向ムラが発生するという問題があった。そのため、アルミニウム製支持体中の結晶粒の結晶面積分布を制御することで改善した技術が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
また、上記以外にも、アルミニウム製支持体中の展伸材起因で生じる問題は考えられる。特に、展伸材が多く存在するアルミニウム製支持体においては、結晶の突起が生じることによる不具合、画像欠陥の発生が想定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記問題・状況に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、以下のとおりである。ケイ素を多く含有するアルミニウム製の支持体であっても、良好なクリーニング性を確保することができる画像形成方法及び画像形成システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上記課題を解決すべく、上記問題の原因等について検討する過程において、トナー粒子の形状係数及び2μm以下のトナー粒子の含有量を規定することの重要性を見いだした。
すなわち、本発明に係る上記課題は、以下の手段により解決される。
【0008】
1.アルミニウムを主成分とする支持体上に感光層が形成された感光体上に形成された潜像を静電荷像現像用トナーにより現像し、前記感光体上のトナー像を被転写体に転写し、転写後の前記感光体上に残留する前記静電荷像現像用トナーを摺擦して除去する画像形成方法であって、
前記支持体が、ケイ素を0.6質量%超、12.6質量%以下の範囲内で含有し、
前記静電荷像現像用トナーに含まれるトナー粒子の形状係数が、0.800~0.970の範囲内であり、かつ、
粒径が2μm以下の前記トナー粒子の含有量が、5~30個数%の範囲内である
ことを特徴とする画像形成方法。
【0009】
2.前記トナー粒子の形状係数が、0.930~0.970の範囲内である
ことを特徴とする第1項に記載の画像形成方法。
【0010】
3.前記トナー粒子が、チタン酸ストロンチウムを含有している
ことを特徴とする第1項又は第2項に記載の画像形成方法。
【0011】
4.前記支持体が、ケイ素を0.8~12.6質量%の範囲内で含有している
ことを特徴とする第1項又は第2項に記載の画像形成方法。
【0012】
5.前記支持体が、ケイ素を1.3~12.6質量%の範囲内で含有している
ことを特徴とする第1項又は第2項に記載の画像形成方法。
【0013】
6.前記支持体が、ケイ素を1.3~2.0質量%の範囲内で含有している
ことを特徴とする第1項又は第2項に記載の画像形成方法。
【0014】
7.アルミニウムを主成分とする支持体上に感光層が形成された感光体と、
前記感光体上に形成された潜像を静電荷像現像用トナーにより現像する手段と、
前記感光体上のトナー像を被転写体に転写する手段と、
前記転写後の前記感光体上に残留する前記静電荷像現像用トナーを摺擦して除去するクリーニング手段と、
静電荷像現像用トナーと、を備えた画像形成システムであって、
前記支持体が、ケイ素を0.6質量%超、12.6質量%以下の範囲内で含有し、
前記静電荷像現像用トナーに含まれるトナー粒子の形状係数が、0.800~0.970の範囲内であり、かつ、
粒径が2μm以下の前記トナー粒子の含有量が、5~30個数%の範囲内である
ことを特徴とする画像形成システム。
【発明の効果】
【0015】
本発明の上記手段により、ケイ素を多く含有するアルミニウム製の支持体であっても、良好なクリーニング性を確保することができる画像形成方法及び画像形成システムを提供することができる。
本発明の効果の発現機構又は作用機構については、明確にはなっていないが、以下のように推察している。
【0016】
感光体素管には、JIS3003系、同6063系の展伸アルミ材が多く用いられている。これらはケイ素(Si)を含む多元系合金であるが、3003系のSi含有量は0.6質量%以下、6063系のSi含有量は0.4~0.8質量%の範囲内である。
アルミニウム基体中のSi含有量が0.6質量%超、12.6質量%以下の範囲内であることにより、Siの結晶が析出して金属部の抵抗値が高くなり、トナーの電荷のリークを抑制できると考えられる。また、展伸性(展延性)が増し加工しやすくなる。
しかしながら、アルミニウム基体中のSiの含有量が増えると、一般的傾向として、基体表面に結晶成長による突起が形成される。突起が形成されると、突起へ電荷が集中し、帯電及び電位が低くなる。その結果、前記突起に外添剤である無機微粒子のような高帯電性を有する絶縁体が付着しやすくなる。そして、付着した無機微粒子が核となることで、現像剤成分が徐々に付着し、感光体上に堆積していくことで、クリーニング不良が発生、画像欠陥の要因となる。
【0017】
そこで、本発明では、トナーに含まれるトナー粒子の形状係数及び前記微粉含有量を特定の範囲とした。これにより、クリーニングの際にクリ-ニングブレードと感光体間に未転写のトナーが滞留することができ、感光体上への研磨力を十分に発揮することができる。
【0018】
前記トナー粒子の形状係数を0.800~0.970の範囲内としたのは、以下のとおりである。前記形状係数が0.800よりも小さい場合には、トナー粒子の形状ゆえに破砕されやすくなり、破砕成分が汚染源となり、画像欠陥の要因となる。また、トナーの静電付着量が低いことにより、カブリの原因となる。
一方、前記形状係数が0.970より高い場合には、トナー粒子が球形に近すぎるため、点接触による静電付着力が高くなり、クリーニングブレードと感光体の間でトナー粒子が滞留できず、研磨効果が発揮されない。
【0019】
さらに、前記微粉含有量を5~30個数%の範囲内としたのは、以下のとおりである。前記微粉含有量が5個数%より少ない場合、クリーニング部位をすり抜けて形成された堆積物は研磨されず、クリーニング不良が発生し、画像欠陥の要因となる。一方、前記微粉含有量が30個数%より多い場合、微粉トナー粒子表面の外添剤量は平均粒径付近のトナー粒子表面の外添剤量よりも比較的多くなる。よって、微粉トナー粒子によるクリーニング部位への外添剤の持ち込み分が多くなり、すり抜けやすい成分が増加し、画像欠陥の要因となる。
以上のことから、前記トナー粒子の形状係数を0.800~0.970の範囲内で、前記微粉含有量を5~30個数%の範囲内とした。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明画像形成方法は、アルミニウムを主成分とする支持体上に感光層が形成された感光体上に形成された潜像を静電荷像現像用トナーにより現像し、前記感光体上のトナー像を被転写体に転写し、転写後の前記感光体上に残留する前記静電荷像現像用トナーを摺擦して除去する画像形成方法であって、前記支持体が、ケイ素を0.6質量%超、12.6質量%以下の範囲内で含有し、前記静電荷像現像用トナーに含まれるトナー粒子の形状係数が、0.800 ~0.970の範囲内であり、かつ、粒径が2μm以下の前記トナー粒子の含有量が、5~30個数%の範囲内であることを特徴とする。
この特徴は、下記各実施形態に共通又は対応する技術的特徴である。
【0022】
本発明の実施態様としては、前記トナー粒子の形状係数が、0.930~0.970の範囲内であることが好ましい。これにより、クリーニングブレードと感光体の間でトナー粒子が滞留しやすくなり、研磨効果によりクリーニング性が良好となる。
【0023】
前記トナー粒子が、チタン酸ストロンチウムを含有していることが好ましい。チタン酸ストロンチウム粒子は、尖ったエッジを持つ直方体形状である。そのため、前記特定の形状係数であるトナー粒子と、当該チタン酸ストロンチウムを組み合わせることで、研磨力をより効果的に発揮することができる。
【0024】
前記支持体が、ケイ素を0.8~12.6質量%の範囲内で含有していることが好ましく、1.3~12.6質量%の範囲内で含有していることがより好ましい。特に、前記支持体が、ケイ素を1.3~2.0質量%の範囲内で含有していることが、ケイ素結晶由来の突起が形成される適正な範囲である点で好ましい。
【0025】
本発明の画像形成システムは、アルミニウムを主成分とする支持体上に感光層が形成された感光体と、前記感光体上に形成された潜像を静電荷像現像用トナーにより現像する手段と、前記感光体上のトナー像を被転写体に転写する手段と、前記転写後の前記感光体上に残留する前記静電荷像現像用トナーを摺擦して除去するクリーニング手段と、静電荷像現像用トナーと、を備えた画像形成システムであって、前記支持体が、ケイ素を0.6質量%超、12.6質量%以下の範囲内で含有し、前記静電荷像現像用トナーに含まれるトナー粒子の形状係数が、0.800~0.970の範囲内であり、かつ、粒径が2μm以下の前記トナー粒子の含有量が、5~30個数%の範囲内であることを特徴とする。
これにより、ケイ素を多く含有するアルミニウム製の支持体であっても、良好なクリーニング性を確保することができる画像形成システムを提供できる。
【0026】
以下、本発明とその構成要素及び本発明を実施するための形態・態様について説明をする。なお、本願において、「~」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用する。
【0027】
[本発明の画像形成方法の概要]
本発明の画像形成方法は、アルミニウムを主成分とする支持体上に感光層が形成された感光体上に形成された潜像を静電荷像現像用トナーにより現像し、前記感光体上のトナー像を被転写体に転写し、転写後の前記感光体上に残留する前記静電荷像現像用トナーを摺擦して除去する画像形成方法であって、前記支持体が、ケイ素を0.6質量%超、12.6質量%以下の範囲内で含有し、前記静電荷像現像用トナーに含まれるトナー粒子の形状係数が、0.800~0.970の範囲内であり、かつ、粒径が2μm以下の前記トナー粒子の含有量が、5~30個数%の範囲内であることを特徴とする。
【0028】
なお、以下において、「電子写真感光体」を単に「感光体」ともいう。
また、「静電荷像現像用トナー」を単に「トナー」ともいう。当該トナーは、トナー母体粒子と、トナー母体粒子表面に配置される外添剤とを備えるトナー粒子を含む。
本明細書において、「トナー母体粒子」とは、「トナー粒子」の母体を構成するものである。本発明に係る「トナー母体粒子」は、少なくとも結着樹脂を含有するものであり、その他必要に応じて、着色剤、離型剤(ワックス)、荷電制御剤などの他の構成成分を含有してもよい。「トナー母体粒子」は、外添剤の添加によって「トナー粒子」と称される。そして、「トナー」とは、トナー粒子の集合体のことをいう。
【0029】
本発明に係る支持体は、アルミニウム(Al)を主成分とする。
また、「アルミニウムを主成分とする」とは、Alの含有量が支持体全体の総質量に対して80質量%以上であることを意味する。特に、Alの含有量は、支持体全体の総質量に対して、85~99質量%の範囲内であることが好ましい。
【0030】
さらに、本発明に係る支持体は、ケイ素(Si)を含有する。
前記ケイ素の含有量は、支持体全体の総質量に対して、ケイ素を0.6質量%超、12.6質量%以下の範囲内で含有することが適正範囲である。好ましくは、0.8~12.6質量%の範囲内であり、より好ましくは、1.3~12.6質量%の範囲内であり、さらに好ましくは1.3~2.0質量%の範囲内である。
前記支持体中のケイ素含有量が0.6質量%以下の場合は、ケイ素結晶由来の突起が少なく、画像欠陥はほとんど生じない。一方、ケイ素比率が12.6%より多い場合は、共晶点を12.6%に持つ共晶系であるゆえ粗大結晶が混入してしまい、画像欠陥につながる。
前記適正範囲の中で、ケイ素含有量が少ないと、ケイ素結晶由来の突起も少なくなるため、効果が得られにくい。一方、含有量が多いと結晶が大きくなる傾向にあるため、研磨力効果が得られにくい。
【0031】
前記支持体は、アルミニウム合金からなることが好ましく、Al及びSiの他に、Fe、Cu、Mn、Mg、Ti等を含有していてもよい。
支持体全体の総質量に対して、Feは0.7質量%以下、Cuは0.05~0.2質量%の範囲内、Mnは0.9質量%以下、Ti、Zn及びCrは0.1質量%以下であることが好ましい。
本発明において「アルミニウム合金」とは、アルミニウム(Al)の含有量が、合金全体に対して50質量%以上である合金のことをいう。
【0032】
<トナー粒子の形状係数>
本発明の画像形成方法で使用するトナーは、トナー粒子の形状係数が0.800~0.970の範囲内である。前記形状係数は、0.930~0.970の範囲内であることがより好ましい。
【0033】
トナー粒子の形状係数は、トナー粒子の丸さの度合いを示すものである。前記形状係数は、走査型電子顕微鏡により2000倍にトナー粒子を拡大した写真を撮影し、画像処理解析装置「LUZEX AP」(ニレコ社製)を使用して画像の解析を行うことにより算出される。
このとき、他のトナー粒子の下部に重なって存在しているトナー粒子、視野の端にあるトナー粒子など、粒子全体が見えていないものは除く。そして、粒子全体が見えているものの中から100個のトナー粒子を無作為に選定し測定する。なお、2μm以下の微粉を除いたトナー粒子を対象とする。前記で得られた写真画像から、下記式により形状係数を算出する。
形状係数=(粒子像と同じ投影面積を持つ円の周囲長)/(粒子投影像の周囲長)
100個のトナー粒子について形状係数を算出した後、平均形状係数を算出する。平均形状係数は、各粒子の形状係数を足し合わせ、測定した全粒子数で割った算術平均値である。この平均形状係数を、本発明のトナー粒子の形状係数とする。また、後述する実施例における平均形状係数についても、前記した方法により算出した。
上記の方法以外に、例えば、フロー式粒子像分析装置「FPIA-3000」(Sysmex社製)を用いて測定することもできる。
【0034】
トナー粒子の形状係数は、粉砕装置の種類で制御範囲が大きく変わる。トナー粒子の形状係数を低くするためには、ジェットミルを使用することが好ましい。トナー粒子の形状係数を高くするためには、機械式粉砕機(T-250、ターボ工業社製)を使用することが好ましい。
ジェットミルを使用した場合、冷風温度などの気流条件を調整することで、形状係数を制御することができる。
ターボミルを使用する場合も同様に、冷風温度などの気流要件を調整することで、形状係数を制御することができる。
ジェットミル及びターボミルのいずれも、低温であるほど、形状係数は低くなる。
なお、冷風は、除湿した乾燥空気を使用することが好ましい。温度を下げることで、結露が発生するため、乾燥空気を使用する必要がある。
【0035】
ジェットミルの気流条件としては、冷風温度が-15~5℃の範囲内が好ましい。
ターボミルの気流条件としては、冷風温度が-15~5℃の範囲内が好ましい。
【0036】
また、球形化を進行させるために、球形化処理装置で処理することで、トナー粒子の形状係数をより高くすることができる。球形化処理装置としては、例えば、オングミル(ホソカワミクロン社製)等が挙げられる。
温度は、高くすると樹脂の軟化が起きるために、トナー粒子の形状は丸くなる、すなわち、形状係数は高くなる。
【0037】
<微粉含有量>
本発明に係るトナーは、粒径が2μm以下のトナー粒子の含有量が5~30個数%の範囲内である。前記粒径が2μm以下のトナー粒子の含有量は、10~20個数%の範囲内がより好ましい。
本発明において、「微粉含有量」とは、トナー粒子全体における、前記粒径が2μm以下のトナー粒子の含有量をいう。
【0038】
前記微粉含有量は、以下のようにして測定する。
走査型電子顕微鏡を用いて、2000倍に拡大したトナーのSEM写真を撮影し、当該写真を観察する。このとき、他のトナー粒子の下部に重なって存在しているトナー粒子や、視野の端にあるトナー粒子など、粒子全体が見えていないものは除いて、トナー粒子の全体が見えているものの中から、100個のトナー粒子を無作為に選定する。
次いで、粒径が2μm以下のトナー粒子の個数を数える。そして、トナー粒子の総数(100個)に対する、粒径が2μm以下のトナー粒子の個数の割合を算出する。算出した前記個数の割合(個数%)を微粉含有量とした。なお、後述する実施例における微粉含有量についても、前記した方法により算出した。
【0039】
なお、トナー粒子の粒径測定は、上記写真について、画像処理解析装置「LUZEX AP」(ニレコ製)を使用して画像の解析を行うことにより算出する。ヘイウッド径を算出し、前述のように2μm以下のトナー粒子の個数を数える。
前記ヘイウッド径は、粒子像と同じ投影面積をもつ円の直径、すなわち円相当径のことをいう。
【0040】
前記微粉含有量は、分級装置の分級性能の差により制御することができる。具体的には、「ジグザグ分級機」を用いると、精密分級が難しく、微粉含有量は数十%程度となる。一方、高速ローター式分級機「ターボクラシファイア」を用いると、微粉を大きく減らすことができ、微粉含有量を数%程度とすることができる。
【0041】
以下、本発明の画像形成方法で使用する感光体について説明する。
【0042】
[感光体の層構成]
本発明の画像形成方法で用いる感光体は、支持体上に感光層を積層した構成である。当該感光体は、支持体と感光層との間に中間層を有することが好ましい。
【0043】
前記感光層は、電荷発生化合物と電荷輸送性化合物を含有する単層構成でもよい。また、感光層は、電荷発生化合物を含有する電荷発生層と電荷輸送性化合物を含有する電荷輸送層の積層構成でもよい。
さらに、本発明に係る感光体は、感光層上に表面保護層を有することが好ましい。
前記感光体の層構成は、例えば以下の(1)~(4)のようにすることができる。
【0044】
(1)支持体/中間層/電荷発生層/電荷輸送層
(2)支持体/中間層/単層感光層
(3)支持体/中間層/電荷発生層/電荷輸送層/表面保護層
(4)支持体/中間層/単層感光層/表面保護層
【0045】
図1は、感光体の層構成の一例を示す図である。
図1に示す感光体1には、支持体101上に、中間層102、電荷発生層103、電荷輸送層104及び表面保護層105が順次積層されている。
【0046】
<支持体>
本発明に係る支持体は、前記したように、Alを主成分とする。また、当該支持体は、Siを含有する。Siの含有量は、支持体の総質量に対して、0.6質量%超え、12.6質量%以下の範囲である。
【0047】
前記支持体の製造方法は、熱間押出し・冷間引抜きを経て所定の長さに切断し、表面の精密加工を行う方法が一般的である。
前記支持体は、厚さが0.5~5.0mmの範囲内であることが好ましい。
【0048】
<中間層>
本発明に係る感光体は、支持体と感光層との間に中間層を有することが好ましい。これにより、合金成分由来の結晶により生じ得る電荷のリークスポットを防止する機能を感光体に付与することができる。
【0049】
中間層は、例えば、バインダー樹脂(以下、「中間層用バインダー樹脂」ともいう。)及び必要に応じて導電性粒子や金属酸化物粒子が含有されてなる層である。
中間層用バインダー樹脂としては、例えば、カゼイン、ポリビニルアルコール、ニトロセルロース、エチレン-アクリル酸コポリマー、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ゼラチン等が挙げられる。これらのなかでもアルコール可溶性のポリアミド樹脂が好ましい。
【0050】
中間層には、抵抗調整の目的で各種の導電性粒子又は金属酸化物粒子を含有させることができる。
【0051】
金属酸化物粒子としては、例えば、アルミナ、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化スズ、酸化アンチモン、酸化インジウム、酸化ビスマス、酸化ジルコニウム等の各種金属酸化物粒子を用いることができる。スズをドープした酸化インジウム、アンチモンをドープした酸化スズのように複合金属酸化物の粒子を用いてもよい。
【0052】
金属酸化物粒子の数平均一次粒径は、10~300nmであることが好ましく、より好ましくは20~100nmである。
【0053】
導電性粒子又は金属酸化物粒子は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を併用してもよい。二種以上を混合した場合には、固溶体又は融着の形をとってもよい。
【0054】
導電性粒子又は金属酸化物粒子の含有割合は、バインダー樹脂100質量部に対して20~400質量部の範囲内が好ましく、50~350質量部の範囲内がより好ましい。
【0055】
中間層の厚さは、0.1~15μmの範囲内が好ましく、0.3~10μmの範囲内がより好ましい。
【0056】
<感光層>
感光層は、電荷発生性化合物と電荷輸送性化合物を含有する単層構成でもよい。また、感光層は、電荷発生性化合物を含有する電荷発生層と電荷輸送性化合物を含有する電荷輸送層の積層構成でもよい。
【0057】
(電荷発生層)
電荷発生層は、電荷発生性化合物及びバインダー樹脂(以下、「電荷発生層用バインダー樹脂」ともいう。)が含有されてなる層である。
【0058】
「電荷発生性化合物」とは、電荷キャリアすなわち電子又は正孔(ホール)の発生性を示す化合物のことをいう。電荷発生性化合物としては、例えば、スーダンレッド、ダイアンブルー等のアゾ顔料、ピレンキノン、アントアントロン等のキノン顔料、キノシアニン顔料、ペリレン顔料、インジゴ及びチオインジゴ等のインジゴ顔料、ピランスロン、ジフタロイルピレン等の多環キノン顔料、フタロシアニン顔料等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの中でも、多環キノン顔料、チタニルフタロシアニン顔料、ガリウムフタロシアニンが好ましい。これらの電荷発生性化合物は一種単独で又は二種以上を混合して用いてもよい。
【0059】
電荷発生層用バインダー樹脂としては、公知の樹脂を用いることができる。当該公知の樹脂としては、例えば、ポリスチレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、ポリカーボネート樹脂、シリコーン樹脂、メラミン樹脂、並びにこれらの樹脂の内2つ以上を含む共重合体樹脂(例えば、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル-無水マレイン酸共重合体樹脂)、ポリ-ビニルカルバゾール樹脂等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの中でも、ポリビニルブチラール樹脂が好ましい。
【0060】
電荷発生層中の電荷発生性化合物の含有割合は、電荷発生層用バインダー樹脂100質量部に対して1~600質量部の範囲内が好ましい。より好ましくは、50~500質量部の範囲内である。
【0061】
電荷発生層の厚さは、電荷発生性化合物の特性、電荷発生層用バインダー樹脂の特性、含有割合等により異なるが、0.01~5μmの範囲内が好ましい。より好ましくは、0.05~3μmの範囲内である。
【0062】
(電荷輸送層)
電荷輸送層は、電荷輸送性化合物及びバインダー樹脂(以下、「電荷輸送層用バインダー樹脂」ともいう。)が含有されてなる層である。
【0063】
「電荷輸送性化合物」とは、電荷キャリアすなわち電子又は正孔(ホール)の輸送性を示す化合物のことをいう。電荷輸送性化合物としては、公知の電荷輸送性化合物を使用することができる。公知の電荷輸送性化合物としては、例えば、カルバゾール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、チアゾール誘導体、チアジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、イミダゾロン誘導体、イミダゾリジン誘導体、ビスイミダゾリジン誘導体、スチリル化合物、ヒドラゾン化合物、ピラゾリン化合物、オキサゾロン誘導体、ベンズイミダゾール誘導体、キナゾリン誘導体、ベンゾフラン誘導体、アクリジン誘導体、フェナジン誘導体、アミノスチルベン誘導体、トリアリールアミン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、スチルベン誘導体、ベンジジン誘導体、ポリ-N-ビニルカルバゾール、ポリ-1-ビニルピレン、ポリ-9-ビニルアントラセン、及びトリフェニルアミン誘導体等を挙げることができる。これらは二種以上混合して使用してもよい。
【0064】
短波レーザー等の短波露光用の感光体に用いられる電荷輸送性化合物の好ましい例を下記に例示する。
【0065】
【0066】
また、長波レーザー等を用いた長波露光用の感光体に用いられる電荷輸送性化合物の好ましい例を下記に例示する。
【0067】
【0068】
【0069】
また、電荷輸送層が含有する電荷輸送性化合物として、下記化合物も好適に用いることができる。
【0070】
【0071】
上記電荷輸送性化合物は公知の合成方法、例えば、特開2010-26428号公報、及び特開2010-91707号公報等に記載の合成方法により、合成することができる。
【0072】
電荷輸送層用のバインダー樹脂は、公知の樹脂を用いることができ、ポリカーボネート樹脂、ポリアクリレート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、スチレン-アクリルニトリル共重合体樹脂、ポリメタクリル酸エステル樹脂、及びスチレン-メタクリル酸エステル共重合体樹脂等が挙げられるが、ポリカーボネート樹脂が好ましい。更にはBPA、BPZ、ジメチルBPA、及びBPA-ジメチルBPA共重合体等が耐クラック、耐摩耗性、帯電性の点で好ましい。
【0073】
電荷輸送層中の電荷輸送性化合物の含有割合は、電荷輸送層用バインダー樹脂100質量部に対して10~500質量部であることが好ましく、より好ましくは20~250質量部である。
【0074】
電荷輸送層は、酸化防止剤、電子導電剤、安定剤、シリコーンオイル等を含有していてもよい。酸化防止剤については特開2000-305291号公報、電子導電剤は特開昭50-137543号公報、同58-76483号公報等に開示されているものが好ましい。
【0075】
電荷輸送層の厚さは、電荷輸送性化合物の特性、バインダー樹脂の特性、及び混合割合等により異なるが、5~40μmの範囲内が好ましく、10~30μmの範囲内がより好ましい。
【0076】
(単層構成である感光層)
単層構成である感光層は、電荷発生性化合物と電荷輸送性化合物とを含有する。その他、上記電荷発生層及び上記電荷輸送層が含有し得る成分を含有していてもよい。
【0077】
感光層が単層構成であると、電荷発生が主に感光層の表面近傍で起こる。それにより、支持体の合金成分由来の結晶により生じ得る電荷のリークスポットの影響を受けにくくなり、画像不良が起きにくくなる。また、感光層が単層構成であると、感光体を低コストで製造できるというメリットもある。
【0078】
単層構成である感光層の厚さは、電荷発生性化合物の特性、電荷輸送性化合物の特性、バインダー樹脂の特性、及び混合割合等により異なるが、5~40μmの範囲内が好ましい。より好ましくは、10~30μmの範囲内である。
【0079】
<表面保護層>
表面保護層は、表面保護層形成用組成物の硬化物を含有する層である。
本発明の感光体は、表面保護層を有することが好ましい。これにより、長期使用による表面粗さの増加を防ぐことができ、クリーニング性の低下を抑制できる。
【0080】
表面保護層形成用組成物は、重合性化合物と電荷輸送性化合物を含有する組成物、又はそれ自体が重合性化合物である電荷輸送性化合物を含有する組成物である。表面保護層形成用組成物は、それ自体が重合性化合物である電荷輸送性化合物と、その他の重合性化合物を含有していてもよい。
【0081】
組成物の硬化物は、組成物中の重合性化合物が重合してマトリックスを形成して得られる硬化物である。
【0082】
「電荷輸送性化合物」とは、電荷キャリアすなわち電子又は正孔(ホール)の輸送性を示す化合物のことをいう。電荷輸送性化合物としては、公知の電荷輸送性化合物を使用することができ、例えば、カルバゾール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、チアゾール誘導体、チアジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、イミダゾロン誘導体、イミダゾリジン誘導体、ビスイミダゾリジン誘導体、スチリル化合物、ヒドラゾン化合物、ピラゾリン化合物、オキサゾロン誘導体、ベンズイミダゾール誘導体、キナゾリン誘導体、ベンゾフラン誘導体、アクリジン誘導体、フェナジン誘導体、アミノスチルベン誘導体、トリアリールアミン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、スチルベン誘導体、ベンジジン誘導体、ポリ-N-ビニルカルバゾール、ポリ-1-ビニルピレン、ポリ-9-ビニルアントラセン、及びトリフェニルアミン誘導体等を挙げることができる。これらは二種以上混合して使用してもよい。
【0083】
「重合性化合物」とは、連鎖重合による反応が可能な官能基を有する化合物のことをいう。連鎖重合による反応が可能な官能基としては、アクリロイルオキシ基(CH2=CHCOO-)又はメタクリロイルオキシ基(CH2=C(CH3)COO-)が好ましい。
【0084】
表面保護層形成用組成物は、重合開始剤を含有することが好ましい。
重合開始剤は、表面保護層形成用組成物が含有する重合性化合物の種類に応じて適宜選択される。重合開始剤は、熱重合開始剤であっても、光重合開始剤であってもよいが、光重合開始剤であることが好ましい。特にラジカル重合開始剤であることが好ましい。
【0085】
ラジカル重合開始剤としては、特に制限されず公知のものを用いることができ、その例としては、アルキルフェノン系化合物、ホスフィンオキサイド系化合物等が挙げられる。これらの中でも、α-アミノアルキルフェノン構造又はアシルホスフィンオキサイド構造を有する化合物が好ましく、アシルホスフィンオキサイド構造を有する化合物がより好ましい。アシルホスフィンオキサイド構造を有する化合物の一例としては、Omnirad819(ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、IGM Resins B.V.社製)が挙げられる。重合開始剤は、単独でも又は二種以上組み合わせて用いてもよい。
【0086】
表面保護層形成用組成物は、その他、溶剤、無機微粒子、潤滑性有機微粒子、酸化防止剤、安定剤、シリコーンオイル等を含有していてもよい。
【0087】
表面保護層の厚さは、0.2~10μmであることが好ましく、より好ましくは0.5~6μmである。
【0088】
[感光体の製造方法]
感光体は、例えば、本発明に係る支持体の表面に、感光体を構成する各層を順次形成することで製造できる。各層の形成は、各層を構成する固形分(又はその原料成分)と溶剤を含む塗布液からなる塗膜を形成する工程と、当該塗膜を硬化させる工程により行われる。感光体の具体的な製造方法について、
図1に示す感光体1の製造方法を例にして、以下に説明する。
【0089】
感光体1は、例えば、下記工程を経ることにより製造することができる。
工程(1):支持体101の表面に中間層形成用の塗布液を塗布し、乾燥することにより、中間層102を形成する工程
工程(2):中間層102の表面に電荷発生層形成用の塗布液を塗布し、乾燥することにより、電荷発生層103を形成する工程
工程(3):電荷発生層103の表面に電荷輸送層形成用の塗布液を塗布し、乾燥することにより、電荷輸送層104を形成する工程
工程(4):電荷輸送層104の表面に、表面保護層形成用の塗布液を塗布して塗膜を形成し、この塗膜を硬化させることにより、表面保護層105を形成する工程
【0090】
<工程(1):中間層の形成>
中間層102は、中間層形成用の塗布液を、導電性支持体101の表面に塗布して塗膜を形成し、当該塗膜を乾燥することにより形成することができる。中間層形成用の塗布液は、溶剤中に中間層用バインダー樹脂を溶解させて、導電性粒子を分散させて調製できる。
【0091】
導電性粒子を分散する手段としては、超音波分散機、ボールミル、サンドミル、ホモミキサー等を使用できる。
【0092】
中間層形成用の塗布液の塗布方法としては、例えば、浸漬コーティング法、スプレーコーティング法、スピンナーコーティング法、ビードコーティング法、ブレードコーティング法、ビームコーティング法、スライドホッパー法(円形スライドホッパー法を含む。)等の公知の方法が挙げられる。円形スライドホッパー法は、円筒状又は円柱状の物品の外周面を被塗布面とする塗布に用いられる方法である。円形スライドホッパー法は、ドラム状の導電性支持体の外周面に中間層形成用の塗布液を塗布する方法として用いることができる。
【0093】
塗膜の乾燥方法は、溶剤の種類、塗膜の厚さに応じて適宜選択することができるが、熱乾燥が好ましい。
【0094】
中間層の形成工程において使用する溶剤としては、導電性粒子又は金属酸化物粒子を良好に分散し、中間層用バインダー樹脂を溶解するものであればよい。
前記溶剤としては、具体的には、メタノール、エタノール、n-プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n-ブタノール、t-ブタノール、sec-ブタノール等の炭素数1~4のアルコール系溶剤が好ましい。これらの溶剤を用いることにより、バインダー樹脂の溶解性と塗布性能に優れる。
また、保存性や粒子の分散性を向上するために、前記溶剤と併用できる助溶剤としては、ベンジルアルコール、トルエン、メチレンクロライド、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン等が挙げられる。
【0095】
中間層形成用の塗布液中の中間層用バインダー樹脂の濃度は、中間層の厚さや生産速度に合わせて適宜選択される。
【0096】
<工程(2):電荷発生層の形成>
電荷発生層103は、電荷発生層形成用の塗布液を、中間層102の表面に塗布して塗膜を形成し、当該塗膜を乾燥することにより形成することができる。電荷発生層形成用の塗布液は、溶剤中に電荷発生層用バインダー樹脂を溶解させた溶液中に、電荷発生性化合物を分散して調製できる。
【0097】
電荷発生層形成用の塗布液中に電荷発生性化合物を分散する手段としては、例えば、超音波分散機、ボールミル、サンドミル、ホモミキサー等を使用できる。
【0098】
電荷発生層形成用の塗布液の塗布方法としては、例えば、浸漬コーティング法、スプレーコーティング法、スピンナーコーティング法、ビードコーティング法、ブレードコーティング法、ビームコーティング法、スライドホッパー法(円形スライドホッパー法を含む。)等の公知の方法が挙げられる。
【0099】
塗膜の乾燥方法は、溶剤の種類、塗膜の厚さに応じて適宜選択することができるが、熱乾燥が好ましい。
【0100】
電荷発生層の形成に用いられる溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、メチレンクロライド、1,2-ジクロロエタン、メチルエチルケトン、シクロヘキサン、酢酸エチル、酢酸t-ブチル、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、メチルセロソルブ、4-メトキシ-4-メチル-2-ペンタノン、エチルセロソルブ、テトラヒドロフラン、1-ジオキサン、1,3-ジオキソラン、ピリジン、ジエチルアミン等が挙げられる。
【0101】
<工程(3):電荷輸送層の形成>
電荷輸送層104は、電荷輸送層形成用の塗布液を、電荷発生層103の表面に塗布して塗膜を形成し、当該塗膜を乾燥することにより形成することができる。電荷輸送層形成用の塗布液は、溶剤中に電荷輸送層用バインダー樹脂及び電荷輸送性化合物を溶解させて調製できる。
【0102】
電荷輸送層形成用の塗布液の塗布方法としては、例えば、浸漬コーティング法、スプレーコーティング法、スピンナーコーティング法、ビードコーティング法、ブレードコーティング法、ビームコーティング法、スライドホッパー法(円形スライドホッパー法を含む。)等の公知の方法が挙げられる。
【0103】
塗膜の乾燥方法は、溶剤の種類、塗膜の厚さに応じて適宜選択することができるが、熱乾燥が好ましい。
【0104】
電荷輸送層104の形成に用いられる溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、メチレンクロライド、1,2-ジクロロエタン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、1,3-ジオキソラン、ピリジン、ジエチルアミン等が挙げられる。
【0105】
<工程(4):表面保護層の形成>
表面保護層105は、表面保護層形成用の塗布液を、電荷輸送層104の表面に塗布して塗膜を形成し、当該塗膜を硬化させることにより形成できる。
【0106】
表面保護層形成用の塗布液は、典型的には、溶剤中に表面保護層形成用組成物を溶解又は分散させて調製できる。しかし、表面保護層形成用組成物が、電荷輸送層の表面に塗布可能な粘度を有する液状組成物である場合は、溶剤を用いる必要はない。この場合、表面保護層形成用組成物自体を、表面保護層形成用の塗布液として用いることができる。
【0107】
表面保護層の形成に用いられる溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、n-プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n-ブタノール、t-ブタノール、sec-ブタノール、ベンジルアルコール、トルエン、キシレン、ジクロロメタン、メチルエチルケトン、シクロヘキサン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、1,3-ジオキソラン、ピリジン、ジエチルアミン等が挙げられる。
【0108】
表面保護層形成用の塗布液の塗布方法としては、例えば、スライドホッパー法(円形スライドホッパー法を含む。)、浸漬コーティング法、スプレーコーティング法、スピンナーコーティング法、ビードコーティング法、ブレードコーティング法、ビームコーティング法等の公知の方法が挙げられる。
【0109】
表面保護層形成用の塗布液の塗布の後、塗膜中の反応成分を反応させて塗膜を硬化することにより、表面保護層105を形成することができる。
【0110】
塗膜に対しては、乾燥させることなく硬化処理を行ってもよいが、自然乾燥又は熱乾燥を行ってから硬化処理を行うことが好ましい。
【0111】
乾燥の条件は、溶剤の種類、塗膜の厚さ等によって適宜選択できる。乾燥温度は、好ましくは室温(25℃)~180℃の範囲内であり、特に好ましくは80~140℃の範囲内である。乾燥時間は、好ましくは1~200分間であり、特に好ましくは5~100分間である。
【0112】
塗膜を硬化させるための硬化処理においては、例えば塗膜に紫外線を照射してラジカルを発生させ、重合性化合物を重合反応させる。
【0113】
紫外線光源としては、紫外線を発生する光源であれば制限なく使用できる。例えば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、フラッシュ(パルス)キセノン等を用いることができる。
【0114】
照射条件はそれぞれのランプによって異なるが、例えば、紫外線の照射量は、通常5~500mJ/cm2の範囲内、好ましくは5~100mJ/cm2の範囲内である。ランプの電力は、好ましくは0.1~5kWの範囲内であり、特に好ましくは0.5~3kWの範囲内である。必要な紫外線の照射量を得るための照射時間としては、例えば、0.1秒間~10分間が好ましく、作業効率の観点から0.1秒間~5分間がより好ましい。
【0115】
表面保護層の形成の工程においては、紫外線を照射する前後、及び紫外線を照射中に、乾燥を適宜行うことができる。
【0116】
[画像形成システム]
本発明の「画像形成システム」とは、画像形成の各工程で必要な手段要素として所定の機能を有する機器又は装置及び静電荷像現像用トナー等で構成され、全体として、画像形成の機能を果たす集合体をいう。なお、各手段要素は、それぞれ離れた異なる場所に個別に配置しても、一つの装置として一定の空間に集めて配置して一体としてシステム装置としてもよい。
本発明では、特にアルミニウムを主成分とする支持体上に感光層が形成された感光体と、前記感光体上に形成された潜像を静電荷像現像用トナーにより現像する手段と、前記感光体上のトナー像を被転写体に転写する手段と、前記転写後の前記感光体上に残留する前記静電荷像現像用トナーを摺擦して除去するクリーニング手段と、静電荷像現像用トナーと、を備えた画像形成システムであって、前記支持体が、ケイ素を0.6質量%超、12.6質量%以下の範囲内で含有し、前記静電荷像現像用トナーに含まれるトナー粒子の形状係数が、0.800~0.970の範囲内であり、かつ、粒径が2μm以下の前記トナー粒子の含有量が、5~30個数%の範囲内であることを特徴とする。
【0117】
本発明の画像形成システムは、前記感光体、前記現像手段、前記転写手段及び前記クリーニング手段と、前記した静電荷像現像用トナーを用いて画像を形成するシステムである。以下において、説明の関係上、感光体、現像手段、転写手段及びクリーニング手段を有する装置部を特に「電子写真画像形成装置」という。本発明の画像形成システムは、前記特定範囲内のケイ素含有量のアルミニウムを主成分とする支持体上に形成された感光体、現像手段、転写手段及びクリーニング手段と、前記トナー粒子の特定の形状係数と粒径の条件を満たす電荷像現像用トナーを用いて画像を形成する形態又は態様のシステムであれば、電子写真画像形成装置を構成する各手段は限定されるものではない。すなわち、本発明において用いる装置は、前記条件を満たす装置であればよく、特に限定されるものでなく、本発明に係る前記特定条件を満たす電荷像現像用トナー専用の電子写真画像形成装置にすることは、必ずしも必要ではない。
【0118】
また、本発明の画像形成システムには、記録・複写情報を電子的データとして記録・保存する手段、当該電子的データを無線通信する手段を備えることも好ましい。例えばBluetooth(登録商標)やWi-Fi(登録商標)等の無線通信により情報処理手段置とデータ送受信を行うための無線インターフェースを有する形態であることも好ましい。
以下、本発明において用いることができる典型的な電子写真画像形成装置について説明する。なお、電子写真画像形成装置を単に「画像形成装置」ともいう。
【0119】
前記画像形成装置は、前記した感光体と、現像手段と、転写手段と、クリーニング手段とを有する。また、画像形成装置は、帯電手段(第1帯電手段)と露光手段を有することが好ましい。さらに、画像形成装置は、転写手段とクリーニング手段の間に、第2帯電手段を有していても良い。
【0120】
図2は、本発明に係る画像形成装置の一例を示す概略構成図である。画像形成装置100は、タンデム型カラー画像形成装置と称せられるものである。当該画像形成装置100は、4組のプロセスカートリッジ10Y、10M、10C、10Bk、中間転写体ユニット7、給紙手段21、定着手段24等を備えている。画像形成装置100の装置本体Aの上部には、原稿画像読み取り装置SCが配置されている。
【0121】
イエロー色の画像を形成するプロセスカートリッジ10Yは、ドラム状の感光体1Yの周囲に感光体1Yの回転方向に沿って順次配置された、第1帯電手段2Y、露光手段3Y、現像手段4Y、一次転写ローラー5Y、第2帯電手段9Y及びクリーニング手段6Yを有する。
【0122】
マゼンタ色の画像を形成するプロセスカートリッジ10Mは、ドラム状の感光体1Mの周囲に感光体1Mの回転方向に沿って順次配置された、第1帯電手段2M、露光手段3M、現像手段4M、一次転写ローラー5M、第2帯電手段9M及びクリーニング手段6Mを有する。
【0123】
シアン色の画像を形成するプロセスカートリッジ10Cは、ドラム状の感光体1Cの周囲に感光体1Cの回転方向に沿って順次配置された、第1帯電手段2C、露光手段3C、現像手段4C、一次転写ローラー5C、第2帯電手段9C及びクリーニング手段6Cを有する。
【0124】
黒色画像を形成するプロセスカートリッジ10Bkは、ドラム状の感光体1Bkの周囲に感光体1Bkの回転方向に沿って順次配置された、第1帯電手段2Bk、露光手段3Bk、現像手段4Bk、一次転写ローラー5Bk、第2帯電手段9Bk及びクリーニング手段6Bkを有する。
【0125】
感光体1Y、1M、1C、1Bkとしては、上記した本発明の電子写真感光体を用いる。
【0126】
プロセスカートリッジ10Y、10M、10C、10Bkは、感光体1Y、1M、1C、1Bk上に形成するトナー像の色が異なるのみで、同様に構成される。したがって、プロセスカートリッジ10Yを例にとって詳細に説明し、プロセスカートリッジ10M、10C、10Bkの説明を省略する。
【0127】
プロセスカートリッジ10Yは、像形成体である感光体1Yの周囲に、第1帯電手段2Y、露光手段3Y、現像手段4Y、一次転写ローラー5Y、第2帯電手段9Y及びクリーニング手段6Yを配置し、感光体1Y上にイエロー(Y)のトナー像を形成するものである。プロセスカートリッジ10Yは、画像形成装置100から着脱可能であってもよい。また、本実施形態においては、プロセスカートリッジ10Yのうち、少なくとも感光体1Y、第1帯電手段2Y、現像手段4Y、第2帯電手段9Y及びクリーニング手段6Yが一体化されて設けられている。
【0128】
第1帯電手段2Yは、感光体1Yに対して一様な電位を与える手段であって、例えば、コロナ放電型の帯電器が用いられる。
【0129】
露光手段3Yは、第1帯電手段2Yによって一様な電位を与えられた感光体1Y上に、画像信号(イエロー)に基づいて露光を行い、イエローの画像に対応する静電潜像を形成する手段である。露光手段3Yとしては、例えば、感光体1Yの軸方向にアレイ状に発光素子を配列したLEDと結像素子とから構成されるもの、又はレーザー光学系が用いられる。
【0130】
現像手段4Yは、例えば、マグネットを内蔵し現像剤を保持して回転する現像スリーブ及び感光体1Yとこの現像スリーブとの間に直流及び/又は交流バイアス電圧を印加する電圧印加装置よりなるものである。
【0131】
一次転写ローラー5Yは、感光体1Y上に形成されたトナー像を無端ベルト状の中間転写体70に転写する手段である。一次転写ローラー5Yは、中間転写体70と当接して配置されている。
【0132】
第2帯電手段9Yは、中間転写体70にトナー像を転写した後に感光体1Yの表面を帯電(除電)させる除電手段であり、プレクリーニング部材として設けられている。第2帯電手段9Yとしては、例えば、コロナ放電型の帯電器が用いられる。
【0133】
クリーニング手段6Yは、クリーニングブレードと、このクリーニングブレードより上流側に設けられたブラシローラーとにより構成される。
【0134】
中間転写体ユニット7は、無端ベルト状の中間転写体70を有する。中間転写体70は、複数のローラー71、72、73、74により巻回され、回動可能に支持された半導電性エンドレスベルト状の第2の像担持体である。
中間転写体ユニット7には、中間転写体70上にトナーを除去するクリーニング手段6bが配置されている。
【0135】
また、上記プロセスカートリッジ10Y、10M、10C、10Bkと、中間転写体ユニット7とにより筐体8が構成されている。筐体8は、装置本体Aから支持レール82L、82Rを介して引き出し可能に構成されている。
【0136】
画像形成装置100は、中間転写体70上に形成されたカラー画像を転写材Pに転写する二次転写ローラー5bを備える。給紙部21は、二次転写ローラー5bに転写材Pを供給するための手段である。給紙部21は、転写材Pを収容する給紙カセット20と、転写材Pを二次転写ローラー5bに搬送するための複数の中間ローラー22A、22B、22C、22D、及びレジストローラー23を備える。
【0137】
定着手段24は、転写材Pに転写されたカラー画像を転写材Pに定着させる手段である。定着手段24は、熱ローラー定着方式のものが挙げられる。このような定着手段24は例えば、内部に加熱源を備えた加熱ローラーと、この加熱ローラーに定着ニップ部が形成されるよう圧接された状態で設けられた加圧ローラーとにより構成されてなる。画像形成装置100は、画像形成された転写材Pを取り出すための排紙トレイ26を有する。また、画像形成装置100は、定着部24の下流に、定着処理された転写材Pを、排紙トレイ26に搬送する排紙ローラー25を備える。
【0138】
なお、上記した実施形態においては、画像形成装置100が、カラーのレーザープリンターであるものとしたが、これに限らない。例えば、画像形成装置は、モノクロのレーザープリンター、コピー機、複合機等であっても良い。また、露光光源は、レーザー以外の光源、例えばLED光源等であってもよい。
【0139】
上記の画像形成装置を用いて、以下のようにして画像を形成することができる。
帯電工程(第1帯電工程)では、第1帯電手段2Y、2M、2C、2Bkにより感光体1Y、1M、1C、1Bkの表面に放電して負に帯電させる。
【0140】
露光工程では、露光手段3Y、3M、3C、3Bkで、感光体1Y、1M、1C、1Bkの表面を画像信号に基づいて露光し、静電潜像を形成する。
【0141】
現像工程では、現像手段4Y、4M、4C、4Bkにより、感光体1Y、1M、1C、1Bkの表面にトナーを付与して現像し、トナー像を形成する。
【0142】
転写工程では、一次転写ローラー5Y、5M、5C、5Bkにより、感光体1Y、1M、1C、1Bk上にそれぞれ形成した各色のトナー像を、回動する中間転写体70上に逐次転写(一次転写)させる。そして、中間転写体70上にカラー画像を形成する。
【0143】
第2帯電工程では、感光体1Y、1M、1C、1Bkの表面を第2帯電手段9Y、9M、9C、9Bkによって除電する。
【0144】
クリーニング工程では、感光体1Y、1M、1C、1Bkの表面に残存したトナーを、クリーニング手段6Y、6M、6C、6Bkで除去する。そして、次の画像形成プロセスに備えて、帯電手段2Y、2M、2C、2Bkにより感光体1Y、1M、1C、1Bkを負に帯電させる。
【0145】
一方、給紙カセット20から給紙手段21により転写材Pを給紙し、複数の中間ローラー22A、22B、22C、22D、レジストローラー23を経て二次転写ローラー5bに搬送する。そして、二次転写ローラー5bにより、転写材P上にカラー画像を転写(二次転写)する。
【0146】
このようにしてカラー画像が転写された転写材Pを、定着手段24で定着処理した後、排紙ローラー25で挟持して装置外に排紙し、排紙トレイ26上に載置する。また、転写材Pが中間転写体70から分離された後、クリーニング手段6bにより中間転写体70上の残存トナーを除去する。
【0147】
以上のようにして、転写材P上に画像を形成することができる。
【0148】
<トナー>
次に、本発明の画像形成システムで用いられるトナーについて説明する。
本発明に係るトナーは、前記したとおり、トナー粒子の形状係数が0.800~0.970の範囲内であり、好ましくは0.930~0.970の範囲内である。
また、本発明に係るトナーは、粒径が2μm以下の前記トナー粒子の含有量(微粉含有量)が、5~30個数%の範囲内である。
前記トナー粒子の形状係数及び微粉含有量の測定法は、前記したとおりである。
【0149】
本発明に係るトナーは、トナー母体粒子と、当該トナー母体粒子に外添される外添剤とを備えるトナー粒子を含む。
前記トナー粒子は、チタン酸ストロンチウムを含有していることが研磨力を効果的に発揮できる点で好ましい。
前記チタン酸ストロンチウムは、外添剤としてトナー母体粒子に外添されることが好ましい。
【0150】
<トナー母体粒子>
トナー母体粒子は、結着樹脂を含有する。
【0151】
(結着樹脂)
結着樹脂は、トナー粒子を記録媒体に結着させる機能を担う樹脂である。
トナー母体粒子に用いられる結着樹脂としては、下記のものが挙げられる。ポリスチレン;ポリ-p-クロルスチレン、ポリビニルトルエンの如きスチレン置換体の単重合体;スチレン-p-クロルスチレン共重合体、スチレン-ビニルトルエン共重合体、スチレン-ビニルナフタリン共重合体、スチレン-アクリル酸エステル共重合体、スチレン-メタクリル酸エステル共重合体、スチレン-α-クロルメタクリル酸メチル共重合体、スチレン-アクリロニトリル共重合体、スチレン-ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン-ビニルエチルエーテル共重合体、スチレン-ビニルメチルケトン共重合体、スチレン-ブタジエン共重合体、スチレン-イソプレン共重合体、スチレン-アクリロニトリル-インデン共重合体の如きスチレン系共重合体;ポリ塩化ビニル、フェノール樹脂、天然変性フェノール樹脂、天然樹脂変性マレイン酸樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリ酢酸ビニール、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン、ポリアミド樹脂、フラン樹脂、エポキシ樹脂、キシレン樹脂、ポリビニルブチラール、テルペン樹脂、クマロンインデン樹脂、石油系樹脂。
好ましい結着樹脂としては、スチレン系共重合体もしくはポリエステル樹脂がある。これらの樹脂は1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0152】
(離型剤)
上記離型剤は、現像時にトナー粒子から染み出し、定着離型性等を高めるための成分である。
離型剤としては、例えば以下のものが挙げられる。ポリエチレンなどの低分子量ポリオレフィン類;融点を有するシリコーン類;オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、リシノール酸アミド、ステアリン酸アミドなどの脂肪酸アミド類;ステアリン酸ステアリルなどのエステルワックス類;カルナバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス、木ロウ、ホホバ油などの植物系ワックス;ミツロウなどの動物系ワックス;モンタンワックス、オゾケライト、セレシン、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス、エステルワックスなどの鉱物・石油系ワックス;及びそれらの変性物。
離型剤は、一種単独で、又は二種以上を混合して使用してもよい。
離型剤の融点は、150℃以下であることが好ましく、40℃以上130℃以下であることがより好ましく、40℃以上110℃以下であることがさらに好ましい。離型剤の含有量は、結着樹脂100質量部に対して、1質量部以上30質量部以下であることが好ましい。
【0153】
(その他の成分)
トナー粒子は、必要に応じて着色剤や荷電制御剤等を含有してもよい。
【0154】
上記着色剤の例には、カーボンブラック、磁性体、顔料及び染料などが含まれる。上記着色剤は、1種類を単独で使用してもよいし、2種類以上を併用してもよい。
【0155】
上記カーボンブラックの例には、チャンネルブラック、ファーネスブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック及びランプブラックなどが含まれる。
【0156】
上記磁性体の例には、鉄やニッケル、コバルトなどの強磁性金属、これらの金属を含む合金、及び、フェライトやマグネタイトなどの強磁性金属の化合物などが含まれる。
【0157】
上記顔料の例には、C.I.ピグメントレッド2、同3、同5、同7、同15、同16、同48:1、同48:3、同53:1、同57:1、同81:4、同122、同123、同139、同144、同149、同166、同177、同178、同208、同209、同222、同238、同269、C.I.ピグメントオレンジ31、同43、C.I.ピグメントイエロー3、同9、同14、同17、同35、同36、同65、同74、同83、同93、同94、同98、同110、同111、同138、同139、同153、同155、同180、同181、同185、C.I.ピグメントグリーン7、C.I.ピグメントブルー15:3、同15:4、同60、及び、中心金属が亜鉛やチタン、マグネシウムなどであるフタロシアニン顔料などが含まれる。
【0158】
上記染料の例には、C.I.ソルベントレッド1、同3、同14、同17、同18、同22、同23、同49、同51、同52、同58、同63、同87、同111、同122、同127、同128、同131、同145、同146、同149、同150、同151
、同152、同153、同154、同155、同156、同157、同158、同176、同179、ピラゾロトリアゾールアゾ染料、ピラゾロトリアゾールアゾメチン染料、ピラゾロンアゾ染料、ピラゾロンアゾメチン染料、C.I.ソルベントイエロー19、同44、同77、同79、同81、同82、同93、同98、同103、同104、同112、同162、C.I.ソルベントブルー25、同36、同60、同70、同93及び同95などが含まれる。
【0159】
着色剤の量は、トナー粒子の総量100質量部に対して1~30質量部が好ましく、2~20質量部がより好ましい。
【0160】
上記荷電制御剤の例には、ニグロシン系染料、ナフテン酸又は高級脂肪酸の金属塩、アルコキシル化アミン、第4級アンモニウム塩化合物、アゾ系金属錯体、及び、サリチル酸金属塩又はその金属錯体等が含まれる。
【0161】
荷電制御材の量は、結着樹脂の総量100質量部に対して0.1~5.0質量部が好ましい。
【0162】
(外添剤)
外添剤は、トナー粒子の流動性や帯電性等を制御する機能を果たす。
本発明に係るトナー粒子は、外添剤として、チタン酸ストロンチウムを含有していることが研磨力を効果的に発揮できる点で好ましい。
また、トナー粒子は、外添剤を1種のみ含んでもよく、2種以上含んでいてもよい。
【0163】
前記チタン酸ストロンチウム以外の外添剤の例には、シリカ粒子、チタニア粒子、アルミナ粒子、ジルコニア粒子、酸化亜鉛粒子、酸化クロム粒子、酸化セリウム粒子、酸化アンチモン粒子、酸化タングステン粒子、酸化スズ粒子、酸化テルル粒子、酸化マンガン粒子及び酸化ホウ素粒子等が含まれる。
【0164】
外添剤は、その表面が疎水化処理されていることが好ましい。疎水化処理には、公知の表面処理剤が用いられる。表面処理剤は、1種類を単独で使用してもよいし、2種類以上を併用してもよい。表面処理剤の例には、シランカップリング剤、シリコーンオイル、チタネート系カップリング剤、アルミネート系カップリング剤、脂肪酸、脂肪酸金属塩、そのエステル化物及びロジン酸等が含まれる。
【0165】
上記シランカップリング剤の例には、ジメチルジメトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)、メチルトリメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン及びデシルトリメトキシシランなどが含まれる。上記シリコーンオイルの例には、環状化合物、及び直鎖状あるいは分岐状のオルガノシロキサンなどが含まれ、より具体的には、オルガノシロキサンオリゴマー、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、テトラメチルシクロテトラシロキサン、及び、テトラビニルテトラメチルシクロテトラシロキサン等が含まれる。
【0166】
上記シリコーンオイルの例には、側鎖又は片末端や両末端、側鎖片末端、側鎖両末端などに変性基を導入した反応性の高い、少なくとも末端を変性したシリコーンオイルが含まれる。上記変性基の種類は、一種でもそれ以上でもよい。上記変性基の例には、アルコキシ、カルボキシル、カルビノール、高級脂肪酸変性、フェノール、エポキシ、(メタ)アクリロイル及びアミノが含まれる。
【0167】
外添剤の含有量は、トナー粒子の総量に対して0.1~10.0質量%が好ましく、1.0~3.0質量%がより好ましい。
【0168】
(トナー粒子の粒径)
トナー粒子の大きさは、本発明の効果及び目的を損なわない範囲であれば特に制限されない。通常、トナー粒子の体積平均粒径(体積基準メディアン径)は、3.0~8.0μmの範囲内が好ましい。
【0169】
トナー粒子の体積平均粒径は、「コールターカウンターマルチサイザー3」(ベックマン・コールター社製)に、データ処理用ソフト「Software V3.51」を搭載したコンピューターシステム(ベックマン・コールター社製)を接続した装置を用いて測定、算出する。
測定手順としては、トナー0.02gを、界面活性剤溶液20mlで馴染ませた後、超音波分散を1分間行い、トナー分散液を作製する。前記界面活性剤溶液は、トナーの分散を目的として、例えば界面活性剤成分を含む中性洗剤を純水で10倍希釈した界面活性剤溶液である。
作製したトナー分散液を、サンプルスタンド内のISOTON II(ベックマン・コールター製)の入ったビーカーに、測定器表示濃度が5%~10%になるまでピペットにて注入する。この濃度範囲にすることにより、再現性のある測定値が得られる。測定機において、測定粒子カウント数を25000個、アパチャー径を100μmにし、測定範囲である2.0~60μmの範囲を256分割しての頻度値を算出し、体積積算分率が大きい方から50%の粒子径を体積基準メディアン径(体積D50%径)とする。
また、トナー粒子の体積平均粒径は、例えば、トナー粒子の製造における温度や撹拌の条件、トナー粒子の分級、トナー粒子の分級品の混合等によって調整できる。
【0170】
[トナーの製造方法]
本発明に係るトナーの製造方法は、特に制限されず、公知の方法、例えば、乳化凝集法、粉砕法、及び懸濁重合法などを用いることができる。
本発明に係るトナーの製造方法は、粉砕法を用いることが好ましい。
具体的に、トナーの製造方法は、結着樹脂及び着色剤、必要に応じて離型剤等の他の成分を含む混合物を溶融混練して溶融混練物を得る工程、及び溶融混練物を粉砕してトナー粒子を得る工程を有する。
【0171】
以下、例として粉砕法を用いた粉砕トナー粒子を含むトナー製造手順について説明する。
まず、トナー粒子を構成する材料として、例えば、結着樹脂及び着色剤、並びに必要に応じて離型剤や荷電制御剤等の他の成分を所定量秤量して配合し、混合する。
混合装置の一例としては、ダブルコン・ミキサー、V型ミキサー、ドラム型ミキサー、スーパーミキサー、ヘンシェルミキサー、ナウタミキサ、メカノハイブリッドなどが挙げられる。
【0172】
次に、混合した材料を溶融混練する。
溶融混練工程では、加圧ニーダー、バンバリィミキサーのようなバッチ式練り機や、連続式の練り機を用いることができる。連続生産できる優位性から、1軸又は2軸押出機が好ましい。
溶融混練の温度は、100~200℃程度が好ましい。
2軸押出機としては、例えば、KTK型2軸押出機(神戸製鋼所社製)、TEM型2軸押出機(東芝機械社製)、PCM混練機(池貝鉄工製)、2軸押出機(ケイ・シー・ケイ社製)、コ・ニーダー(ブス社製)、ニーデックス(日本コークス工業株式会社製)などが挙げられる。さらに、溶融混練することによって得られる樹脂組成物は、2本ロール等で圧延され、冷却工程で水などによって急冷する。
【0173】
次に、樹脂組成物の冷却物は、粉砕工程で所望の粒径まで粉砕される。
粉砕工程では、例えば、クラッシャー、ハンマーミル、フェザーミルのような粉砕機で粗粉砕した後、さらに、例えば、クリプトロンシステム(川崎重工業社製)、スーパーローター(日清エンジニアリング社製)、ターボ・ミル(ターボ工業製)やエアージェット方式による微粉砕機で微粉砕する。
【0174】
その後、必要に応じて慣性分級方式のエルボージェット(日鉄鉱業社製)、遠心力分級方式のターボプレックス(ホソカワミクロン社製)、TSPセパレータ(ホソカワミクロン社製)、ファカルティ(ホソカワミクロン社製)のような分級機や篩分機を用いて分級し、分級品として粉砕トナー粒子を得る。
【0175】
[現像剤]
本発明に係るトナーは、以下の現像剤として好適に使用することができる。例えば磁性体を含有させて一成分磁性トナーとして使用する場合、いわゆるキャリアと混合して二成分現像剤として使用する場合、非磁性トナーを単独で使用する場合などが挙げられる。本発明に係るトナーは、前記の場合について、いずれも好適に使用することができる。
【0176】
前記磁性体としては、例えば、マグネタイト、γ-ヘマタイト、又は各種フェライトなどを使用することができる。
二成分現像剤を構成するキャリアとしては、鉄、鋼、ニッケル、コバルト、フェライト、マグネタイトなどの金属、それらの金属とアルミニウム、鉛などの金属との合金などの従来公知の材料からなる磁性粒子を用いることができる。
キャリアとしては、磁性粒子の表面を樹脂等の被覆剤で被覆したコートキャリアや、バインダー樹脂中に磁性体粉末を分散してなるいわゆる樹脂分散型キャリアを用いることが好ましい。
【0177】
被覆用の樹脂としては、特に限定はないが、例えば、オレフィン樹脂、スチレン樹脂、スチレン・アクリル樹脂、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、又はフッ素樹脂などが用いられる。
また、樹脂分散型キャリアを構成するための樹脂としては、特に限定されず公知のものを使用することができる。このような樹脂として、例えば、アクリル樹脂、スチレン・アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素樹脂、フェノール樹脂などを使用することができる。
【0178】
キャリアの体積基準のメディアン径は、20~100μmの範囲内であることが好ましく、25~60μmの範囲内であることがより好ましい。
キャリアの体積基準のメディアン径は、代表的には湿式分散機を備えたレーザー回折式粒度分布測定装置により測定することができる。前記レーザー回折式粒度分布測定装置としては、「ヘロス(HELOS)」(シンパテック(SYMPATEC)社製)が挙げられる。
トナーのキャリアに対する混合量は、トナーとキャリアとの合計質量を100質量%として、2~10質量%の範囲内であることが好ましい。
【実施例0179】
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、下記実施例において、特記しない限り、操作は室温(25℃)で行われた。また、特記しない限り、「%」及び「部」は、それぞれ、「質量%」及び「質量部」を意味する。
【0180】
<感光体1の作製>
(1)感光体用支持体の準備
下記表Iに記載の組成のアルミニウム系合金からなる支持体1(外径φ30mm、長さ360mm)を用意した。
【0181】
(2)中間層の形成
下記材料を混合、分散し、中間層用の塗布液を調製した。このとき、分散機にはサンドミルを用い、バッチ式で10時間の分散を行った。
ポリアミド樹脂 1.0質量部
酸化チタン 1.1質量部
エタノール 20質量部
前記ポリアミド樹脂(樹脂バインダー)としては、X1010(ダイセル・エボニック社製)を使用した。前記酸化チタン(導電性粒子)としては、SMT500SAS(テイカ社製)を使用した。酸化チタンの数平均一次粒径は、0.035μmである。
前記中間層用の塗布液を、支持体の表面に、浸漬塗布法によって塗布した。次いで、これをオーブン内において110℃で20分間乾燥させた。これにより、厚さ3μmの中間層を形成した。
【0182】
(3)電荷発生層の形成
下記材料を混合し、循環式超音波ホモジナイザー「RUS-600TCVP(日本精機製作所社製)」を用いて分散することにより、電荷発生層用の塗布液を調製した。分散条件は、19.5kHz、600W、循環流量40L/H、0.5時間とした。
電荷発生性化合物 24質量部
ポリビニルブチラール樹脂 12質量部
混合溶媒 400質量部
前記電荷発生性化合物には、Cu-Kα特性X線回折スペクトル測定で8.3°、24.7°、25.1°、26.5°に明確なピークを有するチタニルフタロシアニン、及び(2R、3R)-2,3-ブタンジオールの1:1付加体と、未付加のチタニルフタロシアニンの混晶を用いた。前記ポリビニルブチラール樹脂には、エスレックBL-1(積水化学工業社製、「エスレック」は同社の登録商標)を用いた。前記混合溶媒には、3-メチル-2-ブタノン:シクロヘキサノン=4:1(体積比)を用いた。
前記電荷発生層用の塗布液を、中間層の表面に、浸漬塗布法によって塗布し、乾燥させた。これにより、厚さ0.3μmの電荷発生層を形成した。
【0183】
(4)電荷輸送層の形成
下記材料を混合、溶解させることにより電荷輸送層用の塗布液を調製した。
電荷輸送性化合物(CTM-48) 75質量部
ポリカーボネート樹脂 100質量部
酸化防止剤 4質量部
前記ポリカーボネート樹脂には、Z300(三菱ガス化学社製、ビスフェノールZ型ポリカーボネート)を用いた。前記酸化防止剤には、IRGANOX1010(BASF社製、「IRGANOX」は同社の登録商標)を用いた。
前記電荷輸送層用の塗布液を、電荷発生層の表面に、浸漬塗布法によって塗布した。次いで、これを120℃で70分間乾燥させた。これにより、厚さ24μmの電荷輸送層を形成した。
【0184】
<感光体2~11の作製>
感光体1の作製において、用いる支持体を下記表Iに記載の支持体2~11にそれぞれ変更した以外は同様にして、感光体2~11を作製した。
【0185】
<トナー母体粒子1の作製>
(1)ポリエステル樹脂の作製
フマル酸 54.3質量部
ビスフェノールAのプロピレンオキシド付加物(BPA-PO)
22.0質量部
ジプロパノール 23.8質量部
2-エチルヘキサン酸錫(エステル化触媒) 0.5質量部
冷却管、撹拌機、窒素導入管、及び、熱電対のついた反応槽に、上記材料を秤量した。
反応槽内を窒素ガスで置換した後、撹拌しながら徐々に昇温し、140℃の温度で撹拌しつつ、3時間反応させた。
次に、反応槽内の圧力を8.3kPaに下げ、撹拌しながら温度200℃まで昇温し、4時間反応させた(反応工程1)。
その後、再び反応槽内を5kPa以下へ減圧して200℃で3時間反応させることにより、結着樹脂A1を得た(反応工程2)。
【0186】
(2)トナー母体粒子1の作製
ポリエステル樹脂 100.0質量部
炭化水素ワックス(フィッシャートロプシュワックス)
5.0質量部
C.I.ピグメントブルー15:3 6.0質量部
上記材料をヘンシェルミキサー(FM-75型、三井鉱山(株)製)を用いて、回転数20s-1、回転時間5minで混合した。その後、温度150℃に設定した二軸混練機(PCM-30型、株式会社池貝製)にて混練した。
得られた混練物を冷却し、ハンマーミルにて1mm以下に粗粉砕し、粗砕物を得た(粗粉砕工程)。得られた粗砕物を、機械式粉砕機(T-250、ターボ工業(株)製)にて微粉砕した(微粉砕工程)。さらに、ジグザグ分級機を用い、分級を行った(分級工程)。
分級を経た粒子に対して、表面処理装置によって熱処理を行った。熱処理室の温度を150℃にし、処理時間を30秒として、熱処理を行うことによりトナー母体粒子1を得た。
【0187】
<トナー母体粒子2の作製>
前記トナー母体粒子1の作製において、粉砕装置としてジェットミルを使用して気流温度を制御した。また、前記表面処理装置による、熱処理工程は経ず、それ以外はトナー母体粒子1と同様に作製し、トナー母体粒子2を得た。
【0188】
<トナー母体粒子3の作製>
前記トナー母体粒子1の作製における機械式粉砕機で微粉砕する工程(微粉砕工程)において、供給する気流温度を調整した以外は同様にして作製し、トナー母体粒子3を得た。
【0189】
<トナー母体粒子4の作製>
前記トナー母体粒子1の作製における機械式粉砕機で微粉砕する工程において、供給する気流温度を調整した以外は同様にして作製し、トナー母体粒子4を得た。
【0190】
<トナー母体粒子5の作製>
前記トナー母体粒子1の作製における分級工程において、高速ローター式分級機「ターボクラシファイア」を用い、トナー母体粒子1と同様に作製し、トナー母体粒子5を得た。
【0191】
<トナー母体粒子6の作製>
前記トナー母体粒子3の作製において、分級工程を経ないこと以外は同様にして作製し、トナー母体粒子6を得た。
【0192】
<トナー母体粒子7の作製>
前記トナー母体粒子1の作製において、粉砕装置としてジェットミルを使用して気流温度を制御した。また、前記表面処理装置による熱処理工程は経ず、それ以外はトナー母体粒子1と同様に作製し、トナー母体粒子7を得た。
【0193】
<トナー母体粒子8の作製>
前記トナー母体粒子1の作製において、粉砕装置としてジェットミルを使用して気流温度を制御した。また、前記表面処理装置による熱処理工程は経ず、それ以外はトナー母体粒子1と同様に作製し、トナー母体粒子8を得た。
【0194】
<トナー母体粒子9の作製>
前記トナー母体粒子1の作製において、機械式粉砕機で微粉砕した粒子を球形化処理装置(オングミル:ホソカワミクロン社製)で処理した以外は同様にして作製し、トナー母体粒子9を得た。
【0195】
<トナー母体粒子10の作製>
前記トナー母体粒子1の作製における分級工程において、高速ローター式分級機「ターボクラシファイア」を用いた以外は同様にして作製し、トナー母体粒子10を得た。
【0196】
<トナー母体粒子11の作製>
前記トナー母体粒子1の作製において、分級工程及び熱処理工程を経ないこと以外は同様にして作製し、トナー母体粒子11を得た。
【0197】
<トナー1の作製>
トナー母体粒子1 100質量部
ヘキサメチルジシラザンで疎水化処理した疎水性シリカ微粒子(BET:200m2/g) 1.0質量部
イソブチルトリメトキシシランで表面処理した酸化チタン微粒子(BET:80m2/g) 1.0質量部
チタン酸ストロンチウム 0.5質量部
上記材料をヘンシェルミキサー(FM-75型、三井三池化工機(株)製)を用いて、回転数30s-1、回転時間10minで混合して、トナー粒子1を含むトナー1を得た。
【0198】
<トナー2~11の作製>
前記トナー1の作製において、トナー母体粒子1をトナー母体粒子2~11にそれぞれ変更したこと以外は同様にして、各トナー粒子2~11を含むトナー2~11を作製した。
【0199】
得られたトナー粒子1~11について、体積平均粒径、平均形状係数及び微粉含有量を算出し、下記表に示した。体積平均粒径、平均形状係数及び微粉含有量の算出法については、前記したとおりである。
【0200】
<二成分現像剤1~11の作製>
各トナー粒子と、アクリル樹脂を被覆した体積平均粒径34μmのフェライトキャリアとを、トナー粒子濃度が6質量%となるように添加して混合した。こうして、各種トナー粒子を含有する二成分現像剤1~11を作製した。
【0201】
[評価]
<クリーニング性(フィルミング)>
bizhub C650i機(コニカミノルタ社製)においてドラムユニットを分解し、作製した感光体をそれぞれ置き換えた。さらに、各二成分現像剤を用いて、画像形成システムを作製して、マシンのシアン色位置に搭載した。
A4用紙にて、搬送方向に幅15mm、搬送方向と垂直な方向に幅290mmのシアン色帯状ベタパッチを有する画像チャートを、両面200000枚実写した。
感光体上において、1cm四方の正方形の区画領域を設定し、領域内のトナーフィルミングの発生数をカウントした。
(評価基準)
AAA:付着物が0~10個(非常に優れている)
AA:付着物が11~25個(優れている)
A:付着物が26~40個(実用上問題はない)
B:付着物が41個以上(実用上問題あり)
トナーフィルミングの総発生数が少ないものほど良好であるとし、総固着発生数40個以下を合格とした。
【0202】
【0203】
【0204】
上記結果に示されるように、本発明の画像形成方法は、比較例に比べて、トナーフィルミングの発生を抑制でき、クリーニング性が良好であることが分かる。