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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024124784
(43)【公開日】2024-09-13
(54)【発明の名称】伸縮装置
(51)【国際特許分類】
   F16H 19/04 20060101AFI20240906BHJP
【FI】
F16H19/04 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023032690
(22)【出願日】2023-03-03
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】羽田 至孝
(72)【発明者】
【氏名】中村 祥吾
(72)【発明者】
【氏名】奥田 佳宏
(72)【発明者】
【氏名】森光 孝敏
【テーマコード(参考)】
3J062
【Fターム(参考)】
3J062AB21
3J062AB40
3J062AC07
3J062BA16
3J062BA35
3J062CC12
(57)【要約】
【課題】ベルトがねじれることを抑制する伸縮装置の提供。
【解決手段】本開示に係る伸縮装置は、伸縮可能な筒状構造体10と、筒状構造体10の内側に配置された内側案内部材1とを備える。筒状構造体10は、アウターベルト5、及びインナーベルト2を備える。アウターベルト5及びインナーベルト2は、長手方向に1列に設けられた複数の第1の突起2aと孔とを備える。内側案内部材1は、複数の第1の突起2aに沿って延びる第1の螺旋溝1bを有する。内側案内部材1が一方に回転してアウターベルト5及びインナーベルト2が送り出されることで相互に係合しつつ螺旋状に巻回されて、筒状構造体10が伸長する。第1の螺旋溝1bは、本体1baと、本体1baから内側案内部材1の根元側に延びる端部1bbとを備える。第1の螺旋溝1bの端部1bbと、第1の螺旋溝1bの本体1baとの間隔が小さい。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
伸縮可能な筒状構造体と、前記筒状構造体の内側に配置された内側案内部材とを備える伸縮装置であって、
前記筒状構造体は、アウターベルト、及び、前記アウターベルトの内側に配置されたインナーベルトを備え、
前記アウターベルト及び前記インナーベルトは、長手方向に1列に設けられた複数の第1の突起と孔とを備え、
前記内側案内部材は、前記複数の第1の突起に沿って延びる第1の螺旋溝を有し、
前記内側案内部材が一方に回転して前記アウターベルト及び前記インナーベルトが送り出されることで相互に係合しつつ螺旋状に巻回されて、前記筒状構造体が伸長し、
前記内側案内部材が他方に回転して前記アウターベルト及び前記インナーベルトが引き込まれることで相互に係合して巻回した状態がほどけて、前記筒状構造体が収縮し、
前記第1の螺旋溝は、本体と、前記本体から前記内側案内部材の根元側に延びる端部とを備え、
前記第1の螺旋溝の前記端部と、前記第1の螺旋溝の前記本体との間隔が小さい、
伸縮装置。
【請求項2】
前記第1の螺旋溝の前記端部の螺旋のピッチは、前記第1の螺旋溝の前記本体の螺旋のピッチと比較して小さい、又は、前記第1の螺旋溝の前記端部の幅は、前記第1の螺旋溝の前記本体の幅と比較して広い、
請求項1に記載の伸縮装置。
【請求項3】
前記アウターベルト及び前記インナーベルトは、前記複数の第1の突起よりも前記内側案内部材の根元側において、長手方向に1列に設けられた複数の第2の突起を備え、
前記内側案内部材は、前記複数の第2の突起に沿って延びる第2の螺旋溝をさらに備え、
前記第2の螺旋溝は、本体と、前記本体から前記内側案内部材の根元側に延びる端部とを備え、
前記第2の螺旋溝の前記端部と、前記第2の螺旋溝の前記本体との間隔が小さい、
請求項1又は2に記載の伸縮装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は伸縮装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、螺旋状進退作動装置は、それぞれ帯状に構成された第1の帯材と第2の帯材とを含む。第1の帯材及び第2の帯材が水平面上において渦巻き状に収容されている分離状態から螺旋状に巻回されて筒状構造体を構成する筒構成状態へと移行する。これらの帯材が軸線の周りに軸線の方向に相互にずれた位置で螺旋状に巻回されることによって筒状構造体が構成されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4607772号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願発明者等は、以下の課題を発見した。
このような螺旋状進退作動装置では、分離状態から筒構成状態へと移行するとき、帯材(ベルト)がねじれることがあった。帯材のねじれは、帯材と内側案内部材の螺旋溝との過剰な接触が発生するおそれがあった。
【0005】
本開示は、上述した課題を鑑みてなされたものであり、ベルトがねじれることを抑制することができる伸縮装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る伸縮装置は、伸縮可能な筒状構造体と、前記筒状構造体の内側に配置された内側案内部材とを備える伸縮装置であって、
前記筒状構造体は、アウターベルト、及び、前記アウターベルトの内側に配置されたインナーベルトを備え、
前記アウターベルト及び前記インナーベルトは、長手方向に1列に設けられた複数の第1の突起と孔とを備え、
前記内側案内部材は、前記複数の第1の突起に沿って延びる第1の螺旋溝を有し、
前記内側案内部材が一方に回転して前記アウターベルト及び前記インナーベルトが送り出されることで相互に係合しつつ螺旋状に巻回されて、前記筒状構造体が伸長し、
前記内側案内部材が他方に回転して前記アウターベルト及び前記インナーベルトが引き込まれることで相互に係合して巻回した状態がほどけて、前記筒状構造体が収縮し、
前記第1の螺旋溝は、本体と、前記本体から前記内側案内部材の根元側に延びる端部とを備え、
前記第1の螺旋溝の前記端部と、前記第1の螺旋溝の前記本体との間隔が小さい。
【0007】
また、前記第1の螺旋溝の前記端部の螺旋のピッチは、前記第1の螺旋溝の前記本体の螺旋のピッチと比較して小さい、又は、前記第1の螺旋溝の前記端部の幅は、前記第1の螺旋溝の前記本体の幅と比較して広いことを特徴としてもよい。
【0008】
前記アウターベルト及び前記インナーベルトは、前記複数の第1の突起よりも前記内側案内部材の根元側において、長手方向に1列に設けられた複数の第2の突起を備え、
前記内側案内部材は、前記複数の第2の突起に沿って延びる第2の螺旋溝をさらに備え、
前記第2の螺旋溝は、本体と、前記本体から前記内側案内部材の根元側に延びる端部とを備え、
前記第2の螺旋溝の前記端部と、前記第2の螺旋溝の前記本体との間隔が小さいことを特徴としてもよい。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、ベルトがねじれることを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施の形態1に係る伸縮装置の全体斜視図である。
図2】実施の形態1に係る伸縮装置の要部の斜視図である。
図3】実施の形態1に係る伸縮装置の要部の斜視図である。
図4】実施の形態1に係る内側案内部材の一例の斜視図である。
図5】切断線V-Vにおける内側案内部材の一例の断面図及び拡大断面図である。
図6】実施の形態1に係る伸縮装置の動作を示す図である。
図7】実施の形態1に係る内側案内部材の別の一例の斜視図である。
図8】本発明が解決しようとする課題に係る伸縮装置の要部の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
なお、当然のことながら、図1及びその他の図面に示した右手系XYZ座標は、構成要素の位置関係を説明するための便宜的なものである。通常、Z軸プラス向きが鉛直上向き、XY平面が水平面であり、図面間で共通である。
【0012】
(関連する技術)
本開示を適用した具体的な実施形態に先立って、図8を参照して、本開示に関連する技術に係る伸縮装置について説明する。図8に示す伸縮装置900は、筒状構造体90を伸長し、又は収縮することができる。なお、分かり易さのため、図8では、インナーベルト2の一部、カバー、上側ベルトケースの図示を省略した。
【0013】
伸縮装置900が筒状構造体90を伸長させる動作について説明する。内側案内部材91が中心軸C9周りに一方に回転する。すると、内側案内部材91がアウターベルト95及びインナーベルト92を巻き取る。続いて、アウターベルト95が、図示しない上側ベルトケースから、図示しないカバーの第1の開口を通過して内側案内部材91へ送り出されるとともに、インナーベルト92が、下側ベルトケース93からカバーの第2の開口を通過して内側案内部材91へ送り出される。アウターベルト95及びインナーベルト92が相互に係合しつつ螺旋状に内側案内部材91に巻回される。言い換えると、アウターベルト95、及びインナーベルト92がそれぞれ当該上側ベルトケース、及び下側ベルトケース93に収納された分離状態から、アウターベルト95、及びインナーベルト92が螺旋状に巻回された筒構成状態へ遷移する。これによって、筒状構造体90は伸長する。
【0014】
また、伸縮装置900が筒状構造体90を収縮させる動作について説明する。内側案内部材91が中心軸C9周りに他方に回転する。すると、すでに相互に係合して巻き回されたアウターベルト95及びインナーベルト92がほどける。続いて、アウターベルト95が内側案内部材91から、上記したカバーの第1の開口を通過して上記した上側ベルトケースへ引き込まれるとともに、インナーベルト92が内側案内部材91から、上記したカバーの第2の開口を通過して、下側ベルトケース93へ送り出される。アウターベルト95が当該上側ベルトケースへ収納され、インナーベルト92が下側ベルトケース93へ収納される。言い換えると、アウターベルト95、及びインナーベルト92が螺旋状に巻回された筒構成状態から、アウターベルト95、及びインナーベルト92がそれぞれ当該上側ベルトケース、及び下側ベルトケース93に収納された分離状態へ遷移する。これによって、筒状構造体90は収縮する。
【0015】
このような伸縮装置900の伸長動作、又は収縮動作において、上記した分離状態と上記した筒構成状態とを遷移する。インナーベルト92は、接触部92fと、分離部92gと、被収納部92hとを備える。接触部92fと、分離部92gと、被収納部92hとはインナーベルト92の長手方向にこの順に連なる。接触部92fは、アウターベルト95と螺旋状に巻回されており、内側案内部材91と接触する。分離部92gは、接触部92fの端部から下側ベルトケース93までに延び、内側案内部材91から離隔する。被収納部92hは、分離部92gの端部から延び、下側ベルトケース93に収納される。下側ベルトケース93の側壁93bは、中心軸C9周りに環状に延びる。インナーベルト92の被収納部92hは、側壁93bの内側壁面に沿って巻き回されるとよい。
【0016】
また、インナーベルト92は、インナーベルト92の長手方向に1列に並んだ複数の第1の突起92aと、複数の第1の突起92aの下側に1列に並んだ複数の第2の突起(図示略)とを備える。複数の第1の突起92aは、内側案内部材91側へ突起し、第1の螺旋溝91bと嵌合可能な形状を有する。接触部92fにおける複数の第1の突起92aが第1の螺旋溝91bと嵌合する。接触部92fにおける複数の第2の突起は第1の螺旋溝91b及び第2の螺旋溝(図示略)と嵌合しておらず、内側案内部材91と分離している。これによって、接触部92fの上側は第1の螺旋溝91bに留められており、接触部92fの下側は留められることなく、内側案内部材91と離隔している。
【0017】
下側ベルトケース93の下面93aは、被収納部92hを押し上げる。そのため、複数の第1の突起92aは、第1の螺旋溝91bの上側壁面に押し当たって、接触部92f、特に接触部92fにおける分離部92g側端部の主面は、中心軸C9に対して傾斜する。一方、被収納部92hの主面は、中心軸C9と略平行である。従って、接触部92fの主面と、被収納部92hの主面とは、異なる方向に延びる。上記したように、接触部92fと、分離部92gと、被収納部92hとはインナーベルト92の長手方向にこの順に連なる。分離部92gは、ねじれ方向に力を受けて、ねじれる。以上より、上記した分離状態と上記した筒構成状態とを遷移するとき、インナーベルト92がねじれる。
【0018】
以下、本発明を適用した具体的な実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。ただし、本発明が以下の実施形態に限定される訳ではない。また、説明を明確にするため、以下の記載及び図面は、適宜、簡略化されている。
【0019】
<実施の形態1>
図1図6を参照して実施の形態1について説明する。図1は、実施の形態1に係る伸縮装置の全体斜視図である。図2は、上側ベルトケース6を外した、図1に示す伸縮装置の要部の斜視図である。図3は、カバー4を外した、図2に示す伸縮装置の要部の斜視図である。図4は、実施の形態1に係る内側案内部材の一例の斜視図である。図5は、切断線V-Vにおける、図4に示す内側案内部材の一例の断面図及び拡大断面図である。図6は、実施の形態1に係る伸縮装置の動作を示す図である。なお、分かり易さのため、図1では、アウターベルト5の一部と、上側ベルトケース6の正面側の一部の図示を省略した。また、図2図3及び図6では、インナーベルト2の一部の図示を省略した。
【0020】
<構成>
図1及び図3に示すように、伸縮装置100は、筒状構造体10と、内側案内部材1とを備える。本実施形態1に係る伸縮装置100は、下側ベルトケース3と、カバー4と、上側ベルトケース6とをさらに備える。
【0021】
筒状構造体10は、その中心軸C1方向(ここでは、Z軸方向)において、伸縮可能である。筒状構造体10は、アウターベルト5、及びインナーベルト2を備える。筒状構造体10において、インナーベルト2がアウターベルト5の内側に配置される。インナーベルト2及びアウターベルト5は、可撓性を有する材料からなるとよい。このような材料は、例えば、スチールである。
【0022】
インナーベルト2は、インナーベルト2の長手方向に1列に設けられた複数の第1の突起2a(図6参照)と、筒状構造体10において複数の第1の突起2aの下側に1列に設けられた複数の第2の突起(図示略)と、複数の孔(図示略)とを備える。具体的には、第1の突起2a、及び第2の突起は、当該孔の外縁から突起してもよい。第1の突起2a、及び第2の突起は筒状に延びており、第1の突起2a、及び第2の突起の径は、その根元から先端にかけて縮小するとよい。筒状構造体10において、第1の突起2a、及び第2の突起は、内側案内部材1側に向かって突起する。複数の第1の突起2aは、内側案内部材1側へ突起し、第1の螺旋溝1bと嵌合可能な形状を有する。
【0023】
アウターベルト5は、インナーベルト2と同様に、アウターベルト5の長手方向に2列に設けられた複数の突起(図示略)と、複数の孔(図示略)とを備える。具体的には、アウターベルト5の複数の突起は、孔の外縁から突起してもよい。アウターベルト5の複数の突起は筒状に延びており、その径は、その根元から先端にかけて縮小するとよい。筒状構造体10において、アウターベルト5の複数の突起は、内側案内部材1側に向かって突起する。
【0024】
筒状構造体10において、インナーベルト2及びアウターベルト5は、相互に係合する。具体的には、インナーベルト2及びアウターベルト5が内側案内部材1に巻き合わされたとき、アウターベルト5の複数の突起がそれぞれ対応するインナーベルト2の複数の孔に挿入することによって、インナーベルト2及びアウターベルト5は、相互に係合する。
【0025】
内側案内部材1は筒状構造体10の内側に配置された筒状体である。図4に示すように、内側案内部材1の外周面1aには、第1の螺旋溝1bと、第2の螺旋溝1cと、フランジ1dとが形成されている。第1の螺旋溝1b及び第2の螺旋溝1cは、外周面1aにおいて、フランジ1dから離隔して設けられている。図4に示すように、フランジ1dは、内側案内部材1の根元側(ここでは、Z軸負方向)に設けられている。第1の螺旋溝1b、及び第2の螺旋溝1cは、それぞれ、筒状構造体10における、インナーベルト2の複数の第1の突起2a及び複数の第2の突起に沿って延びる。具体的には、第1の螺旋溝1bは、筒状構造体10において複数の第1の突起2aに沿って延びる。第2の螺旋溝1cは、上記したインナーベルト2の複数の第2の突起に沿って延びる。第1の螺旋溝1b及び第2の螺旋溝1cは、それぞれ、インナーベルト2の複数の第1の突起2a及び複数の第2の突起と嵌合可能である。第1の螺旋溝1b及び第2の螺旋溝1cは、外周面1aにおいて並列して延びる。
【0026】
第1の螺旋溝1bは、本体1baと、端部1bbとを備える。端部1bbは、本体1baから内側案内部材1の根元側に延びる。端部1bbと本体1baとの間隔が小さい。具体的には、図5に示すように、第1の螺旋溝1bの端部1bbの幅Lbは、第1の螺旋溝1bの本体1baの幅Laと比較して広い。例えば、端部1bbと本体1baとの境界1bcから端部1bb側に向かうにつれて、端部1bbの幅Lbが徐々に大きくなってもよい。
【0027】
内側案内部材1は、筒状構造体10の中心軸C1周りに回転可能に保持されている。筒状構造体10の中心軸C1は、内側案内部材1の中心軸と同一であってもよい。内側案内部材1は、モータ等の駆動源から駆動力を供給されることによって、筒状構造体10の中心軸C1周りに一方又は他方に回転する。
【0028】
カバー4は内側案内部材1を覆う。カバー4は筒状構造体10の内側に配置されている。図1及び図2に示すように、カバー4は、筒状体であり、この筒状体の外周面において開口する開口4a、4bを有する。図1に示す開口4bは、図2に示す開口4aの上側に配置される。開口4aは、インナーベルト2が内側案内部材1側へ導入可能な大きさを有し、カバー4の筒状体の壁部を貫通する。開口4bは、アウターベルト5が内側案内部材1側へ導入可能な大きさを有し、カバー4の筒状体の壁部を貫通する。
【0029】
図1及び図2に示すように、下側ベルトケース3は、インナーベルト2を供給可能に収納する。下側ベルトケース3は、カバー4の外側に配置されている。下側ベルトケース3は、筒状構造体10の中心軸C1を中心とするリング形状を有する。下側ベルトケース3は、下面3aと、側壁3bと備える。下面3aは、環状であり、中心軸C1に対して略垂直であるとよい。側壁3bは、下面3aの外縁から立ち上がるとよい。側壁3bは、中心軸C1周りに環状に延びるとよい。インナーベルト2が下側ベルトケース3に収納された場合、下面3aは、下側ベルトケース3に収納されたインナーベルト2を支持する。また、このような場合、インナーベルト2は、中心軸C1周りに側壁3bに沿って巻き回されるとよい。
【0030】
図1に示すように、上側ベルトケース6は、アウターベルト5を供給可能に収納する。上側ベルトケース6はカバー4の外側に配置されている。上側ベルトケース6は、下側ベルトケース3の上側に設けられている。なお、上側ベルトケース6は、筒状構造体10の中心軸C1を中心とするリング形状を有する。
【0031】
<動作>
伸縮装置100は、筒状構造体10を伸長し、又は収縮することができる。伸縮装置100が筒状構造体10を伸長させる動作について説明する。図1及び2に示すように、内側案内部材1が中心軸C1周りに一方に回転する。すると、内側案内部材1がアウターベルト5及びインナーベルト2を巻き取る。続いて、アウターベルト5が、上側ベルトケース6からカバー4の開口4bを通過して内側案内部材1へ送り出されるとともに、インナーベルト2が、下側ベルトケース3からカバー4の開口4aを通過して内側案内部材1へ送り出される。アウターベルト5及びインナーベルト2が相互に係合しつつ螺旋状に内側案内部材1に巻回される。言い換えると、アウターベルト5、及びインナーベルト2がそれぞれ上側ベルトケース6、及び下側ベルトケース3に収納された分離状態から、アウターベルト5、及びインナーベルト2が螺旋状に巻回された筒構成状態へ遷移する。これによって、筒状構造体10は伸長する。
【0032】
また、伸縮装置100が筒状構造体10を収縮させる動作について説明する。内側案内部材1が中心軸C1周りに他方に回転する。すると、すでに相互に係合して巻き回されたアウターベルト5及びインナーベルト2がほどける。続いて、アウターベルト5が内側案内部材1から、カバー4の開口4bを通過して上側ベルトケース6へ引き込まれるとともに、インナーベルト2が内側案内部材1から、カバー4の開口4aを通過して、下側ベルトケース3へ送り出される。アウターベルト5が上側ベルトケース6へ収納され、インナーベルト2が下側ベルトケース3へ収納される。言い換えると、アウターベルト5、及びインナーベルト2が螺旋状に巻回された筒構成状態から、アウターベルト5、及びインナーベルト2がそれぞれ上側ベルトケース6、及び下側ベルトケース3に収納された分離状態へ遷移する。これによって、筒状構造体10は収縮する。
【0033】
このような伸縮装置100の伸長動作、又は収縮動作において、上記した分離状態と上記した筒構成状態とを遷移する。図6に示すように、インナーベルト2は、接触部2fと、分離部2gと、被収納部2hとを備える。接触部2fと、分離部2gと、被収納部2hとはインナーベルト2の長手方向にこの順に連なる。接触部2fは、アウターベルト5と螺旋状に巻回されており、内側案内部材1と接触する。分離部2gは、接触部2fの端部から下側ベルトケース3までに延び、内側案内部材1から離隔する。被収納部2hは、分離部2gの端部から延び、下側ベルトケース3に収納される。下側ベルトケース3の側壁3bは、中心軸C1周りに環状に延びる。被収納部2hは、側壁3bの内側壁面に沿って巻き回される。
【0034】
接触部2fにおける複数の第1の突起2aが第1の螺旋溝1bと嵌合する。接触部2f、特に接触部2fの分離部2g側における複数の第2の突起(図示略)は第1の螺旋溝1b及び第2の螺旋溝1cと嵌合しておらず、内側案内部材1から分離している。これによって、接触部2fの上側は第1の螺旋溝1bに留められており、接触部2fの下側は留められることなく、内側案内部材1と内側案内部材1から離隔している。
【0035】
下側ベルトケース3の下面3aは、被収納部2hを押し上げる。しかし、上記したように、第1の螺旋溝1bの端部1bbと本体1baとの間隔が小さい。そのため、第1の螺旋溝1bの上側壁面は、図8に示す第1の螺旋溝91bの上側壁面よりも内側案内部材の先端側(ここでは、Z軸正方向)に位置する。そのため、複数の第1の突起2aは、第1の螺旋溝1bの上側壁面から離隔し、又は第1の螺旋溝1bの上側壁面と接触しても、殆ど押し当たらない。複数の第1の突起2aは第1の螺旋溝1bの上側壁面に押し当たったとしても、複数の第1の突起2aが第1の螺旋溝1bの上側壁面に押し当たる力は、図8に示す複数の第1の突起92aが第1の螺旋溝91bの上側壁面に押し当たる力と比較して小さい。したがって、接触部2fの主面は、中心軸C1と略平行である。同様に、被収納部2hの主面は、中心軸C1と略平行である。上記したように、接触部2fと、分離部2gと、被収納部2hとはインナーベルト2の長手方向にこの順に連なる。従って、分離部2gは、ねじれ方向に力を殆ど受けない。以上より、上記した分離状態と上記した筒構成状態とを遷移するとき、インナーベルト2がねじれることを抑制することができる。
【0036】
また、本実施の形態1にかかる第1の螺旋溝1bの端部1bbの幅Lbは、第1の螺旋溝1bの本体1baの幅Laと比較して広い。これによって、第1の螺旋溝1bの上側壁面が内側案内部材1の先端側(ここでは、Z軸正方向)へ移動し得る。これによって、インナーベルト2のねじれの抑制をさらに図ることができる。
【0037】
<内側案内部材の一変形例>
図7に示す内側案内部材11は、内側案内部材1の一変形例である。内側案内部材11は、第1の螺旋溝を除いて、内側案内部材1と同じ構成を備える。第1の螺旋溝11bは、端部を除いて、図4及び図5に示す第1の螺旋溝1bと同じ構成を備える。第1の螺旋溝11bは、本体11baと、端部11bbとを備える。端部11bbは、本体11baから内側案内部材1の根元側に延びる。第1の螺旋溝11bの端部11bbの螺旋のピッチは、第1の螺旋溝11bの本体11baの幅の螺旋のピッチと比較して小さい。例えば、端部11bbと本体11baとの境界11bcから端部1bb側に向かうにつれて、端部1bbの螺旋のピッチが徐々に小さくなってもよい。これによって、伸縮装置100は内側案内部材11を備えた場合でも、第1の螺旋溝11bの上側壁面が内側案内部材11の先端側(ここでは、Z軸正方向)へ移動し得る。その結果、インナーベルト2のねじれの抑制をさらに図ることができる。
【0038】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。また、本発明は、上記実施の形態やその一例を適宜組み合わせて実施してもよい。例えば、図4に示す第2の螺旋溝1cは、第1の螺旋溝1bと同様の構成を備えてもよい。すなわち、第2の螺旋溝1cは、本体と、当該本体から当該内側案内部材1の根元側に延びる端部とを備える。第2の螺旋溝1cの端部と、第2の螺旋溝1cの本体との間隔が小さい。これによって、伸縮装置100と同様に、インナーベルト2がねじれることを抑制することができる。
【符号の説明】
【0039】
100 伸縮装置
10 筒状構造体
1、11 内側案内部材
1a 外周面
1b、11b 第1の螺旋溝
1c、11c 第2の螺旋溝
1ba、11ba 本体
1bb、11bb 端部
1bc、11bc 境界
1d フランジ
2 インナーベルト
2a 第1の突起
2f 接触部
2g 分離部
2h 被収納部
3 下側ベルトケース
3a 下面
4 カバー
4a、4b 開口
5 アウターベルト
6 上側ベルトケース
6a 下面
La、Lb 幅
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8