(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024124825
(43)【公開日】2024-09-13
(54)【発明の名称】エレベーターの遠隔監視システムの構築を支援するシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
B66B 5/00 20060101AFI20240906BHJP
B66B 3/00 20060101ALI20240906BHJP
H04L 43/0811 20220101ALI20240906BHJP
【FI】
B66B5/00 G
B66B3/00 R
B66B3/00 U
H04L43/0811
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023032758
(22)【出願日】2023-03-03
(71)【出願人】
【識別番号】000232955
【氏名又は名称】株式会社日立ビルシステム
(74)【代理人】
【識別番号】110002365
【氏名又は名称】弁理士法人サンネクスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小川 顕康
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 拓也
(72)【発明者】
【氏名】澤村 伸一
【テーマコード(参考)】
3F303
3F304
【Fターム(参考)】
3F303BA01
3F303EA02
3F303EA03
3F303FA12
3F304BA07
3F304EA22
3F304ED18
(57)【要約】
【課題】IPネットワーク経由のエレベーター遠隔監視のシステムの構築を支援する。
【解決手段】エレベーターの遠隔監視システムの構築を支援する支援装置は、遠隔監視端末に通信装置経由で接続することが可能か否かを診断し、接続が可能な場合、当該遠隔監視端末のサービスに通信装置経由で接続することが可能か否かを診断する。また、支援装置は、遠隔監視センターが遠隔監視ネットワーク(IPネットワークとしての専用ネットワーク)経由で遠隔監視端末に接続することの要求である接続確認要求を、IPネットワークとしての汎用ネットワーク経由で遠隔監視センターに送信する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレベーターの遠隔監視システムの構築を支援する支援装置であって、
現地構成取得部と、
診断部と
を備え、
構築された前記遠隔監視システムでは、
遠隔監視端末と遠隔監視センターとが通信装置及び遠隔監視ネットワーク経由の通信を行い、
前記通信装置は、ネットワーク機器であり、
前記遠隔監視ネットワークは、IPネットワークとしての専用ネットワークであり、
前記遠隔監視端末は、前記エレベーターの稼働状況を監視し当該稼働状況に関するデータを前記遠隔監視センターに送信するエッジ側の装置であり、
前記遠隔監視センターは、前記遠隔監視端末からデータを受信するコア側の装置であり、
前記現地構成取得部は、前記遠隔監視端末のアドレス及びポートに関する情報を含んだ現地構成情報を取得し、
前記診断部は、
(A)前記現地構成情報を用いて、前記通信装置に接続されている前記遠隔監視端末に前記通信装置経由で接続することが可能か否かを診断し、
(B)前記遠隔監視端末に前記通信装置経由で接続可能な場合、前記現地構成情報を用いて、当該遠隔監視端末のサービスに前記通信装置経由で接続することが可能か否かを診断し、
(C)前記遠隔監視センターが前記遠隔監視ネットワーク経由で前記遠隔監視端末に接続することの要求である接続確認要求を、IPネットワークとしての汎用ネットワーク経由で前記遠隔監視センターに送信し、報告を前記遠隔監視センターから受信する、
支援装置。
【請求項2】
前記診断部は、前記接続確認要求に応答して前記遠隔監視センターから前記遠隔監視ネットワーク及び前記通信装置経由で出力用のデータを受信した場合、当該出力用のデータが表す情報を出力する、
請求項1に記載の支援装置。
【請求項3】
前記診断部は、前記出力用のデータを受けた場合、前記遠隔監視ネットワーク及び前記通信装置経由で前記報告を受け、
前記報告は、前記遠隔監視センターが前記遠隔監視端末のサービスへ前記遠隔監視ネットワーク及び前記通信装置経由で接続した結果としての報告である、
請求項2に記載の支援装置。
【請求項4】
前記現地構成取得部は、前記現地構成情報を、前記汎用ネットワーク経由で前記遠隔監視センターから取得し、
前記遠隔監視センターは、前記現地構成情報を基に、前記遠隔監視センターが前記遠隔監視端末のサービスへ前記遠隔監視ネットワーク及び前記通信装置経由で接続する、
請求項3に記載の支援装置。
【請求項5】
前記現地構成取得部は、前記現地構成情報を、前記汎用ネットワーク経由で前記遠隔監視センターから取得し、
前記遠隔監視センターは、前記現地構成情報を支援装置に送信する場合、前記通信装置に対し、前記支援装置が前記通信装置を介して前記遠隔監視ネットワーク経由の通信をすることを許可する、
請求項1に記載の支援装置。
【請求項6】
(A)の診断及び(B)の診断のいずれについても可能との診断結果が得られた場合、前記診断部は、
試験通報を、前記通信装置及び前記遠隔監視ネットワーク経由で前記遠隔監視センターに送信し、
前記試験通報が前記遠隔監視センターに届いた場合に前記遠隔監視センターから前記遠隔監視ネットワーク及び前記通信装置経由で応答を受信する、
請求項1に記載の支援装置。
【請求項7】
前記診断部は、下記(X)乃至(Z)のうちの少なくとも一つを実施する、
(X)前記エレベーターが設置されている現地のネットワークに前記通信装置経由で接続することに関しエラーが生じた場合、前記通信装置と前記支援装置とが接続されているかのチェック、及び、前記通信装置の電源の状態のチェック、のうちの少なくとも一つを作業者へ提示する、
(Y)(A)の診断について不可との診断結果が得られた場合、前記通信装置と前記遠隔監視端末とが接続されているかのチェック、及び、前記遠隔監視端末の電源の状態のチェック、のうちの少なくとも一つを作業者へ提示する、
(Z)(B)の診断について不可との診断結果が得られた場合、前記遠隔監視端末が有する内部情報のチェック、及び、前記遠隔監視端末のアドレスのチェック、のうちの少なくとも一つを作業者へ提示する、
請求項1に記載の支援装置。
【請求項8】
前記診断部が、下記を含む直接通話診断を行う、
・前記エレベーターのかごに設けられている通話装置から前記通信装置及び前記遠隔監視ネットワーク経由で前記遠隔監視センターと通話することの要求である直接通話要求を、前記通信装置経由で前記遠隔監視端末に送信すること、及び、
・前記直接通話要求に応答して前記遠隔監視端末と前記遠隔監視センターとの間が通話可能に接続され、前記かごからの通話の録音データが前記遠隔監視端末にある場合、当該録音データを取得し再生すること、
請求項1に記載の支援装置。
【請求項9】
前記診断部は、(A)、(B)及び(C)のいずれに関しても肯定的な結果が得られない場合に、前記直接通話診断を行う、
請求項8に記載の支援装置。
【請求項10】
エレベーターの遠隔監視システムの構築を支援する支援方法であって、
構築された前記遠隔監視システムでは、
遠隔監視端末と遠隔監視センターとが通信装置及び遠隔監視ネットワーク経由の通信を行い、
前記通信装置は、ネットワーク機器であり、
前記遠隔監視ネットワークは、IPネットワークとしての専用ネットワークであり、
前記遠隔監視端末は、前記エレベーターの稼働状況を監視し当該稼働状況に関するデータを前記遠隔監視センターに送信するエッジ側の装置であり、
前記遠隔監視センターは、前記遠隔監視端末からデータを受信するコア側の装置であり、
前記支援方法は、
コンピュータが、前記遠隔監視端末のアドレス及びポートに関する情報を含んだ現地構成情報を取得し、
コンピュータが、前記現地構成情報を用いて、前記通信装置に接続されている前記遠隔監視端末に前記通信装置経由で接続することが可能か否かを診断し、
前記遠隔監視端末に前記通信装置経由で接続可能な場合、コンピュータが、前記現地構成情報を用いて、当該遠隔監視端末のサービスに前記通信装置経由で接続することが可能か否かを診断し、
コンピュータが、前記遠隔監視センターが前記遠隔監視ネットワーク経由で前記遠隔監視端末に接続することの要求である接続確認要求を、IPネットワークとしての汎用ネットワーク経由で前記遠隔監視センターに送信し、報告を前記遠隔監視センターから受信する、
支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、エレベーターの遠隔監視システムの構築に関する。
【背景技術】
【0002】
エレベーターの稼働状況について通信網を経由して遠隔から監視する遠隔監視システムを構築する際、エレベーターの稼働状況を受け付ける遠隔監視センターとエレベーターを監視するための遠隔監視端末とを適切に通信可能に接続する必要がある。この遠隔監視のシステムの構築を実現するための技術として、携帯端末を用いて遠隔監視端末と遠隔監視センターとの間で疎通確認を実施する技術が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電話回線経由でエレベーターの遠隔監視を実施する場合、電話回線の接続状況や遠隔監視センター及び遠隔監視端末の双方の電話番号を確認し、遠隔監視センターと遠隔監視端末との間で互いに通知できていることを確認することが可能である。また、エレベーター側の構成(例えば、配線の接続、電話番号、遠隔監視端末がエレベーターを監視する内容の登録等)についても、遠隔監視端末を現地に設置する作業者が直感的にわかりやすい状況である。
【0005】
しかしながら、現在、多くの場面で利用されているIP(Internet Protocol)ネットワーク経由の遠隔監視を実現するとなると、配線の接続以外に各装置のアドレス設定やポート設定であったり、IPネットワークに接続するためのネットワーク機器(例えばルーター)の設定であったりと、設定項目が複雑化したことで、適切に装置を設定することが難しい。また、遠隔監視端末が遠隔監視センターに通報できない等の事象が発生した際には、どの部位で設定が異常となっているのか判定することが難しい。
【0006】
すなわち、このような複雑化した遠隔監視において、ネットワークの接続ミスや機器の設定ミス等により、遠隔監視端末と遠隔監視センター間でお互いに通信できないとき、どの部位で接続や設定の間違いがあったのかやその間違いをどのように修正すれば良いかを、IPネットワークに関する専門知識を持たない作業者では、判定が難しい。
【課題を解決するための手段】
【0007】
エレベーターの遠隔監視システムの構築を支援する支援装置が用意される。構築された遠隔監視システムでは、遠隔監視端末と遠隔監視センターとが通信装置及び遠隔監視ネットワーク経由の通信を行う。通信装置は、ネットワーク機器である。遠隔監視ネットワークは、IPネットワークとしての専用ネットワークである。遠隔監視端末は、エレベーターの稼働状況を監視し当該稼働状況に関するデータを遠隔監視センターに送信するエッジ側の装置である。遠隔監視センターは、遠隔監視端末からデータを受信するコア側の装置である。
【0008】
支援装置は、遠隔監視端末のアドレス及びポートに関する情報を含んだ現地構成情報を取得する。支援装置は、現地構成情報を用いて、通信装置に接続されている遠隔監視端末に通信装置経由で接続することが可能か否かを診断する。遠隔監視端末に通信装置経由で通信可能な場合、支援装置は、現地構成情報を用いて、当該遠隔監視端末のサービスに通信装置経由で接続することが可能か否かを診断する。
【0009】
支援装置は、遠隔監視センターが遠隔監視ネットワーク経由で遠隔監視端末に接続することの要求である接続確認要求を、IPネットワークとしての汎用ネットワーク経由で遠隔監視センターに送信し、報告を遠隔監視センターから受信する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によると、IPネットワーク経由のエレベーター遠隔監視のシステムを構築することを支援できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施形態に係る遠隔監視システムと当該システムを構築するための作業用端末とを含んだシステム全体の構成を示すブロック図である。
【
図2】現地側装置と作業用端末間の接続確認に関するシーケンス図である。
【
図3】現地側装置と遠隔監視センター間の接続確認に関するシーケンス図である。
【
図4】かご内直接通話の接続確認に関するシーケンス図である。
【
図6】
図2のS6に失敗したときの処理のフローチャートである。
【
図7】
図2のS7に失敗したときの処理のフローチャートである。
【
図8】
図2のS8に失敗したときの処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
【0013】
図1は、本発明の一実施形態に係る遠隔監視システムと当該システムを構築するための作業用端末とを含んだシステム全体の構成を示すブロック図である。
【0014】
エレベーターの遠隔監視システムは、遠隔監視端末、通信装置3、遠隔監視ネットワーク4及び遠隔監視センター5を含む。遠隔監視センター5は、物理的な計算機システムでも良いし、物理的な計算機システム(例えばクラウド基盤)に基づく論理的な計算機システム(例えば、クラウドコンピューティングサービスとしてのシステム)でも良い。
【0015】
エレベーター1号機11には遠隔監視端末12が接続され、遠隔監視端末12が、エレベーター1号機11の稼働状況を例えばリアルタイムで監視している。補助装置13は、エレベーターに関する監視以外の情報(例えば、エレベーター1号機11に備えられた装置(例えば、エレベーター1号機11の行き先階や各種情報を表示する表示装置14)に関する情報)を取り扱う装置であり、遠隔監視センター5から情報を与えられることで動作する。
【0016】
エレベーター2号機21に関する構成も、エレベーター1号機11に関する構成と同様である。すなわち、エレベーター2号機21について、遠隔監視端末22及び補助装置23が存在する。
【0017】
図1に示す構成は、一例でよい。すなわち、現地において、エレベーターは、1台でも良いし、3台以上でも良い。また、少なくとも一台のエレベーターについて、補助装置(13又は23)は無くても良い。
【0018】
各エレベーターの遠隔監視端末(及び補助装置)は通信装置3に接続される。通信装置3が、遠隔監視ネットワーク4に接続される。
【0019】
遠隔監視ネットワーク4は遠隔監視センター5と接続される。例えば、エレベーター1号機11の稼働状況に異常が発生した場合、遠隔監視端末12が、その異常を検出して、通信装置3と遠隔監視ネットワーク4を経由し、遠隔監視センター5へエレベーター1号機11で異常が発生したことを通知する。
【0020】
一方で、遠隔監視センター5には、作業用端末8と接続するためのゲートウェイ6が接続されている。ゲートウェイ6は、遠隔監視ネットワーク4とは別の通信ネットワークとしてのインターネット7に接続される。このゲートウェイ6は、インターネット7経由で、遠隔監視センター5への情報伝達を実施する作業用端末8の接続を担当する装置である。
【0021】
作業用端末8は、入出力デバイスを備えた情報処理端末(例えば、スマートホン、タブレット、モバイルPC等の端末)であり、インターネット7経由の通信を行う機能を備えている。また、作業用端末8は、通信装置3との通信のための機能(例えば、通信装置3にネットワーク接続するためのインターフェース)を備えている。
【0022】
現地(典型的には、エレベーターが設置されている建物)で、遠隔監視システムを構築した作業者は、この作業用端末8を用いて、現地の遠隔監視端末と遠隔監視ネットワーク4を経由した遠隔監視センター5との通信の確認を実施する。
【0023】
通信装置3は、ネットワーク機器である。通信装置3には、各遠隔監視端末が有線又は無線で接続される。また、遠隔監視システムでは、各遠隔監視端末と遠隔監視センター5が通信装置3及び遠隔監視ネットワーク4経由で通信する。遠隔監視ネットワーク4は、IPネットワークであって、例えば、閉域網(一例としてVPN(Virtual Private Network))でよい。
【0024】
作業用端末8は、上述した通り情報処理端末であり、例えば、インターフェース装置、記憶装置、及びそれらに接続されたプロセッサを有する。インターフェース装置は、各遠隔監視端末や遠隔監視ネットワーク4と通信するためのインターフェースデバイスや、作業用端末8と通信するためのインターフェースデバイスを含んでよい。記憶装置には、プロセッサにより入出力されるデータや、プロセッサに実行されるプログラムが記憶されてよい。プロセッサがプログラムを実行することで、作業用端末8には、
図5に例示する機能、すなわち、現地構成取得部501、ネットワーク接続診断部502、サービス接続診断部503、エラー対応部504、インターネット接続部505、通信装置接続部506、及び試験通報部507といった機能が実現される。これらの機能501~507については後に適宜説明する。
【0025】
図2は、現地側装置と作業用端末間の接続確認に関するシーケンス図である。なお、「現地側装置」とは、遠隔監視端末と補助装置のうち少なくとも遠隔監視端末を意味する。
【0026】
現地において、作業者は、エレベーターを監視するための各装置をあらかじめ準備された手順に従い接続及び設定を実施する。その後、作業用端末8(例えばインターネット接続部505)が、例えば作業者による操作に従い、ゲートウェイ6にインターネット7経由で接続する。作業用端末8(例えば現地構成取得部501)が、遠隔監視センター5に対する現地構成要求(現地構成情報の要求)を送信する(S1)。この要求は、現地識別情報(例えば、エレベーターの製造番号等)を有する。また、遠隔監視センター5は、現地毎に、現地識別情報と、現地識別情報に関連付けられた現地構成情報とを記憶又は管理する。現地毎の現地構成情報は、遠隔監視センター5の内部又は外部に存在して良い。
【0027】
ゲートウェイ6は、作業用端末8から現地構成要求を受け取ると、その要求を遠隔監視センター5に対して中継する(S2)。現地構成要求を受け付けた遠隔監視センター5は、その要求から現地識別情報を取得し、その現地識別情報をキーに、作業用端末8がこれからチェックしようとする現地側の現地構成情報を取得し、ゲートウェイ6にその現地構成情報を渡す(S3)。現地構成情報を受け取ったゲートウェイ6は、その現地構成情報を、S1での要求送信元(現地構成要求の送信元)である作業用端末8に対して送信する(S4)。
【0028】
S3と並行して(例えば、ゲートウェイ6が作業用端末8に現地構成情報を送信している間に)、遠隔監視センター5は、遠隔監視ネットワーク4を経由して、通信装置3に対して、作業用端末8が通信装置3に接続することの一時的な許可(一時的な通信許可)を与える(S5)。この許可により、作業用端末8は通信装置3と通信することが可能となる。
【0029】
遠隔監視センター5から現地構成情報を受け取った作業用端末8(例えば通信装置接続部506)は、通信装置3に通信可能に接続し、現地ネットワークに接続する(S6)。「現地ネットワーク」とは、現地にける通信ネットワーク(通信装置3と各現地側装置との通信ネットワーク)である。この通信ネットワークも、IPネットワーク(例えばLAN(Local Area Network))である。
【0030】
現地構成情報は、現地ネットワークへの接続のために使用される情報を含んで良い。現地構成情報は、具体的には、例えば、
図9Aに例示の第1の情報と
図9Bに例示の第2の情報とを含む。第1の情報は、接続状況確認(S7、S9、S11又はS13)に使用される情報であり、例えば、各現地側装置、通信装置3及び作業用端末の現地アドレス(IPアドレス)や装置IDや装置種類を表す情報を含む。また、第1の情報は、現地識別情報としての接続先IDを含む。第2の情報は、サービス稼働確認(S8、S10、S12又はS14)に使用される情報であり、各現地側装置の接続ポートや装置種類を表す情報を含む。接続ポートや装置種類等の情報は、現地側装置のサービス毎に存在しても良い。
【0031】
現地ネットワークに接続した作業用端末8は、まず、遠隔監視センター5から受け取った現地構成情報に基づき、現地側装置に対して疎通の確認を実施する。
図1が示す例によれば、2台のエレベーターに対してそれぞれ遠隔監視端末と補助装置が接続されているため、S7~S14が行われる。現地側装置毎に、接続状況確認(S7、S9、S11又はS13)とサービス稼働確認(S8、S10、S12又はS14)とが実施される。
【0032】
具体的には、例えば、最初に、エレベーター1号機11に接続されている遠隔監視端末12に対する接続状況の確認として、作業用端末8(例えばネットワーク接続診断部502)は、ネットワークのレベルで疎通できていることを確認する(S7)。ここで疎通が確認できなければ、遠隔監視端末12に対して通信装置3との物理的なケーブル接続、又は、遠隔監視端末12の電源を疑うこととなる。作業用端末8には、例えばエラー対応部504により、遠隔監視端末12の電源状態の確認とケーブルの接続状況に対する確認の内容が表示される。作業者は、指示に従い、電源とケーブルの確認を実施する。
【0033】
遠隔監視端末12との疎通が確認できたら、作業用端末8(例えばサービス接続診断部503)は、遠隔監視端末12が提供するサービスに対して接続を行う(S8)。遠隔監視端末12が複数のサービスを提供するのならば、それぞれのサービスに対して接続を試み、その応答を確認することでサービスの健全性が確認できる。遠隔監視端末12が提供するサービスは、遠隔監視センター5から取得した現地構成情報に含まれ、この情報を基にサービス接続を実施する。ここで、サービスへの接続が拒否されてしまった場合は、遠隔監視端末12の内部に搭載されている機能が期待通り動作していないこととなる。このため、作業用端末8には、例えばエラー対応部504により、遠隔監視端末12に搭載されている機能の確認を指示する内容がその確認方法と共に表示される。作業者は、遠隔監視端末12の機能設定を手順に従い確認し再設定する。遠隔監視端末12の内部機能の確認方法を表す情報は、遠隔監視センター5からの現地構成情報に含まれている。
【0034】
ここまでのシーケンスを異状なく実施できた場合は、遠隔監視端末12は正常に接続されており、サービスの提供も実施できていることから、問題なく遠隔監視端末12の設置が完了したことを示すことができる。
【0035】
次にエレベーター1号機11に対する補助装置13について、作業用端末8は、疎通確認を実施する。補助装置13は通信装置3に対して接続されており、遠隔監視端末12と同じ現地ネットワークに接続されていることから、作業用端末8は、遠隔監視端末12に対して実施した疎通確認を補助装置13に対して実施する(S9)。ここで疎通が確認できなければ、補助装置13に対して通信装置3との物理的なケーブル接続、又は、補助装置13の電源を疑うこととなる。遠隔監視端末12の疎通確認と同様に、作業用端末8には、補助装置13の電源状態の確認とケーブルの接続状況に対する確認の内容が表示される。作業者は、指示に従い、電源とケーブルの確認を実施することになる。
【0036】
補助装置13との疎通確認後は、作業用端末8は、補助装置13が提供するサービスに対して接続を行う(S10)。補助装置13が複数のサービスを提供しているのかについては、遠隔監視端末12と同様に遠隔監視センターから取得した構成情報によって確認可能である。補助装置13に対しても、サービスへの接続状況によってサービスの健全性を確認するが、サービスへの接続が拒否されてしまった場合は、遠隔監視端末12のサービス接続確認時と同様に作業用端末には、補助装置13に搭載されている機能の確認を指示する内容がその確認方法と共に表示され、作業者は補助装置13の機能設定を手順に従い確認し再設定する。
【0037】
ここまででエレベーター1号機11に対する遠隔監視装置の接続と動作の状況について確認が完了したこととなる。
【0038】
同様の確認作業をエレベーター2号機21に対する遠隔監視端末21や補助装置23にも実施される(S11~S14)。
【0039】
この段階で、作業用端末8が通信装置3及び現地ネットワーク経由でそれぞれの現地側装置の稼働状況の健全性を確認したことになる。
【0040】
次に、作業用端末8は、健全性の確認が取れた現地側装置から遠隔監視ネットワーク4を経由して遠隔監視センター5へ接続し通報が可能であるかの試験を実施する(S15)。具体的には、遠隔監視端末12又は遠隔監視端末22と同じ手順で、作業用端末8(例えば試験通報部507)が、遠隔監視ネットワーク4経由で遠隔監視センター5に対して試験通報を送信する。遠隔監視センター5は、作業用端末8から送信されてきた試験通報を受信すると、正常に受信できたことを作業用端末8に通知するために、試験通報の受信完了通知を送り返す(S16)。
【0041】
以上の手順で確認を実施しすることで、現地の遠隔監視装置から遠隔監視センター5への通報に関する健全性が確認できたこととなる。
【0042】
なお、
図2のS6~S8のいずれかで失敗が生じた場合の処理は、例えば、以下の通りである。
【0043】
図2のS6に失敗したときの処理は、例えば、
図6に示す通りである。すなわち、現地ネットワークへの接続が失敗の場合(S601及びS602:NO)、エラー対応部504が、通信装置3と作業用端末8との間のケーブルの確認指示を作業用端末8(例えば表示デバイス)に表示し、作業者が、その指示通りの作業を行う(S603)。ケーブルが外れていれば作業者はケーブルを接続する(S604:NO及びS606)。ケーブルが接続されていれば、エラー対応部504が、通信装置3の電源状態の確認指示を作業用端末8に表示し、作業者がその指示通りの作業を行う(S604:YES及びS605)。電源がオフの状態であれば作業者は通信装置3の電源をオンとする(S607:NO及びS609)。電源がオンの状態であれば、エラー対応部504が、遠隔監視センター5に通信装置3へ接続許可を出したか確認する(S607:YES及びS608)。接続許可が出ていなければ作業者は現地構成情報を見直す(S610:NO及びS612)。接続許可が出ていれば、作業者は、通信装置3が故障としていると判定し(S610:YES及びS611)、通信装置3を交換する(S613)。なお、現地ネットワークへの接続が成功の場合(S601及びS602:YES)、現地ネットワークへの接続が完了とみなされる。
【0044】
図2のS7に失敗したときの処理は、例えば、
図7に示す通りである。すなわち、遠隔監視端末12への接続が失敗の場合(S701及びS702:NO)、エラー対応部504が、通信装置3と遠隔監視端末12との間のケーブルの確認指示を作業用端末8に表示し、作業者が、その指示通りの作業を行う(S703)。ケーブルが外れていれば作業者はケーブルを接続する(S704:NO及びS706)。ケーブルが接続されていれば、エラー対応部504が、遠隔監視端末12の電源状態の確認指示を作業用端末8に表示し、作業者がその指示通りの作業を行う(S704:YES及びS705)。電源がオフの状態であれば作業者は遠隔監視端末12の電源をオンとする(S707:NO及びS709)。電源がオンの状態であれば、作業者は、遠隔監視端末12が故障としていると判定し(S707:YES及びS709)、遠隔監視端末12を交換する(S710)。なお、遠隔監視端末12への接続が成功の場合(S701及びS702:YES)、遠隔監視端末12への接続が完了とみなされる。
【0045】
図2のS8に失敗したときの処理は、例えば、
図8に示す通りである。すなわち、遠隔監視端末12のサービスへの接続が失敗の場合(S801、S802及びS803:NO)、エラー対応部504が、遠隔監視端末12内部の情報の再点検指示を作業用端末8に表示し、作業者が、その指示通りの作業を行う(S805)。接続が成功の場合、エラー対応部504が、接続先の確認指示を作業用端末8に表示し、作業者がその指示通りの作業を行う(S803:YES及びS804)。接続先が誤りであれば作業者は遠隔監視端末12のアドレスの再点検を行う(S806:NO及びS808)。接続先が正しければ、エラー対応部504が、その接続先から応答結果を取得する(S807)。
【0046】
図3は、現地側装置と遠隔監視センター間の接続確認に関するシーケンス図である。
【0047】
このシーケンスは、
図2で示した接続確認シーケンス後に続けて実施することを想定するものであるが、例えば、通信装置3を故障により交換した等により現地構成の一部が変更となった場合に、
図3で示すシーケンスを用いてチェックするだけ全体の構成を確認することも可能であることから、
図3で示すシーケンスを
図2で示すシーケンスとは無関係に実施することも可能である。
【0048】
遠隔監視センター5からの接続確認を実施するにあたり、最初に、作業用端末8(例えばインターネット接続部505)が、ゲートウェイ6に対して、遠隔監視センター5側からの接続確認の要求である接続確認要求を送信する(S21)。すなわち、作業用端末8からは遠隔監視センター5とゲートウェイ6の区別がつかないことから、作業用端末8が、遠隔監視センター5に対する接続確認要求を送信する。接続確認要求は、現地識別情報を含む。ゲートウェイ6は、作業用端末8から接続確認要求を受け取ると、遠隔監視センター5に接続確認要求を送信する(S22)。遠隔監視センター5は、ゲートウェイ6を経由して受け取った接続確認要求から現地識別情報を取得し、その現地識別情報を用いて、現地構成情報を特定する。遠隔監視センター5は、その現地構成情報に基づき、現地の各現地側装置にアクセスする準備を行い、準備が完了すると、作業用端末8に対して接続を行い、メッセージを送信する(S23)。作業用端末8(例えばネットワーク接続診断部502)は、このメッセージを遠隔監視ネットワーク4経由で受信することで、遠隔監視センター5に対して接続確認の要求が完了し、遠隔監視センター5が現地側装置にこれから接続する準備ができたことを知る。もし、ここで遠隔監視センター5からのメッセージが遠隔監視ネットワーク4経由で作業用端末8に到着しない場合は、通信装置3に設定されている遠隔監視ネットワーク4上のアドレスが、遠隔監視センター5が保持する現地構成情報と異なり、別の通信装置に接続を行っているか、又は、通信装置3に設定されている現地側装置に対する経路情報に誤りがあることが考えられる。このため、例えばエラー対応部504が、通信装置3の設定を再確認するよう作業用端末8に確認指示を表示する。
【0049】
作業用端末8が遠隔監視センター5からのメッセージを正常に受信でき、また、遠隔監視センター5側でもメッセージを正常に送信できた場合、遠隔監視センター5は、現地構成情報に基づき(例えば、遠隔監視端末12のサービスに関する情報に基づき)、エレベーター1号機11に接続されている遠隔監視端末12が提供するサービスへの遠隔監視ネットワーク4経由の接続を試みる(S24)。遠隔監視端末12が提供するサービスに対して正常に接続できた場合は、遠隔監視センター5は、遠隔監視端末12から応答を得られる(S25)。このため、遠隔監視センター5は、作業用端末8に対して、遠隔監視端末12のサービスへの接続は正常であることを中間報告として送信する(S26)。しかし、正常な応答を得られず無応答であった、又は、接続を拒否された場合は、前述の
図2で示したシーケンスを経て現地側装置の接続確認が完了しているのであれば、通信装置3の遠隔監視端末12に対する経路情報が誤っていることが考えられる。このため、遠隔監視センター5は、通信装置3の設定を再確認する指示を作業用端末8に表示するメッセージ(要求)を、例えばインターネット経由で作業用端末8に送信する。そのメッセージに応答して、その再確認指示を、エラー対応部504が作業用端末8に表示する。
【0050】
次に、遠隔監視センター5は、現地構成情報に基づき(例えば、補助装置13のサービスに関する情報に基づき)、補助装置13が提供するサービスへの接続を試みる(S27)。補助装置13が提供するサービスに対して正常に接続できた場合は、遠隔監視センター5は、補助装置13から応答を得られる(S28)。このため、遠隔監視センター5は、作業用端末8に対して、遠隔監視センター5から補助装置13のサービスへの接続は正常であることを中間報告として送信する(S29)。一方で、補助装置13から正常な応答が得られなかった場合は、遠隔監視端末12のサービス接続への失敗時と同様に、遠隔監視センター5は、通信装置3の補助装置13への経路に関する設定を再確認する指示を作業用端末8に表示するメッセージを、例えばインターネット経由で作業用端末8に送信する。そのメッセージに応答して、その再確認指示を、エラー対応部504が作業用端末8に表示する。
【0051】
以下、同様に、エレベーター2号機21に接続された遠隔監視端末22や、エレベーター2号機21に関する補助装置23について、同様の処理が行われる(S30~S35)。
【0052】
遠隔監視センター5は、現地側装置のすべてのサービスに対して正常に接続できることを確認できたら、作業用端末8に対して遠隔監視センター5からはすべて異常なく接続できたことを通知して接続確認を完了する(S36)。
【0053】
図4は、かご内直接通話の接続確認に関するシーケンス図である。
【0054】
このシーケンスは、エレベーターのかご内のインターホンを用いて遠隔監視センター5に通報し会話が可能であることの接続確認のシーケンスである。このシーケンスは、
図2及び
図3で示したシーケンス後に続けて実施されるシーケンスで良い。
【0055】
最初に、作業用端末8(例えば通信装置接続部506)が、遠隔監視端末12に対する通話要求(遠隔監視センター5に通話を実施することの要求)を送信する(S41)。この動作は、
図2のS8により接続確認済みであるサービスへの接続によって実施される。
【0056】
次に、遠隔監視端末12は、その通話要求に従い、遠隔監視センター5に対して音声通話開始要求(音声通話を開始することの要求)を送信する(S42)。遠隔監視端末12から音声通話開始要求を受信した遠隔監視センター5は、遠隔監視端末12に対して音声通話用の接続を実施する(S43)。
【0057】
作業用端末8(例えば通信装置接続部506)は、例えば作業者による操作に従い、音声接続が開始できていることを遠隔監視端末12に確認し、音声経路が確立できたことをチェックする(S44)。ここで音声経路の確立ができていない場合、作業用端末8には例えばエラー対応部504により通話不可(かご内から遠隔監視センター5への通話が不可)であることを表示する。通信装置3の遠隔監視端末12に対する経路情報が誤っていることが考えられるため、遠隔監視センター5が、通信装置3の設定を再確認する指示を作業用端末8に表示するメッセージを、例えばインターネット経由で作業用端末8に送信する。そのメッセージに応答して、その再確認指示を、エラー対応部504が作業用端末8に表示する。
【0058】
遠隔監視端末12と遠隔監視センター5との間で音声経路が確立できると、作業者は、遠隔監視端末12に接続されたエレベーター1号機11のかごから遠隔監視センター5に通話する(S45)。遠隔監視センター5は、この音声を一定時間録音して、その録音データを遠隔監視端末12に返す(S46)。作業者は、その録音データの遠隔監視端末12への到着を確認する(S47)。その後、作業者は、録音データの再生を聞き、双方向での音声通話が可能であるか判定する。ここで、作業者が音声を確認できなかったときは、いずれかの経路で音声を届けられなかった、もしくは、経路設定は正しいがエレベーター1号機11と遠隔監視端末12との間で音声が途絶えていることが考えられる。この通話できない原因を特定するために、作業用端末8(例えばエラー対応部504)が、遠隔監視端末12に一時的に保存されている音声データを作業用端末8に取り出して音声再生を行う(S48)。もしここで音声が正常に再生されていれば、エレベーター1号機11と遠隔監視端末12との間での通信が正常であり、故に、音声を確認できなかった原因は、遠隔監視端末12と遠隔監視センター5との間で音声データの送受信に問題が発生していることであると考えられる。このため、遠隔監視センター5が、通信装置3の設定を再確認する指示を作業用端末8に表示するメッセージを、例えばインターネット経由で作業用端末8に送信する。
【0059】
以上、本発明の一実施形態を説明したが、これは本発明の説明のための例示であって、本発明の範囲をこの実施形態にのみ限定する趣旨ではない。本発明は、他の種々の形態でも実行することが可能である。
【0060】
例えば、上述の説明を下記のように総括することができる。下記の総括は、補足説明や変形例の説明を含んでよい。
【0061】
エレベーター(11又は12)の遠隔監視システムの構築を支援する支援装置(例えば作業用端末8)が用意される。支援装置が、現地構成取得部(501)と、診断部とを備える。診断部は、例えば、上述した機能502~507のうちの少なくとも一部を含んで良い。構築された遠隔監視システムでは、遠隔監視端末(12又は22)と遠隔監視センター(5)とが通信装置(3)及び遠隔監視ネットワーク(4)経由の通信を行うようになっている。通信装置は、ネットワーク機器である。遠隔監視ネットワークは、IPネットワークとしての専用ネットワークである。遠隔監視端末は、エレベーターの稼働状況を監視し当該稼働状況に関するデータ(例えば、異常を表すデータ)を遠隔監視センターに送信するエッジ側(現地側)の装置である。遠隔監視センターは、遠隔監視端末からデータを受信するコア側の装置である。
【0062】
現地構成取得部は、遠隔監視端末のアドレス及びポートに関する情報を含んだ現地構成情報を取得する。診断部は、下記を行う。
(A)診断部は、現地構成情報を用いて、通信装置に接続されている前記遠隔監視端末に通信装置経由で接続することが可能か否かを診断する。この診断は、OSI参照モデルにおけるアプリケーション層より下位の層に関する診断で良い。
(B)遠隔監視端末に通信装置経由で接続可能な場合、診断部は、現地構成情報を用いて、当該遠隔監視端末のサービス(例えばアプリケーション)に通信装置経由で接続することが可能か否かを診断する。この診断は、OSI参照モデルにおけるアプリケーション層に関する診断で良い。
(C)診断部は、遠隔監視センターが遠隔監視ネットワーク経由で遠隔監視端末に接続することの要求である接続確認要求を、IPネットワークとしての汎用ネットワーク(例えばインターネット7)経由で遠隔監視センターに送信し、報告を遠隔監視センターから受信する。
【0063】
(A)乃至(C)のいずれかに関し否定的な結果が得られた場合、その結果の原因は絞られるため、その原因を解消して遠隔監視システムを構築することができる。このように、IPネットワーク経由のエレベーター遠隔監視のシステムの構築を支援することができる。なお、通信装置は、有線又は無線のいずれのネットワーク機器(例えばルータ)でも良い。
【0064】
診断部は、接続確認要求に応答して遠隔監視センターから遠隔監視ネットワーク及び通信装置経由で出力用のデータ(例えばメッセージ)を受信した場合、当該出力用のデータが表す情報を出力(例えば表示)して良い。ここで情報出力(例えばメッセージ表示)ができない場合、通信装置から支援装置へのデータ中継が失敗しているか、又は、センター側から接続を試みた通信装置が別の現地に設置されている可能性がある、といった原因絞り込みが期待される。例えば、センター側からアクセスしようとした通信装置のアドレスと支援装置を接続した通信装置の遠隔監視ネットワーク側のアドレスとを比較することで同じ通信装置を対象としていることを確認することができる。対象となる通信装置が同一の通信装置であれば、通信装置側の接続を中継する設定に問題があることがわかり、例えば、遠隔監視センターから定義を入れ直すなどの対応を実施することが期待される。
【0065】
診断部は、出力用のデータを受けた場合、遠隔監視ネットワーク及び通信装置経由で上記報告(例えば中間報告又は異常の有無の報告)を受けて良く、その報告は、遠隔監視センターが遠隔監視端末のサービスへ遠隔監視ネットワーク及び通信装置経由で接続した結果としての報告で良い。これにより、遠隔監視センターから遠隔監視端末のサービスへの接続の可否を含む結果を知ることができ、その結果に応じた原因の絞り込みが期待される。例えば、接続が失敗の場合、通信装置側の接続を中継する設定に問題があることが推定される。
【0066】
現地構成取得部は、現地構成情報を、汎用ネットワーク経由で遠隔監視センターから取得して良い。遠隔監視センターは、現地構成情報を基に、遠隔監視センターが遠隔監視端末のサービスへ遠隔監視ネットワーク及び通信装置経由で接続して良い。このように、遠隔監視センターが使用する現地構成情報が遠隔監視センターから汎用ネットワーク経由で取得されるため、通信装置への情報設定等が適切でなくても現地構成情報を取得して上述した診断の実施が可能である。
【0067】
遠隔監視センターは、現地構成情報を支援装置に送信する場合、通信装置に対し、支援装置が通信装置を介して遠隔監視ネットワーク経由の通信をすることを許可して良い。これにより、支援装置が通信装置を介して常に遠隔監視ネットワーク経由の通信をすることができるわけではないので、セキュリティの向上が期待される。
【0068】
(A)の診断及び(B)の診断のいずれについても可能との診断結果が得られた場合、診断部は、試験通報(例えば疑似的な発報)を、通信装置及び遠隔監視ネットワーク経由で遠隔監視センターに送信し、試験通報が遠隔監視センターに届いた場合に遠隔監視センターから遠隔監視ネットワーク及び通信装置経由で応答を受信して良い。試験通報に失敗した場合、その原因の絞り込みが可能である。例えば、遠隔監視センターのアドレス取得が失敗なのか、或いは、そのアドレスは取得されたが遠隔監視センター側への接続に失敗したのかの絞り込みが可能である。
【0069】
診断部は、下記(X)乃至(Z)のうちの少なくとも一つを実施して良い。これにより作業者にとって遠隔監視システムの構築が一層支援される。
(X)診断部は、エレベーターが設置されている現地のネットワークに通信装置経由で接続することに関しエラーが生じた場合、通信装置と前記支援装置とが接続されているかのチェック(例えば、ケーブルの有無、無線接続の状態)、前記通信装置の電源の状態のチェック、のうちの少なくとも一つを作業者へ提示する。
(Y)診断部は、(A)の診断について不可との診断結果が得られた場合、通信装置と遠隔監視端末とが接続されているかのチェック(例えば、ケーブルの有無、無線接続の状態)、及び、遠隔監視端末の電源の状態のチェック、のうちの少なくとも一つを作業者へ提示する。
(Z)診断部は、(B)の診断について不可との診断結果が得られた場合、遠隔監視端末が有する内部情報のチェック、及び、遠隔監視端末のアドレスのチェック、のうちの少なくとも一つを作業者へ提示する。
【0070】
診断部が、下記を含む直接通話診断を行って良い。これにより、かご内からの直接通話の可否を適切に診断することができる。
・エレベーターのかごに設けられている通話装置から通信装置及び遠隔監視ネットワーク経由で遠隔監視センターと通話することの要求である直接通話要求を、通信装置経由で遠隔監視端末に送信すること、及び、
・直接通話要求に応答して遠隔監視端末と遠隔監視センターとの間が通話可能に接続され、かごからの通話の録音データが遠隔監視端末にある場合、当該録音データを取得し再生すること。
【0071】
診断部は、(A)、(B)及び(C)のいずれに関しても肯定的な結果が得られない場合に、直接通話診断を行って良い。これにより、適切なタイミングでの直接通話診断が期待される。なお、(B)の診断では、遠隔監視端末が何のサービスを提供しているのか等に応じて接続プロトコルを選択して接続を試みることが実施されて良い。この接続では、遠隔監視端末のバージョンや稼働状況を取得できることが望ましい。バージョンが古く、センターからの新しいプロトコルによる通信に未対応で接続できない可能性があるためである。
【符号の説明】
【0072】
3…通信装置
4…遠隔監視ネットワーク
5…遠隔監視センター
6…ゲートウェイ
7…インターネット
8…作業用端末
11…エレベーター1号機
12…遠隔監視端末
21…エレベーター2号機
22…遠隔監視端末