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特開2024-124828アクティブマトリクス基板、その製造方法及び液晶表示装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024124828
(43)【公開日】2024-09-13
(54)【発明の名称】アクティブマトリクス基板、その製造方法及び液晶表示装置
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/1368 20060101AFI20240906BHJP
   G02F 1/1335 20060101ALI20240906BHJP
   G02F 1/1339 20060101ALI20240906BHJP
   G02F 1/13 20060101ALI20240906BHJP
【FI】
G02F1/1368
G02F1/1335 505
G02F1/1339 500
G02F1/13 505
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023032765
(22)【出願日】2023-03-03
(71)【出願人】
【識別番号】520487808
【氏名又は名称】シャープディスプレイテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】弁理士法人WisePlus
(72)【発明者】
【氏名】内田 誠一
(72)【発明者】
【氏名】岡田 訓明
(72)【発明者】
【氏名】加藤 浩巳
(72)【発明者】
【氏名】吉田 圭介
【テーマコード(参考)】
2H088
2H189
2H192
2H291
【Fターム(参考)】
2H088EA10
2H088HA08
2H088HA12
2H088HA14
2H088JA04
2H088JA10
2H088MA06
2H189DA07
2H189DA32
2H189HA16
2H189JA10
2H189JA14
2H189LA10
2H189LA14
2H189LA15
2H189MA15
2H192AA24
2H192BC34
2H192BC35
2H192BC42
2H192CB02
2H192EA03
2H192EA15
2H192EA42
2H192GD06
2H192GD23
2H192JA13
2H192JA33
2H192JB01
2H291FA02Y
2H291FA15Y
2H291FD20
2H291FD25
2H291GA11
2H291GA19
2H291HA11
2H291HA15
2H291LA31
2H291MA02
(57)【要約】      (修正有)
【課題】COA構造を備え、画素開口率が高く、かつ表示の色味変化が充分に抑制されたアクティブマトリクス基板等を提供する。
【解決手段】支持基板と、支持基板上に位置する複数の画素と、を備え、複数の画素はそれぞれ、薄膜トランジスタと、第一のカラーフィルタ層と、第一のカラーフィルタ層に設けられたコンタクトホールと、コンタクトホールを介して薄膜トランジスタに電気的に接続された画素電極と、を備え、かつコンタクトホール内に第二のカラーフィルタ層を有し、複数の画素は、第一の画素を含み、第一の画素において、第一のカラーフィルタ層は、第一の波長帯域の光を透過させ、第二のカラーフィルタ層は、第一の波長帯域の光を透過させるか、又は、コンタクトホールの周辺に他の光を透過させる層を有する場合は、第一の波長帯域の光若しくは他の光のいずれかを透過させる、アクティブマトリクス基板。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持基板と、前記支持基板上に位置する複数の画素と、を備えるアクティブマトリクス基板であって、
前記複数の画素はそれぞれ、
薄膜トランジスタと、
第一のカラーフィルタ層と、
前記第一のカラーフィルタ層に設けられたコンタクトホールと、
前記コンタクトホールを介して前記薄膜トランジスタに電気的に接続された画素電極と、
を備え、かつ前記コンタクトホール内に第二のカラーフィルタ層を有し、
前記複数の画素は、第一の画素を含み、
前記第一の画素において、前記第一のカラーフィルタ層は、第一の波長帯域の光を透過させ、前記第二のカラーフィルタ層は、前記第一の波長帯域の光を透過させるか、又は、前記コンタクトホールの周辺に他の光を透過させる層を有する場合は、前記第一の波長帯域の光若しくは前記他の光のいずれかを透過させる
ことを特徴とするアクティブマトリクス基板。
【請求項2】
前記複数の画素は、更に、前記第一の画素以外の第二の画素を含み、
前記第二の画素は、更に、平面視で前記コンタクトホールと重畳する位置に配置された遮光層を備え、
前記第二の画素において、前記第一のカラーフィルタ層は、前記第一の波長帯域と異なる第二の波長帯域の光を透過させ、前記第二のカラーフィルタ層は、前記第一の画素が有する第二のカラーフィルタ層と同じ波長帯域の光を透過させる
ことを特徴とする請求項1に記載のアクティブマトリクス基板。
【請求項3】
前記複数の画素は、更に、前記第一の画素以外の第三の画素を含み、
前記第三の画素は、更に、平面視で前記コンタクトホールと重畳する位置に、前記コンタクトホールを間にして、柱状スペーサと、遮光層とを備え、
前記第三の画素において、前記第一のカラーフィルタ層は、前記第一の波長帯域と異なる第三の波長帯域の光を透過させ、前記第二のカラーフィルタ層は、前記第一の画素が有する第二のカラーフィルタ層と同じ波長帯域の光を透過させる
ことを特徴とする請求項1に記載のアクティブマトリクス基板。
【請求項4】
前記第一の画素は、平面視での長径が3μm以上である柱状スペーサを有さない
ことを特徴とする請求項1に記載のアクティブマトリクス基板。
【請求項5】
前記第一の画素は、平面視で前記コンタクトホールと重畳する位置に、平面視での長径が5μm以上である遮光層を有さない
ことを特徴とする請求項1に記載のアクティブマトリクス基板。
【請求項6】
前記複数の画素はそれぞれ、更に、前記第一のカラーフィルタ層と前記画素電極との間に平坦化層を備え、
前記コンタクトホールは、前記第一のカラーフィルタ層及び前記平坦化層を貫通している
ことを特徴とする請求項1に記載のアクティブマトリクス基板。
【請求項7】
前記画素電極は、前記第一のカラーフィルタ層の上方に位置する
ことを特徴とする請求項1に記載のアクティブマトリクス基板。
【請求項8】
前記コンタクトホールの側面は、前記支持基板の主面に対して45°以下の角度で傾斜している
ことを特徴とする請求項1に記載のアクティブマトリクス基板。
【請求項9】
前記複数の画素はそれぞれ、更に、前記薄膜トランジスタから外側に引き出され、かつ前記薄膜トランジスタと前記画素電極とを電気的に接続する引き出し電極を備え、
前記薄膜トランジスタ及び前記引き出し電極は、前記第一のカラーフィルタ層で覆われており、前記コンタクトホールは、前記引き出し電極の上方に位置する
ことを特徴とする請求項1に記載のアクティブマトリクス基板。
【請求項10】
前記コンタクトホールは、前記薄膜トランジスタの上方に位置する
ことを特徴とする請求項1に記載のアクティブマトリクス基板。
【請求項11】
前記複数の画素はそれぞれ、更に、前記画素電極の上方に、絶縁膜と、共通電極と、を備える
ことを特徴とする請求項1に記載のアクティブマトリクス基板。
【請求項12】
請求項1~11のいずれかに記載のアクティブマトリクス基板と、
対向基板と、
前記アクティブマトリクス基板と前記対向基板との間に位置する液晶層と、
を備える
ことを特徴とする液晶表示装置。
【請求項13】
請求項1~11のいずれかに記載のアクティブマトリクス基板と、
対向基板と、
前記アクティブマトリクス基板と前記対向基板との間に位置する液晶層と、
を備える
ことを特徴とするヘッドマウントディスプレイデバイス。
【請求項14】
請求項1~11のいずれかに記載のアクティブマトリクス基板を製造する方法であって、
前記製造方法は、前記複数の画素領域のそれぞれにおいて、
薄膜トランジスタを形成する工程(1)と、
コンタクトホールを有する第一のカラーフィルタ層を形成する工程(2)と、
画素電極を形成する工程(3)と、
前記コンタクトホール内に、第二のカラーフィルタ層を形成する工程(4)と、
をこの順に含む
ことを特徴とするアクティブマトリクス基板の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
以下の開示は、アクティブマトリクス基板、その製造方法及び液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
薄膜トランジスタ(TFT)に代表されるアクティブ素子を用いたアクティブマトリクス基板は、液晶表示装置等の各種用途に広く使用されている。このような液晶表示装置としては例えば、アクティブマトリクス基板と、カラーフィルタを備える対向基板との間に液晶層が挟持されてなる構造を有するものが知られている。
【0003】
液晶表示装置には近年、より一層の高解像度化(即ち高精細化)が要求されている。だが、高精細の液晶表示装置では、低精細の液晶表示装置に比べて画素一つあたりの面積が小さいため、対向基板に配置されるカラーフィルタとアクティブマトリクス基板上の画素との位置を高い精度で合わせる必要があり、この点に課題を有していた。この位置ずれを抑制する手法の一つとしては例えば、アクティブマトリクス基板にカラーフィルタを配置したCOA(Color filter On Array)構造の液晶表示装置が提案されている。例えば特許文献1、2には、COA構造の液晶表示装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2022-084146号公報
【特許文献2】特開2003-215639号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の液晶表示装置では、スイッチング素子等を覆う有機絶縁層に、スイッチング素子と画素電極とを接続するコンタクトホールが設けられており、そのコンタクトホール内部に金属配線と充填部材とが配置され、更にコンタクトホールと重なる位置に樹脂層が配置されている。これら金属配線や樹脂層は、コンタクトホールを遮光する遮光層としての役割を有する。この液晶表示装置においては、遮光層によってコンタクトホールを通過する斜め光が遮光されるため、斜め方向の画素開口率が低下してしまうという課題を有する。特に高精細の液晶表示装置では上述の通り画素が小さいが、画素が小さくなれば画素開口率も低下するため、画素開口率の課題が顕著になる。また、製造時に金属配線を配置するプロセスを要するため、製造効率の観点でも改善が望まれる。
【0006】
特許文献2(例えば図4及び図5等参照)には、TFTを覆う保護層及びオーバーコート層に、TFTと反射電極とを電気的に接続するコンタクトホールが設けられ、反射電極上にカラーフィルタ層が形成された構成の液晶表示装置が開示されている。この装置では、カラーフィルタ材料からなるオーバーコート層と、反射電極上のカラーフィルタ層とが積層した構造となっており、該カラーフィルタ層は透過部にも配置されている。それゆえ、透明電極を該カラーフィルタ層の最上部に配置するために、カラーフィルタ層に孔を形成し、この孔を介して透明電極を反射電極に接続する必要がある。だが、この孔があることで、光の色味が変化してしまい、色度がずれると考えられる。
【0007】
特許文献2(例えば図6等参照)にはまた、TFTを覆う保護層にTFTと透明電極とを電気的に接続するコンタクトホールが設けられ、保護層上に、そのコンタクトホールを露出するための空所を有するカラーフィルタ層が形成された構成の液晶表示装置も開示されている。だが、この空所を通過する光の色味が変化してしまい、表示の色味が変わってしまうと考えられる。
【0008】
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、COA構造を備え、画素開口率が高く、かつ表示の色味変化が充分に抑制されたアクティブマトリクス基板及びその製造方法を提供することを目的とする。本発明はまた、このようなアクティブマトリクス基板を備える液晶表示装置及びヘッドマウントディスプレイデバイスを提供することも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)本発明の一実施形態は、支持基板と、上記支持基板上に位置する複数の画素と、を備えるアクティブマトリクス基板であって、上記複数の画素はそれぞれ、薄膜トランジスタと、第一のカラーフィルタ層と、上記第一のカラーフィルタ層に設けられたコンタクトホールと、上記コンタクトホールを介して上記薄膜トランジスタに電気的に接続された画素電極と、を備え、かつ上記コンタクトホール内に第二のカラーフィルタ層を有し、上記複数の画素は、第一の画素を含み、上記第一の画素において、上記第一のカラーフィルタ層は、第一の波長帯域の光を透過させ、上記第二のカラーフィルタ層は、上記第一の波長帯域の光を透過させるか、又は、上記コンタクトホールの周辺に他の光を透過させる層を有する場合は、上記第一の波長帯域の光若しくは上記他の光のいずれかを透過させる、アクティブマトリクス基板。
【0010】
(2)また、本発明のある実施形態は、上記(1)の構成に加え、上記複数の画素は、更に、上記第一の画素以外の第二の画素を含み、上記第二の画素は、更に、平面視で上記コンタクトホールと重畳する位置に配置された遮光層を備え、上記第二の画素において、上記第一のカラーフィルタ層は、上記第一の波長帯域と異なる第二の波長帯域の光を透過させ、上記第二のカラーフィルタ層は、上記第一の画素が有する第二のカラーフィルタ層と同じ波長帯域の光を透過させる、アクティブマトリクス基板。
【0011】
(3)また、本発明のある実施形態は、上記(1)又は上記(2)の構成に加え、上記複数の画素は、更に、上記第一の画素以外の第三の画素を含み、上記第三の画素は、更に、平面視で上記コンタクトホールと重畳する位置に、上記コンタクトホールを間にして、柱状スペーサと、遮光層とを備え、上記第三の画素において、上記第一のカラーフィルタ層は、上記第一の波長帯域と異なる第三の波長帯域の光を透過させ、上記第二のカラーフィルタ層は、上記第一の画素が有する第二のカラーフィルタ層と同じ波長帯域の光を透過させる、アクティブマトリクス基板。
【0012】
(4)また、本発明のある実施形態は、上記(1)、上記(2)又は上記(3)の構成に加え、上記第一の画素は、平面視での長径が3μm以上である柱状スペーサを有さない、アクティブマトリクス基板。
【0013】
(5)また、本発明のある実施形態は、上記(1)、上記(2)、上記(3)又は上記(4)の構成に加え、上記第一の画素は、平面視で上記コンタクトホールと重畳する位置に、平面視での長径が5μm以上である遮光層を有さない、アクティブマトリクス基板。
【0014】
(6)また、本発明のある実施形態は、上記(1)、上記(2)、上記(3)、上記(4)又は上記(5)の構成に加え、上記複数の画素はそれぞれ、更に、上記第一のカラーフィルタ層と上記画素電極との間に平坦化層を備え、上記コンタクトホールは、上記第一のカラーフィルタ層及び上記平坦化層を貫通している、アクティブマトリクス基板。
【0015】
(7)また、本発明のある実施形態は、上記(1)、上記(2)、上記(3)、上記(4)、上記(5)又は上記(6)の構成に加え、上記画素電極は、上記第一のカラーフィルタ層の上方に位置する、アクティブマトリクス基板。
【0016】
(8)また、本発明のある実施形態は、上記(1)、上記(2)、上記(3)、上記(4)、上記(5)、上記(6)又は上記(7)の構成に加え、上記コンタクトホールの側面は、上記支持基板の主面に対して45°以下の角度で傾斜している、アクティブマトリクス基板。
【0017】
(9)また、本発明のある実施形態は、上記(1)、上記(2)、上記(3)、上記(4)、上記(5)、上記(6)、上記(7)又は上記(8)の構成に加え、上記複数の画素はそれぞれ、更に、上記薄膜トランジスタから外側に引き出され、かつ上記薄膜トランジスタと上記画素電極とを電気的に接続する引き出し電極を備え、上記薄膜トランジスタ及び上記引き出し電極は、上記第一のカラーフィルタ層で覆われており、上記コンタクトホールは、上記引き出し電極の上方に位置する、アクティブマトリクス基板。
【0018】
(10)また、本発明のある実施形態は、上記(1)、上記(2)、上記(3)、上記(4)、上記(5)、上記(6)、上記(7)、上記(8)又は上記(9)の構成に加え、上記コンタクトホールは、上記薄膜トランジスタの上方に位置する、アクティブマトリクス基板。
【0019】
(11)また、本発明のある実施形態は、上記(1)、上記(2)、上記(3)、上記(4)、上記(5)、上記(6)、上記(7)、上記(8)、上記(9)又は上記(10)の構成に加え、上記複数の画素はそれぞれ、更に、上記画素電極の上方に、絶縁膜と、共通電極と、を備える、アクティブマトリクス基板。
【0020】
(12)また、本発明の他のある実施形態は、上記(1)、上記(2)、上記(3)、上記(4)、上記(5)、上記(6)、上記(7)、上記(8)、上記(9)、上記(10)又は上記(11)のいずれかに記載のアクティブマトリクス基板と、対向基板と、上記アクティブマトリクス基板と上記対向基板との間に位置する液晶層と、を備える、液晶表示装置。
【0021】
(13)また、本発明の他のある実施形態は、上記(1)、上記(2)、上記(3)、上記(4)、上記(5)、上記(6)、上記(7)、上記(8)、上記(9)、上記(10)又は上記(11)のいずれかに記載のアクティブマトリクス基板と、対向基板と、上記アクティブマトリクス基板と上記対向基板との間に位置する液晶層と、を備える、ヘッドマウントディスプレイデバイス。
【0022】
(14)また、本発明の他のある実施形態は、上記(1)、上記(2)、上記(3)、上記(4)、上記(5)、上記(6)、上記(7)、上記(8)、上記(9)、上記(10)又は上記(11)のいずれかに記載のアクティブマトリクス基板を製造する方法であって、上記製造方法は、上記複数の画素領域のそれぞれにおいて、薄膜トランジスタを形成する工程(1)と、コンタクトホールを有する第一のカラーフィルタ層を形成する工程(2)と、画素電極を形成する工程(3)と、上記コンタクトホール内に、第二のカラーフィルタ層を形成する工程(4)と、をこの順に含む、アクティブマトリクス基板の製造方法。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、COA構造を備え、画素開口率が高く、かつ表示の色味変化が充分に抑制されたアクティブマトリクス基板及びその製造方法を提供することができる。また本発明によれば、このようなアクティブマトリクス基板を備える液晶表示装置及びヘッドマウントディスプレイデバイスを提供することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】実施形態1の一例のアクティブマトリクス基板の全体を、観察面側から見たときの平面模式図である。
図2】実施形態1の一例のアクティブマトリクス基板を備える液晶パネルの断面模式図である。
図3】実施形態1等の一例のアクティブマトリクス基板を備える液晶パネルが有する画素の一部を拡大して示した平面模式図である。
図4図3中のA-A’線を切断面とする断面図(A-A’線断面図)である。
図5図3中のB-B’線を切断面とする断面図(B-B’線断面図)である。
図6図3中のC-C’線を切断面とする断面図(C-C’線断面図)である。
図7】実施形態1の液晶表示装置の好ましい例の断面模式図である。
図8】実施形態1の液晶表示装置をヘッドマウントディスプレイとして使用したときの外観の一例を示す斜視模式図である。
図9】実施形態2のアクティブマトリクス基板を備える液晶パネルが有する画素の一部を拡大して示した平面模式図である。
図10図9中のA-A’線を切断面とする断面図(A-A’線断面図)である。
図11図9中のB-B’線を切断面とする断面図(B-B’線断面図)である。
図12図9中のC-C’線を切断面とする断面図(C-C’線断面図)である。
図13】実施形態3の一例のアクティブマトリクス基板を備える液晶パネルが有する画素の一部を拡大して示した平面模式図である。
図14図13中のA-A’線を切断面とする断面図(A-A’線断面図)である。
図15図13中のB-B’線を切断面とする断面図(B-B’線断面図)である。
図16図13中のC-C’線を切断面とする断面図(C-C’線断面図)である。
図17】実施形態4の一例のアクティブマトリクス基板を備える液晶パネルが有する画素の一部を拡大して示した平面模式図である。
図18図17中のA-A’線を切断面とする断面図(A-A’線断面図)である。
図19図17中のB-B’線を切断面とする断面図(B-B’線断面図)である。
図20】実施形態5の一例のアクティブマトリクス基板を備える液晶パネルが有する画素の一部を拡大して示した平面模式図である。
図21図20中のA-A’線を切断面とする断面図(A-A’線断面図)である。
図22】実施形態6に関して、図3中のA-A’線を切断面とする断面図(A-A’線断面図)である。
図23】実施形態7に関して、図3中のA-A’線を切断面とする断面図(A-A’線断面図)である。
図24】比較形態のアクティブマトリクス基板を備える液晶パネルが有する画素の一部を拡大して示した平面模式図である。
図25図24中のA-A’線を切断面とする断面図(A-A’線断面図)である。
図26】比較形態のアクティブマトリクス基板を備える液晶パネルが有する画素の一部を拡大して示した平面模式図である。
図27図26中のA-A’線を切断面とする断面図(A-A’線断面図)である。
図28】比較形態のアクティブマトリクス基板を備える液晶パネルが有する画素の一部を拡大して示した平面模式図である。
図29図28中のA-A’線を切断面とする断面図(A-A’線断面図)である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
(用語の定義)
本明細書中、観察面側とは、液晶表示装置の画面(表示面)に対してより近い側を意味し、背面側とは、液晶表示装置の画面(表示面)に対してより遠い側を意味する。
【0026】
可視光とは、波長380nm以上、800nm未満の光を意味する。また、透光性とは、少なくとも可視光を透過する性質を意味する。
【0027】
以下、本発明の実施形態について説明する。本発明は、以下の実施形態に記載された内容に限定されるものではなく、本発明の構成を充足する範囲内で適宜設計変更を行うことが可能である。なお、各実施形態(及び実施例)で示す一例としての具体的な態様を分かりやすくするために、図中、カラーフィルタ層を示す符号の語尾に、赤色、緑色、青色をそれぞれ意味する(R)、(G)、(B)を付した。
【0028】
(実施形態1)
図1は、本実施形態の一例のアクティブマトリクス基板10の全体を、観察面側から見たときの平面模式図である。アクティブマトリクス基板10は、後述するように対向基板30と組み合わせて用いられるが、アクティブマトリクス基板10と対向基板30との間に液晶層20を挟持した構造からなる部分又は構造体を、液晶パネルとも称す。なお、本発明のアクティブマトリクス基板10と、液晶層20と、対向基板30と、を備える液晶パネル1もまた、本発明者らが見出した発明の一つである。
【0029】
図2は、本実施形態の一例のアクティブマトリクス基板10を備える液晶パネル1の断面模式図である。図3は、この液晶パネル1が有する画素の一部を拡大して示した平面模式図である。図3では簡略化して記載している。図4は、図3中のA-A’線を切断面とする断面図(A-A’線断面図)であり、第一の画素Px1(本実施形態では赤色画素)の断面図に相当する。図5は、図3中のB-B’線を切断面とする断面図(B-B’線断面図)であり、第二の画素Px2(本実施形態では緑色画素)の断面図に相当する。図6は、図3中のC-C’線を切断面とする断面図(C-C’線断面図)であり、第三の画素Px3(本実施形態では青色画素)の断面図に相当する。
【0030】
アクティブマトリクス基板10は、支持基板110と、支持基板110上に位置する複数の画素Pxと、を備える。図1に示すように、支持基板110には、中央に位置する表示部AAの両側(図面では左右両側)に、ゲートドライバ70が配置されている。ここでは、ゲートドライバ70は表示部AAの両側に配置されているが、左右どちらか一方の配置でもよい。表示部AAは、列方向(図面では上下方向)に沿って互いに平行に配置された複数のソースライン(信号線)74と、各ソースライン74と垂直に交わるように行方向(図面では左右方向)に沿って互いに平行に配置された複数のゲートライン(走査線)71と、を有する。これら複数のソースライン74と複数のゲートライン71は、各画素を区画するように、全体としてマトリクス状(格子状)に形成されている。この格子状の最小単位、即ちソースライン74とゲートライン71とに囲まれた領域を「画素」と称し、サブ画素とも称される。各画素Pxでは、ソースライン74とゲートライン71との交点に、スイッチング素子としてのTFTが配置されている。TFTとは、ゲート電極72、ソース電極75及び半導体膜85を有する素子である。
【0031】
液晶パネル1は、アクティブマトリクス基板10と、液晶層20と、対向基板30と、を備える。即ち対向配置されたアクティブマトリクス基板10と対向基板30との間に液晶層20が挟持された構造を有する。例えば図2に示すように、背面側から観察面側に向かって順に、アクティブマトリクス基板10、液晶層20、対向基板30が配置される。液晶層20は通常、アクティブマトリクス基板10と対向基板30との間において、封止剤(図示せず)によって封止される。アクティブマトリクス基板10及び対向基板30の液晶層20と接する面には、必要に応じて配向膜(図示せず)が配置される。
【0032】
アクティブマトリクス基板10においては、支持基板110上に複数の画素Pxが配置されている。複数の画素Pxはそれぞれ、TFTと、第一のカラーフィルタ層61と、第一のカラーフィルタ層61に設けられたコンタクトホール(第二のコンタクトホールと称す)77と、第二のコンタクトホール77を介してTFTに電気的に接続された画素電極92と、を少なくとも備える。第二のコンタクトホール77内には、第二のカラーフィルタ層62を有する。
【0033】
より詳細には、例えば図1及び図3図6に示すように、TFTの半導体部(半導体膜とも称す)85に、第一のコンタクトホール76を介してソースライン74が重なっており、その重なり部分が、TFTのソース電極75となっている。またゲートライン71が、TFTのゲート電極72となっている。半導体膜85の先には第一のコンタクトホール76が設けられており、第一のコンタクトホール76を介して、第一の透明電極91が接続されている。断面視において、第一の透明電極91上に第一のカラーフィルタ層61が形成され、第一の透明電極91の上方に、第二のコンタクトホール77が形成されている(但し、支持基板110側を下方とする。)。第二のコンタクトホール77は、第二のカラーフィルタ層62で埋められている。第二のコンタクトホール77を介して、第一の透明電極91と第二の透明電極92とが電気的に接続されている。この第二の透明電極92が画素電極となる。第二の透明電極92の上に絶縁膜(第三の絶縁膜83)が形成され、その上に第三の透明電極93が形成されている。この第三の透明電極93が共通電極となる。各層間には、必要に応じて絶縁膜が設けられる(第一、第二、第三の絶縁膜81、82、83や、ゲート絶縁膜73等)。なお、平面模式図(例えば図3等)では、第三の透明電極93を省略している。
【0034】
第一のカラーフィルタ層61は通常、ブラックマトリクス(BMとも称す)の格子間に周期的に配列するように設けられるが、各画素Pxにおいて、その画素領域全体に形成されていることが好ましい。第一のカラーフィルタ層61には、第一のカラーフィルタ層61を、その厚み方向に貫通する第二のコンタクトホール77が設けられている(図4図6参照)。
【0035】
第二のコンタクトホール77は、図4図6に示すように、断面視において、TFTの上方に位置する(但し、支持基板110側を下方とする。)。これにより、第二のコンタクトホール77形成時の位置ずれが充分に抑制されるため、この位置ずれに起因する製造歩留まりの低下が充分に抑制される。より詳細には、第二のコンタクトホール77は、第一の透明電極91上に位置しており、底部において第一の透明電極91を露出している。第一の透明電極91は、ゲート電極72と重畳するようにTFTから外側に引き出された部分を有するため、引き出し電極とも称す。引き出し電極91は、TFTと、画素電極(第二の透明電極)92と、を電気的に接続する。第二のコンタクトホール77は、引き出し電極91の上方に位置する。
【0036】
第二のコンタクトホール77の開口形状は特に限定されない。例えば図3に示す例では、開口形状は矩形状であるが、円状でもよい。また、支持基板110の主面に対する、第二のコンタクトホール77の側面の傾斜角度αは、例えば45°以上であってもよいし、45°以下であってもよい。支持基板110の主面に対する傾斜角度αとは、支持基板の主面(水平方向)を0°としたときの角度を意味する。第二のコンタクトホール77内で画素電極92が完全に断線することなく形成される傾斜角度であれば、この側面の傾き(テーパーとも称す)は、急峻であってもよいし、緩やかであってもよい。後述するように、少なくとも第一の画素Px1においては、第二のコンタクトホール77も光を透過させる領域となるため、側面の傾斜角度αが小さい(即ち側面の傾きが緩やかである)ことによって、第二のコンタクトホール77の上面の開口が大きくなったとしても、画素開口率を高く維持することができる。第二のコンタクトホール77の上面とは、支持基板110側を下方としたときの上面を意味する。
【0037】
画素電極(第二の透明電極)92は、図4図6に示すように、断面視において、第一のカラーフィルタ層61の上方に位置する(但し、支持基板110側を下方とする。)。画素電極92は、第二のコンタクトホール77を介して、TFTと電気的に接続されている。画素電極92はまた、第二のコンタクトホール77を介して、第一の透明電極91にも接続されている。画素電極92は、第二のコンタクトホール77の底面及び側面を覆い、かつ第二のコンタクトホール77の内空間を形成している。この画素電極92が形成する内空間、即ち第二のコンタクトホール77の内部に、第二のカラーフィルタ層62が配置されている。
【0038】
断面視において、画素電極92の上方には、絶縁膜と、共通電極とを有する(図4図6参照)。即ち画素電極92の上方に、絶縁膜(第三の絶縁膜83)を介して共通電極(第三の透明電極93)が配置される。但し、支持基板110側を下方とする。
【0039】
以下、各画素の構造等について更に詳細に述べる。
各画素Pxにおいて、第一のカラーフィルタ層61は、所定の波長の光を透過させる分光特性を有する。即ち支持基板110上に位置する複数の画素Pxは、カラーフィルタ層の透過波長帯域が異なる複数種の画素を含む。複数の画素Pxは、少なくとも以下の第一の画素Px1を含む。本実施形態では、複数の画素Pxは、互いに隣接した、第一の画素Px1、第二の画素Px2及び第三の画素Px3を含む。図3では、第一の画素Px1、第二の画素Px2及び第三の画素Px3が示されている。
なお、第一の画素Px1、第二の画素Px2及び第三の画素Px3をまとめて説明する場合、画素Pxと総称することもある。
【0040】
第一の画素Px1が有する第一のカラーフィルタ層61が透過する光の波長帯域(透過波長帯域とも称す)を「第一の波長帯域」と称し、第二の画素Px2が有する第一のカラーフィルタ層61の透過波長帯域を「第二の波長帯域」と称し、第三の画素Px3が有する第一のカラーフィルタ層61の透過波長帯域を「第三の波長帯域」と称する。
第一、第二及び第三の波長帯域は、互いに異なっている。
【0041】
本実施形態では、第一の波長帯域の光を、赤色の波長帯域の光(赤色光とも称す)とし、第二の波長帯域の光を、緑色の波長帯域の光(緑色光とも称す)とし、第三の波長帯域の光を、青色の波長帯域の光(青色光とも称す)とする。即ち、第一の画素Px1は赤色画素であり、第二の画素Px2は緑色画素であり、第三の画素Px3は青色画素である。このように本実施形態では、3種類の画素を含む態様について説明するが、画素の種類は3に限らず、2以下であってもよいし、4以上であってもよい。例えば複数の画素Pxは、更に、第一のカラーフィルタ層61として第四の波長帯域の光を透過する層を有する第四の画素Px4を含んでもよい。第四の波長帯域の光は、例えば、黄色の波長帯域の光(黄色光とも称す)である。
【0042】
第一の画素Px1において、第二のコンタクトホール77内に位置する第二のカラーフィルタ層62は、第二のコンタクトホール77の周辺に、他の光を透過させる層を有するか否かにより、その透過させる光の波長帯域を決定する。「第二のコンタクトホールの周辺」とは、平面視において、第二のコンタクトホール77の上下方向を意味する。この「上下方向」とは、平面視での画素配列の列方向である(図3参照)。言い換えれば、「第二のコンタクトホールの周辺」は、断面視での第二のコンタクトホール77の左右方向に該当する(図4図6参照)。「他の光」とは、第一の波長帯域の光以外の光を意味し、本実施形態では赤色光以外の光である。
【0043】
例えば色の配置が一般的なストライプ配置である場合(例えば図3参照)には、第一の画素Px1において、第二のコンタクトホールの周辺には、光を透過させる層(透過部とも称す)としては、第一の波長帯域の光を透過させる第一のカラーフィルタ層61しか存在しない。これは、第二のコンタクトホール77の周辺に、他の光を透過させる層を有しない態様(態様(i)と称す)に該当する。この態様(i)では、第二のカラーフィルタ層62を、第一のカラーフィルタ層61と同じ波長帯域の光(本実施形態では赤色光)を透過させるものとする。本実施形態は、色の配置をストライプ配置にしており(図3参照)、態様(i)に該当する。
【0044】
また、例えば色の配置がペンタイル配置等のSPR配置である場合には、第一の画素Px1において、第二のコンタクトホール77の周辺に、他の光(本実施形態では赤色光以外の光)を透過させる層(透過部)が存在することがある。これは、第二のコンタクトホール77の周辺に、他の光を透過させる層を有する態様(態様(ii)と称す)に該当する。この態様(ii)では、第二のカラーフィルタ層62を、(ii-1)第一の画素Px1が有する第一のカラーフィルタ層61と同じ波長帯域の光(本実施形態では赤色光)を透過させるものとするか、又は、(ii-2)当該透過部と同じ波長帯域の光(本実施形態では赤色光以外の光)を透過させるものとする。この態様(ii)については、実施形態4として後述する。
【0045】
ここで、従来の画素では、第二のコンタクトホール77内に第二のカラーフィルタ層62を有しない(例えば図24及び図25参照)。図24は、従来の画素に該当するアクティブマトリクス基板を備える液晶パネルが有する画素の一部を拡大して示した平面模式図であり、図25は、図24中のA-A’線を切断面とする断面図(A-A’線断面図)である。このような比較形態のアクティブマトリクス基板10Rでは通常、第二のコンタクトホール77内は、空所であるか又は有機膜等の充填材で埋められている。アクティブマトリクス基板10Rの背面側に光源を設置した場合、第二のコンタクトホール77内を透過する光は、そのまま(例えば白色光光源を用いる場合は白色光のまま)、対向基板30に入射する。それゆえ、各画素Pxから出射する光に白色光が混じった光となる等、出射する光の色味が変化してしまい、正しい色合いで画像を表示することができない。つまり表示の色味が変化する。従って、第二のコンタクトホール77に光が入射しないように遮光層50を設ける必要がある(図24及び図25参照)。これにより、第二のコンタクトホール77を透過部として使用できなくなるため、画素開口率が低下する。
【0046】
これに対し、本実施形態の第一の画素Px1では、第一のカラーフィルタ層61と、第二のコンタクトホール77内に配置された第二のカラーフィルタ層62とが、同じ波長帯域の光を透過するものとなっており、いずれも透過部として作用し得る。これにより、第二のコンタクトホール77内の段差が平坦化される(即ち段差が抑制される)とともに、第二のコンタクトホール77内を透過する光の色味を正常に戻すことが可能になる。また、第一の画素Px1において第二のコンタクトホール77を遮光する必要がなくなり、第二のコンタクトホール77の領域もカラーフィルタ層として機能させることができるため、画素開口率が向上する。また、第二のコンタクトホール77内の段差が抑制されることで、アクティブマトリクス基板10の液晶層20と接する表面の段差も小さくなるため、液晶層20の配向の乱れも充分に抑制される。
【0047】
このように第一の画素Px1では第二のコンタクトホール77を遮光する必要がないため、第一の画素Px1において、第二のコンタクトホール77に重畳する遮光層50の幅(平面視での幅を意味する。)を縮小することができ、当該遮光層50自体を不要にすることもできる。
【0048】
なお本実施形態では、第二のコンタクトホール77内以外に第二のカラーフィルタ層62を有しない。言い換えれば、第二のコンタクトホール77内にのみ、第二のカラーフィルタ層62を有する。但し、製造上、第二のカラーフィルタ層62の一部が、第二のコンタクトホール77から盛り上がったり、はみ出したりすることを完全に防止できないことがあるため、当該盛り上がった形態やはみ出した形態も「第二のコンタクトホール77内にのみ、第二のカラーフィルタ層62を有する形態」に包含するものとする。一方、例えば特許文献2の図4及び図5に示されたような、カラーフィルタ材料からなるオーバーコート層と、カラーフィルタ層とが、層として積層した構造は、明らかに「第二のコンタクトホール77内にのみ、第二のカラーフィルタ層62を有する形態」に該当しない。
【0049】
第一の画素Px1は、平面視での長径が3μm以上である柱状スペーサを有さないことが好ましい。これにより、通常一般的な柱状スペーサ(フォトスペーサとも称す)に起因する光漏れや配向乱れが充分に抑制される。中でも、柱状スペーサを有さないことがより好ましい。第一の画素Px1はまた、平面視で第二のコンタクトホール77と重畳する位置に、平面視での長径が5μm以上である遮光層を有さないことが好適である。これにより、画素開口率が更に向上する。中でも、平面視で第二のコンタクトホール77と重畳する位置に、遮光層を有さないことがより好適である。本実施形態では、第一の画素Px1(赤色画素)は、柱状スペーサ40及び遮光層50を有さない(図3及び図4参照)。
なお、液晶装置分野で一般的なフォトスペーサの最小サイズは、平面視で約4~5μm程度以上である。それゆえ、フォトスペーサを遮光する遮光層の平面視での幅は、アライメントずれ等も考慮すると、6~8μm程度以上が最小サイズとなっている。遮光層は、遮光膜とも称す。
【0050】
ここで、例えば一つの画素のサイズ(平面視)が6μm×18μmである場合を例にすると、平面視で第二のコンタクトホール77と重畳する位置に遮光層50を設けた場合(図25参照)に比べて、平面視で第二のコンタクトホール77と重畳する位置に遮光層50を有さない場合(図4参照)には、画素開口率は、相対比で約10%以上増加することが見込まれる。但し、画素開口率は、例えば各ライン幅、カラーフィルタ層の膜厚、コンタクトホールの大きさ、遮光層の幅等によっても左右されるため、この数値は、あくまで目安の値である。このように本実施形態では、第一の画素Px1において画素開口率を高めることができる。また、より高精細な画素の場合、一つの画素の面積が小さく、一つの画素に対して遮光層が占める面積の割合が大きくなるため、本発明による画素開口率の向上効果が大きくなる。従って、液晶パネル1は、高精細液晶パネルであることが好適である。
【0051】
第二の画素Px2は、第一の画素Px1以外の画素であり、第二の波長帯域の光(本実施形態では緑色光)を透過させる第一のカラーフィルタ層61を有する。第二の画素Px2において、第二のコンタクトホール77内に配置された第二のカラーフィルタ層62は、第一の画素Px1が有する第二のカラーフィルタ層62と同じ波長帯域の光を透過させる。本実施形態では、第一の画素Px1(赤色画素)が有する第二のカラーフィルタ層62は赤色光を透過させるため、第二の画素Px2(緑色画素)が有する第二のカラーフィルタ層62もまた、赤色光を透過させるものとする。
【0052】
第二の画素Px2では、第一のカラーフィルタ層61と、第二のコンタクトホール77内の第二のカラーフィルタ層62とで、互いに異なる波長帯域の光が透過することになる。そこで、色度ずれや混色を抑制するために、第二の画素Px2は、平面視で第二のコンタクトホール77と重畳する位置に、遮光層50を備える(図5参照)。この遮光層50は、平面視での長径が5μm以上であるものが好適である。
【0053】
第二の画素Px2は、それが備える第一のカラーフィルタ層61の透過波長帯域、及び、遮光層50の有無以外は、第一の画素Px1と同じ構造を備える。
【0054】
第三の画素Px3は、第一の画素Px1及び第二の画素Px2以外の画素であり、第三の波長帯域の光(本実施形態では青色光)を透過させる第一のカラーフィルタ層61を有する。第三の画素Px3において、第二のコンタクトホール77内に配置された第二のカラーフィルタ層62は、第一の画素Px1が有する第二のカラーフィルタ層62と同じ波長帯域の光を透過させる。本実施形態では、第一の画素Px1(赤色画素)が有する第二のカラーフィルタ層62は赤色光を透過させるため、第三の画素Px3(青色画素)が有する第二のカラーフィルタ層62もまた、赤色光を透過させるものとする。
【0055】
第三の画素Px3では、第一のカラーフィルタ層61と、第二のコンタクトホール77内の第二のカラーフィルタ層62とで、互いに異なる波長帯域の光が透過することになる。そこで、色度ずれや混色を抑制するために、第三の画素Px3は、平面視で第二のコンタクトホール77と重畳する位置に、遮光層50を備える(図6参照)。この遮光層50は、平面視での長径が5μm以上であるものが好適である。
【0056】
第三の画素Px3はまた、液晶層20の厚みを制御しやすくするために、柱状スペーサ40を有する(図6参照)。即ち第三の画素Px3は、平面視で第二のコンタクトホール77と重畳する位置に、第二のコンタクトホール77を間にして、柱状スペーサ40と、遮光層50とを備える(図6参照)。柱状スペーサ40は、平面視での長径が3μm以上であるものが好適である。
【0057】
柱状スペーサ40を配置する画素は、青色画素であることが好ましい。これは、人間工学上、青色が最も視認性が悪いため、開口率低下による視認性への影響が最も小さくなると考えられるためである。この点を考慮して、本実施形態では、第三の画素Px3を青色画素とした。また、第三の画素Px3の代わりに又は第三の画素Px3とともに、第二の画素Px2(本実施形態では緑色画素)に柱状スペーサ40を配置してもよい。
【0058】
第三の画素Px3は、それが備える第一のカラーフィルタ層61の透過波長帯域、並びに、遮光層50及び柱状スペーサ40の有無以外は、第一の画素Px1と同じ構造を備える。
【0059】
上述したように本実施形態では、第一の画素Px1は、平面視で第二のコンタクトホール77と重畳する位置に遮光層50を有しない一方、第二の画素Px2及び第三の画素Px3は、平面視で第二のコンタクトホール77と重畳する位置に遮光層50をそれぞれ有する(図3図6参照)。即ち本実施形態では、平面視において横方向(即ち行方向)の遮光層50が分断されており、島状に遮光層50が配置されている(図3参照)。これに対し、従来の画素では、遮光層50は、横方向(行方向)に線状に繋がった形状となっている(例えば図24参照)。この場合、例えばゲートライン71との間に大きな容量をもってしまい、静電気放電不良が発生する可能性が懸念される。だが本実施形態では、遮光層50を島状に分断することができるため、ゲートライン71との間の容量を小さくすることができ、よって、静電気放電不良が発生する可能性を充分に下げることが可能になる。
【0060】
本実施形態ではまた、複数の画素Pxにおいて、第二のコンタクトホール77内に形成する第二のカラーフィルタ層62を1種類にすることができるため、第二のカラーフィルタ層62を形成する際の工程数を減らすことができる。よって、製造効率が更に高まり、製造コストも削減できる。
【0061】
本実施形態のアクティブマトリクス基板10(並びに、これを備える液晶パネル1及び液晶表示装置100)は、画素電極92及び共通電極93の間に電圧を印加し、液晶層に横電界(フリンジ電界を含む)又は縦電界を印加することにより、表示を行うものであることが好ましい。横電界方式としては、電圧無印加時に液晶層中の液晶分子が基板面に対して平行に配向する、FFS(Fringe Field Switching)モードやIPS(In Plane Switching)モードが挙げられる。縦電界方式としては、電圧無印加時に液晶層中の液晶分子が基板面に対して垂直に配向する、垂直配向(VA:Vertical Alignment)が挙げられる。
【0062】
本実施形態のアクティブマトリクス基板10を用いて液晶パネル1を作製する場合には、例えば下記方法(1)により作製されるアクティブマトリクス基板10と、例えば下記方法(2)により作製される対向基板30と、を、シール材等を用いて互いに貼り合わせ、両者の間隙に液晶組成物を注入することによって液晶層20を形成した後、得られた構造体を分断することにより、製造することができる。
【0063】
(1)アクティブマトリクス基板10の製造方法
本実施形態のアクティブマトリクス基板10の製造方法の一例を説明すると、当該製造方法は、(1-1)TFTを形成する工程と、(1-2)コンタクトホール77を有する第一のカラーフィルタ層61を形成する工程と、(1-3)画素電極92を形成する工程と、(1-4)第二のカラーフィルタ層62を形成する工程と、を含むことが好適である。更に、(1-5)共通電極93を形成する工程を含むことがより好ましい。支持基板110は複数の画素領域を有しており、各画素領域において以下の工程を行うことによって、複数の画素領域にそれぞれ位置する複数の画素Pxを備えるアクティブマトリクス基板10が作製される。以下、図4図6等を参照しながら、各工程を詳細に説明する。
【0064】
(1-1)TFTを形成する工程
まず支持基板110上に導電性膜を成膜し、この導電性膜をフォトリソ工程(フォトリソグラフ工程とも称す)で所望の形状に加工する。なお、第一の画素Px1となる領域のうち平面視で第二のコンタクトホール77を設ける部分には、導電性膜を設けないようにする。この導電性膜が遮光層50となる。
【0065】
支持基板110は、絶縁性の基板(絶縁基板とも称す)であるが、透明基板であることが好ましく、例えばガラス基板、プラスチック基板等が挙げられる。また、導電性膜の材料は特に限定されないが、例えば、ブラックマトリクス(BMとも称す)の材料として使用される金属材料を用いればよい。具体的には、タングステン(W)等が挙げられる。得られる遮光層50の厚みは特に限定されないが、例えば下限は10nm以上、上限は1000nm以下であることが好ましい。より好ましくは、下限は30nm以上、上限は500nm以下である。
【0066】
次に、絶縁膜(第一の絶縁膜81)を成膜する。絶縁膜(第一、第二、第三の絶縁膜81、82、83やゲート絶縁膜73)は、例えば、無機絶縁膜が好ましい。無機絶縁膜としては、例えば、窒化珪素(SiNx)、酸化珪素(SiO2)等の無機膜(比誘電率ε=5~7)や、これらの積層膜を用いることができる。各絶縁膜の厚みは特に限定されないが、例えば下限は10nm以上、上限は1000nm以下であることが好ましい。より好ましくは、下限は30nm以上、上限は500nm以下である。
【0067】
次に、第一の絶縁膜81上にTFTの半導体膜85を成膜し、この半導体膜をフォトリソ工程で所望の形状に加工する。半導体膜85は、例えば、In-Ga-Zn-O系の酸化物半導体(IGZO)が好適である。また、アモルファスシリコン、ポリシリコン等からなる高抵抗半導体層と、アモルファスシリコンにリン等の不純物をドープしたn+アモルファスシリコン等からなる低抵抗半導体層とによって構成してもよい。半導体膜85の厚みは特に限定されないが、例えば下限は10nm以上、上限は1000nm以下であることが好ましい。より好ましくは、下限は30nm以上、上限は500nm以下である。
【0068】
次に、ゲート絶縁膜73を成膜した後、ゲート絶縁膜73上に導電性膜を成膜し、この導電性膜をフォトリソ工程で所望の形状に加工する。これが、ゲートライン71及びゲート電極72となる。ゲートライン71及びゲート電極72の材料は、例えば、銅、チタン、アルミニウム、モリブデン、タングステン等の金属又はこれらの合金が挙げられ、単層であってもよいし、複数層の積層構造であってもよい。
【0069】
次に、絶縁膜(第二の絶縁膜82)を成膜し、フォトリソ工程により、後のコンタクトホール(第一のコンタクトホール76)となる領域に開口部を形成する。つまり、この領域に成膜された当該絶縁膜を取り除く。具体的には、第二の絶縁膜82の一部をエッチングする。これにより、半導体膜85が底面に露出した第一のコンタクトホール76を、第二の絶縁膜82に形成することができる。
【0070】
次に、第二の絶縁膜82上に導電性膜を成膜し、この導電性膜をフォトリソ工程で所望の形状に加工する。これが、ソースライン74及びソース電極75となる。ソースライン74及びソース電極75の材料は、例えば、銅、チタン、アルミニウム、モリブデン、タングステン等の金属又はこれらの合金が挙げられ、単層であってもよいし、複数層の積層構造であってもよい。
【0071】
次に、透明電極(第一の透明電極91)を成膜し、フォトリソ工程によりパターニングする。透明電極(第一、第二、第三の透明電極91、92、93)は、例えば、酸化インジウム錫(ITO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化スズ(SnO)等の透明導電材料、又は、これらの合金で形成することができる。各透明電極の厚みは特に限定されないが、例えば下限は10nm以上、上限は1000nm以下であることが好ましい。より好ましくは、下限は30nm以上、上限は500nm以下である。
以上により、支持基板110上にTFTが作製される。
【0072】
(1-2)コンタクトホール77を有する第一のカラーフィルタ層61を形成する工程
次に、TFT及び第一の透明電極91を覆うように、第二の絶縁膜82上に第一のカラーフィルタ層61を形成する。具体的には、カラーフィルタ材料(CF材とも称す)を用いて第一のカラーフィルタ層61を成膜した後、フォトリソ工程により、後のコンタクトホール(第二のコンタクトホール77)となる領域に開口部を形成する。つまり、この領域から第一のカラーフィルタ層61を取り除く。このような工程を、各色のCF材を用いてそれぞれ行い、各画素に対応する領域に、それぞれの色の第一のカラーフィルタ層61を形成する。
【0073】
第一のカラーフィルタ層61を与えるCF材としては、例えば、着色された感光性樹脂材料を用いることができる。第一のカラーフィルタ層61の厚みは特に限定されないが、例えば下限は10nm以上、上限は10000nm(即ち10μm)以下であることが好ましい。より好ましくは、下限は30nm以上、上限は2000nm以下である。
【0074】
例えば本実施形態では、第一の画素Px1では赤色の感光性樹脂を、第二の画素Px2では緑色の感光性樹脂を、第三の画素Px3では青色の感光性樹脂をそれぞれ用い、この工程(1-2)を繰り返すことによって、第一のカラーフィルタ層61(R)、(G)及び(B)を、それぞれ第一の画素Px1、第二の画素Px2及び第三の画素Px3の画素領域に形成する。
【0075】
(1-3)画素電極92を形成する工程
次に、透明電極(第二の透明電極92)を成膜し、フォトリソ工程により透明電極92をパターニングする。即ち第二のコンタクトホール77の側面及び底面と、第一のカラーフィルタ層61上とに、第二の透明電極92を形成する。この透明電極が画素電極となる。
【0076】
(1-4)第二のカラーフィルタ層62を形成する工程
次に、第二のコンタクトホール77内に第二のカラーフィルタ層62を形成する。具体的には、第二のカラーフィルタ層62を形成するCF材を用いて、第二のコンタクトホール77及び画素電極92を覆うように第二のカラーフィルタ層62を形成した後、フォトリソ工程により、第二のコンタクトホール77内にのみ第二のカラーフィルタ層62が残るように現像する。このとき、第二のコンタクトホール77を形成する際に用いたマスクパターンよりも、平面視でのサイズの小さいマスクパターンを用いて露光することが好適である。これにより、現像によって残された第二のカラーフィルタ層62が、第二のコンタクトホール77の外側に広がって第二のカラーフィルタ層62が第二のコンタクトホール77からはみ出したり、第二のコンタクトホール77上に第二のカラーフィルタ層62が盛り上がったりすることが充分に抑制される。
【0077】
第二のカラーフィルタ層62を形成するCF材は、例えば、着色された感光性樹脂材料を用いることができる。なお、第二のカラーフィルタ層62を形成するCF材は、第一の画素Px1、第二の画素Px2及び第三の画素Px3で共通する。例えば、第一の画素Px1が有する第二のカラーフィルタ層62が、第一の画素Px1が有する第一のカラーフィルタ層61と同じ波長帯域の光を透過させる場合において、第一の画素Px1の第一のカラーフィルタ層61の形成に赤色の感光性樹脂を用いる場合には、第二、第三の画素Px2、Px3それぞれが有する第二のカラーフィルタ層62の形成にも、赤色の感光性樹脂を用いる。
【0078】
第二のカラーフィルタ層62を形成した後、必要に応じてエッチバック工程を含んでもよい。例えば、第二のカラーフィルタ層62が第二のコンタクトホール77内において盛り上がる等して段差を形成している場合には、エッチバック工程を行うことで段差が小さくなり、よって、アクティブマトリクス基板10の表面における平滑性が高まる。具体的には、例えば、第二のコンタクトホール77内に第二のカラーフィルタ層62を形成した後、少なくとも、第二のコンタクトホール77内の第二のカラーフィルタ層62の一部を、ドライエッチングによって除去する。例えばO2を含むガスを用いたドライエッチングにより、第二のカラーフィルタ層62の一部を除去する。画素電極92はこのドライエッチング条件では殆ど除去されないため、画素電極92によって覆われた第一のカラーフィルタ層61には殆ど影響がない。
【0079】
ここで、特許文献1に記載の液晶表示装置では、上述したようにコンタクトホール内部に金属配線と充填部材とが配置されている。それゆえ、製造時には金属配線を配置する工程が必要になる。だが、本実施形態の上記製造方法は、この金属配線をコンタクトホール内に配置する工程を不要にできるため、製造効率や製造コストの観点から有用である。
【0080】
(1-5)共通電極93を形成する工程
次に、絶縁膜(第三の絶縁膜83)を成膜した後、透明電極(第三の透明電極93)を成膜し、フォトリソ工程によりパターニングする。この透明電極が共通電極となる。
【0081】
最後に、必要に応じて配向膜(図示せず)を形成することで、アクティブマトリクス基板10が得られる。配向膜には、配向処理(例えば光配向処理)が行われる。
【0082】
(2)対向基板30の製造方法
まず支持基板上に遮光層50を成膜し、この遮光層50をフォトリソ工程で所望の形状にパターニングすることによって、BM(ブラックマトリクス)を形成する。なお、遮光層50は、対向基板30に作成する代わりに、アクティブマトリクス基板10に形成してもよい。例えば共通電極93上にBMを形成してもよい。支持基板の詳細は、支持基板110について上述した内容と同様である。
【0083】
遮光層50の材料は、例えば、黒色の感光性樹脂材料や金属材料等が用いられる。例えば樹脂材料を用いる場合、得られる遮光層50の厚みは特に限定されないが、例えば下限は10nm以上、上限は10μm以下であることが好ましい。より好ましくは、下限は100nm以上、上限は3μm以下である。
【0084】
その後、柱状スペーサ40を所望の位置に作成する。本実施形態では、第三の画素Pxの第二のコンタクトホール77に重畳する位置に作成する(図3及び図6参照)。柱状スペーサ40は、例えば、透光性を有する樹脂材料から形成される。
【0085】
最後に、必要に応じて配向膜(図示せず)を形成することで、対向基板30が得られる。配向膜には、配向処理(例えば光配向処理)が行われる。
【0086】
次に、本実施形態のアクティブマトリクス基板10を備える液晶表示装置100を例に挙げて説明する。
図2は、本実施形態の液晶表示装置100の断面模式図でもある。図2に示す通り、本実施形態の液晶表示装置100は、アクティブマトリクス基板10と、液晶層20と、対向基板30を、この順に備える。更にバックライト2を備えることが好適である。バックライト2を更に備える場合、本実施形態の液晶表示装置100は、背面側から観察面側に向かって順に、バックライト2と液晶パネル1とを備え、該液晶パネル1は、背面側から観察面側に向かって順に、アクティブマトリクス基板10と、液晶層20と、対向基板30とを備える(図7及び図2参照)。図7は、本実施形態の液晶表示装置100の好ましい例の断面模式図である。
【0087】
バックライト2は、光を照射するものであれば特に限定されず、直下型やエッジ型やその他のどの方式でもよい。具体的には例えば、バックライト2は、導光板及び光源を含む光源ユニットと、反射シートと、拡散シートとを備えるものが好ましい。光源としては、例えば、発光ダイオード(LED)を用いることができる。
【0088】
液晶表示装置100は、上述した部材等の他、偏光板;TCP(テープ・キャリア・パッケージ)、PCB(プリント配線基板)等の外部回路;視野角拡大フィルム、輝度向上フィルム等の光学フィルム;ベゼル(フレーム);等の複数の部材により構成されるものであり、部材によっては、他の部材に組み込まれていてもよい。これらは特に限定されず、液晶表示装置の分野において通常使用されるものを用いることができるので、説明を省略する。
【0089】
図8は、本実施形態に係る液晶表示装置100をヘッドマウントディスプレイ(HMDとも称す)100Xとして使用したときの外観の一例を示す斜視模式図である。図8に示すように、ヘッドマウントディスプレイ100Xは、画像を表示するための液晶パネル1と、光学素子3と、バックライト(図示せず)とを備え、ユーザの頭部に装着可能な表示装置である。光学素子3は、例えばレンズである。この図では両眼型HMDを例示したが、片眼型HMDであってもよい。
【0090】
HMDの表示方式は特に限定されず、水平配向モード、垂直配向モード等の各種表示モードが好ましく採用される。例えば、水平配向モードを利用したHMDとしては、特開2019-113584号公報に記載のように、フリンジ電界の形成に用いる電極の開口形状に特徴を持たせた技術を採用することが好適である。
【0091】
(実施形態2)
本実施形態では、本実施形態に特有の特徴について主に説明し、上記実施形態1と重複する内容については説明を省略する。本実施形態は、第一の波長帯域の光を緑色光とし、第二の波長帯域の光を赤色光としたこと以外は、実施形態1と実質的に同様である。即ち本実施形態では、第一の画素Px1は緑色画素であり、第二の画素Px2は赤色画素であり、第三の画素Px3は青色画素である。
【0092】
図9は、本実施形態の一例のアクティブマトリクス基板10を備える液晶パネル1が有する画素の一部を拡大して示した平面模式図である。図9では簡略化して記載している。図10は、図9中のA-A’線を切断面とする断面図(A-A’線断面図)であり、第二の画素Px2(本実施形態では赤色画素)の断面図に相当する。図11は、図9中のB-B’線を切断面とする断面図(B-B’線断面図)であり、第一の画素Px1(本実施形態では緑色画素)の断面図に相当する。図12は、図9中のC-C’線を切断面とする断面図(C-C’線断面図)であり、第三の画素Px3(本実施形態では青色画素)の断面図に相当する。
【0093】
第一の画素Px1(緑色画素)において、第二のカラーフィルタ層62は、第一のカラーフィルタ層61と同じ波長帯域の光(緑色光)を透過させるものである。第一の画素Px1では第二のコンタクトホール77を遮光する必要がなくなるため、第一の画素Px1において、第二のコンタクトホール77に重畳する遮光層の幅を縮小することができ、当該遮光層自体を不要にすることもできる。本実施形態でも、第一の画素Px1(緑色画素)は、柱状スペーサ40及び遮光層50を有しない(図9及び図11参照)。
【0094】
第二の画素Px2(赤色画素)において、第一のカラーフィルタ層61は、第二の波長帯域の光(本実施形態では赤色光)を透過させるが、第二のカラーフィルタ層62は、第一の画素Px1が有する第二のカラーフィルタ層62と同じ波長帯域の光(緑色光)を透過させるものである。色度ずれや混色を抑制するために、第二の画素Px2は、平面視で第二のコンタクトホール77と重畳する位置に、遮光層50を備える(図10参照)。
【0095】
第三の画素Px3(青色画素)において、第一のカラーフィルタ層61は、第三の波長帯域の光(本実施形態では青色光)を透過させるが、第二のカラーフィルタ層62は、第一の画素Px1が有する第二のカラーフィルタ層62と同じ波長帯域の光(緑色光)を透過させるものである。色度ずれや混色を抑制するために、第三の画素Px3は、平面視で第二のコンタクトホール77と重畳する位置に、遮光層50を備える(図12参照)。第三の画素Px3はまた、液晶層20の厚みを制御しやすくするために、柱状スペーサ40を有する(図9及び図12参照)。
【0096】
(実施形態3)
本実施形態では、本実施形態に特有の特徴について主に説明し、上記実施形態1と重複する内容については説明を省略する。本実施形態は、第一の波長帯域の光を青色光とし、第三の波長帯域の光を赤色光としたこと以外は、実施形態1と実質的に同様である。即ち本実施形態では、第一の画素Px1は青色画素であり、第二の画素Px2は緑色画素であり、第三の画素Px3は赤色画素である。
【0097】
図13は、本実施形態の一例のアクティブマトリクス基板10を備える液晶パネル1が有する画素の一部を拡大して示した平面模式図である。図13では簡略化して記載している。図14は、図13中のA-A’線を切断面とする断面図(A-A’線断面図)であり、第三の画素Px3(本実施形態では赤色画素)の断面図に相当する。図15は、図13中のB-B’線を切断面とする断面図(B-B’線断面図)であり、第二の画素Px2(本実施形態では緑色画素)の断面図に相当する。図16は、図13中のC-C’線を切断面とする断面図(C-C’線断面図)であり、第一の画素Px1(本実施形態では青色画素)の断面図に相当する。
【0098】
第一の画素Px1(青色画素)において、第二のカラーフィルタ層62は、第一のカラーフィルタ層61と同じ波長帯域の光(青色光)を透過させるものである。第一の画素Px1では第二のコンタクトホール77を遮光する必要がなくなるため、第一の画素Px1において、第二のコンタクトホール77に重畳する遮光層の幅を縮小することができ、当該遮光層自体を不要にすることもできる。本実施形態でも、第一の画素Px1(青色画素)は、柱状スペーサ40及び遮光層50を有しない(図13及び図16参照)。
【0099】
第二の画素Px2(緑色画素)において、第一のカラーフィルタ層61は、第二の波長帯域の光(本実施形態では緑色光)を透過させるが、第二のカラーフィルタ層62は、第一の画素Px1が有する第二のカラーフィルタ層62と同じ波長帯域の光(青色光)を透過させるものである。色度ずれや混色を抑制するために、第二の画素Px2は、平面視で第二のコンタクトホール77と重畳する位置に、遮光層50を備える(図15参照)。
【0100】
第三の画素Px3(赤色画素)において、第一のカラーフィルタ層61は、第三の波長帯域の光(本実施形態では赤色光)を透過させるが、第二のカラーフィルタ層62は、第一の画素Px1が有する第二のカラーフィルタ層62と同じ波長帯域の光(青色光)を透過させるものである。色度ずれや混色を抑制するために、第三の画素Px3は、平面視で第二のコンタクトホール77と重畳する位置に、遮光層50を備える(図14参照)。第三の画素Px3はまた、液晶層20の厚みを制御しやすくするために、柱状スペーサ40を有する(図13及び図14参照)。なお、第三の画素Px3に代えて又は第三の画素Px3とともに、第二の画素Px2に柱状スペーサ40を配置してもよい。
【0101】
(実施形態4)
本実施形態では、本実施形態に特有の特徴について主に説明し、上記実施形態1と重複する内容については説明を省略する。本実施形態は、第一の画素Px1が有する第二のコンタクトホール77の周辺に、第一の波長帯域の光以外の光を透過させる層を備える態様(上記態様(ii))に該当する。
【0102】
図17は、本実施形態の一例のアクティブマトリクス基板10を備える液晶パネル1が有する画素の一部を拡大して示した平面模式図である。図17では簡略化して記載している。図18は、図17中のA-A’線を切断面とする断面図(A-A’線断面図)であり、第一の画素Px1及び第二の画素Px2の断面図に相当する。図19は、図17中のB-B’線を切断面とする断面図(B-B’線断面図)であり、第三の画素Px3の断面図に相当する。
【0103】
アクティブマトリクス基板10は、平面視において、第一の画素Px1と第二の画素Px2とが列方向に交互に配置された画素配列部Xと、該画素配列部Aに行方向に隣り合う画素配列部Yと、を有し、該画素配列部Yには、第三の画素Px3のみが列方向に配置されている。即ち具体的には、平面視において、ある列の色配置が、列方向に赤色、青色、赤色、青色、と交互になっており、その左右方向(行方向)に隣接する列では、緑色、緑色、緑色、緑色、と緑色のみのストライプ配置となっている(図17参照)。このように本実施形態では、色の配置をペンタイル配置としているが、上記態様(ii)となるのはペンタイル配置に限らない。
【0104】
本実施形態では、第一の波長帯域の光及び第二の波長帯域の光のうち一方を赤色光とし、他方を青色光とし、第三の波長帯域の光を緑色光とする。即ち、第一の画素Px1及び第二の画素Px2のうち一方は赤色画素であり、他方は青色画素であり、第三の画素Px3は緑色画素である。
【0105】
画素配列部Xでは、第一の画素Px1と第二の画素Px2とが列方向に交互に配置されるため、第二のコンタクトホール77が第一の画素Px1及び第二の画素Px2の両方に跨って配置される場合には、当該第二のコンタクトホール77は、第一の画素Px1又は第二の画素Px2のいずれの画素領域に配置されたものであるか区別することが難しい。だが本発明では、第二のコンタクトホール77内に形成する第二のカラーフィルタ層62は、第一の画素Px1、第二の画素Px2及び第三の画素Pxで共通する。即ち第二のカラーフィルタ層62は複数の画素Pxで共通するため、当該第二のコンタクトホール77が第一の画素Px1又は第二の画素Px2のいずれの画素領域に配置されたものであるか区別しなくても、特に問題ない。
【0106】
第一の画素Px1の画素領域を、第一のカラーフィルタ層611(図18参照)を備える領域とした場合、第二のコンタクトホール77の周辺には、この第一のカラーフィルタ層611以外の透過部として、隣接する第二の画素Px2が有する第一のカラーフィルタ層612が存在する(図18参照)。第一のカラーフィルタ層611は、第一の波長帯域の光を透過させるものであり、第一のカラーフィルタ層612は、第二の波長帯域の光を透過させるものである。この場合、第二のコンタクトホール77内に配置される第二のカラーフィルタ層62は、(ii-1)第一のカラーフィルタ層611と同じ第一の波長帯域の光を透過させるものとするか、又は、(ii-2)第一のカラーフィルタ層612と同じ第二の波長帯域の光を透過させるものとする。これらの中でも、CF材の透過率が高い方の材料を用いて当該第二のカラーフィルタ層62を形成することが好ましい。例えば、赤色のCF材と、青色のCF材とであれば、一般に赤色のCF材の透過率がより高いため、赤色のCF材で第二のカラーフィルタ層62を形成すること、即ち第二のカラーフィルタ層62を、赤色光を透過させるものとすること、が好適である。
【0107】
視点を変えて、第一の画素Px1の画素領域を、第一のカラーフィルタ層612(図18参照)を備える領域とした場合、第二のコンタクトホール77の周辺には、この第一のカラーフィルタ層612以外の透過部として、隣接する第二の画素Px2が有する第一のカラーフィルタ層611が存在する、と言うことができる(図18参照)。第一のカラーフィルタ層612は、第一の波長帯域の光を透過させるものであり、第一のカラーフィルタ層611は、第二の波長帯域の光を透過させるものである。この場合、第二のコンタクトホール77内に配置される第二のカラーフィルタ層62は、(ii-1)第一のカラーフィルタ層612と同じ第一の波長帯域の光を透過させるものとするか、又は、(ii-2)第一のカラーフィルタ層611と同じ第二の波長帯域の光を透過させるものとする。
【0108】
このように画素配列部Xにおいては、第二のコンタクトホール77内に配置された第二のカラーフィルタ層62と、当該第二のコンタクトホール77の周辺に位置する第一のカラーフィルタ層61のいずれか(図18中の611又は612)とが、同じ波長帯域の光(即ち上記(ii-1)又は(ii-2))を透過させるものとなっている。この場合、第二のカラーフィルタ層62と同じ波長帯域の光を透過させる第一のカラーフィルタ層61を備える画素領域では、第二のコンタクトホール77を遮光する必要がなくなる。それゆえ、第二のコンタクトホール77に重畳する遮光層50のうち、当該画素領域に配置される部分について、その幅を縮小又は取り除くことができる。
【0109】
第一のカラーフィルタ層611が、第二のコンタクトホール77内に配置された第二のカラーフィルタ層62と同じ波長帯域の光を透過させる層である場合には、図18に示されるように、第二のコンタクトホール77に重畳する遮光層50のうち、第一のカラーフィルタ層611を備える画素領域に配置される部分だけ、当該遮光層50の幅を縮小することができる。従って、第二のカラーフィルタ層62と同じ波長帯域の光を透過させる第一のカラーフィルタ層61を備える画素領域においては、平面視で第二のコンタクトホール77と重畳する位置に、平面視での長径が5μm以上である遮光層を有さないことが好適である。一方で、第二のカラーフィルタ層62とは異なる波長帯域の光を透過させる第一のカラーフィルタ層61(図18では第一のカラーフィルタ層612)を備える画素領域では、平面視で第二のコンタクトホール77と重畳する位置に、遮光層50を有する(図18参照)。
【0110】
ここで、従来の画素では、第二のコンタクトホール77内に第二のカラーフィルタ層62を有しない(例えば図26及び図27参照)。図26は、従来の画素に該当するアクティブマトリクス基板を備える液晶パネルが有する画素の一部を拡大して示した平面模式図であり、図27は、図26中のA-A’線を切断面とする断面図(A-A’線断面図)である。このような比較形態のアクティブマトリクス基板10Rでは通常、第二のコンタクトホール77内は、空所であるか又は有機膜等の充填材で埋められており、第二のコンタクトホール77に光が入射しないように、遮光層50を充分に設ける必要がある(図26及び図27参照)。そうすると、第二のコンタクトホール77は、完全に透過部として使用できなくなるため、画素開口率が低下する。
なお、図26及び図27で示されるアクティブマトリクス基板10Rは、本実施形態と比較しやすいように、画素配列や柱状スペーサ40の位置を本実施形態と同じ位置に配置した例である。
【0111】
第一の画素Px1及び第二の画素Px2はまた、平面視での長径が3μm以上である柱状スペーサを有さないことが好ましい。中でも、柱状スペーサを有さないことがより好ましい。本実施形態では、第一の画素Px1及び第二の画素Px2は、柱状スペーサ40を有しない(図17及び図18参照)。
【0112】
第三の画素Px3(緑色画素)において、第一のカラーフィルタ層611、612は、第三の波長帯域の光(本実施形態では緑色光)を透過させるが、第二のカラーフィルタ層62は、第一の画素Px1及び第二の画素Px2が有する第二のカラーフィルタ層62と同じ波長帯域の光(即ち上記(ii-1)又は(ii-2))を透過させるものである。色度ずれや混色を抑制するために、第三の画素Px3は、平面視で第二のコンタクトホール77と重畳する位置に、遮光層50を備える(図17及び図19参照)。第三の画素Px3はまた、液晶層20の厚みを制御しやすくするために、柱状スペーサ40を有する(図17及び図19参照)。
【0113】
(実施形態5)
本実施形態では、本実施形態に特有の特徴について主に説明し、上記実施形態1又は実施形態4と重複する内容については説明を省略する。本実施形態は、第一の画素Px1が有する第二のコンタクトホール77の周辺に、他の光を透過させる層を有しない態様(上記態様(i))に該当する点で、主に実施形態4と相違する。
【0114】
図20は、本実施形態の一例のアクティブマトリクス基板10を備える液晶パネル1が有する画素の一部を拡大して示した平面模式図である。図20では簡略化して記載している。図21は、図20中のA-A’線を切断面とする断面図(A-A’線断面図)であり、第一の画素Px1の断面図に相当する。
【0115】
アクティブマトリクス基板10は、平面視において、第一の画素Px1のみが列方向に配置された画素配列部Yと、該画素配列部Yに行方向に隣り合う画素配列部Xと、を有し、該画素配列部Xでは、第二の画素Px2と第三の画素Px3とが列方向に交互に配置されている。即ち具体的には、実施形態4と同じく、平面視において、ある列の色配置が、列方向に赤色、青色、赤色、青色、と交互になっており、その左右方向(行方向)に隣接する列では、緑色、緑色、緑色、緑色、と緑色のみのストライプ配置となっている(図20参照)。このように本実施形態でも、色の配置をペンタイル配置としているが、実施形態4とは異なり、柱状スペーサ40を、異なる色の画素が列方向に配置された画素配列部(即ち画素配列部X)に配置した。
【0116】
本実施形態では、第一の波長帯域の光を緑色光とし、第二の波長帯域の光及び第三の波長帯域の光のうち一方を赤色光とし、他方を青色光とする。即ち、第一の画素Px1は緑色画素であり、第二の画素Px2及び第三の画素Px3のうち一方は赤色画素であり、他方は青色画素である。
【0117】
第一の画素Px1(緑色画素)は、第一の波長帯域の光(緑色光)を透過させる第一のカラーフィルタ層611を有する(図21参照)。第二のコンタクトホール77の周辺には、第一のカラーフィルタ層611以外の透過部として、隣接する別の第一の画素Px1(緑色画素)が有する第一のカラーフィルタ層612が存在する(図21参照)。第一のカラーフィルタ層612は、第一のカラーフィルタ層611と同じく第一の波長帯域の光(緑色光)を透過させるものである。この態様は、第二のコンタクトホール77の周辺に、他の光を透過させる層を有しない態様(i)に該当する。実施形態1等と同様に、第一の画素Px1が有する第二のカラーフィルタ層62は、第一のカラーフィルタ層611、612と同じ第一の波長帯域の光(緑色光)を透過させるものとする。
【0118】
このように画素配列部Yにおいては、第二のコンタクトホール77内に配置された第二のカラーフィルタ層62と、当該第二のコンタクトホール77の周辺に位置する第一のカラーフィルタ層61(図21中の611及び612)とが、同じ波長帯域の光を透過させるものとなっている。この場合、第一の画素Px1では第二のコンタクトホール77を遮光する必要がなくなるため、第一の画素Px1において、第二のコンタクトホール77に重畳する遮光層の幅を縮小することができ、当該遮光層自体を不要にすることもできる。従って、第一の画素Px1は、平面視で第二のコンタクトホール77と重畳する位置に、平面視での長径が5μm以上である遮光層を有さないことが好適である。中でも、平面視で第二のコンタクトホール77と重畳する位置に、遮光層を有さないことがより好ましい。
【0119】
ここで、従来の画素では、第二のコンタクトホール77内に第二のカラーフィルタ層62を有しない(例えば図28及び図29参照)。図28は、従来の画素に該当するアクティブマトリクス基板を備える液晶パネルが有する画素の一部を拡大して示した平面模式図であり、図29は、図28中のA-A’線を切断面とする断面図(A-A’線断面図)である。このような比較形態のアクティブマトリクス基板10Rでは通常、第二のコンタクトホール77内は、空所であるか又は有機膜等の充填材で埋められており、第二のコンタクトホール77に光が入射しないように、遮光層50を充分に設ける必要がある(図28及び図29参照)。そうすると、第二のコンタクトホール77は、完全に透過部として使用できなくなるため、画素開口率が低下する。
なお、図28及び図29で示されるアクティブマトリクス基板10Rは、本実施形態と比較しやすいように、画素配列や柱状スペーサ40の位置を本実施形態と同じ位置に配置した例である。
【0120】
第一の画素Px1(緑色画素)はまた、平面視での長径が3μm以上である柱状スペーサを有さないことが好ましい。中でも、柱状スペーサを有さないことがより好ましい。本実施形態では、第一の画素Px1は、柱状スペーサ40及び遮光層50を有しない(図20及び図21参照)。
【0121】
第二の画素Px2及び第三の画素Px3において、第一のカラーフィルタ層61は、それぞれ第二の波長帯域の光又は第三の波長帯域の光を透過させるが、第二のカラーフィルタ層62は、どちらの画素でも、第一の画素Px1が有する第二のカラーフィルタ層62と同じ波長帯域の光(緑色光)を透過させるものである。色度ずれや混色を抑制するために、第二の画素Px2及び第三の画素Px3は、平面視で第二のコンタクトホール77と重畳する位置に、遮光層50を備える(図20参照)。第二の画素Px2及び第三の画素Px3はまた、液晶層20の厚みを制御しやすくするために、柱状スペーサ40を有する(図20参照)。
【0122】
(実施形態6)
本実施形態では、本実施形態に特有の特徴について主に説明し、上記実施形態1と重複する内容については説明を省略する。本実施形態は、第一のカラーフィルタ層61と画素電極92との間に平坦化層86を備えること以外は、実施形態1と実質的に同じである。
【0123】
図3は、本実施形態の一例のアクティブマトリクス基板10を備える液晶パネル1が有する画素の一部を拡大して示した平面模式図でもある。図22は、図3中のA-A’線を切断面とする断面図(A-A’線断面図)であり、第一の画素Px1の断面図に相当する。
【0124】
アクティブマトリクス基板10において、各画素Pxは、更に、第一のカラーフィルタ層61と画素電極92との間に平坦化層86を備えてもよい。第二のカラーフィルタ層62は、第一のカラーフィルタ層61と平坦化層86とを貫通している(図22参照)。本実施形態では、図22として第一の画素Px1の断面図のみ示したが、第二の画素Px2及び第三の画素Px3もまた、第一のカラーフィルタ層61と画素電極92との間に平坦化層86を備えてよい。
【0125】
第一のカラーフィルタ層61及び第二のカラーフィルタ層62は、材料の特性上、平らでない傾向があり、表面に凹凸が生じやすい。それゆえ、例えば、平坦でない第一のカラーフィルタ層61上に画素電極92が形成されると、アクティブマトリクス基板10と対向基板30とを貼り合わせた際に液晶層20の厚み(即ちセルギャップ)が不均一となり、表示品位が低下する可能性がある。だが、第一のカラーフィルタ層61と画素電極92との間に平坦化層86を有する場合には、平坦化層86が第一のカラーフィルタ層61を覆うため、画素電極92を形成する下地が平坦化され、よって表示品位の低下が充分に抑制される。
【0126】
本実施形態のアクティブマトリクス基板10を製造する場合は、実施形態1において詳述した上記(1-2)の工程によって第二のコンタクトホール77を有する第一のカラーフィルタ層61を形成した後に、平坦化層86を形成し、次いで、第二のコンタクトホール77に重なる平坦化層86にコンタクトホールを形成する。又は、上記(1-2)の工程において、第一のカラーフィルタ層61を成膜した後に、平坦化層86を形成し、その後に、フォトリソ工程により、後のコンタクトホール(第二のコンタクトホール77)となる領域に開口部を形成してもよい。このようにして平坦化層86に第二のコンタクトホール77を形成した後は、実施形態1において詳述した上記製造方法と同様にして、アクティブマトリクス基板10を作製することができる。
【0127】
(実施形態7)
本実施形態では、本実施形態に特有の特徴について主に説明し、上記実施形態1と重複する内容については説明を省略する。本実施形態は、第二のコンタクトホール77の形状が異なること以外は、実施形態1と実質的に同じである。
【0128】
図3は、本実施形態の一例のアクティブマトリクス基板10を備える液晶パネル1が有する画素の一部を拡大して示した平面模式図でもある。図23は、図3中のA-A’線を切断面とする断面図(A-A’線断面図)であり、第一の画素Px1の断面図に相当する。
【0129】
アクティブマトリクス基板10において、第一の画素Px1が備える第二のコンタクトホール77は、その側面の傾斜角度αが、支持基板110の主面に対して45°以下である。これにより、第二のコンタクトホール77内に第二のカラーフィルタ層62を充填しやすくなる。また、第二のコンタクトホール77内に配置された第二のカラーフィルタ層62が、盛り上がりにくくなるため、アクティブマトリクス基板10の表面の段差がより小さくなり、平滑性がより高まる。
【0130】
ここで、第二のコンタクトホール77の側面の傾斜角度が小さくなることによって、第二のコンタクトホール77の上面の開口面積は大きくなる。だが、本実施形態では第二のコンタクトホール77も光を透過させる領域となるため、第二のコンタクトホール77の上面の開口面積が大きくなったとしても、画素開口率を高く維持することができる。
【0131】
上記形状の第二のコンタクトホール77を形成するには、例えば、実施形態1において詳述した上記(1-2)の工程において、第一のカラーフィルタ層61を成膜した後、第一のカラーフィルタ層61上に、第二のコンタクトホール77となる開口形状を有するマスクを形成する。そして、等方性エッチング、又は、縦方向よりも横方向のエッチング速度が大きいエッチング条件によって、マスクを用いて第一のカラーフィルタ層61の一部をエッチングすることにより、第二のコンタクトホール77を形成する。エッチングには、ドライエッチング又はウエットエッチングを用いることができる。
【0132】
上記では、第一の画素Px1が備える第二のコンタクトホール77の側面の傾斜角度αについて述べたが、第二の画素Px2が備える第二のコンタクトホール77の側面の傾斜角度αが、支持基板110の主面に対して45°以下であってもよいし、第三の画素Px3が備える第二のコンタクトホール77の側面の傾斜角度αが、支持基板110の主面に対して45°以下であってもよい。
【0133】
以上、本発明の実施形態について説明したが、説明された個々の事項は、すべて本発明全般に対して適用され得るものである。
【0134】
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【0135】
(実施例1)
実施形態1に該当する液晶パネルを作製する(図1図6参照)。より具体的には、下記方法(a)に従って作製したアクティブマトリクス基板10と、下記方法(b)に従って作製した対向基板30と、を貼り合わせて液晶組成物(液晶層20)を注入した後、基板を分断して、液晶パネル1を作製する。なお、アクティブマトリクス基板10及び対向基板30の液晶層20と接する面には、それぞれ配向膜(図示せず)を配置する。
【0136】
(a)アクティブマトリクス基板10の作製方法
ガラス基板110上に導電性膜(タングステン膜、厚み50nm)を成膜し、フォトリソ工程により導電性膜を所望の形状に加工する。なお、第一の画素Px1となる領域のうち平面視で第二のコンタクトホール77を設ける部分には、導電性膜を設けないようにする。この導電性膜が、遮光膜50となる。
次に第一の絶縁膜81(SiO2(厚み100nm)/SiN(厚み70nm)の積層構造)を成膜する。
次に半導体膜85(酸化物半導体(IGZO)、厚み50nm)を成膜し、フォトリソ工程により半導体膜を所望の形状に加工する。
次にゲート絶縁膜73(SiO2、厚み85nm)を成膜する。
次に導電性膜(Ti(厚み100nm)/Al(厚み150nm)/Ti(厚み30nm)の積層構造)を成膜し、フォトリソ工程により導電性膜を所望の形状に加工する。この導電性膜が、ゲート電極72となる。
次に第二の絶縁膜82(SiO2、厚み500nm)を成膜し、フォトリソ工程により、第一のコンタクトホール76となる領域に存在する該絶縁膜82を取り除く。
次に導電性膜(Ti(厚み60nm)/Al(厚み300nm)/Ti(厚み20nm)の積層構造)を成膜し、フォトリソ工程により該導電性膜を所望の形状に加工する。この導電性膜が、ソースライン74及びソース電極75となる。
次に第一の透明電極91(IZO、厚み100nm)を成膜し、フォトリソ工程により透明電極91をパターニングする。
【0137】
次にカラーフィルタ材料(感光性樹脂膜、厚み1000nm)を成膜し、フォトリソ工程により、第二のコンタクトホール77となる領域に存在する該材料を取り除く。これを、赤色、緑色及び青色のCF材でそれぞれ行い、赤色、緑色及び青色の画素に対応する部分に、それぞれの色の第一のカラーフィルタ層61を形成する。
次に第二の透明電極92(IZO、厚み100nm)を成膜し、フォトリソ工程により透明電極92をパターニングする。この透明電極92が、画素電極となる。
次にカラーフィルタ材料(感光性樹脂膜、厚み1000nm)を成膜し、フォトリソ工程により、第二のコンタクトホール77内にのみ該材料を残すことで、第二のコンタクトホール77内を、第二のカラーフィルタ層62で充填する。
次に第三の絶縁膜83(SiN、厚み100nm)を成膜する。
次に第三の透明電極93(IZO、厚み100nm)を成膜し、フォトリソ工程により透明電極93をパターニングする。この透明電極93が、共通電極となる。
【0138】
(b)対向基板30の作製方法
ガラス基板上に遮光性樹脂膜(厚み1000nm)を成膜し、フォトリソ工程により所望の形状に加工する。その後、第三の画素Px3が備える第二のコンタクトホール77に重畳する位置に、柱状スペーサ40を作製する。
【0139】
本例の液晶パネルでは、第一の画素Px1は赤色画素であり、第二の画素Px2は緑色画素であり、第三の画素Px3は青色画素である。即ち第一の画素Px1が有する第一のカラーフィルタ層61を赤色のカラーフィルタ層61(R)とし、第二の画素Px2が有する第一のカラーフィルタ層61を緑色のカラーフィルタ層61(G)とし、第三の画素Px3が有する第一のカラーフィルタ層61を青色のカラーフィルタ層61(B)とし、これらの画素Pxが備える第二のカラーフィルタ層62を、赤色のカラーフィルタ層62(R)とする(図3図6参照)。第一の画素Px1(赤色画素)は、柱状スペーサ40及び遮光層50を有しない(図3及び図4参照)。
【0140】
(実施例2)
実施例1と同様の手順で、実施形態2に該当する液晶パネルを作製する(図9図12参照)。
【0141】
本例の液晶パネルでは、第一の画素Px1は緑色画素であり、第二の画素Px2は赤色画素であり、第三の画素Px3は青色画素である。即ち第一の画素Px1が有する第一のカラーフィルタ層61を緑色のカラーフィルタ層61(G)とし、第二の画素Px2が有する第一のカラーフィルタ層61を赤色のカラーフィルタ層61(R)とし、第三の画素Px3が有する第一のカラーフィルタ層61を青色のカラーフィルタ層61(B)とし、これらの画素Pxが備える第二のカラーフィルタ層62を、緑色のカラーフィルタ層62(G)とする(図9図12参照)。第一の画素Px1(緑色画素)は、柱状スペーサ40及び遮光層50を有しない(図9及び図11参照)。
【0142】
(実施例3)
実施例1と同様の手順で、実施形態3に該当する液晶パネルを作製する(図13図16参照)。
【0143】
本例の液晶パネルでは、第一の画素Px1は青色画素であり、第二の画素Px2は緑色画素であり、第三の画素Px3は赤色画素である。即ち第一の画素Px1が有する第一のカラーフィルタ層61を青色のカラーフィルタ層61(B)とし、第二の画素Px2が有する第一のカラーフィルタ層61を緑色のカラーフィルタ層61(G)とし、第三の画素Px3が有する第一のカラーフィルタ層61を赤色のカラーフィルタ層61(R)とし、これらの画素Pxが備える第二のカラーフィルタ層62を、青色のカラーフィルタ層62(B)とする(図13図16参照)。第一の画素Px1(青色画素)は、柱状スペーサ40及び遮光層50を有しない(図13及び図16参照)。
【0144】
(実施例4)
実施例1と同様の手順で、実施形態4に該当する液晶パネルを作製する(図17図19参照)。また、色の配置をペンタイル配置とする。柱状スペーサ40は、第三の画素Px3(緑色画素)が有する第二のコンタクトホール77に重畳する位置に作成する(図17及び図19参照)。
【0145】
本例の液晶パネルでは、第一の画素Px1及び第二の画素Px2のうち一方は赤色画素であり、他方は青色画素であり、第三の画素Px3は緑色画素である。即ち第一の画素Px1又は第二の画素Px2が有する第一のカラーフィルタ層のうち、一方のカラーフィルタ層61、611を赤色のカラーフィルタ層61(R)、611(R)とし、他方のカラーフィルタ層61、612を青色のカラーフィルタ層61(B)、612(B)とし、第三の画素Px3が有する第一のカラーフィルタ層61、611、612を緑色のカラーフィルタ層61(G)、611(G)、612(G)とし、これらの画素Pxが備える第二のカラーフィルタ層62を、赤色のカラーフィルタ層62(R)とする(図17図19参照)。第一の画素Px1及び第二の画素Px2は、柱状スペーサ40を有しない(図17及び図18参照)。また、第一の画素Px1及び第二の画素Px2のうち、カラーフィルタ層611(R)を備える画素領域では、その領域に配置される部分だけ、遮光層50が縮小されている(図18参照)。
【0146】
(実施例5)
実施例1と同様の手順で、実施形態5に該当する液晶パネルを作製する(図20及び図21参照)。但し、色の配置をペンタイル配置とする。柱状スペーサ40は、第二の画素Px2及び/又は第三の画素Px3が有する第二のコンタクトホール77に重畳する位置に作成する(図20参照)。
【0147】
本例の液晶パネルでは、第一の画素Px1は緑色画素であり、第二の画素Px2及び第三の画素Px3のうち一方は赤色画素であり、他方は青色画素である。即ち第一の画素Px1が有する第一のカラーフィルタ層61、611、612を緑色のカラーフィルタ層61(G)、611(G)、612(G)とし、第二の画素Px2又は第三の画素Px3が有する第一のカラーフィルタ層のうち、一方のカラーフィルタ層61、611を赤色のカラーフィルタ層61(R)とし、他方のカラーフィルタ層61を青色のカラーフィルタ層61(B)とし、これらの画素Pxが備える第二のカラーフィルタ層62を、緑色のカラーフィルタ層62(G)とする(図20及び図21参照)。第一の画素Px1(緑色画素)は、柱状スペーサ40及び遮光層50を有しない(図20及び図21参照)。
【0148】
実施例1~5の液晶パネルでは、第一の画素Px1の開口率が高く(実施例4の液晶パネルでは第一の画素Px1又は第二の画素Px2のいずれかの開口率が高く)、かつ表示の色味変化が充分に抑制されることで、画素の表示品位が向上される。中でも、実施例1~3の液晶パネルでは、遮光層50が島状に分断されるため、静電気放電不良が発生する可能性は充分に低いと考えられる。
【0149】
以上に示した本発明の各態様は、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜組み合わされてもよい。
【符号の説明】
【0150】
1 :液晶パネル
2 :バックライト
10、10R:アクティブマトリクス基板
20 :液晶層
30 :対向基板
40 :柱状スペーサ
50 :遮光層
61、611、612、62:カラーフィルタ層
71 :ゲートライン
72 :ゲート電極
73 :ゲート絶縁膜
74 :ソースライン
75 :ソース電極
76、77 :コンタクトホール
81、82、83:絶縁膜
85 :半導体膜
86 :平坦化層
91、92、93:透明電極
100 :液晶表示装置
100X :ヘッドマウントディスプレイ
110 :支持基板
AA :表示部
Px、Px1、Px2、Px3:画素
X、Y :画素配列部
α :支持基板110の主面に対する、コンタクトホール77の側面の傾斜角度


図1
図2
図3
図4
図5
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図9
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