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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024124831
(43)【公開日】2024-09-13
(54)【発明の名称】物品管理システム
(51)【国際特許分類】
   B65G 1/137 20060101AFI20240906BHJP
【FI】
B65G1/137 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023032769
(22)【出願日】2023-03-03
(71)【出願人】
【識別番号】398040158
【氏名又は名称】株式会社ビジュアルジャパン
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100115048
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】山田 徳廣
【テーマコード(参考)】
3F522
【Fターム(参考)】
3F522AA01
3F522BB01
3F522CC09
3F522DD03
3F522DD22
3F522DD29
3F522DD32
3F522DD33
3F522EE02
3F522EE03
3F522EE15
3F522FF02
3F522FF03
3F522FF12
3F522FF17
3F522KK05
3F522LL36
3F522LL59
(57)【要約】
【課題】棚における物品の詳細な位置を特定することができる物品管理システムを提供する。
【解決手段】物品管理システム100は、無線タグ13を備えた物品が陳列される棚10に設けられるとともに、当該棚10の位置に関する情報及び当該棚における自己の位置に関する情報が格納された無線タグ11と、を備えている。さらに、物品管理システム100は、無線タグ13及び無線タグ11からの情報を取得する複数のアンテナ22と、アンテナ22を移動させる移動部21と、一定速度で移動部21を棚10に沿って移動させる制御部24と、を有する物品情報取得装置20を備えている。そして、制御部24は、物品情報取得装置20が取得した情報に基づいて物品の位置を特定する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1無線タグを備えた物品が収容される棚に設けられるとともに、当該棚の位置に関する情報及び当該棚における自己の位置に関する情報が格納された第2無線タグと、
前記第1無線タグ及び前記第2無線タグからの情報を取得する複数のアンテナと、前記アンテナを移動させる移動部と、前記移動部を一定速度で前記棚に沿って移動させる制御部と、を有する物品情報取得装置と、
前記物品情報取得装置が取得した情報に基づいて前記物品の位置を特定する特定部と、
を備えることを特徴とする物品管理システム。
【請求項2】
前記第2無線タグは、前記棚の鉛直方向に沿って複数設けられており、
前記複数のアンテナ及び複数の前記第2無線タグは、設けられる数が同じであって、対になる前記アンテナと前記第2無線タグとは鉛直方向の位置が同じであることを特徴とする請求項1に記載の物品管理システム。
【請求項3】
また、前記第2無線タグは、前記棚を構成する複数の棚板のうち、1つおきに設けられていることを特徴とする請求項1に記載の物品管理システム。
【請求項4】
前記特定部は、前記第1無線タグ及び前記第2無線タグからの電波強度に基づいて、前記物品の前記棚における鉛直方向及び水平方向の位置を特定することを特徴とする請求項1に記載の物品管理システム。
【請求項5】
前記第2無線タグには、次に移動すべき棚に関する情報が格納されており、
前記制御部は、前記次に移動すべき棚に関する情報に基づいて前記移動部を制御することを特徴とする請求項1に記載の物品管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、棚における物品の管理をする物品管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えばRFID(Radio Frequency Identification)などの技術を使用して、棚などに収容した物品の位置を特定することは行われている。
【0003】
例えば、特許文献1には、各棚の識別情報を有する位置情報タグが棚に貼り付けられ、最大の電波強度が検出された位置データから特定される棚を商品が収納されている棚と特定することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第5122245号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の発明は、物品がどの棚にあるかは特定できるが、何段目のどの位置あるかといった詳細な位置までは特定できない。そのため、例えば棚卸等の際に詳細な位置の特定が必要な場合は人手で行う必要があった。
【0006】
本発明は、上記のような問題点を解決しようとするものであり、棚における物品の詳細な位置を特定することができる物品管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するためになされた請求項1に記載された発明は、第1無線タグを備えた物品が収容される棚に設けられるとともに、当該棚の位置に関する情報及び当該棚における自己の位置に関する情報が格納された第2無線タグと、前記第1無線タグ及び前記第2無線タグからの情報を取得する複数のアンテナと、前記アンテナを移動させる移動部と、前記移動部を一定速度で前記棚に沿って移動させる制御部と、を有する物品情報取得装置と、前記物品情報取得装置が取得した情報に基づいて前記物品の位置を特定する特定部と、を備えることを特徴とする物品管理システムである。
【発明の効果】
【0008】
以上説明したように本発明によれば、物品情報取得装置が移動しながら複数アンテナにより物品が備えた第1無線タグ及び棚に設けられた第2無線タグからの情報を取得し、特定部が、取得した情報に基づいて物品の位置を特定するので、物品の棚における詳細な位置を特定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態にかかる物品管理システムの概略構成図(側方から見た図)である。
図2】本発明の一実施形態にかかる物品管理システムの概略構成図(正面から見た図)である。
図3図1に示された情報取得装置の機能的構成図である。
図4図1に示された物品管理システムにおける位置特定についての説明図である。
図5】アンテナで取得された各種情報を集計した表である。
図6図1に示された物品管理システムにおける位置特定についての説明図である。
図7図1に示された情報取得装置の移動制御についての説明図である。
図8図1に示された情報取得装置の移動動作のフローチャートである。
図9図1に示された情報取得装置の位置特定動作のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の一実施形態にかかる物品管理システムを図1図9を参照して説明する。図1及び図2は、本発明の一実施形態にかかる物品管理システムの概略構成図であり、図1は、棚を側方から見た図、図2は棚を正面から見た図である。
【0011】
物品管理システム100は、物品が収容される棚10と、棚10に設けられた無線タグ11及び物品に取り付けられた無線タグから情報を読み取り、物品位置の特定を行う物品情報取得装置20と、を備えている。
【0012】
棚10は、木材や合成樹脂、ガラス等の非金属材料から構成され、棚板12として棚板12a~12fを備えている。つまり、棚10は6段の収容スペースを有している。また、棚板12fは、他の棚板よりも手前方向(図1では左側)に延長され、延長部分にも物品が載置可能となっている。このような棚は例えば書店に設置される書棚が挙げられる。
【0013】
棚10には、無線タグ11が設けられている。無線タグ11は、棚板12の背板に接しない側(後述する情報取得装置20と相対する側)の端部の水平方向中央部に設けられている(図2も参照)。無線タグ11は、棚板12a、12c、12dのみに設けられている。つまり、無線タグ11は複数の棚板の1段おき(1つおき)に設けられている。
【0014】
無線タグ11は、棚10の位置および自己が設置された位置(何段目か)に関する情報が格納されている。棚10の位置は、緯度経度といった情報に限らず、右から何番目といった基準となる位置からの相対的な位置でもよいし、第〇番棚といった棚毎に付与される識別情報であってもよい。
【0015】
また、自己が設置された位置に関する情報は、図1の場合であれば、棚板12aに設けられた無線タグ11aは上から1段目、棚板12cに設けられた無線タグ11bは上から3段目、棚板12eに設けられた無線タグ11cは上から5段目などとなる。即ち、無線タグ11は、棚10に設けられるとともに、当該棚10の位置に関する情報及び当該棚における自己の位置に関する情報が格納された第2無線タグとして機能する。
【0016】
また、図2に示したように、棚10は複数が並べて配置されている。図2では、棚10a、10b、10cが表示されている。
【0017】
情報取得装置20は、移動部21と、アンテナ22と、を備えている。移動部21は、箱体21aと、箱体21aの底面に取り付けられた4つのローラ21bと、ローラ21bを駆動するローラモータ25(図3を参照)と、を備えている。このローラ21bが回転することにより、箱体21aが床面等の水平方向に沿って移動する。即ち、移動部21は、アンテナ22を移動させる。図2の例では、情報取得装置20は棚10aから棚10cに向かって移動している。
【0018】
また、移動部21は、箱体21aに取り付けられた鉛直方向に延びる支持柱21cを備えている。支持柱21cは、その下端が箱体21aの側面に固定されている。支持柱21cが固定される箱体21aの側面は、ローラ21bの回転軸方向に対向する一対の側面のうち一方である。
【0019】
アンテナ22は、支持柱21cに複数設けられている。アンテナ22は、電波を照射してRFID方式により無線タグ(ICタグ、RFタグともいう)から情報を読み取る。アンテナ22は、棚10内に収容された物品に取り付けられた無線タグや棚11に設けられた無線タグ11と通信して情報を読み取る。アンテナ22で取得した無線タグの情報や電波強度等は後述する制御部24に出力される。
【0020】
また、本実施形態では、アンテナ22は、図1図2に示したように、アンテナ22a、22b、22cの3つ設けられている。3つのアンテナ22a、22b、22cは、鉛直方向(高さ方向)に沿って支持柱21cに設けられている。そして、3つのアンテナ22a、22b、22cの鉛直方向の位置(高さ)は、無線タグ11a、11b、11cの鉛直方向の位置(高さ)と合うように支持柱21cに設けられている。
【0021】
つまり、アンテナ22aの鉛直方向の位置と無線タグ11aの鉛直方向の位置が略一致し、アンテナ22bの鉛直方向の位置と無線タグ11bの鉛直方向の位置が略一致し、アンテナ22cの鉛直方向の位置と無線タグ11cの鉛直方向の位置が略一致する。即ち、対になるアンテナと第2無線タグとは鉛直方向の位置が同じであって、対になるアンテナ22と無線タグ11とは鉛直方向の位置が同じである。
【0022】
なお、上記したようにアンテナ22は支持柱21cに固定されるが、ねじ止め等として、アンテナ22と無線タグ11との位置を合わせるためにアンテナ22の鉛直方向位置を調整可能とするのが好ましい。
【0023】
次に、情報取得装置20の機能的構成を図3に示す。情報取得装置20は、上述したアンテナ22とローラモータ25に加えて、距離センサ23と、制御部24と、を備えている。
【0024】
距離センサ23は、箱体21aの底面等に取り付けられている。本実施形態では、距離センサ23は、例えば、支持柱21c側に設けて棚10との距離を検出し、情報取得装置20と棚10との間を一定に保つために利用される。図1においては、アンテナ22と無線タグ11との間隔を距離Lで一定となるようにする。また、距離センサ23は、支持柱21cとは逆側にも設けて別の列の棚10等との距離を検出してもよい。
【0025】
制御部24は、例えば周知のマイクロコンピュータ等から構成され、情報取得装置20の移動や後述する物品の位置推定等の情報取得装置20全体の制御を司る。
【0026】
次に、上述した構成の物品管理システム100における物品の位置特定について図4図6を参照して説明する。まず、図4及び図5を参照して鉛直方向の位置の特定方法について説明する。図4は、図1に物品やアンテナ22からの電波の照射のイメージ(網掛け)等を追加した図である。図4においては、棚板12aに物品Aが載置され、棚板12bに物品Bが載置され、棚板12cに物品Cが載置され、棚板12dに物品Dが載置され、棚板12eに物品Eが載置され、棚板12fに物品Fが載置されている。そして、各物品A~Fは、それぞれ無線タグ13が取り付けられている。これらの無線タグ13は、物品に関する情報、例えば物品が書籍の場合は書籍コード等が格納されている。即ち、無線タグ13は、第1無線タグとして機能する。
【0027】
ここで、各アンテナ22は、無線タグ11及び無線タグ13から各種情報及び情報を読み取った際の電波強度を取得する。この取得は一定時間間隔で行い、取得した情報(データ)を例えば図5に示すように集計する。図5の表は、取得時間と、アンテナ(ANT)と、商品コード(CD)と、棚ロケーションと、POWERと、からなる。
【0028】
取得時間は、当該データが取得された時間を示す。アンテナは、どのアンテナで取得されたかを示す。図5においては、アンテナ22aは“a”、アンテナ22bは“b”、アンテナ22cは“c”としている。商品コードは、取得した物品に関する情報に含まれる当該物品を識別できる情報である。棚ロケーションは、同じ行の情報を取得した際に同時に受信した無線タグ11a~11cを示す。図5においては、無線タグ11aは“a”、無線タグ11bは“b”、無線タグ11cは“c”としている。POWERは、商品コード等の情報を読み取った際の無線タグ13からの電波強度を示す。
【0029】
そして、この集計表に基づいて商品コードの示すPOWERが最も大きいデータから物品ごとに収容されている段を特定する。例えば物品Bの場合、アンテナ22aとアンテナ22bとで商品コードが受信されている。そして、POWER(電波強度)は、アンテナ22aでは“7”、アンテナ22bでは“6”となっており、棚ロケーションはいずれも無線タグ11aである。
【0030】
棚ロケーションが無線タグ11aであることから、上から1段目か2段目のいずれかと推測できるが、上から1段目の場合、アンテナ22bでは無線タグ13からの情報を受信できない可能性が高く、受信できたとしても電波強度がアンテナ22aと近い値にならないと考えられる。一方、上から2段目は、アンテナ22a、22bのいずれからも十分に受信可能であり、電波強度に大きな差が生じないと考えられる。したがって、図5のような情報が得られた場合、物品Bは上から2段目にあると特定する。
【0031】
同様に、例えば物品Cの場合は、アンテナ22a~アンテナ22cで商品コードが受信されている。そして、POWER(電波強度)は、アンテナ22aでは“5”、アンテナ22bでは“7”、アンテナ22cでは“5”となっており、棚ロケーションはいずれも無線タグ11bである。
【0032】
棚ロケーションが無線タグ11bであることから、上から3段目か4段目のいずれかと推測できる。ここで、電波強度がアンテナ22bが最も強く、アンテナ22a、22cは同じであることから物品Cは上から3段目にあると特定する。
【0033】
なお、電波強度から物品までの距離を求めて、その距離に基づいて何段目にあるかを特定してもよい。例えば、棚ロケーションからおおよその段を推測し、おおよその段のうち複数のアンテナからの距離が当てはまる段を物品が位置する段とする。図4の物品Bの場合で説明すると、電波強度から物品Bとアンテナ11a間の距離が50cmで、電波強度から物品Bとアンテナ11b間の距離が55cmとすると、1段目と2段目のうち、算出した距離の条件に合致するのは2段目と推測する。
【0034】
次に、図6を参照して水平方向の位置の推定方法について説明する。図6は、図2に物品や電波の照射のイメージ等を追加した図である。図6において物品A~Fの配置は図4と同じである。
【0035】
本実施形態において、情報取得装置20は棚10と一定間隔を保って一定速度で移動する。即ち、制御部24は、移動部21を一定速度で棚10に沿って移動させる。そして、各アンテナ22は、上述したように一定時間間隔で無線タグ11及び無線タグ13から各種情報及び電波強度を取得している。
【0036】
ここで、無線タグ11は、上述したように、棚10の水平方向中央部に設けられている。つまり、無線タグ11からの電波強度が最大になる位置は棚10の水平方向(横方向)中央部となる。一方、位置特定の対象となる物品の無線タグ13の電波強度が最大になる位置が無線タグ11の電波強度が最大になる位置よりも時間的に前であった場合は、図2の矢印で記載した移動方向から、当該物品の位置は棚10に向かって左寄りであるといえる。他方、位置推定の対象となる物品の無線タグ13の電波強度が最大になる位置が無線タグ11の電波強度が最大になる位置よりも時間的に後であった場合は、図2の矢印で記載した移動方向から、当該物品の位置は棚10に向かって右寄りであるといえる。
【0037】
ここで、情報取得装置20は棚10と一定間隔Lで、かつ、一定速度で移動し、データの取得間隔も一定であるので、これらの情報と棚の位置と電波強度との関係を式やテーブル等としておけば、さらに詳細な位置まで特定可能となる。つまり、無線タグ11と無線タグ13の電波強度の時間的変化に基づいて水平位置を特定している。
【0038】
次に、情報取得装置20が複数の棚10を順番に回って物品に関する情報や電波強度等取得する方法について図7を参照して説明する。図7は、例えば店舗や倉庫等において、棚10が複数配置された状態を上方から見た図である。
【0039】
図7では、情報取得装置20をスタート位置P1に配置させた後、棚10の列に沿って移動させ、その列の一番端の棚10に到達すると、棚10の側面に沿って180度回転させた後、裏側の棚10の列に沿って移動させる。そして、裏側の棚10の一番端に到達すると、再び180度回転させた後、向かいの棚10の列に沿って移動させる。そして、最後の棚10(エンド位置P2)に到達すると、情報取得装置20を停止させる。
【0040】
このような動作をさせるため、本実施形態では、一番端の棚10に取り付けられる無線タグ11Xには、180度回転を指示する回転情報が格納されている。また、最後の棚10に取り付けられる無線タグ11Yには、停止情報が格納されている。その他の棚10に取り付けられる無線タグ11には、棚10に沿った移動(直進)を指示する通常移動情報が格納されている。情報取得装置20は、無線タグ11を読み取った際に、得られた情報に従って移動する。即ち、上記した、回転情報、停止情報、通常移動情報は、次に移動すべき棚に関する情報となる。
【0041】
上述した情報取得装置20の動作を図8のフローチャートにまとめる。まず、ユーザ等が、スタート位置P1に情報取得装置20を配置した後、図示しないスタートボタン等を操作する。すると、情報取得装置20は動作を開始する。制御部24は、まずローラモータ25を駆動してローラ21bを回転させ、情報取得装置20を棚10に沿って移動させる(ステップS11)。このとき、制御部24は、距離センサ23が検出した棚10との距離が同じになるように移動させる。そして、無線タグ11、13の読み取りが行われる(ステップS12)。無線タグ11、13の読み取りにより物品に関する情報や電波強度に加えて、上記した回転情報、停止情報及び通常移動情報のいずれかが取得される。
【0042】
次に、制御部24は、ステップS12で読み取った情報等に通常移動情報が含まれていた場合は(ステップS13でY)、再びステップS11に戻る。一方、回転移動情報が含まれていた場合は(ステップS13でN、ステップS14でY)、制御部24は、ローラモータ25を制御して情報取得装置20を回転させた後(ステップS15)、ステップS11に戻る。さらに、停止情報が含まれていた場合は(ステップS13でN、ステップS14でN、ステップS16でY)、制御部24は、ローラモータ25を制御して情報取得装置20を停止させて(ステップS17)、処理を終了する。停止情報も含まれていない場合は(ステップS16でN)、制御部24は、ステップS12に戻る。
【0043】
通常移動情報、回転情報、停止情報のいずれも含まれない場合とは、例えば隣接する棚の境界であって、無線タグ11からの情報が読み取れなかった場合等が挙げられる。
以上説明したように、制御部24は、次に移動すべき棚に関する情報に基づいて移動部21を制御している。
【0044】
次に、上述した物品位置の特定動作を図9のフローチャートにまとめる。このフローチャートは、例えば図7のエンド位置P2に到着した後に実行すればよい。また、図9のフローチャートは制御部24で実行するに限らず、例えば、外部サーバ等(不図示)にて実行してもよい。外部サーバへは、制御部24から無線又は有線の通信により電波強度等の必要となる情報を送信してもよいし、メモリカード等の記録媒体を利用してもよい。
【0045】
図9のフローチャートにおいては、まず、制御部24は、アンテナ22から無線タグ11、13から読み取った物品に関する情報(物品情報)及び電波強度を取得する(ステップS21)。そして、制御部24は、図4図6で説明した方法により垂直方向の位置を特定する(ステップS22)。そして、制御部24は、上述した無線タグ11の電波強度の時間的変化と無線タグ13の電波強度の時間的変化に基づいて水平位置を特定する(ステップS23)。即ち、制御部24は、物品情報取得装置20が取得した情報に基づいて物品の位置を特定する特定部として機能する。
【0046】
以上説明した本実施形態によれば、物品管理システム100は、無線タグ13を備えた物品が収容される棚10に設けられるとともに、当該棚10の位置に関する情報及び当該棚における自己の位置に関する情報が格納された無線タグ11と、を備えている。さらに、物品管理システム100は、無線タグ13及び無線タグ11からの情報を取得する複数のアンテナ22と、アンテナ22を移動させる移動部21と、一定速度で移動部21を棚10に沿って移動させる制御部24と、を有する物品情報取得装置20を備えている。そして、制御部24は、物品情報取得装置20が取得した情報に基づいて物品の位置を特定する。
【0047】
物品管理システム100が、上記のように構成されることで、物品情報取得装置20が移動しながら複数のアンテナ22により物品が備えた無線タグ13及び棚10に設けられた無線タグ11からの情報を取得することができ、制御部24が、取得した情報に基づいて物品の位置を特定できるので、物品の棚における詳細な位置を特定することができる。
【0048】
また、無線タグ11は、棚10の鉛直方向に沿って複数設けられており、複数のアンテナ22及び複数の無線タグ11は、設けられる数が同じであって、対になるアンテナ22と無線タグ11とは鉛直方向の位置が同じとなっている。このようにすることにより、対(ペア)となるアンテナと無線タグができるため、ペアとならない無線タグからの電波強度とは差がより明確になり、位置特定が行い易くなる。
【0049】
また、無線タグ11は、棚10を構成する複数の棚板12のうち、1つおきに設けられているので、棚10における電波の強さに濃淡をつけることができ、電波強度により位置特定を行い易くすることができる。
【0050】
また、制御部24は、無線タグ11及び無線タグ11からの電波強度に基づいて物品の棚10における鉛直方向及び水平方向の位置を特定するので、カメラ等で撮像した物品画像等を画像処理で特定するのに比較して、データ量も少なくて済み、簡易な処理で位置を特定することができる。
【0051】
また、無線タグ11には、次に移動すべき棚10に関する情報が格納されており、制御部24は、次に移動すべき棚10に関する情報に基づいて移動部21を制御するので、例えば、床面に磁気テープ等を張って経路を示すことなく物品情報取得装置20を移動させることが可能となる。
【0052】
なお、上述した実施形態では、物品位置の特定までを行っていたが、このシステムで特定した位置と、読み取った物品に関する情報に基づいて在庫管理をすることも可能である。例えば読み取った商品コード(書籍コード等)に基づいて各棚10の在庫数等を確認することができる。
【0053】
また、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。即ち、当業者は、従来公知の知見に従い、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。かかる変形によってもなお本発明の物品管理システムの構成を具備する限り、勿論、本発明の範疇に含まれるものである。
【符号の説明】
【0054】
10 棚
11 無線タグ(第2無線タグ)
12 棚板
13 無線タグ(第1無線タグ)
20 物品情報取得装置
21 移動部
22 アンテナ
24 制御部(特定部)
100 物品管理システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9