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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024124833
(43)【公開日】2024-09-13
(54)【発明の名称】冷蔵庫
(51)【国際特許分類】
   F25D 29/00 20060101AFI20240906BHJP
   F25D 23/00 20060101ALI20240906BHJP
【FI】
F25D29/00 Z
F25D23/00 301R
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023032774
(22)【出願日】2023-03-03
(71)【出願人】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】弁理士法人サトー
(72)【発明者】
【氏名】松山 健一
【テーマコード(参考)】
3L045
3L345
【Fターム(参考)】
3L045AA07
3L045BA01
3L045CA02
3L045PA04
3L345AA02
3L345AA14
3L345AA26
3L345HH38
3L345KK04
(57)【要約】
【課題】本実施形態は、例えばブザーなどといった音出力装置を備える冷蔵庫について、当該音出力装置から出力される音を使用者に聞こえやすくできるようにした構成例を提供する。
【解決手段】本実施形態に係る冷蔵庫は、音を出力する音出力装置と、前記音出力装置が収容される収容部と、前記収容部内を、前記音出力装置が配置される第1領域と、前記音出力装置に接続される配線が引き出される第2領域と、に仕切る仕切壁部と、を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
音を出力する音出力装置と、
前記音出力装置が収容される収容部と、
前記収容部内を、前記音出力装置が配置される第1領域と、前記音出力装置に接続される配線が引き出される第2領域と、に仕切る仕切壁部と、
を備える冷蔵庫。
【請求項2】
前記収容部は、
前記音出力装置が音を出力する方向において当該音出力装置に対向する対向壁部と、
前記対向壁部に設けられ、前記音出力装置が出力する音を前記収容部外に案内する方向に傾斜する傾斜部と、
を備える請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項3】
前記仕切壁部は、前記第1領域に配置される前記音出力装置の向きが、前記対向壁部に向けて音を出力する向きとなるように規制する規制部を備える請求項2に記載の冷蔵庫。
【請求項4】
前記仕切壁部の上端は、前記音出力装置の上端よりも高い請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項5】
貯蔵室を開閉する貯蔵室扉を備え、
前記音出力装置は、前記貯蔵室扉の上部に備えられている請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項6】
貯蔵室を形成する断熱箱体と、前記貯蔵室を開閉する貯蔵室扉と、を有する冷蔵庫本体部を備え、
前記音出力装置は、前記冷蔵庫本体部の前部に備えられている請求項1に記載の冷蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、冷蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1に開示されている冷蔵庫は、音を出力するブザーを備えており、貯蔵室扉が開いている状態で所定時間が経過すると、ブザーから警告音を出力するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-139526号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この種の冷蔵庫において、ブザーは、例えば断熱箱体の上面部や貯蔵室扉の後面部などといった目立ちにくい部位に備えられており、ブザーにより冷蔵庫全体としての外観が損なわれてしまうことを回避するようにしている。しかしながら、このような目立ちにくい部位においてブザーから音を出力する構成では、その音が使用者に聞こえにくくなってしまう。
【0005】
本実施形態は、例えばブザーなどといった音出力装置を備える冷蔵庫について、当該音出力装置から出力される音を使用者に聞こえやすくできるようにした構成例を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本実施形態に係る冷蔵庫は、音を出力する音出力装置と、前記音出力装置が収容される収容部と、前記収容部内を、前記音出力装置が配置される第1領域と、前記音出力装置に接続される配線が引き出される第2領域と、に仕切る仕切壁部と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本実施形態に係る冷蔵庫の構成例を概略的に示す正面図
図2】本実施形態に係るブザー装置およびその周辺部分の構成例を後方上部から概略的に示す斜視図
図3】本実施形態に係るブザー装置およびその周辺部分の構成例を概略的に示す平面図
図4】本実施形態に係るブザー装置およびその周辺部分の構成例を概略的に示す背面図
図5】本実施形態に係る収容ケースおよびその周辺部分の構成例を後方上部から概略的に示す斜視図
図6】本実施形態に係る仕切壁部の構成例を詳細に説明するための平面図
図7】本実施形態に係る収容ケースにカバー部材が取り付けられた状態例を後方上部から概略的に示す斜視図
図8】本実施形態に係るブザー装置およびその周辺部分の構成例を概略的に示す縦断側面図
図9】本実施形態の変形例に係るブザー装置およびその周辺部分の構成例を概略的に示す縦断面図(その1)
図10】本実施形態の変形例に係るブザー装置およびその周辺部分の構成例を概略的に示す縦断面図(その2)
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、冷蔵庫に係る一実施形態について図面を参照しながら説明する。図1に例示する冷蔵庫10は、その外郭を構成する矩形箱状の断熱箱体11の内部に複数の貯蔵室12,13,14,15,16を形成している。貯蔵室12,13,14,15,16の内部には、例えば食品類などといった各種の貯蔵物を貯蔵することが可能である。詳しい図示は省略するが、断熱箱体11は、内箱と外箱との間に断熱材を備えた構成である。断熱箱体11を構成する断熱材としては、例えば、真空断熱パネル、発泡ウレタン、断熱性材料を成形した断熱成形体などといった種々の断熱材を適用することができる。
【0009】
貯蔵室12は、この場合、冷蔵温度帯に維持される冷蔵室である。以下、貯蔵室12を「冷蔵室12」と称する場合がある。貯蔵室13は、この場合、冷蔵温度帯に維持される野菜室である。以下、貯蔵室13を「野菜室13」と称する場合がある。貯蔵室14は、この場合、冷凍温度帯に維持される製氷室である。以下、貯蔵室14を「製氷室14」と称する場合がある。貯蔵室15は、この場合、冷凍温度帯に維持される小冷凍室である。以下、貯蔵室15を「小冷凍室15」と称する場合がある。貯蔵室16は、この場合、冷凍温度帯に維持される大冷凍室である。以下、貯蔵室16を「大冷凍室16」と称する場合がある。
【0010】
冷蔵室12は、冷蔵庫10が備える複数の貯蔵室12,13,14,15,16のうち最も上部に設けられた貯蔵室となっている。野菜室13は、この冷蔵室12の下側に設けられており、且つ、断熱箱体11の上下方向における概ね中央部に位置して設けられている。製氷室14と小冷凍室15は、この野菜室13の下側に設けられており、且つ、断熱箱体11内において冷蔵庫10の横方向に沿って並んでいる。大冷凍室16は、断熱箱体11内において製氷室14および小冷凍室15の下側に設けられている。大冷凍室16は、冷蔵庫10が備える複数の貯蔵室12,13,14,15,16のうち最も下部に設けられた貯蔵室となっている。
【0011】
冷蔵室12は、その前面に矩形状の開口部を有する。冷蔵室12の前面開口部は、左右方向に回動可能である貯蔵室扉、いわゆる回動式の1つの冷蔵室扉12Dによって開閉されるようになっている。野菜室13は、その前面に矩形状の開口部を有する。野菜室13の前面開口部は、前後方向に移動可能である貯蔵室扉、いわゆる引き出し式の野菜室扉13Dによって開閉されるようになっている。製氷室14は、その前面に矩形状の開口部を有する。製氷室14の前面開口部は、前後方向に移動可能である貯蔵室扉、いわゆる引き出し式の製氷室扉14Dによって開閉されるようになっている。小冷凍室15は、その前面に矩形状の開口部を有する。小冷凍室15の前面開口部は、前後方向に移動可能である貯蔵室扉、いわゆる引き出し式の小冷凍室扉15Dによって開閉されるようになっている。大冷凍室16は、その前面に開口部を有する。大冷凍室16の前面開口部は、前後方向に移動可能である貯蔵室扉、いわゆる引き出し式の大冷凍室扉16Dによって開閉されるようになっている。冷蔵室扉12D、野菜室扉13D、製氷室扉14D、小冷凍室扉15D、大冷凍室扉16Dは、何れも、貯蔵室の開口部を開閉する貯蔵室扉の一例である。
【0012】
冷蔵庫10は、複数の貯蔵室12,13,14,15,16を形成する断熱箱体11と、複数の貯蔵室12,13,14,15,16をそれぞれ開閉する複数の貯蔵室扉12D,13D,14D,15D,16Dと、により冷蔵庫本体部10Aを構成している。冷蔵室扉12Dは、この場合、冷蔵庫10の正面側から見て右端部が回動軸となっている。よって、冷蔵室扉12Dは、冷蔵室12の前面開口部を閉じた閉状態において、右端部となる部分が回動基端となり、左端部となる部分が回動自由端となる。
【0013】
冷蔵庫10は、音出力装置の一例であるブザー装置100を備えている。次に、このブザー装置100およびその周辺部分の構成例について詳細に説明する。なお、説明の便宜上、前後方向および左右方向は、冷蔵室扉12Dが冷蔵室12の前面開口部を閉じた閉状態における前後方向および左右方向であるものとして説明する。
【0014】
ブザー装置100は、例えば警告音などといった所定の音を出力可能に構成されている音出力装置の一例である。冷蔵庫10は、この場合、冷蔵室扉12Dにブザー装置100を備えている。即ち、冷蔵庫10は、冷蔵庫本体部10Aの前部を構成する冷蔵室扉12Dにブザー装置100を備えている。ブザー装置100は、冷蔵室扉12Dが冷蔵室12の前面開口部を閉じた閉状態において、当該冷蔵室扉12Dの後面となる部位に備えられている。ブザー装置100は、冷蔵室扉12Dの上端部に備えられている。なお、ブザー装置100は、冷蔵室扉12Dのうち上下方向における中央部よりも上側となる部位に備えられることが好ましいが、冷蔵室扉12Dのうち上下方向における中央部よりも下側となる部位に備えられていてもよい。
【0015】
図2から図4に例示するように、ブザー装置100は、左右方向に長い矩形板状のブザー基板101に実装されている。ブザー基板101には、コネクタ102も実装されている。ブザー装置100およびコネクタ102は、何れも、ブザー基板101の一面、この場合、前面に実装されている。即ち、ブザー装置100およびコネクタ102は、ブザー基板101の同一面に実装されている。この場合、ブザー装置100は、ブザー基板101の上下方向および左右方向における概ね中央部に実装されている。コネクタ102は、ブザー基板101の上下方向における概ね中央部であって、且つ、ブザー装置100よりも右側に実装されている。ブザー装置100は、音を出力する出力面100aを備えている。出力面100aは、ブザー装置100のうちブザー基板101とは反対側の部分に設けられている。
【0016】
冷蔵室扉12Dの上端部の後面側には、収容部の一例である収容ケース200が設けられている。ブザー装置100は、その全体が当該収容ケース200内に収容されている。収容ケース200は、左右方向に長い概ね矩形状に形成されており、その上面および後面が開放されている。収容ケース200は、対向壁部201、左壁部202、右壁部203、底壁部204を有する。対向壁部201は、冷蔵室扉12Dが冷蔵室12の前面開口部を閉じた閉状態において、冷蔵庫10全体としての前面側に位置する。左壁部202および右壁部203は、冷蔵室扉12Dが冷蔵室12の前面開口部を閉じた閉状態において、対向壁部201の左右の両端部からそれぞれ後方に延伸する。底壁部204は、冷蔵室扉12Dが冷蔵室12の前面開口部を閉じた閉状態において、対向壁部201の下端部から後方に延伸する。底壁部204は、左壁部202の下端部と右壁部203の下端部との間において左右方向に延伸する。
【0017】
収容ケース200内には、仕切壁部210が設けられている。仕切壁部210は、収容ケース200内をブザー領域R1と配線類領域R2とに仕切っている。換言すれば、ブザー領域R1および配線類領域R2は、仕切壁部210により隔てられている。この場合、ブザー領域R1は、仕切壁部210よりも左側の領域として形成されており、配線類領域R2は、仕切壁部210よりも右側の領域として形成されている。ブザー領域R1は、第1領域の一例であり、ブザー装置100が配置される領域である。配線類領域R2は、第2領域の一例であり、ブザー装置100に接続される各種の配線類230やスポンジ231などが配置される領域である。
【0018】
配線類230は、冷蔵室扉12D内において発泡断熱材の原液が充填される領域から収容ケース200内に延びてブザー装置100に接続されるものであり、例えば信号線や電源線などといった配線を含む。信号線は、冷蔵庫10の動作全般を制御する図示しない制御装置とブザー装置100との間における制御信号の伝達用の配線である。制御装置は、例えば冷蔵室扉12Dが開いている状態で所定時間が経過すると、この信号線を介してブザー装置100に音出力指令信号を伝達する。ブザー装置100は、制御装置から信号線を介して音出力指令信号を受信すると、所定の警告音を出力する。電源線は、冷蔵庫10が備える図示しない電源系統からブザー装置100への電力の供給用の配線である。ブザー装置100は、電源線を介して供給される電力により所定の警告音を出力可能に構成されている。スポンジ231は、冷蔵室扉12D内に充填される発泡断熱材の原液が配線類領域R2内、ひいては、収容ケース200内に流出することを抑制する流出抑制部としての機能を有する部材である。スポンジ231は、例えば多孔質体や弾性体などといった音を吸収可能な材料で構成される部材でもある。
【0019】
仕切壁部210は、前後方向壁部211および左右方向壁部212を一体に備えている。前後方向壁部211および左右方向壁部212の高さは、概ね或いは完全に同じ高さである。
【0020】
前後方向壁部211は、収容ケース200内のうち左右方向における概ね中央部において前後方向に延びている。前後方向壁部211は、前側部211a、後側部211b、右側支持部211cを一体に備えている。前側部211aは、収容ケース200の対向壁部201から後方に延びている。後側部211bは、前側部211aよりも後側において当該前側部211aよりも若干左側にずれた位置に設けられている。右側支持部211cは、前側部211aと後側部211bとの間において左右方向おける一方向、この場合、右方向に矩形状に突出している。
【0021】
右側支持部211cの右壁部には、上下方向に延びるスリット211dが形成されている。配線類領域R2内から引き出される配線類230は、このスリット211dを通過してブザー装置100のコネクタ102に接続される。右側支持部211cの後壁部には、前方に延びる規制壁211eが形成されている。規制壁211eは、後側部211bの前端部と右側支持部211cの後壁部との接続部分から所定量だけ前方に延出している。この場合、規制壁211eの延出量は、その前端部がスリット211dよりも後側となる範囲の延出量となっている。
【0022】
このように構成される右側支持部211c内には、ブザー基板101の右端部、つまり、コネクタ102が実装されている端部が収容される。ここで、仮に、ブザー装置100がコネクタ102を後側にした状態で取り付けられると、コネクタ102が規制壁211eに当接してブザー装置100の取り付けを阻害する。これにより、右側支持部211cは、その後壁部に規制壁211eを備えていることにより、ブザー装置100がコネクタ102を前側にした状態で取り付けられるように規制する。即ち、右側支持部211cは、ブザー領域R1内に配置されるブザー装置100の向きが、音を出力する出力面100aが前側となる向き、つまり、ブザー装置100から収容ケース200の対向壁部201に向けて音が出力される正規の向きとなるように規制する。つまり、右側支持部211cは、規制部の一例として定義することができる。
【0023】
一方、収容ケース200の対向壁部201は、ブザー領域R1内に正規の向きで配置されたブザー装置100が音を出力する方向において当該ブザー装置100に対向する壁部となる。より詳細には、対向壁部201は、ブザー装置100が音を出力する出力面100aに対向する壁部となる。
【0024】
左右方向壁部212は、前後方向壁部211の後端部、より詳細には、後側部211bの後端部から左右方向における一方向、この場合、右方向に延びている。但し、左右方向壁部212の先端部となる右端部は、収容ケース200の右壁部203には到達しておらず、当該右壁部203から離間している。左右方向壁部212の後面には、上下方向に延びるリブ213が設けられている。リブ213は、左右方向壁部212の後面から後方に延出する複数、この場合、2つの延出部213aと、これら延出部213aの間を埋めるベース部213bと、を一体に備えている。このように構成されているリブ213は、左右方向壁部212を補強する機能を有する。
【0025】
収容ケース200の左壁部202には、左側支持部214が設けられている。左側支持部214は、左右方向において右側支持部211cと概ね対向する位置に設けられている。左側支持部214は、上下方向に延びる溝部214aを備えており、この溝部214a内にブザー装置100の左端部を挟んで支持する構成となっている。
【0026】
図6に例示するように、仕切壁部210の前端部は、ブザー装置100の出力面100aよりも出力方向側、この場合、前側の空間Aを配線類領域R2から隔てている。仕切壁部210の前端部は、収容ケース200の対向壁部201まで延びて当該対向壁部201に接続されている。つまり、仕切壁部210の前端部と対向壁部201との間には隙間が形成されていない。
【0027】
仕切壁部210のうち前後方向壁部211の前後方向における長さL1は、配線類領域R2内において配線類230やスポンジ231などが配置される領域の前後方向における長さL2よりも長くなっている。
【0028】
仕切壁部210のうち前後方向壁部211は、配線類領域R2内の配線類230やスポンジ231が左側つまりブザー装置100側にはみ出ることを抑制している。仕切壁部210のうち左右方向壁部212は、配線類領域R2内の配線類230やスポンジ231が後側つまり冷蔵室扉12Dの裏面側にはみ出ることを抑制している。
【0029】
仕切壁部210の下端部は、収容ケース200の底壁部204に接続されている。仕切壁部210の一部、この場合、左右方向壁部212の後面は、リブ213に接続されている。リブ213の下端部は、収容ケース200の底壁部204に接続されている。つまり、仕切壁部210は、収容ケース200の底壁部204に接続されているとともに、底壁部204よりも高い位置においてリブ213にも接続されている。この構成例によれば、仕切壁部210を安定した状態で維持することができる。これにより、ブザー装置100が発生する音により仕切壁部201が振動して雑音が生じることを抑制できる。
【0030】
仕切壁部210は、それぞれ異なる方向に延びる複数の壁部、この場合、前後方向に延びる前後方向壁部211および前後方向に交わる方向である左右方向に延びる左右方向壁部212が連結された構成である。この構成例によれば、単なる平板状の仕切壁部に比べ、より強度が安定した仕切壁部201を実現することができる。これにより、ブザー装置100が発生する音による仕切壁部201の振動や振動に伴う雑音の発生を一層抑制できる。
【0031】
図7に例示するように、収容ケース200には、カバー部材300が取り付けられる。カバー部材300は、上壁部301および後壁部302を一体に備えている。上壁部301は、収容ケース200の上部を覆う。後壁部302は、上壁部301の後端部から下方に延びており、収容ケース200の後部を覆う。後壁部302には、当該後壁部302を貫通する多数の孔302aが形成されている。
【0032】
図8に例示するように、収容ケース200の対向壁部201は、その上端部に傾斜面部220を備えている。傾斜面部220は、傾斜部の一例であり、図8において破線矢印P1で例示するように、ブザー装置100が出力する音を収容ケース200外に案内する方向に傾斜している。より詳細に説明すると、傾斜面部220は、冷蔵室扉12Dが冷蔵室12の前面開口部を閉じた閉状態において、後方から前方に向かって徐々に上昇する傾斜面を形成している。そして、傾斜面部220は、カバー部材300の前端部、この場合、上壁部301の前端部との間に僅かな隙間S1を形成する。
【0033】
これにより、ブザー装置100が出力する音は、この隙間S1を介して、収容ケース200内から収容ケース200外、この場合、冷蔵庫10の前方に向かって導出されやすくなる。この場合、隙間S1は、収容ケース200内側である後方側から前方側に向かって傾斜面部220に沿って徐々に上昇し、さらに、カバー部材300の前端面に沿って上昇する空間を形成している。但し、隙間S1の形状や大きさは、この形状に限られものではなく、適宜変更して実施することができる。
【0034】
なお、図8において破線矢印P2で例示するように、ブザー装置100が出力する音の一部は、収容ケース200内において後側に反射されることにより、カバー部材300の多数の孔302aからも収容ケース200外に導出可能である。収容ケース200の対向壁部201は、その上端部に支持部221を備えている。支持部221は、カバー部材300の前端部を下方から支持する。
【0035】
図2から図5に例示するように、支持部221は、複数、この場合、2つ設けられており、これら支持部221は、左右方向において所定の間隔を有して離間している。傾斜面部220は、複数、この場合、3つ設けられている。複数の傾斜面部220は、対向壁部201の上端部のうち支持部221が形成されていない部分に分散して配置されている。即ち、複数の支持部221は、左右方向において複数の傾斜面部220の間に挟まれた位置に設けられている。
【0036】
この場合、収容ケース200の左右方向における中央部に設けられている傾斜面部220の左右方向の長さは、収容ケース200の左右方向における両端部に設けられている傾斜面部220の左右方向の長さよりも長くなっている。但し、収容ケース200の左右方向における中央部に設けられている傾斜面部220の左右方向の長さは、収容ケース200の左右方向における両端部に設けられている傾斜面部220の左右方向の長さよりも短くなっていてもよいし、同じ長さであってもよい。
【0037】
複数の支持部221の左右方向の長さは、同じ長さとなっている。但し、複数の支持部221の左右方向の長さは、それぞれ異なる長さであってもよい。傾斜面部220の数は、支持部221の数よりも多くなっている。但し、傾斜面部220の数は、支持部221の数よりも少なくなっていてもよいし、同じ数であってもよい。複数の傾斜面部220の傾斜角度は、同じ角度であってもよいし、それぞれ異なる角度であってもよい。複数の支持部221の突出量は、同じ突出量であってもよいし、それぞれ異なる突出量であってもよい。
【0038】
図8に例示するように、仕切壁部210の上端は、ブザー装置100の上端よりも高くなっている。図4に例示するように、仕切壁部210の上端は、リブ213の上端よりも高くなっている。図示は省略するが、仕切壁部210の上端は、配線類230の上端よりも高くなっている。仕切壁部210の上端は、スポンジ231の上端よりも高くなっている。仕切壁部210の上端は、左側支持部214の上端よりも高くなっている。仕切壁部210の上端は、カバー部材300の多数の孔302aのうち最も高い位置に配置されている孔302aの上端よりも高くなっている。
【0039】
図8に例示するように、仕切壁部210の上端は、ブザー基板101の上端よりも低くなっている。仕切壁部210の上端は、傾斜面部220の下端よりも低くなっている。仕切壁部210の上端は、支持部221の下端よりも低くなっている。仕切壁部210の上端は、冷蔵室扉12Dの前面に取り付けられているガラスパネル12Gの上端よりも低くなっている。
【0040】
仕切壁部210の上端とカバー部材300の上壁部301の下面との間には、ある程度の大きさを有する隙間S2が形成される。つまり、仕切壁部210の上端は、カバー部材300の上壁部301の下面に接触せず離間している。なお、隙間S2の大きさは、ブザー基板101の上端の高さ位置の影響も受け得る。特に、ブザー基板101の上端が仕切壁部210の上端よりも高くなっている構成では、当該ブザー基板101の上端により隙間S2が狭められてしまう場合がある。そのため、仕切壁部210の上端は、ブザー基板101の上端よりも高くなっていてもよい。この構成例によれば、仮にブザー基板101の取り付け位置の高さが所定の高さからずれたとしても、隙間S2の大きさは、仕切壁部210の高さで規定できる。そのため、ブザー基板101の上端の高さ位置の影響を受けることなく、設計通りの大きさの隙間S2を形成することができる。
【0041】
本開示に係る冷蔵庫10の構成例によれば、仕切壁部210により、収容ケース200内を、ブザー装置100が配置されるブザー領域R1と、ブザー装置100に接続される配線類230が引き出される配線類領域R2と、に仕切った構成となっている。この構成例によれば、ブザー領域R1内においてブザー装置100が出力する音が、配線類領域R2内に伝わることを仕切壁部210により阻害することができ、配線類領域R2内の配線類230やスポンジ231などに音が吸収されて減衰してしまうことを抑制することができる。これにより、ブザー装置100を備える冷蔵庫10について、当該ブザー装置100から出力される音を使用者に聞こえやすくすることができる。
【0042】
本開示の発明者は、ブザー装置100が出力した音を冷蔵庫10の近傍に存在する使用者に一層聞こえやすくするための構成を試行錯誤する過程において、ブザー装置100が出力した音が、当該ブザー装置100の近傍に配置された配線類230やスポンジ231などといった多孔質体や弾性体などに吸収されてしまうことを見出した。本開示の構成例は、このような事象を見出した発明者によりなされたものであり、例えば配線類230やスポンジ231などといった音を吸収する部材が配置される領域からブザー装置100を隔てるように仕切壁部210を設けたことを主題とするものである。
【0043】
冷蔵庫10によれば、収容ケース200は、ブザー装置100が音を出力する方向において当該ブザー装置100に対向する対向壁部201と、この対向壁部201に設けられ、ブザー装置100が出力する音を収容ケース200外に案内する方向に傾斜する傾斜面部220と、を備えている。この構成例によれば、ブザー装置100が出力する音が、傾斜面部220がカバー部材300との間に形成する隙間S1を介して収容ケース200外に向かって導出されやすくなる。これにより、ブザー装置100から出力される音を使用者に一層聞こえやすくすることができる。
【0044】
冷蔵庫10によれば、仕切壁部210は、ブザー領域R1内に配置されるブザー装置100の向きが、隙間S1を形成する収容ケース200の対向壁部201に向けて音を出力する向きとなるように規制する右側支持部211cを備えている。この構成例によれば、ブザー装置100が隙間S1とは反対側に向けて音を出力する方向で取り付けられてしまうことを回避することができ、ブザー装置100から出力される音が使用者に聞こえやすくなる状態を一層形成しやすくすることができる。
【0045】
冷蔵庫10によれば、仕切壁部210の上端は、ブザー装置100の上端よりも高くなっている。この構成例によれば、ブザー装置100が出力する音が仕切壁部210の上端を越えて配線類領域R2内に到達することを抑制しやすくすることができる。これにより、ブザー領域R1内においてブザー装置100が出力する音が、配線類領域R2内の配線類230やスポンジ231などに吸収されて減衰してしまうことを一層抑制することができ、ブザー装置100から出力される音を使用者に一層聞こえやすくすることができる。
【0046】
冷蔵庫10によれば、ブザー装置100は、冷蔵室扉12Dの上部に備えられている。この構成例によれば、ブザー装置100を使用者の耳に極力近い高さ位置に配置することができ、ブザー装置100から出力される音を使用者に一層聞こえやすくすることができる。
【0047】
冷蔵庫10によれば、ブザー装置100は、冷蔵庫本体部10Aの前部を構成する冷蔵室扉12Dに備えられている。この構成例によれば、ブザー装置100を使用者が存在する冷蔵庫10の前方領域に極力近い位置に配置することができ、ブザー装置100から出力される音を使用者に一層聞こえやすくすることができる。
【0048】
なお、本実施形態は、上述した一実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、種々の変形や拡張などを行うことができる。例えば、冷蔵室扉12Dは、冷蔵室12の前面開口部を閉じた閉状態において、左端部となる部分が回動基端となり、右端部となる部分が回動自由端となる構成であってもよい。
【0049】
ブザー装置100は、冷蔵室扉12D以外の貯蔵室扉13D,14D,15D,16Dに備えられていてもよい。ブザー装置100は、断熱箱体11に備えられていてもよい。冷蔵室扉12Dは、左右方向に回動可能である2つの貯蔵室扉、いわゆる観音開き式の貯蔵室扉であってもよい。この場合、ブザー装置100は、2つの貯蔵室扉のうち少なくとも何れか一方に備えられていればよい。ブザー装置100を冷蔵室扉12D以外の貯蔵室扉13D,14D,15D,16Dや観音開き式の貯蔵室扉に備える場合においても、ブザー装置100は、貯蔵室扉の上部つまり極力上側部分に備えるようにすることが好ましい。
【0050】
図8に例示した隙間S2について、例えば当該隙間S2の大きさが過大な構成では、ブザー領域R1内から配線類領域R2内への音の伝達を抑制する効果が弱まってしまうおそれがある。一方、当該隙間S2の大きさが過小な構成では、例えば冷蔵室扉12D内に充填される発泡断熱材の原液が発泡することに伴い収容ケース200の底面に反りや歪みが発生したりすると、仕切壁部210の上端がカバー部材300の上壁部301の下面に接触してしまいカバー部材300を取り付けることができなくなるおそれがある。そのため、隙間S2の大きさは、例えば0.2~3.0mm(ミリメートル)程度の範囲内、より好ましくは、例えば0.5~1.5mm(ミリメートル)程度の範囲内となるように設計するとよい。
【0051】
図9に例示するように、ブザー装置100は、冷蔵庫本体部10Aつまり断熱箱体11または貯蔵室扉12D,13D,14D,15D,16Dに設けられた収容部400内に備えられていてもよい。この場合、収容部400は、その上面が開放し下方に矩形状に窪む凹形状となっている。収容部400の上面開放部には、板状のカバー部材500が取り付けられる。また、収容部400の側壁部の上端とカバー部材500の端部との間には傾斜面部420が設けられている。傾斜面部420は、傾斜部の一例であり、収容部400内側から収容部400外側に向かって徐々に上昇する傾斜面を形成している。
【0052】
この構成例によれば、傾斜面部420がカバー部材500との間に形成する隙間S3を介して、ブザー装置100が出力する音を収容部400外に導出しやすくでき、ブザー装置100から出力される音を使用者に聞こえやすくすることができる。なお、図示は省略するが、収容部400は、その下面が開放し上方に窪む構成であってもよいし、右面が開放し左方に窪む構成であってもよいし、左面が開放し右方に窪む構成であってもよいし、前面が開放し後方に窪む構成であってもよい。
【0053】
図10に例示するように、ブザー装置100は、冷蔵庫本体部10Aつまり断熱箱体11または貯蔵室扉12D,13D,14D,15D,16Dの前部において上方および前方に開放するように設けられた収容部600内に備えられていてもよい。収容部600の上面開放部および前面開放部には、カバー部材700が取り付けられる。カバー部材700の前壁部701には、当該前壁部701を貫通する多数の孔701aが形成されている。多数の孔701aは、傾斜部の一例であり、それぞれ、後方から前方に向かって徐々に上昇するように傾斜している。
【0054】
この構成例によっても、多数の孔701aを介して、ブザー装置100が出力する音を収容部600外に導出しやすくでき、ブザー装置100から出力される音を使用者に聞こえやすくすることができる。なお、図示は省略するが、多数の孔701aは、カバー部材700の上壁部702に形成されていてもよい。収容部600は、下方および前方に開放する構成であってもよいし、左方および前方に開放する構成であってもよいし、右方および前方に開放する構成であってもよい。
【0055】
音出力装置は、警告音などを出力するブザー装置に限られるものではなく、例えば、スピーカなどであってもよいし、ミュージックなどを出力する装置や人の声などを出力する装置などといった何らかの音を出力可能な装置であってもよい。
【0056】
以上、本発明に係る一実施形態を説明したが、この実施形態は、あくまでも一例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の省略、置き換え、変更などを行うことができる。本実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明およびその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0057】
図面において、10は冷蔵庫、10Aは冷蔵庫本体部、11は断熱箱体、12は冷蔵室(貯蔵室)、12Dは冷蔵室扉(貯蔵室扉)、13は野菜室(貯蔵室)、13Dは野菜室扉(貯蔵室扉)、14は製氷室(貯蔵室)、14Dは製氷室扉(貯蔵室扉)、15は小冷凍室(貯蔵室)、15Dは小冷凍室扉(貯蔵室扉)、16は大冷凍室(貯蔵室)、16Dは大冷凍室扉(貯蔵室扉)、100はブザー装置(音出力装置)、200は収容ケース(収容部)、201は対向壁部、210は仕切壁部、211cは右側支持部(規制部)、220,420は傾斜面部(傾斜部)、230は配線類、400,600は収容部、701aは孔(傾斜部)、R1はブザー領域(第1領域)、R2は配線類領域(第2領域)を示す。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10