(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024124842
(43)【公開日】2024-09-13
(54)【発明の名称】整列コイル製造装置
(51)【国際特許分類】
H02K 15/04 20060101AFI20240906BHJP
【FI】
H02K15/04 A
H02K15/04 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023032788
(22)【出願日】2023-03-03
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】山田 貴志
(72)【発明者】
【氏名】中川 修
【テーマコード(参考)】
5H615
【Fターム(参考)】
5H615AA01
5H615BB05
5H615PP01
5H615PP13
5H615PP14
5H615QQ03
5H615SS04
5H615SS10
(57)【要約】
【課題】複数のセグメントコイルが整列されてなる整列コイルを容易に製造することができ、且つ、形成される整列コイルの半径を容易に変更することができるようにすること。
【解決手段】整列コイル製造装置は、ステータコアが有するスロット毎に設けられ、所定の角度間隔で放射状に配置された複数のスリットと、スリットに挿入されたセグメントコイルの足を内径側から可変にガイドする内径側ガイドと、スリットに挿入されたセグメントコイルの足を外径側から可変にガイドする外径側ガイドとを備える。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステータコアが有するスロット毎に設けられ、所定の角度間隔で放射状に配置された複数のスリットと、
前記スリットに挿入されたセグメントコイルの足を内径側から可変にガイドする内径側ガイドと、
前記スリットに挿入された前記セグメントコイルの足を外径側から可変にガイドする外径側ガイドと
を備える整列コイル製造装置。
【請求項2】
回転可能に設けられ、前記複数のスリットを有するブレードロータを備え、
前記ブレードロータを所定角度回転させる毎に、前記セグメントコイルを前記スリットに挿入することにより、複数の前記セグメントコイルが整列されてなる円環状の整列コイルを形成できる
ことを特徴とする請求項1に記載の整列コイル製造装置。
【請求項3】
前記内径側ガイドは、
放射状に配置され、且つ、半径方向に移動可能な複数の内径側ガイド部材を有し、
前記外径側ガイドは、
放射状に配置され、且つ、半径方向に移動可能な複数の外径側ガイド部材を有する
ことを特徴とする請求項2に記載の整列コイル製造装置。
【請求項4】
前記内径側ガイドは、
回転することにより、前記複数の内径側ガイド部材を一斉に半径方向に移動させる内径側リンクプレートを有し、
前記外径側ガイドは、
回転することにより、前記複数の外径側ガイド部材を一斉に半径方向に移動させる外径側リンクプレートを有する
ことを特徴とする請求項3に記載の整列コイル製造装置。
【請求項5】
前記内径側ガイドは、
隣り合う2つの内径側ガイド部材の先端部同士が重なり合っており、
前記外径側ガイドは、
隣り合う2つの外径側ガイド部材の先端部同士が重なり合っている
ことを特徴とする請求項3または4に記載の整列コイル製造装置。
【請求項6】
前記セグメントコイルは、
形成される整列コイルの円周から所定角度傾斜して前記スリットに挿入された後、前記ブレードロータとともに回転することにより、前記円周上に整列される
ことを特徴とする請求項2に記載の整列コイル製造装置。
【請求項7】
前記内径側ガイドは、
前記セグメントコイルの足の挿入位置にテーパ面を有し、
前記セグメントコイルは、
前記ブレードロータとともに回転したときに、当該セグメントコイルの足が前記テーパ面に当接することにより、前記円周上に整列される
ことを特徴とする請求項6に記載の整列コイル製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、整列コイル製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、セグメントコイルの一方の足部が挿入可能な間隔をあけて放射状に配置される複数の仕切部材を有する外側治具と、複数の仕切部材より径方向内側に配置され、セグメントコイルの他方の足部が挿入される穴を有する複数の穴部材を有する内側治具と、を備えるステータコイル製造装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示されている技術は、複数のセグメントコイルが整列されてなる整列コイルを容易に製造することができたとしても、形成される整列コイルの半径を容易に変更することができない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決するために、一実施形態に係る整列コイル製造装置は、ステータコアが有するスロット毎に設けられ、所定の角度間隔で放射状に配置された複数のスリットと、スリットに挿入されたセグメントコイルの足を内径側から可変にガイドする内径側ガイドと、スリットに挿入されたセグメントコイルの足を外径側から可変にガイドする外径側ガイドとを備える。
【発明の効果】
【0006】
一実施形態に係る整列コイル製造装置によれば、複数のセグメントコイルが整列されてなる整列コイルを容易に製造することができ、且つ、形成される整列コイルの半径を容易に変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】一実施形態に係る整列コイル製造装置の外観斜視図
【
図2】一実施形態に係る整列コイル製造装置10が備える整列装置の外観斜視図
【
図3】一実施形態に係る整列コイル製造装置が備える整列装置(ブレードロータが取り外された状態)の外観斜視図
【
図4】一実施形態に係る整列コイル製造装置が備える整列装置一部拡大平面図
【
図5】一実施形態に係る整列コイル製造装置が備える整列装置(ブレードロータおよび外径側ハウジングの上側ハウジングが取り外された状態)の一部拡大断面図
【
図6A】一実施形態に係る整列コイル製造装置が備える内径側ガイドおよび外径側ガイドの外観斜視図
【
図6B】一実施形態に係る整列コイル製造装置が備える内径側ガイドおよび外径側ガイドの平面図である。
【
図7A】一実施形態に係る整列コイル製造装置が備える内径側ガイドおよび外径側ガイドの外観斜視図
【
図7B】一実施形態に係る整列コイル製造装置が備える内径側ガイドおよび外径側ガイドの平面図である。
【
図8A】一実施形態に係る整列コイル製造装置が備える内径側ガイドおよび外径側ガイドの外観斜視図
【
図8B】一実施形態に係る整列コイル製造装置が備える内径側ガイドおよび外径側ガイドの平面図
【
図9】一実施形態に係る整列コイル製造装置によるセグメントコイルの整列方法を説明するための図
【
図10】一実施形態に係る整列コイル製造装置による整列コイルの製造方法の手順を示すフローチャート
【
図11】一実施形態に係る整列コイルの製造方法において、1本目のセグメントコイルを、ブレードロータのスリットに挿入する様子を示す斜視図
【
図12】一実施形態に係る整列コイルの製造方法において、1本目のセグメントコイルが、ブレードロータのスリットに挿入された後の状態を示す平面図
【
図13】一実施形態に係る整列コイルの製造方法において、1本目のセグメントコイルが挿入されたブレードロータを反時計回りに回転させる様子を示す斜視図
【
図14】一実施形態に係る整列コイルの製造方法において、1本目のセグメントコイルが挿入されたブレードロータを反時計回りに回転させた後の状態を示す平面図
【
図15】一実施形態に係る整列コイルの製造方法において、2本目のセグメントコイルを、ブレードロータのスリットに挿入する様子を示す斜視図
【
図16】一実施形態に係る整列コイルの製造方法において、2本目のセグメントコイルが挿入されたブレードロータを反時計回りに回転させる様子を示す斜視図
【
図17】一実施形態に係る整列コイルの製造方法において、最後のセグメントコイルを、ブレードロータのスリットに挿入する様子を示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態について説明する。
【0009】
(整列コイル製造装置10の構成)
図1は、一実施形態に係る整列コイル製造装置10の外観斜視図である。
図1に示す整列コイル製造装置10は、複数のセグメントコイル20からなる円環状の整列コイル30を製造する装置である。整列コイル製造装置10は、支持台11、整列装置100、および挿入装置12を備える。
【0010】
支持台11は、整列装置100および挿入装置12を支持する。支持台11は、最上部に水平な平板状の天板11Aを備える。天板11Aの上面には、整列装置100および挿入装置12が設置される。
【0011】
整列装置100は、複数のセグメントコイル20を円環状に整列させる装置である。整列装置100は、回転可能なブレードロータ120を有する。ブレードロータ120は、所定の角度間隔で放射状に配置された複数のスリット121を有する。
【0012】
挿入装置12は、整列装置100のブレードロータ120に対して、セグメントコイル20を一つずつ挿入する装置である。挿入装置12は、ブレードロータ120の上方まで延びるアーム12Aと、アーム12Aの先端部に設けられた把持部12Bとを有する。挿入装置12は、把持部12Bによってセグメントコイル20を把持した状態で、アーム12Aを下方に移動させることにより、セグメントコイル20の2本の足21を、ブレードロータ120の2つのスリット121に挿入することができる。なお、挿入装置12は、アーム12Aが伸張可能に構成されている。これにより、挿入装置12は、アーム12Aを伸張させることで、ブレードロータ120の半径方向におけるセグメントコイル20の挿入位置を変更可能である。
【0013】
整列コイル製造装置10は、整列装置100が備えるブレードロータ120を所定角度回転させる毎に、挿入装置12によってブレードロータ120にセグメントコイル20を挿入することにより、複数のセグメントコイル20からなる円環状の整列コイル30を製造することができる。
【0014】
(整列装置100の構成)
図2は、一実施形態に係る整列コイル製造装置10が備える整列装置100の外観斜視図である。
図3は、一実施形態に係る整列コイル製造装置10が備える整列装置100(ブレードロータ120が取り外された状態)の外観斜視図である。
図4は、一実施形態に係る整列コイル製造装置10が備える整列装置100の一部拡大平面図である。
図5は、一実施形態に係る整列コイル製造装置10が備える整列装置100(ブレードロータ120および外径側ハウジング142の上側ハウジング142Aが取り外された状態)の一部拡大断面図である。
【0015】
図2および
図3に示すように、整列装置100は、内径側ガイド130と、外径側ガイド140と、ブレードロータ120とを備える。
【0016】
<ブレードロータ120>
ブレードロータ120は、外径側ガイド140が備える外径側ハウジング142の中央開口部142Cと略同じ直径を有し、外径側ハウジング142の中央開口部142Cの上側に重ねて設けられる、概ね円盤状の部材である。ブレードロータ120は、内径側ガイド130および外径側ガイド140に対して相対的に回転可能に設けられる。
【0017】
ブレードロータ120は、一定の角度間隔で放射状に配置された複数のスリット121を有する。複数のスリット121の各々は、ブレードロータ120を上下方向に貫通する開口形状を有しており、且つ、半径方向に延びる溝状を有する。
【0018】
また、ブレードロータ120は、複数のスリット121を設けたことにより、隣接する2つのスリット121の間のそれぞれに、半径方向に延びる刃状のブレード122を有する。すなわち、ブレードロータ120は、一定の角度間隔で放射状に配置された複数のブレード122を有する。
【0019】
ブレードロータ120は、一のスリット121に対し、セグメントコイル20の一方の足21が挿入され、一のスリット121から所定数離された他のスリット121に対し、セグメントコイル20の他方の足21が挿入されることにより、セグメントコイル20の2本の足21の円周方向における位置を位置決めすることができる。
【0020】
そして、ブレードロータ120は、所定の角度ずつ反時計回り方向に回転することによって、当該ブレードロータ120におけるセグメントコイル20の挿入位置を、スリット121単位でシフトすることができる。
【0021】
さらに、ブレードロータ120は、当該ブレードロータ120の一周分、セグメントコイル20が挿入されることにより、複数のセグメントコイル20からなる、円環状の整列コイル30を形成することができる。
【0022】
なお、スリット121およびブレード122は、対象とするステータコアのスロット毎に設けられている。一例として、本実施形態では、対象とするステータコアが48個のスロットを有するのに対応して、ブレードロータ120は、48個のスリット121と、48本のブレード122とを有する。
【0023】
<内径側ガイド130>
内径側ガイド130は、
図3に示すように、内径側(外径側ガイド140が備える外径側ハウジング142の中央開口部142C内)に設けられており、ブレードロータ120のスリット121に挿入されたセグメントコイル20の足21を内径側から可変にガイドする。内径側ガイド130は、放射状に配置された複数の内径側ガイド部材131と、複数の内径側ガイド部材131を内径側から保持する内径側ハウジング132とを有する。
【0024】
複数の内径側ガイド部材131の各々は、半径方向に直線状に延びる、樹脂製且つ棒状の部材である。複数の内径側ガイド部材131の各々は、先端部131Aが外径側を向いて配置されており、すなわち、外径側ガイド140と対向して配置されている。これにより、内径側ガイド130の外周面は、円環状に整列された、複数の内径側ガイド部材131の先端部131Aによって構成されている。また、複数の内径側ガイド部材131の各々は、先端部131Aの幅が部分的に拡大された形状(すなわち、T字状)を有する。複数の内径側ガイド部材131の各々は、半径方向に移動可能に設けられており、これにより、内径側ガイド130の外周面の半径を変更することができる。
【0025】
図5に示すように、内径側ガイド130は、1枚の平板状の先端部131A1が設けられた内径側ガイド部材131と、上下に2枚のプレートを有する先端部131A2が設けられた内径側ガイド部材131とが、交互に設けられている。そして、内径側ガイド130は、隣り合う2つの内径側ガイド部材131において、一方の内径側ガイド部材131の先端部131A2が有する2枚のプレートによって、他方の内径側ガイド部材131の先端部131A1を挟み込むように構成されている。これにより、内径側ガイド130は、隣り合う2つの内径側ガイド部材131において、一方の内径側ガイド部材131の先端部131A2と、他方の内径側ガイド部材131の先端部131A1との間に、隙間が生じないようになっており、当該隙間からのセグメントコイル20の足21の逸脱を防止できるようになっている。
【0026】
内径側ハウジング132は、中空構造且つ円柱形状を有する樹脂製且つ容器状の部材であり、複数の内径側ガイド部材131を内径側から保持する。具体的には、内径側ハウジング132は、複数の内径側ガイド部材131の各々の先端部131Aが、当該内径側ハウジング132の外周面から外径側(内径側ハウジング132と外径側ハウジング142との間に空間内)に突出し、且つ、複数の内径側ガイド部材131の各々が半径方向に移動できるように、放射状に配置された複数の内径側ガイド部材131の各々の末端部側の部分を、当該内径側ハウジング132の内部で保持する。
【0027】
<外径側ガイド140>
外径側ガイド140は、
図3に示すように、外径側に設けられており、ブレードロータ120のスリット121に挿入されたセグメントコイル20の足21を外径側から可変にガイドする。外径側ガイド140は、放射状に配置された複数の外径側ガイド部材141と、複数の外径側ガイド部材141を外径側から保持する外径側ハウジング142とを有する。
【0028】
複数の外径側ガイド部材141の各々は、半径方向に直線状に延びる、樹脂製且つ棒状の部材である。複数の外径側ガイド部材141の各々は、先端部141Aが内径側を向いて配置されており、すなわち、内径側ガイド130と対向して配置されている。これにより、外径側ガイド140の内周面は、円環状に整列された、複数の外径側ガイド部材141の先端部141Aによって構成されている。また、複数の外径側ガイド部材141の各々は、先端部141Aの幅が部分的に拡大された形状(すなわち、T字状)を有する。複数の外径側ガイド部材141の各々は、半径方向に移動可能に設けられており、これにより、外径側ガイド140内周面の半径を変更することができる。
【0029】
図5に示すように、外径側ガイド140は、1枚の平板状の先端部141A1が設けられた外径側ガイド部材141と、上下に2枚のプレートを有する先端部141A2が設けられた外径側ガイド部材141とが、交互に設けられている。そして、外径側ガイド140は、隣り合う2つの外径側ガイド部材141において、一方の外径側ガイド部材141の先端部141A2が有する2枚のプレートによって、他方の外径側ガイド部材141の先端部141A1を挟み込むように構成されている。これにより、外径側ガイド140は、隣り合う2つの外径側ガイド部材141において、一方の外径側ガイド部材141の先端部141A2と、他方の外径側ガイド部材141の先端部141A1との間に、隙間が生じないようになっており、当該隙間からのセグメントコイル20の足21の逸脱を防止できるようになっている。
【0030】
外径側ハウジング142は、中空構造且つ円筒形状を有する樹脂製且つ容器状の部材であり、複数の外径側ガイド部材141を外径側から保持する。具体的には、外径側ハウジング142は、複数の外径側ガイド部材141の各々の先端部141Aが、当該外径側ハウジング142の内周面から内径側(内径側ハウジング132と外径側ハウジング142との間に空間内)に突出し、且つ、複数の外径側ガイド部材141の各々が半径方向に移動できるように、放射状に配置された複数の外径側ガイド部材141の各々の末端部側の部分を、当該外径側ハウジング142の内部で保持する。外径側ハウジング142の中央開口部142C内には、内径側ガイド130が配置される。
【0031】
外径側ハウジング142の外周縁部には、複数の固定孔142Dが形成されている。複数の固定孔142Dの各々は、円周方向に曲線状に延びる長孔形状を有する。外径側ハウジング142は、複数の固定孔142Dの各々を貫通する、複数のボルト144の各々によって、支持台11の天板11Aの上面に固定される。
【0032】
<隙間部101>
ここで、
図3~
図5に示すように、整列装置100は、内径側ハウジング132と外径側ハウジング142との間に空間内において、内径側ガイド130の外周面と、外径側ガイド140の内周面と間に、半径方向に一定の幅を有する、円環状の隙間部101が形成されている。隙間部101には、整列装置100に対して1つのセグメントコイル20が挿入される毎に、当該1つのセグメントコイル20の2本の足21が配置される。最終的に、隙間部101には、円環状の整列コイル30を構成する複数のセグメントコイル20の各々の2本の足が整列して配置される。整列装置100は、複数の内径側ガイド部材131を半径方向に移動させて、内径側ガイド130の外周面の半径を変更するとともに、複数の外径側ガイド部材141を半径方向に移動させて、外径側ガイド140の内周面の半径を変更することにより、隙間部101の半径を変更可能であり、これにより、形成される整列コイル30の半径を変更可能である。
【0033】
(内径側ガイド130および外径側ガイド140の構成)
図6A、
図7A、および
図8Aは、一実施形態に係る整列コイル製造装置10が備える内径側ガイド130および外径側ガイド140の外観斜視図である。
図6B、
図7B、および
図8Bは、一実施形態に係る整列コイル製造装置10が備える内径側ガイド130および外径側ガイド140の平面図である。
【0034】
但し、
図7Aおよび
図7Bは、上側ハウジング132Aが取り外された状態の内径側ガイド130、および、上側ハウジング142Aが取り外された状態の外径側ガイド140を示す。
【0035】
また、
図8Aおよび
図8Bは、上側ハウジング132Aおよび一部の内径側ガイド部材131が取り外された状態の内径側ガイド130、および、上側ハウジング142Aおよび一部の外径側ガイド部材141が取り外された状態の外径側ガイド140を示す。
【0036】
<内径側ガイド130の構成>
内径側ガイド130が備える内径側ハウジング132は、上側ハウジング132Aと下側ハウジング132Bとに、上下に2分割可能に構成されている。下側ハウジング132Bは、複数の内径側ガイド部材131の各々の末端部側の部分を下側から支持する、受け皿状の部材である。上側ハウジング132Aは、下側ハウジング132Bと、複数の内径側ガイド部材131の各々の末端部側の部分とを覆う、カバー状の部材である。
【0037】
内径側ガイド130は、内径側ハウジング132の内部に、内径側リンクプレート133を有する。内径側リンクプレート133は、内径側ハウジング132の内部に回転可能に配置される、円盤状の部材である。内径側リンクプレート133の上面には、複数の内径側ガイド部材131が放射状に配置される。内径側リンクプレート133の上面には、内径側ガイド部材131毎に設けられた、複数の内径側ガイド溝133Aが形成されている。複数の内径側ガイド溝133Aの各々には、内径側ガイド部材131の後端部から下方に突出して設けられた内径側連結ピン131Bが挿入されている。複数の内径側ガイド溝133Aの各々は、内径側ガイド部材131の延びる半径方向に対して傾斜した方向に延びている。これにより、複数の内径側ガイド溝133Aの各々は、内径側リンクプレート133の回転に伴って、内径側ガイド部材131の内径側連結ピン131Bを当該内径側ガイド溝133A内で摺動させることにより、内径側ガイド部材131を、半径方向に移動させることができる。
【0038】
このように、内径側ガイド130は、内径側リンクプレート133に、複数の内径側ガイド部材131が連結されている。これにより、内径側ガイド130は、内径側リンクプレート133を回転させることにより、複数の内径側ガイド部材131を、一斉に半径方向(内径方向または外径方向)に移動させることができ、すなわち、内径側ガイド130の外周面を円環状に保ちつつ、内径側ガイド130の外周面の半径を変更することができる。
【0039】
<外径側ガイド140の構成>
外径側ガイド140が備える外径側ハウジング142は、上側ハウジング142Aと下側ハウジング142Bとに、上下に2分割可能に構成されている。下側ハウジング142Bは、複数の外径側ガイド部材141の各々の末端部側の部分を下側から支持する、受け皿状の部材である。上側ハウジング142Aは、下側ハウジング142Bと、複数の外径側ガイド部材141の各々の末端部側の部分とを覆う、カバー状の部材である。
【0040】
外径側ガイド140は、外径側ハウジング142の内部に、外径側リンクプレート143を有する。外径側リンクプレート143は、外径側ハウジング142の内部に回転可能に配置される、円盤状の部材である。外径側リンクプレート143の上面には、複数の外径側ガイド部材141が放射状に配置される。外径側リンクプレート143の上面には、外径側ガイド部材141毎に設けられた、複数の外径側ガイド溝143Aが形成されている。複数の外径側ガイド溝143Aの各々には、外径側ガイド部材141の後端部から下方に突出して設けられた外径側連結ピン141Bが挿入されている。複数の外径側ガイド溝143Aの各々は、外径側ガイド部材141の延びる半径方向に対して傾斜した方向に延びている。これにより、複数の外径側ガイド溝143Aの各々は、外径側リンクプレート143の回転に伴って、外径側ガイド部材141の外径側連結ピン141Bを当該外径側ガイド溝143A内で摺動させることにより、外径側ガイド部材141を、半径方向に移動させることができる。
【0041】
このように、外径側ガイド140は、外径側リンクプレート143に、複数の外径側ガイド部材141が連結されている。これにより、外径側ガイド140は、外径側リンクプレート143を回転させることにより、複数の外径側ガイド部材141を、一斉に半径方向(内径方向または外径方向)に移動させることができ、すなわち、外径側ガイド140の内周面を円環状に保ちつつ、外径側ガイド140の内周面の半径を変更することができる。
【0042】
(セグメントコイル20の整列方法)
図9は、一実施形態に係る整列コイル製造装置10によるセグメントコイル20の整列方法を説明するための図である。
【0043】
図9に示すように、内径側ガイド130において、セグメントコイル20の進行方向(反時計回り方向)における前側の足21の挿入位置には、内径側ガイド部材131の先端部131Aに形成されたV字状のガイド溝131Cが配置されている。これにより、一実施形態に係る整列コイル製造装置10は、
図9に示すように、セグメントコイル20を、隙間部101の円周(すなわち、形成される整列コイル30の円周)に対して、反時計回りに所定角度(本実施形態では、14°)回転(自転)させた状態で、ブレードロータ120のスリット121に挿入できるようになっている。このため、一実施形態に係る整列コイル製造装置10は、既に隙間部101の円周上に整列されているセグメントコイル20と干渉することなく、新たなセグメントコイル20を、ブレードロータ120のスリット121に挿入できる。
【0044】
また、
図9に示すように、ガイド溝131Cは、セグメントコイル20の進行方向(反時計回り方向)側に、テーパ面131Dを有する。これにより、一実施形態に係る整列コイル製造装置10は、
図9に示すように、セグメントコイル20をブレードロータ120のスリット121に挿入した後に、ブレードロータ120を反時計回りに所定角度回転させて、セグメントコイル20をブレードロータ120とともに反時計回り方向に送出(公転)させたときに、セグメントコイル20の進行方向における前側の足21を、テーパ面131Dに当接させて外径側に移動させることにより、セグメントコイル20を、時計回りに所定角度(本実施形態では、14°)回転(自転)させることができる。その結果、セグメントコイル20の隙間部101の円周からの傾きを解消させて、セグメントコイル20の2本の足21を、隙間部101の円周上に整列させることができる。
【0045】
なお、
図9に示すように、セグメントコイル20を、傾けて挿入することにより、セグメントコイル20の後側の足21が外径側に張り出すようになるが、当該後側の足21の挿入位置に配置されている外径側ガイド部材141の先端部141Aにも、当該後側の足21と干渉しないように、且つ、当該後側の足21を当接させて内径側に移動させることができるように、ガイド溝131Cおよびテーパ面131Dと同様のガイド溝およびテーパ面が設けられている。
【0046】
(整列コイル30の製造方法の手順)
次に、
図10~
図17を参照して、一実施形態に係る整列コイル製造装置10による整列コイル30の製造方法の手順について説明する。
【0047】
図10は、一実施形態に係る整列コイル製造装置10による整列コイル30の製造方法の手順を示すフローチャートである。
【0048】
図11は、一実施形態に係る整列コイル30の製造方法において、1本目のセグメントコイル20を、ブレードロータ120のスリット121に挿入する様子を示す斜視図である。
図12は、一実施形態に係る整列コイル30の製造方法において、1本目のセグメントコイル20が、ブレードロータ120のスリット121に挿入された後の状態を示す平面図である。
【0049】
図13は、一実施形態に係る整列コイル30の製造方法において、1本目のセグメントコイル20が挿入されたブレードロータ120を反時計回りに回転させる様子を示す斜視図である。
図14は、一実施形態に係る整列コイル30の製造方法において、1本目のセグメントコイル20が挿入されたブレードロータ120を反時計回りに回転させた後の状態を示す平面図である。
【0050】
図15は、一実施形態に係る整列コイル30の製造方法において、2本目のセグメントコイル20を、ブレードロータ120のスリット121に挿入する様子を示す斜視図である。
図16は、一実施形態に係る整列コイル30の製造方法において、2本目のセグメントコイル20が挿入されたブレードロータ120を反時計回りに回転させる様子を示す斜視図である。
【0051】
図17は、一実施形態に係る整列コイル30の製造方法において、最後のセグメントコイル20を、ブレードロータ120のスリット121に挿入する様子を示す斜視図である。
【0052】
初めに、形成される整列コイル30の半径に合わせて、外径側ガイド140の外径側リンクプレート143を回転させることにより、外径側ガイド140が有する複数の外径側ガイド部材141を、一斉に外径方向に移動させる(ステップS201)。
【0053】
次に、形成される整列コイル30の半径に合わせて、内径側ガイド130の内径側リンクプレート133を回転させることにより、内径側ガイド130が有する複数の内径側ガイド部材131を、一斉に外径方向に移動させる(ステップS202)。
【0054】
次に、挿入装置12により、1本のセグメントコイル20を、ブレードロータ120のスリット121に挿入する(ステップS203)。具体的には、
図11および
図12に示すように、挿入装置12により、1本のセグメントコイル20の一方の足21を、所定の挿入位置に位置している一のスリット121に挿入し、1本のセグメントコイル20の他方の足21を、一のスリット121から所定数離れた他のスリット121に挿入する。このとき、
図12に示すように、1本のセグメントコイル20を、隙間部101の円周(すなわち、形成される整列コイル30の円周)に対して、反時計回りに所定角度(本実施形態では、14°)回転(自転)させた状態で、ブレードロータ120のスリット121に挿入する。これにより、
図12に示すように、1本のセグメントコイル20の進行方向における前側の足21は、当該足21の挿入位置に設けられた内径側ガイド部材131のガイド溝131Cに挿入される。
【0055】
次に、ブレードロータ120を反時計回りに所定角度回転させることにより、ステップS203で挿入された1本のセグメントコイル20を、ブレードロータ120とともに反時計回り方向に送出する(公転させる)(ステップS204)。この際、
図14に示すように、セグメントコイル20の進行方向における前側の足21が、ガイド溝131Cのテーパ面131Dに当接することにより、セグメントコイル20は、時計回りに所定角度(本実施形態では、14°)回転(自転)し、当該セグメントコイル20の隙間部101の円周からの傾きが解消することで、セグメントコイル20の2本の足21が、隙間部101の円周上に整列される。
【0056】
次に、1周分のセグメントコイル20を挿入および送出したか否かを判断する(ステップS205)。
【0057】
ステップS205において、1周分のセグメントコイル20を挿入および送出していないと判断された場合(ステップS205:NO)、ステップS203へ処理を戻し、ステップS203と、ステップS204とを再実行する。すなわち、
図15に示すように、次のセグメントコイル20をブレードロータ120のスリット121に挿入し、
図16に示すように、ブレードロータ120を反時計回りに所定角度回転させることにより、次のセグメントコイル20を、ブレードロータ120とともに反時計回り方向に回転(公転)させて、隙間部101の円周上に整列させる。これを繰り返すことにより、隙間部101の円周上に、円環状の整列コイル30を徐々に形成していくことができる。そして、
図17に示すように、最後のセグメントコイル20をブレードロータ120のスリット121に挿入し、ブレードロータ120を反時計回りに所定角度回転させることにより、最後のセグメントコイル20を、隙間部101の円周上に整列させて、円環状の整列コイル30を完成させることができる。
【0058】
ステップS205において、1周分のセグメントコイル20を挿入および送出したと判断された場合、すなわち、円環状の整列コイル30が形成された場合(ステップS205:YES)、
図10に示す一連の処理を終了する。
【0059】
以上の手順により製造された整列コイル30は、整列装置100から上方に引き抜かれることによって、複数のセグメントコイル20が円環状に整列された状態を維持したまま、複数のセグメントコイル20の各々の足21を、ステータコアのスリットに一括して挿入することができる。
【0060】
なお、引き続き、半径が大きい整列コイル30を製造する場合は、
図10に示す一連の処理を再度実行すればよい。その際、隙間部101の半径が、新たな整列コイル30に対応する半径となるように、ステップS201において、複数の外径側ガイド部材141を、一斉に外径方向に移動させ、ステップS202において、複数の内径側ガイド部材131を、一斉に外径方向に移動させれば良い。
【0061】
また、
図10に示す一連の処理における各ステップは、整列コイル製造装置10が備えるコンピュータ(図示省略)の制御によって自動的に実行されてもよく、作業員による手作業によって手動で実行されてもよい。
【0062】
以上説明したように、一実施形態に係る整列コイル製造装置10は、ステータコアが有するスロット毎に設けられ、所定の角度間隔で放射状に配置された複数のスリット121と、スリット121に挿入されたセグメントコイル20の足21を内径側から可変にガイドする内径側ガイド130と、スリット121に挿入されたセグメントコイル20の足21を外径側から可変にガイドする外径側ガイド140とを備える。
【0063】
これにより、一実施形態に係る整列コイル製造装置10は、内径側ガイド130および外径側ガイド140のガイド位置を半径方向に移動させることによって、形成される整列コイル30の半径を変更することができる。そして、スリット121に挿入されたセグメントコイル20の足21を、内径側ガイド130および外径側ガイド140によってガイドすることにより、形成される整列コイル30の円周上に、セグメントコイル20を配置することができる。したがって、一実施形態に係る整列コイル製造装置10によれば、複数のセグメントコイル20が整列されてなる整列コイル30を容易に製造することができ、且つ、形成される整列コイル30の半径を容易に変更することができる。
【0064】
また、一実施形態に係る整列コイル製造装置10は、回転可能に設けられ、複数のスリット121を有するブレードロータ120を備え、ブレードロータ120を所定角度回転させる毎に、セグメントコイル20をスリット121に挿入することにより、複数のセグメントコイル20が整列されてなる円環状の整列コイル30を形成できる。
【0065】
これにより、一実施形態に係る整列コイル製造装置10は、形成される整列コイル30の円周上に、複数のセグメントコイル20を容易に配置することができる。
【0066】
また、一実施形態に係る整列コイル製造装置10において、内径側ガイド130は、放射状に配置され、且つ、半径方向に移動可能な複数の内径側ガイド部材131を有し、外径側ガイド140は、放射状に配置され、且つ、半径方向に移動可能な複数の外径側ガイド部材141を有する。
【0067】
これにより、一実施形態に係る整列コイル製造装置10は、形成される整列コイル30の円周の全周に亘って、スリット121に挿入されたセグメントコイル20の足21を、内径側および外径側からガイドすることができる。
【0068】
また、一実施形態に係る整列コイル製造装置10において、内径側ガイド130は、回転することにより、複数の内径側ガイド部材131を一斉に半径方向に移動させる内径側リンクプレート133を有し、外径側ガイド140は、回転することにより、複数の外径側ガイド部材141を一斉に半径方向に移動させる外径側リンクプレート143を有する。
【0069】
これにより、一実施形態に係る整列コイル製造装置10は、複数の内径側ガイド部材131によるガイド位置と、複数の外径側ガイド部材141によるガイド位置とを、容易に変更することができる。
【0070】
また、一実施形態に係る整列コイル製造装置10において、内径側ガイド130は、隣り合う2つの内径側ガイド部材131の先端部131A同士が重なり合っており、外径側ガイド140は、隣り合う2つの外径側ガイド部材141の先端部141A同士が重なり合っている。
【0071】
これにより、一実施形態に係る整列コイル製造装置10は、セグメントコイル20の足21が、形成される整列コイル30の円周から、内径側および外径側に脱落することを防止することができる。
【0072】
また、一実施形態に係る整列コイル製造装置10において、セグメントコイル20は、形成される整列コイル30の円周から所定角度傾斜してスリット121に挿入された後、ブレードロータ120とともに回転することにより、円周上に整列される。
【0073】
これにより、一実施形態に係る整列コイル製造装置10は、既に円周上に整列されているセグメントコイル20と干渉することなく、新たなセグメントコイル20を、スリット121に挿入できる。また、ブレードロータ120を回転させるだけで、セグメントコイル20を容易に円周上に整列させることができる。
【0074】
また、一実施形態に係る整列コイル製造装置10において、内径側ガイド130は、セグメントコイル20の足21の挿入位置にテーパ面131Dを有し、セグメントコイル20は、ブレードロータ120とともに回転したときに、当該セグメントコイル20の足21がテーパ面131Dに当接することにより、円周上に整列される。
【0075】
これにより、一実施形態に係る整列コイル製造装置10は、セグメントコイル20をスリット121に挿入した後、ブレードロータ120を回転させるだけで、当該セグメントコイル20を容易に円周上に整列させることができる。
【0076】
以上、本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形又は変更が可能である。
【符号の説明】
【0077】
10 整列コイル製造装置
11 支持台
11A 天板
12 挿入装置
12A アーム
12B 把持部
20 セグメントコイル
21 足
30 整列コイル
100 整列装置
101 隙間部
120 ブレードロータ
121 スリット
122 ブレード
130 内径側ガイド
131 内径側ガイド部材
131A 先端部
131B 内径側連結ピン
131C ガイド溝
131D テーパ面
132 内径側ハウジング
132A 上側ハウジング
132B 下側ハウジング
133 内径側リンクプレート
133A 内径側ガイド溝
140 外径側ガイド
141 外径側ガイド部材
141A 先端部
141B 外径側連結ピン
142 外径側ハウジング
142A 上側ハウジング
142B 下側ハウジング
142C 中央開口部
142D 固定孔
143 外径側リンクプレート
143A 外径側ガイド溝
144 ボルト