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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024124849
(43)【公開日】2024-09-13
(54)【発明の名称】薄鋼板および連続鋳造鋳片
(51)【国際特許分類】
   C22C 38/00 20060101AFI20240906BHJP
   C22C 38/58 20060101ALI20240906BHJP
   C21D 9/46 20060101ALI20240906BHJP
【FI】
C22C38/00 301W
C22C38/00 301Z
C22C38/58
C21D9/46 F
C21D9/46 S
C22C38/00 301R
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023032798
(22)【出願日】2023-03-03
(71)【出願人】
【識別番号】000006655
【氏名又は名称】日本製鉄株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100187702
【弁理士】
【氏名又は名称】福地 律生
(74)【代理人】
【識別番号】100162204
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 学
(74)【代理人】
【識別番号】100195213
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 健治
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 一
(72)【発明者】
【氏名】山本 研一
(72)【発明者】
【氏名】諸星 隆
(72)【発明者】
【氏名】敷田 達哉
【テーマコード(参考)】
4K037
【Fターム(参考)】
4K037EA01
4K037EA02
4K037EA05
4K037EA06
4K037EA09
4K037EA11
4K037EA13
4K037EA15
4K037EA17
4K037EA18
4K037EA19
4K037EA20
4K037EA22
4K037EA23
4K037EA25
4K037EA27
4K037EA31
4K037EA32
4K037EA36
4K037EB06
4K037EB09
4K037EC04
4K037FA03
4K037FB00
4K037FC04
4K037FE01
4K037JA06
(57)【要約】
【課題】本発明は、0.4~2%Mn含有鋼板においてMnSの生成を抑制しつつ、さらに低融点酸化物の生成を抑制し、且つ酸化物組成を制御することにより酸化物の圧延による破砕性を向上させ、割れ(クラック)起点となる介在物の少ない高清浄化鋼板を提供することを課題とする。
【解決手段】0.4~2%Mn含有鋼であって、S≦0.0034%、O≦0.0040%に制限し、鋼板内部に含まれる粒径5μm以上の酸化物の組成および鋳片内部に含まれる粒径10μm以上の酸化物の組成が以下の式1~式3を満足するようにした鋼板および連続鋳造鋳片。
80≦CaO(%)+REM(%)+Al(%)
・・・・式1
5≦REM(%)≦25
・・・・式2
Al(%)/CaO(%)≦1.50
・・・・式3
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
質量%で、
C :0.05%以上0.48%以下、
Si:0%以上0.60%以下、
Mn:0.40%以上2.0%以下、
Al:0.003%以上0.080%以下、
Ti:0%以上0.060%以下、
Cr:0%以上0.70%以下、
Ca:0.0003%以上0.0050%以下、
REM:0.0010%以上0.0050%以下、
Cu:0%以上0.05%以下、
Nb:0%以上0.05%以下、
V :0%以上0.05%以下、
Mo:0%以上0.05%以下、
Ni:0%以上0.05%以下、
B :0%以上0.0050%以下、を含有し、残部が鉄および不純物からなり、前記不純物のうちP、S、O、Nを、
P:0.020%以下、
S:0.0034%以下、
O:0.0040%以下、
N:0.0075%以下、
に制限し、
厚さ方向断面において面積等価円換算粒径5μm以上の介在物の平均組成が以下の式1~3を満たすことを特徴とする鋼板。
80≦CaO(%)+REM(%)+Al(%)
・・・・式1
5≦REM(%)≦25
・・・・式2
Al(%)/CaO(%)≦1.50
・・・・式3
但し、CaO(%)、REM(%)、Al(%)は各酸化物の質量%を示す。含まれない場合は0を代入する。
【請求項2】
前記鋼板の断面における面積等価円換算粒径5μm以上の介在物の個数密度が1.5個/mm以下である、請求項1に記載の鋼板。
【請求項3】
質量%で、
C :0.05%以上0.48%以下、
Si:0%以上0.60%以下、
Mn:0.40%以上2.0%以下、
Al:0.003%以上0.080%以下、
Ti:0%以上0.060%以下、
Cr:0%以上0.70%以下、
Ca:0.0003%以上0.0050%以下、
REM:0.0010%以上0.0050%以下、
Cu:0%以上0.05%以下、
Nb:0%以上0.05%以下、
V :0%以上0.05%以下、
Mo:0%以上0.05%以下、
Ni:0%以上0.05%以下、
B :0%以上0.0050%以下、
を含有し、残部が鉄および不純物からなり、前記不純物のうちP、S、O、Nを、
P :0.020%以下、
S :0.0034%以下、
O :0.0040%以下、
N :0.0075%以下、
に制限し、
厚さ方向断面において面積等価円換算粒径10μm以上の介在物の平均組成が以下の式1~3を満たすことを特徴とする連続鋳造鋳片。
80≦CaO(%)+REM(%)+Al(%)
・・・・式1
5≦REM(%)≦25
・・・・式2
Al(%)/CaO(%)≦1.50
・・・・式3
但し、CaO(%)、REM(%)、Al(%)は各酸化物の質量%を示す。含まれない場合は0を代入する。
【請求項4】
前記連続鋳造鋳片の断面における面積等価円換算粒径10μm以上の介在物の個数密度が1.5個/mm以下である、請求項3に記載の連続鋳造鋳片。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、板厚の薄い鋼板(薄鋼板、薄板ともいう。)とその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車部品等においては、多くの鋼材が使用されている。例えばスタビライザーなどの足回り部品、サイドインパクトビームなどの補強部品などには棒鋼が使用されている。しかし、自動車の軽量化ニーズは強く、特に電気自動車化の流れにおいて軽量化は喫緊の課題になっている。そのため、棒鋼を鋼管(例えば電縫鋼管)化して軽量化することが進められている。しかし、鋼管化した場合、棒鋼と同等強度を確保するため、引張強度が高く板厚が薄い鋼板を使用するため、鋼中介在物を起点とする割れ(クラック)の発生が問題となる。そのため、介在物の少ない清浄度の高い鋼板が求められている。
【0003】
従来、圧延時に大きく延伸し、圧延方向長さが数百μmにもなる場合のあるMnSが、特に問題視されている。粗大MnS生成を防止するため、溶鋼をCa処理して、主にCaSとしてSを固定することによってMnS生成を抑制する、あるいは、鋳造工程で未凝固軽圧下を行って鋳片の中心偏析を低減する、などの対策が行われている。
【0004】
一方、鋼材の高強度化のために、近年、Mn量を増やした鋼種の採用が増えており、例えば、Mn-B鋼「26MnB5」(成分範囲の例、単位は質量%/C:0.23~0.28%、Si:0.15~0.35%、Mn:1.10~1.40%、B:0.0015~0.0040%)が、自動車部品用素材として使用が増えている。Mnの含有量の増加に伴ってMnSが生成し易くなる。
【0005】
高Mn鋼に対するMnSの低減対策として、様々な技術が提案されている。例えば、特許文献1には、0.01~2%Mn鋼においてS含有量を0.01%以下にし、さらにCa、REMの硫化物を析出させることにより、Mnと結合するS量を低減することで、延伸MnSの低減を図ることが提案されている。
【0006】
特許文献2も特許文献1と同様、S含有量を抑え、CaとREMにより硫化物を析出させることによりMnSの生成を抑制している。具体的には、0.2~1.5%Mn鋼において、S含有量を0.002%以下にし、さらにCaとREMの片方または両方をS量に応じて含有量を規定している。
【0007】
特許文献3は、寒冷地での路面凍結防止剤としてNaClなどの塩化物に対する耐腐食疲労特性を改善した0.1~2%Mn鋼に関する発明であるが、腐食ピットの起点が10μm以上のMnSと10μm以下のTiS粒子であることを突き止め、これら粒子の析出を抑制したものである。具体的には、特許文献1,2と同様にSを0.01%以下にし、Caを添加して球状硫化物を優先的に析出させるものである。
【0008】
特許文献4は、0.4~2%Mn鋼に関する発明であるが、圧延により延伸される介在物(延伸介在物)は先端が切欠き状であるため有害であり、延伸介在物にはMnSに加えて低融点酸化物があるので、低融点酸化物の対策について提唱している。MnS抑制のためCaとREMを添加することは特許文献1~3と同様であるが、CaO-Al系酸化物などの低融点酸化物が生成するのを避ける手段としてT.O(トータル酸素)を制御し、酸素量に応じてCaを制御し、酸化物を高融点組成に制御することを提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2012-224915号公報
【特許文献2】特開2008-081823号公報
【特許文献3】再公表WO2017/056384号公報
【特許文献4】特開2020-84281公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
自動車部品の軽量化に向け、2%Mn含有鋼板などの高強度鋼板において介在物を更に抑制した高清浄化鋼板が要求されている。前出した特許文献4は、有害な介在物として延伸介在物に着目し、MnSを低減させ、さらに低融点酸化物の生成を抑制し高融点組成側に制御したものである。しかし、高融点化した酸化物は延伸性のない介在物(非延伸介在物)ではあるが、そうであっても粒径が大きいものは有害であることに変わりない。特許文献4に記載の発明においても、粒径5μmを超える粗大介在物を皆無にできるわけではないため、さらなる介在物の微細化が求められている。
【0011】
そこで、本発明は、2%Mn含有鋼板などにおいて、粒径5μmを超える粗大介在物の生成を抑制することを課題とし、このような粗大介在物を低減した鋼板(高清浄度鋼板)を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述の課題を達成するために、本発明者らが鋭意検討した結果、以下のような知見を得た。
MnSの生成を抑制するため、S含有量を可能な限り低減させ、さらにCaやREMの硫化物を優先的に生成させることにより、2%Mn鋼であってもMnSを抑制することができる。
【0013】
さらに本発明者らは、延伸性介在物となる低融点酸化物の生成を抑制し、高融点化した酸化物が生成する際に、延伸性がなく破壊し易い酸化物を生成できないか検討を進めた。その結果、酸化物の成分組成を制御し、溶鋼から冷却中に液相の酸化物の内部に一部固相(酸化物)を生成させ、凝固後に液相から生成したガラス質と酸化物が共存する介在物にすることで、圧延を行う際に、ガラス質と酸化物の界面などから破砕しやすくなる介在物を得ることができることを見出した。すなわち、介在物中の酸化物の組成を適度に制御することで、圧延時に破砕、微細分散でき、2%Mn鋼のような高強度鋼板であっても、割れやクラックのない高清浄度鋼板を得ることができることを見出した。本発明は、上述の知見に基づいてなされたものであって、その要旨は以下のとおりである。
【0014】
[1]
質量%で、
C :0.05%以上0.48%以下、
Si:0%以上0.60%以下、
Mn:0.40%以上2.0%以下、
Al:0.003%以上0.080%以下、
Ti:0%以上0.060%以下、
Cr:0%以上0.70%以下、
Ca:0.0003%以上0.0050%以下、
REM:0.0003%以上0.0050%以下、
Cu:0%以上0.05%以下、
Nb:0%以上0.05%以下、
V :0%以上0.05%以下、
Mo:0%以上0.05%以下、
Ni:0%以上0.05%以下、
B :0%以上0.0050%以下、
を含有し、残部が鉄および不純物からなり、
前記不純物のうちP、S、O、Nを、
P :0.020%以下、
S :0.0034%以下、
O :0.0040%以下、
N :0.0075%以下、
に制限し、
厚さ方向断面において面積等価円換算粒径5μm以上の介在物の平均組成が以下の式1~3を満たすことを特徴とする鋼板。
80≦CaO(%)+REM(%)+Al(%)
・・・・式1
5≦REM(%)≦25
・・・・式2
Al(%)/CaO(%)≦1.50
・・・・式3
但し、CaO(%)、REM(%)、Al(%)は各酸化物の質量%を示す。含まれない場合は0を代入する。
[2]
前記鋼板の断面における面積等価円換算粒径5μm以上の介在物の個数密度が1.5個/mm以下である、[1]に記載の鋼板。
[3]
質量%で、
C :0.05%以上0.48%以下、
Si:0%以上0.60%以下、
Mn:0.40%以上2.0%以下、
Al:0.003%以上0.080%以下、
Ti:0%以上0.060%以下、
Cr:0%以上0.70%以下、
Ca:0.0003%以上0.0050%以下、
REM:0.0010%以上0.0050%以下、
Cu:0%以上0.05%以下、
Nb:0%以上0.05%以下、
V :0%以上0.05%以下、
Mo:0%以上0.05%以下、
Ni:0%以上0.05%以下、
B :0%以上0.0050%以下、
を含有し、残部が鉄および不純物からなり、前記不純物のうちP、S、O、Nを、
P :0.020%以下、
S :0.0034%以下、
O :0.0040%以下、
N :0.0075%以下、
に制限し、
厚さ方向断面において面積等価円換算粒径10μm以上の介在物の平均組成が以下の式1~3を満たすことを特徴とする連続鋳造鋳片。
80≦CaO(%)+REM(%)+Al(%)
・・・・式1
5≦REM(%)≦25
・・・・式2
Al(%)/CaO(%)≦1.50
・・・・式3
但し、CaO(%)、REM(%)、Al(%)は各酸化物の質量%を示す。含まれない場合は0を代入する。
[4]
前記連続鋳造鋳片の断面における面積等価円換算粒径10μm以上の介在物の個数密度が1.5個/mm以下である、[3]に記載の連続鋳造鋳片。
【0015】
このような構成の薄鋼板および薄鋼板用の連続鋳造鋳片にすれば、Sと結合するCaやREM量が確保され、MnS系介在物を低減することが可能となる。また、鋼中の介在物組成を上述のように規定しているので、圧延時の破砕性が増し、圧延後のサイズが微細化するので、有害性を低減できる。よって、使用時や加工時におけるクラック等の発生が抑制された高品位な薄鋼板および薄鋼板用の連続鋳造鋳片を提供することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば2%Mn鋼であっても、加工時や使用時に破壊の起点となり得る介在物を抑制し、清浄度に優れた高強度鋼を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、本発明の実施形態である鋼板について説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではない。成分含有量に関する「%」は、特に断りのない限り質量%を示すものとする。特に下限を規定していない場合や下限が0%となっているものは、含有しない場合(0%)も含む。
【0018】
(C:0.05%以上0.48%以下)
C(炭素)は、鋼板の強度(硬度)を確保するうえで重要な元素である。C含有量が少な過ぎると強度を確保することができないため、0.05%以上とする。一方、C含有量が多くなり過ぎると、加工性が悪化するおそれがあるので、0.48%以下の範囲に制御する。
【0019】
(Si:0%以上0.60%以下)
Si(ケイ素)は、脱酸剤として作用し、また、焼入れ性を高めて鋼板の強度(硬度) を向上させるのに有効な元素であるので含有してもよい。一方で、Si含有量が多くなると、熱間圧延時のスケール疵に起因する鋼板の表面性状の劣化を招くおそれがある。例えば、動力伝達シャフトの様に非常に大きなねじれ応力が加わる部品では表面の微小な凹凸が亀裂発生起点となる可能性があり、安全性に直結する。そのためSi含有量は0.60%以下にするとよい。添加する場合、効果を確実に得る観点からSi含有量の下限は0.10%であることが好ましく、Si含有量の上限は0.55%以下であることが好ましい。
【0020】
(Mn:0.40%以上2.0%以下)
Mn(マンガン)は、脱酸剤として作用する元素であるとともに、焼入れ性を高めて鋼板の強度(硬度)を向上させるのに有効な元素である。Mn含有量が少ないと、その効果が十分得られないので0.40%以上にするとよい。一方、Mn含有量が多くなると、鋼板の加工性が劣化するおそれがある。さらに延伸性介在物であるMnSを生成し易くなるので、Mn含有量を2.0%以下に制御する。なお、Mn含有量の下限は0.90%以上であることが好ましく、Mn含有量の上限は1.65%以下であることが好ましい。
【0021】
(Al:0.003%以上0.080%以下)
Al(アルミニウム)は、脱酸剤として作用する元素であるとともに、Nを固定することで鋼板の加工性を高めるのに有効な元素であることから、Al含有量は0.003%以上にするとよい。一方、Al含有量が多くなると、効果は飽和し、さらに、粗大な介在物が増加する。この粗大な介在物によって、加工性が劣化して、表面疵が発生し易くなるおそれがあるので、Al含有量を0.080%以下に制御するとよい。なお、Al含有量の下限は0.010%以上、または0.020%以上であることが好ましく、Al含有量の上限は0.070%以下、または0.050%以下であることが好ましい。
【0022】
(Ti:0%以上0.060%以下)
Ti(チタン)は、炭窒化物を形成することにより強度を高める効果があるので、必要に応じて、含有させても良い。一方、Ti含有量が多くなると、粗大な角状の炭窒化物が形成されやすくなり、加工性の劣化が顕在化するので、Ti含有量を0.060%以下に制限するとよい。Ti含有量の下限は0%でもよい。また、現行の一般的な精錬(二次精錬を含む)を考慮すると、Ti含有量の下限は0 .0005%以上であってもよい。
【0023】
(Cr:0%以上0.70%以下)
Cr(クロム)は、焼入れ性を高めて鋼板の強度(硬度)を向上させるのに有効な元素である。そのため、必要に応じて含有させても良い。一方、Cr含有量が多くなると、効果は飽和し、窒化物が生成し介在物になる恐れがあるので、Cr含有量を0.70%以下に制御するとよい。
【0024】
(Ca:0.0003%以上0.0050%以下)
Ca(カルシウム)は、CaSを優先的に生成し、MnSの生成を抑制する効果があるので、0.0003%以上含有するとよい。一方、Ca含有量が多くなり過ぎると、酸化物、および/またはCaS系介在物などが粗大化し、これらによって鋼板の加工性が悪化するおそれがあり、さらに、連続鋳造のノズル耐火物が溶損しやすくなることにより連続鋳造の操業が安定しなくなるおそれがある。よって、Ca含有量を0.0050%以下の範囲に制御するとよい。なお、Ca含有量の下限は0.0010%以上とすることが好ましく、Ca含有量の上限は0.0035%以下とすることが好ましい。
【0025】
(REM:0.0003%以上0.0050%以下)
REM(Rare Earth Metal)は希土類元素を意味し、スカンジウムSc(原子番号21)、イットリウムY(原子番号39)およびランタノイド(原子番号5 7のランタンから原子番号71のルテシウムまでの15元素)の17元素の総称である。本実施形態に係る鋼板では、これらのうちから選ばれる少なくとも1種以上の元素を含有する。一般的に、REMとして、入手のし易さから、Ce(セリウム)、La(ランタン)、Nd(ネオジム)、Pr(プラセオジム)などから選ばれることが多い。添加方法としては、例えば、鋼中にこれらの元素の混合物であるミッシュメタルとして添加することが広く行われている。ミッシュメタルの主成分はCe、La、Nd、およびPrである。本実施形態に係る薄鋼板および薄鋼板用の連続鋳造鋳片では、鋼材に含有されるこれら希土類元素の合計量を、REM含有量とする。
【0026】
REMは、それ自体の硫化物を優先的に生成しMnSの生成を抑制する効果があるので0.0003%以上含有するとよく、好ましくは0.0010%以上にするとよい。一方、REM含有量が多くなり過ぎると、連続鋳造時のノズル詰まりが起こりやすくなるだけでなく、生成するREM系介在物(酸化物やオキシサルファイド)の個数密度が比較的高くなるので、鋳片の連続鋳造時に湾曲する鋳片の下面側にこれらREM系介在物が堆積する。このことが、鋳片を圧延して得られた製品に内部欠陥を引き起こし、さらに、鋼板の加工性を悪化させるおそれがある。そのため、REM含有量を0.0050%以下に制御するとよい。
【0027】
さらに必要に応じてCu、Nb、V、Mo、Ni、Bのうちの1種以上を含有してもよい。これら元素は含まなくてもよいので、その含有量の下限は0%である。
【0028】
(Cu:0%以上0.05%以下)
Cu(銅)は、鋼板の強度(硬度)を向上させる効果を有する選択元素である。一方、Cu含有量が多くなると、溶融金属脆化(Cu割れ)によって熱間圧延時に熱間加工割れが生じるおそれがあるので、含有量は0.05%以下にするとよい。なお、Cu含有量の好ましい範囲は0.02%以上であり、0.04%以下であるとよい。
【0029】
(Nb:0%以上0.05%以下)
Nb(ニオブ)は、炭窒化物を形成し、結晶粒の粗大化防止および鋼板の加工性の改善に有効な選択元素である。一方、Nb含有量が多くなると、粗大なNb炭窒化物が析出して鋼板の加工性の低下を招くおそれがあるので、含有量は0.05%以下にするとよい。なお、Nb含有量の好ましい範囲は0.02%以上であり、0.04%以下であるとよい。
【0030】
(V:0%以上0.05%以下)
V(バナジウム)は、Nbと同様に炭窒化物を形成し、結晶粒の粗大化防止や加工性の改善に有効な選択元素である。一方、V含有量が多くなると、粗大なV炭窒化物が生成して鋼板の加工性の低下を招くおそれがあるので、含有量は0.05%以下にするとよい。なお、V含有量の好ましい範囲は0.02 %以上であり、0.04%以下であるとよい。
【0031】
(Mo:0%以上0.05%以下)
Mo(モリブデン)は、焼入れ性の向上と焼戻し軟化抵抗性の向上とにより、鋼板の強度(硬度)を向上させる効果を有する選択元素である。一方、Mo含有量が多くなると、コストが増加し、且つ含有効果は飽和するだけでなく、鋼板の加工性、特に冷間加工性が低下し、これにより、鋼板を複雑な形状(例えばギヤ形状など)に加工することが困難になるので、含有量は0.05%以下にするとよい。なお、Mo含有量の好ましい範囲は0.01%以上であり、0.04%以下であるとよい。
【0032】
(Ni:0%以上0.05%以下)
Ni(ニッケル)は、焼入れ性の向上による鋼板の強度(硬度)の向上や、加工性の向上に有効な選択元素である。また、Cu含有時の溶融金属脆化(Cu割れ)を防止する効果も有する選択元素である。一方、Ni含有量が多くなると、コストが増加する一方で、含有効果は飽和するので、Ni含有量の上限を0.05%とする。なお、Ni含有量の好ましい範囲は0.02%以上であり、0.04%以下であるとよい。
【0033】
(B:0%以上0.0050%以下)
B(ホウ素)は、焼入れ性を高めて鋼板の強度(硬度)を向上させる効果を有する選択元素である。一方、B含有量が多くなると、B系化合物が生成して鋼板の加工性が低下するので上限を0.0050%とする。なお、B含有量の好ましい範囲は0.0015%以上であり、0.0040%以下であるとよい。
【0034】
本実施形態に係る薄鋼板および薄鋼板用の連続鋳造鋳片は、上記した基本成分の他の残部はFeおよび不純物である。ここで、不純物とは、スクラップ等の副原料や、製造工程から不可避的に混入する、P、S、O、N、Cd、Zn、Sb、W、Mg、Zr、As、Co、Sn、およびPb等の元素を意味する。これら元素の含有量は少ない方が好ましいので、下限値は0%である。特に、P、S、O、およびNは、硫化物や酸化物を生成し易いため、以下のように制限する。また、P、S、O、およびN以外の上記不純物は、それぞれ0.01%以下に制限することが好ましい。ただ、これらの不純物が、0.01%以下含まれても、本発明の効果を失するものではない。
【0035】
(P:0.020%以下)
P(リン)の過剰含有は、鋼板の加工性を阻害するので、P含有量を0.020%以下に制限する。P含有量の下限は0%でもよい。また、現行の一般的な精錬(二次精錬を含む)を考慮すると、P含有量の下限は0.005%以上であってもよい。
【0036】
(S:0.0034%以下)
S(硫黄)は、MnSを主とする非金属介在物を形成するできるだけ少ない方がよく、S含有量を0.0034%以下に制限し、好ましくは、0.0020%以下に制限する。S含有量の下限は0%でもよい。また、現行の一般的な精錬(二次精錬を含む)を考慮すると、S含有量の下限は0.0003%以上であってもよい。
【0037】
(O:0.0040%以下)
O(酸素)は、酸化物(非金属介在物)を形成し、この酸化物が凝集および粗大化することにより、また、酸化物の組成によっては圧延時に延伸することにより、鋼板の加工性を低下させる不純物元素である。よって、O含有量は少ない方がよく0.0040%以下に制限する。O 含有量の下限は0%でもよい。また、現行の一般的な精錬(二次精錬を含む)を考慮すると、O含有量の下限は0.0005%以上であってもよい。本実施形態に係る薄鋼板および薄鋼板用の連続鋳造鋳片のO含有量は、鋼中に固溶するOや、介在物中に存在するOなどの、すべてのO含有量を合計したトータルO含有量(T.O含有量)を意味する。
【0038】
(N:0.0075%以下)
N(窒素)は、窒化物(非金属介在物)を形成し、鋼板の加工性を低下させる不純物元素であるので、N含有量を0.0075%以下に制限する。N含有量の下限は0%でもよい。また、現行の一般的な精錬(二次精錬を含む)を考慮すると、N含有量の下限は0.0010%であってもよい。
【0039】
[酸化物]
圧延後の薄鋼板および圧延前の薄鋼板用連続鋳造鋳片(以下、薄鋼板および連続鋳造鋳片を合わせて鋼材と呼ぶ。)の厚さ方向断面(鋼材表面に垂直断面)において、1個あたりの面積等価円換算粒径(同一面積の円の直径)が薄鋼板で5μm以上、連鋳鋳片で10μm以上の粗大介在物に含まれる酸化物の平均組成が以下の範囲にあるとよい。その理由を説明する。ここで、連続鋳造鋳片の粗大介在物の円相当径が10μm以上としたのは、圧延後の薄鋼板では、圧延により粗大介在物が破砕されて円相当径が5μm以上になることを考慮したからである。なお、酸化物の平均組成とは、対象となる介在物全体に対して含有される各酸化物の質量%を示す。各酸化物の平均組成(質量%)の測定方法は後述する。
80≦CaO(%)+REM(%)+Al(%)
・・・式1
5≦REM(%)≦25
・・・式2
Al(%)/CaO(%)≦1.50
・・・式3
但し、CaO(%)、REM(%)、Al(%)は各酸化物の質量%を示す。含まれない場合は0を代入する。
【0040】
(80≦CaO(%)+REM(%)+Al(%))
CaOとREMとAlの合計が少なくなると、その他の酸化物、例えば硬質酸化物であるMgOやMnOやSiO2が介在物中に含有され、介在物の圧延時の破砕性が悪化し、鋼板中のクラック起点となり易くなる。そのため、CaOとREMとAlの合計は80%以上であるとよい。好ましくは85%以上、または90%以上であるとよい。上限は100%であってもよいので特に限定しない。
【0041】
(5≦REM(%)≦25)
REMが少な過ぎると介在物中のガラス質が多くなるので、圧延時に延伸しやすくなり、粗大な延伸介在物が残留する。そのため、REMを5%以上にするとよい。一方、REMが多くなり過ぎると連続鋳造時のノズル詰まりが起こりやすくなる。このため、REMを25%以下にするとよい。
【0042】
(Al(%)/CaO(%)≦1.50)
Al(%)/CaO(%)が1.50以上では介在物中の酸化物の量が多くなるので圧延時に粗大な酸化物が残留するので清浄性が悪化する。このため、Al(%)/CaO(%)≦1.50の範囲に制御する。
【0043】
(各酸化物の平均組成(質量%)の測定方法)
試料の圧延方向と板厚方向とに平行な断面を観察面として、光学顕微鏡により倍率400倍(介在物形状を詳細に測定する際は倍率1000倍)以上で、0.1mmの視野で少なくとも10視野観察する。各観察視野で、粒径(面積等価円換算粒径)が薄鋼板では5μm以上、連続鋳造鋳片では10μm以上の介在物(以下観察対象介在物と呼ぶ。)を観察する。これらの介在物の単位面積(1mm)当たりの個数を介在物指数とした。介在物指数1.5未満は清浄性良好と判断できる。
【0044】
各観察対象介在物の観察断面全体の組成(各酸化物の含有量(質量%))をSEMに付属したEDX装置を用いて分析し、各観察対象介在物の観察断面の面積を乗算して各酸化物の平均組成を求めた。観察対象介在物が5個以上抽出された場合は、ランダムに5個選択し、その5個の介在物で各酸化物の平均組成を求めてもよい。
各観察対象介在物の組成として、例えば介在物中心部の組成で代表させるのではなく、断面全体の平均組成を測定したのは、例えば単独MnSの様に組成が均一な介在物より、Al-CaO-REM系酸化物の周囲の一部にMnSやCaSが付着する場合のような複合介在物が多いためである。この様な複合介在物の平均組成は、介在物全断面をEDX分析範囲に含めて分析すれば求めることができる。あるいは、それぞれの介在物中の相(または結晶粒)ごとに、点分析を行い、SEM像から求まるそれぞれの相(または結晶粒)の面積率を乗じて平均組成を算出しても良い。
【0045】
CaO、Al、REMの組成量は、SEM付属EDSによる介在物分析結果を基に、元素のマスバランスを考慮して算出することができる。EDS分析結果は、元素別に質量%で出力される。以下の説明では、介在物から検出された元素または化合物Mの含有量を(M)のように表記する。
(Ca)、(Al)、(REM)のそれぞれから、原子量を用いて、酸化物量を算出すればよい。例えば、Alの含有量(質量%)である(Al)は、測定したAlの質量%(Al)とAlの原子量27と酸素の原子量16を用いて、(Al)=(27×2+16×3)×(Al)/(27×2)で計算できる。なお、介在物をSEMで観察して、介在物にAlNがある場合は除外する。AlNは特徴的な角形状なので、SEM観察で容易に判別可能である。ここでは介在物組成に影響するミクロンオーダーやサブミクロンオーダーサイズのAlNを問題にしており、それより小さなAlN析出物の生成は介在物組成には影響しないので無視してよい。基本的には、同様の方法で、(Ca)から(CaO)を、(REM)から(REM)を求めることができる。ここで、(REM)は、検出された希土類元素の合計量、例えばCe、La、Ndが検出された場合はそれらの合計量を(REM)とした。なお、CaやREMは、酸化物のほか、硫化物も形成するので、Sのマスバランスを考慮して、Sと結合して硫化物を形成するCaやREMを差し引いて、酸化物を形成するCaとREMの量を求めることに注意する必要がある。Al脱酸鋼の場合、介在物から検出されたMnはMnSから検出されたとみなせるので、MnSを形成するS量を、MnとSの原子量を用いて、32/55 ×(Mn)から計算し、S総量から除く。このS残量が、CaS、REM2O2S(オキシサルファイド)、REMS(REM原子とS原子がモル比1:1で結合した硫化物)を形成しているS量である。熱力学的に、CaSが最も生成し易く、次にREM2O2S、最後にREMSが生成すると考えられる。この順番で、Sのマスバランスを考慮して、硫化物やオキシサルファイドの生成量を計算すればよい。こうして求めた硫化物やオキシサルファイドを形成するCaやREMを、それぞれの総量から差し引いた残量が、酸化物を形成しているCa量、REM量である。Ca、REM、Oの原子量を用いて、(CaO)、(REM)を計算すればよい。
【0046】
(製造方法)
次に、本実施形態に係る鋼板の製造方法の一例について説明する。
本実施形態に係る薄鋼板および薄鋼板用の連続鋳造鋳片は、一般的な薄鋼板および薄鋼板用の連続鋳造鋳片と同様に、例えば高炉溶銑を原料とし、転炉精錬や二次精錬を行って製造した溶鋼を、連続鋳造によって連続鋳造鋳片とした後、その鋳片に熱間圧延、必要に応じ冷間圧延、および/または焼鈍などを行って薄鋼板にする。その際、転炉における脱炭処理の後、取鍋での二次精錬で、鋼の成分調整とともに、CaおよびREMの添加による介在物制御を行う。なお、高炉溶銑のほか、鉄スクラップを原料として電気炉で溶解した溶鋼を原料として用いてもよい。
【0047】
CaおよびREMは、転炉精錬や二次精錬で他の含有元素の成分を調整し、さらに、Al脱酸により生じるAlを溶鋼から浮上分離させてから、添加する。Alが溶鋼中に多量に残存している時にCaやREMを添加すると、CaやREMがAlの還元によって消費されるからである。そのため、Sの固定に使われるCaおよびREMの量が減少し、MnSの生成を十分に防止できなくなる。
【0048】
Caは、蒸気圧が高いので、Ca-Si合金、Fe―Ca-Si合金、あるいはCa-Ni合金等として添加するのがよい。これらの合金添加のために、これら合金から構成される合金ワイヤーを用いてもよい。REMは、Fe-Si-REM合金、およびミッシュメタル等の形で添加すればよい。ミッシュメタルとは希土類元素の混合物であり、具体的には、Ceを40~50%程度、Laを20~40%程度含有することが多い。例えば、Ce45%、La35%、Nd9%、Pr6%、他不純物からなるミッシュメタルなどが入手できる。
【0049】
CaおよびREMの添加順序は特に制限されるものではない。しかし、REM添加後にCa添加すると、介在物のサイズが小さくなる傾向が見られる。従って、REM添加後にCaを添加するのが好ましい。
【0050】
Al脱酸後にAlが生成され、このAlのうち一部がクラスター化する。しかし、REMをCaよりも先に添加すると、クラスターの一部が還元・分解され、クラスターのサイズを低減できる。一方、CaをREMよりも先に添加すると、Alが低融点のCaO-Al系介在物に変化し、上記Alクラスターが凝集して単一の粗大なCaO-Al系介在物となってしまうおそれがある。このため、REM添加後にCa添加することが好ましい。
【0051】
本実施形態の鋼板および鋳片であれば、酸化物の主要組成を三元系、Al-CaO-REM系としているので、酸化物の周囲にガラス質が生成しており、圧延時の破砕容易性が増し、圧延後に介在物サイズが微細化するので、無害化できる。よって、使用時や加工時におけるクラック等の発生が抑制された高清浄な鋼板を提供することができる。
以上、本発明の実施形態である鋼板について説明したが、本発明はこれに限定されることはなく、その発明の技術的思想を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。例えば、実施形態では、本発明の鋼板を製造する鋼板の製造方法の一例を示したが、これに限定されることはなく、他の製造方法を適用してもよい。
【実施例0052】
以下に、本発明の実施例について説明する。
所定の成分にした鋼を溶製した後、まずAlを添加して脱酸を行い、次にTiなどのその他の元素の成分を調整した後、Al脱酸で生じたAlを浮上させるため5分間以上保持した後に、REMを添加し、均一に混合するために3分間保持してから、Ca-Si合金によりCaを添加した。REMは質量比でCe50%、La25%、Nd10%であり、残部が不純物であるミッシュメタルを用いて添加した。
【0053】
精錬後の溶鋼を連続鋳造により厚み250mmの連続鋳造鋳片とした。その後、この鋳片を分割し、一つを連続鋳造鋳片のサンプルとした。もう一つの鋳片を1200℃に加熱した後で1時間保持し、次いで仕上げ圧延温度が920℃となるように熱間圧延して板厚を5mmにした後、巻取温度が520℃で巻き取った。
表1に各実施例の成分と介在物指数、介在物平均組成の測定結果を示す。介在物指数、介在物平均組成は以下に示す方法で調査した。
【0054】
得られた連続鋳造鋳片と熱延鋼板の幅方向の中央部から観察用試料を切り出し、介在物の組成と個数を調査した。試料の圧延方向と板厚方向とに平行な断面を観察面として、光学顕微鏡により倍率400倍、1視野0.1mmで60視野観察した。各観察視野で、粒径(面積等価円換算粒径)が鋳片では10μm以上の、熱延鋼板では5μm以上の介在物を観察し、これらの介在物の単位面積(1mm)当たりの個数を介在物指数とした。介在物指数1.5未満を清浄性良好(合格)とした。
【0055】
また、鋳片では10μm以上の、熱延鋼板では5μm以上である介在物5個をランダムに選択し、各介在物の断面全体の平均組成をSEMに付属したEDX装置を用いて分析し、平均組成を求めた。
【0056】
No.9~12は比較例である。No.9は介在物中REM濃度が低く、No.10~12はAl(%)/CaO(%)が1.50を超えているため、介在物指数が1.5以上となった。
【0057】
介在物平均組成の条件を満たした実施例No.1~8は、介在物指数1.5を下回り、清浄性を確保できた。
【0058】
【表1】
【0059】
【表2】
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明は鉄鋼製造業において利用することができる。また本発明により得られた鋼板は、鉄鋼業のみならず自動車工業、一般機械産業などのあらゆる産業分野で利用することができる。