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特開2024-124870エアロゾル形成部材とエアロゾル吸引カートリッジ
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  • 特開-エアロゾル形成部材とエアロゾル吸引カートリッジ 図1
  • 特開-エアロゾル形成部材とエアロゾル吸引カートリッジ 図2
  • 特開-エアロゾル形成部材とエアロゾル吸引カートリッジ 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024124870
(43)【公開日】2024-09-13
(54)【発明の名称】エアロゾル形成部材とエアロゾル吸引カートリッジ
(51)【国際特許分類】
   A24F 40/465 20200101AFI20240906BHJP
   A24F 40/20 20200101ALI20240906BHJP
   A24F 40/42 20200101ALI20240906BHJP
【FI】
A24F40/465
A24F40/20
A24F40/42
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023032825
(22)【出願日】2023-03-03
(71)【出願人】
【識別番号】721008039
【氏名又は名称】Future Technology株式会社
(72)【発明者】
【氏名】劉 凱鵬
【テーマコード(参考)】
4B162
【Fターム(参考)】
4B162AA03
4B162AA22
4B162AB12
4B162AB22
4B162AC13
4B162AC22
(57)【要約】
【課題】 加熱部材の錆による発熱能力の低下が少なく、高いエアロゾル発生量を有するエアロゾル形成部材を提供することと、誘導加熱部材を有さなくとも、現状の誘導加熱装置を使用可能なエアロゾル形成部材を提供することを目的とする。
【解決手段】 エアロゾル吸引カートリッジ10に使用される円柱形状のエアロゾル形成部材1であって、筒形状の内装部材11と、その筒形状の内部に収納され、加熱することでエアロゾルを発生させる素材よりなる充填物13と、その内部に収納され、交流電場に反応して熱を発生させる誘電加熱部材12と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル吸引カートリッジに使用される円柱形状のエアロゾル形成部材であって、
筒形状の内装部材と、
前記内装部材の筒形状の内部に収納され、加熱することでエアロゾルを発生させる素材よりなる充填物と、
前記充填物の内部に収納され、交流電場に反応して熱を発生させる誘電加熱部材と、を備える、
ことを特徴とする、エアロゾル形成部材。
【請求項2】
前記交流電場は、その周波数が3MHz~30GHzの範囲にある、
ことを特徴とする、請求項1に記載のエアロゾル形成部材。
【請求項3】
前記誘電加熱部材は、酸化チタン、チタン酸バリウム、雲母、プラスチックまたは酸化アルミニウムのいずれかを素材とする、
ことを特徴とする、請求項1に記載のエアロゾル形成部材。
【請求項4】
前記充填物の内部に収納され、交番磁界に反応して熱を発生させる誘導加熱部材を備える、
ことを特徴とする、請求項1に記載のエアロゾル形成部材。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載のエアロゾル形成部材を使用したエアロゾル吸引カートリッジであって、誘導加熱装置で使用される、
ことを特徴とする、エアロゾル吸引カートリッジ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアロゾル形成部材とそれを使用したエアロゾル吸引カートリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、火炎を用いることなく、タバコの成分を含むタバコカートリッジを加熱して、気化したタバコ成分を吸引する方式のタバコ製品が広く知られている。また、嗜好の多様化から、タバコ成分を含まない植物の芳香や味わいを、タバコ同様に火炎を用いずに楽しむためのカートリッジ製品を使用したエアロゾル吸引カートリッジも知られ始めている。
【0003】
このようなエアロゾル吸引カートリッジは、充填物が集積されたエアロゾル形成部材を加熱することで、エアロゾルを発生させる。エアロゾル形成部材の加熱方法として、(1)加熱装置内部に設置された加熱ブレードに、エアロゾル吸引カートリッジを挿入して、加熱ブレードを電気的に加熱することで充填物を加熱する方式(抵抗加熱式)と(例えば特許文献1参照)の他に、(2)エアロゾル形成部材の充填物の内部に予め強磁性体を主成分とした部品である誘導加熱部材を配設し、誘導加熱装置で発生させた交番磁界により、誘導加熱部材内部にヒステリシス損及びジュール熱を発生させて加熱(誘導加熱)することで、充填物を加熱する方式(誘導加熱式)が知られている(例えば特許文献2参照)。
【0004】
ここで、誘導加熱部材は専ら金属を素材としているため、充填物の中に長期間おかれることで、錆が発生し、そのために発熱能力が低下することが問題となっていた。また、使用されている素材の特性によっては、十分な加熱ができないといった問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表2015-519915号公報
【特許文献2】特開2021-175399号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、加熱部材の錆による発熱能力の低下が少なく、高いエアロゾル発生量を有するエアロゾル形成部材を提供することを目的とする。
【0007】
また、誘導加熱部材を有さなくとも、現状の誘導加熱装置を使用可能なエアロゾル吸引カートリッジを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、エアロゾル吸引カートリッジに使用される円柱形状のエアロゾル形成部材であって、筒形状の内装部材と、前記内装部材の筒形状の内部に収納され、加熱することでエアロゾルを発生させる素材よりなる充填物と、前記充填物の内部に収納され、交流電場に反応して熱を発生させる誘電加熱部材と、を備える、ことを特徴とする、エアロゾル形成部材である。
請求項2に記載の発明は、前記交流電場は、その周波数が3MHz~30GHzの範囲にある、ことを特徴とする、請求項1に記載のエアロゾル形成部材である。
請求項3に記載の発明は、前記誘電加熱部材は、酸化チタン、チタン酸バリウム、雲母、プラスチックまたは酸化アルミニウムのいずれかを素材とする、ことを特徴とする、請求項1に記載のエアロゾル形成部材である。
請求項4に記載の発明は、前記充填物の内部に収納され、交番磁界に反応して熱を発生させる誘導加熱部材を備える、ことを特徴とする、請求項1に記載のエアロゾル形成部材である。
請求項5に記載の発明は、請求項1から4のいずれか一項に記載のエアロゾル形成部材を使用したエアロゾル吸引カートリッジであって、誘導加熱装置で使用される、ことを特徴とする、エアロゾル吸引カートリッジである。
【発明の効果】
【0009】
この発明によれば、誘電体を発熱体として使用することで、誘導加熱式の誘導加熱部材に比べて錆による発熱能力の低下が少ないので、エアロゾル発生量の高いエアロゾル形成部材1を得ることが可能となる。
【0010】
また、誘電体は金属に比べて柔らかく加工性が良いものが多いため、エアロゾル形成部材に生産効率を高めることが可能となる。
【0011】
また、誘電加熱部材に使用する誘電体を誘導加熱用装置の発する電磁波の周波数で発熱するものにすることで、これを使用したエアロゾル吸引カートリッジは、誘導加熱部材を有さなくとも、従来の誘導加熱装置を使用することが可能である。
【0012】
また、誘電加熱部材と誘導加熱部材を併用することで、誘電加熱と誘導加熱の両方を同時に行えるので、加熱効率がよく、エアロゾル発生量の高いエアロゾル形成部材を得ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】発明の実施の形態1に係るエアロゾル形成部材の概略の側面断面図(a)と正面断面図(b)である。
図2】発明の実施の形態1に係るエアロゾル吸引カートリッジ10の側面断面図である。
図3】発明の実施の形態2に係るエアロゾル形成部材の概略の側面断面図(a)と正面断面図(b)である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施の形態について、添付の図面を参照しながら説明する。なお、図面において、図面中の各部の構成の大きさ、間隔、数、その他詳細は、視認と理解の助けのために 、実際の物に比べて大幅に簡略化して表現している。
【0015】
実施の形態1
図1は、実施の形態1に係るエアロゾル形成部材1の概略の側面断面図と正面断面図であり、図2は、エアロゾル形成部材1を使用したエアロゾル吸引カートリッジ10の側面断面図である。ここで、エアロゾル吸引カートリッジ10は、エアロゾル形成部材1と、支持部材14と、フィルタ15と、フィルタ15の反対側の端に配置されるシール部材17とが直線的に配列され、円筒状の外装部材16に収納されて細長い円柱形状に形成されている。
【0016】
エアロゾル吸引カートリッジ10は、全体として細長い円柱形状をしており、加熱することでエアロゾルを発生する素材からなる充填物13を有するエアロゾル形成部材1と、エアロゾル形成部材1が外装部材16の内部で動くことを防止するための支持部材14と、エアロゾル形成部材1からの気流を通すことのできるフィルタ15とが、長手方向に沿って配列されており、シート状の外装部材16で円柱形状に巻かれることで一体的に形成されている。外装部材16は、紙等の柔軟な素材で形成されているが、円筒形状に形成した場合には、その形状を保持できる程度の硬さを有することが好ましい。ここで、「細長い」とは、立体形状において、一方向が他の方向より長いことを意味する。例えば本実施の形態において、「細長い円柱形状(円筒形状)」とは、円柱(円筒)の底面である円の直径より、円柱(円筒)の長手方向である高さ(すなわち底面に垂直な成分)の方が長いことを意味する。以降の実施の形態においても同様である。
【0017】
実施の形態1におけるエアロゾル吸引カートリッジ10は、直径が4.0mm~7.5mm、より好ましくは5.0mm~7.0mm、(円柱の長手方向の)長さが40mm~80mmに形成される。エアロゾル吸引カートリッジ10の外径を6.5~7.5mmの範囲に設定すれば、誘導加熱装置に設けられたエアロゾル吸引カートリッジ10を差し込む挿入部と適度な力で嵌合するため、エアロゾル吸引カートリッジ1を誘導加熱装置に好適に保持させることを可能にしつつ、エアロゾル吸引カートリッジ10の着脱を容易にすることができる。エアロゾル吸引カートリッジ10の長さを40mm以上に設定すれば、誘導加熱装置に設けられたエアロゾル吸引カートリッジ10を受け入れる挿入部の長さよりも長くなるので、エアロゾル吸引カートリッジ10を誘導加熱装置に差し込んでも、吸口を誘導加熱装置から露出させることができ、使用者がエアロゾルを吸引するのに必要な長さを確保可能となる。
【0018】
エアロゾル形成部材1は、図1に示すように、円筒形状の内装部材11の内部に収納され、外部の交流電場に反応して熱を発生させる誘電加熱部材12と、エアロゾル発生源である素材からなる充填物13を備える。また、(円筒の高さ方向の)長さは概ね10~30mmに設定されているのが好ましい。ここで、内装部材11は、薄い紙を円筒状に形成したものを使用することが好ましい。
【0019】
エアロゾル形成部材1の外径は、中心軸に沿って概ね一定の値となっている。この外径の大きさは、例えば4.0mm~7.5mmの範囲が好ましく、さらに好ましくは5.0mm~7.0mmの範囲である。
【0020】
<誘電加熱部材12について>
誘電加熱部材12は、外部の交流電場すなわち電磁波に反応して熱を発生させ、充填物を加熱させるものである。ここで誘電加熱とは、外部の交流電場により、物質中の誘電体(絶縁体)内の電気分極を振動させる際に発生する熱により、物質を加熱することである。誘電加熱に用いられる電磁波の周波数は、概ね3MHz~30GHzの範囲とされており、特に100MHz以上の高周波についてはマイクロ波加熱とも呼ばれている。誘電加熱部材12は誘電体を含む素材で形成されている。
【0021】
誘電加熱部材12は、本実施の形態では図1のように平板状の素材を加工したものである。この平板は、厚さが0.05~0.5mmが好ましく、さらに好ましい厚さは0.1~0.3mmである。長さはエアロゾル形成部材1の高さ方向の長さに比べて略同じが好ましいが、エアロゾルの形成を阻害しない程度、例えばエアロゾル形成部材1の長さと異なっていても良い。異なる程度は具体的には±1~3mmの範囲が好ましい。なお、誘電加熱部材12は必ずしも平板状である必要はなく、多角形状、棒状、柱状、筒状、粒子状、球状、短冊状、多孔質状、V字状、L字状、シート状、その他多彩な形状とその組み合わせの形状とすることも可能である。
【0022】
誘電加熱で生じるエネルギーは、誘電体の誘電率に依存するので、誘電加熱部材12に含まれる誘電体としては、誘電率ができるだけ高いものであることが好ましく、セラミックコンデンサに使われるような誘電体がより好ましい。具体的には、ステアタイト、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸ジルコン酸鉛または酸化アルミニウムが挙げられる。また、石類、雲母、プラスチック等の樹脂も含まれる。特に、チタン酸バリウム、チタン酸ジルコン酸鉛のように、外部電場を取り除いても分極が残る強誘電体の場合は、強磁性体のように交流電場を印可された場合にヒステリシス損による発熱を伴うのでより好ましい。
【0023】
また、誘電率の観点からは例えば大理石、ポリアセタール樹脂、ガラス、石英、バイコール、ジアレルフタレート、アルミノアルキド樹脂、アミノアルキル樹脂、軟質ビニルブチラール樹脂、ポリメチルアクリレート、リン鉱石、クロマイト、硼珪酸ガラス、磁器、フッ素樹脂、フルフラル樹脂、セルロイド、ガラスポリエステル樹脂、磁器、フラン樹脂、ガラス・エポキシ樹脂、ベークライト、水晶、メチルバイオレット、フェノール紙積層板、メラミン樹脂、ホウケイ酸ガラス、アルキッド樹脂、尿素樹脂、ポリウレタン、骨炭、陶器、二酸化マンガン、アルミン酸ソーダ、石膏、ステアタイト、砂利、塩ビ樹脂、フォルステライト磁器、カーバイト粉、塩化ナトリウム、ソーダ石灰ガラス、クロロピレン、尿素ホルムアルデヒド樹脂、アルミナ被膜、ネオプレン、カゼイン樹脂、セレニウム、セレン、セロファン、ウレタン、マイカレックス、スレート、蛍石、緑柱石、ポリエチレンオキサイト、クローム鉱石、方解石、石炭酸、塩化銀、黒鉛、ルビー、過リン酸石、ダイヤモンド、酸化チタン、二酸化チタン、ロッシェル塩も使用され得る。
【0024】
さらに、誘電加熱部材12が多孔質体で形成されている場合には、香味成分または充填物13が含侵していると、より加熱効率が良くなって、エアロゾルの発生を促進できるので好ましい。
【0025】
誘電加熱に用いられる交流電場の周波数は、前述の通り3MHz~30GHzとされているが、誘導加熱装置で使用する場合は、1~10MHzが好ましく、5~7MHzがさらに好ましい。誘電加熱部材12に用いる素材も、その周波数に合わせて効率的に発熱できるように選択・調整することが好ましい。一方で、電子レンジで使用されている2.45GHzとすれば、充填物13そのものを誘電加熱部材12として直接加熱することができるので好ましい。
【0026】
<充填物13について>
充填物13は、乾燥・粉砕されたタバコ植物または非タバコ植物に、エアロゾルを発生させるエアロゾルフォーマや、微結晶セルロース、風味を追加する添加剤、保存料、粘着剤または増粘剤等を混合し、例えばシート状に成形した上で、所定の幅及び長さを有するように切断されることで形成された素材よりなる。なお、充填物13は多様な形状を有してもよい。例えば、シート状、短冊状、ペースト状、粒状(顆粒状を含む)または粉状、多孔質状、棒状、板状、繊維状、小片状、これらの混合体など、様々な形態から成り立っていてもよい。
【0027】
なお、充填物13を短冊状で構成した場合、中心軸に直交する断面は略長方形状であり、その断面の長辺と短辺の比は、例えば、1:1~30:1の範囲であることが好ましい。長辺の長さは、0.1mm~7.5mmの範囲が好ましく、さらに好ましくは、0.1mm~3.0mmの範囲である。短辺の長さは、0.1mm~1.0mmの範囲が好ましく、さらに好ましくは0.1mm~0.5mmの範囲である。また、充填物13の長さは、エアロゾル形成部材1の高さ方向の長さと略同一、例えば10mm~25mmの範囲が好ましく、さらに好ましくは10mm~20mmの範囲である。このような充填物13の寸法の一例を挙げると、長辺が1.5mm、短辺が0.3mm、長さが12mmである。
【0028】
また、充填物13を粉末状または粒状にする場合には、上記組成物について、適宜粉砕若しくは分級を行うことが好ましい。粉末状または粒状の充填物13における平均粒子径は、例えば0.1~3.0mmであることが好ましく、0.5mm以下であることがより好ましい。
【0029】
次に、充填物13として用いられる原料の具体例について説明する。充填物13は、以下に示す原料のうち任意の1つまたは複数の組み合わせで構成される。
【0030】
充填物13は、タバコ植物または非タバコ植物を原料とする。タバコ植物としては、タバコ葉、タバコ茎、膨張タバコ、均質化タバコ等が挙げられる。非タバコ植物としては、タバコ植物以外の植物が挙げられる。非タバコ植物の好ましい部位としては、葉、果肉、種子、根(鱗根、塊根等)、茎、塊茎、皮(茎皮、樹皮等)、花(花弁、雄蕊、雌蕊等)、幹、枝等が挙げられる。
【0031】
なお、本明細書でいう「植物」とは動物に対する一群を意味し、草および木等のように、根があって場所が固定されて生きているような生物以外に、微細藻類および海藻等のような藻類、キノコ等の菌類等をも含む。
【0032】
充填物13は、例えば、乾燥・粉砕された非タバコ植物に、エアロゾルを発生させるエアロゾルフォーマ、微結晶セルロース、風味を追加する風味添加剤、保存料、結着剤または増粘剤等を適宜混合し、粉砕若しくは分級して粉末状または粒状にしたり、ペースト状に成形されても良い。また、充填物13は、シート状に成形した上で、所定の幅および長さを有するように切断して短冊状または棒状とされても良い。ここで、また、シートの厚さは、0.1mm~1.0mmの範囲が好ましく、さらに好ましくは0.1mm~0.5mmの範囲である。また、充填物13は、シート状、短冊状、粒状、粉状、ペースト状、板状、繊維状のうちいずれか一種類でもよいし、これらのうち二種以上を混合したものであってもよい。
【0033】
充填物13がシート状の場合には、その形状は一辺の長さがエアロゾル形成部材1高さ方向の長さと略同じで、他方の辺がそれより長い、長尺の矩形状であることが好ましい。また、シートの厚さは、前述と同様に0.1mm~1.0mmの範囲が好ましく、さらに好ましくは0.1mm~0.5mmの範囲である。この形態にすることで、後述する捲縮や変形がしやすくなる。ここで、充填物13の長手方向の辺の長さは、誘電加熱部材12や誘導加熱部材18がシート状である場合には、それとともに捲縮や変形をした状態で、内装部材11の円筒の内部の空間に収納可能な長さであることが好ましく、空間の容積と略同じになる長さであることがさらに好ましい。さらに、捲縮や旋回などの変形をしやすくするために、ある程度の深さを有する線を形成することが好ましい。ここで線の深さは、シートの厚さと同じにして(すなわちシートに貫通孔を形成する)、スリット形状の線を形成しても良いし、シートの厚さ未満として(すなわちシートに非貫通孔を形成する)トレンチ形状の線を形成してもよい。
【0034】
また、非タバコ植物が原材料である場合は、茶葉を使用できる。茶葉は茶になる植物が異なるだけでなく、同じ植物であっても加工法によって異なる茶葉になる。具体的には、たとえば、日本茶、紅茶、ウーロン茶等が挙げられる。
【0035】
エアロゾルフォーマは、例えばグリセリン、プロピレングリコール等が好ましく使用される。
【0036】
次に、微結晶セルロースとは、例えば、繊維性植物のパルプから得られたα-セルロースを酸で部分的に解重合したものとして得られるものであり、セルロースから可溶性部分を取り除き、適宜、不溶性部分を結晶化したものである。
【0037】
微結晶セルロースは、粉体のままでも良いし、水などの溶媒に分散させて懸燭液でも良い。この場合、溶媒ヘの分散は、高速攪拌機や高圧ホモジナイザーなどが使用できる。
【0038】
さらに、必要に応じ充填物13として風味を追加する風味添加剤も用いられる。風味添加剤としては、はっか、ココア、コーヒー、紅茶のエキス、茶抽出物のカテキンの粉末等が挙げられる。保存料としては食品に使用されるものが好ましく、例えば、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、安息香酸、安息香酸ナトリウム等が挙げられる。
【0039】
結着剤または増粘剤としては、グアーガム等のゴム、ヒドロキシプロピルセルレロースなどのセルロース結合剤、デンプンなどの有機酸の共役塩基塩などの多糖類、およびこれらの組み合わせが挙げられる。
【0040】
ここで、ペースト状に形成する場合には、粉末状または粒状の組成物に増粘剤や水などを適量添加して混練することで流動性を付与することができる。
【0041】
また、充填物13の表面に粘着性を付与する場合は、粘着性を付与できる手段であれば特に限定されないが、既述の結着剤を少なくとも一部に付着させれば良い。粘着性を付与することで、短冊状または棒状の充填物13と粉末状、粒状またはペースト状の充填物13と組み合わせる場合に、短冊状または棒状の充填物13の表面に粉末状、粒状またはペースト状の充填物13を安定して保持することができる。
【0042】
支持部材14は、エアロゾル形成部材1の支持部材14側への移動や外装部材16の折れ曲がりを抑制するとともに、エアロゾル形成部材1で発生したエアロゾルを含む気流をフィルタ15側に流通させる。支持部材14は、例えば円柱状に形成され、その高さ方向の軸がエアロゾル吸引カートリッジ10の中心軸に沿うようにエアロゾル形成部材1とフィルタ15との間に配置される。支持部材14は、例えば、直径が4.0mm~7.5mm、中心軸に沿った長さが50mm以下に形成される。なお、支持部材14は、適宜機能および構成に応じて上記とは異なる寸法を有していてもよい。本実施の形態では、樹脂材で形成された支持部材本体に、空気の流路となる挿通孔が形成された形態である。支持部材14を形成する素材としては、例えば、ポリプロピレン、ポリ乳酸、シリコーン、金属のようなものが挙げられる。また、紙を捲縮させたものでもよい。
【0043】
フィルタ15は、円柱状に形成されており、高さ方向の長さは、3.0~50mmに設定されている。フィルタ15の素材は、例えば紙等を用いて形成される。また、紙からなるシート状の部材を巻いて円柱状に設けられてもよいし、微粒子を取り除くセルロースアセテートフィルタ等を含んでいてもよい。また、シリコーンを含む多孔質材料で形成されてもよい。フィルタ15は、エアロゾル形成部材1で生成された水蒸気やエアロゾル中の微粒子の一部を濾過する機能を有する白色のフィルタである。なお、充填物13が非タバコ植物を原料としている場合、フィルタ15は必ずしも必要ではない。
【0044】
次に、シール部材17は、円柱状に形成され、例えば直径が4.0mm~7.5mm、高さ方向の長さが3.0~7.0mmに設定されることが好ましい。シール部材17は、フィルタ15と同様に、例えば紙からなるシート状の部材を巻いて円管状に設けたり、渦巻状に巻いたもの、折りたたんだものまたは捲縮させたものを用いてもよいし、通気性を有する紙を内装部材11や外装部材16の端に貼り付けてもよい。シール部材17は、カートリッジの外部からエアロゾル形成部材1に向かって空気を通過させる機能を有する。また、シール部材17は、エアロゾル形成部材1で生成された水蒸気やエアロゾルのうち、エアロゾル形成部材1に留まって液化した残留液を吸収することができる。また、エアロゾル形成部材1が、シール部材17側へ移動することを抑制する機能も有する。このシール部材17は、フィルタ15とは異なる色(例えば黒)にすることで、エアロゾル吸引用カートリッジ10の上流側と下流側を簡単に判断可能にすることができる。また、通気性を向上させるために、エアロゾルの通路となる貫通孔を設けても良い。
【0045】
この発明によれば、誘電体を発熱体として使用することで、誘導加熱式の誘導加熱部材18に比べて錆による発熱能力の低下が少ないので、エアロゾル発生量の高いエアロゾル形成部材1を得ることが可能となる。
【0046】
また、誘電体は金属に比べて柔らかく加工性が良いものが多いため、エアロゾル形成部材1に生産効率を高めることが可能となる。
【0047】
また、誘電加熱部材12に使用する誘電体を誘導加熱用装置の発する電磁波の周波数で発熱するものにすることで、これを使用したエアロゾル吸引カートリッジ10は、誘導加熱部材18を有さなくとも、従来の誘導加熱装置を使用することが可能である。
【0048】
実施の形態2
図3は、実施の形態2に係るエアロゾル形成部材2の概略の側面断面図(a)と正面断面図(b)である。ここで、実施の形態1と共通の構成については、図示と説明を省略する。
【0049】
実施の形態2では図3のように、球状または粒状の形状をした誘電加熱部材12が充填物13の内部に分散して配設されており、平板状の素材を加工した誘導加熱部材18が配設されている。ここで、誘導加熱部材18の厚さや長さ、向き、形状は実施の形態1の誘電加熱部材12と同様である。さらに、誘電加熱部材12、誘導加熱部材18ともに、これ以外にも多角形状、棒状、柱状、筒状、粒子状、球状、多孔質状、V字状、L字状、シート状、その他多彩な形状やその組み合わせの形状とすることも可能である。
【0050】
誘導加熱部材18の素材は、強磁性体を含む金属材料で形成される。強磁性体は、外部磁界を加えると外部磁界と同じ方向の磁性を強く帯び、特に磁石に吸着する性質を持つ素材であり、例えば、強磁性体の材料である鉄、フェライト鉄、フェライト粉末、フェライト粒子、フェライト系やマルテンサイト系ステンレス(例えばSUS430、SUS410)の様な磁性を有するステンレス鋼、ニッケル、ニッケル鉄合金(例えば42アロイ、36インバー)、あるいはコバルト等が挙げられる。強磁性体の比透磁率は、1よりも極めて大きく、例えば、鉄であれば5000程度であり、ニッケルであれば600程度であり、コバルトであれば250程度であり、フェライト系ステンレスであれば1000~1800程度である。
【0051】
磁性体のうち常磁性体は、外部磁界を加えると外部磁界と同じ方向の磁気を弱く帯び、外部磁界をゼロにすると磁気を帯びなくなる材料であり、例えば、アルミニウム、白金およびマンガン等が挙げられる。常磁性体の比透磁率は1よりもわずかに大きく、例えば、アルミニウムであれば1.000021程度であり、白金であれば1.000265程度であり、マンガンであれば1.000830程度である。
【0052】
また、磁性体のうち反磁性体は、外部磁界を加えると外部磁界と反対方向の磁気を帯び、外部磁界をゼロにすると磁気を帯びなくなる材料であり、例えば銅、グラファイト、ビスマス等が挙げられる。反磁性体の比透磁率は、1よりもわずかに小さく、例えば、銅であれば0.999990程度であり、グラファイトであれば0.99980程度であり、ビスマスであれば0.999834程度である。
【0053】
強磁性体は、向きや大きさが時間と共に変化する磁界(交番磁界)内部に置いたとき、電磁誘導により流れる渦電流によるジュール熱が発生するだけでなく、強磁性体内部の磁化の向きが変化するときに発生するエネルギー損失(ヒステリシス損)に起因する熱が発生するため、常磁性体や反磁性体に比べて容易に誘導加熱ができ、エアロゾル吸引カートリッジ10を十分に加熱できる。
【0054】
また、強磁性体がその磁気秩序を失い、常磁性体に転移する温度であるキュリー温度は、例えば、ニッケルであれば358℃程度である。そのため、エアロゾル吸引カートリッジを例えば200℃の高温で加熱する際にも、加熱温度がキュリー温度に達することはなく、強磁性体としての性質を維持でき、エアロゾル吸引カートリッジ10を安定して加熱できる。
【0055】
誘導加熱部材18の素材は、強磁性体の材料である、鉄、フェライト鉄、フェライト粉末、フェライト粒子、フェライト系ステンレス、強磁性鋼、ステンレス鋼、ニッケル、コバルト、またはこれらを組み合わせた金属材料を採用してもよい。例えば、フェライト系ステンレスとニッケルを組み合わせたもの等が挙げられ、より好ましくは、鉄、クロム、アルミを組合せた合金(鉄クロムアルミ合金)である。
【0056】
ここで、鉄及びクロムの温度と磁性の関係性について説明する。鉄は、キュリー温度が約770℃、クロムは、反強磁性体から常磁性体に変わる温度であるネール温度が約35℃である。
【0057】
また、誘導加熱部材18は、強磁性体を主成分として含む金属材料によって構成されてもよく、例えば強磁性体を、好ましくは60%以上、さらに好ましくは80%以上含む合金である強磁性合金を採用してもよい。例えば、ニッケル合金あるいはニッケル鉄合金等が挙げられる。この場合でも、強磁性体が誘導加熱されることで、エアロゾル吸引カートリッジ10を十分に加熱できる。なお、強磁性体の代わりに、常磁性体および反磁性体を含む金属材料を用いてもよい。この場合でも誘導加熱自体は可能である。ただし、加熱時間の短縮化や消費電力の低減の観点から強磁性体を含む金属材料を用いる方が好ましい。
【0058】
ここで、誘導加熱部材18は、錆による発熱機能の低下を抑制するために、その表面の一部または全部に防錆層が形成されていることが好ましく、全部に形成されていることがさらに好ましい。
【0059】
防錆層の種類としては、例えば蝋材膜、リン酸塩皮膜、酸化鉄皮膜が考えられる。これらは誘導加熱部材18が高温状態になった場合でも、人体に有害な物質を発生させないので、防錆層の素材として好ましい。また、そのうちの1種類に限られず、2以上の種類を組み合わせとしても良い。
【0060】
蝋材膜の場合、その素材としては、蜜蝋、ハゼ蝋、サトウキビ蝋、鯨蝋、羊毛蝋のような蝋材料が考えられ、その膜を、誘導加熱部材18の表面に形成する。塗布の方法は、溶融した蝋材料を、例えば通常の刷毛塗したり(刷毛塗法)、誘導加熱部材18を浸漬したり(ディップコーティング法)、吹き付けたり(吹付法)することで塗布できる。膜厚は特に制限はないが、薄すぎると十分な防錆効果が得られなくなり、一方で厚すぎると、充填剤の加熱に影響があり、エアロゾルの発生を阻害する恐れがあるので、適正な厚さに設定することが好ましい。具体的には0.005mm~1mmが好ましく、0.01~0.5mmがさらに好ましい。
【0061】
リン酸塩皮膜は、リン酸鉄、リン酸亜鉛、リン酸カルシウム、リン酸マンガンなどのリン酸塩の溶液を用いた化学処理(リン酸塩処理)により、金属の表面に化学的に生成した皮膜であり、金属の腐食を防止する機能を有する。ここで、リン酸塩処理の標準的な工程は、被処理物に対して、(1)アルカリ脱脂、(2)水洗、(3)リン酸塩による化成処理、(4)水洗、(5)乾燥工程を有することが好ましい。リン酸塩による化成処理は、一般に処理する金属をリン酸塩溶液に浸漬して行うが、その他例えばリン酸塩溶液を吹き付けてもよい。リン酸塩皮膜の厚さは、処理時間の長さに伴い変化するが、1μm~20μmが好ましい。
【0062】
リン酸塩処理により、誘導加熱部材18の表面の一部または全部にリン酸塩皮膜を形成することで、誘導加熱部材18の防錆能力の向上が可能となる。
【0063】
また、金属表面に人工的に酸化鉄皮膜を形成することで、錆の発生を防止または抑制することも可能である。ここで酸化鉄皮膜はいわゆる黒錆といわれる四酸化三鉄(Fe)が、安定した不働態膜を形成するので好ましい。四酸化三鉄の膜を形成する標準的な工程は、被処理物に対して、(1)アルカリ脱脂、(2)水洗または湯洗、(3)140~150℃のアルカリ水溶液(苛性ソーダが好ましい)、(4)水洗または湯洗、(5)乾燥工程を有することが好ましい。また、酸化被膜の厚さは概ね1~2μm程度である。
【0064】
この発明によれば、誘電加熱部材12と誘導加熱部材18を併用することで、誘電加熱と誘導加熱の両方を同時に行えるので、加熱効率がよく、エアロゾル発生量の高いエアロゾル形成部材2を得ることが可能となる。
【0065】
また、誘導加熱部材18の表面の一部または全部に防錆層が形成されているので、誘導加熱部材18が錆びることによる発熱能力の低下を防止することが可能となり、エアロゾル発生量の高いエアロゾル形成部材1を得ることが可能となる。
【0066】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本願発明の範囲は以上の実施の形態に限られるものではなく、これと同視しうる他の形態に対しても及ぶ。なお、エアロゾル形成部材1等とはエアロゾル形成部材1、2をいう。
【0067】
例えば、エアロゾル形成部材1等に含まれる誘電加熱部材12、誘導加熱部材18は一個に限られず、複数個含まれていてもよい。これにより、エアロゾル発生効率の向上が可能となる。
【0068】
また、誘電加熱部材12や誘導加熱部材18は、その一部または全部がシート状の素材が捲縮する形態をとってもよい。例えば、エアロゾル形成部材の高さ方向視(すなわち円柱の正面視)したときに、旋回状すなわち渦巻形状に捲縮してもよい。また、交互に重なった折り畳み形状に捲縮してもよい。さらに、旋回状、折り畳み形状やその他の形状が組み合わされた、不規則形状であってもよい。充填物13も同様の視点で見たときに、その一部または全部が薄膜状(シート状)の素材が捲縮する形態をとり、誘電加熱部材12や誘導加熱部材18は、その一部または全部が充填物13に接触しながら追従して捲縮した形状を形成してもよい。従って、充填物13も、誘電加熱部材12や誘導加熱部材18と同様に、旋回状、折畳形状であったり、旋回状、折畳形状やその他の形状が組み合わされた、不規則形状であったりしてもよい。このような構成の場合、シート状の誘電加熱部材12や誘導加熱部材18が充填物13に接触しながら追従しているので、両者の接触面積が大きくなり、加熱効率を向上させてエアロゾル発生が増進される。
【0069】
また、支持部材14やシール部材17は、エアロゾル形成部材1が移動することが無い場合には、必ずしも設置する必要はない。例えば、フィルタ15をエアロゾル形成部材1と隣接させたり、支持部材14のあった場所を空間とし(すなわち、エアロゾル形成部材1とフィルタ15の間が全て空洞となっている)たりしてもよい。これにより、部品点数の削減ができるので、コスト削減に有効である。特に空間を設ける場合は、通気性の向上に有効である。また、シール部材17や支持部材14がなくなることで、エアロゾル形成部材1を長くすることもできるので、使用者の使用感を向上させることが可能となる。
【0070】
さらに、外装部材16は、必ずしも一体的ではなく、2つ以上の外装要素を接合して用いても良い。例えば、シール部材17と、エアロゾル形成部材1と支持部材14を筒状の外装要素に収納し、ここにフィルタ15をシート状の外装要素で巻いて円柱状に形成する形態でもよい。なお、この場合、筒状の外装要素とシート状の外装要素をもって、外装部材16となる。一方で、別に外装部材16を使う必要は必ずしもなく、内装部材11を、エアロゾル吸引カートリッジ10と同程度に長く形成して、内装部材11の円筒の内部にシール部材17、支持部材14及びフィルタ15をエアロゾル形成部材1と一緒に収納することで、エアロゾル吸引カートリッジ10を形成することが可能であり、これによりさらなる製造工程の簡略化と製造コストの低減を図ることが可能である。
【0071】
なお、充填物13の原材料である茶葉は、実施の形態に挙げたもの以外に、一般に使用されている全ての茶葉を使用できる。また、これら茶葉については飲用後の茶殻を使用しても良い。茶殻などを使用すれば高価な茶葉などを再利用して有効活用できる。
【0072】
また、上記に例示した非タバコ植物の抽出物、所謂エキスや加工品も使用することができる。抽出物の形態としては、液体、水あめ状、粉末、顆粒、溶液等が挙げられる。
【0073】
また、充填物13の原料としてのエアロゾルフォーマは、実施の形態に挙げたもの以外に、ソルビトール、トリエチレングリコール、乳酸、ジアセチン(グリセリンジアセタート)、トリアセチン(グリセリントリアセタート)、トリエチレングリコールジアセタート、クエン酸トリエチル、ミリスチン酸イソプロピル、ステアリン酸メチル、ドデカンジオン酸ジメチル、テトラデカンサンジオン酸ジメチルなども使用できる。
【0074】
また、充填物13の内部または表面に、酸化防止剤を含有または塗布することで、充填物13の成分(特に植物)の酸化による変質や、誘導加熱部材18の錆を防止又は抑制することができるので好ましい。酸化防止剤の種類としては、亜硫酸ナトリウム、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、L-アスコルビン酸(ビタミンC)、ビタミンEなどが好ましい。さらに、前述したカテキンも酸化防止効果を有するので好ましい。カテキンは緑茶の茶葉特有の成分であり、緑茶の茶葉にはエピガロカテキン、エピガロカテキンガレート、エピカテキン、エピカテキンガレートが含まれる。すなわち、カテキンを含む茶葉(例えば緑茶)を充填物13の成分として使用する場合には、さらにカテキンを添加することで、さらなる酸化防止効果を得ることが可能である。例えば、緑茶の場合、その成分の約80%がカテキン由来であると考えられるので、充填物13に含まれる緑茶の茶葉の重量の80%以上に相当する重量のカテキンを充填物13中に含有させることで、さらなる酸化防止効果を得ることが可能となる。また、緑茶に含まれるカテキンのうち、エピガロカテキンガレートが約60%、エピガロカテキンが約20%、エピカテキンガレートが約13%、エピカテキンが約7%とされる。ここで特に酸化防止機能が高いエピガロカテキンガレートを増量させることが、酸化防止機能の向上にさらに効果的である。充填物13にカテキンを含まない植物を使用する場合には、充填物13中のカテキン特にエピガロカテキンガレートを添加することが効果的である。この場合、充填物13に含まれる植物原料の重量の80%以上の重量のカテキン(特にエピガロカテキンガレート)を添加することで、緑茶を使用した場合と同等以上の酸化防止機能を得ることが可能となる。
【0075】
また、風味添加剤として、メントールおよび非水溶性架橋ポリマー(好ましくはポリビニルポリピロリドン)を含有させても良い。メントールに非水溶性架橋ポリマーを組み合わせることで、メントールの昇華を効果的に抑制でき、メントールの風味を長期間保つことができる。ここで、メントールとは、天然物から得られたものに限られず、合成物でも良い。また、はっか、ミント、ハッカ油、その他のメントールを含むものを使用しても良い。
【0076】
また、風味添加剤は、例えば、フィルタ15の壁部に含浸させることによってフィルタ15に設けられても良い。風味添加剤がフィルタ15に設けられている態様は、このような態様に限られず、例えば、当該風味添加剤が封入されているカプセルをフィルタ15の壁部に埋設することによって、フィルタ15に風味添加剤が設けられているようにしても良い。または、フィルタ15とエアロゾル吸引カートリッジ10との間に風味添加剤が封入されたカプセルが配置されるようにしても良い。風味添加剤がカプセルに封入されている場合、使用者は、カプセルを指で押圧することにより、カプセルを破壊することができ、所望のタイミングで風味添加剤の芳香成分を揮発させることが可能となる。
【0077】
また、風味添加剤は、例えば、マイクロカプセルに封入されている場合、封入されているマイクロカプセルをエアロゾル吸引カートリッジ10に設けても良い。勿論、当該マイクロカプセルを支持部材14に設けても良い。
【0078】
また、充填物13の原料としての結着剤または増粘剤としては、実施の形態に挙げたものの他、キサンタンガム、アラビアゴムおよびローカストビーンガムなどのゴム、例えばカルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロースおよびエチルセルロースなどのセルロース結合剤、または、アルギン酸などの有機酸、アルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カラナギン、寒天およびペクチンなどの有機酸の共役塩基塩などの多糖類、およびこれらの組み合わせが挙げられる。
【符号の説明】
【0079】
1 エアロゾル形成部材
10 エアロゾル吸引カートリッジ
11 内装部材
12 誘電加熱部材
13 充填物
14 支持部材
15 フィルタ
16 外装部材
17 シール部材
18 誘導加熱部材

図1
図2
図3