(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024124876
(43)【公開日】2024-09-13
(54)【発明の名称】揺動式車両
(51)【国際特許分類】
B62K 5/10 20130101AFI20240906BHJP
【FI】
B62K5/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023032834
(22)【出願日】2023-03-03
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001081
【氏名又は名称】弁理士法人クシブチ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼山 拓郎
(72)【発明者】
【氏名】落合 諭
【テーマコード(参考)】
3D011
【Fターム(参考)】
3D011AA03
3D011AA06
3D011AG03
3D011AH02
(57)【要約】
【課題】運転者の意思を適切に反映させ易い快適性のあるスイングロック制御を実行可能な揺動式車両を提供する。
【解決手段】揺動式車両は、操向輪(11)を有する前車体(2)と、駆動輪(12)を有する後車体(3)と、前記前車体(2)および前記後車体(3)を左右揺動自在に連結する連結部(4)と、を備える揺動式車両において、前記前車体(2)と前記後車体(3)との相対的な揺動をロックするスイングロック機構(40)を備え、走行中であっても、走行速度が所定の速度以下であって、前記後車体(3)に対して前記前車体(2)が揺動するスイング角(θ)が所定の角度以下であり、舵角(φ)が所定の角度以下であるときに、前記スイングロック機構(40)の制御処理を実行する。
【選択図】
図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
操向輪(11)を有する前車体(2)と、駆動輪(12)を有する後車体(3)と、前記前車体(2)および前記後車体(3)を左右揺動自在に連結する連結部(4)と、を備える揺動式車両において、
前記前車体(2)と前記後車体(3)との相対的な揺動をロックするスイングロック機構(40)を備え、
走行中であっても、走行速度が所定の速度以下であって、前記後車体(3)に対して前記前車体(2)が揺動するスイング角(θ)が所定の角度以下であり、舵角(φ)が所定の角度以下であるときに、前記スイングロック機構(40)の制御処理を実行する
ことを特徴とする揺動式車両。
【請求項2】
急減速時には、前記スイングロック機構(40)にスイングロックをさせない
ことを特徴とする請求項1に記載の揺動式車両。
【請求項3】
所定の速度以下の走行が所定時間以上、経過しているときに、前記スイングロック機構(40)にスイングロックをさせる
ことを特徴とする請求項1または2に記載の揺動式車両。
【請求項4】
左右方向への揺動荷重を表示する表示部(123)を備え、
前記スイングロック機構(40)によるスイングロック中に、左右方向への揺動荷重を前記表示部(123)に表示する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の揺動式車両。
【請求項5】
前記スイングロック機構(40)のスイングロック中に、所定の閾値以上の左右方向への揺動荷重があった場合に、前記スイングロック機構(40)によるスイングロックを解除する前に、前記スイングロック機構(40)によるスイングロックを解除するアラートを鳴らす
ことを特徴とする請求項1または2に記載の揺動式車両。
【請求項6】
前記スイングロック機構(40)のスイングロック中に、所定の閾値以上の左右方向への揺動荷重があった場合に、急激な揺動を防止しつつ、前記スイングロック機構(40)によるスイングロックを解除する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の揺動式車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、揺動式車両に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、前車体と後車体とが左右方向に揺動可能に連結された揺動式車両が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1には、このような揺動式車両において、所定の第1設定速度以下で運転席シートが支持された前車体の揺動をロックし、第1設定速度よりも大きい所定の第2設定速度以上でそのロックを解除する構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の技術においては、揺動式車両の安定性を確保するために、走行速度に基づいて前車体の後車体に対する揺動をロック、すなわち、スイングロックをしている。しかしながら、運転者の快適性をも考慮すると、速度以外も考慮してスイングロックすることが望ましい。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、運転者の意思を適切に反映させ易い快適性のあるスイングロック制御を実行可能な揺動式車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
揺動式車両は、操向輪を有する前車体と、駆動輪を有する後車体と、前記前車体および前記後車体を左右揺動自在に連結する連結部と、を備える揺動式車両において、前記前車体と前記後車体との相対的な揺動をロックするスイングロック機構を備え、走行中であっても、走行速度が所定の速度以下であって、前記後車体に対して前記前車体が揺動するスイング角が所定の角度以下であり、舵角が所定の角度以下であるときに、前記スイングロック機構の制御処理を実行することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
この構成によれば、運転者の意思を適切に反映させ易い快適性のあるスイングロック制御を実行可能な揺動式車両を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の実施の形態に係る揺動式車両の左側面図である。
【
図2】後車体および揺動機構の要部を示す平面図である。
【
図4】スイングロック機構を示す図でありロックアームがロック解除位置に移動した場合を示す図である。
【
図5】スイングロック機構を示す図でありロックアームがロック位置に移動した場合を示す図である。
【
図7】スイングロックシステムの全体構成を示すブロック図である。
【
図8】揺動式車両の模式図でありスイング角の説明図である。
【
図9】揺動式車両の模式図であり舵角の説明図である。
【
図10】スイングロック制御処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。なお、説明中、前後左右および上下といった方向の記載は、特に記載がなければ車体に対する方向と同一とする。また、各図に示す符号FRは車体前方を示し、符号UPは車体上方を示し、符号LHは車体左方を示す。
【0009】
[実施の形態]
図1は、本発明の実施の形態に係る揺動式車両1の左側面図である。
実施の形態に係る揺動式車両1は、単一の前輪(操向輪)11を操舵可能に懸架する前車体2と、左右一対の後輪(駆動輪)12を懸架する後車体3と、前車体2と後車体3とを左右方向に相対的に揺動させる揺動機構(連結部)4とを備える。揺動式車両1は、揺動機構4によって、前車体2が後車体3に対して左右方向に揺動(左右ローリング)可能に連結されている。
【0010】
前車体2は、前車体フレーム13を有する。前車体フレーム13は、その前端に設けられるヘッドパイプ14と、ヘッドパイプ14から後下方に延びる前部フレーム15と、前部フレーム15の下端から後方に延びる下部フレーム16と、下部フレーム16から後上がりに延びる後部フレーム17と、を備える。
【0011】
ヘッドパイプ14には、フロントフォーク18のステアリングシャフト18aが挿通される。これにより、フロントフォーク18がヘッドパイプ14に操舵可能に支持される。フロントフォーク18の下端には、前輪11が支持される。フロントフォーク18の上部には、ハンドル19が設けられる。ハンドル19により前輪11が操舵される。ハンドル19の後方には、運転者が着座するシート20が設けられる。シート20は、後部フレーム17の上部に支持される。シート20の前下方には、運転者が足を乗せる低床のステップフロア21が設けられる。ステップフロア21は下部フレーム16の上部に支持される。
【0012】
図2は、後車体3および揺動機構4の要部を示す平面図である。
図1、
図2に示すように、後車体3には、左右一対の後輪12と、後輪12を駆動するパワーユニット22が設けられている。本実施の形態のパワーユニット22はエンジン(内燃機関)で構成される。パワーユニット22は、エンジンに代えて電動モータでもよい。
【0013】
図2に示すように、パワーユニット22内では、回転トルクはベルト23を介してドリブンプーリ24に伝達される。ドリブンプーリ24へ伝達されたトルクは遠心クラッチ25、減速歯車装置26、およびディファレンシャルクラッチ27を介して後輪12に伝達されるようになっている。
【0014】
減速歯車装置26中には、パーキングギヤ28が介装される。パーキングギヤ28の外周面に対向してロックアーム29が回動可能に枢着されている。ロックアーム29には、前方に延びるパーキングケーブル30が接続される。パーキングケーブル30は、前端で、ハンドル19の下方に設けられたパーキングロックレバー31(
図1参照)に接続される。このパーキングロックレバー31が操作されると、パーキングケーブル30は前方に引っ張られて、ロックアーム29がパーキングギヤ28に係合する。すなわち、このパーキングロックレバー31の操作により、減速歯車装置26の回転が規制され、後輪12がロックされる。
【0015】
図1に示すように、前車体2の下部フレーム16の後部には、左右一対のブラケット16aが設けられている。ブラケット16aには、車幅方向に延びる軸16bを介してジョイントケース32の前端部が支持される。ジョイントケース32は、軸16bにより、上下揺動自在に支持される。ジョイントケース32と車体フレーム13の後部フレーム17との間には、前車体2の上下揺動を減衰させる緩衝器33が設けられる。
【0016】
図2に示すように、ジョイントケース32内には、前後方向に延びるナイトハルト機構34と、ナイトハルト機構34の前方の軸受部35とが設けられる。ナイトハルト機構34および軸受部35には、揺動式車両1の前後方向へ指向した揺動軸36が、軸回りに回動可能に支持される。揺動軸36は、ナイトハルト機構34により弾性的に中立状態に復帰するように支持される。揺動軸36は後車体3に固定される。揺動軸36を中心として、前車体2が後車体3に揺動可能に接続される。
【0017】
図3は、ナイトハルト機構34の断面図である。
ナイトハルト機構34は、ジョイントケース32に一体に固着された角筒状のアウタ37を有する。アウタ37の内部には、揺動軸36に一体に嵌着された外観角柱状のインナ38が挿入されている。アウタ37およびインナ38との間には、アウタ37およびインナ38に中心対称に介装されたダンパーラバー39が装着されている。ダンパーラバー39は、インナ38の揺動軸36の軸中心周りの回転角が増大するにつれてインナ38を初期状態の中立に戻そうとする。ナイトハルト機構34は、インナ38の揺動軸36の軸中心周りの回転角が増大するにつれて、インナ38を初期状態の中立に戻そうとする復元力が非線型的に増大するようなばね特性を有している。
【0018】
図4は、スイングロック機構40を示す図でありスイングロックアーム43がロック解除位置に移動した場合を示す図である。
図5は、スイングロック機構40を示す図でありスイングロックアーム43がロック位置に移動した場合を示す図である。
揺動軸36の前端には、スイングロック機構40が配置される。スイングロック機構40は、揺動軸36の前端に固定された円板状のスイングロックプレート41を有する。スイングロックプレート41は、揺動軸36と一体に回動可能である。スイングロックプレート41の外周部には、後方に凹んだ複数の係止溝42が形成される。係止溝42は、周方向に所定の間隔を空けて複数形成される。
【0019】
係止溝42に対向する位置には、車幅方向に延びる板状のスイングロックアーム43が配置される。スイングロックアーム43の長手方向一端部には回動孔43aが形成される。回動孔43aには、ジョイントケース32に固定されたピン44が挿通される。スイングロックアーム43はピン44を中心に回動可能に支持される。スイングロックアーム43の長手方向他端部には、スイングロックプレート41に対向する係止片43bが形成される。係止片43bは、スイングロックアーム43がスイングロックプレート41に接近したロック位置(
図5参照)に移動すると、いずれかの係止溝42に係合される。これにより、スイングロックプレート41の回動が規制され、揺動軸36の回動が規制される。すなわち、前車体2の後車体3に対する揺動が規制され、スイングロックされる。
【0020】
また、スイングロックアーム43の長手方向他端部には、スイングロックプレート41から離間する側に、リンク45が回動可能に連結される。リンク45には、車幅方向に延びる接続アーム46が回動可能に連結される。接続アーム46は、スイングロックアーム43に沿って配置される。接続アーム46の長手方向他端部にリンク45が連結されている。接続アーム46の長手方向中途部には、回動孔46aが形成される。回動孔46aには、ジョイントケース32に固定されたピン47が挿通される。接続アーム46は、ピン47を中心として回転可能に支持される。接続アーム46の長手方向一端部には、前後方向に延びるロックケーブル48に接続される。本実施の形態のロックケーブル48は、パーキングケーブル30と並行に配置される。
【0021】
ロックケーブル48が引っ張られて前方に移動すると、接続アーム46の長手方向一端部が前方に移動するため、ピン47に対して反対側の接続アーム46の長手方向他端部は後方に移動する。よって、リンク45を介してスイングロックアーム43が後方に移動し、係止片43bが係止溝42に係合される。また、係止片43bが係止溝42に係合している状態から、ロックケーブル48が後方に移動すると、接続アーム46の長手方向一端部が後方に移動するため、ピン47に対して反対側の接続アーム46の長手方向他端部は前方に移動する。よって、リンク45を介してスイングロックアーム43が前方に移動し、係止片43bが係止溝42から離間する。ロックケーブル48の移動により、スイングロックアーム43は、スイングロックプレート41に係合するロック位置(
図5参照)と、スイングロックプレート41から離間したロック解除位置(
図4参照)との間を移動する。
【0022】
ロックケーブル48の後端(長手方向一端)には、リターンスプリング(付勢部材)49が設けられる。リターンスプリング49は、ジョイントケース32に連結される。リターンスプリング49は、ロックケーブル48をロック解除位置に向けて付勢する付勢力をロックケーブル48に付与する。ロックケーブル48の前端(長手方向他端)には、ロックアクチュエータ50が接続される。本実施の形態では、ロックケーブル48は、ガイドローラ53を介してロックアクチュエータ50に接続される。ロックアクチュエータ50は、例えば、電動のリニアソレノイドである。ロックアクチュエータ50は、ジョイントケース32に固定された固定部51と、固定部51に進退可能に支持される可動部52とを有する。ロックアクチュエータ50は駆動されると、可動部52が固定部51に吸引され、リターンスプリング49のスプリング力に抗してロックケーブル48を前方に移動させる。また、ロックアクチュエータ50が駆動停止となると、リターンスプリング49のスプリング力によりロックケーブル48が後方に引っ張られ、可動部52が固定部51から伸びる。
【0023】
本実施の形態では、ロックケーブル48には、ブロック状の第一連動部材60が固定される。第一連動部材60には、ロックケーブル48と並行に延びる挿通孔(不図示)が形成される。この挿通孔には、パーキングケーブル30が挿通される。挿通孔は、パーキングケーブル30の外径よりも大きく形成される。よって、パーキングケーブル30は、第一連動部材60に対して前後方向に移動自在である。ここで、パーキングケーブル30には、第一連動部材60の後方に、ブロック状の第二連動部材61が固定される。第二連動部材61には、パーキングケーブル30と並行に延びる挿通孔が形成される。この挿通孔には、ロックケーブル48が挿通される。挿通孔は、ロックケーブル48の外径よりも大きく形成される。よって、ロックケーブル48は、第二連動部材61に対して前後方向に移動自在である。
【0024】
このとき、パーキングロックレバー31が操作されて、パーキングケーブル30が前方に移動すると、パーキングケーブル30の第二連動部材61が前方に移動し、第一連動部材60に当接して第一連動部材60と共に前方に移動する。よって、第一連動部材60に固定されたロックケーブル48も前方に移動してスイングロックアーム43がロック位置に移動し、スイングロックされる。よって、パーキングロックレバー31を操作することにより、本実施の形態では、スイングロック、後輪ロックが実現されるように構成されている。なお、本実施の形態では、パーキングロックレバー31を操作することにより、ハンドルロックも可能に構成されている。よって、パーキングロックレバー31を操作することにより、ハンドルロック、スイングロック、後輪ロックが実現されるように構成されている。
一方で、ロックケーブル48が前方に移動した場合には、ロックケーブル48と共に第一連動部材60が前方に移動するが、第二連動部材61の挿通孔の大きさのためにパーキングケーブル30には移動力が伝達されず、パーキングケーブル30は前方に移動しない(
図5参照)。このため、ロックアクチュエータ50の動作では、スイングロックのみが実現される。
【0025】
図6は、ダンパー機構70の説明図である。
揺動軸36の長手方向中途部には、ダンパー機構70が設けられる(
図2参照)。ダンパー機構70は、揺動軸36に固定されたストッパ71を有する。ストッパ71は揺動軸36に直交するように揺動軸36に突出した状態で固定される。ストッパ71の下側(揺動軸36の径方向外側)には、ダンパーアクチュエータ72が配置される。ダンパーアクチュエータ72は、例えば、電動のリニアソレノイドである。ダンパーアクチュエータ72は、ジョイントケース32に固定された固定部73と、固定部73に対して進退可能に支持される可動部74と、を有する。可動部74は、揺動軸36のストッパ71に接近、離間可能に配置される。可動部74の先端には、ダンパー部材75が固定される。ダンパー部材75は、揺動軸36側が開放された容器状のラバー受部76を有する。ラバー受部76には、ダンパーラバー(緩衝部材)77が収容される。
【0026】
ダンパー機構70では、ダンパーアクチュエータ72が駆動することにより、ダンパー部材75が、揺動軸36に当接するダンパー位置(
図6の実線)と、揺動軸36から離間する待機位置(
図6の破線)と、の間を移動可能に支持される。ダンパー位置においては、ダンパーラバー77が揺動軸36のストッパ71に当接可能となるため、揺動軸36の相対回動時に回動抵抗となり、前車体2が後車体3に対して大きく揺動することが抑制され易くなる。すなわち、スイング角が小さい場合には、ダンパーラバー77の押し込み量が小さいためスイング可能であるが、スイング角が大きくなると、ダンパーラバー77を大きく押し込む必要があるため、大きなスイング角は抑制され易い。よって、ダンパー機構70により、スイングロックを所定のスイング角だけ許容し易くできる。
【0027】
図7は、スイングロックシステム200の全体構成を示すブロック図である。
揺動式車両1は、スイングロックシステム200を備える。スイングロックシステム200は、制御部100を備える。制御部100は、ECU(Electronic Control Unit)等を備えるコンピュータ装置である。制御部100は、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサと、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random access memory)等のメモリと、を備える。メモリは、プロセッサが実行する制御プログラムを記憶する。また、メモリは、プロセッサが制御プログラムの実行時に処理されるデータや処理結果のデータを記憶する。プロセッサが、メモリに記憶されたコンピュータプログラムを実行することにより、制御部100の各種の機能的構成を実現する。
【0028】
制御部100には、信号入力要素として、車輪速センサ111、スイング角センサ112、舵角センサ113、揺動荷重センサ114、G/Gyroセンサ115などが電気的に接続される。各信号入力要素111~115から出力された電気信号は、制御部100に入力される。
【0029】
車輪速センサ111は、前輪11の回転速度に基づいて、揺動式車両1の車体速度、すなわち、走行速度を検出する。
【0030】
図8は、揺動式車両1の模式図でありスイング角θの説明図である。
スイング角センサ112は、後車体3に対する前車体2の揺動軸36の軸回りの回動した角度、すなわち、スイング角θを検出する。具体的には、前車体2が揺動軸36を中心に左右方向に揺動した場合に、後車体3に基づいて設定された基準線L0に対して、前車体2に基づいて設定された基準線L1のなす角をスイング角θとして検出する。なお、後車体3の基準線L0は、路面が水平な場合に鉛直方向に一致し、このとき、前車体2の基準線L1はスイング角θが0の場合に基準線L0に一致する。また、スイング角センサ112は、例えば、ロータリポテンショメータである。スイング角センサ112は、揺動機構4の揺動軸36上に設けられ、後車体3の揺動軸36と前車体2のジョイントケース32との相対回転の角度を検出する。
【0031】
図9は、揺動式車両1の模式図であり舵角φの説明図である。
舵角センサ113は、ヘッドパイプ14に対するフロントフォーク18のステアリングシャフト18aの軸回りの回動した角度、すなわち、舵角φを検出する。具体的には、フロントフォーク18上に設定された前後方向に延びる基準線L0が、フロントフォーク18がステアリングシャフト18aを中心に左右方向に揺動した場合に移動する位置の基準線L2とのなす角を舵角φとして検出する。舵角センサ113は、例えば、ロータリポテンショメータである。舵角センサ113は、フロントフォーク18のステアリングシャフト18a上に設けられ、ステアリングシャフト18aとヘッドパイプ14との相対回転の角度を検出する。
【0032】
揺動荷重センサ114は、揺動軸36の軸回りの前車体2に加わる揺動荷重を検出する。本実施の形態では、揺動荷重センサ114は、シート20に加わる荷重を揺動荷重として検出する。具体的には、揺動荷重センサ114は、シート20上に左右一対設けられた左センサ114Aと右センサ114Bとを有する。左センサ114Aと右センサ114Bとは本実施の形態では圧力センサで構成される。よって、運転者がシート20に座っている場合に、左センサと右センサ114Bとにより、シート20における左右方向の荷重が検出される。
【0033】
G/Gyroセンサ215は、前車体2に設けられ、揺動式車両1の前後加速度及び横加速度などを検出する。
【0034】
制御部100には、信号出力要素として、ロック駆動部121、ダンパー駆動部122、表示部123、音声出力部124が電気的に接続されている。
【0035】
ロック駆動部121は、ロックアクチュエータ50を備える。ロック駆動部121は、ロックアクチュエータ50を駆動するための電力の供給や駆動するための回路を備える。ロック駆動部121は、制御部100の制御により、ロックアクチュエータ50を作動させる。
【0036】
ダンパー駆動部122は、ダンパーアクチュエータ122Aを備える。ダンパー駆動部122は、ダンパーアクチュエータ122Aを駆動するための電力の供給や駆動するための回路を備える。ダンパー駆動部122は、制御部100の制御により、ダンパーアクチュエータ122Aを作動させる。
【0037】
表示部123は、ディスプレイで構成される。表示部123は、揺動式車両1の状態を表示する。表示部123は、制御部100の制御により、信号入力要素から得られた走行速度や、揺動荷重などの各種情報を表示する。表示部123により、運転者に揺動式車両1の各種状態が示される。
【0038】
音声出力部124は、スピーカ124Aを備える。音声出力部124は、制御部100の制御により、スピーカ124Aから音を鳴らす。本実施の形態では、音声出力部124は、スイングロックを解除することを運転者に示すアラート音を鳴らす。
【0039】
本実施形態の制御部100は、スイングロック機構40を作動させるスイングロック制御処理を実行する。
【0040】
図10は、スイングロック制御処理の一例を示すフローチャートである。
図11は、
図10の続きのフローチャートである。
制御部100は、
図10、
図11に示す処理を、メインスイッチがONになっている間、所定の周期で繰り返し実行する。
【0041】
ステップST11において、制御部100は、スイング角θが所定角度以内か否かを判定する。具体的には、制御部100は、スイング角センサ112の検出値に基づいて、スイング角θの大きさが所定角度以内か否かを判定する。スイング角θの所定角度は予め実験などにより求められて設定されている。本実施の形態では、スイング角θの所定角度は一例として、5度である。すなわち、本実施の形態では、制御部100は、スイング角θが、左右いずれかに5度以下であるか否かを判定する。
制御部100は、スイング角θが所定角度以内でないと判定する場合(ステップST11;NO)、スイングロック制御処理を終了する。
制御部100は、スイング角θが所定角度以内であると判定する場合(ステップST11;YES)、ステップST12に処理を進める。
【0042】
ステップST12において、制御部100は、舵角φが所定角度以内か否かを判定する。具体的には、制御部100は、舵角センサ113の検出値に基づいて、舵角φが所定角度以内か否かを判定する。舵角φの所定角度は予め実験などにより求められて設定されている。本実施の形態では、舵角φの所定角度は一例として、5度である。すなわち、本実施の形態では、制御部100は、舵角φが左右いずれかに5度以下であるか否かを判定する。
制御部100は、舵角φが所定角度以内でないと判定する場合(ステップST12;NO)、スイングロック制御処理を終了する。
制御部100は、舵角φが所定角度以内であると判定する場合(ステップST12;YES)、ステップST13に処理を進める。
【0043】
ステップST13において、制御部100は、急減速していないか否かを判定する。具体的には、制御部100は、G/Gyroセンサ115の検出値に基づいて、前後方向の負の加速度が所定値以下か否かを判定する。換言すれば、制御部100は、負の加速度の大きさが大き過ぎないか否かを判定する。負の加速度の所定値は、予め実験などにより求められて設定されており、いわゆる、急ブレーキ時の加速度に基づいて設定される。
制御部100は、急減速していると判定する場合(ステップST13;NO)、スイングロック制御処理を終了する。
制御部100は、急減速していないと判定する場合(ステップST13;YES)、ステップST14に処理を進める。
【0044】
ステップST14において、制御部100は、低速走行時間が所定時間以上経過したか否かを判定する。具体的には、制御部100は、車輪速センサ111の検出値に基づいて走行速度を取得する。制御部100は、その走行速度が所定速度以下になると低速走行時間の計測を並列的に開始する。そして、制御部100は、走行速度が所定速度より大きくなると、低速走行時間の計測を終了すると共に計測された低速走行時間を0にリセットする。よって、制御部100は、この計測されている低速走行時間に基づいて、低速走行時間が所定時間以上継続しているか否かを判定する。所定時間は、予め実験等に基づいて設定されている。本実施の形態では、所定速度は一例として、時速15キロメートルに設定されている。また、所定時間は、一例として、10分に設定されている。すなわち、本実施の形態では、制御部100は、時速15キロメートル以下の走行が10分以上継続したか否かを判定する。
【0045】
制御部100は、低速走行時間が所定時間以上でないと判定する場合(ステップST14;NO)、スイングロック制御処理を終了する。
制御部100は、低速走行時間が所定時間以上であると判定する場合(ステップST14;YES)、ステップST15に処理を進める。
【0046】
ステップST15において、制御部100は、スイングロック機構40を作動させて、スイングロックを開始する。すなわち、制御部100は、ロック駆動部121によってロックアクチュエータ50を作動させて、スイングロック機構40のスイングロックアーム43をロック位置に移動させる。
【0047】
ステップST16において、制御部100は、揺動荷重量を取得する。本実施の形態では、制御部100は、揺動荷重センサ114の左センサ114Aの検出値に基づいて左方向の揺動荷重を取得する。また、制御部100は、揺動荷重センサ114の右センサ114Bの検出値に基づいて右方向の揺動荷重を取得する。
【0048】
ステップST17において、制御部100は、揺動荷重が左方向への揺動荷重か否かを判定する。具体的には、制御部100は、左方向の荷重から右方向の荷重を引いた差分を演算する。そして、制御部100は、その揺動荷重の差分が0以上か否かを判定する。制御部100は、揺動荷重の差分が0以上の場合に左方向への荷重と判定する。また、制御部100は、揺動荷重の差分が0以上でない場合、すなわち、0未満の場合に、右方向への荷重と判定する。
制御部100は、左方向への荷重と判定する場合(ステップST17;YES)、ステップST18に処理を進める。
制御部100は、左方向への荷重と判定しない場合、すなわち、右方向への荷重と判定する場合(ステップST17;NO)、ステップST19に処理を進める。
【0049】
ステップST18において、制御部100は、左方への揺動しようとしていることを示す表示を表示部123に表示すると共に、揺動荷重の差分の大きさを表示する。例えば、制御部100は、
図8に示すように左方向を示す矢印A1(
図8参照)を表示部123に表示すると共に、演算した揺動荷重の差分の大きさを表示部123に表示する。
ステップST19において、制御部100は、右方への揺動しようとしていることを示す表示を表示部123に表示すると共に、揺動荷重の差分の大きさを表示する。例えば、制御部100は、
図8に示すように右方向を示す矢印A2(
図8参照)を表示部123に表示すると共に、演算した揺動荷重の差分の大きさを表示部123に表示する。
【0050】
ステップST20において、制御部100は、スイングロック解除条件を満たしているか否かを判定する。具体的には、スイングロック解除条件は、スイング角θが所定角度より大きい、舵角φが所定角度より大きい、急減速している、走行速度が所定時間よりも大きい、のいずれかの条件が満たされる場合である。制御部100は、これらの条件が一つでも満たされているか否かを判定する。制御部100は、これらの条件の一つが満たされている場合には、スイングロックの解除条件を満たしていると判定する。なお、スイングロック解除条件の所定の値は、ステップST11~ST14の処理における所定の値に対応する。
【0051】
制御部100は、スイングロック解除条件を満たしていないと判定する場合(ステップST20;NO)、ステップST16の処理を戻す。
制御部100は、スイングロックの解除条件を満たしていると判定する場合(ステップST20;YES)、
図11に示すステップST31に処理を進める。
【0052】
図11に示すステップST31において、制御部100は、揺動荷重が所定値(閾値)以上か否かを判定する。本実施の形態では、制御部100は、演算された揺動荷重の差分の大きさが所定値以上か否かを判定する。ここで、揺動荷重が大きければ大きいほど、前車体2が後車体3に対して急激に回動し易くなる。換言すれば、制御部100は、スイングロックが解除された場合に、前車体2が大きく揺動する可能性があるか否かを判定している。揺動荷重を判定するための所定値は、揺動式車両1の構成や実験などに基づいて求められて設定されている。
制御部100は、揺動荷重が所定値以上であると判定する場合(ステップST31;YES)、ステップST32に処理を進める。
制御部100は、揺動荷重が所定値以上でないと判定する場合(ステップST31;NO)、ステップST37に処理を進める。
【0053】
ステップST32において、制御部100は、スピーカ124Aからスイングロックを終了するアラート音を鳴らす。これにより、スイングロックが解除されることを運転者は認識し易くなっている。
ステップST33において、制御部100は、ダンパー駆動部122を介してダンパーアクチュエータ72を駆動させて、ダンパー部材75をダンパー位置に移動させる。これにより、揺動軸36のストッパ71とダンパー部材75が当接して、揺動軸36とダンパー部材75とが相対的に回動し難くなる。よって、揺動荷重が大きい場合にスイングロックが解除されても、前車体2が急激に揺動することが抑制される。
【0054】
ステップST34において、制御部100は、スイングロックを終了する。すなわち、制御部100は、ロック駆動部121を介してロックアクチュエータ50の駆動を停止する。これにより、スイングロックアーム43がリターンスプリング49によりロック解除位置に戻され、スイングロックが解除される。
【0055】
ステップST35において、制御部100は、ダンパー機構70の所定の作動時間が終了したか否かを判定する。本実施の形態では、制御部100は、ダンパーアクチュエータ72を駆動させてから所定時間の計測を開始して、所定時間が経過したか否かを判定する。本実施の形態では、ダンパー機構70の所定の作動時間は、一例として、5秒が設定される。
制御部100は、ダンパー機構70の所定の作動時間が経過していないと判定する場合(ステップST35;NO)、ステップST35の処理を繰り返す。
制御部100は、ダンパー機構70の所定の作動時間が経過したと判定する場合(ステップST35;YES)、ステップST36に処理を進める。
【0056】
ステップST36において、制御部100は、ダンパー駆動部122を介してダンパーアクチュエータ72を非動作位置に移動して、ダンパー部材75を待機位置に移動させる。これにより、揺動軸36のストッパ71から、ダンパー部材75が離間して、運転者の意思に基づいて前車体2を揺動させ易くできる。そして、制御部100は、スイングロック制御処理を終了する。
【0057】
ステップST37において、ステップST34と同様に、制御部100は、スイングロックを終了する。そして、制御部100は、スイングロック制御処理を終了する。
【0058】
本実施の形態の揺動式車両1では、スイング角θが5度以下であり、舵角φが5度以下の場合において、時速15キロメートル以下の低速走行が10分以上継続した場合に、スイングロック機構40を作動させてスイングロックを行う。すなわち、運転者による操作が大きく変化しない走行状態が継続した場合に、スイングロックが実行される。これにより、前車体2の揺動が規制されるため、揺動式車両1を安定させた状態で走行させ易くなっている。ただし、スイング角θが5度以下であり、舵角φが5度以下の場合であっても、急減速している場合には、スイングロック機構40は作動させない。急減速している場合には、いわゆる、急ブレーキ時と考えられ、運転者が操作を大きく変化させる可能性がある。このため、スイングロック機構40を作動させないことにより、揺動式車両1に対する運転者の意思を反映させ易くなっている。
【0059】
以上説明したように、本発明を適用した本実施の形態によれば、前輪11を有する前車体2と、後輪12を有する後車体3と、前車体2および後車体3を左右揺動自在に連結する揺動機構4と、を備える揺動式車両1において、前車体2と後車体3との相対的な揺動をロックするスイングロック機構40を備え、走行中であっても、走行速度が時速15キロメートル以下であって、後車体3に対して前車体2が揺動するスイング角θが5度以下であり、舵角φが5度以下であるときに、スイングロック機構40の制御処理を実行する。
ここで、スイング角θが5度以下であり、舵角φが5度以下であるときには、運転者が揺動式車両1を直進させる意思を有していると考えられる。よって、上記の構成によれば、直進する運転者の意思に基づいてスイングロックをし易くでき、運転者の意思を適切に反映させ易い快適性のあるスイングロック制御を実行できる。
【0060】
本実施の形態によれば、急減速時には、スイングロック機構40にスイングロックをさせない。
一般に、急減速時には運転者が走行操作を変更するものと考えられる。よって、上記の構成によれば、急減速時にはスイングロックしないため、急減速時には揺動式車両1を運転者の意思に沿わせて操作でき、運転者の意思を適切に反映させ易い快適性のあるスイングロック制御を実行できる。
【0061】
また、本実施の形態によれば、時速15キロメートル以下の走行が10分以上、経過しているときに、スイングロック機構40にスイングロックをさせる。
一般に、少しの低速走行状態が継続しただけでは、走行状態が変化する可能性が大きく、スイングロックして直ぐにカーブする可能性などがある一方で、低速走行状態が所定時間以上経過している場合には、その低速走行状態が維持される可能性が大きい。よって、上記の構成によれば、直進状態が継続している場合にスイングロックをすることができ、カーブ時などの不要なタイミングでスイングロックをし難くできる。
【0062】
また、本実施の形態によれば、左右方向への揺動荷重を表示する表示部123を備え、スイングロック機構40によるスイングロック中に、左右方向への揺動荷重を表示部123に表示する。
この構成によれば、スイングロック中に、左右方向への揺動荷重を運転者に認識させることができる。したがって、スイングロック中やスイングロック解除時に、運転者の意思に沿った揺動加重を付与し易くできる。
【0063】
また、本実施の形態によれば、スイングロック機構40のスイングロック中に、所定の閾値以上の左右方向への揺動荷重があった場合に、スイングロック機構40によるスイングロックを解除する前に、スイングロック機構40によるスイングロックを解除するアラートを鳴らす。
この構成によれば、スイングロックが解除される前に、運転者に、スイングロックが解除されることを知らせることができる。
【0064】
また、本実施の形態によれば、スイングロック機構40のスイングロック中に、所定値以上の左右方向への揺動荷重があった場合に、急激な揺動を防止しつつ、スイングロック機構40によるスイングロックを解除する。
この構成によれば、所定値以上の揺動荷重による前車体2の左右方向への急激な揺動を防止しつつ、スイングロックの解除を実現できる。
【0065】
[他の実施の形態]
上述した実施の形態は、あくまでも本発明の一態様を示すものであり、本発明の主旨を逸脱しない範囲で任意に変形及び応用が可能である。
【0066】
上記実施の形態では、スイングロック制御処理では、アラート音を鳴らす構成が望ましいが、ステップST32の処理を省略して、アラート音をならさなくてもよい。
【0067】
上記実施の形態では、ダンパー機構70を備える構成が望ましいが、ダンパー機構70は省略してもよい。すなわち、スイングロック制御処理においては、ステップST33、ST35、ST36を省略して、ダンパー機構70を作動させなくてもよい。
【0068】
上記実施の形態では、揺動荷重センサ114は、加圧センサで構成される構成を説明したが、これに限定されない。揺動荷重センサは、揺動軸36の軸回りのトルクセンサで構成してもよい。
【0069】
上記実施の形態の各種センサ111~115は、センサの目的とする値が得られれば、センサの構成は任意である。
【0070】
上記実施の形態の制御部100の設定値は、一例であって、適宜に変更可能である。
【0071】
上記第の実施の形態では、ロックアクチュエータ50や、ダンパーアクチュエータ72は、進退可能な電動のリニアソレノイドの構成を説明したが、電動のシリンダや、電動モータと、ギア、ラック歯などにより、移動させる構成などでもよい。
【0072】
上記第の実施の形態では、パーキングケーブル30とロックケーブル80とが連動部材60、61を介して連動可能な構成を説明したが、これに限定されない。例えば、連動部材60、61を省略すると共に、パーキングロックレバーの操作を検出するレバー用のセンサを設ける。そして、レバー用のセンサの検出結果に基づいて、制御部100がロック駆動部121を介してロックアクチュエータ50を作動させてもよい。
【0073】
また、
図10、
図11に示す動作のステップ単位は、制御部100の動作の理解を容易にするために、主な処理内容に応じて分割したものであり、処理単位の分割の仕方や名称によって、本発明が限定されることはない。処理内容に応じて、さらに多くのステップ単位に分割してもよい。また、1つのステップ単位がさらに多くの処理を含むように分割してもよい。また、そのステップの順番は、本発明の趣旨に支障のない範囲で適宜に入れ替えてもよい。
【0074】
[上記実施の形態によりサポートされる構成]
上記実施の形態は、以下の構成をサポートする。
【0075】
(構成1)操向輪を有する前車体と、駆動輪を有する後車体と、前記前車体および前記後車体を左右揺動自在に連結する連結部と、を備える揺動式車両において、前記前車体と前記後車体との相対的な揺動をロックするスイングロック機構を備え、走行中であっても、走行速度が所定の速度以下であって、前記後車体に対して前記前車体が揺動するスイング角が所定の角度以下であり、舵角が所定の角度以下であるときに、前記スイングロック機構の制御処理を実行することを特徴とする揺動式車両。
この構成によれば、直進する運転者の意思に基づいてスイングロックをし易くでき、運転者の意思を適切に反映させ易い快適性のあるスイングロック制御を実行できる。
【0076】
(構成2)急減速時には、前記スイングロック機構にスイングロックをさせないことを特徴とする構成1に記載の揺動式車両。
この構成によれば、急減速時にはスイングロックしないため、急減速時には揺動式車両を運転者の意思に沿わせて操作でき、運転者の意思を適切に反映させ易い快適性のあるスイングロック制御を実行できる。
【0077】
(構成3)所定の速度以下の走行が所定時間以上、経過しているときに、前記スイングロック機構にスイングロックをさせることを特徴とする構成1または2に記載の揺動式車両。
この構成によれば、直進状態が継続している場合にスイングロックをすることができ、カーブ時などの不要なタイミングでスイングロックをし難くできる。
【0078】
(構成4)左右方向への揺動荷重を表示する表示部を備え、前記スイングロック機構によるスイングロック中に、左右方向への揺動荷重を前記表示部に表示することを特徴とする構成1から3のいずれかに記載の揺動式車両。
この構成によれば、スイングロック中に、左右方向への揺動荷重を運転者に認識させることができる。したがって、スイングロック中やスイングロック解除時に、運転者の意思に沿った揺動加重を付与し易くできる。
【0079】
(構成5)前記スイングロック機構のスイングロック中に、所定の閾値以上の左右方向への揺動荷重があった場合に、前記スイングロック機構によるスイングロックを解除する前に、前記スイングロック機構によるスイングロックを解除するアラートを鳴らすことを特徴とする構成1から4のいずれかに記載の揺動式車両。
この構成によれば、スイングロックが解除される前に、運転者に、スイングロックが解除されることを知らせることができる。
【0080】
(構成6)前記スイングロック機構のスイングロック中に、所定の閾値以上の左右方向への揺動荷重があった場合に、急激な揺動を防止しつつ、前記スイングロック機構によるスイングロックを解除することを特徴とする構成1から5のいずれかに記載の揺動式車両。
この構成によれば、所定の閾値以上の揺動荷重による前車体の左右方向への急激な揺動を防止しつつ、スイングロックの解除を実現できる。
【符号の説明】
【0081】
1 揺動式車両
2 前車体
3 後車体
4 揺動機構(連結部)
11 前輪(操向輪)
12 後輪(駆動輪)
40 スイングロック機構
123 表示部
θ スイング角
φ 舵角