(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024124877
(43)【公開日】2024-09-13
(54)【発明の名称】電池パック
(51)【国際特許分類】
H01M 10/6551 20140101AFI20240906BHJP
H01M 10/613 20140101ALI20240906BHJP
H01M 10/647 20140101ALI20240906BHJP
H01M 10/6556 20140101ALI20240906BHJP
H01M 10/651 20140101ALI20240906BHJP
H01M 10/625 20140101ALI20240906BHJP
【FI】
H01M10/6551
H01M10/613
H01M10/647
H01M10/6556
H01M10/651
H01M10/625
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023032835
(22)【出願日】2023-03-03
(71)【出願人】
【識別番号】520184767
【氏名又は名称】プライムプラネットエナジー&ソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉田 直剛
(72)【発明者】
【氏名】福田 雅樹
(72)【発明者】
【氏名】内記 大輔
【テーマコード(参考)】
5H031
【Fターム(参考)】
5H031AA09
5H031HH08
5H031KK01
5H031KK08
(57)【要約】
【課題】複数の電池セルをより均等に冷却することを目的とする冷却設計において、各電池セルの冷却効率を自在に制御することが可能な電池パック、を提供する。
【解決手段】電池パックは、積層される複数の電池セル11と、複数の電池セル11と熱的に接続されるプレート部材31とを備える。プレート部材31は、冷媒が流通する冷媒通路40を区画形成する内壁47を含む。内壁47には、冷媒通路40における冷媒の流れ方向において形状が変化する凹凸部46が設けられる。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
積層される複数の電池セルと、
複数の前記電池セルと熱的に接続されるプレート部材とを備え、
前記プレート部材は、冷媒が流通する冷媒通路を区画形成する内壁を含み、
前記内壁には、前記冷媒通路がなす開口に対して凹形状および/または凸形状をなし、前記冷媒通路における冷媒の流れ方向において形状が変化する凹凸部が設けられる、電池パック。
【請求項2】
前記冷媒通路は、第1通路領域と、前記第1通路領域よりも冷媒流れの下流側に位置する第2通路領域とを含み、
前記凹凸部は、前記冷媒通路における冷媒の流れ方向の単位距離当たりにおいて、前記第2通路領域における前記内壁の表面積が、前記第1通路領域における前記内壁の表面積よりも大きくなるように設けられる、請求項1に記載の電池パック。
【請求項3】
所定方向に積層される複数の前記電池セルにより構成されるセル積層体を備え、
前記冷媒通路は、前記所定方向における前記セル積層体の端部と対向する第3通路領域と、前記所定方向における前記セル積層体の中間部と対向する第4通路領域とを含み、
前記凹凸部は、前記冷媒通路における冷媒の流れ方向の単位距離当たりにおいて、前記第4通路領域における前記内壁の表面積が、前記第3通路領域における前記内壁の表面積よりも大きくなるように設けられる、請求項1または2に記載の電池パック。
【請求項4】
側部を有するケース体と、
前記ケース体に収容される電子部品ユニットと、
積層される複数の前記電池セルにより構成され、前記側部と隣り合う位置で前記ケース体に収容される第1セル積層体と、
積層される複数の前記電池セルにより構成され、前記電子部品ユニットと隣り合う位置で前記ケース体に収容される第2セル積層体とを備え、
前記冷媒通路は、前記第1セル積層体と対向する第5通路領域と、前記第2セル積層体と対向する第6通路領域とを含み、
前記凹凸部は、前記冷媒通路における冷媒の流れ方向の単位距離当たりにおいて、前記第6通路領域における前記内壁の表面積が、前記第5通路領域における前記内壁の表面積よりも大きくなるように設けられる、請求項1または2に記載の電池パック。
【請求項5】
前記冷媒通路は、互いに平行に延び、冷媒流れの上流側から下流側に順に並ぶように接続される複数の通路領域を含み、
前記凹凸部の形状は、各前記通路領域において、前記冷媒通路における冷媒の流れ方向に変化せず、かつ、複数の前記通路領域の間で互いに異なる、請求項1または2に記載の電池パック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電池パックに関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば、国際公開第2019/150705号(特許文献1)には、複数の電池セルからなる電池ユニットと、電池セルに熱結合状態に固定され、電池セルの熱エネルギを放熱する冷却プレートとを備える電源装置が開示されている。冷却プレートの内部には、冷媒を循環させる冷媒通路が設けられている。
【0003】
また、特表2017-534143号公報(特許文献2)には、平板状の二次電池用冷却プレートが開示されている。二次電池用冷却プレート内には、その長手方向に沿って複数個の冷却部が互いに隔離して設けられている。冷却部の内側面には、複数個の補強リブが設けられている。
【0004】
また、中国実用新案公告第213816250号明細書(特許文献3)には、水冷プレートを備える電池コア放熱モジュールが開示されている。水冷プレート内には、少なくとも1つの通路が開設されている。通路には、複数本の放熱歯が設置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2019/150705号
【特許文献2】特表2017-534143号公報
【特許文献3】中国実用新案公告第213816250号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述の特許文献1~3に開示されるように、積層された複数の電池セルからなるセル積層体に対して冷却プレートを接続し、冷却プレート内に冷媒通路を設けた冷却機構を備える電池パックが知られている。しかしながら、セル積層体における電池セルの積層位置、冷媒の流れ方向における電池セルの位置、電池セルの周りの温度環境等の各種要因によって、複数の電池セルを均等に冷却することは難しい。このため、各電池セルの冷却効率を自在に制御する手法が求められる。
【0007】
そこでこの発明の目的は、上記の課題を解決することであり、複数の電池セルをより均等に冷却することを目的とする冷却設計において、各電池セルの冷却効率を自在に制御することが可能な電池パックを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
[1]積層される複数の電池セルと、複数の上記電池セルと熱的に接続されるプレート部材とを備え、上記プレート部材は、冷媒が流通する冷媒通路を区画形成する内壁を含み、上記内壁には、上記冷媒通路がなす開口に対して凹形状および/または凸形状をなし、上記冷媒通路における冷媒の流れ方向において形状が変化する凹凸部が設けられる、電池パック。
【0009】
このように構成された電池パックによれば、冷媒通路を区画形成する内壁に凹凸部を設けつつ、その凹凸部の形状を冷媒の流れ方向において変化させることによって、冷媒通路を流れる冷媒と、内壁との接触面積を変化させる。これにより、複数の電池セルをより均等に冷却することを目的とする冷却設計において、各電池セルの冷却効率を自在に制御することができる。
【0010】
[2]上記冷媒通路は、第1通路領域と、上記第1通路領域よりも冷媒流れの下流側に位置する第2通路領域とを含み、上記凹凸部は、上記冷媒通路における冷媒の流れ方向の単位距離当たりにおいて、上記第2通路領域における上記内壁の表面積が、上記第1通路領域における上記内壁の表面積よりも大きくなるように設けられる、[1]に記載の電池パック。
【0011】
このように構成された電池パックによれば、第2通路領域は、第1通路領域よりも冷媒流れの下流側に位置するため、第2通路領域には、相対的に高温の冷媒が流れ、第1通路領域には、相対的に低温の冷媒が流れる。この場合に、凹凸部を、第2通路領域における内壁の表面積が第1通路領域における内壁の表面積よりも大きくなるように設けることによって、第2通路領域と対向する電池セルの冷却効率を高めることができる。
【0012】
[3]所定方向に積層される複数の上記電池セルにより構成されるセル積層体を備え、上記冷媒通路は、上記所定方向における上記セル積層体の端部と対向する第3通路領域と、上記所定方向における上記セル積層体の中間部と対向する第4通路領域とを含み、上記凹凸部は、上記冷媒通路における冷媒の流れ方向の単位距離当たりにおいて、上記第4通路領域における上記内壁の表面積が、上記第3通路領域における上記内壁の表面積よりも大きくなるように設けられる、[1]または[2]に記載の電池パック。
【0013】
このように構成された電池パックによれば、セル積層体の中間部に配置される電池セルは、セル積層体の端部に配置される電池セルよりも放熱し難いため、高温となる。この場合に、凹凸部を、セル積層体の中間部と対向する第4通路領域における内壁の表面積が、セル積層体の端部と対向する第3通路領域における内壁の表面積よりも大きくなるように設けることによって、セル積層体の中間部の冷却効率を高めることができる。
【0014】
[4]側部を有するケース体と、上記ケース体に収容される電子部品ユニットと、積層される複数の上記電池セルにより構成され、上記側部と隣り合う位置で上記ケース体に収容される第1セル積層体と、積層される複数の上記電池セルにより構成され、上記電子部品ユニットと隣り合う位置で上記ケース体に収容される第2セル積層体とを備え、上記冷媒通路は、上記第1セル積層体と対向する第5通路領域と、上記第2セル積層体と対向する第6通路領域とを含み、上記凹凸部は、上記冷媒通路における冷媒の流れ方向の単位距離当たりにおいて、上記第6通路領域における上記内壁の表面積が、上記第5通路領域における上記内壁の表面積よりも大きくなるように設けられる、[1]から[3]のいずれかに記載の電池パック。
【0015】
このように構成された電池パックによれば、第2セル積層体は、発熱体である電子部品ユニットと隣り合って配置されるため、相対的に高温となり、第1セル積層体は、ケース体の側部と隣り合って配置されるため、相対的に低温となる。この場合に、凹凸部を、第2セル積層体と対向する第6通路領域における内壁の表面積が、第1セル積層体と対向する第5通路領域における内壁の表面積よりも大きくなるように設けることによって、第2セル積層体の冷却効率を高めることができる。
【0016】
[5]上記冷媒通路は、互いに平行に延び、冷媒流れの上流側から下流側に順に並ぶように接続される複数の通路領域を含み、上記凹凸部の形状は、各上記通路領域において、上記冷媒通路における冷媒の流れ方向に変化せず、かつ、複数の上記通路領域の間で互いに異なる、[1]から[4]のいずれかに記載の電池パック。
【0017】
このように構成された電池パックによれば、押し出し成形を用いことによって、プレート部材に、凹凸形状が変化する複数の通路領域を含む冷媒通路を容易に設けることができる。
【発明の効果】
【0018】
以上に説明したように、この発明に従えば、複数の電池セルをより均等に冷却することを目的とする冷却設計において、各電池セルの冷却効率を自在に制御することが可能な電池パックを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】この発明の実施の形態1における電池パックの分解組み立て図である。
【
図2】
図1中の電池パックを構成する電池セルを示す斜視図である。
【
図4】
図1中の電池パックを示す別の断面図である。
【
図5】
図4中のプレート部材に設けられた凹凸部の変形例を示す断面図である。
【
図6】この発明の実施の形態2における電池パックを示す断面図である。
【
図7】
図6中のVII-VII線上の矢視方向に見た電池パックを示す断面図である。
【
図8】
図6中のVIII-VIII線上の矢視方向に見た電池パックを示す断面図である。
【
図9】
図6中のIX-IX線上の矢視方向に見た電池パックを示す断面図である。
【
図10】この発明の実施の形態3における電池パックを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
この発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、以下で参照する図面では、同一またはそれに相当する部材には、同じ番号が付されている。
【0021】
(実施の形態1)
図1は、この発明の実施の形態1における電池パックの分解組み立て図である。
図2は、
図1中の電池パックを構成する電池セルを示す斜視図である。
図3および
図4は、
図1中の電池パックを示す断面図である。
図3中に示される電池パックの断面は、
図1中のIII-III線上の矢視方向に見た電池パックの断面に対応し、
図4中に示される電池パックの断面は、
図3中のIV-IV線上の矢視方向に見た電池パックの断面に対応している。
【0022】
図1から
図4を参照して、電池パック100は、ハイブリッド車(HEV:Hybrid Electric Vehicle)、プラグインハイブリッド車(PHEV:Plug-in Hybrid Electric Vehicle)または電気自動車(BEV:Battery Electric Vehicle)などの車両の駆動用電源として用いられる。
【0023】
本明細書においては、電池パック100の構造を説明する便宜上、後述する複数の電池セル11の積層方向、かつ、水平方向に延びる軸を「Y軸」といい、Y軸に直交する方向、かつ、水平方向に延びる軸を「X軸」といい、上下方向に延びる軸を「Z軸」という。
【0024】
まず、電池パック100の全体構造について説明する。電池パック100は、複数の電池セル11を有する。複数の電池セル11は、Y軸方向に積層されている。電池セル11は、リチウムイオン電池である。電池セル11は、角形であり、直方体の薄板形状を有する。複数の電池セル11は、Y軸方向が電池セル11の厚み方向となるように積層されている。
【0025】
電池セル11は、外装体12を有する。外装体12は、直方体形状の筐体からなり、電池セル11の外観をなしている。外装体12には、電極体および電解液が収容されている。
【0026】
外装体12は、第1側面13と、第2側面14と、頂面15と、底面16とを有する。第1側面13および第2側面14の各側面は、Y軸に直交する平面からなる。第1側面13および第2側面14は、Y軸方向において、互いに反対側を向いている。第1側面13および第2側面14の各側面は、外装体12が有する複数の側面のうちで最も大きい面積を有する。
【0027】
頂面15および底面16の各面は、Z軸に直交する平面からなる。頂面15は、上方を向いている。底面16は、下方を向いている。頂面15には、外装体12の内部で発生したガスにより外装体12の内圧が所定値以上となった場合に、そのガスを外装体12の外部に排出するためのガス排出弁17が設けられている。
【0028】
電池セル11は、正極端子18Pおよび負極端子18Nが対となった電極端子18をさらに有する。電極端子18は、頂面15に設けられている。正極端子18Pおよび負極端子18Nは、X軸方向において、互いに離れて設けられている。正極端子18Pおよび負極端子18Nは、X軸方向におけるガス排出弁17の両側にそれぞれ設けられている。
【0029】
複数の電池セル11は、Y軸方向に隣り合う電池セル11,11の間において、第1側面13同士が向かい合わせとなり、第2側面14同士が向かい合わせとなるように積層されている。これにより、複数の電池セル11が積層されるY軸方向において、正極端子18Pと負極端子18Nとが、交互に並んでいる。Y軸方向に隣り合う電池セル11,11の間において、Y軸方向に並ぶ正極端子18Pと負極端子18Nとが、図示されないバスバーにより、互いに接続されている。複数の電池セル11は、互いに電気的に直列に接続されている。
【0030】
Y軸方向に積層された複数の電池セル11により、セル積層体10(10A,10B)が構成されている。セル積層体10は、直方体形状をなしている。典型的な例として、Y軸方向におけるセル積層体10の長さは、Z軸方向におけるセル積層体10の長さよりも大きく、X軸方向におけるセル積層体10の長さよりも大きい。セル積層体10Aおよびセル積層体10Bは、互いに間隔を開けてX軸方向に並んでいる。
【0031】
電池パック100は、ケース体21をさらに有する。ケース体21は、全体として、直方体形状の外観を有する箱体からなる。ケース体21の内部(内部空間70)には、複数の電池セル11が収容されている。
【0032】
ケース体21は、プレート部材31と、ケース側部23と、ケース頂部24と、ケース底部22とを有する。プレート部材31は、ケース側部23およびケース頂部24とともに内部空間70を区画形成している。ケース底部22は、ケース体21の底に配置されている。
【0033】
プレート部材31は、Z軸方向が厚み方向となり、X軸-Y軸平面に平行に延在する板材からなる。ケース側部23は、プレート部材31の上面から上方に向けて立ち上がり、その先で開口部をなしている。ケース頂部24は、Z軸方向において、内部空間70を挟んでプレート部材31と対向している。ケース頂部24は、ケース側部23の上端部がなす開口を塞いでいる。
【0034】
ケース体21は、金属から形成されている。プレート部材31は、ケース側部23およびケース底部22とは異なる種類の金属から形成されている。プレート部材31を形成する金属の熱伝導率は、ケース側部23およびケース底部22を形成する金属の熱伝導率よりも大きい。一例として、プレート部材31は、アルミニウムから形成され、ケース側部23およびケース底部22は、(鋼板)から形成されている。
【0035】
複数の電池セル11は、プレート部材31上に載置されている。プレート部材31は、複数の電池セル11と熱的に接続されている。プレート部材31は、複数の電池セル11およびプレート部材31の間で熱伝達が可能なように、複数の電池セル11と接続されている。電池セル11の底面16およびプレート部材31の間には、伝熱部材25が介挿されている。伝熱部材25は、接着性の材料(接着剤)から構成されてもよいし、非接着性の材料から構成されてもよい。
【0036】
複数の電池セル11は、Y軸方向における両端において、ケース側部23により拘束されている。ケース側部23は、複数の電池セル11に対して、Y軸方向における拘束力(圧縮力)を作用させている。
【0037】
なお、ケース体21は、ケース側部23、ケース頂部24およびケース底部22により内部空間70が区画形成されるように構成されてもよい。この場合に、プレート部材31は、内部空間70の外側からケース底部22に接続されてもよい。
【0038】
複数の電池セル11で発生した熱は、プレート部材31の内部を流通する冷媒を介して外部に放熱される。以下、プレート部材31のより具体的な構造について説明する。
【0039】
プレート部材31は、内壁47を有する。内壁47は、冷媒が流通する冷媒通路40を区画形成している。冷媒は、電池セル11で発生した熱を外部に移動させることが可能な流体であり、液体であってもよいし、気体であってもよい。冷媒通路40は、プレート部材31が延在する平面(X軸-Y軸平面)内で延びている。冷媒通路40は、上下方向において、複数の電池セル11と対向して延びている。
【0040】
冷媒通路40は、複数の通路領域41(41p,41q,41r,41s)を含む。通路領域41p、通路領域41q、通路領域41rおよび通路領域41sは、挙げた順に、冷媒通路40における冷媒流れの上流側から下流側に並んでいる。通路領域41p、通路領域41q、通路領域41rおよび通路領域41sの各通路領域41は、Y軸方向に延びている。通路領域41p、通路領域41q、通路領域41rおよび通路領域41sは、+Y軸方向および-Y軸方向に交互に反転して延びながらX軸方向に沿って蛇行している。
【0041】
通路領域41pおよび通路領域41qは、上下方向において、セル積層体10Aと対向している。通路領域41rおよび通路領域41sは、上下方向において、セル積層体10Bと対向している。
【0042】
内壁47には、凹凸部46が設けられている。凹凸部46は、冷媒通路40がなす開口に対して凹形状および凸形状をなしている。凹凸部46は、内壁47の表面積を増大させるように設けられている。凹凸部46は、冷媒通路40をなす内壁47の上面に設けられている。冷媒通路40は、Z軸方向において、凹凸部46を挟んで複数の電池セル11(内部空間70)の反対側に位置している。プレート部材31が冷媒通路40における冷媒流れに直交する平面(X軸-Z軸平面)により切断された場合に、凹凸部46は、櫛歯形状をなしている。凹凸部46は、X軸方向において互いに間隔を開けて並ぶ複数のリブから構成されている。各リブにより、-Z軸方向に突出し、Y軸方向に延びる凸形状が形成され、X軸方向に隣り合うリブ間に、+Z軸方向に凹み、Y軸方向に延びる凹形状が形成されている。
【0043】
凹凸部46の形状は、冷媒通路40における冷媒の流れ方向において変化する。このような構成により、冷媒通路40を流れる冷媒と、凹凸部46が設けられる内壁47との接触面積を変化させて、プレート部材31から冷媒に向けた熱伝達の効率を調整することができる。これにより、複数の電池セル11をより均等に冷却することを目的とする冷却設計において、各電池セル11の冷却効率を自在に制御することができる。
【0044】
より具体的には、凹凸部46の形状は、通路領域41pと、通路領域41pよりも冷媒通路40における冷媒流れの下流側に位置する通路領域41qとの境界で変化し、通路領域41qと、通路領域41qよりも冷媒通路40における冷媒流れの下流側に位置する通路領域41rとの境界で変化し、通路領域41rと、通路領域41rよりも冷媒通路40における冷媒流れの下流側に位置する通路領域41sとの境界で変化する。凹凸部46の形状は、通路領域41p、通路領域41q、通路領域41rおよび通路領域41sの各通路領域41においては、変化しない。
【0045】
凹凸部46は、冷媒通路40における冷媒の流れ方向の単位距離当たりにおいて、冷媒通路40における冷媒流れの下流側に位置する通路領域41における内壁47の表面積が、冷媒通路40における冷媒流れの上流側に位置する通路領域41における内壁47の表面積よりも大きくなるように設けられている。
【0046】
通路領域41qにおいて凹凸部46をなすリブの数は、通路領域41pにおいて凹凸部46をなすリブの数よりも大きい。これにより、冷媒通路40における冷媒の流れ方向の単位距離当たりにおいて、通路領域41qにおける内壁47の表面積は、通路領域41pにおける内壁47の表面積よりも大きい。通路領域41rにおいて凹凸部46をなすリブの数は、通路領域41qにおいて凹凸部46をなすリブの数よりも大きい。これにより、冷媒通路40における冷媒の流れ方向の単位距離当たりにおいて、通路領域41rにおける内壁47の表面積は、通路領域41qにおける内壁47の表面積よりも大きい。通路領域41sにおいて凹凸部46をなすリブの数は、通路領域41rにおいて凹凸部46をなすリブの数よりも大きい。これにより、冷媒通路40における冷媒の流れ方向の単位距離当たりにおいて、通路領域41sにおける内壁47の表面積は、通路領域41rにおける内壁47の表面積よりも大きい。
【0047】
冷媒は、冷媒通路40を流れる間に複数の電池セル11から受熱する。このため、冷媒通路40における冷媒流れの上流側から下流側に移動するほど、冷媒の温度が上昇して、電池セル11が均等に冷却されない可能性がある。これに対して、凹凸部46を、冷媒流れの下流側に位置する通路領域41における内壁47の表面積が、冷媒流れの上流側に位置する通路領域41における内壁47の表面積よりも大きくなるように設けることによって、冷媒流れの下流側に位置する通路領域41において、プレート部材31から冷媒通路40を流れる冷媒への熱伝達を促進させる。これにより、複数の電池セル11をより均等に冷却することができる。
【0048】
また、凹凸部46の形状は、通路領域41p、通路領域41q、通路領域41rおよび通路領域41sの各通路領域41において、冷媒通路40における冷媒の流れ方向に変化せず、かつ、通路領域41p、通路領域41q、通路領域41rおよび通路領域41sの間で互いに異なる。このような構成により、プレート部材31をアルミニウム等の金属の押し出し材から構成することが可能となる。
【0049】
図5は、
図4中のプレート部材に設けられた凹凸部の変形例を示す断面図である。
図5を参照して、本変形例では、凹凸部46が、冷媒通路40がなす開口に対して円弧状の凹形状をなしている。通路領域41qにおいて凹凸部46をなす円弧の曲率は、通路領域41pにおいて凹凸部46をなす円弧の曲率よりも大きい。これにより、冷媒通路40における冷媒の流れ方向の単位距離当たりにおいて、通路領域41qにおける内壁47の表面積は、通路領域41pにおける内壁47の表面積よりも大きい。
【0050】
このような構成によっても、冷媒流れの下流側に配置される通路領域41qにおいて、プレート部材31から冷媒通路40を流れる冷媒への熱伝達をより促進させることができる。
【0051】
なお、本実施の形態では、凹凸部46の形状が、断続的に(冷媒通路40における冷媒の流れ方向に沿った一定間隔ごとに)変化する場合を説明したが、これに限られず、本発明における凹凸部の形状は、冷媒通路における冷媒の流れ方向において連続的に変化してもよい。また、複数の電池セルをより均等に冷却することを目的とする冷却設計において、内壁の表面積に加えて、冷媒通路の開口面積がさらに調整されてもよい。
【0052】
(実施の形態2)
図6は、この発明の実施の形態2における電池パックを示す断面図である。
図6は、実施の形態1における
図3に対応している。
図7は、
図6中のVII-VII線上の矢視方向に見た電池パックを示す断面図である。
図8は、
図6中のVIII-VIII線上の矢視方向に見た電池パックを示す断面図である。
図9は、
図6中のIX-IX線上の矢視方向に見た電池パックを示す断面図である。
【0053】
本実施の形態における電池パックは、実施の形態1における電池パック100と比較して、基本的には同様の構造を備える。以下、重複する構造については、その説明を繰り返さない。
【0054】
図6から
図9を参照して、本実施の形態における電池パックは、複数の電池セル11と、プレート部材31(31A、31B,31C)とを有する。Y軸方向に積層された複数の電池セル11により、セル積層体10が構成されている。プレート部材31A、プレート部材31Bおよびプレート部材31Cは、Y軸方向に並べられ、Y軸方向に隣り合うプレート部材31同士が接続されている。プレート部材31A、プレート部材31Bおよびプレート部材31Cの各プレート部材31は、アルミニウム等の金属の押し出し材からなる。
【0055】
プレート部材31(31A、31B,31C)には、Y軸方向に延びる冷媒通路40が形成されている。冷媒通路40は、複数の通路領域42(42p,42q,42r)を含む。通路領域42p、通路領域42qおよび通路領域42rは、それぞれ、プレート部材31A、プレート部材31Bおよびプレート部材31Cに形成された冷媒通路40の区間に対応している。通路領域42p、通路領域42qおよび通路領域42rは、挙げた順に、冷媒通路40における冷媒流れの上流側から下流側に並んでいる。通路領域42pおよび通路領域42rは、上下方向において、Y軸方向におけるセル積層体10の両端部と対向している。通路領域42qは、上下方向において、Y軸方向におけるセル積層体10の中間部と対向している。
【0056】
凹凸部46の形状は、通路領域42pおよび通路領域42qの境界で変化し、通路領域42qおよび通路領域42rの境界で変化する。凹凸部46の形状は、通路領域42p、通路領域42qおよび通路領域42rの各通路領域42においては、変化しない。
【0057】
凹凸部46は、冷媒通路40における冷媒の流れ方向の単位距離当たりにおいて、Y軸方向におけるセル積層体10の中間部と対向する通路領域42qにおける内壁47の表面積が、Y軸方向におけるセル積層体10の両端部と対向する通路領域42pおよび通路領域42rの各通路領域42における内壁47の表面積よりも大きくなるように設けられている。通路領域42qにおいて凹凸部46をなすリブの数は、通路領域42pおよび通路領域42rの各通路領域42において凹凸部46をなすリブの数よりも大きい。
【0058】
このような構成によれば、放熱し易いセル積層体10の両端部よりも、放熱し難いセル積層体10の中間部において、電池セル11から通路領域42qを流れる冷媒への熱伝達を促進させることによって、複数の電池セル11をより均等に冷却することができる。
【0059】
また、凹凸部46は、冷媒通路40における冷媒の流れ方向の単位距離当たりにおいて、冷媒通路40における冷媒流れの下流側に位置する通路領域42rにおける内壁47の表面積が、冷媒通路40における冷媒流れの上流側に位置する通路領域42pにおける内壁47の表面積よりも大きくなるように設けられている。通路領域42rにおいて凹凸部46をなすリブの数は、通路領域42pにおいて凹凸部46をなすリブの数よりも大きい。
【0060】
このような構成により、冷媒流れの上流側および下流側の間の冷媒温度の差に起因する冷却効率のばらつきも抑制することができる。
【0061】
(実施の形態3)
図10は、この発明の実施の形態3における電池パックを示す断面図である。
図10は、実施の形態1における
図4に対応している。
【0062】
本実施の形態における電池パックは、実施の形態1における電池パック100と比較して、基本的には同様の構造を備える。以下、重複する構造については、その説明を繰り返さない。
【0063】
図10を参照して、本実施の形態における電池パックは、複数の電池セル11と、プレート部材31と、電子部品ユニット81とを有する。Y軸方向に積層された複数の電池セル11により、セル積層体10(10C,10D,10E)が構成されている。セル積層体10C、セル積層体10Dおよびセル積層体10Eは、互いに間隔を開けて、挙げた順にX軸方向に並んでいる。セル積層体10Eは、X軸方向において、ケース側部23と隣り合う位置に配置されている。セル積層体10Dは、X軸方向において、セル積層体10Cおよびセル積層体10Eの間に配置されている。
【0064】
電子部品ユニット81は、メインリレー、シャント抵抗器、セメント抵抗器、バスバーおよび電流センサ等と、これら電子部品を収容するケースとを含む。電子部品ユニット81は、ケース体21に収容されている。セル積層体10Cは、X軸方向において、電子部品ユニット81と隣り合う位置に配置されている。セル積層体10Cは、X軸方向において、セル積層体10Dおよび電子部品ユニット81の間に配置されている。
【0065】
プレート部材31には、冷媒通路40が形成されている。冷媒通路40は、複数の通路領域43(43p,43q,43r)を含む。通路領域43p、通路領域43qおよび通路領域43rは、挙げた順に、冷媒通路40における冷媒流れの上流側から下流側に並んでいる。通路領域43p、通路領域43qおよび通路領域43rの各通路領域43は、Y軸方向に延びている。通路領域43p、通路領域43qおよび通路領域43rは、+Y軸方向および-Y軸方向に交互に反転して延びながらX軸方向に沿って蛇行している。通路領域43p、通路領域43qおよび通路領域43rは、上下方向において、セル積層体10C、セル積層体10Dおよびセル積層体10Eと対向している。
【0066】
凹凸部46の形状は、通路領域43pおよび通路領域43qの境界で変化し、通路領域43qおよび通路領域43rの境界で変化する。凹凸部46の形状は、通路領域43p、通路領域43qおよび通路領域43rの各通路領域43においては、変化しない。
【0067】
凹凸部46は、冷媒通路40における冷媒の流れ方向の単位距離当たりにおいて、上下方向においてセル積層体10Cと対向する通路領域43pにおける内壁47の表面積が、上下方向においてセル積層体10Eと対向する通路領域43rにおける内壁47の表面積よりも大きくなるように設けられている。通路領域43pにおいて凹凸部46をなすリブの数は、通路領域43rにおいて凹凸部46をなすリブの数よりも大きい。
【0068】
このような構成によれば、ケース側部23を通じて放熱し易いセル積層体10Eよりも、電子部品ユニット81からの放熱の影響を受け易いセル積層体10Cにおいて、電池セル11から通路領域43pを流れる冷媒への熱伝達を促進させることによって、複数の電池セル11をより均等に冷却することができる。
【0069】
凹凸部46は、冷媒通路40における冷媒の流れ方向の単位距離当たりにおいて、通路領域43qにおける内壁47の表面積が、通路領域43pにおける内壁47の表面積よりも小さく、通路領域43rにおける内壁47の表面積よりも大きくなるように設けられている。通路領域43qにおいて凹凸部46をなすリブの数は、通路領域43pにおいて凹凸部46をなすリブの数よりも小さく、通路領域43rにおいて凹凸部46をなすリブの数よりも大きい。
【0070】
このような構成により、セル積層体10Cよりも電子部品ユニット81からの放熱の影響を受け難いが、セル積層体10Eよりもケース側部23を通じて放熱し難いセル積層体10Dにおいて、電池セル11から通路領域43qを流れる冷媒への熱伝達を、電池セル11から通路領域43pを流れる冷媒への熱伝達と、電池セル11から通路領域43rを流れる冷媒への熱伝達との間の効率に調整することによって、複数の電池セル11をさらに均等に冷却することができる。
【0071】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0072】
10,10A,10B,10C,10D,10E セル積層体、11 電池セル、12 外装体、13 第1側面、14 第2側面、15 頂面、16 底面、17 ガス排出弁、18 電極端子、18N 負極端子、18P 正極端子、21 ケース体、22 ケース底部、23 ケース側部、24 ケース頂部、25 伝熱部材、31,31A,31B,31C プレート部材、40 冷媒通路、41,41p,41q,41r,41s,42,42p,42q,42r,43,43p,43q,43r 通路領域、46 凹凸部、47 内壁、70 内部空間、81 電子部品ユニット、100 電池パック。