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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024124878
(43)【公開日】2024-09-13
(54)【発明の名称】電池パック
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/289 20210101AFI20240906BHJP
   H01M 50/209 20210101ALI20240906BHJP
   H01M 50/293 20210101ALI20240906BHJP
【FI】
H01M50/289 101
H01M50/209
H01M50/293
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023032836
(22)【出願日】2023-03-03
(71)【出願人】
【識別番号】520184767
【氏名又は名称】プライムプラネットエナジー&ソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉田 直剛
(72)【発明者】
【氏名】茂木 裕也
(72)【発明者】
【氏名】松山 智
(72)【発明者】
【氏名】今井 正浩
【テーマコード(参考)】
5H040
【Fターム(参考)】
5H040AA07
5H040AS07
5H040AT02
5H040AT06
5H040AY04
5H040AY08
5H040CC01
5H040CC20
5H040CC25
5H040CC28
5H040CC30
5H040CC34
5H040CC35
5H040LL06
5H040NN03
(57)【要約】
【課題】セルツーパック(Cell-to-Pack)方式の電池パックにおいて、複数の電池セルの周囲に配置される部材同士を強固に固定することが可能な電池パック、を提供する。
【解決手段】電池パックは、積層される複数の電池セル11と、電池セル11の積層方向において電池セル11と当接し、複数の電池セル11から、電池セル11の積層方向における反力が加わる縦板部27と、縦板部27から反力の方向に張り出す横板部26とを有するケース側部23と、横板部26の厚み方向において、横板部26と重ね合わされるプレート部材31と、横板部26をプレート部材31に対して接続する接続部材50とを備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
積層される複数の電池セルと、
前記電池セルの積層方向において前記電池セルと当接し、複数の前記電池セルから、前記電池セルの積層方向における反力が加わる縦板部と、前記縦板部から前記反力の方向に張り出す横板部とを有する第1部材と、
前記横板部の厚み方向において、前記横板部と重ね合わされる第2部材と、
前記横板部を前記第2部材に対して接続する接続部材とを備える、電池パック。
【請求項2】
樹脂からなり、前記横板部および前記第2部材の間の一部分または全面に介挿される樹脂部材をさらに備える、請求項1に記載の電池パック。
【請求項3】
前記樹脂部材は、接着剤である、請求項2に記載の電池パック。
【請求項4】
前記第1部材および前記第2部材は、同じ種類の金属からなる、請求項1から3のいずれか1項に記載の電池パック。
【請求項5】
前記第1部材は、金属からなり、
前記第2部材は、前記第1部材とは異なる種類の金属からなる、請求項1から3のいずれか1項に記載の電池パック。
【請求項6】
前記接続部材は、ボルト、フロードリルスクリュー、ピンまたはリベットを含む、請求項1から3のいずれか1項に記載の電池パック。
【請求項7】
前記接続部材は、
前記横板部および前記第2部材の間に介挿される接着剤と、
前記反力の方向における前記第2部材の先端より90°折り曲げられてなり、前記横板部が前記反力の方向において当接する折り曲げ部とを含む、請求項1に記載の電池パック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電池パックに関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば、国際公開第2016/174855号(特許文献1)には、二次電池セルを複数枚積層した電池積層体と、電池積層体の両側の端面を覆うエンドプレートと、エンドプレート同士の間で電池積層体を挟持する電池締結部材とを備える電源装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2016/174855号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電池パックの構造として、複数の電池セルをエンドプレート間で一体に拘束することによりモジュールを形成し、そのモジュールを組み合わせることによってパックとするモジュール方式と、複数の電池セルを組み合わせて、そのままパックとするセルツーパック(Cell-to-Pack)方式とがある。セルツーパック方式では、複数の電池セルの周囲に対して、複数の電池セルの拘束力が反力として作用するため、複数の電池セルの周囲に配される部材同士が強固に固定されることが求められる。
【0005】
そこでこの発明の目的は、上記の課題を解決することであり、セルツーパック(Cell-to-Pack)方式の電池パックにおいて、複数の電池セルの周囲に配置される部材同士を強固に固定することが可能な電池パックを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
[1]積層される複数の電池セルと、上記電池セルの積層方向において上記電池セルと当接し、複数の上記電池セルから、上記電池セルの積層方向における反力が加わる縦板部と、上記縦板部から上記反力の方向に張り出す横板部とを有する第1部材と、上記横板部の厚み方向において、上記横板部と重ね合わされる第2部材と、上記横板部を上記第2部材に対して接続する接続部材とを備える、電池パック。
【0007】
このように構成された電池パックによれば、第1部材に横板部を設けることによって、その横板部を接続部材により第2部材に対して接続する。これにより、複数の電池セルからの反力を接続部材で受けつつ、第1部材および第2部材を固定することが可能となる。したがって、Cell-to-Packタイプの電池パックにおいて、第1部材および第2部材を強固に固定することができる。
【0008】
[2]樹脂からなり、上記横板部および上記第2部材の間の一部分または全面に介挿される樹脂部材をさらに備える、[1]に記載の電池パック。
【0009】
このように構成された電池パックによれば、樹脂からなる樹脂部材により横板部および第2部材間を封止することで、複数の電池セルに対して異物が侵入することを防止できる。
【0010】
[3]上記樹脂部材は、接着剤である、[2]に記載の電池パック。
【0011】
このように構成された電池パックによれば、複数の電池セルからの反力を、接続部材に加えて、接着剤によって受けることができる。
【0012】
[4]上記第1部材および上記第2部材は、同じ種類の金属からなる、[1]から[3]のいずれかに記載の電池パック。
【0013】
このように構成された電池パックによれば、素材金属が第1部材と第2部材とで同じであるため、線膨張係数に差がなく、第1部材および第2部材の熱変形量に差が生じにくい。このため、電池パックの構造に環境温度の変化による歪みが生じにくい。
【0014】
[5]上記第1部材は、金属からなり、上記第2部材は、上記第1部材とは異なる種類の金属からなる、[1]から[3]のいずれかに記載の電池パック。
【0015】
このように構成された電池パックによれば、金属からなる第1部材と、第1部材とは異なる種類の金属からなる第2部材とを強固に固定することができる。また、電池パックが、樹脂からなり、横板部および第2部材の間の一部分または全面に介挿される樹脂部材をさらに備える構成においては、素材金属の線膨張係数の違いに起因して第1部材および第2部材の熱変形量に差が生じた場合に、その変型量の差を樹脂部材により吸収することができる。
【0016】
[6]上記接続部材は、ボルト、フロードリルスクリュー、ピンまたはリベットを含む、[1]から[5]のいずれかに記載の電池パック。
【0017】
このように構成された電池パックによれば、複数の電池セルからの反力を、ボルト、フロードリルスクリュー、ピンまたはリベットにより受けることができる。
【0018】
[7]上記接続部材は、上記横板部および上記第2部材の間に介挿される接着剤と、上記反力の方向における上記第2部材の先端より90°折り曲げられてなり、上記横板部が上記反力の方向において当接する折り曲げ部とを含む、[1]に記載の電池パック。
【0019】
このように構成された電池パックによれば、複数の電池セルからの反力を、第2部材の折り曲げ部と、接着剤とによって受けることができる。
【発明の効果】
【0020】
以上に説明したように、この発明に従えば、セルツーパック(Cell-to-Pack)方式の電池パックにおいて、複数の電池セルの周囲に配置される部材同士を強固に固定することが可能な電池パックを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】この発明の実施の形態における電池パックの分解組み立て図である。
図2図1中の電池パックを構成する電池セルを示す斜視図である。
図3図1中のIII-III線上の矢視方向に見た電池パックを示す断面図である。
図4図3中の接続部材の第1変形例を示す断面図である。
図5図3中の接続部材の第2変形例を示す断面図である。
図6図3中の接続部材の第3変形例を示す断面図である。
図7図3中の接続部材の第4変形例を示す断面図である。
図8図3中の接続部材の第5変形例を示す断面図である。
図9図3中の接続部材の第6変形例を示す断面図である。
図10図3中の接続部材の第7変形例を示す断面図である。
図11図3中の接続部材の第8変形例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
この発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、以下で参照する図面では、同一またはそれに相当する部材には、同じ番号が付されている。
【0023】
図1は、この発明の実施の形態における電池パックの分解組み立て図である。図2は、図1中の電池パックを構成する電池セルを示す斜視図である。図3は、図1中のIII-III線上の矢視方向に見た電池パックを示す断面図である。
【0024】
図1から図3を参照して、電池パック100は、ハイブリッド車(HEV:Hybrid Electric Vehicle)、プラグインハイブリッド車(PHEV:Plug-in Hybrid Electric Vehicle)または電気自動車(BEV:Battery Electric Vehicle)などの車両の駆動用電源として用いられる。
【0025】
本明細書においては、電池パック100の構造を説明する便宜上、後述する複数の電池セル11の積層方向、かつ、水平方向に延びる軸を「Y軸」といい、Y軸に直交する方向、かつ、水平方向に延びる軸を「X軸」といい、上下方向に延びる軸を「Z軸」という。
【0026】
まず、電池パック100の全体構造について説明する。電池パック100は、複数の電池セル11を有する。複数の電池セル11は、Y軸方向に積層されている。電池セル11は、リチウムイオン電池である。電池セル11は、角形であり、直方体の薄板形状を有する。複数の電池セル11は、Y軸方向が電池セル11の厚み方向となるように積層されている。
【0027】
電池セル11は、外装体12を有する。外装体12は、直方体形状の筐体からなり、電池セル11の外観をなしている。外装体12には、電極体および電解液が収容されている。
【0028】
外装体12は、第1側面13と、第2側面14と、頂面15と、底面16とを有する。第1側面13および第2側面14の各側面は、Y軸に直交する平面からなる。第1側面13および第2側面14は、Y軸方向において、互いに反対側を向いている。第1側面13および第2側面14の各側面は、外装体12が有する複数の側面のうちで最も大きい面積を有する。
【0029】
頂面15および底面16の各面は、Z軸に直交する平面からなる。頂面15は、上方を向いている。底面16は、下方を向いている。頂面15には、外装体12の内部で発生したガスにより外装体12の内圧が所定値以上となった場合に、そのガスを外装体12の外部に排出するためのガス排出弁17が設けられている。
【0030】
電池セル11は、正極端子18Pおよび負極端子18Nが対となった電極端子18をさらに有する。電極端子18は、頂面15に設けられている。正極端子18Pおよび負極端子18Nは、X軸方向において、互いに離れて設けられている。正極端子18Pおよび負極端子18Nは、X軸方向におけるガス排出弁17の両側にそれぞれ設けられている。
【0031】
複数の電池セル11は、Y軸方向に隣り合う電池セル11,11の間において、第1側面13同士が向かい合わせとなり、第2側面14同士が向かい合わせとなるように積層されている。これにより、複数の電池セル11が積層されるY軸方向において、正極端子18Pと負極端子18Nとが、交互に並んでいる。Y軸方向に隣り合う電池セル11,11の間において、Y軸方向に並ぶ正極端子18Pと負極端子18Nとが、図示されないバスバーにより、互いに接続されている。複数の電池セル11は、互いに電気的に直列に接続されている。
【0032】
Y軸方向に積層された複数の電池セル11により、セル積層体10(10A,10B)が構成されている。セル積層体10は、直方体形状をなしている。典型的な例として、Y軸方向におけるセル積層体10の長さは、Z軸方向におけるセル積層体10の長さよりも大きく、X軸方向におけるセル積層体10の長さよりも大きい。セル積層体10Aおよびセル積層体10Bは、互いに間隔を開けてX軸方向に並んでいる。
【0033】
電池パック100は、ケース体21をさらに有する。ケース体21は、全体として、直方体形状の外観を有する箱体からなる。ケース体21の内部(内部空間70)には、複数の電池セル11が収容されている。
【0034】
ケース体21は、プレート部材31と、一対のケース側部23と、一対のケース側部24と、ケース頂部25と、ケース底部22とを有する。プレート部材31は、一対のケース側部23、一対のケース側部24およびケース頂部25とともに、内部空間70を区画形成している。ケース底部22は、ケース体21の底に配置されている。プレート部材31は、上下方向において、内部空間70およびケース底部22の間に配置されている。
【0035】
プレート部材31は、Z軸方向が厚み方向となり、X軸-Y軸平面に平行に配置される板材からなる。プレート部材31は、電池セル11で発生した熱を外部に放熱させるための冷却プレートである。プレート部材31の内部には、冷媒が流通する冷媒通路が設けられてもよい。
【0036】
内部空間70は、水平方向において、一対のケース側部23および一対のケース側部24により囲まれている。一対のケース側部23は、内部空間70を挟んで、Y軸方向において互いに対向している。一対のケース側部24は、内部空間70を挟んで、X軸方向において互いに対向している。一対のケース側部23および一対のケース側部24は、ケース底部22の周縁から上方に向けて立ち上がり、その先で開口部をなしている。ケース頂部25は、Z軸方向において、内部空間70を挟んでプレート部材31と対向している。ケース頂部25は、ケース側部23の上端部がなす開口を塞いでいる。
【0037】
ケース体21は、金属から形成されている。プレート部材31は、ケース側部23,24およびケース底部22とは異なる種類の金属から形成されている。プレート部材31を形成する金属の熱伝導率は、ケース側部23,24およびケース底部22を形成する金属の熱伝導率よりも大きい。プレート部材31を形成する金属の線膨張係数は、ケース側部23,24およびケース底部22を形成する金属の線膨張係数よりも大きい。一例として、プレート部材31は、アルミニウムから形成され、ケース側部23,24およびケース底部22は、鉄(鋼板)から形成されている。
【0038】
複数の電池セル11は、プレート部材31上に載置されている。プレート部材31は、複数の電池セル11と熱的に接続されている。プレート部材31は、複数の電池セル11およびプレート部材31の間で熱伝達が可能なように、複数の電池セル11と接続されている。
【0039】
複数の電池セル11は、Y軸方向における両端において、一対のケース側部23により拘束されている。一対のケース側部23は、複数の電池セル11に対して、Y軸方向における拘束力(圧縮力)を作用させている。
【0040】
ケース側部23(本発明における「第1部材」に対応)は、縦板部27と、横板部26とを有する。縦板部27は、Y軸方向が厚み方向となり、X軸-Z軸平面に平行に配置される板材からなる。縦板部27は、X軸方向が長手方向となるように帯状に延びている。縦板部27は、プレート部材31上に立設されている。縦板部27は、電池セル11の積層方向であるY軸方向において、電池セル11と当接している。一対のケース側部23が、複数の電池セル11に対してY軸方向における拘束力を作用させている結果として、縦板部27には、複数の電池セル11からY軸方向における反力が加わっている。
【0041】
横板部26は、縦板部27から、上記の反力が加わるY軸方向に張り出している。横板部26は、Z軸方向が厚み方向となり、X軸-Y軸平面に平行に配置される板材からなる。横板部26は、X軸方向が長手方向となるように帯状に延びている。横板部26は、縦板部27の下端部から、Y軸方向において複数の電池セル11から遠ざかる方向に張り出している。プレート部材31(本発明における「第2部材」に対応)は、横板部26の厚み方向であるZ軸方向において、横板部26と重ね合わされている。プレート部材31は、Z軸方向において、ケース底部22および横板部26の間に挟持されている。
【0042】
電池パック100は、複数の接続部材50をさらに有する。接続部材50は、横板部26をプレート部材31に対して接続している。複数の接続部材50は、X軸方向において、互いに間隔を開けて設けられている。
【0043】
図3に示されるように、接続部材50は、ボルト51と、ナット56とを有する。横板部26、プレート部材31およびケース底部22には、それぞれ、Z軸方向において互いに連通する孔41、孔42および孔43が設けられている。ボルト51の軸部53は、ケース底部22の側から孔43、孔42および孔41に挿通されている。ボルト51の頭部52は、Z軸方向において、ケース底部22と当接している。ナット56は、横板部26から+Z軸方向に突出する軸部53に螺合されている。
【0044】
ボルト51のサイズは、たとえば、M8以上である。ケース体21の組み立て時に生じる誤差を想定して、横板部26に設けられる孔41が長孔形状を有してもよい。
【0045】
このような構成によれば、Cell-to-Packタイプの電池パック100において、ケース側部23に横板部26を設けつつ、接続部材50を構成するボルト51およびナット56により、横板部26をプレート部材31に対して接続する。これにより、接続部材50で発生する軸力により、複数の電池セル11からのY軸方向の反力を接続部材50で受けつつ、ケース側部23およびプレート部材31を強固に固定することができる。
【0046】
本実施の形態では、接続部材50をボルト51およびナット56により構成することによって、接続部材50を簡易に構成するとともに、横板部26、プレート部材31およびケース底部22の接続作業を容易に行なうことができる。
【0047】
電池パック100は、樹脂部材61をさらに有してもよい。この場合に、樹脂部材61は、横板部26およびプレート部材31の間の一部分または全面に介挿され得る。樹脂部材61は、Z軸方向が厚み方向となり、X軸-Y軸平面に平行に配置される層をなしている。
【0048】
樹脂部材61は、樹脂からなる。樹脂部材61は、シーリング材であってもよいし、接着剤であってもよい。シーリング材の形態は、特に限定されず、たとえば、シート状、グリス、ギャップフィラーまたはゲルであってもよい。シーリング材は、アクリル、ウレタン、シリコーンまたは変性シリコーンなどの材料から構成されている。接着剤は、エポキシ、アクリル、ウレタン、シリコーンまたはシアノアクリレートなどの材料から構成されている。
【0049】
このような構成によれば、樹脂部材61により横板部26およびプレート部材31の間を封止することによって、複数の電池セル11を収容する内部空間70に水または塵等の異物が侵入することを防止できる。また、素材金属の線膨張係数の違いに起因して、横板部26およびプレート部材31の間、ならびに、プレート部材31およびケース底部22の間に熱変形量の差が生じた場合に、その差を樹脂部材61によって吸収することができる。また、樹脂部材61が接着剤からなる場合、樹脂部材61が、接続部材50とともに複数の電池セル11からのY軸方向の反力を受ける。これにより、ケース側部23およびプレート部材31をさらに強固に固定することができる。
【0050】
続いて、図3中の接続部材50の各種変形例について説明する。図4は、図3中の接続部材の第1変形例を示す断面図である。図4を参照して、本変形例における接続部材50は、溶接部57をさらに有する。溶接部57は、ナット56を横板部26に接続している。このような構成において、ケース体21の組み立て時に生じる誤差を想定して、プレート部材31に設けられる孔42が長孔形状を有してもよい。
【0051】
図5は、図3中の接続部材の第2変形例を示す断面図である。図5を参照して、本変形例における接続部材50は、雌ねじ部58をさらに有する。雌ねじ部58は、インサート成形により、プレート部材31の孔42の内側に設けられている。ボルト51の軸部53は、ナット56に加えて雌ねじ部58に螺合されている。
【0052】
このような構成によれば、接続部材50においてより高い軸力が得られるため、ケース側部23およびプレート部材31をさらに強固に固定することができる。ケース体21の組み立て時に生じる誤差をケース底部22において吸収してもよい。
【0053】
図6は、図3中の接続部材の第3変形例を示す断面図である。図6を参照して、本変形例では、ボルト51の軸部53が、横板部26の側から孔41、孔42および孔43に挿通されている。ボルト51の頭部52は、Z軸方向において、横板部26と当接している。ナット56は、ケース底部22から-Z軸方向に突出する軸部53に螺合されている。ケース体21の組み立て時に生じる誤差を想定して、プレート部材31およびケース底部22にそれぞれ設けられる孔42および孔43が長孔形状を有してもよい。
【0054】
図7は、図3中の接続部材の第4変形例を示す断面図である。図7を参照して、本変形例における接続部材50は、フロードリルスクリュー81を有する。フロードリルスクリュー81は、横板部26およびプレート部材31を接続している。フロードリルスクリュー81は、高速回転しながらプレート部材31に対して挿入されることによって、そのときに発生する摩擦熱により軟化されたプレート部材31に対して機械的に接続されている。
【0055】
このような構成によれば、接続部材50にボルトを用いた場合と比較して、剪断力に対する耐久性を向上させたり、経年に伴って横板部26およびプレート部材31間の接続が緩むことを抑制したりできる。
【0056】
図8は、図3中の接続部材の第5変形例を示す断面図である。図8を参照して、本変形例における接続部材50は、ピン82を有する。ピン82は、ケース側部23と一体に設けられている。ピン82は、横板部26から-Z軸方向に突出している。ピン82は、孔42および孔43に対して挿入されている。樹脂部材61は、接着剤からなり、ピン82とともに複数の電池セル11からのY軸方向の反力を受ける。ケース体21の組み立て時に生じる誤差を想定して、プレート部材31に設けられる孔42が長孔形状を有してもよい。
【0057】
このような構成によれば、接続部材50をピン82により構成することによって、接続部材50を簡易に構成することができる。これにより、電池パックの製造コストを低減することができる。
【0058】
図9は、図3中の接続部材の第6変形例を示す断面図である。図9を参照して、本変形例における接続部材50は、リベット83を有する。リベット83は、孔41、孔42および孔43に挿入されるとともに、Z軸方向における両端部で加締められている。ケース体21の組み立て時に生じる誤差を想定して、プレート部材31およびケース底部22にそれぞれ設けられる孔42および孔43が長孔形状を有してもよい。
【0059】
このような構成によれば、接続部材50をリベット83により構成することによって、接続部材50を簡易に構成するとともに、横板部26、プレート部材31およびケース底部22の接続作業を容易に行なうことができる。
【0060】
図10は、図3中の接続部材の第7変形例を示す断面図である。図10を参照して、本変形例における接続部材50は、折り曲げ部33と、接着剤66とを有する。
【0061】
折り曲げ部33は、プレート部材31と一体に設けられている。折り曲げ部33は、Y軸方向におけるプレート部材31の先端より90°折り曲げられてなる。折り曲げ部33は、プレート部材31の先端より+Z軸方向に折り曲げられている。Z軸方向における折り曲げ部33の長さは、Z軸方向における横板部26および接着剤66の総厚み以上である。横板部26は、Y軸方向において折り曲げ部33と当接している。
【0062】
接着剤66は、横板部26およびプレート部材31の間に介挿される樹脂部材61と同様の形態で設けられている。接着剤66は、折り曲げ部33とともに複数の電池セル11からのY軸方向の反力を受ける。
【0063】
このような構成によれば、接続部材50を接着剤66および折り曲げ部33により構成することによって、接続部材50を簡易に構成するとともに、横板部26、プレート部材31およびケース底部22の接続作業を容易に行なうことができる。
【0064】
図11は、図3中の接続部材の第8変形例を示す断面図である。図11を参照して、本変形例では、プレート部材31の全体が、内部空間70に収容されている。ケース底部22(本変形例では、本発明における「第2部材」に対応)は、Z軸方向において、樹脂部材61を介して横板部26と重ね合わされている。
【0065】
接続部材50は、横板部26をケース底部22に対して接続している。接続部材50は、ボルト51と、ナット56とを有する。ボルト51の軸部53は、横板部26の側から孔43および孔41に挿通されている。ボルト51の頭部52は、Z軸方向において、横板部26と当接している。ナット56は、ケース底部22から-Z軸方向に突出する軸部53に螺合されている。
【0066】
このような構成によれば、同種金属からなる横板部26およびケース底部22を接続するため、素材金属の線膨張係数の違いに起因する熱変形量の差を考慮する必要がなくなる。
【0067】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0068】
10,10A,10B セル積層体、11 電池セル、12 外装体、13 第1側面、14 第2側面、15 頂面、16 底面、17 ガス排出弁、18 電極端子、18N 負極端子、18P 正極端子、21 ケース体、22 ケース底部、23,24 ケース側部、25 ケース頂部、26 横板部、27 縦板部、31 プレート部材、33 折り曲げ部、41,42,43 孔、50 接続部材、51 ボルト、52 頭部、53 軸部、56 ナット、57 溶接部、58 雌ねじ部、61 樹脂部材、66 接着剤、70 内部空間、81 フロードリルスクリュー、83 リベット、100 電池パック。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11