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  • 特開-変電所負荷監視システム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024124879
(43)【公開日】2024-09-13
(54)【発明の名称】変電所負荷監視システム
(51)【国際特許分類】
   B60M 3/04 20060101AFI20240906BHJP
   B61L 27/14 20220101ALI20240906BHJP
【FI】
B60M3/04 A
B61L27/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023032837
(22)【出願日】2023-03-03
(71)【出願人】
【識別番号】390021577
【氏名又は名称】東海旅客鉄道株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】久野村 健
(72)【発明者】
【氏名】清水 俊匡
(72)【発明者】
【氏名】守山 浩史
(72)【発明者】
【氏名】大西 晴菜
【テーマコード(参考)】
5H161
【Fターム(参考)】
5H161AA01
5H161JJ22
(57)【要約】
【課題】鉄道用の変電所の負荷電流を精度よく予測できる変電所負荷監視システムを提供する。
【解決手段】本開示は、き電回路に電力を供給する変電所の負荷を監視するシステムである。変電所負荷監視システムは、変電所の現在の負荷情報を取得するように構成された負荷取得部と、き電回路における変電所の供給範囲を走行する列車の予測走行情報を取得するように構成された走行情報取得部と、予測走行情報から列車の負荷電力を予測するように構成された第1予測部と、負荷取得部が取得した負荷情報と、第1予測部が予測した負荷電力とに基づいて、変電所における負荷電流を予測するように構成された第2予測部と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
き電回路に電力を供給する変電所の負荷を監視するシステムであって、
前記変電所の現在の負荷情報を取得するように構成された負荷取得部と、
前記き電回路における前記変電所の供給範囲を走行する少なくとも1つの列車の予測走行情報を取得するように構成された走行情報取得部と、
前記予測走行情報から前記少なくとも1つの列車の負荷電力を予測するように構成された第1予測部と、
前記負荷取得部が取得した前記負荷情報と、前記第1予測部が予測した前記負荷電力とに基づいて、前記変電所における負荷電流を予測するように構成された第2予測部と、
を備える、変電所負荷監視システム。
【請求項2】
請求項1に記載の変電所負荷監視システムであって、
前記第2予測部が予測した前記負荷電流に基づいて、前記少なくとも1つの列車の速度規制の要否を判定するように構成された規制判定部をさらに備える、変電所負荷監視システム。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の変電所負荷監視システムであって、
前記第1予測部は、少なくとも前記予測走行情報の予測間隔を2倍した期間における前記負荷電力を予測する、変電所負荷監視システム。
【請求項4】
請求項1又は請求項2に記載の変電所負荷監視システムであって、
前記第2予測部は、前記変電所の下流に存在する複数の下流側変電所それぞれについて前記負荷電流を予測すると共に、前記複数の下流側変電所の前記負荷電流の合計値を前記変電所の前記負荷電流の予測値とする、変電所負荷監視システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、変電所負荷監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
鉄道における変電所の負荷は、き電区間を走行する列車の速度及び運転本数によって大きく変動する。そこで、一定時間幅の電力使用量を予測することで、電力の使用量を調整する方法が考案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平05-016808号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
変電所の負荷が制限値を超えると電力供給が停止するため、負荷が制限値を超えそうな場合には列車の速度を調整する必要がある。しかしながら、列車の速度を安易に規制すると、電力供給能力に余裕を残しつつ、列車の運行が制限される事態となる。そのため、変電所の負荷を精度よく予測することが求められる。
【0005】
これに対し、上述した従来の予測方法では、一定時間幅の電力(つまり積算値)は算出できるが、負荷の瞬時値を予測することはできない。そのため、列車の速度制限の判定には適さない。
【0006】
本開示の一局面は、鉄道用の変電所の負荷電流を精度よく予測できる変電所負荷監視システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様は、き電回路に電力を供給する変電所の負荷を監視するシステムである。変電所負荷監視システムは、変電所の現在の負荷情報を取得するように構成された負荷取得部と、き電回路における変電所の供給範囲を走行する少なくとも1つの列車の予測走行情報を取得するように構成された走行情報取得部と、予測走行情報から少なくとも1つの列車の負荷電力を予測するように構成された第1予測部と、負荷取得部が取得した負荷情報と、第1予測部が予測した負荷電力とに基づいて、変電所における負荷電流を予測するように構成された第2予測部と、を備える。
【0008】
このような構成によれば、変電所の現在の負荷情報と、予測走行情報に基づいて予測された列車の負荷電力とによって、変電所の負荷電流を精度よく予測することができる。
【0009】
本開示の一態様では、第2予測部が予測した負荷電流に基づいて、少なくとも1つの列車の速度規制の要否を判定するように構成された規制判定部をさらに備えてもよい。このような構成によれば、予測された負荷電流によって列車の速度規制を行うことができる。そのため、停電を避けつつ、電力を最大限に活用した列車の運行が可能となる。
【0010】
本開示の一態様では、第1予測部は、少なくとも予測走行情報の予測間隔を2倍した期間における負荷電力を予測してもよい。このような構成によれば、継続的に変電所の負荷電流を監視できるため、過負荷が発生するタイミングが負荷電流の予測期間から漏れることを抑制できる。
【0011】
本開示の一態様では、第2予測部は、変電所の下流に存在する複数の下流側変電所それぞれについて負荷電流を予測すると共に、複数の下流側変電所の負荷電流の合計値を変電所の負荷電流の予測値としてもよい。このような構成によれば、複数の下流側変電所が接続された変電所の負荷を精度よく監視することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、実施形態における変電所負荷監視システムの構成を概略的に示すブロック図である。
図2図2は、変電所の構成を示す模式図である。
図3図3Aは、列車の速度と負荷電力との関係の一例を示すグラフであり、図3Bは、負荷電力の予測期間を示す模式図である。
図4図4は、図1の変電所監視システムが実行する処理を概略的に示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本開示が適用された実施形態について、図面を用いて説明する。
[1.第1実施形態]
[1-1.構成]
図1に示す変電所負荷監視システム1(以下、単に「監視システム1」ともいう。)は、き電回路に電力を供給する変電所の負荷を監視するシステムである。監視システム1は、予測装置2と、運行管理装置3とを備える。
【0014】
監視システム1は、図2に示す第1変電所201及び第2変電所202を監視の対象とする。なお、図2は、列車100が走行する路線の一部を示しており、監視システム1は、図2に図示されていない監視対象路線における全ての変電所を監視の対象とする。
【0015】
また、図2に示す路線では、基本的に複数の列車100が同時に走行している。監視システム1が監視する路線としては、複数の列車100が比較的過密に運行される新幹線が想定される。
【0016】
<変電所>
第1変電所201及び第2変電所202は、それぞれ、列車100が走行する路線のき電回路に電力を供給する。き電回路は、列車100にトロリ線によって電力を供給する。
【0017】
第1変電所201は、電力会社が設置した第1外部変電所301から供給される電力を変圧する。第1変電所201は、例えば、電力の周波数を50Hzから60Hzに変換する周波数変換変電所(FC)である。第1変電所201は、第1供給範囲A1に電力を供給する。第1変電所201の下流には、第1下流側変電所211と、第2下流側変電所212とが接続されている。つまり、第1変電所201は、下流側の変電所を介して、き電回路に電力を間接的に供給する。
【0018】
第1下流側変電所211は、第1補助供給範囲A11に電力を供給する。第2下流変電所212は、第2補助供給範囲A12に電力を供給する。第1供給範囲A1は、第1補助供給範囲A11及び第2補助供給範囲A12を合わせた範囲である。
【0019】
第2変電所202は、電力会社が設置した第2外部変電所302から供給される電力を変圧する。第2変電所202は、第2供給範囲A2に電力を供給する。第2変電所202は、第2外部変電所302と一対一の関係である。
【0020】
<予測装置>
図1に示す予測装置2は、負荷取得部21と、第1予測部22と、第2予測部23と、規制判定部24とを有する。
【0021】
予測装置2は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサと、メモリ等の記録媒体と、キーボード、ディスプレイ等の入出力装置とを有するコンピュータ(つまり情報処理装置)によって構成される。予測装置2は、列車100の運行を監視する地上設備である指令所に配置される。
【0022】
<負荷取得部>
負荷取得部21は、変電所211,212,202それぞれの現在の負荷情報を取得するように構成されている。変電所の負荷情報には、負荷電流値、負荷電圧値、き電区間(つまり供給範囲)の電圧値、及びき電区間の状況が少なくとも含まれる。
【0023】
負荷電流値及び負荷電圧値は、それぞれ変電所において実測される値である。負荷電流値は、M座及びT座に分けて取得される。負荷電流値は、変電所の三相交流から単相2系統(つまりM座及びT座)への変換特性を用いて、変電所に供給される交流電流値から算出されてもよい。
【0024】
き電区間の電圧値は、変電所の電圧、き電区分所、補助き電区分所、ATポスト等の複数の電圧監視箇所における測定値の平均値である。
き電区間の状況には、遮断機の投入状況が含まれる。遮断機の投入状況は、例えば変電所中央監視制御装置(CSC)から取得される。
【0025】
<第1予測部>
第1予測部22は、変電所それぞれの供給範囲を走行する列車の予測走行情報から列車それぞれの負荷電力を予測するように構成されている。予測走行情報は、運行管理装置3から送信される。
【0026】
予測走行情報には、一定時刻経過後における各列車の位置、各列車の速度、各列車の走行状態、各列車の編成(つまり車両数)等の情報が含まれる。走行状態は、力行中、減速中、及び等速惰行中のいずれかを示す情報である。予測走行情報は、運行管理装置3によって一定の予測間隔(例えば15秒)毎に送信される。
【0027】
第1予測部22は、予測走行情報に含まれる列車の速度及び走行状態と、列車の電流特性とから統計的に負荷電力を予測する。第1予測部22は、例えば、過去の列車の速度及び走行状態とその列車の負荷電力との関係を線形近似した判定式によって、負荷電力を予測する。図3Aに判定式の一例を示す。図3Aの判定式は、列車の速度及び走行状態に基づいて、列車の負荷電力を予測する。
【0028】
第1予測部22は、少なくとも予測走行情報の予測間隔を2倍した期間における負荷電力を予測する。具体的には、第1予測部22は、現時点から予測間隔を2倍した期間の経過後から、現時点から予測期間を4倍した期間の経過後までの負荷電力を予測する。
【0029】
例えば、予測間隔が15秒の場合、図3Bに斜線で示すように、現時点(つまり予測実行時点)から30秒後(つまり15秒×2)から、60秒後(つまり15秒×4)の期間(つまり30秒間)の負荷電力が予測される。
【0030】
<第2予測部>
図1に示す第2予測部23は、負荷取得部21が取得した負荷情報と、第1予測部22が予測した負荷電力とに基づいて、変電所211,212,202それぞれにおける負荷電流を予測するように構成されている。
【0031】
具体的には、第2予測部23は、下記式(1)によって、負荷電流の予測値ISSfuを算出する。
SSfu=ISSpr・(Sfu/Spr)・(VSSpr/VSSfu) (1)
【0032】
式(1)中、ISSprは、変電所の現在の負荷電流値である。Sfuは、第1予測部22が予測した各列車の負荷電力の総計である。Sprは、変電所の現在の負荷電力であり、現在の負荷電流値に現在の負荷電圧値を乗じたものである。VSSprは、き電区間の電圧値である。VSSfuは、負荷電流を予測する供給範囲(つまりき電区間)にて発生し得る最低電圧値であり、例えば25,000Vに設定される。
【0033】
第2予測部23は、M座及びT座間の電力融通を行う電力補償装置等の調整装置による電流の変化、及び連係運転の影響を考慮して、変電所の負荷電流を予測する。
【0034】
第2予測部23は、第1予測部22が予測した期間(例えば予測実行時点から30秒後から60秒後までの期間)において、負荷電流を予測する。なお、第1予測部22が予測走行情報の予測間隔を2倍した期間よりも長い予測期間で列車の負荷電流の予測を行う場合、第2予測部23は、この予測期間から予測走行情報の予測間隔を2倍した期間を抽出して負荷電流を予測してもよい。
【0035】
また、第2予測部23は、第1変電所201の下流に存在する複数の下流側変電所211,212それぞれについて負荷電流を予測すると共に、複数の下流側変電所211,212の負荷電流の合計値を第1変電所201の負荷電流の予測値とする。
【0036】
つまり、第2予測部23は、第1変電所201の負荷電流については直接予測を行わず、第1下流側変電所211に対し予測した負荷電流(つまり第1補助供給範囲A11における負荷電流)と、第2下流側変電所212に対し予測した負荷電流(つまり第2補助供給範囲A12における負荷電流)との和として、第1変電所201の負荷電流(つまり第1供給範囲A1における負荷電流)を予測する。
【0037】
第2予測部23は、予測した負荷電流と、実測された負荷電流とを統計的に分析した結果を用いて、負荷電流の算出時に補正を行ってもよい。つまり、第2予測部23は、フィードバック回路を有してもよい。
【0038】
<規制判定部>
規制判定部24は、第2予測部23が予測した負荷電流に基づいて、列車100それぞれの速度規制の要否を判定するように構成されている。
【0039】
具体的には、規制判定部24は、予測された負荷電流が予め定めた閾値を超えた場合に、運行管理装置3に速度規制指令の発信を指示する。規制判定部24は、少なくとも予測走行情報の予測間隔(例えば30秒)を2倍した期間(例えば60秒間)の負荷電流に対し、速度規制の要否を判定する。
【0040】
規制判定部24は、列車100が走行するき電区間内の他の列車の状況(例えば、加減速状態、基準運転時分とのずれ、走行位置の勾配等)を考慮して、同一き電区間内の複数の列車に対して最適比率で速度(つまり電流)の低減量を割り振ってもよい。この場合、規制判定部24は、列車ごとの速度低減量を運行管理装置3に送信する。
【0041】
また、規制判定部24は、速度制限の解除条件を予め設定し、負荷電流の予測値が解除条件を満たした場合に、運行管理装置3に速度制限の解除指令の発信を指示してもよい。この解除条件には、例えば、き電区間の状況、他の列車の在線状況、運行ダイヤ等の情報が使用される。
【0042】
<運行管理装置>
運行管理装置3は、列車の運行管理、路線設備の管理等の機能を有する列車運行管理システム(PTC)を構成している。運行管理装置3は、走行情報取得部31と、速度規制部32とを有する。
【0043】
運行管理装置3は、例えば、CPU等のプロセッサと、メモリ等の記録媒体と、キーボード、ディスプレイ等の入出力装置とを有するコンピュータによって構成される。運行管理装置3は、予測装置2と共に、列車100の運行を監視する地上設備である指令所に配置される。
【0044】
<走行情報取得部>
走行情報取得部31は、監視対象のき電回路における変電所の供給範囲を走行する列車100それぞれの予測走行情報を取得するように構成されている。上述のとおり、予測走行情報には、一定時刻経過後における各列車の位置、各列車の速度、各列車の走行状態、各列車の編成等の情報が含まれる。
【0045】
走行情報取得部31は、軌道回路から現在の列車100の位置及び速度を取得し、これらの情報を元に、予測走行情報を算出する。予測走行情報は、例えば予測処理時の15秒後から1時間後までの3秒ごとの情報の集合データである。
【0046】
具体的には、走行情報取得部31は、列車100の現在位置よりも進行方向前方の進路の状況(例えば、信号現示、制限速度等)、車両性能等の情報から、加速パターンを生成する。さらに、走行情報取得部31は、加速パターンを用いて列車100の運転曲線を更新し、この運転曲線から予測走行情報を取得する。走行情報取得部31は、例えば15秒ごとに予測走行情報を更新し、予測装置2に送信する。
【0047】
<速度規制部>
速度規制部32は、規制判定部24からの指示に基づいて、速度規制指令を無線通信によって列車100に送信する。速度規制部32は、速度を直接規制する指令を送信してもよいし、ノッチを規制する指令を送信してもよい。
【0048】
速度規制部32から送信された速度規制指令は、例えば列車100の運転台モニタ101に表示される。運転士は、運転台モニタ101に表示された指令に基づいて、ノッチを下げる等の速度規制操作を行う。
【0049】
なお、電圧変動抑制、着氷霜防止等の目的でノッチを下げる指令が指令所から同時に発信された場合は、最も厳しい条件の指令が優先される。また、速度規制指令に基づいて、列車100の運転装置が自動で速度を規制してもよい。この場合、速度規制指令に基づいて、列車100の主変換装置の電流が直接制御されてもよい。
【0050】
[1-2.処理]
以下、図4のフロー図を参照しつつ、監視システム1が実行する処理の一例について説明する。
【0051】
本処理では、監視システム1は、まず、1つの変電所の現在の負荷情報と、この変電所の供給範囲における各列車の予測走行情報とを取得する(ステップS110)。
【0052】
これらの情報の取得後、監視システム1は、各列車の負荷電力を予測する(ステップS120)。次に、監視システム1は、変電所の負荷情報と、各列車の負荷電力とに基づいて、変電所の負荷電流を予測する(ステップS130)。
【0053】
負荷電流の予測後、監視システム1は、負荷電流が閾値を超えているか否か判定する(ステップS140)。負荷電流が閾値を超えている場合(S140:YES)、監視システム1は、各列車に速度規制指令を送信する(ステップS150)。一方、負荷電流が閾値を超えていない場合(S140:NO)、監視システム1は、速度規制指令を送信しない。
【0054】
監視システム1は、予測走行情報が更新される都度、上述の処理を繰り返す。また、監視システム1は、監視対象の路線における複数の変電所に対し、上述の処理を並行して実施する。
【0055】
[1-3.効果]
以上詳述した実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(1a)変電所の現在の負荷情報と、予測走行情報に基づいて予測された列車の負荷電力とによって、変電所の負荷電流を精度よく予測することができる。
【0056】
(1b)規制判定部24により、予測された負荷電流によって列車の速度規制を行うことができる。そのため、停電を避けつつ、電力を最大限に活用した列車の運行が可能となる。
【0057】
(1c)第1予測部22が少なくとも予測走行情報の予測間隔を2倍した期間における負荷電力を予測することで、継続的に変電所の負荷電流を監視できる。そのため、過負荷が発生するタイミングが負荷電流の予測期間から漏れることを抑制できる。
【0058】
(1d)複数の下流側変電所の負荷電流の合計値によって、複数の下流側変電所が接続された変電所の負荷を精度よく監視することができる。
【0059】
[2.他の実施形態]
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は、上記実施形態に限定されることなく、種々の形態を採り得ることは言うまでもない。
【0060】
(2a)上記実施形態の変電所負荷監視システムにおいて、予測装置及び運行管理装置の構成は一例である。例えば、予測装置が走行情報取得部を有してもよいし、運行管理装置が第1予測部、第2予測部又は規制判定部を有してもよい。また、変電所負荷監視システムは、必ずしも規制判定部及び速度規制部を備えなくてもよい。
【0061】
(2b)上記実施形態における1つの構成要素が有する機能を複数の構成要素として分散させたり、複数の構成要素が有する機能を1つの構成要素に統合したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加、置換等してもよい。なお、特許請求の範囲に記載の文言から特定される技術思想に含まれるあらゆる態様が本開示の実施形態である。
【符号の説明】
【0062】
1…変電所負荷監視システム、2…予測装置、3…運行管理装置、
21…負荷取得部、22…第1予測部、23…第2予測部、24…規制判定部、
31…走行情報取得部、32…速度規制部、100…列車、101…運転台モニタ、
201…第1変電所、202…第2変電所、
211…第1下流側変電所、212…第2下流側変電所、
301…第1外部変電所、302…第2外部変電所。
図1
図2
図3
図4