(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024124890
(43)【公開日】2024-09-13
(54)【発明の名称】スピーカシステム
(51)【国際特許分類】
H04R 1/32 20060101AFI20240906BHJP
H04R 1/02 20060101ALI20240906BHJP
H04R 3/00 20060101ALI20240906BHJP
G10K 11/35 20060101ALI20240906BHJP
【FI】
H04R1/32 330
H04R1/02 101E
H04R3/00 310
G10K11/35 120
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023032858
(22)【出願日】2023-03-03
(71)【出願人】
【識別番号】302060926
【氏名又は名称】株式会社フジタ
(74)【代理人】
【識別番号】100120592
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 崇裕
(74)【代理人】
【識別番号】100184712
【弁理士】
【氏名又は名称】扇原 梢伸
(74)【代理人】
【識別番号】100192223
【弁理士】
【氏名又は名称】加久田 典子
(72)【発明者】
【氏名】原澤 悠
【テーマコード(参考)】
5D017
5D019
5D220
【Fターム(参考)】
5D017AD22
5D019AA05
5D019EE01
5D019EE04
5D019FF01
5D220AA44
(57)【要約】
【課題】超音波の進行方向を制御する技術の提供。
【解決手段】スピーカシステム1においては、複数の超音波素子22が配置されたスピーカ20に対向して、複数の個片板31が連結されてなる反射板30が設けられるとともに、反射板30の裏側の一部に複数の可動機構40が設けられており、制御回路が個々の可動機構40の動作を制御することにより、反射板30の表面形状及び向きを制御し、これにより超音波の進行方向を変化させる。制御回路が行う超音波を正面方向に水平に放射する正面放射(A,
図10)における個々の可動機構40の状態を基準とした制御により、反射板30を右方向に傾けて行う右方向放射(
図11)、反射板30を山折り状態にし2方向に傾けて行う2方向放射(
図12)、前方列と後方列とで個片板31の傾斜度合いを異ならせて行う多方向放射(B)等のように、放射態様を様々に変化させて、超音波を狙った方向に進行させることができる。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波を発する複数個の超音波素子が基板上に配列されてなるスピーカと、
前記スピーカに対向して設けられ、変形可能かつ前記超音波を反射可能な反射板と、
前記反射板の裏側の複数の箇所に設けられた、動作可能な可動機構と、
個々の前記可動機構の動作を制御することにより、前記反射板の形状及び向きを制御して前記超音波の進行方向を変化させる制御手段と
を備えたスピーカシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のスピーカシステムにおいて、
前記反射板は、
複数枚の個片板が連結されてなり全体としての形状が可変であり、
前記可動機構は、
一部の個片板の裏側に設けられている
ことを特徴とするスピーカシステム。
【請求項3】
請求項2に記載のスピーカシステムにおいて、
側壁の一部に開口を有する筐体をさらに備え、
前記スピーカは、
前記筐体内の天井部に下向きに設けられ、
前記反射板は、
前記スピーカの下方に設けられ、前記超音波を反射して前記開口から前記筐体の外部に進行させ、
前記可動機構は、
前記一部の個片板の下側に設けられて当該個片板を支持する
ことを特徴とするスピーカシステム。
【請求項4】
請求項2に記載のスピーカシステムにおいて、
前記反射板は、
前記超音波素子の個数に応じた枚数の前記個片板が連結されてなる
ことを特徴とするスピーカシステム。
【請求項5】
請求項2に記載のスピーカシステムにおいて、
前記個片板は、
略矩形の面形状を有しており、外縁部が厚み方向に鋭角をなしている
ことを特徴とするスピーカシステム。
【請求項6】
請求項2から5のいずれかに記載のスピーカシステムにおいて、
前記可動機構は、
伸縮可能な支柱部と、前記個片板を回転可能な状態で前記支柱部に連結させる継手部とを有しており、前記支柱部の伸縮により前記可動機構が設けられた前記個片板の位置及び向きを変化させる
ことを特徴とするスピーカシステム。
【請求項7】
請求項1又は2に記載のスピーカシステムにおいて、
前記制御手段は、
前記反射板を山折りされ2つの方向に傾斜した状態に制御して、前記超音波を前記2つの方向に進行させることが可能である
ことを特徴とするスピーカシステム。
【請求項8】
請求項3に記載のスピーカシステムにおいて、
前記筐体は、
少なくとも床面の一部に吸音材が貼付されている
ことを特徴とするスピーカシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パラメトリックスピーカを備えたスピーカシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
パラメトリックスピーカは、指向性が強く、特定のエリアに向けて選択的に音を伝搬することができるため、様々な場面での応用が期待されており、既に、美術館や博物館、駅のホーム等における特定のスポットへのアナウンス等に実用化されている。
【0003】
また、パラメトリックスピーカの設置の自由度を向上させるための研究開発も進んでいる。例えば、筐体の内部に、XY平面に複数の列に配列されZ軸に沿った方向に超音波を発生させる超音波トランスデューサと、これらの各列に対向して設けられ超音波をY軸に沿った方向に反射させる複数の反射面と、反射面で反射させた超音波を筐体の外部へと放出させる放出口とを備えたパラメトリックスピーカが知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した先行技術によれば、各列の超音波トランスデューサからZ軸方向に発生させた超音波を反射面がY軸方向に反射させるため、Z軸方向に必要な空間を抑制することができ、その分だけパラメトリックスピーカの設置や携帯の自由度を向上させることができると考えられる。
【0006】
しかしながら、筐体の内部に設けられた反射面の向きが固定されていることから、超音波を反射させる方向は一定であり、利用者が筐体(放出口)の向きを変えない限り超音波の進行方向を変えることができないため、柔軟性に欠けており、状況によっては狙ったエリアに音を伝搬することが困難である。
【0007】
そこで、本発明は、超音波の進行方向を制御する技術の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、本発明は以下のスピーカシステムを採用する。なお、以下の括弧書中の文言は飽くまで例示であり、本発明はこれに限定されるものではない。
【0009】
すなわち、本発明のスピーカシステムは、超音波を発する複数個の超音波素子が基板上に配列されてなるスピーカと、スピーカに対向して設けられ、変形可能かつ超音波を反射可能な反射板と、反射板の裏側の複数の箇所に設けられた、動作可能な可動機構と、個々の可動機構の動作を制御することにより、反射板の形状及び向きを制御して超音波の進行方向を変化させる制御手段とを備えている。また、反射板は、複数枚の個片板が連結されてなり全体としての形状が可変であり、可動機構は、一部の個片板の裏側に設けられている。
【0010】
この態様のスピーカシステムによれば、制御手段により可動機構の動作が制御され、これにより反射板の形状及び向きが制御されるため、反射板の形状や向きに応じて超音波の進行方向を変化させることができ、音を狙った方向に伝搬することが可能となる。
【0011】
好ましくは、上述した態様のスピーカシステムにおいて、側壁の一部に開口を有する筐体をさらに備え、スピーカは、筐体内の天井部に下向きに設けられ、反射板は、スピーカの下方に設けられ、超音波を反射して開口から筐体の外部に進行させ、可動機構は、一部の個片板の下側に設けられて当該個片板を支持する。また、筐体は、少なくとも床面の一部に吸音材が貼付されている。
【0012】
この態様のスピーカシステムによれば、スピーカが筐体内の天井部に下向きに設けられていることから、超音波素子に水や塵等の異物が付着しにくく、これらにスピーカの機能が阻害される心配がないため、雨水がかかりうる屋外の場所や水周り、粉塵が舞う工事現場等においてもスピーカシステムを設置して使用することができる。また、筐体において少なくとも床面の一部に吸音材が貼付されていることから、スピーカから発せられた超音波の一部が反射板に当たらずに直進した場合に吸音材で吸音されるため、超音波が筐体内で乱反射して意図しない方向に進行するのを未然に防いで、超音波を意図した方向に確実に進行させることができる。
【0013】
より好ましくは、上述したいずれかの態様のスピーカシステムにおいて、反射板は、超音波素子の個数に応じた枚数の個片板が連結されてなる。また、個片板は、略矩形の面形状を有しており、外縁部が厚み方向に鋭角をなしている。
【0014】
この態様のスピーカシステムによれば、反射板が超音波素子の個数に応じた枚数の個片板が連結されてなるため、特定の反射板を特定の超音波素子に概ね対応させながら、反射板の形状や向き、ひいては超音波の進行方向をきめ細やかに制御することができる。また、個々の個片板の外縁部が厚み方向に鋭角をなしているため、隣接し合う2枚の個片板を平らな状態から山形状にも谷形状にも変形させることができ、反射板を柔軟に変形させることができる。
【0015】
さらに好ましくは、上述したいずれかの態様のスピーカシステムにおいて、可動機構は、伸縮可能な支柱部と、個片板を回転可能な状態で支柱部に連結させる継手部とを有しており、支柱部の伸縮により可動機構が設けられた個片板の位置及び向きを変化させる。
【0016】
この態様のスピーカシステムによれば、可動機構が設けられた個片板の高さを支柱部の伸縮により変化させ、個片板の向きを継手部の回転により変化させ、こうした個片板の高さや向きの変化に追従させる形で可動機構が設けられていない個片板の向きや高さをも変化させることができるため、限られた個数の可動機構の協働により反射板の形状や向きを効率よく変化させることができる。
【0017】
より好ましくは、上述したいずれかの態様のスピーカシステムにおいて、制御手段は、反射板を山折りされ2つの方向に傾斜した状態に制御して、超音波を2つの方向に進行させることが可能である。
【0018】
この態様のスピーカシステムによれば、制御手段により、例えば、反射板を平らなまま特定の方向に傾斜した状態に制御すればその方向に超音波を進行させることができ、また、反射板を山折され2つの方向に傾斜した状態に制御すればその2つの方向に超音波を進行させることができるため、目的や用途に応じて反射板の形状や向きを制御しスピーカの指向性を柔軟に制御することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、超音波の進行方向を制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】一実施形態のスピーカシステム1を簡略的に示す斜視図である。
【
図2】パラメトリックスピーカ20を示す平面図である。
【
図4】個片板31を単体で示す平面図及び断面図である。
【
図5】反射板30の一部を拡大して示す平面図及び側面図である。
【
図7】支柱部41(可動機構40)の動作例を示す図である。
【
図8】継手部45(可動機構40)の動作例を示す図である。
【
図9】可動機構40の動作の制御例を簡略的に示す図である。
【
図10】超音波を正面に放射するシミュレーションの結果を示す図である。
【
図11】超音波を右方向に放射するシミュレーションの結果を示す図である。
【
図12】超音波を2方向に放射するシミュレーションの結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施形態はスピーカシステムの好適な一例であり、本発明の実施の形態はこの例示に限定されない。
【0022】
〔スピーカシステムの概要〕
図1は、一実施形態のスピーカシステム1を簡略的に示す斜視図である。
スピーカシステム1は、パラメトリックスピーカの指向性を制御可能な音響システムであり、例えば、筐体10と、筐体10の天井部(天板11の下面)に下向きに設けられたパラメトリックスピーカ20と、パラメトリックスピーカ20に対向して設けられた反射板30と、反射板30の裏側の複数の箇所に設けられた複数の可動機構40と、可動機構40の動作を制御する制御回路(図示されていない)とで構成される。
【0023】
筐体10は、防水性を有するプラスチック等の材料で形成され、正面側の側壁の下部に開口12が設けられており、上部に水滴や粉塵等の異物が浸入しにくい構造をなしている。パラメトリックスピーカ20は、基板上に複数個の超音波素子を有しており、個々の超音波素子が超音波を発する。反射板30は、パラメトリックスピーカ20から発せられる超音波を反射して、開口12から筐体10の外部に進行させる。反射板30は、複数枚の個片板が連結されたものであり、全体としての形状が可変である。また、一部の個片板の裏側には可動機構40が設けられており、当該個片板を個々の可動機構40が支持し、複数の可動機構40が協働して反射板30を支持している。制御回路による制御に従って可動機構40が動作することにより、反射板30全体の形状や向きが変化し、結果として、超音波の進行方向が変化する。
【0024】
筐体10の幅W及び奥行Dは、パラメトリックスピーカ20をその長手方向を筐体10の幅方向に沿わせつつ短手方向を筐体10の奥行方向に沿わせて収容可能な寸法に決定されており、筐体10の高さHは、超音波の放射面に対する反射板30の表面の初期状態における傾斜角度(以下、「初期傾斜角度」と称する。)とパラメトリックスピーカ20の長手方向の寸法とに基づいて決定されている。本実施形態においては、パラメトリックスピーカ20の長手方向の寸法が約20cmであり、短手方向の寸法が約10cmであり、初期傾斜角度が45度に設定されており、これらの設計値を踏まえて、例えば、幅Wは30cm、奥行Dは20cm、高さHは50cmに決定されている。
【0025】
ところで、初期傾斜角度は、スピーカシステム1の設置場所に応じて設定される。例えば、スピーカシステム1を人の頭部より高い場所や天井に近い場所に設置する場合には、音を人の耳に向けて伝搬できるよう、初期傾斜角度を45度より大きくする必要がある。本実施形態のように、初期傾斜角度が45度の場合には、高さHは少なくともパラメトリックスピーカ20の長手方向の寸法の2倍程度が必要だが、初期傾斜角度を45度より大きく設定する場合には、高さHをさらに大きくする必要がある。また、初期傾斜角度の大きさに応じて、開口12の寸法や反射板30の寸法も変わってくる。
【0026】
また、図示を省略しているが、筐体10の床面13の周縁部や内壁面の一部には、吸音材(例えば、グラスウール)が貼付されている。初期傾斜角度においては、パラメトリックスピーカ20から発せられた超音波は概ね全体が反射板30に当たって反射し筐体10の外部に進行するが、可動機構40の動作により反射板30の形状や向きが変化することにより、パラメトリックスピーカ20から発せられた超音波の一部が反射板30に当たらない状況が生じうる。そのような状況において、反射板30から外れた超音波は床面13や内壁面に貼付された吸音材により吸音されるため、筐体10の内部で超音波が乱反射して意図しない方向に進行するのを未然に回避することができる。
【0027】
なお、超音波の一部が反射板30から外れた場合には、その分のエネルギー量を失うことになるが、十分な個数の超音波素子22が設けられており、パラメトリックスピーカ20から出力される超音波全体のエネルギー量からみれば極めて僅かな損失であるため、スピーカシステム1の性能には殆ど影響しない。
【0028】
〔スピーカの構成〕
図2は、パラメトリックスピーカ20を示す平面図である。
パラメトリックスピーカ20は、198×99mmの矩形をなす基板21と、基板21上に10行×20列に整列して配置された、直径9.9mmの合計200個の超音波素子22とを有している。基板21において、超音波素子22は並列接続されている。
【0029】
また、図示を省略しているが、パラメトリックスピーカ20は、これらの構成要素に加えて、変調器及びアンプを備えている。変調器は、可聴帯域の入力信号で超音波帯域の搬送波信号を変調した信号を生成する。アンプは、変調器で変調された信号を増幅する。アンプで増幅された信号が基板21に入力すると、この信号が並列で個々の超音波素子22に入力し、これにより可聴帯域の入力信号に対応した超音波が個々の超音波素子22から発せられる。
【0030】
〔反射板の構成〕
図3は、反射板30を示す平面図である。
反射板30は、9.9×14mmの矩形をなす個片板31が、10行×20列に整列して連結された、合計200枚の個片板31からなり、全体として、198×140mmの矩形をなしている。なお、
図3においては、隣接する個片板31を連結する部材の図示を省略している。
【0031】
個片板31の枚数は、超音波素子22の個数に応じて決定されており、個片板31の整列態様は、超音波素子22の整列態様に準じている。このような枚数及び整列態様により複数の個片板31を連結することにより、個片板31と超音波素子22とが概ね対応付けられ、個々の超音波素子22から発せられた超音波をその超音波素子22に概ね対応する個片板31が反射することができ、反射板30が全体としてパラメトリックスピーカ20から発せられた超音波全体を好適に反射することができる。
【0032】
上述したように、一部の個片板31の裏側には可動機構40が設けられる。具体的には、
図3において灰色に染色された個片板32には、可動機構40が設けられ、染色されていない個片板33には、可動機構40が設けられない。本実施形態においては、反射板30の4隅に配置された4枚の個片板32と中央の2列に配置された20枚の個片板32の各裏側に、可動機構40が1つずつ設けられる。個片板32は、可動機構40の動作が直接作用することで動き、その位置や向きが変化する。一方、個片板33は、隣接する個片板に引っ張られることでこれらに追従して動き、その位置や向きが変化する。
【0033】
個々の個片板31は、ある程度の剛性を有した超音波を反射可能な材料(例えば、アルミ)で形成された平板状の部材であり、変形不可能である。これに対し、200個の個片板31が連結されてなる反射板30は、個片板32の各々に設けられる可動機構40の動作に伴って、全体としての形状が変形可能である。
【0034】
図4は、個片板31を単体で示しており、(A)は平面図、(B)は図中のB-B線に沿う断面図、(C)は図中のC-C線に沿う断面図である。
個片板31は、(A)に示されるように、表面が略矩形をなしており、(B)及び(C)に示されるように、個片板31の断面は略等脚台形をなしており、個片板31においては、その表面(上面)31aが裏面(下面)31bより大きく形成されて、外縁部において厚み方向に鋭角θをなしている。このような形状とすることにより、隣接して配置される2枚の個片板31を、表面31a同士が近づく方向にも裏面31b同士が近づく方向にも柔軟に動かすことが可能となる。鋭角θの大きさを調整することにより、隣接し合う2つの個片板31の可動範囲が決定される。
【0035】
図5は、反射板30の一部を拡大して示しており、(A)は、反射板30のうち
図3中の一点鎖線Vで囲んだ部分を示す平面図であり、(B)は、(A)に示した部分を手前側からみた様子を示す側面図である。また、(C)は、隣接する2枚の個片板が山形状をなした状態を示しており、(D)は、隣接する2枚の個片板が谷形状をなした状態を示している。説明の便宜のために、
図5においては連結部材34を誇張して示している。
【0036】
個々の個片板31の隅部には微小な孔が穿孔されており、隣接する又は同一の頂点を共有する複数の個片板31は、これらの孔に通された紐状の連結部材34(例えば、テグス)で結び合わせられている。このような態様で個片板31を連結することにより、隣接し合う2枚の個片板31を、その裏面(下面)同士が近づく方向に動かして山形状にしたり(
図5中(C)を参照)、その表面(上面)同士が近づく方向に動かして谷型状にしたり(
図5中(D)を参照)することができる。また、相互の動きの状況によっては、連結部材34で連結されている領域内で、個片板31の外縁部同士が重なり合う(一方の個片板31の外縁部が他方の個片板31の外縁部の下側に潜り込む)場合も生じうるが、上述したように外縁部は鋭角をなしているため、そのような場合でも、表面に大きな段差が生じることはなく、反射板30の表面形状を滑らかに形成することができる。
【0037】
〔可動機構の構成及び動作例〕
図6は、可動機構40を示す側面図である。発明の理解を容易とするために、
図6においては、可動機構40が設けられる個片板32を併せて図示している。可動機構40は、例えば、伸縮可能な支柱部41と、支柱部41の上端部に設けられて個片板32と支柱部41とを連結させる継手部45とで構成される。
【0038】
支柱部41は、例えば、固定長を有した筒状をなす固定部42と、固定部42からの突出動作及び収容動作が可能な伸縮部43と、伸縮部43を動作させるモータを内蔵した基部44とを有しており、基部44が筐体10の床面13に固定される。モータを駆動させることにより、伸縮部43が動作し、固定部42からの突出長、ひいては伸縮部43の先端部の位置(高さ)が変化する。モータの駆動は、上述した制御回路により制御される。
【0039】
また、継手部45は、例えば、有底円筒形状をなし、底部に伸縮部43の先端部が連結される第1連結部46と、球形状をなし、その大半が第1連結部46に収容されて全方向に回転可能な状態で支持された回転体47と、回転体47に接続した第2連結部48とを有している。第2連結部48は、個片板32の裏面に接着や溶接等により連結される。継手部45は駆動源を有しておらず、その一端部に連結された伸縮部43(支柱部41)の動作に連動しつつ、他端部に連結された個片板32に引っ張られて、回転体47が回転する。見方を変えると、伸縮部43(支柱部41)及び回転体47(継手部45)の動作に連動して、これらに連結された個片板32が動き、その高さや向きが変化する。
【0040】
このように、可動機構40が設けられた個片板32は、支柱部41における伸縮及び継手部45における回転に連動して高さや向きが変化するが、上述したように、伸縮部43を動作させるモータの駆動は制御回路により制御される。すなわち、制御回路は、モータの駆動を制御することにより、直接的には可動機構40の動作を制御するが、間接的には個片板32の高さや向き、ひいては反射板30全体の表面形状及び向きを制御し、これによりパラメトリックスピーカ20から発せられた超音波の進行方向を変化させることができる。
【0041】
なお、上述した例では、継手部45において第2連結部48が回転体47に固定されているが、これに代えて、第2連結部48を回転体47からの少量の突出動作及び収容動作が可能な構成としてもよい。このような構成により、個片板32の動きの自由度をより高めることができる。
【0042】
図7は、可動機構40の下側部位をなす支柱部41の動作例を示す図である。
図7においては、動作の主体となる伸縮部43を灰色に染色して示している。
支柱部41は、伸縮部43の動作により、(A)に示した伸縮部43が固定部42に収容された状態の最短寸法と、(B)に示した伸縮部43が固定部42から最大に突出した状態の最長寸法との間で、無段階に伸縮することができる。
【0043】
複数の個片板32の各々に1つずつ可動機構40を設ける際には、個片板32の位置に応じて、寸法の異なる可動機構(固定部42の長さL42や伸縮部43の最大突出長さL43が異なる可動機構)を採用してもよい。或いは、全ての個片板32に同一の寸法の可動機構40を採用し、初期状態における伸縮部43の突出度合いを異ならせて用いることも可能である。
【0044】
図8は、可動機構40の上側部位をなす継手部45の動作例を示す図である。このうち、(A)は、初期傾斜角度における回転体47の向きを示している。
図8においては、動作の主体となる回転体47を灰色に染色して示している。
回転体47が(A)に示した状態から鉛直面に沿って回転すると、(B)及び(C)に示したように、継手部45に連結された個片板32の傾斜が、より険しくなったり、より緩やかになったりする。また、回転体47が(A)に示した状態から水平面に沿って(第1連結部46の外周方向に)回転すると、(D)及び(E)に示したように、継手部45に連結された個片板32の向きが、より奥側に向いたり、より手前側に向いたりする。
【0045】
なお、ここでは説明の便宜のために、(A)に示した状態を起点とする回転体47の回転態様を説明したが、回転体47はどのような状態からも全方向に無段階での回転が可能である。
【0046】
図9は、可動機構40の動作の制御例を簡略的に示す図である。
図9においては、開口12を有する筐体10の正面を紙面の右側に向けた状態のスピーカシステム1を、手前側の側壁のみ破断して示している。また、発明の理解を容易とするために、筐体10の内部に設けられた超音波素子22、個片板31、可動機構40については、実施形態における構成数よりも個数を減らして簡略化しつつ、これらの部品を誇張して示し、また連結部材34の図示を省略している。
【0047】
図9中(A):音波の進行方向を水平に制御する場合の一例として、初期状態のスピーカシステム1を示している。初期状態において、反射板30の表面(以下、「反射面」と略称する場合がある。)は、全体が平らな状態で超音波の放射面(以下、「放射面」と略称する。)に対し45度傾斜している。この状態で、個々の超音波素子22から超音波が発せられると、超音波は個々の超音波素子22の直下に位置する個片板31に反射されて開口12から外部に放射され、筐体10の正面方向に略水平に進行する(以下、この放射態様を「正面放射」と称する。)。
【0048】
制御回路による制御においては、この正面放射が基準となり、他の方向に放射する場合には、正面放射に対して相対的に制御がなされる。例えば、超音波を正面放射における場合よりも下方に放射する場合には、反射面を初期傾斜角度より大きく傾斜させるために、制御回路は、正面放射における高さを基準として、後方の可動機構40がより高くなり、前方の可動機構40がより低くなるように、複数の可動機構40の動作を制御する。
【0049】
図9中(B):音波を敢えて周囲へ拡散させるように制御する場合の一例を示している。音波を拡散させる場合には、制御回路により、個々の個片板31を様々な方向に向かせるように可動機構40の動作が制御される。図示の例においては、正面放射における場合よりも最後列及び最前列の可動機構40を高くすることにより、最後列の個片板31の傾斜がより険しくなる一方、最前列の個片板31の傾斜がより緩やかになっている。その結果、個々の超音波素子22から超音波が発せられると、超音波は個々の超音波素子22に下方に位置する個片板31、すなわち直下に位置する個片板31又はその個片板31の周辺に位置する個片板31に反射されて開口12から外部に放射され、筐体10の正面側の様々な方向に向かって進行する(以下、この放射態様を「多方向放射」と称する。)。
【0050】
このように、制御回路により可動機構40の動作を制御することで、反射面の形状や向き、ひいてはパラメトリックスピーカ20から発せられる超音波の進行方向(音波の放射方向)を制御することができ、音を所望の方向に伝搬することが可能となる。
【0051】
制御回路には、利用が想定される放射態様(正面放射、右方向放射、左方向放射、2方向放射、上方向放射、下方向放射、多方向放射等)に対応する可動機構40の制御パターンが予め記憶されており、スピーカシステム1の管理者がいずれかの放射態様を選択すると、制御回路は、その放射態様に対応する制御パターンに沿って可動機構40の動作を制御する。また、管理者が反射板30の向きや傾斜角度に関する調整量を指定すると、制御回路は、その時点での反射板30の状態から向きや傾斜角度を調整量分だけ相対的に変化させるよう可動機構40の動作を制御する。
【0052】
〔シミュレーション結果〕
図10から
図12は、スピーカシステム1において超音波の放射態様を様々に変化させてシミュレーションを行った結果を示す図である。これらの図中の(A)は、シミュレーションにおける放射面及び反射面の位置関係を示すとともに、理解の促進のために、放射面及び反射面の頂点を通過する補助線を二点鎖線で付している。また、これらの図中の(B)は、反射面の前方の空間(筐体10の正面側の外部空間に相当)を反射面の高さの中心に沿って切断した水平面における音圧レベルのシミュレーション結果を示している。
【0053】
なお、シミュレーションにおけるスピーカシステム1と(B)のコンター図に表された空間との位置関係を把握し易くするために、コンター図の上部にスピーカシステム1の平面図を付加している。コンター図の横軸における目盛0.0が筐体10(開口12)の左端地点Pに相当し、目盛0.3が筐体10(開口12)の右端地点Qに相当する。全てのシミュレーションにおいて、放射面の形状及び放射面から発せられる超音波のレベルは同一である。
【0054】
〔正面放射〕
図10は、超音波を正面に放射するシミュレーションの結果を示す図である。
図10中(A)に示したように、正面放射においては、反射面が放射面に対して45度傾斜している。この状態は、スピーカシステム1の初期状態に相当する。この状態で超音波を放射すると、
図10中(B)に示したように、開口12の真正面に延びる帯状のエリアにおいて音圧レベルが特に高く、開口12から1m離れた地点でも一定以上の音圧レベルとなった。この結果から、放射面から発せられた超音波を45度傾斜した反射面で反射させることで、超音波を正面方向に真っ直ぐ放射することができ、真正面のエリアを狙って音を伝搬可能であることが分かる。
【0055】
〔右方向放射〕
図11は、超音波を右方向に放射するシミュレーションの結果を示す図である。なお、
図11中(A)においては、放射面及び反射面の頂点を通過する補助線の他に、
図10中(A)に示した正面放射における反射面の位置を示す補助線を加えている。
【0056】
図11中(A)に示したように、右方向放射においては、放射面が正面放射における場合より右側に傾いている。この状態で超音波を放射すると、
図11(B)に示したように、開口12の右斜め前に延びる帯状のエリアにおいて音圧レベルが特に高く、開口12から1m離れた地点でも一定以上の音圧レベルとなった。この結果から、放射面から発せられた超音波を特定の1方向に傾けた反射面で反射させることで、超音波を特定の1方向に真っ直ぐ放射することができ、その方向のエリアを狙って音を伝搬可能であることが分かる。
【0057】
なお、右方向放射の場合には、制御回路は、例えば、最左列の可動機構40は正面放射における高さを維持しつつ、これより右方の可動機構40は正面放射における高さよりも低くなるように、複数の可動機構40の動作を制御する。
【0058】
〔2方向放射〕
図12は、超音波を2方向に放射するシミュレーションの結果を示す図である。なお、
図12中(A)においても、放射面及び反射面の頂点を通過する補助線の他に、
図10中(A)に示した正面放射における反射面の位置を示す補助線を加えている。また、
図12中(A)においては、反射面の形状の把握を容易とするために、反射面を下方から(裏側から)みた様子を示している。
【0059】
図12中(A)に示したように、2方向放射においては、放射面がその左右の中心線を境として山折りの状態になり、放射面の右半分が正面放射における場合より右側に傾いている一方、左半分が正面放射における場合より左側に傾いている。この状態で超音波を放射すると、
図12(B)に示したように、開口12の右斜め前に延びる帯状のエリア及び左斜め前に延びる帯状のエリアにおいて音圧レベルが特に高く、開口12から0.4m離れた地点付近までは一定以上の音圧レベルとなったが、さらに離れた地点では一定の音圧レベルをやや下回った。この結果から、放射面から発せられた超音波を2方向に傾けた反射面で反射させることで、超音波を2方向に真っ直ぐ放射することができ、多少の音圧レベルの低下は生じるものの、2方向のエリアを狙って音を伝搬可能であることが分かる。
【0060】
ところで、上述した音圧レベルの低下は、放射された超音波が2方向に分散した結果、各方向に放射されたエネルギー量が1方向に放射する場合(正面放射(
図10)、右方向放射(
図11))におけるエネルギー量より少ないためである。しかしながら、上述した左右の帯状のエリアにおいて開口から1m離れた地点における音圧レベルは、開口12の直近地点と比べると10dB程度しか低下していないことから、目的や用途によっては十分に実用可能なレベルであるといえる。例えば、2名の対象者が横に並んでいるような状況下で2方向放射を行うことにより、個々の対象者に向けて十分なレベルの音を伝搬することができる。
【0061】
なお、2方向放射の場合には、制御回路は、正面放射における高さを基準として、例えば、中央2列の可動機構40は正面放射における高さを維持しつつ最左列及び最右列の可動機構40は正面放射における高さよりも低くなるように、或いは、最左列及び最右列の可動機構40は正面放射における高さを維持しつつ中央2列の可動機構40は正面放射における高さよりも高くなるように、複数の可動機構40の動作を制御する。
【0062】
以上のシミュレーション結果から明らかなように、スピーカシステム1によれば、放射面の向きや形状、放射面から放射する超音波の音圧は一切変化させることなく、反射面の向きや形状を変えるだけで、超音波を異なる方向に放射する(進行させる)ことができ、その方向に確実に音を伝搬することが可能となる。
【0063】
上述した実施形態のスピーカシステム1によれば、以下のような効果が得られる。
(1)可動機構40の動作を制御することにより、個片板32の高さや向き、ひいては反射板30全体の向きや表面形状を制御することができるため、反射板30の向きや表面形状に応じて、パラメトリックスピーカ20から発せられた超音波の進行方向を変化させることができ、超音波を特定の1方向に進行させたり、2方向に分けて進行させたりすることができる。このように、スピーカシステム1によれば、可聴音波を出力する一般的なスピーカでは実現することが困難な指向性の制御を実現することができる。
【0064】
(2)基板21に複数個の超音波素子22が配置されてなるパラメトリックスピーカ20は、個々の超音波素子22の直径が非常に小さいことから、振動面に水や塵等の異物が付着すると、高周波の振動が阻害されて正常に機能しなくなるが、スピーカシステム1においては、パラメトリックスピーカ20が筐体10の天井部に下向きに設けられていることから、超音波素子22に異物が付着しにくく、パラメトリックスピーカ20の機能が阻害される心配がないため、雨水がかかりうる屋外の場所や水周り、粉塵が舞う工事現場等においてもスピーカシステム1を使用することができる。
【0065】
(3)反射板30を構成する個々の個片板31が、その外縁部において厚み方向に鋭角θをなしているため、隣接し合う2枚の個片板31が山形状をなすことも谷形状をなすことも可能であり、鋭角θの大きさを調整することにより、隣接し合う2枚の個片板31の可動範囲を決定することができ、鋭角θをより小さくすることにより、個片板31の可動範囲をより拡張して反射板30の変形の自由度をより高めることができる。
【0066】
(4)反射板30が10行×20列に整列して連結された個片板31で構成されているため、反射板30の表面形状をきめ細やかに制御して、超音波の進行方向をきめ細やかに変化させることができる。また、個片板31の枚数はパラメトリックスピーカ20に配置された超音波素子22の個数に一致し、個片板31と超音波素子22とが概ね1対1で対応しており、反射板30の向きや表面形状が変化しても、個々の超音波素子22から発せられる超音波は、直下に位置する個片板31又はその個片板31の周辺に位置する個片板31に当たるため、エネルギー量を概ね保ったまま超音波を意図した方向に進行させることができる。
【0067】
(5)筐体10の床面の周縁部や内壁面の一部に吸音材が貼付されているため、反射板30の表面形状や向きによりパラメトリックスピーカ20から発せられた超音波の一部が反射板30に当たらない場合でも、反射板30から外れた超音波を吸音材で吸音することができ、筐体10の内部で超音波が乱反射して意図しない方向に進行するのを未然に回避することができる。結果として、超音波を意図した方向に確実に進行させることができる。
【0068】
本発明は、上述した実施形態に制約されることなく、種々に変形して実施することができる。
【0069】
上述した実施形態においては、パラメトリックスピーカ20において200個の超音波素子22が整列して配置されており、これに対応して、反射板30において200枚の個片板31が整列して連結されているが、超音波素子22及び個片板31の数はこれに限定されず、適宜変更が可能である。また、個片板31の枚数は、超音波素子22の個数と一致させる必要はなく、超音波素子22の個数に応じた割合の個数であればよい。そのような枚数の個片板31を超音波素子22と同様の整列態様により連結することによっても、反射板30はパラメトリックスピーカ20から発せられた超音波を好適に反射することができる。
【0070】
上述した実施形態においては、反射板30を構成する個片板31のうち、4隅に位置する4枚の個片板、及び、中央の2列に位置する20枚の個片板の合計24枚の個片板31の裏側に1つずつ、合計24個の可動機構40が設けられているが、可動機構40を設ける位置や個数はこれに限定されず、適宜変更が可能である。また、上述した実施形態においては、制御回路、変調器及びアンプが筐体10の内部に設けられているが、これらを筐体10の外部に設けてもよい。
【0071】
上述した実施形態においては、可動機構40が伸縮可能な支柱部41と回転可能な継手部45との組み合わせで構成されているが、この構成は飽くまで一例として示したものであり、可動機構40が個片板31を自在に動かして反射板30の表面形状や向きを想定した態様に変えることが可能なものであれば、どのような部品(単一の部品でも、複数の部品の組み合わせでもよい)で可動機構40を構成してもよい。
【0072】
上述した実施形態においては、反射板30が連結された複数の個片板31からなり、これにより全体としての形状が変形可能とされているが、ある程度の可撓性を有しつつ超音波を反射可能な材料がある場合、或いは、ある程度の可撓性を有した材料からなる平板状の部材の表面に超音波を反射可能な材料を塗布等により設けたものを実用可能である場合等には、複数の個片板を連結するのに代えて、そのような材料を用いて切れ目のないひと繋がりの反射板を形成してもよい。このような態様の反射板は、自身の材質により変形が可能であるとともに超音波の反射も可能であるため、上述した反射板30と同様に作用することができる。
【0073】
上述した実施形態においては、スピーカシステム1の管理者がいずれかの放射態様を選択するか、又は、反射板30に関する調整量を指定することで、制御回路による可動機構40の動作制御がなされるが、これに変えて、スピーカシステム1の正面側の空間における人の動きを観察し、それに応じて制御回路による可動機構40の動作制御がなされるよう構成してもよい。具体的には、開口12の近傍位置に正面側の様子を撮影可能なカメラを設置して、その映像をリアルタイムで解析し、人の動きに応じて音の伝搬エリアを変化させるよう、制御回路に可動機構40の動作、ひいては反射板30の形状や向きを制御させることが可能である。
【0074】
その他、実施形態において図示とともに挙げたものはいずれも、飽くまで好ましい一例であり、本発明の実施に際して適宜に変形が可能であることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0075】
1 スピーカシステム
10 筐体
20 パラメトリックスピーカ
22 超音波素子
30 反射板
31 個片板
40 可動機構