(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024124893
(43)【公開日】2024-09-13
(54)【発明の名称】電圧検出装置及び電池モジュール
(51)【国際特許分類】
H01M 50/569 20210101AFI20240906BHJP
H01M 50/298 20210101ALI20240906BHJP
H01M 50/209 20210101ALI20240906BHJP
【FI】
H01M50/569
H01M50/298
H01M50/209
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023032868
(22)【出願日】2023-03-03
(71)【出願人】
【識別番号】507357232
【氏名又は名称】株式会社AESCジャパン
(74)【代理人】
【識別番号】100110928
【弁理士】
【氏名又は名称】速水 進治
(74)【代理人】
【識別番号】100127236
【弁理士】
【氏名又は名称】天城 聡
(72)【発明者】
【氏名】井澤 貴美
(72)【発明者】
【氏名】中川 史也
【テーマコード(参考)】
5H040
5H043
【Fターム(参考)】
5H040AA02
5H040AT02
5H040AT06
5H040AY04
5H040AY05
5H040AY08
5H040DD26
5H040NN03
5H043AA05
5H043CA04
5H043CA05
5H043CA13
5H043DA27
5H043LA22D
(57)【要約】
【課題】電圧検出装置を小型化する。
【解決手段】電圧検出装置20Aは、複数の電圧検出端子210と、複数の電圧検出端子210に電気的に接続された複数の電圧検出線220と、を備えている。隣り合う電圧検出端子210に電気的に接続された電圧検出線220は、当該隣り合う電圧検出端子210の間の領域を経由して引き出されている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電圧検出端子と、
前記複数の電圧検出端子に電気的に接続された複数の電圧検出線と、
を備え、
隣り合う電圧検出端子に電気的に接続された電圧検出線が、当該隣り合う電圧検出端子の間の領域を経由して引き出されている、電圧検出装置。
【請求項2】
所定領域の両側に位置する電圧検出端子に電気的に接続された電圧検出線が、前記電圧検出端子に対して前記所定領域の反対側の領域を経由して引き出されている、請求項1に記載の電圧検出装置。
【請求項3】
前記複数の電圧検出端子を保持する保持体をさらに備え、
隣り合う電圧検出端子に電気的に接続された前記電圧検出線が、前記保持体の互いに反対側の領域を経由して引き出されている、請求項1に記載の電圧検出装置。
【請求項4】
隣り合う電圧検出端子に電気的に接続された前記電圧検出線が、当該電圧検出端子における当該電圧検出線の引き出し方向に互いにずれた部位から引き出されている、請求項1に記載の電圧検出装置。
【請求項5】
保持体と、
前記保持体に保持された複数の電圧検出端子と、
前記複数の電圧検出端子に電気的に接続された複数の電圧検出線と、
を備え、
少なくとも2つの電圧検出線が、前記保持体の互いに反対側の領域を経由して引き出されている、電圧検出装置。
【請求項6】
前記保持体が、前記保持体の互いに反対側の領域の間において前記電圧検出線が前記保持体を通過する空間を画定している、請求項5に記載の電圧検出装置。
【請求項7】
複数の電池セルと、
前記複数の電池セルの電圧を検出する請求項1~6のいずれか一項に記載の電圧検出装置と、
を備える電池モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電圧検出装置及び電池モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、所定方向に積層された複数の電池セルを備える電池モジュールが開発されている。複数の電池セルは、各電池セルから引き出されたタブを介して電気的に互いに接続されている。
【0003】
特許文献1には、電圧検出装置を備える電池モジュールの一例について記載されている。電圧検出装置は、電池セルから引き出されたタブに電気的に接続されたバスバーを備えている。バスバーは、電圧センシング用端子を有している。電圧センシング用端子には、ワイヤが電気的に接続されている。
【0004】
特許文献2には、電池モジュールの一例について記載されている。電池モジュールは、複数の電池セルの前方に位置するバスバーを備えている。バスバーには、電池セルのタブが取り付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表2014-516457号公報
【特許文献2】特開2020-524375号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
複数の電池セルの複数のタブの各々の電圧を複数の電圧検出端子の各々によって検出することがある。各電圧検出端子には、ハーネス等の電圧検出線が電気的に接続されている。各電圧検出線は、各電圧検出端子の側方の領域を経由して引き出されることがある。しかしながら、すべての電圧検出線が各電圧検出端子に対して同じ側の領域を経由して引き出される場合、電圧検出装置が大型化し得る。
【0007】
本発明の目的の一例は、電圧検出装置を小型化することにある。本発明の他の目的は、本明細書の記載から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様は、以下のとおりである。
[1]
複数の電圧検出端子と、
前記複数の電圧検出端子に電気的に接続された複数の電圧検出線と、
を備え、
隣り合う電圧検出端子に電気的に接続された電圧検出線が、当該隣り合う電圧検出端子の間の領域を経由して引き出されている、電圧検出装置。
[2]
所定領域の両側に位置する電圧検出端子に電気的に接続された電圧検出線が、前記電圧検出端子に対して前記所定領域の反対側の領域を経由して引き出されている、[1]に記載の電圧検出装置。
[3]
前記複数の電圧検出端子を保持する保持体をさらに備え、
隣り合う電圧検出端子に電気的に接続された前記電圧検出線が、前記保持体の互いに反対側の領域を経由して引き出されている、[1]又は[2]に記載の電圧検出装置。
[4]
隣り合う電圧検出端子に電気的に接続された前記電圧検出線が、当該電圧検出端子における当該電圧検出線の引き出し方向に互いにずれた部位から引き出されている、[1]~[3]のいずれか一に記載の電圧検出装置。
[5]
保持体と、
前記保持体に保持された複数の電圧検出端子と、
前記複数の電圧検出端子に電気的に接続された複数の電圧検出線と、
を備え、
少なくとも2つの電圧検出線が、前記保持体の互いに反対側の領域を経由して引き出されている、電圧検出装置。
[6]
前記保持体が、前記保持体の互いに反対側の領域の間において前記電圧検出線が前記保持体を通過する空間を画定している、[5]に記載の電圧検出装置。
[7]
複数の電池セルと、
前記複数の電池セルの電圧を検出する[1]~[6]のいずれか一に記載の電圧検出装置と、
を備える電池モジュール。
【発明の効果】
【0009】
本発明の上記態様によれば、電圧検出装置を小型化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施形態1に係る電池モジュールの斜視図である。
【
図2】実施形態1に係る電池モジュールの一部分の前面図である。
【
図3】実施形態2に係る電池モジュールの一部分の前面図である。
【
図4】実施形態3に係る電池モジュールの一部分の前面図である。
【
図5】実施形態4に係る電池モジュールの一部分の前面図である。
【
図6】実施形態5に係る電池モジュールの一部分の前面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0012】
図1は、実施形態1に係る電池モジュール1Aの斜視図である。
図2は、実施形態1に係る電池モジュール1Aの一部分の前面図である。
【0013】
各図には、説明のため、X方向、Y方向及びZ方向を示す矢印が示されている。以下、特に断りがない限り、X方向を示す矢印の先端側を電池モジュール1Aの後側とし、X方向を示す矢印の基端側を電池モジュール1Aの前側とする。Y方向は、X方向に直交している。Y方向は、電池モジュール1Aの左右方向である。以下、特に断りがない限り、Y方向を示す矢印の先端側を電池モジュール1Aの左側とし、Y方向を示す矢印の基端側を電池モジュール1Aの右側とする。Z方向は、X方向及びY方向の双方に直交している。Z方向は、電池モジュール1Aの上下方向である。以下、特に断りがない限り、Z方向を示す矢印の先端側を電池モジュール1Aの上側とし、Z方向を示す矢印の基端側を電池モジュール1Aの下側とする。以下、必要に応じて、X方向に垂直な方向をYZ平面方向といい、Y方向に垂直な方向をZX平面方向といい、Z方向に垂直な方向をXY平面方向という。なお、X方向、Y方向及びZ方向の各々と、電池モジュール1Aの前後方向、左右方向及び上下方向の各々と、の関係は、上述した例に限定されない。
【0014】
図1を参照し、必要に応じて
図2を参照して、電池モジュール1Aの構造について説明する。
【0015】
電池モジュール1Aは、セル積層体10及び電圧検出装置20Aを備えている。セル積層体10は、複数の電池セル100を有している。電圧検出装置20Aは、複数の電池セル100の電圧を検出している。電圧検出装置20Aは、保持体200、複数の電圧検出端子210、複数の電圧検出線220、正極バスバー232及び負極バスバー234を有している。
図1では、説明のため、
図2に図示された複数の電圧検出線220が取り除かれている。
【0016】
複数の電池セル100は、Y方向に積層されている。各電池セル100の長手方向は、X方向に対して略平行となっている。各電池セル100の短手方向は、Z方向に対して略平行となっている。各電池セル100の厚み方向は、Y方向に対して略平行となっている。各電池セル100の形状は、この例に限定されない。
【0017】
各電池セル100は、不図示の電池要素、外装材102、正極タブ104及び負極タブ106を含んでいる。一例において、電池要素は、Y方向に交互に積層された不図示の複数の正極及び複数の負極と、Y方向に隣り合う正極及び負極の間に位置する不図示のセパレータと、を含んでいる。外装材102は、電池要素と、不図示の電解液と、を封止している。正極タブ104は、電池要素の正極に電気的に接続されている。正極タブ104は、外装材102のX方向の両側の辺の一方から引き出されている。負極タブ106は、電池要素の負極に電気的に接続されている。負極タブ106は、外装材102のX方向の両側の辺の他方から引き出されている。ただし、各電池セル100の構造は、この例に限定されない。
【0018】
各電池セル100は、全固体電池であってもよい。全固体電池においては、セパレータに相当する部分に固体電解質層が設けられている。全固体電池は、電解液を含んでいない。以下、特に断りがない限り、各電池セル100は電解液を含む電池セルであるとして説明する。
【0019】
実施形態1において、複数の電池セル100は、直列及び並列の組み合わせによって電気的に接続されている。具体的には、Y方向に隣り合って並列に接続された少なくとも2つの電池セル100を含むセル群が、Y方向に積層され直列に接続されている。セル積層体10の前方には、並列に接続されたセル群の電池セル100から引き出された正極タブ104と、並列に接続された他のセル群の電池セル100から引き出された負極タブ106と、が互いに電気的に接続されて、当該正極タブ104及び当該タブ接続部108を含むタブ接続部108が形成されている。タブ接続部108における正極タブ104及びタブ接続部108は、例えば、レーザ溶接によって互いに接合されている。セル積層体10の後方においても、タブ群が同様に形成されている。よって、セル積層体10のY方向の一端側に位置する上述のセル群からセル積層体10のY方向の他端側に位置する上述のセル群にかけて複数のセル群が直列に接続されている。
【0020】
複数の電池セル100の電気的接続は、上述した例に限定されない。例えば、単一の電池セル100が直列に接続されてセル積層体10が構成されていてもよい。
【0021】
保持体200は、セル積層体10の前方に配置されている。保持体200は、複数の開口202を画定している。複数のタブ接続部108の各々は、複数の開口202の各々を介して前方に向けて露出されている。保持体200は、複数の電圧検出端子210及び複数の電圧検出線220を一体的に保持している。よって、保持体200をセル積層体10に対して適当な位置に設置することで、複数の電圧検出端子210の各々を、複数のタブ接続部108の各々に対して適当な位置に配置することができる。
【0022】
図2に示すように、各電圧検出端子210は、先端部212、基端部214及び接続部216を含んでいる。各先端部212の後面と、各タブ接続部108の各々の下端部の前面と、は例えばレーザ溶接等の接合方法によって互いに接合されている。よって、各電圧検出端子210及び各タブ接続部108は、電気的に互いに接続されている。したがって、各電圧検出端子210は、各タブ接続部108の電圧を検出することができる。各先端部212及び各基端部214は、各接続部216を介して互いに電気的に接続されている。各基端部214は、各先端部212の下方に位置している。各基端部214の少なくとも一部分は、各タブ接続部108より下方に位置している。各基端部214及び保持体200は、機械的に接続されている。よって、各電圧検出端子210は、保持体200に対して固定されている。各基端部214のY方向の端部には、引出部位215が設けられている。引出部位215からは、各電圧検出線220が引き出されている。各引出部位215と、各電圧検出端子210の一端と、は例えば圧着等の接続方法によって互いに接続されている。よって、各電圧検出端子210及び各電圧検出線220は、電気的に互いに接続されている。各電圧検出線220は、引出部位215から上方に向けて引き出されている。すなわち、複数の電圧検出線220は、保持体200を介して配策されている。各電圧検出線220の他端は、保持体200の上部に配置された不図示のコネクタに電気的に接続されている。接続部216は、Z方向において先端部212及び基端部214の間に位置している。接続部216のY方向の幅は、先端部212のY方向の幅及び基端部214のY方向の幅のいずれよりも狭くなっている。実施形態1において、各接続部216のZ方向の長さは、互いに略等しくなっている。
【0023】
各電圧検出線220の配策は、実施形態1に係る配策に限定されない。例えば、各先端部212は、各タブ接続部108の上端部に電気的に接続されていてもよい。この例においては、各基端部214は、各先端部212から上方に向けて引き出されている。各基端部214の少なくとも一部分は、各タブ接続部108の上方に位置している。各引出部位215と、各電圧検出端子210の一端と、は例えば圧着等の接続方法によって互いに接続されている。各電圧検出線220は、引出部位215から下方に向けて引き出されている。各電圧検出線220の他端は、保持体200の下部に配置された不図示のコネクタに電気的に接続されている。
【0024】
正極バスバー232は、保持体200の右端部に配置されている。正極バスバー232は、第1延在部232a及び第2延在部232bを含んでいる。第1延在部232aは、第1延在部232aのY方向の略中央部を除いて、Y方向に対して略平行に延在している。第1延在部232aのY方向の略中央部には、Z方向の段差が設けられている。よって、第1延在部232aの左側部分は、第1延在部232aの右側部分より上方に位置している。第2延在部232bは、第1延在部232aの右端部からZ方向に対して略平行に下方に向けて延在している。第2延在部232bと、セル積層体10の右端部に位置するセル群から引き出された正極タブ104と、は例えばレーザ溶接等の接合方法によって互いに接合されている。
【0025】
正極バスバー232は、他の電池モジュール等の外部装置に電気的に接続するための外部端子として機能している。具体的には、第1延在部232aの左端部は、第1締結孔233を画定している。第1締結孔233には、不図示の締結具が締結可能になっている。当該締結具によって、正極バスバー232と、外部装置に接続するための不図示の接続端子と、を互いに締結することができる。
【0026】
負極バスバー234は、保持体200の左端部に配置されている。負極バスバー234は、第3延在部234a及び第4延在部234bを含んでいる。第3延在部234aは、第3延在部234aのY方向の略中央部を除いて、Y方向に対して略平行に延在している。第3延在部234aのY方向の略中央部には、Z方向の段差が設けられている。よって、第3延在部234aの右側部分は、第3延在部234aの左側部分より上方に位置している。第4延在部234bは、第3延在部234aの左端部からZ方向に対して略平行に下方に向けて延在している。第4延在部234bと、セル積層体10の左端部に位置するセル群から引き出された負極タブ106と、は例えばレーザ溶接等の接合方法によって互いに接合されている。
【0027】
正極バスバー232と同様にして、負極バスバー234は、他の電池モジュール等の外部装置に電気的に接続するための外部端子として機能している。第1延在部232aと同様にして、第3延在部234aの右端部は、第2締結孔235を画定している。
【0028】
セル積層体10の後方にも、正極バスバー232及び負極バスバー234が設けられていない点を除いて、電圧検出装置20Aと同様の電圧検出装置が設けられている。よって、セル積層体10の後方の複数のタブ接続部の電圧を検出することができる。
【0029】
実施形態1では、直列に接続された複数のセル群の終端の正極タブ104が、セル積層体10の右端側に位置するセル群の電池セル100から前方に向けて引き出された正極タブ104であり、直列に接続された複数のセル群の終端の負極タブ106が、セル積層体10の左端側に位置するセル群の電池セル100から前方に向けて引き出された負極タブ106である。よって、正極バスバー232及び負極バスバー234は、双方とも、電池セル100の前方に配置されている。しかしながら、直列に接続された複数のセル群の終端の正極タブ104及び負極タブ106の配置は、セル積層体10に含まれる電池セル100の数に応じて、異なることがある。例えば、直列に接続された複数のセル群の終端の正極タブ104が、セル積層体10の右端側に位置するセル群の電池セル100から後方に向けて引き出された正極タブ104であり、直列に接続された複数のセル群の終端の負極タブ106が、セル積層体10の左端側に位置するセル群の電池セル100から前方に向けて引き出された負極タブ106である場合を検討する。この場合、正極バスバー232は、セル積層体10の後方に配置され、負極バスバー234は、セル積層体10の前方に配置される。
【0030】
図2を参照して、複数の電圧検出線220の配策の詳細について説明する。
図2には、Y方向に隣り合う4つのタブ接続部108と、Y方向に隣り合う4つの電圧検出端子210と、が図示されている。
【0031】
以下、必要に応じて、
図2において、右から1つ目のタブ接続部108、電圧検出端子210及び電圧検出線220、右から2つ目のタブ接続部108、電圧検出端子210及び電圧検出線220、右から3つ目のタブ接続部108、電圧検出端子210及び電圧検出線220並びに右から4つ目のタブ接続部108、電圧検出端子210及び電圧検出線220は、それぞれ、第1タブ接続部108a、第1電圧検出端子210a及び第1電圧検出線220a、第2タブ接続部108b、第2電圧検出端子210b及び第2電圧検出線220b、第3タブ接続部108c、第3電圧検出端子210c及び第3電圧検出線220c並びに第4タブ接続部108d、第4電圧検出端子210d及び第4電圧検出線220dという。
【0032】
実施形態1において、第1電圧検出線220a及び第2電圧検出線220bは、第1電圧検出端子210a及び第2電圧検出端子210bの間の領域を経由して上方に向けて引き出されている。例えば、第1電圧検出線220aが第1電圧検出端子210aに対して第2電圧検出端子210bの反対側の領域を経由して引き出されている場合を検討する。すなわち、第1電圧検出線220aが第1電圧検出端子210aに対して右側の領域を経由して引き出されている場合を検討する。この場合、第1電圧検出端子210aに対して右側には、第1電圧検出端子210aを引き出すための溝等の構造が必要になる。これに対して、実施形態1では、このような構造を設ける必要がない。よって、実施形態1では、第1電圧検出線220aが第1電圧検出端子210aに対して右側の領域を経由して引き出されている場合と比較して、電圧検出装置20Aを小型化することができる。
【0033】
各電圧検出端子210は、保持体200に対して可動に固定されていてもよい。例えば、各電圧検出端子210は、X方向、Y方向及びZ方向のうちの少なくとも一つと略平行な回転軸の周りに一定角度回転可能であってもよい。この場合、各電圧検出端子210を所定の回転軸の周りに所定の角度回転させた状態で不図示の係止部によって係止してもよい。この場合、係止部によって電圧検出端子210の向きを調整することができる。電圧検出端子210の向きを調整することで、引出部位215の位置を調整することができる。よって、引出部位215の位置を調整することで、Y方向に隣り合う電圧検出端子210の間の領域を経由して引き出される電圧検出線220の干渉を抑制することができる。
【0034】
図3は、実施形態2に係る電池モジュール1Bの一部分の前面図である。実施形態2に係る電池モジュール1B及び電圧検出装置20Bは、以下の点を除いて、それぞれ、実施形態1に係る電池モジュール1A及び電圧検出装置20Aと同様である。
【0035】
前方から見て、実施形態2に係る第3電圧検出端子210c´の形状と、実施形態1に係る第3電圧検出端子210cの形状と、は左右反転している。よって、実施形態2において、第3電圧検出線220cは、第3電圧検出端子210c´及び第4電圧検出線220dの間の領域を経由して上方に向けて引き出されている。言い換えると、第3電圧検出線220cは、第3電圧検出端子210c´に対して第2電圧検出端子210bの反対側の領域を経由して上方に向けて引き出されている。実施形態1と同様にして、第2電圧検出線220bは、第1電圧検出端子210a及び第2電圧検出端子210bの間の領域を経由して上方に向けて引き出されている。言い換えると、第2電圧検出線220bは、第2電圧検出端子210bに対して第3電圧検出端子210c´の反対側の領域を経由して上方に向けて引き出されている。よって、第2タブ接続部108b及び第3タブ接続部108cの間には、電圧検出線が引き出されていない領域が存在している。
【0036】
第2タブ接続部108b及び第3タブ接続部108cの間の領域には、電圧検出線を配策する必要がない。よって、第2タブ接続部108b及び第3タブ接続部108cの間の領域のY方向の幅は、他のタブ接続部の間のY方向の幅より狭くすることができる。よって、実施形態2では、Y方向において電圧検出装置20Bを小型化することができる。加えて、第2タブ接続部108b及び第3タブ接続部108cの間の領域には、電圧検出線を引き出すための溝を形成する必要がない。よって、当該溝が形成されている場合と比較して、保持体200の強度を向上させることができる。
【0037】
図4は、実施形態3に係る電池モジュール1Cの一部分の前面図である。実施形態3に係る電池モジュール1C及び電圧検出装置20Cは、以下の点を除いて、それぞれ、実施形態2に係る電池モジュール1B及び電圧検出装置20Bと同様である。
【0038】
実施形態3において、第1電圧検出線220aは、保持体200の下端に画定された第1切欠き204aを経由して保持体200の前方から後方にかけて保持体200を通過している。よって、第1電圧検出線220aは、保持体200の後方において上方に向けて引き出されている。これに対して、第2電圧検出線220bは、保持体200の前方から後方にかけて保持体200を通過することなく、保持体200の前方において第1電圧検出端子210a及び第2電圧検出端子210bの間の領域を経由して上方に向けて引き出されている。よって、第1電圧検出線220a及び第2電圧検出線220bの双方が保持体200の前方又は後方において上方に向けて引き出される場合と比較して、第1電圧検出線220a及び第2電圧検出線220bの干渉を抑制することができる。
【0039】
第1電圧検出線220a及び第2電圧検出線220bの双方が保持体200の前方又は後方において上方に向けて引き出される場合、第1電圧検出端子210a及び第2電圧検出端子210bのY方向の間の距離が狭くなるほど、第1電圧検出線220a及び第2電圧検出線220bが干渉しやすくなる。しかしながら、実施形態3においては、第1電圧検出端子210a及び第2電圧検出端子210bのY方向の間の距離が狭くなっても、第1電圧検出線220a及び第2電圧検出線220bの干渉を抑制することができる。すなわち、実施形態3では、第1電圧検出線220a及び第2電圧検出線220bの双方が保持体200の前方又は後方において上方に向けて引き出される場合と比較して、第1電圧検出端子210a及び第2電圧検出端子210bを含む複数の電圧検出端子210をY方向により狭ピッチで配置することができる。
【0040】
実施形態3において、第3電圧検出線220cは、保持体200の下端に画定された第2切欠き204bを経由して保持体200の前方から後方にかけて保持体200を通過している。よって、第3電圧検出線220cは、保持体200の後方において上方に向けて引き出されている。これに対して、第4電圧検出線220dは、保持体200の前方から後方にかけて保持体200を通過することなく、保持体200の前方において第3電圧検出端子210c´及び第4電圧検出端子210dの間の領域を経由して上方に向けて引き出されている。よって、第3電圧検出線220c及び第4電圧検出線220dの双方が保持体200の前方又は後方において上方に向けて引き出される場合と比較して、第3電圧検出線220c及び第4電圧検出線220dの干渉を抑制することができる。加えて、第3電圧検出線220c及び第4電圧検出線220dの双方が保持体200の前方又は後方において上方に向けて引き出される場合と比較して、第3電圧検出端子210c´及び第4電圧検出端子210dを含む複数の電圧検出端子210をY方向により狭ピッチで配置することができる。
【0041】
保持体200の前方から後方に向けて第1電圧検出線220aが保持体200を通過するための構造は、実施形態3に係る構造に限定されない。例えば、第1電圧検出線220aは、保持体200に設けられた貫通孔を経由して保持体200の前方から後方に向けて保持体200を通過してもよい。すなわち、保持体200は、保持体200の前方から後方に向けて第1電圧検出線220aが保持体200を通過するための空間を画定していればよい。第3電圧検出線220cについても同様である。
【0042】
実施形態3では、Y方向に隣り合う一方の電圧検出端子の間の領域を経由して引き出された2つの電圧検出線が、保持体200のX方向の互いに反対側の領域を経由して上方に向けて引き出されている。しかしながら、各電圧検出線220が各電圧検出端子210の右側及び左側のいずれに引き出されるかによらず、少なくとも2つの電圧検出線220が、保持体200のX方向の互いに反対側の領域を経由して上方に向けて引き出されていてもよい。この例においても、保持体200の前方の領域のみ又は後方の領域のみを用いて複数の電圧検出線220を配策する場合と比較して、複数の電圧検出線220の干渉を抑制することができる。
【0043】
図5は、実施形態4に係る電池モジュール1Dの一部分の前面図である。実施形態4に係る電池モジュール1D及び電圧検出装置20Dは、以下の点を除いて、それぞれ、実施形態2に係る電池モジュール1B及び電圧検出装置20Bと同様である。
【0044】
実施形態4では、第1電圧検出端子210aの引出部位215のZ方向の位置と、第2電圧検出端子210bの引出部位215の位置と、がZ方向に互いにずれている。すなわち、第1電圧検出端子210aの引出部位215のZ方向の位置と、第2電圧検出端子210bの引出部位215のZ方向の位置と、が第1電圧検出線220a及び第2電圧検出線220bの引き出し方向に互いにずれている。具体的には、第2電圧検出端子210bの引出部位215のZ方向の位置は、第1電圧検出端子210aの引出部位215のZ方向の位置より上方に位置している。したがって、第1電圧検出端子210aの引出部位215のZ方向の位置と、第2電圧検出端子210bの引出部位215のZ方向の位置と、がZ方向に揃っている場合と比較して、第1電圧検出端子210a及び第2電圧検出端子210bの間での第1電圧検出線220a及び第2電圧検出線220bの干渉を抑制しやすくすることができる。
【0045】
第1電圧検出端子210aの引出部位215のZ方向の位置と、第2電圧検出端子210bの引出部位215のZ方向の位置と、がZ方向に揃っている場合、第1電圧検出端子210a及び第2電圧検出端子210bのY方向の間の距離が狭くなるほど、第1電圧検出線220a及び第2電圧検出線220bが干渉しやすくなる。しかしながら、実施形態4においては、第1電圧検出端子210a及び第2電圧検出端子210bのY方向の間の距離が狭くなっても、第1電圧検出線220a及び第2電圧検出線220bの干渉を抑制することができる。すなわち、実施形態4では、第1電圧検出端子210aの引出部位215のZ方向の位置と、第2電圧検出端子210bの引出部位215のZ方向の位置と、がZ方向に揃っている場合と比較して、第1電圧検出端子210a及び第2電圧検出端子210bを含む複数の電圧検出端子210をY方向により狭ピッチで配置することができる。
【0046】
実施形態4では、第3電圧検出端子210c´の引出部位215のZ方向の位置と、第4電圧検出端子210dの引出部位215のZ方向の位置と、もZ方向に互いにずれている。したがって、第3電圧検出端子210c´の引出部位215のZ方向の位置と、第4電圧検出端子210dの引出部位215のZ方向の位置と、がZ方向に揃っている場合と比較して、第3電圧検出端子210c´及び第4電圧検出端子210dの間での第3電圧検出線220c及び第4電圧検出線220dの干渉を抑制しやすくすることができる。加えて、第3電圧検出端子210c´の引出部位215のZ方向の位置と、第4電圧検出端子210dの引出部位215のZ方向の位置と、がZ方向に揃っている場合と比較して、第3電圧検出端子210c´及び第4電圧検出端子210dを含む複数の電圧検出端子210をY方向により狭ピッチで配置することができる。
【0047】
実施形態4では、第1電圧検出端子210aの先端部212のZ方向の位置と、第2電圧検出端子210bの先端部212のZ方向の位置と、がZ方向に揃っている。また、X方向から見て、第1電圧検出端子210aの基端部214の形状と、第2電圧検出端子210bの基端部214の形状と、が略対称となっている。一方、第1電圧検出端子210aの接続部216のZ方向の長さと、第2電圧検出端子210bの接続部216のZ方向の長さと、は互いに異なっている。具体的には、第2電圧検出端子210bの接続部216のZ方向の長さが第1電圧検出端子210aの接続部216のZ方向の長さより短くなっている。よって、第1電圧検出端子210aの引出部位215のZ方向の位置と、第2電圧検出端子210bの引出部位215の位置と、がZ方向に互いにずれている。しかしながら、第1電圧検出端子210aの接続部216のZ方向の長さと、第2電圧検出端子210bの接続部216のZ方向の長さと、が互いに略等しい状態で、第1電圧検出端子210aの先端部212のZ方向の位置と、第2電圧検出端子210bの先端部212のZ方向の位置と、をZ方向に互いにずらすことで、第1電圧検出端子210aの引出部位215のZ方向の位置と、第2電圧検出端子210bの引出部位215の位置と、をZ方向に互いにずらしてもよい。第3電圧検出端子210c´の先端部212のZ方向の位置と、第4電圧検出端子210dの先端部212のZ方向の位置と、の関係についても同様である。
【0048】
図6は、実施形態5に係る電池モジュール1Eの一部分の前面図である。実施形態5に係る電池モジュール1E及び電圧検出装置20Eは、以下の点を除いて、それぞれ、実施形態4に係る電池モジュール1D及び電圧検出装置20Dと同様である。
【0049】
実施形態5においても、実施形態4と同様にして、第1電圧検出端子210aの引出部位215のZ方向の位置と、第2電圧検出端子210bの引出部位215の位置と、がZ方向に互いにずれている。しかしながら、実施形態5では、第1電圧検出端子210aの接続部216のZ方向の長さと、第2電圧検出端子210bの接続部216のZ方向の長さと、が互いに略等しくなっている。一方、実施形態5では、X方向から見て、第1電圧検出端子210aの基端部214の形状と、第2電圧検出端子210bの基端部214の形状と、が非対称となっている。具体的には、第2電圧検出端子210bの引出部位215は、第2電圧検出端子210bの基端部214のZ方向の略中央部の右側に位置している。これに対して、第1電圧検出端子210aの引出部位215は、第1電圧検出端子210aの基端部214のZ方向の下端部の左側に位置している。よって、第2電圧検出端子210bの引出部位215のZ方向の位置は、第1電圧検出端子210aの引出部位215のZ方向の位置より上方に位置している。
【0050】
実施形態5においても、実施形態4と同様にして、第1電圧検出端子210aの引出部位215のZ方向の位置と、第2電圧検出端子210bの引出部位215のZ方向の位置と、がZ方向に揃っている場合と比較して、第1電圧検出端子210a及び第2電圧検出端子210bの間での第1電圧検出線220a及び第2電圧検出線220bの干渉を抑制しやすくすることができる。
【0051】
実施形態5に係る第1電圧検出端子210a及び第2電圧検出端子210bについて説明した事項は、実施形態5に係る第3電圧検出端子210c´及び第4電圧検出端子210dについても同様である。
【0052】
以上、図面を参照して本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
【符号の説明】
【0053】
1A,1B,1C,1D,1E 電池モジュール、10 セル積層体、20A,20B,20C,20D,20E 電圧検出装置、100 電池セル、102 外装材、104 正極タブ、106 負極タブ、108 タブ接続部、108a 第1タブ接続部、108b 第2タブ接続部、108c 第3タブ接続部、108d 第4タブ接続部、200 保持体、202 開口、204a 第1切欠き、204b 第2切欠き、210 電圧検出端子、210a 第1電圧検出端子、210b 第2電圧検出端子、210c 第3電圧検出端子、210d 第4電圧検出端子、212 先端部、214 基端部、215 引出部位、216 接続部、220 電圧検出線、220a 第1電圧検出線、220b 第2電圧検出線、220c 第3電圧検出線、220d 第4電圧検出線、232 正極バスバー、232a 第1延在部、232b 第2延在部、233 第1締結孔、234 負極バスバー、234a 第3延在部、234b 第4延在部、235 第2締結孔