(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024124894
(43)【公開日】2024-09-13
(54)【発明の名称】多方向入力装置
(51)【国際特許分類】
H01H 25/04 20060101AFI20240906BHJP
G01L 5/1627 20200101ALI20240906BHJP
【FI】
H01H25/04 F
G01L5/1627
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023032870
(22)【出願日】2023-03-03
(71)【出願人】
【識別番号】000010098
【氏名又は名称】アルプスアルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】柳沼 貞幸
(72)【発明者】
【氏名】細野 邦夫
(72)【発明者】
【氏名】橋田 淳二
【テーマコード(参考)】
2F051
5G031
【Fターム(参考)】
2F051AA21
2F051AB09
2F051BA07
2F051DA03
2F051DB05
5G031AS27Z
5G031BS07K
5G031HU02
5G031KS08
(57)【要約】
【課題】傾動操作部の各方向に加わる荷重を高精度に検出できるようにすること。
【解決手段】多方向入力装置は、起歪体と、起歪体に設けられた歪素子と、傾動可能な操作軸を有する傾動操作部とを備え、起歪体は、当該起歪体の中央に設けられた基部と、基部から4方向に延在する4本の検知腕部と、4本の検知腕部の各々の端部に下方に突出して設けられた支持脚と、隣り合う2本の検知腕部の間の各々に、基部から延在して設けられた固定腕部とを有し、歪素子は、基部と検知腕部との境目の近傍に設けられ、固定腕部の上面は、傾動操作部の下面と当接し、検知腕部は、傾動操作部の下面と当接しない。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
起歪体と、
前記起歪体に設けられた歪素子と、
傾動可能な操作軸を有する傾動操作部と
を備え、
前記起歪体は、
当該起歪体の中央に設けられた基部と、前記基部から4方向に延在する4本の検知腕部と、前記4本の検知腕部の各々の端部に下方に突出して設けられた支持脚と、隣り合う2本の検知腕部の間の各々に、前記基部から延在して設けられた固定腕部とを有し、
前記歪素子は、前記基部と前記検知腕部との境目の近傍に設けられ、
前記固定腕部の上面は、
前記傾動操作部の下面と当接し、
前記検知腕部は、前記傾動操作部の下面と当接しない
ことを特徴とする多方向入力装置。
【請求項2】
前記起歪体は、4回対称の回転対称形状を有し、
隣り合う前記検知腕部と前記固定腕部とがなす角度は45度である
ことを特徴とする請求項1に記載の多方向入力装置。
【請求項3】
前記基部は、円形状を有する
ことを特徴とする請求項2に記載の多方向入力装置。
【請求項4】
前記歪素子は、前記検知腕部が延びる方向と同じ方向を向いて配置されている
ことを特徴とする請求項2または3に記載の多方向入力装置。
【請求項5】
前記歪素子は、フレキシブル基板を介して前記起歪体に設けられ、
前記フレキシブル基板は、
当該フレキシブル基板の中央部に設けられた基部と、
前記基部から4方向に突出した4つの突出部と、
当該フレキシブル基板の中央部に設けられた嵌合孔と、
を有し、
前記歪素子は、前記フレキシブル基板の前記4つの突出部の各々に設けられ、
前記フレキシブル基板の前記嵌合孔は、前記起歪体の前記基部の中心に設けられた第1突起部と嵌合し、
前記フレキシブル基板の前記4つの突出部の各々の先端部は、前記4本の検知腕部の各々に設けられた第1当接部に当接し、
前記フレキシブル基板の前記基部の外縁部は、4本の前記固定腕部の各々に設けられた第2当接部に当接している
ことを特徴とする請求項2または3に記載の多方向入力装置。
【請求項6】
前記検知腕部は、前記基部と繋がる根元部分に、部分的に狭幅となっている狭幅部を有し、
前記歪素子は、前記検知腕部の前記狭幅部と前記起歪体の前記基部との境界に設けられる
ことを特徴とする請求項1に記載の多方向入力装置。
【請求項7】
前記起歪体は、
前記基部の上面の中央に設けられた第1突起部と、
前記基部の下面の中央に設けられた第2突起部を
を有し、
前記第1突起部の上端部は、前記傾動操作部の底面との間に第1の隙間を形成し、
前記第2突起部の下端部は、前記多方向入力装置が設置される設置面との間に第2の隙間を形成する
ことを特徴とする請求項1に記載の多方向入力装置。
【請求項8】
前記歪素子は、フレキシブル基板を介して前記起歪体に設けられ、
前記フレキシブル基板は、
当該フレキシブル基板の中央部に設けられた嵌合孔と、
当該フレキシブル基板の外周縁部に設けられた切り欠き部とを有し、
前記起歪体は、
前記基部の中央に設けられ、前記嵌合孔と嵌合する第1突起部と、
前記基部に設けられ、前記切り欠き部と嵌合する第2突起部とを有する
ことを特徴とする請求項1に記載の多方向入力装置。
【請求項9】
前記検知腕部の幅は、前記基部よりも細く、
前記歪素子は、
前記起歪体の前記基部と前記検知腕部とに跨って設けられている
ことを特徴とする請求項1に記載の多方向入力装置。
【請求項10】
前記検知腕部は、
前記基部よりも薄い
ことを特徴とする請求項9に記載の多方向入力装置。
【請求項11】
前記基部および前記固定腕部は、
厚さが互いに等しく、
前記基部の上面は、
前記固定腕部の上面と同一の高さ位置にあり、且つ、前記傾動操作部の下面と当接し、
前記第1突起部および前記第2突起部は、
前記起歪体の下面に設けられ、
前記フレキシブル基板は、
前記起歪体の下面に固定される
ことを特徴とする請求項8に記載の多方向入力装置。
【請求項12】
前記第1突起部の突起部の下面の高さ位置は、前記支持脚の下面の高さ位置よりも高い位置にある
ことを特徴とする請求項11に記載の多方向入力装置。
【請求項13】
前記起歪体の前記基部の前記検知腕部の近傍の厚みを薄くする窪みが設けられ、
前記窪みの反対側の面に前記歪素子が設けられていることを特徴とする請求項8に記載の多方向入力装置。
【請求項14】
前記固定腕部の上面は、
前記基部の上面および前記検知腕部の上面よりも高い位置にあり、且つ、前記傾動操作部の下面と当接し、
前記フレキシブル基板は、
前記基部の上面および前記検知腕部の上面に固定される
ことを特徴とする請求項13に記載の多方向入力装置。
【請求項15】
前記傾動操作部を上方から押さえ付けて前記起歪体に固定する押さえ板をさらに備え、
前記押さえ板は、
前記傾動操作部の前記操作軸が貫通する第1の貫通孔と、
複数の前記固定腕部の各々に固定される複数の取り付け脚部とを有し、
前記複数の取り付け脚部の各々は、
第2の貫通孔が形成されており、当該第2の貫通孔を貫通する固定片によって、複数の前記固定腕部の各々に固定される
ことを特徴とする請求項1に記載の多方向入力装置。
【請求項16】
前記傾動操作部は、
筐体と、
前記筐体に設けられた第3の貫通孔とを有し、
前記第3の貫通孔を貫通する固定片によって、複数の前記固定腕部の各々に固定される
ことを特徴とする請求項1に記載の多方向入力装置。
【請求項17】
前記傾動操作部の前記筐体は、直方体形状であって、
前記第3の貫通孔は、前記筐体の側壁の中央付近に設けられる
ことを特徴とする請求項16に記載の多方向入力装置。
【請求項18】
前記固定片は、
ねじまたはリベットである
ことを特徴とする請求項16または17に記載の多方向入力装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多方向入力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、突起部と基部との間に、複数の厚膜抵抗体が設けられたアルミナ板を配置し、複数の厚膜抵抗体により、突起部へ複数方向から与えられる応力をそれぞれ異なる電気信号に変換するように構成された、電子機器用多方向スイッチシステムが開示されている。
【0003】
また、下記特許文献2には、操作部材による傾動操作が可能であり、且つ、操作部材の傾動方向および傾動角度を検出可能な多方向入力装置(いわゆる、アナログスティックコントローラ)が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002-157063号公報
【特許文献2】特開2013-65398号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、本発明の発明者らは、上記したアナログスティックコントローラ等の傾動操作部の各方向に加わる荷重を検出できるようにすることで、傾動操作部による操作を多様化できることを見出した。しかしながら、従来、アナログスティックコントローラ等の傾動操作部の各方向に加わる荷重を高精度に検出する技術が考案されていなかった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態の多方向入力装置は、起歪体と、起歪体に設けられた歪素子と、傾動可能な操作軸を有する傾動操作部とを備え、起歪体は、当該起歪体の中央に設けられた基部と、基部から4方向に延在する4本の検知腕部と、4本の検知腕部の各々の端部に下方に突出して設けられた支持脚と、隣り合う2本の検知腕部の間の各々に、基部から延在して設けられた固定腕部とを有し、歪素子は、基部と検知腕部との境目の近傍に設けられ、固定腕部の上面は、傾動操作部の下面と当接し、検知腕部は、傾動操作部の下面と当接しない。
【発明の効果】
【0007】
一実施形態によれば、傾動操作部の各方向に加わる荷重を高精度に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1実施形態に係る多方向入力装置の上面側を示す外観斜視図
【
図2】第1実施形態に係る多方向入力装置の下面側を示す外観斜視図
【
図4】第1実施形態に係る多方向入力装置の分解斜視図
【
図6】第1実施形態に係る起歪体の上面側を示す外観斜視図
【
図7】第1実施形態に係る起歪体の下面側(荷重検出器が配置されていない状態)を示す外観斜視図
【
図8】第1実施形態に係る起歪体の下面側(荷重検出器が配置されている状態)を示す外観斜視図
【
図9】第2実施形態に係る多方向入力装置の上面側を示す外観斜視図
【
図10】第2実施形態に係る多方向入力装置の下面側を示す外観斜視図
【
図11】第2実施形態に係る多方向入力装置の側面図
【
図12】第2実施形態に係る多方向入力装置の分解斜視図
【
図13】第2実施形態に係る起歪体の上面側(荷重検出器が配置されていない状態)を示す外観斜視図
【
図14】第2実施形態に係る起歪体の上面側(荷重検出器が配置されている状態)を示す外観斜視図
【
図15】第3実施形態に係る多方向入力装置の上面側を示す外観斜視図
【
図16】第3実施形態に係る多方向入力装置の下面側を示す外観斜視図
【
図17】第3実施形態に係る多方向入力装置の分解斜視図
【
図18】第3実施形態に係る起歪体の上面側(荷重検出器が配置されていない状態)を示す外観斜視図
【
図19】第3実施形態に係る起歪体の上面側(荷重検出器が配置されている状態)を示す外観斜視図
【
図20】第3実施形態に係る起歪体の上面側(荷重検出器が配置されていない状態)を示す平面図
【
図21】第3実施形態に係る起歪体の上面側(荷重検出器が配置されている状態)を示す平面図
【
図22】第3実施形態に係る起歪体に加わる応力を説明するための図
【
図23】複数の多方向入力装置における荷重検出器の出力特性の比較例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、一実施形態について説明する。なお、以降の説明では、便宜上、図中Z軸方向を、上下方向とし、図中X軸方向および図中Y軸方向を水平方向とする。
【0010】
〔第1実施形態〕
(多方向入力装置10の構成)
図1は、第1実施形態に係る多方向入力装置10の上面側を示す外観斜視図である。
図2は、第1実施形態に係る多方向入力装置10の下面側を示す外観斜視図である。
図3は、第1実施形態に係る多方向入力装置10の側面図である。
図4は、第1実施形態に係る多方向入力装置10の分解斜視図である。
図5は、第1実施形態に係る多方向入力装置10の断面図である。
【0011】
図1~
図5に示す多方向入力装置10は、産業車両やロボット操作等に用いられる、多方向への入力操作が可能な入力装置である。
図1~
図5に示すように、多方向入力装置10は、「傾動操作部」の一例として、アナログスティックコントローラ100を備える。
【0012】
アナログスティックコントローラ100は、筐体101、操作スティック102、およびFPC103を備える。筐体101は、上下方向(Z軸方向)において薄型の、直方体形状を有する。操作スティック102は、筐体101の上面から上方に突出して設けられている。操作スティック102は、「操作軸」の一例であり、筐体101に対して傾倒可能に設けられており、ユーザによる傾倒操作がなされる部分である。FPC103は、筐体101の内部から筐体101の外部へ引き出された、可撓性を有するフィルム状の配線部材である。アナログスティックコントローラ100は、操作スティック102の傾倒操作がなされると、操作スティック102の傾倒方向および傾倒角度に応じた操作信号(アナログ信号)を、FPC103を介して外部へ出力する。アナログスティックコントローラ100は、操作スティック102によるX軸方向(
図1におけるD1方向およびD2方向)およびY軸方向(
図1におけるD3方向およびD4方向)の傾倒操作が可能である。また、アナログスティックコントローラ100は、操作スティック102によるX軸方向とY軸方向とを組み合わせた傾倒操作が可能である。
【0013】
また、
図1~
図5に示すように、多方向入力装置10は、アナログスティックコントローラ100の下面に重ねて設けられた平板状の起歪体120と、起歪体120の下面に貼り合わされた荷重検出器130とを備える。多方向入力装置10は、いわゆるアイソメトリック型ポインティングスティックとしても動作する。荷重検出器130は、アナログスティックコントローラ100に荷重が加わることによって起歪体120の各方向(X軸方向およびY軸方向)において生じた歪みを検出し、検出された歪みを表す歪み検出信号(アナログ信号)を、荷重が加えられた方向および荷重の大きさ表す検出信号として、外部へ出力することができる。ここで、多方向入力装置10は、荷重検出器130によって検出可能な最大荷重を、アナログスティックコントローラ100を最大角度に傾倒させる為に必要な荷重よりも大きくなるように設計されている。これにより、多方向入力装置10は、アナログスティックコントローラ100を最大角度に傾倒している状態でも、荷重検出器130により、操作スティック102に加えられた力の大きさと方向を示す信号を出力することができる。このため、多方向入力装置10全体では、アナログスティックコントローラ100の操作範囲を超える操作が可能になる。すなわち、多方向入力装置10は、ダイナミックレンジを広げることができる。
【0014】
また、
図1~
図5に示すように、多方向入力装置10は、押さえ板140を備える。押さえ板140は、アナログスティックコントローラ100を上方から押さえ付けて起歪体120に固定する。例えば、押さえ板140は、金属板が加工(折り曲げ加工、パンチング加工等)されることによって形成される。押さえ板140は、押さえ部141と、第1の貫通孔142と、複数の取り付け脚部143とを有する。押さえ部141は、アナログスティックコントローラ100を上方から押さえ付ける水平な平板状の部分である。第1の貫通孔142は、押さえ部141の中央部に設けられており、アナログスティックコントローラ100の操作スティック102が貫通する。複数の取り付け脚部143は、押さえ部141よりも低い高さ位置で、押さえ部141よりもY軸方向に外側に張り出して設けられている、水平な平板状の部分である。複数の取り付け脚部143の各々には、第2の貫通孔143Aが形成されている。複数の取り付け脚部143の各々は、固定腕部124と第2の貫通孔143Aとを貫通する固定片144によって、起歪体120の複数の固定腕部124の各々に固定される。押さえ部141は、このように構成されていることにより、起歪体120に対して、アナログスティックコントローラ100を強固に固定することができる。
【0015】
(起歪体120の構成)
ここで、
図1~
図5を参照しつつ、起歪体120の構成について説明する。
図1~
図5に示すように、起歪体120は、基部121および4本の検知腕部122(検知腕部122X1,122X2,122Y1,122Y2)を有する。
【0016】
基部121は、起歪体120の中央(操作スティック102の中心軸と同軸上)に設けられている、平面視において正方形状の部分である。
【0017】
4本の検知腕部122の各々は、基部121から水平方向且つ4方向に突出して設けられている腕状の部分である。
【0018】
具体的には、検知腕部122X1は、基部121の外周縁部(X軸正側の辺)から、X軸正方向に一定の幅を有して直線状に延在する部分である。
【0019】
また、検知腕部122X2は、基部121の外周縁部(X軸負側の辺)から、X軸負方向に一定の幅を有して直線状に延在する部分である。
【0020】
また、検知腕部122Y1は、基部121の外周縁部(Y軸正側の辺)から、Y軸正方向に一定の幅を有して直線状に延在する部分である。
【0021】
また、検知腕部122Y2は、基部121の外周縁部(Y軸負側の辺)から、Y軸負方向に一定の幅を有して直線状に延在する部分である。
【0022】
(荷重検出器130の構成)
次に、
図1~
図5を参照しつつ、荷重検出器130の構成について説明する。
図1~
図5に示すように、荷重検出器130は、FPC131および4つの歪素子132(歪素子132X1,132X2,132Y1,132Y2)を備える。なお、歪素子132は、FPC131に印刷された抵抗体である。このため、歪素子132は、FPC131とともに変形することで、抵抗値が変化する。
【0023】
FPC131は、「フレキシブル基板」の一例であり、可撓性を有するフィルム状の配線部材である。FPC131は、基部131A、引き出し部131B、および接続部131Cを有して構成されている。基部131Aは、起歪体120の下面の中央部(操作スティック102の中心軸と同軸上)に配置される、平面視において円形状の部分である。引き出し部131Bは、基部131Aから水平方向に多方向入力装置10の外部へ延在する部分である。接続部131Cは、引き出し部131Bの先端に設けられており、外部(コネクタ等)と接続される部分である。FPC131は、4つの歪素子132の各々から出力された歪み検出値を、接続部131Cから外部へ出力する。
【0024】
また、FPC131は、基部131Aから水平方向且つ4方向に突出して設けられた4つの突出部131X1,131X2,131Y1,131Y2を有する。
【0025】
突出部131X1は、基部131Aの外周縁部から、X軸正方向に一定の幅を有して直線状に延在し、起歪体120の検知腕部122X1に重なる部分である。
【0026】
突出部131X2は、基部131Aの外周縁部から、X軸負方向に一定の幅を有して直線状に延在し、起歪体120の検知腕部122X2に重なる部分である。
【0027】
突出部131Y1は、基部131Aの外周縁部から、Y軸正方向に一定の幅を有して直線状に延在し、起歪体120の検知腕部122Y1に重なる部分である。
【0028】
突出部131Y2は、基部131Aの外周縁部から、Y軸正方向に一定の幅を有して直線状に延在し、起歪体120の検知腕部122Y2に重なる部分である。
【0029】
4つの歪素子132の各々は、FPC131の4つの突出部131X1,131X2,131Y1,131Y2の各々に配置される。すなわち、4つの歪素子132の各々は、FPC131において、操作スティック102の中心軸に対して4つの方向の各々に配置される。4つの歪素子132の各々は、アナログスティックコントローラ100に加わった荷重が起歪体120に伝わることによる、起歪体120に生じた歪みを検出する。
【0030】
具体的には、歪素子132X1は、FPC131の突出部131X1に配置される。すなわち、歪素子132X1は、起歪体120の検知腕部122X1に配置される。歪素子132X1は、起歪体120の検知腕部122X1に生じた歪みを検出し、当該検知腕部122X1の歪みを表す歪み検出値を出力する。
【0031】
また、歪素子132X2は、FPC131の突出部131X2に配置される。すなわち、歪素子132X2は、起歪体120の検知腕部122X2に配置される。歪素子132X2は、起歪体120の検知腕部122X2に生じた歪みを検出し、当該検知腕部122X2の歪みを表す歪み検出値を出力する。
【0032】
また、歪素子132Y1は、FPC131の突出部131Y1に配置される。すなわち、歪素子132Y1は、起歪体120の検知腕部122Y1に配置される。歪素子132Y1は、起歪体120の検知腕部122Y1に生じた歪みを検出し、当該検知腕部122Y1の歪みを表す歪み検出値を出力する。
【0033】
また、歪素子132Y2は、FPC131の突出部131Y2に配置される。すなわち、歪素子132Y2は、起歪体120の検知腕部122Y2に配置される。歪素子132Y2は、起歪体120の検知腕部122Y2に生じた歪みを検出し、当該検知腕部122Y2の歪みを表す歪み検出値を出力する。
【0034】
(起歪体120のより詳細な構成)
次に、
図6~
図8を参照しつつ、起歪体120のより詳細な構成について説明する。
図6は、第1実施形態に係る起歪体120の上面側を示す外観斜視図である。
図7は、第1実施形態に係る起歪体120の下面側(荷重検出器130が配置されていない状態)を示す外観斜視図である。
図8は、第1実施形態に係る起歪体120の下面側(荷重検出器130が配置されている状態)を示す外観斜視図である。
【0035】
図6~
図8に示すように、起歪体120の4本の検知腕部122(検知腕部X1,122X2,122Y1,122Y2)の各々は、起歪体120の基部121の外周縁部(4辺の各々)から4方向に延在して設けられており、基部121の4辺の各々よりも細幅である。
【0036】
また、
図6~
図8に示すように、起歪体120の4本の検知腕部122(検知腕部X1,122X2,122Y1,122Y2)の各々は、その先端部に、下方に突出して設けられた支持脚123を有する。支持脚123は、平面視において円形状を有する。また、支持脚123の中央には、当該支持脚123を上下方向に貫通する貫通孔123Aが形成されている。4本の検知腕部122の間には、固定腕部124が設けられる。固定腕部の上面は、アナログスティックコントローラ100の筐体101の下面と当接している。これにより固定腕部124は、アナログスティックコントローラ100の筐体101と同一に動く。
【0037】
起歪体120は、4つの支持脚123の各々の下面が、任意の設置面に着地した状態で、4つの支持脚123の各々が、任意の設置面に対して、貫通孔123Aを貫通するネジ等の固定部材によって固定される。起歪体120は、4つの支持脚123の各々が任意の設置面に固定されることにより、基部121および4本の検知腕部122の各々が、任意の設置面から僅かに離間した状態となる。検知腕部122と、固定腕部124が、互いに挟み込むように交互に設けられるので、アナログスティックコントローラ100の筐体101と、設置面とが成す角度を精度よく測定できる。また、起歪体120は、荷重が加えられた際に、4本の検知腕部122の各々に荷重が集中し、4本の検知腕部122の各々に歪みが生じ易くなっている。
【0038】
また、
図8に示すように、4つの歪素子132の各々は、FPC131の4つの突出部131X1,131X2,131Y1,131Y2の各々に設けられる。すなわち、起歪体120において、4つの歪素子132の各々は、変形し易い4本の検知腕部122の各々に設けられる。これにより、第1実施形態に係る多方向入力装置10は、4つの歪素子132の各々により、起歪体120の各方向に加わる荷重をより高感度に検出することができる。
【0039】
特に、
図8に示すように、4つの歪素子132の各々は、起歪体120の検知腕部122と、起歪体120の基部121とに跨って(すなわち、検知腕部122と基部121との境界線上に)設けられる。起歪体120は、検知腕部122と基部121との境界線上において、最も変形し易くなっている。これにより、第1実施形態に係る多方向入力装置10は、4つの歪素子132の各々により、起歪体120の各方向に加わる荷重をより高感度に検出することができる。
【0040】
また、
図6~
図8に示すように、4本の検知腕部122の各々は、基部121よりも、細幅であり、且つ、上下方向の厚さが薄くなっていることにより、変形し易くなっている。これにより、第1実施形態に係る多方向入力装置10は、4本の検知腕部122の各々に設けられた4つの歪素子132の各々により、起歪体120の各方向に加わる荷重をより高感度に検出することができる。
【0041】
特に、本実施形態では、起歪体120の基部121は、平面視において正方形状を有する。そして、4本の検知腕部122が、互いに同形状(一定の幅を有する直線形状)を有する。これにより、第1実施形態に係る多方向入力装置10は、起歪体120に対して4方向のいずれの方向に荷重が加えられた場合であっても、その方向に対応する検知腕部122を同様に変形させることができる。これにより、第1実施形態に係る多方向入力装置10は、4本の検知腕部122の各々に設けられた4つの歪素子132の各々の検出感度を等しくすることができる。
【0042】
また、
図7に示すように、起歪体120の基部121の下面の中央には、下方に向かって突出した円柱状の第1突起部125が設けられている。
図8に示すように、起歪体120の第1突起部125は、FPC131の基部131Aの中央に形成されている円形状の嵌合孔131Dと嵌合する。
【0043】
また、
図7に示すように、起歪体120の基部121の下面には、下方に向かって突出した円柱状の第2突起部126が設けられている。
図8に示すように、起歪体120の第2突起部126は、FPC131の基部131Aの外周縁部に形成されている円形状の切り欠き部131Eと嵌合する。
【0044】
これにより、第1実施形態に係る多方向入力装置10は、起歪体120の基部121の下面に対して、FPC131の基部131Aを正確に位置決めすることができ、よって、FPC131に設けられている複数の歪素子132の各々を、正確な位置に配置することができる。
【0045】
また、
図6~
図8に示すように、起歪体120は、隣り合う2本の検知腕部122の間の各々に、基部121から外側に延在して設けられた固定腕部124を有する。すなわち、起歪体120は、4本の固定腕部124を有する。4本の固定腕部124の各々は、その先端部が、平面視において、押さえ板140の押さえ部141よりも、Y軸方向における外側に張り出して設けられている(
図1~
図3,
図5参照)。4本の固定腕部124の各々は、水平な平板状である。各固定腕部124の先端部には、第4の貫通孔124Aが形成されている。各固定腕部124は、当該固定腕部124の先端部の上面に、押さえ板140の取り付け脚部143が重なった状態で、当該固定腕部124の先端部の第4の貫通孔124Aと、取り付け脚部143の第2の貫通孔143Aとを貫通する固定片144によって、取り付け脚部143が固定される(
図1~
図3,
図5参照)。これにより、第1実施形態に係る多方向入力装置10は、アナログスティックコントローラ100よりもY軸方向における外側、且つ、アナログスティックコントローラ100の四つ角部近傍で、押さえ板140(取り付け脚部143)により、アナログスティックコントローラ100を起歪体120(固定腕部124)に固定することができる。
【0046】
なお、本実施形態では、起歪体120は、熱可塑性樹脂製であり、固定片144は、起歪体120の固定腕部124に一体的に形成されている。そして、本実施形態では、固定片144の先端部分が、加熱されることによって、かしめられることにより、押さえ板140の取り付け脚部143が、固定腕部124に固定される。これにより、第1実施形態に係る多方向入力装置10は、固定腕部124に対して、取り付け脚部143を強固に固定することができる。但し、これに限らず、固定片144は、固定腕部124とは別体のねじまたはリベットであってもよい。また、起歪体120は、金属製であってもよい。なお、
図3では、固定片144の先端部分がかしめられた状態を示しており、その他の図面においては、固定片144の先端部分がかしめられていない状態を示している。
【0047】
起歪体120において、各固定腕部124は、基部121と上下方向の厚さが等しい。また、各固定腕部124の上面は、基部121の上面と同一の高さ位置にある。これにより、起歪体120において、各固定腕部124の上面と、基部121の上面とが、アナログスティックコントローラ100の下面に当接する。
【0048】
一方、起歪体120において、各検知腕部122は、各固定腕部124および基部121よりも上下方向の厚さが薄い。また、各検知腕部122の上面は、各固定腕部124の上面および基部121の上面よりも低い高さ位置にある。これにより、起歪体120において、各検知腕部122の上面は、アナログスティックコントローラ100の下面に当接せず、すなわち、アナログスティックコントローラ100の下面との間に隙間を有する。このため、各検知腕部122は、上方にも変形し易くなっている。これにより、第1実施形態に係る多方向入力装置10は、4本の検知腕部122の各々に設けられた4つの歪素子132の各々により、起歪体120に加わる荷重をより高感度に検出することができる。
【0049】
また、起歪体120の基部121の下面に設けられている第1突起部125の下面の高さ位置は、4つの支持脚123の各々の下面の高さ位置よりも高い位置にある。このため、4つの支持脚123の各々が任意の設置面に固定されたとき、第1突起部125の下面と任意の設置面との間に、僅かな隙間が形成される。これにより、第1実施形態に係る多方向入力装置10は、アナログスティックコントローラ100に対して下方への押し下げ操作がなされた際に、4本の検知腕部122の各々を変形させつつ基部121が下方に移動することで、4本の検知腕部122の各々に設けられた4つの歪素子132の各々により、この押し下げ操作を高感度に検出することができる。この際、第1実施形態に係る多方向入力装置10は、第1突起部125の下面が任意の設置面に当接することで、基部121の下方への移動量を制限して、すなわち、4本の検知腕部122の各々の変形量を制限することができる。これにより、第1実施形態に係る多方向入力装置10は、上記押し下げ操作によって、起歪体120に対して検出可能荷重を超える大きな力が加わった場合であっても、4本の検知腕部122の各々に設けられた4つの歪素子132の各々の破損を防止することができる。
【0050】
なお、各支持脚123の高さ、または、各支持脚123の下面と第1突起部125の下面との高低差は、例えば、0.2mm程度であり、極めて小さい。このように、各支持脚123の高さ、または、各支持脚123の下面と第1突起部125の下面との高低差は、視認され難い極めて小さいものであっても有用である。
【0051】
〔第2実施形態〕
(多方向入力装置20の構成)
図9は、第2実施形態に係る多方向入力装置20の上面側を示す外観斜視図である。
図10は、第2実施形態に係る多方向入力装置20の下面側を示す外観斜視図である。
図11は、第2実施形態に係る多方向入力装置20の側面図である。
図12は、第2実施形態に係る多方向入力装置20の分解斜視図である。
【0052】
図9~
図12に示す多方向入力装置20は、産業車両やロボット操作等に用いられる、多方向への入力操作が可能な入力装置である。
図9~
図12に示すように、多方向入力装置20は、「傾動操作部」の一例として、アナログスティックコントローラ200を備える。
【0053】
アナログスティックコントローラ200は、筐体201、操作スティック202、およびFPC204を備える。筐体201は、上下方向(Z軸方向)において薄型の、直方体形状を有する。操作スティック202は、筐体201の上面から上方に突出して設けられている。操作スティック202は、「操作軸」の一例であり、筐体201に対して傾倒可能に設けられており、ユーザによる傾倒操作がなされる部分である。アナログスティックコントローラ200は、操作スティック202の傾倒操作がなされると、操作スティック202の傾倒方向および傾倒角度に応じた操作信号(アナログ信号)を、FPC204を介して外部へ出力する。アナログスティックコントローラ200は、操作スティック202によるX軸方向(
図9におけるD1方向およびD2方向)およびY軸方向(
図9におけるD3方向およびD4方向)の傾倒操作が可能である。また、アナログスティックコントローラ200は、操作スティック202によるX軸方向とY軸方向とを組み合わせた傾倒操作が可能である。アナログスティックコントローラ200には、筐体201の各辺の側面の中央付近から固定部203が水平方向に突出して設けられている。固定部203には、当該固定部203を上下方向に貫通する第3の貫通孔203Aが形成されている。
【0054】
また、
図9~
図12に示すように、多方向入力装置20は、アナログスティックコントローラ200の下面に重ねて設けられた平板状の起歪体220と、起歪体220の上面に貼り合わされた荷重検出器230とを備える。荷重検出器230は、いわゆるアイソメトリック型ポインティングスティックであり、アナログスティックコントローラ200に荷重が加わることによって起歪体220の各方向(X軸方向およびY軸方向)において生じた歪みを検出し、検出された歪みを表す歪み検出信号(アナログ信号)を、荷重が加えられた方向および荷重の大きさ表す検出信号として、外部へ出力することができる。
【0055】
(起歪体220の構成)
ここで、
図9~
図12を参照しつつ、起歪体220の構成について説明する。
図9~
図12に示すように、起歪体220は、基部221、4本の検知腕部222(検知腕部222X1,222X2,222Y1,222Y2)、および4本の固定腕部224を有する。平面視において、起歪体220は、アナログスティックコントローラ200の筐体と同様の矩形に近い形状である。矩形状の起歪体220において、各辺の中央は、固定腕部224を間に挟んで、2か所の窪み226を有する。これにより、矩形状の起歪体220において、各辺の中央には、固定腕部224が形成されている。
【0056】
また、矩形状の起歪体220において、各角部には、当該角部をなす一の辺の窪み226と他の辺の窪み226との間に、検知腕部222が形成されている。検知腕部222の先端部には、支持脚223が設けられている。支持脚223は、筐体201の四隅から突き出ている。
【0057】
固定腕部224の先端部には、固定部224A(
図12参照)が設けられている。固定部224Aは、筐体の固定部203に沿って、突き出ている。
図10に示すように、基部221の裏面における各検知腕部222の近傍には、凹んだ形状の凹部227X1、227X2、227Y1、227Y2が設けられており、部分的に薄くなっている。
【0058】
基部221は、起歪体220の中央(操作スティック202の中心軸と同軸上)部分である。
【0059】
4本の検知腕部222の各々は、基部221から水平方向且つ4方向に突出して設けられている腕状の部分である。検知腕部222の支持脚223は、アナログスティックコントローラ200の筐体201の外側に設けられる。検知腕部222の支持脚223以外の部分は、アナログスティックコントローラ200の筐体201の四隅に接して設けられている。小型化の為、支持脚223は、筐体201の対向する2辺に沿って設けられている。
【0060】
検知腕部222X1は、基部221のX軸正側の角部に設けられており、X軸正方向に延在する部分である。
【0061】
また、検知腕部222X2は、基部221のX軸負側の角部に設けられており、X軸負方向に延在する部分である。
【0062】
また、検知腕部222Y1は、基部221のY軸正側の角部に設けられており、Y軸正方向に延在する部分である。
【0063】
また、検知腕部222Y2は、基部221のY軸負側の角部に設けられており、Y軸負方向に延在する部分である。
【0064】
(荷重検出器230の構成)
次に、
図12を参照しつつ、荷重検出器230の構成について説明する。
図12に示すように、荷重検出器230は、FPC231および4つの歪素子232(歪素子232X1,232X2,232Y1,232Y2)を備える。
【0065】
FPC231は、「フレキシブル基板」の一例であり、可撓性を有するフィルム状の配線部材である。FPC231は、基部231A、引き出し部231B、および接続部231Cを有して構成されている。基部231Aは、起歪体220の上面の中央部(操作スティック202の中心軸と同軸上)に配置される、平面視において概ね円形状の部分である。引き出し部231Bは、基部231Aから水平方向に多方向入力装置20の外部へ延在する部分である。接続部231Cは、引き出し部231Bの先端に設けられており、外部(コネクタ等)と接続される部分である。FPC231は、4つの歪素子232の各々から出力された歪み検出値を、接続部231Cから外部へ出力する。
【0066】
また、FPC231は、基部231Aから水平方向且つ4方向に突出して設けられた4つの突出部231X1,231X2,231Y1,231Y2を有する。
【0067】
突出部231X1は、基部231Aの外周縁部から、X軸正方向に一定の幅を有して直線状に延在し、起歪体220の検知腕部222X1に重なる部分である。
【0068】
突出部231X2は、基部231Aの外周縁部から、X軸負方向に一定の幅を有して直線状に延在し、起歪体220の検知腕部222X2に重なる部分である。
【0069】
突出部231Y1は、基部231Aの外周縁部から、Y軸正方向に一定の幅を有して直線状に延在し、起歪体220の検知腕部222Y1に重なる部分である。
【0070】
突出部231Y2は、基部231Aの外周縁部から、Y軸正方向に一定の幅を有して直線状に延在し、起歪体220の検知腕部222Y2に重なる部分である。
【0071】
4つの歪素子232の各々は、FPC231の4つの突出部231X1,231X2,231Y1,231Y2の各々に配置される。すなわち、4つの歪素子232の各々は、FPC231において、操作スティック202の中心軸に対して4つの方向の各々に配置される。4つの歪素子232の各々は、アナログスティックコントローラ200に加わった荷重が起歪体220に伝わることによる、起歪体220に生じた歪みを検出する。起歪体220の基部221の上面は平らである。一方、起歪体220の基部221の下面には、各検知腕部222の近傍に、凹部227X1,227X2,227Y1,227Y2が設けられている。歪素子232X1,232X2,232Y1,232Y2の各々は、起歪体の上面において、凹部227X1,227X2,227Y1,227Y2の各々と一致する位置に配置される。
【0072】
具体的には、歪素子232X1は、FPC231の突出部231X1に配置される。歪素子232X1は、起歪体220の凹部227X1と一致する位置に配置される。歪素子232X1は、起歪体220の凹部227X1に生じた歪みを検出する。歪素子232X1は、凹部227X1に接する検知腕部222X1と基部221の向きの違いによる歪み検出値を出力する。
【0073】
また、歪素子232X2は、FPC231の突出部231X2に配置される。歪素子232X2は、起歪体220の凹部227X2と一致する位置に配置される。歪素子232X2は、起歪体220の凹部227X2に生じた歪みを検出する。歪素子232X2は、凹部227X2に接する検知腕部222X2と基部221の向きの違いによる歪み検出値を出力する。
【0074】
また、歪素子232Y1は、FPC231の突出部231Y1に配置される。歪素子232Y1は、起歪体220の凹部227Y1と一致する位置に配置される。歪素子232Y1は、起歪体220の凹部227Y1に生じた歪みを検出する。歪素子232Y1は、凹部227Y1に接する検知腕部222Y1と基部221の向きの違いによる歪み検出値を出力する。
【0075】
また、歪素子232Y2は、FPC231の突出部231Y2に配置される。歪素子232Y2は、起歪体220の凹部227Y2と一致する位置に配置される。歪素子232Y2は、起歪体220の凹部227Y2に生じた歪みを検出する。歪素子232Y2は、凹部227Y2に接する検知腕部222Y2と基部221の向きの違いによる歪み検出値を出力する。
【0076】
(起歪体220のより詳細な構成)
次に、
図13および
図14を参照しつつ、起歪体220のより詳細な構成について説明する。
図13は、第2実施形態に係る起歪体220の上面側(荷重検出器230が配置されていない状態)を示す外観斜視図である。
図14は、第2実施形態に係る起歪体220の上面側(荷重検出器230が配置されている状態)を示す外観斜視図である。
【0077】
図13および
図14に示すように、起歪体220の4本の検知腕部222(検知腕部222X1,222X2,222Y1,222Y2)の各々は、起歪体220の基部221の外周縁部から4方向に延在して設けられている。
【0078】
また、
図13および
図14に示すように、起歪体220の4本の検知腕部222(検知腕部222X1,222X2,222Y1,222Y2)の各々は、その先端部に、僅かに肉厚となっている支持脚223を有する。支持脚223は、アナログスティックコントローラ200の筐体201の対向する2辺から突出する位置に設けられる。支持脚223は、平面視において半円形状を有する。また、支持脚223の中央には、当該支持脚223を上下方向に貫通する貫通孔223Aが形成されている。
【0079】
起歪体220は、4つの支持脚223の各々の下面が、任意の設置面に着地した状態で、4つの支持脚223の各々が、任意の設置面に対して、貫通孔223Aを貫通するネジ等の固定部材によって固定される。起歪体220は、4つの支持脚223の各々が任意の設置面に固定されることにより、基部221および4本の検知腕部222の各々が、任意の設置面から僅かに離間した状態となる。これにより、起歪体220は、荷重が加えられた際に、4本の検知腕部222に近接する凹部227X1,227X2,227Y1,227Y2に荷重が集中し、4箇所の凹部227X1,227X2,227Y1,227Y2の各々に歪みが生じ易くなっている。
【0080】
また、
図14に示すように、4つの歪素子232の各々は、FPC231の4つの突出部231X1,231X2,231Y1,231Y2の各々に設けられる。すなわち、起歪体220において、4つの歪素子232の各々は、変形し易い4箇所の凹部227X1,227X2,227Y1,227Y2の各々と一致する位置に設けられる。これにより、第2実施形態に係る多方向入力装置20は、4つの歪素子232の各々により、起歪体220の各方向に加わる荷重をより高感度に検出することができる。
【0081】
図9に示すように、筐体201の側壁の中央に固定部203を設けている。筐体201の側壁の中央は、操作スティック202に近いため、操作スティック202に加わった力を高精度に、起歪体220に伝えることができる。
【0082】
また、
図13および
図14に示すように、4本の検知腕部222の上面は、基部221の上面と同一面になっているが、基部221の裏面には凹部227X1,227X2,227Y1,227Y2が設けられており、当該凹部227X1,227X2,227Y1,227Y2において変形し易くなっている。4つの歪素子232の各々は、基部221の上面において、凹部227X1,227X2,227Y1,227Y2の各々と一致する位置に設けられる。これにより、第2実施形態に係る多方向入力装置20は、4本の検知腕部222の各々に設けられた4つの歪素子232の各々により、起歪体220の各方向に加わる荷重をより高感度に検出することができる。
【0083】
起歪体220の基部221の中心から、各凹部227X1,227X2,227Y1,227Y2までの距離は等しくなっている。また、基部221の中心から、各固定部203までの距離は等しくなっている。これにより、第2実施形態に係る多方向入力装置20は、起歪体220に対して4方向のいずれの方向に荷重が加えられた場合であっても、その方向に対応する検知腕部222の変形量が概ね等しい。これにより、第2実施形態に係る多方向入力装置20は、4本の検知腕部222の各々に設けられた4つの歪素子232の各々の検出精度を等しくすることができる。尚、小型化の為に、支持脚223を筐体201の対向する2辺に沿って設ける。対称性に欠ける為、各歪素子232の感度が完全には一致しないが、補正することで、高精度の出力が得られる。
【0084】
また、
図13および
図14に示すように、起歪体220の基部221の上面の中央には、上方に向かって突出した円柱状の第1突起部225が設けられている。
図14に示すように、起歪体220の第1突起部225は、FPC231の基部231Aの中央に形成されている円形状の嵌合孔231Dと嵌合する。
【0085】
これにより、第2実施形態に係る多方向入力装置20は、起歪体220の基部221の上面に対して、FPC231の基部231Aを正確に位置決めすることができ、よって、FPC231に設けられている複数の歪素子232の各々を、正確な位置に配置することができる。
【0086】
なお、第1突起部225の上面は、アナログスティックコントローラ200の筐体201の下面と当接してもよく、筐体201の下面と当接しなくてもよい。
【0087】
また、
図13および
図14に示すように、起歪体220は、隣り合う2本の検知腕部222の間の各々に、基部221から外側に延在して設けられた固定腕部224を有する。すなわち、起歪体220は、4本の固定腕部224を有する。4本の固定腕部224の各々は、その先端部が、平面視において、アナログスティックコントローラ200の筐体201の各辺に設けられた固定部203に沿って外側に張り出して設けられている(
図9参照)。4本の固定腕部224の各々は、水平な平板状である。各固定腕部224は、当該固定腕部224の先端部の上面に、アナログスティックコントローラ200の筐体201が当接することにより、筐体201を支持する。4本の固定腕部224には、貫通孔224Bが設けられている。固定腕部224の貫通孔224Bと、固定部203の第3の貫通孔203Aとを貫通する固定片244によって、固定部203が固定される(
図9参照)。これにより、第2実施形態に係る多方向入力装置20は、アナログスティックコントローラ200の筐体201の各辺の中央付近で、筐体201(固定部203)を起歪体220(固定腕部224)に固定することができる。
【0088】
なお、本実施形態では、起歪体220は、樹脂製であり、固定片244は、ネジである。固定部203は、筐体201の各側壁の中央に設けられ、起歪体220の固定腕部224とネジで固定されるので、簡単かつ強固に固定することができる。但し、これに限らず、固定片244は、固定腕部224と一体の突起で形成し、固定部203の第3の貫通孔203Aを通してから、加熱して、かしめてもよい。また、起歪体220は、金属製であってもよい。
【0089】
起歪体220において、各固定腕部224は、基部221および各検知腕部222よりも、上下方向の厚さが厚くなっている。また、各固定腕部224の上面は、基部221および各検知腕部222の上面よりも、高い高さ位置にある。これにより、起歪体220において、各固定腕部224の上面が、アナログスティックコントローラ200の筐体201の下面に当接するが、基部221および各検知腕部222の上面は、筐体201の下面に当接しない。すなわち、基部221および各検知腕部222の上面と、筐体201の下面との間に、僅かな隙間が形成される。これにより、第2実施形態に係る多方向入力装置20は、基部221および各検知腕部222の上面と筐体201の下面との間に、FPC231の配置スペースを形成することができる。また、第2実施形態に係る多方向入力装置20は、基部221および各検知腕部222の上方への変形が、筐体201によって妨げられないようになっている。したがって、第2実施形態に係る多方向入力装置20によれば、4本の検知腕部222の各々に設けられた4つの歪素子232の各々により、起歪体220の各方向に加わる荷重をより高感度に検出することができる。
【0090】
また、起歪体220において、4つの支持脚223の各々の下面の高さ位置は、起歪体220の基部221および4本の検知腕部222の各々の下面の高さ位置よりも低い位置にある。このため、4つの支持脚223の各々が任意の設置面に固定されたとき、起歪体220の基部221および4本の検知腕部222の各々の下面と、任意の設置面との間に、僅かな隙間が形成される。これにより、第2実施形態に係る多方向入力装置20は、アナログスティックコントローラ200に対して下方への押し下げ操作がなされた際に、4本の検知腕部222の各々を変形させつつ基部221が下方に移動することで、4本の検知腕部222の各々に設けられた4つの歪素子232の各々により、この押し下げ操作を高感度に検出することができる。
【0091】
なお、各支持脚223の下方への突出量(すなわち、各支持脚223の下面と基部221および4本の検知腕部222の各々の下面との高低差)は、例えば、0.2mm程度であり、極めて小さい。このように、各支持脚223の突出量は、視認され難い極めて小さいものであっても有用である。
【0092】
〔第3実施形態〕
(多方向入力装置20-2の構成)
図15は、第3実施形態に係る多方向入力装置20-2の上面側を示す外観斜視図である。
図16は、第3実施形態に係る多方向入力装置20-2の下面側を示す外観斜視図である。
図17は、第3実施形態に係る多方向入力装置20-2の分解斜視図である。
【0093】
図15~
図17に示す多方向入力装置20-2は、第2実施形態に係る多方向入力装置20の一変形例である。以下、第3実施形態に係る多方向入力装置20-2に関し、主に、第2実施形態に係る多方向入力装置20からの変更点について説明する。
【0094】
図15~
図17に示すように、多方向入力装置20-2は、アナログスティックコントローラ200-2を備える。アナログスティックコントローラ200-2は、多方向入力装置20が備えるアナログスティックコントローラ200と同様の構成を有する。すなわち、アナログスティックコントローラ200-2は、アナログスティックコントローラ200と同様に、筐体201、操作スティック202、固定部203、およびFPC204(図示省略)を有する。そして、アナログスティックコントローラ200-2は、操作スティック202によるX軸方向(
図15におけるD1方向およびD2方向)、Y軸方向(
図15におけるD3方向およびD4方向)、およびX軸方向とY軸方向とを組み合わせた方向への傾倒操作が可能である。
【0095】
また、
図15~
図17に示すように、多方向入力装置20-2は、アナログスティックコントローラ200-2の下面に重ねて設けられた平板状の起歪体220-2と、起歪体220-2の上面に貼り合わされた荷重検出器230-2とを備える。
【0096】
荷重検出器230-2は、多方向入力装置20が備える荷重検出器230と同様の構成を有する。すなわち、荷重検出器230-2は、荷重検出器230と同様に、FPC231および4つの歪素子232(歪素子232X1,232X2,232Y1,232Y2)を有する。そして、荷重検出器230-2は、アナログスティックコントローラ200-2に荷重が加わることによって起歪体220-2の各方向(X軸方向およびY軸方向)において生じた歪みを、4つの歪素子232によって検出し、検出された歪みを表す歪み検出信号(アナログ信号)を、荷重が加えられた方向および荷重の大きさ表す検出信号として、FPC231の接続部231Cから外部へ出力することができる。
【0097】
起歪体220-2は、多方向入力装置20が備える起歪体220と同様の構成を有する。すなわち、起歪体220-2は、起歪体220と同様に、基部221、4本の検知腕部222(検知腕部222X1,222X2,222Y1,222Y2)、および4本の固定腕部224を有する。
【0098】
但し、起歪体220-2は、起歪体220と形状が異なる。
図17に示すように、起歪体220-2は、平面視において、中央に設けられた基部221が円形状を有し、且つ、当該基部221から、4本の検知腕部222および4本の固定腕部224が、等角度間隔(すなわち、45°間隔)で8方向に放射状に延びる形状を有する。これにより、起歪体220-2は、平面視にて全体的に略円形状の外形状を有する。
【0099】
(起歪体220-2の詳細な構成)
次に、
図18~
図21を参照しつつ、起歪体220-2の詳細な構成について説明する。
図18は、第3実施形態に係る起歪体220-2の上面側(荷重検出器230-2が配置されていない状態)を示す外観斜視図である。
図19は、第3実施形態に係る起歪体220-2の上面側(荷重検出器230-2が配置されている状態)を示す外観斜視図である。
図20は、第3実施形態に係る起歪体220-2の上面側(荷重検出器230-2が配置されていない状態)を示す平面図である。
図21は、第3実施形態に係る起歪体220-2の上面側(荷重検出器230-2が配置されている状態)を示す平面図である。
【0100】
<起歪体220-2の形状>
図18~
図21に示すように、起歪体220-2は、平面視において、中央に設けられた基部221が円形状を有する。また、起歪体220-2は、基部221から、4本の検知腕部222および4本の固定腕部224が、等角度間隔(すなわち、45°間隔)で8方向に放射状に延びる形状を有する。これにより、起歪体220-2は、平面視にて全体的に略円形状の外形状を有する。
【0101】
特に、起歪体220-2は、4回対称の回転対称形状を有し、隣り合う検知腕部222と固定腕部とがなす角度は、45度である。すなわち、起歪体220-2は、4本の検知腕部222が、基部221から90°間隔で4方向に放射状に延びて設けられており、4本の検知腕部222が十字状をなしている。また、起歪体220-2は、4本の検知腕部222が、互いに同形状を有する。
【0102】
具体的には、起歪体220-2において、検知腕部222X1は、基部221からX軸正方向に直線状に延在する。検知腕部222X1の上面には、FPC231の突出部231X1が重ねて設けられる。なお、FPC231の突出部231X1には、歪素子232X1が、検知腕部222X1の延びる方向と同方向(すなわち、X軸正方向)を向いて設けられている。
【0103】
また、検知腕部222X2は、基部221からX軸負方向に直線状に延在する。検知腕部222X2の上面には、FPC231の突出部231X2が重ねて設けられる。なお、FPC231の突出部231X2には、歪素子232X2が、検知腕部222X2の延びる方向と同方向(すなわち、X軸負方向)を向いて設けられている。
【0104】
また、検知腕部222Y1は、基部221からY軸正方向に直線状に延在する。検知腕部222Y1の上面には、FPC231の突出部231Y1が重ねて設けられる。なお、FPC231の突出部231Y1には、歪素子232Y1が、検知腕部222Y1の延びる方向と同方向(すなわち、Y軸正方向)を向いて設けられている。
【0105】
また、検知腕部222Y2は、基部221からY軸負方向に直線状に延在する。検知腕部222Y2の上面には、FPC231の突出部231Y2が重ねて設けられる。なお、FPC231の突出部231Y2には、歪素子232Y2が、検知腕部222Y2の延びる方向と同方向(すなわち、Y軸負方向)を向いて設けられている。
【0106】
また、起歪体220-2は、4本の固定腕部224が、基部221から90°間隔で4方向(但し、4本の検知腕部222が延びる4方向から45°オフセットされた方向)に放射状に延びて設けられており、4本の固定腕部224が十字状をなしている。また、起歪体220-2は、4本の固定腕部224が、互いに同形状を有する。
【0107】
これにより、起歪体220-2は、4回対称の回転対称形状、すなわち、90°回転させる毎に、回転前の形状と回転後の形状とが重なる回転対称形状を有する。
【0108】
<第1突起部225および第2突起部229>
なお、
図18~
図21に示すように、起歪体220-2の基部221の上面の中心には、円柱状の第1突起部225が設けられている。第1突起部225の上面(上端部)の高さ位置は、起歪体220-2が有する4本の固定腕部224の固定部224Aの上面の高さ位置よりも低い位置にある。このため、4本の固定腕部224の各々がアナログスティックコントローラ200-2が有する筐体201に固定されたとき、第1突起部225の上面と、筐体201の底面との間に、僅かな隙間(第1の隙間)が形成される。
【0109】
また、
図16に示すように、起歪体220-2の基部221の下面の中心には、円柱状の第2突起部229が設けられている。第2突起部229の下面(下端部)の高さ位置は、起歪体220-2が有する4つの支持脚223の各々の下面の高さ位置よりも高い位置にある。このため、4つの支持脚223の各々が任意の設置面に固定されたとき、第2突起部229の下面と任意の設置面との間に、僅かな隙間(第2の隙間)が形成される。
【0110】
これにより、第3実施形態に係る多方向入力装置20-2は、アナログスティックコントローラ200-2に対して下方への押し下げ操作がなされた際に、4本の検知腕部222の各々を変形させつつ基部221が下方に移動することで、4本の検知腕部222の各々に設けられた4つの歪素子232の各々により、この押し下げ操作を高感度に検出することができる。
【0111】
この際、第3実施形態に係る多方向入力装置20-2は、第2突起部229の下面が任意の設置面に当接することで、基部221の下方への移動量を制限して、すなわち、4本の検知腕部222の各々の変形量を制限することができる。これにより、第3実施形態に係る多方向入力装置20-2は、4本の検知腕部222の各々に設けられた4つの歪素子232の各々について、過剰な応力が加わることによる破損を防止することができる。
【0112】
また、この際、第3実施形態に係る多方向入力装置20-2は、筐体201の底面が第1突起部225の上面に当接することで、筐体201の下方への移動量を制限して、各歪素子232が筐体201の底面によって押し潰されることを防止することができる。
【0113】
<荷重検出器230-2>
図19および
図21に示すように、起歪体220-2の上面には、荷重検出器230-2が載置される。荷重検出器230-2が有するFPC231は、起歪体220-2の4本の検知腕部222と同様に、十字状をなしている。FPC231が有する4つの突出部231X1,231X2,231Y1,231Y2の各々は、起歪体220-2が有する4本の検知腕部222の各々の上面に重ねて設けられている。
【0114】
具体的には、FPC231の突出部231X1は、FPC231の基部231AからX軸正方向に直線状に延在して設けられており、起歪体220-2が有する検知腕部222X1の上面に重ねて設けられる。FPC231の突出部231X1には、歪素子232X1が、検知腕部222X1の延びる方向と同方向(すなわち、X軸正方向)を向いて設けられている。特に、歪素子232X1は、検知腕部222X1の部分的に狭幅となっている狭幅部222Aと基部221との境界に設けられている。
【0115】
また、FPC231の突出部231X2は、FPC231の基部231AからX軸負方向に直線状に延在して設けられており、起歪体220-2が有する検知腕部222X2の上面に重ねて設けられる。FPC231の突出部231X2には、歪素子232X2が、検知腕部222X2の延びる方向と同方向(すなわち、X軸負方向)を向いて設けられている。特に、歪素子232X2は、検知腕部222X2の部分的に狭幅となっている狭幅部222Aと基部221との境界に設けられている。
【0116】
また、FPC231の突出部231Y1は、FPC231の基部231AからY軸正方向に直線状に延在して設けられており、起歪体220-2が有する検知腕部222Y1の上面に重ねて設けられる。FPC231の突出部231Y1には、歪素子232Y1が、検知腕部222Y1の延びる方向と同方向(すなわち、Y軸正方向)を向いて設けられている。特に、歪素子232Y1は、検知腕部222Y1の部分的に狭幅となっている狭幅部222Aと基部221との境界に設けられている。
【0117】
また、FPC231の突出部231Y2は、FPC231の基部231AからY軸負方向に直線状に延在して設けられており、起歪体220-2が有する検知腕部222Y2の上面に重ねて設けられる。FPC231の突出部231Y2には、歪素子232Y2が、検知腕部222Y2の延びる方向と同方向(すなわち、Y軸負方向)を向いて設けられている。特に、歪素子232Y2は、検知腕部222Y2の部分的に狭幅となっている狭幅部222Aと基部221との境界に設けられている。
【0118】
<FPC231の位置決め構成>
図18~
図21に示すように、起歪体220-2の基部221の上面の中央には、上方に向かって突出した円柱状の第1突起部225が設けられている。
図19および
図21に示すように、第1突起部225は、FPC231の基部231Aの中央に形成されている円形状の嵌合孔231Dと嵌合する。これにより、第3実施形態に係る多方向入力装置20-2は、起歪体220-2の基部221の上面に対して、FPC231の基部231Aの中心位置を正確に位置決めすることができる。
【0119】
また、
図18~
図21に示すように、起歪体220-2の各固定腕部224は、当該固定腕部224の上面、且つ、当該固定腕部224の末端部に、第2当接部228Bを有する。第2当接部228Bは、起歪体220-2の基部221の上面よりも高さ位置が高められており、
図19および
図21に示すように、当該第2当接部228Bの側面に、FPC231の基部221の外縁部を当接させることができる。これにより、第3実施形態に係る多方向入力装置20-2は、起歪体220-2の基部221の上面に対して、FPC231の基部221の外縁部の位置を正確に位置決めすることができる。
【0120】
また、
図18~
図21に示すように、起歪体220-2の各検知腕部222は、当該検知腕部222の上面、且つ、FPC231の突出部231X1,231X2,231Y1,231Y2の先端部と対向する位置に、第1当接部228Aを有する。第1当接部228Aは、起歪体220-2の基部221の上面よりも高さ位置が高められており、
図19および
図21に示すように、当該第1当接部228Aの側面に、FPC231の突出部231X1,231X2,231Y1,231Y2の先端部を当接させることができる。これにより、第3実施形態に係る多方向入力装置20-2は、起歪体220-2の基部221の上面に対して、FPC231の突出部231X1,231X2,231Y1,231Y2の先端部の位置を正確に位置決めすることができる。
【0121】
(起歪体220-2に加わる応力)
図22は、第3実施形態に係る起歪体220-2に加わる応力を説明するための図である。
【0122】
第3実施形態に係る多方向入力装置20-2は、起歪体220-2が、4本の固定腕部224において、アナログスティックコントローラ200-2の筐体201に固定され、4本の検知腕部222の各々の先端部(支持脚223)において、任意の設置面に固定される。このため、第3実施形態に係る多方向入力装置20-2においては、操作スティック202の操作がなされたとき、以下に説明するように、起歪体220-2および歪素子232に応力が加わる。
【0123】
例えば、
図22に示すように、操作スティック202の操作方向が、X軸負方向である場合、X軸負側の検知腕部222X2の狭幅部222Aと基部221との境界にX軸方向の比較的大きな圧縮応力が加わり、よって、当該境界上に設けられている歪素子232X2にX軸方向の比較的大きな圧縮応力が加わる。また、X軸正側の検知腕部222X1の狭幅部222Aと基部221との境界にX軸方向の比較的大きな圧縮応力が加わり、よって、当該境界上に設けられている歪素子232X1にX軸方向の比較的大きな引張応力が加わる。
【0124】
一方、
図22に示すように、操作スティック202の操作方向が、X軸負方向である場合、X軸負側の検知腕部222X2の狭幅部222Aと基部221との境界にY軸方向の比較的小さな引張応力が加わり、よって、当該境界上に設けられている歪素子232X2にY軸方向の比較的小さな引張応力が加わる。また、X軸正側の検知腕部222X1の狭幅部222Aと基部221との境界にY軸方向の比較的小さな圧縮応力が加わり、よって、当該境界上に設けられているX軸正側の歪素子232X1にY軸方向の比較的小さな圧縮応力が加わる。
【0125】
すなわち、第3実施形態に係る多方向入力装置20-2は、操作スティック202の操作方向がX軸方向である場合、X軸上に設けられている歪素子232に対し、X軸方向の大きな歪みと、Y軸方向の小さな歪みとが生じる。
【0126】
同様に、第3実施形態に係る多方向入力装置20-2は、操作スティック202の操作方向がY軸方向である場合、Y軸上に設けられている歪素子232に対し、Y軸方向の大きな歪みと、X軸方向の小さな歪みとが生じる。
【0127】
そこで、第3実施形態に係る多方向入力装置20-2は、各歪素子232の向きが、各検知腕部222が延びる方向と同方向となるように、各歪素子232を配置している。これにより、第3実施形態に係る多方向入力装置20-2は、操作スティック202の操作方向に対応する歪素子232の向きと、当該歪素子232に大きな歪みが加わる方向とが同方向になるため、当該歪素子232に歪みを高感度に検出することができる。
【0128】
また、第3実施形態に係る多方向入力装置20-2において、各検知腕部222は、基部221と繋がる根元部分に、部分的に狭幅となっている狭幅部222Aを有する。これにより、第3実施形態に係る多方向入力装置20-2は、操作スティック202の操作がなされた際に、検知腕部222の狭幅部222Aと基部221との境界に荷重を集中させて、当該境界に部分的に大きな歪みが生じるようにしている。
【0129】
そして、第3実施形態に係る多方向入力装置20-2は、各歪素子232を、各検知腕部222の狭幅部222Aと基部221との境界に設けている。これにより、第3実施形態に係る多方向入力装置20-2は、操作スティック202の操作がなされた際に、操作方向に対応する歪素子232に大きな歪みを生じさせることができ、したがって、当該歪素子232の歪みを高感度に検出することができる。
【0130】
なお、各検知腕部222の狭幅部222Aは、部分的に狭幅な括れ形状を有することにより、検知腕部222の延びる方向と平行な方向(すなわち、歪素子232に向いている方向)については歪みが生じ易くなっており、検知腕部222の延びる方向と直交する方向(すなわち、歪素子232に向いている方向と直交する方向)については歪みが生じ難くなっている。
【0131】
また、起歪体220-2は、各検知腕部222の狭幅部222Aよりも僅かに基部221側の位置(すなわち、狭幅部222Aと基部221との境界)が、最も大きな歪みが生じるものとなっている。よって、各歪素子232は、各検知腕部222の狭幅部222Aよりも僅かに基部221側の位置(すなわち、狭幅部222Aと基部221との境界)に配置されることで、より歪むことができるようになっている。
【0132】
(荷重検出器の出力特性の比較例)
図23は、複数の多方向入力装置における荷重検出器の出力特性の比較例を示す図である。
図23(a)は、第2実施形態に係る多方向入力装置20における荷重検出器230の出力特性を示す図である。
図23(b)は、第3実施形態に係る多方向入力装置20-2(歪素子232を検知腕部222と直交する向きに配置した場合)における荷重検出器230-2の出力特性を示す図である。
図23(c)は、第3実施形態に係る多方向入力装置20-2(歪素子232を検知腕部222と平行な向きに配置した場合)における荷重検出器230-2の出力特性を示す図である。
【0133】
図23(a)~(c)に示す各グラフは、操作スティック202の操作方向と、荷重検出器230または荷重検出器230-2が備える4つの歪素子232による出力値との関係を示す。
【0134】
第2実施形態に係る多方向入力装置20が備える起歪体220は、
図14等に示すように、平面視にて全体的に略長方形状の外形状を有しており、4本の検知腕部222が、基部221から該長方形状の長辺と平行な方向に延びている。加えて、第2実施形態に係る多方向入力装置20は、各歪素子232の向きが、各検知腕部222が延びる方向とは異なる方向である。これにより、第2実施形態に係る多方向入力装置20は、
図23(a)に示すように、荷重検出器230-2(4つの歪素子232)の出力特性が楕円形状をなしており、すなわち、操作スティック202の全操作方向において、荷重検出器230-2(4つの歪素子232)の出力値が不均一となっている。
【0135】
一方、第3実施形態に係る多方向入力装置20-2が備える起歪体220-2は、
図19等に示すように、4回対称の回転対称形状を有している。すなわち、起歪体220-2は、平面視にて全体的に略円形状の外形状を有しており、4本の検知腕部222が、基部221から90°間隔で4方向に放射状に延びている。これにより、第3実施形態に係る多方向入力装置20-2は、
図23(c)に示すように、荷重検出器230-2(4つの歪素子232)出力特性を略円形状とすることができ、すなわち、操作スティック202の全操作方向において、荷重検出器230-2(4つの歪素子232)の出力値を略均一とすることができる。
【0136】
特に、第3実施形態に係る多方向入力装置20-2は、起歪体220-2の基部221が、円形状を有する。これにより、第3実施形態に係る多方向入力装置20-2は、操作スティック202の全操作方向において、荷重検出器230-2(4つの歪素子232)の出力値をより均一なものとすることができる。
【0137】
また、各歪素子232が、各検知腕部222が延びる方向と同じ方向を向いて配置されている。これにより、第3実施形態に係る多方向入力装置20-2は、操作スティック202の全操作方向において、荷重検出器230-2(4つの歪素子232)による検出感度を高めることができる。
【0138】
なお、第3実施形態に係る多方向入力装置20-2が備える起歪体220-2において、仮に、各歪素子232の向きを、各検知腕部222が延びる方向と直交する方向とした場合、
図23(b)に示すように、操作スティック202の全操作方向において、荷重検出器230-2(4つの歪素子232)による検出値を均一なものとすることができるが、荷重検出器230-2(4つの歪素子232)による検出感度が低いものとなる。
【0139】
以上、本発明の一実施形態について詳述したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形又は変更が可能である。
【符号の説明】
【0140】
10,20,20-2 多方向入力装置
100,200,200-2 アナログスティックコントローラ
101,201 筐体
102,202 操作スティック
103 FPC
120,220,220-2 起歪体
121,221 基部
122,222 検知腕部
222A 狭幅部
123,223 支持脚
124,224 固定腕部
124A 第4の貫通孔
125,225 第1突起部
126 第2突起部
130,230,230-2 荷重検出器
131,231 FPC
131A,231A 基部
131B,231B 引き出し部
131C,231C 接続部
131D,231D 嵌合孔
131E 切り欠き部
131X1,131X2,131Y1,131Y2 突出部
231X1,231X2,231Y1,231Y2 突出部
132,232 歪素子
140 押さえ板
141 押さえ部
142 第1の貫通孔
143 取り付け脚部
143A 第2の貫通孔
144,244 固定片
203 固定部
203A 第3の貫通孔
204 FPC
224B 貫通孔
227X1,227X2,227Y1,227Y2 凹部
228A 第1当接部
228B 第2当接部
229 第2突起部