(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024124899
(43)【公開日】2024-09-13
(54)【発明の名称】検出装置
(51)【国際特許分類】
H04N 25/70 20230101AFI20240906BHJP
H01L 31/02 20060101ALI20240906BHJP
H01L 31/0232 20140101ALI20240906BHJP
H01L 27/146 20060101ALI20240906BHJP
G01J 1/04 20060101ALI20240906BHJP
H01L 31/10 20060101ALN20240906BHJP
【FI】
H04N25/70
H01L31/02 B
H01L31/02 D
H01L27/146 E
H01L27/146 D
G01J1/04 B
H01L31/10 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023032877
(22)【出願日】2023-03-03
(71)【出願人】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110000154
【氏名又は名称】弁理士法人はるか国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】湯川 統央
【テーマコード(参考)】
2G065
4M118
5C024
5F149
【Fターム(参考)】
2G065AA04
2G065AB02
2G065BA02
2G065BA09
2G065BA34
2G065BB25
4M118AA10
4M118AB01
4M118BA07
4M118CA14
4M118CA33
4M118CA34
4M118CB20
4M118GC11
4M118GD07
5C024EX51
5C024GX07
5C024GX16
5C024GY31
5F149AA01
5F149BA04
5F149BA25
5F149BB03
5F149EA04
5F149EA13
5F149HA07
5F149HA10
5F149HA12
5F149HA20
5F149XB02
5F149XB03
(57)【要約】
【課題】光フィルタとしての機能を備えると共に薄型化を実現可能な検出装置1を提供する。
【解決手段】検出装置1は、下部電極210と、下部電極210の上に設けられる有機層220と、有機層220の上に設けられる上部電極230と、を含む光検出センサと、少なくとも、光検出センサの上に設けられる第1無機層310と、第1無機層310の上に設けられる第1樹脂層320と、を含む封止構造300と、光検出センサの上に設けられると共に、第1無機層310及び第1樹脂層320の少なくともいずれかを層厚調整層として、光検出センサに入射される光の一部を遮蔽する光フィルタと、を有し、第1無機層310の端部310eは有機層220の端部220eよりも外側に位置している。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検出体で反射した反射光又は被検出体を透過した透過光を受光する光検出センサであって、下部電極と、前記下部電極の上に設けられる有機層と、前記有機層の上に設けられる上部電極と、を含む光検出センサと、
少なくとも、前記光検出センサの上に設けられる第1無機層と、前記第1無機層の上に設けられる第1樹脂層と、を含む封止構造と、
前記光検出センサの上に設けられると共に、前記第1無機層及び前記第1樹脂層の少なくともいずれかを層厚調整層として、前記光検出センサに入射される光の一部を遮蔽する光フィルタと、
を有し、
前記第1無機層の端部は前記有機層の端部よりも外側に位置している、
検出装置。
【請求項2】
前記第1無機層は、前記有機層の端部に接している、
請求項1に記載の検出装置。
【請求項3】
前記第1無機層の端部は、当該第1無機層以外の無機材料からなる層に接している、
請求項1に記載の検出装置。
【請求項4】
前記封止構造は、前記第1樹脂層の上に設けられる第2無機層を有し、
前記第2無機層の端部は前記有機層の端部よりも外側に位置している、
請求項1に記載の検出装置。
【請求項5】
前記第2無機層の端部は、前記第1無機層に接している、
請求項4に記載の検出装置。
【請求項6】
前記封止構造は、前記第2無機層の上に設けられる第2樹脂層を有する、
請求項4に記載の検出装置。
【請求項7】
前記層厚調整層は、前記第1無機層、前記第1樹脂層、前記第2無機層、及び前記第2樹脂層を含む、
請求項6に記載の検出装置。
【請求項8】
前記有機層の端部よりも外側に配置されると共に凹凸を構成する壁部を有し、
前記第1無機層は、前記壁部を覆うように設けられている、
請求項1に記載の検出装置。
【請求項9】
前記壁部は、外側に向かう方向に並んで複数設けられている、
請求項8に記載の検出装置。
【請求項10】
前記第1無機層は、複数の前記壁部を覆うと共に、当該複数の壁部の少なくとも一部の形状に沿うように形成されている、
請求項8に記載の検出装置。
【請求項11】
前記封止構造は、前記第1樹脂層の上に設けられる第2無機層を有し、
前記第2無機層は、前記複数の壁部の少なくとも一部の形状に沿うように形成されている、
請求項10に記載の検出装置。
【請求項12】
前記光フィルタは、前記第1無機層の上に設けられると共に、前記光検出センサへの光の入射を許容する第1開口が形成される第1遮光層を含む、
請求項1に記載の検出装置。
【請求項13】
前記光フィルタは、前記第1遮光層の上に設けられると共に、前記光検出センサへの光の入射を許容する、第1開口よりも大きい第2開口が形成される第2遮光層を含む、
請求項12に記載の検出装置。
【請求項14】
前記光フィルタは、前記第1遮光層の上に設けられており、平面視において前記第1開口と重なるように設けられるレンズを含む、
請求項12に記載の検出装置。
【請求項15】
前記封止構造は、前記レンズを設けるための下地層を有する、
請求項14に記載の検出装置。
【請求項16】
前記下地層は無機材料から成る、
請求項15に記載の検出装置。
【請求項17】
前記下地層の端部は、前記有機層の端部よりも外側に位置している、
請求項16に記載の検出装置。
【請求項18】
前記下地層の端部は、前記第1無機層に接している、
請求項17に記載の検出装置。
【請求項19】
前記光検出センサが配置される検出領域と、当該検出領域よりも外側の額縁領域とを含み、
前記第1無機層の端部は、前記額縁領域に位置している、
請求項1に記載の検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、フォトダイオード(OPD:Organic Photo Diode)を用いた光センサ装置が開示されている。特許文献2には、指等の被検出体で反射された光のうち法線方向に進行する成分をフォトダイオードに向けて透過させ、斜め方向に進行する成分を遮蔽する光フィルタであるコリメータが開示されている。このようにコリメータを用いることにより、斜め方向に進行する光成分に起因して生じるクロストークを抑制することができる。その結果、検出画像にぼやけが生じることを抑制でき、検出精度を向上することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-68793号公報
【特許文献2】特開2022-23667号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
コリメータは、斜め方向に進行する光成分を遮蔽するのに十分な厚みが必要であり、フォトダイオード素子と比較して厚みが厚い。そのため、コリメータを設けた場合、装置全体の厚みが厚くなってしまう。
【0005】
本発明は、上記実情を考慮してなされたものであり、光フィルタとしての機能を備えると共に薄型化を実現可能な検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の一態様に係る検出装置は、被検出体で反射した反射光又は被検出体を透過した透過光を受光する光検出センサであって、下部電極と、前記下部電極の上に設けられる有機層と、前記有機層の上に設けられる上部電極と、を含む光検出センサと、少なくとも、前記光検出センサの上に設けられる第1無機層と、前記第1無機層の上に設けられる第1樹脂層と、を含む封止構造と、前記光検出センサの上に設けられると共に、前記第1無機層及び前記第1樹脂層の少なくともいずれかを層厚調整層として、前記光検出センサに入射される光の一部を遮蔽する光フィルタと、を有し、前記第1無機層の端部は前記有機層の端部よりも外側に位置している。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1A】本実施形態に係る検出装置の構成の概要を示す平面図である。
【
図1B】本実施形態に係る検出装置の構成及び機能の概要を示すブロック図である。
【
図2】
図1AのII-II切断線で切り取った切断面を模式的に示す断面図である。
【
図3】第1変形例に係る検出装置を示す断面図である。
【
図4】第2変形例に係る検出装置を示す断面図である。
【
図5】第3変形例に係る検出装置を示す断面図である。
【
図6】第4変形例に係る検出装置を示す断面図である。
【
図7】第5変形例に係る検出装置を示す断面図である。
【
図8A】マイクロレンズ上の積層構造の一例を模式的に示す図である。
【
図8B】マイクロレンズ上の積層構造の一例を模式的に示す図である。
【
図8C】マイクロレンズ上の積層構造の一例を模式的に示す図である。
【0008】
以下、本発明の各実施形態について図面を参照して説明する。但し、本発明は、その要旨を逸脱しない範囲において様々な態様で実施することができ、以下に例示する実施形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
【0009】
図面は、説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。本明細書と各図において、既出の図に関して説明したものと同様の機能を備えた要素には、同一の符号を付して、重複する説明を省略することがある。
【0010】
さらに、実施形態において、ある構成物と他の構成物の位置関係を規定する際、「上に」「下に」とは、ある構成物の直上あるいは直下に位置する場合のみでなく、特に断りの無い限りは、間にさらに他の構成物を介在する場合を含むものとする。
【0011】
また、以下の説明において、「外側」とは、検出装置1の外縁に近い側である。また、以下の説明において、各層の「端部」とは、各層のうち検出装置1の外縁に近い部分であって、端面を含む部分である。
【0012】
[検出装置の概要]
本実施形態に係る検出装置1は、後述のマイクロレンズ360上に位置する被検出体であるユーザの指で反射された反射光、又はユーザの指を透過した透過光を検出することで、指紋情報等の生体情報を検出可能な装置であるとよい。また、検出装置1は、クロストークによりコントラストが低下するのを抑制するための光フィルタであるコリメータとして機能する構成を備えている。なお、検出装置1は、センシングに用いる反射光又は透過光を得るために、被検出体に光を照射する光源を有しているとよいが、本実施形態においては説明を省略する。
【0013】
図1Aは、本実施形態に係る検出装置の構成の概要を示す平面図である。
図1Bは、本実施形態に係る検出装置の構成及び機能の概要を示すブロック図である。
【0014】
図1Aに示すように、検出装置1は、基板110と、センサ部10と、ゲート線駆動回路20と、信号線選択回路21と、検出回路24と、制御回路26と、電源回路28と、を有する。
【0015】
基板110には、フレキシブルプリント基板500を介して制御基板600が電気的に接続される。フレキシブルプリント基板500には、検出回路24が設けられている。制御基板600には、制御回路26及び電源回路28が設けられている。制御回路26は、例えばFPGA(Field Programmable Gate Array)である。制御回路26は、センサ部10、ゲート線駆動回路20及び信号線選択回路21に制御信号を供給して、センサ部10の検出動作を制御する。電源回路28は、電源電圧をセンサ部10、ゲート線駆動回路20及び信号線選択回路21に供給する。
【0016】
検出装置1は、検出領域DAと額縁領域PAとを有する。検出領域DAは、センサ部10が設けられる領域である。額縁領域PAは、検出領域DAの外側の領域であり、センサ部10が設けられない領域である。すなわち、額縁領域PAは、検出領域DAの端部と基板110の端部との間の領域である。額縁領域PAは、折曲領域BAと端子領域TAとを含む。折曲領域BAと端子領域TAとは、額縁領域PAの一端に設けられる。折曲領域BA及び端子領域TAには、検出領域DAに繋がる配線が配置される。端子領域TAにおいて、基板110とフレキシブルプリント基板500とが接続される。
【0017】
センサ部10は、複数の画素PXを備え、被検出体からの光を受光する。複数の画素PXは、検出領域DAに行列状に配列される。複数の画素PXは、フォトダイオードである光検出センサを含み、それぞれに照射される光に応じた電気信号を出力する。各画素PXは、それぞれに照射される光に応じた電気信号を検出信号Vdetとして信号線選択回路21に出力する。検出装置1は、各画素PXからの検出信号Vdetに基づいて、例えば、指や掌等の血管像、脈波、脈拍、血中酸素飽和度等の生体に関する情報を検出可能であるとよい。また、各画素PXは、ゲート線駆動回路20から供給されるゲート駆動信号Vgclに従って検出を行う。
【0018】
ゲート線駆動回路20及び信号線選択回路21は、額縁領域PAに設けられる。具体的には、
図1Aに示すように、ゲート線駆動回路20は、額縁領域PAのうち信号線SGLの延伸方向に沿って延在する領域に設けられる。信号線選択回路21は、額縁領域PAのうちゲート線GCLの延伸方向に沿って延在する領域に設けられ、センサ部10と折曲領域BAとの間に設けられる。
【0019】
図1Bに示すように、検出装置1は、さらに検出制御部30と検出部40とを有する。検出制御部30の機能の一部又は全部は、制御回路26に含まれる。また、検出部40のうち、検出回路24以外の機能の一部又は全部は、制御回路26に含まれる。
【0020】
検出制御部30は、ゲート線駆動回路20、信号線選択回路21及び検出部40にそれぞれ制御信号を供給し、これらの動作を制御する回路である。検出制御部30は、スタート信号STV、クロック信号CK、リセット信号RST等の各種制御信号をゲート線駆動回路20に供給する。また、検出制御部30は、選択信号ASW等の各種制御信号を信号線選択回路21に供給する。ゲート線駆動回路20は、各種制御信号に基づいてゲート線GCLを駆動する回路である。ゲート線駆動回路20は、複数のゲート線GCLを順次又は同時に選択し、選択されたゲート線GCLにゲート駆動信号Vgclを供給する。これにより、ゲート線駆動回路20は、ゲート線GCLに接続された画素PXを選択する。信号線選択回路21は、複数の信号線SGLを順次又は同時に選択するスイッチ回路である。信号線選択回路21は、例えばマルチプレクサである。信号線選択回路21は、検出制御部30から供給される選択信号ASWに基づいて、選択された信号線SGLと検出回路24とを接続する。これにより、信号線選択回路21は、画素PXの検出信号Vdetを検出部40に出力する。
【0021】
検出部40は、検出回路24と、信号処理部44と、記憶部45と、座標抽出部46と、検出タイミング制御部47と、を備える。検出タイミング制御部47は、検出制御部30から供給される制御信号に基づいて、検出回路24と、信号処理部44と、座標抽出部46と、が同期して動作するように制御する。
【0022】
検出回路24は、例えばアナログフロントエンド回路(AFE、Analog Front End)である。検出回路24は、少なくとも検出信号増幅部42及びA/D変換部43の機能を有する信号処理回路である。検出信号増幅部42は、検出信号Vdetを増幅する。A/D変換部43は、検出信号増幅部42から出力されるアナログ信号をデジタル信号に変換する。信号処理部44は、検出回路24の出力信号に基づいて、センサ部10に入力された所定の物理量を検出する論理回路である。信号処理部44は、指や掌等の検出対象が検出面に接触又は近接した場合に、検出回路24からの信号に基づいて指や掌等の表面の凹凸を検出できる。また、信号処理部44は、検出回路24からの信号に基づいて、指や掌等の血管像、脈波、脈拍、血中酸素飽和度等の生体に関する情報を検出できる。記憶部45は、信号処理部44で演算された信号を一時的に保存する。記憶部45は、例えばRAM(Random Access Memory)、レジスタ回路等であってもよい。座標抽出部46は、信号処理部44において指や掌等の接触又は近接が検出されたときに、指や掌等の表面の凹凸の検出座標を求める論理回路である。また、座標抽出部46は、指や掌等の血管の検出座標を求める論理回路である。座標抽出部46は、センサ部10の各画素PXから出力される検出信号Vdetを組み合わせて、指や掌等の表面の凹凸の形状を示す二次元情報を生成する。なお、座標抽出部46は、検出座標を算出せずにセンサ出力Voとして検出信号Vdetを出力してもよい。
【0023】
[検出装置の積層構造]
図2は、
図1AのII-II切断線で切り取った切断面を模式的に示す断面図である。
図2では、検出領域DAの端部付近の部分と、額縁領域PAの一部が示されている。
図2では、断面構造を見易くするため、一部の層のハッチングを省略している(後述の
図3~
図7においても同様)。
【0024】
図2に示すように、検出装置1は、薄膜トランジスタTFTを含むTFT層100と、TFT層100上に設けられるOPD層200と、OPD層200上に設けられる封止構造300と、を有する。
【0025】
TFT層100は、基板110と、基板110上に設けられるバリア無機層120とを有する。基板110は、例えば、ガラス基板と、その上に設けられる樹脂基板との二層構造であるとよい。樹脂基板は、例えば、ポリイミドにより形成されるとよい。ただし、これに限られず、基板110は、ガラス基板を有しておらず、可撓性を有する樹脂基板のみから成るものであってもよい。バリア無機層120は複数の層から成る積層構造であってもよい。TFT層100は、薄膜トランジスタTFTを形成する箇所に合わせて付加層125を有してもよい。
【0026】
薄膜トランジスタTFTは、半導体層131と、ゲート電極132と、ソース電極133と、ドレイン電極134と、を有する。半導体層131とゲート電極132との間には、ゲート絶縁層140が設けられている。ゲート絶縁層140としてはシリコン酸化層を用いるとよい。ゲート電極132上には、層間絶縁層150が形成されている。層間絶縁層150は、シリコン窒化層及びシリコン酸化層が積層した構造をとるとよい。
【0027】
層間絶縁層150を覆うように平坦化層160が設けられている。平坦化層160は、表面の平坦性に優れる感光性アクリル等の樹脂から成るとよい。平坦化層160は、OPD層200とTFT層100とを電気的に接続する部分において除去されているとよい。また、平坦化層160の端部は額縁領域PAに位置しているとよい。また。平坦化層160は、額縁領域PAにおいて部分的に除去されているとよい。平坦化層160の上に絶縁層170が設けられているとよい。さらに、絶縁層170上には無機材料から成る無機絶縁層180が設けられているとよい。無機絶縁層180は、OPD層200に含まれる下部電極210を露出させるように、下部電極210上にも設けられているとよい。また、無機絶縁層180は、額縁領域PAにおいて、平坦化層160上に設けられているとよい。
【0028】
OPD層200は光検出センサを含む層である。光検出センサは、絶縁層170上に設けられる下部電極210と、下部電極210上に設けられる有機層220と、有機層220上に設けられる上部電極230とで構成される。有機層220は、光電変換層として機能する層である。上部電極230は、各画素に跨って設けられる共通電極である。下部電極210は、各画素それぞれに対応して設けられており、TFT層100のドレイン電極134と電気的に接続している。
【0029】
封止構造300は、上部電極230上に設けられる第1無機層310と、第1無機層310上に設けられる第1樹脂層である第1透明樹脂層320と、第1透明樹脂層320上に設けられる第2無機層330と、第2無機層330上に設けられる第2樹脂層である第2透明樹脂層340と、を有する。なお、第1無機層310、第1透明樹脂層320、第2無機層330、及び第2透明樹脂層340はいずれも光透過性を有する層であるとよい。
【0030】
第1無機層310の端部(
図2において不図示)は、有機層220の端部220eよりも外側に位置している。すなわち、第1無機層310の端部は、額縁領域PAに位置している。また、第1無機層310は、有機層220の端部220eに接している。また、第1無機層310は、有機層220の端部220eの外側で無機絶縁層180に接している。
【0031】
また、第2無機層330は、額縁領域PAにおいて、第1無機層310上に接している。このように、封止構造300においては、無機材料からなる複数層により、有機層220に外部から水分が侵入することを抑制している。
【0032】
また、
図2に示すように、額縁領域PAにおいては、平坦化層160と、平坦化層160に沿うように形成される無機絶縁層180により壁部165が形成されている。壁部165は、額縁領域PAにおいて形成された平坦化層160の一部が除去され、平坦化層160の残存した部分の上に無機絶縁層180が設けられることで形成されるとよい。壁部165は、OPD層200及び封止構造300を構成する樹脂材料が、それら層を形成する際に額縁領域PAよりも外側に漏れ出すことを塞き止めるために形成されている。
図2においては、壁部165が外側に向けて並んで4つ形成される例を示すが、壁部165の数はこれに限られない。また、壁部165は設けられていなくてもよい。すなわち、平坦化層160は額縁領域PAに設けられていなくてもよい。
【0033】
図2に示すように、本実施形態においては、第1無機層310及び第2無機層330は、額縁領域PAにおいて壁部165の形状に沿うように形成されている。このように、複数の壁部165による凹凸に沿うように無機層が形成されることにより、水分に対する遮蔽性がより向上する。また、
図2に示すように、第1透明樹脂層320の端部320eは第2無機層330に覆われているとよい。
【0034】
本実施形態において、封止構造300は、OPD層200を覆うことで有機層220に外部から水分が侵入することを抑制する機能に加えて、光フィルタであるコリメータとしての機能を有している。そのため、封止構造300は、第2透明樹脂層340上に設けられる下地層350と、下地層350上に設けられるレンズであるマイクロレンズ360と、第1無機層310上に設けられる第1遮光層370と、第2無機層330上に設けられる第2遮光層380とを有している。また、第1透明樹脂層320及び第2透明樹脂層340は、高透過率かつ低透湿の材料から成るとよい。
【0035】
下地層350は、有機材料から成るとよい。下地層350として有機材料を用いることにより、マイクロレンズ360との密着性が向上する。また、マイクロレンズ360の加工性が向上する。また、下地層350は無機材料から成るものであってもよい。下地層350として無機材料を用いることにより、水分に対する遮蔽性をより一層向上させることができる。また、下地層350は、コリメータにおける焦点距離を調整する層としても機能するとよい。
【0036】
第1遮光層370には、OPD層200に光が入射することを許容する第1開口H1が形成されている。第2遮光層380には、OPD層200に光が入射することを許容する第2開口H2が形成されている。第2開口H2の開口幅は、第1開口H1の開口幅よりも大きいとよい。第1開口H1及び第2開口H2は、平面視において円形であるとよい。この場合、平面視における第2開口H2の直径は、第1開口H1の直径よりも大きいとよい。
【0037】
第1遮光層370及び第2遮光層380は、光の入射を遮断する樹脂又は金属から成るとよい。例えば第1遮光層370は、薄膜の金属で構成することで加工が容易となり、幅の小さい開口を形成しやすくなる。一方第2遮光層380は厚膜の黒色の樹脂で構成することで外部からの不要な光を遮蔽しやすくなる。
【0038】
第1遮光層370及び第2遮光層380は、指等の被検出体で反射された光のうち法線方向に進行する成分を第1開口H1及び第2開口H2を通じてOPD層200に入射させると共に、斜め方向に進行する成分を遮蔽する。
【0039】
マイクロレンズ360は凸レンズである。マイクロレンズ360は、平面形状が円形であって、その直径は第2開口H2も大きく、平面視において第2開口H2と重なるように設けられているとよい。なお、これに限られず、マイクロレンズ360は、平面視において少なくとも一部が第1開口H1及び第2開口H2と重なるように設けられているとよい。指等の被検出体で反射された光等のうち一部は、マイクロレンズ360で集光され、第2開口H2及び第1開口H1を通過してOPD層200に入射することとなる。
【0040】
また、封止構造300は、
図2に示すように、特定の波長の光を遮蔽するフィルタ層375を第1遮光層370上に有していてもよい。フィルタ層375は、第1遮光層370の第1開口H1の内側にも設けられているとよい。フィルタ層375は、例えば、IR(赤外線)カットフィルタであるとよい。
【0041】
以上説明したように、本実施形態においては、封止構造300に光フィルタの機能を持たせた。言い換えると、本来、光フィルタにおいて遮光性を確保するための層厚調整層として機能するに過ぎない第1無機層310、第1透明樹脂層320、第2無機層330、及び第2透明樹脂層340に、有機層220に外部から水分が侵入することを抑制する機能を持たせた。このため、別途光フィルタが積層される構成に比較して、検出装置1の厚みを薄くすることができる。また、光フィルタを構成する層に別の機能を付与することで、光フィルタを構成する層を有効利用することができる。
【0042】
なお、
図2においては、額縁領域PAにおいて、検出領域DAを囲うように形成されるカットラインCLが形成されている例を示している。カットラインCLにおいては、基板110よりも上の層が除去されている。ただし、額縁領域PAの構成は図示のものに限られない。
【0043】
[第1変形例]
次に、
図3を参照して、本実施形態の第1変形例に係る検出装置について説明する。
図3は、第1変形例に係る検出装置を示す断面図である。
図3においては、
図2で示した断面図に対応する部分を示している。
図2を参照して説明した層と同様の機能を有する層については同じ符号を用いて、その詳細な説明について省略する。以下、
図2を参照して説明した構成と異なる構成について主に説明する。
【0044】
上記
図2においては、第2無機層330が額縁領域PAにおいてカットラインCLよりも外側に延びている例を示したが、第1変形例においては、
図3に示すように、第2無機層330の端部330eがカットラインCLよりも内側で第1無機層310と接している例について説明する。また、第1変形例においては、下地層350は無機材料から成るとよい。
【0045】
第1変形例において、第2無機層330の端部330eは、額縁領域PAにおいて第1無機層310に接している。さらに、下地層350が、額縁領域PAにおいて第1無機層310に接している。すなわち、額縁領域PAにおいては、第2無機層330の端部330eよりも外側において、下地層350が第1無機層310に接している。このような構成を採用するため、有機層220に外部から水分が侵入することを抑制できる。また、
図3に示すように、第1透明樹脂層320の端部320eは第2無機層330の端部330eに覆われているとよい。
【0046】
[第2変形例]
次に、
図4を参照して、本実施形態の第2変形例に係る検出装置について説明する。
図4は、第2変形例に係る検出装置を示す断面図である。
図4においては、
図2で示した断面図に対応する部分を示している。なお、
図2を参照して説明した層と同様の機能を有する層については同じ符号を用いて、その詳細な説明について省略する。以下、
図2を参照して説明した構成と異なる構成について主に説明する。
【0047】
第2変形例においては、額縁領域PAに壁部165が形成されていない。また、額縁領域PAにおいて、層間絶縁層150に接して無機絶縁層180が設けられている。
【0048】
また、額縁領域PAにおいて、第1無機層310、第1透明樹脂層320、第2無機層330、第2透明樹脂層340、及び下地層350はそれぞれ、外側に向かうに従い段階的に下方に下がるように積層されている。
【0049】
また、第1無機層310の端部310e、第1透明樹脂層320の端部320e、第2無機層330の端部330e、第2透明樹脂層340の端部340e、及び下地層350の端部はそれぞれ、有機層220の端部220eの外側に位置している。また、第1無機層310の端部310e、第1透明樹脂層320の端部320e、第2無機層330の端部330e、第2透明樹脂層340の端部340e、及び下地層350の端部それぞれ額縁領域PAに位置すると共に、無機絶縁層180に接している。第2変形例においては、下地層350は無機材料から成るとよい。
【0050】
以上説明した第2変形例においては、本実施形態及び第1変形例と同様に、封止構造300により有機層220の端部220eを覆う構成を採用している。さらに、無機材料から成る下地層350が無機絶縁層180に接する構成を採用している。このような構成を採用することにより、有機層220に外部から水分が侵入することを抑制できる。また、
図2で示した壁部165が設けられていないことより、額縁領域PAにおける封止構造300の構造が簡易であり、その成形が容易である。
【0051】
[他の変形例]
さらに、
図5~
図7を参照して、本実施形態の他の変形例に係る検出装置について説明する。
図5は、第3変形例に係る検出装置を示す断面図である。
図6は、第4変形例に係る検出装置を示す断面図である。
図7は、第5変形例に係る検出装置を示す断面図である。
図5~
図7においては、
図2及び
図3で示した断面図に対応する部分を示している。なお、
図2及び
図3を参照して説明した層と同様の機能を有する層については同じ符号を用いて、その詳細な説明について省略する。以下、
図2及び
図3を参照して説明した構成と異なる構成について主に説明する。
【0052】
図5に示すように、第3変形例に係る検出装置は、
図2で示した検出装置1と同様に、壁部165が形成されている。また、額縁領域PAにおいて、第1無機層310と第2無機層330とが接している。第3変形例に係る検出装置は、
図2で示した検出装置1と異なり、第2透明樹脂層340が壁部165に沿って設けられる第2無機層330を覆うと共に、カットラインCLよりも外側まで延びている。また、下地層350が、第2透明樹脂層340上に設けられると共に、カットラインCLよりも外側まで延びている。それにより、額縁領域PAの厚みは、検出領域DAの厚みとほぼ同じとなっている。
【0053】
図6に示すように、第4変形例に係る検出装置は、
図3で示した検出装置1と同様に、壁部165が形成されている。また、額縁領域PAにおいて、第1無機層310と第2無機層330とが接している。第4変形例に係る検出装置は、
図3で示した検出装置1と異なり、下地層350が壁部165に沿って設けられる第1無機層310を覆うと共に、カットラインCLよりも外側まで延びている。それにより、額縁領域PAの厚みは、検出領域DAの厚みとほぼ同じとなっている。なお、第4変形例においては、下地層350は有機材料から成るとよい。
【0054】
図7に示すように、第5変形例に係る検出装置は、
図2で示した検出装置1と同様に、壁部165が形成されている。また、額縁領域PAにおいて、第1無機層310と第2無機層330とが接している。第5変形例に係る検出装置は、下地層350が壁部165に沿って設けられる第2無機膜330を覆うと共に、カットラインCLよりも外側まで延びている。それにより、額縁領域PAの厚みは、検出領域DAの厚みとほぼ同じとなっている。なお、第5変形例においては、下地層350は有機材料から成るとよい。
【0055】
[上部基板]
さらに、
図8A~
図8Cを参照して、マイクロレンズ360より上の積層構造を説明する。
図8A~
図8Cは、マイクロレンズ上の積層構造の一例を模式的に示す図である。
図8A~
図8Cに示すように、マイクロレンズ360の上には上部基板390が設けられているとよい。上部基板390は、例えば、マイクロレンズ360の保護基板や、波長変換を行うためのシンチレータであるとよい。
【0056】
図8Aにおいては、膜厚方向に延伸すると共に、マイクロレンズ360と上部基板390との間に空気層Aを形成するスペーサ391が設けられる例を示している。スペーサ391の下端は下地層350上に設けられており、スペーサ391の上端は上部基板390の下面に設けられている。
【0057】
図8Bにおいては、光学用透明粘着シート(OCA:Optical Clear Adhesive)392を用いて、マイクロレンズ360上に上部基板390が貼り付けられる例を示している。
【0058】
図8Cにおいては、マイクロレンズ360を保護層393で覆うと共に、光学用透明粘着シート392を用いて、保護層393上に上部基板390が貼り付けられる例を示している。
【0059】
なお、
図8A~
図8Cで示した構成は、上述の本実施形態及びその変形例に係る検出装置1に適用されるとよい。
【0060】
[その他]
本実施形態及びその変形例においては、封止構造300においてマイクロレンズ360を設けるための下地層350が設けられる例を説明したが、これに限られない。すなわち、下地層350は設けられておらず、マイクロレンズ360が第2透明樹脂層340上に直接設けられていてもよい。また、マイクロレンズ360も必須ではない。
【0061】
また、本実施形態及びその変形例においては、遮光層が2層設けられる例を説明したが、これに限られず、3層以上設けられていてもよい。この場合、遮光層の総数に応じて、封止構造300における透明樹脂層及び無機層を増やすとよい。
【0062】
また、
図2~
図7においては、封止構造300に含まれる各層の端部が額縁領域PAに位置する例を説明したが、これに限られない。少なくとも、封止構造300に含まれる無機材料から成る層の端部が、有機層220の端部220eよりも外側に位置しているとよい。すなわち、封止構造300に含まれる無機材料から成る層の端部は、検出領域DAに位置していてもよい。
【0063】
また、封止構造300は、第1無機層310により封止性能が十分であれば、第2無機層330を有していなくてもよい。また、封止構造300は、第2無機層330上に、さらに透明樹脂層及び無機層を有していてもよい。
【0064】
また、図示は省略するが、検出装置1は、封止構造300上に有機ELディスプレイなどの表示パネルを有していてもよい。
【0065】
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく種々の変形が可能である。例えば、実施形態で説明した構成は、実質的に同一の構成、同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成で置き換えることができる。
【符号の説明】
【0066】
1 検出装置、10 センサ部、20 ゲート線駆動回路、21 信号線選択回路、24 検出回路、26 制御回路、28 電源回路、30 検出制御部、42 検出信号増幅部、43 A/D変換部、44 信号処理部、45 記憶部、46 座標抽出部、47 検出タイミング制御部、100 TFT層、110 基板、120 バリア無機層、131 半導体層、132 ゲート電極、133 ソース電極、134 ドレイン電極、140 ゲート絶縁層、150 層間絶縁層、160 平坦化層、170 絶縁層、180 無機絶縁層、200 OPD層、210 下部電極、220 有機層、230 上部電極、300 封止構造、310 第1無機層、320 第1透明樹脂層、330 第2無機層、340 第2透明樹脂層、350 下地層、360 マイクロレンズ、370 第1遮光層、375 フィルタ層、380 第2遮光層、390 上部基板、391 スペーサ、392 光学用透明粘着シート、393 保護層。