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特開2024-124906ワイヤハーネス、及びコルゲートチューブ保護部材
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  • 特開-ワイヤハーネス、及びコルゲートチューブ保護部材 図1
  • 特開-ワイヤハーネス、及びコルゲートチューブ保護部材 図2
  • 特開-ワイヤハーネス、及びコルゲートチューブ保護部材 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024124906
(43)【公開日】2024-09-13
(54)【発明の名称】ワイヤハーネス、及びコルゲートチューブ保護部材
(51)【国際特許分類】
   H02G 3/04 20060101AFI20240906BHJP
   B60R 16/02 20060101ALI20240906BHJP
【FI】
H02G3/04 081
H02G3/04 068
B60R16/02 623U
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023032885
(22)【出願日】2023-03-03
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】一瀬 広信
【テーマコード(参考)】
5G357
【Fターム(参考)】
5G357DA10
5G357DB03
5G357DC12
5G357DD01
5G357DD05
5G357DD10
5G357DD11
5G357DD20
5G357DG01
5G357DG02
(57)【要約】
【課題】コルゲートチューブとグロメットとを強固に安定して固定可能としたワイヤハーネスを提供すること。
【解決手段】ワイヤハーネス11は、電線部材12と、周方向の一部にスリット21を有し電線部材12の外周を覆うコルゲートチューブ13と、コルゲートチューブ13の長さ方向の端部における外周を覆う筒状部24を有するグロメット15と、筒状部24の外周に締め付けられることで筒状部24をコルゲートチューブ13に固定する結束バンド16と、コルゲートチューブ13の長さ方向の端部における内周に沿って配置されるコルゲートチューブ保護部材17とを備える。コルゲートチューブ保護部材17は、周方向に対向する第1端部34と第2端部35とを含み撓むことによって第1端部34と第2端部35との間から内側に電線部材12を挿入可能な円弧状部31と、第1端部34及び第2端部35の各々から径方向内側に突出する内延部32とを有する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電線部材と、
周方向の一部に長さ方向に沿って延びるスリットを有し、前記電線部材の外周を覆う筒状のコルゲートチューブと、
前記コルゲートチューブの長さ方向の端部における外周を覆う筒状部を有するグロメットと、
前記筒状部の外周に締め付けられることで前記筒状部を前記コルゲートチューブに固定する締め付け部材と、
前記コルゲートチューブの長さ方向の端部における内周に沿って配置されるコルゲートチューブ保護部材と、を備え、
前記コルゲートチューブ保護部材は、
周方向に対向する第1端部と第2端部とを含み撓むことによって前記第1端部と前記第2端部との間から内側に前記電線部材を挿入可能な円弧状部と、
前記第1端部及び前記第2端部の各々から径方向内側に突出する内延部と、
を有する、
ワイヤハーネス。
【請求項2】
前記内延部は、前記円弧状部の長さ方向の全体に設けられている、
請求項1に記載のワイヤハーネス。
【請求項3】
前記コルゲートチューブ保護部材は、
前記円弧状部から径方向外側に突出しており前記コルゲートチューブと該コルゲートチューブの長さ方向に係合可能な鍔部を有する、
請求項1に記載のワイヤハーネス。
【請求項4】
前記鍔部は、少なくとも前記第1端部及び前記第2端部を含む位置から突出している、
請求項3に記載のワイヤハーネス。
【請求項5】
前記鍔部は、前記円弧状部の外周の全体から突出している、
請求項4に記載のワイヤハーネス。
【請求項6】
前記鍔部は、前記円弧状部の長さ方向の両端部に設けられている、
請求項3に記載のワイヤハーネス。
【請求項7】
コルゲートチューブの長さ方向の端部における内周に沿って配置されるコルゲートチューブ保護部材であって、
周方向に対向する第1端部と第2端部とを含み撓むことによって前記第1端部と前記第2端部との間から内側に電線部材を挿入可能な円弧状部と、
前記第1端部及び前記第2端部の各々から径方向内側に突出する内延部と、を有する、
コルゲートチューブ保護部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ワイヤハーネス、及びコルゲートチューブ保護部材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電線部材とコルゲートチューブとを備えたワイヤハーネスとしては、コルゲートチューブ保護部材を備えたものがある(例えば、特許文献1参照)。コルゲートチューブ保護部材は、薄肉のヒンジ部を介して連結された半円弧状の第1部位及び第2部位を有する。コルゲートチューブ保護部材は、第1部位及び第2部位に設けられた係合部が係合することで筒状とされる。そして、コルゲートチューブ保護部材は、コルゲートチューブの長さ方向の端部における内周に沿って配置されることによって、コルゲートチューブの端部の潰れを防止する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-154015号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のようなコルゲートチューブ保護部材は、薄肉のヒンジ部や係合部が破損し易い。特に、コルゲートチューブの端部における外周にグロメットの筒状部が配置された状態で、筒状部の外周に結束バンドが締め付けられるような構成では、例えば、薄肉のヒンジ部に応力が集中することでヒンジ部が破損してしまう虞がある。また、コルゲートチューブは長さ方向に沿って延びるスリットを有するものがある。このような場合、スリットを構成する一方の端部が他方の端部の内側に潜り込むようにコルゲートチューブが変形してしまうことにより、コルゲートチューブの外径が小さくなってしまう虞がある。このことは、コルゲートチューブからグロメットが外れてしまう原因となる。
【0005】
本開示の目的は、コルゲートチューブとグロメットとを強固に安定して固定可能としたワイヤハーネス、及びコルゲートチューブ保護部材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のワイヤハーネスは、電線部材と、周方向の一部に長さ方向に沿って延びるスリットを有し、前記電線部材の外周を覆う筒状のコルゲートチューブと、前記コルゲートチューブの長さ方向の端部における外周を覆う筒状部を有するグロメットと、前記筒状部の外周に締め付けられることで前記筒状部を前記コルゲートチューブに固定する締め付け部材と、前記コルゲートチューブの長さ方向の端部における内周に沿って配置されるコルゲートチューブ保護部材と、を備え、前記コルゲートチューブ保護部材は、周方向に対向する第1端部と第2端部とを含み撓むことによって前記第1端部と前記第2端部との間から内側に前記電線部材を挿入可能な円弧状部と、前記第1端部及び前記第2端部の各々から径方向内側に突出する内延部と、を有する。
【発明の効果】
【0007】
本開示のワイヤハーネス、及びコルゲートチューブ保護部材によれば、コルゲートチューブとグロメットとを強固に安定して固定できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、一実施形態におけるワイヤハーネスの一部斜視図である。
図2図2は、図1の2-2線に沿った断面図である。
図3図3は、一実施形態におけるコルゲートチューブ保護部材の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
本開示のワイヤハーネスは、
[1]電線部材と、周方向の一部に長さ方向に沿って延びるスリットを有し、前記電線部材の外周を覆う筒状のコルゲートチューブと、前記コルゲートチューブの長さ方向の端部における外周を覆う筒状部を有するグロメットと、前記筒状部の外周に締め付けられることで前記筒状部を前記コルゲートチューブに固定する締め付け部材と、前記コルゲートチューブの長さ方向の端部における内周に沿って配置されるコルゲートチューブ保護部材と、を備え、前記コルゲートチューブ保護部材は、周方向に対向する第1端部と第2端部とを含み撓むことによって前記第1端部と前記第2端部との間から内側に前記電線部材を挿入可能な円弧状部と、前記第1端部及び前記第2端部の各々から径方向内側に突出する内延部と、を有する。
【0010】
同構成によれば、コルゲートチューブ保護部材は、周方向に対向する第1端部と第2端部とを含み撓むことによって内側に電線部材を挿入可能な円弧状部を有するため、電線部材の外側から電線部材を覆うように取り付けることができる。そして、コルゲートチューブ保護部材は、第1端部及び第2端部の各々から径方向内側に突出する内延部を有するため、内延部同士が当接することによって第1端部と第2端部とが径方向にずれつつ周方向にずれてしまうことが防止される。すなわち、例えば、第1端部が第2端部の内側に潜り込むようにして円弧状部の外径が小さくなってしまうことが防止される。よって、締め付け部材が筒状部の外周に締め付けられる際に、コルゲートチューブにおいてスリットを構成する両端部が径方向にずれつつ周方向にずれてしまうことが防止される。すなわち、例えば、コルゲートチューブのスリットを構成する一方の端部が他方の端部の内側に潜り込むようにしてコルゲートチューブの外径が小さくなってしまうことが防止される。また、コルゲートチューブ保護部材は、特に、薄肉のヒンジ部や係止部等を有さない単純な形状であるため、破損し難い。これらのことから、コルゲートチューブの外径が小さくなることに基づいて筒状部が外れ易くなることが抑制され、コルゲートチューブとグロメットとを強固に安定して固定することができる。
【0011】
[2]上記[1]において、前記内延部は、前記円弧状部の長さ方向の全体に設けられていてもよい。
同構成によれば、内延部は、円弧状部の長さ方向の全体に設けられているため、例えば、円弧状部の長さ方向の一部にのみ設けられている場合に比べて、変形し難くなる。よって、コルゲートチューブとグロメットとを強固により安定して固定することができる。
【0012】
[3]上記[1]または上記[2]において、前記コルゲートチューブ保護部材は、前記円弧状部から径方向外側に突出しており前記コルゲートチューブと該コルゲートチューブの長さ方向に係合可能な鍔部を有していてもよい。
【0013】
同構成によれば、コルゲートチューブ保護部材は、円弧状部から径方向外側に突出しておりコルゲートチューブと該コルゲートチューブの長さ方向に係合可能な鍔部を有するため、コルゲートチューブに対する長さ方向の位置ずれが防止される。よって、コルゲートチューブとグロメットとを強固により安定して固定することができる。
【0014】
[4]上記[3]において、前記鍔部は、少なくとも前記第1端部及び前記第2端部を含む位置から突出していてもよい。
同構成によれば、鍔部は、少なくとも第1端部及び第2端部を含む位置から突出しているため、鍔部の端面同士が周方向に当接することによっても第1端部と第2端部とが径方向にずれつつ周方向にずれてしまうことが防止される。よって、コルゲートチューブとグロメットとを強固により安定して固定することができる。
【0015】
[5]上記[4]において、前記鍔部は、前記円弧状部の外周の全体から突出していてもよい。
同構成によれば、鍔部は、円弧状部の外周の全体から突出しているため、例えば、円弧状部の大きな変形を抑制する補強リブとしても大きく貢献する。よって、円弧状部の薄型化を図りながらも、コルゲートチューブとグロメットとを強固により安定して固定することができる。
【0016】
[6]上記[3]から[5]のいずれか1つにおいて、前記鍔部は、前記円弧状部の長さ方向の両端部に設けられていてもよい。
同構成によれば、鍔部は、円弧状部の長さ方向の両端部に設けられているため、例えば、コルゲートチューブ保護部材のコルゲートチューブに対する長さ方向の位置ずれが強固に防止される。
【0017】
本開示のコルゲートチューブ保護部材は、
[7]コルゲートチューブの長さ方向の端部における内周に沿って配置されるコルゲートチューブ保護部材であって、周方向に対向する第1端部と第2端部とを含み撓むことによって前記第1端部と前記第2端部との間から内側に電線部材を挿入可能な円弧状部と、前記第1端部及び前記第2端部の各々から径方向内側に突出する内延部と、を有する。
【0018】
同構成によれば、コルゲートチューブ保護部材は、周方向に対向する第1端部と第2端部とを含み撓むことによって内側に電線部材を挿入可能な円弧状部を有するため、電線部材の外側から電線部材を覆うように取り付けることができる。そして、コルゲートチューブ保護部材は、第1端部及び第2端部の各々から径方向内側に突出する内延部を有するため、内延部同士が当接することによって第1端部と第2端部とが径方向にずれつつ周方向にずれてしまうことが防止される。すなわち、例えば、第1端部が第2端部の内側に潜り込むようにして円弧状部の外径が小さくなってしまうことが防止される。よって、例えば、締め付け部材がグロメットの筒状部の外周に締め付けられることで筒状部がコルゲートチューブに固定される際に、コルゲートチューブにおいてスリットを構成する両端部が径方向にずれつつ周方向にずれてしまうことが防止される。すなわち、例えば、コルゲートチューブのスリットを構成する一方の端部が他方の端部の内側に潜り込むようにしてコルゲートチューブの外径が小さくなってしまうことが防止される。また、コルゲートチューブ保護部材は、特に、薄肉のヒンジ部や係止部等を有さない単純な形状であるため、破損し難い。これらのことから、コルゲートチューブの外径が小さくなることに基づいて筒状部が外れ易くなることが抑制され、コルゲートチューブとグロメットとを強固に安定して固定することができる。
【0019】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示のワイヤハーネスの具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。各図面では、説明の便宜上、構成の一部を誇張又は簡略化して示す場合がある。また、各部分の寸法比率については各図面で異なる場合がある。本明細書における「平行」や「直交」や「真円」は、厳密に平行や直交や真円の場合のみでなく、本実施形態における作用効果を奏する範囲内で概ね平行や直交や真円の場合も含まれる。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0020】
(ワイヤハーネス11の構成)
図1及び図2に示すように、ワイヤハーネス11は、電線部材12と、コルゲートチューブ13と、粘着テープ14と、グロメット15と、締め付け部材としての結束バンド16と、コルゲートチューブ保護部材17とを備える。ワイヤハーネス11は、例えば、車両に設けられる車載機器同士を電気的に接続するために、車両に配策されるものである。
【0021】
(電線部材12の構成)
電線部材12は、例えば、1本又は複数本であって、本実施形態では、2本の電線18を有している。
【0022】
図2に示すように、電線18は、導電性を有する芯線19と、芯線19の外周を囲うとともに絶縁性を有する絶縁被覆20とを有する被覆電線である。芯線19としては、例えば、複数の金属素線を撚り合わせてなる撚線や単一の導体からなる単芯線などを用いることができる。単芯線としては、例えば、内部が中実構造をなす柱状の1本の金属棒からなる柱状導体や内部が中空構造をなす筒状導体などを用いることができる。芯線19としては、撚線、柱状導体や筒状導体を組み合わせて用いてもよい。芯線19の材料としては、例えば、銅系やアルミニウム系などの金属材料を用いることができる。
【0023】
絶縁被覆20は、例えば、芯線19の外周面を周方向全周にわたって被覆している。絶縁被覆20は、絶縁性を有する樹脂材料により構成されている。電線18の長さ方向と直交する平面によって電線18を切断した断面形状、つまり電線18の横断面形状は、任意の形状に形成することができる。電線18の横断面形状は、例えば、円形状、半円状、多角形状、正方形状、扁平形状等に形成されている。本実施形態の電線18の横断面形状は、円形状に形成されている。
【0024】
(コルゲートチューブ13の構成)
コルゲートチューブ13は、絶縁性を有する樹脂材料により構成されている。コルゲートチューブ13は、電線部材12の外周を覆う筒状に形成されている。コルゲートチューブ13は、周方向の一部に長さ方向に沿って延びるスリット21を有する。これにより、コルゲートチューブ13は、電線部材12の外側から電線部材12に対して取り付け可能とされている。言い換えると、コルゲートチューブ13は、スリット21を通じて電線部材12に後付け可能とされている。例えば、コルゲートチューブ13は、電線部材12の一部を加工した後に電線部材12の外側から電線部材12の外周を覆うように配置することができる。
【0025】
コルゲートチューブ13は、長さ方向に沿って大径部22と大径部22よりも径の小さい小径部23とが交互に連なって設けられた蛇腹構造を有している。コルゲートチューブ13の材料としては、例えば、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステル、ABS樹脂などの合成樹脂を用いることができる。
【0026】
(粘着テープ14の構成)
粘着テープ14は、コルゲートチューブ13の外周に巻き付けられている。粘着テープ14は、コルゲートチューブ13の長さ方向の全体に巻き付けられている。また、本実施形態の粘着テープ14は、粘着テープ14の幅方向の一部分同士が重なるように螺旋状に巻かれている。すなわち、粘着テープ14は、オーバーラップ巻きされている。詳しくは、本実施形態の粘着テープ14は、先に巻かれた粘着テープ14の幅方向の半分に対して、後に巻かれる粘着テープ14の幅方向の半分が重なるように、いわゆるハーフラップ巻きされている。なお、図2では、粘着テープ14の側面を模式的に1つの繋がった円形として図示している。
【0027】
(グロメット15の構成)
図1に示すように、グロメット15は、ゴム材料等よりなり、筒状部24と、本体部25とを有する。筒状部24は、コルゲートチューブ13の長さ方向の端部における外周を覆うように配置される。詳しくは、筒状部24は、コルゲートチューブ13の長さ方向の端部における外周を、粘着テープ14を介して覆うように配置される。本実施形態の本体部25は、筒状部24から徐々に径が大きくなるように形成されている。本体部25は、コルゲートチューブ13の長さ方向の端部から外部に突出した電線部材12を覆うように配置される。本体部25は、例えば、コネクタや車両パネル等に固定され、内部への液体の浸入を阻止する。
【0028】
(結束バンド16の構成)
図2に示すように、結束バンド16は、筒状部24の外周に締め付けられることで筒状部24をコルゲートチューブ13に固定する。詳しくは、結束バンド16は、可撓性を有する柔軟な帯状部26と、帯状部26の長さ方向の端部に設けられているロック部27とを有する。ロック部27は、帯状部26が通された状態で、その通す方向の反対方向である抜き方向への帯状部26の移動を規制して、帯状部26をロックするものである。結束バンド16は、帯状部26が筒状部24の周方向の全体を覆った状態でロック部27に通されることで、筒状部24の外周に締め付けられる。これにより、結束バンド16は、筒状部24、ひいてはグロメット15をコルゲートチューブ13に固定する。
【0029】
(コルゲートチューブ保護部材17の構成)
図1に示すように、コルゲートチューブ保護部材17は、コルゲートチューブ13の長さ方向の端部における内周に沿って配置される。
【0030】
図3に示すように、コルゲートチューブ保護部材17は、円弧状部31と、内延部32と、鍔部33とを有する。コルゲートチューブ保護部材17は、絶縁性を有する樹脂材料により構成されている。言い換えると、円弧状部31と内延部32と鍔部33とを有するコルゲートチューブ保護部材17は、樹脂材料よりなる一体成形品である。
【0031】
図2に示すように、円弧状部31は、筒状に形成されつつ、周方向に対向する第1端部34と第2端部35とを含み、撓むことによって第1端部34と第2端部35との間から内側に電線部材12を挿入可能とされている。すなわち、コルゲートチューブ保護部材17は、電線部材12の外側から電線部材12に対して取り付け可能とされている。言い換えると、コルゲートチューブ保護部材17は、第1端部34と第2端部35との間を通じて電線部材12に後付け可能とされている。なお、本実施形態の円弧状部31は、外力が加えられていない状態で、第1端部34と第2端部35との間に僅かな隙間が形成されるように構成されている。また、円弧状部31の厚みは一定とされている。
【0032】
内延部32は、第1端部34及び第2端部35の各々から径方向内側に突出している。第1端部34から突出する内延部32と第2端部35から突出する内延部32とは、径方向内側に向かって平行に延びている。また、内延部32は、円弧状部31の長さ方向の全体に設けられている。
【0033】
鍔部33は、円弧状部31から径方向外側に突出している。鍔部33は、コルゲートチューブ13と該コルゲートチューブ13の長さ方向に係合可能とされている。鍔部33は、コルゲートチューブ13における小径部23同士の間から大径部22と対応した部位に入り込むことによって、コルゲートチューブ13と該コルゲートチューブ13の長さ方向に係合する。
【0034】
鍔部33は、少なくとも第1端部34及び第2端部35を含む位置から突出している。本実施形態の鍔部33は、円弧状部31の外周の全体から突出している。また、鍔部33は、円弧状部31の長さ方向の両端部に設けられている。
【0035】
そして、グロメット15の筒状部24は、コルゲートチューブ保護部材17が配置されている部位と対応した位置においてコルゲートチューブ13の外周を覆うように配置された状態で、その外周が結束バンド16に締め付けられている。
【0036】
次に、上記したワイヤハーネス11の作用について説明する。
上記したワイヤハーネス11では、まず電線部材12の外側にコルゲートチューブ保護部材17が配置される。そして、次に、コルゲートチューブ保護部材17の外側にコルゲートチューブ13が配置される。そして、次に、コルゲートチューブ13の外側に粘着テープ14が巻き付けられる。そして、次に、粘着テープ14の外側にグロメット15の筒状部24が配置される。そして、筒状部24の外側に結束バンド16が締め付けられる。この際、コルゲートチューブ13の外周に大きな外力が加わるが、コルゲートチューブ保護部材17によってコルゲートチューブ13の変形は阻止される。なお、コルゲートチューブ13の外周には粘着テープ14が巻き付けられているが、粘着テープ14の粘着力のみでコルゲートチューブ13の変形を阻止することは難しい。
【0037】
次に、上記実施形態の効果を以下に記載する。
(1)コルゲートチューブ保護部材17は、周方向に対向する第1端部34と第2端部35とを含み撓むことによって内側に電線部材12を挿入可能な円弧状部31を有するため、電線部材12の外側から電線部材12を覆うように取り付けることができる。コルゲートチューブ保護部材17は、第1端部34及び第2端部35の各々から径方向内側に突出する内延部32を有するため、内延部32同士が当接することによって第1端部34と第2端部35とが径方向にずれつつ周方向にずれてしまうことが防止される。すなわち、例えば、第1端部34が第2端部35の内側に潜り込むようにして円弧状部31の外径が小さくなってしまうことが防止される。よって、結束バンド16が筒状部24の外周に締め付けられる際に、コルゲートチューブ13においてスリット21を構成する両端部が径方向にずれつつ周方向にずれてしまうことが防止される。すなわち、例えば、コルゲートチューブ13のスリット21を構成する一方の端部が他方の端部の内側に潜り込むようにしてコルゲートチューブ13の外径が小さくなってしまうことが防止される。
【0038】
また、コルゲートチューブ保護部材17は、特に、薄肉のヒンジ部や係止部等を有さない単純な形状であるため、破損し難い。これらのことから、コルゲートチューブ13の外径が小さくなることに基づいて筒状部24が外れ易くなることが抑制され、コルゲートチューブ13とグロメット15とを強固に安定して固定することができる。また、コルゲートチューブ保護部材17は、特に、薄肉のヒンジ部や係止部等を有さない単純な形状であるため、設計や製造が容易となる。また、コルゲートチューブ保護部材17は、内延部32が電線部材12を収容する空間に突出するものの、例えば、円弧状部31の全体を厚くする構成に比べて、電線部材12を収容する空間を広く確保することができる。
【0039】
(2)内延部32は、円弧状部31の長さ方向の全体に設けられているため、例えば、円弧状部31の長さ方向の一部にのみ設けられている場合に比べて、変形し難くなる。よって、コルゲートチューブ13とグロメット15とを強固により安定して固定することができる。
【0040】
(3)コルゲートチューブ保護部材17は、円弧状部31から径方向外側に突出しておりコルゲートチューブ13と該コルゲートチューブ13の長さ方向に係合可能な鍔部33を有する。よって、コルゲートチューブ保護部材17は、コルゲートチューブ13に対する長さ方向の位置ずれが防止される。よって、コルゲートチューブ13とグロメット15とを強固により安定して固定することができる。
【0041】
(4)鍔部33は、第1端部34及び第2端部35を含む位置から突出しているため、鍔部33の端面同士が周方向に当接することによっても第1端部34と第2端部35とが径方向にずれつつ周方向にずれてしまうことが防止される。よって、コルゲートチューブ13とグロメット15とを強固により安定して固定することができる。
【0042】
(5)鍔部33は、円弧状部31の外周の全体から突出しているため、例えば、円弧状部31の大きな変形を抑制する補強リブとしても大きく貢献する。よって、円弧状部31の薄型化を図りながらも、コルゲートチューブ13とグロメット15とを強固により安定して固定することができる。
【0043】
(6)鍔部33は、円弧状部31の長さ方向の両端部に設けられているため、例えば、コルゲートチューブ保護部材17のコルゲートチューブ13に対する長さ方向の位置ずれが強固に防止される。
【0044】
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・上記実施形態では、内延部32は、円弧状部31の長さ方向の全体に設けられているとしたが、これに限定されず、円弧状部31の長さ方向の一部にのみ設けられている構成としてもよい。例えば、内延部32は、円弧状部31の長さ方向の両端部にのみ設けられている構成としてもよい。また、例えば、内延部32は、円弧状部31の長さ方向の中間部にのみ設けられている構成としてもよい。
【0045】
・上記実施形態では、コルゲートチューブ保護部材17は、コルゲートチューブ13の長さ方向に係合可能な鍔部33を有するとしたが、これに限定されず、鍔部33を有していない構成としてもよい。
【0046】
・上記実施形態では、鍔部33は、円弧状部31の外周の全体から突出しているとしたが、これに限定されず、例えば、円弧状部31の外周の一部から突出している構成としてもよい。
【0047】
・上記実施形態では、鍔部33は、第1端部34及び第2端部35を含む位置から突出しているとしたが、これに限定されず、例えば、円弧状部31において第1端部34及び第2端部35を除く位置から突出している構成としてもよい。
【0048】
・上記実施形態では、鍔部33は、円弧状部31の長さ方向の両端部に設けられているとしたが、これに限定されず、例えば、円弧状部31の長さ方向の一方の端部にのみ設けられていてもよいし、円弧状部31の長さ方向の中間部に設けられていてもよい。
【0049】
・上記実施形態では、円弧状部31は、外力が加えられていない状態で、第1端部34と第2端部35との間に僅かな隙間が形成されるように構成されているとしたが、これに限定されず、第1端部34と第2端部35とが接触するように構成してもよい。
【0050】
・上記実施形態では、円弧状部31の厚みは一定であるとしたが、これに限定されず、厚みが異なっていてもよい。例えば、円弧状部31の厚みは、円弧状部31の周方向で異なっていてもよい。また、例えば、円弧状部31の厚みは、円弧状部31の長さ方向で異なっていてもよい。
【0051】
・上記実施形態では、コルゲートチューブ保護部材17は、絶縁性を有する樹脂材料により構成されているとしたが、これに限定されず、例えば、金属材料により構成されていてもよい。
【0052】
・上記実施形態では、締め付け部材として結束バンド16を用いたが、筒状部24の外周に締め付けられることで筒状部24をコルゲートチューブ13に固定することができれば、例えば、結束バンド16を粘着テープ等の他の締め付け部材に変更してもよい。
【0053】
・上記実施形態では、電線部材12は、2本の電線18を有しているとしたが、これに限定されず、例えば、1本の電線18のみを有する構成としてもよいし、3本以上の電線18を有する構成としてもよい。
【0054】
・上記実施形態の電線部材12は、電磁シールド部材を有していてもよい。電磁シールド部材としては、例えば、複数本の電線18の外周を一括して包囲する編組部材などを用いることができる。
【符号の説明】
【0055】
11 ワイヤハーネス
12 電線部材
13 コルゲートチューブ
14 粘着テープ
15 グロメット
16 結束バンド(締め付け部材)
17 コルゲートチューブ保護部材
18 電線
19 芯線
20 絶縁被覆
21 スリット
22 大径部
23 小径部
24 筒状部
25 本体部
26 帯状部
27 ロック部
31 円弧状部
32 内延部
33 鍔部
34 第1端部
35 第2端部
図1
図2
図3