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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024124919
(43)【公開日】2024-09-13
(54)【発明の名称】収穫機
(51)【国際特許分類】
   A01D 25/04 20060101AFI20240906BHJP
   A01D 33/02 20060101ALI20240906BHJP
【FI】
A01D25/04
A01D33/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023032903
(22)【出願日】2023-03-03
(71)【出願人】
【識別番号】501402523
【氏名又は名称】日農機製工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 陽一
【テーマコード(参考)】
2B072
【Fターム(参考)】
2B072AA05
2B072BA04
2B072BA14
2B072BA23
2B072CA15
2B072CA26
2B072DA01
2B072EA08
2B072EA12
2B072GA01
(57)【要約】
【課題】夾雑物の搬送を抑制して作物の収穫効率を向上させる。
【解決手段】リング部60は、第1の方向に直交する水平な第2の方向に延在する第1回転軸40に接続されており、第1回転軸40の周方向に回転可能かつ夾雑物Bを上方から押圧可能である。搬送ローラ71は、第1の方向における第1回転軸40の後方側に配置され、第2の方向に延在する第2回転軸73を中心として第2回転軸73の周方向に回転することによって、掻き込み部50によって搬送された作物Aを第1の方向の後方に搬送する。第2の方向において、リング部60の両側に掘取刃21および掻き込み部50が配置されている。搬送ローラ71は、第2の方向において少なくともリング部60が位置する領域を包含する中央部74における外径が、第2の方向において中央部74の両外側に位置する両端部75,76における外径より小さい。
【選択図】図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平な第1の方向に並んだ作物を収穫可能な収穫機であって、
前記第1の方向の前方への前記収穫機の移動に伴って前記作物を掘り取る掘取刃と、
前記掘取刃によって掘り取られた前記作物を掻き込んで前記第1の方向の後方に搬送する掻き込み部と、
前記第1の方向に直交する水平な第2の方向に延在する第1回転軸に接続されており、該第1回転軸の周方向に回転可能かつ夾雑物を上方から押圧可能なリング部と、
前記第1の方向における前記第1回転軸の後方側に配置され、前記第2の方向に延在する第2回転軸を中心として該第2回転軸の周方向に回転することによって、前記掻き込み部によって搬送された前記作物を前記第1の方向の後方に搬送する搬送ローラとを備え、
前記第2の方向において、前記リング部の両側に前記掘取刃および前記掻き込み部が配置されており、
前記搬送ローラは、前記第2の方向において少なくとも前記リング部が位置する領域を包含する中央部における外径が、前記第2の方向において前記中央部の両外側に位置する両端部における外径より小さい、収穫機。
【請求項2】
前記リング部は、前記第1回転軸の周方向に延在する周面を有し、
前記周面には、前記第2の方向に連続して延在する少なくとも1つの切欠き部が設けられている、請求項1に記載の収穫機。
【請求項3】
前記第2の方向において互いに間隔をあけて配置され、前記第1回転軸を中心として該第1回転軸の周方向に回転可能な、第1円盤部材および第2円盤部材を含む、円盤部材をさらに備え、
前記リング部は、前記第1円盤部材および前記第2円盤部材の各々に間隔をあけつつ前記第1円盤部材および前記第2円盤部材に挟まれて位置し、
前記掘取刃は、前記掘取刃によって掘り取られた前記作物が前記円盤部材に寄って沿うように設けられており、
前記掻き込み部は、前記掘取刃によって掘り取られて前記円盤部材に寄って沿うように位置している前記作物を掻き込んで前記第1の方向の後方に搬送し、
前記中央部は、前記第2の方向において前記第1円盤部材が位置する領域から前記第2円盤部材が位置する領域までの範囲に亘っている、請求項1または請求項2に記載の収穫機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、収穫機に関する。
【背景技術】
【0002】
2畦ビート収穫機の構成を開示した先行技術文献として、特開平11-225526号公報(特許文献1)がある。特許文献1に記載された2畦ビート収穫機は、掘取刃と、側方茎葉クリーナと、下部コンベアとを備える。掘取刃は、ビートを掘り取る。側方茎葉クリーナは、次に掘り取る2畦上に配置されている。下部コンベアは、掘り取られたビートを搬送する。側方茎葉クリーナは、中央ゴムビータと、左側ゴムビータと、右側ゴムビータとを含む。中央ゴムビータは、ビートを掘り取り中の右側の畦から右方1畦目に中心を合わせて設けられている。中央ゴムビータから畦間隔の約1/2を隔てて左側に左側ゴムビータが設けられ、右側に1畦を隔てて右側ゴムビータが設けられている。各ゴムビータを回転させて、ビートの頭部を露出させるように茎葉を移動させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11-225526号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された2畦ビート収穫機においては、作物を掘り取る際、作業速度が速い場合などにおいて側方茎葉クリーナによって夾雑物または土砂などが十分に除去されず、作物とともに畦間の夾雑物または土砂等を掘り取ってしまう場合がある。この場合、収穫機における作物の搬送経路上に夾雑物または土砂等が搬送されて詰まることによって、作物の収穫効率が低下する可能性がある。
【0005】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、夾雑物の搬送を抑制して作物の収穫効率を向上させることができる、収穫機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に基づく収穫機は、水平な第1の方向に並んだ作物を収穫可能である。収穫機は、掘取刃と、掻き込み部と、リング部と、搬送ローラとを備える。掘取刃は、上記第1の方向の前方への収穫機の移動に伴って作物を掘り取る。掻き込み部は、掘取刃によって掘り取られた作物を掻き込んで上記第1の方向の後方に搬送する。リング部は、上記第1の方向に直交する水平な第2の方向に延在する第1回転軸に接続されており、第1回転軸の周方向に回転可能かつ夾雑物を上方から押圧可能である。搬送ローラは、上記第1の方向における第1回転軸の後方側に配置され、上記第2の方向に延在する第2回転軸を中心として第2回転軸の周方向に回転することによって、掻き込み部によって搬送された作物を上記第1の方向の後方に搬送する。上記第2の方向において、リング部の両側に掘取刃および掻き込み部が配置されている。搬送ローラは、上記第2の方向において少なくともリング部が位置する領域を包含する中央部における外径が、上記第2の方向において中央部の両外側に位置する両端部における外径より小さい。
【0007】
本発明の一形態におけるリング部は、第1回転軸の周方向に延在する周面を有する。周面には、上記第2の方向に連続して延在する少なくとも1つの切欠き部が設けられている。
【0008】
本発明の一形態における収穫機は、円盤部材をさらに備える。円盤部材は、上記第2の方向において互いに間隔をあけて配置され、第1回転軸を中心として第1回転軸の周方向に回転可能な、第1円盤部材および第2円盤部材を含む。リング部は、第1円盤部材および第2円盤部材の各々に間隔をあけつつ第1円盤部材および第2円盤部材に挟まれて位置している。掘取刃は、掘取刃によって掘り取られた作物が円盤部材に寄って沿うように設けられている。掻き込み部は、掘取刃によって掘り取られて円盤部材に寄って沿うように位置している作物を掻き込んで上記第1の方向の後方に搬送する。中央部は、上記第2の方向において第1円盤部材が位置する領域から第2円盤部材が位置する領域までの範囲に亘っている。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、夾雑物の搬送を抑制して作物の収穫効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施の形態に係る収穫機の構成を示す側面図である。
図2】本発明の一実施の形態に係る収穫機の構成を示す上面図である。
図3】本発明の一実施の形態に係る収穫機が備える収穫口の構成を示す斜視図である。
図4】本発明の一実施の形態に係る収穫機が備える掘取刃の形状を主に示す斜視図である。
図5】本発明の一実施の形態に係る収穫口の構成を示す側面図である。
図6】本発明の一実施の形態に係る収穫口の構成を示す上面図である。
図7】本発明の一実施の形態に係る収穫機が備える搬送ローラ周辺の構成を示す斜視図である。
図8】本発明の一実施の形態に係る搬送ローラの構成を示す斜視図である。
図9】本発明の一実施の形態に係る収穫口において位置がずれた作物を収穫する状態を示す正面図である。
図10】本発明の一実施の形態に係る収穫機が備えるリング部と夾雑物との位置関係を示す上面図である。
図11】本発明の一実施の形態に係るリング部が夾雑物を押圧(鎮圧)する状態を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施の形態に係る収穫機について図面を参照して説明する。以下の実施の形態の説明においては、図中の同一または相当部分には同一符号を付して、その説明は繰り返さない。
【0012】
なお、図面においては、収穫機の進行方向を第1の方向としてのX方向、収穫機の進行方向に対して鉛直に直交する方向をY方向、収穫機の進行方向に対して水平に直交する方向を第2の方向としてのZ方向とする。また、図面においては、発明の理解を容易にするため、収穫機の構成を一部省略して示している箇所がある。さらに、図面における「前」、「後」、「上」、「下」、「左」および「右」とは、収穫機の進行方向を基準とする用語である。
【0013】
図1は、本発明の一実施の形態に係る収穫機の構成を示す側面図である。図2は、本発明の一実施の形態に係る収穫機の構成を示す上面図である。
【0014】
図1および図2に示すように、本発明の一実施の形態に係る収穫機100は、圃場Fの作物Aを収穫する機体である。
【0015】
圃場Fには、複数列の畦F1が配置されている。本実施の形態においては、複数列の畦F1は、第1の方向(X方向)において並列に並んでいる。複数列の畦F1の間には、畦間F2が位置している。畦間F2は、畦F1より低く位置する地面である。
【0016】
作物Aは、複数列の畦F1に間隔をあけて並んで埋まっている。収穫機100は、畦F1に沿って進行する。収穫機100は、複数列の畦F1に位置する水平な第1の方向(X方向)に並んだ作物Aを収穫可能である。本実施の形態においては、複数列の畦F1において第1の方向(X方向)に並んだ作物Aを同時に収穫可能である。
【0017】
作物Aは、たとえばビートである。なお、作物Aは、ビートに限定されない。作物Aは、セルリアックなどの他の根菜類であってもよい。また、本実施の形態においては、収穫機100による収穫前に、リーフシュレッダなどにより作物Aから生える茎葉を粉砕処理することによって、茎葉が作物Aから分離されている。茎葉は、夾雑物として扱われる。
【0018】
収穫機100は、機体フレーム1と、掘取部2と、搬送部3と、回転搬送部4と、排出コンベア5と、収容部6とを備える。
【0019】
機体フレーム1は、収穫機100の各構成を支持する部材である。機体フレーム1には、車輪が接続されている。機体フレーム1は、回転搬送部4が配置される側とは反対側の第1の方向(X方向)の端部において図示しない車両に接続される。車両が第1の方向(X方向)に進行することによって、収穫機100が牽引される。
【0020】
掘取部2は、作物Aを掘り取る部分である。掘取部2は、機体フレーム1の下方に配置されている。掘取部2は、クリーナ10と、コルタ11と、サブフレーム12と、収穫口20とを含む。
【0021】
クリーナ10は、第1の方向(X方向)における収穫口20の前方に配置されている。クリーナ10は、畦F1上に載置されている夾雑物などの異物を除去する。
【0022】
コルタ11は、XY平面上に延在した円盤状の部材である。コルタ11は、収穫口20の第2の方向(Z方向)の両側に配置されている。コルタ11は、圃場Fに接触しつつ回転可能に構成されている。コルタ11は、作物Aが収穫口20の外側へずれないようにする機能を有する。
【0023】
サブフレーム12は、機体フレーム1の下部に接続されている。サブフレーム12は、搬送部3および収穫口20を支持する。なお、収穫口20の詳細は、後述する。
【0024】
搬送部3は、掘取部2において掘り取られた作物Aを搬送する。搬送部3は、第1搬送経路70と、第2搬送経路80とを含む。
【0025】
第1搬送経路70には、掘取部2において掘り取られた作物Aが載置される。第1搬送経路70は、作物Aを第2搬送経路80へ搬送する。第2搬送経路80は、第1搬送経路70から搬送された作物Aを後方へ搬送する。第2搬送経路80は、上下方向において作物Aをコンベアによって挟み込みながら作物Aを搬送する。
【0026】
回転搬送部4は、作物Aと夾雑物または土砂などの異物とを分別しながら作物Aを収容部6に向かって搬送する。回転搬送部4は、X方向を軸中心としてX方向の周方向に回転する。排出コンベア5は、回転搬送部4から排出された作物Aを収容部6まで搬送する。排出コンベア5上を搬送された作物Aは、収容部6に収容される。上述のように、収穫機100によって作物Aが収穫される。
【0027】
図3は、本発明の一実施の形態に係る収穫機が備える収穫口の構成を示す斜視図である。図4は、本発明の一実施の形態に係る収穫機が備える掘取刃の形状を主に示す斜視図である。図5は、本発明の一実施の形態に係る収穫口の構成を示す側面図である。図6は、本発明の一実施の形態に係る収穫口の構成を示す上面図である。
【0028】
図3図6に示すように、収穫口20は、掘取刃21と、円盤部材30と、第1回転軸40と、掻き込み部50と、リング部60とを有する。
【0029】
掘取刃21は、第1の方向(X方向)の前方への収穫機100の移動に伴って作物Aを掘り取る。掘取刃21は、第1掘取刃22と、第2掘取刃23とを有する。
【0030】
図4に示すように、第1掘取刃22は、先端部22tと、後端部22rと、上端部22uと、下端部22bと、掘取面部22fとを有する。
【0031】
先端部22tは、後端部22rより収穫口20の外側に位置している。上端部22uは、下端部22bより収穫口20の外側に位置している。掘取面部22fは、先端部22tから後端部22rに向かうにしたがって収穫口20の内側に傾斜し、かつ、上端部22uから下端部22bに向かうにしたがって収穫口20の内側に傾斜している。作物Aは、第1掘取刃22のうちの掘取面部22fに接触して掘り取られる。
【0032】
第2掘取刃23は、先端部23tと、後端部23rと、上端部23uと、下端部23bと、掘取面部23fとを有する。第2掘取刃23は、XY平面において第1掘取刃22と鏡面対称の構造を有している。作物Aは、第2掘取刃23のうちの掘取面部23fに接触して掘り取られる。
【0033】
本実施の形態においては、第1掘取刃22および第2掘取刃23は、作物Aが収穫口20から外側にずれることを抑制するために、第2の方向(Z方向)において、互いに向かい合うように配置されている。具体的には、第1掘取刃22の掘取面部22fおよび第2掘取刃23の掘取面部23fが第2の方向(Z方向)において互いに向かい合うように配置されている。
【0034】
掘取刃21は、掘取刃21によって掘り取られた作物Aが円盤部材30に寄って沿うように設けられている。本実施の形態においては、第1掘取刃22によって掘り取られた作物Aが後述する第1円盤部材31に寄って沿うように設けられている。また、第2掘取刃23によって掘り取られた作物Aが後述する第2円盤部材32に寄って沿うように設けられている。
【0035】
円盤部材30は、第1の方向(X方向)に直交する水平な第2の方向(Z方向)において掘取刃21に間隔をあけて並んで配置されている。円盤部材30は、第1回転軸40に接続されている。円盤部材30は、第2の方向(Z方向)に延在する第1回転軸40を中心として第1回転軸40の周方向(図5中のR1方向)に回転可能である。
【0036】
円盤部材30は、第1円盤部材31と、第2円盤部材32とを有する。第1円盤部材31および第2円盤部材32は、第2の方向(Z方向)において互いに間隔をあけて配置されている。具体的には、第1円盤部材31および第2円盤部材32は、第2の方向(Z方向)において畦間F2を跨ぐように互いに間隔をあけて配置されている。
【0037】
第1円盤部材31は、周面部33と、側面部34とを有する。周面部33は、第1円盤部材31の下方において畦間F2に対向する。側面部34は、第1掘取刃21によって掘り取られた作物Aに沿われる部分である。
【0038】
側面部34には、第2の方向(Z方向)に貫通する複数の貫通孔35が第1回転軸40の周方向に並んで設けられている。これにより、第1円盤部材31に圃場Fの土が付着することを抑制することができる。なお、複数の貫通孔35の各々は、作物Aが複数の貫通孔35を通過しないように、作物Aの大きさより小さい開口面積を有することが望ましい。
【0039】
第2円盤部材32は、XY平面において第1円盤部材31と鏡面対称の構造を有している。第2円盤部材32は、周面部36と、側面部37とを有する。側面部37には、貫通孔38が設けられている。
【0040】
第2の方向(Z方向)において、円盤部材30の両側に掘取刃21および掻き込み部50が配置されている。具体的には、第2の方向(Z方向)において、鏡面対称に配置された第1円盤部材31および第2円盤部材32の両外側に掘取刃21および掻き込み部50が配置されている。
【0041】
図3に示すように、掘取刃21を第1の方向(X方向)に並列に2列並べたときに、畦間F2に円盤部材30を配置することによって、掘取刃21により掘り取られた作物Aが畦間F2に入ることを抑制することができる。
【0042】
第1回転軸40は、サブフレーム12に支持されている。第1回転軸40は、第2の方向(Z方向)に延在している。第1回転軸40の第2の方向(Z方向)の端部には、スプロケット41が接続されている。スプロケット41は、図示しないトラクタからの回転動力により回転する。第1回転軸40は、スプロケット41の回転によって、第2の方向(Z方向)の周方向(図5中のR1方向)に回転可能である。なお、他の実施例として、スプロケット41は、モータを動力として回転するプーリーであってもよい。
【0043】
第2の方向(Z方向)において、リング部60の両側に掘取刃21および掻き込み部50が配置されている。本実施の形態においては、第1円盤部材31および第2円盤部材32を間に挟んで、第2の方向(Z方向)においてリング部60の両側に掘取刃21および掻き込み部50が配置されている。
【0044】
掻き込み部50は、掘取刃21と円盤部材30とに挟まれた領域の直上に配置されている。掻き込み部50は、掘取刃21に間隔をあけて配置されている。
【0045】
掻き込み部50は、第1回転軸40に接続されている。掻き込み部50は、第1回転軸40の周方向(図5中のR1方向)に回転可能である。掻き込み部50を円盤部材30などの他の構成と同じ回転軸上に配置することにより、掻き込み部50の回転軸を円盤部材30など他の構成の回転軸と一体化することができるため、効率の良い駆動源の構成にすることができる。なお、掻き込み部50は、他の構成とは別の回転軸によって回転駆動してもよい。
【0046】
掻き込み部50は、パイプ51と、ステー52と、板状部材53とを有する。パイプ51は、第1回転軸40に接続されている。ステー52は、パイプ51の外周部の周方向において等間隔に複数接続されている。ステー52は、第1回転軸40の軸中心から第1回転軸40の径方向の外側に向かって延びている。板状部材53は、複数のステー52の各々の先端に接続されている。
【0047】
掻き込み部50は、掘取刃21によって掘り取られた作物Aを掻き込んで第1の方向(X方向)の後方に搬送する。本実施の形態においては、板状部材53が第1回転軸40を中心として回転し、板状部材53が作物Aに接触することによって、作物Aを掻き込んで第1の方向(X方向)の後方に搬送する。
【0048】
板状部材53は、第1回転軸40の軸方向かつ径方向に延在している。板状部材53は、先端部の形状が傾斜している。具体的には、図6に示すように、板状部材53は、収穫口20の外側53aから内側53bに向かうにしたがって、その先端が第1回転軸40の軸中心から径方向に離れるように傾斜している。これにより、掘取刃21のうちの掘取面部22f,23fに沿うように板状部材53の先端形状を配置することができる。その結果、掻き込み部50の回転に伴って掘取刃21と板状部材53とが隣接した場合、互いの隙間を小さくして、掘取刃21によって掘り取られた作物Aを板状部材53により掻き込みやすくすることができる。
【0049】
リング部60は、第1回転軸40に接続されている。リング部60は、第1回転軸40を中心として第1回転軸40の周方向(図5中のR1方向)に回転可能である。
【0050】
リング部60は、第1円盤部材31および第2円盤部材32の各々に間隔をあけつつ第1円盤部材31および第2円盤部材32に挟まれて位置している。これにより、リング部60と第1回転軸40との接続を解除する場合などにおいて、リング部60と第1回転軸40との接続箇所にアクセスしやすい。
【0051】
リング部60は、第1回転軸40の周方向に延在する周面を有する。周面には、第2の方向(Z方向)に連続して延在する少なくとも1つの切欠き部61が設けられている。
【0052】
リング部60は、夾雑物などの異物を上方から押圧可能である。リング部60によって畦間F2にある夾雑物などの異物を上方から押圧(鎮圧)することにより、第1搬送経路70に夾雑物が搬送されることを抑制することができる。
【0053】
第1搬送経路70は、搬送ローラとしての第1搬送部71と、第2搬送部72とを有する。第1搬送部71は、第2回転軸73を有する。
【0054】
第1搬送部71は、第1の方向(X方向)における第1回転軸40の後方側に配置されている。第1搬送部71は、第2の方向(Z方向)に延在する第2回転軸73を中心として第2回転軸73の周方向に回転することによって、掻き込み部50によって搬送された作物Aを第1の方向(X方向)の後方(図5中のDR1方向)に搬送する。
【0055】
第2搬送部72は、第1搬送部71から搬送された作物Aを第2搬送経路80へ搬送する。本実施の形態における第2搬送部72は、スパイラルローラ群がDR1方向に沿って並ぶことにより構成されている。なお、第2搬送部72は、ベルトコンベアまたはロッドチェーンなどにより構成されていてもよい。
【0056】
図6に示すように、第2搬送部72は、複数の第3回転軸78を有する。複数の第3回転軸78の各々の周面には、らせん部79が配置されている。らせん部79は、第1らせん部79aと、第2らせん部79bとを有する。第1らせん部79aは、第2の方向(Z方向)の左側から見て、第3回転軸78の左側端部から右側端部に向かって反時計回りのらせん形状である。第2らせん部79bは、第2の方向(Z方向)の右側から見て、第3回転軸78の右側端部から左側端部に向かって時計回りのらせん形状である。
【0057】
複数の第3回転軸78が作物Aを後方に搬送するために回転すると、作物Aがらせん部79に引っ掛かりながら搬送される。その結果、作物Aは、X方向の後方、かつZ方向の中央側(図6中のDR2方向)に搬送される。これにより、第1搬送経路70において、第1搬送経路70の外側に作物Aがずれることを抑制することができる。
【0058】
図7は、本発明の一実施の形態に係る収穫機が備える搬送ローラ周辺の構成を示す斜視図である。図8は、本発明の一実施の形態に係る搬送ローラの構成を示す斜視図である。
【0059】
第1搬送部71は、中央部74と、第1外側部75と、第2外側部76と、棒状部材77とをさらに有する。
【0060】
中央部74は、第2の方向(Z方向)において、第1搬送部71の中央に位置している。第1外側部75および第2外側部76は、第2の方向(Z方向)において中央部74の両外側に位置している。具体的には、第1外側部75は、第1搬送部71の左側に位置している。第2外側部76は、第1搬送部71の右側に位置している。
【0061】
中央部74は、第2の方向(Z方向)において少なくともリング部60が位置する領域を包含している。具体的には、中央部74は、第2の方向(Z方向)においてリング部60の幅を包含している。本実施の形態における中央部74は、第2の方向(Z方向)において第1円盤部材31が位置する領域から第2円盤部材32が位置する領域までの範囲に亘っている。なお、第2の方向(Z方向)におけるリング部60の幅が径方向(XY平面上のリング部60の延在方向)に沿って変化する場合には、中央部74は、リング部60の最外周部分における幅を包含していればよい。
【0062】
棒状部材77は、第2の方向(Z方向)に延在している。棒状部材77は、第1外側部75および第2外側部76の外周部に周期的に複数固定されている。棒状部材77は、第1搬送部71上の作物Aを引っ掛けて後方に搬送しやすくする機能を有している。
【0063】
図8に示すように、第1搬送部71は、中央部74における外径74Dが、両端部としての第1外側部75および第2外側部76における外径75D,76Dより小さい。
【0064】
第1搬送部71の第2の方向(Z方向)における中央部74の外径74Dが両外側の外径75D,76Dより小さいことにより、圃場Fの地面と第1搬送部71の中央部74との距離を大きく確保することができる。これにより、夾雑物の巻き上げを抑制することができるため、第1搬送部71に夾雑物が搬送されることを抑制することができる。
【0065】
図7に示すように、中央部74は、中央部74とリング部60との隙間G1、および中央部74と第2搬送部72との隙間G2に作物Aが入らないように隙間を狭く設定することが望ましい。本実施の形態においては、第2搬送部72におけるらせん部79によって、作物AがZ方向の中央側に寄りやすい。このため、中央部74周囲の他の構成との隙間を狭くすることによって作物Aが第1搬送経路70から落下することを抑制することができる。
【0066】
なお、搬送ローラとしての第1搬送部は、中央部74が設けられていなくてもよい。この場合、第1搬送部は、第1搬送部71における第1外側部75および第2外側部76が別個の回転軸を有し、当該回転軸により回転可能な構成であることが望ましい。
【0067】
以下、作物Aを収穫する際の収穫機100の動作について説明する。図9は、本発明の一実施の形態に係る収穫口において位置がずれた作物を収穫する状態を示す正面図である。
【0068】
図9に示すように、収穫機100が第1の方向(X方向)の前方に移動することによって、掘取刃21が作物Aを掘り取る。作物Aは、円盤部材30に寄って沿うように第2の方向(Z方向)に移動してずれる。
【0069】
円盤部材30を畦間F2に沿うように配置することによって、第2の方向(Z方向)に位置がずれた作物A’は円盤部材30に堰き止められるため、位置がずれた作物A’が円盤部材30より内側に入り込むことを抑制することができる。その結果、位置がずれた作物A’が畦間に入り込むことを抑制することができる。また、円盤部材30を畦間F2に沿うように配置することによって、ずれた作物A’が第1掘取刃22と第2掘取刃23との間に挟まる、または詰まることを抑制することができる。
【0070】
掻き込み部50は、掘取刃21によって掘り取られて円盤部材30に寄って沿うように位置しているずれた作物A’を掻き込んで第1の方向(X方向)の後方に搬送する。
【0071】
このように、掘取刃21によって掘り取られた作物Aが円盤部材30に寄って沿うように掘取刃21を設けることによって、作物Aの第2の方向(Z方向)の移動を制限しつつ、掻き込み部50により作物Aを第1の方向(X方向)に搬送することができる。これにより、作物Aの収穫漏れを抑制して作物Aの収穫効率を向上させることができる。
【0072】
図10は、本発明の一実施の形態に係る収穫機が備えるリング部と夾雑物との位置関係を示す上面図である。図11は、本発明の一実施の形態に係るリング部が夾雑物を押圧(鎮圧)する状態を示す正面図である。
【0073】
図10および図11に示すように、畦間F2には、作物Aの茎葉または圃場Fの土砂などの夾雑物Bがある。リング部60は、第1回転軸40の周方向に回転可能であり、夾雑物Bを上方から押圧(鎮圧)可能である。
【0074】
リング部60によって畦間F2にある夾雑物Bを上方から押圧(鎮圧)することにより、夾雑物Bの巻き上げを抑制することができる。これにより、第1搬送部71に夾雑物Bが搬送されることを抑制することができる。搬送部3に夾雑物Bが搬送されることが抑制されているため、収穫機100内における作物Aと夾雑物Bとの分離機構を簡素化することができる。
【0075】
仮に、リング部60と第1搬送部71との間に夾雑物Bが挟まった場合でも、切欠き部61に夾雑物Bを引っ掛けることによって、夾雑物Bをリング部60と第1搬送部71との間から掻き出すことができる。
【0076】
本発明の一実施の形態に係る収穫機100においては、リング部60によって畦間F2にある夾雑物Bを上方から押圧(鎮圧)することにより第1搬送部71(搬送ローラ)に夾雑物Bが搬送されることを抑制することができる。また、第1搬送部71(搬送ローラ)の第2の方向(Z方向)における中央部74の外径74Dが第1外側部75および第2外側部76の外径75D,76Dより小さいことにより、地面と第1搬送部71(搬送ローラ)との距離を大きく確保することができる。これにより、第1搬送部71(搬送ローラ)に夾雑物Bが搬送されることを抑制することができる。その結果、夾雑物Bの搬送を抑制して作物Aの収穫効率を向上させることができる。
【0077】
本発明の一実施の形態に係る収穫機100においては、第1の方向(X方向)における第1搬送経路70の前方にリング部60を配置することによって、第1搬送経路70上に夾雑物Bが搬送される前にリング部60によって畦間F2の夾雑物Bを押圧(鎮圧)することができる。これにより、仮に、第1の方向(X方向)における第1搬送経路70の中程または後方に夾雑物Bを除去するための構成が配置されている場合と比較して、第1搬送経路70上における夾雑物Bの搬送を抑制することができる。
【0078】
本発明の一実施の形態に係る収穫機100においては、リング部60の周面に切欠き61を配置することによって、リング部60と第1搬送部71(搬送ローラ)との間に夾雑物Bが挟まった場合でも、切欠き61によって夾雑物Bをリング部60と第1搬送部71(搬送ローラ)との間から掻き出すことができる。
【0079】
本発明の一実施の形態に係る収穫機100においては、掘取刃21によって掘り取られた作物Aが円盤部材30に寄って沿うように掘取刃21を設けることによって、作物Aの第2の方向(Z方向)の移動を制限しつつ作物Aが搬送される第1の方向(X方向)に作物Aを搬送することができる。これにより、作物Aが第2の方向(Z方向)にずれることを抑制することができるため、作物Aの収穫漏れを抑制して作物Aの収穫効率を向上させることができる。
【0080】
なお、本発明の一実施の形態に係る収穫機100において、円盤部材30は設けられていなくてもよい。本発明の一実施の形態に係る収穫機100は、掘取刃21、掻き込み部50、リング部60および第1搬送部71(搬送ローラ)の構成によって、夾雑物Bが第1搬送部71(搬送ローラ)へ搬送されることを抑制して作物Aの収穫効率を向上させることができる。
【0081】
また、今回開示した上記実施の形態はすべての点で例示であって、限定的な解釈の根拠となるものではない。したがって、本開示の技術的範囲は、上記した実施の形態のみによって解釈されるものではない。また、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。上述した実施の形態の説明において、組み合わせ可能な構成を相互に組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0082】
1 機体フレーム、2 掘取部、3 搬送部、4 回転搬送部、5 排出コンベア、6 収容部、10 クリーナ、11 コルタ、12 サブフレーム、20 収穫口、21 掘取刃、22 第1掘取刃、23 第2掘取刃、22b,23b 下端部、22f,23f 掘取面部、22r,23r 後端部、22t,23t 先端部、22u,23u 上端部、30 円盤部材、31 第1円盤部材、32 第2円盤部材、33,36 周面部、34,37 側面部、35,38 貫通孔、40 第1回転軸、41 スプロケット、50 掻き込み部、51 パイプ、52 ステー、53 板状部材、53a 外側、53b 内側、60 リング部、61 切欠き部、70 第1搬送経路、71 第1搬送部(搬送ローラ)、72 第2搬送部、73 第2回転軸、74 中央部、74D,75D,76D 外径、75 第1外側部、76 第2外側部、77 棒状部材、78 第3回転軸、79 らせん部、79a 第1らせん部、79b 第2らせん部、80 第2搬送経路、100 収穫機、A 作物、B 夾雑物、F 圃場、F1 畦、F2 畦間、G1,G2 隙間。
図1
図2
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図4
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図7
図8
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図10
図11