IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社神戸製鋼所の特許一覧

特開2024-124921二酸化炭素排出量演算システム、該方法および該プログラム
<>
  • 特開-二酸化炭素排出量演算システム、該方法および該プログラム 図1
  • 特開-二酸化炭素排出量演算システム、該方法および該プログラム 図2
  • 特開-二酸化炭素排出量演算システム、該方法および該プログラム 図3
  • 特開-二酸化炭素排出量演算システム、該方法および該プログラム 図4
  • 特開-二酸化炭素排出量演算システム、該方法および該プログラム 図5
  • 特開-二酸化炭素排出量演算システム、該方法および該プログラム 図6
  • 特開-二酸化炭素排出量演算システム、該方法および該プログラム 図7
  • 特開-二酸化炭素排出量演算システム、該方法および該プログラム 図8
  • 特開-二酸化炭素排出量演算システム、該方法および該プログラム 図9
  • 特開-二酸化炭素排出量演算システム、該方法および該プログラム 図10
  • 特開-二酸化炭素排出量演算システム、該方法および該プログラム 図11
  • 特開-二酸化炭素排出量演算システム、該方法および該プログラム 図12
  • 特開-二酸化炭素排出量演算システム、該方法および該プログラム 図13
  • 特開-二酸化炭素排出量演算システム、該方法および該プログラム 図14
  • 特開-二酸化炭素排出量演算システム、該方法および該プログラム 図15
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024124921
(43)【公開日】2024-09-13
(54)【発明の名称】二酸化炭素排出量演算システム、該方法および該プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/04 20120101AFI20240906BHJP
   G06Q 10/06 20230101ALI20240906BHJP
   G05B 19/418 20060101ALI20240906BHJP
【FI】
G06Q50/04
G06Q10/06
G05B19/418 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023032912
(22)【出願日】2023-03-03
(71)【出願人】
【識別番号】000001199
【氏名又は名称】株式会社神戸製鋼所
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100111453
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻井 智
(72)【発明者】
【氏名】梅田 豊裕
【テーマコード(参考)】
3C100
5L010
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
3C100AA29
3C100AA68
3C100BB02
3C100BB12
3C100BB15
3C100BB33
5L010AA06
5L049AA06
5L049CC03
5L050CC03
(57)【要約】
【課題】本発明は、所定の期間に完成した全製品における二酸化炭素排出量の総量と前記所定の期間の工場全体における二酸化炭素排出量の総量とを一致させ得る二酸化炭素排出量演算システム、該方法および該プログラムを提供する。
【解決手段】本発明の二酸化炭素排出量演算システムSは、複数の設備を備える工場であって、複数の工程を経て製造される製品を複数の種類で製造できる前記工場におけるCO排出量を求めるシステムであって、所定の期間に前記工場で生じたCO排出量の総量を、工場排出総量として求め、前記所定の期間に完成した製品の製造で前記所定の期間に生じたCO排出量の総量を、製品排出総量として求め、これら求めた工場排出総量と製品排出総量との差を差分量として求め、前記求めた差分量を、前記製品の種類ごとに、または、前記工場の設備ごとに、所定の割合で配賦する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の設備を備える工場であって、複数の工程を経て製造される製品を複数の種類で製造できる前記工場におけるCO排出量を求める二酸化炭素排出量演算システムであって、
所定の期間に前記工場で生じたCO排出量の総量を、工場排出総量として求める工場排出総量演算部と、
前記所定の期間に完成した製品の製造で前記所定の期間に生じたCO排出量の総量を、製品排出総量として求める製品排出総量演算部と、
前記工場排出総量演算部で求めた工場排出総量と前記製品排出総量演算部で求めた製品排出総量との差を差分量として求め、前記求めた差分量を、前記製品の種類ごとに、または、前記工場の設備ごとに、所定の割合で配賦する配賦演算部とを備える、
二酸化炭素排出量演算システム。
【請求項2】
前記配賦演算部は、前記求めた差分量を、前記製品の種類別のCO排出量比で配賦することで、前記求めた差分量を前記製品の種類ごとに所定の割合で配賦する、
請求項1に記載の二酸化炭素排出量演算システム。
【請求項3】
前記配賦演算部は、前記工場排出総量演算部で求めた工場排出総量と前記製品排出総量演算部で求めた製品排出総量との差を前記工場の設備ごとに設備差分量として求め、前記工場の設備それぞれについて、当該設備の設備差分量を、当該設備における製品の種類別のCO排出量比で配賦することで、前記求めた差分量を前記工場の設備ごとに所定の割合で配賦する、
請求項1に記載の二酸化炭素排出量演算システム。
【請求項4】
前記工場排出総量演算部は、前記工場で前記所定の期間に用いられた原料におけるCO排出量の第1総量、および、前記製品に付帯して実施される所定の処理で前記所定の期間に生じたCO排出量の第2総量のうちの少なくとも一方をさらに含めて前記工場排出総量を求め、
前記製品排出総量演算部は、
前記工場排出総量演算部が前記第1総量を含めて前記工場排出総量を求めた場合には、前記所定の期間に完成した製品の製造に用いられる原料におけるCO排出量の第3総量をさらに含めて製品排出総量を求め、
前記工場排出総量演算部が前記第2総量を含めて前記工場排出総量を求めた場合には、前記所定の期間に完成した製品に付帯して実施される所定の処理で前記所定の期間に生じたCO排出量の第4総量をさらに含めて前記製品排出総量を求め、
前記工場排出総量演算部が前記第1および第2総量を含めて前記工場排出総量を求めた場合には、前記第3および第4総量をさらに含めて製品排出総量を求める、
請求項1に記載の二酸化炭素排出量演算システム。
【請求項5】
複数の設備を備える工場であって、複数の工程を経て製造される製品を複数の種類で製造できる前記工場におけるCO排出量を求める二酸化炭素排出量演算方法であって、
所定の期間に前記工場で生じたCO排出量の総量を、工場排出総量として求める工場排出総量演算工程と、
前記所定の期間に完成した製品の製造で前記所定の期間に生じたCO排出量の総量を、製品排出総量として求める製品排出総量演算工程と、
前記工場排出総量演算工程で求めた工場排出総量と前記製品排出総量演算工程で求めた製品排出総量との差を差分量として求め、前記求めた差分量を、前記製品の種類ごとに、または、前記工場の設備ごとに、所定の割合で配賦する配賦演算工程とを備える、
二酸化炭素排出量演算方法。
【請求項6】
複数の設備を備える工場であって、複数の工程を経て製造される製品を複数の種類で製造できる前記工場におけるCO排出量を求める二酸化炭素排出量演算プログラムであって、
コンピュータを、請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の二酸化炭素排出量演算システムとして機能させるための二酸化炭素排出量演算プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二酸化炭素の排出量を求める二酸化炭素排出量演算システム、二酸化炭素排出量演算方法および二酸化炭素排出量演算プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地球環境の保全等の観点から、二酸化炭素の排出量(CO排出量)に関心が寄せられている。このような二酸化炭素の排出量に関する技術は、例えば、特許文献1に開示されている。この特許文献1に開示されたカーボントレーサビリティ管理システムは、外部からの受電電力、受入冷温熱量、自家発設備運転実績、冷温熱設備運転実績を記録管理するユーティリティ管理手段と、資材及び原料使用実績を記録管理する資材管理手段と、製造期間中のファシリティ設備の使用エネルギーを管理記録するファシリティ管理手段と、製品の生産実績を管理する製造実行管理手段と、前記ユーティリティ管理手段、資材管理手段、ファシリティ管理手段、製造実行管理手段に記録管理された各実績から温室効果ガス排出量を計算する排出量算出手段と、該排出量算出手段で算出した温室効果ガス排出量を製品一単位量としての製造ロットに配賦する排出量配賦手段とを有し、ボイラや受電設備、自家発電設備,水道等の一次動力設備と分類されるものに対して、前記一次動力設備からエネルギーの供給を受けて動く動力設備を二次動力設備と分類し、前記一次動力設備と二次動力設備からのエネルギーの供給を受けて動く非動力設備を三次設備と分類するものであり、前記排出量配賦手段は、三次設備の製品ロットに対応する使用状況と、二次設備の製品ロットに対応する使用状況から製品ロットの温室効果ガス排出量を配賦するものであり、前記製造ロットに対して配賦した温室効果ガス排出量を、前記製造ロットの固有データとして管理する排出量管理手段を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5097728号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、前記特許文献1に開示されたカーボントレーサビリティ管理システムは、製造期間における温室効果ガス排出量を製品一単位量としての製造ロットごとに求めることができる。しかしながら、複数の工程を経て製造される製品を、複数の種類で製造可能な工場の場合では、製品の種類によって工程が異なることがあり、製品によっては、複数の期間に亘って製造されることがあるため、今期に完成した全製品における二酸化炭素排出量の総量が今期の工場全体における二酸化炭素排出量の総量と一致しない場合が生じ得る。前記特許文献1に開示されたカーボントレーサビリティ管理システムは、このような場合を想定しておらず、適用することができない。
【0005】
本発明は、上述の事情に鑑みて為された発明であり、その目的は、所定の期間に完成した全製品における二酸化炭素排出量の総量と前記所定の期間の工場全体における二酸化炭素排出量の総量とを一致させ得る二酸化炭素排出量演算システム、二酸化炭素排出量演算方法および二酸化炭素排出量演算プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、種々検討した結果、上記目的は、以下の本発明により達成されることを見出した。すなわち、本発明の一態様にかかる二酸化炭素排出量演算システムは、複数の設備を備える工場であって、複数の工程を経て製造される製品を複数の種類で製造できる前記工場におけるCO排出量を求めるシステムであって、所定の期間に前記工場で生じたCO排出量の総量を、工場排出総量として求める工場排出総量演算部と、前記所定の期間に完成した製品の製造で前記所定の期間に生じたCO排出量の総量を、製品排出総量として求める製品排出総量演算部と、前記工場排出総量演算部で求めた工場排出総量と前記製品排出総量演算部で求めた製品排出総量との差を差分量として求め、前記求めた差分量を、前記製品の種類ごとに、または、前記工場の設備ごとに、所定の割合で配賦する配賦演算部とを備える。好ましくは、上述の二酸化炭素排出量演算システムにおいて、前記工場排出総量演算部は、前記複数の設備それぞれについて、当該設備の使用で前記所定の期間に生じるCO排出量を、設備別排出量として求め、前記求めた複数の設備別排出量の総和を求めることによって、前記工場排出総量を求める。好ましくは、上述の二酸化炭素排出量演算システムにおいて、前記製品排出総量演算部は、前記工程に対応し前記工程の実施に用いられる設備に前記所定の期間での製造でかかる製造負荷の総量と、前記製造負荷の総量に対する当該設備に関するCO排出量の総量とに基づいて、当該設備における単位当たりの単位CO排出量を、前記所定の期間に完成した製品の製造に用いられる複数の工程それぞれに対応する複数の設備それぞれについて、求める設備単位排出量演算部と、前記所定の期間に完成した製品の製造に用いられる複数の工程それぞれに対応する複数の設備それぞれについて、前記設備単位排出量演算部で求めた当該設備における単位当たりの単位CO排出量と、前記所定の期間に完成した製品の製造に対する当該設備に前記所定の期間での製造でかかる製造負荷の総量とに基づいて、前記所定の期間に完成した製品の製造に対する当該設備に関する設備CO排出量を求める設備排出量演算部と、前記所定の期間に完成した製品の製造に用いられる複数の工程それぞれに対応する複数の設備それぞれについて前記設備排出量演算部で求めた設備に関する各設備CO排出量の総和を、前記製品排出総量として求める総量演算部とを備える。
【0007】
このような二酸化炭素排出量演算システムは、工場排出総量と製品排出総量との差の差分量を、製品の種類ごとに、または、工場の設備ごとに、所定の割合で配賦するので、配賦後における工場排出総量と製品排出総量とを一致させることができる。すなわち、上記二酸化炭素排出量演算システムは、所定の期間に完成した全製品における二酸化炭素排出量の総量と前記所定の期間の工場全体における二酸化炭素排出量の総量とを一致させることができる。
【0008】
他の一態様では、上述の二酸化炭素排出量演算システムにおいて、前記配賦演算部は、前記求めた差分量を、前記製品の種類別のCO排出量比で配賦することで、前記求めた差分量を前記製品の種類ごとに所定の割合で配賦する。
【0009】
このような二酸化炭素排出量演算システムは、前記差分量を製品の種類ごとに配賦でき、製品の種類別のCO排出量の合計でも両者間で一致させ得る。
【0010】
他の一態様では、これら上述の二酸化炭素排出量演算システムにおいて、前記配賦演算部は、前記工場排出総量演算部で求めた工場排出総量と前記製品排出総量演算部で求めた製品排出総量との差を前記工場の設備ごとに設備差分量として求め、前記工場の設備それぞれについて、当該設備の設備差分量を、当該設備における製品の種類別のCO排出量比で配賦することで、前記求めた差分量を前記工場の設備ごとに所定の割合で配賦する。
【0011】
このような二酸化炭素排出量演算システムは、前記差分量を工場の設備ごとに配賦でき、設備別のCO排出量の合計でも両者間で一致させ得る。
【0012】
他の一態様では、これら上述の二酸化炭素排出量演算システムにおいて、前記工場排出総量演算部は、前記工場で前記所定の期間に用いられた原料におけるCO排出量の第1総量、および、前記製品に付帯して実施される所定の処理で前記所定の期間に生じたCO排出量の第2総量のうちの少なくとも一方をさらに含めて前記工場排出総量を求め、前記製品排出総量演算部は、前記工場排出総量演算部が前記第1総量を含めて前記工場排出総量を求めた場合には、前記所定の期間に完成した製品の製造に用いられる原料におけるCO排出量の第3総量をさらに含めて製品排出総量を求め、前記工場排出総量演算部が前記第2総量を含めて前記工場排出総量を求めた場合には、前記所定の期間に完成した製品に付帯して実施される所定の処理で前記所定の期間に生じたCO排出量の第4総量をさらに含めて前記製品排出総量を求め、前記工場排出総量演算部が前記第1および第2総量を含めて前記工場排出総量を求めた場合には、前記第3および第4総量をさらに含めて製品排出総量を求める。
【0013】
このような二酸化炭素排出量演算システムは、設備に紐付けできないもののCO排出量を勘案できる。
【0014】
本発明の他の一態様にかかる二酸化炭素排出量演算方法は、複数の設備を備える工場であって、複数の工程を経て製造される製品を複数の種類で製造できる前記工場におけるCO排出量を求める方法であって、所定の期間に前記工場で生じたCO排出量の総量を、工場排出総量として求める工場排出総量演算工程と、前記所定の期間に完成した製品の製造で前記所定の期間に生じたCO排出量の総量を、製品排出総量として求める製品排出総量演算工程と、前記工場排出総量演算工程で求めた工場排出総量と前記製品排出総量演算工程で求めた製品排出総量との差を差分量として求め、前記求めた差分量を、前記製品の種類ごとに、または、前記工場の設備ごとに、所定の割合で配賦する配賦演算工程とを備える。
【0015】
本発明の他の一態様にかかる二酸化炭素排出量演算プログラムは、複数の設備を備える工場であって、複数の工程を経て製造される製品を複数の種類で製造できる前記工場におけるCO排出量を求めるプログラムであって、コンピュータを、これら上述のいずれかに記載の二酸化炭素排出量演算システムとして機能させるためのプログラムである。
【0016】
これら二酸化炭素排出量演算方法および二酸化炭素排出量演算プログラムは、工場排出総量と製品排出総量との差の差分量を、製品の種類ごとに、または、工場の設備ごとに、所定の割合で配賦するので、配賦後における工場排出総量と製品排出総量とを一致させることができる。すなわち、上記二酸化炭素排出量演算方法および該プログラムは、所定の期間に完成した全製品における二酸化炭素排出量の総量と前記期間の工場全体における二酸化炭素排出量の総量とを一致させることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明にかかる二酸化炭素排出量演算システム、二酸化炭素排出量演算方法および二酸化炭素排出量演算プログラムは、所定の期間に完成した全製品における二酸化炭素排出量の総量と前記期間の工場全体における二酸化炭素排出量の総量とを一致させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】実施形態における二酸化炭素排出量演算システムの構成を示す図である。
図2】一例として、製造工程情報テーブルを示す図である。
図3】一例として、製品製造実績情報テーブルを示す図である。
図4】一例として、設備関連実績情報テーブルを示す図である。
図5】一例として、原料使用実績情報テーブルを示す図である。
図6】一例として、単位排出量情報テーブルを示す図である。
図7】一例として、設備に関する設備CO排出量の演算方法を説明するための図である。
図8】一例として、設備における単位当たりの単位CO排出量の演算方法を説明するための図である。
図9】一例として、製品の種類ごとにおける各設備の各CO排出量(各工程の各CO排出量)を説明するための図である。
図10図9に示す各CO排出量を、製品の種類ごとに設備別にマトリクス形式で示す図である。
図11】一例として、工場排出総量、製品排出総量およびこれらの差分量を説明するための図である。
図12】一例として、製品の種類ごとに差分量を配賦する演算方法を説明するための図である。
図13】前記二酸化炭素排出量演算システムの動作を示すフローチャートである。
図14】一例として、工場の設備ごとに差分量を配賦する場合において、製品の種類別のCO排出量比における演算方法を説明するための図である。
図15】一例として、工場の設備ごとに差分量を配賦する演算方法を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して、本発明の1または複数の実施形態が説明される。しかしながら、発明の範囲は、開示された実施形態に限定されない。なお、各図において同一の符号を付した構成は、同一の構成であることを示し、適宜、その説明を省略する。本明細書において、総称する場合には添え字を省略した参照符号で示し、個別の構成を指す場合には添え字を付した参照符号で示す。
【0020】
実施形態における二酸化炭素排出量演算システムは、複数の設備を備える工場(プラント)であって、複数の工程を経て製造される製品を複数の種類で製造できる前記工場における二酸化炭素の排出量(CO排出量)を求めるシステムである。この二酸化炭素排出量演算システムは、工場排出総量演算部と、製品排出総量演算部と、配賦演算部とを備える。前記工場排出総量演算部は、所定の期間に前記工場で生じたCO排出量の総量を、工場排出総量として求める。前記製品排出総量演算部は、前記所定の期間に完成した製品の製造で前記所定の期間に生じたCO排出量の総量を、製品排出総量として求める。前記配賦演算部は、前記工場排出総量演算部で求めた工場排出総量と前記製品排出総量演算部で求めた製品排出総量との差を差分量として求め、前記求めた差分量を、前記製品の種類ごとに、または、前記工場の設備ごとに、所定の割合で配賦する。
【0021】
以下、このような二酸化炭素排出量演算システム、ならびに、これに実装された二酸化炭素排出量演算方法および二酸化炭素排出量演算プログラムについて、より具体的に説明する。ここでは、一例として、多品種の圧延鋼板を製造可能な工場(プラント)を例に、説明するが、工場(プラント)は、複数の設備を備え、複数の工程を経て製造される製品を、複数の種類で製造可能であれば、任意であってよい。二酸化炭素排出量演算システムは、データを入出力する入出力端末装置、種々の演算処理を実行する1または複数の演算処理装置(例えばサーバ装置)および種々のデータを記憶(管理)する1または複数のデータベース装置を相互に通信可能に接続することで構成されてよく、これら入出力端末装置、1または複数の演算処理装置および1または複数のデータベース装置のうちの少なくとも一部が一体に構成され、残余との間で相互に通信可能に接続することで構成されてよいが、ここでは、全てを一体化した二酸化炭素排出量演算装置を例に、二酸化炭素排出量演算システムについて、説明する。
【0022】
図1は、実施形態における二酸化炭素排出量演算システムの構成を示す図である。
【0023】
実施形態における二酸化炭素排出量演算システム(一例としての二酸化炭素排出量演算装置)Sは、例えば、図1に示すように、入力部1と、出力部2と、インターフェース部(IF部)3と、制御処理部4aと、記憶部5とを備える。
【0024】
入力部1は、制御処理部4aに接続され、例えば、演算開始を指示するコマンド等の各種コマンド、および、製品の製造工程や製品の製造実績等の、二酸化炭素排出量演算装置Sを動作させる上で必要な各種データを前記二酸化炭素排出量演算装置Sに入力する機器であり、例えば、キーボードや、マウスや、所定の機能を割り付けられた複数の入力スイッチ等である。出力部2は、制御処理部4aに接続され、制御処理部4aの制御に従って、入力部1から入力されたコマンドやデータおよび演算結果等を出力する機器であり、例えばCRTディスプレイ、LCD(液晶表示装置)および有機ELディスプレイ等の表示装置やプリンタ等の印刷装置等である。
【0025】
なお、入力部1および出力部2は、タッチパネルにより構成されてもよい。このタッチパネルを構成する場合において、入力部1は、例えば抵抗膜方式や静電容量方式等の操作位置を検出して入力する位置入力装置であり、出力部2は、表示装置である。このタッチパネルでは、表示装置の表示面上に位置入力装置が設けられ、表示装置に入力可能な1または複数の入力内容の候補が表示され、ユーザが、入力したい入力内容を表示した表示位置に触れると、位置入力装置によってその位置が検出され、検出された位置に表示された表示内容がユーザの操作入力内容として二酸化炭素排出量演算装置Sに入力される。このようなタッチパネルでは、ユーザは、入力操作を直感的に理解し易いので、ユーザにとって取り扱い易い二酸化炭素排出量演算装置Sが提供される。
【0026】
IF部3は、制御処理部4aに接続され、制御処理部4aの制御に従って、例えば、外部の機器との間でデータを入出力する回路であり、例えば、シリアル通信方式であるRS-232Cのインターフェース回路、Bluetooth(登録商標)規格を用いたインターフェース回路、および、USB規格を用いたインターフェース回路等である。また、IF部3は、例えば、データ通信カードや、IEEE802.11規格等に従った通信インターフェース回路等の、外部の機器と通信信号を送受信する通信インターフェース回路であってもよい。
【0027】
記憶部5は、制御処理部4aに接続され、制御処理部4aの制御に従って、各種の所定のプログラムおよび各種の所定のデータを記憶する回路である。
【0028】
前記各種の所定のプログラムには、例えば、制御処理プログラムが含まれ、前記制御処理プログラムには、例えば、制御プログラム、工場排出総量演算プログラム、製品排出総量演算プログラムおよび配賦量演算プログラム等が含まれる。前記制御プログラムは、二酸化炭素排出量演算装置Sの各部1~3、5を当該各部の機能に応じてそれぞれ制御するものである。前記工場排出総量演算プログラムは、所定の期間に工場で生じたCO排出量の総量を、工場排出総量として求めるものである。前記製品排出総量演算プログラムは、前記所定の期間に完成した製品の製造で前記所定の期間に生じたCO排出量の総量を、製品排出総量として求めるものである。前記配賦量演算プログラムは、前記工場排出総量演算プログラムで求めた工場排出総量と前記製品排出総量演算プログラムで求めた製品排出総量との差を差分量として求め、前記求めた差分量を、前記製品の種類ごとに、または、前記工場の設備ごとに、所定の割合で配賦するものである。前記製品排出総量演算プログラムには、設備単位排出量演算プログラム、設備排出量演算プログラムおよび総量演算プログラム等が含まれる。前記設備単位排出量演算プログラムは、工程に対応し前記工程の実施に用いられる設備に前記所定の期間での製造でかかる製造負荷の総量と、前記製造負荷の総量に対する当該設備に関するCO排出量の総量とに基づいて、当該設備における単位当たりの単位CO排出量(単位当たりの第1単位CO排出量)を、前記所定の期間に完成した製品の製造に用いられる複数の工程それぞれに対応する複数の設備それぞれについて、求めるものである。前記設備排出量演算プログラムは、前記所定の期間に完成した製品の製造に用いられる複数の工程それぞれに対応する複数の設備それぞれについて、前記設備単位排出量演算プログラムで求めた当該設備における単位当たりの単位CO排出量(単位当たりの第1単位CO排出量)と、前記所定の期間に完成した製品の製造に対する当該設備に前記所定の期間での製造でかかる製造負荷の総量とに基づいて、前記所定の期間に完成した製品の製造に対する当該設備に関する設備CO排出量を求めるものである。前記総量演算プログラムは、前記所定の期間に完成した製品の製造に用いられる複数の工程それぞれに対応する複数の設備それぞれについて前記設備排出量演算プログラムで求めた設備に関する各設備CO排出量の総和を、前記製品排出総量として求めるものである。
【0029】
前記各種の所定のデータには、例えば、製造工程情報、製品製造実績情報、設備関連実績情報、原料使用実績情報、単位排出量情報、演算途中の各種演算結果、最終的な演算結果等の、これら各プログラムを実行する上で必要なデータが含まれる。
【0030】
このような記憶部5は、例えば不揮発性の記憶素子であるROM(Read Only Memory)や書き換え可能な不揮発性の記憶素子であるEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)等を備える。そして、記憶部5は、前記所定のプログラムの実行中に生じるデータ等を記憶するいわゆる制御処理部4aのワーキングメモリとなるRAM(Random Access Memory)等を含む。また、記憶部5は、比較的記憶容量の大きいハードディスク装置を備えて構成されてもよい。
【0031】
記憶部5は、製造工程情報、製品製造実績情報、設備関連実績情報、原料使用実績情報および単位排出量情報それぞれを記憶するために、製造工程情報記憶部51、製品製造実績情報記憶部52、設備関連実績情報記憶部53、原料使用実績情報記憶部54および単位排出量情報記憶部55を機能的に備える。
【0032】
図2は、一例として、製造工程情報テーブルを示す図である。図3は、一例として、製品製造実績情報テーブルを示す図である。図3Aは、製品の種類別に生産量を表すテーブルを示し、図3Bは、品種別に原料の種類(原料種)を表すテーブルを示す。図4は、一例として、設備関連実績情報テーブルを示す図である。図5は、一例として、原料使用実績情報テーブルを示す図である。図6は、一例として、単位排出量情報テーブルを示す図である。図6Aは、原料に関わる各種の単位当たりの各単位CO排出量にかかる単位排出量情報テーブルを示し、図6Bは、設備に関わる各種の単位当たりの各単位CO排出量にかかる単位排出量情報テーブルを示す。
【0033】
製造工程情報記憶部51は、製造工程情報を記憶するものである。前記製造工程情報は、製品の種類ごとに、製品の製造工程を表す情報(データ)である。
【0034】
この製造工程情報は、本実施形態では、テーブル形式で製造工程情報記憶部51に記憶されている。この製造工程情報を登録する製造工程情報テーブル100(100-1、100-2、100-3、・・・)は、例えば、図2に示すように、工程の順番を登録する工程順フィールド101(101-1、101-2、101-3、・・・)と、工程順フィールド101に登録された順番の工程の実施に用いられる設備を登録する設備フィールド102(102-1、102-2、102-3、・・・)とを備え、工程ごとにレコードを持つ。前記設備は、工程に対応し前記工程の実施に用いられる設備であり、工場で製造する製品に応じて適宜に決定される。本実施形態では、工場が上述したように、多品種の圧延鋼板を製造可能な工場であるので、前記設備は、例えば、溶解鋳造設備、圧延設備、熱処理設備、切断設備等である。なお、同種の設備は、1または複数であってよい。
【0035】
そして、本実施形態では、製造工程情報テーブル100は、当該種類の当該製品に対する各工程における各実績も登録できるように構成されており、製造工程情報テーブル100は、さらに、工程順フィールド101に登録された順番の工程の実施に用いられる設備で所定の期間に完成した、当該種類の当該製品に対する製造物の総量(実績重量)を登録する重量フィールド103(103-1、103-2、103-3、・・・)と、工程順フィールド101に登録された順番の工程の実施に用いられる設備に前記所定の期間に完成した、当該種類の当該製品に対する製造でかかる総使用時間(総稼動時間、実績時間)を登録する時間フィールド104(104-1、104-2、104b-3、・・・)とを備え、さらに、当該種類の当該製品の出荷量(実績出荷量、生産量(実績生産量))を前記重量フィールド103に登録したレコードを持つ。ここで、本実施形態では、第1番目の工程における重量フィールド103に登録されている実績値は、当該種類の当該製品を前記所定の期間で製造する際に使用した原料の総量でもある。本実施形態では、設備の製造負荷は、前記設備で製造した製造物の製造量および前記設備の使用時間のうちの少なくとも一方で表されるので、重量フィールド103には、前記製造物の製造量の観点による前記製造負荷が登録され、時間フィールド104には、前記使用時間の観点による前記製造負荷が登録されていることにもなる。
【0036】
図2には、製品No「P001」の製品、製品No「P002」の製品および製品No「P003」の各製品に対する製造工程情報テーブル100-1、100-2、100-3が示されているが、もちろん、製品の種類ごとに、製造工程情報テーブルが予め用意され、製造工程情報記憶部51に記憶されている。
【0037】
製品製造実績情報記憶部52は、製品製造実績情報を記憶するものである。前記製品製造実績情報は、製品の種類ごとに、所定の期間に完成した製品の製造量(生産量)を表す情報(データ)である。前記製品製造実績情報は、主に、製品排出総量の演算に利用される。前記所定の期間は、例えば10日間や1ヶ月間や半年間等、ユーザ(オペレータ)によって適宜に予め設定される。
【0038】
この製品製造実績情報は、本実施形態では、テーブル形式で製品製造実績情報記憶部52に記憶されている。この製品製造実績情報を登録する製品製造実績情報テーブル200は、例えば、図3Aに示すように、製品Noを登録する製品Noフィールド201aと、製品Noフィールド201aに登録された製品Noの製品の種類を登録する種類フィールド202aと、前記所定の期間において、製品Noフィールド201aに登録された製品Noの製品の製造量(生産量)を登録する生産量フィールド203aとを備え、製品No(製品の種類)ごとにレコードを持つ。前記製品Noは、製品の種類を特定し、製品の種類を識別するための識別子である。本実施形態では、一例として、前記製品の種類は、製品の仕様ごとに分けられ、したがって、製品Noは、製品の種類(製品の仕様)ごとに付与されている。前記製品の仕様は、本実施形態では、品種および需要家(注文主)で分けられており、別々のタイミングで複数の注文を受けても、品種および需要家が同じであれば、前記複数の注文に同一の製品Noが付与され、前記複数の注文により製造した製品は、1つに纏められる。前記品種は、この例では、鋼板の組成ごとに分類して付与した鋼板の名称である。なお、前記品種は、製造工程に依存する製品の強度や製品の寸法をさらに含む観点から分類されてもよい。このため、本実施形態では、種類フィールド202aは、品種を登録する品種フィールド(品種サブフィールド)2021aと、需要家を登録する需要家フィールド(需要家サブフィールド)2022aとを備える。
【0039】
各レコードの生産量フィールド203に登録された各製造量(各生産量)の総和を求めることで、前記所定の期間において、前記工場で製造した各種の各製品の総量が求められ、図3に示す例では、1500(=800+300+400)[ton]となる。
【0040】
そして、本実施形態では、原料におけるCO排出量も勘案されるので、製品製造実績情報記憶部52には、品種原料情報も記憶される。前記品種原料情報は、品種の製品を製造する場合に用いられる原料を表す情報(データ)である。
【0041】
この品種原料情報は、本実施形態では、テーブル形式で製品製造実績情報記憶部52に記憶されている。この品種原料情報を登録する品種原料情報テーブル200bは、例えば、図3Bに示すように、品種を登録する品種フィールド201bと、品種フィールド201bに登録された品種の製品を製造する場合に用いられる原料を原料の種類(原料種)で登録する原料種フィールド202bとを備え、品種ごとにレコートを持つ。
【0042】
設備関連実績情報記憶部53は、設備関連実績情報を記憶するものである。前記設備関連実績情報は、所定の期間に工場で設備にかかった製造負荷の総量および前記設備の稼働に伴う消費物であって二酸化炭素の排出を伴う前記消費物の各消費量を表すデータである。前記設備関連実績情報は、主に、工場排出総量の演算に利用される。なお、消費量には、金銭の消費(経費)を含んでよい。
【0043】
この設備関連実績情報は、本実施形態では、テーブル形式で設備関連実績情報記憶部53に記憶されている。この設備関連実績情報を登録する設備関連実績情報テーブル300は、例えば、図4に示すように、設備を特定し識別する識別子となる設備名(設備の名前(名称))を登録する設備名フィールド301と、設備名フィールド301に登録された設備名の設備における前記所定の期間での製造負荷の総量を登録する製造負荷フィールド302と、設備名フィールド301に登録された設備名の設備での消費物の消費量を登録する消費フィールド303とを備え、設備(設備名)ごとにレコードを持つ。製造負荷フィールド302は、製造負荷の単位別にサブフィールドを備え、製造負荷を重量[ton](設備での製造物の総量)で表す製造負荷の総量を登録する重量フィールド(重量サブフィールド)3021と、製造負荷を使用時間[hrs](設備での総使用時間)で表す製造負荷の総量を登録する時間フィールド(時間サブフィールド)3022とを備える。消費フィールド303は、消費物の種類別にサブフィールドを備え、設備の稼働で消費するエネルギーの消費量を登録するエネルギーフィールド(エネルギーサブフィールド)3031と、設備で使われる消耗品の消費量を登録する消耗品フィールド(消耗品サブフィールド)3032とを備える。エネルギーフィールド3041は、エネルギーの種類別にサブフィールドをさらに備え、電力の消費量[kWh]を登録する電力フィールド(電力サブフィールド)30311と、液化天然ガス(LNG)の消費量[kg]を登録するLNGフィールド(LNGサブフィールド)30312と、蒸気の消費量[kg]を登録する蒸気フィールド(蒸気サブフィールド)30313とを備える。消耗品フィールド3032は、消耗品の種類別にサブフィールドをさらに備え、化学薬品の消費量を登録する化学薬品フィールド(化学薬品サブフィールド)30321、および、潤滑油の消費量を登録する潤滑油フィールド(潤滑油サブフィールド)30322等を備える。
【0044】
なお、消費物は、上述では、エネルギーおよび消耗品であったが、これらは、例示に過ぎず、工場の種類や設備の種類等に応じた適宜なものであり、この他、例えば、灯油、耐火物、保全工事、工業用水等がある。
【0045】
原料使用実績情報記憶部54は、原料使用実績情報を記憶するものである。前記原料使用実績情報は、所定の期間に工場で使用した原料の使用量を表すデータである。前記原料使用実績情報は、主に、工場排出総量の演算に利用される。
【0046】
この原料使用実績情報は、本実施形態では、テーブル形式で原料使用実績情報記憶部54に記憶されている。この原料使用実績情報を登録する原料使用実績情報テーブル400は、例えば、図5に示すように、原料種を登録する原料種フィールド401と、原料種フィールド401に登録された原料種の原料の使用量を登録する使用量フィールド402とを備え、原料種ごとにレコードを持つ。
【0047】
単位排出量情報記憶部55は、単位排出量情報を記憶するものである。前記単位排出量情報は、上述した製品製造実績情報、設備関連実績情報および原料使用実績情報等の実績値をCO排出量に換算するための係数である単位当たりの単位CO排出量(排出係数)を表すデータである。
【0048】
この単位排出量情報は、本実施形態では、テーブル形式で単位排出量情報記憶部55に記憶されている。この単位排出量情報を登録する単位排出量情報テーブルは、例えば、図6Aおよび図6Bに示すように、2個の第1および第2単位排出量情報テーブル500a、500bを備えて構成されている。なお、単位排出量情報テーブルは、1個のテーブルに纏められてよく、3個以上のテーブルであってもよく、テーブルの個数は、任意である。
【0049】
第1単位排出量情報テーブル500aは、原料における単位当たりのCO排出量(単位当たりの第2単位CO排出量)を登録するテーブルである。この第1単位排出量情報テーブル500aは、例えば、図6Aに示すように、原料種を登録する原料種フィールド501aと、原料種フィールド501aに登録された原料種の原料に対応する単位当たりの第2単位CO排出量を登録する排出係数フィールド502aとを備え、原料種ごとにレコードを持つ。
【0050】
第2単位排出量情報テーブル500bは、各種の単位当たりのCO排出量(単位当たりの第3単位CO排出量)を登録するテーブルであり、本実施形態では、例えば、消費物における単位当たりのCO排出量(消費物単位CO排出量)等である。第2単位排出量情報テーブル500bは、例えば、図6Bに示すように、名称(消費物名等)を登録する名称フィールド501bと、名称フィールド501bに登録された名称の第3単位CO排出量を登録する排出係数フィールド503bと、排出係数フィールド503b登録された第3単位CO排出量の単位を登録する単位フィールド502bとを備え、名称ごとにレコードを持つ。
【0051】
これら各種のデータは、CO排出量の演算開始前に、予め記憶部5に記憶される。前記各種のデータは、入力部1から入力されてよく、前記各種のデータを記憶した記憶媒体(例えばUSBメモリやSDカード(登録商標)等)からIF部3を介して入力されてよく、前記各種のデータを記録した記録媒体(例えばCD-RやDVD-R等)から、そのドライブ装置およびIF部3を介して入力されてよく、前記各種のデータを管理する管理サーバ装置から通信ネットワークおよびIF部3を介して入力されてよい。実績値は、設備等から通信ネットワークおよびIF部3を介して収集され入力されてもよい。
【0052】
図7は、一例として、設備に関する設備CO排出量の演算方法を説明するための図である。図8は、一例として、設備における単位当たりの単位CO排出量の演算方法を説明するための図である。図9は、一例として、製品の種類ごとにおける各設備の各CO排出量(各工程の各CO排出量)を説明するための図である。図9Aは、製品No;「P001」の場合を示し、図9Bは、製品No;「P002」の場合を示し、図9Cは、製品No;「P003」の場合を示す。図10は、図9に示す各CO排出量を、製品の種類ごとに設備別にマトリクス形式で示す図である。図11は、一例として、工場排出総量、製品排出総量およびこれらの差分量を説明するための図である。図12は、一例として、製品の種類ごとに差分量を配賦する演算方法を説明するための図である。
【0053】
図1に戻って、制御処理部4aは、二酸化炭素排出量演算装置Sの各部1~3、5を当該各部の機能に応じてそれぞれ制御し、対象種類の対象製品に関するCO排出量を求めるための回路である。制御処理部4aは、例えば、CPU(Central Processing Unit)およびその周辺回路を備えて構成される。制御処理部4aには、前記制御処理プログラムが実行されることによって、制御部41、工場排出総量演算部42、製品排出総量演算部43および配賦演算部44が機能的に構成され、製品排出総量演算部43には、設備単位排出量演算部431、設備排出量演算部432および総量演算部433が機能的に構成される。
【0054】
制御部41は、二酸化炭素排出量演算装置の各部1~3、5を当該各部の機能に応じてそれぞれ制御し、二酸化炭素排出量演算装置Sの全体の制御を司るものである。
【0055】
工場排出総量演算部42は、所定の期間に前記工場で生じたCO排出量の総量を、工場排出総量として求めるものである。工場排出総量演算部42は、工場における複数の設備それぞれについて、当該設備の使用で前記所定の期間に生じるCO排出量を、設備別排出量として求め、前記求めた複数の設備別排出量の総和を求めることによって、前記工場排出総量を求める。本実施形態では、工場排出総量演算部42は、工場で前記所定の期間に用いられた原料におけるCO排出量の第1総量、および、前記製品に付帯して実施される所定の処理で前記所定の期間に生じたCO排出量の第2総量のうちの少なくとも一方をさらに含めて前記工場排出総量を求める。
【0056】
より具体的には、工場排出総量演算部42は、設備関連実績情報記憶部53に記憶された設備関連実績情報、および、単位排出量情報記憶部55に記憶された単位排出量情報に基づいて工場排出総量を求める。本実施形態では、例えば、前記工場排出総量には、工場で前記所定の期間に用いられた原料におけるCO排出量の第1総量がさらに含められるので、工場排出総量演算部42は、設備関連実績情報記憶部53に記憶された設備関連実績情報、原料使用実績情報記憶部54に記憶された原料使用実績情報、および、単位排出量情報記憶部55に記憶された単位排出量情報に基づいて工場排出総量を求める。
【0057】
より詳しくは、工場排出総量演算部42は、まず、工場における複数の設備それぞれについて、所定の期間に当該設備で生じたCO排出量の総量を、工場設備排出総量として求める。前記工場設備排出総量は、前記所定の期間において、前記設備の稼働に伴う消費物であって二酸化炭素の排出を伴う前記消費物の総量と、前記消費物における単位当たりの第3単位CO排出量とに基づいて、求められる。
【0058】
例えば、設備が設備名「溶解鋳造1」の設備である場合では、工場排出総量演算部42は、まず、設備関連実績情報記憶部53に記憶されている設備関連実績情報から、設備名「溶解鋳造1」の設備の稼働に伴う消費物の消費量を取り出す。図4に示す例では、工場排出総量演算部42は、設備関連実績情報記憶部53に記憶されている設備関連実績情報テーブル300から、設備名フィールド301に、設備名「溶解鋳造1」を登録するレコードを検索して選定し、この選定したレコードにおける消費フィールド303に登録されている消費物の消費量を取り出す。例えば、前記「溶解鋳造1」のレコードから、その電力の消費量として「25000」[kWh]が取り出され、LNGの消費量として「40000」[kg]が取り出され、化学薬品の消費量として、「20000」[千円]が取り出される。続いて、工場排出総量演算部42は、単位排出量情報記憶部55に記憶されている単位排出量情報から、設備名「溶解鋳造1」の設備の稼働に伴う消費物における単位当たりの第3単位CO排出量を取り出す。図6Bに示す例では、工場排出総量演算部42は、単位排出量情報記憶部55に記憶されている第2単位排出量情報テーブル500bから、名称フィールド501bに、「電力」、「LNG」および「化学薬品」それぞれを登録する各レコードを検索して選定し、これら選定した各レコードにおける排出係数フィールド503bおよび単位フィールド502bそれぞれに登録されている電力、LNGおよび化学薬品の単位当たりの各第3単位CO排出量ならびにそれらの各単位を取り出す。電力の第2単位CO排出量(電力単位CO排出量)「0.0005」[tCO2/kWh]が取り出され、LNGの第2単位CO排出量(LNG単位CO排出量)「0.004」[tCO2/kg]が取り出され、化学薬品の第2単位CO排出量(化学薬品単位CO排出量)「0.01」[tCO2/千円]が取り出される。続いて、図7に示すように、工場排出総量演算部42は、電力の消費量「25000」[kWh]にその電力単位CO排出量「0.0005」[tCO2/kWh]を乗算することによって、電力に関するCO排出量の総量「13」[tCO2]を求め、LNGの消費量「40000」[kg]にそのLNG単位CO排出量「0.004」[tCO2/kg]を乗算することによって、LNGに関するCO排出量の総量「160」[tCO2]を求め、化学薬品の消費量「20000」[千円]にその化学薬品単位CO排出量「0.01」[tCO2/千円]を乗算することによって、化学薬品に関するCO排出量の総量「200」[tCO2]を求める。なお、この例では、電力に関するCO排出量の総量は、小数点第1位で四捨五入されている。そして、工場排出総量演算部42は、これら電力に関するCO排出量の総量「13」[tCO2]、LNGに関するCO排出量の総量「160」[tCO2]および化学薬品に関するCO排出量の総量「200」[tCO2]の和(総和)を求めることによって、設備名「溶解鋳造1」の設備における工場設備排出総量「420」[tCO2]を求める。なお、図4および図7に示す例では、設備名「溶解鋳造1」の設備における化学薬品の他の消耗品の図示が省略されており、この省略された消耗品に関するO排出量の総量を含めることによって、設備名「溶解鋳造1」の設備における工場設備排出総量が「420」[tCO2]とされている。同様に、設備名「溶解鋳造2」の設備における工場設備排出総量「160」[tCO2]、設備名「圧延1」の設備における工場設備排出総量「48」[tCO2]、設備名「圧延2」の設備における工場設備排出総量「60」[tCO2]、設備名「圧延3」の設備における工場設備排出総量「56」[tCO2]、設備名「熱処理」の設備における工場設備排出総量「48」[tCO2]、設備名「メッキ」の設備における工場設備排出総量「25」[tCO2]、設備名「切断1」の設備における工場設備排出総量「8」[tCO2]、および、設備名「切断2」の設備における工場設備排出総量「7」[tCO2]それぞれが求められる。
【0059】
そして、工場排出総量演算部42は、工場における複数の設備それぞれについて求めた各工場設備排出総量の和(総和)を求めることによって、前記工場排出総量を求める。図7に示す例では、工場排出総量演算部42は、これら求めた設備名「溶解鋳造1」の設備における工場設備排出総量「420」[tCO2]、設備名「溶解鋳造2」の設備における工場設備排出総量「160」[tCO2]、設備名「圧延1」の設備における工場設備排出総量「48」[tCO2]、設備名「圧延2」の設備における工場設備排出総量「60」[tCO2]、設備名「圧延3」の設備における工場設備排出総量「56」[tCO2]、設備名「熱処理」の設備における工場設備排出総量「48」[tCO2]、設備名「メッキ」の設備における工場設備排出総量「25」[tCO2]、設備名「切断1」の設備における工場設備排出総量「8」[tCO2]、および、設備名「切断2」の設備における工場設備排出総量「7」[tCO2]の和(総和)を求めることによって、前記工場排出総量「832」[tCO2]を求める。
【0060】
本実施形態では、例えば、前記工場排出総量には、工場で前記所定の期間に用いられた原料におけるCO排出量の第1総量がさらに含められる。より具体的には、工場排出総量演算部42は、原料使用実績情報記憶部54に記憶された原料使用実績情報、および、単位排出量情報記憶部55に記憶された単位排出量情報に基づいて、工場で前記所定の期間に用いられた原料におけるCO排出量の第1総量を求め、この求めた前記第1総量を前記工場排出総量にさらに含める。より詳しくは、工場排出総量演算部42は、原料使用実績情報記憶部54に記憶されている原料使用実績情報から、原料種およびその使用量を取り出し、前記取り出した原料種に対応する、原料における第2単位当たりのCO排出量を、単位排出量情報から取り出し、原料種ごとに、その使用量に第2単位当たりのCO排出量を乗算し、この乗算結果の和(総和)を求めることによって、原料におけるCO排出量の第1総量を含める。図5および図6Aに示す例では、原料種「A」およびその使用量「500」[ton]、ならびに、原料種「B」およびその使用量「1500」[ton]が、原料使用実績情報テーブル400から取り出され、原料種「A」の原料における第2単位当たりのCO排出量「1.2」[tCO2/ton]および原料種「B」の原料における第2単位当たりのCO排出量「0.8」[tCO2/ton]が、第1単位排出量情報テーブル500aから取り出され、原料種「A」の原料について、これらの乗算結果「600」(=500×1.2)[tCO2]を求め、原料種「B」の原料について、これらの乗算結果「1200」(=1500×0.8)[tCO2]を求め、これら各乗算結果の和「1800」[tCO2]が、原料におけるCO排出量の第1総量として求められる。工場排出総量演算部42は、上述のように求めた「832」[tCO2]に、この「1800」[tCO2]を加算することによって、前記工場排出総量「2632」[tCO2]を求める。このような演算結果が図11の「(A)期間合計」の欄に記載されている。
【0061】
図1に戻って、製品排出総量演算部43は、前記所定の期間に完成した製品の製造で前記所定の期間に生じたCO排出量の総量を、製品排出総量として求めるものである。
【0062】
製品排出総量演算部43は、製造工程情報記憶部51に記憶されている製造工程情報、製品製造実績情報記憶部52に記憶されている製品製造実績情報、および、単位排出量情報記憶部55に記憶されている単位排出量情報に基づいて製品排出総量を求める。本実施形態では、例えば、前記工場排出総量には、工場で前記所定の期間に用いられた原料におけるCO排出量の第1総量がさらに含められるので、製品排出総量演算部43は、製造工程情報記憶部51に記憶されている製造工程情報、製品製造実績情報記憶部52に記憶されている製品製造実績情報、原料使用実績情報記憶部54に記憶された原料使用実績情報、および、単位排出量情報記憶部55に記憶されている単位排出量情報に基づいて製品排出総量を求める。
【0063】
前記製品排出総量は、本実施形態では、設備単位排出量演算部431、設備排出量演算部432および総量演算部433によって求められる。本実施形態では、製品排出総量演算部43は、前記工場排出総量演算部42が前記第1総量を含めて前記工場排出総量を求めた場合には、前記所定の期間に完成した製品の製造に用いられる原料におけるCO排出量の第3総量をさらに含めて製品排出総量を求める。製品排出総量演算部43は、前記工場排出総量演算部42が前記第2総量を含めて前記工場排出総量を求めた場合には、前記所定の期間に完成した製品に付帯して実施される所定の処理で前記所定の期間に生じたCO排出量の第4総量をさらに含めて前記製品排出総量を求める。製品排出総量演算部43は、前記工場排出総量演算部42が前記第1および第2総量を含めて前記工場排出総量を求めた場合には、前記第3および第4総量をさらに含めて製品排出総量を求める。上述の例では、前記工場排出総量演算部42が前記第1総量を含めて前記工場排出総量を求めているので、製品排出総量演算部43は、前記所定の期間に完成した製品の製造に用いられる原料におけるCO排出量の第3総量をさらに含めて製品排出総量を求める。
【0064】
設備単位排出量演算部431は、工程に対応し前記工程の実施に用いられる設備に前記所定の期間での製造でかかる製造負荷の総量と、前記製造負荷の総量に対する当該設備に関するCO排出量の総量とに基づいて、当該設備における単位当たりの単位CO排出量(単位当たりの第1CO排出量)を、前記所定の期間に完成した製品の製造に用いられる複数の工程それぞれに対応する複数の設備それぞれについて、求めるものである。本実施形態では、設備単位排出量演算部431は、前記所定の期間に完成した製品の製造に用いられる複数の工程それぞれに対応する複数の設備それぞれについて、前記所定の期間において、当該設備の稼働に伴う消費物であって二酸化炭素の排出を伴う前記消費物の総量と、前記消費物における単位当たりの第3単位CO排出量とに基づいて、当該設備に前記所定の期間での製造でかかる製造負荷の総量に対する当該設備に関するCO排出量の総量を、求める。
【0065】
例えば、前記製造負荷の総量は、前記設備で製造した製造物の総量で表され、前記設備単位排出量演算部431は、当該設備で前記所定の期間に製造した製造物の総量と、前記製造物の総量の製造に対する当該設備に関するCO排出量の総量とに基づいて、当該設備における単位当たりの第1単位CO排出量を、前記所定の期間に完成した製品の製造に用いられる複数の工程それぞれに対応する複数の設備それぞれについて、求める。あるいは例えば、前記製造負荷の総量は、前記設備の総使用時間で表され、前記設備単位排出量演算部431は、当該設備に前記所定の期間での製造でかかる総使用時間と、前記総使用時間の使用に対する当該設備に関するCO排出量の総量とに基づいて、当該設備における単位当たりの第1単位CO排出量を、前記所定の期間に完成した製品の製造に用いられる複数の工程それぞれに対応する複数の設備それぞれについて、求める。
【0066】
例えば、設備単位排出量演算部431は、まず、製品製造実績情報記憶部52に記憶されている製品製造実績情報から、前記所定の期間に完成した製品を取り出し、製造工程情報記憶部51に記憶されている製造工程情報から、前記所定の期間に完成した製品の製造に用いられる複数の工程それぞれに対応する複数の設備およびその製造負荷を取り出す。図2および図3Aに示す例では、前記所定の期間に完成した製品として、製品No「P001」の製品、製品No「P002」の製品および製品No「P003」の製品が取り出される。これら製品No「P001」の製品、製品No「P002」の製品および製品No「P003」の製品の製造に用いられる複数の工程それぞれに対応する複数の設備およびその製造負荷として、図8に示すように、設備名「溶解鋳造1」の設備およびその製造負荷「1700」[ton]、設備名「溶解鋳造2」の設備およびその製造負荷「400」[ton]、設備名「圧延1」の設備およびその製造負荷「1380」[ton];120[hrs]、設備名「圧延2」の設備およびその製造負荷「2000」[ton];210[hrs]、設備名「圧延3」の設備およびその製造負荷「900」[ton];120[hrs]、設備名「熱処理」の設備およびその製造負荷「1600」[ton]、設備名「メッキ」の設備およびその製造負荷「840」[ton]、設備名「切断1」の設備およびその製造負荷「800」[ton]、ならびに、設備名「切断2」の設備およびその製造負荷「800」[ton]が取り出される。なお、図2図3Aおよび図8に示す例では、設備名「溶解鋳造1」の設備における製造負荷は、1600(=1040+560)であるが、図2および図3Aには、製品No「P001」の製品、製品No「P002」の製品および製品No「P003」の製品の他の、前記所定の期間に完成した製品の図示が省略されており、この省略された製品の製造で用いられる設備名「溶解鋳造1」の設備における製造負荷を含めることによって、設備名「溶解鋳造1」の設備における製造負荷が「1700」[tCO2]とされている。他も同様である。続いて、設備単位排出量演算部431は、前記製造物の総量の製造に対する当該設備に関するCO排出量の総量を、図7を用いて説明した上述と同様の演算方法によって求める。この演算結果も図8に記載されている。そして、前記製造負荷の総量が前記製造物の総量で表されている場合には、設備単位排出量演算部431は、当該設備で前記所定の期間に製造した製造物の総量で、前記製造物の総量の製造に対する当該設備に関するCO排出量の総量を除算することによって、当該設備における単位当たりの第1単位CO排出量を、前記所定の期間に完成した製品の製造に用いられる複数の工程それぞれに対応する複数の設備それぞれについて、求める((当該設備における単位当たりの第1単位CO排出量)=(前記製造物の総量の製造に対する当該設備に関するCO排出量の総量)/(当該設備で前記所定の期間に製造した製造物の総量))。例えば、設備名「溶解鋳造1」の設備における単位当たりの第1単位CO排出量は、図8に示すように、420[tCO2]/1700[ton]=0.247となる。前記製造負荷の総量が前記総使用時間で表されている場合には、設備単位排出量演算部431は、当該設備に前記所定の期間での製造でかかる総使用時間で、前記総使用時間の使用に対する当該設備に関するCO排出量の総量お除算することによって、当該設備における単位当たりの第1単位CO排出量を、前記所定の期間に完成した製品の製造に用いられる複数の工程それぞれに対応する複数の設備それぞれについて、求める。((当該設備における単位当たりの第1単位CO排出量)=(前記総使用時間の使用に対する当該設備に関するCO排出量の総量)/(当該設備に前記所定の期間での製造でかかる総使用時間))。例えば、設備名「圧延1」の設備における単位当たりの第1単位CO排出量は、図8に示すように、48[tCO2]/120[hr]=0.4となる。なお、図8に示す「レ」は、当該設備で用いる単位当たりの第1単位CO排出量であることを表している。
【0067】
なお、図8では、例えば、設備名「圧延1」の設備における各単位[tCO2/ton]、[tCO2/hr]の各第2単位CO排出量が求められているが、設備名「圧延1」の設備における単位当たりの第2単位CO排出量として用いる一方だけ、取り出されてその単位の第2単位CO排出量が求められてもよい。例えば、設備名「圧延1」の設備において、第2単位CO排出量「0.4」[tCO2/hr]だけが求められてもよい。各単位[tCO2/ton]、[tCO2/hr]の各第2単位CO排出量のうちのいずれかを用いるかは、ユーザ(オペレータ)によって予め適宜に設定される。例えば入力部1から二酸化炭素排出量演算装置Sに入力され設定され、設備単位排出量演算部431は、この設定に応じた単位の第2単位CO排出量を求める。
【0068】
前記設備排出量演算部432は、前記所定の期間に完成した製品の製造に用いられる複数の工程それぞれに対応する複数の設備それぞれについて、前記設備単位排出量演算部431で求めた当該設備における単位当たりの第1単位CO排出量と、前記所定の期間に完成した製品の製造に対する当該設備に前記所定の期間での製造でかかる製造負荷の総量とに基づいて、前記所定の期間に完成した製品の製造に対する当該設備に関する設備CO排出量を求めるものである。製品別および設備別のCO排出量が図9に示されている。図9Aは、製品No[P001]の製品における設備別のCO排出量を示し、図9Bは、製品No[P002]の製品における設備別のCO排出量を示し、図9Cは、製品No[P003]の製品における設備別のCO排出量を示す。例えば、製品No[P001]の製品における設備名「圧延1」の設備におけるCO排出量は、その製造負荷80[hrs]に、設備名「圧延1」の設備における単位当たりの第1単位CO排出量「0.4」[tCO2/hr]を乗算することによって、32[tCO2]となる。なお、図9では、設備別のCO排出量は、小数点第3位を四捨五入した数値で表記されている。そして、図9Aないし図9Cそれぞれに示す製品別および設備別のCO排出量から、設備ごとに和(総和)を求めることによって、図10に示すように、設備に関する設備CO排出量が求められる。例えば、設備名「圧延2」の設備において、図9Aに示す製品No「P001」の設備名「圧延2」の設備におけるCO排出量「34.32」{tCO2}、図9Bに示す製品No「P002」の設備名「圧延2」の設備におけるCO排出量「20.02」(=8.58+11.44){tCO2}、および、図9Cに示す製品No「P003」の設備名「圧延2」の設備におけるCO排出量「11.44」{tCO2}の和「65.78」が、設備名「圧延2」の設備に関する設備CO排出量として求められる。
【0069】
なお、本実施形態では、設備は、上述したように、工程に対応し前記工程の実施に用いられるものであるから、図9Aないし図9Cそれぞれに示す製品別および設備別のCO排出量は、製品別および工程別のCO排出量でもあり、設備名「圧延1」の設備に関する設備CO排出量は、設備名「圧延1」の設備に対応する工程(圧延1の圧延工程(圧延1の圧延処理))に関する工程CO排出量でもある。
【0070】
総量演算部433は、前記所定の期間に完成した製品の製造に用いられる複数の工程それぞれに対応する複数の設備それぞれについて前記設備排出量演算部432で求めた設備に関する各設備CO排出量の総和を、前記製品排出総量として求めるものである。図8ないし図10に示す例では、総量演算部433は、これら求めた設備名「溶解鋳造1」の設備における設備CO排出量「395.20」[tCO2]、設備名「溶解鋳造2」の設備における設備CO排出量「152」[tCO2]、設備名「圧延1」の設備における設備CO排出量「51.2」[tCO2]、設備名「圧延2」の設備における設備CO排出量「65.78」[tCO2]、設備名「圧延3」の設備における設備CO排出量「53.24」[tCO2]、設備名「熱処理」の設備における設備CO排出量「50.4」[tCO2]、設備名「メッキ」の設備における設備CO排出量「22.80」[tCO2]、設備名「切断1」の設備における設備排CO排出量「8」[tCO2]、および、設備名「切断2」の設備における設備CO排出量「6.30」[tCO2]の和(総和)を求めることによって、前記製品排出総量「804.92」[tCO2]を求める。
【0071】
そして、本実施形態では、上述したように、前記工場排出総量には、工場で前記所定の期間に用いられた原料におけるCO排出量の第1総量がさらに含められているので、製品排出総量演算部43の総量演算部433は、前記所定の期間に完成した製品の製造に用いられる原料におけるCO排出量の第3総量をさらに含めて製品排出総量を求める。より具体的には、本実施形態では、製造工程情報テーブル100の第1番目の工程における重量フィールド103に登録されている実績値が、製品を前記所定の期間で製造する際に使用した原料の総量でもあるので、総量演算部433は、製造工程情報記憶部51に記憶された製造工程情報テーブル100、製品製造実績情報記憶部52に記憶されている製品製造実績情報および品種原料情報、および、単位排出量情報記憶部55に記憶された単位排出量情報を用いて、前記所定の期間に完成した製品の製造に用いられる原料におけるCO排出量の第3総量を求め、この求めた前記第3総量を前記製品排出総量にさらに含める。
【0072】
より詳しくは、総量演算部433は、まず、製品製造実績情報記憶部52に記憶されている製品製造実績テーブル200aから、前記所定の期間に完成した製品およびその品種を取り出す。図3Aに示す例では、製品No「P001」;品種「H1」、製品No「P002」;品種「H3」および製品No「P003」;品種「H4」が取り出される。続いて、総量演算部433は、前記所定の期間に完成した製品それぞれについて、当該製品に対応する製造工程情報テーブル100の第1番目の工程における重量フィールド103に登録されている実績値が当該製品における原料の総量として取り出される。図2に示す例では、製品No「P001」における原料の総量「1040」[ton]が取り出され、製品No「P002」における原料の総量「380」[ton]が取り出され、製品No「P003」における原料の総量「560」[ton]が取り出される。続いて、総量演算部433は、前記所定の期間に完成した製品それぞれについて、製品製造実績情報記憶部52に記憶されている品種原料情報から、当該製品における原料の原料種を取り出す。図3Aおよび図3Bに示す例では、製品No「P001」における原料の原料種「B」が取り出され、製品No「P002」における原料の原料種「A」が取り出され、製品No「P003」における原料の原料種「A」が取り出される。続いて、総量演算部433は、原料種ごとに、単位排出量情報記憶部55に記憶されている単位排出量情報から、当該原料種の原料における単位当たりの第2単位CO排出量を取り出す。図6Aに示す例では、原料種「A」の原料における単位当たりの第2単位CO排出量「1.2」[tCO2/ton]および、原料種「B」の原料における単位当たりの第2単位CO排出量「0.8」[tCO2/ton]が取り出される。そして、総量演算部433は、前記所定の期間に完成した製品それぞれについて、当該製品における原料の総量に、当該製品の原料における単位当たりの第2単位CO排出量を乗算することによって、当該製品の原料におけるCO排出量を求め、前記所定の期間に完成した製品それぞれについて求めた各CO排出量の和(総和)を求めることによって、前記原料におけるCO排出量の第3総量を求める。上述の例では、製品No「P001」の製品の原料におけるCO排出量「832」(=1040[ton]×0.8[tCO2/ton])[tCO2]、製品No「P002」の製品の原料におけるCO排出量「456」(=380[ton]×1.2[tCO2/ton])[tCO2]および製品No「P003」の製品の原料におけるCO排出量「672」(=560[ton]×1.2[tCO2/ton])[tCO2]が求められ、これらの和「1960」[tCO2]が前記第3総量として求められる。総量演算部433は、上述のように求めた「804.92」[tCO2]に、この「1960」[tCO2]を加算することによって、前記製品排出総量「2764.92」[tCO2]を求める。このような演算結果が図11の「(B)製品別合計」の欄に記載されている。
【0073】
図1に戻って、配賦演算部44aは、前記工場排出総量演算部42で求めた工場排出総量と前記製品排出総量演算部43で求めた製品排出総量との差を差分量として求め、前記求めた差分量を、前記製品の種類ごとに、または、前記工場の設備ごとに、所定の割合で配賦するものである。本実施形態では、例えば、配賦演算部44aは、前記求めた差分量を、前記製品の種類別のCO排出量比で配賦することで、前記求めた差分量を前記製品の種類ごとに所定の割合で配賦する。
【0074】
例えば、上述の例では、図12に示すように、配賦演算部44aは、まず、前記工場排出総量演算部42で求めた工場排出総量「2632」[tCO2]と前記製品排出総量演算部43で求めた製品排出総量「2764.92」[tCO2]との差分量「-132.92」[tCO2]を求める。続いて、配賦演算部44aは、前記所定の期間に完成した製品ごとに、当該製品のCO排出量比を求める。例えば、製品No「P001」の製品において、この製品の製造に用いられる複数の工程それぞれに対応する複数の設備それぞれについて求めた設備CO排出量の和(総和)「1189.6」(=832+256.88+32+34.32+26.4+8)[tCO2]が求められ、これを製品排出総量「2764.92」[tCO2]で除算することによって製品No「P001」の製品のCO排出量比「0.43」が求められる。そして、配賦演算部44aは、前記所定の期間に完成した製品ごとに、前記求めた差分量に、当該製品のCO排出量比を乗算することによって、当該製品に配賦する配賦量を求め、当該製品に加算する(配賦量が正の場合、前記加算は足し算を意味し、配賦量が負の場合、前記加算は引き算を意味する)。例えば、製品No「P001」の製品において、前記差分量「-132.92」[tCO2]に、製品No「P001」の製品のCO排出量比「0.43」が乗算され、製品No「P001」の製品の配賦量「-57.19」[tCO2]が求められ、製品No「P001」の製品におけるCO排出量「1189.6」[tCO2]に加算される。配賦後の製品No「P001」の製品におけるCO排出量は、「1132.41」(=1189.60-57.19)[tCO2]となる。同様に、製品No「P002」の製品の配賦量「-32.37」[tCO2]が求められ、配賦後の製品No「P002」の製品におけるCO排出量は、「640.9」(=673.27-32.37)[tCO2]となり、製品No「P003」の製品の配賦量「-43.36」[tCO2]が求められ、配賦後の製品No「P003」の製品におけるCO排出量は、「858.69」(=902.05-43.36)[tCO2]となる。したがって、配賦後の製品排出総量は、「2632」(=1132.41+640.9+858.69)[tCO2]となり、工場排出総量と一致することになる。
【0075】
そして、制御部41は、各演算部42、43、44aの各演算結果を出力部2から出力する。例えば、出力部2が表示装置である場合、各演算部42、43、44aの各演算結果が前記表示装置の画面に表示される。あるいは例えば、出力部2が印刷装置である場合、各演算部42、43、44aの各演算結果が前記印刷装置で用紙に印刷され、帳票として出力される。例えば、図9A図9B図9Cおよび図12に示す図が表示画面または帳票として出力される。
【0076】
なお、制御部41は、必要に応じて、各演算部42、43、44aの演算結果をIF部3を介して外部の機器へ出力してもよい。
【0077】
二酸化炭素排出量演算システムの一例としての二酸化炭素排出量演算装置Sにおける入力部1、出力部2、IF部3、制御処理部4aおよび記憶部5は、例えば、デスクトップ型やノート型等のコンピュータによって構成可能である。もちろん、上述したように、二酸化炭素排出量演算システムは、通信可能に接続された複数のコンピュータによって構成されてよい。
【0078】
次に、本実施形態の動作について説明する。図13は、前記二酸化炭素排出量演算システム(その一例としての二酸化炭素排出量演算装置)の動作を示すフローチャートである。
【0079】
このような構成の二酸化炭素排出量演算装置Sは、その電源が投入されると、必要な各部の初期化を実行し、その稼働を始める。制御処理部4aには、その制御処理プログラムの実行によって、制御部41、工場排出総量演算部42、製品排出総量演算部43および配賦演算部44が機能的に構成され、製品排出総量演算部43には、設備単位排出量演算部431、設備排出量演算部432および総量演算部433が機能的に構成される。
【0080】
図13において、二酸化炭素排出量演算装置Sは、まず、制御処理部4aの工場排出総量演算部42によって、工場排出総量を求める(S1)。本実施形態では、工場で所定の期間に用いられた原料におけるCO排出量の第1総量がさらに含められて前記工場排出総量が求められる。
【0081】
続いて、二酸化炭素排出量演算装置Sは、制御処理部4aの製品排出総量演算部43における設備単位排出量演算部431によって、前記所定の期間に完成した製品の製造に用いられる複数の工程それぞれに対応する複数の設備それぞれについて、当該設備における単位当たりの第1単位CO排出量を求める(S2)。
【0082】
続いて、二酸化炭素排出量演算装置Sは、制御処理部4の製品排出総量演算部43における設備排出量演算部432によって、前記所定の期間に完成した製品の製造に用いられる複数の工程それぞれに対応する複数の設備それぞれについて、前記所定の期間に完成した製品の製造に対する当該設備に関する設備CO排出量を求める(S3)。
【0083】
続いて、二酸化炭素排出量演算装置Sは、制御処理部4aの製品排出総量演算部43における総量演算部433によって、前記所定の期間に完成した製品の製造に用いられる複数の工程それぞれに対応する複数の設備それぞれについて前記設備排出量演算部432で求めた設備に関する各設備CO排出量の総和を、前記製品排出総量として求める(S4)。本実施形態では、前記所定の期間に完成した製品の製造に用いられる原料におけるCO排出量の第3総量をさらに含めて前記製品排出総量が求めれる。
【0084】
続いて、二酸化炭素排出量演算装置Sは、制御処理部4aの配賦演算部44aによって、処理S1で工場排出総量演算部42によって求めた工場排出総量と処理S4で前記製品排出総量演算部43で求めた製品排出総量との差分量を求め、前記求めた差分量を、前記製品の種類別のCO排出量比で前記製品の種類ごとの各配賦量に求めて前記製品の種類ごとに配賦する(S5a)。
【0085】
そして、二酸化炭素排出量演算装置Sは、制御処理部4aの制御部41によって、各演算結果を出力部2から出力し(S6)、本処理を終了する。
【0086】
以上説明したように、実施形態における二酸化炭素排出量演算システム(その一例の二酸化炭素排出量演算装置)S、ならびに、これに実装された二酸化炭素排出量演算方法および二酸化炭素排出量演算プログラムは、工場排出総量と製品排出総量との差の差分量を、製品の種類ごとに、所定の割合で配賦するので、配賦後における工場排出総量と製品排出総量とを一致させることができる。すなわち、上記二酸化炭素排出量演算システム(二酸化炭素排出量演算装置)S、二酸化炭素排出量演算方法および二酸化炭素排出量演算プログラムは、所定の期間に完成した全製品における二酸化炭素排出量の総量と前記所定の期間の工場全体における二酸化炭素排出量の総量とを一致させることができる。
【0087】
上記二酸化炭素排出量演算システム(二酸化炭素排出量演算装置)S、二酸化炭素排出量演算方法および二酸化炭素排出量演算プログラムは、前記差分量を製品の種類ごとに配賦でき、製品の種類別のCO排出量の合計でも両者間で一致させ得る。
【0088】
上記二酸化炭素排出量演算システム(二酸化炭素排出量演算装置)S、二酸化炭素排出量演算方法および二酸化炭素排出量演算プログラムは、工場で所定の期間に用いられた原料におけるCO排出量の第1総量をさらに含めて前記工場排出総量を求め、前記所定の期間に完成した製品の製造に用いられる原料におけるCO排出量の第3総量をさらに含めて製品排出総量を求めるので、設備に紐付けできないもののCO排出量を勘案できる。
【0089】
なお、上述では、二酸化炭素排出量演算システム(その一例の二酸化炭素排出量演算装置)Sは、前記求めた差分量を、前記製品の種類ごとに所定の割合で配賦する配賦演算部44aを備えて構成されたが、前記求めた差分量を、前記工場の設備ごとに所定の割合で配賦する配賦演算部44bを備えて構成されてもよい(変形形態)。このような二酸化炭素排出量演算システム(二酸化炭素排出量演算装置)S、二酸化炭素排出量演算方法および二酸化炭素排出量演算プログラムは、前記差分量を工場の設備ごとに配賦でき、設備別のCO排出量の合計でも両者間で一致させ得る。
【0090】
図14は、一例として、工場の設備ごとに差分量を配賦する場合において、製品の種類別のCO排出量比における演算方法を説明するための図である。図15は、一例として、工場の設備ごとに差分量を配賦する演算方法を説明するための図である。
【0091】
この変形形態における二酸化炭素排出量演算システム(その例の二酸化炭素排出量演算装置)Sは、例えば、図1に示すように、入力部1と、出力部2と、IF部3と、制御処理部4bと、記憶部5とを備える。これら変形形態の二酸化炭素排出量演算装置Sにおける入力部1、出力部2、IF部3および記憶部5は、それぞれ、上述の実施形態の二酸化炭素排出量演算装置Sにおける入力部1、出力部2、IF部3および記憶部5と同様であるので、その説明を省略する。制御処理部4bは、制御部41、工場排出総量演算部42、製品排出総量演算部43および配賦演算部44bを機能的に備える。変形形態の制御処理部4bにおける制御部41、工場排出総量演算部42および製品排出総量演算部43は、それぞれ、実施形態の制御処理部4aにおける制御部41、工場排出総量演算部42および製品排出総量演算部43と同様であるので、その説明を省略する。
【0092】
配賦演算部44bは、前記工場排出総量演算部42で求めた工場排出総量と前記製品排出総量演算部43で求めた製品排出総量との差を前記工場の設備ごとに設備差分量として求め、前記工場の設備それぞれについて、当該設備の設備差分量を、当該設備における製品の種類別のCO排出量比で配賦することで、前記求めた差分量を前記工場の設備ごとに所定の割合で配賦するものである。
【0093】
より具体的には、配賦演算部44bは、まず、前記工場排出総量演算部42で求めた工場排出総量と前記製品排出総量演算部43で求めた製品排出総量との差を前記工場の設備ごとに設備差分量として求める。上述の例では、図11における「差分CO2量(A-B)」の欄に示すように、各設備の各設備差分量が求められる。
【0094】
続いて、配賦演算部44bは、工場における複数の設備それぞれについて、当該設備における、前記所定の期間に完成した製品ごとに前記製品の種類別のCO排出量比を求める。例えば、図9に示す製品の種類ごとにおける各工程CO排出量(各設備CO排出量)から、図14に示す製品別排出量[tCO2]が求められる。例えば、図9Aから、製品No「P001」の製品における設備名「圧延1」の設備におけるCO排出量「32」[tCO2]が求められ、図9Bから、製品No「P002」の製品における設備名「圧延1」の設備におけるCO排出量「0」[tCO2]が求められ、図9Cから、製品No「P003」の製品における設備名「圧延1」の設備におけるCO排出量「19.2」[tCO2]が求められ、図14における「製品別排出量[tCO2]」の欄に記載されている。設備名「圧延1」の設備において、その設備CO排出量(工程CO排出量)の総量「51.2」(=32+19.2)[tCO2]が求められ、これを、製品No「P001」の製品におけるCO排出量「32」で除算することによって、製品No「P001」の製品におけるCO排出量比「0.625」(=32/51.2)が求められる。同様に、製品No「P002」の製品におけるCO排出量比は、「0」(=0/51.2)と求められ、製品No「P003」の製品におけるCO排出量比は、0.375(=19.2/51.2)と求められ、これら各CO排出量比が図14および図15それぞれにおける「製品別配賦率」の欄に記載されている。
【0095】
続いて、配賦演算部44bは、前記工場における複数の設備それぞれについて、当該設備の設備差分量に、前記所定の期間に完成した製品ごとに当該設備における製品の種類別のCO排出量比を乗算することで、当該設備における当該製品の配賦量を求め、当該設備の当該製品に加算する。例えば、設備名「圧延1」の設備において、設備差分量「-3.2」に、製品No「P001」の製品のCO排出量比「0.625」が乗算され、製品No「P001」の製品の配賦量「―2」[tCO2]が求められ、製品No「P001」の製品におけるCO排出量「32」[tCO2]に加算される。配賦後の、設備名「圧延1」における製品No「P001」の製品におけるCO排出量は、「30」(=32-2)[tCO2]となる。同様に、設備名「圧延1」の設備において、製品No「P003」の製品の配賦量「-1.2」[tCO2]が求められ、配賦後の、設備名「圧延1」における製品No「P003」の製品におけるCO排出量は、「18」(=19.2-1.2)[tCO2]となる。したがって、設備名「圧延1」の設備において、配賦後の製品排出総量は、「48」(=30+12)[tCO2]となり、工場排出総量と一致することになる。
【0096】
この変形形態においても、上述の実施形態と同様に、前記工場排出総量演算部42は、前記工場で前記所定の期間に用いられた原料におけるCO排出量の第1総量、および、前記製品に付帯して実施される所定の処理で前記所定の期間に生じたCO排出量の第2総量のうちの少なくとも一方をさらに含めて前記工場排出総量を求め、前記製品排出総量演算部43は、前記工場排出総量演算部42が前記第1総量を含めて前記工場排出総量を求めた場合には、前記所定の期間に完成した製品の製造に用いられる原料におけるCO排出量の第3総量をさらに含めて製品排出総量を求め、前記工場排出総量演算部42が前記第2総量を含めて前記工場排出総量を求めた場合には、前記所定の期間に完成した製品に付帯して実施される所定の処理で前記所定の期間に生じたCO排出量の第4総量をさらに含めて前記製品排出総量を求め、前記工場排出総量演算部42が前記第1および第2総量を含めて前記工場排出総量を求めた場合には、前記第3および第4総量をさらに含めて製品排出総量を求めてもよい。
【0097】
一例として、前記第1総量を前記工場排出総量にさらに含め、前記第3総量を前記製品排出総量にさらに含める例が図14および図15に示されている。この例では、原料において、設備差分量に相当する原料差分量は、「-160」[tCO2]であり、製品No「P001」の製品のCO排出量比は、「0.424」(=832/1960)であり、その配賦量は、「-67.84」[tCO2]であり、製品No「P002」の製品のCO排出量比は、「0.233」(=456/1960)であり、その配賦量は、「-37.28」[tCO2]であり、製品No「P003」の製品のCO排出量比は、「0.343」(=672/1960)であり、その配賦量は、「-54.88」[tCO2]である。前記原料において、配賦後の製品No「P001」の製品におけるCO排出量は、「764.16」(=832-67.84)[tCO2]となり、配賦後の製品No「P002」の製品におけるCO排出量は、「418.72」(=456-37.28)[tCO2]となり、配賦後の製品No「P001」の製品におけるCO排出量は、「617.12」(=672-54.88)[tCO2]となる。したがって、前記原料において、配賦後の製品排出総量は、「1800」(=764.16+418.72+617.12)[tCO2]となり、工場排出総量と一致することになる。
【0098】
なお、図15では、製品別配分量は、小数点第4位を四捨五入した数値で表記されている。
【0099】
このような変形形態における二酸化炭素排出量演算システム(その一例の二酸化炭素排出量演算装置)Sの動作では、図13に示すように、上述と同様に、処理S1ないし処理S4の各処理が順次に実行され、次に、処理S5aに代え、処理S5bが実行される。この処理S5bでは、二酸化炭素排出量演算装置Sは、制御処理部4bの配賦演算部44bによって、処理S1で工場排出総量演算部42によって求めた工場排出総量と処理S4で前記製品排出総量演算部43で求めた製品排出総量との差を前記工場の設備ごとに設備差分量として求め、前記工場の設備それぞれについて、当該設備の設備差分量を、前記製品の種類ごとに前記製品の種類別のCO排出量比で配賦することで、前記求めた差分量を前記工場の設備ごとに所定の割合で配賦する。そして、次に処理S6が実行され、本処理が終了される。
【0100】
また、これら実施形態およびその変形形態では、前記第1総量を前記工場排出総量にさらに含め、前記第3総量を前記製品排出総量にさらに含める例について説明したが、前記第1総量に代え、あるいは、前記第1総量にさらに加えて、前記製品に付帯して実施される所定の処理で前記所定の期間に生じたCO排出量の第2総量が前記工場排出総量にさらに含められ、前記第3総量に代え、あるいは、前記第3総量にさらに加えて、前記所定の期間に完成した製品に付帯して実施される所定の処理で前記所定の期間に生じたCO排出量の第4総量が前記製品排出総量にさらに含められてもよい。
【0101】
前記製品に付帯して実施される所定の処理は、例えば、前記製品の製造後から納入先への納入までの間に前記製品に対して実施される処理である。より具体的には、前記所定の処理は、前記製品を梱包する梱包処理や、前記製品を前記工場から前記納入先まで輸送する輸送処理等である。前記CO排出量の第2総量は、前記所定の処理に対する前記所定の期間での負荷に、前記所定の処理における単位当たりの単位CO排出量(単位当たりの第4単位CO排出量)を乗算することによって求められる。前記CO排出量の第4総量は、前記所定の期間に完成した製品に対する負荷に、前記単位当たりの第4単位CO排出量を乗算することによって求められる。例えば、前記所定の処理が梱包処理である場合、前記CO排出量の第2総量は、前記所定の期間で使用した梱包資材の総量に、前記梱包資材における単位当たりの第4単位CO排出量(梱包資材単位CO排出量)を乗算することによって求められ、前記CO排出量の第4総量は、前記所定の期間に完成した製品に使用した梱包資材の総量に、前記梱包資材単位CO排出量を乗算することによって求められる。あるいは、例えば、前記所定の処理が輸送処理である場合、前記CO排出量の第2総量は、例えばCO排出量が輸送距離に依存する場合、前記所定の期間での輸送処理の総輸送距離に、前記輸送処理における単位当たりの第4単位CO排出量(輸送処理単位CO排出量)を乗算することによって求められ、前記CO排出量の第4総量は、前記所定の期間に完成した製品の輸送処理の総輸送距離に、前記輸送処理単位CO排出量を乗算することによって求められる。
【0102】
本発明を表現するために、上述において図面を参照しながら実施形態を通して本発明を適切且つ十分に説明したが、当業者であれば上述の実施形態を変更および/または改良することは容易に為し得ることであると認識すべきである。したがって、当業者が実施する変更形態または改良形態が、請求の範囲に記載された請求項の権利範囲を離脱するレベルのものでない限り、当該変更形態または当該改良形態は、当該請求項の権利範囲に包括されると解釈される。
【符号の説明】
【0103】
S 二酸化炭素排出量演算システム(その一例の二酸化炭素排出量演算装置)
1 入力部
2 出力部
3 インターフェース部(IF部)
4a、4b 制御処理部
5 記憶部
41 制御部
42 工場排出総量演算部
43 製品排出総量演算部
44 配賦演算部
51 製造工程情報記憶部
52 製品製造実績情報記憶部
53 設備関連実績情報記憶部
54 原料使用実績情報記憶部
55 単位排出量情報記憶部
431 設備単位排出量演算部
432 設備排出量演算部
433 総量演算部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15