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特開2024-124924乳タンパク質由来のオフフレーバーが抑制された容器詰紅茶飲料、及びその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024124924
(43)【公開日】2024-09-13
(54)【発明の名称】乳タンパク質由来のオフフレーバーが抑制された容器詰紅茶飲料、及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   A23F 3/16 20060101AFI20240906BHJP
   A23L 2/00 20060101ALI20240906BHJP
【FI】
A23F3/16
A23L2/00 B
A23L2/00 Z
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023032916
(22)【出願日】2023-03-03
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-08-03
(71)【出願人】
【識別番号】391058381
【氏名又は名称】キリンビバレッジ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107984
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 雅紀
(74)【代理人】
【識別番号】100182305
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 鉄平
(74)【代理人】
【識別番号】100096482
【弁理士】
【氏名又は名称】東海 裕作
(74)【代理人】
【識別番号】100131093
【弁理士】
【氏名又は名称】堀内 真
(74)【代理人】
【識別番号】100150902
【弁理士】
【氏名又は名称】山内 正子
(74)【代理人】
【識別番号】100141391
【弁理士】
【氏名又は名称】園元 修一
(74)【代理人】
【識別番号】100221958
【弁理士】
【氏名又は名称】篠田 真希恵
(74)【代理人】
【識別番号】100192441
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 仁
(72)【発明者】
【氏名】千葉 彩香
【テーマコード(参考)】
4B027
4B117
【Fターム(参考)】
4B027FB08
4B027FB13
4B027FC01
4B027FE08
4B027FK01
4B027FK18
4B027FK20
4B027FP85
4B027FQ17
4B117LC02
4B117LE10
4B117LG17
4B117LK01
4B117LK16
4B117LK18
4B117LL01
4B117LP17
(57)【要約】
【課題】本発明の課題は、糖類の含有濃度が比較的低い容器詰紅茶飲料であって、乳タンパク質由来のオフフレーバーが抑制された容器詰紅茶飲料、及びその製造方法等を提供することにある。
【解決手段】タンニンの含有濃度が100mg/L以上であり、かつ、乳タンパク質の含有濃度が0.3重量%以上であり、かつ、バニリンの含有濃度が30μg/L以上である、容器詰紅茶飲料。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タンニンの含有濃度が100mg/L以上であり、かつ、乳タンパク質の含有濃度が0.3重量%以上であり、かつ、バニリンの含有濃度が30μg/L以上である、容器詰紅茶飲料。
【請求項2】
バニリンの含有濃度が30~520μg/Lである、請求項1に記載の容器詰紅茶飲料。
【請求項3】
タンニンの含有濃度が100~1000mg/Lである、請求項1に記載の容器詰紅茶飲料。
【請求項4】
ショ糖を含有しない、請求項1に記載の容器詰紅茶飲料。
【請求項5】
タンニンの含有濃度が100mg/L以上であり、かつ、乳タンパク質の含有濃度が0.3重量%以上である容器詰紅茶飲料の製造方法であって、
前記容器詰紅茶飲料におけるバニリンの含有濃度が30μg/L以上となるように調節することにより、
前記バニリンの含有濃度が20μg/L以下である容器詰紅茶飲料より乳タンパク質由来のオフフレーバーが抑制された前記容器詰紅茶飲料を製造する
ことを特徴とする、前記製造方法。
【請求項6】
容器詰紅茶飲料がショ糖を含有しない、請求項5に記載の容器詰紅茶飲料の製造方法。
【請求項7】
タンニンの含有濃度が100mg/L以上であり、かつ、乳タンパク質の含有濃度が0.3重量%以上である容器詰紅茶飲料の製造において、
前記容器詰紅茶飲料におけるバニリンの含有濃度が30μg/L以上となるように調節することにより、
前記容器詰紅茶飲料において、乳タンパク質由来のオフフレーバーを抑制する方法。
【請求項8】
容器詰紅茶飲料がショ糖を含有しない、請求項7に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乳タンパク質由来のオフフレーバーが抑制された容器詰紅茶飲料、及びその製造方法等に関する。
【背景技術】
【0002】
茶飲料は、独特な香気と、苦味、渋味が醸し出す爽やかな風味から、古くから嗜好飲料、健康飲料として親しまれてきた代表的な飲料である。茶飲料には、緑茶、半発酵茶(烏龍茶)、発酵茶(紅茶)等、各種の茶から調製されたものがあり、近年は、缶詰、ペットボトル詰、又は紙パック等の容器詰飲料として、流通に供されている。紅茶飲料は、紅茶の独特な香気と、苦味、渋味をもつ味覚から、嗜好の面から或いは健康志向の面から、茶飲料の中でも特に愛用されている飲料の一つであり、各種香味バリエーションに調製された紅茶飲料が、缶やペットボトルなどに充填された容器詰紅茶飲料として提供されている。
【0003】
近年では、容器詰紅茶飲料において、低糖や無糖が嗜好される傾向が高まっている。乳入り紅茶飲料は、糖類を添加しない場合であっても、乳に含まれる乳糖が含まれることとなる。無糖紅茶と表示して販売するためには、糖類濃度が0.5w/v%未満である必要があるため、無糖の乳入り紅茶飲料として販売する場合、乳の配合量には制限がある。そのような紅茶飲料の乳感を向上させるために、ホエイプロテインやカゼインプロテインなどの乳タンパク質や、油脂を配合することが知られている。乳タンパク質を含む飲食品は、乳タンパク質由来のオフフレーバー、すなわち、異味異臭が生じやすいことが知られている(特許文献1)。また、乳は乳タンパク質などを含んでおり、乳入り紅茶飲料の加熱殺菌処理や経時保存などにより、オフフレーバーを生じる。
乳タンパク質含有飲食品における乳タンパク質に由来する異味異臭を抑制する方法として、例えば特許文献1には、乳タンパク質含有飲食品に、ジフェニルオキシド及びcis-3-ヘキセノールからなる群より選ばれる1種以上を添加する方法が開示されている。
【0004】
ところで、バニリンとは、バニラの香りの主要な成分である。特許文献2には、茶飲料に、アミノ酸又は重合ポリフェノールと、フラネオール、ソトロン、シクロテン、バニリン、及びマルトールからなる群より選択される少なくとも一種とを含有させることによって、茶飲料に砂糖様の甘みを付与する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2022-015356号公報
【特許文献2】特開2022-127472号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一般的に、糖類の含有濃度が高い飲料では、糖類の含有濃度が低い飲料と比較して、オフフレーバーが目立ちにくいとされている。
本発明の課題は、糖類の含有濃度が比較的低い容器詰紅茶飲料であって、乳タンパク質由来のオフフレーバーが抑制された容器詰紅茶飲料、及びその製造方法等を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記の課題を解決すべく、鋭意検討した結果、タンニンの含有濃度が100mg/L以上であり、かつ、乳タンパク質の含有濃度が0.3重量%以上である容器詰紅茶飲料の製造において、前記容器詰紅茶飲料におけるバニリンの含有濃度が30μg/L以上となるように調節することにより、乳タンパク質由来のオフフレーバーを抑制できることを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明によれば以下の発明が提供される。
(1)タンニンの含有濃度が100mg/L以上であり、かつ、乳タンパク質の含有濃度が0.3重量%以上であり、かつ、バニリンの含有濃度が30μg/L以上である、容器詰紅茶飲料:
(2)バニリンの含有濃度が30~520μg/Lである、上記(1)に記載の容器詰紅茶飲料:
(3)タンニンの含有濃度が100~1000mg/Lである、上記(1)又は(2)に記載の容器詰紅茶飲料:
(4)ショ糖を含有しない、上記(1)~(3)のいずれかに記載の容器詰紅茶飲料:
(5)タンニンの含有濃度が100mg/L以上であり、かつ、乳タンパク質の含有濃度が0.3重量%以上である容器詰紅茶飲料の製造方法であって、
前記容器詰紅茶飲料におけるバニリンの含有濃度が30μg/L以上となるように調節することにより、
前記バニリンの含有濃度が20μg/L以下である容器詰紅茶飲料より乳タンパク質由来のオフフレーバーが抑制された前記容器詰紅茶飲料を製造する
ことを特徴とする、前記製造方法:
(6)容器詰紅茶飲料がショ糖を含有しない、上記(5)に記載の容器詰紅茶飲料の製造方法:
(7)タンニンの含有濃度が100mg/L以上であり、かつ、乳タンパク質の含有濃度が0.3重量%以上である容器詰紅茶飲料の製造において、
前記容器詰紅茶飲料におけるバニリンの含有濃度が30μg/L以上となるように調節することにより、
前記容器詰紅茶飲料において、乳タンパク質由来のオフフレーバーを抑制する方法:
(8)容器詰紅茶飲料がショ糖を含有しない、上記(7)に記載の方法:
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、糖類の含有濃度が比較的低い容器詰紅茶飲料であって、乳タンパク質由来のオフフレーバーが抑制された容器詰紅茶飲料、及びその製造方法等を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明は、
[1]タンニンの含有濃度が100mg/L以上であり、かつ、乳タンパク質の含有濃度が0.3重量%以上であり、かつ、バニリンの含有濃度が30μg/L以上である、容器詰紅茶飲料。(以下、「本発明の飲料」とも表示する。);
[2]タンニンの含有濃度が100mg/L以上であり、かつ、乳タンパク質の含有濃度が0.3重量%以上である容器詰紅茶飲料の製造方法であって、
前記容器詰紅茶飲料におけるバニリンの含有濃度が30μg/L以上となるように調節することにより、
前記バニリンの含有濃度が20μg/L以下である容器詰紅茶飲料より乳タンパク質由来のオフフレーバーが抑制された前記容器詰紅茶飲料を製造する
ことを特徴とする、前記製造方法(以下、「本発明の第1の製造方法」とも表示する。);
[3]タンニンの含有濃度が100mg/L以上であり、かつ、乳タンパク質の含有濃度が0.3重量%以上である容器詰紅茶飲料の製造において、
前記容器詰紅茶飲料におけるバニリンの含有濃度が30μg/L以上となるように調節することにより、
前記容器詰紅茶飲料において、乳タンパク質由来のオフフレーバーを抑制する方法(以下、「本発明の抑制方法」とも表示する。);
等の実施態様を含む。
【0011】
(紅茶抽出物)
紅茶飲料には紅茶抽出物が含まれる。本明細書において、「紅茶抽出物」とは、紅茶葉を抽出処理に供することにより得られる抽出物を意味する。また、本明細書において紅茶抽出物には、紅茶葉からの抽出液(紅茶抽出液)それ自体や、その加工品類(例えば、紅茶抽出液を濃縮処理や粉末化処理等した紅茶抽出物エキス)等が含まれる。
【0012】
紅茶抽出物の原料として利用できる紅茶葉は特に限定されず、例えばCamelliasinensisの中国種(var.sinensis)、アッサム種(var.assamica)又はそれらの雑種から得られる茶葉から発酵工程を経て製茶されたものが挙げられる。茶期、茶葉の形状、産地、品種、等級、及び発酵条件等も特に限定されず、当業者が適宜設定することができる。また、紅茶葉を抽出する際の茶葉の量、溶媒の量、抽出温度、抽出時間等の条件も特に限定されず、通常紅茶葉を抽出する際の条件を用いることができる。
【0013】
(紅茶飲料)
本発明において「紅茶飲料」とは、紅茶抽出物を含む飲料を意味する。
【0014】
(タンニン)
本発明の飲料におけるタンニンの含有濃度としては、100mg/L以上である限り、特に制限されないが、例えば100~1000mg/L、好ましくは200~800mg/L、又は、400~800mg/L、又は、500~700mg/Lが挙げられる。
【0015】
本発明において、飲料中のタンニン濃度は、例えば、紅茶抽出液を調製する際の、紅茶葉の使用量や、紅茶抽出液の加工品の使用量を調整すること等により調整することができる。
【0016】
本発明の飲料中のタンニン濃度は、酒石酸鉄吸光光度法(好ましくは、日本食品分析センター編「五訂 日本食品標準成分分析マニュアルの解説」(日本食品分析センター編、中央法規、2001年7月、p.252)に記載の公定法)を用いて測定することができる。
【0017】
(乳タンパク質)
本明細書において、「乳タンパク質」とは、牛乳、山羊乳、羊乳などの、動物の乳由来のタンパク質を意味し、便宜上、乳タンパク質の加水分解物である乳ペプチドも包含する。乳タンパク質として、具体的には、カゼインタンパク質、ホエイタンパク質、及び、これらの加水分解物が挙げられる。上記のホエイタンパク質としては、アルブミン、ラクトグロブリン、ラクトフェリンなどが挙げられる。
【0018】
本発明の飲料における乳タンパク質の含有濃度としては、0.3重量%以上である限り特に制限されないが、乳タンパク質由来のオフフレーバーがより強くなり、本発明の意義をより多く享受する観点から、好ましくは0.4重量%以上、より好ましくは0.6重量%以上が挙げられる。
また、本発明の飲料における乳タンパク質の含有濃度の上限としては、特に制限されないが、例えば3重量%以下、2重量%以下、1.5重量%以下、1.2重量%以下、1.1重量%以下などが挙げられる。これらの下限値および上限値はそれぞれ任意に組み合わせることができる。
【0019】
本発明において、飲料中の乳タンパク質濃度は、例えば、乳タンパク質又は乳タンパク質含有組成物を飲料に含有させる量を調整すること等により調整することができる。乳タンパク質や乳タンパク質含有組成物は市販されているものを用いることができる。乳タンパク質含有組成物としては、乳タンパク質を含有する組成物である限り、特に制限されないが、例えば糖類の濃度を一定濃度以下に調整する場合などは、乳タンパク質含有組成物として、乾燥重量で40重量%以上、好ましくは60重量%以上、より好ましくは80重量%以上が乳タンパク質である組成物を用いることが好ましい。乳タンパク質又は乳タンパク質含有組成物としては、牛乳、加工乳、濃縮乳、脱脂粉乳、全粉乳、調製粉乳、乳タンパク質濃縮物、乳タンパク質精製物、ホエイタンパク質濃縮物、ホエイタンパク質精製物、カゼインタンパク質濃縮物、及び、カゼインタンパク質精製物からなる群から選択される1種又は2種以上が挙げられ、乳タンパク質濃度が高いことから、乳タンパク質濃縮物、乳タンパク質精製物、ホエイタンパク質濃縮物、ホエイタンパク質精製物、カゼインタンパク質濃縮物、及び、カゼインタンパク質精製物からなる群から選択される1種又は2種以上が好ましく挙げられる。
【0020】
飲料中の乳タンパク質の測定は公知の方法で行うことができ、例えばケルダール法、デュマ法及びこれらの改変型・改良型にて行うことができる(例えば、「五訂 日本食品標準成分表 分析マニュアルの解説」(財団法人日本食品分析センター(編)、中央法規出版)を参照)。また、ケルダール法に用いる分解促進剤等の試薬には市販品を適宜用いることができる。また測定機については市販品を用いることができる。
【0021】
(バニリン)
本発明の飲料におけるバニリンの含有濃度としては、30μg/L以上であれば特に制限されないが、乳タンパク質由来のオフフレーバーに対する抑制効果をより多く得る観点から、好ましくは40μg/L以上が挙げられる。また、香味の調和の観点から、バニリンの含有濃度として、750μg/L以下、600μg/L以下、又は、520μg/L以下が挙げられ、220μg/L以下が好ましく挙げられる。これらの下限値および上限値はそれぞれ任意に組み合わせることができる。
【0022】
また、乳タンパク質由来のオフフレーバーに対する抑制効果をより多く得ることと、香味の調和とのバランスの観点から、バニリンの含有濃度として、好ましくは30~750μg/L、30~600μg/L、30~520μg/L、30~220μg/L、より好ましくは40~750μg/L、40~600μg/L、40~520μg/L、40~220μg/Lが挙げられる。
【0023】
本発明において、飲料中のバニリン濃度は、例えば、バニリン又はバニリン含有組成物を飲料に含有させる量を調整すること等により調整することができる。バニリンやバニリン含有組成物は市販されているものを用いることができる。
【0024】
本発明の飲料中のバニリン濃度は、ガスクロマトグラフィーや高速液体クロマトグラフィーを用いた方法など、公知の方法によって測定することができる。
【0025】
(糖類)
本発明の飲料における糖類の含有濃度としては、特に制限されず、例えば5重量%以下、又は、3重量%以下が挙げられるが、乳タンパク質由来のオフフレーバーがより強くなり、本発明の意義をより多く享受する観点から、2重量%以下、1重量%以下、0.5重量%以下、又は、0.4重量%以下が好ましく挙げられる。なお、飲料100mL当たり糖類0.5g未満の飲料は、無糖飲料と表示することができる。本発明の飲料は、無糖飲料であることが好ましい。また、本発明の飲料の好適な態様として、例えば糖類不使用の飲料、すなわち、原材料として用いる乳タンパク質又は乳タンパク質含有組成物に含まれる乳糖等の糖類以外に、原材料として、ショ糖等の糖類を用いない飲料が好ましく挙げられる。糖類不使用の飲料としては、ショ糖を含有しない飲料が好ましく挙げられる。
【0026】
本明細書において、「糖類」とは、結晶性糖類、及び、非結晶性糖類からなる群から選択される1種又は2種以上を意味する。上記の「結晶性糖類」としては、果糖、ブドウ糖、タガトース、アラビノース等の単糖類、乳糖、トレハロース、麦芽糖、ショ糖等の二糖類が挙げられ、上記の「非結晶性糖類」としては、水あめ、異性化液糖(例えば果糖ぶどう糖液糖)等が挙げられる。なお、本発明の飲料の製造に用いる乳タンパク質含有組成物が乳糖を含んでいる場合、その乳糖も、本明細書における「糖類」に包含される。
【0027】
(任意成分)
本発明の飲料は、例えば、色素、酸味料、糖アルコール、高甘味度甘味料、酸化防止剤(ビタミンC等)、保存料、増粘安定剤、乳化剤、及び、pH調整剤(重曹など)のいずれか1つ又は2つ以上を含んでいなくてもよいが、含んでいてもよい。本発明の一態様として、本発明の飲料は、糖アルコール、高甘味度甘味料のいずれか又はその両方を含んでいてもよいが、糖アルコール、高甘味度甘味料のいずれも含まなくてもよい。上記の「糖アルコール」としては、マルチトール、ラクチトール、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、エリスリトールが挙げられる。上記の「高甘味度甘味料」としては、アセスルファムカリウム(アセスルファムK)、スクラロース、ステビア、甘草抽出物、ソーマチン、グリチルリチン、サッカリン、アスパルテームが挙げられる。本発明の他の一態様として、本発明の飲料は、β-ダマセノンを0.01mg/L以上含有してもよいが、0.01mg/L未満であることや、含有しないことが好ましい。
【0028】
(本発明の飲料)
本発明の飲料としては、タンニンの含有濃度が100mg/L以上であり、かつ、乳タンパク質の含有濃度が0.3重量%以上であり、かつ、バニリンの含有濃度が30μg/L以上である、容器詰紅茶飲料である限り特に制限されない。
【0029】
単に、タンニンの含有濃度が100mg/L以上であり、かつ、乳タンパク質を含む容器詰紅茶飲料は従来から公知である。本発明の飲料は、タンニンの含有濃度が100mg/L以上であり、かつ、乳タンパク質の含有濃度が0.3重量%以上であり、かつ、バニリンの含有濃度が30μg/L以上であること以外は、用いる製造原料、製造方法並びに製造条件において、通常の容器詰紅茶飲料と特に相違する点はない。
【0030】
本発明の飲料は、タンニンの含有濃度が100mg/L以上であり、かつ、乳タンパク質の含有濃度が0.3重量%以上である容器詰紅茶飲料の製造において、いずれかの段階で、バニリンの含有濃度が30μg/L以上であるようにする、好ましくは、そのように調節することによって製造することができる。
【0031】
本発明の飲料は、容器詰飲料である。かかる容器としては、ペットボトル、ポリプロピレンボトル、ポリ塩化ビニルボトル等の樹脂ボトル容器;ビン容器;缶容器;等の容器が挙げられる。
【0032】
本発明の飲料は、加熱殺菌処理がなされていなくてもよいが、保存性向上の観点から、加熱殺菌処理がなされていてもよい。加熱殺菌処理の方法や条件としては、容器詰飲料などの飲料に使用される通常の方法や条件を用いることができる。
【0033】
(本発明の製造方法)
本発明の製造方法としては、
タンニンの含有濃度が100mg/L以上であり、かつ、乳タンパク質の含有濃度が0.3重量%以上である容器詰紅茶飲料の製造方法であって、
前記容器詰紅茶飲料におけるバニリンの含有濃度が30μg/L以上となるように調節することにより、
前記バニリンの含有濃度が20μg/L以下である容器詰紅茶飲料より乳タンパク質由来のオフフレーバーが抑制された前記容器詰紅茶飲料を製造する
ことを特徴とする、前記製造方法
である限り、特に制限されない。
【0034】
タンニンの含有濃度が100mg/L以上であり、かつ、乳タンパク質の含有濃度が0.3重量%以上である容器詰紅茶飲料の製造において、
前記容器詰紅茶飲料におけるバニリンの含有濃度が30μg/L以上となるように調節することにより、
前記バニリンの含有濃度が20μg/L以下である容器詰紅茶飲料より乳タンパク質由来のオフフレーバーが抑制された前記容器詰紅茶飲料を製造すること以外は、容器詰紅茶飲料の一般的な製造方法により製造することができる。容器詰紅茶飲料の一般的な製造方法は公知であり、例えば、紅茶抽出液を調製し、調合工程、充填工程、加熱殺菌工程を経て紅茶飲料を製造することができる。本発明の飲料の製造においては、前述の任意成分を添加してもよく、これら任意成分の添加時期は特に制限されない。
【0035】
本発明における「容器詰紅茶飲料におけるバニリンの含有濃度が30μg/L以上となるように調節する」方法としては、本発明の飲料において、バニリン含有濃度が30μg/L以上となるように、容器詰紅茶飲料の製造工程のいずれかで、「バニリン若しくはバニリン含有組成物」を紅茶飲料に含有させる方法が挙げられ、例えば、紅茶抽出液に、「バニリン若しくはバニリン含有組成物」を含有させる方法が挙げられる。
【0036】
本発明の製造方法においては、任意成分として、例えば、色素、酸味料、糖アルコール、高甘味度甘味料、酸化防止剤(ビタミンC等)、保存料、増粘安定剤、乳化剤、及び、pH調整剤(重曹など)のいずれか1つ又は2つ以上をさらに含有させてもよい。
【0037】
本発明の製造方法においては、本発明の飲料を製造し得る限り、製造原料を含有させる順序等は特に制限されない。製造原料が混合されている液を調製した後、容器に充填して密封し、本発明の飲料を得ることができる。
【0038】
(加熱殺菌)
本発明の製造方法は、紅茶飲料を加熱殺菌する工程を含んでいてもよい。かかる加熱殺菌する方法としては、容器詰飲料における通常の加熱殺菌方法を特に制限なく用いることができる。例えば、金属缶のように充填後に加熱殺菌できる場合にあっては、食品衛生法に定められた殺菌条件等で殺菌処理を行うことができる。また、PETボトル、紙容器のようにレトルト殺菌できないものについては、充填前に該飲料を、あらかじめ上記と同等の殺菌条件で、例えばプレート式熱交換器等を用いて高温短時間殺菌(UHT殺菌)した後、一定の温度まで冷却し、殺菌済み容器に充填する等の方法を採用することができる。
【0039】
(本発明の抑制方法)
本発明の抑制方法としては、
タンニンの含有濃度が100mg/L以上であり、かつ、乳タンパク質の含有濃度が0.3重量%以上である容器詰紅茶飲料の製造において、
前記容器詰紅茶飲料におけるバニリンの含有濃度が30μg/L以上となるように調節することにより、
前記容器詰紅茶飲料において、乳タンパク質由来のオフフレーバーを抑制する方法
である限り、特に制限されない。
【0040】
本発明における「容器詰紅茶飲料におけるバニリンの含有濃度が30μg/L以上となるように調節する」方法は、上記の(本発明の製造方法)に記載した方法と同様の方法を用いることができる。
【0041】
(乳タンパク質由来のオフフレーバーが抑制された容器詰紅茶飲料)
本発明の飲料は、乳タンパク質由来のオフフレーバーが抑制された容器詰紅茶飲料である。本発明における「乳タンパク質由来のオフフレーバー」とは、乳タンパク質に由来し、飲用した際に後に残る獣臭、培地臭、硫黄臭を意味する。
【0042】
本明細書において、「乳タンパク質由来のオフフレーバーが抑制された」容器詰紅茶飲料としては、バニリンの含有濃度が20μg/L以下であること以外は、同種の原料を同じ最終濃度となるように用いて同じ製法で製造した飲料(以下、「コントロール飲料」とも表示する。)と比較して、乳タンパク質由来のオフフレーバーが抑制された飲料が好ましく挙げられる。ある紅茶飲料において、乳タンパク質由来のオフフレーバーが抑制されているかどうか、どの程度抑制されているかは、コントロール飲料における乳タンパク質由来のオフフレーバーの程度を基準として、例えば複数人の訓練されたパネルによって、容易かつ明確に決定することができる。このような官能評価の際には、複数人のパネルの評価の平均を採用してもよい。
【0043】
(香味の調和がとれた容器詰紅茶飲料)
本発明の飲料は、香味の調和がとれた飲料であることが好ましい。「香味の調和がとれた」とは、乳入り紅茶としての香味、又は、乳タンパク質入り紅茶としての香味が保持されていることを意味する。ある紅茶飲料において、香味の調和がとれているかどうかは、訓練されたパネルによって、容易かつ明確に決定することができる。なお、香味の調和がとれていない容器詰紅茶飲料としては、バニリン濃度が1020μg/L以上である容器詰紅茶飲料などが挙げられる。
【0044】
以下の例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
【実施例0045】
試験1.[乳タンパク質由来のタンパク臭への、乳タンパク質濃度の影響]
紅茶飲料の乳タンパク質濃度が、乳タンパク質由来のタンパク臭の程度にどのような影響を与えるかを、以下の実験により調べた。
【0046】
(1.紅茶飲料の調製)
紅茶葉を90℃のお湯に入れて7分間抽出し固液分離を行い、紅茶抽出液を作製した。これらの紅茶抽出液のタンニン値を、日本食品分析センター編「五訂 日本食品標準成分分析マニュアルの解説」(日本食品分析センター編、中央法規、2001年7月、p.252)に記載の公定法(酒石酸鉄吸光度法)にて測定した。この紅茶抽出液に、牛乳、乳タンパク質含有組成物(乳タンパク質濃度80重量%以上)(以下、本願の実施例において、「乳タンパク素材」と表示する)、L-アスコルビン酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムを、表2記載の含有濃度となるように添加し、最終的に表2記載のタンニン濃度となるように調整した。これらの紅茶抽出液を、UHT(超高温)殺菌処理した後、それぞれ透明なプラスチック製容器に充填して、試験例2~6の各サンプル飲料を調製した。また、乳タンパク素材を配合しないこと以外は同様の方法で、試験例1のサンプル飲料を調製した。なお、本願の実施例のいずれの試験においても、表中の乳タンパク質濃度は、牛乳由来の乳タンパク質と、乳タンパク素材の乳タンパク質を合算した濃度である。また、本願実施例の試験1~4で用いた牛乳における乳糖の濃度は約5重量%であり、乳タンパク素材はほとんど糖類を含まない。
【0047】
(2.官能評価試験)
得られた試験例1~6の乳タンパク質入り紅茶飲料サンプルを飲用した際のタンパク臭の程度、すなわち、乳タンパク質に由来し、飲用した際に後に残る獣臭、培地臭、硫黄臭の程度について、訓練した専門パネル7名によって、以下の表1に記載されるような5段階の評価基準で官能評価試験を行った。なお、タンパク臭は、乳タンパク素材を配合していない試験例1におけるタンパク臭の程度を1点とした。また、表1の評価基準において、1点と2点のタンパク臭の程度の差、2点と3点のタンパク臭の程度の差、3点と4点のタンパク臭の程度の差、4点と5点のタンパク臭の程度の差は、それぞれ同程度とした。
なお、各試験例サンプルにおけるタンパク臭の程度の評価としては、各パネルの評価点の平均値の小数第2位を四捨五入した値を採用した。
【0048】
【表1】
【0049】
なお、表1の評価基準において、乳タンパク質由来のタンパク臭の課題があると判断することができる評価点の一例として、2点以上が挙げられる。
【0050】
試験例1~6の紅茶飲料サンプルについての官能評価試験の結果を表2に示す。
【0051】
【表2】
【0052】
表2の結果から分かるように、乳タンパク質濃度が0.2重量%の場合(試験例1)は、乳タンパク質由来のタンパク臭の問題はほぼ生じなかったが、乳タンパク質濃度が0.3重量%以上の場合は、乳タンパク質由来のタンパク臭の問題が発生し、乳タンパク質濃度が高くなると乳タンパク質由来のタンパク臭も強くなる傾向が認められた。
【0053】
試験2.[乳タンパク質由来のタンパク臭へのバニリンの影響]
バニリン濃度が、乳タンパク質由来のタンパク臭の程度にどのような影響を与えるかを、以下の実験により調べた。
【0054】
(1.紅茶飲料の調製)
表5~10記載の配合量や濃度となるように、試験1に記載の調製法にしたがって、試験例2、4、6~33の乳タンパク質入り紅茶飲料サンプルをそれぞれ調製した。なお、試験2の試験例7~33では、試験1と異なり、バニリンをさらに添加している。バニリンを添加しないコントロール飲料として、試験例2、4、6のサンプル飲料を調製した。
【0055】
(2.官能評価試験)
得られた試験例2、4、6~33の乳タンパク質入り紅茶飲料サンプルを飲用した際のタンパク臭の程度、すなわち、乳タンパク質に由来し、飲用した際に後に残る獣臭、培地臭、硫黄臭の程度について、訓練した専門パネル7名によって、以下の表3に記載されるような5段階の評価基準で官能評価試験を行った。その際、試験例7~15のサンプル飲料については、乳タンパク素材が0.40重量%であって、バニリン無添加である試験例4(バニリン濃度20μg/L)をコントロール飲料とし、試験例16~24のサンプル飲料については、乳タンパク素材が0.10重量%であって、バニリン無添加である試験例2(バニリン濃度20μg/L)をコントロール飲料とし、試験例25~33のサンプル飲料については、乳タンパク素材が1.0重量%であって、バニリン無添加である試験例6(バニリン濃度20μg/L)をコントロール飲料として、乳タンパク質由来のタンパク臭の基準とした。また、表3の評価基準において、1点と2点のタンパク臭の抑制の程度の差、2点と3点のタンパク臭の抑制の程度の差、3点と4点のタンパク臭の抑制の程度の差、4点と5点のタンパク臭の抑制の程度の差は、それぞれ同程度とした。
なお、各試験例サンプルにおけるタンパク臭の抑制の程度の評価としては、各パネルの評価点の平均値の小数第2位を四捨五入した値を採用した。
【0056】
【表3】
【0057】
なお、表3の評価基準において、乳タンパク質由来のタンパク臭が抑制されていると判断することができる評価点の一例として、3.0点以上が挙げられる。
【0058】
また、試験例2、4、6~33のサンプル飲料における、乳入り紅茶としての香味の調和について、訓練した専門パネル7名によって、以下の表4に記載されるような5段階の評価基準で官能評価試験を行った。また、表4の評価基準において、1点と2点の香味の調和の程度の差、2点と3点の香味の調和の程度の差、3点と4点の香味の調和の程度の差、4点と5点の香味の調和の程度の差は、それぞれ同程度とした。
なお、各試験例サンプルにおける香味の調和の程度の評価としては、各パネルの評価点の平均値の小数第2位を四捨五入した値を採用した。
【0059】
【表4】
【0060】
試験2、4、6~33の紅茶飲料サンプルにおける、タンパク臭の抑制の程度と、香味の調和についての官能評価試験の結果を表5~10に示す。なお、表5及び表6は乳タンパク素材が0.40重量%である場合の結果を表し、表7及び表8は乳タンパク素材が0.10重量%である場合の結果を表し、表9及び表10は乳タンパク素材が1.0重量%である場合の結果を表す。
【0061】
【表5】
【0062】
【表6】
【0063】
【表7】
【0064】
【表8】
【0065】
【表9】
【0066】
【表10】
【0067】
表5~10の結果から、例えばバニリン濃度が30μg/L以上の場合には、タンパク臭の評価が3.0点以上となり、乳タンパク質由来のタンパク臭への抑制効果が得られることが示された。なお、バニリン濃度が1020μg/L以上である場合(試験例13~15、22~24、31~33)は、バニリン由来のバニラ香が強すぎて紅茶としての香味の調和が取れていない場合があったのに対し、バニリン濃度が520μg/L以下である場合(試験例7~12、16~21、25~30)は、紅茶らしい香味が保持されていた。
これらのことから、好適なバニリン濃度として、例えば30~520μg/L、好ましくは40~520μg/Lなどが挙げられることが示された。
【0068】
試験3.[乳タンパク質由来のタンパク臭への牛乳添加率の影響]
牛乳添加率が、乳タンパク質由来のタンパク臭の程度にどのような影響を与えるかを、以下の実験により調べた。
【0069】
(1.紅茶飲料の調製)
表11記載の配合量や濃度となるように、試験1に記載の調製法にしたがって、試験例9、34~38の乳タンパク質入り紅茶飲料サンプルをそれぞれ調製した。なお、試験3の試験例9、34~38では、試験1と異なり、バニリンをさらに添加している。
【0070】
(2.官能評価試験)
得られた試験例9、34~38の乳タンパク質入り紅茶飲料サンプルを飲用した際のタンパク臭の程度、すなわち、乳タンパク質に由来し、飲用した際に後に残る獣臭、培地臭、硫黄臭の程度について、訓練した専門パネル7名によって、上記の表3に記載されるような5段階の評価基準で官能評価試験を行った。その際、それぞれの試験例サンプルにおいて、バニリン無添加である飲料(バニリン濃度20μg/L)をコントロール飲料とし、乳タンパク質由来のタンパク臭の基準とした。
なお、各試験例サンプルにおけるタンパク臭の抑制の程度の評価としては、各パネルの評価点の平均値の小数第2位を四捨五入した値を採用した。
【0071】
試験例9、34~38の紅茶飲料サンプルにおける、タンパク臭の抑制の程度についての官能評価試験の結果を表11に示す。
【0072】
【表11】
【0073】
表11の結果から、牛乳添加率が0~20重量%のいずれの場合であっても、タンパク臭の評価が3.0点以上となり、乳タンパク質由来のタンパク臭への抑制効果が得られることが示された。
【0074】
試験4.[乳タンパク質由来のタンパク臭へのタンニン濃度の影響]
タンニン濃度が、乳タンパク質由来のタンパク臭の程度にどのような影響を与えるかを、以下の実験により調べた。
(1.紅茶飲料の調製)
表12記載の配合量や濃度となるように、試験1に記載の調製法にしたがって、試験例9、39、40の乳タンパク質入り紅茶飲料サンプルをそれぞれ調製した。なお、試験3の試験例9、39、40では、試験1と異なり、バニリンをさらに添加している。
【0075】
(2.官能評価試験)
得られた試験例9、39、40の乳タンパク質入り紅茶飲料サンプルを飲用した際のタンパク臭の程度、すなわち、乳タンパク質に由来し、飲用した際に後に残る獣臭、培地臭、硫黄臭の程度について、訓練した専門パネル7名によって、上記の表3に記載されるような5段階の評価基準で官能評価試験を行った。その際、それぞれの試験例サンプルにおいて、バニリン無添加である飲料(バニリン濃度20μg/L)をコントロール飲料とし、乳タンパク質由来のタンパク臭の基準とした。
なお、各試験例サンプルにおけるタンパク臭の抑制の程度の評価としては、各パネルの評価点の平均値の小数第2位を四捨五入した値を採用した。
【0076】
試験例9、39、40の紅茶飲料サンプルにおける、タンパク臭の抑制の程度についての官能評価試験の結果を表12に示す。
【0077】
【表12】
【0078】
表12の結果から、タンニン濃度にかかわらず、タンパク臭の評価が3.0点以上となり、乳タンパク質由来のタンパク臭への抑制効果が得られることが示された。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明によれば、糖類の含有濃度が比較的低い容器詰紅茶飲料であって、乳タンパク質由来のオフフレーバーが抑制された容器詰紅茶飲料、及びその製造方法等を提供することを提供することができる。
【手続補正書】
【提出日】2023-06-12
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タンニンの含有濃度が100mg/L以上であり、かつ、乳タンパク質の含有濃度が0.3重量%以上であり、かつ、バニリンの含有濃度が30μg/L以上であり、かつ、糖類の含有濃度が0.5g/100mL 未満である、容器詰紅茶飲料。
【請求項2】
バニリンの含有濃度が30~520μg/Lである、請求項1に記載の容器詰紅茶飲料。
【請求項3】
タンニンの含有濃度が100~1000mg/Lである、請求項1に記載の容器詰紅茶飲料。
【請求項4】
ショ糖を含有しない、請求項1に記載の容器詰紅茶飲料。
【請求項5】
タンニンの含有濃度が100mg/L以上であり、かつ、乳タンパク質の含有濃度が0.3重量%以上である容器詰紅茶飲料の製造方法であって、
前記容器詰紅茶飲料におけるバニリンの含有濃度が30μg/L以上となるように調節することにより、
前記バニリンの含有濃度が20μg/L以下である容器詰紅茶飲料より乳タンパク質由来のオフフレーバーが抑制された前記容器詰紅茶飲料を製造する
ことを特徴とする、前記製造方法。
【請求項6】
容器詰紅茶飲料がショ糖を含有しない、請求項5に記載の容器詰紅茶飲料の製造方法。
【請求項7】
タンニンの含有濃度が100mg/L以上であり、かつ、乳タンパク質の含有濃度が0.3重量%以上である容器詰紅茶飲料の製造において、
前記容器詰紅茶飲料におけるバニリンの含有濃度が30μg/L以上となるように調節することにより、
前記容器詰紅茶飲料において、乳タンパク質由来のオフフレーバーを抑制する方法。
【請求項8】
容器詰紅茶飲料がショ糖を含有しない、請求項7に記載の方法。