(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024124926
(43)【公開日】2024-09-13
(54)【発明の名称】ソールおよびこれを備えた靴
(51)【国際特許分類】
A43B 13/14 20060101AFI20240906BHJP
A43B 5/06 20220101ALI20240906BHJP
【FI】
A43B13/14 D
A43B5/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】23
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023032918
(22)【出願日】2023-03-03
(71)【出願人】
【識別番号】000000310
【氏名又は名称】株式会社アシックス
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大竹 博道
(72)【発明者】
【氏名】西村 裕彰
(72)【発明者】
【氏名】立野 謙太
(72)【発明者】
【氏名】菱川 文智
(72)【発明者】
【氏名】高野 博行
【テーマコード(参考)】
4F050
【Fターム(参考)】
4F050AA01
4F050BA31
4F050GA13
4F050HA53
4F050HA56
4F050HA58
4F050HA59
4F050HA60
4F050HA63
4F050JA09
4F050LA01
(57)【要約】
【課題】効率的な走行または歩行が可能になるアシスト機能を備えた靴およびこれに具備されるソールを提供する。
【解決手段】ソール10Aは、着用者の足の足裏を支持する支持面を規定する上面10aと、接地面を規定する下面と、当該上面10aおよび下面を接続する周面10cとを備える。上面10aは、着用者の足のMP関節106に対応する位置の足裏を支持するMP関節支持領域10dを含み、周面10cは、内足側に位置する内足側側面10c1および外足側に位置する外足側側面10c2からなる一対の側面を含む。これら一対の側面のうち、少なくとも一方の側面のMP関節支持領域10dに隣接する部分には、当該一方の側面の他の部分とは異なる部分であることを視覚的に示すインジケータ15が設けられる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
着用者の足の足裏を支持する支持面を規定する上面と、
接地面を規定する下面と、
前記上面および前記下面を接続する周面とを備えたソールであって、
前記上面は、着用者の足のMP関節に対応する位置の足裏を支持するMP関節支持領域を含み、
前記周面は、内足側に位置する内足側側面および外足側に位置する外足側側面からなる一対の側面を含み、
前記一対の側面のうち、少なくとも一方の側面の前記MP関節支持領域に隣接する部分に、当該一方の側面の他の部分とは異なる部分であることを視覚的に示すインジケータが設けられている、ソール。
【請求項2】
前記インジケータが、前記一方の側面と前記上面との接続部に達するように設けられている、請求項1に記載のソール。
【請求項3】
前記インジケータが、前記一方の側面のうちの前記MP関節支持領域に隣接する部分において、前記ソールの厚み方向における中央位置を含むように設けられている、請求項1に記載のソール。
【請求項4】
前記インジケータが、前記ソールを平面視した場合に現われる外形線を基準とした場合に、前記一方の側面のうちの前記MP関節支持領域に隣接する部分において、前記外形線よりも前記ソールの厚み寸法の10%上方の位置を含むように設けられている、請求項1に記載のソール。
【請求項5】
前記一方の側面のうちの前記インジケータに該当する部位と、前記一方の側面のうちの前記インジケータの隣接領域に該当する部位との色差により、前記インジケータが視認可能に構成されている、請求項1に記載のソール。
【請求項6】
前記色差が、0.8以上である、請求項5に記載のソール。
【請求項7】
前記一方の側面のうちの前記インジケータに該当する部位と、前記一方の側面のうちの前記インジケータの隣接領域に該当する部位との明度差により、前記インジケータが視認可能に構成されている、請求項1に記載のソール。
【請求項8】
前記明度差が、30以上である、請求項7に記載のソール。
【請求項9】
前記一方の側面のうちの前記インジケータに該当する部位と、前記一方の側面のうちの前記インジケータの隣接領域に該当する部位との形状差により、前記インジケータが視認可能に構成されている、請求項1に記載のソール。
【請求項10】
前記インジケータに該当する部位が、凹状部または凸状部によって構成されている、請求項9に記載のソール。
【請求項11】
前記インジケータが、前記内足側側面に設けられた内足側インジケータのみを含んでいる、請求項1に記載のソール。
【請求項12】
前記内足側インジケータが、少なくとも、前記ソールのシューセンター上に位置するとともに着用者の足の足長方向に合致する前記ソールの前後方向における前方側末端から後方に向かって前記ソールの全長に対する24%の位置を通りかつ前記ソールの前記シューセンターに直交する第1ラインと、前記ソールの前記シューセンター上に位置するとともに前記ソールの前記前後方向における前方側末端から後方に向かって前記ソールの全長に対する36%の位置を通りかつ前記ソールの前記シューセンターに直交する第2ラインと、によって囲まれる範囲内において、前記ソールの前記前後方向に沿って連続的に延在している、請求項11に記載のソール。
【請求項13】
前記インジケータが、前記外足側側面に設けられた外足側インジケータのみを含んでいる、請求項1に記載のソール。
【請求項14】
前記外足側インジケータが、少なくとも、前記ソールのシューセンター上に位置するとともに着用者の足の足長方向に合致する前記ソールの前後方向における前方側末端から後方に向かって前記ソールの全長に対する31%の位置を通りかつ前記ソールの前記シューセンターに直交する第3ラインと、前記ソールの前記シューセンター上に位置するとともに前記ソールの前記前後方向における前方側末端から後方に向かって前記ソールの全長に対する40%の位置を通りかつ前記ソールの前記シューセンターに直交する第4ラインと、によって囲まれる範囲内において、前記ソールの前記前後方向に沿って連続的に延在している、請求項13に記載のソール。
【請求項15】
前記内足側インジケータが、前記ソールのシューセンター上に位置するとともに着用者の足の足長方向に合致する前記ソールの前後方向における前方側末端から後方に向かって前記ソールの全長に対する17%の位置を通りかつ前記ソールの前記シューセンターに直交する第5ラインと、前記ソールの前記シューセンター上に位置するとともに前記ソールの前記前後方向における前方側末端から後方に向かって前記ソールの全長に対する38%の位置を通りかつ前記ソールの前記シューセンターに直交する第6ラインと、によって囲まれる範囲内のみに位置している、請求項11に記載のソール。
【請求項16】
前記外足側インジケータが、前記ソールのシューセンター上に位置するとともに着用者の足の足長方向に合致する前記ソールの前後方向における前方側末端から後方に向かって前記ソールの全長に対する21%の位置を通りかつ前記ソールの前記シューセンターに直交する第7ラインと、前記ソールの前記シューセンター上に位置するとともに前記ソールの前記前後方向における前方側末端から後方に向かって前記ソールの全長に対する45%の位置を通りかつ前記ソールの前記シューセンターに直交する第8ラインと、によって囲まれる範囲内のみに位置している、請求項13に記載のソール。
【請求項17】
前記インジケータが、前記内足側側面に設けられた内足側インジケータと、前記外足側側面に設けられた外足側インジケータとを含んでいる、請求項1に記載のソール。
【請求項18】
前記内足側インジケータが、少なくとも、前記ソールのシューセンター上に位置するとともに着用者の足の足長方向に合致する前記ソールの前後方向における前方側末端から後方に向かって前記ソールの全長に対する24%の位置を通りかつ前記ソールの前記シューセンターに直交する第1ラインと、前記ソールの前記シューセンター上に位置するとともに前記ソールの前記前後方向における前方側末端から後方に向かって前記ソールの全長に対する36%の位置を通りかつ前記ソールの前記シューセンターに直交する第2ラインと、によって囲まれる範囲内において、前記ソールの前記前後方向に沿って連続的に延在し、
前記外足側インジケータが、少なくとも、前記ソールの前記シューセンター上に位置するとともに前記ソールの前記前後方向における前方側末端から後方に向かって前記ソールの全長に対する31%の位置を通りかつ前記ソールの前記シューセンターに直交する第3ラインと、前記ソールの前記シューセンター上に位置するとともに前記ソールの前記前後方向における前方側末端から後方に向かって前記ソールの全長に対する40%の位置を通りかつ前記ソールの前記シューセンターに直交する第4ラインと、によって囲まれる範囲内において、前記ソールの前記前後方向に沿って連続的に延在している、請求項17に記載のソール。
【請求項19】
前記内足側インジケータが、前記ソールのシューセンター上に位置するとともに着用者の足の足長方向に合致する前記ソールの前後方向における前方側末端から後方に向かって前記ソールの全長に対する17%の位置を通りかつ前記ソールの前記シューセンターに直交する第5ラインと、前記ソールの前記シューセンター上に位置するとともに前記ソールの前記前後方向における前方側末端から後方に向かって前記ソールの全長に対する38%の位置を通りかつ前記ソールの前記シューセンターに直交する第6ラインと、によって囲まれる範囲内のみに位置し、
前記外足側インジケータが、前記ソールの前記シューセンター上に位置するとともに前記ソールの前記前後方向における前方側末端から後方に向かって前記ソールの全長に対する21%の位置を通りかつ前記ソールの前記シューセンターに直交する第7ラインと、前記ソールの前記シューセンター上に位置するとともに前記ソールの前記前後方向における前方側末端から後方に向かって前記ソールの全長に対する45%の位置を通りかつ前記ソールの前記シューセンターに直交する第8ラインと、によって囲まれる範囲内のみに位置している、請求項17に記載のソール。
【請求項20】
前記上面を構成するミッドソールと、
前記下面を構成するアウトソールとを備え、
前記インジケータが、前記一方の側面を構成する部分の前記ミッドソールに設けられている、請求項1に記載のソール。
【請求項21】
前記インジケータが、前記ミッドソールの一部として当該ミッドソールと同素材の部位にて構成されている、請求項20に記載のソール。
【請求項22】
前記一方の側面を構成する部分の前記ミッドソールが、着用者の足の足幅方向に合致する前記ソールの左右方向に沿って外側に向かうにつれて下方に向かう傾斜面を含み、
前記インジケータが、少なくとも前記傾斜面に該当する部分に設けられている、請求項20に記載のソール。
【請求項23】
請求項1から22のいずれかに記載のソールと、
前記ソールの上方に設けられたアッパーとを備えた、靴。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ソールおよびこれを備えた靴に関し、特にスポーツ用途に用いられる靴およびこれに具備されるソールに関する。
【背景技術】
【0002】
高い推進力を得て効率的に走行および歩行を行なうためには、蹴り出し時において、足の踏み付け部によって地面を強く押すことが有効であると言われている。従来、この蹴り出し時に生じる推進力をより高めることを目的に、構造的または/および材料的に種々の工夫が施されたソールおよびこれを備えた靴が考案されている。
【0003】
たとえば、特表2018-529461号公報(特許文献1)には、蹴り出し時において、足の踏み付け部に含まれる足の中足指節関節(以下、「MP関節」と称する)に生じる底屈によってエネルギーの大部分が吸収されてしまい、これが損失となって十分に高い推進力が得られないことに着目し、ソールの内部に高剛性プレートを埋設するとともに、高剛性プレートのMP関節に対応する部分近傍が所定の曲率を有することとなるように当該高剛性プレートの形状を設計することにより、底屈によるエネルギー損失の発生を抑制可能にしたソールおよびこれを備えた靴が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、走行者または歩行者がどのような靴を着用している場合であっても、効率的な走行および歩行を実現するためには、当該走行者または歩行者(以下、「着用者」とも称する)が、蹴り出し時において、足の踏み付け部によって地面を強く押す意識を持つことが重要になる。このような意識を着用者が走行前または歩行前あるいは走行時または歩行時に高く持つことができれば、飛躍的に効率的な走行および歩行が可能になる。そのため、ソールおよびこれを備えた靴に、そのような意識付けを着用者が持つことができるアシスト機能が備わっていれば、より効率的な走行および歩行に繋がることになる。
【0006】
したがって、本発明は、上述した点に鑑みてなされたものであり、効率的な走行または歩行が可能になるアシスト機能を備えた靴およびこれに具備されるソールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に基づくソールは、着用者の足の足裏を支持する支持面を規定する上面と、接地面を規定する下面と、上記上面および上記下面を接続する周面とを備えている。上記上面は、着用者の足のMP関節に対応する位置の足裏を支持するMP関節支持領域を含んでおり、上記周面は、内足側に位置する内足側側面および外足側に位置する外足側側面からなる一対の側面を含んでいる。上記一対の側面のうち、少なくとも一方の側面の上記MP関節支持領域に隣接する部分には、当該一方の側面の他の部分とは異なる部分であることを視覚的に示すインジケータが設けられている。
【0008】
本発明に基づく靴は、上述した本発明に基づくソールと、当該ソールの上方に設けられたアッパーとを備えてなるものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、効率的な走行または歩行が可能になるアシスト機能を備えた靴およびこれに具備されるソールを提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図2】
図1に示す靴に具備されたソールの模式平面図である。
【
図3】
図1に示す靴を内足側から見た模式側面図である。
【
図4】
図1に示す靴を外足側から見た模式側面図である。
【
図5】第1変形例に係る靴を内足側から見た模式側面図である。
【
図6】第2変形例に係る靴を内足側から見た模式側面図である。
【
図7】第3変形例に係る靴を内足側から見た模式側面図である。
【
図8】第4変形例に係る靴を内足側から見た模式側面図である。
【
図9】第5変形例に係る靴を内足側から見た模式側面図である。
【
図10】第6変形例に係る靴を内足側から見た模式側面図である。
【
図11】第7変形例に係る靴を内足側から見た模式側面図である。
【
図12】第8変形例に係る靴を内足側から見た模式側面図である。
【
図13】第9変形例に係る靴を内足側から見た模式側面図である。
【
図14】第10変形例に係る靴を内足側から見た模式側面図である。
【
図15】第11変形例に係る靴を内足側から見た模式側面図である。
【
図16】第12変形例に係る靴を内足側から見た模式側面図である。
【
図17】第13変形例に係る靴を内足側から見た模式側面図である。
【
図18】第14変形例に係る靴を内足側から見た模式側面図である。
【
図19】第15変形例に係る靴を内足側から見た模式側面図である。
【
図20】第16変形例に係る靴を内足側から見た模式側面図である。
【
図21】第17変形例に係る靴を内足側から見た模式側面図である。
【
図22】第18変形例に係る靴を内足側から見た模式側面図である。
【
図23】第19変形例に係る靴を内足側から見た模式側面図である。
【
図24】第20変形例に係る靴を内足側から見た模式側面図である。
【
図25】第21変形例に係る靴に具備されたソールの模式平面図である。
【
図26】第22変形例に係る靴に具備されたソールの模式平面図である。
【
図27】第23変形例に係る靴に具備されたソールの模式平面図である。
【
図28】第24変形例に係る靴に具備されたソールの模式平面図である。
【
図29】第25変形例に係る靴に具備されたソールの模式平面図である。
【
図30】実施の形態2に係る靴に具備されたソールの模式平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について、図を参照して詳細に説明する。なお、以下に示す実施の形態においては、同一のまたは共通する部分について図中同一の符号を付し、その説明は繰り返さない。
【0012】
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1に係る靴の概略斜視図であり、
図2は、
図1に示す靴に具備されたソールの模式平面図である。また、
図3および
図4は、それぞれ
図1に示す靴を内足側および外足側から見た模式側面図である。以下、これら
図1ないし
図4を参照して、本実施の形態に係る靴1Aおよびこれに具備されたソール10Aについて説明する。ここで、本実施の形態に係る靴1Aは、マラソン競技等の長距離の走行を想定してその設計がなされたものである。なお、
図2ないし
図4においては、当該靴1Aに適合したサイズの足を有する標準的な着用者がこれを着用した場合における足骨100の位置を想像線にて示している(後述する
図5ないし
図32においても同様である)。
【0013】
図1、
図3および
図4に示すように、靴1Aは、ソール10Aと、アッパー20とを備えている。ソール10Aは、略偏平な形状を有しており、上面10aと、下面10bと、これら上面10aおよび下面10bを接続する周面10cとを備えている。ソール10Aは、着用者の足の足裏を支持する部材である。アッパー20は、ソール10Aの上方に位置しており、挿入された着用者の足の足首よりも末端側の部分のほぼ全体を覆う形状を有している。
【0014】
図2ないし
図4に示すように、ソール10Aは、平面視した状態において着用者の足の足長方向に合致する方向である前後方向(
図2における図中上下方向、
図3および
図4における図中左右方向)に沿って、着用者の足の足趾部および踏付け部を支持する前足部R1と、着用者の足の踏まず部を支持する中足部R2と、着用者の足の踵部を支持する後足部R3とに区画される。
【0015】
ここで、ソール10Aの前方側末端を基準とし、当該前方側末端からソール10Aの前後方向の寸法の40%の寸法に相当する位置を第1境界位置とし、当該前方側末端からソール10Aの前後方向の寸法の80%の寸法に相当する位置を第2境界位置とした場合に、前足部R1は、前後方向に沿って前方側末端と第1境界位置との間に含まれる部分に該当し、中足部R2は、前後方向に沿って第1境界位置と第2境界位置との間に含まれる部分に該当し、後足部R3は、前後方向に沿って第2境界位置と靴底の後方側末端との間に含まれる部分に該当する。
【0016】
また、
図2に示すように、ソール10Aは、平面視した状態において着用者の足の足幅方向に合致する方向である左右方向(図中左右方向)に沿って、足のうちの解剖学的正位における正中側(すなわち正中に近い側)である内足側の部分(図中に示すS1側の部分)と、足のうちの解剖学的正位における正中側とは反対側(すなわち正中に遠い側)である外足側の部分(図中に示すS2側の部分)とに区画される。
【0017】
ここで、内足側の部分と外足側の部分とにソール10Aを区画する境界線は、いわゆるシューセンターSCである。このシューセンターSCは、靴1Aに適合したサイズの足を有する標準的な着用者がこれを着用した場合に、当該着用者の第1趾および第2趾間の部分と踵骨の中心部分(いわゆるヒールセンター)とを結んだ直線を上下方向に沿ってソール10Aに投影した場合に得られる直線である。なお、上述したソール10Aの前方側末端および後方側末端は、このシューセンターSC上に位置したソール10Aの端部である。
【0018】
図1、
図3および
図4に示すように、アッパー20は、アッパー本体21と、シュータン22と、シューレース23とを有している。このうち、シュータン22およびシューレース23は、いずれもアッパー本体21に固定または取り付けられている。
【0019】
アッパー本体21の上部には、着用者の足の足首の上部と足の甲の一部とを露出させる上側開口部が設けられている。一方、アッパー本体21の下部には、一例としては、ソール10Aによって覆われる下側開口部が設けられており、他の例としては、当該アッパー本体21の下端が袋縫いされること等で底部が形成されている。
【0020】
シュータン22は、アッパー本体21に設けられた上側開口部のうち、着用者の足の甲の一部を露出させる部分を覆うようにアッパー本体21に縫製、溶着あるいは接着またはこれらの組み合わせ等によって固定されている。アッパー本体21およびシュータン22としては、たとえば織地や編地、不織布、合成皮革、樹脂等が用いられ、特に通気性や軽量性が求められる靴においては、ポリエステル糸を編み込んだダブルラッセル経編地が利用される。
【0021】
シューレース23は、アッパー本体21に設けられた着用者の足の甲の一部を露出させる上側開口部の周縁を着用者の足の足幅方向において互いに引き寄せるための紐状の部材からなり、当該上側開口部の周縁に設けられた複数の孔部に挿通されている。アッパー本体21に着用者の足が挿入された状態においてこのシューレース23を締め付けることにより、アッパー本体21を当該足に密着させることが可能になる。
【0022】
図1ないし
図4に示すように、ソール10Aは、ミッドソール11と、アウトソール12とを有している。ミッドソール11は、ソール10Aの上部に位置しており、アウトソール12は、ソール10Aの下部に位置している。ミッドソール11は、相対的にその厚みが厚く構成されており、アウトソール12は、相対的にその厚みが薄く構成されている。
【0023】
ミッドソール11の上面は、ソール10Aの上面10aを構成しており、着用者の足の足裏を支持する支持面を規定している。ミッドソール11の上面は、アッパー本体21にたとえば接着等によって接合されており、これによりソール10Aがアッパー20に固定されている。
【0024】
アウトソール12の上面は、ミッドソール11の下面にたとえば接着等によって接合されており、これによりアウトソール12がミッドソール11に固定されている。アウトソール12の下面は、ソール10Aの下面10bを構成しており、靴1Aの接地面を規定している。アウトソール12の下面には、グリップ性を向上させるために、凹凸が形成されることでトレッドパターンが形成されていてもよい。
【0025】
ソール10Aの周面10cは、主としてミッドソール11の周面によって規定されており、内足側側面10c1と、外足側側面10c2とを含んでいる。ソール10Aの周面10cは、滑らかに湾曲した形状を有しており、その後端側の位置において内足側側面10c1と外足側側面10c2とが連続している。
【0026】
ミッドソール11は、前足部R1から後足部R3にかけて連続して位置している。ミッドソール11の上面は、その周縁が周囲に比して盛り上がった形状を有している。これにより、ミッドソール11の上面には、凹状の部位が設けられることになり、この凹状の部位が、アッパー20を受け入れるための部位となる。この凹状の部位の底面である上記周縁を除く部分のミッドソール11の上面は、着用者の足の足裏にフィットするように滑らかな曲面形状を有している。
【0027】
ミッドソール11は、これが単一の部材にて構成されていてもよいし、複数の部材に分割されて構成されていてもよい。たとえばミッドソール11を複数の部材に分割して構成した場合には、それらの間に高剛性プレートを挿入することにより、ミッドソール11の内部にこれを埋設することができる。
【0028】
アウトソール12は、これが単一の部材にて構成されていてもよいし、複数の部材に分割されて構成されていてもよい。また、アウトソール12は、前足部R1から後足部R3にかけて連続して位置してもよいし、中足部R2を除く前足部R1および後足部R3にのみ設けられていてもよい。
【0029】
ミッドソール11は、適度な強度を有しつつも緩衝性に優れていることが好ましく、当該観点から、ミッドソール11としては、たとえば、主成分としての樹脂材料と、副成分としての発泡剤や架橋剤とを含む樹脂製のフォーム材が用いられる。また、これに代えて、主成分としてのゴム材料と、副成分としての可塑剤や発泡剤、補強剤、架橋剤とを含むゴム製のフォーム材を用いてもよい。
【0030】
上記樹脂材料としては、たとえばエチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)、ポリオレフィン樹脂、熱可塑性ポリウレタン、熱可塑性ポリアミド系エラストマ(TPA,TPAE)、または、熱可塑性ポリエステル系エラストマ等が利用できる。上記ゴム材料としては、たとえばブタジエンゴムが好適に利用できる。
【0031】
これにより、ミッドソール11は、概してアウトソール12よりもヤング率が小さくかつ軟質の部材にて構成されることになる。そのため、ミッドソール11は、圧縮荷重を受けた場合に比較的容易に弾性変形することになり、これによって緩衝性に優れたものとなる。なお、ミッドソール11の所定部位には、各種の緩衝パーツや強化パーツが含まれていてもよい。
【0032】
アウトソール12は、耐摩耗性やグリップ性に優れていることが好ましく、当該観点から、アウトソール12としては、たとえば、主成分としてのゴム材料と、副成分としての可塑剤や補強剤、架橋剤とを含む材料からなる部材が用いられる。当該ゴム材料としては、たとえばブタジエンゴムが好適に利用できる。
【0033】
これにより、アウトソール12は、概してミッドソール11よりもヤング率が大きくかつ硬質の部材にて構成されることになる。そのため、アウトソール12は、圧縮荷重を受けた場合にもミッドソール11に比較して容易には変形しないものの、耐摩耗性等の耐久性に優れたものとなる。
【0034】
なお、靴1Aにおいては、上述したソール10Aおよびアッパー20に加え、中敷きや中底が設けられていてもよい。
【0035】
図1ないし
図4に示すように、本実施の形態に係る靴1Aにあっては、ソール10Aの周面10cにインジケータ15が設けられている。インジケータ15は、内足側側面10c1に設けられた内足側インジケータ15aと、外足側側面10c2に設けられた外足側インジケータ15bを含んでいる。これら内足側インジケータ15aおよび外足側インジケータ15bは、いずれもミッドソール11の周面に設けられており、これらが設けられた部分の当該周面と、これらが設けられていない部分の当該周面とが異なる部分であることを視覚的に示すものである。
【0036】
具体的には、ソール10Aの上面10aは、着用者の足のMP関節106に対応する位置の足裏を支持するMP関節支持領域10d(
図2参照)を有しており、内足側インジケータ15aは、内足側側面10c1のうちのこのMP関節支持領域10dに隣接する部分に設けられており、外足側インジケータ15bは、外足側側面10c2のうちのこのMP関節支持領域10dに隣接する部分に設けられている。
【0037】
ここで、MP関節106は、着用者の足の第1基節骨101aと第1中足骨101bとの間に位置する第1中足趾節関節と、第2基節骨102aと第2中足骨102bとの間に位置する第2中足趾節関節と、第3基節骨103aと第3中足骨103bとの間に位置する第3中足趾節関節と、第4基節骨104aと第4中足骨104bとの間に位置する第4中足趾節関節と、第5基節骨105aと第5中足骨105bとの間に位置する第5中足趾節関節とを含んでいる。そのため、内足側インジケータ15aは、このうちの第1中足趾節関節に対応する部分に位置しており、外足側インジケータ15bは、このうちの第5中足趾節関節に対応する部分に位置している。
【0038】
換言すれば、第1中足趾節関節に隣接する第1基節骨101aの近位端と第1中足骨101bの遠位端とは、母趾球Q1を構成しており、内足側インジケータ15aは、この母趾球Q1に対応する部分に位置している。また、第5中足趾節関節に隣接する第5基節骨105aの近位端と第5中足骨105bの遠位端とは、小趾球Q2を構成しており、外足側インジケータ15bは、この小趾球Q2に対応する部分に位置している。
【0039】
本実施の形態においては、インジケータ15が、いずれも周囲部16(すなわち、インジケータ15が設けられていない部分の内足側側面10c1および外足側側面10c2)のうちのインジケータ15の隣接領域とは異なる色に着色されることで構成されている。すなわち、インジケータ15に該当する部位と、インジケータ15の隣接領域に該当する部位との色差により、インジケータ15が視認可能に構成されている。なお、
図1ないし
図4においては、この色差を分かり易く表現するために、インジケータ15に該当する部分に濃い色を付し、周囲部16に該当する部分に薄い色を付している(後述する
図5ないし
図27および
図30ないし
図32も同様である)。
【0040】
この色差は、0.8以上であることが好ましい。このように構成することにより、インジケータ15の視認性を確実に担保することができる。なお、ここで言う色差とは、一般にCIELAB色空間と呼ばれる色空間における色差を意味している。
【0041】
CIELAB色空間は、a*b*色度図と明度指数L*とを組み合わせた三次元直交座標によって色表示の均等色空間を定義したものである。上述した色差は、CIELAB色空間におけるインジケータ15の測色値の座標P(L*
P,a*
P,b*
P)と周囲部16の測色値の座標Q(L*
Q,a*
Q,b*
Q)とを用いて算出することができ、具体的には、CIELAB色空間においてこれら座標点間の距離を求めることにより、その算出を行なうことができる。
【0042】
また、本実施の形態においては、上述したように、インジケータ15がいずれも周囲部16のうちのインジケータ15の隣接領域とは異なる色に着色されているため、インジケータ15に該当する部位と、インジケータ15の隣接領域に該当する部位との明度差によってもインジケータ15が視認可能に構成されていると言える。
【0043】
この明度差は、30以上であることが好ましい。このように構成することにより、インジケータ15の視認性を確実に担保することができる。ここで、明度差の具体的な測定方法としては、画像解析ソフトを用いて測定したインジケータ15のRGB値と周囲部16のRGB値とを用い、これらRGB値を((R×299)+(G×587)+(B×114))/1000の式に代入することで得られるインジケータ15の明度と周囲部16の明度との差分によって求めることができる。なお、その際、上記式に記載のR、G、Bは、それぞれの色のRGB値を0~255の10進数で表わした値とする。
【0044】
上述したように、インジケータ15に該当する部位と、インジケータ15の隣接領域に該当する部位との明度差は、30以上であることが好ましいが、靴の用途によってこれを変更することもできる。たとえば、本実施の形態に係る靴1Aや後述する実施の形態2に係る靴1Bのように、マラソン競技やトラック競技等に使用することが想定されたパフォーマンスシューズにおいては、この明度差を125以上とすることが好ましい。一方で、日常生活で使用するような一般的な歩行用シューズにおいては、この明度差を上述したように30以上とすることで十分な効果を発揮する。
【0045】
ここで、一例としては、インジケータ15を黒色とし、周囲部16を白色とすることにより、インジケータ15の視認性を確実に担保することができる。また、他の一例としては、インジケータ15を橙色とし、周囲部16を黄色または白色とすることにより、インジケータ15の視認性を確実に担保することができる。さらに、他の一例としては、インジケータ15を黒色とし、周囲部16を橙色、黄色または白色とすることにより、インジケータ15の視認性を確実に担保することができる。なお、これら着色例はあくまでも一例であり、適宜これを変更することができる。ここで、インジケータ15と周囲部16との色差または/および明度差が十分に担保できるのであれば、これらのうちのいずれがより濃い色に着色されていてもよい。
【0046】
また、本実施の形態においては、内足側インジケータ15aおよび外足側インジケータ15bが、いずれも所定の幅をもった傾斜した帯状形状を成すように構成されている。より詳細には、内足側インジケータ15aおよび外足側インジケータ15bの各々は、その上端側の部分が相対的に前に、その下端側の部分が相対的に後ろに位置するように構成されており、これにより側面視略平行四辺形状の外形を有している。このように構成することにより、インジケータ15の視認性を確実に担保することができる。
【0047】
また、インジケータ15の視認性を向上させるためには、可能な限りソール10Aの内足側側面10c1および外足側側面10c2の上下方向の幅広い位置に設けられることが好ましい。この点、本実施の形態においては、内足側インジケータ15aおよび外足側インジケータ15bの各々は、その上端がそれぞれ内足側側面10c1および外足側側面10c2と上面10aとの接続部(すなわち、これらの間に位置する稜部)に達するように設けられているとともに、その下端がそれぞれ内足側側面10c1および外足側側面10c2と下面10bとの接続部(すなわち、これらの間に位置する稜部(より厳密には、ミッドソール11の周面と下面との間に位置する稜部))に達するように設けられている。
【0048】
このように構成することにより、インジケータ15の視認性が向上することになり、非着用の場合はもちろんのこと、着用した状態においても着用者がこれを視認し易くすることができる。
【0049】
また、本実施の形態においては、内足側インジケータ15aが、内足側側面10c1のうちのMP関節支持領域10dに隣接する部分において、ソール10Aの厚み方向における中央位置を含むように設けられているとともに、外足側インジケータ15bが、外足側側面10c2のうちのMP関節支持領域10dに隣接する部分において、ソール10Aの厚み方向における中央位置を含むように設けられている。
【0050】
このように構成することにより、インジケータ15の視認性が向上することになり、非着用の場合はもちろんのこと、着用した状態においても着用者がこれを視認し易くすることができる。
【0051】
加えて、本実施の形態においては、ソール10Aを平面視した場合に現われる外形線を基準とした場合に、内足側インジケータ15aが、内足側側面10c1のうちのMP関節支持領域10dに隣接する部分において、当該外形線よりもソール10Aの厚み寸法の10%上方の位置を含むように設けられているとともに、外足側インジケータ15bが、外足側側面10c2のうちのMP関節支持領域10dに隣接する部分において、当該外形線よりもソール10Aの厚み寸法の10%上方の位置を含むように設けられている。
【0052】
このように構成することにより、インジケータ15の視認性が向上することになり、非着用の場合はもちろんのこと、着用した状態においても着用者がこれを視認し易くすることができる。
【0053】
ここで、本実施の形態においては、ミッドソール11の周面が、上下方向の略中央部において外側に向けて迫り出す形状を有している。そのため、ソール10Aの内足側側面10c1および外足側側面10c2は、いずれもソール10Aの左右方向に沿って外側に向かうにつれて下方に向かう傾斜面をその上部に含んでおり、内足側インジケータ15aおよび外足側インジケータ15bは、それぞれこの傾斜面に該当する部分を含むように設けられている。
【0054】
このように構成することにより、内足側インジケータ15aおよび外足側インジケータ15bがいずれも鉛直上方を向いた部分を含むことになるため、特に着用者が靴1Aを着用した状態においても、これら内足側インジケータ15aおよび外足側インジケータ15bを視認することが可能になる。
【0055】
以上において説明したように、本実施の形態に係る靴1Aおよびこれに具備されたソール10Aにおいては、MP関節支持領域10dに隣接する部分のソール10Aの周面10cにインジケータ15が設けられているため、着用者が走行前または走行時において当該インジケータ15を視認することにより、当該インジケータ15が付された部分において地面を強く押すという意識付けがなされることになるため、蹴り出し時において足の踏み付け部によって地面を強く押す動作が促進されることになる。したがって、高い推進力を得て効率的に走行することができるアシスト機能を備えた靴およびこれに具備されるソールとすることができる。
【0056】
また、当該インジケータ15は、走行解析を行なう場合のターゲットとして用いることもできる。すなわち、走行時に足の踏み付け部によって地面を強く押す動作が実現できている場合には、当該インジケータ15が付された部分のミッドソールが足圧を受けて大きく圧縮変形し、これに伴ってインジケータ15も上下に大きく押し潰れることになる。その反面、走行時に足の踏み付け部によって地面を強く押す動作が実現できていない場合には、インジケータ15が押し潰れる程度も小さくなる。
【0057】
したがって、撮像手段を用いて着用者の走行動作を撮像し、撮像した画像に基づいてインジケータ15の押し潰れ量を画像解析を行なうことで計測することとすれば、走行時に足の踏み付け部によって地面を強く押す動作が実現できているか否かを客観的に評価することができる。したがって、評価結果を着用者に知らせることにより、その意味においても、高い推進力を得て効率的に走行することができるアシスト機能を備えた靴およびこれに具備されるソールとすることができる。
【0058】
なお、内足側インジケータ15aおよび外足側インジケータ15bは、いずれもミッドソール11の一部として当該ミッドソール11と同素材の部位にて構成されていることが好ましい。すなわち、内足側インジケータ15aおよび外足側インジケータ15bの各々は、ミッドソール11とは別部材にて構成されたパーツとして設けられていることは必ずしも好ましい態様とは言えない。これは、これらをミッドソール11と別部材にて構成した場合には、部品点数が増加したりその組付けが煩雑になったりするため、製造コストが増大してしまうおそれがあるためである。
【0059】
ここで、
図2および
図3に示すように、内足側インジケータ15aは、少なくとも、ソール10AのシューセンターSC上に位置するとともにソール10Aの前後方向における前方側末端から後方に向かってソール10Aの全長に対する24%の位置を通りかつシューセンターSCに直交する第1ラインL1と、ソール10AのシューセンターSC上に位置するとともにソール10Aの前後方向における前方側末端から後方に向かってソールの全長に対する36%の位置を通りかつシューセンターSCに直交する第2ラインL2と、によって囲まれる範囲A内において、ソール10Aの前後方向に沿って連続的に延在していることが好ましい。
【0060】
これは、一般に、その靴に適合したサイズの足を有する標準的な着用者がこれを着用した場合に、MP関節106(より特定的には母趾球Q1)が、上述した第1ラインL1と第2ラインL2との間に位置することになるためである。すなわち、これら第1ラインL1と第2ラインL2とによって囲まれる範囲A内を少なくとも含むように内足側インジケータ15aが所定の幅をもって(すなわち、前後方向に沿って連続的に延在するように)設けられることにより、より正確に着用者に意識的に地面を強く押すべき部分を知らせることが可能になる。また、当該内足側インジケータ15aを用いて走行解析を行なう場合にも、上記のとおりに構成することにより、より正確な評価を行なうことが可能になる。
【0061】
なお、本実施の形態においては、内足側インジケータ15aは、その上側かつ前側の端部が第1ラインL1よりも前方側に位置しており、その上側かつ後側の端部が第2ラインL2に重なっている。また、内足側インジケータ15aは、その下側かつ前側の端部が第1ラインL1よりも後方側かつ第2ラインL2よりも前方側に位置しており、その下側かつ後側の端部が第2ラインL2よりも後方側に位置している。この場合にも、内足側インジケータ15aは、上述した範囲A内において、ソール10Aの前後方向に沿って連続的に延在していることになる。
【0062】
また、内足側インジケータ15aは、ソール10AのシューセンターSC上に位置するとともにソール10Aの前後方向における前方側末端から後方に向かってソール10Aの全長に対する17%の位置を通りかつシューセンターSCに直交する第5ライン(不図示)と、ソール10AのシューセンターSC上に位置するとともにソール10Aの前後方向における前方側末端から後方に向かってソール10Aの全長に対する38%の位置を通りかつシューセンターSCに直交する第6ライン(不図示)と、によって囲まれる範囲内のみに位置していることが好ましい。
【0063】
これは、この範囲を超えて延在するように内足側インジケータ15aが設けられた場合には、当該内足側インジケータ15aの一部がMP関節支持領域10dから遠く離れる部分を含んでしまうことになり、内足側インジケータ15aがソール10Aの内足側側面10c1においてMP関節支持領域10dに隣接する部分を視覚的に示すという機能が毀損されてしまうことになり兼ねないためである。
【0064】
また、
図2および
図4に示すように、外足側インジケータ15bは、少なくとも、ソール10AのシューセンターSC上に位置するとともにソール10Aの前後方向における前方側末端から後方に向かってソール10Aの全長に対する31%の位置を通りかつシューセンターSCに直交する第3ラインL3と、ソール10AのシューセンターSC上に位置するとともにソール10Aの前後方向における前方側末端から後方に向かってソールの全長に対する40%の位置を通りかつシューセンターSCに直交する第4ラインL4と、によって囲まれる範囲B内において、ソール10Aの前後方向に沿って連続的に延在していることが好ましい。
【0065】
これは、一般に、その靴に適合したサイズの足を有する標準的な着用者がこれを着用した場合に、MP関節106(より特定的には小趾球Q2)が、上述した第3ラインL3と第4ラインL4との間に位置することになるためである。すなわち、これら第3ラインL3と第4ラインL4とによって囲まれる範囲B内を少なくとも含むように外足側インジケータ15bが所定の幅をもって(すなわち、前後方向に沿って連続的に延在するように)設けられることにより、より正確に着用者に意識的に地面を強く押すべき部分を知らせることが可能になる。また、当該外足側インジケータ15bを用いて走行解析を行なう場合にも、上記のとおりに構成することにより、より正確な評価を行なうことが可能になる。
【0066】
なお、本実施の形態においては、外足側インジケータ15bは、その上側かつ前側の端部が第3ラインL3よりも前方側に位置しており、その上側かつ後側の端部が第4ラインL4よりも後方側に位置している。また、外足側インジケータ15bは、その下側かつ前側の端部が第4ラインL4よりも後方側に位置しており、その下側かつ後側の端部も第4ラインL4よりも後方側に位置している。この場合にも、外足側インジケータ15bは、上述した範囲B内において、ソール10Aの前後方向に沿って連続的に延在していることになる。
【0067】
また、外足側インジケータ15bは、ソール10AのシューセンターSC上に位置するとともにソール10Aの前後方向における前方側末端から後方に向かってソール10Aの全長に対する21%の位置を通りかつシューセンターSCに直交する第7ライン(不図示)と、ソール10AのシューセンターSC上に位置するとともにソール10Aの前後方向における前方側末端から後方に向かってソール10Aの全長に対する45%の位置を通りかつシューセンターSCに直交する第8ライン(不図示)と、によって囲まれる範囲内のみに位置していることが好ましい。
【0068】
これは、この範囲を超えて延在するように外足側インジケータ15bが設けられた場合には、外足側インジケータ15bの一部がMP関節支持領域10dから遠く離れる部分を含んでしまうことになり、外足側インジケータ15bがソール10Aの外足側側面10c2においてMP関節支持領域10dに隣接する部分を視覚的に示すという機能が毀損されてしまうことになり兼ねないためである。
【0069】
(第1ないし第4変形例)
図5ないし
図8は、それぞれ第1ないし第4変形例に係る靴を内足側から見た模式側面図である。以下、これら
図5ないし
図8を参照して、第1ないし第4変形例に係る靴1A1~1A4およびこれらに具備されたソール10A1~10A4について説明する。なお、以下の説明においては、靴1A1~1A4の内足側の部分についてのみ説明を行なうが、外足側の部分についても内足側の部分に準じた構成を有している。
【0070】
第1ないし第4変形例に係る靴1A1~1A4およびこれらに具備されたソール10A1~10A4は、上述した実施の形態1に係る靴1Aおよびこれに具備されたソール10Aと比較した場合に、基本的に内足側インジケータ15aの大きさのみが相違している。以下においては、実施の形態1に係る内足側インジケータ15aとの相違点のうちの要部についてのみ説明する。
【0071】
図5に示すように、第1変形例に係る靴1A1およびこれに具備されたソール10A1においては、内足側インジケータ15aの下端がミッドソール11の周面と下面との間に位置する稜部に達していない。
【0072】
図6に示すように、第2変形例に係る靴1A2およびこれに具備されたソール10A2においては、内足側インジケータ15aの上端が、ミッドソール11の周面と上面との間に位置する稜部に達していない。
【0073】
図7に示すように、第3変形例に係る靴1A3およびこれに具備されたソール10A3においては、内足側インジケータ15aの上端および下端が、それぞれミッドソール11の周面と上面との間に位置する稜部およびミッドソール11の周面と下面との間に位置する稜部に達していない。
【0074】
図8に示すように、第4変形例に係る靴1A4およびこれに具備されたソール10A4においては、その上側かつ前側の端部が第1ラインL1に重なっており、その上側かつ後側の端部が第2ラインL2に重なっている。
【0075】
このように、上述した実施の形態1に係る内足側インジケータ15aと大きさのみが相違する場合であっても、当該内足側インジケータ15aが内足側側面10c1のうちのMP関節支持領域10d(
図2参照)に隣接する部分に設けられている限りにおいては、上述した実施の形態1において説明した効果に準じた効果を得ることができる。
【0076】
(第5ないし第13変形例)
図9ないし
図17は、それぞれ第5ないし第13変形例に係る靴を内足側から見た模式側面図である。以下、これら
図9ないし
図17を参照して、第5ないし第13変形例に係る靴1A5~1A13およびこれらに具備されたソール10A5~10A13について説明する。なお、以下の説明においては、靴1A5~1A13の内足側の部分についてのみ説明を行なうが、外足側の部分についても内足側の部分に準じた構成を有している。
【0077】
第5ないし第13変形例に係る靴1A5~1A13およびこれらに具備されたソール10A5~10A13は、上述した実施の形態1に係る靴1Aおよびこれに具備されたソール10Aと比較した場合に、基本的に内足側インジケータ15aの形状および大きさのみが相違している。以下においては、実施の形態1に係る内足側インジケータ15aとの相違点のうちの要部についてのみ説明する。
【0078】
図9に示すように、第5変形例に係る靴1A5およびこれに具備されたソール10A5においては、内足側インジケータ15aが側面視略平行四辺形状の外形を有しているものの、その上端側の部分が相対的に後ろに、その下端側の部分が相対的に前に位置している。
【0079】
図10に示すように、第6変形例に係る靴1A6およびこれに具備されたソール10A6においては、内足側インジケータ15aが側面視略矩形状の外形を有しており、その前端縁が第1ラインL1に重なっており、その後端縁が第2ラインL2に重なっている。
【0080】
図11に示すように、第7変形例に係る靴1A7およびこれに具備されたソール10A7においては、内足側インジケータ15aが側面視略矩形状の外形を有しており、その前端縁が第1ラインL1よりも前方側に位置しており、その後端縁が第2ラインL2よりも後方側に位置している。
【0081】
図12に示すように、第8変形例に係る靴1A8およびこれに具備されたソール10A8においては、内足側インジケータ15aが側面視略矩形状の外形を有しており、その前端縁および後端縁がいずれも第1ラインL1よりも後方側かつ第2ラインL2よりも前方側に位置している。
【0082】
図13に示すように、第9変形例に係る靴1A9およびこれに具備されたソール10A9においては、内足側インジケータ15aが側面視略平行四辺形状の外形を有しているものの、その四隅が丸められた形状を有している。
【0083】
図14に示すように、第10変形例に係る靴1A10およびこれに具備されたソール10A10においては、内足側インジケータ15aが側面視楕円形状の外形を有している。
【0084】
図15に示すように、第11変形例に係る靴1A11およびこれに具備されたソール10A11においては、内足側インジケータ15aが側面視正円形状の外形を有している。
【0085】
図16に示すように、第12変形例に係る靴1A12およびこれに具備されたソール10A12においては、内足側インジケータ15aが側面視星型形状の外形を有している。
【0086】
図17に示すように、第13変形例に係る靴1A13およびこれに具備されたソール10A13においては、内足側インジケータ15aが側面視Z字形状の外形を有している。
【0087】
このように、上述した実施の形態1に係る内足側インジケータ15aと形状および大きさのみが相違する場合であっても、当該内足側インジケータ15aが内足側側面10c1のうちのMP関節支持領域10d(
図2参照)に隣接する部分に設けられている限りにおいては、上述した実施の形態1において説明した効果に準じた効果を得ることができる。
【0088】
(第14ないし第17変形例)
図18ないし
図21は、それぞれ第14ないし第17変形例に係る靴を内足側から見た模式側面図である。以下、これら
図18ないし
図21を参照して、第14ないし第17変形例に係る靴1A14~1A17およびこれらに具備されたソール10A14~10A17について説明する。なお、以下の説明においては、靴1A14~1A17の内足側の部分についてのみ説明を行なうが、外足側の部分についても内足側の部分に準じた構成を有している。
【0089】
第14ないし第17変形例に係る靴1A14~1A17およびこれらに具備されたソール10A14~10A17は、上述した実施の形態1に係る靴1Aおよびこれに具備されたソール10Aと比較した場合に、内足側インジケータ15aが異なる色にて着色された複数の領域を含んでいる点において基本的に相違している。以下においては、実施の形態1に係る内足側インジケータ15aとの相違点のうちの要部についてのみ説明する。
【0090】
図18に示すように、第14変形例に係る靴1A14およびこれに具備されたソール10A14においては、内足側インジケータ15aが側面視略平行四辺形状の外形を有しているものの、当該内足側インジケータ15aの一部に文字によるロゴが付されている。当該ロゴは、その周囲の背景色と異なる色にて着色されている。
【0091】
図19に示すように、第15変形例に係る靴1A15およびこれに具備されたソール10A15においては、内足側インジケータ15aが側面視略平行四辺形状の外形を有しているものの、当該内足側インジケータ15aが上下方向に2つの領域に分割されており、これら2分割された領域が異なる色で着色されている。
【0092】
図20に示すように、第16変形例に係る靴1A16およびこれに具備されたソール10A16においては、内足側インジケータ15aが側面視略平行四辺形状の外形を有しているものの、当該内足側インジケータ15aが前後方向に4つの領域に分割されており、これら4分割された領域が交互に異なる色で着色されている。
【0093】
図21に示すように、第17変形例に係る靴1A17およびこれに具備されたソール10A17においては、内足側インジケータ15aが側面視略平行四辺形状の外形を有しているものの、当該内足側インジケータ15aが中心部から周縁部にかけて3つの領域に分割されており、これら3分割された領域が交互に異なる色で着色されている。
【0094】
このように、上述した実施の形態1の場合とは異なり、内足側インジケータ15aが異なる色にて着色された複数の領域を含むように構成された場合であっても、当該内足側インジケータ15aが内足側側面10c1のうちのMP関節支持領域10d(
図2参照)に隣接する部分に設けられている限りにおいては、上述した実施の形態1において説明した効果に準じた効果を得ることができる。
【0095】
(第18ないし第20変形例)
図22ないし
図24は、それぞれ第18ないし第20変形例に係る靴を内足側から見た模式側面図である。以下、これら
図22ないし
図24を参照して、第18ないし第20変形例に係る靴1A18~1A20およびこれらに具備されたソール10A18~10A20について説明する。なお、以下の説明においては、靴1A18~1A20の内足側の部分についてのみ説明を行なうが、外足側の部分についても内足側の部分に準じた構成を有している。
【0096】
第18ないし第20変形例に係る靴1A18~1A20およびこれらに具備されたソール10A18~10A20は、上述した実施の形態1に係る靴1Aおよびこれに具備されたソール10Aと比較した場合に、内足側インジケータ15aが互いに離間した複数の領域を含んでいる点において基本的に相違している。以下においては、実施の形態1に係る内足側インジケータ15aとの相違点のうちの要部についてのみ説明する。
【0097】
図22に示すように、第18変形例に係る靴1A18およびこれに具備されたソール10A18においては、内足側インジケータ15aが全体として見た場合に側面視略平行四辺形状の外形を有しているものの、当該内足側インジケータ15aが上下方向に2つの領域に分割されており、これら2分割された領域が相互に離間して位置している。
【0098】
図23に示すように、第19変形例に係る靴1A19およびこれに具備されたソール10A19においては、内足側インジケータ15aが全体として見た場合に側面視略平行四辺形状の外形を有しているものの、当該内足側インジケータ15aが前後方向に4つの領域に分割されており、これら4分割された領域が相互に離間して位置している。
【0099】
図24に示すように、第20変形例に係る靴1A20およびこれに具備されたソール10A20においては、内足側インジケータ15aが全体として側面視略平行四辺形状の外形を有しているものの、当該内足側インジケータ15aが中心部と周縁部との2つの領域に分割されており、これら2分割された領域が相互に離間して位置している。
【0100】
このように、上述した実施の形態1の場合とは異なり、内足側インジケータ15aが互いに離間した複数の領域を含むように構成された場合であっても、当該内足側インジケータ15aが内足側側面10c1のうちのMP関節支持領域10d(
図2参照)に隣接する部分に設けられている限りにおいては、上述した実施の形態1において説明した効果に準じた効果を得ることができる。
【0101】
(第21ないし第23変形例)
図25ないし
図27は、それぞれ第21ないし第23変形例に係る靴に具備されたソールの模式平面図である。以下、これら
図25ないし
図27を参照して、第21ないし第23変形例に係る靴1A21~1A23およびこれらに具備されたソール10A21~10A23について説明する。
【0102】
第21ないし第23変形例に係る靴1A21~1A23およびこれらに具備されたソール10A21~10A23は、上述した実施の形態1に係る靴1Aおよびこれに具備されたソール10A等と比較した場合に、インジケータ15が、着色による色差または/および明度差によって周囲部16と視覚的に区別されるように構成されたばかりでなく、さらに形状差によっても周囲部16と視覚的に区別されるように構成されたものである。
【0103】
図25に示すように、第21変形例に係る靴1A21およびこれに具備されたソール10A21においては、実施の形態1に係る靴1Aおよびこれに具備されたソール10Aにおいてインジケータ15が設けられた部分に凹状部11aが形成されている。
【0104】
より詳細には、ソール10A21の内足側側面10c1を規定するミッドソール11の周面に、周囲部16よりも凹んだ形状の凹状部11aが設けられるとともに、ソール10A21の外足側側面10c2を規定するミッドソール11の周面に、周囲部16よりも凹んだ形状の凹状部11aが設けられることにより、内足側インジケータ15aおよび外足側インジケータ15bが、これら凹状部11aによって構成されている。
【0105】
図26に示すように、第22変形例に係る靴1A22およびこれに具備されたソール10A22においては、実施の形態1に係る靴1Aおよびこれに具備されたソール10Aにおいてインジケータ15が設けられた部分に凸状部11bが形成されている。
【0106】
より詳細には、ソール10A22の内足側側面10c1を規定するミッドソール11の周面に、周囲部16よりも突出した形状の凸状部11bが設けられるとともに、ソール10A22の外足側側面10c2を規定するミッドソール11の周面に、周囲部16よりも突出した形状の凸状部11bが設けられることにより、内足側インジケータ15aおよび外足側インジケータ15bが、これら凸状部11bによって構成されている。
【0107】
図27に示すように、第23変形例に係る靴1A23およびこれに具備されたソール10A23においては、上述した第10変形例に係る靴1A10およびこれに具備されたソール10A10においてインジケータ15が設けられた部分に凸状部11bが形成されている。
【0108】
より詳細には、ソール10A23の内足側側面10c1を規定するミッドソール11の周面に、周囲部16よりも膨出した形状の凸状部11bが設けられるとともに、ソール10A23の外足側側面10c2を規定するミッドソール11の周面に、周囲部16よりも膨出した形状の凸状部11bが設けられることにより、内足側インジケータ15aおよび外足側インジケータ15bが、これら凸状部11bによって構成されている。
【0109】
すなわち、第21ないし第23変形例に係る靴1A21~1A23およびこれらに具備されたソール10A21~10A23においては、インジケータ15に該当する部位と、インジケータ15の隣接領域に該当する部位との形状差により、インジケータ15が視認可能に構成されている。このように構成することにより、インジケータ15の視認性が向上することになり、非着用の場合はもちろんのこと、着用した状態においても着用者がこれを視認し易くすることができる。
【0110】
以上において説明したように、第21ないし第23変形例に係る靴1A21~1A23およびこれらに具備されたソール10A21~10A23においても、MP関節支持領域10dに隣接する部分のソール10Aの周面10cにインジケータ15が設けられているため、着用者が走行前または走行時において当該インジケータ15を視認することにより、当該インジケータ15が付された部分において地面を強く押すという意識付けがなされることになるため、蹴り出し時において足の踏み付け部によって地面を強く押す動作が促進されることになる。したがって、高い推進力を得て効率的に走行することができるアシスト機能を備えた靴およびこれに具備されるソールとすることができる。
【0111】
しかも、当該インジケータ15が、着色による色差または/および明度差によって周囲部16と視覚的に区別されるばかりでなく、さらに形状差によっても周囲部16と視覚的に区別されることになるため、上述した効果をさらに顕著に得ることができる。
【0112】
なお、第21ないし第23変形例においては、上述したように形状差のみではなく着色による色差または/および明度差によってもインジケータ15と周囲部16とが視覚的に区別されるように構成した場合を例示したが、インジケータ15と周囲部16とに十分な形状差を付与することにより、当該形状差のみによってこれが視覚的に区別されるように構成してもよい。たとえば、上述した第21ないし第23変形例においては、インジケータ15と周囲部16とに十分な形状差があるため、着色による色差または/および明度差を必ずしも設ける必要はない。
【0113】
(第24および第25変形例)
図28および
図29は、それぞれ第24および第25変形例に係る靴に具備されたソールの模式平面図である。以下、これら
図28および
図29を参照して、第24および第25変形例に係る靴1A24,1A25およびこれらに具備されたソール10A24,10A25について説明する。
【0114】
第24ないし第25変形例に係る靴1A24,1A25およびこれらに具備されたソール10A24,10A25は、インジケータ15が、形状差によってのみ周囲部16と視覚的に区別されるように構成されたものである。
【0115】
図28に示すように、第24変形例に係る靴1A24およびこれに具備されたソール10A24においては、実施の形態1に係る靴1Aおよびこれに具備されたソール10Aにおける周囲部16に該当する部分に、斜行する細かな溝11cが形成されている反面、インジケータ15が設けられた部分に該当する部分に、このような細かな溝11cは形成せずにその表面を滑らかな形状とされている。
【0116】
図29に示すように、第25変形例に係る靴1A25およびこれに具備されたソール10A25においては、実施の形態1に係る靴1Aおよびこれに具備されたソール10Aにおいてインジケータ15が設けられた部分に該当する部分に、斜行する細かな溝11cが形成されている反面、周囲部16に該当する部分に、このような細かな溝11cは形成せずにその表面を滑らかな形状とされている。
【0117】
このように構成した場合にも、形状差によってインジケータ15と周囲部16とが視覚的に区別されることになるため、着用者が走行前または走行時において当該インジケータ15を視認することにより、当該インジケータ15が付された部分において地面を強く押すという意識付けがなされることになる。そのため、蹴り出し時において足の踏み付け部によって地面を強く押す動作が促進されることになり、結果として高い推進力を得て効率的に走行することができるアシスト機能を備えた靴およびこれに具備されるソールとすることができる。
【0118】
(実施の形態2)
図30は、実施の形態2に係る靴に具備されたソールの模式平面図であり、
図31および
図32は、それぞれ
図1に示す靴を内足側および外足側から見た模式側面図である。以下、これら
図30ないし
図32を参照して、本実施の形態に係る靴1Bおよびこれに具備されたソール10Bについて説明する。ここで、本実施の形態に係る靴1Bは、トラック競技等の短距離または中距離の走行を想定してその設計がなされたものである。
【0119】
図30ないし
図33に示すように、本実施の形態に係る靴1Bおよびこれに具備されたソール10Bの構成は、上述した実施の形態1に係る靴1Aおよびこれに具備されたソール10Aの構成と基本的に同様である。異なる点は、主として、ミッドソール11の厚みが比較的薄く構成されている点と、アウトソール12が実質的に後足部R3のみに設けられており、前足部R1の全域と中足部R2の前端寄りの領域のミッドソール11の下面が高剛性プレート13によって覆われている点と、当該高剛性プレート13に微小なスパイク突起13aが無数に設けられている点と、当該高剛性プレート13に着脱可能にスパイクピン14が取付けられる点とにある。
【0120】
ここで、本実施の形態に係る靴1Bおよびこれに具備されたソール10Bにおいても、その周面10cにインジケータ15が設けられている。インジケータ15は、内足側側面10c1に設けられた内足側インジケータ15aと、外足側側面10c2に設けられた外足側インジケータ15bを含んでいる。これら内足側インジケータ15aおよび外足側インジケータ15bは、いずれもミッドソール11の周面に設けられており、これらが設けられた部分の当該周面と、これらが設けられていない部分の当該周面とが異なる部分であることを視覚的に示すものである。
【0121】
これら内足側インジケータ15aおよび外足側インジケータ15bは、上述した実施の形態1の場合と同様に、着用者の足のMP関節106に対応する位置の足裏を支持するMP関節支持領域10dに隣接して設けられており、いずれも周囲部(すなわち、インジケータ15が設けられていない部分の内足側側面10c1および外足側側面10c2)のうちのインジケータ15の隣接領域とは異なる色に着色されることで構成されている。
【0122】
このように、トラック競技等の短距離または中距離用の靴1Bにおいても、MP関節支持領域10dに隣接する部分のソール10Aの周面10cにインジケータ15を設けることにより、着用者が走行前または走行時において当該インジケータ15を視認することにより、当該インジケータ15が付された部分において地面を強く押すという意識付けがなされることになり、結果として蹴り出し時において足の踏み付け部によって地面を強く押す動作が促進されることになる。したがって、高い推進力を得て効率的に走行することができるアシスト機能を備えた靴およびこれに具備されるソールとすることができる。
【0123】
(実施の形態等における開示内容の要約)
上述した実施の形態1および2ならびにそれらの変形例等において開示した特徴点を要約すると、以下のとおりとなる。
【0124】
[付記1]
着用者の足の足裏を支持する支持面を規定する上面と、
接地面を規定する下面と、
上記上面および上記下面を接続する周面とを備えたソールであって、
上記上面は、着用者の足のMP関節に対応する位置の足裏を支持するMP関節支持領域を含み、
上記周面は、内足側に位置する内足側側面および外足側に位置する外足側側面からなる一対の側面を含み、
上記一対の側面のうち、少なくとも一方の側面の上記MP関節支持領域に隣接する部分に、当該一方の側面の他の部分とは異なる部分であることを視覚的に示すインジケータが設けられている、ソール。
【0125】
[付記2]
上記インジケータが、上記一方の側面と上記上面との接続部に達するように設けられている、付記1に記載のソール。
【0126】
[付記3]
上記インジケータが、上記一方の側面のうちの上記MP関節支持領域に隣接する部分において、上記ソールの厚み方向における中央位置を含むように設けられている、付記1または2に記載のソール。
【0127】
[付記4]
上記インジケータが、上記ソールを平面視した場合に現われる外形線を基準とした場合に、上記一方の側面のうちの上記MP関節支持領域に隣接する部分において、上記外形線よりも上記ソールの厚み寸法の10%上方の位置を含むように設けられている、付記1から3のいずれかに記載のソール。
【0128】
[付記5]
上記一方の側面のうちの上記インジケータに該当する部位と、上記一方の側面のうちの上記インジケータの隣接領域に該当する部位との色差により、上記インジケータが視認可能に構成されている、付記1から4のいずれかに記載のソール。
【0129】
[付記6]
上記色差が、0.8以上である、付記5に記載のソール。
【0130】
[付記7]
上記一方の側面のうちの上記インジケータに該当する部位と、上記一方の側面のうちの上記インジケータの隣接領域に該当する部位との明度差により、上記インジケータが視認可能に構成されている、付記1から6のいずれかに記載のソール。
【0131】
[付記8]
上記明度差が、125以上である、付記7に記載のソール。
【0132】
[付記9]
上記一方の側面のうちの上記インジケータに該当する部位と、上記一方の側面のうちの上記インジケータの隣接領域に該当する部位との形状差により、上記インジケータが視認可能に構成されている、付記1から8のいずれかに記載のソール。
【0133】
[付記10]
上記インジケータに該当する部位が、凹状部または凸状部によって構成されている、付記9に記載のソール。
【0134】
[付記11]
上記インジケータが、上記内足側側面に設けられた内足側インジケータのみを含んでいる、付記1から10のいずれかに記載のソール。
【0135】
[付記12]
上記内足側インジケータが、少なくとも、上記ソールのシューセンター上に位置するとともに着用者の足の足長方向に合致する上記ソールの前後方向における前方側末端から後方に向かって上記ソールの全長に対する24%の位置を通りかつ上記ソールの上記シューセンターに直交する第1ラインと、上記ソールの上記シューセンター上に位置するとともに上記ソールの上記前後方向における前方側末端から後方に向かって上記ソールの全長に対する36%の位置を通りかつ上記ソールの上記シューセンターに直交する第2ラインと、によって囲まれる範囲内において、上記ソールの上記前後方向に沿って連続的に延在している、付記11に記載のソール。
【0136】
[付記13]
上記インジケータが、上記外足側側面に設けられた外足側インジケータのみを含んでいる、付記1から10のいずれかに記載のソール。
【0137】
[付記14]
上記外足側インジケータが、少なくとも、上記ソールのシューセンター上に位置するとともに着用者の足の足長方向に合致する上記ソールの前後方向における前方側末端から後方に向かって上記ソールの全長に対する31%の位置を通りかつ上記ソールの上記シューセンターに直交する第3ラインと、上記ソールの上記シューセンター上に位置するとともに上記ソールの上記前後方向における前方側末端から後方に向かって上記ソールの全長に対する40%の位置を通りかつ上記ソールの上記シューセンターに直交する第4ラインと、によって囲まれる範囲内において、上記ソールの上記前後方向に沿って連続的に延在している、付記13に記載のソール。
【0138】
[付記15]
上記内足側インジケータが、上記ソールのシューセンター上に位置するとともに着用者の足の足長方向に合致する上記ソールの前後方向における前方側末端から後方に向かって上記ソールの全長に対する17%の位置を通りかつ上記ソールの上記シューセンターに直交する第5ラインと、上記ソールの上記シューセンター上に位置するとともに上記ソールの上記前後方向における前方側末端から後方に向かって上記ソールの全長に対する38%の位置を通りかつ上記ソールの上記シューセンターに直交する第6ラインと、によって囲まれる範囲内のみに位置している、付記11または12に記載のソール。
【0139】
[付記16]
上記外足側インジケータが、上記ソールのシューセンター上に位置するとともに着用者の足の足長方向に合致する上記ソールの前後方向における前方側末端から後方に向かって上記ソールの全長に対する21%の位置を通りかつ上記ソールの上記シューセンターに直交する第7ラインと、上記ソールの上記シューセンター上に位置するとともに上記ソールの上記前後方向における前方側末端から後方に向かって上記ソールの全長に対する45%の位置を通りかつ上記ソールの上記シューセンターに直交する第8ラインと、によって囲まれる範囲内のみに位置している、付記13または14に記載のソール。
【0140】
[付記17]
上記インジケータが、上記内足側側面に設けられた内足側インジケータと、上記外足側側面に設けられた外足側インジケータとを含んでいる、付記1から10のいずれかに記載のソール。
【0141】
[付記18]
上記内足側インジケータが、少なくとも、上記ソールのシューセンター上に位置するとともに着用者の足の足長方向に合致する上記ソールの前後方向における前方側末端から後方に向かって上記ソールの全長に対する24%の位置を通りかつ上記ソールの上記シューセンターに直交する第1ラインと、上記ソールの上記シューセンター上に位置するとともに上記ソールの上記前後方向における前方側末端から後方に向かって上記ソールの全長に対する36%の位置を通りかつ上記ソールの上記シューセンターに直交する第2ラインと、によって囲まれる範囲内において、上記ソールの上記前後方向に沿って連続的に延在し、
上記外足側インジケータが、少なくとも、上記ソールの上記シューセンター上に位置するとともに上記ソールの上記前後方向における前方側末端から後方に向かって上記ソールの全長に対する31%の位置を通りかつ上記ソールの上記シューセンターに直交する第3ラインと、上記ソールの上記シューセンター上に位置するとともに上記ソールの上記前後方向における前方側末端から後方に向かって上記ソールの全長に対する40%の位置を通りかつ上記ソールの上記シューセンターに直交する第4ラインと、によって囲まれる範囲内において、上記ソールの上記前後方向に沿って連続的に延在している、付記17に記載のソール。
【0142】
[付記19]
上記内足側インジケータが、上記ソールのシューセンター上に位置するとともに着用者の足の足長方向に合致する上記ソールの前後方向における前方側末端から後方に向かって上記ソールの全長に対する17%の位置を通りかつ上記ソールの上記シューセンターに直交する第5ラインと、上記ソールの上記シューセンター上に位置するとともに上記ソールの上記前後方向における前方側末端から後方に向かって上記ソールの全長に対する38%の位置を通りかつ上記ソールの上記シューセンターに直交する第6ラインと、によって囲まれる範囲内のみに位置し、
上記外足側インジケータが、上記ソールの上記シューセンター上に位置するとともに上記ソールの上記前後方向における前方側末端から後方に向かって上記ソールの全長に対する21%の位置を通りかつ上記ソールの上記シューセンターに直交する第7ラインと、上記ソールの上記シューセンター上に位置するとともに上記ソールの上記前後方向における前方側末端から後方に向かって上記ソールの全長に対する45%の位置を通りかつ上記ソールの上記シューセンターに直交する第8ラインと、によって囲まれる範囲内のみに位置している、付記17または18に記載のソール。
【0143】
[付記20]
上記上面を構成するミッドソールと、
上記下面を構成するアウトソールとを備え、
上記インジケータが、上記一方の側面を構成する部分の上記ミッドソールに設けられている、付記1から19のいずれかに記載のソール。
【0144】
[付記21]
上記インジケータが、上記ミッドソールの一部として当該ミッドソールと同素材の部位にて構成されている、付記20に記載のソール。
【0145】
[付記22]
上記一方の側面を構成する部分の上記ミッドソールが、着用者の足の足幅方向に合致する上記ソールの左右方向に沿って外側に向かうにつれて下方に向かう傾斜面を含み、
上記インジケータが、少なくとも上記傾斜面に該当する部分に設けられている、付記20または21に記載のソール。
【0146】
[付記23]
付記1から22のいずれかに記載のソールと、
上記ソールの上方に設けられたアッパーとを備えた、靴。
【0147】
(その他の形態等)
上述した実施の形態1および2ならびにそれらの変形例においては、マラソン競技やトラック競技等の走行を想定してその設計がなされた靴およびこれに具備されるソールに本発明を適用した場合を例示して説明を行なったが、他の競技等に用いられることが想定された靴およびこれに具備されるソールや、主として歩行等に利用されることが想定された靴およびこれに具備されるソールに本発明を適用することも可能である。その場合にも、上述した理由と同様の理由により、高い推進力を得て効率的に走行または歩行することができるアシスト機能を備えた靴およびこれに具備されるソールとすることができる。
【0148】
また、上述した実施の形態1および2ならびにそれらの変形例においては、ソールの周面の内足側側面に内足側インジケータを設けるとともに、ソールの周面の外足側側面に外足側インジケータを設けた場合を例示して説明を行なったが、ソールに外足側インジケータを設けずに内足側インジケータのみを設けるように構成してもよし、ソールに内足側インジケータを設けずに外足側インジケータのみを設けるように構成してもよい。
【0149】
また、上述した実施の形態1および2ならびにそれらの変形例においては、ソールの周面の内足側側面および外足側側面に実質的に同様の構成のインジケータをそれぞれ設けた場合を例示して説明を行なったが、内足側側面および外足側側面の双方にインジケータを設ける場合であっても、内足側側面と外足側側面とで異なる構成のインジケータを設けることとしてもよい。
【0150】
また、上述した実施の形態1および2ならびにそれらの変形例において示したインジケータの形状や大きさ、配色等は、周囲部との間で視覚的にこれが区別可能である限り、種々その変更が可能である。
【0151】
さらには、上述した実施の形態1および2ならびにそれらの変形例において示した特徴的な構成は、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて相互に組み合わせることができる。
【0152】
このように、今回開示した上記実施の形態ならびに変形例はすべての点で例示であって、制限的なものではない。本発明の技術的範囲は特許請求の範囲によって画定され、また特許請求の範囲の記載と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含むものである。
【符号の説明】
【0153】
1A,1A1~1A25,1B 靴、10A,10A1~10A25,10B ソール、10a 上面、10b 下面、10c 周面、10c1 内足側側面、10c2 外足側側面、10d MP関節支持領域、11 ミッドソール、11a 凹状部、11b 凸状部、11c 溝、12 アウトソール、13 高剛性プレート、13a スパイク突起、14 スパイクピン、15 インジケータ、15a 内足側インジケータ、15b 外足側インジケータ、16 周囲部、20 アッパー、21 アッパー本体、22 シュータン、23 シューレース、100 足骨、101a 第1基節骨、101b 第1中足骨、102a 第2基節骨、102b 第2中足骨、103a 第3基節骨、103b 第3中足骨、104a 第4基節骨、104b 第4中足骨、105a 第5基節骨、105b 第5中足骨、106 MP関節、L1 第1ライン、L2 第2ライン、L3 第3ライン、L4 第4ライン、Q1 母趾球、Q2 小趾球、R1 前足部、R2 中足部、R3 後足部、SC シューセンター。