(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024012493
(43)【公開日】2024-01-30
(54)【発明の名称】消化管間質腫瘍の治療のための併用療法
(51)【国際特許分類】
A61K 31/4375 20060101AFI20240123BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20240123BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20240123BHJP
A61P 1/00 20060101ALI20240123BHJP
A61K 31/519 20060101ALI20240123BHJP
A61K 31/4184 20060101ALI20240123BHJP
A61K 31/4458 20060101ALI20240123BHJP
A61K 31/4439 20060101ALI20240123BHJP
A61K 31/506 20060101ALI20240123BHJP
A61K 31/5377 20060101ALI20240123BHJP
【FI】
A61K31/4375
A61P35/00
A61K45/00
A61P1/00
A61K31/519
A61K31/4184
A61K31/4458
A61K31/4439
A61K31/506
A61K31/5377
【審査請求】有
【請求項の数】33
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023188208
(22)【出願日】2023-11-02
(62)【分割の表示】P 2020541749の分割
【原出願日】2019-01-31
(31)【優先権主張番号】62/624,448
(32)【優先日】2018-01-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
2.LABRASOL
(71)【出願人】
【識別番号】519425235
【氏名又は名称】デシフェラ・ファーマシューティカルズ,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100135415
【弁理士】
【氏名又は名称】中濱 明子
(72)【発明者】
【氏名】フリン,ダニエル・エル
(72)【発明者】
【氏名】スミス,ブライアン・ディー
(72)【発明者】
【氏名】グプタ,アヌ
(57)【要約】 (修正有)
【課題】1または複数のc-KIT突然変異を伴う腫瘍を治療する方法を提供する。
【解決手段】1-[4-ブロモ-5-[1-エチル-7-(メチルアミノ)-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1,6-ナフチリジン-3-イル]-2-フルオロフェニル]-3-フェニル尿素またはその薬学的に許容可能な塩を、MAPKAPキナーゼ阻害剤と組み合わせて使用することを含む、方法とする。好ましくは、MAPKAPキナーゼ阻害剤は、マイトジェン活性化プロテインキナーゼ阻害剤(MEK阻害剤)、および有効量の細胞外シグナル調節キナーゼ阻害剤(ERK阻害剤)からなる群から選択される、方法である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
それを必要とする患者における1または複数のc-KIT突然変異を伴う腫瘍を治療する方法であって、前記患者に対して:
有効量の1-[4-ブロモ-5-[1-エチル-7-(メチルアミノ)-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1,6-ナフチリジン-3-イル]-2-フルオロフェニル]-3-フェニル尿素、またはその薬学的に許容可能な塩と、
有効量の1または複数のMAPKAPキナーゼ阻害剤とを投与することを含む、方法。
【請求項2】
前記MAPKAPキナーゼ阻害剤は、マイトジェン活性化プロテインキナーゼ阻害剤(MEK阻害剤)、および有効量の細胞外シグナル調節キナーゼ阻害剤(ERK阻害剤)からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記c-KIT突然変異は、c-KIT遺伝子のエクソン9、エクソン11、エクソン13、またはエクソン17における一次突然変異である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記腫瘍は、c-KIT遺伝子における1または複数の耐性二次突然変異を伴う、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記耐性二次突然変異は、c-KIT遺伝子のエクソン13、エクソン14、エクソン17またはエクソン18にある、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記耐性二次突然変異は、c-KIT遺伝子のエクソン17にある、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
c-KIT突然変異は、欠失突然変異である、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記耐性二次突然変異は、コドン816におけるアスパラギン酸の置換、またはコドン822におけるアスパラギンの置換である、請求項4から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記耐性二次突然変異は、D816V、D816E、D816H、D820A、T670I、またはN822Vのうちの1つである、請求項4から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記耐性二次突然変異は、V654AまたはT670Iのうちの1つである、請求項4から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記耐性二次突然変異は、イマチニブ、スニチニブもしくはレゴラフェニブ、またはその薬学的に許容可能な塩の、患者への先の投与後に取得された、請求項4から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
腫瘍がc-KIT二次突然変異を伴うかどうかを判断することをさらに含む、請求項4から111のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
腫瘍がc-KIT二次突然変異を伴うかどうかを判断することは、腫瘍試料から抽出されたDNAにおける突然変異を特定することを含む、請求項4から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
腫瘍がc-KIT二次突然変異を伴うかどうかを判断することは、血中腫瘍DNAにおける突然変異を特定することを含む、請求項4から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
腫瘍は、イマチニブメシル酸塩、スニチニブリンゴ酸塩、またはレゴラフェニブに耐性を示した、請求項1から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
腫瘍は、肺腺癌、肺扁平上皮癌、グリア芽腫、小児グリオーマ、星状細胞腫、肉腫、消化管間質腫瘍(GIST)、およびメラノーマからなる群から選択される、請求項1から15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記腫瘍はメラノーマである、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記腫瘍はGISTである、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記患者に対して、癌標的治療薬、癌標的生物製剤、免疫チェックポイント阻害剤、免疫調節薬および/または化学療法薬を投与することをさらに含む、請求項1から18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
RAF阻害剤を投与することをさらに含む、請求項1から19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記1-[4-ブロモ-5-[1-エチル-7-(メチルアミノ)-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1,6-ナフチリジン-3-イル]-2-フルオロフェニル]-3-フェニル尿素、またはその薬学的に許容可能な塩と、MAPKAPキナーゼ阻害剤とを、実質的に同時に、または連続的に投与する、請求項1から20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
MEK阻害剤は、トラメチニブ、セルメチニブ、コビメチニブ、およびビニメチニブからなる群から選択される、請求項2から21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
MEK阻害剤は、ビニメチニブである、請求項2から22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
MEK阻害剤は、トラメチニブである、請求項2から22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記ERK阻害剤は、ウリキセルチニブ(ulixertinib)、SCH772984、およびLY3214996からなる群から選択される、請求項2から21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
2週間以上投与すると、患者は、腫瘍体積の少なくとも30%の部分的な減少となる、請求項2から25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記治療が、腫瘍体積の完全な減少をもたらす、請求項1から26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
腫瘍または腫瘍細胞がc-KIT遺伝子の一次突然変異を含むかどうかを判断することをさらに含む、請求項1から27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
一次突然変異は、c-KIT遺伝子のエクソン11にある、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
一次突然変異は、c-KIT遺伝子のエクソン9にある、請求項28に記載の方法。
【請求項31】
一次突然変異は、欠失突然変異である、請求項28から30のいずれかに記載の方法。
【請求項32】
一次突然変異はV560Dである、請求項28から30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
1または複数の追加的な二次突然変異であるc-KIT突然変異が存在する、請求項1から32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
イマチニブ耐性の患者における固形腫瘍を治療する方法であって、
患者に対して、有効量の1-[4-ブロモ-5-[1-エチル-7-(メチルアミノ)-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1,6-ナフチリジン-3-イル]-2-フルオロフェニル]-3-フェニル尿素またはその薬学的に許容可能な塩を投与することと、前記患者に対して、トラメチニブ、ビニメチニブ、コビメチニブおよびウリキセルチニブからなる群から選択される有効量のMAPKAPキナーゼ阻害剤を投与することとを含むものであって、前記固形腫瘍は、肺腺癌、肺扁平上皮癌、神経膠芽腫、小児グリオーマ、星状細胞腫、肉腫、消化管間質腫瘍(GIST)、およびメラノーマからなる群から選択される、方法。
【請求項35】
RAF阻害剤を投与することをさらに含む、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記RAF阻害剤は、汎RAF阻害剤である、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
それを必要とする患者における、イマチニブ耐性の消化管間質腫瘍またはイマチニブ耐性のメラノーマを治療する方法であって、
患者に対して、有効量の1-[4-ブロモ-5-[1-エチル-7-(メチルアミノ)-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1,6-ナフチリジン-3-イル]-2-フルオロフェニル]-3-フェニル尿素、またはその薬学的に許容可能な塩を投与することと、
前記患者に対して、トラメチニブ、ビニメチニブ、コビメチニブ、及びウリキセルチニブからなる群から選択される、有効量のMAPKAPキナーゼ阻害剤を投与することとを含む、方法。
【請求項38】
腫瘍がc-KIT遺伝子の突然変異を伴うか否かを判断することをさらに含む、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
突然変異は、c-KIT遺伝子のエクソン17にある、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
c-KIT突然変異は、コドン816におけるアスパラギン酸の置換、またはコドン822におけるアスパラギンの置換である、請求項38または39に記載の方法。
【請求項41】
突然変異は、D816V、D816E、D816H、D820A、T670I、またはN822Vのうちの1つである、請求項38または39に記載の方法。
【請求項42】
突然変異は、エクソン13のV654A突然変異またはエクソン14のT670I突然変異である、請求項38に記載の方法。
【請求項43】
それを必要とする患者における固形腫瘍を治療する方法であって、
患者に対して、有効量の1-[4-ブロモ-5-[1-エチル-7-(メチルアミノ)-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1,6-ナフチリジン-3-イル]-2-フルオロフ
ェニル]-3-フェニル尿素、またはその薬学的に許容可能な塩を投与することと、
前記患者に対して、有効量のRAF阻害剤を投与することとを含む、方法。
【請求項44】
前記固形腫瘍は、肺腺癌、肺扁平上皮癌、GIST、およびメラノーマからなる群から選択される、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記固形腫瘍が、c-KIT遺伝子の1または複数の突然変異を伴う、請求項43または44に記載の方法。
【請求項46】
RAF阻害剤は、汎RAF阻害剤である、請求項43から45のいずれか一項に記載の方法。
【請求項47】
RAF阻害剤は、ダブラフェニブまたはLY3009120である、請求項43から46のいずれか一項に記載の方法。
【請求項48】
それを必要とする患者における固形腫瘍を治療する方法であって、
患者に対して、有効量の1-[4-ブロモ-5-[1-エチル-7-(メチルアミノ)-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1,6-ナフチリジン-3-イル]-2-フルオロフェニル]-3-フェニル尿素またはその薬学的に許容可能な塩を投与することと、前記患者に対して、トラメチニブ、ビニメチニブ、コビメチニブおよびウリキセルチニブからなる群から選択される有効量のMAPKAPキナーゼ阻害剤を投与することとを含むものであって、前記固形腫瘍は、肺腺癌、肺扁平上皮癌、神経膠芽腫、小児グリオーマ、星状細胞腫、肉腫、消化管間質腫瘍(GIST)、およびメラノーマからなる群から選択される、方法。
【請求項49】
RAF阻害剤を投与することをさらに含む、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
RAF阻害剤は、汎RAF阻害剤である、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
それを必要とする患者における、消化管間質腫瘍またはメラノーマを治療する方法であって、
患者に対して、有効量の1-[4-ブロモ-5-[1-エチル-7-(メチルアミノ)-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1,6-ナフチリジン-3-イル]-2-フルオロフェニル]-3-フェニル尿素、またはその薬学的に許容可能な塩を投与することと、
前記患者に対して、トラメチニブ、ビニメチニブ、コビメチニブ、及びウリキセルチニブからなる群から選択される、有効量のMAPKAPキナーゼ阻害剤を投与することとを含む、方法。
【請求項52】
腫瘍がc-KIT遺伝子の突然変異を伴うか否かを判断することをさらに含む、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
突然変異は、c-KIT遺伝子のエクソン17にある、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
前記c-KIT突然変異は、コドン816におけるアスパラギン酸の置換、またはコドン822におけるアスパラギンの置換である、請求項52または53に記載の方法。
【請求項55】
突然変異は、D816V、D816E、D816H、D820A、T670I、またはN822Vのうちの1つである、請求項52または53に記載の方法。
【請求項56】
突然変異は、エクソン13のV654A突然変異またはエクソン14のT670I突然
変異である、請求項52に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、2018年1月31日に出願された米国特許出願第62/624,448号に対する優先権を主張するものであり、これは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
c-KIT(KIT、CD117、および幹細胞因子受容体としても知られる)は、III型受容体として作用する145kDaの膜貫通型チロシンキナーゼタンパク質である。染色体4q11-21に位置するc-KIT癌原遺伝子は、c-KIT受容体をコードし、そのリガンドは幹細胞因子(SCF、造血幹細胞因子、kitリガンド、肥満細胞増殖因子)である。受容体はチロシンプロテインキナーゼ活性を有し、リガンドSCFの結合は、c-KITの自己リン酸化、およびホスファチジルイノシトール3-キナーゼ(PI3K)などの基質とのその会合を導く。タンパク質チロシンキナーゼによるチロシンリン酸化は、細胞シグナル伝達において特に重要であり、増殖、生存、分化、アポトーシス、付着、侵襲および遊走などの主要な細胞内プロセスのためのシグナルを媒介することができる。
【0003】
c-KIT発現および活性の役割は、急性白血病および消化管間質腫瘍(GIST)などの血液腫瘍および固形腫瘍で研究されてきた。大部分のGISTは、密接に関連するRTKである、c-KIT(GISTのうちの75~80%)またはPDGFRα(非c-KIT突然変異型GISTのうちの8%)をコードする遺伝子において一次活性化突然変異を伴い、またc-KIT遺伝子の機能突然変異の獲得および構造的リン酸化c-KITの発現は、多くのGISTにおいて見られる。GISTを引き起こすc-KIT一次突然変異の大部分は、エクソン11によってコードされたタンパク質の膜近傍(JM)の領域に影響を及ぼし、インフレーム欠失もしくは挿入、またはミスセンス突然変異(すなわち、V560D)からなる。c-KITのエクソン11突然変異は、GISTの約65%において一次突然変異として特定されてきた。このようなJMドメイン突然変異は、c-KITキナーゼの自己抑制機序を乱し、GISTの恒常的キナーゼ活性および細胞形質転換事象の原因につながる。GISTを引き起こす他のc-KIT一次突然変異は、エクソン9(AY501-502重複/挿入、8%)、エクソン13(突然変異、1%)、およびエクソン17(突然変異、1%)に位置する。
【0004】
悪性腫瘍におけるc-KIT発現の臨床的重要性は、特異的にチロシンキナーゼ受容体を阻害するものである、Gleevec(登録商標)(イマチニブメシル酸塩、STI571(シグナル伝達阻害剤番号571)、Novartis Pharma AG社、スイス国バーゼル)を用いた試験で実証された。さらに、臨床的に関連性のあるブレイクスルーは、概して従来の化学療法に対して耐性を示すと見なされる一群の腫瘍であるGISTにおけるこの化合物の抗腫瘍効果の所見であった。しかしながら、c-KITの阻害剤、Gleevec(登録商標)でのGISTの第一線の治療後に主要な応答が見られ、転移性および/または手術不能のGISTを患う相当数の患者がGleevec(登録商標)による治療の恩恵を享受する一方で、完全な腫瘍の寛解は稀であり、患者のうち約50%が治療の2年以内に疾患再発を経験している。c-KIT阻害剤イマチニブとMEKキナーゼ阻害剤MEK162との併用により、いずれかの単剤での治療と比較して、様々なGIST癌細胞株においてインビトロでの増殖抑制およびインビボでの腫瘍後退の増加をもたらすこともまた報告されている。
【0005】
GISTはほとんどの場合、Gleevec(登録商標)耐性を示すようになり、そし
てc-KIT二次突然変異を標的とする分子標的小分子療法は、とらえどころのないままとなる。Gleevec(登録商標)またはSutent(登録商標)による治療後に再発したGIST患者は、未だc-KIT突然変異によって引き起こされる疾患を有する。これら二次突然変異は、JM領域の一次突然変異と同じ対立遺伝子上で発生し、したがって、元の一次突然変異よりもさらにより侵襲的な活性化された形態のc-KITを表す。GISTにおいて特定されたc-KITのこれら二次突然変異は、後天的な薬剤耐性につながる。二次突然変異は、ATP結合ポケット(エクソン13、すなわちK642E、V654A;エクソン14、すなわちT670I)、および活性化ループ(エクソン17、すなわちN822K、D816H、D816V、D820A;エクソン18 A829P)において見られる。これらの様々なc-KIT二次突然変異は、以下のとおり報告されてきた:スニチニブリンゴ酸塩(Sutent(商標)、ファイザー社)は、この文脈においては特にc-KITおよびPDGFRαである、複数のRTKの阻害剤であり、特定のイマチニブ耐性c-KIT突然変異体、例えばATP結合性ポケット突然変異体V654AおよびT670I等に対して有効であることが示されてきた。特定のGleevec(登録商標)耐性突然変異体は、スニチニブに対しても耐性があり、例えばエクソン17によってコードされるc-KIT触媒ドメインの活性化ループに位置する、D816HおよびD816V等である。Gleevec(登録商標)耐性に由来する進行後の平均生存期間は、比較的短いままである。
【0006】
個々の患者内で、複雑な、複数のc-KIT二次突然変異が生じて変化することが実証されており、こうしたc-KITの突然変異状態の変化は、各患者内の様々な進行する転移から得られた生検サンプルによって実証されている。個々の患者内での複雑なc-KIT変異性の異質性は、c-KITの一次突然変異および二次突然変異の広範囲にわたって有効であるc-KITキナーゼ阻害剤を特定するための満たされていない医療の需要を強調するものである。さらに、単に細胞障害性であることと対立するものとして、c-KIT媒介性のGISTに対して細胞傷害性または細胞破壊的であり、また疾患の寛解および/または疾患再発の減少を結果的にもたらす治療法を特定することが要望されている。
【発明の概要】
【0007】
本開示は、c-KIT阻害剤の化合物Aまたはc-KIT阻害剤の化合物Bの、MAPKAPキナーゼシグナル伝達経路の阻害剤との併用に向けられる。本明細書では、MAPKAP経路は、キナーゼRAF→MEK→ERKを介したシグナル伝達として規定する。c-KIT阻害剤の化合物Aまたは化合物Bの、トラメチニブを含むMEK阻害剤、ウリキセルチニブを含むERK阻害剤、またはLY3009120を含むRAF阻害剤との併用が、イマチニブとMEK阻害剤との併用と比較してまたは化合物A、イマチニブもしくはMEK阻害剤による単剤治療と比較して、GIST細胞の細胞死、アポトーシスもしくは長期の細胞静止、インビボにおけるGIST腫瘍後退の増強、またはコロニー形成アッセイにおけるGIST細胞の根絶を導く、ということが予期せずに実証された。さらに、c-KIT阻害剤の化合物AのMEK阻害剤との併用が、MEK阻害剤と組み合わせたイマチニブに対して耐性を示すGIST癌細胞株の細胞死またはアポトーシス、および根絶の増強を導くことが実証された。GIST細胞におけるコロニー増殖試験では、化合物Aは、MEK阻害剤と組み合わせたイマチニブと比較して、MEK阻害剤との併用で優れた相乗作用を呈した。本開示は、部分的に、本明細書に記載される化合物Aまたはその薬学的に許容可能な塩を使用した、患者における腫瘍を治療する方法に関する。
【0008】
例えば、それを必要とする患者における1または複数のc-KIT突然変異を伴う腫瘍を治療する方法であって、患者に対して、有効量の1-[4-ブロモ-5-[1-エチル-7-(メチルアミノ)-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1,6-ナフチリジン-3-イル]-2-フルオロフェニル]-3-フェニル尿素またはその薬学的に許容可能な塩、および有効量のマイトジェン活性化プロテインキナーゼ阻害剤(MEK阻害剤)および/
または有効量の細胞外シグナル調節キナーゼ阻害剤(ERK阻害剤)を投与することを含む。
【0009】
本開示はまた、イマチニブ耐性の患者における固形腫瘍を治療する方法を提供するものであって、患者に対して、有効量の1-[4-ブロモ-5-[1-エチル-7-(メチルアミノ)-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1,6-ナフチリジン-3-イル]-2-フルオロフェニル]-3-フェニル尿素またはその薬学的に許容可能な塩を投与することと、患者に対して、トラメチニブ、ビニメチニブ、コビメチニブおよびウリキセルチニブからなる群から選択される有効量のMEK阻害剤またはERK阻害剤を投与することとを含むものであって、固形腫瘍は、肺腺癌、肺扁平上皮癌、神経膠芽腫、小児グリオーマ、星状細胞腫、肉腫、消化管間質腫瘍(GIST)、およびメラノーマからなる群から選択される。
【0010】
それを必要とする患者における、イマチニブ耐性の消化管間質腫瘍またはイマチニブ耐性のメラノーマを治療する方法もまた、本明細書において意図され、これは、患者に対して、有効量の1-[4-ブロモ-5-[1-エチル-7-(メチルアミノ)-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1,6-ナフチリジン-3-イル]-2-フルオロフェニル]-3-フェニル尿素、またはその薬学的に許容可能な塩を投与することと、患者に対して、トラメチニブ、ビニメチニブ、コビメチニブ、およびウリキセルチニブからなる群から選択される、有効量の MEKまたはERK阻害剤を投与することとを含む。
【0011】
本開示はまた、それを必要とする患者における固形腫瘍を治療する方法を提供するものであって、患者に対して、有効量の1-[4-ブロモ-5-[1-エチル-7-(メチルアミノ)-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1,6-ナフチリジン-3-イル]-2-フルオロフェニル]-3-フェニル尿素またはその薬学的に許容可能な塩を投与することと、患者に対して、トラメチニブ、ビニメチニブ、コビメチニブおよびウリキセルチニブからなる群から選択される有効量のMEK阻害剤またはERK阻害剤を投与することとを含むものであって、固形腫瘍は、肺腺癌、肺扁平上皮癌、神経膠芽腫、小児グリオーマ、星状細胞腫、肉腫、消化管間質腫瘍(GIST)、およびメラノーマからなる群から選択される。
【0012】
それを必要とする患者における、消化管間質腫瘍またはメラノーマを治療する方法もまた、本明細書において意図され、これは、患者に対して、有効量の1-[4-ブロモ-5-[1-エチル-7-(メチルアミノ)-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1,6-ナフチリジン-3-イル]-2-フルオロフェニル]-3-フェニル尿素、またはその薬学的に許容可能な塩を投与することと、患者に対して、トラメチニブ、ビニメチニブ、コビメチニブ、およびウリキセルチニブからなる群から選択される、有効量のMEKまたはERK阻害剤を投与することとを含む。
【0013】
さらに、本明細書においては、それを必要とする患者における固形腫瘍を治療する方法であって、患者に対して、有効量の1-[4-ブロモ-5-[1-エチル-7-(メチルアミノ)-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1,6-ナフチリジン-3-イル]-2-フルオロフェニル]-3-フェニル尿素、またはその薬学的に許容可能な塩を投与することと、患者に対して、有効量のRAF阻害剤を投与することとを含む上記方法が意図される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1-1】
図1Aは、GIST-T1細胞における化合物Aおよびトラメチニブによる24時間にわたる様々な処置後のカスパーゼ活性のグラフ表示を示す。
【0015】
【
図1-2】
図1Bは、GIST-T1細胞における化合物Aおよびトラメチニブによる24時間にわたる様々な処置に関する併用指数法に基づく相乗作用のマトリクス図であり、併用指数プロットは、y軸を併用指数(CI)およびx軸を作用率(Fraction affected)(Fa)としてグラフにした相乗作用を示している。
【0016】
【
図1-3】
図1Cは、GIST-T1細胞における化合物Aおよびトラメチニブによる48時間にわたる様々な処置後のカスパーゼ活性のグラフ表示を示す。
【0017】
図1Dは、GIST-T1細胞における化合物Aおよびトラメチニブによる48時間にわたる様々な処置に関する併用指数法に基づく相乗作用のマトリクス図であり、併用指数プロットは、y軸を併用指数(CI)およびx軸を作用率(Fa)としてグラフにした相乗作用を示している。
【0018】
【
図1-4】
図1Eは、GIST-T1/D816Eイマチニブ耐性細胞において、化合物Aおよびトラメチニブによる24時間にわたる様々な処置後のカスパーゼ活性のグラフ表示を示す。
【0019】
図1Fは、GIST-T1/D816Eイマチニブ耐性細胞における化合物Aおよびトラメチニブによる24時間にわたる様々な処置に関する併用指数法に基づく相乗作用のマトリクス図であり、併用指数プロットは、y軸を併用指数(CI)およびx軸を作用率(Fa)としてグラフにした相乗作用を示している。
【0020】
【
図1-5】
図1Gは、GIST-T1/T670Iイマチニブ耐性細胞における化合物Aおよびトラメチニブによる24時間にわたる様々な処置後のカスパーゼ活性のグラフ表示を示す。
【0021】
図1Hは、GIST-T1/T670Iイマチニブ耐性細胞における化合物Aおよびトラメチニブによる24時間にわたる様々な処置に関する併用指数法に基づく相乗作用のマトリクス図であり、併用指数プロットは、y軸を併用指数(CI)およびx軸を作用率(Fa)としてグラフにした相乗作用を示している。
【0022】
【
図2-1】
図2Aは、GIST-T1細胞における化合物Bおよびトラメチニブによる24時間にわたる様々な処置後のカスパーゼ活性のグラフ表示を示す。
【0023】
図2Bは、GIST-T1細胞における化合物Bおよびトラメチニブによる24時間にわたる様々な処置に関する併用指数法に基づく相乗作用のマトリクス図であり、併用指数プロットは、y軸を併用指数(CI)およびx軸を作用率(Fa)としてグラフにした相乗作用を示している。
【0024】
【
図2-2】
図2Cは、GIST-T1/D816Eイマチニブ耐性細胞における化合物Bおよびトラメチニブによる24時間にわたる様々な処置後のカスパーゼ活性のグラフ表示を示す。
【0025】
図2Dは、GIST-T1/D816Eイマチニブ耐性細胞における化合物Bおよびトラメチニブによる24時間にわたる様々な処置に関する併用指数法に基づく相乗作用のマトリクス図であり、併用指数プロットは、y軸を併用指数(CI)およびx軸を作用率(Fa)としてグラフにした相乗作用を示している。
【0026】
【
図2-3】
図2Eは、GIST-T1/T670Iイマチニブ耐性細胞における化合物Bおよびトラメチニブによる24時間にわたる様々な処置後のカスパーゼ活性のグラフ表示を示す。
【0027】
図2Fは、GIST-T1/T670Iイマチニブ耐性細胞における化合物Bおよびトラメチニブによる24時間にわたる様々な処置に関する併用指数法に基づく相乗作用のマトリクス図であり、併用指数プロットは、y軸を併用指数(CI)およびx軸を作用率(Fa)としてグラフにした相乗作用を示している。
【0028】
【
図3-1】
図3Aは、GIST-T1細胞における化合物Aおよびビニメチニブによる24時間にわたる様々な処置後のカスパーゼ活性のグラフ表示を示す。
【0029】
図3Bは、GIST-T1細胞の化合物Aおよびビニメチニブによる24時間にわたる様々な処置に関する併用指数法に基づく相乗作用のマトリクス図であり、併用指数プロットは、y軸を併用指数(CI)およびx軸を作用率(Fa)としてグラフにした相乗作用を示している。
【0030】
【
図3-2】
図3Cは、GIST-T1/D816Eイマチニブ耐性細胞における化合物Aおよびビニメチニブによる24時間にわたる様々な処置後のカスパーゼ活性のグラフ表示を示す。
【0031】
図3Dは、GIST-T1/D816Eイマチニブ耐性細胞における化合物Aおよびビニメチニブによる24時間にわたる様々な処置に関する併用指数法に基づく相乗作用のマトリクス図であり、併用指数プロットは、y軸を併用指数(CI)およびx軸を作用率(Fa)としてグラフにした相乗作用を示している。
【0032】
【
図3-3】
図3Eは、GIST-T1/T670Iイマチニブ耐性細胞における化合物Aおよびビニメチニブによる24時間にわたる様々な処置後のカスパーゼ活性のグラフ表示を示す。
【0033】
図3Fは、GIST-T1/T670Iイマチニブ耐性細胞における化合物Aおよびビニメチニブによる24時間にわたる様々な処置に関する併用指数法に基づく相乗作用のマトリクス図であり、併用指数プロットは、y軸を併用指数(CI)およびx軸を作用率(Fa)としてグラフにした相乗作用を示している。
【0034】
【
図4-1】
図4Aは、GIST-T1細胞における化合物Bおよびビニメチニブによる24時間にわたる様々な処置後のカスパーゼ活性のグラフ表示を示す。
【0035】
図4Bは、GIST-T1細胞における化合物Bおよびビニメチニブによる24時間にわたる様々な処置に関する併用指数法に基づく相乗作用のマトリクス図であり、併用指数プロットは、y軸を併用指数(CI)およびx軸を作用率(Fa)としてグラフにした相乗作用を示している。
【0036】
【
図4-2】
図4Cは、GIST-T1/D816Eイマチニブ耐性細胞における化合物Bおよびビニメチニブによる24時間にわたる様々な処置後のカスパーゼ活性のグラフ表示を示す。
【0037】
図4Dは、GIST-T1/D816Eイマチニブ耐性細胞における化合物Bおよびビニメチニブによる24時間にわたる様々な処置に関する併用指数法に基づく相乗作用のマトリクス図であり、併用指数プロットは、y軸を併用指数(CI)およびx軸を作用率(Fa)としてグラフにした相乗作用を示している。
【0038】
【
図4-3】
図4Eは、GIST-T1/T670Iイマチニブ耐性細胞における化合物Bおよびビニメチニブによる24時間にわたる様々な処置後のカスパーゼ活性のグラフ表示を示す。
【0039】
図4Fは、GIST-T1/T670Iイマチニブ耐性細胞における化合物Bおよびビニメチニブによる24時間にわたる様々な処置に関する併用指数法に基づく相乗作用のマトリクス図であり、併用指数プロットは、y軸を併用指数(CI)およびx軸を作用率(Fa)としてグラフにした相乗作用を示している。
【0040】
【
図5-1】
図5Aは、GIST-T1細胞における化合物Aおよびコビメチニブによる24時間にわたる様々な処置後のカスパーゼ活性のグラフ表示を示す。
【0041】
図5Bは、GIST-T1細胞における化合物Aおよびコビメチニブによる24時間にわたる様々な処置に関する併用指数法に基づく相乗作用のマトリクス図であり、併用指数プロットは、y軸を併用指数(CI)およびx軸を作用率(Fa)としてグラフにした相乗作用を示している。
【0042】
【
図5-2】
図5Cは、GIST-T1/D816Eイマチニブ耐性細胞における化合物Aおよびコビメチニブによる24時間にわたる様々な処置後のカスパーゼ活性のグラフ表示を示す。
【0043】
図5Dは、GIST-T1/D816Eイマチニブ耐性細胞における化合物Aおよびコビメチニブによる24時間にわたる様々な処置に関する併用指数法に基づく相乗作用のマトリクス図であり、併用指数プロットは、y軸を併用指数(CI)およびx軸を作用率(Fa)としてグラフにした相乗作用を示している。
【0044】
【
図5-3】
図5Eは、GIST-T1/T670Iイマチニブ耐性細胞における化合物Aおよびコビメチニブによる24時間にわたる様々な処置後のカスパーゼ活性のグラフ表示を示す。
【0045】
図5Fは、GIST-T1/T670Iイマチニブ耐性細胞における化合物Aおよびコビメチニブによる24時間にわたる様々な処置に関する併用指数法に基づく相乗作用のマトリクス図であり、併用指数プロットは、y軸を併用指数(CI)およびx軸を作用率(Fa)としてグラフにした相乗作用を示している。
【0046】
【
図6-1】
図6Aは、GIST-T1細胞における化合物Bおよびコビメチニブによる24時間にわたる様々な処置後のカスパーゼ活性のグラフ表示を示す。
【0047】
図6Bは、GIST-T1細胞の化合物Bおよびコビメチニブによる24時間にわたる様々な処置に関する併用指数法に基づく相乗作用のマトリクス図であり、併用指数プロットは、y軸を併用指数(CI)およびx軸を作用率(Fa)としてグラフにした相乗作用を示している。
【0048】
【
図6-2】
図6Cは、GIST-T1/D816Eイマチニブ耐性細胞における化合物Bおよびコビメチニブによる24時間にわたる様々な処置後のカスパーゼ活性のグラフ表示を示す。
【0049】
図6Dは、GIST-T1/D816Eイマチニブ耐性細胞における化合物Bおよびコビメチニブによる24時間にわたる様々な処置に関する併用指数法に基づく相乗作用のマトリクス図であり、併用指数プロットは、y軸を併用指数(CI)およびx軸を作用率(
Fa)としてグラフにした相乗作用を示している。
【0050】
【
図6-3】
図6Eは、GIST-T1/T670Iイマチニブ耐性細胞における化合物Bおよびコビメチニブによる24時間にわたる様々な処置後のカスパーゼ活性のグラフ表示を示す。
【0051】
図6Fは、GIST-T1/T670Iイマチニブ耐性細胞における化合物Bおよびコビメチニブによる24時間にわたる様々な処置に関する併用指数法に基づく相乗作用のマトリクス図であり、併用指数プロットは、y軸を併用指数(CI)およびx軸を作用率(Fa)としてグラフにした相乗作用を示している。
【0052】
【
図7-1】
図7Aは、GIST-T1細胞における化合物AおよびERK阻害剤ウリキセルチニブによる24時間にわたる様々な処置後のカスパーゼ活性のグラフ表示を示す。
【0053】
図7Bは、GIST-T1細胞における化合物Aおよびウリキセルチニブによる24時間にわたる様々な処置に関する併用指数法に基づく相乗作用のマトリクス図であり、併用指数プロットは、y軸を併用指数(CI)およびx軸を作用率(Fa)としてグラフにした相乗作用を示している。
【0054】
【
図7-2】
図7Cは、GIST-T1/T670Iイマチニブ耐性細胞における化合物Aおよびウリキセルチニブによる24時間にわたる様々な処置後のカスパーゼ活性のグラフ表示を示す。
【0055】
図7Dは、GIST-T1/T670Iイマチニブ耐性細胞における化合物Aおよびウリキセルチニブによる24時間にわたる様々な処置に関する併用指数法に基づく相乗作用のマトリクス図である。
【0056】
【
図8-1】
図8Aは、代表的培養プレートの画像、ならびに化合物A、イマチニブ、およびトラメチニブによる2週間にわたる様々な処置とそれに次ぐ9日の回復期間の後に計数したGIST-T1のコロニー数のグラフ表示を示す。
【0057】
【
図8-2】
図8Bは、代表的培養プレートの画像、ならびに化合物A、イマチニブ、およびトラメチニブによる2週間にわたる様々な処置とそれに次ぐ10日の回復期間の後に計数したGIST-T1/D816Eのコロニー数のグラフ表示を示す。右上のパネルは、回復のさらに10日後の代表的培養プレートを示す。
【0058】
【
図8-3】
図8Cは、代表的培養プレートの画像、ならびに化合物A、イマチニブ(IM)、およびトラメチニブによる2週間にわたる様々な処置とそれに次ぐ10日の回復期間の後に計数したGIST-T1/D816Eのコロニー数のグラフ表示を示す。
【0059】
図8Dは、代表的培養プレートの画像、ならびに化合物A、イマチニブ、およびトラメチニブによる2週間にわたる様々な処置とそれに次ぐ10日の回復期間の後に計数したGIST-T1/T670Iのコロニー数のグラフ表示を示す。
【0060】
【
図9-1】
図9Aは、代表的培養プレートの画像、ならびに化合物Bおよびトラメチニブによる2週間にわたる様々な処置とそれに次ぐ10日の回復期間の後に計数したGIST-T1のコロニー数のグラフ表示を示す。
【0061】
【
図9-2】
図9Bは、代表的培養プレートの画像、ならびに化合物Bおよびトラメチニブによる2週間にわたる様々な処置とそれに次ぐ10日の回復期間の後に計数したGIST-T1/D816Eのコロニー数のグラフ表示を示す。右上のパネルは、回復のさらに10日後の代表的培養プレートを示す。
【0062】
【
図9-3】
図9Cは、代表的培養プレートの画像を示し、化合物Bおよびトラメチニブによる2週間にわたる様々な処置とそれに次ぐ10日の回復期間の後に計数したGIST-T1/T670Iのコロニー数を示す。
【0063】
【
図10-1】
図10Aは、代表的培養プレートの画像、ならびに化合物A、イマチニブ、およびビニメチニブによる2週間にわたる様々な処置とそれに次ぐ10日の回復期間の後に計数したGIST-T1のコロニー数のグラフ表示を示す。右上のパネルは、回復のさらに10日後の代表的培養プレートを示す。
【0064】
【
図10-2】
図10Bは、代表的培養プレートの画像、ならびに化合物A、イマチニブ、およびビニメチニブによる2週間にわたる様々な処置とそれに次ぐ10日の回復期間の後に計数したGIST-T1/D816Eのコロニー数のグラフ表示を示す。右上のパネルは、回復のさらに10日後の代表的培養プレートを示す。
【0065】
【
図10-3】
図10Cは、代表的培養プレートの画像、ならびに化合物A、イマチニブ、およびビニメチニブによる2週間にわたる様々な処置とそれに次ぐ10日の回復期間の後に計数したGIST-T1/T670Iのコロニー数のグラフ表示を示す。右上のパネルは、回復のさらに10日後の代表的培養プレートを示す。
【0066】
【
図11-1】
図11Aは、代表的培養プレートの画像、ならびに化合物Bおよびビニメチニブによる2週間にわたる様々な処置とそれに次ぐ10日の回復期間の後に計数したGIST-T1のコロニー数のグラフ表示を示す。右上のパネルは、回復のさらに10日後の代表的培養プレートを示す。
【0067】
【
図11-2】
図11Bは、代表的培養プレートの画像、ならびに化合物Bおよびビニメチニブによる2週間にわたる様々な処置とそれに次ぐ10日の回復期間の後に計数したGIST-T1/D816Eのコロニー数のグラフ表示を示す。右上のパネルは、回復のさらに10日後の代表的培養プレートを示す。
【0068】
【
図11-3】
図11Cは、代表的培養プレートの画像、ならびに化合物Bおよびビニメチニブによる2週間にわたる様々な処置とそれに次ぐ10日の回復期間の後に計数したGIST-T1/D816Eのコロニー数のグラフ表示を示す。右上のパネルは、回復のさらに10日後の代表的培養プレートを示す。
【0069】
【
図12-1】
図12Aは、代表的培養プレートの画像、ならびに化合物A、イマチニブ、およびコビメチニブによる2週間にわたる様々な処置とそれに次ぐ10日の回復期間の後に計数したGIST-T1のコロニー数のグラフ表示を示す。右上のパネルは、回復のさらに10日後の代表的培養プレートを示す。
【0070】
【
図12-2】
図12Bは、代表的培養プレートの画像、ならびに化合物A、イマチニブ、およびコビメチニブによる2週間にわたる様々な処置とそれに次ぐ10日の回復期間の後に計数したGIST-T1/D816Eのコロニー数のグラフ表示を示す。右上のパネルは、回復のさらに10日後の代表的培養プレートを示す。
【0071】
【
図12-3】
図12Cは、代表的培養プレートの画像、ならびに化合物A、イマチニブ、およびコビメチニブによる2週間にわたる様々な処置とそれに次ぐ10日の回復期間の後に計数したGIST-T1/T670Iのコロニー数のグラフ表示を示す。右上のパネルは、回復のさらに10日後の代表的培養プレートを示す。
【0072】
【
図13-1】
図13Aは、代表的培養プレートの画像、ならびに化合物Bおよびコビメチニブによる2週間にわたる様々な処置とそれに次ぐ10日の回復期間の後に計数したGIST-T1のコロニー数のグラフ表示を示す。右上のパネルは、回復のさらに10日後の代表的培養プレートを示す。
【0073】
【
図13-2】
図13Bは、代表的培養プレートの画像、ならびに化合物Bおよびコビメチニブによる2週間にわたる様々な処置とそれに次ぐ10日の回復期間の後に計数したGIST-T1/D816Eのコロニー数のグラフ表示を示す。右上のパネルは、回復のさらに10日後の代表的培養プレートを示す。
【0074】
【
図13-3】
図13Cは、代表的培養プレートの画像を示し、化合物Bおよびコビメチニブによる2週間にわたる様々な処置とそれに次ぐ10日の回復期間の後に計数したGIST-T1/T670Iのコロニー数を示す。右上のパネルは、回復のさらに10日後の代表的培養プレートを示す。
【0075】
【
図14-1】
図14Aは、代表的培養プレートの画像、ならびに化合物AおよびERK阻害剤ウリキセルチニブによる2週間にわたる様々な処置とそれに次ぐ10日の回復期間の後に計数したGIST-T1のコロニー数のグラフ表示を示す。
【0076】
【
図14-2】
図14Bは、代表的培養プレートの画像、ならびに化合物Aおよびウリキセルチニブによる2週間にわたる様々な処置とそれに次ぐ10日の回復期間の後に計数したGIST-T1/D816Eのコロニー数のグラフ表示を示す。
【0077】
【
図14-3】
図14Cは、代表的培養プレートの画像、ならびに化合物Aおよびウリキセルチニブによる2週間にわたる様々な処置とそれに次ぐ10日の回復期間の後に計数したGIST-T1/T670Iのコロニー数のグラフ表示を示す。右上のパネルは、回復のさらに10日後の代表的培養プレートを示す。
【0078】
【
図15】
図15は、代表的培養プレートの画像、ならびに化合物Bおよびウリキセルチニブによる2週間にわたる様々な処置の後に計数したGIST-T1/D816Eのコロニー数のグラフ表示を示す。
【0079】
【
図16-1】
図16Aは、ベクター対照またはN-ras G12Dを形質移入したGIST-T1細胞における化合物Aおよびトラメチニブによる48時間にわたる様々な処置からのカスパーゼ活性のグラフ表示を示す。
【0080】
図16Bは、化合物A、イマチニブ、およびトラメチニブによる様々な処置とそれに次ぐ10日の回復期間の後の、ベクター対照(
図16B.1)またはN-ras G12D(
図16B.2)を形質移入したGIST-T1のコロニーの代表的培養プレートの画像を示す。
【0081】
【
図16-2】
図16Cは、化合物A、イマチニブ、およびトラメチニブによる様々な処置とそれに次ぐ10日の回復期間の後に計数した、ベクター対照(
図16C.1)またはN-ras G12D(
図16C.2)を形質移入したGIST-T1のコロニー数のグラフ表示を示す。
【0082】
図16Dは、化合物Aおよびトラメチニブによる様々な処置とそれに次ぐ延長した21
日の回復期間の後の、N-ras G12Dを形質移入したGIST-T1のコロニーの代表的培養プレートの画像を示す。
【0083】
【
図17】
図17Aは、イマチニブ(左パネル)または化合物A(右パネル)のいずれかによる単剤処置が後に続く、飽和突然変異誘発における、T670I、K807E、またはD816Vでのc-KIT二次突然変異のBa/F3 V560D KIT細胞増殖、または、さらなる非c-KIT抵抗性機序を合わせた元のc-KIT V560D突然変異のみを保持する細胞増殖、のグラフ表示である。
【0084】
図17Bは、イマチニブとトラメチニブ(左パネル)または化合物Aとトラメチニブ(右パネル)のいずれかによる併用処置が後に続く、飽和突然変異誘発における、T670I、K807E、またはD816Vでのc-KIT二次突然変異のBa/F3 V560D KIT細胞増殖、または、さらなる非c-KIT抵抗性機序を合わせた元のc-KIT V560D突然変異のみを保持する細胞増殖、のグラフ表示である。
【0085】
【
図18】
図18Aは、単剤の化合物A、単剤のトラメチニブ、または化合物Aおよびトラメチニブの併用での処置後のGIST T1異種移植片腫瘍増殖のグラフ表示を提供する。
【0086】
図18Bは、
図18Aからのグラフ表示の引伸ばしであり、単剤の化合物A、単剤のトラメチニブ、または化合物Aおよびトラメチニブの併用での処置後の腫瘍後退に対する効果の回復を示す。
【発明を実施するための形態】
【0087】
〔00087〕1-[4-ブロモ-5-[1-エチル-7-(メチルアミノ)-2-オキソ
-1,2-ジヒドロ-1,6-ナフチリジン-3-イル]-2-フルオロフェニル]-3-フェニル尿素(化合物A)と、例えばトラメチニブであるMAPKAPキナーゼ経路阻害剤との併用が、予期せずに、相乗作用を発揮して、GIST細胞の細胞死、アポトーシス、または長期の細胞静止を導き、腫瘍細胞の根絶を誘発し、腫瘍の後退を誘発し、腫瘍の体積を減少させ、腫瘍の再増殖を阻害し、および/または、添付の実施例においてMEK阻害剤と組み合わせたイマチニブに耐性を示すGIST癌細胞株の細胞死、アポトーシスまたは細胞静止もしくは根絶の増強を導くことがわかった。加えて、本明細書に開示される併用療法は、単に細胞増殖抑制性であることと対立するものとして、細胞致死性であるようである。
【0088】
いかなる特定の理論に拘束されることを望むものではないが、多くのc-KIT阻害剤は、GISTで観察された顕著なエクソン11突然変異などの、c-KITの特定の突然変異体の形態のみを阻害すると考えられる。c-KITの他の突然変異体形態は多くのc-KIT阻害剤に対して耐性を示し、またこれらはc-KIT阻害剤での治療に対して耐性を示す腫瘍を与える、エクソン13、14、17および18における二次突然変異として生じることがよくある。本開示は、化合物Aもしくはその薬学的に許容可能な塩または化合物Bもしくはその薬学的に許容可能な塩として本明細書に開示されるc-KIT阻害剤を用いて、c-KITおよびMAPKAP経路キナーゼの両方を阻害することによって、GIST等の例えばc-KIT媒介性腫瘍である腫瘍を治療する方法を提供する。驚くべきことに、化合物Aおよび化合物B(およびその薬学的に許容可能な塩)は、MEK阻害剤、ERK阻害剤、またはRAF阻害剤と共に相乗作用を発揮し、GIST細胞の細胞死、アポトーシス、または 長期の細胞静止を導き、検出限界まで腫瘍細胞の根絶を誘発し、腫瘍の体積を減少させ、腫瘍の再増殖を阻害し、および/または、MAPKAPキナーゼ阻害剤と組み合わせて、イマチニブに耐性を示すGIST癌細胞株の、細胞死、アポトーシス、細胞静止または検出限界まで根絶の増強を導く。化合物Aは、c-KIT耐性
突然変異を含有するGIST細胞において、MEK阻害と組み合わせたイマチニブと比較して、MEK阻害との併用で優れた効力および相乗作用を示す。さらに、MEK阻害と組み合わせた化合物Aの、効力および相乗作用のレベル、ならびにGIST腫瘍細胞の長期の細胞静止または根絶の程度は、イマチニブに感受性であることがわかっている細胞株に対してさえも、MEK阻害と組み合わせたイマチニブのそれよりも優れている。再びいかなる特定の理論に拘束されることを望むものではないが、化合物Aは、例えばGIST細胞である腫瘍細胞内において、BCRP排出ポンプを含む薬物排出ポンプの阻害を含む機序を介する可能性がある、GIST細胞において、イマチニブを含めた先のc-KIT阻害剤よりも、より幅広い範囲のc-KITの突然変異形態を阻害することができると考えられる。イマチニブは、BCRP排出ポンプの基質であり、この排出ポンプが存在する腫瘍細胞内の細胞内濃度の低下を導く(Eechoute,K,et al,Clin Cancer Res.2015,17,406-15)。GIST腫瘍は、評価したGIST患者腫瘍のうちの93%(42/45)において、BCRP排出ポンプの過剰発現があることが実証されている(Feldman,R,et al.J Clin Oncol.2015,33,58)。化合物Aは、BCRP排出トランスポーターの強力な阻害剤であり、IC50値は40nMを示す。
【0089】
したがって、特定の実施形態では、本開示は、長期の細胞静止の誘発、細胞死の誘発、腫瘍細胞のアポトーシスの誘発、腫瘍細胞の根絶の誘発、腫瘍後退の誘発、腫瘍の体積の減少、腫瘍の再増殖の阻害、または、耐性腫瘍細胞の増殖の阻害をする方法を提供するものであって、当該方法は、それを必要とする患者に対して、有効量の、(i)1-[4-ブロモ-5-[1-エチル-7-(メチルアミノ)-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1,6-ナフチリジン-3-イル]-2-フルオロフェニル]-3-フェニル尿素もしくはその薬学的に許容可能な塩、または、1-(5-(7-アミノ-1-エチル-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1,6-ナフチリジン-3-イル)-4-ブロモ-2-フルオロフェニル)-3-フェニル尿素もしくはその薬学的に許容可能な塩;および(ii)例えばMEK阻害剤のトラメチニブ、ビニメチニブもしくはコビメチニブ、ERK阻害剤のウリキセルチニブ、またはRAF阻害剤である、MAPKAPキナーゼ阻害剤、を投与することを含む。本明細書に開示される方法のいずれかの特定の実施形態では、腫瘍は、例えばc-KIT媒介性GISTまたはメラノーマである、c-KIT媒介性固形腫瘍である。定義
【0090】
〔00090〕本明細書において使用される場合、化合物Aおよび化合物Bとは、1-[4
-ブロモ-5-[1-エチル-7-(メチルアミノ)-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1,6-ナフチリジン-3-イル]-2-フルオロフェニル]-3-フェニル尿素、および1-(5-(7-アミノ-1-エチル-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1,6-ナフチリジン-3-イル)-4-ブロモ-2-フルオロフェニル)-3-フェニル尿素をそれぞれ指す。化合物Aおよび化合物Bの薬学的に許容可能な塩、互変異性体、水和物、および溶媒和物も本開示において意図される。化合物Aおよび化合物Bの構造を以下に示す:
【化1】
1-[4-ブロモ-5-[1-エチル-7-(メチルアミノ)-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1,6-ナフチリジン-3-イル]-2-フルオロフェニル]-3-フェニル尿素(化合物A)
【化2】
1-(5-(7-アミノ-1-エチル-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1,6-ナフチリジン-3-イル)-4-ブロモ-2-フルオロフェニル)-3-フェニル尿素(化合物B)
【0091】
化合物Aおよび化合物Bの製造方法は、参照によりその内容が本明細書に組み込まれる米国特許第8461179B1号に開示されている。
【0092】
ここで例示的な方法および材料を説明する。明細書および添付の特許請求の範囲において、文脈から別段に明示されない限り、単数形は複数形も含む。別段に規定しない限り、本明細書において使用される全ての技術用語および科学用語は、当業者によって普遍的に理解される意味と同じ意味を有する。
【0093】
本開示全体を通して、様々な特許、特許出願、および公開公報が参照される。これら特許、特許出願および公開公報の開示はその全体が、本開示の日付において当業者に公知である当技術の状況をさらに詳細に記述するために、参照により本開示に組み込まれる。それら特許、特許出願および公開公報と本開示との間に何らかの不一致がある場合には、本開示が優先されることとなる。
【0094】
簡便のため、本明細書、実施例および特許請求の範囲に採用される特定の語を、ここにまとめる。別段に規定しない限り、本開示で使用される全ての技術用語および科学用語は、本開示が属する技術の当業者によって普遍的に理解される意味と同じ意味を有する。本開示において提示される群または語に対して提示される最初の定義は、別段に示さない限り、本開示全体を通じて当該群または語に対して個々に、または別の群の一部として適用される。
【0095】
〔00095〕「薬学的に許容可能な担体、希釈剤または賦形剤」としては、ヒトまたは家
畜における使用に許容可能であるとして、米国食品医薬品局(United States Food and Drug Administration)に承認された任意のアジュバント、担体、賦形剤、流動促進剤、甘味剤、希釈剤、保存剤、色素/着色剤、調味料(flavor enhancer)、界面活性剤、湿潤剤、分散剤、懸濁化剤、安定剤、等張剤、溶媒または乳化剤が挙げられるが、これらに限定されない。
【0096】
「薬学的に許容可能な塩」としては、酸付加塩が挙げられる。
【0097】
「薬学的に許容可能な酸付加塩」とは、遊離塩基の生物学的な有効性および特性を保持する塩を指し、それらは生物的に望ましくないものでもなく、またはそれ以外の望ましくないものでもなく、そして例えば、限定されないが、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などの無機酸、および例えば限定されないが、酢酸、2,2-ジクロロ酢酸、アジピン酸、アルギン酸、アスコルビン酸、アスパラギン酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、4-アセトアミド安息香酸、ショウノウ酸、カンファー-10-スルホン酸、カプリン酸、カプロン酸、カプリル酸、炭酸、ケイ皮酸、クエン酸、シクラミン酸、ドデシル硫酸、エタン-1,2-ジスルホン酸、エタンスルホン酸、2-ヒドロキシエタンスルホン酸、
ギ酸、フマル酸、ガラクタル酸、ゲンチシン酸、グルコヘプトン酸、グルコン酸、グルクロン酸、グルタミン酸、グルタル酸、2-オキソ-グルタル酸、グリセロリン酸、グリコール酸、馬尿酸、イソ酪酸、乳酸、ラクトビオン酸、ラウリン酸、マレイン酸、リンゴ酸、マロン酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、粘液酸、ナフタレン-1,5-ジスルホン酸、ナフタレン-2-スルホン酸、1-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸、ニコチン酸、オレイン酸、オロチン酸、シュウ酸、パルミチン酸、パモ酸、プロピオン酸、ピログルタミン酸、ピルビン酸、サリチル酸、4-アミノサリチル酸、セバシン酸、ステアリン酸、コハク酸、酒石酸、チオシアン酸、p-トルエンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、ウンデシレン酸などの有機酸で形成される。
【0098】
「医薬組成物」とは、本明細書に記載の化合物、例えば化合物Aまたはその薬学的に許容可能な塩、と、生物学的に活性な化合物の、例えばヒトである哺乳動物への送達に関して、当技術において概して許容可能である媒体との製剤を指す。そのような媒体としては、それらのためのすべての薬学的に許容可能な担体、希釈剤、または賦形剤が挙げられる。
【0099】
例えばMEK阻害剤と組み合わせた化合物Aである、本開示の併用療法での「治療を必要とする」対象または患者には、例えばGIST患者である、有益な治療結果を達成するために本明細書に開示される組合せで治療することが可能である疾患および/または症状を有する患者が含まれる。有益な転帰としては、客観的反応、無憎悪生存期間の増加、生存期間の増加、長期の安定病態、および/または症状の重篤度の低下もしくは症状の発現の遅延が挙げられる。特定の実施形態では、治療を必要とする患者は、腫瘍増殖または腫瘍進行に悩まされており、患者は肺腺癌、肺扁平上皮癌、グリア芽腫、小児グリオーマ、星状細胞腫、肉腫、メラノーマ、または消化管間質腫瘍に悩まされているが、これらに限定されない。
【0100】
〔00100〕本明細書に開示される化合物または他の治療薬と関連して使用する場合、「
有効量」の語は、疾患または障害を治療または予防するために有用である、例えば化合物AまたはMEK阻害剤である、単独または併用での、ある量の治療薬を指す。併用療法で使用する治療薬の有効量は、もう一方の薬剤が存在しない状態での治療薬の一方または両方の量が、疾患または障害を治療または予防するのに有効でなくても、併用療法で使用するときに疾患または障害の治療または予防に有用であるような各治療薬の量である。特定の実施形態では、有効量は、GIST細胞の長期の細胞静止、細胞致死性のGIST細胞死滅、GIST細胞のアポトーシス、GIST細胞の根絶、GISTの後退、GIST腫瘍体積の減少、GISTの再増殖の阻害をもたらし、および/または、MEK阻害剤と組み合わせたイマチニブに耐性を示すGIST癌細胞株の、長期の細胞静止、細胞死、アポトーシス、または検出限界までの根絶を導き、および/または、治療をしない場合と比較して、この化合物で治療した症状について有益な臨床結果を導く量である。「有効量」は、投与の形態、疾患または障害の特定の位置、ならびに対象の年齢、体重および全体的な健康に応じて変更可能である。投与する化合物の量は、疾患または症状の程度、重篤度および種類、所望される治療の量、ならびに医薬製剤の放出特性に依存するであろう。また、対象の健康状態、大きさ、重量、年齢、性別および薬剤に対する耐性にも依存するであろう。典型的には、化合物は、望ましい治療効果を実現するのに充分な期間、投与する。
【0101】
「治療」、「治療する」および「治療すること」の語は、GIST細胞の長期の細胞静止を誘発すること、細胞致死性のGIST細胞死滅を誘発すること、GIST細胞のアポトーシスを誘発すること、5倍での実体的顕微鏡検査により決定されるような視覚的検出限界までのGIST腫瘍細胞の根絶を誘発すること、患者におけるGIST腫瘍の後退を引き起こすこと、GIST腫瘍体積を減少すること、GISTの再増殖を阻害すること、および/または例えば1もしくは複数の症状を緩和、遅延または後退させる本明細書にお
いて開示する併用療法を施すこと等である、所与の治療において耐性GIST細胞の増殖を阻害すること、ならびに、実際にGISTを除去できなかったとしてもGISTの後退を誘発することという意図により「癌」を患う患者における介入の全範囲を含むことを意味する。いくつかの実施形態では、治療には、例えばGISTである疾患または障害を、完全に除去することが含まれる。治療することは、障害を治癒、改善、または少なくとも部分的に緩和させることであってもよい。
【0102】
本明細書で規定される「癌」とは、周囲の組織に浸潤する能力を有し、転移(他の臓器に拡散する)するものであり、また最終的には、もし治療しなければ患者に死をもたらし得る新生物を指す。特定の実施形態では、癌は固形腫瘍であり得る。
【0103】
本明細書で使用される場合、「腫瘍」とは腫瘤を指す。これは、良性(概して無害)または悪性(癌性)の増殖を指す場合もある語である。悪性の増殖は、実質臓器または骨髄が起源であり得る。
【0104】
本明細書に規定される「腫瘍増殖」は、c-KIT遺伝子のゲノム変異によって生じる腫瘤の増殖を指し、これはc-KITタンパク質の発現および/または活性を変化させ得る。
【0105】
〔00105〕本明細書に規定される「腫瘍進行」とは、例えばGISTである既存のc-
KIT依存性の腫瘍の増殖を指し、この場合において既存の腫瘤のこうした増殖は、治療に対して耐性を示すc-KITのさらなるゲノム改変によって生じ得る。
【0106】
本明細書に規定されるような、「腫瘍後退」、「完全寛解」および「部分奏効」は、RECIST 1.1またはChoiの基準により決定されるような重量または体積によって決定される腫瘍サイズの減少を指す。
【0107】
既存のc-KIT媒介性腫瘍、例えばc-KIT媒介性GISTの根絶は、インビトロの評価については、5倍での実体的顕微鏡検査により決定されるような検出限界までの腫瘍の「完全な細胞致死性の細胞死滅」として規定され、または、前臨床もしくは臨床条件下で腫瘍の再増殖の可能性なしでのインビボの前臨床もしくは臨床の評価については、RECIST 1.1またはChoiの基準で決定されるような完全寛解として規定される。したがって、「c-KIT媒介性腫瘍の根絶」は、c-KIT媒介性腫瘍のすべての細胞が、c-KIT媒介性腫瘍の再増殖の可能性なしに検出限界まで死滅または除去されることを示す。
【0108】
本明細書で使用される場合、「腫瘍再増殖」とは、例えばGleevec(登録商標)またはSutent(登録商標)である治療の後に、予め増殖を停止または後退した腫瘍が増殖することを指す。特定の実施形態では、腫瘍の再増殖は、腫瘍細胞内のc-Kit二次突然変異の導入に起因して発生する。他の実施形態では、腫瘍の再増殖は、MEKキナーゼを介したシグナル伝達を含むMAPKAPシグナル伝達経路の活性化を含むがこれに限定されない、異なるシグナル伝達経路の活性化または突然変異に起因して発生する。
【0109】
本明細書で使用される場合、「細胞静止(cell stasis)」は、分裂を停止して、休眠中の非複製的な状態のままである細胞を指す。
【0110】
〔00110〕本明細書で使用される場合、「アポトーシス」は、プログラム細胞死を指す
。組織学的方法および組織化学的方法によって検出可能なアポトーシスの特徴には、細胞収縮、膜透過性の増加、核および細胞質の凝縮、核DNAのオリゴヌクレオソーム断片への分解切断(endolytic cleavage)、ならびにマクロファージによっ
て吸収および除去されるアポトーシス小体の最終的な形成が含まれる。アポトーシスは主に,アスパラギン酸特異的セリンプロテアーゼであるカスパーゼによって媒介される。アポトーシスは、例えばDNA損傷もしくは増殖因子の除去である、様々な条件に応じた本質的な遺伝子プログラミングを介して誘発可能であり、またはアポトーシスは、照射による細胞DNAの損傷、および癌治療に使用されるいくつかの細胞障害性薬剤等である外因によって誘発することができる。それは、自然発生的な因子(例えば、サイトカイン)によって、および一部の薬剤(例えば、プロテアーゼ阻害剤)によって、抑制することが可能である。アポトーシスは典型的には、悪性細胞において発生せず、または悪性細胞において損なわれる。特定の実施形態では、アポトーシスは、切断されて活性化されたカスパーゼ3およびカスパーゼ7における増加によって決定されるプログラム細胞死を指す。
【0111】
「併用療法」は、例えば化合物AおよびMEK阻害剤である2以上の治療薬の患者への投与を含む治療である。2以上の治療薬は、同時に、例えば、別個の医薬組成物中でまたは同じ医薬組成物中で、送達されてもよく、または2以上の治療薬は、異なる時点で送達されてもよい。例えば、2以上の治療薬は同時にまたは重複する時間の間に送達されてもよく、および/または、1つの治療薬を、その他の治療薬の前または後に送達してもよい。化合物AなどのKIT阻害剤およびMEK阻害剤の併用を伴う治療は、両方の薬剤での同時治療の期間が先行する、または当該期間がその後に続く、いずれかの単剤での治療を含んでいてもよい。しかしながら、一部の期間中に、有効量の2以上の治療薬が患者の体内に存在することが意図される。
【0112】
「MAPKAP経路阻害剤」は、MAPキナーゼシグナル伝達経路の阻害剤である。この経路の阻害剤には、RAS阻害剤、RAF阻害剤(例えば、ダブラフェニブ、ベムラフェニブ、LY3009120)、MEK阻害剤(例えば、トラメチニブ、ビニメチニブ、コビメチニブ)、およびERK阻害剤(例えば、ウリキセルチニブ)が含まれる。「MAPKAP経路阻害剤」および「MAPKAPキナーゼ阻害剤の語は、本明細書では区別無く使用される。
治療方法
【0113】
本明細書に記載される化合物および組成物は、それを必要とする患者の腫瘍を治療するために使用できる。例えば、それを必要とする患者における1または複数のc-KIT突然変異を伴う腫瘍を治療する方法であって、患者に対して、有効量の1-[4-ブロモ-5-[1-エチル-7-(メチルアミノ)-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1,6-ナフチリジン-3-イル]-2-フルオロフェニル]-3-フェニル尿素、またはその薬学的に許容可能な塩と、有効量の1または複数のMAPKAPキナーゼ阻害剤とを投与することを含む上記方法を提供する。一実施形態においては、MAPKAPキナーゼ阻害剤は、マイトジェン活性化プロテインキナーゼ阻害剤(MEK阻害剤)、および有効量の細胞外シグナル調節キナーゼ阻害剤(ERK阻害剤)からなる群から選択される。
【0114】
c-KIT突然変異は、c-KIT遺伝子のエクソン9、エクソン11、エクソン13、またはエクソン17における一次突然変異であり得る。別の実施形態では、c-KIT突然変異は欠失突然変異である。
【0115】
〔00115〕さらに、腫瘍は、c-KIT遺伝子における1または複数の耐性二次突然変
異を伴い得る。いくつかの実施形態において、耐性二次突然変異は、c-KIT遺伝子におけるエクソン13、エクソン14、エクソン17、またはエクソン18にある。いくつかの実施形態において、耐性二次突然変異は、c-KIT遺伝子におけるエクソン17にある。いくつかの実施形態においては、耐性二次突然変異は、コドン816におけるアスパラギン酸の置換、またはコドン822におけるアスパラギンの置換である。いくつかの実施形態においては、耐性二次突然変異は、D816V、D816E、D816H、D8
20A、T670I、またはN822Vのうちの1つである。いくつかの実施形態においては、耐性二次突然変異は、イマチニブ、スニチブもしくはレゴラフェニブ、またはその薬学的に許容可能な塩の、患者への先の投与後に取得された。
【0116】
こうした開示する方法は、腫瘍がc-KIT二次突然変異を伴うかどうかを判断することをさらに含む。いくつかの実施形態においては、腫瘍にc-KIT二次突然変異を伴うかどうかを判断することは、腫瘍試料から抽出されたDNAにおける突然変異を特定することを含む。いくつかの実施形態においては、腫瘍にc-KIT二次突然変異を伴うかどうかを判断することは、血中腫瘍DNAにおける突然変異を特定することを含む。別の実施形態では、腫瘍はイマチニブメシル酸塩、スニチニブリンゴ酸塩、またはレゴラフェニブでの治療に対して耐性を示した。
【0117】
さらに、腫瘍は、肺腺癌、肺扁平上皮癌、グリア芽腫、小児グリオーマ、星状細胞腫、肉腫、消化管間質腫瘍(GIST)、およびメラノーマからなる群から選択され得る。いくつかの実施形態では、腫瘍はメラノーマである。いくつかの実施形態では、腫瘍はGISTである。
【0118】
この方法は、患者に対して、癌標的治療薬、癌標的生物製剤、免疫チェックポイント阻害剤、および/または化学療法剤を投与することをさらに含み得る。方法はまた、患者に対して、RAF阻害剤を投与することをさらに含んでもよい。
【0119】
別の実施形態では、1-[4-ブロモ-5-[1-エチル-7-(メチルアミノ)-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1,6-ナフチリジン-3-イル]-2-フルオロフェニル-3-フェニル尿素、またはその薬学的に許容可能な塩、およびMAPKAPキナーゼ阻害剤は、実質的に同時に、または連続的に投与される。
【0120】
〔00120〕この開示の方法におけるMEK阻害剤は、トラメチニブ、セルメチニブ、コ
ビメチニブ、およびビニメチニブからなる群から選択することが可能である。いくつかの実施形態においては、MEK阻害剤はビニメチニブである。いくつかの実施形態においては、MEK阻害剤はトラメチニブである。いくつかの実施形態においては、ERK阻害剤は、ウリキセルチニブ、SCH772984、およびLY3214996からなる群から選択される。
【0121】
こうした開示の方法に従って2週間以上投与することにより、患者が腫瘍体積の少なくとも30%の部分的減少をもたらし得る。いくつかの実施形態では、治療により、腫瘍体積の完全な減少をもたらす。
【0122】
開示の方法は、腫瘍または腫瘍細胞がc-KIT遺伝子の一次突然変異を含むかどうかを判断することをさらに含み得る。いくつかの実施形態において、一次突然変異は、c-KIT遺伝子のエクソン11にある。いくつかの実施形態において、一次突然変異は、c-KIT遺伝子のエクソン9にある。いくつかの実施形態においては、一次突然変異は、欠失突然変異である。いくつかの実施形態においては、一次突然変異は、V560Dである。他の実施形態では、1または複数のさらなる二次的突然変異であるc-KIT突然変異が存在する。
【0123】
本開示により、イマチニブ耐性の患者の固形腫瘍を治療する方法であって、患者に対して、有効量の1-[4-ブロモ-5-[1-エチル-7-(メチルアミノ)-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1,6-ナフチリジン-3-イル]-2-フルオロフェニル]-3-フェニル尿素またはその薬学的に許容可能な塩を投与することと、患者に対して、トラメチニブ、ビニメチニブ、コビメチニブおよびウリキセルチニブからなる群から選択され
る有効量のMAPKAPキナーゼ阻害剤を投与することとを含む上記方法も提供し、固形腫瘍は、肺腺癌、肺扁平上皮癌、神経膠芽腫、小児グリオーマ、星状細胞腫、肉腫、消化管間質腫瘍(GIST)、およびメラノーマからなる群から選択される。いくつかの実施形態においては、この方法は、RAF阻害剤を投与することをさらに含む。いくつかの実施形態においては、RAF阻害剤は、汎RAF阻害剤である。
【0124】
本明細書においては、それを必要とする患者におけるイマチニブ耐性の消化管間質腫瘍またはイマチニブ耐性のメラノーマを治療する方法であって、患者に対して、有効量の1-[4-ブロモ-5-[1-エチル-7-(メチルアミノ)-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1,6-ナフチリジン-3-イル]-2-フルオロフェニル]-3-フェニル尿素、またはその薬学的に許容可能な塩を投与することと、患者に対して、トラメチニブ、ビニメチニブ、コビメチニブ、およびウリキセルチニブからなる群から選択される有効量のMAPKAPキナーゼ阻害剤を投与することとを含む上記方法も提供する。
【0125】
〔00125〕いくつかの実施形態では、方法は、腫瘍がc-KIT遺伝子の突然変異を伴
うか否かを判断することをさらに含む。いくつかの実施形態においては、突然変異は、c-KIT遺伝子のエクソン17にある。いくつかの実施形態においては、c-KIT突然変異は、コドン816におけるアスパラギン酸の置換、またはコドン822におけるアスパラギンの置換である。いくつかの実施形態においては、突然変異は、D816V、D816E、D816H、D820A、T670I、またはN822Vのうちの1つである。
【0126】
さらに、それを必要とする患者における固形腫瘍を治療する方法であって、患者に対して、有効量の1-[4-ブロモ-5-[1-エチル-7-(メチルアミノ)-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1,6-ナフチリジン-3-イル]-2-フルオロフェニル]-3-フェニル尿素、またはその薬学的に許容可能な塩を投与することと、患者に対して、有効量のRAF阻害剤を投与することとを含む上記方法を提供する。
【0127】
このような開示の方法では、固形腫瘍は、肺腺癌、肺扁平上皮癌、GIST、およびメラノーマからなる群から選択され得る。いくつかの実施形態においては、固形腫瘍は、c-KIT遺伝子の1または複数の突然変異を伴う。
【0128】
さらに、RAF阻害剤は汎RAF阻害剤であり得る。別の実施形態では、RAF阻害剤はダブラフェニブ、ベムラフェニブ、またはLY3009120である。
【0129】
本開示により、それを必要とする患者の固形腫瘍を治療する方法であって、患者に対して、有効量の1-[4-ブロモ-5-[1-エチル-7-(メチルアミノ)-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1,6-ナフチリジン-3-イル]-2-フルオロフェニル]-3-フェニル尿素またはその薬学的に許容可能な塩を投与することと、患者に対して、トラメチニブ、ビニメチニブ、コビメチニブおよびウリキセルチニブからなる群から選択される有効量のMAPKAPキナーゼ阻害剤を投与することとを含む上記方法も提供し、固形腫瘍は、肺腺癌、肺扁平上皮癌、神経膠芽腫、小児グリオーマ、星状細胞腫、肉腫、消化管間質腫瘍(GIST)、およびメラノーマからなる群から選択される。いくつかの実施形態においては、この方法は、RAF阻害剤を投与することをさらに含む。いくつかの実施形態においては、RAF阻害剤は、汎RAF阻害剤である。
【0130】
〔00130〕本明細書においては、それを必要とする患者における消化管間質腫瘍または
メラノーマを治療する方法であって、患者に対して、有効量の1-[4-ブロモ-5-[1-エチル-7-(メチルアミノ)-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1,6-ナフチリジン-3-イル]-2-フルオロフェニル]-3-フェニル尿素、またはその薬学的に許容可能な塩を投与することと、患者に対して、トラメチニブ、ビニメチニブ、コビメチニ
ブ、およびウリキセルチニブからなる群から選択される有効量のMAPKAPキナーゼ阻害剤を投与することとを含む上記方法も提供する。
【0131】
いくつかの実施形態では、この方法は、腫瘍がc-KIT遺伝子の突然変異を伴うか否かを判断することをさらに含む。いくつかの実施形態においては、突然変異は、c-KIT遺伝子のエクソン17にある。いくつかの実施形態においては、c-KIT突然変異は、コドン816におけるアスパラギン酸の置換、またはコドン822におけるアスパラギンの置換である。いくつかの実施形態においては、突然変異は、D816V、D816E、D816H、D820A、T670I、またはN822Vのうちの1つである。
【0132】
一実施形態では、本開示は、例えばGISTである、患者における腫瘍、任意にc-KIT媒介性腫瘍を治療または予防する方法であって、それを必要とする患者に対して、有効量の化合物Aまたはその薬学的に許容可能な塩を、例えばトラメチニブである有効量のMEK阻害剤と組み合わせて、投与することを含む上記方法を提供する。関連する実施形態では、本開示は、例えばGISTである、患者における腫瘍、任意にc-KIT媒介性腫瘍を治療または予防する方法であって、それを必要とする患者に対して、有効量の化合物Bまたはその薬学的に許容可能な塩を、例えばトラメチニブである有効量のMEK阻害剤と組み合わせて、投与することを含む上記方法を提供する。
【0133】
特定の実施形態では、これら方法は、例えばGIST細胞である腫瘍細胞の長期の静止を誘発すること、例えばGIST細胞である腫瘍細胞を死滅させること、例えばGIST細胞である腫瘍細胞のアポトーシスを誘発すること、例えばGIST細胞の、検出限界までの腫瘍細胞の根絶を誘発すること、例えばGISTの後退である腫瘍細胞の後退を誘発すること、例えばGIST腫瘍体積である腫瘍体積を減少させること、例えばGISTの再増殖である腫瘍の再増殖を阻害すること、に関する方法を含む。別の特定の実施形態では、これら方法は、例えばGIST細胞である腫瘍細胞の長期の静止を誘発する方法を含む。別の特定の実施形態では、これら方法は、例えばGIST細胞である腫瘍細胞を死滅させる方法を含む。別の特定の実施形態では、これら方法は、例えばGIST細胞である腫瘍細胞のアポトーシスを誘発する方法を含む。別の特定の実施形態では、これら方法は、例えばGIST細胞である、検出限界までの腫瘍細胞の根絶を誘発する方法を含む。別の特定の実施形態では、これら方法は、例えばGISTの後退である腫瘍後退を誘発する方法を含む。別の特定の実施形態では、これら方法は、例えばGIST腫瘍体積である腫瘍体積を減少させる方法を含む。別の特定の実施形態では、これら方法は、例えばGISTの再増殖である腫瘍の再増殖を阻害する方法を含む。別の特定の実施形態では、これら方法は、例えば薬剤耐性GIST細胞である、薬剤耐性腫瘍細胞の増殖を阻害する方法を含む。特定の実施形態においては、この方法は、対象における、例えばGISTである、検出限界まで腫瘍を根絶する方法を包含する。本明細書に開示される方法のいずれかの特定の実施形態では、患者における腫瘍増殖または腫瘍進行は、c-KIT過剰発現、c-KITの構造的リン酸化、c-KIT活性の増加、発癌性c-KITミスセンス突然変異、発癌性欠失c-KIT突然変異、発癌性ヌクレオチド重複/挿入、c-KIT融合タンパク質につながる発癌性c-KIT遺伝子再配列、c-KIT遺伝子内インフレーム欠失、および/または発癌性c-KIT遺伝子増幅により引き起こされる。一実施形態では、腫瘍増殖または腫瘍進行は、c-KITの構造的なリン酸化によって引き起こされる。特定の実施形態では、腫瘍は、本明細書に開示される、c-KIT一次活性化突然変異および/またはc-KIT二次突然変異のうちの1または複数を含む。別の特定の実施形態では、腫瘍は、RAF、MEKまたはERKキナーゼ活性化に関与するMAPKAP経路を介したシグナル伝達による腫瘍増殖を引き起こすc-KIT以外の遺伝子における1または複数の突然変異を含む。
【0134】
本明細書に記載される方法が、化合物Aもしくはその薬学的に許容可能な塩による、ま
たは化合物Bもしくはその薬学的に許容可能な塩による治療を指す場合、化合物Aもしくはその薬学的に許容可能な塩、または化合物Bもしくはその薬学的に許容可能な塩のうちの1つのみを必要とすることを意味する。しかしながら、これらの方法は、化合物Aまたはその薬学的に許容可能な塩、および化合物Bまたはその薬学的に許容可能な塩の両方を、MEK阻害剤、ERK阻害剤またはRAF阻害剤と組み合わせて、患者に対して投与することを包含することが理解される。さらに、化合物AをMEK阻害剤、ERK阻害剤またはRAF阻害剤と組み合わせて対象に投与すると、一部の量の化合物Aがインビボで化合物Bに代謝されること、ならびに、化合物Aおよび化合物Bのインビボでの混合物がまた、MEK阻害剤、ERK阻害剤またはRAF阻害剤と組み合わせて対象を効果的に治療するために用いることができることが理解される。
【0135】
〔00135〕本開示の方法および組成物に従って使用され得る例示的なMEK阻害剤とし
ては、トラメチニブ、セルメチニブ、コビメチニブ、およびビニメチニブが挙げられるがこれらに限定されない。
【0136】
本開示の方法および組成物に従って使用され得る例示的なERK阻害剤としては、ウリキセルチニブ、SCH772984、LY3214996、ラボキセルチニブ、およびVX-11eが挙げられるがこれらに限定されない。
【0137】
本開示の方法および組成物に従って使用され得る例示的なRAF阻害剤としては、LY3009120、ダブラフェニブ、およびベムラフェニブが挙げられるがこれらに限定されない。
【0138】
一実施形態においては、化合物Aまたはその薬学的に許容可能な塩と、例えばトラメチニブであるMEK阻害剤とを、例えばGISTであるc-KIT媒介性腫瘍を患う患者に対して投与する。別の実施形態においては、化合物Bまたはその薬学的に許容可能な塩と、例えばトラメチニブであるMEK阻害剤とを、例えばGISTであるc-KIT媒介性腫瘍を患う患者に対して投与する。
【0139】
関連する実施形態においては、化合物Aまたはその薬学的に許容可能な塩と、例えばトラメチニブであるMEK阻害剤とを、例えばGISTを有する患者である腫瘍を患う患者に対して投与するものであり、腫瘍の増殖または腫瘍進行は、c-KIT一次活性化突然変異および/またはc-KIT二次突然変異によって引き起こされる。別の実施形態においては、化合物Bまたはその薬学的に許容可能な塩と、例えばトラメチニブであるMEK阻害剤とを、例えばGISTを有する患者である腫瘍を患う患者に対して投与するものであり、腫瘍の増殖または腫瘍進行は、c-KIT一次活性化突然変異および/またはc-KIT二次突然変異によって引き起こされる。特定の実施形態では、c-KIT一次活性化突然変異は、エクソン11突然変異(例えば、57塩基対エクソン11欠失)である。特定の実施形態では、c-KIT一次活性化突然変異はエクソン9のA~Y502~503の重複である。特定の実施形態では、c-KIT一次活性化突然変異はエクソン13突然変異である。特定の実施形態では、c-KIT一次活性化突然変異はエクソン17突然変異である。特定の実施形態では、c-KIT二次突然変異は、本明細書で開示されている任意の耐性突然変異であり、例えば、T670I突然変異またはD816E突然変異である。特定の実施形態では、複数のc-KIT二次耐性突然変異が、対象において同時に存在する。
【0140】
〔00140〕特定の実施形態においては、化合物Aまたはその薬学的に許容可能な塩と、
例えばトラメチニブであるMEK阻害剤とを、癌患者に対して投与する。特定の実施形態においては、化合物Bまたはその薬学的に許容可能な塩と、例えばトラメチニブであるMEK阻害剤とを、癌患者に対して投与する。本明細書に開示される方法のいずれかの特定
の実施形態では、腫瘍または癌は肺腺癌、肺扁平上皮癌、グリア芽腫、小児グリオーマ、星状細胞腫、肉腫、メラノーマ、または消化管間質腫瘍(GIST)である。一実施形態では、癌はメラノーマである。別の実施形態では、腫瘍または癌は消化管間質腫瘍(GIST)である。これら方法のいずれかの特定の実施形態では、腫瘍または癌は、例えばc-KIT媒介性GISTまたはメラノーマである、c-KIT媒介性癌である。
【0141】
化合物Aもしくはその薬学的に許容可能な塩、または化合物Bもしくはその薬学的に許容可能な塩の、例えばトラメチニブであるMEK阻害剤との併用による治療は、MEK阻害剤を投与することと重複する期間の前、当該期間の後、当該期間と同時にまたは当該期間中に、化合物Aもしくはその薬学的に許容可能な塩または化合物Bもしくはその薬学的に許容可能な塩を投与することを包含する。化合物Aもしくはその薬学的に許容可能な塩、化合物Bもしくはその薬学的に許容可能な塩、または例えばトラメチニブであるMEK阻害剤のうちのいずれかについての有効量は、例えば腫瘍を治療または予防するためである同じ目的のために、これら薬剤のいずれかをそれそのもので用いる場合と比較して、本明細書で開示する併用で用いる場合に様々であり得ることが理解される。特定の実施形態においては、化合物Aもしくはその薬学的に許容可能な塩、または化合物Bもしくはその薬学的に許容可能な塩の有効量は、例えばトラメチニブであるMEK阻害剤との併用療法として投与された場合、単剤療法として、例えばGISTを治療または予防するために投与する場合と比べて、より少ない量である。特定の実施形態においては、例えばGISTを治療または予防するために、化合物Aまたはその薬学的に許容可能な塩との併用療法で投与した場合、または化合物Bまたはその薬学的に許容可能な塩との併用療法で投与した場合、例えばトラメチニブであるMEK阻害剤の有効量は、より少ない量である。
【0142】
本明細書に開示される方法のいずれかは、治療しようとする腫瘍が1または複数のc-KIT遺伝子突然変異を伴うかを判断することを、さらに含み得る。こうした判断は、患者から得られた、例えば腫瘍試料、血液試料、または血漿試料である生体試料中の遺伝子突然変異の存在を判断するための通例の方法によってなされ得る。さらに、こうした判断は、実施されたテストの結果をレビューして、患者から得られた、例えば腫瘍試料、血液試料、または血漿試料である生体試料中の1または複数のc-KIT遺伝子突然変異の存在を判断することによってなされ得る。本明細書に開示される方法のいずれかの特定の実施形態においては、これら方法は、腫瘍が1つまたは複数のc-KIT遺伝子突然変異を伴うものとして特定されている患者に対して実行される。c-KIT遺伝子突然変異は、本明細書に特に記載されたもののうちのいずれかを含むが、これに限定されない。
【0143】
本明細書に開示される方法のいずれかの様々な態様では、例えばトラメチニブであるMEK阻害剤と組み合わせて、化合物Aもしくはその薬学的に許容可能な塩、または化合物Bもしくはその薬学的に許容可能な塩のいずれかによる治療が、例えばGIST細胞である腫瘍細胞の長期の細胞静止を誘発し、例えばGIST細胞である腫瘍細胞の死滅を誘発し、例えばGIST細胞である腫瘍細胞のアポトーシスを誘発し、例えばGIST細胞である、検出限界までの腫瘍細胞の根絶を誘発し、例えばGIST細胞である腫瘍細胞の後退を誘発し、例えばGIST腫瘍である腫瘍の重量または体積を減少させ、例えばGIST腫瘍である腫瘍の再増殖を阻害する。本明細書に開示される方法のいずれかの別の態様では、例えばトラメチニブであるMEK阻害剤と組み合わせて、化合物Aもしくはその薬学的に許容可能な塩、または化合物Bもしくはその薬学的に許容可能な塩のいずれかによる治療が、例えばGIST細胞である腫瘍細胞の長期の細胞静止を誘発し、例えばGIST細胞である腫瘍細胞の死滅を誘発し、例えばGIST細胞である腫瘍細胞のアポトーシスを誘発し、例えばGIST細胞である、検出限界までの腫瘍細胞の根絶を誘発し、例えばGIST細胞である腫瘍細胞の後退を誘発し、例えばGIST腫瘍である腫瘍の重量または体積を減少させ、例えば薬剤耐性GISTである薬剤耐性腫瘍において例えばGIST腫瘍である腫瘍の再増殖を阻害する。本明細書に開示される方法のいずれかの別の態様
では、例えばトラメチニブであるMEK阻害剤と組み合わせた、化合物Aもしくはその薬学的に許容可能な塩、または化合物Bもしくはその薬学的に許容可能な塩のいずれかによる治療が、例えばGIST患者である治療されている患者において検出限界まで腫瘍を根絶する。腫瘍細胞の静止、腫瘍細胞死、腫瘍細胞のアポトーシス、腫瘍後退、腫瘍重量または体積、腫瘍再増殖、耐性腫瘍細胞の増殖および腫瘍の根絶の量を測定または決定する方法は当技術分野で公知であり、また本明細書に記載される任意の方法を含む。
【0144】
特定の実施形態では、以下の併用による治療である:化合物Aもしくはその薬学的に許容可能な塩、または化合物Bもしくはその薬学的に許容可能な塩;と例えばトラメチニブであるMEK阻害剤とが、例えばトラメチニブであるMEK阻害剤のみによりまたは例えばイマチニブであるc-KIT阻害剤のみによりまたは例えばトラメチニブであるMEK阻害剤がc-KIT阻害剤イマチニブとの併用により、治療されるかまたは治療されないかのいずれかである同じタイプのもしくは同じ腫瘍のタイプの腫瘍細胞の静止、細胞死滅またはアポトーシスの量と比較して、例えばGIST細胞である、腫瘍細胞静止、腫瘍細胞の死滅または腫瘍細胞のアポトーシスの量の増加をもたらす。例えば、細胞の静止、細胞死滅またはアポトーシスは、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも10倍、または少なくとも20倍、増大し得る。特定の実施形態では、アポトーシスの量は、腫瘍細胞のカスパーゼ活性を測定することによって決定する。
【0145】
〔00145〕特定の実施形態では、以下の併用による治療である:化合物Aもしくはその
薬学的に許容可能な塩、またはその化合物Bもしくはその薬学的に許容可能な塩;と、例えばトラメチニブであるMEK阻害剤とが、例えばトラメチニブであるMEK阻害剤のみによりまたは例えばイマチニブであるc-KIT阻害剤のみにより治療されるかまたは治療されていないかのいずれかである同じタイプの腫瘍もしくは同じ腫瘍の、例えば重量または質量であるサイズと比較して、腫瘍後退の増加または腫瘍サイズもしくは体積の減少(例えば、GIST)をもたらす。例えば、腫瘍重量または体積は、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、または少なくとも90%、減少し得る。
【0146】
特定の実施形態では、以下の併用による治療である:化合物Aもしくはその薬学的に許容可能な塩、またはその化合物Bもしくはその薬学的に許容可能な塩;と、例えばトラメチニブであるMEK阻害剤とが、例えばトラメチニブであるMEK阻害剤のみによりまたは例えばイマチニブであるc-KIT阻害剤のみにより治療されるかまたは治療されていないかのいずれかである同じタイプのもしくは同じ腫瘍の増殖または再増殖の量と比較してより大幅に、例えばGISTの増殖もしくは再増殖である腫瘍の増殖または再増殖の量を阻害する。例えば、腫瘍増殖または再増殖は、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、または少なくとも90%、阻害され得る。
【0147】
特定の実施形態では、以下の併用による治療である:化合物Aもしくはその薬学的に許容可能なその塩、または化合物Bもしくはその薬学的に許容可能な塩;と、例えばトラメチニブであるMEK阻害剤とが、例えばトラメチニブであるMEK阻害剤のみによりまたは例えばイマチニブであるc-KIT阻害剤のみによりまたは例えばトラメチニブであるMEK阻害剤および例えばイマチニブであるc-KIT阻害剤の併用により、治療されるかまたは治療されていないかのいずれかである同じタイプもしくは同じ腫瘍の耐性腫瘍細胞の増殖の量と比較して、より大幅に、例えば耐性GIST細胞である耐性腫瘍細胞の増
殖を阻害する。例えば、耐性腫瘍細胞の増殖の量または数は、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、または少なくとも90%、阻害され得る。特定の実施形態では、耐性腫瘍細胞は、例えばイマチニブであるc-KIT阻害剤、および/または例えばトラメチニブであるMEK阻害剤による治療に対して、耐性がある。特定の実施形態では、耐性腫瘍細胞はc-KIT二次突然変異を含む。特定の実施形態では、c-KIT二次突然変異は、以下のc-KITのアミノ酸残基のうちのいずれかの突然変異である:V654、N655、T670、L783、D816、D820、N822、Y823、A829、および/またはT847であり、添付の図に示されるアミノ酸置換のいずれかを含むがこれに限定されない。特定の実施形態では、耐性腫瘍細胞は、活性化MAPKAPキナーゼ経路を含み、特定の実施形態では、それらは例えばN-RASまたはK-RAS遺伝子であるRAS遺伝子、フィブロブラスト増殖因子受容体(FGFR)遺伝子、および/またはニューロフィブロミン-1(NF1)遺伝子における突然変異における突然変異を含む。特定の実施形態では、突然変異は、N-RAS G12D突然変異である。
【0148】
特定の実施形態においては、例えばトラメチニブであるMEK阻害剤と組み合わせた、化合物Aもしくはその薬学的に許容可能な塩、または化合物Bもしくはその薬学的に許容可能な塩のいずれかの併用による治療が、例えばGISTである、検出限界までの腫瘍の根絶をもたらす。特定の実施形態では、腫瘍の根絶は、検出限界まで患者において検出可能な腫瘍がもはや存在しないことを意味する。特定の実施形態では、本明細書に開示される併用療法による、例えばGISTである腫瘍の根絶の後、少なくとも6ヶ月間、少なくとも1年間、少なくとも2年間、少なくとも5年間、または少なくとも10年間、患者において検出可能な腫瘍が存在しない。腫瘍の根絶は、光放出断層撮影法(PET)、CTスキャン、c-KIT突然変異を含有する血中無細胞DNA(cfDNA)が存在しないこと、対象の血管系内に存在する血中腫瘍細胞(CTC)が存在しないこと、または対象の循環血液の血管系内の癌細胞バイオマーカーが存在しないこと、によって判断できる。
【0149】
本明細書に開示される方法のいずれかの様々な態様では、例えばウリキセルチニブであるERK阻害剤と組み合わせて、化合物Aもしくはその薬学的に許容可能な塩、または化合物Bもしくはその薬学的に許容可能な塩のいずれかによる治療が、例えばGIST細胞である腫瘍細胞の長期の細胞静止を誘発し、例えばGIST細胞である腫瘍細胞の死滅を誘発し、例えばGIST細胞である腫瘍細胞のアポトーシスを誘発し、例えばGIST細胞である、検出限界までの腫瘍細胞の根絶を誘発し、例えばGIST腫瘍である腫瘍の後退を誘発し、例えばGIST腫瘍である腫瘍の重量または体積を減少させ、例えばGIST腫瘍である腫瘍の再増殖を阻害する。本明細書に開示される方法のいずれかの別の態様では、例えばウリキセルチニブであるERK阻害剤と組み合わせて、化合物Aもしくはその薬学的に許容可能な塩、または化合物Bもしくはその薬学的に許容可能な塩のいずれかによる治療が、例えばGIST細胞である腫瘍細胞の長期の細胞静止を誘発し、例えばGIST細胞である腫瘍細胞の死滅を誘発し、例えばGIST細胞である腫瘍細胞のアポトーシスを誘発し、例えばGIST細胞である、検出限界までの腫瘍細胞の根絶を誘発し、例えばGIST腫瘍である腫瘍の後退を誘発し、例えばGIST腫瘍である腫瘍の重量または体積を減少させ、例えば薬剤耐性GISTである薬剤耐性腫瘍において例えばGIST腫瘍である腫瘍の再増殖を阻害する。本明細書に開示される方法のいずれかの別の態様では、例えばウリキセルチニブであるERK阻害剤と組み合わせた、化合物Aもしくはその薬学的に許容可能な塩、または化合物Bもしくはその薬学的に許容可能な塩のいずれかによる治療が、例えばGIST患者である治療されている患者において検出限界まで腫瘍を根絶する。腫瘍細胞の静止、腫瘍細胞死、腫瘍細胞のアポトーシス、腫瘍後退、腫瘍重量または体積、腫瘍再増殖、耐性腫瘍細胞の増殖および腫瘍の根絶の量を測定または決定する方法は当技術分野で公知であり、また本明細書に記載される任意の方法を含む。
【0150】
〔00150〕特定の実施形態では、以下の併用による治療である:化合物Aもしくはその
薬学的に許容可能な塩、または化合物Bもしくはその薬学的に許容可能な塩;と例えばウリキセルチニブであるERK阻害剤とが、例えばウリキセルチニブであるERK阻害剤のみによりまたは例えばイマチニブであるc-KIT阻害剤のみによりまたは例えばウリキセルチニブであるERK阻害剤のc-KIT阻害剤イマチニブとの併用により、治療されるかまたは治療されないかのいずれかである同じタイプのもしくは同じ腫瘍のタイプの腫瘍細胞の静止、細胞死滅またはアポトーシスの量と比較して、例えばGIST細胞である、腫瘍細胞静止、腫瘍細胞の死滅または腫瘍細胞のアポトーシスの量の増加をもたらす。例えば、細胞の静止、細胞死滅またはアポトーシスは、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも10倍、または少なくとも20倍、増大し得る。特定の実施形態では、アポトーシスの量は、腫瘍細胞のカスパーゼ活性を測定することによって決定する。
【0151】
特定の実施形態では、以下の併用による治療である:化合物Aもしくはその薬学的に許容可能な塩、またはその化合物Bもしくはその薬学的に許容可能な塩;と、例えばウリキセルチニブであるERK阻害剤とが、例えばイマチニブであるERK阻害剤のみによりまたは例えばイマチニブであるc-KIT阻害剤のみにより治療されるかまたは治療されていないかのいずれかである同じタイプもしくは同じ腫瘍の、例えば重量または体積である腫瘍のサイズと比較して、腫瘍の後退の増加、または腫瘍のサイズまたは体積の減少(例えば、GIST)をもたらす。例えば、腫瘍重量または体積は、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、または少なくとも90%、減少し得る。
【0152】
特定の実施形態では、以下の併用による治療である:化合物Aもしくはその薬学的に許容可能な塩、またはその化合物Bもしくはその薬学的に許容可能な塩;と、例えばウリキセルチニブであるERK阻害剤とが、例えばウリキセルチニブであるERK阻害剤のみによりまたは例えばイマチニブであるc-KIT阻害剤のみにより、治療されるかまたは治療されていないかのいずれかである同じタイプもしくは同じ腫瘍の増殖または再増殖の量と比較してより大幅に、例えばGISTの増殖または再増殖である腫瘍の増殖または再増殖の量を阻害する。例えば、腫瘍増殖または再増殖は、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、または少なくとも90%、阻害され得る。
【0153】
特定の実施形態では、以下の併用による治療である:化合物Aもしくはその薬学的に許容可能な塩、または化合物Bもしくはその薬学的に許容可能な塩;と、例えばウリキセルチニブであるERK阻害剤とが、例えばウリキセルチニブであるERK阻害剤のみによりまたは例えばイマチニブであるc-KIT阻害剤のみによりまたは例えばウリキセルチニブであるERK阻害剤および例えばイマチニブであるc-KIT阻害剤の併用により、治療されるかまたは治療されていないかのいずれかである同じタイプもしくは同じ腫瘍の耐性腫瘍細胞の増殖の量と比較して、より大幅に、例えば耐性GIST細胞である耐性腫瘍細胞の増殖を阻害する。例えば、耐性腫瘍細胞の増殖の量または数は、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、または少なくとも90%、阻害され得る。特定の実施形態では、耐性腫瘍細胞は、例えばイマチニブであるc-KIT阻害剤、および/または例えばウリキセルチニブであるERK阻害剤による治療に対して、耐性がある。特定の実施形態では、耐性腫瘍細胞はc-KIT二次突然変異を含む。特定の実施形態では、c-KIT二次突然変異は、以下のc-KITのアミノ酸残基のうちのいず
れかの突然変異である:V654、N655、T670、L783、D816、D820、N822、Y823、A829、および/またはT847であり、添付の図に示されるアミノ酸置換のいずれかを含むがこれに限定されない。特定の実施形態では、耐性腫瘍細胞は、活性化MAPKAPキナーゼ経路を含み、特定の実施形態では、それらは例えばN-RASまたはK-RAS遺伝子であるRAS遺伝子、フィブロブラスト増殖因子受容体(FGFR)遺伝子、および/またはニューロフィブロミン-1(NF1)遺伝子における突然変異における突然変異を含む。特定の実施形態では、突然変異は、N-RAS G12D突然変異である。
【0154】
特定の実施形態においては、例えばウリキセルチニブであるERK阻害剤と組み合わせた、化合物Aもしくはその薬学的に許容可能な塩、または化合物Bもしくはその薬学的に許容可能な塩のいずれかの併用による治療が、例えばGISTである、検出限界までの腫瘍の根絶をもたらす。特定の実施形態では、腫瘍の根絶は、検出限界まで患者において検出可能な腫瘍がもはや存在しないことを意味する。特定の実施形態では、本明細書に開示される併用療法による、例えばGISTである腫瘍の根絶の後、少なくとも6ヶ月間、少なくとも1年間、少なくとも2年間、少なくとも5年間、または少なくとも10年間、患者において検出可能な腫瘍が存在しない。腫瘍の根絶は、光放出断層撮影法(PET)、CTスキャン、c-KIT突然変異を含有する血中無細胞DNA(cfDNA)が存在しないこと、対象の血管系内に存在する血中腫瘍細胞(CTC)が存在しないこと、または対象の循環血液の血管系内の癌細胞バイオマーカーが存在しないこと、によって判断できる。
【0155】
〔00155〕本明細書に開示される方法のいずれかの様々な態様では、例えばダブラフェ
ニブであるRAF阻害剤と組み合わせた、化合物Aもしくはその薬学的に許容可能な塩、または化合物Bまたはその薬学的に許容可能な塩による治療が、例えばGIST細胞である腫瘍細胞の長期の細胞静止を誘発し、例えばGIST細胞である腫瘍細胞の死滅を誘発し、例えばGIST細胞である腫瘍細胞のアポトーシスを誘発し、例えばGIST細胞である、検出限界までの腫瘍細胞の根絶を誘発し、例えばGIST腫瘍である腫瘍の後退を誘発し、例えばGIST腫瘍である腫瘍の重量または体積を減少させ、例えばGIST腫瘍である腫瘍の再増殖を阻害する。本明細書に開示される方法のいずれかの別の態様では、例えばダブラフェニブであるRAF阻害剤と組み合わせた、化合物Aもしくはその薬学的に許容可能な塩、または化合物Bもしくはその薬学的に許容可能な塩のいずれかによる治療が、例えばGIST細胞である腫瘍細胞の長期の細胞静止を誘発し、例えばGIST細胞である腫瘍細胞の死滅を誘発し、例えばGIST細胞である腫瘍細胞のアポトーシスを誘発し、例えばGIST細胞である、検出限界までの腫瘍細胞の根絶を誘発し、例えばGIST腫瘍である腫瘍の後退を誘発し、例えばGIST腫瘍である腫瘍の重量または体積を減少させ、例えば薬剤耐性GISTである薬剤耐性腫瘍において例えばGIST腫瘍である腫瘍の再増殖を阻害する。本明細書に開示される方法のいずれかの別の態様では、例えばダブラフェニブであるRAF阻害剤と組み合わせた、化合物Aもしくはその薬学的に許容可能な塩、または化合物Bもしくはその薬学的に許容可能な塩のいずれかによる治療が、例えばGIST患者である治療されている患者において検出限界まで腫瘍を根絶する。腫瘍細胞の静止、腫瘍細胞死、腫瘍細胞のアポトーシス、腫瘍後退、腫瘍重量または体積、腫瘍再増殖、耐性腫瘍細胞の増殖および腫瘍の根絶の量を測定または決定する方法は当技術分野で公知であり、また本明細書に記載される任意の方法を含む。
【0156】
特定の実施形態では、以下の併用による治療である:化合物Aもしくはその薬学的に許容可能な塩、または化合物Bもしくはその薬学的に許容可能な塩;と例えばダブラフェニブであるRAF阻害剤とが、例えばダブラフェニブであるRAF阻害剤のみによりまたは例えばイマチニブであるc-KIT阻害剤のみによりまたは例えばダブラフェニブであるRAF阻害剤のc-KIT阻害剤イマチニブとの併用により、治療されるかまたは治療さ
れないかのいずれかである同じタイプのもしくは同じ腫瘍のタイプの腫瘍細胞の滞留、細胞死滅またはアポトーシスの量と比較して、例えばGIST細胞である、腫瘍細胞滞留、腫瘍細胞の死滅または腫瘍細胞のアポトーシスの量の増加をもたらす。例えば、細胞の静止、細胞死滅またはアポトーシスは、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも10倍、または少なくとも20倍、増大し得る。特定の実施形態では、アポトーシスの量は、腫瘍細胞のカスパーゼ活性を測定することによって決定する。
【0157】
特定の実施形態では、以下の併用による治療である:化合物Aもしくはその薬学的に許容可能な塩、または化合物Bもしくはその薬学的に許容可能な塩;と、例えばダブラフェニブであるRAF阻害剤とが、例えばダブラフェニブであるRAF阻害剤のみによりまたは例えばイマチニブであるc-KIT阻害剤のみにより治療されるかまたは治療されていないかのいずれかである同じタイプのもしくは同じ腫瘍の、例えば重量または体積である腫瘍のサイズと比較して、腫瘍の後退の増加、または腫瘍のサイズまたは体積の減少(例えば、GIST)をもたらす。例えば、腫瘍重量または体積は、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、または少なくとも90%、減少し得る。
【0158】
特定の実施形態では、以下の併用による治療である:化合物Aもしくはその薬学的に許容可能な塩、または化合物Bもしくはその薬学的に許容可能な塩;と、例えばダブラフェニブであるRAF阻害剤とが、例えばダブラフェニブであるRAF阻害剤のみによりまたは例えばイマチニブであるc-KIT阻害剤のみにより治療されるかまたは治療されていないかのいずれかである同じタイプのもしくは同じ腫瘍の増殖または再増殖の量と比較して、より大幅に、例えばGISTの増殖もしくは再増殖である腫瘍の増殖または再増殖の量を阻害する。例えば、腫瘍増殖または再増殖は、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、または少なくとも90%、阻害され得る。
【0159】
特定の実施形態では、以下の併用による治療である:化合物Aもしくはその薬学的に許容可能なその塩、または化合物Bもしくはその薬学的に許容可能な塩と;例えばダブラフェニブであるRAF阻害剤とが、例えばダブラフェニブであるRAF阻害剤のみによりまたは例えばイマチニブであるc-KIT阻害剤のみによりまたは例えばダブラフェニブであるRAF阻害剤および例えばイマチニブであるc-KIT阻害剤の併用により、治療されるかまたは治療されていないかのいずれかである同じタイプのもしくは同じ腫瘍の耐性腫瘍細胞の増殖の量と比較して、より大幅に、例えば耐性GIST細胞である耐性腫瘍細胞の増殖を阻害する。例えば、耐性腫瘍細胞の増殖の量または数は、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、または少なくとも90%、阻害され得る。特定の実施形態では、耐性腫瘍細胞は、例えばイマチニブであるc-KIT阻害剤、および/または例えばダブラフェニブであるRAF阻害剤による治療に対して、耐性がある。特定の実施形態では、耐性腫瘍細胞はc-KIT二次突然変異を含む。特定の実施形態では、c-KIT二次突然変異は、以下のc-KITのアミノ酸残基のうちのいずれかの突然変異である:V654、N655、T670、L783、D816、D820、N822、Y823、A829、および/またはT847であり、添付の図に示されるアミノ酸置換のいずれかを含むがこれに限定されない。特定の実施形態では、耐性腫瘍細胞は、活性化MAPKAPキナーゼ経路を含み、特定の実施形態では、それらは例えばN-RASまたはK-RAS遺伝子であるRAS遺伝子、フィブロブラスト増殖因子受容体(FGFR)遺伝子、および/またはニューロフィブロミン-1(NF1)遺伝子における突
然変異における突然変異を含む。特定の実施形態では、突然変異は、N-RAS G12D突然変異である。
【0160】
〔00160〕特定の実施形態においては、例えばダブラフェニブであるRAF阻害剤と組
み合わせた、化合物Aもしくはその薬学的に許容可能な塩、または化合物Bもしくはその薬学的に許容可能な塩のいずれかの併用による治療が、例えばGISTである、検出限界までの腫瘍の根絶をもたらす。特定の実施形態では、腫瘍の根絶は、検出限界まで患者において検出可能な腫瘍がもはや存在しないことを意味する。特定の実施形態では、本明細書に開示される併用療法による、例えばGISTである腫瘍の根絶の後、少なくとも6ヶ月間、少なくとも1年間、少なくとも2年間、少なくとも5年間、または少なくとも10年間、患者において検出可能な腫瘍が存在しない。腫瘍の根絶は、光放出断層撮影法(PET)、CTスキャン、c-KIT突然変異を含有する血中無細胞DNA(cfDNA)が存在しないこと、対象の血管系内に存在する血中腫瘍細胞(CTC)が存在しないこと、または対象の循環血液の血管系内の癌細胞バイオマーカーが存在しないこと、によって判断できる。
【0161】
本開示は、化合物Aもしくはその薬学的に許容可能な塩、または化合物Bもしくはその薬学的に許容可能な塩と、例えばMEK阻害剤、ERK阻害剤もしくはRAF阻害剤である1または複数のMAPKAPキナーゼ阻害剤との投与を伴う併用療法を記載する。本明細書に記載される併用療法は、それそのものによって、または1または複数の追加的治療薬(例えば、以下に記載する1または複数の追加的治療薬)とさらに組み合わせて、使用することができる。例えば、化合物Aもしくはその薬学的に許容可能な塩、または化合物Bもしくはその薬学的に許容可能な塩のいずれかと、MEK阻害剤とは、癌標的治療薬、癌標的生物剤、免疫チェックポイント阻害剤、または化学療法剤と共に投与することができる。別の実施形態では、化合物Aまたは化合物BおよびMEK阻害剤は、その他の治療薬なしで投与される。治療薬は、併用療法において本明細書に記載される別の治療薬と一緒に、または当該治療薬と連続して投与することができる。
【0162】
併用療法は、2以上の治療薬を投与することであって、それら治療薬の各々は別個に処方されて投与されることによってか、または単一の製剤中の2以上の治療薬を投与することによって、実現することができる。他の併用もまた、併用療法に包含される。併用療法における2以上の治療薬は同時に投与されることができるが、必須ではない。例えば、第一の薬剤(または薬剤の併用)の投与は、数分、数時間、数日、または数週間だけ、第二の薬剤(または薬剤の併用)の投与に先行することができる。ゆえに2以上の薬剤は、互いに数分以内に投与されるか、または互いに1、2、3、6、9、12、15、18、または24時間以内に投与されるか、または互いに1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、14日以内に投与されるか、または互いに2、3、4、5、6、7、8、9週間以内もしくはそれ以上の週以内に投与することができる。一部の場合においては、さらに長い間隔も可能である。多くの場合において、併用療法で使用される2以上の薬剤は、同時に患者の身体内に存在することが望ましいが、必須ではない。
【0163】
併用療法は、異なる順序での構成薬剤を使用した併用で使用される1または複数の薬剤の2回以上の投与を含むこともできる。例えば薬剤Xと薬剤Yとを併用で使用する場合には、それらを任意の組合せで1回または複数回、連続的に投与することができ、例えばX-Y-X、X-X-Y、Y-X-Y、Y-Y-X、X-X-Y-Yなどの順序である。
【0164】
本開示に従って投与され得る1または複数の追加的治療薬としては、細胞障害性薬剤,シスプラチン、ドキソルビシン、エトポシド、イリノテカン、トポテカン、パクリタキセル、ドセタキセル、エポチロン、タモキシフェン、5-フルオロウラシル、メトトレキサート、テモゾロミド、シクロホスファミド、ロナファリブ、チピファルニブ、4-((5
-((4-(3-クロロフェニル)-3-オキソピペラジン-1-イル)メチル)-1H-イミダゾール-1-イル)メチル)ベンゾニトリル塩酸塩、(R)-1-((1H-イミダゾール-5-イル)メチル)-3-ベンジル-4-(チオフェン-2-イルスルホニル)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾジアゼピン-7-カルボニトリル、セツキシマブ、イマチニブ、インターフェロンアルファ-2b、ペグ化インターフェロンアルファ-2b、アロマターゼ併用、ゲムシタビン、ウラシルマスタード、クロルメチン、イフォスファミド、メルファラン、クロラムブシル、ピポブロマン、トリエチレンメラミン、トリエチレンチオホスホラミン(triethylenethiophosphoramine)、ブスルファン、カルムスチン、ロムスチン、ストレプトゾシン、デカルバジン、フロクスウリジン、シタラビン、6-メルカプトプリン、6-チオグアニン、フルダラビンリン酸塩、ロイコボリン、オキサリプラチン、ペントスタチン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、ブレオマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、エピルビシン、イダルビシン、ミトラマイシン、デオキシコホルマイシン、マイトマイシン-C、L-アスパラギナーゼ、テニポシド17α-エチニルエストラジオール、ジエチルスチルベストロール、テストステロン、プレドニゾン、フルオキシメステロン、ドロモスタノロンプロピオン酸塩、テストラクトン、メゲストロール酢酸塩、メチルプレドニゾロン、メチルテストステロン、プレドニゾロン、トリアムシノロン、クロロトリアニセン、17α-ヒドロキシプロゲステロン、アミノグルテチミド、エストラムスチン、メドロキシプロゲステロン酢酸塩、ロイプロリド酢酸塩、フルタミド、トレミフェンクエン酸塩、ゴセレリン酢酸塩、カルボプラチン、ヒドロキシ尿素、アムサクリン、プロカルバジン、ミトタン、ミトキサントロン、レバミソール、ビノレルビン、アナストラゾール、レトロゾール、カペシタビン、ラロキシフェン、ドロロキサフィン(droloxafine)、ヘキサメチルメラミン、ベバシズマブ、トラスツズマブ、トシツモマブ、ボルテゾミブ、イブリツモマブチウキセタン、三酸化ヒ素、ポルフィマーナトリウム、セツキシマブ、チオTEPA、アルトレタミン、フルベストラント、エキセメスタン、リツキシマブ、アレムツズマブ、デキサメタゾン、ビカルタミド、クロラムブシル、およびバルルビシンが挙げられるが、これに限定されない。
【0165】
〔00165〕投与することが可能である1または複数の追加的治療薬としては、限定する
ことなく、AKT阻害剤、アルキル化剤、オールトランスレチノイン酸、抗アンドロゲン、アザシチジン、BCL2阻害剤、BCL-XL阻害剤、BCR-ABL阻害剤、BTK阻害剤、BTK/LCK/LYN阻害剤、CDK1/2/4/6/7/9阻害剤、CDK4/6阻害剤、CDK9阻害剤、CBP/p300阻害剤、EGFR阻害剤、エンドセリン受容体アンタゴニスト、RAF阻害剤、MEK阻害剤、ERK阻害剤、ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤、FLT3阻害剤、グルココルチコイド受容体アゴニスト、HDM2阻害剤、ヒストンデアセチラーゼ阻害剤、IKKβ阻害剤、免疫調節薬剤(IMiD)、インゲノール、ITK阻害剤、JAK1/JAK2/JAK3/TYK2阻害剤、MTOR阻害剤、PI3キナーゼ阻害剤、二重PI3キナーゼ/MTOR阻害剤、プロテアソーム阻害剤、プロテインキナーゼCアゴニスト、SUV39H1阻害剤、TRAIL、VEGFR2阻害剤、Wnt/β-カテニンシグナル伝達阻害剤、デシタビン、および抗CD20モノクローナル抗体を挙げることができる。
【0166】
特定の実施形態では、追加的治療薬は、例えばイピリムマブおよびトレメリムマブであるがこれに限定されないCTLA4阻害剤、例えばペムブロリツマブおよびニボルマブであるがこれに限定されないPD1阻害剤、例えばアテゾリツマブ(以前のMPDL3280A)、デュルバルマブ(以前のMEDI4736)、アベルマブ、PDR001であるがこれに限定されないPDL1阻害剤、例えばウレルマブおよびPF-05082566であるがこれに限定されない4 1BBまたは4 1BBリガンド阻害剤、例えばMEDI6469であるがこれに限定されないOX40リガンドアゴニスト、例えばTRX518であるがこれに限定されないGITR薬剤、例えばバルリルマブであるがこれに限定さ
れないCD27阻害剤、TNFRSF25またはTL1A阻害剤、例えばCP-870893であるがこれに限定されないCD40アゴニスト、HVEMまたはLIGHTまたはLTAまたはBTLAまたはCD160阻害剤、例えばBMS-986016であるがこれに限定されないLAG3阻害剤、TIM3阻害剤、Siglecs阻害剤、ICOSまたはICOSリガンドアゴニスト、例えばMGA271であるがこれに限定されないB7
H3阻害剤、B7 H4阻害剤、VISTA阻害剤、HHLA2またはTMIGD2阻害剤、BTNL2阻害剤を含むブチロフィリンの阻害剤、CD244またはCD48阻害剤、TIGITおよびPVRファミリーメンバーの阻害剤、例えばリリルマブであるがこれに限定されないKIR阻害剤、ILTおよびLIRの阻害剤、例えばIPH2201であるがこれに限定されないNKG2DおよびNKG2A阻害剤、MICAおよびMICB阻害剤、CD244阻害剤、例えばエマクツツマブ、カビラリツマブ、ペキシダルチニブ、ARRY382、BLZ945であるがこれに限定されないCSF1R阻害剤、INCB024360であるがこれに限定されないIDO阻害剤、サリドマイド、レナリドマイド、例えばガルニセルチブであるがこれに限定されないTGFβ阻害剤、アデノシン、またはCD39またはCD73阻害剤、例えばウロクプルマブおよび(3S,6S,9S,12R,17R,20S,23S,26S,29S,34aS)-N-((S)-1-アミノ-5-グアニジノ-1-オキソペンタン-2-イル)-26,29-ビス(4-アミノブチル)-17-((S)-2-((S)-2-((S)-2-(4-フルオロベンズアミド)-5-グアニジノペンタンアミド)-5-グアニジノペンタンアミド)-3-(ナフタレン-2-イル)プロパンアミド)-6-(3-グアニジノプロピル)-3,20-ビス(4-ヒドロキシベンジル)-1,4,7,10,18,21,24,27,30-ノナオキソ-9,23-ビス(3-ウレイドプロピル)トリアコンタヒドロ-1H,16H-ピロール[2,1-p][1,2]ジチア[5,8,11,14,17,20,23,26,29]ノナアザシクロドトリアコンチン(nonaazacyclodotriacontine)-12-カルボキサミド BKT140であるがこれに限定されないCXCR4またはCXCL12阻害剤、例えばバビツキシマブであるがこれに限定されないホスファチジルセリン阻害剤、例えばCC-90002であるがこれに限定されないSIRPAまたはCD47、例えばベバシツマブであるがこれに限定されないVEGF阻害剤、および、例えばMNRP1685Aであるがこれに限定されないニューロピリン阻害剤、からなる群から選択される免疫調節薬である。
【0167】
医薬組成物
本開示の態様は、本明細書に開示される化合物の併用、またはこうした化合物および薬学的に許容可能な希釈剤、賦形剤もしくは担体を含む1もしくは複数の医薬組成物、の投与を含む治療方法を対象とする。特定の実施形態においては、本明細書に開示される方法は、化合物Aまたはその薬学的に許容可能な塩のいずれかおよび薬学的に許容可能な希釈剤、賦形剤または担体を含む第一の医薬組成物と、例えばトラメチニブであるMEK阻害剤、例えばウリキセルチニブであるERK阻害剤、例えばLY3009120であるRAF阻害剤またはその薬学的に許容可能な塩および薬学的に許容可能な希釈剤、賦形剤または担体を含む第二の医薬組成物とを投与することに関与する。特定の実施形態においては、本明細書に開示される方法は、化合物Bまたはその薬学的に許容可能な塩および薬学的に許容可能な希釈剤、賦形剤または担体を含む第一の医薬組成物と、例えばトラメチニブであるMEK阻害剤、例えばウリキセルチニブであるERK阻害剤、例えばLY3009120であるRAF阻害剤またはその薬学的に許容可能な塩および薬学的に許容可能な希釈剤、賦形剤または担体を含む第二の医薬組成物とを投与することに関与する。特定の実施形態においては、本明細書に開示される方法は、化合物Aまたはその薬学的に許容可能な塩と、例えばトラメチニブであるMEK阻害剤と、薬学的に許容可能な希釈剤、賦形剤または担体とを含む医薬組成物を投与することに関与する。特定の実施形態においては、本明細書に開示される方法は、化合物Bまたはその薬学的に許容可能な塩と、例えばトラメチニブであるMEK阻害剤と、薬学的に許容可能な希釈剤、賦形剤または担体とを含む
医薬組成物を投与することに関与する。
【0168】
特定の実施形態においては、本明細書に開示される方法は、化合物Aまたはその薬学的に許容可能な塩と、例えばウリキセルチニブであるERK阻害剤と、薬学的に許容可能な希釈剤、賦形剤または担体とを含む医薬組成物を投与することに関与する。特定の実施形態においては、本明細書に開示される方法は、化合物Bまたはその薬学的に許容可能な塩と、例えばウリキセルチニブであるERK阻害剤と、薬学的に許容可能な希釈剤、賦形剤または担体とを含む医薬組成物を投与することに関与する。
【0169】
特定の実施形態においては、本明細書に開示される方法は、化合物Aまたはその薬学的に許容可能な塩と、例えばLY3009120であるRAF阻害剤と、薬学的に許容可能な希釈剤、賦形剤または担体とを含む医薬組成物を投与することに関与する。特定の実施形態においては、本明細書に開示される方法は、化合物Bまたはその薬学的に許容可能な塩と、例えばLY3001290であるRAF阻害剤と、薬学的に許容可能な希釈剤、賦形剤または担体とを含む医薬組成物を投与することに関与する。
【0170】
〔00170〕本明細書に記載される化合物の医薬組成物の使用において、薬学的に許容可
能な担体は固体または液体のいずれかであり得る。固体形態としては、粉剤、錠剤、分散性顆粒、カプセル、カシェ剤、および座薬が挙げられる。粉剤および錠剤は、約5~約95パーセントの活性成分から構成されてもよい。適切な固体担体は当技術で公知であり、例えば炭酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、糖またはラクトースがある。錠剤、粉剤、カシェ剤およびカプセル剤は、経口投与に適した固形剤型として使用可能である。薬学的に許容可能な担体の例、および様々な組成物の製造方法の例は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれるA.Gennaro (ed.),Remington’s Pharmaceutical Sciences,18th Edition,(1990),Mack Publishing Co.,Easton,Paに見ることができる。
【0171】
液体形態製剤としては、溶液、懸濁液およびエマルジョンが挙げられる。例えば、非経口注射用には水または水-プロピレングリコール溶液、または経口の溶液、懸濁液およびエマルジョン用には甘味剤および乳白剤の添加がある。液体形態製剤としては、鼻腔内投与用の溶液も挙げられる。
【0172】
特に注射可能な、液体の組成物は、例えば溶解、分散などにより調製可能である。例えば、開示される化合物は、例えば、水、生理食塩水、ブドウ糖水溶液、グリセリン、エタノールなどの薬学的に許容可能な溶媒に溶解されるか、または混合され、それによって注射可能な等張溶液または懸濁液が形成される。アルブミン、カイロミクロン粒子、または血清タンパク質などのタンパク質を使用して、開示される化合物を可溶化することができる。
【0173】
非経口注射投与は概して、皮下、筋肉内、または静脈内の注射および点滴に使用される。注射剤は、溶液もしくは懸濁液、または注射前に液体に溶解させることに適した固体の形態のいずれかとして従来的な形態で調製可能である。
【0174】
吸入に適したエアロゾル製剤もまた使用され得る。これら製剤は、溶液、および粉末形態の固体を含んでもよく、それらは例えば窒素である不活性圧縮ガスなどの薬学的に許容可能な担体と組み合わせる場合がある。
【0175】
〔00175〕また、使用に関して、経口投与または非経口投与のいずれかのための液体形
態製剤に、使用直前に変えることを意図した固体形態製剤も意図される。そのような液体
形態としては、溶液、懸濁液およびエマルジョンが挙げられる。
【0176】
用量
いくつかの実施形態においては、治療プロトコルのために、化合物Aまたは化合物B(またはその薬学的に許容可能な塩)が、例えばMEK阻害剤(例えば、トラメチニブ)と組み合わせて使用される場合、2つの治療薬は一緒に投与してもよく、または「二重レジメン」であって、2つの治療薬を別個に投薬および投与する二重レジメンで投与してもよい。化合物AまたはB(またはその薬学的に許容可能な塩)とMEK阻害剤とが別個に投薬される場合、治療を必要とする対象に投与される化合物Aまたは化合物B(またはその薬学的に許容可能な塩)の典型的な用量は、典型的には約5mg/日~約5000mg/日であり、他の実施形態では約50mg/日~約1000mg/日である。他の用量は、約10mmolから最大で約250mmol/日、約20mmol~約70mmol/日、または約30mmol~約60mmol/日であってもよい。開示の化合物の有効投与量は、示される効果に関して使用される場合、症状の治療に必要とされる本開示化合物を約0.5mg~約5000mgの範囲とする。インビボまたはインビトロでの使用のための組成物は、約0.5、5、20、50、75、100、150、250、500、750、1000、1250、2500、3500、または5000mgの開示の化合物を含有することができ、または、用量の列記中のある量から別の量の範囲で開示の化合物を含有することができる。経口投与に関し、典型的な推奨される1日の投与レジメンは、単一用量で、または2~4に分割した用量で、約1mg/日~約500mg/日または1mg/日~200mg/日の範囲とすることが可能である。一実施形態においては、典型的な1日の経口用量レジメンは150mgである。
【0177】
特定の実施形態においては、MEK阻害剤の用量は、先に開示した用量および/または食品医薬品局による使用のために承認された用量と一致する。他の実施形態においては、MEK阻害剤の用量は、先に承認された用量未満であり、例えば承認された用量の約20%、約50%、または約80%である。特定の実施形態においては、トラメチニブの用量は、1日に、約.5mg~20mgを経口で、例えば1日に約1mg、または1日に約2mgである。特定の実施形態においては、コビメチニブの用量は、1日に、約10mg~200mgで、例えば1日に約30mg、または約60mgである。特定の実施形態においては、ビニメチニブの用量は、1日に約10mg~200mgを2回、例えば1日に約25mgまたは約45mgを2回である。特定の実施形態においては、セルメチニブの用量は、1日に約10mg~200mgで、例えば1日に約30mgまたは約75mgを2回である。
【0178】
本明細書に記載の化合物および/またはその薬学的に許容可能な塩ならびに他の治療薬の投与の量および回数は、患者の年齢、症状および大きさ、ならびに治療される症状の重篤度などの因子を考慮し、担当医の判断に従い調整されることとなる。
【0179】
本開示の化合物(例えば、化合物Aまたは化合物B(およびその薬学的に許容可能な塩)、MEK阻害剤、および他の治療薬)は、任意の適切な経路によって投与され得る。化合物は、カプセル剤、懸濁剤、錠剤、丸薬、糖衣錠、液剤、ゲル、シロップ、スラリーなどで、経口で(例えば食事で)投与可能である。組成物を封入する(硬質ゼラチンまたはシクロデキストラン(cyclodextran)のコーティング内になど)ための方法は、当技術で公知である(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、Baker,et al.,“Controlled Release of Biological
Active Agents”,John Wiley and Sons,1986)。化合物は、医薬組成物の一部として許容可能な医薬担体と併せて対象に対して投与可能である。医薬組成物の剤型は、選択される投与経路に従って変化することとなる。適切な医薬担体は、化合物と相互作用しない不活性成分を含み得る。担体は生体適合性であり
、すなわち非毒性、非炎症性、非免疫原性であり、投与部位で他の望ましくない反応を発生させない。
【0180】
〔00180〕例示的な医薬組成物は、本明細書に記載の化合物と、薬学的に許容可能な担
体であって、例えばa)例えば精製水、例えば水素化された、もしくは部分的に水素化された植物油またはそれらの混合物であるトリグリセリド油、トウモロコシ油、オリーブ油、ヒマワリ油、ベニバナ油、例えばEPAもしくはDHAである魚油もしくはそれらのエステル、もしくはトリグリセリドもしくはその混合物、オメガ-3脂肪酸もしくはその誘導体、ラクトース、デキストロース、スクロース、マンニトール、ソルビトール、セルロース、ナトリウム、サッカリン、グルコースおよび/またはグリシンである希釈剤;b)例えばシリカ、タルク、ステアリン酸、そのマグネシウム塩もしくはカルシウム塩、オレイン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウムおよび/またはポリエチレングリコールである潤滑剤、錠剤用でもある;c)例えばケイ酸マグネシウムアルミニウム、デンプン糊、ゼラチン、トラガカント、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、炭酸マグネシウム、例えばグルコースまたはベータ-ラクトースなどの天然糖類、トウモロコシ甘味料、例えばアカシア、トラガカントまたはアルギン酸ナトリウムなどの天然ゴムおよび合成ゴム、ワックスおよび/またはポリビニルピロリドンである結合剤、もし所望であれば;d)例えばデンプン、アガー、メチルセルロース、ベントナイト、キサンタンガム、アルギン酸もしくはそのナトリウム塩、または発泡性混合物である崩壊剤;e)吸収剤、着色剤、香味剤および甘味剤;f)例えばTween80、Labrasol、HPMC、DOSS、Caproyl 909、Labrafac、Labrafil、Peceol、Transcutol、CAPMUL MCM、CAPMUL PG-12、Captex 355、Gelucire、ビタミンE TGPSまたは他の許容可能な乳化剤である、乳化剤または分散剤;および/またはg)例えばシクロデキストリン、ヒドロキシプロピルシクロデキストリン、PEG400、PEG200である、化合物の吸収を強化する薬剤、等である上記担体とを含む錠剤およびゼラチンカプセルである。
【0181】
固定された用量として調製される場合、かかる配合剤は、本明細書に記載されるまたは当業者に公知の、用量範囲内で本明細書に記載の化合物を採用する。
【0182】
本明細書に記載の化合物(例えば、化合物Aおよび化合物B、およびMEK阻害剤を含むMAPKAPキナーゼ阻害剤)は、医薬組成物で使用することが意図されているため、当業者であれば、実質的に純粋な形態で、例えば少なくとも60%純粋、少なくとも75%純粋、少なくとも85%純粋、および少なくとも98%純粋(w/w)でそれらが提供可能であることを理解するであろう。医薬製剤は、単位剤型であってもよい。そのような製剤では、例えば本明細書に記載される望ましい目的を実現する有効量などである適切な量の化合物Aまたは化合物Bを含有する適切な大きさとした単位用量に分割して調製される。
【実施例0183】
化合物Aまたはその薬学的に許容可能な塩のいずれかを、MEK阻害剤またはERK阻害剤またはRAF阻害剤と組み合わせた併用によるc-KIT媒介性腫瘍細胞の治療が、予期せずに、相乗的に、腫瘍細胞のアポトーシスを誘発することが見出された。さらに、この併用療法は、他のc-KIT阻害剤および/またはMEK、ERKもしくはRAF阻害剤に対する耐性を与える二次突然変異を伴う腫瘍細胞を含む、腫瘍細胞の増殖を阻害する。さらに、本明細書に開示される併用療法は、薬剤併用治療下でない急速な腫瘍再増殖に対立するものとして、腫瘍細胞の静止に長期的な効果を有するように見えた。さらに、本明細書に開示される併用療法は、単に細胞質効果に対立するものとして、腫瘍細胞に対して細胞毒性効果を有するように見えた。さらに、本明細書に開示される併用療法は、最
大21日の薬剤を含まない回復期間を含む併用療法の除去後に腫瘍細胞コロニー増殖なしに、検出限界までGIST腫瘍細胞を根絶するように見えた。この予期せぬ発見の特定には、本明細書に記載されるアッセイを含めて、生化学アッセイおよび細胞アッセイにおいて行った。
【0184】
本開示は、以下の実施例によってさらに説明するが、それらは、本明細書に記載される具体的な手順に対する範囲または趣旨において本開示を限定するものとはみなされないものとする。実施例は、特定の実施形態を説明するために提示されるものであり、またそれにより本開示の範囲を限定する意図はないことを理解されたい。さらに本開示の趣旨、および/または添付の特許請求の範囲の範囲から逸脱することなく、当業者に示唆され得る様々な他の実施形態、変形物および均等物に対して策がもたれ得ることを理解されたい。
【0185】
実施例1.トラメチニブとの化合物Aの併用処置が、GIST-T1、GIST-T1/D816Eのイマチニブ耐性細胞およびGIST-T1/T670Iのイマチニブ耐性細胞におけるアポトーシスを誘発する
〔00185〕化合物Aおよびトラメチニブによる併用処置が、GIST-T1(57bp
エクソン11欠失)イマチニブ感受性細胞、GIST-T1/D816Eイマチニブ耐性細胞およびGIST-T1/T670I)イマチニブ耐性細胞におけるアポトーシスを誘発することを実証するために、試験を実施した。ウェル当たり10,000個のGIST-T1、GIST-T1/D816EまたはGIST-T1/T670Iの細胞を播種した96ウェルプレートでアッセイを行った。細胞を様々な濃度で、ビヒクル対照、化合物A、トラメチニブ、またはその組合せで処置し、細胞を、薬剤処置の存在下で24時間および48時間、成長させた。アポトーシスは、カスパーゼ3/7活性を測定することにより評価した。
【0186】
図1Aおよび1Cは、GIST-T1細胞の様々な処置に対して決定されたカスパーゼ活性の相対的割合(100%で設定されたビヒクル対照と比較した)を示すグラフ表示である。
図1Bおよび1Dは、ChouおよびTalalay(1984)ならびにChouおよびMartinのコンピュータソフトウェア(2005)により記述される、併用指数(CI)法に基づく相乗作用のマトリクス図および併用指数プロットである。CI<1は、相乗作用を示し、CI=1は、相加作用を示し、またCI>1は、拮抗作用を示す。化合物Aおよびトラメチニブによる24時間(
図1A、B)および48時間(
図1C、D)の併用処置により、GIST-T1細胞におけるアポトーシスを誘発する強い相乗作用が示された。
【0187】
図1Eは、GIST-T1/D816Eイマチニブ耐性細胞の様々な処置からのカスパーゼ活性を示すグラフ表示である。
図1Fは、ChouおよびTalalay(1984)ならびにChouおよびMartinのコンピュータソフトウェア(2005)により記述される、併用指数(CI)法に基づく相乗作用のマトリクス図および併用指数プロットである。CI<1は、相乗作用を示し、CI=1は、相加作用を示し、またCI>1は、拮抗作用を示す。化合物Aおよびトラメチニブによる24時間の併用処置により、GIST-T1/D816Eイマチニブ耐性細胞のアポトーシスを誘発する強い相乗作用が示された。
【0188】
図1Gは、GIST-T1/T670Iイマチニブ耐性細胞の様々な処置からのカスパーゼ活性を示すグラフ表示である。
図1Hは、ChouおよびTalalay(1984)ならびにChouおよびMartinのコンピュータソフトウェア(2005)により記述される、併用指数(CI)法に基づく相乗作用のマトリクス図および併用指数プロットである。CI<1は、相乗作用を示し、CI=1は、相加作用を示し、またCI>1は、拮抗作用を示す。化合物Aおよびトラメチニブによる24時間の併用処置により、GI
ST-T1/T670Iイマチニブ耐性細胞のアポトーシスを誘発する強い相乗作用が示された。
【0189】
実施例2.トラメチニブとの化合物Bの併用処置が、GIST-T1、GIST-T1/D816Eのイマチニブ耐性細胞およびGIST-T1/T670Iのイマチニブ耐性細胞におけるアポトーシスを誘発する
図2Aは、GIST-T1細胞の様々な処置に対して決定されたカスパーゼ活性の相対的割合(100%で設定されたビヒクル対照と比較した)を示すグラフ表示である。
図2Bは、化合物Bおよびトラメチニブによる24時間の併用処置である実施例1に記載するような相乗作用のマトリクス図および併用指数プロットであり(
図2A、B)、GIST-T1細胞におけるアポトーシスを誘発する強い相乗作用を示した。
【0190】
〔00190〕
図2Cは、GIST-T1/D816Eイマチニブ耐性細胞の様々な処置か
らのカスパーゼ活性を示すグラフ表示である。
図2Dは、相乗作用のマトリクス図および併用指数プロットである。化合物Bおよびトラメチニブによる24時間の併用処置により、GIST-T1/D816Eイマチニブ耐性細胞のアポトーシスを誘発する強い相乗作用が示された。
【0191】
図2Eは、GIST-T1/T670Iイマチニブ耐性細胞の様々な処置からのカスパーゼ活性を示すグラフ表示である。
図2Fは、相乗作用のマトリクス図および併用指数プロットである。化合物Bおよびトラメチニブによる24時間の併用処置により、GIST-T1/T670Iイマチニブ耐性細胞のアポトーシスを誘発する強い相乗作用が示された。
【0192】
実施例3.ビニメチニブとの化合物Aの併用処置が、GIST-T1およびGIST-T1/D816Eのイマチニブ耐性細胞およびGIST-T1/T670Iのイマチニブ耐性細胞におけるアポトーシスを誘発する
図3Aは、GIST-T1細胞の様々な処置に対して決定されたカスパーゼ活性の相対的割合(100%で設定されたビヒクル対照と比較した)を示すグラフ表示である。
図3Bは、実施例1に記載される併用指数(CI)法に基づく相乗作用のマトリクス図および併用指数プロットを示す。化合物Aおよびビニメチニブによる24時間(
図3A、3B)の併用処置により、GIST-T1細胞におけるアポトーシスを誘発する強い相乗作用が示された。
【0193】
図3Cは、GIST-T1/D816Eイマチニブ耐性細胞の様々な処置からのカスパーゼ活性を示すグラフ表示である。
図3Dは、実施例1に記載される併用指数(CI)法に基づく相乗作用のマトリクス図および併用指数プロットである。化合物Aおよびビニメチニブによる24時間の併用処置により、GIST-T1/D816Eイマチニブ耐性細胞のアポトーシスを誘発する強い相乗作用が示された。
【0194】
図3Eは、GIST-T1/T670Iイマチニブ耐性細胞の様々な処置からのカスパーゼ活性を示すグラフ表示である。
図3Fは、相乗作用のマトリクス図および併用指数プロットである。化合物Aおよびビニメチニブによる24時間の併用処置により、GIST-T1/T670Iイマチニブ耐性細胞のアポトーシスを誘発する強い相乗作用が示された。
【0195】
実施例4.ビニメチニブとの化合物Bの併用処置が、GIST-T1、GIST-T1/D816Eのイマチニブ耐性細胞およびGIST-T1/T670Iのイマチニブ耐性細胞におけるアポトーシスを誘発する
〔00195〕
図4Aは、GIST-T1細胞の様々な処置に対して決定されたカスパーゼ
活性の相対的割合(100%で設定されたビヒクル対照と比較した)を示すグラフ表示である。
図4Bは、ChouおよびTalalay(1984)により記述される、併用指数(CI)法に基づく相乗作用のマトリクス図および併用指数プロットである。化合物Bおよびビニメチニブによる24時間(
図4A、B)の併用処置により、GIST-T1細胞におけるアポトーシスを誘発する強い相乗作用が示された。
【0196】
図4Cは、GIST-T1/D816Eイマチニブ耐性細胞の様々な処置からのカスパーゼ活性を示すグラフ表示である。
図4Dは、相乗作用のマトリクス図および併用指数プロットである。化合物Bおよびビニメチニブによる24時間の併用処置により、GIST-T1/D816Eイマチニブ耐性細胞のアポトーシスを誘発する強い相乗作用が示された。
【0197】
図4Eは、GIST-T1/T670Iイマチニブ耐性細胞の様々な処置からのカスパーゼ活性を示すグラフ表示である。
図4Fは、相乗作用のマトリクス図および併用指数プロットである。化合物Bおよびビニメチニブによる24時間の併用処置により、GIST-T1/T670Iイマチニブ耐性細胞のアポトーシスを誘発する強い相乗作用が示された。
【0198】
実施例5.コビメチニブとの化合物Aの併用処置が、GIST-T1イマチニブ感受性細胞、GIST-T1/D816Eのイマチニブ耐性細胞およびGIST-T1/T670Iのイマチニブ耐性細胞におけるアポトーシスを誘発する
図5Aは、GIST-T1細胞の様々な処置に対して決定されたカスパーゼ活性の相対的割合(100%で設定されたビヒクル対照と比較した)を示すグラフ表示である。
図5Bは、実施例1に記載される併用指数(CI)法に基づく相乗作用のマトリクス図および併用指数プロットを示す。化合物Aおよびコビメチニブによる24時間(
図5A、5B)の併用処置により、GIST-T1細胞におけるアポトーシスを誘発する強い相乗作用が示された。
【0199】
図5Cは、GIST-T1/D816Eイマチニブ耐性細胞の様々な処置からのカスパーゼ活性を示すグラフ表示である。
図5Dは、実施例1に記載される併用指数(CI)法に基づく相乗作用のマトリクス図および併用指数プロットである。化合物Aおよびコビメチニブによる24時間の併用処置により、GIST-T1/D816Eイマチニブ耐性細胞のアポトーシスを誘発する強い相乗作用が示された。
【0200】
〔00200〕
図5Eは、GIST-T1/T670Iイマチニブ耐性細胞の様々な処置か
らのカスパーゼ活性を示すグラフ表示である。
図5Fは、実施例1に記載される併用指数(CI)法に基づく相乗作用のマトリクス図および併用指数プロットである。化合物Aおよびコビメチニブによる24時間の併用処置により、GIST-T1/T670Iイマチニブ耐性細胞のアポトーシスを誘発する強い相乗作用が示された。
【0201】
実施例6.コビメチニブとの化合物Bの併用処置が、GIST-T1、GIST-T1/D816Eのイマチニブ耐性細胞およびGIST-T1/T670Iのイマチニブ耐性細胞におけるアポトーシスを誘発する
図6Aは、GIST-T1細胞の様々な処置に対して決定されたカスパーゼ活性の相対的割合(100%で設定されたビヒクル対照と比較した)を示すグラフ表示である。
図6Bは、相乗作用のマトリクス図および併用指数プロットである。化合物Bおよびコビメチニブによる24時間(
図6A、6B)の併用処置により、GIST-T1細胞におけるアポトーシスを誘発する強い相乗作用が示された。
【0202】
図6Cは、GIST-T1/D816Eイマチニブ耐性細胞の様々な処置からのカスパ
ーゼ活性を示すグラフ表示である。
図6Dは、相乗作用のマトリクス図および併用指数プロットである。化合物Bおよびコビメチニブによる24時間の併用処置により、GIST-T1/D816Eイマチニブ耐性細胞のアポトーシスを誘発する強い相乗作用が示された。
【0203】
図6Eは、GIST-T1/T670Iイマチニブ耐性細胞の様々な処置からのカスパーゼ活性を示すグラフ表示である。
図6Fは、相乗作用のマトリクス図および併用指数プロットである。化合物Bおよびコビメチニブによる24時間の併用処置により、GIST-T1/T670Iイマチニブ耐性細胞のアポトーシスを誘発する強い相乗作用が示された。
【0204】
実施例7.ウリキセルチニブ(BVD-523)との化合物Aの併用処置が、GIST-T1およびGIST-T1/T670Iイマチニブ耐性細胞におけるアポトーシスを誘発する
図7Aは、GIST-T1細胞の様々な処置に対して決定されたカスパーゼ活性の相対的割合(100%で設定されたビヒクル対照と比較した)を示すグラフ表示である。
図7Bは、実施例1に記載される併用指数(CI)法に基づく相乗作用のマトリクス図および併用指数プロットを示す。化合物Aおよびウリキセルチニブによる24時間(
図7A、7B)の併用処置では、より高い濃度で、GIST-T1細胞におけるアポトーシスを誘発する強い相乗作用を示した。
【0205】
〔00205〕
図7Cは、GIST-T1/T670Iイマチニブ耐性細胞の様々な処置か
らのカスパーゼ活性を示すグラフ表示である。
図7Dは、実施例1に記載される併用指数(CI)法に基づく相乗作用のマトリクス図および併用指数プロットである。化合物Aおよびウリキセルチニブによる24時間の併用処置により、GIST-T1/T670Iイマチニブ耐性細胞のアポトーシスを誘発する強い相乗作用が示された。
【0206】
実施例8.ウリキセルチニブ(Bvd-523)との化合物Bの併用処置が、GIST-T1およびGIST-T1/T670Iイマチニブ耐性細胞におけるアポトーシスを誘発する
カスパーゼ活性の相乗作用の図および併用指数プロットを使用して、GIST-T1、GIST-T1/D816Eイマチニブ耐性細胞およびGIST-T1/T670Iイマチニブ耐性細胞におけるアポトーシスを誘発する際に、化合物Bおよびウリキセルチニブの併用に関する相乗作用を示し得る。
【0207】
実施例9.SCH772984との化合物Aの併用処置が、GIST-T1、GIST-T1/D816Eのイマチニブ耐性細胞およびGIST-T1/T670Iのイマチニブ耐性細胞におけるアポトーシスを誘発する
カスパーゼ活性の相乗作用の図および併用指数プロットを使用して、GIST-T1、GIST-T1/D816Eイマチニブ耐性細胞およびGIST-T1/T670Iイマチニブ耐性細胞におけるアポトーシスを誘発する際に、化合物AおよびSCH772984の併用に関する相乗作用を示し得る。
【0208】
実施例10.SCH772984との化合物Bの併用処置が、GIST-T1、GIST-T1/D816Eのイマチニブ耐性細胞およびGIST-T1/T670Iのイマチニブ耐性細胞におけるアポトーシスを誘発する
カスパーゼ活性の相乗作用の図および併用指数プロットを使用して、GIST-T1、GIST-T1/D816Eイマチニブ耐性細胞およびGIST-T1/T670Iイマチニブ耐性細胞におけるアポトーシスを誘発する際に、化合物BおよびSCH77298
4の併用に関する相乗作用を示し得る。
【0209】
実施例11.LY3009120との化合物Aの併用処置が、GIST-T1、GIST-T1/D816Eのイマチニブ耐性細胞およびGIST-T1/T670Iのイマチニブ耐性細胞におけるアポトーシスを誘発する
カスパーゼ活性の相乗作用の図および併用指数プロットを使用して、GIST-T1、GIST-T1/D816Eイマチニブ耐性細胞およびGIST-T1/T670Iイマチニブ耐性細胞におけるアポトーシスを誘発する際に、化合物AおよびLY3009120の併用に関する相乗作用を示し得る。
【0210】
実施例12.LY3009120との化合物Bの併用処置が、GIST-T1、GIST-T1/D816Eのイマチニブ耐性細胞およびGIST-T1/T670Iのイマチニブ耐性細胞におけるアポトーシスを誘発する
〔00210〕カスパーゼ活性の相乗作用の図および併用指数プロットを使用して、GIS
T-T1、GIST-T1/D816Eイマチニブ耐性細胞およびGIST-T1/T670Iイマチニブ耐性細胞におけるアポトーシスを誘発する際に、化合物BおよびLY3009120の併用に関する相乗作用を示し得る。
【0211】
実施例13.ダブラフェニブとの化合物Aの併用処置が、GIST-T1、GIST-T1/D816Eのイマチニブ耐性細胞およびGIST-T1/T670Iのイマチニブ耐性細胞におけるアポトーシスを誘発する
カスパーゼ活性の相乗作用の図および併用指数プロットを使用して、GIST-T1、GIST-T1/D816Eイマチニブ耐性細胞およびGIST-T1/T670Iイマチニブ耐性細胞におけるアポトーシスを誘発する際に、化合物Aおよびダブラフェニブの併用に関する相乗作用を示し得る。
.
【0212】
実施例14.ダブラフェニブとの化合物Bの併用処置が、GIST-T1、GIST-T1/D816Eのイマチニブ耐性細胞およびGIST-T1/T670Iのイマチニブ耐性細胞におけるアポトーシスを誘発する
カスパーゼ活性の相乗作用の図および併用指数プロットを使用して、GIST-T1、GIST-T1/D816Eイマチニブ耐性細胞およびGIST-T1/T670Iイマチニブ耐性細胞におけるアポトーシスを誘発する際に、化合物Bおよびダブラフェニブの併用に関する相乗作用を示し得る。
【0213】
実施例15.併用処置が、GIST-T1、GIST-T1/D816EおよびGIST-T1/T670I)のイマチニブ耐性細胞におけるコロニー増殖を予防する
化合物Aおよびトラメチニブによる併用処置が、GIST-T1(57bpエクソン11欠失)イマチニブ感受性細胞、GIST-T1/D816Eイマチニブ耐性細胞およびGIST-T1/T670Iイマチニブ耐性細胞における細胞増殖を予防することを実証するために、試験を実施した。ウェル当たり100個の細胞を播種した6ウェルプレートでアッセイを行った。細胞を、様々な濃度でのビヒクル対照、化合物A、トラメチニブ、イマチニブ(IM)またはその組合せにより処置し、細胞を2週間培養した。処置後、薬剤を洗浄し、細胞を通常培地で1~3週間培養した。増殖した細胞コロニーをクリスタルバイオレットで染色し、計数した。
【0214】
図8Aは、代表的培養プレートの画像、ならびに様々な処置から計数したGIST-T1のコロニー数のグラフ表示を示す。GIST T1細胞は、単剤としてのイマチニブおよび化合物Aに対して感受性である。単剤としてのイマチニブおよび化合物Aの各々は、ビヒクル対照の23~30%までのGIST T1コロニー増殖のほぼ同様の減少を示す
ということに留意されたい。50nMの化合物Aおよび50nMまたは100nMのいずれかのトラメチニブによる2週間の併用処置により、予期せずに、5倍での実体的顕微鏡検査により視覚化されるような検出限界までの、完全な細胞静止またはGIST T1コロニー増殖の根絶を導き、併用処置除去後9日間でコロニーは検出されなかった(
図8Aの矢印で示す)。対照的に、100nMのイマチニブおよび50nMまたは100nMのトラメチニブのいずれかの2週間の併用処置は、併用処置除去後9日間で、完全な腫瘍細胞の静止または根絶を導かなかった。
【0215】
〔00215〕
図8Bは、代表的培養プレートの画像、および様々な処置から計数したGI
ST-T1/D816Eのコロニー数のグラフ表示を示す。単剤としてのイマチニブ(500nM)および化合物A(100nMまたは250nM)の各々は、ビヒクル対照の約61~72%までのコロニー増殖を伴い、GIST T1/D816Eの細胞破壊的な効能のほぼ同様の欠如を示すということに留意されたい(
図8B)。化合物A(100nMまたは250nM)およびトラメチニブ(100nM)による2週間の併用治療により、化合物A(100nM)によるほぼ完全な細胞静止、10日の回復後に、5倍での実体的顕微鏡検査により視覚化されるような検出限界までの、トラメチニブ(100nM)および化合物A(250nM)の併用によるGIST-T1/D816E細胞における完全な細胞静止またはコロニー増殖の根絶が導かれ(
図8Bの矢印を参照)、一方で、イマチニブ(500nM)およびトラメチニブ(50nMまたは100nM)による2週間の併用処置では、完全な細胞静止または腫瘍細胞の根絶は導かれなかった(
図8Bのグラフ参照)。これは、薬剤なしで追加で10日間、細胞を培養した場合に顕著であり、約20~25のコロニーが増殖した。
図8Cは、化合物Aの濃度を25nM、50nM、または100nMまでさらに減少させて、50nMのトラメチニブと組み合わせて評価した場合の代表的培養プレートの画像を示す。腫瘍コロニーの増殖の5倍での実体的顕微鏡検査により視覚化されるような検出限界までの完全な腫瘍細胞の静止または根絶は、10日の回復後に、トラメチニブと組み合わせた100nMの化合物Aで達成され(
図8Cの矢印を参照)、ほぼ完全な腫瘍細胞の静止または概ねの根絶(ビヒクル対照の1%)は、トラメチニブと組み合わせた50nMの化合物Aで達成され(
図8Cの矢印を参照)、また有意な腫瘍細胞の静止または死滅が、25nMの化合物Aで達成された(ビヒクル対照の11%)。対照的に、50nMのトラメチニブとの100nMのイマチニブの併用は、腫瘍コロニーの増殖を根絶せず、10日の回復後に穏やかな腫瘍細胞の静止または死滅を達成した(ビヒクル対照の60%)。
【0216】
図8Dは、代表的培養プレートの画像、および様々な処置から計数したGIST-T1/T670Iのコロニー数のグラフ表示を示す。単剤としてのイマチニブ(500nM)および化合物A(250nMまたは500nM)の各々は、ビヒクル対照の約44~49%までのGIST T1/T670Iのコロニー増殖のほぼ同様の減少を示すということに留意されたい。250nMまたは500nMの化合物Aによる、50nMまたは100nMのいずれかのトラメチニブと組み合わせた2週間の処置により、5倍での実体的顕微鏡検査により視覚化されるような検出限界までの、完全な細胞静止またはGIST T1/T670Iコロニー増殖の根絶を導き、併用処置除去後10日間でコロニーは検出されなかった(
図8Dの矢印で示す)。対照的に、500nMのイマチニブによる50nMまたは100nMのトラメチニブのいずれかと組み合わせた2週間の処置は、併用処置除去後9日間で、完全な腫瘍細胞の静止または腫瘍細胞の根絶を導かなかった。
【0217】
実施例16.化合物Bのトラメチニブとの併用処置が、GIST-T1、GIST-T1/D816EおよびGIST-T1/T670Iのイマチニブ耐性細胞におけるコロニー増殖を予防する
実施例8で説明した実験は、3種のGIST細胞株における化合物Bおよびトラメチニブによる併用処置でも実施された。
【0218】
図9Aは、代表的培養プレートの画像、および様々な処置から計数したGIST-T1のコロニー数のグラフ表示を示す。GIST T1細胞は単剤として化合物Bに感受性であり、ビヒクル対照と比較してGIST T1コロニー増殖の42~54%の減少を示した。50nMまたは100nMの化合物Bおよび50nMまたは100nMのいずれかのトラメチニブによる2週間の併用処置により、コロニー増殖がほぼ無い有意な細胞静止が導かれ、一方で、250nMの化合物Aの50nMまたは100nMのいずれかのトラメチニブとの併用処置では、5倍での実体的顕微鏡検査により視覚化されるような検出限界までの、完全な細胞静止またはGIST T1コロニー増殖の根絶を導き、併用処置除去後10日間でコロニーは検出されなかった(
図9Aの矢印で示す)。合計20日間の延長された長期の回復後でも、コロニーの増殖は予防された。
【0219】
図9Bは、代表的培養プレートの画像、および様々な処置から計数したGIST-T1/D816Eのコロニー数のグラフ表示を示す。単剤としての化合物B(50nM、100nMまたは250nM)が、ビヒクル対照の約59~84%であるコロニー増殖を伴い、GIST T1/D816Eの細胞破壊的な効能を示すということに留意されたい(
図9B)。化合物B(250nM)およびトラメチニブ(50nM)でのまたは化合物B(100nMまたは250nM)およびトラメチニブ(100nM)での2週間の併用処置により、10日の回復後に、5倍での実体的顕微鏡検査により視覚化されるようなGIST-T1/D816E細胞における>90%の細胞静止またはコロニー増殖の根絶が導かれ(
図9Bの矢印を参照)、20日の延長された長期間の後であっても、化合物B(250nM)による処置は、トラメチニブ(100nM)との併用で、細胞静止または細胞死滅を維持した。
【0220】
〔00220〕
図9Cは、代表的培養プレートの画像、および様々な処置から計数したGI
ST-T1/T670Iのコロニー数のグラフ表示を示す。単剤としての化合物B(50nM、100nMまたは250nM)が、ビヒクル対照の約75~78%までGIST T1/T670Iのコロニー増殖を示すということに留意されたい。100nMまたは250nMいずれかの化合物Bによる、50nMまたは100nMのいずれかのトラメチニブと組み合わせた2週間の処置により、5倍での実体的顕微鏡検査により視覚化されるような検出限界までの、完全な細胞静止またはGIST T1/T670Iコロニー増殖の根絶を導き、併用処置除去後10日間でコロニーは検出されなかった(
図9Cの矢印で示す)。増殖の阻害は、薬剤なしでの延長された20日間の後であっても維持された。
【0221】
実施例17.化合物Aのビニメチニブとの併用処置が、GIST-T1、GIST-T1/D816EおよびGIST-T1/T670Iのイマチニブ耐性細胞におけるコロニー増殖を予防する
化合物Aおよびビニメチニブの併用処置が、実施例15に説明されているように3種のGIST細胞株におけるコロニー増殖を予防することを実証するために、試験を実施した。
【0222】
図10Aは、代表的培養プレートの画像、および様々な処置から計数したGIST-T1のコロニー数のグラフ表示を示す。単剤としてのイマチニブおよび化合物Aの各々は、ビヒクル対照の36~41%までのGIST T1コロニー増殖のほぼ同様の減少を示すということに留意されたい。100nMまたは250nMの化合物Aおよび500nM、1uM、2uMまたは3uMのいずれかのビニメチニブとの2週間の併用処置を評価した。化合物A(100nMまたは250nM)のビニメチニブ(2uMまたは3uM)の併用により、5倍での実体的顕微鏡検査により視覚化されるような検出限界までの、完全な細胞静止またはGIST T1コロニー増殖の根絶を導き、併用処置除去後10日間でコロニーは検出されなかった(
図10Aの矢印で示す)。対照的に、500nMのイマチニ
ブおよび500nM、1uM、2umまたは3uMのいずれかのビニメチニブの2週間の併用処置は、併用処置除去後10日間で、完全な腫瘍細胞静止または根絶をもたらさなかった。効果は、薬剤のない延長された期間のインキュベーション後により明らかであって、イマチニブでは約10~15のコロニーが視認されて、化合物Aではコロニー増殖は観察されなかった。
【0223】
図10Bは、代表的培養プレートの画像、および様々な処置から計数したGIST-T1/D816Eのコロニー数のグラフ表示を示す。単剤としてのイマチニブ(500nM)および化合物A(100nMまたは250nM)の各々は、ビヒクル対照の約60~95%であるコロニー増殖を伴い、GIST T1/D816Eの細胞破壊的な効能の欠如を示すということに留意されたい(
図10B)。化合物A(100nMまたは250nM)およびビニメチニブ(500nM、1uM、2uMまたは3uM)との2週間の併用処置を評価した。化合物A(100nMまたは250nM)のビニメチニブ(3uM)との併用により、回復の10日後に、5倍での実体的顕微鏡検査により視覚化されるような検出限界までの、GIST-T1/D816E細胞における完全な細胞静止またはコロニー増殖の根絶が導かれ(
図10Bの矢印を参照)、一方で、イマチニブ(500nM)およびビニメチニブ(500nM、1uM、2uMまたは3uM)による2週間の併用処置では、完全な細胞静止または腫瘍細胞の根絶は導かれなかった。効果は、延長された期間のインキュベーション後により明らかであり、イマチニブによる処置では完全な阻害は導かれず、一方で、化合物Aでは、20日後であっても、細胞静止または細胞死滅が維持された。
【0224】
図10Cは、代表的培養プレートの画像、および様々な処置から計数したGIST-T1/T670I)のコロニー数のグラフ表示を示す。単剤としてのイマチニブ(500nM)はコロニーの減少を何も示さず、一方で、単剤としての化合物A(100nMまたは250nM)は、ビヒクル対照の約78~89%までコロニー増殖の用量依存的減少を示すということに留意されたい。1uM、2uMまたは3uMのビニメチニブと組み合わせた250nMの化合物Aによる2週間の処置により、5倍での実体的顕微鏡検査により視覚化されるような検出限界までの、完全な細胞静止またはGIST T1/T670Iコロニー増殖の根絶を導き、併用処置除去後10日間でコロニーは検出されなかった(
図10Cの矢印で示す)。3uMのビニメチニブと組み合わせた100nMの化合物Aによる2週間の処置により、5倍での実体的顕微鏡検査により視覚化されるような検出限界までの、完全な細胞静止またはGIST T1/T670Iコロニー増殖の根絶を導き、併用処置除去後10日間でコロニーは検出されなかった(
図10Cの矢印で示す)。細胞静止は、薬剤除去後の延長された20日の期間後であっても維持された。対照的に、500nMのイマチニブによる500nM、1uM、2uMまたは3uMのいずれかのビニメチニブと組み合わせた2週間の処置は、併用処置除去後10日間で、完全な腫瘍細胞の静止または腫瘍細胞の根絶を導かなかった。
【0225】
実施例18.化合物Bのビニメチニブとの併用処置が、GIST-T1、GIST-T1/D816EおよびGIST-T1/T670Iのイマチニブ耐性細胞におけるコロニー増殖を予防する
〔00225〕化合物Bおよびビニメチニブの併用処置が、実施例15に説明されているよ
うに3種のGIST細胞株におけるコロニー増殖を予防することを実証するために、試験を実施した。
【0226】
図11Aは、代表的培養プレートの画像、および様々な処置から計数したGIST-T1のコロニー数のグラフ表示を示す。単剤としての各濃度の化合物Bは、ビヒクル対照の27~31%のまでのGIST T1コロニー増殖のほぼ同様の減少を示すということに留意されたい。250nMの化合物Bおよび2uMまたは3uMのビニメチニブによる2
週間の併用処置により、5倍での実体的顕微鏡検査により視覚化されるような検出限界までの、完全な細胞静止またはGIST T1コロニー増殖の根絶を導き、併用処置除去後10日間でコロニーは検出されず(
図11Aの矢印で示す)、また20日の延長された長期の回復期間の後であってもGIST-T1細胞の有意な細胞静止または細胞死滅は維持された(
図11Aの上方右パネル)。100nMの化合物Bおよび3uMのビニメチニブによる2週間の併用処置により、5倍での実体的顕微鏡検査により視覚化されるような検出限界までの、完全な細胞静止またはGIST T1コロニー増殖の根絶を導き、併用処置除去後10日間でコロニーは検出されなかった(
図11Aの矢印で示す)。
【0227】
図11Bは、代表的培養プレートの画像、および様々な処置から計数したGIST-T1/D816Eのコロニー数のグラフ表示を示す。単剤としての化合物B(100nMまたは250nM)は、ビヒクル対照の約74~83%のコロニー増殖を伴い、GIST T1/D816Eの細胞破壊的な効能のほぼ同様の欠如を示すということに留意されたい(
図11B)。100nMまたは250nMの化合物Bおよび2uMまたは3uMのいずれかのビニメチニブによる2週間の併用処置におより、回復の10日後に、5倍での実体的顕微鏡検査により視覚化されるような検出限界までの、GIST-T1/D816E細胞における完全な細胞静止またはコロニー増殖の根絶を導いた(
図11Bの矢印を参照)。細胞静止は、より高い濃度の化合物Bで、延長された20日の期間後であっても維持された。
【0228】
図11Cは、代表的培養プレートの画像、および様々な処置から計数したGIST-T1/T670Iのコロニー数のグラフ表示を示す。単剤としての化合物B(100nMまたは250nM)は、ビヒクル対照の約72~78%までのGIST T1/T670Iコロニー増殖の減少を示したことに留意されたい。100nMまたは250nMのいずれかの化合物Bおよび3uMのビニメチニブによる2週間の処置により、予期せずに、5倍での実体的顕微鏡検査により視覚化されるような検出限界までの、完全な細胞静止またはGIST T1/T670Iコロニー増殖の根絶を導き、併用処置除去後10日間でコロニーは検出されなかった(
図11Cの矢印で示す)。250nMの化合物Bおよび2uMのビニメチニブによる2週間の処置により、予期せずに、5倍での実体的顕微鏡検査により視覚化されるような検出限界までの、完全な細胞静止またはGIST T1/T670Iコロニー増殖の根絶を導き、併用処置除去後10日間でコロニーは検出されなかった(
図11Cの矢印で示す)。細胞静止は、薬剤除去後の延長された20日の期間後であっても維持された。
【0229】
実施例19.化合物Aのコビメチニブとの併用処置が、GIST-T1、GIST-T1/D816EおよびGIST-T1/T670Iのイマチニブ耐性細胞におけるコロニー増殖を予防する
化合物Aおよびコビメチニブの併用処置が、実施例15に説明されているように3種のGIST細胞株におけるコロニー増殖を予防することを実証するために、試験を実施した。
【0230】
〔00230〕
図12Aは、代表的培養プレートの画像、および様々な処置から計数したG
IST-T1のコロニー数のグラフ表示を示す。単剤としてのイマチニブおよび化合物Aの各々は、ビヒクル対照の18~23%までのGIST T1コロニー増殖のほぼ同様の減少を示すということに留意されたい。250nMの化合物Aおよび100nM、200nMまたは500nMのいずれかのコビメチニブによる2週間の併用処置により、5倍での実体的顕微鏡検査により視覚化されるような検出限界までの、完全な細胞静止またはGIST T1コロニー増殖の根絶を導き、併用処置除去後10日間でコロニーは検出されなかった(
図12Aの矢印で示す)。100nMの化合物Aおよび500nMのコビメチニブによる2週間の併用処置により、5倍での実体的顕微鏡検査により視覚化されるよう
な検出限界までの、完全な細胞静止またはGIST T1コロニー増殖の根絶を導き、併用処置除去後10日間でコロニーは検出されなかった(
図12Aの矢印で示す)。対照的に、500nMのイマチニブおよび100nM、200nMまたは500nMのコビメチニブによる2週間の併用処置では、併用処置除去後10日間で、完全な腫瘍細胞静止または根絶を導かなかった。
【0231】
効果は、延長された期間のインキュベーション後により明らかであり、500nMのイマチニブで約10~15のコロニーが増殖し、また500nMの化合物Aおよび500nMのコビメチニブではコロニーの増殖は観察されなかった。
【0232】
図12Bは、代表的培養プレートの画像、および様々な処置から計数したGIST-T1/D816Eのコロニー数のグラフ表示を示す。単剤としてのイマチニブ(500nM)および化合物A(100nMまたは250nM)の各々は、ビヒクル対照の約65~74%のコロニー増殖を伴い、GIST T1/D816Eの細胞破壊的な効能のほぼ同様の欠如を示すということに留意されたい(
図12B)。化合物A(250nM)およびコビメチニブ(100nM、200nMまたは500nM)による2週間の併用処置により、回復の10日後に、5倍での実体的顕微鏡検査により視覚化されるような検出限界までの、GIST-T1/D816E細胞における完全な細胞静止またはコロニー増殖の根絶が導かれ(
図12Bの矢印を参照)、一方で、イマチニブ(500nM)およびコビメチニブ(100nM、200nMまたは500nM)による2週間の併用処置では、完全な細胞静止または腫瘍細胞の根絶は導かれなかった。効果は、延長された期間のインキュベーション後により明らかであり、イマチニブによる処置では完全な阻害は導かれず、一方で、化合物Aでは、薬剤の除去後20日後であっても、有意な細胞静止または細胞死滅の維持が見られた。
【0233】
図12Cは、代表的培養プレートの画像、および様々な処置から計数したGIST-T1/T670Iのコロニー数のグラフ表示を示す。50nMまたは100nMのいずれかの化合物Aの、コビメチニブ(200nMまたは500nM)と組み合わせた2週間の処置により、予期せずに、5倍での実体的顕微鏡検査により視覚化されるようなGIST T1/T670Iコロニー増殖の>99%の阻害が導かれた(
図12Cの矢印で示す)。細胞静止は、薬剤除去後の延長された20日の期間後であっても維持された。対照的に、500nMのイマチニブによる最大500nMのコビメチニブと組み合わせた2週間の処置は、併用処置除去後10日間で、頑健な細胞の静止または細胞の根絶を導かなかった。
【0234】
実施例20.化合物Bのコビメチニブとの併用処置が、GIST-T1、GIST-T1/D816EおよびGIST-T1/T670Iのイマチニブ耐性細胞におけるコロニー増殖を予防する
化合物Bおよびコビメチニブの併用処置が、実施例15に説明されているように3種のGIST細胞株におけるコロニー増殖を予防することを実証するために、試験を実施した。
【0235】
〔00235〕
図13Aは、代表的培養プレートの画像、および様々な処置から計数したG
IST-T1のコロニー数のグラフ表示を示す。単剤としての化合物Bは、ビヒクル対照の42~54%までのGIST T1コロニー増殖のほぼ同様の減少を示すということに留意されたい。50nM、100nMまたは250nMの化合物Bおよび200nMまたは500nMのいずれかのコビメチニブによる2週間の併用処置により、5倍での実体的顕微鏡検査により視覚化されるような検出限界までの、完全なもしくはほぼ完全な細胞静止またはGIST T1コロニー増殖の根絶を導き、併用処置除去後10日間でコロニーは検出されなかった(
図13Aの矢印で示す)。100nMまたは250nMの化合物Bおよび200nMまたは500nMのいずれかのコビメチニブによる2週間の併用処置に
より、20日の延長された長期の回復期間後であっても、GIST-T1細胞の有意な細胞静止または細胞死滅が維持された。
【0236】
図13Bは、代表的培養プレートの画像、および様々な処置から計数したGIST-T1/D816Eのコロニー数のグラフ表示を示す。単剤としての化合物B(100nMまたは250nM)が、ビヒクル対照の約58~84%のコロニー増殖を伴い、GIST T1/D816Eの細胞破壊的な効能が欠如していることを示すということに留意されたい(
図13B)。50nM、100nMまたは250nMの化合物Bおよび200nMまたは500nMのいずれかのコビメチニブによる2週間の併用処置により、10日の回復後に、5倍での実体的顕微鏡検査により視覚化されるようなGIST-T1/D816E細胞におけるコロニー増殖の>90の阻害を導いた(
図13Bの矢印を参照)。細胞静止は、より高い濃度での化合物Bで、20日の延長された期間の後であっても有意に維持された。
【0237】
図13Cは、代表的培養プレートの画像、および様々な処置から計数したGIST-T1/T670Iのコロニー数のグラフ表示を示す。単剤としての化合物B(100nMまたは250nM)は、ビヒクル対照の約75~78%までのGIST T1/T670Iコロニー増殖の減少を示したことに留意されたい。50nM、100nMまたは250nMのいずれかの化合物Bおよび200nMまたは500nMのコビメチニブによる2週間の処置により、5倍での実体的顕微鏡検査により視覚化されるような検出限界までの、完全な細胞静止またはGIST T1/T670Iコロニー増殖の根絶を導き、併用処置除去後10日間でコロニーは検出されなかった(
図13Cの矢印で示す)。細胞静止は、薬剤除去後の延長された20日の期間後であっても維持された。
【0238】
実施例21.化合物Aのウリキセルチニブとの併用処置が、GIST-T1、GIST-T1/D816EおよびGIST-T1/T670Iのイマチニブ耐性細胞におけるコロニー増殖を予防する
化合物Aおよびウリキセルチニブの併用処置が、実施例15に説明されているように3種のGIST細胞株におけるコロニー増殖を予防することを実証するために、試験を実施した。
【0239】
図14Aは、代表的培養プレートの画像、および様々な処置から計数したGIST-T1のコロニー数のグラフ表示を示す。単剤としての化合物Aは、ビヒクル対照の37~41%までのGIST T1コロニー増殖のほぼ同様の減少を示すということに留意されたい。50nM、100nMまたは250nMの 化合物Aおよび1uM、2uMまたは3uMのいずれかのウリキセルチニブによる2週間の併用処置により、5倍での実体的顕微鏡検査により視覚化されるようなGIST T1コロニー増殖の顕著な減少が導かれた(
図14Aの矢印に示す)。
【0240】
〔00240〕
図14Bは、代表的培養プレートの画像、および様々な処置から計数したG
IST-T1/D816Eのコロニー数のグラフ表示を示す。単剤としての化合物A(50nM、100nMまたは250nM)は、ビヒクル対照の約81~93%のコロニー増殖を伴い、GIST T1/D816Eの細胞破壊的な効能のほぼ同様の欠如を示すということに留意されたい(
図14B)。化合物A(250nM)およびウリキセルチニブ(2uMまたは3uM)による2週間の併用処置が、回復の10日後に、5倍での実体的顕微鏡検査により視覚化されるような検出限界までの、GIST-T1/D816E細胞における完全な細胞静止またはコロニー増殖の根絶を導いた(
図14Bの矢印を参照)。
【0241】
図14Cは、代表的培養プレートの画像、および様々な処置から計数したGIST-T1/T670Iのコロニー数のグラフ表示を示す。100nMまたは250nMのいずれ
かの化合物Aおよびウリキセルチニブ(2uMまたは3uM)による2週間の処置により、予期せずに、5倍での実体的顕微鏡検査により視覚化されるような検出限界までの、完全な細胞静止またはGIST T1/T670Iコロニー増殖の根絶を導き、併用処置除去後10日間でコロニーは検出されなかった(
図14Cの矢印で示す)。細胞静止は、薬剤除去後の延長された20日の期間後であっても維持された。
【0242】
実施例22.化合物Bのウリキセルチニブとの併用処置が、GIST-T1/D816Eのイマチニブ耐性細胞におけるコロニー増殖を予防する
図15は、代表的培養プレートの画像、および様々な処置から計数したGIST-T1/D816Eのコロニー数のグラフ表示を示す。単剤としての化合物B(50nM、100nMまたは250nM)は、ビヒクル対照の約52~95%のコロニー増殖を伴い、GIST T1/D816Eの細胞破壊的な効能のほぼ同様の欠如を示すということに留意されたい(
図15)。化合物B(250nM)およびウリキセルチニブ(3uM)による2週間の併用処置により、5倍での実体的顕微鏡検査により視覚化されるような検出限界までの、完全な細胞静止またはGIST T1/D816Eコロニー増殖の根絶を導き、併用処置除去後10日間でコロニーは検出されなかった(
図15の矢印で示す)。
【0243】
実施例23.化合物AおよびERK阻害剤SCH772984の併用処置が、GIST-T1/D816Eのイマチニブ耐性細胞におけるコロニー増殖を予防する
実施例15に概説したプロトコルを用いて、GIST-T1、GIST-T1/T670IおよびGIST-T1/D816Eのイマチニブ耐性細胞におけるコロニーの増殖を予防する際に、化合物AおよびSCH772984の併用に関して相乗作用を示すことができる。
【0244】
実施例24.化合物BおよびERK阻害剤SCH772984の併用処置が、GIST-T1/D816Eのイマチニブ耐性細胞におけるコロニー増殖を予防する
実施例15に概説したプロトコルを用いて、GIST-T1、GIST-T1/T670IおよびGIST-T1/D816Eのイマチニブ耐性細胞におけるコロニーの増殖を予防する際に、化合物BおよびSCH772984の併用に関して相乗作用を示すことができる。
【0245】
実施例25.化合物AおよびRAF阻害剤LY3009120の併用処置が、GIST-T1/D816Eのイマチニブ耐性細胞におけるコロニー増殖を予防する
〔00245〕実施例15に概説したプロトコルを用いて、GIST-T1、GIST-T
1/T670IおよびGIST-T1/D816Eのイマチニブ耐性細胞におけるコロニーの増殖を予防する際に、化合物AおよびLY3009120の併用に関して相乗作用を示すことができる。
【0246】
実施例26.化合物BおよびRAF阻害剤LY3009120の併用処置が、GIST-T1/D816Eのイマチニブ耐性細胞におけるコロニー増殖を予防する
実施例15に概説したプロトコルを用いて、GIST-T1、GIST-T1/T670IおよびGIST-T1/D816Eのイマチニブ耐性細胞におけるコロニーの増殖を予防する際に、化合物BおよびLY3009120の併用に関して相乗作用を示すことができる。
【0247】
実施例27.化合物AおよびRAF阻害剤ダブラフェニブの併用処置が、GIST-T1/D816Eのイマチニブ耐性細胞におけるコロニー増殖を予防する
実施例15に概説したプロトコルを用いて、GIST-T1、GIST-T1/T670IおよびGIST-T1/D816Eのイマチニブ耐性細胞におけるコロニーの増殖を予防する際に、化合物Aおよびダブラフェニブの併用に関して相乗作用を示すことができ
る。
【0248】
実施例28.化合物BおよびRAF阻害剤ダブラフェニブの併用処置が、GIST-T1/D816Eのイマチニブ耐性細胞におけるコロニー増殖を予防する
実施例15に概説したプロトコルを用いて、GIST-T1、GIST-T1/T670IおよびGIST-T1/D816Eのイマチニブ耐性細胞におけるコロニーの増殖を予防する際に、化合物Bおよびダブラフェニブの併用に関して相乗作用を示すことができる。
【0249】
実施例29.併用処置が、N-ras G12Dを形質移入したGIST-T1細胞におけるアポトーシスを誘発する
化合物Aおよびトラメチニブの併用処置が、空のベクター対照(EV)および突然変異体N-ras G12Dを形質移入したGIST-T1細胞におけるアポトーシスを誘発することを実証する試験を実施した。ベクター対照またはN-ras G12Dを形質移入したGIST-T1細胞に関して、ウェル当たり10,000個の細胞を播種した96ウェルプレートでアッセイを行った。細胞を様々な濃度で、ビヒクル対照、化合物A、トラメチニブ、またはその組合せで処置し、細胞を48時間増殖させた。アポトーシスは、カスパーゼ3/7活性を測定することにより評価した。
【0250】
〔00250〕
図16Aは、様々な処置後のカスパーゼ活性測定のグラフ表示を提供する。
50nMの化合物Aおよびトラメチニブ(50nMまたは100nM)による48時間の併用処置により、単剤の化合物Aまたはトラメチニブのいずれかで処置された細胞と比較して、突然変異体N-ras G12Dを形質移入したGIST-T1細胞におけるアポトーシスの増加を誘発した。
【0251】
実施例30.併用処置が、N-ras G12Dを形質移入したGIST-T1細胞におけるコロニー増殖を予防する
化合物Aおよびトラメチニブの併用処置が、空のベクター対照および突然変異体N-ras G12Dを形質移入したGIST-T1細胞における耐性コロニー増殖を予防することを実証する試験を実施した。ウェル当たり100個の細胞を播種した6ウェルプレートでアッセイを行った。細胞を、ビヒクル対照、50nMの化合物A、50nMまたは100nMのトラメチニブ、またはその組合せにより処置し、細胞を2週間培養した。同じ実験で、細胞をビヒクル対照、100nMのイマチニブ、50nMまたは100nMのトラメチニブ、またはその組合せで処置した。2週間後、薬剤を洗浄し、細胞を通常培地で1~3週間培養した。コロニーをクリスタルバイオレットで染色し、計数した。
【0252】
図16Bは、代表的培養プレートの画像を示し、また
図16Cは、様々な処置後に計数されたベクター対照(
図16B.1)および突然変異体N-ras G12D(
図16B.2)を形質移入したGIST-T1コロニーの数のグラフ表示を示す。ベクター対照およびN-ras G12Dを形質移入したGIST T-1細胞におけるコロニー増殖の定量化を
図16C.1および
図16C.2にそれぞれ示す。100nMのイマチニブおよび50nMトラメチニブによる併用処置により、コロニーの増殖が生じ(ビヒクル対照の35%)、また100nMのイマチニブの100nMのトラメチニブとの併用でも、コロニー増殖が生じた(ビヒクルの19%)。対照的に、トラメチニブとの化合物Aの併用によって、予期せずに、イマチニブとの併用と比較して、優れた細胞静止または細胞死滅が生じた。50nMの化合物Aおよび50nMのトラメチニブによる2週間の併用処置により、ほぼ完全な細胞静止または細胞死滅を導き(ビヒクル対照の2%)、また50nMの化合物Aの100nMのトラメチニブとの併用が、10日の薬物洗浄および回復の後で、5倍での実体的顕微鏡検査により視覚化されるような検出限界までの、完全(ビヒクル対照のコロニー増殖の0%)な細胞静止または細胞死滅を導いた(
図16C.2の矢印を参
照)。
【0253】
図16Dは、延長した薬剤を含まない回復期間の後に計数された突然変異体N-ras
G12Dを形質移入したGIST-T1コロニーの数の代表的培養プレートの画像を示す。100nMの化合物Aおよび50nMまたは100nMのトラメチニブによる2週間の併用処置により、21日の延長された長期回復期間の後に、N-ras G12Dを形質移入したGIST-T1細胞におけるコロニー増殖のほぼ完全な阻害を導いた。
【0254】
実施例32.併用処置が、薬剤耐性GIST細胞のコロニー増殖を予防する
発癌性KIT V560D突然変異体により形質移入したBa/F3細胞において、飽和突然変異誘発試験を行った。18時間にわたり、N-エチル-N-ニトロソ尿素(ENU)でDNAニッキングを誘発し、ランダムにKIT遺伝子または他の遺伝子において追加的な突然変異を生成した。ウェル当たり100個の細胞を播種した6ウェルプレートでアッセイを行った。ENUの洗浄後、ウェルを、10nMのトラメチニブ、25nMもしくは100nMもしくは250nMの化合物A、または25nM、100nM、もしくは250nMの化合物Aの10nMのトラメチニブとの併用と組み合わせた100nMまたは250nMまたは500nMのイマチニブ、100nMまたは250nMまたは500nMのイマチニブと共にインキュベートした。薬剤処置に対する耐性を示すウェルは、Ba/F3細胞の増殖を示した。これら細胞をPCRおよびKIT遺伝子のシーケンシングにかけて、ENU処置により誘発された耐性二次突然変異の存在を判断した。
【0255】
〔00255〕
図17Aは、イマチニブに対して耐性を示すBa/F3コロニーの増殖を示
すグラフ表示である。T670I、K807E、および/またはD816Vのイマチニブ耐性のKIT二次突然変異体は、単剤としての100nM、250nM、または500nMのイマチニブに曝露されたBa/F3細胞中のゲノムDNAのPCRおよびDNAシーケンシングによって特定された(
図17A、左パネル)。
図17A(右パネル)は、化合物Aを用いたBa/F3細胞の飽和突然変異誘発試験のグラフ表示である。25nM、100nMまたは250nMの化合物Aでの単剤処置は、PCRおよびDNAシーケンシングによって決定されるような新しい耐性二次突然変異の増殖を何も導かなかった。元のV560D(親)KIT突然変異体を含有するBa/F3細胞のみが、化合物Aへの曝露後に増殖することを示し、おそらく、KIT以外の遺伝子での突然変異を反映している(
図17A、右パネル)。
図17Bは、トラメチニブの存在下でのイマチニブまたはトラメチニブの存在下での化合物Aでの、Ba/F3細胞コロニー増殖を示すグラフ表示である。10nMのトラメチニブとの250nMまたは500nMのイマチニブの併用では、新しい耐性二次突然変異の増殖を何も導かなかったが、元のKIT V560D(親)細胞の増殖は導き、おそらくKIT以外の遺伝子における突然変異を反映している(
図17B、左パネル)。有意には、トラメチニブとのイマチニブの併用試験と対照的に、10nMのトラメチニブとの25、100、または250nMの化合物Aの併用が、任意のウェルの目視検査により決定されるような検出限界までの細胞増殖を何も伴わない、完全な細胞静止または細胞死滅を導いた(
図17B、右パネル)。
【0256】
実施例33.トラメチニブと組み合わせた化合物Aのインビボ異種移植試験
GIST T1異種移植モデルは、米国国立衛生研究所(NIH)のすべての法律、規制およびガイドライン、MI BioresearchのAnimal Care AND Use Committee(米国ミシガン州アナーバー)の承認、AAALAC認定施設の承認に従って実施された。すべてのマウスは、随意に食餌および水を与えた。すべてのマウスは、少なくとも1日1回臨床徴候について観察した。Envigo社の雌ヌードマウス(HsdCrl:無胸腺ヌード-NU-Foxn1nu、6~7週齢)の右腋窩のすぐ下に、同量のマトリゲルを混合したダルベッコリン酸緩衝生理食塩水中の500万個の細胞を、27ゲージ針およびシリンジで皮下接種した。腫瘍量が10日平均117
mm3に達したとき、マウスは無作為に各群に割り当てられ、すべての群の平均腫瘍量が、試験母集団に対して全体の平均腫瘍量の10%以内となるようにした。群は、10~27日目に以下の処置を行った:ビヒクル対照の食餌(n=10);化合物Aを、化合物Aが約100mg/kg/日を達成するようにマウスの食餌に処方した(n=10);または化合物Aを、化合物Aが約25mg/kg/日を達成するようにマウスの食餌に処方した(n=10)、トラメチニブを0.5mg/kg BIDで経口投与して、ビヒクル対照の食餌を与えた(n=10)、トラメチニブを0.5mg/kg BIDで経口投与して、化合物Aを処方した食餌を与えた(約100mg/kg/日の化合物Aでの処置を達成する)(n=10)、または、トラメチニブを0.5mg/kg BIDで経口投与し、化合物Aを処方した食餌を与えた(約25mg/kg/日の化合物Aでの処置を達成する(n=10)。27日目に、全ての動物を対照の食餌にし、腫瘍再増殖を観察した。腫瘍体積および体重は、週に3回測定した。腫瘍量(mg)は、式:腫瘍量(mg=mm3)=(長さ×幅2)/2によるカリパス測定から推定された。
【0257】
図18Aおよび18Bは、ビヒクル対照と比較して腫瘍増殖の阻害を示すグラフ表示である。
図18Bは、
図18Aと同じデータであるが、化合物Aまたは化合物A/トラメチニブで処理したコホートの間での相違を示すために拡大した。トラメチニブを用いた処置は、ビヒクル対照と比較してわずかな腫瘍増殖阻害を導いた。高用量の化合物A(約100mg/kg/日)では、6/10匹のマウスが完全腫瘍後退となり、残りの4/10匹のマウスは投与期間中に部分的に腫瘍後退となった。低用量の化合物A(約25mg/kg/日)では、2/10匹のマウスが完全な腫瘍後退となり、6/10匹は部分的に腫瘍後退となった。トラメチニブと組み合わせた高用量の化合物A(約100mg/kg/日)では、10/10匹のマウスが、投与期間中に完全な腫瘍後退となった。トラメチニブと組み合わせた低用量の化合物A(約25mg/kg/日)では、5/10匹のマウスが完全な腫瘍後退となり、また5/10匹は部分的に腫瘍後退となった。さらに、投与期間の後、化合物Aで処置されたすべてのコホートは、ビヒクル対照の最初の腫瘍増殖よりも遅い腫瘍再増殖となり、66日目の試験終了までの腫瘍細胞増殖に対する長期的な効果を示している。高用量の化合物A(約100mg/kg/日)では、1/10匹のマウスは試験終了時に部分的な腫瘍後退のままであった。低用量の化合物A(約25mg/kg/日)では、2/10匹のマウスは試験終了時に部分的な腫瘍後退のままであった。トラメチニブと組み合わせた高用量の化合物A(約100mg/kg/日)では、1/10匹のマウスは完全腫瘍後退のままであり、また4/10匹のマウスは、試験終了時に部分的な腫瘍後退のままであった。トラメチニブと組み合わせた低用量の化合物A(約25mg/kg/日)では、2/10匹のマウスは試験終了時に部分的な腫瘍後退のままであった。これらデータは、化合物Aとトラメチニブとの併用が細胞死を誘発し、および/または、投与後少なくとも40日間の長い細胞静止を完成することを示している。
【0258】
実施例34.化合物Aは、BCRP排出トランスポーターの強力な阻害剤である
化合物AでのBCRP薬物排出トランスポーターの阻害を調べるために、低浸透性プローブ基質およびATP存在下でBCRP発現細胞で調製されたインサイドアウト膜小胞を用いて、小胞輸送阻害アッセイを行った。プローブ基質のトランスポーター含有小胞への取り込みを改変する化合物Aの可能性が測定された。
【0259】
ヒトの排出トランスポーターBCRPによる化合物Aのインビトロ相互作用ポテンシャルを、小胞輸送阻害アッセイで、7つの濃度で調査した。化合物AはBCRPのプローブ基質の輸送を有効に阻害し、ここで試験された最低濃度(0.04μM)において、44%の阻害が観察された。IC50値はおよそ0.04μMであると推定された。
【0260】
均等物
〔00260〕当業者であれば、本開示に具体的に記載される特定の実施形態に対する多数
の均等を、通例の実験程度のものにより、認識することができ、または確認することができるであろう。かかる均等物は、以下の特許請求の範囲に包含されることが意図される。
前記耐性二次突然変異は、イマチニブ、スニチニブもしくはレゴラフェニブ、またはその薬学的に許容可能な塩の、患者への先の投与後に取得された、請求項3または4のいずれか一項に記載の医薬。
腫瘍がc-KIT二次突然変異を伴うかどうかを判断することは、血中腫瘍DNAにおける突然変異を特定することを含む、請求項3から6のいずれか一項に記載の医薬。
腫瘍は、肺腺癌、肺扁平上皮癌、グリア芽腫、小児グリオーマ、星状細胞腫、肉腫、消化管間質腫瘍(GIST)、およびメラノーマからなる群から選択される、請求項1から8のいずれか一項に記載の医薬。
前記1-[4-ブロモ-5-[1-エチル-7-(メチルアミノ)-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-1,6-ナフチリジン-3-イル]-2-フルオロフェニル]-3-フェニル尿素、またはその薬学的に許容可能な塩と、MAPKAPキナーゼ阻害剤とが、実質的に同時に、または連続的に投与される、請求項1から13のいずれか一項に記載の医薬。