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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024124930
(43)【公開日】2024-09-13
(54)【発明の名称】音響デバイス
(51)【国際特許分類】
   H04R 17/00 20060101AFI20240906BHJP
   G10K 9/122 20060101ALI20240906BHJP
【FI】
H04R17/00
G10K9/122 100
G10K9/122 130
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023032924
(22)【出願日】2023-03-03
(71)【出願人】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100124062
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 敬史
(72)【発明者】
【氏名】成田 薫
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 晃
(72)【発明者】
【氏名】木嶋 薫
【テーマコード(参考)】
5D004
【Fターム(参考)】
5D004AA00
5D004AA09
5D004BB01
5D004CC04
5D004DD01
5D004FF07
(57)【要約】
【課題】小型化を図ることできると共に、製造を容易化することができる音響デバイスを提供する。
【解決手段】音響デバイス1は、圧電素子2と、圧電素子2を保持する筐体3と、を備える。筐体3は、圧電素子2が接合された主面5aを有する振動体5と、圧電素子2を囲むように主面5aに接合された枠体6と、を有する。主面5aに直交する方向から見て、枠体6は、主面5aの外縁5cより内側に配置されている。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧電素子と、
前記圧電素子を保持する筐体と、を備え、
前記筐体は、前記圧電素子が接合された主面を有する振動体と、前記圧電素子を囲むように前記主面に接合された枠体と、を有し、
前記主面に直交する方向から見て、前記枠体は、前記主面の外縁より内側に配置されている、
音響デバイス。
【請求項2】
前記圧電素子に接合された端部を有し、前記枠体上を通って前記筐体外まで延在する配線部材を更に備え、
前記枠体は、前記配線部材をカシメ固定する固定部を有している、
請求項1に記載の音響デバイス。
【請求項3】
前記圧電素子と接続された端部を有し、前記枠体上を通って前記筐体外まで延在する配線部材を更に備え、
前記枠体は、前記配線部材が配置される配置面を有し、
前記主面を基準とした前記配置面の高さは、前記主面を基準とした前記圧電素子の高さと同等である、
請求項1に記載の音響デバイス。
【請求項4】
前記筐体は、前記枠体上に配置された緩衝部材を更に備える、
請求項1~3のいずれか一項に記載の音響デバイス。
【請求項5】
前記主面に直交する方向から見て、前記緩衝部材は、前記枠体の外縁のうち前記主面の外縁に沿う部分より内側に配置されている、
請求項4に記載の音響デバイス。
【請求項6】
前記筐体は、外部機器に取り付けられる取付部を有する、
請求項1~3のいずれか一項に記載の音響デバイス。
【請求項7】
前記筐体は、前記枠体上に配置された緩衝部材を更に備え、
前記主面を基準とした前記取付部の高さは、前記主面を基準とした前記緩衝部材の高さよりも低く、前記主面を基準とした前記枠体の高さよりも高い、
請求項6に記載の音響デバイス。
【請求項8】
前記主面は、矩形状を呈し、互いに対辺をなす第一辺及び第二辺と、互いに対辺をなす第三辺及び第四辺を有し、
前記枠体は、前記第一辺、前記第二辺、及び、前記第三辺に沿って延在しており、
前記主面に直交する方向から見て、前記圧電素子は、前記第三辺よりも前記第四辺の近くに配置されている、
請求項1~3のいずれか一項に記載の音響デバイス。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、音響デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
圧電素子と、圧電素子が接合された振動体と、圧電素子及び振動体を収容する筐体とを備える音響デバイスが知られている(たとえば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-61001号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示の一態様は、小型化を図ることできると共に、製造を容易化することができる音響デバイスを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様に係る音響デバイスは、圧電素子と、圧電素子を保持する筐体と、を備え、筐体は、圧電素子が接合された主面を有する振動体と、圧電素子を囲むように主面に接合された枠体と、を有し、主面に直交する方向から見て、枠体は、主面の外縁より内側に配置されている。
【0006】
上記音響デバイスでは、振動体が筐体を兼ねた設計のため、小型化を図ることができる。枠体は、振動体の主面の外縁より内側に配置されているので、振動体上に枠体を積層し、筐体を形成する際に、振動体と枠体との位置決めが容易である。よって、製造を容易化することができる。
【0007】
上記音響デバイスは、圧電素子に接合された端部を有し、枠体上を通って筐体外まで延在する配線部材を更に備え、枠体は、配線部材をカシメ固定する固定部を有してもよい。この場合、配線部材が固定部により固定されているので、圧電素子に接合された配線部材の端部に応力がかかり難い。よって、配線部材と圧電素子との接続が保たれ易い。
【0008】
上記音響デバイスは、圧電素子と接続された端部を有し、枠体上を通って筐体外まで延在する配線部材を更に備え、枠体は、配線部材が配置される配置面を有し、主面を基準とした配置面の高さは、主面を基準とした圧電素子の高さと同等であってもよい。この場合、圧電素子及び配置面上において配線部材をフラットに保つことができるので、圧電素子に接合された配線部材の端部に応力がかかり難い。よって、配線部材と圧電素子との接続が保たれ易い。
【0009】
筐体は、枠体上に配置された緩衝部材を更に備えてもよい。この場合、緩衝部材が外部機器と接触するように、音響デバイスを外部機器に取り付けることができる。よって、音響デバイスと外部機器との間に隙間が生じ難い。
【0010】
主面に直交する方向から見て、緩衝部材は、枠体の外縁のうち主面の外縁に沿う部分より内側に配置されていてもよい。この場合、枠体上に緩衝部材を積層する際に、枠体と緩衝部材との位置決めが容易である。よって、製造を容易化することができる。
【0011】
筐体は、外部機器に取り付けられる取付部を有してもよい。この場合、音響デバイスを外部機器に容易に取り付けることができる。
【0012】
筐体は、枠体上に配置された緩衝部材を更に備え、主面を基準とした取付部の高さは、主面を基準とした緩衝部材の高さよりも低く、主面を基準とした枠体の高さよりも高くてもよい。この場合、主面を基準とした取付部の高さは、主面を基準とした緩衝部材の高さよりも低いので、音響デバイスを外部機器に取り付けたときに、音響デバイスと外部機器との間に隙間が生じ難い。また、主面を基準とした取付部の高さは、主面を基準とした枠体の高さよりも高いので、音響デバイスを外部機器に取り付けたときに、枠体が撓むことが抑制される。
【0013】
主面は、矩形状を呈し、互いに対辺をなす第一辺及び第二辺と、互いに対辺をなす第三辺及び第四辺を有し、枠体は、第一辺、第二辺、及び、第三辺に沿って延在しており、主面に直交する方向から見て、圧電素子は、第三辺よりも第四辺の近くに配置されていてもよい。この場合、放音口を構成する第四辺の近くに圧電素子が配置されているので、高音特性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の一態様によれば、小型化を図ることできると共に、製造を容易化することができる音響デバイスが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、実施形態に係る音響デバイスを示す斜視図である。
図2図2は、図1の音響デバイスの分解斜視図である。
図3図3は、圧電素子を示す斜視図である。
図4図4は、音響デバイスを示す上面図である。
図5図5は、図1のV-V線に沿っての断面図である。
図6図6は、緩衝部材を取り付ける前の状態を示す斜視図である。
図7図7は、図1のVII-VII線に沿っての断面図である。
図8図8は、図7の一部拡大図である。
図9図9は、配線部材を示す上面図である。
図10図10は、導体層の第一導体部を拡大して示す上面図である。
図11図11は、外部電極、接合部材、及び導体層の関係を示す上面図である。
図12図12は、第一変形例に係る第一導体部を拡大して示す上面図である。
図13図13は、第二変形例に係る第一導体部について説明するための上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面を参照して、実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明において同一又は相当要素には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0017】
図1は、実施形態に係る音響デバイスを示す斜視図である。図2は、図1の音響デバイスの分解斜視図である。図1及び図2に示されるように、実施形態に係る音響デバイス1は、圧電素子2と、筐体3と、配線部材4と、を備える。音響デバイス1は、たとえば、スピーカやブザーとして用いられる圧電構造体である。音響デバイス1は、外部機器(不図示)に取り付けて用いられる。
【0018】
図3は、圧電素子を示す斜視図である。圧電素子2は、たとえば、バイモルフ型である。図3に示されるように、圧電素子2は、素体11と、複数の外部電極13,14,15とを備える。本実施形態では、圧電素子2は、三つの外部電極13、14、15を備える。
【0019】
素体11は、直方体形状を呈している。直方体形状には、たとえば、角部および稜線部が面取りされている直方体の形状、および、角部および稜線部が丸められている直方体の形状が含まれる。素体11は、互いに対向している主面11a,11b、互いに対向している一対の側面11c、互いに対向している一対の側面11eを有している。主面11a,11bが対向している方向は、第一方向D1である。第一方向D1は、各主面11a、11bに直交する方向でもある。一対の側面11cが対向している方向は、第二方向D2である。第二方向D2は、各側面11cに直交する方向でもある。一対の側面11eが対向している方向は、第三方向D3である。第三方向D3は、各側面11eに直交する方向でもある。
【0020】
各主面11a,11bは、一対の長辺と一対の短辺とを有する長方形状を呈している。すなわち、圧電素子2(素体11)は、平面視で、一対の長辺と一対の短辺とを有する長方形状を呈している。長方形状には、たとえば、各角が面取りされている形状、および、各角が丸められている形状が含まれる。本実施形態では、主面11a,11bの長辺方向は、第三方向D3と一致する。主面11a,11bの短辺方向は、第二方向D2と一致する。
【0021】
一対の側面11cは、主面11a,11bを連結するように第一方向D1に延在している。一対の側面11cは、第三方向D3にも延在している。一対の側面11eは、主面11a,11bを連結するように第一方向D1に延在している。一対の側面11eは、第二方向D2にも延在している。素体11の第一方向D1での長さは、たとえば、0.49mmである。素体11の第二方向D2での長さは、たとえば、10mmである。素体11の第三方向D3での長さは、たとえば、20mmである。
【0022】
素体11は、第一方向D1において積層された複数の圧電体層を有している。各圧電体層は、圧電材料からなる。各圧電体層は、圧電セラミック材料からなる。圧電セラミック材料には、たとえば、PZT[Pb(Zr、Ti)O]、PT(PbTiO)、PLZT[(Pb、La)(Zr、Ti)O]、又はチタン酸バリウム(BaTiO)が用いられる。各圧電体層は、たとえば、上述した圧電セラミック材料を含むセラミックグリーンシートの焼結体から構成される。実際の素体11では、複数の圧電体層は層間の境界が認識できない程度に一体化されている。
【0023】
外部電極13,14,15は、第三方向D3においてこの順に並んで主面11a上に配置されている。各外部電極13,14,15は、導電性材料からなる。導電性材料には、たとえば、Ag、Pd、Pt、又はAg-Pd合金が用いられる。各外部電極13,14,15は、たとえば、上記導電性材料を含む導電性ペーストの焼結体として構成されている。
【0024】
各外部電極13,14は、第一方向D1から見て、第二方向D2を長辺方向とする長方形状を呈している。長方形状には、たとえば、各角が面取りされている形状、および、各角が丸められている形状が含まれる。本実施形態では、長方形状の各角が丸められている。外部電極15は、第一方向D1から見て、正方形状を呈している。正方形状には、たとえば、各角が面取りされている形状、および、各角が丸められている形状が含まれる。本実施形態では、正方形状の各角が丸められている。
【0025】
筐体3は、図1に示されるように、圧電素子2を保持している。筐体3は、音響デバイス1が取り付けられる外部機器の取付面と共に、圧電素子2を収容する収容空間を画定する。筐体3は、振動体5と、枠体6と、緩衝部材7と、一対の取付部8と、を有する。
【0026】
振動体5は、図1及び図2に示されるように、たとえば、金属材料からなる板状の部材である。振動体5を構成する金属材料として、たとえば、たとえばNi-Fe合金、Ni、黄銅、ステンレス鋼が挙げられる。振動体5上には、圧電素子2が設けられている。振動体5は、圧電素子2の主面11bが接合された主面5aを有している。主面11b及び主面5aは、第一方向D1において互いに対向し、たとえば、接着材や両面テープなどの接合部材(不図示)により互いに接合されている。
【0027】
主面5aは、矩形状を呈している。主面5aは、互いに対辺をなす第一辺S1及び第二辺S2と、互いに対辺をなす第三辺S3及び第四辺S4と、を有している。本実施形態では、主面5aは、長方形状を呈している。第一辺S1及び第二辺S2は、主面5aの短辺を構成している。第三辺S3及び第四辺S4は、主面5aの長辺を構成している。長方形状には、たとえば、各角が面取りされている形状、および、各角が丸められている形状が含まれる。本実施形態では、長方形状の各角が丸められている。本実施形態では、主面5aの長辺方向は、第三方向D3と一致する。主面5aの短辺方向は、第二方向D2と一致する。
【0028】
第一方向D1から見て、圧電素子2は、第三辺S3よりも第四辺S4の近くに配置されている。第一方向D1から見て、圧電素子2は、第一辺S1及び第二辺S2から同等の距離に配置されている。振動体5の第一方向D1での長さは、たとえば、0.3mmである。振動体5の第二方向D2での長さ(各主面5a,5bの短辺の長さ)は、たとえば、22mmである。振動体5の第三方向D3での長さ(各主面5a,5bの長辺の長さ)は、たとえば、32mmである。
【0029】
図4は、音響デバイスを示す上面図である。図4では、配線部材4及び後述の接合部材9の図示が省略されている。枠体6は、たとえば、樹脂材料からなる枠状の部材である。図1及び図4に示されるように、枠体6は、圧電素子2を囲むように振動体5の主面5aに接合されている。枠体6は、圧電素子2から離間している。枠体6は、圧電素子2側を向く内面6aを有している。枠体6は、たとえば、接着材や両面テープなどの接合部材(不図示)により主面5aに接合されている。第一方向D1から見て、枠体6は、主面5aの外縁5cより内側に配置されている。第一方向D1から見て、枠体6は、外縁5cの全周にわたって外縁5cから離間している。
【0030】
枠体6は、主面5aの第一辺S1、第二辺S2、及び、第三辺S3に沿って延在している。枠体6は、第一方向D1を厚さ方向とする板状部材であり、第一方向D1から見てU字状を呈している。枠体6は、一体的に形成された第一辺部21、第二辺部22、及び第三辺部23を有している。第一辺部21は、第一辺S1に沿って延在している。第二辺部22は、第二辺S2に沿って延在している。第三辺部23は、第三辺S3に沿って延在し、第一辺部21の一端部と第二辺部22の一端部とを接続している。
【0031】
第一方向D1から見て、第一辺部21は第一辺S1から離間し、第二辺部22は第二辺S2から離間し、第三辺部23は第三辺S3から離間している。第一方向D1から見て、第一辺部21と第一辺S1との離間距離、第二辺部22と第二辺S2との離間距離、及び、第三辺部23と第三辺S3との離間距離は、たとえば、0mm以上0.5mm以下である。
【0032】
第一辺部21及び第二辺部22は、第三方向D3において互いに対向している。第一辺部21及び第二辺部22は、第三方向D3において圧電素子2を挟んでいる。第一辺部21及び第二辺部22のそれぞれは、圧電素子2の側面11eと対向している。第一方向D1から見て、第一辺部21及び第二辺部22のそれぞれは、第三辺部23から離れるにつれて、幅(第三方向D3の長さ)が短くなるようなテーパ形状を有している。
【0033】
第一方向D1から見て、第一辺部21及び第二辺部22のなす間隔は、第一辺部21及び第二辺部22が第三辺部23から離れるにつれて広がっている。第一辺部21における内面6aは、第一方向D1から見て、第三辺部23から離れるにつれて第一辺S1に近づくように、第二方向D2に対して傾斜している。第二辺部22における内面6aは、第一方向D1から見て、第三辺部23から離れるにつれて第二辺S2に近づくように、第二方向D2に対して傾斜している。
【0034】
第一辺部21及び第二辺部22における内面6aは、第二方向D2に対して平行な領域6bを含んでいる。領域6bにより、内面6aには、切り欠き状の段部が形成されている。領域6bでは、圧電素子2との間隔が一定に保たれている。つまり、内面6aは、領域6bにより、内面6a及び圧電素子2のなす間隔を一定以上に保つことができる。よって、製造時に圧電素子2と枠体6との位置ずれが生じても、圧電素子2と枠体6とが接触し難い。
【0035】
第三辺部23の長さ方向(第三方向D3)の中央部には、凹部24が設けられている。凹部24は、第三辺部23の幅方向(第二方向D2)の全体に設けられている。凹部24の底面は、配線部材4が配置される配置面24aを構成している。配置面24aの第三方向D3における長さは、配線部材4(図1参照)の幅(第三方向D3における長さ)よりも長い。
【0036】
図5は、図1のV-V線に沿っての断面図である。図5に示されるように、振動体5の主面5aを基準とした配置面24aの高さh1は、主面5aを基準とした圧電素子2の高さh2と同等である。このため、配線部材4の姿勢をフラットに保つことができる。ここで、高さh1及び高さh2が同等とは、高さh1及び高さh2の差が±5%以内、好ましくは±3%以内であることを意味する。高さh1は、たとえば、主面5aを基準とした配置面24aの最大高さである。高さh2は、たとえば、主面5aを基準とした圧電素子2の最大高さである。
【0037】
図6は、緩衝部材を取り付ける前の状態を示す斜視図である。図5及び図6に示されるように、枠体6は、配線部材4をカシメ固定する固定部25を有している。固定部25は、配置面24aの第三方向D3の中央部に設けられている。固定部25は、配置面24aから第一方向D1に突出する突起である。固定部25は、第三辺部23と一体的に形成されている。
【0038】
図1及び図4に示されるように、緩衝部材7は、枠体6上に配置されている。緩衝部材7は、たとえば、スポンジなどの発泡材からなる。緩衝部材7は、たとえば、接着材や両面テープなどの接合部材(不図示)により枠体6に接合されている。第一方向D1から見て、緩衝部材7は、枠体6の外縁6cのうち振動体5の外縁5cに沿う外縁部分6dより内側に配置されている。第一方向D1から見て、緩衝部材7は、外縁部分6dの全長にわたって外縁部分6dから離間している。第一方向D1から見て、緩衝部材7と外縁部分6dとの離間距離は、たとえば、0mm以上1mm以下である。
【0039】
一対の取付部8は、枠体6を第三方向D3において挟むように、枠体6の外側に設けられている。一対の取付部8は、第一方向D1を厚さ方向とする板状部材である。一対の取付部8は、たとえば、枠体6と一体的に形成されている。一対の取付部8及び枠体6は、たとえば、樹脂の射出成形により一体的に形成されている。一方の取付部8は、第一辺部21から第三方向D3に突出している。他方の取付部8は、第二辺部22から第三方向D3に突出している。
【0040】
一対の取付部8には、たとえば、第一方向D1にボルトを挿通させるための孔8aが形成されている。一対の取付部8は、たとえば、ボルトにより外部機器に取り付けられる。これにより、音響デバイス1が外部機器に取り付けられる。音響デバイス1は、緩衝部材7が外部機器と接するように外部機器に取り付けられる。
【0041】
図7は、図1のVII-VII線に沿っての断面図である。図7に示されるように、主面5aを基準とした取付部8の高さh3は、主面5aを基準とした緩衝部材7の高さh4よりも低く、主面5aを基準とした枠体6(第一辺部21及び第二辺部22)の高さh5よりも高い。高さh3は、たとえば、主面5aを基準とした取付部8の最大高さである。高さh4は、たとえば、主面5aを基準とした緩衝部材7の最大高さである。高さh5は、たとえば、主面5aを基準とした枠体6の最大高さである。
【0042】
音響デバイス1が外部機器に取り付けられる際、緩衝部材7は枠体6と外部機器とに挟まれて圧縮される。緩衝部材7は、たとえば、高さh5が高さh3と同等になるまで圧縮される。取付部8がストッパーとなるので、高さh5は、高さh3よりは低くならない。
【0043】
図8は、図7の一部拡大図である。図9は、配線部材の一例を示す上面図である。図1図8及び図9に示される配線部材4は、圧電素子2と外部機器とを電気的に接続する部材である。配線部材4は、たとえば、フレキシブルプリント基板(FPC)又はフレキシブルフラットケーブル(FFC)である。配線部材4は、板状、シート状、又は帯状を呈し、第二方向D2に延在している。本実施形態では、第二方向D2は、配線部材4の長さ方向である。配線部材4は、接合部材9により圧電素子2に接合された端部4aを有している。端部4aは、圧電素子2の外部電極13,14,15と電気的に接続されている。
【0044】
配線部材4は、圧電素子2から枠体6上を通って筐体3外まで延在している。配線部材4は、筐体3外において外部機器と電気的に接続されるもう一方の端部4bを有している。配線部材4は、第三辺部23に設けられた配置面24aに配置されている。配線部材4には、第一方向D1から見て、固定部25と重なる位置に貫通孔4cが設けられている。固定部25は、貫通孔4cに挿通された状態で、たとえば、熱カシメによって配線部材4を固定している。
【0045】
配線部材4は、導体層41,42と、ベース43と、カバー44とを有している。図9では、導体層41,42及びカバー44の形状を確認できるように、ベース43が二点破線で示されている。導体層41,42は、たとえば、Cuからなる。導体層41は、外部電極13,14と電気的に接続されている。外部電極13,14は同電位とされる。導体層42は、外部電極15と電気的に接続されている。ベース43及びカバー44は、たとえば、ポリイミド樹脂からなる樹脂層である。導体層41,42は、ベース43とカバー44との間に配置されている。導体層41,42は、たとえば、接着層(不図示)によってベース43及びカバー44に接着されている。
【0046】
導体層41,42は、ベース43上に配置されている。導体層41,42は、導体層41,42の厚さ方向(第一方向D1)から見て、ベース43の外縁43aより内側に配置されている。導体層41,42は、ベース43上において第二方向D2に延在すると共に、第三方向D3において互いに離間している。カバー44は、ベース43との間に導体層41,42を挟んでいる。ベース43及びカバー44は、たとえば、同じ幅(第三方向の長さ)、かつ、異なる長さ(第二方向D2の長さ)で形成されている。
【0047】
カバー44は、ベース43より短く、導体層41,42の第二方向D2の両端部は、カバー44から露出している。貫通孔4cは、導体層41,42の間において、ベース43及びカバー44を貫通している。
【0048】
導体層41,42のそれぞれは、接合部材9により外部電極13,14,15と接合された第一導体部45と、第一導体部45から延在する第二導体部46と、を有している。第一導体部45及び第二導体部46は、第二方向D2で隣り合い、互いに直接接続されている。第一導体部45及び第二導体部46は、互いに同じ幅(第三方向D3の長さ)を有している。第一導体部45には、接合部材9から離間し、接合部材9に直接接していない部分も含まれる。
【0049】
第一方向D1から見て、第一導体部45は、第二導体部46よりも疎となるように設けられている。つまり、第一方向D1から見て、第一導体部45は、第二導体部46よりもスリットや孔などの隙間が多く設けられた疎な構造を有している。本実施形態では、第二導体部46は、スリットや孔などの隙間が設けられていない密な構造を有している。
【0050】
ベース43は、第一導体部45が配置された第一領域R1と、第二導体部46が配置された第二領域R2と、を有している。第一領域R1及び第二領域R2は、ベース43の長さ方向において互いに隣り合っている。第一領域R1は端部4a側の領域であり、第二領域R2は端部4b側の領域である。導体層41,42の長さ方向の一端は、第一領域R1の第二領域R2とは反対側の端と一致している。導体層41,42の長さ方向の他端は、第二領域R2の第一領域R1とは反対側の端と一致している。
【0051】
第一領域R1及び第二領域R2は、互いに同じ幅(第三方向D3の長さ)を有している。第一領域R1及び第二領域R2は、たとえば、ベース43の幅全体にわたっている。つまり、第一領域R1及び第二領域R2の幅は、ベース43の幅と一致している。第一領域R1及び第二領域R2の幅は、導体層41,42の幅w10と一致するように設定されてもよい。導体層41,42は、互いに異なる幅を有していてもよい。
【0052】
第一方向D1から見て、第一領域R1における第一導体部45の面積割合(すなわち、第一領域R1の全面積に占める第一導体部45の面積の割合)は、第二領域R2における第二導体部46の面積割合(すなわち、第二領域R2の全面積に占める第二導体部46の面積の割合)よりも低い。
【0053】
接合部材9は、複数の導電粒子及び樹脂を含む導電樹脂層である。接合部材9は、たとえば、異方性導電膜(ACF)又は、異方性導電ペースト(ACP)からなり、外部電極13,14,15の全体をまとめて覆っている。導電粒子は、たとえば、金属粒子、金めっき粒子である。一例として、導電粒子の平均粒径は、10μm又は20μmである。樹脂は、たとえば熱硬化性エラストマーを含んでいる。
【0054】
接合部材9は、導体層41と外部電極13,14とを電気的に接続している。接合部材9は、導体層42と外部電極15とを電気的に接続している。外部電極13,14は、接合部材9により導体層41の第一導体部45に接合されている。外部電極15は、接合部材9により導体層42の第一導体部45に接合されている。第二導体部46は、接合部材9から離間している。つまり、第二導体部46は、外部電極13,14,15には接合されていない。
【0055】
第一導体部45は、カバー44から露出している露出部分45aと、カバー44により被覆された被覆部分45bと、を含む。被覆部分45bは、導体層41,42の長さ方向(第二方向D2)において露出部分45aと第二導体部46との間に配置されている。被覆部分45bは、露出部分45a及び第二導体部46のそれぞれと隣り合い、露出部分45a及び第二導体部46を接続している。
【0056】
第二導体部46は、カバー44から露出している露出部分46aと、カバー44により被覆された被覆部分46bと、を含む。被覆部分46bは、第二方向D2において露出部分46aと第一導体部45との間に配置されている。被覆部分46bは、露出部分46a及び第一導体部45のそれぞれと隣り合い、露出部分46a及び第一導体部45を接続している。
【0057】
図10は、第一導体部を拡大して示す上面図である。図9及び図10に示されるように、第一導体部45には、第二方向D2に延在するスリット51,52が設けられている。第一導体部45は、くし形を呈している。この例では、スリット51の数は8であり、スリット52の数は1である。スリット51,52は、第三方向D3において配列されている。スリット52は、配線部材4の幅方向(第三方向D3)の中央に設けられている。第三方向D3において、スリット52の両側には、互いに同数のスリット51が設けられている。
【0058】
スリット51,52は、互いに異なる幅(第三方向D3の長さ)を有している。スリット51の幅w1は、スリット52の幅w2よりも狭い。幅w1,w2は、接合部材9に含まれる導電粒子の平均粒径よりも大きいので、スリット51,52内には、導電粒子が含まれている。たとえば、幅w1は100μmであり、幅w2は200μmである。
【0059】
スリット51,52は、第二方向D2において互いに同じ長さを有している。たとえば、スリット51,52の第二方向D2における長さは、6.0mmである。第二方向D2におけるスリット51,52の終端位置(端部4b側の端の位置)は、第一領域R1及び第二領域R2の境界位置と一致している。
【0060】
第一導体部45は、スリット51,52により互いに離間する複数の分割部分47を有している。複数の分割部分47は、導体層41,42の幅方向(第三方向D3)で互いに離間すると共に、導体層41,42の長さ方向(第二方向D2)に延在している。この例では、分割部分47の数は10である。複数の分割部分47は、互いに同じ幅(第三方向D3の長さ)を有している。分割部分47の幅は、たとえば300μmである。複数の分割部分47は、第二方向D2において互いに同じ長さを有している。分割部分47の第二方向D2における長さは、スリット51,52の第二方向D2における長さと同等であり、たとえば6.0mmである。
【0061】
図11は、外部電極、接合部材、及び導体層の関係を示す上面図である。図11では、外部電極13の外縁13c、外部電極14の外縁14c、及び外部電極15の外縁15cが破線で示されている。図11に示されるように、スリット51,52の第二方向D2の長さは、外部電極13,14,15の第二方向D2の長さよりも長い。つまり、第一導体部45(図9参照)の第二方向D2の長さは、外部電極13,14,15の第二方向D2の長さよりも長い。導体層41の第一導体部45は、第一方向D1から見て、外縁13c及び外縁14cと重なっている。導体層42の第一導体部45は、第一方向D1から見て、外縁15cと重なっている。
【0062】
接合部材9の外縁9cは、第一方向D1から見て、スリット51,52内に位置している部分を含む。接合部材9は、圧電素子2と配線部材4との接合時に押し広げられてなる一対の幅広部9aを有している。一方の幅広部9aは、外部電極13,14の全体を覆っている。一方の幅広部9aは、外縁13c,14cの全体と重なっている。他方の幅広部9aは、外部電極15を覆っている。他方の幅広部9aは、外縁13c,14cの全体と重なっている。
【0063】
各導体層41,42において、第一導体部45及び第二導体部46の幅は、互いに等しく、幅w10と一致している。幅w10は、外部電極13及び外部電極14の幅w11よりも広く、外部電極15の幅w12よりも広い。幅w11は、第三方向D3における外部電極13の外部電極14と反対側の端から、第三方向D3における外部電極14の外部電極13と反対側の端までの長さである。幅w11は、外部電極13の幅と、外部電極14の幅と、外部電極13及び外部電極14間の隙間の幅との和である。幅w11は、例えば、幅w12と一致している。
【0064】
導体層41の第一導体部45のうち、第一方向D1から見て、外部電極13及び外部電極14の外側に配置された部分は、外部電極13及び外部電極14の全周を囲むように配置されている。導体層42の第一導体部45のうち、第一方向D1から見て、外部電極15の外側に配置された部分は、外部電極15の全周を囲むように配置されている。
【0065】
以上説明したように、音響デバイス1では、筐体3が振動体5を有し、振動体5は、筐体3の天板を構成している。このように、筐体3が振動(駆動)を兼ねた設計であるため、筐体に別体の振動体を取り付けて用いる構成に比べて、音響デバイス1の小型化及び低背化を図ることができる。枠体6は、振動体5の主面5aの外縁5cより内側に配置されているので、振動体5上に枠体6を積層し、筐体3を形成する際に、振動体5と枠体6との位置決めが容易である。よって、音響デバイス1の製造を容易化することができる。また、振動体5と枠体6との位置ずれが生じ難いので、音響デバイス1の個体バラツキを低減することができる。この結果、均一な特性を有する音響デバイス1を提供することができる。
【0066】
配線部材4は、圧電素子2に接合された端部4aを有し、枠体6上を通って筐体3外まで延在している。、枠体6は、配線部材4をカシメ固定する固定部25を有している。このように配線部材4が固定部25により固定されているので、圧電素子2に接合された配線部材4の端部4aに応力がかかり難い。よって、配線部材4が圧電素子2から剥がれ難く、配線部材4と圧電素子2との接続が保たれ易い。圧電素子2と端部4aとを接合する接合部材9は、異方性導電膜からなり、はんだに比べて接合力が弱い。よって、固定部25による固定が特に有効である。
【0067】
枠体6は、配線部材4が配置される配置面24aを有している。主面5aを基準とした配置面24aの高さh1は、主面5aを基準とした圧電素子2の高さh2と同等である。このため、圧電素子2及び配置面24a上において配線部材4の姿勢をフラットに保つことができる。したがって、圧電素子2に接合された配線部材4の端部4aに応力がかかり難い。よって、配線部材4が圧電素子2から剥がれ難く、配線部材4と圧電素子2との接続が保たれ易い。保たれ易い。
【0068】
音響デバイス1は、緩衝部材7が外部機器と接触するように、外部機器に取り付けられる。よって、音響デバイス1と外部機器との間に隙間が生じ難い。
【0069】
第一方向D1から見て、緩衝部材7は、枠体6の外縁6cより内側に配置されている。このため、枠体6上に緩衝部材7を積層する際に、枠体6と緩衝部材7との位置決めが容易である。よって、製造を容易化することができる。また、枠体6と緩衝部材7との位置ずれが生じ難いので、個体バラツキを更に低減することができる。この結果、更に均一な特性を有する音響デバイス1を提供することができる。
【0070】
筐体3は、外部機器に取り付けられる一対の取付部8を有している。よって、音響デバイス1を外部機器に容易に取り付けることができる。
【0071】
主面5aを基準とした取付部8の高さh3は、主面5aを基準とした緩衝部材7の高さh4よりも低い。よって、音響デバイス1を外部機器に取り付けたときに、緩衝部材7が第一方向D1において圧縮されて外部機器に密着するので、音響デバイス1と外部機器との間に隙間が生じ難い。また、高さh3は、主面5aを基準とした枠体6の高さh5よりも高い。よって、ボルトにより一対の取付部8を外部機器に取り付けるときに、枠体6が撓むことが抑制される。
【0072】
第一方向D1から見て、圧電素子2は、第三辺S3よりも第四辺S4の近くに配置されている。このように、放音口を構成する第四辺S4の近くに圧電素子2がオフセットして配置されているので、高音特性を向上させることができる。
【0073】
導体層41,42の厚さ方向(第一方向D1)から見て、第一導体部45は、第二導体部46より疎となるように設けられている。つまり、第二導体部46に比べて第一導体部45には、外部電極13,14,15と導体層41,42との間から流れ出た導電粒子を内部に留める隙間が多く形成されている。このような隙間に導電粒子が留まることにより、外部電極13,14,15と導体層41,42との間にも導電粒子が留まり易い。よって、圧電素子2と配線部材4との間の電気的な接続信頼性を向上することができる。
【0074】
ベース43の第一領域R1における第一導体部45の面積割合は、ベース43の第二領域R2における第二導体部46の面積割合よりも低い。これにより、第一方向D1から見て、第一導体部45は、第二導体部46よりも疎となる構成が実現される。
【0075】
導体層41,42は、第一方向D1から見て、ベース43の外縁43aより内側に配置されている。この場合、導体層41,42の全体をベース43により保持することができる。よって、導体層41,42の破損が抑制される。
【0076】
第一導体部45は、配線部材4のカバー44から露出している露出部分45aと、カバー44により被覆された被覆部分45bと、を含んでいる。このように第一導体部45は被覆部分45bを含むので、第一導体部45の損傷が抑制される。本実施形態では、第一導体部45にスリット51,52が設けられており、スリット51,52の根元が被覆部分45bでカバー44により被覆される。よって、第一導体部45の損傷が効果的に抑制される。
【0077】
第一導体部45は、第一方向D1から見て、外縁13c,14c,15cと重なっている。主面11aと外部電極13,14,15との間に形成された段差部分には、外部電極13,14,15と導体層41,42との間から導電粒子が流出し易い。このような外縁13c,14c,15c付近に第一導体部45が配置されるので、導電粒子の流出が抑制される。
【0078】
第二導体部46は、接合部材9から離間している。このため、第二導体部46を隙間のない構成とすることができる。第一導体部45には、スリット51,52が設けられているので、第一導体部45が第二導体部46よりも疎となる構成が容易に実現される。スリット51,52内に導電粒子が含まれているので、外部電極13,14,15と導体層41,42との間にも導電粒子が留まり易い。
【0079】
接合部材9の外縁9cは、第一方向D1から見て、スリット51,52内に位置している部分を含む。よって、スリット51,52を通じて接合部材9の外縁9cの位置を容易に確認することができる。これにより、接合部材9により外部電極13,14,15の全体が覆われていることを確認できる。
【0080】
スリット52は、第一導体部45の幅方向の中央部に配置されている。スリット52の幅w2は、スリット51の幅w1よりも広い。このため、第一導体部45の中央部に導電粒子を多く配置することができる。
【0081】
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明は必ずしも上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。上記実施形態及び変形例は、適宜組み合わされてもよい。
【0082】
たとえば、配線部材4の導体層41,42の一端部41a,42aは、くし形でなくてもよい。配線部材4は、導電性ペーストやはんだにより外部電極13,14,15に接合されていてもよい。この場合、導体層41と外部電極13,14とを接続する導電性ペーストやはんだは、導体層42と外部電極15とを接続する導電性ペーストやはんだと離間して設けられる。
【0083】
図12は、第一変形例に係る第一導体部を拡大して示す上面図である。図12に示されるように、第一変形例に係る第一導体部45Aには、第二方向D2に延在する孔53,54が設けられている。この例では、孔53の数は8であり、孔54の数は1である。孔53,54は、第三方向D3において配列されている。孔54は、第三方向D3の中央に設けられている。第三方向D3において、孔54の両側には、互いに同数の孔53が設けられている。
【0084】
孔53,54は、互いに異なる幅(第三方向D3の長さ)を有している。孔53の幅w3は、孔54の幅w4よりも狭い。幅w3,w4は、接合部材9に含まれる導電粒子の粒径よりも大きいので、孔53,54内には、導電粒子が含まれている。たとえば、幅w3は100μmであり、幅w4は200μmである。
【0085】
孔53,54は、第二方向D2において互いに同じ長さを有している。たとえば、孔53,54の第二方向D2における長さは、6.0mmである。第二方向D2における孔53,54の終端位置(端部4b側の端の位置)は、第一領域R1及び第二領域R2の境界位置と一致している。
【0086】
第一導体部45Aは、孔53,54により互いに離間する複数の分割部分48を有している。この例では、分割部分48の数は10である。複数の分割部分48は、互いに同じ幅(第三方向D3の長さ)を有している。分割部分48の幅は、たとえば300μmである。複数の分割部分48は、第二方向D2において互いに同じ長さを有している。分割部分48の第二方向D2における長さは、孔53,54の第二方向D2における長さと同等であり、たとえば6.0mmである。
【0087】
図示を省略するが、接合部材9の外縁9c(図11参照)は、第一方向D1から見て、孔53,54内に位置している部分を含む。導体層41の第一導体部45Aは、第一方向D1から見て、外縁13c,14cと重なっている。導体層42の第一導体部45Aは、第一方向D1から見て、外縁15cと重なっている。
【0088】
図13は、第二変形例に係る第一導体部について説明するための上面図である。図13には、外部電極、接合部材、及び導体層の関係が示されている。図13では、図11と同様に、外部電極13の外縁13c、外部電極14の外縁14c、及び外部電極15の外縁15cが破線で示されている。図13に示されるように、第二変形例に係る第一導体部45Bの幅w13は、幅w10よりも狭く、幅w11及び幅w12よりも狭い。第二変形例においても、幅w11は、幅w12と一致し、第二導体部46の幅は、幅w10と一致している。
【0089】
第一導体部45B及び第二導体部46は、第三方向D3の中央が互いに一致するように配置されている。第一方向D1から見て、第一導体部45Bと第二導体部46との間には、段差が形成されている。第一方向D1から見て、外部電極13のうち、外部電極14と反対側に位置する端部と、外部電極14のうち、外部電極13と反対側に位置する端部とは、導体層41の第一導体部45Bから露出している。第一方向D1から見て、外部電極15の第三方向D3の両端部は、導体層42の第一導体部45Bから露出している。
【0090】
実施形態に係る第一導体部45では、図10に示されるように、8本のスリット51と1本のスリット52が設けられている。第一導体部45は、10本の分割部分47を有している。8本のスリット51の幅w1は、1本のスリット52の幅w2よりも狭い。9本のスリット51,52の長さは、互いに等しい。換言すると、10本の分割部分47の長さは、互いに等しい。これに対し、第一導体部45Bでは、図13に示されるように、7本のスリット51のみが設けられている。第一導体部45Bは、8本の分割部分47を有している。第三方向D3の中央部に位置する5本のスリット51の長さd1は、第三方向D3の両端部に位置する2本のスリット51の長さd2よりも長い。換言すると、第三方向D3の中央部に位置する6本の分割部分47の長さは、第三方向D3の両端部に位置する2本の分割部分47の長さよりも長い。
【0091】
上述のように、外部電極13,14,15は、第一方向D1から見て、角が丸められた長方形状又は正方形状を呈している。第三方向D3の両端部に位置するスリット51を短くすることにより、第三方向D3の両端部に位置する分割部分47の先端が、第一方向D1から見て、外縁13c,14c,15cに沿い易く、外部電極13,14,15からはみ出し難い。
【0092】
導体層41の第一導体部45のうち、第一方向D1から見て、外部電極13及び外部電極14の外側に配置された部分は、外部電極13及び外部電極14の間と、外部電極13及び外部電極14よりも第二導体部46側のみに配置されている。導体層42の第一導体部45のうち、第一方向D1から見て、外部電極15の外側に配置された部分は、外部電極15よりも第二導体部46側のみに配置されている。
【0093】
第二変形例においても、第一導体部45Bは、第二導体部46よりも疎となるように設けられているので、圧電素子2と配線部材4との間の電気的な接続信頼性を向上することができる。第二変形例では、幅w13は、幅w11及び幅w12よりも狭いので、第一導体部45Bが外部電極13,14及び外部電極15の全体を覆わない。したがって、外部電極13,14,15上に導電粒子が留まり易い。これにより、外部電極13,14,15と導体層41,42との間にも導電粒子が留まり易い。よって、圧電素子2と配線部材4との間の電気的な接続信頼性を向上することができる。長さd2は長さd1よりも短い。よって、第一導体部45Bをより疎とすることができる。
【0094】
上記実施形態では、複数のスリット51,52の第二方向D2の長さが一致しているが、一致していなくてもよい。この場合、第一導体部45と第二導体部46との境界は、最も端部2b側に位置するスリットの位置により設定されてもよい。上記第一変形例では、複数の孔53,54の第二方向D2の長さが一致しているが、一致していなくてもよい。この場合、第一導体部45と第二導体部46との境界は、最も端部2b側に位置する孔の位置により設定されてもよい。
【0095】
第一導体部45には、第三方向D3に延びるスリットが設けられていてもよい。この場合、スリットが第二方向D2の力に対してアンカーとして機能するので、配線部材4が第二方向D2に引っ張られても圧電素子2から剥がれ難い。第一導体部45には、スリット及び孔の両方が設けられていてもよい。孔の形状は、上記第一変形例の形状に限られない。
【0096】
上記実施形態及び変形例は、適宜組み合わされてもよい。上述した実施形態及び変形例の記載から把握されるとおり、本明細書では以下に示す態様の開示を含んでいる。
(付記1)
圧電素子と、
前記圧電素子を保持する筐体と、を備え、
前記筐体は、前記圧電素子が接合された主面を有する振動体と、前記圧電素子を囲むように前記主面に接合された枠体と、を有し、
前記主面に直交する方向から見て、前記枠体は、前記主面の外縁より内側に配置されている、
音響デバイス。
(付記2)
前記圧電素子に接合された端部を有し、前記枠体上を通って前記筐体外まで延在する配線部材を更に備え、
前記枠体は、前記配線部材をカシメ固定する固定部を有している、
付記1に記載の音響デバイス。
(付記3)
前記圧電素子と接続された端部を有し、前記枠体上を通って前記筐体外まで延在する配線部材を更に備え、
前記枠体は、前記配線部材が配置される配置面を有し、
前記主面を基準とした前記配置面の高さは、前記主面を基準とした前記圧電素子の高さと同等である、
付記1又は2に記載の音響デバイス。
(付記4)
前記筐体は、前記枠体上に配置された緩衝部材を更に備える、
付記1~3のいずれかに記載の音響デバイス。
(付記5)
前記主面に直交する方向から見て、前記緩衝部材は、前記枠体の外縁のうち前記主面の外縁に沿う部分より内側に配置されている、
付記4に記載の音響デバイス。
(付記6)
前記筐体は、外部機器に取り付けられる取付部を有する、
付記1~5のいずれかに記載の音響デバイス。
(付記7)
前記筐体は、前記枠体上に配置された緩衝部材を更に備え、
前記主面を基準とした前記取付部の高さは、前記主面を基準とした前記緩衝部材の高さよりも低く、前記主面を基準とした前記枠体の高さよりも高い、
付記6に記載の音響デバイス。
(付記8)
前記主面は、矩形状を呈し、互いに対辺をなす第一辺及び第二辺と、互いに対辺をなす第三辺及び第四辺を有し、
前記枠体は、前記第一辺、前記第二辺、及び、前記第三辺に沿って延在しており、
前記主面に直交する方向から見て、前記圧電素子は、前記第三辺よりも前記第四辺の近くに配置されている、
付記1~7のいずれかに記載の音響デバイス。
【符号の説明】
【0097】
1…音響デバイス、2…圧電素子、3…筐体、4…配線部材、4a…端部、5…振動体、5a…主面、5c…外縁、6…枠体、6c…外縁、7…緩衝部材、8…取付部、24a…配置面、25…固定部、S1…第一辺、S2…第二辺、S3…第三辺、S4…第四辺。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13