(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024124965
(43)【公開日】2024-09-13
(54)【発明の名称】検査方法、検査システム、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/08 20120101AFI20240906BHJP
【FI】
G06Q50/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023032986
(22)【出願日】2023-03-03
(71)【出願人】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100207756
【弁理士】
【氏名又は名称】田口 昌浩
(74)【代理人】
【識別番号】100129746
【弁理士】
【氏名又は名称】虎山 滋郎
(72)【発明者】
【氏名】栗山 英祐
(72)【発明者】
【氏名】中嶋 秀康
【テーマコード(参考)】
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L049CC07
5L050CC07
(57)【要約】
【課題】簡単な方法でかつ高い検査精度で、区画貫通処理材などの建築資材が適切に施工できたことを確認できる。
【解決手段】建築物において建築資材が施工された施工箇所を撮影し、撮影画像を得る撮影ステップと、得られた前記撮影画像を解析して、前記建築資材が規定通りに施工されているか否かを判定する判定ステップとを備える、検査方法。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建築物において建築資材が施工された施工箇所を撮影し、撮影画像を得る撮影ステップと、
得られた前記撮影画像を解析して、前記建築資材が規定通りに施工されているか否かを判定する判定ステップと
を備える、検査方法。
【請求項2】
前記建築資材が、区画貫通処理材である、請求項1に記載の検査方法。
【請求項3】
前記建築資材が1又は複数の部品からなり、
前記判定ステップは、前記部品それぞれが設計通りに施工されているか否かを確認することで、規定通りに施工されているか否かを判定する、請求項1又は2に記載の検査方法。
【請求項4】
施工された前記建築資材の前記部品の全てが外部から視認可能な位置に施工される、請求項3に記載の検査方法。
【請求項5】
前記施工箇所に紐付けられた設計情報を読み出す読出ステップをさらに備え、
前記判定ステップが、前記設計情報と前記撮影画像を照合して前記建築資材が規定通りに施工されているか否かを判定する、請求項1又は2に記載の検査方法。
【請求項6】
前記判定ステップで得られた判定結果を表示部に表示する表示ステップをさらに備える、請求項1又は2に記載の検査方法。
【請求項7】
前記判定ステップで得られた判定結果に関する情報を含む帳票を作製する、請求項1又は2に記載の検査方法。
【請求項8】
前記帳票が、前記建築資材の設計画像と前記撮影画像を含む、請求項7に記載の検査方法。
【請求項9】
建築物において建築資材が施工された施工箇所が撮影された撮影画像を解析して、前記建築資材が設計通りに施工されているか否かを判定する判定部を備える、検査システム。
【請求項10】
情報処理装置に、建築物において建築資材が施工された施工箇所が撮影された撮影画像を解析して、前記建築資材が設計通りに施工されているか否かを判定する判定ステップを実行させる、ブログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築物に施工された区画貫通処理材などの建築資材を検査する、検査方法、及び検査システムに関する。
【背景技術】
【0002】
建築物の施工においては、ゼネラルコントラクター(ゼネコン)などの請負業者、サブコントラクター(サブコン)などの下請け業者、施工を実際に行う施工業者、施工を検査する検査業者など関係者が多岐にわたる。そのため、近年、建築物の設計情報、工事の進捗状況などを共有するために、情報共有アプリケーション(情報共有アプリ)の利用が進んでいる。情報共有アプリでは、例えば、建築物全体の俯瞰図などの建築図面をタップなどしていくと、各施工箇所の設計内容を示す施工図、付帯情報などの設計情報を確認できる。また、施工業者は、各施工箇所に紐付けて、施工が完了した部分の施工写真、施工情報などを保存しておくことも可能である。
【0003】
ところで、建築物などの構造物の検査は、その安全性、信頼性を確保する観点から近年重要になってきているが、多数の箇所行う必要があり煩雑であり、省人化が望まれている。例えば、特許文献1には、検査対象である建築資材にRFIDタグを取り付けておき、読取手段によりRFIDタグに記憶されたID情報を読み取ることで検査を行う検査システムが開示されている。
また、情報共有アプリを活用した検査方法も検討されており、例えば、情報共有アプリにおいて保存された施工写真と、設計情報とを検査者が照らし合わして、設計通りに施工されているか否かの確認などがアプリ上で行うことも検討されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の検査システムでは、既定の位置に建築資材が施工されていることを確認できるものの、建築資材が設計通りに施工されているか否かを高い精度で十分に確認できないことがある。また、情報共有アプリを使用して検査者によって検査する方法では、設計通りに施工されているか否かの確認は、施工写真の画像を実際に見る必要があり、十分に省人化できているとはいえない。また、人為的なミスが発生しやすく、恣意的な改ざんも容易にできるため、検査精度や信頼性にも問題がある。
【0006】
そこで、本発明は、簡単な方法でかつ高い検査精度で、区画貫通処理材などの建築資材が適切に施工できたことを確認できる検査方法及び検査システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の要旨は、以下のとおりである。
[1]建築物において建築資材が施工された施工箇所を撮影し、撮影画像を得る撮影ステップと、
得られた前記撮影画像を解析して、前記建築資材が規定通りに施工されているか否かを判定する判定ステップと
を備える、検査方法。
[2]前記建築資材が、区画貫通処理材である、上記[1]に記載の検査方法。
[3]前記建築資材が1又は複数の部品からなり、
前記判定ステップは、前記部品それぞれが設計通りに施工されているか否かを確認することで、規定通りに施工されているか否かを判定する、上記[1]又は[2]に記載の検査方法。
[4]施工された前記建築資材の前記部品の全てが外部から視認可能な位置に施工される、上記[3]に記載の検査方法。
[5]前記施工箇所に紐付けられた設計情報を読み出す読出ステップをさらに備え、
前記判定ステップが、前記設計情報と前記撮影画像を照合して前記建築資材が規定通りに施工されているか否かを判定する、上記[1]~[4]のいずれかに記載の検査方法。
[6]前記判定ステップで得られた判定結果を表示部に表示する表示ステップをさらに備える、上記[1]~[5]のいずれかに記載の検査方法。
[7]前記判定ステップで得られた判定結果に関する情報を含む帳票を作製する、上記[1]~[6]のいずれかに記載の検査方法。
[8]前記帳票が、前記建築資材の設計画像と前記撮影画像を含む、上記[7]に記載の検査方法。
[9]建築物において建築資材が施工された施工箇所が撮影された撮影画像を解析して、前記建築資材が設計通りに施工されているか否かを判定する判定部を備える、検査システム。
[10]情報処理装置に、建築物において建築資材が施工された施工箇所が撮影された撮影画像を解析して、前記建築資材が設計通りに施工されているか否かを判定する判定ステップを実行させる、ブログラム。
【発明の効果】
【0008】
本発明の検査方法及び検査システムによれば、簡単な方法でかつ高い検査精度で、区画貫通処理材などの建築資材が適切に施工できたことを確認できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係る検査システムを示す概略図である。
【
図2】本発明の第1の実施形態で使用される区画貫通処理材の一例を示す斜視図である。
【
図3】本発明の第1の実施形態に係る検査ルーチンを示すフローチャートである。
【
図4】本発明の第1の実施形態で表示部に表示される帳票の一例を示す。
【
図5】本発明の第1の実施形態で表示部に表示される帳票の別の一例を示す。
【
図6】本発明の一実施形態で表示部に表示される建築図面の一例を示す。
【
図7】本発明の第2の実施形態に係る検査ルーチンを示すフローチャートである。
【
図8】本発明の第3の実施形態に係る検査ルーチンを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態について説明する。
図1は、第1の実施形態に係る検査システムの一構成例を示すブロック図である。本実施形態に係る検査システムは、検査対象である建築資材を検査するためのシステムである。本実施形態に係る検査システムは、情報処理装置10を備える。
【0011】
本実施形態において情報処理装置10としては、スマートフォンやタブレット端末などのポーダブル型の端末が挙げられる。情報処理装置10は、撮像部11、表示部12、メモリ13、制御部14、判定部15などを備える。
撮像部11は、カメラ機能を有するものであればよく、建築物において建築資材が施工された施工箇所を撮影することが可能である。
【0012】
表示部12は、液晶表示装置、有機EL表示装置などの公知の表示装置であればよい。また、表示部12は、一般的にタッチパネル式の表示装置であり、タッチパネル入力により情報処理装置10が操作されるとよい。表示部12には、建築物の俯瞰図、設計図、間取り図、施工図、撮像部11で撮影された画像、建築資材が設計通りに施工されたか否かを示す判定結果、帳票などが表示される。
メモリ13は、撮像部11で撮影された画像、設計情報、各種アプリケーション用のブログラム、検査ルーチン用のブログラム、建築図面などが格納される。
【0013】
制御部14は、CPUなどにより構成され、情報処理装置10全体の動作を制御する。判定部15は、建築資材が施工された施工箇所が撮影された撮影画像を解析して、建築資材が設計通りに施工されているか否かを判定する。判定部15は、制御部14と共にCPUなどにより構成されてもよいし、CPUとは別に設けられたプロセッサにより構成されてもよいし、CPUと、CPUとは別に設けられたプロセッサにより構成されてもよい。
【0014】
情報処理装置10は、通信ネットワークNWに接続可能であり、第1クラウドCL1などからデータをダウンロードなどすることが可能である。なお、クラウド(クラウドサービス、クラウドコンピューティング)とは、情報技術の活用資源(ITリソース)を所有しないで、ネットワーク経由でサービス提供者(ASP)が提供するITリソースを利用するロケーションフリーの形態に転換したサービス、コンピューティングをいう。
【0015】
第1クラウドCLは、下請け業者(サブコン)がサービス提供者となり、施工業者などが利用可能であるクラウドである。第1クラウドCLには、後述する情報共有アプリケーション用のプログラム、検査ルーチン用のブログラムの他、下請け業者がアップロードした設計情報、帳票フォーマットデータなどが格納されている。情報処理装置10は、ネットワークを介して、例えば、第1クラウドCL1から上記各プログラムの他、設計情報、帳票フォーマットデータなどをダウンロードして、メモリに格納する。
ただし、各プログラム、設計情報、帳票フォーマットデータなどは、クラウドからダウンロードする必要はなく、予めメモリ13に格納されていてもよい。
【0016】
第1クラウドCL1に格納される情報は、例えば第2クラウドCL2から提供された情報に基づいて生成されるとよい。第2クラウドCL2は、請負業者(ゼネコン)がサービス提供者となり、下請け業者(サブコン)が利用可能であるクラウドである。
下請け業者(サブコン)は、例えば、請負業者(ゼネコン)が第2クラウドCL2に格納した建築物全体の設計に関する設計図データをダウンロードして、その設計図データに建築資材などの施工方法、施行位置、施工図に関する情報などを重畳して設計情報として第1クラウドCLに格納するとよい。
【0017】
設計情報は、建築資材の配置図、設計画像などを含む。建築資材の配置図及び設計画像は、施工前の設計段階で得られた図又は画像である。配置図は、例えば、壁、柱、区画貫通処理材、配線及び配管等の建築資材が、建築物の設計図データにおいて、建築物の特定箇所へ配置されることが示された配置図である。建築資材の設計画像は、例えば、壁、柱、区画貫通処理材、配線及び配管等の建築資材が施工された状態を示す画像であり、例えば、3次元モデル(BIM(Building Information Modeling)モデル)で示される画像である。
また、設計情報は、後述する検査ルーチンにおいて使用される判定基準情報も含むとよい。判定基準情報は、上記した3次元モデルから情報処理装置10において生成されてもよいし、下請け業者(サブコン)により予め作製されて第1クラウドCL1に格納されたものでもよい。さらに、判定基準情報は、区画貫通処理材などの建築資材のメーカーが作成したものでもよい。例えば、区画処理材のメーカーが自社のクラウド(第3のクラウド、図示しない)に自社商品の判定基準情報をアップしておき、サブコンなどが必要に応じて第1クラウドCL1に格納してもよい。また、第3のクラウドから情報処理装置10に直接ダウンロードされてもよい。
したがって、メモリ13には、各建築資材が施工される施工箇所に紐付けられて、各施工箇所における設計情報、具体的には、設計画像、判定基準情報などが格納されているとよい。
【0018】
以下、検査対象である建築資材に区画貫通処理材が適用される場合の検査方法をより具体的に説明する。本実施形態において区画貫通処理材は、建築物の仕切り部に形成され、かつ内部に長尺の挿通体が挿通される区画貫通部を防火構造とするためのものである。建築物の仕切り部としては、建築物の壁、天井、床などが挙げられる。壁は例えば2枚の壁材からなり、内部に中空部がある中空壁であってもよいし、中空が設けられない壁であってもよく、例えば1枚の壁材からなるものでもよい。天井、床なども、壁と同様に、二重天井、二重床などの中空部が設けられたものでもよいし、中空が設けらない天井、床などでもよい。
【0019】
区画貫通部に通される挿通体は、ケーブル類、配管類など挙げられるが、これらに限定されない。また、区画貫通部に通される挿通体は、ケーブル類及び配管類のうちの少なくとも1本であればよく、2本以上の挿通体が区画貫通部に通されてもよい。
区画貫通部は、壁部、天井面、床面などに孔が空けられて形成されるものであり、例えば中空壁では各壁部に設けられた孔と、壁部の間の中空部によりなるものである。また、区画貫通部は、中空のない壁などでは、壁材に設けられた孔により構成されるとよい。
区画貫通部は、挿通体が通されると、孔を構成する内周面と挿通体との間に隙間が生じるが、区画貫通処理材は、そのような隙間を覆い、又は充填するように区画貫通部に施工されるものである。これにより、区画貫通処理材は、区画貫通部を塞いで防火構造とすることができる。
【0020】
区画貫通処理材は、加熱により膨張する熱膨張性部材を含むことが好ましい。区画貫通処理材が熱膨張性部材を含むことで、区画貫通処理材は、火災時に膨張することで火災の延焼を防止する。熱膨張性部材は、少なくとも膨張性黒鉛などの熱膨張性粒子を含むことが好ましく、樹脂やゴム成分などのバインダー成分と、バインダー成分中に分散された熱膨張性粒子を含有する熱膨張性組成物により形成されたものであることがより好ましい。
【0021】
本実施形態において区画貫通処理材が施工された区画貫通部の一例を
図2に示す。
図2は、区画貫通部18に区画貫通処理材20を施工する工程を(A)~(C)に順に示す。以下、区画貫通処理材20を施工する工程を順に説明して区画貫通処理材20について詳細に説明する。なお、区画貫通部に区画貫通処理材が施工された構造物は、区画貫通処理構造ということがある。
【0022】
区画貫通部18は、
図2(A)に示すとおり、壁部などの仕切り部19に形成された孔19Aなどにより構成され、孔19A(すなわち、区画貫通部18)には、挿通体17が挿通される。なお、
図2において挿通体17は、複数からなるが、単数の挿通体からなるものでもよい。
【0023】
本実施形態に係る区画貫通処理材20は、
図2(A)に示すとおり、ベース部材21と、カバー部材22を備え、ベース部材21及びカバー部材22が、一体となって一つの部品(以下、「主部品23」ということがある)を構成する。ベース部材21は、シート状の部材である。カバー部材22は、シート状の部材であり、筒状に加工され、筒状の軸方向における一端がベース部材21の一面に接続するように設けられる。なお、カバー部材22は、
図2では四角形の筒状であるが、特に限定されず、円形、楕円形、三角形、五角形などいかなる形状でもよい。
【0024】
ベース部材21及びカバー部材22は、いずれか一方が熱膨張性部材を有するとよいが、両方が熱膨張性部材を有してもよい。また、ベース部材21及びカバー部材22は、熱膨張性部材を有する場合、熱膨張性部材単体からなるものでもよいし、熱膨張性耐火部材の一方の面に不燃材料など積層された積層体により構成されてもよい。なお、不燃材料としては、アルミニウム箔、銅箔などの金属箔、ガラスクロス、アルミガラスクロスなどの金属箔とガラスクロスの複合体などが挙げられるが、これらのなかでは、防火性の観点からアルミガラスクロスが好ましい。
【0025】
また、ベース部材21の概ね中心位置には、ベース部材21の中央付近に挿通体17を通すための第1の切込み21Aが設けられる。また、第1の切込み21Aに接続し、かつベース部材21の外縁まで延びる第2の切込み21Bも設けられる。カバー部材22には、軸方向に沿って切込み22Aが設けられ、切込み22Aが第2の切込み21Bに接続される。
ただし、ベース部材21は、区画貫通処理材20が区画貫通処理部18に施工される際に、ベース部材21に挿通体17が挿通する限り、第1の切込み21Aが設けられなくてもよく、第1の切込み21Aの代わりに孔が設けられてもよい。また、第2の切込み21B及び切込み22Aも適宜省略されてもよい。
また、ベース部材21には、固定具24の施工位置を示すためのマーク26が付されているが、マーク26は省略されてもよい。
【0026】
区画貫通処理材20は、区画貫通部18に施工される際、第2の切込み21B、及び切込み22Aを介して、第1の切込み21Aまで挿通体17が通されて、挿通体17がベース部材21を挿通するように配置される。また、ベース部材21が、仕切り部19に密着するように配置され、かつ固定具24により仕切り部19に固定される(
図2(B)参照)。なお、固定具24は、ワッシャー24Aとビス24Bの組み合わせによりなるものであり、ベース部材21は、ワッシャー24Aを通されたビス24Bにより仕切り部に固定されるとよい。
【0027】
カバー部材22は、
図2(C)に示すとおり、挿通体17に密着させるように縮径され、かつ固定具25により挿通体17に固定される。固定具25は、挿通体、及びカバー部材22の外側に巻かれる部材であり、例えば、紐状又は帯状の部材が挙げられる。具体的には、被覆付鉄線などのワイヤ部材、結束バンド、粘着テープなどのいずれでもよいし、これら以外の部材であってもよい。
【0028】
すなわち、区画貫通処理材20は、主部品23が、固定具24、25により固定されて、区画貫通構造を形成するが、施工された区画貫通処理材20を構成する全ての部品(主部品23、及び固定具24、25)は、外部から視認可能である。全ての部品は、外部から視認可能であると、後述する通り、区画貫通処理材20が施工された施工箇所を撮影した撮影画像によって、区画貫通処理材20が設計通りに施工されているか否かを適切に判定できる。また、本実施形態に係る区画貫通処理材20は、パテを区画貫通部に対して施工する必要がない、いわゆるパテレスである。パテレスの区画貫通処理材20を使用することで、作業者によるばらつきが防止できるので、後述する撮影画像によって区画貫通処理材20が規定通りに施工されているか否かを判定しやすくなる。
【0029】
また、区画貫通処理材20は、パッケージとして販売されている市販品を使用するとよい。すなわち、区画貫通処理材20を構成する全ての部品(主部品23、及び固定具24、25)は、1つの製品パッケージとして販売されているものを使用するとよい。製品パッケージ、すなわち工業製品を使用すると、各部品の品質バラつきが殆ど無いので、後述する撮影画像によって区画貫通処理材20が規定通りに施工されているか否かを判定しやすくなる。上記した区画貫通処理材20の製品パッケージとしては、積水化学工業株式会社製の「フィブロックネオ」が挙げられる。
【0030】
図3は、第1の実施形態に係る検査方法を実行する検査ルーチンを示す。次に
図3を用いて、第1の実施形態に係る検査方法をさらに説明する。検査ルーチンは、情報処理装置10(メモリ13)に格納されるブログラムにより実行されるものである。なお、検査ルーチンは、作業者の入力操作などに基づいて開始されるものであるが、入力操作以外でも所定の動作が行われたときに実行されてもよく、例えば、施工箇所に紐付けられた撮影画像が得られると開始されてもよい。
また、以下に示すルーチンは、1箇所の施工箇所に対して検査を行うルーチンを示すが、複数の施工箇所に対して検査を行う場合には、以下のルーチンを繰り返し行うとよい。
【0031】
本ルーチンでは、まず、施工箇所を撮影した撮影画像が読み込まれる。撮影画像としては、建築物において区画貫通処理材20(建築資材)が施工された施工箇所が、施工業者の作業員などによって撮影されて得られたものである。
撮影は、撮像部11により行われ、得られた撮影画像は、メモリ13に保存されているとよい。ここで、撮影画像は、各部品が設計通りに施工されているか否かを判定されるために使用されるものである。そのため、撮影画像は、区画貫通処理材20を構成する全ての部品が写り込むように撮影されるとよい。また、決められた撮影方向(例えば、左後側)から区画貫通処理材20が撮影されるとよい。
撮影画像は、施工箇所と紐付けられてメモリ13に保存されているとよい。撮影画像と施工箇所の紐付けは、作業者の入力により行ってもよいが、後述するとおり、情報共有アプリケーションなどを使用すると簡便に行うことができる。
【0032】
なお、撮影画像が撮像部11によって撮影される際には、表示部12には撮影ガイドが表示されるとよい。本実施形態において、設計通りに施工されているかを判定する際、撮影画像は、特定の角度から撮影したり、全ての部品を撮影したりするように特定の撮影条件を満たした状態で撮影する必要があるが、撮影ガイドによりその撮影条件となるようにガイドすることで、作業者などによって撮影条件を満たす撮影画像を容易に撮影できるようになる。
なお、撮影部11によって撮影が行われるとき、表示部12には、一般的に撮像部11によって撮影された画像がスルー画像として表示されるが、スルー画像に重畳して撮影ガイドを表示させるとよい。撮影ガイドとしては、文字で示してもよいし、図柄などで示してもよいし、文字と図柄の組み合わせで使用してもよい。例えば、文字で示す場合には、「4つのビスが写るように左斜め後方から撮影してください。」などと表示すればよい。また、図柄で示す場合には、区画貫通処理材の輪郭を映すべき位置に点線のガイド線を表示して、撮影者がガイド線と区画貫通処理材の輪郭とを一致させて撮影することを促すとよい。
本実施形態において表示部12に撮影ガイドを表示すると、特定の撮影条件で撮影される確度を高めることができ、検査精度を向上させることができる。
なお、撮影ガイドは、例えば後述する情報共有アプリが起動された状態において、その情報共有アプリ上において、施工箇所が指定されて撮影を行う場合などに表示されるとよい。
【0033】
撮影画像が読み込まれると、次に、ステップS11では、撮影画像に撮影された施工箇所に紐付けられた設計情報がメモリ13から読み出される。設計情報としては、検査に必要な情報である判定基準情報が少なくとも読み出されるとよい。ここで、判定基準情報は、特に限定されないが、区画貫通処理材20の各部品と、挿通体17の位置関係に関する情報などである。具体的には、本実施形態は、設計では、挿通体17を取り囲むように固定具25が配置され、かつ、主部品23の外縁が、固定具25及び挿通体17の外周側に配置されるとともに、固定具24は、主部品23の四隅に配置される位置関係を有するが、このような位置関係に関する情報が、判定基準情報としてメモリ13に予め格納されている。
判定基準情報は、例えば区画貫通処理材の種類ごと(例えば、商品ごと)にメモリに格納されていてもよい。判定基準情報が、区画貫通処理材の種類ごと(例えば、商品ごと)にメモリに格納されていれば、施工箇所ごとに判定基準情報をメモリに格納する必要がなくなるので、メモリに格納される情報が少なくなる。
また、区画貫通処理材の種類ごと(例えば、商品ごと)に生成された、判定基準情報は、施工対象の種類によって設計が異なる場合などにおいては、区画貫通処理材の施工対象の種類(例えば、壁の種類)毎に生成されてもよい。
【0034】
次に、ステップS12では、読み出された撮影画像が、判定部15において解析され、建築資材が設計通りに施工されているか否かが判定される。具体的には、撮影画像は、読み出された判定基準情報(設計情報)と照合されて、建築資材が設計通りに施工されているか否かが判定される。ここで、区画貫通処理材20は、
図2に示すとおりに、主部品23が、4つの固定具24及び1つの固定具25により固定されているが、判定部15において、例えば、各固定具24、25、主部品23、及び挿通体17の輪郭が抽出され、各部品(すなわち、固定具24、25、主部品23)と挿通体17の位置関係が特定される。そして、区画貫通処理材20の各部品と、挿通体17の位置関係が、判定基準情報の位置関係と同じであれば、設計通りに施工されていると判定する。すなわち、本ステップでは、各部品が設計通りに施工されているか否かが確認されて、区画貫通処理材20が規定通りに施工されているか否かを判定されることになる。
一方で、区画貫通処理材20の各部品と、挿通体17の位置関係が、設計情報の位置関係と同じではない場合には、設計通りに施工されていないと判定される(すなわち、NG判定される)。
以上のように、本実施形態では、画像解析により、施工が適切に行われたか否かが判定されるので、検査の簡素化、省人化が可能であり、また、検査のばらつきを抑えて検査精度を高めることができる。
【0035】
次に、上記判定結果に基づいて、ステップS13において表示部12に判定結果が表示され、本ルーチンは終了する。表示部12に判定結果が表示されることで、作業者は、区画貫通処理材20の各部品が設計通りに施工されるか否かを視認することができる。
【0036】
本実施形態では、上記判定結果は、帳票中に含ませて表示部12に表示されるとよい。したがって、ステップS13では、メモリ13から帳票フォーマットデータ、帳票に表示される撮影画像及び設計画像などが読み出されて、帳票フォーマットデータに、設計画像、撮影画像及び判定結果などが重畳されて帳票が作製される。
なお、判定結果に関する情報は、メモリ13に保存され、また、作製された帳票も、帳票データとしてメモリ13に保存されるとよい。
【0037】
作製される帳票の一例を
図4に示す。作成された帳票27は、判定結果を含む情報として表示部12に表示されるとよい。
図4に示すとおり、帳票27には、判定結果28とともに、設計画像29と、撮影画像30が表示されるよい。また、帳票27には、建築資材の施工箇所を特定するための施工箇所特定情報31なども表示されるとよい。
なお、設計画像29とは、区画貫通処理材20の設計を示すための画像であり、施工前の設計段階で作製されていた画像である。なお、
図4では、設計画像29は、3次元モデルから抽出された3次元画像が示されるが、3次元画像に限定されず、平面図、断面図、これらの両方などいかなる画像でよい。
一方で、撮影画像30は、上記の通り、実際に施工された施工箇所が作業者などによって撮影されたものであり、判定部15において解析され、建築資材が設計通りに施工されているか否かが判定される際に使用された撮影画像であるとよい。
【0038】
また、判定結果28は、例えば総合判定結果32と、チェックリスト33が表示されるとよい。総合判定結果32は、区画貫通処理材20全体が適切に施工されているか否かを示す。
また、チェックリスト33は、判定されるべき項目が箇条書きで示され、各項目が充足されていたかどうかが示されるとよい。
図4の例では、主部品23が施工されているか否かを示す項目33A、固定具24により固定が行われているか否かを示す項目33B、及び固定具25により固定が行われているか否かを示す項目33Cよりなるが、チェックリスト33で表示される項目はこれらに限定されない。また、各項目が、充足されているか否かは、チェックボックス34などにより表示されるとよい。
【0039】
本実施形態では、
図4に示す通り、判定結果28とともに、設計画像29及び施工後の画像(撮影画像30)を表示部12に表示することで、施工業者などは、視覚的に施工が適切にできているかどうかを容易に確認することができる。また、施工が設計通りにできていない場合には、設計画像29及び施工後の画像(撮影画像30)を見比べたり、チェックリスト33を確認したりして、施工できない箇所を瞬時に判断することもできる。
【0040】
また、本実施形態では、撮影画像30は、区画貫通処理材の部品が全て撮影される、特定の角度から撮影されるなど、特定の撮影条件で撮影される必要があるが、特定の撮影条件で撮影されないことによって撮影画像が不適切な場合にも、建築資材が規定通りに施工されていないと判定される(すなわち、NG判定される)。
したがって、撮影画像が規定通りに撮影されずに、NG判定されるような場合でも、施工業者は撮影画像30及び設計画像29を見ることで、撮影条件に問題があったことを直ちに認識できる。そのため、NG判定があった場合でも施工業者は、次の対応を直ちに取ることができる。
【0041】
また、判定結果に関する情報や、帳票27の帳票データは、上記の通りメモリ13に保存されるが、判定結果に関する情報や帳票データは、必要に応じて、サブコン、ゼネコン、検査業者などの他の業者などにネットワークNWなどを介して適宜送信されるとよい。判定結果に関する情報や帳票データが、様々な業者に送信されることで、複数の業者間の情報共有が容易になる。また、帳票データや判定結果に関する情報は、複数の施工箇所に関して、サブコン、ゼネコン、検査業者などに一括で送信したりすることで、データの一括管理も可能になる。
なお、本実施形態では、帳票が、ルーチンに従って自動作成されるので、帳票を人手により作製する必要がなくなるので省人化が可能になる。
【0042】
メモリ13に保存される判定結果に関するデータ及び帳票データは、情報処理装置10の使用者の操作によって更新できない改ざん防止データとして保存されるとよい。改ざん防止データとして保存されることで、施工業者による恣意的な改ざん、操作ミスによるデータ加工などを防止することで、検査結果の信頼性を高めることができる。
ただし、上記の通りステップS12でNG判定が出された施工箇所に関しては、撮影画像の撮り直し、施工箇所の修繕、施工のやり直しなどを行い、再び検査ルーチンを行うことになるが、再度行われた検査ルーチンのステップS12,S13で生成される判定結果及び帳票データは、以前保存されていた判定結果及び帳票データに上書きしてメモリ13に保存されるとよい。
【0043】
ステップS13で示される帳票の別の一例を
図5に示す。上記した
図4に示す帳票27では、設計画像29が表示されていたが、本例の帳票37では、区画貫通処理材20の設計を示すための情報が、設計画像29の代わりに、文字情報からなる設計情報29Aとして示される。また、帳票37には、設計情報29Aに加えて、
図4の帳票27と同様に、施工箇所特定情報31、撮影画像30、及び区画貫通処理材20が適切に施工されているか否かなどを示す判定結果28が表示される。
本例において、設計情報29Aには国土交通大臣認定番号が含まれる。国土交通大臣認定番号は、防火区画を形成するための区画貫通処理材20の施工手順が定められたものであり、作業者は、認定番号により区画貫通処理材20をどのように設計すべきかを把握することができる。ただし、設計情報29Aは、認定番号以外に特定されてもよい。
【0044】
また、設計情報29Aは、区画貫通処理材20の施工対象の種類(ここでは、壁の種類)毎に示されており、施工対象の種類に応じて区画貫通処理材20をどのように施工するかが示される。したがって、作業員は、本帳票の設計情報29Aを見ることで、区画貫通処理材20を施工箇所においてどのように施工すべきかを把握することができる。そのため、帳票37において、作業員は、帳票37に含まれる、国土交通大臣認定番号(設計情報29A)と、撮影画像30とを見比べることで、目視でも設計通りに施工されていることが確認できる。
さらに、帳票37には、複数の施工対象に関する設計情報29Aが示されており、施工箇所が変わっても同じフォーマットの帳票37を使用できるので、帳票37の作成が複雑になることもない。
【0045】
次に、情報共有アプリケーションに上記検査ルーチンが組み込まれる場合を例に、本検査方法についてより詳細に説明する。
一般的に、ゼネコン、サブコン、検査業者、施工業者などの間で情報共有するために、情報共有アプリケーション(情報共有アプリ)が使用される。なお、情報共有アプリとしては市販品として、「Chex」(株式会社YSLソリューション製)などが知られているが、本実施形態では、市販品の情報共有アプリに適宜改良を加えて使用してもよい。
【0046】
情報共有アプリを使用する場合、情報処理装置10には、建築物の俯瞰図、設計図、間取り図、施工図(以下、総称して「建築図面」ともいう)などがダウンロードされ、メモリ13に保存されている。メモリ13に保存された、建築図面は、情報共有アプリが起動された状態で作業者の操作によって読み出される。そして、例えば一定の縮尺以上の建築図面が読み出された場合などには、
図6に示すとおりに、建築図面40において、建築資材が施工される予定の施工箇所がポインターPにより指し示され、或いはその施工箇所近傍をタッチ操作などすると施工箇所がポインターPにより指し示されるとよい。
【0047】
また、メモリ13(
図1参照)には、上記した通りに各施工箇所に紐付けられて設計情報が格納されている。そして、情報共有アプリを使用して、建築図面40が読み出されて表示部12に表示される場合、その施工箇所をタッチ操作などにより指定すると、表示部12には、各施工箇所に関する設計情報(例えば、建築資材の施工方法など)が表示される(
図6では、図示しない)。
【0048】
また、上記した撮影画像は、情報共有アプリを使用して、施工箇所と紐付けられるとよい。具体的には、情報共有アプリ上で、作業者によって読み出された撮影画像は、作業者の操作によって施工箇所に紐付けられてもよい。或いは、情報共有アプリにおいて施工箇所が指定された状態で、撮影画像が撮影されると、自動的に撮影画像が、当該施工箇所に紐付けられてもよい。以上のように、情報共有アプリを使用すると、撮影画像と施工箇所の紐付けが容易に行うこともできる。
【0049】
次に、別の実施形態(第2の実施形態)に係る検査方法を実行する検査ルーチンを説明する。第2の実施形態における検査ルーチンを
図7に示す。本実施形態における検査ルーチンは、撮影画像の判定の前に施工箇所に施工された建築資材の種類が、設計情報通りか否かを判定する。以下、第2の実施形態における検査ルーチンを第1の実施形態に係る検査ルーチンとの違いを中心に説明する。
【0050】
本実施形態における検査ルーチンは、特定の施工箇所に施工した建築資材を特定する情報(例えば、商品名)が入力されると開始されるとよい。入力は、プルダウン等で施工した商品名が入力されることで行われるとよい。入力は上記したアプリを使用して行われてもよく、アプリを使用する場合、例えば建築図面上において施工箇所が指定され、その指定された施工箇所に施工された建築資材が入力されるとよい。
一方で、設計情報では、通常、当該施工箇所に施工予定の建築資材(例えば、「フィブロックNEO」などの商品名)が指定されている。
【0051】
ステップS21では、設計情報から当該施工箇所に施工予定の建築資材を特定する情報が読み出されて、その読み出された商品名などの情報と、入力された商品名などの情報により、施工箇所に設計通りの種類の建築資材を施工したか否かを判定する。そして、指定された種類の資材が使用されたと判定すると、ステップS10に進み、上記第1の実施形態と同様のステップS11~S13が実行される。
なお、本実施形態では、本ルーチン開始前に上記の通りに建築資材を特定する情報(例えば、商品名)が入力される。そのため、判定基準情報などの設計情報が上記の通りに区画貫通処理材の種類ごと(例えば、商品ごと)にメモリに格納されていれば、ステップS11では、設計情報の読み出しが容易となる。
【0052】
一方で、ステップS21において、施工箇所に指定の種類の資材が使用されていないと判断された場合には、ステップS13に進み、ステップS13において、施工箇所に指定の建築資材が施工されていないとの判定結果28が表示される。判定結果28は、
図4、5を用いて説明したとおり、例えば帳票中に含ませて表示部12に表示されるとよい。ステップS13において、判定結果が表示されると本ルーチンは終了する。
なお、指定の建築資材が施工されていない判定結果が表示された場合、作業員は、建築資材(例えば、区画貫通処理材)の施工をし直した後改めて本ルーチンを行うとよい。
【0053】
また、第2の実施形態では、建築資材の種類(例えば、商品)ごとに入力フォームが準備されているとよく、建築資材を特定する情報(例えば、商品名)が入力され、ステップS21で指定された種類の資材が使用されたと判定されると、その入力された建築資材の入力フォームが立ち上がるとよい。ここで、入力フォームは、施工された建築資材の写真撮影の手法などを含む情報を有するとよい。そして、入力フォーム表示後に写真撮影が行われ撮影データが取り込まれると、ステップS10が行われるとよい。
このように、入力フォームが立ち上がると、作業員などは入力フォームの指示に従い、写真を撮影するとよいので、写真撮影が容易となる。また、入力フォームにより写真撮影の手法が表示される場合、第1の実施形態で説明したとおりに撮影ガイドも表示されてもよいが、撮影ガイドの表示は省略されてもよい。
【0054】
次に、第3の実施形態に係る検査ルーチンについて説明する。第3の実施形態に係る検査ルーチンを
図8に示す。上記第1及び第2の実施形態では、撮影された写真と、設計情報により、建築資材が設計通りに施工されている否かがステップS12で判定され、その結果がステップS13において表示されたが、設計通りに施工されたか否かが撮影された写真から自動で判断できない場合がある。そのため、本実施形態では、
図8に示すように、写真撮影で判断可能な建築資材であるか否かの判定を行うステップS31が追加される。以下、第3の実施形態における検査ルーチンを第2の実施形態に係る検査ルーチンとの違いを中心に説明する。
【0055】
本実施形態では、第2の実施形態と同様にステップS21、S10が行われた後、ステップS31では、施工された建築資材が後述するステップS12における判定ができる種類の資材であるか否かが判定される。ステップS31において、施工された資材がステップS12における判定ができない種類のものであると判断されるとステップS11,S12をスキップして、ステップS13に進む。ステップS13では、上記の通り帳票27、37が表示されるが、帳票27、37には、撮影された写真より自動判定できなかったことを示す判定結果28が表示される。
一方で、ステップS31において、施工された建築資材がステップS12における判定ができる建築資材であると判定されると、第1の実施形態で説明したとおりにステップS11,S12、S13が実行されるとよい。
【0056】
ステップS31における判定方法は、特に限定されないが、例えばステップS12において判定ができる資材(例えば、商品名)がリスト化されており、そのリスト化されたデータが読み出されて、判定されてもよい。或いは、ステップS12において照合されるべき設計情報が読み出すことができるか否かにより判定されてもよい。
【0057】
以上の各実施形態の説明において、建築資材は、
図2に示す区画貫通処理材20である例を前提に説明したが、建築資材は
図2に示す区画貫通処理材20に限定されない。例えば、
図2に示す区画貫通処理材20は、ベース部材21と、カバー部材22は一体で一つの部品を構成したが、これらは施工前には、一体となっておらず、別部品であってもよい。
別部品の場合には、例えば、ベース部材21及びカバー部材22のいずれもがシート状の部材であるとよく、ベース部材21は
図2に示すとおりに仕切り部19に密着する一方で、カバー部材22は、挿通体17の周りに巻き付けられるように配置されてもよい。このような区画貫通処理材の具体的な市販品としては、「ラクパッド」(株式会社古河テクノマテリアル社製)が挙げられる。
【0058】
また、区画貫通処理材20は、ベース部材21と、カバー部材22とを備えるものに限定されず、スリーブ状の部材を区画貫通部の孔にはめ込むタイプのものでもよい。ここで、スリーブ状の部材は、軸方向において一端から他端にわたって設けられるスリットにより分断されたものでもよい。また、スリーブ状の部材の場合には、スリーブ状の部材単体からなるものでもよいが、スリーブ状の部材に加えて、スリーブ状の部材の内側に配置されるシール材を備えるものでもよい。また、スリーブ状の部材自体も、単一の部品から構成される必要はなく、2つに分割されて一対の分割片からなり、突き合わされてスリーブ状となるものとしてもよい。
【0059】
スリーブ状の部材を有する区画貫通処理材の例としては、市販品として「耐火スポット」(株式会社古河テクノマテリアル社製)、「耐火ネオスリーブN」(因幡電機産業株式会社製)などが挙げられる。
スリーブ状の部材を有する区画貫通処理材を使用する場合も、上記で説明した方法と同様の方法で、ステップS12では判定が行われるとよい。
ただし、区画貫通処理材は、上記の通りに、施工後に全ての部品が外部から視認できることが好ましい。また、区画貫通処理材は、上記の通りパテ材を使用しないパテレスが好ましい。なお、パテ材は、施工時に変形を要するため、パテ材を使用することで作業者の熟練度などにより品質が変わるおそれがあるため、品質がバラつきやすくなる。
なお、区画貫通処理材は、複数の部品からなるものに限定されず、1つの部品からなるものでもよく、例えば上記の通り、スリーブ状の部材単体からなるものでもよい。
【0060】
また、区画貫通処理材は、壁以外の区画貫通部に適用されるものであってもよく、床、天井などの区画貫通部に施工されたものでもよい。また、検査対象は、区画貫通処理材以外の建築資材であってもよい。
【0061】
また、本実施形態では、情報処理装置10が撮像部11を備え、情報処理装置10の撮像部11によって、撮影画像が撮影される態様を説明したが、撮影画像は、情報処理装置10の撮像部11以外で撮影されたものでもよく、例えば、市販のデジタルカメラなどの撮像装置によって撮影された画像でもよい。そのような場合、撮像装置に撮影された撮影画像は、ネットワークNWなどを介して、或いは、不図示のインターフェースを介して情報処理装置10に送付されればよい。
【0062】
また、情報処理装置10は、スマートフォンやタブレット端末の例を示したが、ラップトップ型のパーソナルコンピューターでもよい。また、ポーダブル型に限定されず、据置型の情報処理装置でもよく、例えばデスクトップ型のパーソナルコンピューターでもよい。
【0063】
また、以上の各実施形態では、判定結果や帳票が、表示部に表示される態様が示されるが、表示部に表示されなくてもよい。判定結果や帳票は、表示部に表示されない場合でも、判定結果に関する情報や帳票データとしてメモリに格納されることで、その判定結果に関する情報や帳票データが、検査業者、請負業者、下請け業者などにネットワークNWなどを介して送信されることで活用されるとよい。
【0064】
また、判定部15で実行されるステップS12は、上記の方法に限定されず、様々な方法で行うことができ、例えばAIを使用して判定を行ってもよいし、公知の画像認識エンジンなどを利用して行ってもよい。
【0065】
また、上記の実施形態のステップS12では、各部品の位置関係のみが確認されたが、位置関係以外が確認されてもよく、例えば、区画貫通処理材20に付されたマーク、文字、図柄などの付帯情報が確認され、その確認された付帯情報と、設計情報を照合して、規定通りに施工されているか否かを判定してもよい。
例えば、
図2に示す区画貫通処理材20は、マーク26に特定の色が付されるが、その色を確認することで、適切に施工されているか否かを確認してもよい。
例えば、マーク26は、中空壁用が赤色、中空が無い壁用に青色が付されているが、マーク26の色(付帯情報)と、読み出された設計情報を照合して、規定通りに施工されているか否かを確認するとよい。
さらに、ステップS12における判定に使用される撮影画像は、1つである必要はなく、一方向から撮影しても区画貫通処理材の全部品を撮影できない場合などには、二方向以上から撮影して2つ以上の撮影画像を使用して判定してもよい。
【符号の説明】
【0066】
10 情報処理装置
11 撮像部
12 表示部
13 メモリ
14 制御部
15 判定部
17 挿通体
19 仕切り部
20 区画貫通処理材(建築資材)
21 ベース部材
22 カバー部材
23 主部品
24、25 固定具
27 帳票
28 判定結果
29 撮影画像
30 設計画像
CL1 第1クラウド
CL2 第2クラウド
NW 通信ネットワーク