(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024124990
(43)【公開日】2024-09-13
(54)【発明の名称】鉄筋組立方法及び鉄筋組立体の中間構造体
(51)【国際特許分類】
E04G 21/12 20060101AFI20240906BHJP
E04C 5/02 20060101ALI20240906BHJP
E04B 1/16 20060101ALI20240906BHJP
【FI】
E04G21/12 105A
E04C5/02
E04B1/16 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023033026
(22)【出願日】2023-03-03
(71)【出願人】
【識別番号】000174943
【氏名又は名称】三井住友建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001379
【氏名又は名称】弁理士法人大島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】富山 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】村尾 光則
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 隆志
【テーマコード(参考)】
2E164
【Fターム(参考)】
2E164BA02
2E164BA12
(57)【要約】
【課題】鉄筋の組立作業において、主鉄筋の配置作業を容易にする。
【解決手段】梁(5)の補強筋を構成する複数の主鉄筋(10)及び複数の主鉄筋を囲むように配置される複数のせん断補強鉄筋(11)を有する鉄筋組立体1を組み立てるための鉄筋組立方法は、複数のせん断補強鉄筋のそれぞれを、梁の上面(5A)から上方へ突出するように鉛直方向に延在させた状態で、梁の左右の両側に配置する第1ステップと、複数の主鉄筋のそれぞれを、梁の長軸方向に延在するように、梁の左右に配置されているせん断補強鉄筋の間に配置する第2ステップと、複数のせん断補強鉄筋のそれぞれの、梁の上面から上方へ突出した部分が左右方向に延在するように、複数のせん断補強鉄筋のそれぞれを屈曲させる第3ステップとを有する。第3ステップは第2ステップの後に行われる。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄筋コンクリート造の梁の補強筋を構成する複数の主鉄筋及び複数の前記主鉄筋を囲むように配置される複数のせん断補強鉄筋を有する鉄筋組立体を組み立てるための鉄筋組立方法であって、
複数の前記せん断補強鉄筋のそれぞれを、前記梁の上面から上方へ突出するように鉛直方向に延在させた状態で、前記梁の左右の両側に配置する第1ステップと、
複数の前記主鉄筋のそれぞれを、前記梁の長軸方向に延在するように、前記梁の左右に配置されている前記せん断補強鉄筋の間に配置する第2ステップと、
複数の前記せん断補強鉄筋のそれぞれの、前記梁の前記上面から上方へ突出した部分が左右方向に延在するように、複数の前記せん断補強鉄筋のそれぞれを屈曲させる第3ステップとを有し、
前記第3ステップは前記第2ステップの後に行われる、鉄筋組立方法。
【請求項2】
複数の前記せん断補強鉄筋のそれぞれの一部が埋没され、前記梁の左右の両側をなす1対の側壁部を有するハーフプレキャスト部材を用意する第4Aステップを更に有し、
前記第2ステップは、前記主鉄筋のうち、上端筋以外のものを配置する第2Aステップと、前記上端筋を配置する第2Bステップとを含み、
前記第4Aステップは前記第2Aステップの後に行われ、前記第2Bステップは前記第4Aステップの後に行われる請求項1に記載の鉄筋組立方法。
【請求項3】
複数の前記せん断補強鉄筋のそれぞれの一部が埋没され、前記梁の左右の両側をなす1対の側壁部及び、前記側壁部の下端同士を結合する底壁部を有するハーフプレキャスト部材を用意する第4Bステップを更に有し、
前記第2ステップは、前記主鉄筋のうち、上端筋以外のものを配置する第2Aステップと、前記上端筋を配置する第2Bステップとを含み、
前記第4Bステップは前記第2Aステップの後に行われ、前記第2Bステップは前記第4Bステップの後に行われる請求項1に記載の鉄筋組立方法。
【請求項4】
前記第3ステップにおいて前記せん断補強鉄筋のそれぞれが屈曲されたときに屈曲部の下方の部分が外側に孕み出すのを抑制するべく、前記梁の長軸方向に延在する補助鉄筋を、左右の前記せん断補強鉄筋の外方に配置する第5ステップを更に有し、
前記第5ステップは前記第3ステップの前に行われる請求項1に記載の鉄筋組立方法。
【請求項5】
鉄筋コンクリート造の梁の補強筋を構成する鉄筋組立体の中間構造体であって、
前記梁の長軸方向に延在する複数の主鉄筋と、
複数の前記主鉄筋の左右の両側に配置された複数のせん断補強鉄筋とを有し、
複数の前記せん断補強鉄筋のそれぞれは、前記梁の上面から上方へ突出するように、鉛直方向に延在する、中間構造体。
【請求項6】
該中間構造体はハーフプレキャスト部材であって、
前記梁の左右の両側をなす1対の側壁部を有し、
複数の前記せん断補強鉄筋のそれぞれの一部は、対応する側の前記側壁部に埋没されている請求項5に記載の中間構造体。
【請求項7】
該中間構造体はハーフプレキャスト部材であって、
左右の両側をなす1対の側壁部と、
前記側壁部の下端同士を結合する底壁部とを有し、
複数の前記せん断補強鉄筋のそれぞれの一部は、前記側壁部及び前記底壁部に埋没されている請求項5に記載の中間構造体。
【請求項8】
前記梁の長軸方向に延在する補助鉄筋を更に有し、
前記補助鉄筋は、前記梁の前記上面よりも低い位置において左右の前記せん断補強鉄筋の前記それぞれの外方に配置される請求項5に記載の中間構造体。
【請求項9】
柱の補強を行うための鉄筋コンクリート造の巻立部材の補強筋を構成する複数の主鉄筋及び複数の前記主鉄筋を囲むように配置される複数のせん断補強鉄筋を有する鉄筋組立体を組み立てるための鉄筋組立方法であって、
複数の前記せん断補強鉄筋のそれぞれを、前記柱の長軸方向及び、前記柱の長軸方向に直交する第1方向に直交する第2方向の、一方の前記柱の側面から外方へ突出するように水平方向に延在させた状態で、前記柱の前記第1方向の両側に配置する第1ステップと、
複数の前記主鉄筋のそれぞれを、前記柱の長軸方向に延在するように、前記柱の前記第1方向の両側に配置されている前記せん断補強鉄筋の間に配置する第2ステップと、
複数の前記せん断補強鉄筋のそれぞれの、前記第2方向の一方の前記柱の側面から外方へ突出した部分が前記第1方向に延在するように、複数の前記せん断補強鉄筋のそれぞれを屈曲させる第3ステップとを有し、
前記第3ステップは前記第2ステップの後に行われる、鉄筋組立方法。
【請求項10】
柱の補強を行うための鉄筋コンクリート造の巻立部材の補強筋を構成する鉄筋組立体の中間構造体であって、
前記柱の長軸方向に延在する複数の主鉄筋と、
前記柱の長軸方向に直交する第1方向の両側のそれぞれに配置された複数のせん断補強鉄筋とを有し、
複数の前記せん断補強鉄筋のそれぞれは、前記柱の長軸方向及び前記第1方向に直交する第2方向の一方の前記柱の側面から外方へ突出するように、水平方向に延在する、中間構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄筋コンクリート造の柱及び梁の補強筋を構成する鉄筋組立体を組み立てるための鉄筋組立方法及び鉄筋組立体の中間構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
橋脚の上部をなす柱頭部又はラーメン高架橋等に用いられる梁部材は、水平方向に延在する複数の主鉄筋及び、主鉄筋を囲むように配置された複数のスターラップ(せん断補強鉄筋)を有する。これらにより梁部材の補強筋が構成される。梁部材は、各鉄筋及び型枠の組立て後、コンクリートを打設することにより形成される。
【0003】
一般的に梁部材は現場にて組み立てられる。そのため、上記した梁部材を構築するためには、ある程度長い工期が必要となる。そこで、工期を短縮するために、梁部材の一部をなすハーフプレキャスト梁部材が用いられる(例えば、特許文献1)。特許文献1に記載のハーフプレキャストコンクリート梁部材は複数のせん断補強鉄筋を有し、各せん断補強鉄筋はその上部が露出するように(正面視でコの字状をなすように)コンクリート部に埋設されている。梁上部に配置される主鉄筋は、現場にて各せん断補強鉄筋の内側に配置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の梁においては、主鉄筋は各せん断補強鉄筋の内側を貫通するように長手方向に移動され、所定の位置に配置される。しかしながら、各せん断補強鉄筋の内側を貫通させるべき主鉄筋の数が多くなるにつれて、主鉄筋を配置するための作業がより煩雑になる。
【0006】
本発明は、以上の背景に鑑み、鉄筋の組立作業において、主鉄筋の配置作業を容易にすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は、鉄筋コンクリート造の梁(5)の補強筋を構成する複数の主鉄筋(10)及び複数の前記主鉄筋を囲むように配置される複数のせん断補強鉄筋(11)を有する鉄筋組立体(1)を組み立てるための鉄筋組立方法であって、複数の前記せん断補強鉄筋のそれぞれを、前記梁の上面(5A)から上方へ突出するように鉛直方向に延在させた状態で、前記梁の左右の両側に配置する第1ステップ(ST1、ST11)と、複数の前記主鉄筋のそれぞれを、前記梁の長軸方向に延在するように、前記梁の左右に配置されている前記せん断補強鉄筋の間に配置する第2ステップ(ST2、ST4、ST12、ST14)と、複数の前記せん断補強鉄筋のそれぞれの、前記梁の上面から上方へ突出した部分が左右方向に延在するように、複数の前記せん断補強鉄筋のそれぞれを屈曲させる第3ステップ(ST5、ST15)とを有し、前記第3ステップは前記第2ステップの後に行われる。ここで、鉄筋コンクリート造とは、コンクリート及び補強筋としての鉄筋を含むことを意味し、それ以外の部材を含んでいてもよい。例えば、鉄筋組立体は、プレストレス緊張材を含むPC構造の梁や鉄骨を含むSRC構造の梁の補強筋として用いられてもよい。
【0008】
この態様によれば、鉄筋の組み立て作業において、複数の主鉄筋のそれぞれを配置した後、せん断補強鉄筋を屈曲させることにより、鉄筋組立体が組み立てられる。したがって、主鉄筋を配置する作業において、せん断補強鉄筋が配置されていない状態で主鉄筋を配置することができる。これにより主鉄筋の配置作業が容易になる。
【0009】
上記の態様において、複数の前記せん断補強鉄筋のそれぞれの一部が埋没され、前記梁の左右の両側をなす1対の側壁部(18)を有するハーフプレキャスト部材を用意する第4Aステップ(ST3)を更に有し、前記第2ステップは、前記主鉄筋のうち、上端筋(12)以外のもの(14)を配置する第2Aステップ(ST2)と、前記上端筋を配置する第2Bステップ(ST4)とを含み、前記第4Aステップは前記第2Aステップの後に行われ、前記第2Bステップは前記第4Aステップの後に行われるとよい。
【0010】
この態様によれば、せん断補強鉄筋をコンクリートによって固定することができる。また、鉄筋組立体がハーフプレキャスト部材に組み込まれることにより、現場にて行われる作業の工期が短縮される。
【0011】
上記の態様において、複数の前記せん断補強鉄筋のそれぞれの一部が埋没され、前記梁の左右の両側をなす1対の側壁部(26)及び、前記側壁部の下端同士を結合する底壁部(28)を有するハーフプレキャスト部材を用意する第4Bステップ(ST3)を更に有し、前記第2ステップは、前記主鉄筋のうち、上端筋(12)以外のもの(13、14)を配置する第2Aステップ(ST2)と、前記上端筋を配置する第2Bステップ(ST4)とを含み、前記第4Bステップは前記第2Aステップの後に行われ、前記第2Bステップは前記第4Bステップの後に行われるとよい。
【0012】
この態様によれば、せん断補強鉄筋をコンクリートによって固定することができる。また、鉄筋組立体がハーフプレキャスト部材に組み込まれることにより、現場にて行われる作業の工期が短縮される。
【0013】
上記の態様において、前記第3ステップにおいて前記せん断補強鉄筋のそれぞれが屈曲されたときに屈曲部の下方の部分が外側に孕み出すのを抑制するべく、前記梁の長軸方向に延在する補助鉄筋(36)を、左右の前記せん断補強鉄筋の外方に配置する第5ステップ(ST13)を更に有し、前記第5ステップは前記第3ステップの前に行われるとよい。
【0014】
この態様によれば、せん断補強鉄筋を屈曲させるとき、せん断補強鉄筋の外方への孕み出しが抑制される。
【0015】
上記課題を解決するために、本発明は鉄筋コンクリート造の梁(5)の補強筋を構成する鉄筋組立体(1)の中間構造体(16、24)であって、前記梁の長軸方向に延在する複数の主鉄筋(10)と、複数の前記主鉄筋の左右の両側に配置された複数のせん断補強鉄筋(11)とを有し、複数の前記せん断補強鉄筋のそれぞれは、前記梁の上面(5A)から上方へ突出するように、鉛直方向に延在する。
【0016】
この態様によれば、梁の上面が開かれるため、主鉄筋の配置するときの作業空間が確保される。したがって、鉄筋の組立作業において、主鉄筋の配置作業が容易になる。
【0017】
上記の態様において、当該中間構造体(16)はハーフプレキャスト部材であって、前記梁の左右の両側をなす1対の側壁部(18)を有し、複数の前記せん断補強鉄筋のそれぞれの一部は、対応する側の前記側壁部に埋没されているとよい。
【0018】
この態様によれば、せん断補強鉄筋をコンクリートによって固定することができるため、せん断補強鉄筋の屈曲部の下方の部分が外側に孕み出すことが抑制される。また、鉄筋組立体がハーフプレキャスト部材に組み込まれることにより、現場にて行われる作業の工期が短縮される。
【0019】
上記の態様において、該中間構造体(24)はハーフプレキャスト部材であって、左右の両側をなす1対の側壁部(26)と、前記側壁部の下端同士を結合する底壁部(28)とを有し、複数の前記せん断補強鉄筋のそれぞれの一部は、前記側壁部及び前記底壁部に埋没されているとよい。
【0020】
この態様によれば、せん断補強鉄筋をコンクリートによって固定できるため、せん断補強鉄筋の屈曲部の下方の部分が外側に孕み出すことが抑制される。またハーフプレキャスト部材にすることにより、現場にて行われる作業の工期が短縮される。
【0021】
上記の態様において、前記梁の長軸方向に延在する補助鉄筋(36)を更に有し、前記補助鉄筋は、前記梁の前記上面よりも低い位置において左右の前記せん断補強鉄筋の前記それぞれの外方に配置されるとよい。
【0022】
この態様によれば、せん断補強鉄筋の外方への孕み出しが抑制される。
【0023】
上記課題を解決するために、本発明は、柱(40)の補強を行うための鉄筋コンクリート造の巻立部材の補強筋を構成する複数の主鉄筋(45、50)及び複数の前記主鉄筋を囲むように配置される複数のせん断補強鉄筋(46)を有する鉄筋組立体を組み立てるための鉄筋組立方法であって、複数の前記せん断補強鉄筋のそれぞれを、前記柱の長軸方向及び、前記柱の長軸方向に直交する第1方向(左右方向)に直交する第2方向(前後方向)の、一方の前記柱の側面から外方へ突出するように水平方向に延在させた状態で、前記柱の前記第1方向の両側に配置する第1ステップと、複数の前記主鉄筋のそれぞれを、前記柱の長軸方向に延在するように、前記柱の前記第1方向の両側に配置されている前記せん断補強鉄筋の間に配置する第2ステップと、複数の前記せん断補強鉄筋のそれぞれの、前記第2方向の一方の前記柱の側面から外方へ突出した部分が前記第1方向に延在するように、複数の前記せん断補強鉄筋のそれぞれを屈曲させる第3ステップとを有し、前記第3ステップは前記第2ステップの後に行われる。
【0024】
この態様によれば、コンクリート巻き立て作業において、複数の主鉄筋のそれぞれを配置した後、せん断補強鉄筋を屈曲させることにより、鉄筋組立体が組み立てられる。したがって、主鉄筋を配置する作業において、せん断補強鉄筋が配置されていない状態で主鉄筋を配置することができる。これにより主鉄筋の配置作業が容易になる。
【0025】
上記課題を解決するために、本発明は柱(40)の補強を行うための鉄筋コンクリート造の巻立部材の補強筋を構成する鉄筋組立体の中間構造体(39)であって、前記柱の長軸方向に延在する複数の主鉄筋(45、50)と、前記柱の長軸方向に直交する第1方向(左右方向)の両側のそれぞれに配置された複数のせん断補強鉄筋(46)とを有し、複数の前記せん断補強鉄筋のそれぞれは、前記柱の長軸方向及び前記第1方向に直交する第2方向(前後方向)の一方の前記柱の側面から外方へ突出するように、水平方向に延在する。
【0026】
この態様によれば、巻立部材の一方の側面が開かれるため、主鉄筋の配置するときの作業空間が確保される。したがって、鉄筋の組立作業において、主鉄筋の配置作業が容易になる。
【発明の効果】
【0027】
本発明は、鉄筋の組立作業において、主鉄筋の配置作業を容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】第1実施形態に係る鉄筋組立体が用いられた橋脚の上部を示す斜視図
【
図2】第1実施形態に係る柱直上部用鉄筋組立体の中間構造体を示す斜視図
【
図3】第1実施形態に係る張出部用鉄筋組立体の中間構造体を示す斜視図
【
図4】第1実施形態に係る鉄筋組立体の中間構造体における鉄筋組立手順を示すフロー図
【
図5】第1実施形態に係る鉄筋組立体の中間構造体における鉄筋組立方法を説明する図
【
図6】第2実施形態に係る柱直上部用鉄筋組立体の中間構造体を示す断面図
【
図7】第2実施形態に係る鉄筋組立体の中間構造体における鉄筋組立手順を示すフロー図
【
図8】第3実施形態に係る巻立部材の中間構造体を示す斜視図
【
図9】第3実施形態に係る鉄筋組立体の中間構造体における鉄筋を組み立てるための鉄筋組立方法を説明する図
【発明を実施するための形態】
【0029】
(第1実施形態)
以下、図面を参照しつつ、本発明に係る鉄筋組立体1について説明する。鉄筋組立体1は、鉄筋組立体1の鉄筋組み立て前の構造体である。
図1に示すように鉄筋組立体1は、鉄筋コンクリート造のT型橋脚4の上部である柱頭部5の補強筋をなす。
【0030】
鉄筋組立体1は、柱頭部5のうち、T型橋脚4の中央部6に接続された柱直上部の補強筋をなす柱直上部用鉄筋組立体7(
図2参照)と、柱直上部用鉄筋組立体7の一端及び他端のそれぞれから外方に向かって張り出した張出部用鉄筋組立体9(
図3参照)とを有する。張出部用鉄筋組立体9は、柱直上部用鉄筋組立体7と別体に形成され、現場にて適宜な継ぎ手を介して柱直上部用鉄筋組立体7に接続される。なお他の実施形態では、柱直上部用鉄筋組立体7と張出部用鉄筋組立体9とが一体に形成されてもよい。
【0031】
各鉄筋組立体7、9は、複数の梁主鉄筋10及び、複数の梁主鉄筋10を囲むように配置されるせん断補強鉄筋をなす複数のスターラップ11を有する。梁主鉄筋10は、柱頭部5の上部に配置される上端筋をなす複数の上端梁主鉄筋12と、柱頭部5の下部に配置される複数の下端梁主鉄筋13と、柱頭部5の側部に配置される複数の横梁主鉄筋14とを有する。スターラップ11は、柱直上部用鉄筋組立体7に配置された柱直上部側スターラップ20と、張出部用鉄筋組立体9に配置された張出部側スターラップ30とを有する。
【0032】
以下、柱頭部5の鉄筋組立体1の長軸方向、即ち各張出部用鉄筋組立体9が柱直上部用鉄筋組立体7から外方に張り出した方向(橋軸直角方向)を前後方向と規定して、左右の各方向を定めて説明する。各鉄筋組立体7、9は、対応する中間構造体16、24(
図2、
図3)に対して後述する鉄筋曲げ加工等を施すことによって形成される。
【0033】
図2に示すように、柱直上部用鉄筋組立体7の中間構造体16は、柱直上部の一部を構成するハーフプレキャスト部材であって、柱直上部の左右の両側をなす1対の柱直上部側側壁部18を有する。各柱直上部側側壁部18は、予め設けられた型枠にコンクリートを打設することにより形成される。各柱直上部側側壁部18には横梁主鉄筋14の中央部が埋没されている。
【0034】
各横梁主鉄筋14は、前側の張出部用鉄筋組立体9の中間構造体24から柱直上部用鉄筋組立体7の中間構造体16を通過して後側の張出部用鉄筋組立体9の中間構造体24に亘って延在している。
【0035】
各柱直上部側側壁部18の前部及び後部には、上下方向に延在する複数の柱直上部側スターラップ20が前後方向に間隔を空けて配置されている。各柱直上部側スターラップ20の下部は、対応する横梁主鉄筋14の外方に配置された状態で、対応する柱直上部側側壁部18に埋没されている。
【0036】
各柱直上部側スターラップ20の上部は、コンクリートの打設により形成される柱頭部5の上面5Aから上方へ突出するように、上下方向に延在している。これにより、左右の柱直上部側側壁部18の間の上方は開かれた状態となる。各柱直上部側スターラップ20の上部の先端は鉤状に形成されている。
【0037】
柱直上部用鉄筋組立体7の中間構造体16は、左右の柱直上部側側壁部18のそれぞれと一体に形成された1対の壁部21を更に有する。各壁部21は、その最も大きい面が左右方向を向くように、対応する柱直上部側側壁部18の内側に配置されている。壁部21には、複数のフープ筋22のそれぞれの一部が埋没されている。
【0038】
各フープ筋22は、平面視で略矩形をなし、上下方向に開かれた開口23を画定する。各フープ筋22の側部が対応する壁部21に埋没されることにより、左右の柱直上部側側壁部18が各フープ筋22を介して互いに接続される。
【0039】
図3に示すように、張出部用鉄筋組立体9の中間構造体24は、張出部の一部を構成するハーフプレキャスト部材であって、張出部の左右の両側をなす1対の張出部側側壁部26と、張出部側側壁部26の下端同士を結合する底壁部28とを有する。各張出部側側壁部26は、柱直上部から外方に張り出した後、その下縁が上方且つ外方に向かって延在するように形成されている。これにより、張出部用鉄筋組立体9の中間構造体24は、断面視で上方が開かれたコの字状に形成されている。
【0040】
各張出部側側壁部26には、対応する柱直上部側側壁部18から前後方向の外方に突出した横梁主鉄筋14の前端部又は後端部が埋没されている。底壁部28には、複数の下端梁主鉄筋13が、底壁部28の面に沿って前後方向に延在し且つ、左右方向に離間して配置された状態で埋没されている。
【0041】
張出部用鉄筋組立体9の中間構造体24には、複数の張出部側スターラップ30が前後方向に間隔を空けて配置されている。各張出部側スターラップ30は、上方が開かれたコの字状に形成され、上下方向に延在する1対の第1部分31と、各第1部分31の下端同士を結合する第2部分32とを有する。本実施形態では、図を簡略化するため、最も前にある張出部側スターラップ30についてのみ、各第1部分31及び第2部分32のコンクリート中の部分を破線で示した。
【0042】
各張出部側スターラップ30の一部は、各張出部側側壁部26及び底壁部28に埋没されている。具体的には、各第1部分31の下部は、対応する横梁主鉄筋14の外方に配置された状態で、対応する張出部側側壁部26に埋没されている。第2部分32は、下端梁主鉄筋13の下方に配置された状態で、底壁部28に埋没されている。
【0043】
各第1部分31の上部は、コンクリートの打設により形成される柱頭部5の上面5Aから上方へ突出するように、上下方向に延在している。これにより、左右の張出部側壁の間の上方が開かれた状態となる。また第1部分31の先端は、鉤状に形成されている。
【0044】
張出部用鉄筋組立体9の中間構造体24には、幅方向の中間位置にて主鉄筋を囲むための複数の中間鉄筋33(中子筋)が前後方向に間隔を空けて配置されている。各中間鉄筋33の上端にプレート状の機械式定着具34が設けられている。各中間鉄筋33は、上方が開かれたコの字状に形成され、その左右の幅は、張出部側スターラップ30の左右の幅よりも小さい。各中間鉄筋33の下側は、底壁部28に埋没されている。中間鉄筋33の上側には、下方が開かれたコの字状の中間鉄筋33(図示省略)が主鉄筋を囲むように配置される。
【0045】
以上のように構成された各鉄筋組立体7、9の中間構造体16、24において、各鉄筋組立体7、9を組み立てるための鉄筋組立方法を、
図4及び
図5を用いて説明する。以下の作業は作業者によって行われる。
【0046】
まず、柱直上部用鉄筋組立体7の中間構造体16及び張出部用鉄筋組立体9の中間構造体24を工場にて形成する。工場は、T型橋脚4の構築現場から離れた場所にあってもよく、T型橋脚4の構築現場のヤード内にあってもよい。具体的には、各スターラップ11(20、30)を、コンクリートの打設により形成される柱頭部5の上面5Aから上方へ突出するように上下方向に延在させた状態で、対応する左右方向に配置する(ST1)。各スターラップ11を配置するステップST1は、請求項に記載された第1ステップに対応する。次に、各スターラップ11の内側に各横梁主鉄筋14及び各下端梁主鉄筋13を配置する(ST2)。各横梁主鉄筋14及び各下端梁主鉄筋13を配置するステップST2は、請求項に記載された第2ステップ及び第2Aステップに対応する。これらの状態で、各側壁部18、26、各壁部21及び底壁部28を形成するべくコンクリートを打設し、所定の強度が発現するまでコンクリートを養生する。これにより、ハーフプレキャスト部材をなす柱直上部用鉄筋組立体7の中間構造体16及び張出部用鉄筋組立体9の中間構造体24が形成される(ST3)。柱直上部用鉄筋組立体7の中間構造体16を形成するステップST3は、請求項に記載された第4Aステップに対応する。張出部用鉄筋組立体9の中間構造体24を形成するステップST3は、請求項に記載された第4Bステップに対応する。脱型後、中間構造体16及び中間構造体24を、クレーンやトレーラー等を用いて構築現場に搬送する。
【0047】
図5(A)に示すように、柱直上部用鉄筋組立体7の中間構造体16及び張出部用鉄筋組立体9の中間構造体24をT型橋脚4の中央部6の上に配置する。このとき、T型橋脚4の中央部6から上方に延在する図示しない柱主鉄筋を、柱直上部用鉄筋組立体7の中間構造体16に配置された各フープ筋22によって画定された開口23に通過させるように配置する。各スターラップ11の上部は、対応する側壁部18、26から柱頭部5の上面5Aを通過して上方に突出された状態であるため、各側壁部18、26の間の上方が開かれた状態となる。
【0048】
図5(B)に示すように、複数の上端梁主鉄筋12を、前後方向に延在するように左右の各スターラップ11の間に配置する(ST4)。各上端梁主鉄筋12を配置するステップST4は、請求項に記載された第2ステップ及び第2Bステップに対応する。このとき上端梁主鉄筋12は、各鉄筋組立体7、9の中間構造体16、24に設けられた図示しない段取り筋によって支持されることにより、各側壁部18、26よりも上方に配置される。必要に応じて、横梁主鉄筋14を各側壁部18、26の上方に追加して配置してよい。支承の配置や鉄筋の組み立ての邪魔になれなければ、上端梁主鉄筋12の少なくとも一部を予め工場等で所定位置に配置しておいてもよい。
【0049】
複数の上端梁主鉄筋12を配置した後、
図5(C)に示すように左右の各スターラップ11を屈曲させる曲げ加工を施す(ST5)。各スターラップ11を屈曲させるステップST5は、請求項に記載された第3ステップに対応する。具体的には、左右の各スターラップ11の、コンクリートの打設により形成される柱頭部5の上面5Aから上方へ突出した部分が左右方向に延在するように、左右の各スターラップ11を内方に向けて屈曲させる。各スターラップ11の屈曲には、例えばハンド鉄筋ベンダ(製品名:鉄筋ストライナ、製品番号:DBR-32WN、(株)IKK製)が用いられるとよい。各スターラップ11の先端は、複数の上端梁主鉄筋12のうちの少なくとも1つに引っ掛かるように配置される。各スターラップ11の屈曲により、各スターラップ11は、各主鉄筋を囲むように配置される。以上の鉄筋の組み立てにより、各中間構造体16、24は、柱頭部5の補強筋をなす各鉄筋組立体7、9に形成される。
【0050】
以上のように構成された各鉄筋組立体7、9の各中間構造体16、24において、
図2及び
図3に示すように、各スターラップ11の上部は、対応する側壁部18、26から柱頭部5の上面5Aを通過して上方に突出するように延在するため、各側壁部18、26の間の上方が開かれた状態となる。即ち各スターラップ11が配置されていない状態で、複数の上端梁主鉄筋12を配置することができる。したがって上端梁主鉄筋12の配置作業が容易になる。
【0051】
柱直上部用鉄筋組立体7の中間構造体16は、ハーフプレキャスト部材であって、柱直上部側スターラップ20と、柱直上部側スターラップ20の下部を埋没させた左右1対の柱直上部側側壁部18とを有する。また、張出部用鉄筋組立体9の中間構造体24は、ハーフプレキャスト部材であって、張出部側スターラップ30と、張出部側スターラップ30の下部を埋没させた左右1対の張出部側側壁部26及び底壁部28とを有する。これらにより、各スターラップ11が各側壁部18、26(及び底壁部28)に固定されるため、各スターラップ11の屈曲部の下方の部分が外側に孕み出すのが抑制される。また、各鉄筋組立体7、9の対応する中間構造体16、24をハーフプレキャスト部材とすることで、現場における各種鉄筋の組み立てが短縮される。したがって現場にて行われる作業の工期が短縮される。
【0052】
なお、他の実施形態では、
図5(B)に示す上端梁主鉄筋12を配置する作業及び、
図5(C)に示す各スターラップ11を屈曲させる作業が、予め工場にて行われてもよい。この場合、上端梁主鉄筋12と各スターラップ11とが交差する部分を、例えば図示しない結束線を用いて結束させておくとよい。この状態で柱直上部用鉄筋組立体7の中間構造体16がT型橋脚4の中央部6の上に配置されるとよい。
【0053】
(第2実施形態)
第2実施形態における鉄筋組立体1の中間構造体は、ハーフプレキャスト部材ではなく、現場にて各種鉄筋が配置される。第1実施形態に係る中間構造体と同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
【0054】
図6及び
図7に示すように、張出部用鉄筋組立体9の中間構造体24の張出部側スターラップ30は、コンクリートの打設により形成される柱頭部5の上面5Aから上方へ突出するように配置される(ST11)。各張出部側スターラップ30を配置するステップST11は、請求項に記載された第1ステップに対応する。張出部側スターラップ30の配置後、上端梁主鉄筋12以外の梁主鉄筋10、即ち横梁主鉄筋14及び下端梁主鉄筋13が配置される(ST12)。各横梁主鉄筋14及び下端梁主鉄筋13を配置するステップST12は、請求項に記載された第2ステップに対応する。
【0055】
その後、前後方向に延在する補助鉄筋36が配置される(ST13)。補助鉄筋36を配置するステップST13は、請求項に記載された第5ステップに対応する。補助鉄筋36は、各張出部側スターラップ30に当接するように、左右の張出部側スターラップ30のそれぞれの外方且つ、後の張出部側スターラップ30の屈曲作業において張出部側スターラップ30を屈曲させる屈曲部の下部近傍に配置されている。その後、上端梁主鉄筋12は、前後方向に延在するように左右の各張出部側スターラップ30の間に配置される(ST14)。各上端梁主鉄筋12を配置するステップST14は、請求項に記載された第2ステップに対応する。これらの作業によって、張出部用鉄筋組立体9の中間構造体24が形成される。
【0056】
上端梁主鉄筋12の配置後、各張出部側スターラップ30を屈曲させることにより、各張出部側スターラップ30が上端梁主鉄筋12を含む梁主鉄筋10を囲むように配置される(ST15)。各張出部側スターラップ30を屈曲させるステップST15は、請求項1に記載された第3ステップに対応する。このとき、各補助鉄筋36は、各張出部側スターラップ30の屈曲部の下方の部分が外側に孕み出すのを抑制する。張出部側スターラップ30の屈曲後、各補助鉄筋36を取り外してよい。以上の鉄筋の組み立てにより、張出部用鉄筋組立体9は、張出部の補強筋をなす。図を簡略化するため、張出部用鉄筋組立体9の中間構造体24に設けられた中間鉄筋33を省略した。
【0057】
第2実施形態では、張出部用鉄筋組立体9の中間構造体24についてのみ説明したが、柱直上部用鉄筋組立体7の中間構造体16及び張出部用鉄筋組立体9の中間構造体24、が一体に形成されてもよい。この場合、横梁主鉄筋14及び補助鉄筋36は、前側の張出部用鉄筋組立体9の中間構造体24から柱直上部用鉄筋組立体7の中間構造体16を通過して後側の張出部用鉄筋組立体9の中間構造体24に亘って配置されてよい。
【0058】
なお、他の実施形態では各張出部側スターラップ30を屈曲させる作業の前であれば、各張出部側スターラップ30、各梁主鉄筋10及び各補助鉄筋36の配置作業の順序は上記に限定されず、適宜変更されてよい。
【0059】
(第3実施形態)
第3実施形態における鉄筋組立体1は、柱40(
図8参照)の補強を行うための鉄筋コンクリート造のコンクリート巻立部材(以下、巻立部材という。)の補強筋をなす巻立部材用鉄筋組立体である。
【0060】
図8に示すように、巻立部材用鉄筋組立体の中間構造体39は、巻立部材の一部を構成するハーフプレキャスト部材であって、柱40の長軸方向、即ち上下方向に直交する方向の両側をなす1対の第1側壁部43を有する。本実施形態では、1対の第1側壁部43は、左右方向の両側に配置されている。また、巻立部材用鉄筋組立体の中間構造体39は、各第1側壁部43の後端同士を結合する第2側壁部44を有する。各第1側壁部43及び第2側壁部44は、予め設けられた型枠にコンクリートを打設することにより形成される。これにより、巻立部材用鉄筋組立体の中間構造体39は、前方が開かれたコの字状の断面形状に形成されている。各第1側壁部43の内面及び第2側壁部44の内面によって画定された内側の寸法は、柱40の外寸法よりも大きく設けられている。
【0061】
巻立部材用鉄筋組立体の中間構造体39は、上下方向に延在する複数の第1柱主鉄筋45と、前後方向に延在する複数の巻立用フープ筋46とを有する。各第1柱主鉄筋45は、その下部が各第1側壁部43及び第2側壁部44に埋没された状態で、柱40の周方向に間隔を空けて配置されている。
【0062】
巻立用フープ筋46は、前方が開かれたコの字状に形成され、前後方向に延在する1対の第1部分48と、各第1部分48の後端同士を結合する第2部分49とを有する。本実施形態では、図を簡略化するため、最も上にある巻立用フープ筋46にのみ、各第1部分48及び第2部分49を付した。
【0063】
各第1部分48の後部は、第1柱主鉄筋45の外方に配置された状態で、対応する第1側壁部43に埋没されている。各第1部分48の前部は、コンクリートの打設により形成される柱40の前側面から外方、即ち前方へ突出するように延在している。第2部分49は、第1柱主鉄筋45の外方に配置された状態で、第2側壁部44に埋没されている。
【0064】
以上のように構成された巻立部材用鉄筋組立体の中間構造体39において、巻立部材用鉄筋組立体を組み立てるための鉄筋組立方法を、
図9を用いて説明する。以下の作業は作業者によって行われる。
【0065】
巻立部材用鉄筋組立体の中間構造体39を、各第1側壁部43の内面が対応する柱40の左右の側面に対向するように且つ、第2側壁部44の内面が柱40の後側面に対向するように、柱40の外周囲に配置する。これにより、各巻立用フープ筋46は、柱40の前側面から前方へ突出するよう延在することとなり、柱40の前方が開かれた状態となる。
【0066】
柱40の前方に、上下方向に延在する複数の第2柱主鉄筋50を、左右方向に間隔を空けつつ、左右の巻立用フープ筋46の間に配置する。第2柱主鉄筋50を配置した後、左右の巻立用フープ筋46のそれぞれの、コンクリートの打設により形成される柱40の前側面から前方へ突出した部分が左右方向に延在するように、左右の内方に向けて屈曲させる。これにより、各巻立用フープ筋46は、各柱40主鉄筋を囲むように配置される。
【0067】
以上の鉄筋の組み立てにより、巻立部材用鉄筋組立体の中間構造体39は、巻立部材の補強筋をなす巻立部材用鉄筋組立体に形成される。その後の型枠の組み立て及びコンクリートの打設により、巻立部材用鉄筋組立体が形成され、柱40が補強される。
【0068】
各巻立用フープ筋46は、柱40の前側面から前方へ突出するように延在するため、柱40の前方が開かれた状態となる。即ち各巻立用フープ筋46が配置されていいない状態で、複数の第2柱主鉄筋50を配置することができる。したがって第2柱主鉄筋50の配置作業が容易になる。
【0069】
以上で具体的な実施形態の説明を終えるが、本発明は上記実施形態や変形例に限定されることなく、幅広く変形実施することができる。第1実施形態では、鉄筋組立体1の中間構造体は、橋脚の梁部材の補強筋を形成するために用いられているが、ラーメン高架橋の梁部材の補強筋を形成するために用いられてもよい。また第1実施形態では、張出部側スターラップ30は上方が開かれたコの字状に形成されているが、柱直上部側スターラップ20と略同形状をなしてもよい。この場合、各張出部側スターラップ30の下部が、対応する張出部側側壁部26に埋没されるとよい。第2実施形態と第3実施形態とを組み合わせることにより、巻立部材用鉄筋組立体の中間構造体39の各種鉄筋が現場にて配置されてもよい。また、各部材や部位の具体的構成や配置、数量、素材等、本発明の趣旨を逸脱しない範囲であれば適宜変更することができる。また、上記実施形態に示した各構成要素は全てが必須ではなく、適宜選択することができる。
【符号の説明】
【0070】
1 :鉄筋組立体
5 :柱頭部(梁)
5A :上面
10 :梁主鉄筋(主鉄筋)
11 :スターラップ(せん断補強鉄筋)
12 :上端梁主鉄筋(上端筋)
13 :下端梁主鉄筋(上端筋以外のもの)
14 :横梁主鉄筋(上端筋以外のもの)
16 :柱直上部用鉄筋組立体の中間構造体(中間構造体)
18 :柱直上部側側壁部(側壁部)
24 :張出部用鉄筋組立体の中間構造体(中間構造体)
26 :張出部側側壁部(側壁部)
28 :底壁部
36 :補助鉄筋
39 :巻立部材用鉄筋組立体の中間構造体(中間構造体)
40 :柱
45 :第1柱主鉄筋(主鉄筋)
46 :巻立用フープ筋(せん断補強鉄筋)
50 :第2柱主鉄筋(主鉄筋)