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特開2024-124997制御装置、制御方法及び制御プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024124997
(43)【公開日】2024-09-13
(54)【発明の名称】制御装置、制御方法及び制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   B01D 61/10 20060101AFI20240906BHJP
   B01D 61/12 20060101ALI20240906BHJP
   B01D 65/08 20060101ALI20240906BHJP
   C02F 1/44 20230101ALI20240906BHJP
【FI】
B01D61/10
B01D61/12
B01D65/08
C02F1/44 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023033038
(22)【出願日】2023-03-03
(71)【出願人】
【識別番号】000006507
【氏名又は名称】横河電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松井 康弘
(72)【発明者】
【氏名】上口 純司
【テーマコード(参考)】
4D006
【Fターム(参考)】
4D006GA03
4D006GA06
4D006GA07
4D006JA53Z
4D006KA01
4D006KA33
4D006KA41
4D006KA53
4D006KA54
4D006KA55
4D006KA56
4D006KA57
4D006KA64
4D006KA71
4D006KB04
4D006KB22
4D006KB23
4D006KB30
4D006KD11
4D006KD24
4D006KD30
4D006KE03P
4D006KE07P
4D006KE09P
4D006KE13P
4D006KE16P
4D006KE19P
4D006KE23P
4D006KE30P
4D006KE30Q
4D006PA01
4D006PB08
4D006PC51
(57)【要約】
【課題】水処理システムの処理コストをより低減する。
【解決手段】制御装置は、取得部と、制御部と、を備えることを特徴とする。取得部は、逆浸透膜装置に処理水を流入するためのポンプの物理量を取得する。制御部は、ポンプの物理量に応じて処理水への薬品の注入を制御する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
逆浸透膜装置に処理水を流入するためのポンプの物理量を取得する取得部と、
前記ポンプの前記物理量に応じて前記処理水への薬品の注入を制御する制御部と、
を備え、
前記薬品は、前記逆浸透膜装置の閉塞を防止する薬品である、
ことを特徴とする制御装置。
【請求項2】
前記取得部は、前記ポンプ内の前記処理水の水質に関する水質情報を取得し、
前記制御部は、前記ポンプ内の前記水質情報に応じて前記処理水への前記薬品の前記注入を制御することを特徴とする請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記取得部は、保安フィルタの物理量に関する物理量情報及び水質に関する水質情報の少なくとも一方を取得し、
前記制御部は、前記保安フィルタの前記物理量情報及び前記水質情報の少なくとも一方に応じて前記処理水への前記薬品の前記注入を制御することを特徴とする請求項1に記載の制御装置。
【請求項4】
前記物理量は、前記ポンプの振動、水量及び水圧の少なくとも1つであることを特徴とする請求項1に記載の制御装置。
【請求項5】
前記水質情報は、電気伝導率及び水温の少なくとも一方を含むことを特徴とする請求項2に記載の制御装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記薬品を注入するタイミング、及び、注入する前記薬品の量の少なくとも一方を制御することを特徴とする請求項1に記載の制御装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記物理量を解析し、前記薬品の前記注入を制御する、請求項1に記載の制御装置。
【請求項8】
前記ポンプは、前記逆浸透膜装置へ前記処理水を供給する高圧ポンプ及び増圧ポンプの少なくとも一方であることを特徴とする請求項1に記載の制御装置。
【請求項9】
コンピュータが
逆浸透膜装置に処理水を流入するためのポンプの物理量を取得し、
前記ポンプの前記物理量に応じて前記処理水への薬品の注入を制御する、
処理を実行し、
前記薬品は、前記逆浸透膜装置の閉塞を防止する薬品である、
制御方法。
【請求項10】
コンピュータに
逆浸透膜装置に処理水を流入するためのポンプの物理量を取得し、
前記ポンプの前記物理量に応じて前記処理水への薬品の注入を制御する、
処理を実行させ、
前記薬品は、前記逆浸透膜装置の閉塞を防止する薬品である、
制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御装置、制御方法及び制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ろ過膜を備える膜ろ過装置を用いて処理水を浄化する水処理システムが知られている。膜ろ過装置を用いた水処理システムは、安定して高い品質で処理水を浄化することができる。
【0003】
一方、膜ろ過装置を用いた水処理システムは、水に含まれる不純物が膜表面に析出することで膜詰まりが発生する場合がある。この膜詰まりを解消するために、膜ろ過装置の洗浄が定期的に実行される。
【0004】
従来、ろ過膜の膜抵抗の値を予測し、膜抵抗の値に応じて膜ろ過装置の洗浄を制御する装置が知られている。この装置では、圧力計、流量計、及び、水温計の計測値から膜抵抗の実績値を算出し、算出した実績値に応じて洗浄の制御を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2020-104093号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
例えば、RO(Reverse Osmosis)膜を用いた膜ろ過装置(逆浸透膜装置)では、定期的に膜洗浄が行われるとともに、膜詰まり(閉塞)の防止を目的とした薬品(例えば、スケール防止剤(Anti-Scalant)や生物繁殖防止剤(Biocide))の注入が行われる。
【0007】
一般的に、これらの薬品は、連続的にRO膜の供給水に注入される。これらの薬品のコストが高く、常に供給水に注入されるため、運転コストが割高になる一因となっていた。そのため、RO膜に注入される薬品の注入を最適化することで、運転コストを抑制することが求められている。
【0008】
一つの側面では、逆浸透膜装置に注入される薬品をより適切に制御することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
一側面にかかる制御装置は、取得部と、制御部と、を備えることを特徴とする。取得部は、逆浸透膜装置に処理水を流入するためのポンプの物理量を取得する。制御部は、前記ポンプの前記物理量に応じて前記処理水への薬品の注入を制御する。
【発明の効果】
【0010】
一実施形態によれば、逆浸透膜装置に注入される薬品をより適切に制御することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本開示の実施形態に係る制御処理の一例を示す図である。
図2】本開示の実施形態に係る逆浸透膜装置の構成例を示す図である。
図3】本開示の実施形態に係る制御装置の構成例を示すブロック図である。
図4】本開示の実施形態に係る制御処理の一例を説明するための図である。
図5】本開示の実施形態に係る制御処理の他の例を説明するための図である。
図6】本開示の実施形態に係る制御処理の他の例を説明するための図である。
図7】本開示の実施形態に係る制御処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図8】制御装置のハードウェア構成例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本願の開示する制御装置、制御方法及び制御プログラムの実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、ここで説明する実施形態により本願の発明が限定されるものではない。
【0013】
また、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明は適宜省略する。なお、複数の同一の要素につき、区別を要する場合は、同一符号の後に数字を付して区別する場合がある。複数の同一の要素につき、区別を要しない場合は、同一符号のみを付す。例えば、同一の構成要素である「ポンプ」を「第1ポンプ121_1」、「第2ポンプ121_2」等と記載して区別する場合がある。また、「第1ポンプ121_1」、「第2ポンプ121_2」等を特に区別しない場合は単に「ポンプ121」と記載する。
【0014】
また、各実施形態は、矛盾のない範囲内で適宜組み合わせることができる。
【0015】
[1.はじめに]
[1.1.課題]
下水や雨水などの排水に対する水処理は、一般的に、大きく一次処理、二次処理、及び、三次処理の3つの処理に分類される。
【0016】
一次処理では、排水に含まれる夾雑物のような大きな固形物の除去が行われる。二次処理では、一次処理で除去しきれなかった有機物を微生物(バクテリア)によって除去する。二次処理では、例えば活性汚泥処理、硝化脱窒反応処理等が行われる。三次処理では、二次処理で除去しきれなかった浮遊性固形物の除去が行われる。三次処理では、例えば膜ろ過処理によって浮遊性固形物の沈殿除去が行われる。
【0017】
三次処理で行われる膜ろ過処理には、大きく2種類のろ過膜を用いた膜ろ過処理が含まれる。1つが、MF膜(MicroFiltration membrane)又はUF膜(UltraFiltration membrane)を用いた膜ろ過処理である。もう1つが、RO膜(Reverse Osmosis membrane)を用いた膜ろ過処理(以下、RO膜処理とも記載する)である。
【0018】
詳細は後述するが、RO膜処理では、大きく3つのステージに分けて膜ろ過が行われる。各ステージでは、供給水がRO膜によって透過水と濃縮水に分離される。透過水は、膜ろ過処理後のRO膜透過水として後段の処理(例えばUV処理など)が施される。濃縮水は、後段のステージへ供給され、RO膜による膜ろ過が行われる。最後のステージでは濃縮排水として水処理システム外に排水される。
【0019】
ここで、RO膜処理では、定期的な膜洗浄に加え、連続的にRO膜の供給水に薬品を注入するのが常である。この薬品として、例えば、RO膜の閉塞防止を目的としたスケール防止剤(Anti-Scalant)や生物繁殖防止剤(Biocide)などが挙げられる。
【0020】
上述したように、RO膜処理は3つのステージにわけられ、各ステージでRO膜を用いたろ過が行われる。各ステージへの供給水は、前段のステージの濃縮水である。そのため、例えば第1のステージと第3のステージとでは濃度的に5倍程度と、各ステージに供給される水質が大幅に異なる。そのため、各ステージで使用される薬品も異なる。例えば、第1のステージでは微生物を殺傷するための薬品(Anti-ScalantやBiocideなど)が使用され、第3のステージでは酸性の薬品(硫酸など)が使用される。
【0021】
一般的に、これらの薬品の注入量はAIを用いて制御される。これらの薬品はRO膜の詰まり(閉塞)を防止し、RO膜の使用期間を長くするために使用される。しかしながら、これらの薬品は高価であり、薬品の使用量の増加が運転コストを増加させる一因となっている。
【0022】
そのため、これらの薬品の使用量をより適切に管理することが求められる。
【0023】
また、下水や雨水などの排水を飲用水に再生する水処理プロセスでは、主にMF膜又はUF膜を用いた膜ろ過処理、RO膜処理、及び、UV-AOP(Advanced Oxidation Process:紫外線を用いた促進酸化処理)が実施される。このとき、RO膜には、常時3mg/L以下のクロラミンを含む処理水が供給される。この3mg/Lというクロラミン濃度、及び、クロラミンを常時注入するという点が、次亜塩素酸ナトリウムなどの薬品のコスト上昇や、芳香族ポリアミド系素材のRO膜の損傷と関連付けられるという報告が出始めている。
【0024】
[1.2.制御処理の概要]
そこで、本開示の実施形態では、水処理の制御を行う制御装置が、RO膜ろ過装置に処理水を流入するためのポンプの物理量を取得し、このポンプの物理量に応じて処理水への薬品(例えば、Anti-Scalantなど)の注入を制御する。例えば、制御装置は、薬品の注入制御として、薬品の注入タイミングや注入量を制御する。
【0025】
これにより、制御装置は、より適切な薬品の注入制御を実現することができる。制御装置は、薬品コストをより削減し、RO膜の使用期間をより長くすることができる。
【0026】
図1を用いて、制御装置による制御処理の一例について説明する。
【0027】
図1は、本開示の実施形態に係る制御処理の一例を示す図である。図1に示す水処理システム10は、水処理装置100及び制御装置200を有する。水処理装置100は、下水や雨水などの排水を生活用水や飲用水に再生する。
【0028】
水処理装置100には、例えば、排水に対して活性汚泥処理、硝化脱窒反応処理等が施された処理水(すなわち、一次処理及び二次処理が施された処理水)が供給される。水処理装置100は、供給される処理水に対して膜処理等を施す。すなわち、水処理装置100は、主に上述した三次処理を行う。
【0029】
水処理装置100によって処理された処理水は、例えば塩素などによって消毒が行われ、生活用水や飲用水として使用される。
【0030】
活性汚泥処理、硝化脱窒反応処理等は、例えば下水処理施設にて実施される。水処理装置100は、例えば下水処理施設にて処理された排水に対して膜処理等を施す。
【0031】
図1に示す水処理装置100は、膜ろ過装置110、逆浸透膜装置120、UV処理装置130を備える。
【0032】
膜ろ過装置110は、供給水に対してろ過膜によって微生物や粒子状物質を除去する。膜ろ過装置110のろ過膜は、例えば、限外ろ過膜(UF膜)、精密ろ過膜(MF膜)などである。
【0033】
逆浸透膜装置120には、膜ろ過装置110による処理水が供給される。逆浸透膜装置120は、供給水に対してイオンや塩類などの不純物を除去する。逆浸透膜装置120は、逆浸透膜(RO膜)を備える。
【0034】
図1に示す逆浸透膜装置120は、ポンプ121及び注入装置122を備える。ポンプ121は、膜ろ過装置110による処理水をRO膜に供給する。注入装置122は、RO膜への供給水に、例えばAnti-Scalantなどの薬品を注入する。
【0035】
UV処理装置130には、逆浸透膜装置120による処理水が供給される。UV処理装置130は、供給される処理水に対してUV-AOP(Advanced Oxidation Process:紫外線を用いた促進酸化処理)を実施する。これにより、UV処理装置130は、供給水に含まれる微量化学物質(例えばNDMA)を酸化分解する。
【0036】
膜ろ過装置110に供給される供給水を膜ろ過供給水とも記載する。逆浸透膜装置120に供給される供給水を逆浸透膜供給水と記載する。UV処理装置130に供給される供給水をUV供給水とも記載する。
【0037】
制御装置200は、水処理装置100の各部を制御する。本実施形態に係る制御装置200は、図1に示す制御処理を実行する。
【0038】
制御装置200は、制御処理として、まず、ポンプ121の物理量情報を取得する(ステップS1)。ポンプ121の物理量情報は、例えば、ポンプ121の物理量(例えば、振動、水量及び水圧の少なくとも1つ)に関する情報を含む。
【0039】
次に、制御装置200は、取得した物理量情報に応じて薬品の注入を決定する(ステップS2)。例えば、制御装置200は、薬品の注入方法(注入タイミングや注入量)を決定する。例えば、制御装置200は、物理量情報に基づき、ポンプ121の物理量の変化や挙動の解析を行うことで、薬品の注入方法を決定する。
【0040】
制御装置200は、決定した注入方法に基づき、薬品の注入を制御する(ステップS3)。例えば、制御装置200は、決定した注入方法を注入装置122に通知することで、薬品の注入を制御する。
【0041】
これにより、水処理装置100は、逆浸透膜装置120に注入する薬品をより適切に制御することができる。
【0042】
[2.システム構成例]
[2.1.逆浸透膜装置の構成例]
図2は、本開示の実施形態に係る逆浸透膜装置120の構成例を示す図である。図2に示す逆浸透膜装置120は、第1~第3ポンプ121_1~121_3、注入装置122、第1~第3RO膜ユニット123_1~123_3、及び、保安フィルタ124を備える。逆浸透膜装置120は、さらに、第1~第7圧力センサ125_1~125_7、第1~第7振動センサ126_1~126_7、及び、第1~第4流量センサ127_1~127_4を備える。
【0043】
(RO膜ユニット123)
第1RO膜ユニット123_1は、RO膜A1~A6を備える。第1RO膜ユニット123_1には、例えば、保安フィルタ124を介してRO膜供給水が供給される。第1RO膜ユニット123_1は、RO膜A1~A6を用いてRO膜供給水をRO膜透過水(RO膜ろ過水)と第1RO膜濃縮水とに分離する。第1RO膜ユニット123_1は、第1RO膜濃縮水を第2RO膜ユニット123_2に供給する。この第1RO膜ユニット123_1による膜ろ過処理は、上述した第1のステージでの膜ろ過処理に相当する。
【0044】
第2RO膜ユニット123_2は、RO膜B1~B6を備える。第2RO膜ユニット123_2には、例えば、第1RO膜ユニット123_1から第1RO膜濃縮水が供給される。第2RO膜ユニット123_2は、RO膜B1~B6を用いて第1RO膜濃縮水をRO膜透過水と第2RO膜濃縮水とに分離する。第2RO膜ユニット123_2は、第2RO膜濃縮水を第3RO膜ユニット123_3に供給する。この第2RO膜ユニット123_2による膜ろ過処理は、上述した第2のステージでの膜ろ過処理に相当する。
【0045】
第3RO膜ユニット123_3は、RO膜C1~C6を備える。第3RO膜ユニット123_3には、例えば、第2RO膜ユニット123_2から第2RO膜濃縮水が供給される。第3RO膜ユニット123_3は、RO膜C1~C6を用いて第2RO膜濃縮水をRO膜透過水と濃縮排水とに分離する。第3RO膜ユニット123_3は、濃縮排水を水処理装置100外に排水する。この第3RO膜ユニット123_3による膜ろ過処理は、上述した第3のステージでの膜ろ過処理に相当する。
【0046】
逆浸透膜装置120は、RO膜透過水をUV処理装置130(図1参照)に供給する。
【0047】
(ポンプ121)
第1ポンプ121_1は、保安フィルタ124にRO膜供給水を注入するフィーダーポンプである。第2ポンプ121_2は、保安フィルタ124を通過したRO膜供給水を第1RO膜ユニット123_1に注入する高圧ポンプ(HPP:High Pressure Pump)である。第3ポンプ121_3は、第2RO膜濃縮水を第3RO膜ユニット123_3に注入する増圧ポンプ(Booster Pump)である。逆浸透膜装置120は、これらのポンプ121を用いてRO膜供給水をRO膜ユニット123に供給する。
【0048】
(注入装置122)
注入装置122は、保安フィルタ124を通過したRO膜供給水に薬品(例えば、Anti-Scalant)を注入する。なお、ここでは、注入装置122が保安フィルタ124の後段で薬品を注入する例を示しているが、注入装置122は、保安フィルタ124の前段で薬品を注入するようにしてもよい。また、ここでは、注入装置122がRO膜供給水に薬品を注入する例を示しているが、注入装置122が、第1、第2RO膜濃縮水に薬品を注入するようにしてもよい。
【0049】
(保安フィルタ124)
保安フィルタ124は、RO膜供給水に含まれる微粒子等を取り除くためのフィルタである。保安フィルタ124は、RO膜の損傷を防ぐために、第1RO膜ユニット123_1の前段に設けられる。
【0050】
(圧力センサ125)
第1圧力センサ125_1は、第1ポンプ121_1の流出部(保安フィルタ124の流入部)におけるRO膜供給水の圧力を測定する。第2圧力センサ125_2は、保安フィルタ124の流出部(第2ポンプ121_2の流入部)におけるRO膜供給水の圧力を測定する。第3圧力センサ125_3は、第2ポンプ121_2の流出部(第1RO膜ユニット123_1の流入部)におけるRO膜供給水の圧力を測定する。
【0051】
第4圧力センサ125_4は、第1RO膜ユニット123_1の第1RO膜濃縮水の流出部(第2RO膜ユニット123_2の流入部)における第1RO膜濃縮水の圧力を測定する。第5圧力センサ125_5は、第2RO膜ユニット123_2の第2RO膜濃縮水の流出部(第3ポンプ121_3の流入部)における第2RO膜濃縮水の圧力を測定する。
【0052】
第6圧力センサ125_6は、第3ポンプ121_3の流出部(第3RO膜ユニット123_3の流入部)における第2RO膜濃縮水の圧力を測定する。第7圧力センサ125_7は、第3RO膜ユニット123_3の濃縮排水の流出部における濃縮排水の圧力を測定する。
【0053】
圧力センサ125は、計測結果を制御装置200に出力する。
【0054】
(振動センサ126)
第1振動センサ126_1は、保安フィルタ124の振動を測定する。第2振動センサ126_2は、保安フィルタ124の流出部(第2ポンプ121_2の流入部)の配管(RO膜供給水の配管)の振動を測定する。第3振動センサ126_3は、第2ポンプ121_2の振動を検出する。
【0055】
第4振動センサ126_4は、第1RO膜ユニット123_1の第1RO膜濃縮水の流出部(第2RO膜ユニット123_2の流入部)の配管(第1RO膜濃縮水の配管)の振動を測定する。第5振動センサ126_5は、第2RO膜ユニット123_2の第2RO膜濃縮水の流出部(第3ポンプ121_3の流入部)の配管(第2RO膜濃縮水の配管)の振動を測定する。
【0056】
第6振動センサ126_6は、第3ポンプ121_3の流出部(第3RO膜ユニット123_3の流入部)の配管(第2RO膜濃縮水の配管)の振動を測定する。第7振動センサ126_7は、第3RO膜ユニット123_3の濃縮排水の流出部の配管(濃縮排水の配管)の振動を測定する。
【0057】
振動センサ126は、計測結果を制御装置200に出力する。
【0058】
(流量センサ127)
第1流量センサ127_1は、第1RO膜ユニット123_1から流出するRO膜透過水の単位時間当たりの流出量を計測する。第2流量センサ127_2は、第2RO膜ユニット123_2から流出するRO膜透過水の単位時間当たりの流出量を計測する。
【0059】
第3流量センサ127_3は、第3RO膜ユニット123_3から流出するRO膜透過水の単位時間当たりの流出量を計測する。第4流量センサ127_4は、第3RO膜ユニット123_3から流出する濃縮排水の単位時間当たりの流出量を測定する。
【0060】
なお、流量センサ127がRO膜透過水等の水温を測定するようにしてもよい。あるいは、流量センサ127とともに設けられた水温センサ(図示省略)が、RO膜透過水等の水温を測定するようにしてもよい。
【0061】
流量センサ127は、計測結果を制御装置200に出力する。
【0062】
なお、図2での図示は省略しているが、逆浸透膜装置120が電気伝導率計を備えていてもよい。電気伝導率計は、例えば、第1RO膜ユニット123_1に供給されるRO膜供給水の配管、RO膜透過水の配管、及び、第1、第2RO膜濃縮水の配管にそれぞれ配置されうる。電気伝導率計は、これらの電気伝導率を測定する。
【0063】
[2.2.制御装置の構成例]
上述したように、本実施形態に係る制御装置200は、RO膜供給水をRO膜ユニット123に供給する第2、第3ポンプ121_2、121_3、及び、保安フィルタ124の物理量に関する物理量情報や水質に関する水質情報を各センサから取得する。
【0064】
制御装置200は、物理量情報として、例えば、第2、第3ポンプ121_2、121_3、及び、保安フィルタ124の物理量(振動、水量、水圧など)に関する情報を取得する。
【0065】
制御装置200は、水質情報として、例えば、第2、第3ポンプ121_2、121_3、及び、保安フィルタ124の水質(電気伝導率や水温など)に関する情報を取得する。
【0066】
制御装置200は、取得した物理量情報及び水質情報に基づき、物理量や水質の変位、挙動の解析を行う。制御装置200は、解析結果に基づき、薬品の注入方法(注入タイミング、及び、注入量)を制御する。
【0067】
このように、本実施形態に係る制御装置200は、ポンプ121の物理量(例えば、振動、水量、水圧など)に応じて、RO膜の閉塞を防止する薬品(例えばAnti-Scalant)の注入を最適化する。例えば、制御装置200は、注入の最適化として、薬品の注入タイミング、濃度を対象とする制御を行う。
【0068】
これにより、制御装置200は、適切な薬品の注入制御を実現することができ、薬品コストの削減、及び、RO膜の延命化を両立させることができる。
【0069】
また、制御装置200は、取得した物理量情報及び水質情報に基づき、RO膜の詰まり具合(閉塞状況)を予測、検知する。制御装置200は、水量に関する水量情報や、水質に関する水質情報、圧力に関する圧力情報、振動に関する振動情報などを解析し、RO膜の詰まり具合(閉塞状況)を予測、検知する。
【0070】
以下、これらを実行する制御装置200の構成の一例について説明する。
【0071】
図3は、本開示の実施形態に係る制御装置200の構成例を示すブロック図である。図4に示す制御装置200は、通信部210と、記憶部220と、制御部230と、を備える。
【0072】
(通信部210)
通信部210は、他の装置とデータ通信を行う。例えば、通信部210は、水処理装置100の各装置と通信を行う。
【0073】
(記憶部220)
記憶部220は、制御部230が動作する際に参照する各種情報や、制御部230が動作する際に取得する各種情報を記憶する。記憶部220は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、または、ハードディスク、光ディスク等の記憶装置等で実現され得る。なお、図4の例では、記憶部220は、制御装置200の内部に設置されているが、制御装置200の外部に設置されてもよいし、複数の記憶部が設置されていてもよい。
【0074】
(制御部230)
制御部230は、制御装置200全体及び水処理装置100を制御する。制御部230は、取得部231と、解析部232と、注入制御部233と、ポンプ制御部234を備える。ここで、制御部230は、例えば、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)等の電子回路やASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路により実現され得る。
【0075】
(取得部231)
取得部231は、水処理装置100から各種情報を取得する。取得部231は、圧力センサ125から測定結果を圧力情報として取得する。取得部231は、振動センサ126から測定結果を振動情報として取得する。取得部231は、流量センサ127から測定結果を流量情報として取得する。取得部231は、取得した各種情報を解析部232及びポンプ制御部234に出力する。
【0076】
(解析部232)
解析部232は、取得部231が取得した各種情報に基づき、RO膜の閉塞状況の解析を行う。例えば、解析部232は、RO膜の閉塞状況の予測や検知を行う。
【0077】
解析部232は、例えば、保安フィルタ124、第2、第3ポンプ121_2、121_3の振動センサ126が測定した振動情報に基づき、RO膜や保安フィルタ124の閉塞状況の解析(例えば、予測、検知など)を行う。
【0078】
本実施形態では、保安フィルタ124、第2、第3ポンプ121_2、121_3で発生するサージング現象で引き起こされる振動に着目する。
【0079】
例えば、保安フィルタ124の閉塞は、周波数(速度毎秒あたりの繰り返し回数(Hz))、及び、振動波動現状における伝達速度mm/secの関係から検出できると考えられる。
【0080】
例えば、配管の振動特性事例において、周波数及び伝達速度の関係に基づいた異常値の定義が行われている。この定義は、配管の異常検知に適用されている。
【0081】
本実施形態では、振動特性事例を、保安フィルタ124やRO膜の閉塞にも適用する。解析部232は、振動情報から、周波数や伝達速度を解析することで、保安フィルタ124やRO膜の閉塞状況の解析(予測や検知)を行う。
【0082】
なお、解析部232は、第1、第2RO膜濃縮水の配管に設置された振動センサ126が測定した振動情報を用いてRO膜の閉塞状況の解析を行ってもよい。解析部232は、保安フィルタ124、第2、第3ポンプ121_2、121_3の振動に加えて(又は、代えて)、配管の振動に基づき、RO膜の閉塞状況を解析しうる。
【0083】
また、解析部232は、RO膜の供給水の配管や第1、第2RO膜濃縮水の配管等に配置された圧力センサ125の測定結果(圧力情報)に基づき、RO膜閉塞に伴う圧力の上昇率ΔPのモニタリングや解析を行う。
【0084】
ここで、RO膜の定格水量は設計段階において予め設定されている。そのため、RO膜が閉塞すると、逆浸透膜装置120の水量をこの定格水量に維持するため、ポンプ121の駆動圧力が上昇する。解析部232は、圧力情報を用いてRO膜の閉塞状況の解析を行う。
【0085】
また、解析部232は、RO膜供給水の配管、RO膜透過水の配管、及び、第1、第2RO膜濃縮水の配管等に配置された流量センサ127の測定結果(流量情報)に基づき、逆浸透膜装置120全体の流体の量(マテリアルバランス)のモニタリングや解析を行う。ここで、マテリアルバランスは、流入量及び流出量をそれぞれ時間的に積算した差分である。
【0086】
解析部232は、例えば、第1~第3RO膜ユニットそれぞれの透過水量の変位量、及び膜透過率のモニタリング及び解析を行う。ここで、膜透過率は、所定流速を維持するための駆動圧力を用いて評価される。また、流速は、単位面積当たりの流量である。流速は、粘性の影響を受けるため、水温もモニタリングした換算値として評価の対象となる。
【0087】
また、解析部232が、電気伝導率計の計測結果に基づいてRO膜の脱塩率のモニタリング及び解析を行ってもよい。一般的に、RO膜の脱塩率は、RO膜が閉塞して昇圧するに伴って流速を維持させることで上昇する。また、RO膜が劣化すると、脱塩率は低下する。脱塩率は、RO膜の塩分除去率(例えば、電気伝導率による差分)に基づいて算出される。
【0088】
解析部232は、例えば、同一条件(運転圧力、流速(単位面積当たりの流量)、水温など)あたりの脱塩率の低下より、実質のRO膜の寿命(残り使用期間)を試算(解析)する。
【0089】
(注入制御部233)
注入制御部233は、解析部232の解析結果に基づき、逆浸透膜装置120に注入する薬品の注入方法(例えば、タイミングや量)を制御する。注入制御部233は、注入方法に応じて注入装置122を制御することで、逆浸透膜装置120に注入する薬品を適切に制御する。
【0090】
例えば、上述した振動に関して、RO膜の状態や経年変化によって、振動周波数と振動速度の特性が変化すると考えられる。解析部232は、この振動の2次元(振動周波数及び振動速度)挙動を解析し、注入制御部233は、解析結果に応じて薬品の注入(例えば、注入率)を変化させる。
【0091】
一般的に、RO膜は1年に2~4回、薬品を用いて洗浄される。例えば、コスト削減のため半年間薬品洗浄を実施しないこと、つまり、薬品洗浄の頻度を1年に2回とすることを目標とする。この場合、RO膜は週ごと又は月ごとに徐々に閉塞していく。
【0092】
この閉塞が進行することによって、保安フィルタ124、第2、第3ポンプ121_2、121_3の振動特性が変化する。解析部232は、この振動特性の変化を解析する。注入制御部233は、解析結果に応じて、例えば、Anti-Scalant(抗ファウリング剤)の注入方法(注入率、又は、注入シーケンス)を最適に実現する。ここで、注入シーケンスは、Anti-Scalantを間欠的に注入する場合において、注入のオン/オフタイミングである。
【0093】
また、RO膜の寿命(使用期間)は、一般的に5~10年である。解析部232は、膜の経年変化に応じた振動特性の変化を解析する。注入制御部233は、経年変化に応じた振動挙動の解析結果に応じて、薬品(例えばAnti-Scalant)の注入方法の最適化を図る。
【0094】
このように、注入制御部233は、例えばポンプ121等の物理量(例えば、振動、水質や圧力など)に応じて、薬品の注入方法を適切に制御する。これにより、制御装置200は、より適切な薬品の注入制御を実現することができる。制御装置200は、薬品コストをより削減し、RO膜の使用期間(寿命)をより長くすることができる。
【0095】
(ポンプ制御部234)
ポンプ制御部234は、ポンプ121の制御を行う。ポンプ制御部234は、逆浸透膜装置120の水量が設定流量に維持されるように、ポンプ121の駆動圧力を制御する。例えば、RO膜が閉塞すると逆浸透膜装置120の流量が減少する。そのため、ポンプ制御部234は、減少した流量が設定流量まで回復するようポンプ121の駆動圧力を上昇させるPID制御制御を実行する。
【0096】
[3.制御処理例]
[3.1.振動に応じた制御処理例]
上述したように、制御装置200は、例えば、ポンプ121の物理量に応じて、薬品の注入を制御する。ここでは、制御装置200が、ポンプ121の物理量として、ポンプ121の振動に応じて薬品の注入を制御する場合の制御処理例について説明する。
【0097】
図4は、本開示の実施形態に係る制御処理の一例を説明するための図である。
【0098】
制御装置200は、第2ポンプ121_2の振動に関する振動情報を第3振動センサ126_3から取得する(ステップS11)。また、制御装置200は、第3ポンプ121_3の振動に関する振動情報を第6振動センサ126_6から取得する(ステップS12)。このように、制御装置200は、ポンプ121の物理量(ここでは、第2、第3ポンプ121_2、121_3の振動)を取得する。
【0099】
制御装置200は、取得した振動に関する振動情報を解析する(ステップS13)。例えば、制御装置200は、取得した振動情報を解析し、RO膜の閉塞状況の予測や検知を行う。
【0100】
制御装置200は、解析結果に応じて、注入装置122を制御する(ステップS14)。例えば、制御装置200は、解析結果に応じて、薬品の注入方法(注入タイミングや注入量)を決定し、決定内容を注入装置122に指示(制御指示)する。
【0101】
このように、制御装置200は、ポンプ121の振動に応じて、薬品注入をより適切に制御することができる。
【0102】
[3.2.振動及び水質に応じた制御処理例]
上述した制御処理例では、制御装置200がポンプ121の振動に応じて薬品の注入制御を行うとしたが、制御装置200がポンプ121の振動に加えて(又は代えて)水質に応じて薬品の注入制御を行ってもよい。すなわち、制御装置200は、ポンプ121の物理量としてポンプ121の振動及び水質に応じて薬品の注入制御を行いうる。
【0103】
図5は、本開示の実施形態に係る制御処理の他の例を説明するための図である。
【0104】
制御装置200は、第2ポンプ121_2の振動に関する振動情報を第3振動センサ126_3から取得する(ステップS21)。制御装置200は、第2ポンプ121_2の水質に関する水質情報を取得する(ステップS22)。ここで、水質情報は、例えば、電気伝導率に関する情報及び水温に関する情報の少なくとも一方を含む。制御装置200は、例えば、第2ポンプ121_2に設置された電気伝導率計や水温計(いずれも図示省略)から水質情報を取得する。
【0105】
また、制御装置200は、第3ポンプ121_3の振動に関する振動情報を第6振動センサ126_6から取得する(ステップS23)。制御装置200は、第3ポンプ121_3の水質に関する水質情報を取得する(ステップS24)。上述したように、水質情報は、例えば、電気伝導率に関する情報及び水温に関する情報の少なくとも一方を含む。制御装置200は、例えば、第3ポンプ121_3に設置された電気伝導率計や水温計(いずれも図示省略)から水質情報を取得する。
【0106】
このように、制御装置200は、ポンプ121の物理量(ここでは、第2、第3ポンプ121_2、121_3の振動及び水質)を取得する。
【0107】
制御装置200は、取得した振動に関する振動情報及び水質に関する水質情報を解析する(ステップS25)。例えば、制御装置200は、取得した振動情報及び水質情報を解析し、RO膜の閉塞状況の予測や検知を行う。
【0108】
制御装置200は、解析結果に応じて、注入装置122を制御する(ステップS26)。例えば、制御装置200は、解析結果に応じて、薬品の注入方法(注入タイミングや注入量)を決定し、決定内容を注入装置122に指示(制御指示)する。
【0109】
このように、制御装置200は、ポンプ121の振動及び水質に応じて、薬品注入をより適切に制御することができる。
【0110】
[3.3.保安フィルタの物理量に応じた制御処理例]
上述した制御処理例では、制御装置200がポンプ121の物理量に応じて薬品の注入制御を行うとしたが、制御装置200が保安フィルタ124の物理量に応じて薬品の注入制御を行ってもよい。すなわち、制御装置200は、ポンプ121の物理量に加えて(又は、代えて)保安フィルタ124の物理量に応じて薬品の注入制御を行いうる。
【0111】
図6は、本開示の実施形態に係る制御処理の他の例を説明するための図である。なお、図5の処理と同じ処理には同一符号を付し説明を省略する。
【0112】
制御装置200は、保安フィルタ124の振動に関する振動情報を第1振動センサ126_1から取得する(ステップS31)。制御装置200は、保安フィルタ124の水質に関する水質情報を取得する(ステップS32)。ここで、水質情報は、例えば、電気伝導率に関する情報及び水温に関する情報の少なくとも一方を含む。制御装置200は、例えば、保安フィルタ124に設置された電気伝導率計や水温計(いずれも図示省略)から水質情報を取得する。
【0113】
このように、制御装置200は、ポンプ121(ここでは、第2、第3ポンプ121_2、121_3)及び保安フィルタ124の物理量(ここでは、振動及び水質)を取得する。
【0114】
制御装置200は、取得した振動に関する振動情報及び水質に関する水質情報を解析する(ステップS33)。例えば、制御装置200は、取得した振動情報及び水質情報を解析し、保安フィルタ124及びRO膜の閉塞状況の予測や検知を行う。
【0115】
制御装置200は、解析結果に応じて、注入装置122を制御する(ステップS34)。例えば、制御装置200は、解析結果に応じて、薬品の注入方法(注入タイミングや注入量)を決定し、決定内容を注入装置122に指示(制御指示)する。
【0116】
このように、制御装置200は、ポンプ121及び保安フィルタ124の振動及び水質に応じて、薬品注入をより適切に制御することができる。
【0117】
[3.4.制御処理の流れ]
図7は、本開示の実施形態に係る制御処理の流れの一例を示すフローチャートである。図7に示す制御処理は、水処理システム10によって水処理が実行されている間、制御装置200によって繰り返し実行される。
【0118】
図7に示すように、制御装置200は、水処理装置100から物理量情報を取得する(ステップS101)。例えば、制御装置200は、ポンプ121及び保安フィルタ124の物理量情報を取得する。物理量情報は、例えば振動情報を含む。
【0119】
次に、制御装置200は、取得した物理量情報を解析する(ステップS102)。制御装置200は、解析結果に基づき、薬品の注入タイミング及び注入量を決定する(ステップS103)。
【0120】
制御装置200は、決定した注入タイミング及び注入量で薬品を注入する(ステップS104)。具体的には、制御装置200は、決定したタイミングで、決定した量の薬品を注入するよう注入装置122を制御する。
【0121】
なお、ここでは、制御装置200が水処理装置100から物理量情報を取得するとしたが、制御装置200が物理情報に加えて水質情報を取得するようにしてもよい。この場合、制御装置200は、物理量情報及び水質情報に基づき、薬品の注入タイミング及び注入量を制御する。
【0122】
以上のように、本実施形態に係る制御装置200は、ポンプ121の物理量に基づき、逆浸透膜装置120への薬品注入を制御する。これにより、制御装置200は、逆浸透膜装置120への薬品注入をより適切に制御することができる。
【0123】
[4.システム]
上記文書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0124】
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散や統合の具体的形態は図示のものに限られない。つまり、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。
【0125】
さらに、各装置にて行なわれる各処理機能は、その全部または任意の一部が、CPUおよび当該CPUにて解析実行されるプログラムにて実現され、あるいは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現され得る。
【0126】
[5.ハードウェア]
次に、情報提供装置である制御装置200のハードウェア構成例を説明する。図8は、制御装置200のハードウェア構成例を説明する図である。図8に示すように、制御装置200は、通信装置200a、HDD(Hard Disk Drive)200b、メモリ200c、プロセッサ200dを有する。また、図8に示した各部は、バス等で相互に接続される。
【0127】
通信装置200aは、ネットワークインタフェースカードなどであり、他のサーバとの通信を行う。HDD200bは、図3に示した機能を動作させるプログラムやDBを記憶する。
【0128】
プロセッサ200dは、図3に示した各処理部と同様の処理を実行するプログラムをHDD200b等から読み出してメモリ200cに展開することで、図4等で説明した各機能を実行するプロセスを動作させる。例えば、このプロセスは、制御装置200が有する各処理部と同様の機能を実行する。具体的には、プロセッサ200dは、取得部231、解析部232、注入制御部233、ポンプ制御部234等と同様の機能を有するプログラムをHDD200b等から読み出す。そして、プロセッサ200dは、取得部231、解析部232、注入制御部233、ポンプ制御部234等と同様の処理を実行するプロセスを実行する。
【0129】
このように、制御装置200は、プログラムを読み出して実行することで各種処理方法を実行する装置として動作する。また、制御装置200は、媒体読取装置によって記録媒体から上記プログラムを読み出し、読み出された上記プログラムを実行することで上記した実施形態と同様の機能を実現することもできる。なお、この他の実施形態でいうプログラムは、制御装置200によって実行されることに限定されるものではない。例えば、他のコンピュータまたはサーバがプログラムを実行する場合や、これらが協働してプログラムを実行するような場合にも、本発明を同様に適用することができる。
【0130】
このプログラムは、インターネットなどのネットワークを介して配布することができる。また、このプログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク(FD)、CD-ROM、MO(Magneto-Optical disk)、DVD(Digital Versatile Disc)などのコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行することができる。
【0131】
[6.その他]
開示される技術特徴の組合せのいくつかの例を以下に記載する。
(1)
逆浸透膜装置に処理水を流入するためのポンプの物理量を取得する取得部と、
前記ポンプの前記物理量に応じて前記処理水への薬品の注入を制御する制御部と、
を備え、
前記薬品は、前記逆浸透膜装置の閉塞を防止する薬品である、
ことを特徴とする制御装置。
(2)
前記取得部は、前記ポンプ内の前記処理水の水質に関する水質情報を取得し、
前記制御部は、前記ポンプ内の前記水質情報に応じて前記処理水への前記薬品の前記注入を制御することを特徴とする(1)に記載の制御装置。
(3)
前記取得部は、保安フィルタの物理量及び水質の少なくとも一方を取得し、
前記制御部は、前記保安フィルタの前記物理量及び前記水質の少なくとも一方に応じて前記処理水への前記薬品の前記注入を制御することを特徴とする(1)又は(2)に記載の制御装置。
(4)
前記物理量は、前記ポンプの振動、水量及び水圧の少なくとも1つであることを特徴とする(1)又は(3)に記載の制御装置。
(5)
前記水質情報は、電気伝導率及び水温の少なくとも一方を含むことを特徴とする(2)又は(3)に記載の制御装置。
(6)
前記制御部は、前記薬品を注入するタイミング、及び、注入する前記薬品の量の少なくとも一方を制御することを特徴とする(1)~(5)のいずれか1つに記載の制御装置。
(7)
前記制御部は、前記物理量を解析し、前記薬品の前記注入を制御する、(1)~(6)のいずれか1つに記載の制御装置。
(8)
前記ポンプは、前記逆浸透膜装置へ前記処理水を供給する高圧ポンプ及び増圧ポンプの少なくとも一方であることを特徴とする(1)~(7)のいずれか1つに記載の制御装置。
(9)
コンピュータが
逆浸透膜装置に処理水を流入するためのポンプの物理量を取得し、
前記ポンプの前記物理量に応じて前記処理水への薬品の注入を制御する、
処理を実行し、
前記薬品は、前記逆浸透膜装置の閉塞を防止する薬品である、
制御方法。
(10)
コンピュータに
逆浸透膜装置に処理水を流入するためのポンプの物理量を取得し、
前記ポンプの前記物理量に応じて前記処理水への薬品の注入を制御する、
処理を実行させ、
前記薬品は、前記逆浸透膜装置の閉塞を防止する薬品である、
制御プログラム。
【符号の説明】
【0132】
10 水処理システム
100 水処理装置
110 膜ろ過装置
120 逆浸透膜装置
121 ポンプ
122 注入装置
124 保安フィルタ
125 圧力センサ
126 振動センサ
127 流量センサ
130 UV処理装置
200 制御装置
210 通信部
220 記憶部
230 制御部
231 取得部
232 解析部
233 注入制御部
234 ポンプ制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8