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  • 特開-液体採取具 図1
  • 特開-液体採取具 図2
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  • 特開-液体採取具 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024124999
(43)【公開日】2024-09-13
(54)【発明の名称】液体採取具
(51)【国際特許分類】
   G01N 1/00 20060101AFI20240906BHJP
   B01L 3/02 20060101ALI20240906BHJP
【FI】
G01N1/00 101K
B01L3/02 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023033042
(22)【出願日】2023-03-03
(71)【出願人】
【識別番号】501315762
【氏名又は名称】株式会社サカエ
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 有一
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 浩一
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 良順
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 賢太
(72)【発明者】
【氏名】松本 弘一
【テーマコード(参考)】
2G052
4G057
【Fターム(参考)】
2G052AD06
2G052BA14
2G052CA02
2G052CA23
4G057AB11
(57)【要約】
【課題】従来の液体採取具において、一定量の液体を採取することができるとともに、採取に要する時間を短縮することが求められている。
【解決手段】液体採取具10は、採取する液体に接触する先端面18と、先端面18で開口する液体入口20と、液体入口20から延びる毛細管孔22であって、毛細管現象によって該液体入口20から該毛細管孔22の内部に液体を吸い上げて保持する、毛細管孔22とを備える。毛細管孔22を画定する内壁24は、液体入口20に隣接して設けられ、該液体入口20へ向かうにつれて毛細管孔22の面積を増大させるように延在する円弧面24bを有する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を採取する液体採取具であって、
採取する液体に接触する先端面と、
前記先端面で開口する液体入口と、
前記液体入口から延びる毛細管孔であって、毛細管現象によって該液体入口から該毛細管孔の内部に液体を吸い上げて保持する、毛細管孔と、を備え、
前記毛細管孔を画定する内壁は、前記液体入口に隣接して設けられ、該液体入口へ向かうにつれて前記毛細管孔の面積を増大させるように延在する円弧面を有する、液体採取具。
【請求項2】
前記先端面は、前記毛細管孔の中心軸線と直交する平面である、請求項1に記載の液体採取具。
【請求項3】
前記先端面には、前記液体入口へ向かって直線状に延びる第1の凹凸部が形成されている、請求項1に記載の液体採取具。
【請求項4】
前記内壁には、前記第1の凹凸部とは異なる形状の第2の凹凸部が形成されている、請求項3に記載の液体採取具。
【請求項5】
前記円弧面の表面積は、前記先端面の表面積よりも大きい、請求項1に記載の液体採取具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、液体を採取する液体採取具に関する。
【背景技術】
【0002】
液体を採取する液体採取具が知られている(例えば、特許文献1)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008-11880号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の液体採取具において、一定量の液体を採取することができるとともに、採取に要する時間を短縮することが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様において、液体を採取する液体採取具は、採取する液体に接触する先端面と、先端面で開口する液体入口と、液体入口から延びる毛細管孔であって、毛細管現象によって該液体入口から該毛細管孔の内部に液体を吸い上げて保持する、毛細管孔とを備える。毛細管孔を画定する内壁は、液体入口に隣接して設けられ、該液体入口へ向かうにつれて毛細管孔の面積を増大させるように延在する円弧面を有する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】一実施形態に係る液体採取具の斜視図である。
図2図1に示す液体採取具において毛細管部を拡大した拡大図である、
図3図2に示す毛細管部を軸方向下方から見た図である。
図4図2に示す毛細管部において、毛細管孔を画定する円筒面を拡大した拡大図であって、該円筒面に形成された第2の凹凸部を示す。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本開示の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下に説明する種々の実施形態において、同様の要素には同じ符号を付し、重複する説明を省略する。まず、図1を参照して、一実施形態に係る液体採取具10について説明する。液体採取具10は、例えば血液のような液体を採取するために用いられる中空の用具であって、樹脂(例えば、アクリル樹脂)から構成される。
【0008】
具体的には、液体採取具10は、基端部12、本体部14、及び毛細管部16を備える。基端部12、本体部14、及び毛細管部16は、中心軸線Aを有する円筒状の部材である。毛細管部16は、毛細管現象を利用して液体を吸い上げて保持する。以下、図2及び図3を参照して、毛細管部16について詳細に説明する。なお、以下の説明において、軸方向とは、中心軸線Aに沿う方向を示し、径方向とは、中心軸線Aを中心とする円の半径方向を示し、周方向とは、該円の円周方向を示す。また、以下の説明においては、便宜上、図2中の矢印Bに示す方向を軸方向下方とする。
【0009】
毛細管部16は、本体部14の軸方向下端に一体に形成され、先端面18、液体入口20、及び22を有する。本実施形態においては、先端面18は、毛細管孔22の中心軸線Aと直交する略平面であって、所定の外径φ1(例えば、φ1=1.2mm)を有するとともに、表面積E1(例えば、E1=0.345mm)を有している。先端面18は、液体を採取するときに該液体に接触する。
【0010】
ここで、本実施形態においては、先端面18に、第1の凹凸部18a(図3)が形成されている。第1の凹凸部18aは、液体入口20へ向かって直線状に延びるように形成されている。液体入口20は、所定の直径φ2(例えば、φ2=1.0mm)を有する円形孔であって、先端面18で軸方向下方へ向かって開口する。
【0011】
毛細管孔22は、液体入口20から軸方向上方へ延び、毛細管部16を軸方向に貫通する。毛細管孔22は、内壁24によって画定されている。より具体的には、内壁24は、円筒面24a、及び円弧面24bを有する。円筒面24aは、中心軸線Aを有し、軸方向の上端28から下端30まで中心軸線Aと平行に延在する。
【0012】
円筒面24aは、所定の直径φ3(例えば、φ3=0.6mm)を有する。(すなわち、φ1>φ2>φ3)。ここで、本実施形態においては、円筒面24aには、第2の凹凸部24c(図4)が形成されている。第2の凹凸部24cは、いわゆる磨き加工等によって形成されるようなランダムな凹凸形状を有し、故に、先端面18の第1の凹凸部18aとは異なる形状を有する。
【0013】
円弧面24bは、所定の曲率半径R4(例えば、R4=0.2mm)を有し、液体入口20に隣接して設けられている。より具体的には、円弧面24bは、その軸方向上端が円筒面24aの下端30に接続し、その軸方向下端が液体入口20を画定し、周方向に円環状に延在する。円弧面24bは、円筒面24aの下端30から液体入口20へ向かうにつれて毛細管孔22の面積を増大させるように、下端30から液体入口20へ向かって径方向外側へ湾曲状に延在する。円弧面24bは、所定の表面積E2(例えば、E2=0.6mm)を有している。すなわち、本実施形態においては、円弧面24bの表面積E2は、先端面18の表面積E1よりも大きい(E2>E1)。
【0014】
次に、液体採取具10の機能について説明する。液体を採取するとき、使用者は、毛細管部16の先端面18を該液体に接触させる。そうすると、液体は、毛細管現象によって液体入口20から毛細管孔22の内部に吸い上げられ、該毛細管孔22内に保持される。こうして、液体採取具10によって所定量の液体を採取することができる。
【0015】
以上のように、本実施形態においては、液体採取具10は、採取する液体に接触する先端面18と、該先端面18で開口する液体入口20と、該液体入口20から延びる毛細管孔22とを備え、該毛細管孔22は、毛細管現象によって液体入口20から該毛細管孔22の内部に液体を吸い上げて保持する。そして、毛細管孔22を画定する内壁24は、液体入口20に隣接して設けられ、該液体入口20へ向かうにつれて毛細管孔22の面積を増大させるように延在する円弧面24bを有する。
【0016】
ここで、本発明者は、鋭意検討の結果、液体採取具10において、先端面18と、該先端面18で開口する液体入口20を画定する円弧面24bとを組み合わせることで、一定量の液体を、より短時間で採取可能となることを見出した。本実施形態によれば、液体採取具10は、先端面18及び円弧面24bを具備することで、一定量の液体を毛細管孔22に正確に保持することができるとともに、採取に掛かる時間を短縮することができる。
【0017】
また、本実施形態においては、先端面18は、毛細管孔22の中心軸線Aと直交する平面である。この構成によれば、先端面18で液体を捉えて、該液体を毛細管孔22内に確実に導入することができる。しかしながら、先端面18は、必ずしも平面でなくてもよい。例えば、先端面18は、曲面を有してもよい。また、先端面18は、中心軸線Aと直交することなく、該中心軸線Aに対して傾斜するテーパ面であってもよい。
【0018】
また、本実施形態においては、先端面18には、液体入口20へ向かって直線状に延びる第1の凹凸部18aが形成されている。ここで、本発明者は、鋭意検討の結果、先端面18に第1の凹凸部18aを形成することで、先端面18で液体をより効果的に捉えて、該液体を毛細管孔22内により確実に導入可能となることを見出した。その結果、液体採取作業の効率を高めることができる。しかしながら、先端面18から第1の凹凸部18aを省略し、先端面18を、平面粗さが極低い(つまり、凹凸のない)平面から構成してもよい。代替的には、第1の凹凸部18aは、液体入口20へ向かって湾曲状(例えば、S字状)に延びるように形成されてもよい。
【0019】
また、本実施形態においては、内壁24(具体的には、円筒面24a)には、第1の凹凸部18aとは異なる形状の第2の凹凸部24c(図4)が形成されている。この構成によれば、液体を吸い上げる毛細管現象を促進し、これにより、液体をより確実に採取することができるとともに、採取した液体を毛細管孔22内に安定して保持することができる。しかしながら、円筒面24aから第2の凹凸部24cを省略してもよい。又は、第2の凹凸部24cは、ランダムな凹凸形状に限らず、他の如何なる形状を有してもよい。
【0020】
また、本実施形態においては、円弧面24bの表面積E2は、先端面18の表面積E1よりも大きい(E2>E1)。この構成によれば、先端面18で捉えた液体を円弧面24bに沿って毛細管孔22内に効果的に導くことができるので、液体をより確実に採取することができる。しかしながら、円弧面24bの表面積E2は、先端面18の表面積E1と同じか、又は表面積E1よりも小さくてもよい。また、液体採取具10は、樹脂(アクリル樹脂)に限らず、ガラス又は金属等から構成されてもよい。
【0021】
次に、液体採取具10の製造方法について説明する。製造者は、まず、液体採取具10を成形するための金型MDを作製する。この金型MDは、液体採取具10の原材料となる樹脂(例えば、アクリル樹脂)が充填されるキャビティを有する主金型MD1と、毛細管孔22を成形するために主金型MD1に挿入される円柱状のピン金型MD2とを有する。
【0022】
ここで、主金型MD1は、毛細管部16の先端面18を成形するための型面S1を有する。製造者は、成形後の先端面18に第1の凹凸部18aを形成するために、主金型MD1を切削加工することによって型面S1を形成する。この切削加工によって、型面S1に、第1の凹凸部18aに対応する凹凸部(すなわち、切削痕)が形成される。
【0023】
一方、ピン金型MD2は、毛細管孔22を画定する円筒面24aを成形するための外周面S2を有する。この外周面S2には、第2の凹凸部24cに対応する凹凸部が形成される。例えば、製造者は、ピン金型MD2の外周面S2を、上述の型面S1を形成するための切削加工とは異なるタイプの切削加工(異なる工具を用いて、異なる手法(旋盤加工等)で行う切削加工)によって、形成してもよい。
【0024】
そして、製造者は、ピン金型MD2を挿入した状態の主金型MD1のキャビティ内に樹脂を充填し、液体採取具10の外形を成形した後、ピン金型MD2を主金型MD1から抜去して、毛細管孔22を成形する。こうして、第1の凹凸部18aが形成された先端面18と、第2の凹凸部24cが形成された円筒面24aとを備える液体採取具10が製造される。
【0025】
以上、本開示について詳述したが、本開示は上述した個々の実施形態に限定されるものではない。これらの実施形態は、本開示の要旨を逸脱しない範囲で、または、特許請求の範囲に記載された内容とその均等物から導き出される本開示の趣旨を逸脱しない範囲で、種々の追加、置き換え、変更、部分的削除等が可能である。また、これらの実施形態は、組み合わせて実施することもできる。例えば、上述した実施形態において、各動作の順序や各処理の順序は、一例として示したものであり、これらに限定されるものではない。また、上述した実施形態の説明に数値又は数式が用いられている場合も同様である。
【符号の説明】
【0026】
10 液体採取具
16 毛細管部
18 先端面
18a 第1の凹凸部
20 液体入口
22 毛細管孔
24 内壁
24a 円筒面
24b 円弧面
24c 第2の凹凸部
図1
図2
図3
図4