(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024012502
(43)【公開日】2024-01-30
(54)【発明の名称】導電部材、セル、セルスタック装置、モジュールおよびモジュール収容装置
(51)【国際特許分類】
H01M 8/0247 20160101AFI20240123BHJP
H01M 8/0206 20160101ALI20240123BHJP
H01M 8/0228 20160101ALI20240123BHJP
H01M 8/2475 20160101ALI20240123BHJP
H01M 8/04 20160101ALI20240123BHJP
H01M 8/12 20160101ALN20240123BHJP
【FI】
H01M8/0247
H01M8/0206
H01M8/0228
H01M8/2475
H01M8/04 Z
H01M8/12 101
H01M8/12 102C
H01M8/12 102B
H01M8/12 102A
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023188460
(22)【出願日】2023-11-02
(62)【分割の表示】P 2020034267の分割
【原出願日】2020-02-28
(71)【出願人】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】新地 崇大
(57)【要約】
【課題】耐久性が高い導電部材、セル、セルスタック装置、モジュールおよびモジュール収容装置を提供する。
【解決手段】導電部材は、クロムを含有する基材と、基材を覆う被膜とを有する。導電部材は、被膜の表面に、基材から離れる方向に突出する平面視で環状の凸部を有する。
【選択図】
図6B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
クロムを含有する基材と、前記基材を覆う被膜とを有し、
該被膜の表面に、前記基材から離れる方向に突出する平面視で環状の凸部を有する
導電部材。
【請求項2】
前記凸部は、50μm以上100μm以下の外径を有する
請求項1に記載の導電部材。
【請求項3】
前記凸部は、前記凸部の外側に位置する被膜の厚さの110%以上の最大高さを有する
請求項1または2に記載の導電部材。
【請求項4】
前記凸部の外側に位置する前記被膜の厚さは、前記凸部の内側に位置する前記被膜の厚さよりも大きい
請求項1~3のいずれか1つに記載の導電部材。
【請求項5】
前記被膜は、導電性を有する
請求項1~4のいずれか1つに記載の導電部材。
【請求項6】
前記被膜は、10μm以上の厚さを有する
請求項1~5のいずれか1つに記載の導電部材。
【請求項7】
素子部と、
請求項1~6のいずれか1つに記載の導電部材と、
前記被膜の第1面と前記素子部との間に位置する接合材と
を備え、
前記凸部は、前記第1面に位置している
セル。
【請求項8】
前記第1面は、酸化雰囲気に露出する前記被膜の第2面よりも表面粗さが大きい
請求項7に記載のセル。
【請求項9】
前記導電部材は、空気流入口に近い第1部位と、空気流出口に近い第2部位とを有し、
前記第2部位に位置する前記第1面は、前記第1部位に位置する前記第1面よりも表面粗さが大きい
請求項7または8に記載のセル。
【請求項10】
前記凸部が、酸化雰囲気に露出する前記被膜の第2面にさらに位置し、
前記第1面に位置する前記凸部の面積率は、前記第2面に位置する前記凸部の面積率よ
りも大きい
請求項7~9のいずれか1つに記載のセル。
【請求項11】
請求項7~10のいずれか1つに記載のセルを複数備える
セルスタック装置。
【請求項12】
請求項11に記載のセルスタック装置と、
前記セルスタック装置を収納する収納容器と
を備えるモジュール。
【請求項13】
請求項12に記載のモジュールと、
前記モジュールの運転を行うための補機と、
前記モジュールおよび前記補機を収容する外装ケースと
を備えるモジュール収容装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、導電部材、セル、セルスタック装置、モジュールおよびモジュール収容装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、次世代エネルギーとして、燃料ガス(水素含有ガス)と酸素含有ガス(空気)とを用いて電力を得ることができるセルの1種である燃料電池セルが複数配列されて構成される燃料電池セルスタック装置が種々提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
かかる燃料電池セルスタック装置では、例えばCrを含有する集電部材によりそれぞれ電気的に直列に接続されている。
【0005】
しかしながら、かかる構造は、集電部材とセルとの接合部分の耐久性に改善の余地があった。
【0006】
実施形態の一態様は、上記に鑑みてなされたものであって、耐久性が高い導電部材、セル、セルスタック装置、モジュールおよびモジュール収容装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態の一態様に係る導電部材は、クロムを含有する基材と、基材を覆う被膜とを有する。導電部材は、被膜の表面に、基材から離れる方向に突出する平面視で環状の凸部を有する。
【0008】
また、本開示のセルは、素子部と、上記に記載の導電部材と、前記被膜の第1面と前記素子部の間に位置する接合材とを備える。前記凸部は、前記第1面に位置している。
【0009】
また、本開示のセルスタック装置は、上記に記載のセルを複数備える。
【0010】
また、本開示のモジュールは、上記に記載のセルスタック装置と、前記セルスタック装置を収納する収納容器とを備える。
【0011】
また、本開示のモジュール収容装置は、上記に記載のモジュールと、前記モジュールの運転を行うための補機と、前記モジュールおよび前記補機を収容する外装ケースとを備える。
【発明の効果】
【0012】
実施形態の一態様によれば、耐久性が高い導電部材、セル、セルスタック装置、モジュールおよびモジュール収容装置が提供可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1A】
図1Aは、実施形態に係るセルの一例を示す横断面図である。
【
図1B】
図1Bは、実施形態に係るセルの一例を空気極側からみた側面図である。
【
図1C】
図1Cは、実施形態に係るセルの一例をインターコネクタ側からみた側面図である。
【
図2A】
図2Aは、実施形態に係るセルスタック装置の一例を示す斜視図である。
【
図2C】
図2Cは、実施形態に係るセルスタック装置の一例を示す上面図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る導電部材の一例を示す横断面図である。
【
図7】
図7は、実施形態に係る導電部材の一例を示す平面図である。
【
図8】
図8は、実施形態に係るモジュールの一例を示す外観斜視図である。
【
図9】
図9は、実施形態に係るモジュール収容装置の一例を概略的に示す分解斜視図である。
【
図10】
図10は、実施形態の変形例1に係るセルを示す断面図である。
【
図11】
図11は、実施形態の変形例1に係る導電部材の拡大断面図である。
【
図12】
図12は、実施形態の変形例2に係る平板型セルを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面を参照して、本願の開示する導電部材、セル、セルスタック装置、モジュールおよびモジュール収容装置の実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0015】
また、図面は模式的なものであり、各要素の寸法の関係、各要素の比率などは、現実と異なる場合があることに留意する必要がある。さらに、図面の相互間においても、互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている場合がある。
【0016】
<セルの構成>
まず、
図1A~
図1Cを参照しながら、実施形態に係るセルスタック装置を構成するセルとして、固体酸化物形の燃料電池セルの例を用いて説明する。
【0017】
図1Aは、実施形態に係るセル1の一例を示す横断面図であり、
図1Bは、実施形態に係るセル1の一例を空気極5側からみた側面図であり、
図1Cは、実施形態に係るセル1の一例をインターコネクタ6側からみた側面図である。なお、
図1A~
図1Cは、セル1の各構成の一部を拡大して示している。
【0018】
図1A~
図1Cに示す例において、セル1は中空平板型で、細長い板状である。
図1Bに示すように、セル1の全体を側面から見た形状は、たとえば、長さ方向Lの辺の長さが5cm~50cmで、この長さ方向Lに直交する幅方向Wの長さが1cm~10cmの長方形である。このセル1の全体の厚さ(厚み方向T)は1mm~5mmである。
【0019】
図1Aに示すように、セル1は、導電性の支持基板2と、素子部と、インターコネクタ6とを備えている。支持基板2は、一対の対向する平坦面n1、n2、およびかかる平坦面n1、n2を接続する一対の円弧状の側面mを有する柱状である。
【0020】
素子部は、支持基板2の一方の平坦面n1上に設けられている。かかる素子部は、燃料極3と、固体電解質層4と、空気極5とを有している。また、
図1Aに示す例では、セル1の他方の平坦面n2上にインターコネクタ6が設けられている。
【0021】
また、
図1Bに示すように、空気極5はセル1の下端まで延びていない。セル1の下端部では、固体電解質層4のみが表面に露出している。また、
図1Cに示すように、インターコネクタ6がセル1の下端まで延びている。セル1の下端部では、インターコネクタ6および固体電解質層4が表面に露出している。なお、
図1Aに示すように、セル1の一対の円弧状の側面mにおける表面では、固体電解質層4が露出している。
【0022】
以下、セル1を構成する各構成部材について説明する。
【0023】
支持基板2は、ガスが流れるガス流路2aが内部に設けられており、
図1Aにおいては6つのガス流路2aが設けられた例を示している。支持基板2は、燃料ガスを燃料極3まで透過するためにガス透過性を有し、さらには、インターコネクタ6を介して集電するために導電性を有している。
【0024】
支持基板2の材料は、たとえば、鉄族金属成分および無機酸化物から構成される。たとえば、鉄族金属成分はNiおよび/またはNiOであって、無機酸化物は特定の希土類元素酸化物である。
【0025】
燃料極3の材料には、一般的に公知のものを使用することができる。燃料極3は、多孔質の導電性セラミックス、たとえば希土類元素酸化物が固溶しているZrO2(安定化ジルコニアと称し、部分安定化ジルコニアも含むものとする)とNiおよび/またはNiOとから形成することができる。この希土類元素酸化物としては、たとえば、Y2O3などが用いられる。
【0026】
固体電解質層4は、燃料極3と空気極5との間のイオンの橋渡しをする電解質としての機能を有していると同時に、燃料ガスと酸素含有ガスとのリークを防止するためにガス遮断性を有している。
【0027】
固体電解質層4は、たとえば、3~15モル%の希土類元素酸化物が固溶したZrO2から形成される。この希土類元素酸化物としては、たとえば、Y2O3などが用いられる。なお、上記特性を有する限りにおいては、他の材料などを用いて固体電解質層4を形成してもよい。
【0028】
空気極5の材料は、一般的に空気極に用いられるものであれば特に制限はない。空気極5は、たとえば、いわゆるABO3型のペロブスカイト型酸化物から構成される導電性セラミックスから形成することができる。
【0029】
空気極5の材料は、たとえば、AサイトにSrとLaが共存する複合酸化物であってもよい。このような複合酸化物の例としては、LaxSr1-xCoyFe1-yO3、LaxSr1-xMnO3、LaxSr1-xFeO3、LaxSr1-xCoO3などが挙げられる。なお、xは0<x<1、yは0<y<1である。
【0030】
また、空気極5は、ガス透過性を有し、その開気孔率が20%以上、特に30%~50%の範囲にあることが好ましい。
【0031】
インターコネクタ6の材料には、ランタンクロマイト系のペロブスカイト型酸化物(LaCrO3系酸化物)、もしくは、ランタンストロンチウムチタン系のペロブスカイト型酸化物(LaSrTiO3系酸化物)が好適に使用される。これらの材料は、導電性を有し、かつ燃料ガス(水素含有ガス)および酸素含有ガス(空気など)と接触しても還元も酸化もされない。
【0032】
また、インターコネクタ6は、支持基板2に形成されたガス流路2aを流通する燃料ガス、および支持基板2の外側を流通する酸素含有ガスのリークを防止するために緻密質であり、93%以上、特に95%以上の相対密度を有していることが好ましい。
【0033】
<セルスタック装置の構成>
次に、上述したセル1を用いた本実施形態に係るセルスタック装置10について、
図2A~
図2Cを参照しながら説明する。
図2Aは、実施形態に係るセルスタック装置10の一例を示す斜視図であり、
図2Bは、
図2Aに示すX-X線の断面図であり、
図2Cは、実施形態に係るセルスタック装置10の一例を示す上面図である。
【0034】
図2Aに示すように、セルスタック装置10は、セル1の厚み方向T(
図1A参照)に配列(積層)された複数のセル1を有するセルスタック11と、固定部材12とを備える。
【0035】
固定部材12は、固定材13と、支持部材14とを有する。支持部材14は、セル1を支持する。固定材13は、セル1を支持部材14に固定する。また、支持部材14は、支持体15と、ガスタンク16とを有する。支持部材14である支持体15およびガスタンク16は、金属製であり導電性を有している。
【0036】
図2Bに示すように、支持体15は、複数のセル1の下端部が挿入される挿入孔15aを有している。複数のセル1の下端部と挿入孔15aの内壁とは、固定材13で接合されている。
【0037】
ガスタンク16は、挿入孔15aを介して複数のセル1に反応ガスを供給するための開口部を有しており、開口部の周囲に設けられた凹溝16aを有する。支持体15の一端部は、ガスタンク16の凹溝16aに充填された接合材21によって、ガスタンク16と接合されている。
【0038】
図2Aに示す例では、支持部材14である支持体15とガスタンク16とで形成される内部空間22に燃料ガスが貯留される。ガスタンク16にはガス流通管20が接続されている。燃料ガスは、このガス流通管20を通してガスタンク16に供給され、ガスタンク16からセル1の内部のガス流路2a(
図1A参照)に供給される。ガスタンク16に供給される燃料ガスは、後述する改質器102(
図8参照)で生成される。
【0039】
水素リッチな燃料ガスは、原燃料を水蒸気改質などすることによって生成することができる。水蒸気改質により燃料ガスを生成する場合には、燃料ガスは水蒸気を含む。
【0040】
図2Aに示す例では、複数のセル1を有するセルスタック11が2列設けられており、2列のセルスタック11が、それぞれ支持体15に固定されている。ガスタンク16の上面には2つの貫通孔が設けられている。2つの貫通孔には、挿入孔15aに合わせるように各支持体15が配置されている。内部空間22は、1つのガスタンク16と、2つの支持体15とで形成される。
【0041】
挿入孔15aの形状は、たとえば、上面視で長円形状である。挿入孔15aは、たとえば、セル1の配列方向すなわち厚み方向Tの長さが、セルスタック11の両端に位置する2つの端部集電部材17の間の距離よりも大きい。挿入孔15aの幅は、たとえば、セル1の幅方向W(
図1A参照)の長さよりも大きい。
【0042】
図2Bに示すように、挿入孔15aの内壁とセル1の下端部との接合部において、固化された固定材13が充填されている。これにより、挿入孔15aの内壁と複数個のセル1の下端部とがそれぞれ接合・固定され、また、セル1の下端部同士が接合・固定されている。各セル1のガス流路2aは、下端部で支持部材14の内部空間22と連通している。
【0043】
固定材13および接合材21は、ガラスなどの導電性が低いものを用いることができる。具体的な材料としては、非晶質ガラスなどでもよいが、結晶化ガラスとすることが好適である。
【0044】
結晶化ガラスとしては、たとえば、SiO2-CaO系、MgO-B2O3系、La2O3-B2O3-MgO系、La2O3-B2O3-ZnO系、SiO2-CaO-ZnO系が採用され得るが、SiO2-MgO系のうちいずれかの材料を用いてもよい。
【0045】
また、
図2Bに示すように、隣接するセル1の間には、隣接するセル1の間(より詳細には、一方のセル1の燃料極3と他方のセル1の空気極5)を電気的に直列に接続するための導電部材18が介在している。なお、セル1に接続された導電部材18の詳細については、後述する。
【0046】
また、
図2Bに示すように、複数のセル1の配列方向における最も外側に位置するセル1に、端部集電部材17が接続されている。端部集電部材17は、セルスタック11の外側に突出する導電部19に接続されている。導電部19は、セル1の発電により生じた電気を集電して外部に引き出す機能を有する。なお、
図2Aでは、端部集電部材17の図示を省略している。
【0047】
また、
図2Cに示すように、セルスタック装置10は、セル1がそれぞれ一列に並んで形成される2つのセルスタック11A、11Bが直列に接続され、一つの電池として機能する。そのため、セルスタック装置10の導電部19は、正極端子19Aと、負極端子19Bと、接続端子19Cとに区別される。
【0048】
正極端子19Aは、セルスタック11が発電した電力を外部に出力する場合に正極として機能し、セルスタック11Aにおける正極側の端部集電部材17に電気的に接続される。負極端子19Bは、セルスタック11が発電した電力を外部に出力する場合に負極として機能し、セルスタック11Bにおける負極側の端部集電部材17に電気的に接続される。
【0049】
接続端子19Cは、セルスタック11Aにおける負極側の端部集電部材17と、セルスタック11Bにおける正極側の端部集電部材17とを電気的に接続する。
【0050】
<導電部材の詳細>
つづいて、実施形態に係る導電部材18の詳細について、
図3を参照しながら説明する。
図3は、実施形態に係る導電部材の一例を示す横断面図である。
【0051】
図3に示すように、導電部材18は、一方のセル1に接合される接合部18aと、他方のセル1に接合される接合部18bとを有する。また、導電部材18は、幅方向Wの両端に接続部18cを有しており、接合部18a,18bを接続する。これにより、導電部材18は、厚み方向Tに隣り合うセル1同士を接続することができる。なお、
図3では、セル1の形状を単純化して図示している。
【0052】
また、接合部18a,18bは、面181,182を有している。面181は、セル1と向かい合う面である。面182は、接合部18b,18aと向かい合う面である。以下、
図4を参照して、導電部材18についてさらに説明する。
【0053】
図4は、
図3に示す領域Aの拡大図である。
図4に示すように、導電部材18(接合部18a)は、接合材50を介してセル1と接合されている。接合材50は、導電性および耐熱性を有しており、導電部材18を介したセル1間の導通が適切に行われる。接合材50は、たとえば、セル1の空気極5(
図1A参照)に接合される接合材である。
【0054】
導電部材18は、基材42と、被膜43とを有している。基材42は、導電性および耐熱性を有する。基材42は、クロム(Cr)を含有する。基材42は、たとえば、ステンレス鋼である。
【0055】
被膜43は、基材42を被覆する。被膜43は、導電性を有する。被膜43は、たとえばZnMnCoO4などの導電性酸化物である。被膜43は、たとえば、電着塗装などによって基材42の表面に位置させることができる。
【0056】
かかる被膜43で基材42の表面を覆うことで、高温動作時に基材42に含まれるクロム(Cr)が酸化雰囲気(外部空間23)に脱離することを抑制することができる。これにより、導電部材18の耐久性を高めることができる。
【0057】
被膜43は、導電部材18の面181,182に位置している。面181は、面181a,181bを有している。面181aは、被膜43が接合材50に接触する接触面であり、第1面の一例である。面181bは、被膜43が外部空間23に露出する露出面であり、第2面の一例である。かかる外部空間23は、セル1の空気極5が露出する空間であり、酸素含有ガス(空気など)で満たされる。すなわち、外部空間23は、酸化雰囲気である。
【0058】
ところで、接合材50にクラックが生じ、あるいは導電部材18から接合材50が剥離することによってセルスタック装置10の耐久性が低下するおそれがあった。
【0059】
そこで、実施形態では、導電部材18の表面に位置する被膜43のうち、接合材50に面する部分の表面粗さを大きくすることとした。実施形態では、接合材50に面する被膜43の第1面としての面181aは、被膜43の他の部分の表面、たとえば、酸化雰囲気(外部空間23)に露出する第2面としての面181b,182よりも表面粗さが大きい。
【0060】
これにより、接合材50と導電部材18の被膜43との密着性を高めることができる。このため、導電部材18から接合材50が剥離し、あるいは接合材50が破断することを抑制することができる。したがって、実施形態によれば、セルスタック装置10の耐久性を高めることができる。
【0061】
なお、上記では、導電部材18の接合部18aを例に挙げて説明したが、接合部18bも同様であり、詳細な説明は省略する。
【0062】
また、
図4では、面181は、接合材50の端部に面する境界部181cを境に面181aと面181bとに区分されたが、これに限らず、たとえば面181aと面181bとの中間に位置する中間面(不図示)を有してもよい。かかる場合、中間面は、たとえば、面181aと同じ表面粗さを有してもよく、また、面181bと同じ表面粗さを有してもてもよい。さらに、中間面は、たとえば、面181aおよび面181bの中間の表面粗さを有してもよい。さらに、中間面は、たとえば、接合材50に面してもよく、酸化雰囲気(外部空間23)に露出してもよい。
【0063】
以下では、本実施形態に係る導電部材18について、
図5~
図6Cを参照して、さらに説明する。
【0064】
図5は、
図3に示すB-B線に沿った断面図である。
図6Aは、
図5に示す領域Cの拡大図である。
【0065】
導電部材18は、セル1の長さ方向Lに延在している。
図5に示すように、導電部材18の接合部18a,18bは、セル1の長さ方向Lに沿って互い違いに複数位置している。導電部材18は、接合部18a,18bのそれぞれでセル1と接触している。
【0066】
また、
図6Aに示すように、導電部材18(接合部18b)は、接合材50を介してセル1の素子部と接合されている。接合材50は、導電部材18の面181とセル1との間に位置しており、導電部材18とセル1とを接合する。
【0067】
導電部材18の基材42を覆う被膜43は、面181~184を有する。面181は、接合材50を介してセル1と向かい合って位置している。面181は、接合材50に接触する面181aである。面182は、基材42を挟んで面181と反対側に位置しており、酸化雰囲気に露出している。面183,184は、面181と面182とを接続する。面183,184は、導電部材18の一部が接合材50に埋没することで接合材50に面する面183a,184aと、酸化雰囲気に露出する面183b,184bとをそれぞれ有する。
【0068】
接合材50に面する第1面としての面181a,183a,184aは、酸化雰囲気に露出する第2面としての面182,183b,184bよりも表面粗さが大きい。
【0069】
これにより、接合材50と導電部材18の被膜43との密着性を高めることができる。このため、導電部材18から接合材50が剥離し、あるいは接合材50が破断することを抑制することができる。したがって、実施形態によれば、セルスタック装置10の耐久性を高めることができる。
【0070】
なお、第1面としての面181a,183a,184aは、表面粗さが互いに同じであってもよく、異なってもよい。
【0071】
なお、上記では、導電部材18の接合部18bを例に挙げて説明したが、接合部18aも同様であり、詳細な説明は省略する。
【0072】
(評価方法)
ここで、上記した第1面および第2面の表面粗さの大小は、JIS B0633;2001に規定された算術平均粗さRaに基づいて判定することができる。算術平均粗さRaは、各面(第1面としての面181a,183a,184aおよび第2面としての面181b,182,183b,184b)に垂直な断面の画像解析により算出する。まず、導電部材18および接合材50を切り出して、樹脂に埋め込み、面粗さを計測する面に垂直な断面を研磨砥粒、ラッピングフィルム(♯8000程度)等を用いて研磨し、鏡面状態の断面を得る。得られた断面を、走査型電子顕微鏡、光学式顕微鏡等を用いて撮影し、得られた画像を画像解析することで各面の算術平均粗さRaをそれぞれ算出することができる。なお、後述する第1面および第2面の表面粗さについても、同様に算出することができる。
【0073】
(製法)
実施形態に係る導電部材18の被膜43は、たとえば、溶射法、蒸着法、電着法、スパッタリング法などの方法で位置させることができる。また、たとえば基材42表面に被覆材料を塗装し、その後焼成させて被膜43としてもよい。
【0074】
また、被膜43の第1面および第2面は、たとえば、被膜43表面のうち、第2面に相当する部分に研磨処理を行うことで第2面を形成し、残りの部分を第1面としてもよい。さらに、上記した被膜43の形成時における各種条件を変更することで第1面および第2面をそれぞれ形成してもよい。たとえば、電着法では、被膜43の材料に相当する電着膜の表面に複数の気泡が発生する場合がある。電着膜の表面に位置する気泡は、気泡跡として被膜43の表面形状に反映される。このため、かかる気泡の発生を制御し、あるいは電着膜の表面に付着した気泡を部分的に除去することで気泡跡の面積率を調整し、第1面および第2面を位置させてもよい。
【0075】
<被膜の表面形状>
次に、接合材50に面する被膜43の表面形状の一例について、
図6B、
図6Cを参照して説明する。
図6Bは、
図6Aに示す領域Eの拡大図である。
図6Cは、
図6Bに示す被膜の平面図である。
【0076】
図6B、
図6Cに示すように、被膜43は、基材42から離れる方向に突出する凸部430を有する。凸部430は、平面視で環状を有している。
図6B、
図6Cに示した例では、被膜43のうち、平面視で外縁432と内縁433との間に位置する部分が凸部430である。なお、凸部430の外側に位置する被膜43の厚さh1は、外縁432の外側に位置する部分を、光干渉式膜厚計を用いて測定して得た値をいう。なお、得られた厚さh1が測定箇所ごとに相違する場合には、平均した値を厚さh1とする。測定箇所ごとに厚さh1が相違する場合には、5箇所測定し、最大値および最小値を除いた3つの値の平均した厚さをh1とする。また、特に断りの無い限り、以下の説明における被膜43の各寸法についても、光干渉式膜厚計を用いて測定した結果に基づいて算出する。
【0077】
図6Bに示すように、凸部430の外側に位置する被膜43の厚さh1は、凸部430の内側に位置する被膜43の厚さh3よりも大きい。これにより、凸部430に面する接合材50と被膜43との接触面積が増大することから、接合材50と被膜43との密着性を高めることができる。このため、導電部材18の被膜43から接合材50が剥離し、あるいは接合材50が破断することを抑制することができる。したがって、実施形態によれば、セルスタック装置10の耐久性を高めることができる。なお、厚さh3は、凸部430の内縁433の内側に位置する被膜43の外面434における被膜43の平均厚さをいう。外面434は、基材42との界面に平行であってもよく、基材42との界面に対して傾斜していてもよい。また、外面434は、平面であってもよく、曲面であってもよい。
【0078】
また、凸部430は、凸部430の外側に位置する被膜43の厚さh1の110%以上の最大高さh2を有する。これにより、凸部430に面する接合材50と被膜43との接触面積が増大することから、接合材50と被膜43との密着性を高めることができる。このため、導電部材18の被膜43から接合材50が剥離し、あるいは接合材50が破断することを抑制することができる。したがって、実施形態によれば、セルスタック装置10の耐久性を高めることができる。なお、最大高さh2は、凸部430の頂部431における被膜43の厚さのうち、最大となる値をいう。
【0079】
また、凸部430は、50μm以上100μm以下の外径Dを有する。これにより、凸部430に面する接合材50と被膜43とが適度に接触することから、接合材50と被膜43との密着性を高めることができる。このため、導電部材18の被膜43から接合材50が剥離し、あるいは接合材50が破断することを抑制することができる。したがって、実施形態によれば、セルスタック装置10の耐久性を高めることができる。なお、外径Dは、凸部430の外縁432を平面視したときの円相当径をいう。
【0080】
このような凸部430を位置させることにより、第2面よりも表面粗さが大きい第1面を形成することができる。なお、凸部430は、被膜43の第2面に位置してもよい。かかる場合、第1面に位置する凸部430の面積率を、第2面に位置する凸部430の面積率よりも大きくすることにより、第1面の表面粗さを大きくすることができる。
【0081】
図7は、実施形態に係る導電部材の一例を示す平面図である。
図7に示すように、導電部材18は、セル1の長さ方向Lに延在している。導電部材18は、空気流入口(不図示)に近い第1部位S1と、空気流出口に近い第2部位S2とを有している。
【0082】
ここで、第2部位S2に位置する被膜43の第1面は、第1部位S1に位置する被膜43の第1面よりも表面粗さが大きくてもよい。
【0083】
実施形態に係るセルスタック装置10では、第2部位S2に位置するセル1および導電部材18は、第1部位S1に位置するセル1および導電部材18と比較して変位しやすく、接合材50と導電部材18との接合部分に負荷がかかりやすい。このため、第2部位S2に位置する第1面の表面粗さを、第1部位S1に位置する第1面の表面粗さよりも大きくすることにより、たとえば、耐久性を高めることができる。
【0084】
ここで、セル1の長さ方向Lに位置する導電部材18の全長L3に対し、第1部位S1の長さL1と第2部位S2の長さL2との比(L1:L2)は、たとえば、1:5~5:1とすることができる。
【0085】
<モジュール>
次に、上述したセルスタック装置10を用いた本開示の実施形態に係るモジュール100について、
図8を用いて説明する。
図8は、実施形態に係るモジュールを示す外観斜視図であり、収納容器101の一部である前面および後面を取り外し、内部に収納される燃料電池のセルスタック装置10を後方に取り出した状態を示している。
【0086】
図8に示すように、モジュール100は、収納容器101内に、セルスタック装置10を収納して構成される。また、セルスタック装置10の上方には、セル1に供給する燃料ガスを生成するための改質器102が配置されている。
【0087】
かかる改質器102では、原燃料供給管103を通じて供給される天然ガスや灯油などの原燃料を改質して燃料ガスを生成する。なお、改質器102は、効率のよい改質反応である水蒸気改質を行うことができる構造とすることが好ましい。改質器102は、水を気化させるための気化部102aと、原燃料を燃料ガスに改質するための改質触媒(図示せず)が配置された改質部102bとを備えることで水蒸気改質を行うことができる。
【0088】
そして、改質器102で生成された燃料ガスは、ガス流通管20を通じて固定部材12に供給され、固定部材12よりセル1の内部に設けられたガス流路2a(
図1A参照)に供給される。
【0089】
また、上述の構成のモジュール100においては、通常発電時においては、上記燃焼やセル1の発電に伴い、モジュール100内の温度は500~1000℃程度となる。
【0090】
このようなモジュール100においては、上述したように、耐久性が高いセルスタック装置10を収納して構成されることにより、耐久性が高いモジュール100とすることができる。
【0091】
<モジュール収容装置>
図9は、実施形態に係るモジュール収容装置の一例を示す分解斜視図である。実施形態に係るモジュール収容装置110は、外装ケースと、
図8で示したモジュール100と、図示しない補機と、を備えている。補器は、モジュール100の運転を行う。モジュール100および補器は、外装ケース内に収容されている。なお、
図9においては一部構成を省略して示している。
【0092】
図9に示すモジュール収容装置110の外装ケースは、支柱111と外装板112とを有する。仕切板113は、外装ケース内を上下に区画している。外装ケース内の仕切板113より上側の空間は、モジュール100を収容するモジュール収容室114であり、外装ケース内の仕切板113より下側の空間は、モジュール100を運転する補機を収容する補機収容室115である。なお、
図9では、補機収容室115に収容する補機を省略して示している。
【0093】
また、仕切板113は、補機収容室115の空気をモジュール収容室114側に流すための空気流通口116を有している。モジュール収容室114を構成する外装板112は、モジュール収容室114内の空気を排気するための排気口117を有している。
【0094】
このようなモジュール収容装置110においては、上述したように、耐久性が高いモジュール100をモジュール収容室114に備えていることにより、耐久性が高いモジュール収容装置110とすることができる。
【0095】
<各種変形例>
つづいて、実施形態の各種変形例に係る導電部材について、
図10~
図13を参照しながら説明する。
【0096】
上述の実施形態では、支持基板の表面に燃料極、固体電解質層および空気極を含む素子部が1つのみ設けられたいわゆる「縦縞型」を例示したが、支持基板の表面の互いに離れた複数個所にて素子部がそれぞれ設けられ、隣り合う素子部の間が電気的に接続されたいわゆる「横縞型」のセルを積層した横縞型セルスタック装置に適用することができる。
【0097】
また、本実施形態では、中空平板型の支持基板を用いた場合を例示したが、円筒型の支持基板を用いたセルスタック装置に適用することもできる。また、後述するように、いわゆる「平板型」のセルを厚み方向に積層した平板型セルスタック装置に適用することもできる。
【0098】
また、上記実施形態では、支持基板上に燃料極が設けられ、空気極がセルの表面に配置された例を示したが、これとは逆の配置、すなわち支持基板上に空気極が設けられ、燃料極がセルの表面に配置されたセルスタック装置に適用することもできる。
【0099】
また、上記実施形態では、「セル」、「セルスタック装置」、「モジュール」および「モジュール収容装置」の一例として燃料電池セル、燃料電池セルスタック装置、燃料電池
モジュールおよび燃料電池装置を示したが、他の例としてはそれぞれ、電解セル、電解セルスタック装置、電解モジュールおよび電解装置であってもよい。
【0100】
図10は、実施形態の変形例1に係るセルを示す断面図である。
図11は、実施形態の変形例1に係る導電部材の拡大断面図である。
図10に示すように、セルスタック装置10Aは、燃料ガスを流通させる配管73から複数の支持基板71が長さ方向Lに延びている。支持基板71の内部には、配管73からのガスが流れるガス流路74が設けられている。各支持基板71は、導電部材78を介して互いに電気的に接続されている。導電部材78は、各支持基板71がそれぞれ有する素子部1Aの間に位置しており、隣り合う支持基板71を接続している。
【0101】
図11に示すように、導電部材78は、接合材50a,50bを介して互いに隣り合う各セルの素子部1Aとそれぞれ接合されている。接合材50aは、導電部材78の面781aと一方のセル(素子部1A)との間に位置しており、導電部材78と一方のセルとを接合する。接合材50bは、導電部材78の面781bと他方のセル(素子部1A)との間に位置しており、導電部材78と他方のセルとを接合する。
【0102】
導電部材78は、基材82と、被膜83とを有している。導電部材78を構成する各部位は、たとえば、先に述べた導電部材18と同様の材料で構成することができる。また、導電部材78は、導電部材18とは異なる材料で構成されてもよい。
【0103】
被膜83は、セルの配列方向および長さ方向Lの全体にわたって基材82を覆っている。
【0104】
また、被膜83は、面781a,781b,783,784を有する。面781aは、接合材50aに面している。面781bは、接合材50bに面している。面783,784は、酸化雰囲気に露出している。
【0105】
ここで、第1面としての面781a,781bは、第2面としての面783,784よりも表面粗さが大きい。これにより、接合材50a,50bと被膜43との密着性を高めることができる。このため、導電部材18の被膜43から接合材50a,50bが剥離し、あるいは接合材50a,50bが破断することを抑制することができる。したがって、実施形態によれば、セルスタック装置10Aの耐久性を高めることができる。
【0106】
なお、
図11に示した例では、接合材50a,50bは面781a,781bにのみ面していたが、これに限らず、面783,784の一部に面していてもよい。
【0107】
図12は、実施形態の変形例2に係る平板型セルを示す斜視図である。
図13は、
図12に示す平板型セルの部分断面図である。
【0108】
図12に示すように、セル1Bは、燃料極3、固体電解質層4および空気極5が積層された素子部90を有している。複数の平板型セルを積層させたセルスタック装置は、たとえば複数のセル1Bが、互いに隣り合う金属層である導電部材91,92により電気的に接続されている。導電部材91,92は、隣接するセル1B同士を電気的に接続するとともに、燃料極3または空気極5にガスを供給するガス流路を有している。
【0109】
図13に示すように、本変形例では、導電部材92は、空気極5にガスを供給するガス流路99を有している。導電部材92は、接合材50cを介して素子部90(空気極5)と接合されている。
【0110】
導電部材92は、基材95と、被膜96とを有している。導電部材92を構成する各部位は、たとえば、先に述べた導電部材18,78と同様の材料で構成することができる。また、導電部材92は、導電部材18,78とは異なる材料で構成されてもよい。
【0111】
被膜96は、ガス流路99と向かい合う全体にわたって基材95を覆っている。
【0112】
また、被膜96は、面921~923を有する。面921は、接合材50cに面している。面922,923は、酸化雰囲気(ガス流路99)に露出している。
【0113】
ここで、第1面としての面921は、第2面としての面922,923よりも表面粗さが大きい。これにより、接合材50cと被膜96との密着性を高めることができる。このため、導電部材92の被膜96から接合材50cが剥離し、あるいは接合材50cが破断することを抑制することができる。したがって、実施形態によれば、セル1Bを積層させたセルスタック装置の耐久性を高めることができる。
【0114】
なお、
図13に示した例では、接合材50cは面921にのみ面していたが、これに限らず、面922の一部に面していてもよい。
【0115】
以上、本開示について詳細に説明したが、本開示は上述の実施の形態に限定されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更、改良等が可能である。
【0116】
以上のように、実施形態に係るセルスタック装置10は、複数のセル1と、導電部材18と、接合材50とを備える。セル1は、素子部を有する。導電部材18は、クロムを含有する基材42と、基材42を覆う被膜43とを有する。接合材50は、被膜43の第1面と素子部との間に位置する。第1面は、酸化雰囲気に露出する被膜43の第2面よりも表面粗さが大きい。これにより、セルスタック装置10の耐久性を高めることができる。
【0117】
また、実施形態に係るモジュール100は、上記に記載のセルスタック装置10と、セルスタック装置10を収納する収納容器101とを備える。これにより、耐久性が高いモジュール100とすることができる。
【0118】
また、実施形態に係るモジュール収容装置110は、上記に記載のモジュール100と、モジュール100の運転を行うための補機と、モジュール100および補機を収容する外装ケースとを備える。これにより、耐久性が高いモジュール収容装置110とすることができる。
【0119】
今回開示された実施形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。実に、上記した実施形態は多様な形態で具現され得る。また、上記の実施形態は、添付の特許請求の範囲及びその趣旨を逸脱することなく、様々な形態で省略、置換、変更されてもよい。
【符号の説明】
【0120】
1 セル
10 セルスタック装置
11 セルスタック
12 固定部材
13 固定材
14 支持部材
15 支持体
16 ガスタンク
17 端部集電部材
18 導電部材
42 基材
43 被膜
100 モジュール
110 モジュール収容装置