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  • 特開-フィルムラップ加工装置 図1
  • 特開-フィルムラップ加工装置 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024125021
(43)【公開日】2024-09-13
(54)【発明の名称】フィルムラップ加工装置
(51)【国際特許分類】
   B23F 19/04 20060101AFI20240906BHJP
   B24B 21/16 20060101ALI20240906BHJP
   B24B 21/18 20060101ALI20240906BHJP
【FI】
B23F19/04
B24B21/16
B24B21/18 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023033075
(22)【出願日】2023-03-03
(71)【出願人】
【識別番号】000005197
【氏名又は名称】株式会社不二越
(74)【代理人】
【識別番号】100120400
【弁理士】
【氏名又は名称】飛田 高介
(74)【代理人】
【識別番号】100124110
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 大介
(72)【発明者】
【氏名】川端 光弘
(72)【発明者】
【氏名】中村 謙太
【テーマコード(参考)】
3C158
【Fターム(参考)】
3C158AA05
3C158AA12
3C158AA14
3C158AA16
3C158AB01
3C158AB04
3C158AB06
3C158CA01
3C158CA02
3C158CB01
3C158CB03
(57)【要約】      (修正有)
【課題】歯車形状の矩形の外歯の歯面を研磨フィルムで好適に研磨することが可能なフィルムラップ加工装置を提供する。
【解決手段】フィルムラップ加工装置(加工装置100)の構成は、歯車形状のワークWの歯面を研磨フィルム170で研磨するフィルムラップ加工装置であって、ワークWを回動自在に保持するワーク保持装置110と、研磨フィルム170を介してワークWに噛合する歯車形状のバックアップツール140と、バックアップツール140を回転させるツール回転用モータ150とを備え、バックアップツール140が回転すると、研磨フィルム170が送られるとともにワークWが従動してワークWの歯面が研磨されることを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
歯車形状のワークの歯面を研磨フィルムで研磨するフィルムラップ加工装置であって、
前記ワークを回動自在に保持するワーク保持装置と、
前記研磨フィルムを介して前記ワークに噛合する歯車形状のバックアップツールと、
前記バックアップツールを回転させるツール回転用モータとを備え、
前記バックアップツールが回転すると、前記研磨フィルムが送られるとともに前記ワークが従動して該ワークの歯面が研磨されることを特徴とするフィルムラップ加工装置。
【請求項2】
前記研磨フィルムを前記バックアップツールに供給する供給リールと、
前記研磨フィルムを前記バックアップツールから巻き取る巻取リールと、
前記バックアップツールの軸と前記供給リールの軸および前記巻取リールの軸とを連結する駆動ベルトを備えることを特徴とする請求項1に記載のフィルムラップ加工装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歯車形状のワークの歯面を研磨フィルムで研磨するフィルムラップ加工装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
金属部品のワークの研磨方法として、フィルムラップ加工が知られている。フィルムラップ加工とは、表面に砥粒が塗布された研磨フィルムを用いて行う研磨方法である。フィルムラップ加工方法としては、例えば特許文献1に外歯歯車の研磨方法が開示されている。特許文献1の外歯歯車の研磨方法は、「前記外歯歯車の歯面に対し、押圧部材でバックアップすることによりフィルム研磨材を押し付け、その状態で外歯歯車の歯とフィルム研磨材とを歯形方向に相対的に摺動させることにより、歯面を研磨すること」を特徴としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000-205377号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、外周にトロコイド歯車や円弧歯形の外歯を有するワークを加工対象としている。すなわち特許文献1のワークの外周には、なだらかな凹凸からなる外歯が形成されている。このようなワークであれば、特許文献1のように押圧部材によってフィルム研磨材を押し付けることにより、ワークの外歯をなぞるように研磨することができる。
【0005】
しかしながら例えば平歯車など矩形(主にインボリュート歯形)を有するワークでは、特許文献1のように押圧部材によってフィルム研磨材を押し付けただけでは、歯先を研磨することはできるものの、歯面を研磨することは難しい。このため特許文献1の技術の技術は、「矩形の歯からなる外歯」の歯面の研磨に適用することができず、更なる改良の余地がある。
【0006】
本発明は、このような課題に鑑み、歯車形状の矩形の外歯の歯面を研磨フィルムで好適に研磨することが可能なフィルムラップ加工装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明にかかるフィルムラップ加工装置の構成は、歯車形状のワークの歯面を研磨フィルムで研磨するフィルムラップ加工装置であって、ワークを回動自在に保持するワーク保持装置と、研磨フィルムを介してワークに噛合する歯車形状のバックアップツールと、バックアップツールを回転させるツール回転用モータとを備え、バックアップツールが回転すると、研磨フィルムが送られるとともにワークが従動してワークの歯面が研磨されることを特徴とする。
【0008】
上記フィルムラップ加工装置は、研磨フィルムをバックアップツールに供給する供給リールと、研磨フィルムをバックアップツールから巻き取る巻取リールと、バックアップツールの軸と供給リールの軸および巻取リールの軸とを連結する駆動ベルトを備えるとよい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、歯車形状の矩形の外歯の歯面を研磨フィルムで好適に研磨することが可能なフィルムラップ加工装置を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本実施形態にかかるフィルムラップ加工装置の全体斜視図である。
図2図1の加工装置の要部側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値などは、発明の理解を容易とするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示または説明を省略する。
【0012】
図1は、本実施形態にかかるフィルムラップ加工装置の全体斜視図である。図1に示すフィルムラップ加工装置(以下、加工装置100と称する)は、歯車形状のワークWの歯面を研磨フィルム170で研磨する。
【0013】
図1に示すように本実施形態の加工装置100は、ワーク保持装置110および研磨装置120を備える。図1ではワーク保持装置110は浮いているかのように示しているが、何らかの不図示のテーブルに固定する。ワーク保持装置110は、ワークテーブル112、一対のホルダ114およびシャフト116を有する。一対のホルダ114は、ワークテーブル112に取り付けられていて、シャフト116が挿通されている。ワークWは、シャフト116に挿通されることによりワーク保持装置110において回動自在に保持される。
【0014】
研磨装置120は、台座122、スライドテーブル130、第1支持壁132、第2支持壁134、バックアップツール140、ツール回転用モータ150、供給リール162および巻取リール164を備える。台座122には、スライドテーブル130が走行するレール124、およびスライド用モータ126が取り付けられている。かかる構成によれば、スライド用モータ126を駆動することにより、スライドテーブル130がレール124を走行して台座122上をスライド移動可能となる。これによりバックアップツール140をワークWに対して離接する。
【0015】
第1支持壁132および第2支持壁134は、離間した状態でスライドテーブル130に取り付けられている。バックアップツール140およびツール回転用モータ150は第1支持壁132に支持されている。供給リール162および巻取リール164は第2支持壁134に支持されている。
【0016】
バックアップツール140は、研磨フィルム170を介してワークWに噛合する部品である。ツール回転用モータ150は、バックアップツール140を回転させる駆動源である。供給リール162は、研磨フィルム170をバックアップツール140に供給する。巻取リール164は、研磨フィルム170をバックアップツール140から巻き取る。
【0017】
図2は、図1の加工装置100の要部側面図である。図2(a)は、加工装置100の非動作時を例示している。図2(b)は、加工装置100の動作時を例示している。図2(a)および(b)に示すように、歯車形状のワークWは矩形の外歯W1を有し、本実施形態では外歯W1の歯面W2を研磨する。バックアップツール140は、ワークWと同じモジュールの歯車であり、ワークWと同様に矩形の外歯142を有する。
【0018】
加工装置100が動作していないときには、図2(a)に例示するように研磨フィルム170は、ワークWから離間していて、バックアップツール140の前面に張られた状態となっている。ワークの加工を行う際には、スライド用モータ126を駆動して研磨装置120をワークに対して移動させ、図2(b)に示すようにバックアップツール140をワークWに噛み合わせる。すると研磨フィルム170はバックアップツール140とワークWの歯に挟まって、その隙間に倣う。これにより研磨フィルム170の研磨面がワークWの歯面に接触する。
【0019】
図2(b)に例示する状態でツール回転用モータ150を駆動してバックアップツール140を回転させると、これにワークWが従動する。
【0020】
上記構成によれば、歯車形状のバックアップツール140の外歯142の歯面144によって、ワークWの外歯W1の歯面W2に研磨フィルム170が押し当てられる。これにより、ワークWの外歯W1の歯面W2を研磨フィルム170で好適に研磨することができる。したがって、ワークWの歯面W2の平滑性が高まり、製品に組み込まれた後の静音性能や振動抑制性能を高めることが可能となる。
【0021】
更に本実施形態の加工装置100は、ワーク保持装置110を幅方向に揺動させるオシレーション装置192を有する。これにより、上述したワークWの外歯W1の研磨と併せてワークWをオシレーション(微振動)させることができる。したがって、ワークWの歯面W2の平滑性を更に高めることができ、上述した効果の向上を図ることが可能となる。
【0022】
また図1に示すように本実施形態の加工装置100では、バックアップツール140の軸140a、供給リール162の軸162aおよび巻取リール164の軸164aは、駆動ベルト180によって連結されている。これにより、ツール回転用モータ150を駆動してバックアップツール140の軸140aが回転した際、供給リール162の軸162aおよび巻取リール164の軸164aを回転させることができる。したがって、供給リール162や巻取リール164を回転させるためのモータを不要とすることができ、装置コストの削減を図ることが可能となる。
【0023】
ただし供給リール162と巻取リール164は、研磨フィルム170の巻き量に応じて適した回転速度が変化する。そこで本実施形態の加工装置100では、供給リール162の軸162aに対してトルクリミッター190が設けられている。これにより、ワークWの送り速度に対する供給リール162と巻取リール164の速度差を吸収することができる。したがって、研磨フィルム170の弛みや研磨フィルム170の張りに起因する破損を好適に防ぐことが可能となる。
【0024】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施例について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【産業上の利用可能性】
【0025】
本発明は、歯車形状のワークの歯面を研磨フィルムで研磨するフィルムラップ加工装置に利用することができる。
【符号の説明】
【0026】
W1…外歯、W2…歯面、100…加工装置、110…ワーク保持装置、112…ワークテーブル、114…ホルダ、116…シャフト、120…研磨装置、122…台座、124…レール、126…スライド用モータ、130…スライドテーブル、132…第1支持壁、134…第2支持壁、140…バックアップツール、140a…軸、142…外歯、144…歯面、150…ツール回転用モータ、162…供給リール、162a…軸、164…巻取リール、164a…軸、170…研磨フィルム、180…駆動ベルト、190…トルクリミッター、192…オシレーション装置、W…ワーク
図1
図2