(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024125026
(43)【公開日】2024-09-13
(54)【発明の名称】プラズマ照射装置
(51)【国際特許分類】
H05H 1/26 20060101AFI20240906BHJP
A61N 1/44 20060101ALI20240906BHJP
【FI】
H05H1/26
A61N1/44
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023033084
(22)【出願日】2023-03-03
(71)【出願人】
【識別番号】000004547
【氏名又は名称】日本特殊陶業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】弁理士法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中埜 吉博
(72)【発明者】
【氏名】松元 裕次
(72)【発明者】
【氏名】安部 快彦
【テーマコード(参考)】
2G084
4C053
【Fターム(参考)】
2G084AA24
2G084BB22
2G084CC03
2G084CC07
2G084CC20
2G084CC34
2G084DD01
2G084DD14
2G084DD22
2G084EE15
2G084FF02
2G084FF11
2G084FF13
2G084FF14
2G084GG02
2G084GG07
2G084GG28
2G084HH03
2G084HH37
2G084HH43
4C053BB34
4C053LL13
(57)【要約】
【課題】プラズマ照射器具の基部に対する着脱部の取り付け状態を把握し易いプラズマ照射装置を提供する。
【解決手段】プラズマ照射装置100は、放出口51Bからプラズマを放出させるプラズマ照射器具10を備える。プラズマ照射器具10は、把持部として機能する基部11と、放出口51Bが設けられ、基部11に対して着脱可能に取り付けられる着脱部13と、基部11に設けられる磁石69と、基部11に設けられ、着脱部13が基部11に取り付けられたときに磁石69から生じる磁気を検出可能な磁気検出器67と、を有する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
放出口からプラズマを放出させるプラズマ照射器具を備えるプラズマ照射装置であって、
前記プラズマ照射器具は、
把持部として機能する基部と、
前記放出口が設けられ、前記基部に対して着脱可能に取り付けられる着脱部と、
前記基部および前記着脱部の少なくとも一方に設けられる磁石と、
前記基部に設けられ、前記着脱部が前記基部に取り付けられたとき及び前記着脱部が前記基部に取り付けられていないときのいずれかのときに前記磁石から生じる磁気を検出可能な磁気検出器と、
を有する、
プラズマ照射装置。
【請求項2】
前記磁石は、前記着脱部に設けられている、
請求項1に記載のプラズマ照射装置。
【請求項3】
前記着脱部は、前記磁石が収容される収容部を具備し、
前記収容部には、前記磁気検出器側に開口する開口部が設けられ、
前記磁石は、前記開口部を介して露出している、
請求項2に記載のプラズマ照射装置。
【請求項4】
前記プラズマ照射器具は、
プラズマ放電を発生させる放電部と、
前記基部に設けられ、入力された電圧を昇圧して前記放電部側に出力する昇圧トランスと、
を有し、
前記着脱部が前記基部に取り付けられた状態で、前記磁石と前記昇圧トランスとの間の間隔は、前記磁石と前記磁気検出器との間の間隔よりも大きい、
請求項1又は請求項2に記載のプラズマ照射装置。
【請求項5】
前記磁気検出器による前記磁石の検出結果に基づいて、前記着脱部が前記基部に取り付けられた状態であるか否かを判定する判定部が設けられる、
請求項1又は請求項2に記載のプラズマ照射装置。
【請求項6】
前記プラズマ照射器具は、前記基部に設けられて前記磁気検出器の磁気の検出方向とは異なる検出方向で磁気を検出可能な第2の磁気検出器を有し、
前記判定部は、前記磁気検出器による磁気の検出結果と、前記第2の磁気検出器による磁気の検出結果とに基づいて、前記着脱部が前記基部に取り付けられた状態であるか否かを判定する、
請求項5に記載のプラズマ照射装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、プラズマ照射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示されるプラズマ照射装置は、プラズマ発生部を有する照射器具を備えている。このプラズマ照射装置では、プラズマの放出口を有するノズルが、照射器具のヘッド部に着脱可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されるようなプラズマ照射装置では、ノズル(着脱部)がヘッド部(基部)に取り付けられているか否かを目視で確認するしかなかった。そこで、プラズマ照射器具において、基部に対する着脱部の取り付け状態を把握し易い構成が求められている。
【0005】
本開示は、上記実情に鑑みてなされたものであり、プラズマ照射器具の基部に対する着脱部の取り付け状態を把握し易いプラズマ照射装置を提供することを一つの目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のプラズマ照射装置は、
放出口からプラズマを放出させるプラズマ照射器具を備えるプラズマ照射装置であって、
前記プラズマ照射器具は、
把持部として機能する基部と、
前記放出口が設けられ、前記基部に対して着脱可能に取り付けられる着脱部と、
前記基部および前記着脱部の少なくとも一方に設けられる磁石と、
前記基部に設けられ、前記着脱部が前記基部に取り付けられたとき及び前記着脱部が前記基部に取り付けられていないときのいずれかのときに前記磁石から生じる磁気を検出可能な磁気検出器と、
を有する。
【発明の効果】
【0007】
本開示のプラズマ照射装置は、プラズマ照射器具の基部に対する着脱部の取り付け状態を把握し易い。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1実施形態のプラズマ照射装置の構成を概略的に示す図である。
【
図2】着脱部が基部から離間した状態のプラズマ照射器具の側面図である。
【
図4】着脱部が基部から離間した状態のプラズマ照射器具の側断面図である。
【
図5】プラズマ照射装置の電気的構成を示すブロック図である。
【
図6】制御装置が行う処理の流れを例示するフローチャートである。
【
図7】第2実施形態のプラズマ照射器具の構成を概略的に示す模式図である。
【
図8】第3実施形態のプラズマ照射器具の構成を概略的に示す模式図である。
【
図9】第4実施形態のプラズマ照射器具において、着脱部が基部から離間した状態を示す模式図である。
【
図10】第4実施形態のプラズマ照射器具において、着脱部が基部に取り付けられた状態を示す模式図である。
【
図11】第5実施形態のプラズマ照射器具において、着脱部が基部から離間した状態を示す模式図である。
【
図12】第5実施形態のプラズマ照射器具において、着脱部が基部に取り付けられた状態を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下では、本開示の実施形態が列記されて例示される。
〔1〕放出口からプラズマを放出させるプラズマ照射器具を備えるプラズマ照射装置であって、
前記プラズマ照射器具は、
把持部として機能する基部と、
前記放出口が設けられ、前記基部に対して着脱可能に取り付けられる着脱部と、
前記基部および前記着脱部の少なくとも一方に設けられる磁石と、
前記基部に設けられ、前記着脱部が前記基部に取り付けられたとき及び前記着脱部が前記基部に取り付けられていないときのいずれかのときに前記磁石から生じる磁気を検出可能な磁気検出器と、
を有する、
プラズマ照射装置。
【0010】
この構成によれば、プラズマ照射器具において着脱部を基部に取り付けたとき、及び着脱部が基部から外されたときのいずれかのときに、基部および着脱部の少なくとも一方に設けられる磁石から生じる磁気を、磁気検出器によって検出することができる。これにより、着脱部が基部に取り付けられた状態であるか、磁気検出器による検出結果に基づいて把握することができ、基部に対する着脱部の取り付け状態を把握し易くなる。
【0011】
〔2〕前記磁石は、前記着脱部に設けられている、
〔1〕に記載のプラズマ照射装置。
【0012】
この構成によれば、着脱部と基部の位置関係の変化によって磁石と磁気検出器の位置関係の変化を直接的に生じさせることができ、磁石を基部に設ける構成に比べてプラズマ照射器具の構成が簡素化する。
【0013】
〔3〕前記着脱部は、前記磁石が収容される収容部を具備し、
前記収容部には、前記磁気検出器側に開口する開口部が設けられ、
前記磁石は、前記開口部を介して露出している、
〔2〕に記載のプラズマ照射装置。
【0014】
この構成によれば、着脱部が基部に取り付けられた状態で、磁石が磁気検出器に近づき易い構成となり、磁石から生じる磁気を磁気検出器で検出し易くなる。
【0015】
〔4〕前記プラズマ照射器具は、
プラズマ放電を発生させる放電部と、
前記基部に設けられ、入力された電圧を昇圧して前記放電部側に出力する昇圧トランスと、
を有し、
前記着脱部が前記基部に取り付けられた状態で、前記磁石と前記昇圧トランスとの間の間隔は、前記磁石と前記磁気検出器との間の間隔よりも大きい、
〔1〕から〔3〕のいずれかに記載のプラズマ照射装置。
【0016】
この構成によれば、昇圧トランスが磁気検出器から比較的離れた位置に配置される構成となり、磁気検出器が昇圧トランスから生じる磁気の影響を受けにくくなる。
【0017】
〔5〕前記磁気検出器による前記磁石の検出結果に基づいて、前記着脱部が前記基部に取り付けられた状態であるか否かを判定する判定部が設けられる、
〔1〕から〔4〕のいずれかに記載のプラズマ照射装置。
【0018】
この構成によれば、判定部によって着脱部が基部に取り付けられた状態であるか否かを判定することができる。
【0019】
〔6〕前記プラズマ照射器具は、前記基部に設けられて前記磁気検出器の磁気の検出方向とは異なる検出方向で磁気を検出可能な第2の磁気検出器を有し、
前記判定部は、前記磁気検出器による磁気の検出結果と、前記第2の磁気検出器による磁気の検出結果とに基づいて、前記着脱部が前記基部に取り付けられた状態であるか否かを判定する、
〔5〕に記載のプラズマ照射装置。
【0020】
この構成によれば、第2の磁気検出器によって磁石とは異なる物体から生じる磁気を検出可能である。そのため、磁石とは異なる物体からの磁気の影響を考慮しつつ、着脱部が基部に取り付けられた状態であるか否かを判断することができる。
【0021】
<第1実施形態>
1.プラズマ照射装置100の構成
本開示の一例であるプラズマ照射装置100を
図1に示す。
図1のプラズマ照射装置100は、例えば、侵襲性の低い低温、且つ低エネルギーのプラズマを照射する。プラズマ照射装置100は、例えば施術対象の生体組織に対して止血などを行い得る手術用装置として構成される。プラズマ照射装置100は、プラズマ照射器具10と、制御装置20と、を備えている。
【0022】
2.プラズマ照射器具10の構成
プラズマ照射器具10は、例えば、手術を行う術者によって把持されて使用される器具である。プラズマ照射器具10は、
図2に示すように、基部11と、着脱部13と、を有している。基部11は、把持部として機能する。着脱部13は、後述する放出口51Bが設けられ、基部11に対して着脱可能に取り付けられる。
【0023】
プラズマ照射器具10は、長手形状である。プラズマ照射器具10の長手方向(
図2-
図4のX軸方向)を、前後方向と定義する。
図2-
図4におけるX軸の正方向を前方と定義し、X軸の負方向を後方と定義する。また、
図2-
図4において、プラズマ照射器具10の長手方向と直交する方向(
図2-
図4のY軸方向)を、上下方向と定義する。
図2-
図4におけるY軸の正方向を上方と定義し、Y軸の負方向を下方と定義する。
【0024】
基部11は、
図2に示すように、前後方向に長い形態をなしている。基部11は、第1ケース31を有する。第1ケース31は、基部11の外殻をなす。第1ケース31は、絶縁性を有し、例えば樹脂材料を用いて構成される。第1ケース31は、前後方向に長い筒状をなしている。基部11の先端には、着脱部13が着脱可能に取り付けられる。
【0025】
着脱部13は、
図2に示すように、第2ケース41を有する。第2ケース41は、着脱部13の外殻をなす。第2ケース41は、絶縁性を有し、例えば樹脂材料を用いて構成される。第2ケース41は、筒状をなす。第2ケース41の前端には、後述する放出口51Bが設けられている。放出口51Bは前方に向かって開放されている。
【0026】
プラズマ照射器具10は、
図3に示すように、前端に向かってガスを誘導するガス誘導路51と、ガス誘導路51内でプラズマを発生させる放電部53と、を有する。ガス誘導路51は、ケーブル15の中継流路を介して、後述するガス供給部75から供給されたガスを、ガス誘導路51の前端に向かって誘導する。
【0027】
ガス誘導路51は、
図3に示すように、ガスを導入する導入口51Aと、ガスを放出する放出口51Bと、導入口51Aと放出口51Bとの間に設けられる流路51Cと、を有する。ガス誘導路51は、後述するガス供給部75から供給されるガスを導入口51Aから導入し、導入口51A側から導入されたガスを流路51C内の空間を通して放出口51Bに誘導する誘導路となっている。ガス誘導路51は、流動するガスを放出口51Bを介して放出する。
【0028】
放電部53は、
図3に示すように、着脱部13に設けられている。放電部53は、着脱部13における前端(放出口51B)側に配置されている。放電部53は、第1電極53Aと、第2電極53Bと、誘電体53Cと、を具備している。放電部53は、中空状をなしており、ガス誘導路51の少なくとも一部を構成している。放電部53は、着脱部13の長手方向(前後方向)に沿った長い形態をなしている。
【0029】
第1電極53Aは、放電電極として機能する。第2電極53Bは、接地電極として機能する。第1電極53A及び第2電極53Bは、それぞれ着脱部13の長手方向(前後方向)に沿って延びる形態をなしている。第1電極53A及び第2電極53Bは、誘電体53Cと一体的に設けられている。第1電極53A及び第2電極53Bは、互いに離間して配置され、誘電体53Cを介在させて上下方向で互いに対向して配置される。
【0030】
誘電体53Cは、中空状をなしており、ガス誘導路51の少なくとも一部を構成している。誘電体53Cは、基部11の長手方向(先後方向)に長い形態をなしている。誘電体53Cは、例えばアルミナなどのセラミック材料、ガラス材料、樹脂材料などを好適に用いることができる。誘電体53Cの先端は、第1電極53A及び第2電極53Bのいずれよりも先端側に配置されている。
【0031】
放電部53は、第1電極53Aと第2電極53Bとの間に電圧が印加されることに応じてガス誘導路51内でプラズマを発生させる。より具体的には、放電部53は、第1電極53Aと第2電極53Bとの電位差に基づく電界をガス誘導路51内で発生させて、放電(より具体的には、沿面放電)によるプラズマ(より具体的には、低温プラズマ)をガス誘導路51内で発生させるように機能する。放電部53は、第2電極53Bの電位を一定の基準電位(例えば、0Vのグラウンド電位)に保ちつつ、周期的に変化する電圧が第1電極53Aに印加されることに応じてガス誘導路51内で沿面放電させ、プラズマ(より具体的には、低温プラズマ)を発生させる。
【0032】
上述したガス誘導路51の流路51Cは、基部11に設けられる第1流路51Dと、着脱部13に設けられる第2流路51Eと、を有する。第1流路51Dは、第1ケース31の内部に配置される。第1流路51Dは、第2流路51Eよりも後述するガス供給部75側に配置される。第2流路51Eは、第1流路51Dよりも放出口51B側に配置される。第1流路51Dには、ガス供給部75側から供給されるガスが導入される。第1流路51Dは、ガス供給部75側から供給されたガスを、第2流路51E側に流す。第2流路51Eは、第1流路51D側から供給されたガスを放出口51B側に誘導し、放出口51Bから放出させる。なお、放電部53は、第2流路51E内でプラズマを発生させる。
【0033】
プラズマ照射器具10は、第1電極53Aに電気的に接続される第1配線55Aと、第2電極53Bに電気的に接続される第2配線55Bと、を有する。第1配線55Aと第2配線55Bとの間には、後述する電源部76に基づく電圧が印加される。第1配線55Aと第2配線55Bとの間に印加された電圧は、第1電極53Aと第2電極53Bとの間に印加される。
【0034】
第1配線55Aは、第1導電路55Cと、第2導電路55Dと、第3導電路55Eと、を有している。第2配線55Bは、第1導電路55Fと、第2導電路55Gと、第3導電路55Hと、を有している。第1導電路55C,55F及び第2導電路55D,55Gは、基部11に設けられ、第1ケース31内に配置されている。第3導電路55E,55Hは、着脱部13に設けられ、第2ケース41内に配置されている。
【0035】
第1導電路55Cの一端(後端)及び第1導電路55Fの一端(後端)は、電源部76に電気的に接続されている。第1導電路55Cの他端(前端)は、昇圧トランス63を介して第2導電路55Dの一端(後端)に電気的に接続されている。同様に、第1導電路55Fの他端(前端)は、昇圧トランス63を介して第2導電路55Gの一端(後端)に電気的に接続されている。
【0036】
基部11は、第1コネクタ部57Aを有する。第1コネクタ部57Aは、第1ケース31の前端側に設けられている。着脱部13は、第2コネクタ部57Bを有する。第2コネクタ部57Bは、第2ケース41の後端に設けられている。第1コネクタ部57Aと第2コネクタ部57Bは、前後方向で互いに接続される。
【0037】
第1コネクタ部57Aは、第1ケース31を前方側から閉塞するように設けられている。第1コネクタ部57Aは、第1ケース31において前端側の開口よりもわずかに内側に配置され、第1ケース31の前端とともに後方に凹む凹部33を構成している。凹部33に第2ケース41が嵌まり込むことで、基部11に着脱部13が取り付けられる。
【0038】
第1流路51Dの一端(前端)は、第1コネクタ部57Aに設けられている。第1コネクタ部57Aは、例えば樹脂材料(ポリフェニルスルホン樹脂(PPSU)等)によって構成されている。第1流路51Dの他端(後端)には、導入口51Aが設けられている。第2導電路55Dの他端(前端)、及び第2導電路55Gの他端(前端)は、それぞれ第1コネクタ部57Aに設けられている。
【0039】
第2流路51Eの一端(後端)は、第2コネクタ部57Bに設けられている。第2流路51Eの他端(前端)には、放出口51Bが設けられている。第3導電路55Eの一端(後端)、及び第3導電路55Hの一端(後端)は、それぞれ第2コネクタ部57Bに設けられている。第3導電路55Eの他端(前端)は、第1電極53Aに電気的に接続されている。第3導電路55Hの他端は、第2電極53Bに電気的に接続されている。
【0040】
基部11に着脱部13が取り付けられると、第1コネクタ部57Aに第2コネクタ部57Bが接続される。第1コネクタ部57Aに第2コネクタ部57Bが接続されたときに、第1流路51Dから第2流路51Eにガスを供給可能な状態となる。また、第1コネクタ部57Aに第2コネクタ部57Bが接続されたとき、第2導電路55Dに第3導電路55Eが電気的に接続されるとともに、第2導電路55Gに第3導電路55Hが電気的に接続される。
【0041】
例えば、第1流路51Dを構成する第1管部と、第2流路51Eを構成する第2管部とが、ガス漏れを防止した状態で接続される。例えば、第2導電路55Dと第3導電路55Eは、一方に雌端子が設けられ、他方に雄端子が設けられ、雌端子と雄端子が接続されることで互いに電気的に接続される。第2導電路55Gと第3導電路55Hの構造も、第2導電路55Dと第3導電路55Eの構造と同様である。
【0042】
基部11には、
図3に示すように、回路基板61と、昇圧トランス63と、スイッチ65と、磁気検出器67と、が設けられている。回路基板61は、前後方向に長い形態である。回路基板61は、板厚方向が上下方向となるように、第1ケース31内の上端側に配置されている。回路基板61には、昇圧トランス63、スイッチ65、及び磁気検出器67が搭載されている。スイッチ65及び磁気検出器67は、例えば第1導電路55C,55Fのそれぞれから分岐する導電路を介して、又は第1導電路55C,55Fと同様の導電路(図示略)を介して、電力が供給される。
【0043】
昇圧トランス63は、入力された電圧を昇圧して放電部53に印加する。昇圧トランス63は、回路基板61の下面側かつ後端側に配置されている。昇圧トランス63には、第1導電路55Cの他端(前端)及び第1導電路55Fの他端(前端)が電気的に接続される。昇圧トランス63は、後述する電源部76に基づく入力電圧を昇圧し、昇圧した電圧を第2導電路55Dと第2導電路55Gとの間に印加する。これにより、昇圧トランス63は、第1電極53Aと第2電極53Bとの間に所望の電圧を印加する。
【0044】
昇圧トランス63は、高周波電圧発生回路として機能する。昇圧トランス63は、第2電極53Bを基準電位に保ちつつ、第1電極53Aと第2電極53Bとの間に所定周波数の交流電圧を印加する。昇圧トランス63は、高周波数(例えば、20kHz-300kHz程度)の高電圧(例えば、振幅が0.5kV-10kVの高電圧)を生成し得る回路であれば、公知の様々な回路を採用し得る。なお、昇圧トランス63が発生させる高電圧の周波数は、一定値に固定された周波数であってもよく、変動してもよい。また、昇圧トランス63が第1電極53Aと第2電極53Bとの間に印加する電圧は、周期的に変化する電圧であればよく、正弦波の交流電圧であってもよく、非正弦波(例えば、矩形波、三角波など)の交流電圧であってもよい。
【0045】
スイッチ65は、第2ケース41の上面側に露出している。スイッチ65は、プラズマ照射装置100(より具体的には、プラズマ照射器具10)からプラズマを照射する状態と、プラズマの照射を停止する状態とを切り替える操作部である。例えば、スイッチ65は、押圧式スイッチであり、押圧状態でプラズマを照射する状態となり、押圧解除状態でプラズマの照射を停止する状態となる。なお、
図3、
図4では、スイッチ65の周辺構成(スイッチ65の操作に基づいて放電部53の放電等を制御する回路等)を省略しているが、一般的な制御回路等を採用することができる。スイッチ65の操作結果は、例えば通信線67Aを介して制御装置20に送信される。通信線67Aの一部は、ケーブル15に内に配されている。
【0046】
磁気検出器67は、磁気(磁界)の検出が可能な素子である。磁気検出器67は、例えばホールセンサである。ホールセンサは、直流の定電流を通電すると磁束密度に比例した電圧を得ることができる板状の素子である。例えば、ホール素子に通電して得られる電圧の正負によって磁界の向きを検出することができ、得られる電圧の大きさによって磁界の強度を検出することができる。
【0047】
磁気検出器67は、回路基板61における上面側かつ前端付近に配置されている。磁気検出器67は、前後方向の向き(例えば前方から後方に向かう向き)の磁気(磁界)を検出可能に配置されている。磁気検出器67は、着脱部13が基部11に取り付けられた状態で、第1コネクタ部57Aを介して後述する磁石69と前後方向で対向する配置となっている。これにより、磁気検出器67は、着脱部13が基部11に取り付けられたときに、磁石69から生じる磁気を検出可能である。なお、着脱部13が基部11に取り付けられた状態で、磁石69と磁気検出器67との間に磁気伝達を阻害する物体(強磁性体等)が設けられていない。また、第1コネクタ部57Aは、樹脂材料(ポリフェニルスルホン樹脂(PPSU)等)によって構成されているため、磁石69から磁気検出器67への磁気伝達を阻害しない。
【0048】
磁気検出器67は、例えば、得られる電圧の正負に基づいて検出した磁界の向きを特定する回路を含んでいる。また、磁気検出器67は、例えば、検出した磁界の強度(得られた電圧の大きさ)と予め設定された閾値とを比較し、検出結果を出力する回路を含んでいる。閾値は、例えば8mTの磁界の強度に対応する電圧値である。磁気検出器67は、例えば、前後方向の向き(例えば前方から後方に向かう向き)の磁界の強度が閾値未満であるときにローレベル信号(例えば0Vの電圧信号)を出力し、前後方向の向き(例えば前方から後方に向かう向き)の磁界の強度が閾値以上であるときにハイレベル信号(ローレベル信号の電圧よりも大きな電圧の信号)を出力する。磁気検出器67は、通信線67Aを介して制御装置20に検出結果を送信する構成となっている。磁気検出器67は、回路基板61を介して又は直接、通信線67Aによって検出結果を送信する。
【0049】
磁石69は、
図3に示すように、着脱部13に設けられている。磁石69は、着脱部13における基部11側に配置されている。磁石69は、例えば比較的強い磁気を生じさせるネオジム、サマリウムコバルト等によって構成されている。磁石69は、例えば軸方向に長い円柱状であり、一端がN極であり、他端がS極である。第2ケース41には、磁石69が収容される収容部43が設けられている。収容部43は、磁石69と同形状の凹みである。収容部43は、第2ケース41の後端かつ上端に設けられている。収容部43は、前後方向において第2コネクタ部57Bと同じ位置に設けられている。収容部43は、着脱部13が基部11に取り付けられた状態で、磁気検出器67の前方に位置している。収容部43には、磁気検出器67側(後方側)に開口する開口部45が設けられている。磁石69のN極は、収容部43に収容された状態で、開口部45を介して後方に露出している。磁石69は、着脱部13が基部11に取り付けられた状態で、前後方向に沿うように配され、開口部45から露出する部分(N極)の付近の磁気(磁界)の方向は、後方向きとなる。
【0050】
磁石69と磁気検出器67は、着脱部13が基部11に取り付けられた状態で、磁気検出器67によって検出される磁界の強度が閾値以上となるように磁石69の磁気を検出する配置関係になっている。また、磁石69と磁気検出器67は、着脱部13が基部11に取り付けられていない状態(わずかでも離間している状態)で、磁気検出器67によって検出される磁界の強度が閾値未満となるように磁石69の磁気を検出する配置関係になっている。
【0051】
図3に示すように、着脱部13が基部11に取り付けられた状態で、磁石69と昇圧トランス63との間の間隔(距離L1)は、磁石69と磁気検出器67との間の間隔(距離L2)よりも大きい。これにより、昇圧トランス63を磁気検出器67から比較的離れた位置に配置され、磁気検出器67が昇圧トランス63から生じる磁気の影響を受けにくくなる。
【0052】
3.制御装置20の構成
制御装置20は、
図5に示すように、制御部71と、入力部72と、出力部73と、記憶部74と、ガス供給部75と、電源部76と、を有する。
【0053】
制御部71は、プラズマ照射装置100の動作を制御する。制御部71は、例えばMCU(Micro Controller Unit)を含んで構成される。制御部71は、例えば、記憶部74に記憶されたプログラム等に基づいて、後述する
図6に示す処理を実行する。
【0054】
入力部72は、例えば公知の入力装置を用いて構成される。公知の入力装置は、例えばキーボード、マウス、タッチパネルなどである。入力部72によって入力された情報は、制御部71に入力される。
【0055】
出力部73は、例えば公知の出力装置を用いて構成される。公知の出力装置は、例えば表示部(例えば液晶表示部)、音声出力部(例えば、スピーカ)などである。
【0056】
記憶部74は、例えば公知の半導体メモリ等によって構成される。
【0057】
ガス供給部75は、制御部71によって制御される。ガス供給部75は、ヘリウムガス等の不活性ガス(以下、単にガスともいう)を供給する装置である。ガス供給部75は、例えば、プラズマ照射器具10とガス供給部75との間に介在する可撓性の管路(ケーブル15内の中継流路)を介してガス誘導路51に不活性ガスを供給する。ガス供給部75は、例えばボンベ等から供給される高圧ガスを減圧するレギュレータ、流量制御を行うコントローラ等を含む。
【0058】
電源部76は、公知の制御回路等を含み、放電部53の第1電極53Aと第2電極53Bとの間に所望の電圧を印加するように機能する。電源部76は、第1電極53Aと第2電極53Bとの間に所定周波数の交流電圧を印加する。なお、電源部76が発生させる高電圧の周波数は、一定値に固定された周波数であってもよく、変動してもよい。また、電源部76が第1電極53Aと第2電極53Bとの間に印加する電圧は、周期的に変化する電圧であればよく、正弦波の交流電圧であってもよく、非正弦波(例えば、矩形波、三角波など)の交流電圧であってもよい。
【0059】
4.プラズマ照射装置100の動作
制御装置20の制御部71は、開始条件が成立した場合に、
図6に示す処理を行う。開始条件は、例えば、制御装置20の電源がオン状態に切り替わったことであってもよいし、開始操作が行われたことであってもよい。
【0060】
制御部71は、ステップS11にて、着脱部13が基部11に取り付けられた状態であるか否か判断する。制御部71は、本開示の「判定部」の一例に相当する。制御部71は、磁気検出器67から送信される検出結果に基づいて、着脱部13が基部11に取り付けられた状態であるか否か判断する。例えば、制御部71は、磁気検出器67からハイレベル信号が送信されているとき、磁気検出器67が磁石69の磁気を検出しているとして、着脱部13が基部11に取り付けられた状態であると判断する。一方で、制御部71は、磁気検出器67からローレベル信号が送信されているとき、磁気検出器67が磁石69の磁気を検出していないとして、着脱部13が基部11に取り付けられた状態でないと判断する。
【0061】
制御部71は、ステップS11にて着脱部13が基部11に取り付けられた状態であると判断するとき、ステップS13にて、プラズマ照射装置100のプラズマ照射動作を許可する許可処理を行う。許可処理は、所定の照射操作(本実施形態では、スイッチ65を押圧する操作)に応じて、プラズマ照射器具10がプラズマを照射する状態である。許可処理が行われた状態(許可状態)では、所定の照射操作に応じて、ガス供給部75から供給されたガスが、ガス誘導路51内を放出口51Bに向かって流れる。また、許可状態では、所定の照射操作に応じて、昇圧トランス63が電源部76からの電力に基づいて第1電極53Aと第2電極53Bとの間に電圧を印加する。これにより、放電部53がガス誘導路51内にプラズマを発生させる。ガス誘導路51内で発生したプラズマは、放出口51Bから放出される。制御部71は、ステップS13の処理の後、再びステップS11の処理を行う。
【0062】
制御部71は、ステップS11にて着脱部13が基部11に取り付けられた状態でないと判断するとき、ステップS15にて、所定の対応処理を行う。所定の対応処理は、例えば、所定の照射操作(本実施形態では、スイッチ65を押圧する操作)を行ってもプラズマ照射器具10がプラズマを照射しない状態(不許可状態)とする処理である。不許可状態では、所定の照射操作を行っても、ガス供給部75からガスが供給されず、また電源部76から昇圧トランス63に電力が供給されず、放電部53によってガス誘導路51内にプラズマが発生しない。制御部71は、ステップS15の処理の後、再びステップS11の処理を行う。
【0063】
なお、所定の対応処理の他の例として、出力部73を用いて着脱部13が基部11に取り付けられた状態でないことを使用者に知らせてもよい。
【0064】
制御部71は、所定の終了条件が成立したときに、上記不許可状態として、
図6の処理を終了する。終了条件は、例えば、制御装置20の電源がオフ状態に切り替わったことであってもよいし、終了操作が行われたことであってもよいし、ケーブル15が制御装置20から外されたことであってもよい。
【0065】
5.効果の例
本開示のプラズマ照射装置100では、プラズマ照射器具10において着脱部13を基部11に取り付けることで、着脱部13に設けられる磁石69から生じる磁気を、磁気検出器67によって検出することができる。これにより、着脱部13が基部11に取り付けられた状態であるか、磁気検出器67による検出結果に基づいて把握することができ、基部11に対する着脱部13の取り付け状態を把握し易くなる。
【0066】
更に、本開示のプラズマ照射装置100では、磁石69は、着脱部13に設けられている。この構成によれば、着脱部13と基部11の位置関係の変化によって磁石69と磁気検出器67の位置関係の変化を直接的に生じさせることができ、磁石69を基部11に設ける構成に比べてプラズマ照射器具の構成が簡素化する。
【0067】
更に、本開示のプラズマ照射装置100では、着脱部13は、磁石69が収容される収容部43を具備する。収容部43には、磁気検出器67側に開口する開口部45が設けられている。磁石69は、開口部45を介して露出している。この構成によれば、着脱部13が基部11に取り付けられた状態で、磁石69が磁気検出器67に近づき易い構成となり、磁石69から生じる磁気を磁気検出器67で検出し易くなる。
【0068】
更に、本開示のプラズマ照射装置100では、プラズマ放電を発生させる放電部53と、基部11に設けられ、入力された電圧を昇圧して放電部53側に出力する昇圧トランス63と、を有する。着脱部13が基部11に取り付けられた状態で、磁石69と昇圧トランス63との間の間隔は、磁石69と磁気検出器67との間の間隔よりも大きい。この構成によれば、昇圧トランス63を磁気検出器67から比較的離れた位置に配置される構成となり、磁気検出器67が昇圧トランス63から生じる磁気の影響を受けにくくなる。
【0069】
更に、本開示のプラズマ照射装置100では、磁気検出器67による磁石69の検出結果に基づいて、着脱部13が基部11に取り付けられた状態であるか否かを判定する制御部71(判定部)が設けられている。この構成によれば、制御部71によって着脱部13が基部11に取り付けられた状態であるか否かを判定することができる。
【0070】
<第2実施形態>
第1実施形態では、着脱部13が基部11に取り付けられた状態で磁石69の磁気を検出可能な磁気検出器67が基部11に設けられていたが、異なる方向の磁気を検出可能な複数の磁気検出器を設ける構成であってもよい。なお、第2実施形態の説明では、第1実施形態と同じ構成については同じ符号を付し、詳しい説明を省略する。
【0071】
第2実施形態では、
図7に示すように、前後方向及び上下方向を、第1実施形態(
図2-
図4参照)と同様に定義する。また、
図7において、前後方向及び上下方向と直交する方向(Z軸方向)を左右方向と定義する。
図7におけるZ軸の正方向を左方と定義し、Z軸の負方向を右方と定義する。
【0072】
図7に示すように、第2実施形態のプラズマ照射器具10は、第1の磁気検出器267Aと、第2の磁気検出器267Bと、を備えている。第1の磁気検出器267Aは、本開示の「磁気検出器」の一例に相当し、第1実施形態の磁気検出器67と同様の構成であり、前後方向の向き(例えば前方から後方に向かう向き)の磁気(磁界)を検出可能に配置されている。第2の磁気検出器267Bは、第1実施形態の磁気検出器67と同様の構成であり、左右方向の向き(例えば左方から右方に向かう向き)の磁気(磁界)を検出可能に配置されている。
【0073】
制御部71は、第1の磁気検出器267Aによる磁器の検出結果と、第2の磁気検出器267Bによる磁気の検出結果とに基づいて、着脱部13が基部11に取り付けられた状態であるか否かを判定する。
【0074】
例えば、
図7に示すように、着脱部13を基部11に取り付けるように、磁石69が前方から後方に向かって近づいたとき、第1の磁気検出器267Aからハイレベル信号が送信されるとともに、第2の磁気検出器267Bからローレベル信号が送信される。このとき、制御部71は、着脱部13が基部11に取り付けられた状態であると判定する。
【0075】
また、左方から右方に向かう磁気が基部11付近に生じたとき、第1の磁気検出器267Aからローレベル信号が送信されるとともに、第2の磁気検出器267Bからハイレベル信号が送信される。このとき、制御部71は、磁石69とは異なる物体からの磁気が検出されたとして、着脱部13が基部11に取り付けられた状態でないと判定する。
【0076】
また、上方から下方に向かう磁気が基部11付近に生じたとき、第1の磁気検出器267Aからローレベル信号が送信されるとともに、第2の磁気検出器267Bからローレベル信号が送信される。このとき、制御部71は、磁石69やそれ例外の物体からの磁気が検出されないとして、着脱部13が基部11に取り付けられた状態でないと判定する。
【0077】
また、方向が複雑な磁気が基部11付近に生じ、第1の磁気検出器267A及び第2の磁気検出器267Bのいずれからもハイレベル信号が送信されるとき、制御部71は、着脱部13が基部11に取り付けられた状態でないと判定する。これにより、第1の磁気検出器267Aで磁気が検出されたとしても、磁石69とは異なる物体からの磁気に基づく誤検出の可能性を考慮してプラズマの発生を防ぐことができる。
【0078】
<第3実施形態>
第3実施形態では、磁気の検出方向が同じであり検出感度の異なる複数の磁気検出器を設ける点が、第2実施形態と異なっている。なお、第3実施形態の説明では、第1実施形態と同じ構成については同じ符号を付し、詳しい説明を省略する。
【0079】
図8に示すように、第3実施形態のプラズマ照射器具10は、第1の磁気検出器367Aと、第2の磁気検出器367Bと、を備えている。第1の磁気検出器367Aは、本開示の「磁気検出器」の一例に相当し、第1実施形態の磁気検出器67と同様の構成であり、前後方向の向き(例えば前方から後方に向かう向き)の磁気(磁界)を検出可能に配置されている。第2の磁気検出器367Bは、第1実施形態の磁気検出器67と同様の構成であり、前後方向の向き(例えば前方から後方に向かう向き)の磁気(磁界)を検出可能に配置されている。
【0080】
第1の磁気検出器367Aの検出感度は、第2の磁気検出器367Bの検出感度よりも大きい。第1の磁気検出器367Aの検出感度は、着脱部13が基部11に取り付けられた状態で磁石69の磁気を検出可能な程度になっている。第2の磁気検出器367Bの検出感度は、着脱部13が基部11に取り付けられた状態で磁石69の磁気を検出不能な程度になっている。例えば、第1の磁気検出器367Aにおいて磁気の検出時に用いる閾値は1mTであり、第2の磁気検出器367Bにおいて磁気の検出時に用いる閾値は8mTである。
【0081】
例えば、
図8に示すように、着脱部13を基部11に取り付けるように、磁石69が前方から後方に向かって近づいたとき、第1の磁気検出器367Aからハイレベル信号が送信されるとともに、第2の磁気検出器367Bからローレベル信号が送信される。このとき、制御部71は、着脱部13が基部11に取り付けられた状態であると判定する。
【0082】
また、前方から後方に向かう磁気が基部11付近に生じ、第1の磁気検出器367A及び第2の磁気検出器367Bのいずれからもハイレベル信号が送信されるとき、制御部71は、着脱部13が基部11に取り付けられた状態でないと判定する。これにより、第1の磁気検出器367Aで磁気が検出されたとしても、磁石69とは異なる物体からの磁気に基づく誤検出の可能性を考慮してプラズマの発生を防ぐことができる。
【0083】
<第4実施形態>
第1実施形態では、磁石69が着脱部13に取り付けられていたが、基部11に取り付けられる構成であってもよい。なお、第4実施形態の説明では、第1実施形態と同じ構成については同じ符号を付し、詳しい説明を省略する。
【0084】
図9、
図10に示すように、磁石69は、基部11における着脱部13側に配置されている。基部11において、磁気検出器67の前方に、後方に凹む溝部411Aが設けられている。溝部411A内には、磁石69と、磁石69の後方に配されるばね411Bと、が設けられている。着脱部13の後端には、後方に突出する突起413Aが設けられている。
【0085】
図9に示すように、着脱部13が基部11に取り付けられていないとき、ばね411Bが自然状態となり、磁石69と磁気検出器67とが離れた状態となる。
図9に示す状態では、磁気検出器67によって磁石69の磁気が検出されない。
図10に示すように、着脱部13が基部11に取り付けられたとき、突起413Aによって磁石69が後方に押される。そして、磁石69に押されてばね411Bが収縮状態となり、磁石69と磁気検出器67とが近づいた状態となる。
図10に示す状態では、磁気検出器67によって磁石69の磁気が検出される。このような構成によっても、磁気検出器67によって磁石69の磁気を検出することで、着脱部13が基部11に取り付けられた状態であるか否か判定することができる。
【0086】
<第5実施形態>
第4実施形態と同様に磁石69が基部11に取り付けられる構成であって、第4実施形態とは異なる方法によって磁石69を移動させる構成であってもよい。なお、第5実施形態の説明では、第4実施形態と同じ構成については同じ符号を付し、詳しい説明を省略する。
【0087】
図11、
図12に示すように、溝部411A内には、磁石69と、磁石69の前方に配されるばね411Bと、が設けられている。着脱部13の後端には、第2の磁石513Aが設けられている。なお、第2の磁石513Aの代わりに磁性体を設けてもよい。
【0088】
図11に示すように、着脱部13が基部11に取り付けられていないとき、ばね411Bが自然状態となり、磁石69と磁気検出器67とが近づいた状態となる。
図11に示す状態では、磁気検出器67によって磁石69の磁気が検出される。
図12に示すように、着脱部13が基部11に取り付けられたとき、磁石69が第2の磁石513Aに引き寄せられて、磁石69と第2の磁石513Aに挟まれたばね411Bが収縮状態となり、磁石69と磁気検出器67とが離れた状態となる。
図12に示す状態では、磁気検出器67によって磁石69の磁気が検出されず、制御部71は、このような状態で着脱部13が基部11に取り付けられた状態であると判定する。このような構成によっても、磁気検出器67による磁石69の磁気の検出に基づいて、着脱部13が基部11に取り付けられた状態であるか否か判定することができる。
【0089】
<他の実施形態>
本開示は、上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではない。例えば、上述又は後述の実施形態の特徴は、矛盾しない範囲であらゆる組み合わせが可能である。また、上述又は後述の実施形態のいずれの特徴も、必須のものとして明示されていなければ省略することもできる。更に、上述した実施形態は、次のように変更されてもよい。
【0090】
上記各実施形態において、磁気検出器67がホールセンサである例を示したが、磁気抵抗(MR)センサ等、その他の構成であってもよい。
【0091】
上記各実施形態において、磁石69の配置、磁石69の数等は、特に限定されない。例えば、第1実施形態において、磁石69が、着脱部13の後端かつ上端に設けられていたが、後端かつ下端等に設けられていてもよい。
【0092】
上記各実施形態において、磁気検出器67は、前方から後方に向かう向きの磁気を検出可能に配置されていたが、後方から前方に向かう向きの磁気を検出可能に配置されていてもよい。この場合、磁石69のS極が、着脱部13が基部11に取り付けられた状態で、磁気検出器67(後方側)を向くように配置される。
【0093】
上記各実施形態において、磁気検出器67は、前後方向の向きの磁気を検出可能に配置されていたが、その他の方向(上下方向等)の向きの磁気を検出可能に配置されていてもよい。この場合、磁石69は、着脱部13が基部11に取り付けられた状態で、磁気検出器67に検出されるように適宜配置される。
【0094】
上記各実施形態の制御装置20が行う処理において、着脱部13が基部11に取り付けられた状態であるか否か判断する処理を繰り返し行う構成を例示したが、開始条件が成立した場合に1回のみ行う構成であってもよい。
【0095】
上記各実施形態において、着脱部13が基部11に取り付けられた状態であるか否かを判定する「判定部」が制御装置20に設けられていたが、プラズマ照射器具10に「判定部」に相当する制御部が設けられていてもよい。この制御部は、上記制御部71と同様の構成であり、例えばMCU(Micro Controller Unit)を含んで構成され、回路基板61に設けられていてもよい。
【0096】
上記各実施形態において、プラズマ照射装置100が、プラズマ照射器具10と、制御装置20と、を備えていたが、プラズマ照射器具10のみで構成されていてもよい。
【0097】
なお、今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、今回開示された実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示された範囲内又は特許請求の範囲と均等の範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0098】
10: プラズマ照射器具
11: 基部
11: 着脱部
13: 着脱部
15: ケーブル
20: 制御装置
31: 第1ケース
33: 凹部
41: 第2ケース
43: 収容部
45: 開口部
51: ガス誘導路
51A: 導入口
51B: 放出口
51C: 流路
51D: 第1流路
51E: 第2流路
53: 放電部
53A: 第1電極
53B: 第2電極
53C: 誘電体
55A: 第1配線
55B: 第2配線
55C,55F: 第1導電路
55D,55G: 第2導電路
55E,55H: 第3導電路
57A: 第1コネクタ部
57B: 第2コネクタ部
61: 回路基板
63: 昇圧トランス
65: スイッチ
67: 磁気検出器
67A: 通信線
69: 磁石
71: 制御部(判定部)
72: 入力部
73: 出力部
74: 記憶部
75: ガス供給部
76: 電源部
100: プラズマ照射装置
267A: 第1の磁気検出器(磁気検出器)
267B: 第2の磁気検出器
367A: 第1の磁気検出器(磁気検出器)
367B: 第2の磁気検出器
411A: 溝部
411B: ばね
413A: 突起
513A: 磁石