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特開2024-125029管理装置、搬送システム、及び制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024125029
(43)【公開日】2024-09-13
(54)【発明の名称】管理装置、搬送システム、及び制御方法
(51)【国際特許分類】
   B65G 1/137 20060101AFI20240906BHJP
   B65G 1/00 20060101ALI20240906BHJP
【FI】
B65G1/137 A
B65G1/00 501C
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023033091
(22)【出願日】2023-03-03
(71)【出願人】
【識別番号】319007240
【氏名又は名称】株式会社日立インダストリアルプロダクツ
(74)【代理人】
【識別番号】110001678
【氏名又は名称】藤央弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】竹田 真司
(72)【発明者】
【氏名】元山 俊
【テーマコード(参考)】
3F022
3F522
【Fターム(参考)】
3F022AA15
3F022FF01
3F022JJ11
3F022LL07
3F022MM05
3F022MM07
3F022MM11
3F022NN41
3F522AA02
3F522BB01
3F522BB24
3F522BB25
3F522BB35
3F522CC01
3F522CC10
3F522GG05
3F522GG18
3F522GG34
3F522GG37
3F522GG44
3F522JJ02
3F522KK02
3F522LL01
3F522LL02
3F522LL09
3F522LL33
3F522LL57
(57)【要約】
【課題】無人搬送車へ搬送タスクを適切に割り付ける。
【解決手段】搬送対象物を作業ステーションへ搬送する搬送装置を制御する管理装置であって、前記搬送装置が搬送作業を行った時間と前記作業ステーションにおいて作業を行った時間とを少なくとも含むログデータを記憶し、前記記憶デバイスによって構成される記憶部と、前記作業ステーションへ前記搬送対象物を搬送する搬送タスクを前記搬送装置に割り付ける制御部と、を備え、前記制御部は、前記ログデータに基づいて、前記作業ステーションへの前記搬送タスクを前記搬送装置へ割付可能な上限値を前記作業ステーション毎に決定し、前記作業ステーションへの前記搬送タスクが割り付けられる前記搬送装置の数が前記上限値以下となるように、前記搬送タスクを前記搬送装置に割り付ける。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送対象物を作業ステーションへ搬送する搬送装置を制御する管理装置であって、
所定の演算処理を実行する演算装置と、前記演算装置に接続された記憶デバイスとを有する計算機によって構成され、
前記搬送装置が搬送作業を行った時間と前記作業ステーションにおいて作業を行った時間とを少なくとも含むログデータを記憶し、前記記憶デバイスによって構成される記憶部と、
前記作業ステーションへ前記搬送対象物を搬送する搬送タスクを前記搬送装置に割り付ける制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記ログデータに基づいて、前記作業ステーションへの前記搬送タスクを前記搬送装置へ割付可能な上限値を前記作業ステーション毎に決定し、
前記作業ステーションへの前記搬送タスクが割り付けられる前記搬送装置の数が前記上限値以下となるように、前記搬送タスクを前記搬送装置に割り付ける管理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の管理装置であって、
前記搬送対象物は物品を収容する棚であって、
前記制御部は、前記ログデータに記録された、前記搬送装置による前記搬送対象物の搬送時間と、前記作業ステーションにおける作業時間と、前記作業ステーションにおける作業における前記搬送対象物のヒット数と、に基づいて、前記上限値を計算する管理装置。
【請求項3】
請求項2に記載の管理装置であって、
前記管理装置は、前記ログデータに記録された作業員の作業実績データから時間的に連続して同じ搬送対象物から物品を取り出すピッキング作業の数から前記ヒット数を決定する管理装置。
【請求項4】
請求項2に記載の管理装置であって、
前記制御部は、前記搬送装置による前記搬送対象物の搬送時間が増加すると前記上限値が増加し、前記作業ステーションにおける作業時間が増加すると前記上限値が減少し、前記ヒット数が増加すると前記上限値が減少するように、前記上限値を計算する管理装置。
【請求項5】
請求項1に記載の管理装置であって、
前記制御部は、前記作業ステーションにおける作業時間の種類毎に前記上限値を決定する管理装置。
【請求項6】
請求項1に記載の管理装置であって、
前記記憶部は、前記搬送装置に搬送指示を優先的に割り付ける作業ステーションを選択するために参照される優先度を記憶し、
前記制御部は、前記優先度を参照して搬送指示を割り付ける作業ステーションを決定する管理装置。
【請求項7】
請求項1に記載の管理装置であって、
前記制御部は、
前記搬送装置が異常中は、当該搬送装置と干渉する搬送作業に関係する作業ステーションの前記上限値を高く設定し、
前記搬送装置の異常からの復旧後に、当該搬送装置が搬送作業と干渉した作業ステーションの前記上限値を低く設定する管理装置。
【請求項8】
請求項1に記載の管理装置であって、
前記制御部は、時間帯毎に異なる前記上限値を決定する管理装置。
【請求項9】
請求項1に記載の管理装置であって、
前記制御部は、前記搬送対象物と前記搬送装置の位置関係に従って前記上限値を決定する管理装置。
【請求項10】
請求項1に記載の管理装置であって、
前記制御部は、前記作業ステーションにおける作業予定に従って前記上限値を決定する管理装置。
【請求項11】
請求項1に記載の管理装置であって、
前記制御部は、所定の範囲内の前記作業ステーションの前記上限値の合計値を出力する管理装置。
【請求項12】
搬送システムであって、
搬送対象物を搬送する搬送装置と、
前記搬送装置の移動を制御する管理装置とを備え、
前記管理装置は、
所定の演算処理を実行する演算装置と、前記演算装置に接続された記憶デバイスとを有する計算機によって構成され、
前記搬送装置が搬送作業を行った時間と前記作業ステーションにおいて作業を行った時間とを少なくとも含むログデータを記憶し、前記記憶デバイスによって構成される記憶部と、
前記作業ステーションへ前記搬送対象物を搬送する搬送タスクを前記搬送装置に割り付ける制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記ログデータに基づいて、前記作業ステーションへの前記搬送タスクを前記搬送装置へ割付可能な上限値を前記作業ステーション毎に決定し、
前記作業ステーションへの前記搬送タスクが割り付けられる前記搬送装置の数が前記上限値以下となるように、前記搬送タスクを前記搬送装置に割り付ける搬送システム。
【請求項13】
搬送対象物を作業ステーションへ搬送する複数の搬送装置を制御する管理装置が実行する制御方法であって、
前記管理装置は、
所定の演算処理を実行する演算装置と、前記演算装置に接続された記憶デバイスとを有する計算機によって構成され、
前記搬送装置が搬送作業を行った時間と前記作業ステーションにおいて作業を行った時間とを少なくとも含むログデータを記憶し、前記記憶デバイスによって構成される記憶部と、
前記作業ステーションへ前記搬送対象物を搬送する搬送タスクを前記搬送装置に割り付ける制御部と、を有し、
前記制御方法は、
前記制御部が、前記ログデータに基づいて、前記作業ステーションへの前記搬送タスクを前記搬送装置へ割付可能な上限値を前記作業ステーション毎に決定し、
前記制御部が、前記作業ステーションへの前記搬送タスクが割り付けられる前記搬送装置の数が前記上限値以下となるように、前記搬送タスクを前記搬送装置に割り付ける制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送システム、搬送システムの制御装置及び搬送システムの制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本技術分野の背景技術として、エリア毎に管理される搬送車の台数を設定して、搬送車の配置を制御する技術がある。
【0003】
本技術分野の背景技術として、以下の先行技術がある。特許文献1(特開2007-200205号公報)には、物品を搬送する搬送車と、搬送車が乗り移り自在に複数の閉ループ軌道が接続され、複数のエリアに区分された走行経路とを備え、前記エリア毎に搬送車の最小限必要な台数が設定され、エリア内の搬送車の台数が最小限必要な台数を下回ると、該エリアに他のエリアから搬送車を移動させる搬送車システムであって、前記各エリアで発生した搬送要求数を記憶する記憶手段と、前記記憶手段に記憶された前記搬送要求数に関するデータに応じて、各エリアの最小限必要な台数を変更する設定変更手段とを具備してなることを特徴とする搬送車システムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007-200205号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
複数の作業ステーションにそれぞれ無人搬送車が荷物を搬送する場合、各作業ステーションで連続して作業を行えるように、作業ステーションで作業が行われている間に、他の荷物を搬送してきた無人搬送車を当該作業ステーションの近くへ待機させることがある。しかし、作業ステーションの作業状況には偏りがあるため、待機する無人搬送車の台数を固定値とすると、多数の無人搬送車が必要以上となり、搬送車の搬送効率が低下する課題がある。特許文献1は、前述の課題を考慮していない。
【0006】
そのため、各作業ステーションの作業状況を考慮して、無人搬送車へ作業を適切に割付可能な搬送システムが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願において開示される発明の代表的な一例を示せば以下の通りである。すなわち、搬送対象物を作業ステーションへ搬送する搬送装置を制御する管理装置であって、所定の演算処理を実行する演算装置と、前記演算装置に接続された記憶デバイスとを有する計算機によって構成され、前記搬送装置が搬送作業を行った時間と前記作業ステーションにおいて作業を行った時間とを少なくとも含むログデータを記憶し、前記記憶デバイスによって構成される記憶部と、前記作業ステーションへ前記搬送対象物を搬送する搬送タスクを前記搬送装置に割り付ける制御部と、を備え、前記制御部は、前記ログデータに基づいて、前記作業ステーションへの前記搬送タスクを前記搬送装置へ割付可能な上限値を前記作業ステーション毎に決定し、前記作業ステーションへの前記搬送タスクが割り付けられる前記搬送装置の数が前記上限値以下となるように、前記搬送タスクを前記搬送装置に割り付ける。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一態様によれば、作業ステーションの作業状況を考慮して、搬送装置への搬送タスクを適切に割り付けられる。前述した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施例の説明によって明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1A】本発明の実施例における情報処理システムの構成の一例を示すブロック図である。
図1B】本実施例における倉庫制御装置の構成の一例を示すブロック図である。
図2】本実施例の物流センタにおける搬送システムのレイアウトの一例を示す斜視図である。
図3】本実施例の搬送装置走行実績データを構成する搬送装置情報の一例を示す図である。
図4】本実施例のステーション実績データを構成するステーション情報の一例を示す図である。
図5】本実施例の装置情報を構成する搬送装置情報の一例を示す図である。
図6】本実施例の棚情報を構成する棚管理情報一例を示す図である。
図7】本実施例のヒット数データを構成するヒット数情報の一例を示す図である。
図8】本実施例の作業員実績データを構成する作業員実績情報の一例を示す図である。
図9】本実施例のステーション搬送装置割付情報を構成する作業ステーション管理テーブルの一例を示す図である。
図10】本実施例のステーション搬送装置割付台数設定画面の一例を示す図である。
図11】本実施例の搬送装置割付台数設定処理のフローチャートである。
図12】本実施例の搬送装置割付台数設定処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の実施例を説明する。実施例は、本発明を説明するための例示であって、説明の明確化のため、適宜、省略及び簡略化されている。本発明は、他の種々の形態でも実施することが可能である。特に限定しない限り、各構成要素は単数でも複数でも構わない。図面において示す各構成要素の位置、大きさ、形状、範囲などは、発明の理解を容易にするため、実際の位置、大きさ、形状、範囲などを表していない場合がある。このため、本発明は、必ずしも、図面に開示された位置、大きさ、形状、範囲などに限定されない。
【0011】
各種情報の例として、「テーブル」、「リスト」、「キュー」等の表現にて説明することがあるが、各種情報はこれら以外のデータ構造で表現されてもよい。例えば、「XXテーブル」、「XXリスト」、「XXキュー」等の各種情報は、「XX情報」としてもよい。識別情報について説明する際に、「識別情報」、「識別子」、「名」、「ID」、「番号」等の表現を用いるが、これらについてはお互いに置換が可能である。
【0012】
同一又は同様の機能を有する構成要素が複数ある場合には、同一の符号に異なる添字を付して説明する場合がある。また、これらの複数の構成要素を区別する必要がない場合には、添字を省略して説明する場合がある。
【0013】
本実施例において、プログラムを実行して行う処理について説明する場合がある。ここで、計算機は、プロセッサ(例えばCPU、GPU)によりプログラムを実行し、記憶資源(例えばメモリ)やインターフェースデバイス(例えば通信ポート)等を用いながら、プログラムで定められた処理を行う。そのため、プログラムを実行して行う処理の主体を、プロセッサとしてもよい。同様に、プログラムを実行して行う処理の主体が、プロセッサを有するコントローラ、装置、システム、計算機、ノードであってもよい。プログラムを実行して行う処理の主体は、演算部であれば良く、特定の処理を行う専用回路を含んでいてもよい。ここで、専用回路とは、例えばFPGA(Field Programmable Gate Array)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)、CPLD(Complex Programmable Logic Device)等である。
【0014】
プログラムは、プログラムソースから計算機にインストールされてもよい。プログラムソースは、例えば、プログラム配布サーバ又は計算機が読み取り可能な記憶メディアであってもよい。プログラムソースがプログラム配布サーバの場合、プログラム配布サーバはプロセッサと配布対象のプログラムを記憶する記憶資源を含み、プログラム配布サーバのプロセッサが配布対象のプログラムを他の計算機に配布してもよい。また、実施例において、2以上のプログラムが一つのプログラムとして実現されてもよいし、一つのプログラムが2以上のプログラムとして実現されてもよい。
【0015】
<全体構成を示すブロック図>
図1Aは、本発明の実施例における情報処理システムの構成の一例を示すブロック図であり、図1Bは、倉庫制御装置100の構成の一例を示すブロック図である。
【0016】
本実施例の情報処理システムは、倉庫制御装置100と、複数の搬送装置203と、複数のステーション端末210を有する。複数の搬送装置203と複数のステーション端末210は、ネットワーク150を介して倉庫制御装置100に接続される。
【0017】
本実施例では、物流センタの倉庫に設置されたステーション端末210を作業員が操作して、倉庫制御装置100が、搬送装置203に棚202を作業ステーションに搬送させて、作業員がピッキング作業を行う例を示す。棚202は、物品を収容する収容部を構成する間口を有する。
【0018】
本実施例の搬送システムが制御対象とする倉庫には、図2に示すように、作業員206-1~206-3が作業する作業ステーション205-1~205-3と、ロボット207-1が作業するロボットステーション205-4が配置されている、以下の説明では、主に作業員206が作業するものとして説明するが、ロボット207も作業員206と同じ作業ができる。
【0019】
倉庫制御装置100は、演算装置101と、メモリ102と、入力装置103と、出力装置104と、記憶装置110と、通信インタフェース105を含む計算機である。なお、倉庫制御装置100は図1Bに示す構成に限られない。倉庫制御装置100は、一つの計算機でもよいし、複数の計算機から構成されてもよい。また、倉庫制御装置100が有する各装置は、一つの計算機に配置されてもよいし、複数の装置に分散して配置されてもよい。記憶装置110に格納されるプログラムや情報は、一つの記憶装置に格納されてもよいし、複数の記憶装置に分散して格納されてもよい。
【0020】
記憶装置110は、不揮発性の記憶媒体を有し、演算装置101が実行するプログラムと、プログラムが使用するデータを格納する。プログラムの一例として、経路作成プログラム111と、データ入出力プログラム112と、データ分析プログラム113と、搬送装置制御プログラム114が記憶装置110に格納され、演算装置101は必要なプログラムをメモリ102にロードして実行する。
【0021】
また、記憶装置110が格納するデータの一例は、オーダー情報121と、在庫情報122と、棚情報123と、作業員勤務情報124と、作業予定情報125と、装置情報126と、経路データ127と、ヒット数データ128と、搬送装置走行実績データ129と、ステーション搬送装置割付情報130と、ステーションログ131と、ステーション実績データ132と、作業員実績データ133である。
【0022】
経路作成プログラム111は、予め設定された地図情報(図示省略)に基づいて、搬送装置203の移動経路を計算する。例えば、経路作成プログラム111は、ピッキング対象の物品(又は商品)の位置と行き先の作業ステーションの位置等から、搬送装置203の移動経路を計算する。
【0023】
搬送装置制御プログラム114は、ステーション搬送装置割付情報130を参照して、各作業ステーションが搬送先となる搬送作業指示を搬送装置203に割付可能かを判定する。そして、搬送装置制御プログラム114は、割付可能と判定した場合に、経路作成プログラム111が計算した経路と、装置情報126等を参照して、棚202を搬送する搬送装置203を決定し、搬送する棚202と搬送先の作業ステーションの情報を含む搬送指示を搬送装置203に送信する。作業ステーションへの割付可否の判定は搬送装置203の他に、棚202の作業ステーション割付情報を用いてもよいし、作業ステーション毎の割付優先度などから判定してもよい。搬送装置制御プログラム114は、搬送する棚202と搬送先の作業ステーションを搬送装置203に指令した結果、及び、搬送装置203による搬送の実績を搬送装置走行実績データ129に記録する。
【0024】
データ入出力プログラム112は、オーダー情報121の受け付けや、作業員が操作するステーション端末210からの入力の受け付けや、搬送装置203からセンサデータの受け付け等を実行し、オーダー情報121やステーションログ131に蓄積する。また、データ入出力プログラム112は、ステーション端末210から搬送装置203の発車の指令を受け付けると、搬送装置制御プログラム114で生成した指令を搬送装置203に送信する。
【0025】
データ分析プログラム113は、ステーションログ131を参照して、作業ステーション毎に作業時間を記録したステーション実績データ132と、作業員毎に作業時間を記録した作業員実績データ133と、搬送装置203による1回の搬送毎に棚202から取り出しアイテムの種類数を記録したヒット数データ128を生成し、それらより計算された結果を後述するステーション搬送装置割付情報130に格納する。ヒット数データ128の詳細は、図7を参照して後述する。データ分析プログラム113は、このような処理によって、倉庫制御装置100の制御部として機能する。
【0026】
オーダー情報121は、物品の出荷を要求するオーダーの情報で、ピッキングされるべき物品の情報を格納する。在庫情報122は、物品の在庫に関し、物品が配置された棚202の情報、及び棚202内の物品の配置位置や数量や重量等の情報を格納する。棚情報123は、棚の位置や重さ等の情報を格納する。棚情報123の詳細は、図6を参照して後述する。
【0027】
作業員勤務情報124は、作業員の勤務スケジュールや、作業員の経験や状態に関する情報を格納する。作業員の経験や状態に関する情報は、作業員の勤続年数の他、作業員の身長や怪我の有無など情報や、当日の作業連続時間に関する情報を含んでもよい。作業予定情報125は、作業ステーション毎に作業対象の物品や、作業の完了予定時刻や、作業を行う作業員等の情報を格納する。なお、作業予定情報125は、予め生成されたデータであり、例えば、倉庫制御装置100の入力装置103から入力してもよいし、外部の計算機から入力されてもよい。
【0028】
装置情報126は、搬送装置203の識別情報、位置、及び稼働状態等を格納する。経路データ127は、倉庫内における搬送装置203毎の経路の情報を格納する。作業日特性134は、作業日を種々の条件に応じて属性付けしたデータであり、例えば、入出庫作業の全体量などの情報の他、季節性、イベントの有無、天候、災害、及び障害等の条件による属性付けがあり、より具体的には、物流センタで扱うモールにおけるセール等のイベントの開催、季節の情報、及び災害や障害の発生の情報を格納するとよい。装置情報126の詳細は、図5を参照して後述する。
【0029】
ステーションログ131は、作業ステーションで行われた作業の情報を蓄積する。ステーション実績データ132は、ステーションログ131から作業ステーション毎のデータを抽出し、作業開始時刻、作業終了時刻、及び作業内容等を格納する。ステーション実績データ132の詳細は、図4を参照して後述する。作業員実績データ133は、ステーションログ131から作業員毎のデータを抽出し、作業開始時刻、作業終了時刻、作業内容、及び作業の負荷等の情報を作業員と関連付けて格納する。作業員実績データ133の詳細は、図8を参照して後述する。
【0030】
搬送装置走行実績データ129は、搬送装置203の稼働ログを蓄積する。搬送装置走行実績データ129は、例えば、搬送装置203に割り付けられた搬送指示を識別する識別情報、搬送指示によって搬送される棚の情報、搬送指示による搬送の行き先となるステーションの情報、搬送指示に従って搬送作業を行った際の作業開始時刻と作業終了時刻、当該作業開始時刻及び作業終了時刻における搬送装置の位置情報を含んでよい。なお、搬送作業の開始動作と終了動作は、搬送システムや搬送装置203の仕様に応じて決定されるとよい。例えば、搬送作業の開始動作は、搬送指示が割り付けられた後に現在位置から搬送される棚の位置へと移動を開始することでもよい。また、例えば、搬送作業の終了動作は、搬送対象の棚を積載した搬送装置203が搬送先の作業ステーションへと到着することでもよい。また、搬送先の作業ステーションへの到着は、当該作業ステーションの前に形成された待機列への到着を含んでもよい。待機列には、作業ステーションでの作業待ちの棚を積載した搬送装置203が、当該作業ステーションにおける作業順に待機している。なお、搬送作業の開始動作と終了動作は、これらの例に限らない。搬送装置走行実績データ129の詳細は、図3を参照して後述する。
【0031】
ステーション搬送装置割付情報130は、各作業ステーションごとに、ある時点で当該作業ステーションが行き先となっている搬送指示が割り付けられた搬送装置203の数を示す割付台数を格納する。なお、各作業ステーションへの搬送指示は、データ分析プログラム113によって決定された、作業ステーション毎の搬送装置203又は棚202などの割付可能な最大値を超えないように、搬送装置203に割り当てられる。割付台数は、作業ステーションへの新たに搬送装置203又は棚202が割り付けられる毎に1ずつ増加し、作業ステーションにおける棚202に対する作業が完了する毎に1ずつ減少する。また、割付台数の増加タイミングは、搬送装置203が棚202の下に潜り込む移動開始タイミングからでもよいし、棚202を持ち上げた後の移動開始タイミングでもよい。また、割付台数の減少タイミングは、作業ステーションにおける作業完了タイミングでもよいし、搬送装置203が作業ステーションから棚格納場所への搬送が終わったタイミングでもよい。ステーション搬送装置割付情報130の詳細は、図9を参照して後述する。
【0032】
入力装置103は、キーボード、マウス、又はタッチパネル等で構成される。出力装置104は、ディスプレイ等で構成される。例えば、出力装置104は、定められた搬送装置割付台数上限を出力するとよい。通信インタフェース105は、無線等によるネットワーク150を介して搬送装置203や他の計算機と通信を行う。
【0033】
搬送装置203は、倉庫制御装置100からの搬送指示に応じて物品を搭載した棚202を自動搬送する自律的な移動体である。搬送装置203は、制御装置170と、記憶装置160と、駆動装置180と、センサ152と、通信インタフェース151を有する自動搬送装置である。センサ152は、例えば、振動センサ(加速度センサ)や、イメージセンサを含む。
【0034】
制御装置170は、演算装置171と、メモリ172を含む。メモリ172には、自己位置推定プログラム173と、走行制御プログラム174と、計測プログラム175と、通信プログラム176がロードされる、メモリ172にロードされたプログラムは、演算装置171によって実行される。演算装置171は、マイクロコンピュータやプロセッサで構成される。
【0035】
自己位置推定プログラム173は、イメージセンサから取得したイメージデータ(画像又は動画データ)等に基づいて搬送装置203の位置を計算する。例えば、倉庫の床面に位置を示すマーカが予め表示されており、イメージセンサが読み取ったマーカから自己位置推定プログラム173が搬送装置203の位置を計算してもよい。床面上に配置されたマーカは、搬送装置203のセンサ152により読み取り可能な情報であり、例えば、二次元バーコードである。なお、搬送装置203の位置は、イメージセンサが取得したイメージデータ等を受信した倉庫制御装置100が推定してもよい。マーカは、マークや基準マーカと呼ばれてもよい。
【0036】
例えば、倉庫の床は、複数の区画で管理され、複数の区画それぞれに、当該区画の位置を示すマーカが表記されている。搬送装置203は、床を走行し、各区画上を通過時に当該区画の床に表記されたマーカを読み取って当該区画の位置に関する情報を取得する。マーカは、その区画の位置を特定するための情報を含んでいればよく、例えばその区画の位置情報でもよいし、その区画の位置情報と対応づけられている情報(例えばその区画の識別情報等)でもよい。
【0037】
走行制御プログラム174は、搬送装置203の現在位置と、倉庫制御装置100から受信した経路データ127に基づいて駆動装置180を制御する。なお、倉庫制御装置100は、経路作成プログラム111で生成された搬送装置203毎の経路データ127を、搬送装置203に送信し、搬送装置203は記憶装置160の経路データ161に格納する。
【0038】
計測プログラム175は、センサ152から取得したセンサデータと、走行制御プログラム174から取得した走行速度や加速度と、自己位置推定プログラム173が計算した搬送装置203の位置を取得して倉庫制御装置100へ送信する。センサデータとしては、振動センサからの振動データと、イメージセンサからの床面の画像データが含まれる。また、計測プログラム175は、所定のタイミングや所定の周期(例えば、24時間毎)等にセンサデータを倉庫制御装置100へ送信するとよい。
【0039】
記憶装置160は、不揮発性の記憶媒体で構成されて、プログラムやプログラムが使用するデータを格納する。データは、一例として、経路データ161と、地図情報162と、計測データ163と、装置情報164と、走行実績データ165がある。
【0040】
経路データ161は、倉庫制御装置100から受信した経路データを格納する。地図情報162は、倉庫制御装置100から受信した地図情報を格納する。計測データ163は、前述したセンサ152が取得したセンサデータ、及び各プログラムが取得又は計算したデータを格納する。
【0041】
装置情報164は、搬送装置203の識別情報(装置ID)、装置の状態、棚の積載有無に関する情報、装置の位置、バッテリ残量、累積走行距離、及び累積加速回数等を格納する。例えば、装置情報164は、倉庫制御装置100に格納される装置情報126のうち、当該搬送装置203に関する情報と同等の情報でもよい。走行実績データ165は、搬送装置203が移動した経路、及び各エリア毎の床面の状態(振動)や移動のモード等の履歴が格納される。
【0042】
駆動装置180は、台車181と、テーブル182と、駆動輪183と、補助輪(キャスター)184と、駆動輪183やテーブル182を駆動する動力源としてのモータ185と、モータ185に電力を供給するバッテリ(図示省略)を含む。駆動輪183とテーブル182を駆動するモータ185は、それぞれ独立したモータで構成できる。
【0043】
搬送装置203が棚202の下に入った後に、駆動装置180がテーブル182を上昇して、棚202を持ち上げる。そして、駆動装置180は、棚202を持ち上げた状態で、指示された位置へ搬送装置203が走行するように駆動し、搬送装置203が目的地に到着後に、テーブル182を下降して棚202を床面上に降ろす。
【0044】
演算装置171は、各機能部のプログラムに従って処理を実行することによって、所定の機能を提供する機能部として動作する。例えば、演算装置171は、走行制御プログラム174に従って処理を実行することで走行制御部として機能する。他のプログラムについても同様であり、演算装置171は、各プログラムが実行する複数の処理のそれぞれの機能を提供する機能部として動作する。
【0045】
ステーション端末210は、作業員が作業を実施する作業ステーション毎に設置される。ステーション端末210は、倉庫制御装置100から送信された作業予定情報125を表示して作業員に作業内容を提示し、また、作業員が入力したデータを受け付けて倉庫制御装置100へ送信する。
【0046】
ステーション端末210は、通信インタフェース191と、入力装置192と、出力装置193と、制御装置194と、記憶装置195を含む計算機である。通信インタフェース191は、ネットワーク150を介して倉庫制御装置100と通信する。入力装置192は、タッチパネルやキーボード等で構成される。出力装置193は、ディスプレイやスピーカー等で構成される。制御装置194は、マイクロコンピュータ等で構成されて、所定のプログラムを実行する。記憶装置195は、プログラムやデータを格納する。
【0047】
ステーション端末210は、設置された作業ステーションで行われる作業予定を倉庫制御装置100から受信して、記憶装置195のピッキング作業情報196に格納する。ステーション端末210は、ピッキング作業情報196から作業員の作業状況に応じた指令等を出力装置193に出力する。
【0048】
作業員は、作業の開始時又は完了後にステーション端末210を操作して、作業の指令等を取得する。ステーション端末210の入力装置192は、ピッキング開始ボタン、ピッキング完了ボタン、アソート開始ボタン、アソート完了ボタン、発車ボタン、停止ボタン、及び復旧ボタン等を有する。これらのボタンは、物理的に操作可能なボタンでも、出力装置193のディスプレイ上に表示されて接触により操作可能なボタンでもよい。
【0049】
例えば、作業員は、ピッキング開始ボタンを操作した後に、作業指令で指定された物品を棚202から取得して所定の位置に運ぶ。作業員は、指定された物品のピッキングが完了するとピッキング完了ボタンを操作する。次に、作業員は、アソート開始ボタンを操作してから、ピッキングした物品の仕分け及び梱包を行う。仕分け及び梱包が完了すると、作業員はアソート完了ボタンを操作する。作業員が、次の作業に取りかかる際に発車ボタンを操作すると、倉庫制御装置100が搬送装置203に指令を送信して、次に作業する棚202を作業ステーションに移動する。
【0050】
前述の各ボタンの操作に応じて、制御装置194は入力装置192で受け付けた操作の内容を倉庫制御装置100に送信する。倉庫制御装置100は、ステーション端末210から操作内容を受信すると、後述するステーションログ131に受信内容を蓄積する。
【0051】
<システムのイメージ図>
図2は、物流センタにおける搬送システムのレイアウトの一例を示す斜視図である。物流センタは、保管スペース201を有する。保管スペース201内には、複数の棚202が縦横方向に格子状に配置されている。棚202は、所定数(例えば2×6個又は1×6個)の棚202からなる「島」を形成する。
【0052】
保管スペース201内には、複数の搬送装置203が配置される。搬送装置203は、棚202の下部に入り込んで棚202を持ち上げて移動する。保管スペース201の周辺の所定の箇所には、搬送装置203を充電するための複数の充電ステーション204が配置される。
【0053】
保管スペース201の外縁部の所定の位置には、複数の作業ステーション205-1~205-4が配置される。作業ステーション205-1~205-3では、作業員206-1~206-3が物品の入庫作業及び出庫作業を行い、ロボットステーション205-4では、ロボット207-1が物品の入庫作業及び出庫作業を行う。
【0054】
なお、以下の説明では、作業ステーションを個々に特定しない場合では、「-」以降の添字を省略した符号「206」を使用する。他の構成要素の符号についても同様である。
【0055】
保管スペース201に隣接する作業ステーション205には、作業員206の保管スペース201への侵入を検出するセーフティライトカーテン208、208が設置される。セーフティライトカーテン208、208の間は棚202を配置してピッキング作業を行う間口209となる。
【0056】
なお、搬送装置203によって棚202が間口209に配置されると、セーフティライトカーテン208、208はオフとなって、作業員206がピッキング作業を行うことができる。一方、ピッキング作業が完了して、搬送装置203が棚202を間口209から移動するとセーフティライトカーテン208、208はオンとなって、間口209から作業員206等が侵入した場合に警報等を出力する。
【0057】
作業員206が作業を行う作業ステーション205には、間口209の近傍にステーション端末210が配置される。また、作業ステーション205の周縁の所定の位置には、仕分けや梱包を行う作業スペース211-1~211-4が設置される。
【0058】
作業スペース211の大きさや、仕分けや梱包を行う箱等の収容部の大きさは作業ステーション205毎に異なる場合があり、これらの差異が作業員206の作業性に影響を与える要因となる。
【0059】
搬送装置203が棚202を間口209に配置した際に、作業員206又はロボット207が搬送装置203を移動せずに作業できる時間は、作業ステーション205における作業内容によって、異なる。例えば、出庫作業では、棚202の3×3個の間口から、出荷情報に応じて1個又は複数個の物品が出荷対象となる。一方、入庫作業では、ある程度まとめた数(例えば3個~4個)の物品が入庫される。作業対象となる物品の数に従って搬送装置203を移動せずに作業できる時間が長くなる。
【0060】
同様に、作業ステーション205の手前で待機可能な棚202の数は、作業ステーション205における作業内容によって、異なる。例えば、出庫作業では、棚202から取り出す物品の数や種類に応じて作業時間が異なるので、作業時間が短ければ、作業ステーション205の手前で待機可能な棚202の数を多くしてもよい。一方、入庫作業では、棚202から取り出す物品の数や種類に応じて作業時間が異なり、出庫作業より多い数の物品が作業されるので、作業時間が長ければ、作業ステーション205の手前で待機可能な棚202の数を少なくしてもよい。すなわち、作業ステーション205で行われる作業内容や場所や時間によって作業時間が変動し、待機可能な棚202の数も変動するので、搬送装置割付上限値を変えるとよい。
【0061】
また、作業ステーションの位置と入出庫対象の物品の保管位置との相対関係が作業時間に影響を与える場合がある。例えば、入出庫頻度が比較的多い物品が多く保管されている位置に近い作業ステーションでは、搬送装置203が棚202を作業ステーション205まで搬送する時間は短くなる。また、他の例では、重くてかさばる物品が保管されている位置に近い作業ステーションでは、ピッキング時間が長く且つ作業負荷が相対的に大きくなる場合がある。すなわち、作業ステーション205で行われる作業内容や作業ステーション205場所や時間によって作業ステーション205への棚202の搬送時間が変動し、待機可能な棚202の数も変動する。
【0062】
ここで、本実施例の搬送システムにおける運用の一例について説明する。本実施例の搬送システムのように搬送装置203が棚202などの搬送対象物を作業ステーション205に搬送する形態において、搬送指示の割り付けパターンによっては、作業対象の棚が作業ステーション205に到着するまでの待機時間が発生する場合がある。例えば、作業ステーション205における作業時間が、搬送装置による棚の保管位置から作業ステーション205までの搬送する搬送時間より短い場合に、作業ステーション205の手前で待機する棚202の数が減少し、間口209に配置される棚202が無くなることがある。すなわち、作業ステーションにおける作業効率が搬送装置の搬送効率より大きくなると、作業ステーション205における待機時間が発生する場合がある。このような作業ステーション205における待機時間の発生は、作業ステーション205の作業効率を低減し、搬送システム全体の効率が低減する可能性があり、作業ステーション205における待機時間の短縮が望ましい。そのため、本実施例の搬送システムでは、ある作業ステーション205へ棚202を搬送する搬送指示を、同時に複数の搬送装置203に割付可能とする。更に、図2に示すように、作業ステーション205の手前で複数台の棚202及び棚202を積載する搬送装置203が待機できるように構成されている。これにより、各作業ステーション205において、作業ステーション205における作業が完了した棚202の近傍に待機している棚202を作業ステーション205の間口209へ移動し、連続して作業を行うことを可能にして、作業ステーション205における待機時間を低減する。なお、作業ステーション205の近傍で待機する棚202又は棚202を積載する搬送装置203の待機位置は、作業ステーション205の間口209に配置される棚を先頭として列を形成するように隣接した位置に待機させて、棚202の移動による時間のロスを低減するとよい。図2では、作業ステーション205-2の間口209に配置される棚202-1を先頭として、後ろ方向に棚202-2が待機列を形成する例を示すが、棚202の待機位置の選択に関しては、この例に限られない。
【0063】
なお、作業ステーション205の直前に並ぶ搬送装置203及び棚202の数は前述の作業ステーションの位置、入出庫対象である物品の保管位置の関係、作業員の状態、作業実績、及び搬送時間の実績などのいくつかの指標から作業ステーション205のそれぞれにおいて上限値を設けて変更ができる。
【0064】
このように、作業ステーションごとに作業内容や、作業負荷、作業時間にバラツキがある。また、それらのバラツキは一定のものではなく、季節、流行の変化、物品の保管位置の変化に応じて変化し得る。
【0065】
本実施例では、作業ステーション205において作業員206が行う作業は、出庫作業と入庫作業のそれぞれについて、ピッキング作業と、アソート作業と、出車作業とを行う例を示す。
【0066】
出庫作業は、作業員206(又はロボット207)が、棚202に収容された物品を宛先に応じて取り出し、取り出された物品を仕分け先毎に分類し、分類された物品を仕分け先毎の収容部に詰め込む作業で構成される。入庫作業は、作業員206(又はロボット207)が、倉庫に到着した物品を収容先の棚202毎に分類して、分類された物品を棚202の所定の位置に収容する作業である。なお、本実施例では、出庫作業の各作業と入庫作業の各作業を以下のように定義する。
【0067】
出庫作業のピッキング作業は、作業員206(又はロボット207)が、間口209に到着した棚202から、指定された物品を取り出して、作業スペース211に移動させる作業である。なお、物品の指定はステーション端末210の出力装置193に表示されるとよい。
【0068】
出庫作業のアソート作業は、作業員206(又はロボット207)が、作業スペース211に移動された物品を宛先に応じた箱(輸送部材)に収容し、当該箱の梱包等を行う作業である。なお、物品の宛先の指定はステーション端末210の出力装置193に表示されるとよい。
【0069】
出庫作業の出車作業は、間口209に配置された棚202のピッキング作業が完了した後に、作業員206(又はロボット207)がステーション端末210を操作して、次の棚202を要求する作業である。倉庫制御装置100は、間口209に配置された棚202を移動させる指令を搬送装置203に送信し、次の棚202を間口209に移動させる指令を他の搬送装置203に指令する。
【0070】
入庫作業のピッキング作業は、作業員206(又はロボット207)が、トラックやパレットによって作業ステーション205に到着した物品のうち、指令された物品を取り出して、作業スペース211に移動する作業である。なお、物品の指定は出庫作業でも同様であり、ステーション端末210の出力装置193に表示されるとよい。
【0071】
入庫作業のアソート作業は、作業員206(又はロボット207)が、作業スペース211に取り出された物品を、間口209に配置された棚202に収容する作業である。なお、物品を収容する棚202の指定はステーション端末210の出力装置193に表示されるとよい。
【0072】
入庫作業の出車作業は、作業員206(又はロボット207)が、間口209に配置された棚202へのアソート作業が完了し、ステーション端末210を操作して、次の棚202を要求する作業である。
【0073】
<搬送装置のログデータテーブル>
図3は、搬送装置走行実績データ129を構成する搬送装置情報300の一例を示す図である。
【0074】
搬送装置情報300は、搬送装置ID欄301と、状態欄302と、開始/終了欄303と、時刻欄304と、位置欄305と、ステーションID306と、取得データ欄307が関連付けられたレコードを含む。
【0075】
搬送装置ID欄301に格納される搬送装置IDは、搬送装置203を一意に特定する識別情報である。
【0076】
状態欄302に格納される状態は、搬送指示中に倉庫制御装置100が搬送装置203に指示する具体的な作業や動作、及び搬送装置203が検知した事象の内容である。このような状態は、この分野では”イベント”と呼ばれることもある。
【0077】
開始/終了欄303に格納されるフラグは、状態が開始したことを示す”開始”、又は状態が終了したことを示す”終了”のいずれかである。
【0078】
時刻欄304に格納される時刻は、状態が開始又は終了した時点の年月日時分秒である。
【0079】
位置欄305に格納される位置は、その時刻において、搬送装置が存在している区画の2次元座標値である。#は、任意の数値を示す。
【0080】
ステーションID欄306に格納される識別情報は、搬送先の作業ステーション205及び充電ステーション204など、搬送作業に関連するステーションを一意に特定する識別情報であり、その時刻において搬送装置203が向かっている又は停止中のステーションなどの搬送装置203の状態に関連するステーションを一意に特定する識別情報である。
【0081】
取得データ欄307に格納される取得データは、搬送装置203の状態を取得したデータである。取得データは、多くの場合、取得した状態の開始時刻及び終了時刻以外の計測情報であり、例えば、搬送装置203が棚202を搬送する場合、棚202の底面から読み取った棚202を一意に特定する識別情報である。なお、取得データ欄307には複数の計測情報が格納されてもよい。
【0082】
搬送装置情報300(図3)によると、例えば以下のことが分かる。
【0083】
2022年12月01日10時20分00秒から10時22分00秒まで、搬送装置A001は”引当外作業”を行った。”引当”は、棚202を作業ステーション205に搬送することを目的とすることを意味する。よって、”引当外”は、棚202を作業ステーション205に搬送することを目的としないことを意味する。10時20分00秒から10時21分25秒までの”引当外作業”は、充電位置に移動することを意味しており、10時21分25秒から10時22分00秒までの”引当外作業”は、ステーション端末210の操作を契機とした移動指示に従った、搬送装置203の移動を意味する。
【0084】
10時20分00秒から10時21分25秒まで、搬送装置A001は充電ステーション204で充電され、10時21分25秒から10時22分00秒まで、搬送装置A001は、ステーション端末210からの指示を受けた。
【0085】
10時22分00秒から10時30分00秒まで、搬送装置A001は所定の待機位置で”待機”した。この”待機”は、作業がない状態を意味する。
【0086】
10時30分00秒から10時33分05秒まで、搬送装置A001は”引当作業”を行った。
【0087】
このうち10時30分00秒から10時31分00秒まで、搬送装置A001は、”迎え”を行った。”迎え”は、”目的の物品を格納する棚の位置まで棚を持ち上げない走行を意味する。
【0088】
10時31分00秒から10時31分05秒まで、搬送装置A001は、”棚上昇”を行った。”棚上昇”は、搬送装置203がテーブル182を上昇して棚202を持ち上げる動作を意味する。このとき搬送装置A001は、棚202から棚IDを取得する。
【0089】
10時31分05秒から10時32分05秒まで、搬送装置A001は、”棚搬送(往路)”を行った。”棚搬送(往路)”は、搬送装置203による棚202の作業ステーション205への搬送を意味する。また、搬送先の作業ステーション205の識別情報はステーションID欄306に格納され、走行経路は取得データ欄307に格納される。
【0090】
10時32分05秒から10時32分25秒まで、搬送装置A001は、”ステーション作業”を行った。”ステーション作業”は、作業員206が作業ステーションで出荷作業を行っている状態で、搬送装置A001は出荷作業完了まで待機を意味する。また、作業中の作業ステーション205の識別情報はステーションID欄306に格納される。
【0091】
10時32分25秒から10時33分00秒まで、搬送装置A001は、”棚搬送(復路)”を行った。”棚搬送(復路)”は、搬送装置203による棚202の所定の保管場所への搬送を意味する。また、搬送元の作業ステーション205の識別情報はステーションID欄306に格納される。
【0092】
10時33分00秒から10時33分05秒まで、搬送装置A001は、”棚下降”を行った。”棚下降”は、搬送装置203がテーブル182を下降して棚202を降ろす動作を意味する。
【0093】
10時33分05秒から11時00分00秒まで、搬送装置A001は、所定の待機位置で”待機”した。この際、10時40分00秒から10時41分00秒まで、”通信断検知”となった。”通信断検知”は、倉庫制御装置100との通信が途絶えた、又は他の搬送装置203との通信が途絶えたことを意味する。
【0094】
11時00分00秒から11時30分00秒まで、搬送装置A001は、”オフライン”の状態であった。”オフライン”は、倉庫制御装置100が搬送装置203への移動指示を発信できない状態を意味する。
【0095】
<作業ステーションのログデータテーブル>
図4は、ステーション実績データ132を構成するステーション情報400の一例を示す図である。
【0096】
ステーション情報400は、ステーションID欄401と、状態欄402と、開始/終了欄403と、時刻欄404と、作業ID欄405と、作業員欄406と、処理行数欄407と、棚ID欄408と、物品ID×数量欄409が関連付けられたレコードを含む。
【0097】
ステーションID欄401に格納されるステーションIDは、作業ステーション205(例えば、ロボットステーション205-4)を一意に特定する識別情報である。
【0098】
状態欄402に格納される状態は、倉庫制御装置100からステーション端末210に指示された作業内容である。
【0099】
開始/終了欄403に格納されるフラグは、搬送装置情報300(図3)のフラグと同じに、状態が開始又は終了したことを示す。
【0100】
時刻欄404に格納される時刻は、搬送装置情報300(図3)の時刻と同じに、状態が開始又は終了した時点の年月日時分秒である。
【0101】
作業ID欄405に格納される識別情報(作業ID)は、作業の各々を一意に特定する識別情報である。
【0102】
作業員欄406に格納される識別情報(作業員ID)は、作業ステーション205で作業する作業員206やロボット207(例えば、作業ステーション205-1で作業する作業員206-1)を一意に特定する識別情報である。
【0103】
処理行数欄407に格納される処理行数は、作業指示の処理行数(指示内容のデータ量)である。処理行数が大きいほど、作業員が行うべき作業が、質的に複雑である、及び/又は、量的に多い(詳細後記)。なお、#は、任意の数値を示す。また、処理行数はヒット数と同意義であり、処理行数を割合で表した値がヒット数である。
【0104】
棚ID欄408に格納される識別情報(棚ID)は、棚202を一意に特定する識別情報である。
【0105】
物品ID×数量欄409に格納される物品ID及び数量のうち、物品IDは作業対象の物品の種類を特定する識別情報であり、数量は当該物品の数量である。本実施例の作業員は、作業ステーション205において、物品を入庫(棚に格納)又は出庫(棚から取り出し)する。棚の間口(保管スペース)ごとに異なる種類の物品が収容される。
【0106】
ステーション情報400(図4)によると、例えば以下のことが分かる。
【0107】
少なくとも2022年12月01日10時00分00秒から11時15分00秒まで、ステーションIDがE001の作業ステーション205において作業員IDがH001の作業員が作業した。
【0108】
10時00分00秒から10時32分00秒まで、作業ID405がW012の入庫作業を行った。作業ID405がW012の作業内容は以下である。
【0109】
10時00分00秒から10時10分00秒まで、ステーションIDがE001の作業ステーション205は、”待機(引当待ち)”であった。”待機(引当待ち)”は、搬送装置203がステーションにおける作業との関連付けを待っている状態を意味する。
【0110】
10時10分00秒から10時12分00秒まで、ステーションIDがE001の作業ステーション205は、”待機(迎車又は棚搬送)”であった。”迎車”は、作業ステーション205が待機中において、目的の物品を格納する棚の位置まで棚を持ち上げない走行を意味する。”棚搬送”は、作業ステーション205が待機中において、搬送装置203による棚202の作業ステーション205への搬送を意味する。
【0111】
10時12分00秒から10時32分00秒まで、ステーションIDがE001の作業ステーション205は、”入庫作業”を行った。当該入庫作業の作業指示の処理行数は”#”である。ステーションIDがE001の作業ステーション205では、作業指示に従って、少なくとも物品IDがD021の物品200個を棚F001に収容する入庫作業を行った。
【0112】
10時32分00秒から11時10分00秒まで、作業ID405がW054の出庫作業を行った。作業ID405のW054の内容は以下である。
【0113】
10時32分00秒から10時35分00秒まで、ステーションIDがE001の作業ステーション205は、”待機(引当待ち)”であった。
【0114】
10時35分00秒から10時36分00秒まで、ステーションIDがE001の作業ステーション205は、”待機(迎車又は棚搬送)”であった。
【0115】
出庫作業中において、10時36分00秒から10時37分00秒まで、ステーションIDがE001の作業ステーション205では、”待機(安全センサ検知)”となった。”安全センサ検知”は、例えば、ステーションのライトカーテンが遮られたことを意味する。つまり、この間、ステーションIDがE001の作業ステーション205では、全ての作業が中断している。
【0116】
10時37分00秒から10時38分00秒まで、ステーションIDがE001の作業ステーション205は、”待機(迎車又は棚搬送)”であった。
【0117】
10時38分00秒から11時10分00秒まで、ステーションIDがE001の作業ステーション205は、”出庫作業”を行った。当該出庫作業の作業指示の処理行数は”#”である。ステーションIDがE001の作業ステーション205では、作業指示に従って、少なくとも物品D031を2個を棚F002から取り出す出庫作業を行った。
【0118】
2022年12月01日11時10分00秒から、作業ID405がW003の別の作業を行った。作業ID405がW003の作業において、11時10分00秒から11時15分00秒まで、ステーションIDがE001の作業ステーション205は、”待機(引当待ち)”であった。
【0119】
<AGVの搬送作業を管理するテーブル>
図5は、装置情報126を構成する搬送装置情報500の一例を示す図である。
【0120】
搬送装置情報500は、倉庫制御装置100の搬送装置制御プログラム114が搬送装置203から取得した情報である。
【0121】
搬送装置情報500は、装置ID欄501と、稼働状態欄502と、作業ID欄503と、現在位置欄504と、作業ステーションID欄505と、棚ID欄506と、異常CD欄507と、作業開始時間欄508が関連付けられたレコードを含む。
【0122】
装置ID欄501は、搬送装置203に付与された識別情報を格納する。稼働状態欄502は、搬送装置203の状態を示し、例えば、作業中、未作業、異常、充電中等の状態を格納する。作業欄ID503は、倉庫制御装置100の搬送装置制御プログラム114が作業に付与する一意の識別情報を格納する。現在位置欄504は、搬送装置203のリアルタイムな倉庫内の位置を格納する。作業ステーションID欄505は、搬送装置203に割り付けられた搬送指示に関連する作業が行われる(すなわち搬送先の)作業ステーション205特定するための一意の識別情報を格納する。棚ID欄506は、搬送装置203に割り付けられた搬送指示に関連する棚202を特定する一意の識別情報を格納する。異常CD欄507は、制御装置170又は駆動装置180が判定した、搬送装置203に生じた異常の内容を特定する識別情報を格納する。搬送装置203の異常は、例えば、走行経路を逸脱したり、倉庫内で位置が不明となったり、棚202の積載位置がずれた等の場合であり、異常CD欄507は、異常の原因に対応したコードを格納する。作業開始時間欄508は、搬送装置情報500のレコードが作成された時刻、例えば、作業が開始した時間や、異常が検出された時刻を格納する。
【0123】
倉庫制御装置100の搬送装置制御プログラム114は、搬送装置情報500を参照し、次の作業に適した搬送装置203を選定し、選定された搬送装置203に作業を割付ける。なお、ここで作業に適した搬送装置203は、作業場所に近い搬送装置203を選定してもよいし、稼働状態欄502が”未作業”の搬送装置203を選定してもよいし、作業開始時間欄508に格納され時刻が古い順に選定してもよいし、AIを用いて最適な搬送装置203を選定してもよい。
【0124】
搬送装置制御プログラム114は、選定された搬送装置203のレコードを割り付けられた作業の情報で搬送装置情報500を更新する。
【0125】
また、作業開始時間欄508に格納され時刻と現在時刻を比較し、想定される作業所要時間より多くの時間を要している場合は、作業ステーション205への搬送指示を割付ける最大割付台数(ステーション搬送装置割付情報130(図9))を補正してもよい。
【0126】
<棚を管理するテーブル>
図6は、棚情報123を構成する棚管理情報600一例を示す図である。
【0127】
棚管理情報600は、棚202の情報を管理するため、すなわち、入荷や出荷に合わせて倉庫制御装置100の搬送装置制御プログラム114や経路作成プログラム111が棚202の倉庫内での位置を判定したり、搬送装置203が棚202を搬送するための移動経路を作成するときに使用される。
【0128】
棚管理情報600は、棚ID欄601と、状態欄602と、現在位置欄604と、作業ステーションID欄605と、出荷頻度欄606が関連付けられたレコードを含む。
【0129】
棚ID欄601は、棚202を一意に特定する識別情報を格納する。状態欄602は、棚202の状態を示し、搬送装置203が棚202を搬送中の場合は”作業中”であり、それ以外の場合は”保管中”である。作業ID欄603は、状態欄602が”作業中”である場合、当該棚202を搬送している搬送装置203の作業ID(図5参照)と同じ識別情報を格納する。現在位置欄604は、棚202のリアルタイムな倉庫内の位置を格納する。作業ステーションID欄605は、状態欄602が”作業中”である場合、当該棚202の搬送に関係する作業ステーション205の識別情報を格納する。出荷頻度欄606は、当該棚202を作業ステーション205へ搬送される頻度を格納する。本実施例では、作業ステーション205で出荷作業を行う場合の搬送のみを計数して、出荷頻度を計算し、Aが高頻度、Eが低頻度としたA~Eまでの5段階で評価する。なお、入荷頻度と出荷頻度で別の欄を設けてもよいし、入荷頻度と出荷頻度の合計値の欄を設けてもよい。作業開始時間欄607は、状態欄602が”作業中”になった時刻を格納する。
【0130】
図6に示す棚管理情報600を参照すると、例えば以下の制御が実現できる。
【0131】
出荷頻度欄606が高頻度な棚202は、出荷作業を行う作業ステーション205の近くに配置し、出荷作業を行う作業ステーション205への搬送時間を短くするとよい。一方、出荷頻度欄606が低頻度な棚202は、出荷作業を行う作業ステーション205から離れて配置し、出荷作業を行う作業ステーション205への搬送時間は長くてもよい。
【0132】
また、入荷作業は、出荷作業を行わない作業ステーション205で作業することが多い。よって、出荷頻度欄606が高頻度な棚202は、入荷作業を行う作業ステーション205から離れて配置し、入荷作業を行う作業ステーション205への搬送時間を長くてもよい。一方、出荷頻度欄606が低頻度な棚202は、入荷作業を行う作業ステーション205の近くに配置し、入荷作業を行う作業ステーション205への搬送時間は短くなる場合がある。
【0133】
棚202の現在位置欄604に格納された位置と作業に関連付けられる作業ステーション205の位置との距離によって、搬送装置203が棚202を搬送するための搬送時間が異なり、作業ステーション205の直前で作業ステーション205の作業待ちとして搬送装置203が待機する時間も異なる。よって、棚202の現在位置と作業ステーション205の位置との距離から必要な搬送時間を計算し、作業ステーション205の直前で作業ステーション205の作業待ちとして搬送装置203が待機する時間を最小化できる。対象の作業ステーション205への搬送装置203の作業指示の割付順序や最大割付台数を補正する。これにより、搬送装置203を別の作業ステーション205へ割り付けることができる。
【0134】
<ヒット数に関連するテーブル>
図7は、ヒット数データ128を構成するヒット数情報700の一例を示す図である。
【0135】
ヒット数情報700は、作業ステーション205での棚202の出荷実績を示し、ステーションID欄701と、時刻欄702と、処理行数欄703と、棚ID欄704と、物品ID×数量欄が関連付けられたレコードを含む。
【0136】
ステーションID欄701は、ステーションID401(図4参照)と同じ、作業ステーション205を一意に特定する識別情報を格納する。時刻欄702は、棚202が作業ステーション205に到着した時刻を格納する。処理行数欄703は、一つの棚202から作業員が物品を取り出したピッキング回数を格納する。例えば、搬送装置203が、棚202を作業ステーション205に1回搬送し、作業員が、物品IDがD021の物品200個と物品IDがD022の物品50個を注文先Aに仕向け、物品IDがD021の物品30個と物品IDがD023の物品100個を注文先Bに仕向けてピッキングする。この場合、注文先Aの物品IDがD021の物品200個と、注文先Aの物品IDがD022の物品50個と、注文先Bで物品IDがD021の物品30個と、物品IDがD023の物品100個をピッキングするので、ピッキング回数は4回となる。また、ピッキング作業回数は物品の種類に数量を乗じた数としてもよいし、ピッキングする物品IDの数としてもよい。棚ID欄704は、棚202の識別情報を格納する。物品ID×数量欄705は、作業員がピッキングした物品の物品IDと各物品のピッキング数量を格納する。
【0137】
図7に示すヒット数情報700を参照すると、例えば以下の制御が実現できる。
【0138】
1回当たりの作業員のピッキングにかかる時間を一定と仮定した場合に、処理行数欄703に格納されるピッキング回数が多ければ、棚202及び搬送装置203が作業ステーション205で待機する時間が増える。また、処理行数欄703に格納されるピッキング回数が少なければ、棚202及び搬送装置203が作業ステーション205で待機する時間が減る。このため、処理行数欄703に格納されるピッキング回数が少なければ棚202及び搬送装置203の入れ替えが多くなり、多数の搬送装置203が必要となる。よって、処理行数欄703に格納されるピッキング回数は多いほうが良い。
【0139】
搬送装置203が作業ステーション205で待機する時間が増えるということは、現在行われている作業が完了するまで、搬送装置203が作業ステーション205の手前で待機する時間が長くなることを意味する。よって、処理行数欄703に格納されるピッキング回数に合わせて、搬送装置203が作業ステーション205の手前で待機する時間が短くなるように、作業ステーション205の搬送装置割付台数上限(図9参照)を補正し、搬送装置203が別の作業ステーション205に割り付いている作業待ち時間を短くして出荷効率を上げることができる。
【0140】
搬送装置203を作業ステーション205へ割り付けて、出荷効率を上げるため、他の搬送装置203が作業ステーション205の手前で待機する時間が短くなるように、作業ステーション205の最大割付台数の補正する。
【0141】
<作業員実績を管理するテーブル>
図8は、作業員実績データ133を構成する作業員実績情報800の一例を示す図である。
【0142】
作業員実績情報800は、作業員の作業実績が記録される情報であり、作業員ID欄801と、時刻欄802と、ピッキング時間欄803と、棚ID欄804と、物品ID×数量欄805が関連付けられたレコードを含む。
【0143】
作業員ID欄801は、作業ステーション205の作業員206(例えば206-1)又は、ロボット207(例えば207-1)の識別情報を格納する。時刻欄802は、物品のピッキングを開始した時刻を格納する。ピッキング時間欄803は、対象の物品のピッキングに要した時間を格納する。棚ID欄804は、物品を取り出した棚202の識別情報を格納する。物品ID×数量欄805は、ピッキングする物品の識別情報と当該物品をピッキングする数量を格納する。
【0144】
例えば、作業IDがH002の作業は、2022年12月01日10時03分00秒にピッキングを開始し、棚IDがF083の棚202から物品IDがD069の物品を197個ピッキングし、ピッキングに要した時間は29秒であったことが記録されている。
【0145】
図8に示す作業員実績情報800を参照すると、例えば以下の制御が実現できる。
【0146】
搬送装置203が作業ステーション205に搬送した棚202から作業員がピッキング作業を行う際に、処理行数欄703に格納されるピッキング回数が一定値であると仮定すると、ピッキング時間が長ければ、棚202及び搬送装置203が作業ステーション205における作業中に待機する時間が増える。また、ピッキング時間が短ければ、棚202及び搬送装置203が作業ステーション205における作業中に待機する時間が減る。なお、図7の説明で前述と同様に、ピッキング時間が短ければ棚202及び搬送装置203の入れ替えが多くなる。
【0147】
処理行数欄703に格納されるピッキング回数を一定と仮定した場合に、ピッキング時間が長ければ、棚202及び搬送装置203が作業ステーション205で待機する時間が増える。また、ピッキング時間が短ければ、棚202及び搬送装置203が作業ステーション205で待機する時間が減る。このため、ピッキング時間に合わせて、作業ステーション205の直前で搬送装置203が待機する時間が最小となるように、作業ステーション205の搬送装置最大割付台数を補正し、搬送装置203を別の作業ステーション205に割り付けて、未作業時間を少なくして出荷効率を上げるとよい。
【0148】
<作業ステーションを管理するテーブル>
図9は、ステーション搬送装置割付情報130を構成する作業ステーション管理テーブル900の一例を示す図である。
【0149】
作業ステーション管理テーブル900は、ステーションID欄901と、位置欄902と、作業状態欄903と、作業員欄904と、現状搬送装置割付台数欄905と、搬送装置割付台数上限欄906と、割付優先度欄907が関連付けられたレコードを含む。
【0150】
ステーションID欄901は、図4のステーションID欄401と同一に作業ステーション205の識別情報を格納する。位置欄902は、作業ステーション205における作業のために搬送装置203が停止する位置を格納する。作業状態欄903は、作業ステーション205における作業の状態を格納する。例えば、作業の状態には、棚202へ物品を格納する作業には”入庫”、棚202から物品を取り出す作業には”出庫”、棚202内の物品の棚卸や間口の物品の入れ替えなどの作業には”その他”と、何も作業をしない場合には”未作業”などがある。作業員欄904は、作業ステーション205で作業を行う作業員206又はロボット207の識別情報を格納する。
【0151】
現状搬送装置割付台数欄905は、搬送装置制御プログラム114が作業ステーション205への搬送指示が割り付けられた搬送装置203のリアルタイムの数を格納する。搬送装置制御プログラム114は、該当するステーションID901に対応する現状搬送装置割付台数欄905に、搬送指示を割り付ける搬送装置203の数を加算する。搬送装置制御プログラム114は、作業ステーション205で作業員206又はロボット207が作業を完了した時に現状搬送装置割付台数欄905から1を減算する。
【0152】
搬送装置割付台数上限欄906は、搬送装置制御プログラム114が搬送指示を割付可能な搬送装置203の数の、作業ステーション205毎の上限値を格納する。搬送装置制御プログラム114は、作業ステーション205毎に、現状搬送装置割付台数が搬送装置割付台数上限欄906に格納された値を超えないように、搬送指示を搬送装置203に割り付ける。なお、本実施例では現状搬送装置割付台数欄905及び搬送装置割付台数上限欄906は、入庫作業及び出庫作業にかかわらず一つの項目で管理しているが、入庫作業と出庫作業を分けて、それぞれの現状搬送装置割付台数及び搬送装置割付台数上限を管理してもよい。
【0153】
割付優先度欄907は、作業状態欄903が”未作業”ではなく、複数の作業ステーションで現状搬送装置割付台数が搬送装置割付台数上限欄906に格納された値を超えない範囲において、搬送装置203に搬送指示を優先的に割り付ける作業ステーション205を選択するために、搬送装置制御プログラム114が参照する情報を格納する。例えば、優先度はA~Eまでの5段階で評価し、Aが優先度が最も高く、Eが優先順位が最も低い。搬送装置制御プログラム114は、現状搬送装置割付台数が搬送装置割付台数上限欄906に格納された値を超えずに、複数のステーションIDで搬送装置203に搬送指示を割付可能な場合、優先度が高い作業ステーション205から搬送装置203に作業指示を割り付ける。この優先度は、搬送指示の数より搬送指示を割付可能な搬送装置203の数が少ない場合に有効である。優先度は、搬送システムの設計時に予め決めるとよく、作業ステーション205における作業実績によって変更してもよい。
【0154】
<設定画面>
図10は、ステーション端末210の出力装置193に表示されるステーション搬送装置割付台数設定画面1000の一例を示す図である。
【0155】
現在の搬送装置割付台数設定欄1001は、図9に示す作業ステーション管理テーブル900のステーションID欄901に格納されたステーションIDと、搬送装置割付台数上限欄906に格納された搬送装置割付台数上限と、割付優先度欄907に格納された割付優先度を表示する。手動/自動モード切替スイッチ1002は、搬送装置割付台数上限と、割付優先度を作業員が直接入力する手動入力モードと、前述した棚202の作業ステーション205までの搬送時間や、棚202の位置情報や、ピッキング作業時のヒット数や、作業員が棚202から物品を取り出すピッキング時間などの過去データに基づいて変化する自動入力モードを作業員が選択して切り替え可能である。自動入力モードでは、AI技術を用いた機械学習モデルや数理モデルを用いて過去データから搬送装置割付台数上限と割付優先度を導出するとよい。変更後搬送装置割付台数設定欄1003は、手動/自動モード切替スイッチ1002で手動入力が選択された場合に使用される。作業員はステーションIDに対応する搬送装置割付台数上限と割付優先度を入力して変更できる。設定変更ボタン1004は、変更後搬送装置割付台数設定欄1003に入力した内容を確定するときに操作される。設定変更ボタン1004の操作によって、変更後搬送装置割付台数設定欄1003に入力した内容が倉庫制御装置100に送信され、作業ステーション管理テーブル900が更新される。なお、手動/自動モード切替スイッチ1002が自動入力である場合、設定変更ボタンの操作を要さずに自動的に作業ステーション管理テーブル900が更新される。
【0156】
<搬送装置割付台数設定処理>
図11は、倉庫制御装置100が実行する搬送装置割付台数設定処理のフローチャートである。
【0157】
ステップS1101において、倉庫制御装置100の搬送装置制御プログラム114は、記憶装置110及び各機器に記憶されている全てのログデータ(過去の実績データA)を取得する。ここでの各機器とは、搬送装置203、充電ステーション204、及び作業ステーション205を含む。作業ステーション205は、ロボット207、ステーション端末210、及び、作業員206に具体的な作業指示を与える任意の装置(作業員が携帯する端末装置、ディスプレイ、棚間口面の案内枠等)を含む。また、ログは、各機器への動作指示及び各機器の動作履歴であり、機器の状態を示すデータに時刻情報(例えば、当該状態の開始時刻及び終了時刻)が付されたものである。ログは、倉庫制御装置100が各機器に送信した指示の中、又は各設備が倉庫制御装置100に送信したデータの中に記録される。
【0158】
ステップS1102において、搬送装置制御プログラム114は、ステップS1101で取得したログデータから、搬送装置203が作業ステーション205までの搬送に要した時間を取得する。具体的には、搬送装置情報300から、状態欄302が”引当作業”の”迎え”、”棚上昇”、”棚搬送(往路)”及び”ステーション作業”に要した時間を複数の搬送装置203から取得し、取得した時間から搬送時間を計算する。例えば、取得した時間の平均値を搬送時間として計算してもよい。なお、作業ステーション205と棚202との距離に応じて重みづけをした重み付け平均によって搬送時間を計算してもよいし、搬送装置203の搬送実績と出荷量と搬送時間で学習した機械学習モデルを用いて、搬送装置203の搬送実績や今後の出荷量予測から搬送時間を導出してもよい。
【0159】
ステップS1103において、搬送装置制御プログラム114は、作業ステーション管理テーブル900から対象のステーションID欄901の作業員欄904に格納された作業員情報Bによって当該作業ステーション205の作業者を特定する。
【0160】
ステップS1104において、搬送装置制御プログラム114は、ステップS1101で取得したログデータからS1103で取得した作業員のピッキング時間を計算する。具体的には、作業員実績情報800の作業員ID欄801を参照してステップS1103で取得した作業員に絞り込み、対象の作業員の過去のピッキング実績の平均からピッキング時間を計算する。なお、作業員の当日の作業状態に応じて重み付けをした重み付け平均によってピッキング時間計算してもよいし、作業員の身長や体質などと棚202に格納されている物品の位置を考慮して、ピッキングすべき物品が高い位置にある場合、足場を上り下りする時間などをピッキング時間に加算してもよい。また、例えば、作業ステーション205が休憩所から離れた位置にある場合に行き来に時間が掛かることなど、作業環境を考慮した時間をピッキング時間に加算してもよい。
【0161】
ステップS1105において、搬送装置制御プログラム114は、ステップS1101で取得したログデータから、リアルタイムで搬送中の棚202のヒット数と、過去のヒット数を取得する。例えば、ヒット数情報700のステーションID欄701を参照し、ヒット数を計算する作業ステーション205の処理行数欄703のデータを取得し、処理行数欄703に格納されたピッキング回数の平均値を平均ヒット数として計算する。また、現在で搬送装置203が作業ステーション205に搬送している棚202の情報を搬送装置情報500から取得し、オーダー情報121に含まれる出荷予定からリアルタイムのヒット数を取得する。そして、リアルタイムのヒット数と平均ヒット数とを比較する。なお、平均ヒット数は、経過時間によって重み付けをした忘却平均によって計算してもよい。また、重み付けは、AI技術を用いた機械学習モデルや数理モデルを用いて過去の実績データから計算してもよい。
【0162】
ステップS1106において、搬送装置制御プログラム114は、S1101で取得したログデータのステーション情報400から、状態欄402に格納された入庫作業又は出庫作業が多い日付や時刻を取得する。例えば、ステーション情報400の状態欄402に格納された入庫作業又は出庫作業の情報を作業ステーション205毎に1時間毎の平均作業回数を計算する。いずれの日も作業回数が多く、かつ、作業ステーション205によって偏差が大きい場合、作業時刻に一定の偏りがあるデータとして判断し、偏差を重み付けとして計算する。
【0163】
ステップS1107において、搬送装置制御プログラム114は、搬送装置203が作業中の台数と未作業中の台数を取得する。具体的には、搬送装置情報500の稼働状態欄502から”未作業”、”作業中”、”充電中”となっている搬送装置203のそれぞれの台数を取得する。
【0164】
ステップS1108において、搬送装置制御プログラム114は、搬送時間、ピッキング時間、ヒット数、出庫実績、搬送装置の稼働状況、及び棚の位置情報から搬送装置割付台数上限を計算し、作業ステーション管理テーブル900の搬送装置割付台数上限欄906に格納する。また、出庫実績の傾向から作業ステーション205毎の割付優先度を計算し、作業ステーション管理テーブル900の割付優先度欄907に格納する。
【0165】
例えば、ピッキング時間にヒット数を乗じて、搬送装置203が作業ステーション205の手前で待機している時間を計算し、棚搬送時間から徐算した値を仮の搬送装置割付台数上限値として計算する。
【0166】
次に、計算された仮の搬送装置割付台数上限値に補正値を加算して補正する。この補正値は、搬送作業に関する付加情報、入庫実績又は出庫実績、棚位置情報に基づいて計算するとよい。例えば、ある作業ステーション205についての入庫実績又は出庫実績と棚位置情報とに基づいて計算された棚202と当該作業ステーション205との距離が所定の基準より近い棚のうち、入庫頻度又は出庫頻度が所定の基準より大きい棚の数が所定の閾値より多い場合、当該作業ステーション205への棚の搬送時間が平均値よりも短くなると推測されるため、当該作業ステーション205の搬送装置割付台数に関する補正値を負の値として、搬送装置割付台数上限値を小さくしてもよい。一方、棚202と作業ステーション205との距離が所定の基準より遠い棚のうち、入庫頻度又は出庫頻度が所定の基準より大きい棚の数が所定の閾値より多い場合、当該作業ステーション205への棚の搬送時間が平均値より長くなると推測されるため、当該作業ステーション205の搬送装置割付台数に関する補正値を正の値として、搬送装置割付台数上限値を大きくしてもよい。ここで、所定の基準及び所定の閾値は、物流センタのレイアウトや搬送装置の特性等、環境に応じて適宜設定される値であってもよい。また、所定の閾値については、入庫頻度又は出庫頻度に関する過去の実績値に基づいて決定されてもよい。
【0167】
前述した棚202と作業ステーション205との距離の基準値や、入庫頻度又は出庫頻度の判定基準は複数の段階に分けて設定してもよい。また、補正値Aは、複数の段階ごとに設定された、棚202と作業ステーション205との距離の基準値や、入庫頻度又は出庫頻度の判定基準に応じて、異なる値が設定されてもよい。例えば、式1を用いて、搬送装置割付台数上限値を計算できる。式1において、搬送時間はステップS1102で取得した搬送時間であり、ピッキング時間はステップS1104で取得した作業員のピッキング時間であり、ヒット数は、ステップS1105で取得した平均ヒット数である。ピッキング時間とヒット数を乗じることにより、棚202を積載した搬送装置203が作業ステーション205で作業員206による作業完了まで待機していた時間である搬送装置作業員待機時間を計算する。計算された搬送装置作業員待機時間は、搬送時間より短い時間であり、搬送装置203が1台の場合、作業ステーション205で作業員206が待機する時間は、搬送装置作業員待機時間から搬送時間を減じた時間となるため、搬送装置作業員待機時間と搬送時間の差が小さくなるように作業ステーション205への搬送装置203の割付台数を計算する。なお、本実施例は、計算された搬送装置割付台数に補正値Aを加算した値を作業ステーション205への搬送装置203の割り付け台数としている。補正値Aは、前述した、棚202と作業ステーション205の位置関係や、入庫実績又は出庫実績から当日入出荷予測に基づいて調整した値などである。なお、式1によって計算される値の小数点以下は切り上げて整数化するとよい。
【0168】
(式1)
搬送装置割付台数上限値=(搬送時間/(ピッキング時間×ヒット数))+補正値A
【0169】
また、作業ステーション管理テーブル900の現状の搬送装置割付台数欄905に格納された値と搬送装置203の稼働状況から、搬送装置情報500の稼働状態欄502が”異常”となっている搬送装置203の現在位置欄504に格納された搬送装置203の位置を取得し、異常となっている搬送装置203を回避するために当該搬送装置203に近く、搬送作業が干渉する作業ステーション205への搬送時間は長くなることを考慮し、当該作業ステーション205の搬送装置割付台数に関する補正値を正の値として、搬送装置割付台数上限値を大きくしてもよい。また、搬送装置203の異常からの復旧後に、当該搬送装置203が搬送作業と干渉した作業ステーションの補正値を負の値として、搬送装置割付台数上限値を小さくしてもよい。
【0170】
また、割付優先度は、ステップS1106で計算された入庫作業又は出庫作業の傾向を参照し、過去の出庫頻度が高い時刻の作業ステーションは優先度を高くし、出庫頻度が低い時刻の作業ステーションは優先度を低く設定してもよい。
【0171】
また、搬送装置割付台数上限値及び割付優先度は、所定のタイミング(例えば1時間毎や、所定のイベントをトリガとして)に更新し、時間帯毎に適切な上限値及び優先度を決定するとよい。時間帯によって変わる作業ステーション205の作業に応じて適切に上限値や優先度を決定できる。
【0172】
また、搬送装置割付台数上限値及び割付優先度は、棚202と搬送装置203の位置関係や作業ステーション205の作業予定に従って決定してもよい。
【0173】
<搬送装置割付台数設定処理>
図12は、倉庫制御装置100が実行する搬送装置割付台数設定処理のフローチャートである。
【0174】
ステップS1201において、倉庫制御装置100の搬送装置制御プログラム114は、搬送装置203に搬送指示を送信する。搬送装置203は、受信した搬送指示に従って、棚202を作業ステーション205へ搬送する。例えば、作業ステーション管理テーブル900の対象のステーションID901から作業状態欄903に格納された作業状態を取得し、作業ステーション205の作業状態が”入庫”の場合は入庫情報を、”出庫”の場合は出庫情報を参照する。
【0175】
次に、搬送装置制御プログラム114は、作業ステーション管理テーブル900の現状搬送装置割付台数欄905に格納された搬送指示が割り付けられた搬送装置203の数と、搬送装置割付台数上限欄906に格納された割付可能な搬送装置203の数を比較し、搬送指示が割り付けられた搬送装置203の数が割付可能な搬送装置203の数より小さいかを判定する。搬送指示が割り付けられた搬送装置203の数が割付可能な搬送装置203の数と等しい又は大きい場合、搬送装置制御プログラム114は、搬送指示が割り付けられた搬送装置203の数が割付可能な搬送装置203の数より小さくなるまで待機する。
【0176】
作業ステーション管理テーブル900の現状搬送装置割付台数欄905値が搬送装置割付台数上限欄906の値より小さい場合、搬送装置制御プログラム114は、入庫情報又は出庫情報から物品が格納されている棚202を検索し、搬送すべき棚202を決定する。また、棚202を検索した後、自身の作業ステーション205が搬送対象の棚であるか否か判断する場合もある。
【0177】
次に、決定された搬送すべき棚202に対して、搬送装置情報500の稼働状態欄502が”未作業”かつ、現在位置欄504に格納された搬送装置203の位置と棚管理情報600の対象の棚ID601の現在位置が最も近い搬送装置203を選択する。
【0178】
搬送装置203の稼働状態欄502が”未作業”の台数が所定の条件を満たす程度に少ない場合、搬送装置制御プログラム114は、作業ステーション管理テーブル900の割付優先度欄907に格納される優先度を用いて搬送指示を割り付ける作業ステーション205を決定する。例えば、作業ステーション管理テーブル900の現状搬送装置割付台数が搬送装置割付台数上限を超えておらず、割付優先度欄907に格納される優先度が高い作業ステーションから選択する。このように、割付優先度は、搬送装置203の台数が少ない場合に搬送指示を優先的に割り付ける作業ステーション205を決定するために用いられるが、搬送装置割付台数上限欄906に格納された値から現状搬送装置割付台数欄905に格納された値を減じた値の合計値と未作業の搬送装置203の台数を比較して決定してもよいし、搬送装置割付台数上限欄906に格納された値の合計値と稼動中の搬送装置203の台数を比較して決定してもよい。また、割付優先度に従って、搬送指示を優先的に割り付ける作業ステーション205を決定してもよいし、作業ステーション205の搬送装置割付台数上限値を更新してもよい(例えば割付優先度が低い作業ステーション205の搬送装置割付台数上限値を低減してもよい)。
【0179】
また、各作業ステーション205の搬送装置割付台数上限の合計値が、稼働中の搬送装置203の台数の合計値を超えている場合、搬送装置制御プログラム114は、搬送指示が未割当の搬送装置203が不足して搬送装置割付台数上限まで搬送指示が割り付けられない作業ステーション205の数が増え、作業ステーション205間の作業効率に偏りが生じる場合がある。このような偏りを低減するために、割付優先度欄907に格納される優先度に基づいて、搬送装置割付台数上限を設定する際に、搬送指示を割当可能な稼働中の搬送装置203の台数を超えないように設定してもよい。その場合、ステップS1108において計算された搬送装置割付台数上限を割付優先度欄907に格納される優先度に基づいて補正してもよい。例えば、計算された各作業ステーション205の搬送装置割付台数上限の合計が、稼働中の搬送装置203の台数を超えていると判定された場合、割付優先度欄907に格納された優先度に基づいて、割付優先度が低い作業ステーションから順に搬送装置割付台数上限を所定量を減じるように補正してもよい。所定量は1でもよい。計算された各作業ステーション205の搬送装置割付台数上限の合計が、稼働中の搬送装置203の台数を超えなくなるまで補正を行ってよい。
【0180】
経路作成プログラム111は、選択された搬送装置203の搬送経路を作成する。以上で搬送装置203が実行する搬送タスクが生成される。そして、搬送装置制御プログラム114が、搬送装置203へ搬送指示を送信する。
【0181】
ステップS1202において、搬送装置制御プログラム114は、ステップS1201で生成された搬送指示に従って搬送装置203が動作した実績を収集し、搬送装置走行実績データ129に格納する。
【0182】
ステップS1203において、搬送装置制御プログラム114は、ステップS1201で生成された搬送指示に従って搬送装置203が搬送した棚202について、作業ステーション205で作業員206が入庫作業又は出庫作業をした実績をステーション実績データ132(ステーション情報400)及び作業員実績データ133(作業員実績情報800)に格納する。
【0183】
ステップS1204において、搬送装置制御プログラム114は、ステップS1201で生成された搬送指示に従って搬送装置203が搬送した棚202について行われた作業のヒット数を計算し、ヒット数データ128(ヒット数情報700)に格納する。前述したように、ヒット数データ128の処理行数欄703に格納されるピッキング回数は一つの棚202から仕向先毎にピッキングされる物品の種類の数で定められるので、例えば、ヒット数データ128は、作業員の作業員実績データ133から時間的に連続して同じ棚202から行われたピッキングのレコードの数で決定できる。また、ピッキング時間を考慮してヒット数データ128を決めてもよい。ヒット数データ128とピッキング時間は別個の要因によって変動するため、棚当たりの作業時間のデータを取ることによる例外的なログの影響を避けることができる。
【0184】
ステップS1205において、搬送装置制御プログラム114は、ステップS1201で生成された搬送指示に従って搬送装置203が搬送した棚202について行われた作業の情報を作業員実績データ133(作業員実績情報800)に格納する。
【0185】
倉庫制御装置100は、このように算出された搬送装置割付台数上限を出力装置104から出力するとよい。例えば、算出された作業ステーション205毎の搬送装置割付台数上限を合計して、当該倉庫において望ましい搬送装置203の数を計算して出力装置104から出力してもよい。また、複数のエリアに分かれた倉庫において、算出された作業ステーション205毎の搬送装置割付台数上限をエリア毎に合計して、エリア毎の合計値を全ての作業ステーション205の搬送装置割付台数上限の合計値で除して、搬送装置203のエリア毎の配分率や配置数を出力するとよい。
【0186】
なお、本発明は前述した実施例に限定されるものではなく、添付した特許請求の範囲の趣旨内における様々な変形例及び同等の構成が含まれる。例えば、前述した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに本発明は限定されない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えてもよい。また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えてもよい。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をしてもよい。
【0187】
また、前述した各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等により、ハードウェアで実現してもよく、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し実行することにより、ソフトウェアで実現してもよい。
【0188】
各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリ、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記憶装置、又は、ICカード、SDカード、DVD等の記録媒体に格納することができる。
【0189】
また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、実装上必要な全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には、ほとんど全ての構成が相互に接続されていると考えてよい。
【符号の説明】
【0190】
100 倉庫制御装置
101 演算装置
102 メモリ
103 入力装置
104 出力装置
105 通信インタフェース
110 記憶装置
111 経路作成プログラム
112 データ入出力プログラム
113 データ分析プログラム
114 搬送装置制御プログラム
121 オーダー情報
122 在庫情報
123 棚情報
124 作業員勤務情報
125 作業予定情報
126 装置情報
127 経路データ
128 ヒット数データ
129 搬送装置走行実績データ
130 ステーション搬送装置割付情報
131 ステーションログ
132 ステーション実績データ
133 作業員実績データ
134 作業日特性
150 ネットワーク
151 通信インタフェース
152 センサ
160 記憶装置
161 経路データ
162 地図情報
163 計測データ
164 装置情報
165 走行実績データ
170 制御装置
171 演算装置
172 メモリ
173 自己位置推定プログラム
174 走行制御プログラム
175 計測プログラム
176 通信プログラム
180 駆動装置
181 台車
182 テーブル
183 駆動輪
185 モータ
191 通信インタフェース
192 入力装置
193 出力装置
194 制御装置
195 記憶装置
196 ピッキング作業情報
201 保管スペース
202 棚
203 搬送装置
204 充電ステーション
205 作業ステーション
206 作業員
207 ロボット
208 セーフティライトカーテン
209 間口
210 ステーション端末
211 作業スペース
300 搬送装置情報
301 搬送装置ID欄
302 状態欄
303 終了欄
304 時刻欄
305 位置欄
306 ステーションID欄
307 取得データ欄
400 ステーション情報
401 ステーションID欄
402 状態欄
403 終了欄
404 時刻欄
405 作業ID欄
406 作業員欄
407 処理行数欄
408 棚ID欄
409 数量欄
500 搬送装置情報
501 装置ID欄
502 稼働状態欄
503 作業ID欄
504 現在位置欄
505 作業ステーションID欄
506 棚ID欄
507 異常CD欄
508 作業開始時間欄
600 棚管理情報
601 棚ID欄
602 状態欄
603 作業ID欄
604 現在位置欄
605 作業ステーションID欄
606 出荷頻度欄
607 作業開始時間欄
700 ヒット数情報
701 ステーションID欄
702 時刻欄
703 処理行数欄
704 棚ID欄
705 数量欄
800 作業員実績情報
801 作業員ID欄
802 時刻欄
803 ピッキング時間欄
804 棚ID欄
805 数量欄
900 作業ステーション管理テーブル
901 ステーションID欄
902 位置欄
903 作業状態欄
904 作業員欄
905 搬送装置割付台数欄
906 搬送装置割付台数上限欄
907 割付優先度欄
1000 ステーション搬送装置割付台数設定画面
1001 搬送装置割付台数設定欄
1002 自動モード切替スイッチ
1003 変更後搬送装置割付台数設定欄
1004 設定変更ボタン
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12