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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024125034
(43)【公開日】2024-09-13
(54)【発明の名称】プロジェクター及び制御装置
(51)【国際特許分類】
   G03B 21/14 20060101AFI20240906BHJP
   G03B 21/00 20060101ALI20240906BHJP
   H04N 5/74 20060101ALI20240906BHJP
【FI】
G03B21/14 Z
G03B21/00 D
H04N5/74 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023033096
(22)【出願日】2023-03-03
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000637
【氏名又は名称】弁理士法人樹之下知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】若林 慎一
(72)【発明者】
【氏名】高橋 竜矢
【テーマコード(参考)】
2K203
5C058
【Fターム(参考)】
2K203FA03
2K203FA23
2K203FA25
2K203FA34
2K203FA62
2K203GB26
2K203GB30
2K203HA79
2K203HB08
2K203HB10
2K203HB13
2K203HB22
2K203KA46
2K203MA10
2K203MA26
5C058BA35
5C058EA02
(57)【要約】
【課題】振動による画像のぶれの抑制と、画像の高解像度化とを両立できるプロジェクター及び制御装置を提供する。
【解決手段】プロジェクターは、照明装置と、画像形成装置と、投射光学装置と、画像形成装置と投射光学装置との間の画像光の光路に配置され、画像光が投射される基準位置に対して画像光の光路をシフトさせる光路シフト装置と、画像光の投射位置に影響を及ぼす振動を検出する振動検出センサーと、画像形成装置と投射光学装置との間の画像光の光路において、光路シフト装置に対する画像光の入射側又は出射側に配置され、画像光が透過する光学部材を有する振動抑制装置と、を備え、振動抑制装置は、振動検出センサーの検出結果に基づいて光学部材を揺動させて、光学部材に入射した画像光の光路を振動の位相に対して逆位相となる方向に変更する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
照明光を出射する照明装置と、
入射する前記照明光から画像光を形成する画像形成装置と、
前記画像形成装置にて形成された前記画像光を投射する投射光学装置と、
前記画像形成装置と前記投射光学装置との間の前記画像光の光路に配置され、前記画像光が投射される基準位置に対して前記画像光の光路をシフトさせる光路シフト装置と、
前記投射光学装置による前記画像光の投射位置に影響を及ぼす振動を検出する振動検出センサーと、
前記画像形成装置と前記投射光学装置との間の前記画像光の光路において、前記光路シフト装置に対する前記画像光の入射側及び出射側のいずれかに配置され、前記画像光が透過する光学部材を有する振動抑制装置と、を備え、
前記振動抑制装置は、前記振動検出センサーの検出結果に基づいて前記光学部材を揺動させて、前記光学部材に入射した前記画像光の光路を前記振動の位相に対して逆位相となる方向に変更する、
ことを特徴とするプロジェクター。
【請求項2】
請求項1に記載のプロジェクターにおいて、
前記振動抑制装置は、前記光路シフト装置に対する前記画像光の入射側に配置されて、前記画像形成装置から前記光学部材に入射する前記画像光の光路を変更し、
前記光路シフト装置は、前記光学部材にて光路が変更されて入射する前記画像光の光路をシフトさせる、
ことを特徴とするプロジェクター。
【請求項3】
請求項1に記載のプロジェクターにおいて、
前記振動抑制装置は、前記光路シフト装置に対する前記画像光の出射側に配置され、
前記光路シフト装置は、前記画像形成装置から入射する前記画像光の光路をシフトさせ、
前記振動抑制装置は、前記光路シフト装置にて光路がシフトされて入射する前記画像光の光路を変更する、
ことを特徴とするプロジェクター。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のプロジェクターにおいて、
前記振動抑制装置は、鉛直方向と前記画像光が透過する光軸方向とを含む仮想面に対して交差する第1揺動軸に対して前記光学部材を揺動させる第1駆動部を有する、
ことを特徴とするプロジェクター。
【請求項5】
請求項4に記載のプロジェクターにおいて、
前記振動抑制装置は、前記第1揺動軸に直交する第2揺動軸に対して前記光学部材を揺動させる第2駆動部を有し、
前記第1揺動軸及び前記第2揺動軸のそれぞれは、前記振動の振動方向に交差する、
ことを特徴とするプロジェクター。
【請求項6】
入射する照明光から画像光を形成する画像形成装置と、前記画像光を投射する投射光学装置との間の前記画像光の光路に配置され、前記画像光が投射される基準位置に対して前記画像光の光路をシフトさせる光路シフト装置と、前記投射光学装置による前記画像光の投射位置に影響を及ぼす振動を検出する振動検出センサーと、前記画像形成装置と前記投射光学装置との間の前記画像光の光路において、前記光路シフト装置に対する前記画像光の入射側及び出射側のいずれかに配置され、前記画像光が透過する光学部材を有する振動抑制装置と、を備えるプロジェクターの前記振動抑制装置の制御装置であって、
前記振動検出センサーによる検出結果を取得し、
前記検出結果に基づいて、前記振動の位相に対して逆位相となる振動抑制波形を生成し、
前記振動抑制波形に基づいて、前記振動抑制装置を駆動させる、
ことを特徴とする制御装置。
【請求項7】
請求項6に記載の制御装置において、
前記光路シフト装置による前記画像光の光路のシフト動作のタイミングに同期して、前記振動抑制波形に基づく前記振動抑制装置の駆動を実行する、
ことを特徴とする制御装置。
【請求項8】
請求項6に記載の制御装置において、
前記光路シフト装置による前記画像光の光路のシフト動作間のタイミングに同期して、前記振動抑制波形に基づく前記振動抑制装置の駆動を実行する、
ことを特徴とする制御装置。
【請求項9】
照明光を出射する照明装置と、
入射する前記照明光から画像光を形成する画像形成装置と、
前記画像形成装置にて形成された前記画像光を投射する投射光学装置と、
前記画像形成装置と前記投射光学装置との間の前記画像光の光路に配置される光路変更部材を有し、前記画像光の入射方向に対して交差する揺動軸に対して前記光路変更部材を揺動させて、前記画像光が投射される基準位置に対して前記画像光の光路をシフトさせる光路シフト装置と、
前記投射光学装置による前記画像光の投射位置に影響を及ぼす振動を検出する振動検出センサーと、を備え、
前記光路シフト装置は、前記基準位置に対して前記画像光の光路をシフトさせる画素シフト動作と、前記振動検出センサーの検出結果に基づいて前記光路変更部材を揺動させて、前記光路変更部材に入射する前記画像光の光路を前記振動の位相に対して逆位相となる方向に変更する振動抑制動作と、を交互に実施する、
ことを特徴とするプロジェクター。
【請求項10】
入射する照明光から画像光を形成する画像形成装置と、前記画像光を投射する投射光学装置との間の前記画像光の光路に配置され、前記画像光が投射される基準位置に対して前記画像光の光路をシフトさせる光路シフト装置と、前記投射光学装置による前記画像光の投射位置に影響を及ぼす振動を検出する振動検出センサーと、を備えるプロジェクターの前記光路シフト装置の制御装置であって、
前記光路シフト装置に、前記基準位置に対して前記画像光の光路をシフトさせる画素シフト動作と、前記振動検出センサーの検出結果に基づいて、前記振動の位相に対して逆位相となる振動抑制波形を生成し、生成した前記振動抑制波形に基づく振動抑制動作と、を交互に実行する、
ことを特徴とする制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、プロジェクター及び制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、投射光学系による画像光の投射方向を変化させる光路偏向素子と、振動を検出する振動検出部と、振動検出部で検出された振動に基づいて、光路偏向素子による投射方向の変化量を制御する光路偏向制御部と、を備えるプロジェクターが知られている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載のプロジェクターにおいて、光路偏向素子は、被投射面に投射される画像光の進行方向を偏向する素子であり、光路偏向素子が偏向する画像光の投射方向の変化量は、横駆動部及び縦駆動部が駆動することによって変更される。
光路偏向制御部は、検出された振動が第1閾値以上である場合には、プロジェクターに作用する振動を打ち消す位置にプロジェクターが投射する画像光が移動するように、各駆動部を制御する。これにより、被投射面における画像のブレを抑制する。
光路偏向制御部は、検出された振動が第1閾値未満である場合には、プロジェクターが画像光を高解像度で投射するように各駆動部を制御する。例えば、光路偏向制御部は、光路を偏向させずに画像光を投射する状態と、縦及び横のそれぞれに対して画素ピッチを1/2ずらした方向に画像光を投射する状態とが繰り返されるように、横駆動部及び縦駆動部のそれぞれの動作を制御することにより、画像の縦及び横のそれぞれの画素を実質的に増やし、投射される画像の高解像度化を図る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017-191274号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載のプロジェクターは、検出された振動が第1閾値以上である場合に振動を抑制するものの、画像の高解像度化を実施しない。このため、特許文献1に記載のプロジェクターでは、振動によって生じる画像のぶれの抑制と、画像の高解像度化とを両立できないという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の第1態様に係るプロジェクターは、照明光を出射する照明装置と、入射する前記照明光から画像光を形成する画像形成装置と、前記画像形成装置にて形成された前記画像光を投射する投射光学装置と、前記画像形成装置と前記投射光学装置との間の前記画像光の光路に配置され、前記画像光が投射される基準位置に対して前記画像光の光路をシフトさせる光路シフト装置と、前記投射光学装置による前記画像光の投射位置に影響を及ぼす振動を検出する振動検出センサーと、前記画像形成装置と前記投射光学装置との間の前記画像光の光路において、前記光路シフト装置に対する前記画像光の入射側及び出射側のいずれかに配置され、前記画像光が透過する光学部材を有する振動抑制装置と、を備え、前記振動抑制装置は、前記振動検出センサーの検出結果に基づいて前記光学部材を揺動させて、前記光学部材に入射した前記画像光の光路を前記振動の位相に対して逆位相となる方向に変更する。
【0007】
本開示の第2態様に係る制御装置は、入射する照明光から画像光を形成する画像形成装置と、前記画像光を投射する投射光学装置との間の前記画像光の光路に配置され、前記画像光が投射される基準位置に対して前記画像光の光路をシフトさせる光路シフト装置と、前記投射光学装置による前記画像光の投射位置に影響を及ぼす振動を検出する振動検出センサーと、前記画像形成装置と前記投射光学装置との間の前記画像光の光路において、前記光路シフト装置に対する前記画像光の入射側及び出射側のいずれかに配置され、前記画像光が透過する光学部材を有する振動抑制装置と、を備えるプロジェクターの前記振動抑制装置の制御装置であって、前記振動検出センサーによる検出結果を取得し、前記検出結果に基づいて、前記振動の位相に対して逆位相となる振動抑制波形を生成し、前記振動抑制波形に基づいて、前記振動抑制装置を駆動させる。
【0008】
本開示の第3態様に係るプロジェクターは、照明光を出射する照明装置と、入射する前記照明光から画像光を形成する画像形成装置と、前記画像形成装置にて形成された前記画像光を投射する投射光学装置と、前記画像形成装置と前記投射光学装置との間の前記画像光の光路に配置される光路変更部材を有し、前記画像光の入射方向に対して交差する揺動軸に対して前記光路変更部材を揺動させて、前記画像光が投射される基準位置に対して前記画像光の光路をシフトさせる光路シフト装置と、前記投射光学装置による前記画像光の投射位置に影響を及ぼす振動を検出する振動検出センサーと、を備え、前記光路シフト装置は、前記基準位置に対して前記画像光の光路をシフトさせる画素シフト動作と、前記振動検出センサーの検出結果に基づいて前記光路変更部材を揺動させて、前記光路変更部材に入射する前記画像光の光路を前記振動の位相に対して逆位相となる方向に変更する振動抑制動作と、を交互に実施する。
【0009】
本開示の第4態様に係る制御装置は、入射する照明光から画像光を形成する画像形成装置と、前記画像光を投射する投射光学装置との間の前記画像光の光路に配置され、前記画像光が投射される基準位置に対して前記画像光の光路をシフトさせる光路シフト装置と、前記投射光学装置による前記画像光の投射位置に影響を及ぼす振動を検出する振動検出センサーと、を備えるプロジェクターの前記光路シフト装置の制御装置であって、前記光路シフト装置に、前記基準位置に対して前記画像光の光路をシフトさせる画素シフト動作と、前記振動検出センサーの検出結果に基づいて、前記振動の位相に対して逆位相となる振動抑制波形を生成し、生成した前記振動抑制波形に基づく振動抑制動作と、を交互に実行する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1実施形態に係るプロジェクターの概略構成を示す概略図。
図2】第1実施形態に係る光路シフト装置を示す図。
図3】第1実施形態に係る光路シフト装置による光路シフトを説明する図。
図4】第1実施形態に係る振動抑制装置を示す図。
図5】第1実施形態に係るプロジェクターの他の構成を示すブロック図。
図6】第1実施形態に係る振動抑制装置による振動抑制動作を説明する図。
図7】第1実施形態に係る制御装置による第1同期制御処理を説明する図。
図8】第1実施形態に係る制御装置による第2同期制御処理を説明する図。
図9】第2実施形態に係るプロジェクターが備える制御装置の構成を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[第1実施形態]
以下、本開示の第1実施形態について、図面に基づいて説明する。
[プロジェクターの概略構成]
図1は、本実施形態に係るプロジェクター1の概略構成を示す概略図である。
本実施形態に係るプロジェクター1は、図1に示すように、照明装置31から出射された光を変調して画像情報に応じた画像光PLを形成し、形成した画像光PLをスクリーン等の被投射面PSに拡大投射する。プロジェクター1は、外装筐体2と、外装筐体2内に収容された画像投射ユニット3と、を備える。この他、図示を省略するが、プロジェクター1は、冷却対象を冷却する冷却装置、及び、プロジェクター1を構成する電子部品に電力を供給する電源装置を備える。
【0012】
[画像投射ユニットの構成]
画像投射ユニット3は、画像光PLを形成して投射する。画像投射ユニット3は、照明装置31、色分離装置32、画像形成装置33、投射光学装置37、光路シフト装置4及び振動抑制装置5を備える。
なお、以下の説明では、照明装置31が照明光WLを出射する方向を+Z方向とし、+Z方向に直交する方向を+X方向及び+Y方向とする。+Z方向とは反対方向を-Z方向とし、+X方向とは反対方向を-X方向とし、+Y方向とは反対方向を-Y方向とする。+Z方向に沿う軸をZ軸とし、+X方向に沿う軸をX軸とし、+Y方向に沿う軸をY軸とする。
【0013】
[照明装置の構成]
照明装置31は、照明光WLを+Z方向に出射する。照明装置31の構成としては、固体発光素子と、固体発光素子から出射された光の波長を変換する波長変換素子と、を備える構成を例示できる。或いは、照明装置31の構成としては、超高圧水銀ランプ等の放電発光ランプを備える構成を例示できる。
【0014】
[色分離装置の構成]
色分離装置32は、照明装置31から入射する照明光WLを青色光LB、緑色光LG及び赤色光LRの3つの色光に分離する。色分離装置32は、ダイクロイックミラー321,322と、全反射ミラー323,324,325と、リレーレンズ326,327と、を備える。
ダイクロイックミラー321は、照明装置31から入射する照明光WLのうち、青色光LBを透過させ、緑色光LG及び赤色光LRを+X方向に反射する。
ダイクロイックミラー322は、ダイクロイックミラー321により分離された緑色光LG及び赤色光LRのうち、緑色光LGを+Z方向に反射し、赤色光LRを+X方向に透過させる。ダイクロイックミラー322にて反射された緑色光LGは、画像形成装置33が備える緑色光変調モジュール35Gに入射する。
【0015】
全反射ミラー323は、ダイクロイックミラー321を透過した青色光LBを+X方向に反射する。全反射ミラー323にて反射された青色光LBは、画像形成装置33が備える青色光変調モジュール35Bに入射する。
全反射ミラー324は、ダイクロイックミラー322を透過した赤色光LRを+Z方向に反射する。
全反射ミラー325は、全反射ミラー324にて反射された赤色光LRを-X方向に反射する。全反射ミラー325にて反射された赤色光LRは、画像形成装置33が備える赤色光変調モジュール35Rに入射する。
【0016】
リレーレンズ326は、赤色光LRの光路においてダイクロイックミラー322と全反射ミラー324との間に配置され、リレーレンズ327は、赤色光LRの光路において全反射ミラー324と全反射ミラー325との間に配置されている。リレーレンズ326,327は、赤色光LRの光路が青色光LBの光路及び緑色光LGの光路よりも長いことによる赤色光LRの光損失を補償する。
【0017】
[画像形成装置の構成]
画像形成装置33は、入射する青色光LB、緑色光LG及び赤色光LRを個別に変調し、変調した色光LB,LG,LRを合成して、投射光学装置37によって投射される画像光PLを形成する。画像形成装置33は、フィールドレンズ34、光変調モジュール35及び光合成素子36を備える。
【0018】
[フィールドレンズの構成]
フィールドレンズ34は、入射する光を平行化する。画像形成装置33は、3つのフィールドレンズ34を備える。3つのフィールドレンズ34は、青色光LBの光路に設けられるフィールドレンズ34Bと、緑色光LGの光路に設けられるフィールドレンズ34Gと、赤色光LRの光路に設けられるフィールドレンズ34Rと、を含む。各フィールドレンズ34R,34G,34Bを通過した色光LB,LG,LRは、色光に応じて設けられた光変調モジュール35に入射する。
【0019】
[光変調モジュールの構成]
光変調モジュール35は、入射する色光を変調して、画像情報に応じた画像光を形成し、形成した画像光を光合成素子36に出射する。画像形成装置33は、3つの光変調モジュール35を備える。3つの光変調モジュール35は、青色光LBを変調して青色画像光を出射する青色光変調モジュール35Bと、緑色光LGを変調して緑色画像光を出射する緑色光変調モジュール35Gと、赤色光LRを変調して赤色画像光を出射する赤色光変調モジュール35Rと、を含む。
【0020】
各光変調モジュール35は、光変調素子351、入射側偏光板352及び出射側偏光板353を有する。
具体的に、青色光変調モジュール35Bは、青色光LBを変調する青色光変調素子351Bと、青色光変調素子351Bに対する光入射側に配置される入射側偏光板352と、青色光変調素子351Bに対する光出射側に配置される出射側偏光板353と、を有する。青色光変調モジュール35Bは、青色画像光を+X方向に出射する。
緑色光変調モジュール35Gは、緑色光LGを変調する緑色光変調素子351Gと、入射側偏光板352と、出射側偏光板353と、を有する。緑色光変調モジュール35Gは、緑色画像光を+Z方向に出射する。
赤色光変調モジュール35Rは、赤色光LRを変調する赤色光変調素子351Rと、入射側偏光板352と、出射側偏光板353と、を有する。赤色光変調モジュール35Rは、赤色画像光を-X方向に出射する。
なお、本実施形態では、光変調素子351は、液晶パネルによって構成され、各光変調モジュール35は、光変調素子351、入射側偏光板352及び出射側偏光板353を有する液晶ライトバルブである。
【0021】
[光合成素子の構成]
光合成素子36は、青色光変調モジュール35Bから入射する青色画像光と、緑色光変調モジュール35Gから入射する緑色画像光と、赤色光変調モジュール35Rから入射する赤色画像光とを合成して画像光PLを形成し、形成した画像光PLを振動抑制装置5に向けて出射する。すなわち、光合成素子36は、形成した画像光PLを投射光学装置37に向けて出射する。
本実施形態では、光合成素子36は、略直方体形状のクロスダイクロイックプリズムによって構成されている。しかしながら、これに限らず、光合成素子36は、複数のダイクロイックミラーによって構成されていてもよい。
【0022】
[投射光学装置の構成]
投射光学装置37は、光路シフト装置4及び振動抑制装置5を介して画像形成装置33の光合成素子36から入射する画像光PLを被投射面PSに投射する。図示を省略するが、投射光学装置37としては、複数のレンズと、複数のレンズを保持する鏡筒と、を有する組レンズを例示できる。
なお、本明細書では、投射光学装置37によって投射される画像光PLによって形成され、被投射面PSに表示される画像を投射画像という。
【0023】
[光路シフト装置の構成]
図2は、光出射側から見た光路シフト装置4を示す図である。
光路シフト装置4は、画像形成装置33の光合成素子36と投射光学装置37との間に配置されている。光路シフト装置4は、光合成素子36から出射されて投射光学装置37に入射する画像光PLの光路をシフトさせて、画像光PLによって形成される投射画像の解像度を高める。
光路シフト装置4は、図2に示すように、光路変更部材41、第1可動部42、第2可動部43、ベース44、第1駆動部45及び第2駆動部46を有する。
【0024】
[光路変更部材の構成]
光路変更部材41は、ガラス等の透光性基板である。光路変更部材41は、光合成素子36と投射光学装置37との間の画像光PLの光路に配置されて、光合成素子36から画像光PLが入射する。光路変更部材41は、各駆動部45,46によって、光合成素子36の出射光軸に直交する仮想面に対して傾斜して、屈折により画像光PLの光路をシフトさせる。
本実施形態では、光路変更部材41の揺動軸である第1軸Ax1及び第2軸Ax2のうち、一方の軸は第1揺動軸に相当し、他方の軸は第2揺動軸に相当する。第1軸Ax1はX軸に沿う軸であり、第2軸Ax2はY軸に沿う軸である。
【0025】
[第1可動部の構成]
第1可動部42は、矩形枠状に形成されており、光路変更部材41を保持する他、第1駆動部45の第1磁石452,456を保持する。第1可動部42は、第1軸Ax1を中心に揺動可能に第2可動部43に支持される。第1可動部42は、軸部421及び固定部422を有する。
軸部421は、第1可動部42の外周部分から+X方向に突出する軸部4211と、第1可動部42の外周部分から-X方向に突出する軸部4212と、を含む。軸部4211,4212は、第2可動部43に挿入され、これにより、第1可動部42は、第2可動部43によって第1軸Ax1を中心に揺動可能に支持される。すなわち、軸部4211の中心軸の延長線と、軸部4212の中心軸の延長線とは一致し、軸部4211,4212の中心軸の延長線がX軸に沿う第1軸Ax1である。
固定部422は、第1可動部42の外周部分から+Y方向に突出する固定部4221と、第1可動部42の外周部分から-Y方向に突出する固定部4222と、を含む。固定部4221の先端部には、第1駆動部45の第1磁石452が固定され、固定部4222の先端部には、第1駆動部45の第1磁石456が固定される。なお、固定部4221,4222は、各第1磁石452,456に対するヨークとして機能する。
【0026】
[第2可動部の構成]
第2可動部43は、枠状に形成されて、第1軸Ax1を中心に揺動可能に第1可動部42を保持する他、第1駆動部45の第1コイル453,457と、第2駆動部46の第2磁石462,466と、を保持する。第2可動部43は、回転支持部431、支持部432、軸部433及び腕部434を有する。
【0027】
回転支持部431は、第2可動部43の内縁において-X方向を向く内縁に設けられた回転支持部4311と、第2可動部43の内縁において+X方向を向く内縁に設けられた回転支持部4312と、を含む。回転支持部4311は、軸部4211を回転可能に支持し、回転支持部4422は、軸部4212を回転可能に支持する。これにより、第1可動部42は、第1軸Ax1を中心に揺動可能に第2可動部43に支持される。
支持部432は、第2可動部43の内縁において-Y方向を向く内縁に設けられた支持部4321と、第2可動部43の内縁において+Y方向を向く内縁に設けられた支持部4322と、を含む。支持部4321は、第1駆動部45の第1コイル453を支持し、支持部4322は、第1駆動部45の第1コイル457を支持する。
【0028】
軸部433は、第2可動部43の外周部分から+Y方向に突出する軸部4331と、第2可動部43の外周部分から-Y方向に突出する軸部4332と、を含む。軸部4331,4332がベース44に挿入されることにより、第2可動部43は、第2軸Ax2を中心に揺動可能にベース44に支持される。軸部4331の中心軸の延長線と、軸部4332の中心軸の延長線とは一致し、軸部4331,4332の中心軸の延長線が第2軸Ax2である。
腕部434は、第2可動部43において-Y方向に突出した部分である。腕部434は、+X方向に設けられた腕部4341と、-X方向に設けられた腕部4342を含む。腕部4341には、第2駆動部46の第2磁石462が固定され、腕部4342には、第2駆動部46の第2磁石466が固定される。
【0029】
[ベースの構成]
ベース44は、第2可動部43の外形に応じた開口部441を有する枠状に形成されている。ベース44は、第2可動部43を第2軸Ax2に対して揺動可能に保持する他、第2駆動部46の第2コイル463,467を保持する。ベース44は、回転支持部442及び支持部443を有する。
回転支持部442は、ベース44の内縁において-Y方向を向く内縁に設けられた回転支持部4421と、ベース44の内縁において+Y方向を向く内縁に設けられた回転支持部4422と、を含む。回転支持部4421は、軸部4331を回転可能に支持し、回転支持部4422は、軸部4332を回転可能に支持する。これにより、第2可動部43は、第2軸Ax2を中心に揺動可能にベース44に支持される。
支持部443は、第2可動部43の内縁において-X方向を向く内縁に設けられた支持部4431と、第2可動部43の内縁において+X方向を向く内縁に設けられた支持部4432と、を含む。支持部4431は、第2駆動部46の第2コイル463を支持し、支持部4432は、第2駆動部46の第2コイル467を支持する。
【0030】
[第1駆動部の構成]
第1駆動部45は、第1軸Ax1を中心に第1可動部42を揺動させることによって、第1軸Ax1を中心に光路変更部材41を揺動させる。第1駆動部45は、第2軸Ax2上の位置で、かつ、第1軸Ax1を基準として線対称に配置される第1アクチュエーター451及び第2アクチュエーター455を有する。
第1アクチュエーター451は、第1軸Ax1に対して+Y方向に配置され、第2アクチュエーター455は、第1軸Ax1に対して-Y方向に配置される。
第1アクチュエーター451は、第1可動部42に固定された第1磁石452と、第2可動部43に支持された第1コイル453と、を有するボイスコイルモーターである。
第2アクチュエーター455は、第1可動部42に固定された第1磁石456と、第2可動部43に支持された第1コイル457と、を有するボイスコイルモーターである。
後述する制御装置7が、第1コイル453と第1コイル457とに互いに逆位相の交流電流を供給することによって、第1可動部42に保持された光路変更部材41が第1軸Ax1を中心に揺動される。
【0031】
[第2駆動部の構成]
第2駆動部46は、第2可動部43を揺動させることによって、第1軸Ax1に直交する第2軸Ax2を中心に光路変更部材41を揺動させる。
第2駆動部46は、第1軸Ax1に対して-Y方向に配置されて、第2軸Ax2を基準として線対称に配置される第1アクチュエーター461及び第2アクチュエーター465を有する。
第1アクチュエーター461は、第2軸Ax2に対して+X方向に配置され、第2アクチュエーター465は、第2軸Ax2に対して-X方向に配置される。
第1アクチュエーター461は、第2可動部43に固定された第2磁石462と、ベース44に支持された第2コイル463と、を有するボイスコイルモーターである。
第2アクチュエーター465は、第2可動部43に固定された第2磁石466と、ベース44に支持された第2コイル467と、を有するボイスコイルモーターである。
後述する制御装置7が、第2コイル463,467に互いに逆位相の交流電流を供給することによって、ベース44に対して第2可動部43が第2軸Ax2を中心に揺動し、これにより、光路変更部材41が第2軸Ax2を中心に揺動される。
【0032】
[光路シフト装置による光路シフト]
図3は、光路シフト装置4による画像光の光路シフトを説明する図である。
ここで、光路シフト装置4による投射画像の高解像度化について説明する。
上記のように、光路シフト装置4は、画像光PLが透過する光路変更部材41の姿勢を変更することによって、光路変更部材41での屈折を利用して画像光PLの光路をシフトさせる。
なお、図3に示す+F1方向と+F2方向とは、被投射面PSにおいて互いに直交する方向であり、-F1方向は、+F1方向の反対方向であり、-F2方向は、+F2方向の反対方向である。
【0033】
具体的に、光路シフト装置4は、第1軸Ax1周りの第1揺動方向と、第2軸Ax2周りの第2揺動方向との2方向に光路変更部材41を揺動させることによって、画像光の光路を±Y方向及び±X方向にシフトさせる。これにより、図3に示すように、被投射面PSに表示される投射画像の画素Pxは、±F1方向及び±F2方向にずれる。
【0034】
後述する制御装置7は、光路シフト装置4によって、±F1方向への画素シフトと、±F2方向への画素シフトとを組み合わせることにより、見かけ上の画素を増加させ、投射画像を高解像度化する。
例えば、制御装置7は、光路シフト装置4によって画像光の光路をシフトさせることにより、±F1方向及び±F2方向のそれぞれに半画素ずれた位置に画素Pxを移動させる。なお、半画素とは、画素Pxの半分の大きさを示す。
これにより、被投射面PS上の画素Pxの表示位置が、第1位置P1から+F1方向に半画素ずれた第2位置P2と、第2位置P2から-F2方向に半画素ずれた第3位置P3と、第1位置P1から-F2方向に半画素ずれた第4位置P4とにシフトする。第2位置P2、第3位置P3及び第4位置P4は、第1位置P1からのシフト位置に相当する。なお、画素Pxが第1位置P1に表示されるときの投射画像の表示位置が基準位置である。
【0035】
制御装置7は、光路シフト装置4によって、位置P1,P2,P3,P4のそれぞれに一定時間ずつ画素Pxを表示させるように画像光PLの光路をシフトし、光路シフトに同期して各光変調モジュール35R,35G,35Bによる表示内容を変化させる。これにより、見かけ上、画素Pxのサイズよりも小さいサイズの画素A,B,C,Dを表示させることができる。
【0036】
例えば、画素A,B,C,Dの表示を全体として60Hzの周波数で行う場合には、位置P1,P2,P3,P4に対応して、各光変調素子351R,351G,351Bの表示を60Hzの4倍の速度で切り替える必要がある。この場合、各光変調素子351のリフレッシュレートを240Hzとし、各光変調素子351が、第1位置P1に表示される画素Aを含む画像光と、第2位置P2に表示される画素Bを含む画像光と、第3位置P3に表示される画素Cを含む画像光と、第4位置P4に表示される画素Dを含む画像光とを順次形成することによって、見かけ上の解像度が高い投射画像を表示できる。
【0037】
なお、図3に示した画素シフトの例では、±F1方向及び±F2方向は、被投射面PSにマトリクス状に表示される画素Pxの配列方向である。しかしながら、±F1方向と±F2方向とは、互いに直交する方向でなくてもよく、画素Pxの配列方向に対して傾いた方向であってもよい。このようなシフト方向であっても、±F1方向及び±F2方向への光路シフトを適宜組み合わせることによって、各位置P1,P2,P3,P4に画素Pxを移動させることができる。また、第1位置P1に対する各位置P2~P4のずれ量は、半画素に限定されず、例えば画素Pxの1/4の大きさであってもよいし、3/4の大きさであってもよい。
【0038】
[振動抑制装置の構成]
振動抑制装置5は、図1に示すように、画像形成装置33の光合成素子36と投射光学装置37との間の画像光PLの光路に配置される。振動抑制装置5は、光路シフト装置4と同様に、制御装置7による制御の下、光合成素子36から出射された画像光PLの光路を変更する。詳述すると、振動抑制装置5は、後述する振動検出センサー6によって検出された振動の位相に対する逆位相となる方向に画像光PLの光路を変更する。
本実施形態では、振動抑制装置5は、光合成素子36に対する光出射側で、かつ、光路シフト装置4に対する光入射側に配置されている。しかしながら、これに限らず、振動抑制装置5は、光路シフト装置4に対する光出射側で、かつ、投射光学装置37に対する光入射側に配置されていてもよい。
【0039】
図4は、光出射側から見た振動抑制装置5を示す図である。
振動抑制装置5は、画像光が透過する光学部材51を有し、光学部材51を光合成素子36の光出射光軸に直交する仮想面に対して傾斜させることによって、被投射面PSにおける投射画像が振動によって移動する方向とは反対方向に、光学部材51に入射した画像光の光路を変更して、被投射面PSにおける投射画像の揺動を抑制する。
振動抑制装置5は、光路シフト装置4と同様の構成を有する。すなわち、振動抑制装置5は、図4に示すように、光学部材51、第1可動部52、第2可動部53、ベース54、第1駆動部55及び第2駆動部56を備える。
なお、光学部材51は、光路変更部材41と同様に、ガラス等の透光性基板である。光学部材51は、光合成素子36と投射光学装置37との間の画像光PLの光路に配置されて、光合成素子36から画像光PLが入射する。光学部材51は、各駆動部55,56によって、光合成素子36の出射光軸に直交する仮想面に対して傾斜して、屈折により画像光PLの光路を変更する。
【0040】
[第1可動部の構成]
第1可動部52は、矩形枠状に形成されており、光学部材51を保持する他、第1駆動部55の第1磁石552,556を保持する。第1可動部52は、第1揺動軸Rx1を中心に揺動可能に第2可動部53に支持される。第1可動部52は、連結部521及び固定部522を有する。
なお、第1揺動軸Rx1は、Z軸に直交し、X軸及びY軸に交差する。すなわち、Y軸が鉛直方向に沿い、X軸が水平方向に沿うようにプロジェクター1が配置された場合、第1揺動軸Rx1は、鉛直方向に交差する。詳述すると、第1揺動軸Rx1は、鉛直方向と画像光が透過する光軸方向とを含む仮想面に対して交差する。換言すると、第1揺動軸Rx1は、鉛直方向と画像形成装置33の画像光の出射光軸とにより規定されるYZ平面に対して交差する。
【0041】
連結部521は、第2可動部53と連結される部分である。連結部521は、第1可動部52の外周部分から+X方向かつ+Y方向に突出する連結部5211と、第1可動部52の外周部分から-X方向かつ-Y方向に突出する連結部5212と、を含む。連結部5211,5212が撓むことによって、第1可動部52は、第2可動部53に対して第1揺動軸Rx1を中心に揺動可能となる。なお、連結部5211,5212は、第1揺動軸Rx1上に配置されている。
固定部522は、第1可動部42の外周部分において+X方向かつ-Y方向を向く面に設けられた固定部5221と、第1可動部42の外周部分において-X方向かつ+Y方向を向く面に設けられた固定部5222と、を含む。固定部5221には、第1駆動部55の第1磁石552が固定され、固定部5222には、第1駆動部55の第1磁石556が固定される。なお、固定部5221,5222は、各第1磁石552,556に対するヨークとして機能する。
【0042】
[第2可動部の構成]
第2可動部53は、第1可動部52を第1揺動軸Rx1に対して揺動可能に保持する他、第1駆動部55の第1コイル553,557及び第2駆動部56の第2磁石562,566を保持する。第2可動部53は、第2揺動軸Rx2に対して揺動可能にベース54に保持される。
なお、第2揺動軸Rx2は、Z軸に直交し、X軸及びY軸に交差する。すなわち、Y軸が鉛直方向に沿い、X軸が水平方向に沿うようにプロジェクター1が配置された場合、第2揺動軸Rx2は、鉛直方向に交差する。詳述すると、第2揺動軸Rx2は、鉛直方向と画像光が透過する光軸方向とを含む仮想面に対して交差する。換言すると、第2揺動軸Rx2は、鉛直方向と画像形成装置33の画像光の出射光軸とにより規定されるYZ平面に対して交差する。
【0043】
第2可動部53は、揺動支持部531、支持部532、軸部533及び固定部534を有する。
揺動支持部531は、第2可動部53の内縁において-X方向かつ-Y方向を向く内縁に設けられた揺動支持部5311と、第2可動部53の内縁において+X方向かつ+Y方向を向く内縁に設けられた揺動支持部5312と、を含む。揺動支持部5311には、連結部5211が連結され、揺動支持部5312には、連結部5212が連結される。これにより、第1可動部52が第2可動部53によって支持される。
支持部532は、第2可動部53の内縁において-X方向かつ+Y方向を向く内縁に設けられた支持部5321と、第2可動部53の内縁における+X方向かつ-Y方向を向く内縁に設けられた支持部5322と、を含む。支持部5321は、第1駆動部55の第1コイル553を支持し、支持部5322は、第1駆動部55の第1コイル557を支持する。
【0044】
軸部533は、第2可動部53の外周部分から-X方向かつ+Y方向に突出する軸部5331と、第2可動部53の外周部分から+X方向かつ-Y方向に突出する軸部5332と、を含む。軸部5331,5332は、ベース54に支持され、これにより、第2可動部53は、ベース54によって第2揺動軸Rx2を中心に揺動可能に支持される。なお、軸部5331の中心軸の延長線と、軸部5332の中心軸の延長線とは一致し、軸部5331,5332の中心軸の延長線が第2揺動軸Rx2である。
固定部534は、第2可動部53の外周部分から+X方向かつ+Y方向に突出する固定部5341と、第2可動部53の外周部分から-X方向かつ-Y方向に突出する固定部5342と、を含む。固定部5341には、第2駆動部56の第2磁石562が固定され、固定部5342には、第2駆動部56の第2磁石566が固定される。固定部5341,5342は、各磁石562,566に対するヨークとして機能する。
【0045】
[ベースの構成]
ベース54は、振動抑制装置5の光出射側から見て略八角形状の枠体である。ベース54は、第2揺動軸Rx2を中心に揺動可能に第2可動部53を保持する他、第2駆動部56の第2コイル563,567を保持する。
ベース54は、投射画像光が通過する開口部541を有する。開口部541は、第2可動部53の外形に応じた形状に形成されており、開口部541の内部には、第1可動部52を保持した第2可動部53が配置される。
【0046】
ベース54は、回転支持部542及び支持部543を更に有する。
回転支持部542は、開口部541の内縁において+X方向かつ-Y方向を向く内縁に設けられた回転支持部5421と、開口部541の内縁において-X方向かつ+Y方向を向く内縁に設けられた回転支持部5422と、を含む。回転支持部5421は、軸部5331を回転可能に支持し、回転支持部5422は、軸部5332を回転可能に支持する。これにより、第2可動部53が第2揺動軸Rx2を中心に揺動可能に支持される。
支持部543は、開口部541の内縁において-X方向かつ-Y方向を向く内縁に設けられた支持部5431と、開口部541の内縁において+X方向かつ+Y方向を向く内縁に設けられた支持部5432と、を含む。支持部5431は、第2コイル563を支持し、支持部5432は、第2コイル567を支持する。
【0047】
[第1駆動部の構成]
第1駆動部55は、第1揺動軸Rx1を中心に第1可動部52を揺動させることによって、第1揺動軸Rx1を中心に光学部材51を揺動させる。
第1駆動部55は、光路シフト装置4の第1駆動部45と同様の構成を有する。すなわち、第1駆動部55は、第2揺動軸Rx2上の位置で、かつ、第1揺動軸Rx1を基準として線対称に配置される第1アクチュエーター551及び第2アクチュエーター555を有し、第1アクチュエーター551及び第2アクチュエーター555によって、第1揺動軸Rx1を中心に第1可動部52に保持された光学部材51を揺動させる。
【0048】
第1アクチュエーター551は、第1揺動軸Rx1に対して+X方向かつ-Y方向に配置されている。第1アクチュエーター551は、第1可動部52に固定された第1磁石552と、第2可動部53に支持された第1コイル553と、を有するボイスコイルモーターである。
第2アクチュエーター555は、第1揺動軸Rx1に対して-X方向かつ+Y方向に配置されている。第2アクチュエーター555は、第1可動部52に固定された第1磁石556と、第2可動部53に支持された第1コイル557と、を有するボイスコイルモーターである。
後述する制御装置7が、第1コイル553と第1コイル557とに互いに逆位相の交流電流を供給することによって、第1可動部52に保持された光学部材51が第1揺動軸Rx1を中心に揺動される。
【0049】
[第2駆動部の構成]
第2駆動部56は、第2揺動軸Rx2を中心に第2可動部53を揺動させることによって、第2揺動軸Rx2を中心に光学部材51を揺動させる。
第2駆動部56は、光路シフト装置4の第2駆動部46と同様の構成を有する。すなわち、第2駆動部56は、第1揺動軸Rx1上の位置で、かつ、第2揺動軸Rx2を基準として線対称に配置される第1アクチュエーター561及び第2アクチュエーター565を有し、第1アクチュエーター561及び第2アクチュエーター565によって、第2揺動軸Rx2を中心に第2可動部53に保持された第1可動部52を揺動させ、ひいては、第1可動部52に保持された光学部材51を揺動させる。
【0050】
第1アクチュエーター561は、第2揺動軸Rx2に対して+X方向かつ+Y方向に配置されている。第1アクチュエーター561は、第2可動部53に固定された第2磁石562と、ベース54に支持された第2コイル563と、を有するボイスコイルモーターである。
第2アクチュエーター565は、第2揺動軸Rx2に対して-X方向かつ-Y方向に配置されている。第2アクチュエーター565は、第2可動部53に固定された第2磁石566と、ベース54に支持された第2コイル567と、を有するボイスコイルモーターである。
後述する制御装置7が、第2コイル563と第2コイル567とに互いに逆位相の交流電流を供給することによって、第2可動部53に保持された第1可動部52が揺動され、ひいては、光学部材51が第2揺動軸Rx2に対して揺動される。
なお、振動抑制装置5の第1揺動軸Rx1及び第2揺動軸Rx2のそれぞれは、光路シフト装置4の第1軸Ax1及び第2軸Ax2のそれぞれとは一致せず、第1軸Ax1及び第2軸Ax2のそれぞれに対して45°傾いた配置となる。
【0051】
[プロジェクターの他の構成]
図5は、プロジェクター1の他の構成を示すブロック図である。
プロジェクター1は、図5に示すように、振動検出センサー6及び制御装置7を更に備える。
【0052】
[振動検出センサーの構成]
振動検出センサー6は、投射光学装置37による画像光PLの投射位置に影響を及ぼす振動を検出する。例えば振動検出センサー6は、プロジェクター1に作用する振動の振動方向及び振幅を検出する。このような振動検出センサー6としては、加速度センサー及びジャイロセンサーを例示できる。
振動検出センサー6の配置位置としては、投射光学装置37の先端部を例示できる。
【0053】
[制御装置の構成]
制御装置7は、プロジェクター1の動作を制御する。例えば、制御装置7は、照明装置31の点灯を制御する他、入射する照明光から画像信号に応じた画像光を各光変調素子351に形成させる。
更に、制御装置7は、光路シフト装置4を制御して、上記のように光路シフト装置4による画像光PLの光路をシフトさせる他、振動検出センサー6の検出結果に基づいて、振動抑制装置5の動作を制御する。すなわち、制御装置7は、振動抑制装置5の動作を制御する制御装置である。
制御装置7は、図5に示すように、シフト動作波形生成部71、シフト動作制御部72、振動抑制波形生成部73及び振動抑制動作制御部74を有する。
【0054】
シフト動作波形生成部71は、光路シフト装置4を動作させるシフト動作波形を生成する。具体的に、シフト動作波形生成部71は、光路シフト装置4に、所定周期で投射画像に含まれる画素Pxの投射位置を、第1位置P1、第2位置P2、第3位置P3及び第4位置P4の順に移動させるためのシフト動作波形を生成する。
シフト動作制御部72は、シフト動作波形生成部71によって生成されたシフト動作波形に基づいて、光路シフト装置4を動作させる。すなわち、シフト動作制御部72は、光路シフト装置4によって、被投射面PSにおける基準位置に対して画像光PLの光路をシフトさせる画素シフト動作を実施する。これにより、被投射面PSにおける投射画像の位置が順次移動され、投射画像の解像度が疑似的に向上される。
【0055】
振動抑制波形生成部73は、振動検出センサー6による検出結果を取得し、振動検出センサー6によって検出された振動を、振動抑制装置5によって低減するための振動抑制波形を生成する。具体的に、振動抑制波形生成部73は、振動検出センサー6によって検出された振動の位相に対して逆位相となる波形を振動抑制波形として生成する。
【0056】
振動抑制動作制御部74は、振動抑制波形生成部73によって生成された振動抑制波形に基づいて振動抑制装置5を動作させて、投射光学装置37によって投射される画像光の投射位置に影響を及ぼす振動を低減させる。具体的に、振動抑制動作制御部74は、振動抑制波形に基づいて、振動抑制装置5の第1駆動部55及び第2駆動部56によって光学部材51を揺動させて、光学部材51に入射する画像光の光路を、検出された振動の位相に対して逆位相となる方向に変更する揺動抑制動作を実行する。これにより、振動の方向とは反対方向に画像光PLの光路がシフトされ、被投射面PSにおける投射画像の振動が抑制される。
【0057】
図6は、振動抑制装置5による振動抑制動作を説明する図である。
例えば、図6に示すように、被投射面PS上の投射画像PMがプロジェクター1に作用する振動によって+G方向に移動する場合、振動抑制動作制御部74は、振動抑制装置5を駆動させて、画像光PLの光路を-G方向にシフトさせる。一方、投射画像PMが振動によって-G方向に移動する場合、振動抑制動作制御部74は、振動抑制装置5を駆動させて、画像光PLの光路を+G方向にシフトさせる。
これにより、被投射面PSにおいて振動が作用しない場合に投射画像PMが表示される位置に、振動が作用した場合でも投射画像PMを表示させることができる。
このような制御装置7によって、光路シフト装置4と振動抑制装置5とが独立して動作することにより、投射画像PMの解像度を疑似的に向上できる他、被投射面における投射画像PMの揺動を抑制できる。
【0058】
[光路シフト装置と振動抑制装置との同期制御]
なお、制御装置7は、以下のように、シフト動作制御部72による光路シフト動作と、振動抑制動作制御部74による振動抑制動作とを同期させてもよい。
【0059】
[第1同期制御処理]
図7は、制御装置7による光路シフト装置4及び振動抑制装置5の第1同期制御処理を説明する図である。
例えば、図7に示すように、光路シフト動作を光路シフト装置4が実施するタイミングに同期して、振動抑制動作制御部74が、振動抑制波形に基づく振動抑制動作を振動抑制装置5に実施させる第1同期制御処理を、制御装置7が実行してもよい。すなわち、第1同期制御処理では、振動抑制動作は、光路シフト動作と同じタイミングにて実施される。
具体的に、第1同期制御処理では、振動抑制動作制御部74は、第1位置P1に投射画像が表示されるように画像光の光路をシフトさせる光路シフト動作と同じタイミングにて、振動抑制波形に基づく振動抑制動作を実施する(ステップSA1)。
この後、シフト動作制御部72が光路シフト動作を停止させるとともに、振動抑制動作制御部74が振動抑制動作を停止させる。これにより、第1位置に投射画像が表示される(ステップSA2)。
【0060】
ステップSA2の後、シフト動作制御部72が、第2位置P2に画像を表示させる光路シフト動作を行うとともに、振動抑制動作制御部74が振動抑制動作を実施する(ステップSA3)。これにより、第2位置P2に投射画像が表示される(ステップSA4)。
ステップSA4の後、シフト動作制御部72が、第3位置P3に画像を表示させる光路シフト動作を行うとともに、振動抑制動作制御部74が振動抑制動作を実施する(ステップSA5)。これにより、第3位置P3に投射画像が表示される(ステップSA6)。
ステップSA6の後、シフト動作制御部72が、第4位置P4に画像を表示させる光路シフト動作を行うとともに、振動抑制動作制御部74が振動抑制動作を実施する(ステップSA7)。これにより、第4位置P4に投射画像が表示される(ステップSA8)。
以降、ステップSA1に戻り、制御装置7は、光路シフト動作が実施されるタイミングにて、振動抑制動作を実施する。本実施形態では、被投射面PS上の各位置に表示される画像を生成する光変調素子351のリフレッシュレートが240Hzであるので、ステップSA1,SA2と、ステップSA3,SA4と、ステップSA5,SA6と、ステップSA7,SA8とは、240Hzで順次実施される。
【0061】
[第2同期制御処理]
図8は、制御装置7による光路シフト装置4及び振動抑制装置5の第2同期制御を説明する図である。
また例えば、図8に示すように、シフト動作制御部72が光路シフト動作を光路シフト装置4に実施させた後に、振動抑制動作制御部74が、振動抑制波形に基づいて画像光の光路を変更させる振動抑制動作を振動抑制装置5に実施させる第2同期制御処理を、制御装置7が実行してもよい。すなわち、第2同期制御処理では、振動抑制動作は、光路シフト動作間のタイミングに同期して実施され、光路シフト動作と振動抑制動作とは交互に実施される。
【0062】
具体的に、第2同期制御処理では、シフト動作制御部72が、第1位置P1に投射画像を表示させる光路シフト動作を実施する(ステップSB01)。これにより、第1位置P1に投射画像が表示される(ステップSB02)。
また、ステップSB01の後、振動抑制動作制御部74が振動抑制動作を実施する(ステップSB03)。このため、第2同期制御処理では、第1位置に投射画像が表示している間に、振動抑制装置5によって画像光の光路が、振動を低減する方向に変更される。
【0063】
ステップSB03の後、シフト動作制御部72が、第2位置P2に投射画像を表示させる光路シフト動作を実施する(ステップSB04)。これにより、第2位置P2に投射画像が表示される(ステップSB05)。また、ステップSB04の後、振動抑制動作制御部74が振動抑制動作を実施する(ステップSB06)。
ステップSB06の後、シフト動作制御部72が、第3位置P3に投射画像を表示させる光路シフト動作を実施する(ステップSB07)。これにより、第3位置P3に投射画像が表示される(ステップSB08)。また、ステップSB07の後、振動抑制動作制御部74が振動抑制動作を実施する(ステップSB09)。
ステップSB09の後、シフト動作制御部72が、第4位置P4に投射画像を表示させる光路シフト動作を実施する(ステップSB10)。これにより、第4位置P4に投射画像が表示される(ステップSB11)。また、ステップSB10の後、振動抑制動作制御部74が振動抑制動作を実施する(ステップSB12)。
【0064】
以降、ステップSB01に戻り、制御装置7は、光路シフト動作間のタイミングに同期して振動抑制動作を実施する。上記のように、被投射面PSにおける各位置に表示される画像を生成する光変調素子351のリフレッシュレートが240Hzであるので、ステップSB01,SB02,SB03と、ステップSB04,SB05,SB06と、ステップSB07,SB08,SB09と、ステップSB10,SB11,SB12とは、240Hzで順次実施される。
【0065】
[第1実施形態の効果]
以上説明した本実施形態に係るプロジェクター1は、以下の効果を奏する。
プロジェクター1は、照明装置31、画像形成装置33、投射光学装置37、光路シフト装置4、振動抑制装置5、振動検出センサー6を備える。
照明装置31は、照明光を出射する。画像形成装置33は、入射する照明光から画像光を形成する。投射光学装置37は、画像形成装置33にて形成された画像光を投射する。
光路シフト装置4は、画像形成装置33と投射光学装置37との間の画像光の光路に配置される。光路シフト装置4は、被投射面PSにおいて画像光が投射される基準位置に対して画像光の光路をシフトさせる。基準位置は、第1位置P1である。
振動検出センサー6は、投射光学装置37による画像光の投射位置に影響を及ぼす振動を検出する。
振動抑制装置5は、画像形成装置33と投射光学装置37との間の画像光の光路において、光路シフト装置4に対する画像光の入射側及び出射側のいずれかに配置される。振動抑制装置5は、画像光が透過する光学部材51を有する。そして、振動抑制装置5は、振動検出センサー6の検出結果に基づいて光学部材51を揺動させて、光学部材51に入射した画像光の光路を振動の位相に対して逆位相となる方向に変更する。
【0066】
このような構成によれば、投射光学装置37によって投射される画像光の投射位置に影響を及ぼす振動がプロジェクター1に作用しても、振動抑制装置5が振動検出センサー6による検出結果に基づいて光学部材51を揺動させることによって、投射画像が被投射面PS上で振動することを抑制できる。このような振動抑制装置5は、光路シフト装置4とは別に設けられているので、振動抑制装置5による画像の振動抑制と、光路シフト装置4による画像の解像度の疑似的な向上と、を両立できる。従って、振動が発生する場合でも、投射画像の解像度の疑似的な向上を図ることができる。
【0067】
プロジェクター1では、振動抑制装置5は、光路シフト装置4に対する画像光PLの入射側に配置されている。振動抑制装置5は、画像形成装置33から光学部材51に入射する画像光PLの光路を変更する。一方、光路シフト装置4は、光学部材51にて光路が変更されて入射する画像光PLの光路をシフトさせる、
このような構成によれば、光路シフト装置4に入射する画像光PLの光路は、振動抑制装置5によって基準位置に投射される光路に変更される。このため、光路シフト装置4が上記のように動作することによって、入射する画像光PLの光路を基準位置に対してシフトさせることができる。従って、振動を抑制しつつ、投射画像の解像度の疑似的な向上を図ることができる。
【0068】
上記のように、振動抑制装置5は、光路シフト装置4に対する画像光PLの出射側に配置されていてもよい。
この場合、光路シフト装置4は、画像形成装置33から入射する画像光の光路をシフトさせ、振動抑制装置5は、光路シフト装置4にて光路がシフトされて入射する画像光PLの光路を変更する。
このような場合には、振動抑制装置5に入射する画像光PLの光路は、光路シフト装置4によって基準位置に対してシフトされた光路となる。このため、振動抑制装置5が上記のように動作することによって、投射画像の解像度の疑似的な向上を図りつつ、投射画像の振動を抑制できる。
【0069】
プロジェクター1では、振動抑制装置5は、Y軸に交差する第1揺動軸Rx1に対して光学部材51を揺動させる第1駆動部55を有する。Y軸は、プロジェクター1が設置された場合に鉛直方向に沿う軸である。すなわち、第1揺動軸Rx1は、鉛直方向と画像光が透過する光軸方向とを含む仮想面に対して交差する。換言すると、第1揺動軸Rx1は、鉛直方向と画像形成装置33の画像光の出射光軸とにより規定されるYZ平面に対して交差する。本実施形態では、第2揺動軸Rx2も、鉛直方向と画像光が透過する光軸方向とを含む仮想面に対して交差する。
ここで、投射画像が鉛直方向に振動する場合に、観察者は振動を認識しやすい。
これに対し、光学部材51の第1揺動軸Rx1が鉛直方向と画像光が透過する光軸方向とを含む仮想面に対して交差する場合に、振動抑制装置5によって、投射される画像光の光路を鉛直方向に移動させることができる。従って、振動抑制装置5によって、鉛直方向に沿う振動の方向とは逆方向に画像光の光路をシフトさせることができるので、観察者が視認しやすい鉛直方向に沿う振動を認識しづらくすることができる。第2揺動軸Rx2についても同様である。
【0070】
プロジェクター1では、振動抑制装置5は、第1揺動軸Rx1に直交する第2揺動軸Rx2に対して光学部材51を揺動させる第2駆動部56を有する。第1揺動軸Rx1及び第2揺動軸Rx2のそれぞれは、振動の振動方向に交差する。
このような構成によれば、第1揺動軸Rx1だけでなく第2揺動軸Rx2に対して光学部材51を揺動させることができるので、振動抑制装置5によって抑制される振動の方向を増やすことができる。従って、振動を効率よく抑制できる。
【0071】
プロジェクター1は、画像形成装置33、投射光学装置37、光路シフト装置4、振動抑制装置5、振動検出センサー6及び制御装置7を備える。
画像形成装置33は、入射する照明光から画像光を形成し、投射光学装置37は、画像形成装置によって形成された画像光を投射する。
光路シフト装置4は、画像形成装置33と投射光学装置37との間の画像光の光路に配置される。光路シフト装置4は、画像光が投射される基準位置に対して画像光の光路をシフトさせる。振動検出センサー6は、投射光学装置による画像光の投射位置に影響を及ぼす振動を検出する。振動抑制装置5は、画像形成装置33と投射光学装置37との間の画像光の光路において、光路シフト装置4に対する画像光の入射側及び出射側のいずれかに配置される。振動抑制装置5は、画像光が透過する光学部材を有する。
【0072】
制御装置7は、振動抑制装置5を制御する。制御装置7は、振動検出センサー6による検出結果を取得し、振動検出センサー6の検出結果に基づいて、振動の位相に対して逆位相となる振動抑制波形を生成する振動抑制波形生成部73と、生成された振動抑制波形に基づいて、振動抑制装置5を駆動させる振動抑制動作制御部74と、を有する。
【0073】
このような構成によれば、制御装置7が、振動検出センサー6による検出結果に基づく振動抑制波形に応じて振動抑制装置5を駆動させることによって、上記のように、振動抑制装置5による画像の振動抑制と、光路シフト装置4による画像の解像度の疑似的な向上と、を両立できる。従って、振動が発生する場合でも、投射される画像の解像度の疑似的な向上を図ることができる。
【0074】
制御装置7は、第1同期制御処理では、光路シフト装置4による画像光の光路のシフト動作のタイミングに同期して、振動抑制波形に基づく振動抑制装置5の駆動を実行する。
このような構成によれば、振動抑制装置5は、光路シフト装置4が画像光の光路をシフトさせるタイミングにて、画像光の光路を変更する。すなわち、振動抑制装置5の動作タイミングと、光路シフト装置4の動作タイミングとは、略一致する。
このような場合でも、画像光に対する振動の影響を低減できる他、投射される画像の解像度を疑似的に向上させることができる。
【0075】
制御装置7は、第2同期制御処理では、光路シフト装置4による画像光の光路のシフト動作間のタイミングに同期して、振動抑制波形に基づく振動抑制装置5の駆動を実行する。すなわち、第2同期制御処理では、光路シフト動作と、次の光路シフト動作との間にて、振動抑制動作が実施される。
このような構成によれば、振動抑制装置5は、光路シフト装置4が画像光の光路をシフトさせたタイミングから、次にシフトさせるタイミングまでの間に、画像光の光路を変更する。すなわち、振動抑制装置5は、光路シフト装置4によって画像光の光路がシフトされた後に動作する。
このような場合でも、画像光に対する振動の影響を低減できる他、投射される画像の解像度を疑似的に向上させることができる。すなわち、投射画像が被投射面PSにて表示されたタイミングにて、画像光の光路が振動抑制装置5によって振動の方向とは反対方向にシフトされるので、投射画像に対する振動の影響をより低減でき、振動による画像の揺れが観察者によって視認されることを抑制できる。
【0076】
[第1実施形態の変形]
上記した振動抑制装置5は、画像光が透過する光学部材51を第1揺動軸Rx1及び第2揺動軸Rx2のそれぞれに対して揺動させて、光学部材51を通過する画像光PLを屈折させることによって、画像光PLの光路を変更するとした。換言すると、振動抑制装置5は、光学部材51を第1揺動軸Rx1に対して揺動させる第1駆動部55と、光学部材51を第2揺動軸Rx2に対して揺動させる第2駆動部56と、を備えるとした。
しかしながら、これに限らず、振動抑制装置5は、1つの揺動軸に対して光学部材51を揺動させるものであってもよい。すなわち、振動を相殺する方向に移動する投射画像の移動方向は、1つの軸に沿う方向であってもよい。換言すると、振動抑制装置5は、第1駆動部55及び第2駆動部56のうち一方の駆動部のみを備えていてもよい。
【0077】
この場合、光学部材51の揺動軸は、Y軸に交差することが好ましい。詳述すると、光学部材51の揺動軸は、Y軸に直交することが好ましい。すなわち、光学部材51の揺動軸は、プロジェクター1が設置されたときの鉛直方向に直交することが好ましい。
この場合でも、上記したプロジェクター1と同様に、振動抑制装置5によって、投射される画像光の光路を鉛直方向に移動させることができるので、鉛直方向に沿う振動を相殺する方向に画像光の光路をシフトさせることができ、観察者が視認しやすい鉛直方向に沿う投射画像の振動を抑制できる。
なお、Y軸に直交するとは、Y軸に略直交する場合も含み、X軸と平行であるとは、X軸と略平行である場合も含む。
【0078】
[第2実施形態]
次に、本開示の第2実施形態について説明する。
本実施形態に係るプロジェクターは、第1実施形態に係るプロジェクター1と同様の構成を備えるが、光路シフト装置4によって、投射画像の解像度の疑似的な向上と、投射画像の揺動の低減とを図る点で相違する。なお、以下の説明では、既に説明した部分と同一又は略同一である部分については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0079】
図9は、本実施形態に係るプロジェクターが備える制御装置7Aの構成を示すブロック図である。
本実施形態に係るプロジェクターは、振動抑制装置5及び制御装置7に代えて、図9に示す制御装置7Aを備える他は、第1実施形態に係るプロジェクター1と同様の構成及び機能を備える。本実施形態に係るプロジェクターでは、制御装置7Aによる制御の下、光路シフト装置4が、投射画像の解像度の疑似的な向上を図るとともに、振動抑制装置として機能して、投射画像の揺動の低減を図る。
制御装置7Aは、シフト動作制御部72及び振動抑制動作制御部74に代えて、シフト動作制御部75を備える他は、第1実施形態に係る制御装置7と同様の構成及び機能を備える。すなわち、制御装置7Aは、シフト動作波形生成部71、振動抑制波形生成部73及びシフト動作制御部75を有する。
【0080】
シフト動作制御部75は、図8に示した第2同期制御処理と同様の制御処理を実行し、シフト動作波形生成部71によって生成されたシフト動作波形と、振動検出センサー6の検出結果に基づいて振動抑制波形生成部73によって生成された振動抑制波形とに基づいて、光路シフト装置4を動作させる。
具体的にステップSB01では、シフト動作制御部75は、シフト動作波形に基づいて、第1位置に投射画像を表示させる光路シフト動作を光路シフト装置4によって実施する。これにより、ステップSB02にて、第1位置P1に投射画像が表示される。また、シフト動作制御部75は、ステップSB01の後、ステップSB03にて、振動抑制波形に基づく振動抑制動作を実施する。すなわち、ステップSB03にて、シフト動作制御部75は、光路変更部材41に入射する画像光PLの光路を、検出された振動の位相に対して逆位相となる方向に変更する振動抑制動作を実施する。これにより、画像光PLの光路が、被投射面PSにて投射画像が振動によって移動する方向とは反対方向に変更され、被投射面PSにおける投射画像の揺動が抑制される。
【0081】
ステップSB03の後に実施されるステップSB04では、シフト動作制御部75は、シフト動作波形に基づいて、第2位置P2に投射画像を表示させる光路シフト動作を実施する。これにより、ステップSB05にて、第2位置P2に投射画像が表示される。また、シフト動作制御部75は、ステップSB04の後、ステップSB06にて、振動抑制波形に基づく振動抑制動作を実施する。これにより、画像光PLの光路が、被投射面PSにて投射画像が振動によって移動する方向とは反対方向に変更され、被投射面PSにおける投射画像の揺動が抑制される。
ステップSB07,SB08,SB09とステップSB10,SB11,SB12とについても同様である。ステップSB07,SB08,SB09が実施されることによって、第3位置P3に投射画像が表示されるとともに、被投射面PSにおける投射画像の揺動が抑制される。また、ステップSB10,SB11,SB12が実施されることによって、第4位置P4に投射画像が表示されるとともに、被投射面PSにおける投射画像の揺動が抑制される。
【0082】
[第2実施形態の効果]
以上説明した本実施形態に係るプロジェクターは、第1実施形態に係るプロジェクター1と同様の効果を奏する他、以下の効果を奏する。
本実施形態に係るプロジェクターは、照明装置31、画像形成装置33、投射光学装置37、光路シフト装置4及び振動検出センサー6を備える。
照明装置31は、照明光を出射する。画像形成装置33は、入射する照明光から画像光PLを形成する。投射光学装置37は、画像形成装置33にて形成された画像光PLを投射する。
【0083】
振動検出センサー6は、投射光学装置37による画像光PLの投射位置に影響を及ぼす振動を検出する。
光路シフト装置4は、画像形成装置33と投射光学装置37との間の画像光PLの光路に配置される光路変更部材41を有する。光路シフト装置4は、画像光PLの入射方向に対して交差する軸Ax1,Ax2に対して光路変更部材41を揺動させて、画像光が投射される第1位置P1に対して画像光PLの光路をシフトさせる。第1軸Ax1及び第2軸Ax2のそれぞれは、揺動軸に相当し、第1位置P1は、基準位置に相当する。
光路シフト装置4は、第1位置P1に対して画像光PLの光路をシフトさせる画素シフト動作と、振動検出センサー6の検出結果に基づいて光路変更部材41を揺動させて、光路変更部材41に入射する画像光PLの光路を振動の位相に対して逆位相となる方向に変更する振動抑制動作と、を交互に実施する。
【0084】
このような構成によれば、光路シフト装置4が画素シフト動作と振動抑制動作とを交互に実施することによって、投射画像の解像度の疑似的な向上と、振動による投射画像の揺動の抑制とを両立させることができる。従って、振動が発生する場合でも、投射画像の解像度の疑似的な向上を図ることができる。
【0085】
本実施形態に係るプロジェクターは、画像形成装置33、投射光学装置37、光路シフト装置4、振動検出センサー6及び制御装置7Aを備える。
画像形成装置33は、入射する照明光から画像光PLを形成し、投射光学装置37は、画像光PLを投射する。
光路シフト装置4は、画像形成装置33と投射光学装置37との間の画像光PLの光路に配置される。光路シフト装置4は、被投射面PSにおいて画像光PLが投射される第1位置P1に対して画像光PLの光路をシフトさせる。第1位置P1は、基準位置に相当する。振動検出センサー6は、投射光学装置37による画像光PLの投射位置に影響を及ぼす振動を検出する。
【0086】
制御装置7Aは、光路シフト装置4を制御する。
制御装置7Aは、光路シフト装置4に、第1位置P1に対して画像光PLの光路をシフトさせる画素シフト動作と、振動検出センサー6の検出結果に基づいて、検出された振動の位相に対して逆位相となる振動抑制波形を生成し、生成した振動抑制波形に基づく振動抑制動作と、を交互に実行する。
【0087】
このような構成によれば、制御装置7Aが、光路シフト装置4に画素シフト動作と振動抑制動作とを交互に実行させることによって、上記のように、投射画像の解像度の疑似的な向上と、振動による投射画像の揺動の抑制とを両立させることができる。従って、振動が発生する場合でも、投射画像の解像度の疑似的な向上を図ることができる。
【0088】
[実施形態の変形]
本開示は、上記各実施形態に限定されるものではなく、本開示の目的を達成できる範囲での変形及び改良等は、本開示に含まれるものである。
上記各実施形態では、光路シフト装置4は、画像光が透過する光路変更部材41を第1軸Ax1及び第2軸Ax2のそれぞれに対して揺動させて、光路変更部材41を通過する画像光PLを屈折させて、画像光PLの光路をシフトさせるとした。換言すると、光路シフト装置4は、光路変更部材41を第1軸Ax1に対して揺動させる第1駆動部45と、光路変更部材41を第2軸Ax2に対して揺動させる第2駆動部46と、を備えるとした。第1軸Ax1及び第2軸Ax2のうち、一方の軸は、第1揺動軸に相当し、他方の軸は、第2揺動軸に相当するとした。
しかしながら、これに限らず、光路シフト装置4は、1つの軸に対して光路変更部材41を揺動させるものであってもよい。換言すると、光路シフト装置4は、第1駆動部45及び第2駆動部46のうち一方の駆動部のみを備えていてもよい。
【0089】
なお、光路変更部材41の揺動軸は、Y軸に交差することが好ましい。すなわち、光路変更部材41の揺動軸は、プロジェクター1が設置されたときの鉛直方向に交差することが好ましい。この場合でも、光路シフト装置4によって、投射画像の解像度を疑似的に向上させることができる。
また、第2実施形態では、光路シフト装置4の揺動軸がY軸と交差することによって、投射される画像光の光路を鉛直方向及び鉛直方向とは反対方向にシフトさせることができるので、観察者が視認しやすい鉛直方向に沿う投射画像の振動を抑制できる。
【0090】
上記第1実施形態では、振動抑制装置5は、第1アクチュエーター551及び第2アクチュエーター555を有する第1駆動部55と、第1アクチュエーター561及び第2アクチュエーター565を有する第2駆動部56と、を備えるとした。上記各実施形態では、光路シフト装置4は、第1アクチュエーター451及び第2アクチュエーター455を有する第1駆動部45と、第1アクチュエーター461及び第2アクチュエーター465を有する第2駆動部46と、を備えるとした。しかしながら、これに限らず、光路シフト装置4が備える第1駆動部45は、第1アクチュエーター451及び第2アクチュエーター455のうち、一方のアクチュエーターのみを備えていてもよく、光路シフト装置4が備える第2駆動部46は、第1アクチュエーター461及び第2アクチュエーター465のうち、一方のアクチュエーターのみを備えていてもよい。また、振動抑制装置5が備える第1駆動部55は、第1アクチュエーター551及び第2アクチュエーター555のうち、一方のアクチュエーターのみを備えていてもよく、振動抑制装置5が備える第2駆動部56は、第1アクチュエーター561及び第2アクチュエーター565のうち、一方のアクチュエーターのみを備えていてもよい。
【0091】
上記第1実施形態では、光路シフト装置4と振動抑制装置5とでは、光路変更部材41及び光学部材51の各揺動軸の向きが異なる他、各駆動部の配置が異なるとした。しかしながら、これに限らず、光路シフト装置4と振動抑制装置5とは、同じ構成及び構造を有するものであってもよい。この場合、光路シフト装置4と振動抑制装置5とで揺動軸の向きを異ならせる場合には、光路シフト装置4と振動抑制装置5とのうち一方の装置をZ軸に対して所定角度回転させた状態にて配置してもよい。
【0092】
上記第2実施形態では、光路シフト装置4によって、投射画像の解像度の疑似的な向上と、被投射面PSにおける投射画像の揺動の抑制とを図ることとした。しかしながら、これに限らず、振動抑制装置5によって、投射画像の解像度の疑似的な向上と、被投射面PSにおける投射画像の揺動の抑制とを図ってもよい。すなわち、本開示のプロジェクターに採用される光路シフト装置の構成及び振動抑制装置の構成は、上記に限定されない。
【0093】
上記各実施形態では、プロジェクターは、3つの光変調モジュール35R,35G,35Bを備えるとした。しかしながら、これに限らず、プロジェクターは、2つ以下、あるいは、4つ以上の光変調モジュールを備えていてもよい。
上記各実施形態では、画像投射ユニット3は、図1に示したレイアウトに配置される光学部品を備えるとした。しかしながら、これに限らず、本開示のプロジェクターに採用される画像投射ユニットのレイアウト及び構成は、上記に限定されず、適宜変更できる。
【0094】
上記実施形態では、光合成素子36から投射光学装置37の出射端までの光軸は、直線状に延出し、投射光学装置37は、画像光を+Z方向に出射するとした。しかしながら、これに限らず、投射光学装置の画像光の出射方向は、例えば反射ミラーを用いて+Z方向とは反対方向である-Z方向にしてもよい。また、投射光学装置の光軸を光路変更ミラーによってL字に屈曲させて、投射光学装置の画像光の出射方向を+X方向又は-X方向としてもよい。この場合、光路シフト装置4及び振動抑制装置5のそれぞれは、光合成素子36と光路変更ミラーとの間の光路に配置される。
また、本開示は、1つの光変調素子によって画像光を形成する方式にも適用できる。この方式では、光合成素子を用いないため、光路シフト装置4及び振動抑制装置5は、光変調素子と投射光学装置との間に配置される。
なお、本開示は、高さ調整が可能な脚部を備え、脚部の高さ調節機能によって投射光学装置の出射方向を変更可能なプロジェクターにも適用可能である。また、台等の設置面に配置されるだけでなく、天井及び壁等の設置面に取付装置を用いて配置されるプロジェクターにも適用可能である。
【0095】
上記各実施形態では、光変調素子351は、光入射面と光出射面とが異なる透過型の液晶パネルによって構成されるとした。しかしながら、これに限らず、光変調素子は、光入射面と光出射面とが同一となる反射型の液晶パネルによって構成されていてもよい。また、入射光束を変調して画像情報に応じた画像を形成可能な光変調素子であれば、マイクロミラーを用いたデバイス、例えば、DMD(Digital Micromirror Device)等を利用したものなど、液晶以外の光変調素子を用いてもよい。この場合、入射側偏光板352及び出射側偏光板353を省略できる。
【0096】
[本開示のまとめ]
以下、本開示のまとめを付記する。
[付記1]
照明光を出射する照明装置と、
入射する前記照明光から画像光を形成する画像形成装置と、
前記画像形成装置にて形成された前記画像光を投射する投射光学装置と、
前記画像形成装置と前記投射光学装置との間の前記画像光の光路に配置され、前記画像光が投射される基準位置に対して前記画像光の光路をシフトさせる光路シフト装置と、
前記投射光学装置による前記画像光の投射位置に影響を及ぼす振動を検出する振動検出センサーと、
前記画像形成装置と前記投射光学装置との間の前記画像光の光路において、前記光路シフト装置に対する前記画像光の入射側及び出射側のいずれかに配置され、前記画像光が透過する光学部材を有する振動抑制装置と、を備え、
前記振動抑制装置は、前記振動検出センサーの検出結果に基づいて前記光学部材を揺動させて、前記光学部材に入射した前記画像光の光路を前記振動の位相に対して逆位相となる方向に変更する、
ことを特徴とするプロジェクター。
【0097】
このような構成によれば、投射光学装置によって投射される画像光の投射位置に影響を及ぼす振動が作用しても、振動抑制装置が振動検出センサーによる検出結果に基づいて光学部材を揺動させることによって、投射された画像光に応じた画像が被投射面上で振動することを抑制できる。このような振動抑制装置は、光路シフト装置とは別に設けられているので、振動抑制装置による画像の振動抑制と、光路シフト装置による画像の解像度の疑似的な向上と、を両立できる。従って、振動が発生する場合でも、投射される画像の解像度の疑似的な向上を図ることができる。
【0098】
[付記2]
付記1に記載のプロジェクターにおいて、
前記振動抑制装置は、前記光路シフト装置に対する前記画像光の入射側に配置されて、前記画像形成装置から前記光学部材に入射する前記画像光の光路を変更し、
前記光路シフト装置は、前記光学部材にて光路が変更されて入射する前記画像光の光路をシフトさせる、
ことを特徴とするプロジェクター。
このような構成によれば、光路シフト装置に入射する画像光の光路は、振動抑制装置によって基準位置に投射される光路に変更される。このため、光路シフト装置が上記のように動作することによって、入射する画像光の光路を基準位置に対してシフトさせるので、振動を抑制しつつ、投射される画像の解像度の疑似的な向上を図ることができる。
【0099】
[付記3]
付記1に記載のプロジェクターにおいて、
前記振動抑制装置は、前記光路シフト装置に対する前記画像光の出射側に配置され、
前記光路シフト装置は、前記画像形成装置から入射する前記画像光の光路をシフトさせ、
前記振動抑制装置は、前記光路シフト装置にて光路がシフトされて入射する前記画像光の光路を変更する、
ことを特徴とするプロジェクター。
このような構成によれば、振動抑制装置に入射する画像光の光路は、光路シフト装置によって基準位置に対してシフトされた光路となる。このため、振動抑制装置が上記のように動作することによって、投射される画像の解像度の疑似的な向上を図りつつ、投射される画像の振動を抑制できる。
【0100】
[付記4]
付記1から付記3のいずれか1つに記載のプロジェクターにおいて、
前記振動抑制装置は、鉛直方向と前記画像光が透過する光軸方向とを含む仮想面に対して交差する第1揺動軸に対して前記光学部材を揺動させる第1駆動部を有する、
ことを特徴とするプロジェクター。
ここで、投射された画像が鉛直方向に振動する場合に、画像の観察者は振動を認識しやすい。
これに対し、光学部材の第1揺動軸が、鉛直方向と前記画像光が透過する光軸方向とを含む仮想面に交差することから、振動抑制装置によって、投射される画像光の光路を鉛直方向に移動させることができる。従って、振動抑制装置によって、鉛直方向に沿う振動の方向とは逆方向に画像光の光路をシフトさせることができるので、観察者が視認しやすい鉛直方向に沿う振動を認識しづらくすることができる。
【0101】
[付記5]
付記4に記載のプロジェクターにおいて、
前記振動抑制装置は、前記第1揺動軸に直交する第2揺動軸に対して前記光学部材を揺動させる第2駆動部を有し、
前記第1揺動軸及び前記第2揺動軸のそれぞれは、前記振動の振動方向に交差する、
ことを特徴とするプロジェクター。
このような構成によれば、第1揺動軸だけでなく第2揺動軸に対して光学部材を揺動させることができるので、振動抑制装置によって抑制される振動の方向を増やすことができる。従って、振動を効率よく抑制できる。
【0102】
[付記6]
入射する照明光から画像光を形成する画像形成装置と、前記画像光を投射する投射光学装置との間の前記画像光の光路に配置され、前記画像光が投射される基準位置に対して前記画像光の光路をシフトさせる光路シフト装置と、前記投射光学装置による前記画像光の投射位置に影響を及ぼす振動を検出する振動検出センサーと、前記画像形成装置と前記投射光学装置との間の前記画像光の光路において、前記光路シフト装置に対する前記画像光の入射側及び出射側のいずれかに配置され、前記画像光が透過する光学部材を有する振動抑制装置と、を備えるプロジェクターの前記振動抑制装置の制御装置であって、
前記振動検出センサーによる検出結果を取得し、
前記検出結果に基づいて、前記振動の位相に対して逆位相となる振動抑制波形を生成し、
前記振動抑制波形に基づいて、前記振動抑制装置を駆動させる、
ことを特徴とする制御装置。
【0103】
このような構成によれば、制御装置が、振動検出センサーによる検出結果に基づく振動抑制波形に応じて振動抑制装置を駆動させることによって、上記した付記1に係るプロジェクターと同様に、振動抑制装置による画像の振動抑制と、光路シフト装置による画像の解像度の疑似的な向上と、を両立できる。従って、振動が発生する場合でも、投射される画像の解像度の疑似的な向上を図ることができる。
【0104】
[付記7]
付記6に記載の制御装置において、
前記光路シフト装置による前記画像光の光路のシフト動作のタイミングに同期して、前記振動抑制波形に基づく前記振動抑制装置の駆動を実行する、
ことを特徴とする制御装置。
このような構成によれば、振動抑制装置は、光路シフト装置が画像光の光路をシフトさせるタイミングにて、画像光の光路を変更する。すなわち、振動抑制装置の動作タイミングと、光路シフト装置の動作タイミングとは、略一致する。
このような場合でも、画像光に対する振動の影響を低減できる他、投射される画像の解像度を疑似的に向上させることができる。
【0105】
[付記8]
付記6に記載の制御装置において、
前記光路シフト装置による前記画像光の光路のシフト動作間のタイミングに同期して、前記振動抑制波形に基づく前記振動抑制装置の駆動を実行する、
ことを特徴とする制御装置。
このような構成によれば、振動抑制装置は、光路シフト装置が画像光の光路をシフトさせたタイミングから、次にシフトさせるタイミングまでの間に、画像光の光路を変更する。すなわち、振動抑制装置は、光路シフト装置によって画像光の光路がシフトされた後に動作する。
このような場合でも、画像光に対する振動の影響を低減できる他、投射される画像の解像度を疑似的に向上させることができる。すなわち、投射される画像光に応じた画像が被投射面にて表示されたタイミングにて、画像光の光路が振動抑制装置によって振動の方向とは反対方向にシフトされるので、投射された画像に対する振動の影響をより低減でき、振動による画像の揺れが観察者によって視認されることを抑制できる。
【0106】
[付記9]
照明光を出射する照明装置と、
入射する前記照明光から画像光を形成する画像形成装置と、
前記画像形成装置にて形成された前記画像光を投射する投射光学装置と、
前記画像形成装置と前記投射光学装置との間の前記画像光の光路に配置される光路変更部材を有し、前記画像光の入射方向に対して交差する揺動軸に対して前記光路変更部材を揺動させて、前記画像光が投射される基準位置に対して前記画像光の光路をシフトさせる光路シフト装置と、
前記投射光学装置による前記画像光の投射位置に影響を及ぼす振動を検出する振動検出センサーと、を備え、
前記光路シフト装置は、前記基準位置に対して前記画像光の光路をシフトさせる画素シフト動作と、前記振動検出センサーの検出結果に基づいて前記光路変更部材を揺動させて、前記光路変更部材に入射する前記画像光の光路を前記振動の位相に対して逆位相となる方向に変更する振動抑制動作と、を交互に実施する、
ことを特徴とするプロジェクター。
【0107】
このような構成によれば、光路シフト装置が画素シフト動作と振動抑制動作とを交互に実施することによって、投射される画像の解像度の疑似的な向上と、振動による投射画像の揺動の抑制とを両立させることができる。従って、振動が発生する場合でも、投射される画像の解像度の疑似的な向上を図ることができる。
【0108】
[付記10]
入射する照明光から画像光を形成する画像形成装置と、前記画像光を投射する投射光学装置との間の前記画像光の光路に配置され、前記画像光が投射される基準位置に対して前記画像光の光路をシフトさせる光路シフト装置と、前記投射光学装置による前記画像光の投射位置に影響を及ぼす振動を検出する振動検出センサーと、を備えるプロジェクターの前記光路シフト装置の制御装置であって、
前記光路シフト装置に、前記基準位置に対して前記画像光の光路をシフトさせる画素シフト動作と、前記振動検出センサーの検出結果に基づいて、前記振動の位相に対して逆位相となる振動抑制波形を生成し、生成した前記振動抑制波形に基づく振動抑制動作と、を交互に実行する、
ことを特徴とする制御装置。
【0109】
このような構成によれば、制御装置が、光路シフト装置に画素シフト動作と振動抑制動作とを交互に実行させることによって、上記した付記9に係る制御装置と同様に、投射される画像の解像度の疑似的な向上と、振動による投射画像の揺動の抑制とを両立させることができる。従って、振動が発生する場合でも、投射される画像の解像度の疑似的な向上を図ることができる。
【符号の説明】
【0110】
1…プロジェクター、2…外装筐体、3…画像投射ユニット、31…照明装置、32…色分離装置、321,322…ダイクロイックミラー、323,324,325…全反射ミラー、326,327…リレーレンズ、33…画像形成装置、34,34B,34G,34R…フィールドレンズ、35…光変調モジュール、35B…青色光変調モジュール、35G…緑色光変調モジュール、35R…赤色光変調モジュール、351…光変調素子、351B…青色光変調素子、351G…緑色光変調素子、351R…赤色光変調素子、352…入射側偏光板、353…出射側偏光板、36…光合成素子、37…投射光学装置、4…光路シフト装置、41…光路変更部材、42…第1可動部、43…第2可動部、44…ベース、45…第1駆動部、46…第2駆動部、5…振動抑制装置、51…光学部材、52…第1可動部、53…第2可動部、54…ベース、55…第1駆動部、56…第2駆動部、6…振動検出センサー、7,7A…制御装置、71…シフト動作波形生成部、72,75…シフト動作制御部、73…振動抑制波形生成部、74…振動抑制動作制御部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9