(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024125049
(43)【公開日】2024-09-13
(54)【発明の名称】レーザ加工機システム
(51)【国際特許分類】
B23K 26/70 20140101AFI20240906BHJP
【FI】
B23K26/70
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023033117
(22)【出願日】2023-03-03
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡本 知也
(72)【発明者】
【氏名】加藤 直也
(72)【発明者】
【氏名】竹内 英幸
【テーマコード(参考)】
4E168
【Fターム(参考)】
4E168AD07
4E168AD11
4E168BA00
4E168EA17
4E168KA17
(57)【要約】
【課題】レーザ加工機システムにおける製品の生産速度の低下、言い換えるとレーザ加工機システムの稼働率の低下を抑止する。
【解決手段】レーザ加工機システム100は、複数のレーザ加工機10と、複数の冷却装置20と、複数のレーザ加工機10及び複数の冷却装置20の動作を監視及び制御する監視端末30と、複数のレーザ加工機10と複数の冷却装置20とが共通に接続された流路40とを備える。複数の冷却装置20は、複数のレーザ加工機10を冷却するための冷却水を流路40に供給する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のレーザ加工機と、
複数の冷却装置と、
前記複数のレーザ加工機及び前記複数の冷却装置の動作を監視及び制御する監視端末と、
前記複数のレーザ加工機と前記複数の冷却装置とが共通に接続された流路とを備え、
前記複数の冷却装置は、前記複数のレーザ加工機を冷却するための冷却水を前記流路に供給することを特徴とするレーザ加工機システム。
【請求項2】
請求項1に記載のレーザ加工機システムにおいて、
前記複数のレーザ加工機は、第1レーザ加工機と第2レーザ加工機とを含み、
前記複数の冷却装置は、第1冷却装置と第2冷却装置とを含み、
前記流路は、
前記第1レーザ加工機と前記第1冷却装置とを接続する第1流路と、
前記第2レーザ加工機と前記第2冷却装置とを接続する第2流路と、
前記第1流路と前記第2流路とを接続する第3流路とを含み、
前記第3流路には、前記第1流路と第2流路とを接続及び遮断する開閉器が設けられていることを特徴とするレーザ加工機システム。
【請求項3】
請求項2に記載のレーザ加工機システムにおいて、
前記監視端末は、前記第2冷却装置が停止した場合、前記第2レーザ加工機を停止させ、かつ、前記開閉器を開けた状態にすることを特徴とするレーザ加工機システム。
【請求項4】
請求項2に記載のレーザ加工機システムにおいて、
前記監視端末は、前記第2冷却装置が警告情報を送信した場合、前記開閉器を開けた状態にすることを特徴とするレーザ加工機システム。
【請求項5】
請求項2に記載のレーザ加工機システムにおいて、
前記第2レーザ加工機は、自己に流入する冷却水の流量を検出するセンサを有し、
前記監視端末は、前記センサの検出結果が所定値以下である場合、前記開閉器を開けた状態にすることを特徴とするレーザ加工機システム。
【請求項6】
請求項1に記載のレーザ加工機システムにおいて、
前記監視端末は、前記複数のレーザ加工機及び前記複数の冷却装置ごとの稼働状況を表示する表示装置を有することを特徴とするレーザ加工機システム。
【請求項7】
請求項6に記載のレーザ加工機システムにおいて、
前記監視端末は、前記複数の冷却装置ごとのメンテナンススケジュールを前記表示装置に表示させることを特徴とするレーザ加工機システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、レーザ加工機システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、複数のレーザ加工機を備え、各レーザ加工機を管理するレーザ加工機システムが知られている。
【0003】
特許文献1では、レーザ加工機の稼働中にレーザ発振器の出力が低下したときに、自己診断プログラムの実行をすることで、レーザ発振器の出力低下による機械停止時間を最小限に押さえている。
【0004】
特許文献2では、レーザ装置の状態を示す情報を、予め設定されるイベント毎に収集することにより、消耗部品の寿命の予測やレーザ装置のトラブルを事前予測している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003-71578号公報
【特許文献2】特開2012-80112号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、レーザ加工機におけるレーザ発振器や加工ヘッドを使用し続けると発熱により内部の光源及び光学部品の温度が上昇し、製品劣化やビーム品質の低下による加工不良の原因となる。このため、レーザ加工機システムには、レーザ加工機のレーザ発振器及び加工ヘッドなどを冷却するための冷却装置が設けられている。冷却装置は、レーザ加工機を冷却するために設けられた流路に冷却水を循環させることで、レーザ発振器及び加工ヘッドなどの温度を一定に保っている。
【0007】
レーザ加工機システムでは、一般的に、1つのレーザ加工機に対して、1つの冷却装置が設けられるため、冷却装置が停止すると、対応するレーザ加工機を停止させなければならなくなる。このため、レーザ加工機システムによる製品の生産速度、言い換えるとレーザ加工機システムの稼働率が低下することとなる。
【0008】
本開示は、製品の生産速度の低下、言い換えるとレーザ加工機システムの稼働率の低下を抑止したレーザ加工機システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本開示に係るレーザ加工機システムは、複数のレーザ加工機と、複数の冷却装置と、前記複数のレーザ加工機及び前記複数の冷却装置の動作を監視及び制御する監視端末と、前記複数のレーザ加工機と前記複数の冷却装置とが共通に接続された流路とを備え、前記複数の冷却装置は、前記複数のレーザ加工機を冷却するための冷却水を前記流路に供給することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、製品の生産速度の低下、言い換えるとレーザ加工機システムの稼働率の低下を抑止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施形態に係るレーザ加工機システムの概略構成図である。
【
図3】レーザ加工機システムの全体の動作を示すフローチャートである。
【
図4】第1処理におけるレーザ加工機システムの動作を示すフローチャートである。
【
図5】第2処理におけるレーザ加工機システムの動作を示すフローチャートである。
【
図6】第3処理におけるレーザ加工機システムの動作を示すフローチャートである。
【
図7】開閉器の開動作におけるレーザ加工機システムの動作を示すフローチャートである。
【
図8】開閉器の閉動作におけるレーザ加工機システムの動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本開示の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本開示、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
【0013】
(検査システムの構成及び動作)
図1は、本実施形態に係るレーザ加工機システムの構成を示す図である。
図1に示すように、レーザ加工機システム100は、複数のレーザ加工機10(10a~10e)と、複数の冷却装置20(20a~20e)と、監視端末30とを備える。また、レーザ加工機システム100には、各冷却装置20から吐出される冷却水を循環させるための流路40が形成されている。流路40には、レーザ加工機10(10a~10e)と、冷却装置20(20a~20e)とが接続されている。
【0014】
まず、レーザ加工機10(10a~10e)の構成を説明する。
図2は、レーザ加工機10の構成を示す図である。
図2に示すように、レーザ加工機10は、レーザ加工ヘッド11と光ファイバ12とマニピュレータ13とロボット制御部14とを有している。
【0015】
レーザ加工機10は、光ファイバ12に接続され、レーザ発振器15で発生したレーザ光が光ファイバ12を介してレーザ加工ヘッド11に導光される。レーザ加工ヘッド11は、光ファイバ12で導光されたレーザ光をワークWに照射する。マニピュレータ13は、先端にレーザ加工ヘッド11が取り付けられ、レーザ加工ヘッド11を移動させる。ロボット制御部14は、マニピュレータ13の動作を制御する。なお、レーザ発振器15には、図示しない電源からレーザ発振のための電力が供給される。
【0016】
レーザ加工機10は、レーザ加工ヘッド11が取付けられたマニピュレータ13を動作させて、レーザ加工機10から出力されたレーザ光をワークWに向けて所望の軌跡で照射することで、ワークWの切断や溶接、穴あけ加工等を行うのに使用される。
【0017】
光ファイバ12の一部はレーザ発振器15の内部に配置され、レーザ加工ヘッド11と光ファイバ12の残部とマニピュレータ13とはレーザ発振器15と隔てられた加工室17の内部に配置され、ロボット制御部14はレーザ発振器15及び加工室17と隔てられた制御室18の内部に配置されている。ただし、レーザ加工機10のうち制御部16は制御室18の内部に配置されている。なお、制御室18は、レーザ光の一部が反射等されて入り込まないようにレーザ発振器15及び加工室17と光学的に遮蔽されている。
【0018】
レーザ発振器15は、図示を省略するが、複数のレーザモジュールとビーム結合器と集光光学ユニットとを有している。集光光学ユニットには光ファイバ12の一端が接続され、レーザ光を
図2に示すレーザ加工ヘッド11に導光する。
【0019】
レーザモジュールは、異なる波長のレーザビームを発する複数のレーザダイオードまたはレーザアレイからなり、レーザモジュール内で波長合成されたレーザ光が各レーザモジュールからそれぞれ出射される。
【0020】
ビーム結合器は、複数のレーザモジュールからそれぞれ出射されたレーザ光を一つのレーザ光に結合して集光光学ユニットに出射する。具体的には、各々のレーザ光の光軸を近接又は一致させるとともに、互いの光軸が平行になるように結合する。なお、レーザ光の波長域は、例えば900nm~1μmの間にある。
【0021】
集光光学ユニットは、内部に配設された集光レンズ(図示せず)によって、入射されたレーザ光のビーム径を所定の倍率で縮小し、光ファイバ12に入射する。また、集光光学ユニットは図示しないコネクタを有し、コネクタには光ファイバ12の一端が接続されている。
【0022】
レーザ発振器15をこのような構成とすることで、レーザ光出力が数kWを超える高出力のレーザ加工機10を得ることができる。
【0023】
制御部16は、レーザモジュールのレーザ発振を制御する。具体的には、各々のレーザモジュールに接続された図示しない電源に対して出力電圧やオン時間等の制御信号を供給することにより、レーザ発振制御を行う。
【0024】
また、制御部16は、センサ19を有する。レーザ加工機10内には、流路40と接続される流路が形成されている。レーザ加工機10内に形成された流路は、流入した冷却水により、レーザ加工ヘッド11やレーザ発振器15、制御部16など、レーザ加工機10の各部を冷却するように形成されている。センサ19は、レーザ加工機10内の流路における冷却水の流量及び温度を検出する。
【0025】
また、制御部16は、監視端末30と通信可能に構成されている。制御部16は、レーザ加工機10の稼働状況やセンサ19の検出結果等を含むステータス情報を監視端末30に送信する。また、制御部16は、監視端末30から受信した情報に基づいて、レーザ加工機10の各部を動作させる。
【0026】
冷却装置20は、チラー(冷却水循環装置)等の冷却機構を有する。冷却装置20は、冷却機構により流路40を循環する冷却水を冷却し、冷却した冷却水を流路40に吐出する。また、冷却装置20は、センサ21を有し、流路40に吐出される冷却水の流量と温度を検出する。
【0027】
また、冷却装置20は、監視端末30と通信可能に構成されている。冷却装置20は、自己の稼働状況やセンサ21の検出結果等を含むステータス情報を監視端末30に送信する。また、冷却装置20は、監視端末30から受信した情報に基づいて、冷却装置20の各部を動作させる。具体的には、冷却装置20は、監視端末30から受信した情報に基づいて、吐出する冷却水の流量や温度を制御する。
【0028】
上述したように、レーザ加工機システム100には、冷却水を循環させるための流路40が形成されている。具体的には、流路40には、レーザ加工機10a~10eと冷却装置20a~20eとをそれぞれ接続する第1方向A1の流路40a~40eが形成されている。また、流路40には、第1方向A1における、流路40a、40c、40eと、これらに隣接または近接する、第1方向A1における、流路40b、40eとをそれぞれ接続する、第1方向A1と交差する第2方向A2の流路41a~41dが形成されている。言い換えると、第2方向A2の流路41a~41dは、レーザ加工機10a~10eと冷却装置20a~20eとをそれぞれ接続する第1方向A1の流路40a~40eの各流路間を横断して接続する流路である。
【0029】
ここで、第1方向A1の流路40a~40e,第2方向A2の流路41a~41dには、それぞれの方向の流路を開閉するための開閉器50a~50e,51a~51dが形成されている。開閉器50a~50e,51a~51dは、それぞれ、開閉弁と開閉制御部とを備える(図示省略)。開閉弁は、例えば、ボールバルブなどであり、対応する流路を開閉する。また、開閉制御部は、監視端末30と通信可能に構成されており、監視端末30から受信した信号に応じて、開閉弁を開閉する。
【0030】
第2方向A2において、開閉器51aは、第1方向A1の流路40aと流路40bとの間をつなぐ流路41aに設けられており、開閉弁を制御することで、流路40aと流路40bとの間の接続及び遮断を実行する。第2方向A2において、開閉器51bは、第1方向A1の流路40bと流路40cとの間をつなぐ流路41bに設けられており、開閉弁を制御することで、流路40bと流路40cとの間の接続及び遮断を実行する。第2方向A2において、開閉器51cは、第1方向A1の流路40cと流路40dとの間をつなぐ流路41cに設けられており、第2方向A2において、開閉弁を制御することで、流路40cと流路40dとの間の接続及び遮断を実行する。第2方向A2において、開閉器51dは、第1方向A1の流路40dと流路40eとの間をつなぐ流路41dに設けられており、開閉弁を制御することで、流路40dと流路40eとの間の接続及び遮断を実行する。
【0031】
また、開閉器50aは、第1方向A1の流路40aにおいて、第1方向A1の流路40a,第2方向A2の41aの接続点よりも冷却装置20a側に設けられており、開閉弁を制御することで、冷却装置20aと流路40aとの間の接続及び遮断を実行する。開閉器50bは、第1方向A1の流路40bにおいて、第1方向A1の流路40b,第2方向A2の41a(41b)の接続点よりも冷却装置20b側に設けられており、開閉弁を制御することで、冷却装置20bと流路40bとの間の接続及び遮断を実行する。開閉器50cは、第1方向A1の流路40cにおいて、第1方向A1の流路40c,第2方向A2の41b(41c)の接続点よりも冷却装置20c側に設けられており、開閉弁を制御することで、冷却装置20cと流路40cとの間の接続及び遮断を実行する。開閉器50dは、第1方向A1の流路40dにおいて、第1方向A1の流路40d,第2方向A2の41c(41d)の接続点よりも冷却装置20d側に設けられており、開閉弁を制御することで、冷却装置20dと流路40dとの間の接続及び遮断を実行する。開閉器50eは、第1方向A1の流路40eにおいて、第1方向A1の流路40e,第2方向A2の41dの接続点よりも冷却装置20e側に設けられており、開閉弁を制御することで、冷却装置20eと流路40eとの間の接続及び遮断を実行する。
【0032】
上述したように、監視端末30は、レーザ加工機10(制御部16)、冷却装置20及び開閉器50a~50e,51a~51dと通信可能に構成されており、レーザ加工機10a~10e、冷却装置20a~20e及び開閉器50a~50e,51a~51dの動作を制御する。具体的には、監視端末30は、レーザ加工機10及び冷却装置20から受信したステータス情報に基づいて、レーザ加工機10及び冷却装置20の動作(稼働または停止)、並びに、開閉器50a~50e,51a~51dの開閉状態を制御する。
【0033】
また、監視端末30は、表示装置31を備える。表示装置31には、レーザ加工機システム100の各種ステータスが表示される。例えば、表示装置31には、レーザ加工機10及び冷却装置20の稼働状況や、各センサの検出結果などが表示される。
【0034】
詳しくは後述するが、レーザ加工機システム100において冷却装置20や流路40に異常が発生していない場合、レーザ加工機10a~10eと冷却装置20a~20eとをそれぞれ接続する第1方向A1の流路40a~40eの各流路上に配置される開閉器50a~50eは開いた状態となり、レーザ加工機10a~10eと冷却装置20a~20eとをそれぞれ接続する第1方向A1の流路40a~40eの各流路間を横断して接続する第2方向A2の流路41a~41dの各流路上に配置される開閉器51a~51dは閉じた状態となる。すなわち、レーザ加工機10a~10eと冷却装置20a~20eとをそれぞれ接続する第1方向A1の流路40a~40eを経由して、冷却装置20a~20eが、レーザ加工機10a~10eをそれぞれ冷却している状態となる。これに対して、冷却装置20a~20eのいずれかが故障した場合や、流路40の一部が破損した場合などの、冷却装置20や流路40に異常が発生した場合、冷却装置20から対応するレーザ加工機10に冷却水が供給できなくなることがある。本実施形態では、冷却装置20や流路40に異常が発生した場合であっても、監視端末30が開閉器50a~50d,51a~51dを制御することにより、レーザ加工機10の稼働を継続させることができる。
【0035】
(レーザ加工機システムの動作)
-レーザ加工機システムの全体の動作-
図3は、レーザ加工機システムの全体の動作を示すフローチャートである。まず、監視端末30は、各レーザ加工機10及び各冷却装置20から、ステータス情報を受信する(ステップS1)。ステータス情報には、自己の稼働状況や、自己に備えられたセンサの検出結果などの情報を含む。具体的には、レーザ加工機10が送信するステータス情報には、自己の稼働状況(稼働及び停止)、センサ19の検出結果(自己の流路内における冷却水の流量及び温度)などが含まれる。また、冷却装置20が送信するステータス情報には、自己の稼働状況(稼働及び停止)、センサ21の検出結果(自己の流路内における冷却水の流量及び温度)などが含まれる。また、冷却装置20が送信するステータス情報には、警告情報が含まれることがある。警告情報は、冷却装置20の定期メンテナンスの時期が到来した場合に送信される情報である。
【0036】
次に、監視端末30は、冷却装置20が停止しているか否か(第1異常が発生したか否か)を判定する(ステップS2)。具体的には、監視端末30は、ステータス情報に冷却装置20が停止している旨の情報が含まれている場合、冷却装置20が停止していると判定する。監視端末30は、冷却装置20が停止していると判定した場合(ステップS2のYes)、後述する第1処理を実行する(ステップS2a)。
【0037】
監視端末30は、冷却装置20が停止していないと判定した場合(ステップS2のNo)、冷却装置20が警告情報を送信したか否か(第2異常が発生したか否か)を判定する(ステップS3)。具体的には、監視端末30は、ステータス情報に警告情報が含まれている場合、冷却装置20が警告情報を送信したと判定する。監視端末30は、冷却装置20が警告情報を送信したと判定した場合(ステップS3のYes)、後述する第2処理を実行する(ステップS3a)。
【0038】
監視端末30は、冷却装置20が警告情報を送信していないと判定した場合(ステップS3のNo)、レーザ加工機10内の流路における冷却水の流量が所定値以下であるか否か(第3異常が発生したか否か)を判定する(ステップS4)。具体的には、監視端末30は、ステータス情報に含まれるセンサ19の検出結果に基づき、レーザ加工機10内の流路における流量が所定値未満であるか否かを判定する。例えば、冷却水の流量がレーザ発振器15周辺において35L/min、レーザ加工ヘッド11周辺において2L/minと規定されている場合、冷却水の流量がこれらの90%未満となったとき、監視端末30は、レーザ加工機10内の流路における流量が所定値未満であるか否かを判定する。
【0039】
監視端末30は、レーザ加工機10内の流路における流量が所定値未満であると判定した場合(ステップS4のYes)、後述する第3処理を実行する(ステップS4a)。また、監視端末30は、レーザ加工機10内の流路における流量が所定値未満ではない(所定値より以上)と判定した場合(ステップS4のNo)、処理を終了する。
【0040】
-第1処理について-
図4は、第1処理におけるレーザ加工機システムの動作を示すフローチャートである。第1処理は、冷却装置20が停止した場合(第1異常が発生した場合)にレーザ加工機システム100が実行する処理である。なお、以下に説明する第1処理、第2処理及び第3処理の初期状態において、レーザ加工機10a~10eと冷却装置20a~20eとをそれぞれ接続する第1方向A1の流路40a~40eの各流路上に配置される開閉器50a~50eは開いた状態であり、レーザ加工機10a~10eと冷却装置20a~20eとをそれぞれ接続する第1方向A1の流路40a~40eの各流路間を横断して接続する第2方向A2の流路41a~41dの各流路上に配置される開閉器51a~51dは閉じた状態である。すなわち、冷却装置20a~20eは、流路40a~40eを介して、レーザ加工機10a~10eに冷却水をそれぞれ供給している。
【0041】
まず、第1処理において、監視端末30は、停止した冷却装置20に対応するレーザ加工機の動作を停止させる(ステップS11)。そして、監視端末30は、停止した冷却装置20に対応するレーザ加工機に対して、流路が共有可能な冷却装置20を選別する(ステップS12)。この「流路が共有可能な冷却装置20」とは、現在吐出している流量が所定値以下(例えば、最大流量の60%以下)で稼働中の冷却装置20をいう。
【0042】
監視端末30は、選別した冷却装置20のうち、停止した冷却装置20に近接する所定数の冷却装置を選択する(ステップS13)。本実施形態では、監視端末30は、停止した冷却装置20から流路40を介した距離が近い3つの冷却装置20を選択する。例えば、
図1では、監視端末30は、冷却装置20bが停止した場合、冷却装置20a,20c,20dを選択する。
【0043】
監視端末30は、第2方向A2の開閉器51a~51dを制御し、開閉器51a~51dを開ける(ステップS14)。具体的には、監視端末30は、選択した冷却装置20と、停止した冷却装置20との流路が接続(共有)されるように、開閉器51a~51dを開ける。例えば、
図1では、監視端末30は、冷却装置20bが停止し、冷却装置20a,20c,20dを選択した場合、第2方向A2の開閉器51a,51b,51cを開ける。なお、このときの開閉器51a~51dの動作(開閉器の閉動作)は、後述する。ステップS14の処理により、例えば、冷却装置20bが停止した場合であっても、監視端末30にて制御し、選択した冷却装置20と、停止した冷却装置20との流路が接続(共有)されるように、開閉器51a~51dを開けることで、停止した冷却装置20bを代用するように選択した冷却装置20である冷却装置20a,20c,20dからレーザ加工機10bに冷却水が供給されるため、レーザ加工機10bの故障停止を抑止(稼働率低下を抑制)することが可能となる。
【0044】
そして、監視端末30は、停止した冷却装置20に対応するレーザ加工機10の動作を再開させる(ステップS15)。その後、監視端末30は、表示装置31に冷却装置20が停止した旨(第1異常が発生した旨)を表示させ、作業者等に第1異常に対応させる(ステップS16)。具体的には、作業者等は、停止した冷却装置20を復旧し、停止した冷却装置20の動作(流路40への冷却水の供給)を再開させる。
【0045】
そして、監視端末30は、開閉器51a~51eを閉じる(ステップS17)。具体的には、監視端末30は、選択した冷却装置20と、停止した冷却装置20との流路を遮断するように、第2方向A2の開閉器51a~51dを閉じる。このときの開閉器51a~51dの動作(開閉器の開動作)は、後述する。
【0046】
第1処理では、冷却装置20が故障等により動作を停止した場合、監視端末30が開閉器51a~51dを制御することにより、停止した冷却装置20に対応するレーザ加工機10に対して冷却水が供給されるように、他の冷却装置20との流路が共有(接続)される。これにより、レーザ加工機10の故障を抑止することができる。
【0047】
なお、ステップS13において、監視端末30が選択する冷却装置20の所定数は、3つであることを例示したが、これに限られず、1つ以上であればよい。また、ステップS13において、監視端末30が所定数以上の冷却装置20を選択できなかった場合、ステップS14,S17(開閉器51a~51dの開動作及び閉動作)を省略してもよい。この場合、ステップS16(作業員による第1異常の対応)の後に、ステップS15(停止したレーザ加工機10の動作を再開)が実行される。
【0048】
また、この第1処理においては、1つの冷却装置20が故障した場合の動作を説明したが、本実施形態に係るレーザ加工機システムでは、複数の冷却装置20が故障した場合にも対応可能である。この場合、ステップS13において選択する冷却装置20の所定数を増加させることにより対応可能である。例えば、2つの冷却装置20が故障した場合、6つの冷却装置を選択すればよい。
【0049】
-第2処理について-
図5は、第2処理におけるレーザ加工機システムの動作を示すフローチャートである。第2処理は、冷却装置20が警告情報を送信した場合(第2異常が発生した場合)にレーザ加工機システムが実行する処理である。第2処理は、第1処理(
図4)と比較すると、ステップS11が省略されており、ステップS15,S16に代えて、ステップ14の後にステップS21が実行される。
【0050】
ステップS21において、表示装置31に冷却装置20が警告情報を送信した旨(第2異常が発生した旨)を表示させ、作業者等に第2異常に対応させる。具体的には、作業者等は、警告情報を送信した冷却装置20のメンテナンスを行う。
【0051】
第2処理は、冷却装置20から警告情報(定期メンテナンスの時期が到来した旨を示す情報)を受けた場合におけるレーザ加工機システム100の動作である。冷却装置20から警告情報が送信されたとしても、当該冷却装置20から対応するレーザ加工機10への冷却水の供給が急停止することはない。また、第2処理では、定期メンテナンスのために冷却装置20の動作を停止させたとしても、他の冷却装置20からレーザ加工機10に冷却水が供給されるように、他の冷却装置20との流路が共有される。このため、冷却装置20から警告情報(第2異常)を受けた場合の処理である第2処理では、レーザ加工機10を停止させずに継続して稼働させることが可能となる。
【0052】
なお、第2処理のステップS13と、第1処理のステップS13とにおいて、監視端末30が選択する冷却装置20の所定数は異なってもよい。例えば、監視端末30は、第2処理のステップS13において、1つ以上の冷却装置20を選択してもよい。
【0053】
-第3処理について-
図6は、第3処理におけるレーザ加工機システムの動作を示すフローチャートである。第3処理は、レーザ加工機10内の流路における流量が所定値以下である場合におけるレーザ加工機システムが実行する処理である。第3処理は、第1処理(
図4)と比較すると、ステップS11が省略されており、ステップS12の前にステップS31,S32が実行され、ステップS15,S16に代えてステップ14の後にステップS33が実行される。
【0054】
ステップS31において、監視端末30は、流量が所定値以下であるレーザ加工機10に対応する冷却装置20の流量を増加できるか否かを判定する(ステップS31)。例えば、当該冷却装置20の現在吐出している流量が所定値以下(例えば、最大流量の60%以下)である場合、当該冷却装置20の流量を増加できると判定する。
【0055】
監視端末30は、レーザ加工機10に対応する冷却装置20の流量を増加できると判定した場合(ステップS31のYes)、当該冷却装置20の流量を増加させる(ステップS32)。一方、監視端末30は、レーザ加工機10に対応する冷却装置20の流量を増加できないと判定した場合(ステップS31のNo)、ステップS12を実行する。
【0056】
ステップS33において、表示装置31にレーザ加工機10内の流路における流量が低下し所定値未満である旨(第3異常が発生した旨)を表示させ、作業者等に第3異常に対応させる。具体的に、作業者は、流路40内に破損等がないか、流路40内の冷却水が汚染されていないかなどを確認し、復旧する。
【0057】
第3処理は、レーザ加工機10内の流路における流量が低下し所定値未満である場合(第3異常が発生した場合)におけるレーザ加工機システム100の動作である。レーザ加工機10内の流路における流量が所定値未満となったとしても、対応する冷却装置20または他の冷却装置20によって、レーザ加工機10内の流路における流量を増加させることができるため、レーザ加工機10を停止させずに継続して稼働させることが可能となる。
【0058】
-開閉器の開動作について-
図7は、開閉器の開動作におけるレーザ加工機システムの動作を示すフローチャートである。
図7の動作は、
図4~
図6のステップS14(ステップS14は、開閉器を開ける動作であり、この開閉器は、異常が発生した冷却装置20bを代用するように選択した冷却装置20の流路に接続されるものである。ここでは故障した冷却装置20bを代用するように、冷却装置20aからレーザ加工機10bに開閉器を介して冷却水が供給されるため、レーザ加工機10bの停止を抑止(稼働率低下を抑制)することが可能となる。)において行われる。ここでは、冷却装置20bに異常が発生した場合における、レーザ加工機10a,10bとの間の第2方向A2上の開閉器51aを開ける際の動作を説明する。この場合、異常が発生した冷却装置20bを代用するように選択した冷却装置20である冷却装置20aである。また、第1方向A1上の開閉器50a,50b,第2方向A2上の開閉器51aの開閉弁が電動式のボールバルブである場合を例に説明する。これによりボールバルブは任意の所定の最大角度まで開閉器を開くことが出来る。(例えば最大90°)
まず、監視端末30は、レーザ加工機10aと冷却装置20aとをつなぐ第1方向A1の流路40aと、レーザ加工機10bと冷却装置20bとをつなぐ第1方向A1の流路40bと、をつなぐ第2方向A2の流路41a上に配置される開閉器51aを制御し、開閉器51a(開閉弁)を1°開く(ステップS41)。そして、監視端末30は、異常が発生した冷却装置20bを代用するように選択した冷却装置20aに接続されるレーザ加工機10aからのステータス情報を受信し、第1条件が成立しているか否かを判定する(ステップS42)。具体的には、監視端末30は、レーザ加工機10a内の流量が所定値未満である場合、または開閉器51aが所定の最大角度である場合には、第1条件が成立したと判定する。例えば、監視端末30は、レーザ加工機10a内の流量が規定値の98%未満である場合、レーザ加工機10a内の流量が所定値未満であるとし、第1条件が成立したと判定する。また、監視端末30は、開閉器51aの開閉弁が所定の最大角度(例えば、90°)である場合、第1条件が成立したと判定する。
【0059】
監視端末30は、第1条件が成立していないと判定した場合(ステップS42のNo)、レーザ加工機10bと冷却装置20bとをつなぐ第1方向A1の流路40bに接続される開閉器51aを開くように、再度ステップS41(さらに開閉器51aを1°開く)を実行する。この場合、レーザ加工機10a内の流量が所定値未満になるか、または開閉器51a所定の最大角度に達するまでS42のNOのループ(レーザ加工機10aの流量が所定値未満ではない(所定値以上)と判定し実行)が続き、順次開閉器51aを徐々に開くこととなる。
【0060】
監視端末30は、第1条件が成立したと判定した場合(ステップS42のYes)、レーザ加工機10aと冷却装置20aとをつなぐ第1方向A1の流路40aに配置される開閉器50aを制御し、開閉器50a(開閉弁)を1°開く(ステップS43)。これにより、冷却装置20aからレーザ加工機10aとレーザ加工機10bにつながる流路40aに流入する冷却水の流量が増加する。そして、監視端末30は、レーザ加工機10aからのステータス情報を受信し、レーザ加工機10aの流量が所定値以上であるか否かを判定する(ステップS44)。例えば、監視端末30は、レーザ加工機10a内の流量が規定値の98%以上である場合、レーザ加工機10a内の流量が所定値以上であると判定する。
【0061】
監視端末30は、レーザ加工機10aの流量が所定値以上でない(所定値未満である)と判定した場合(ステップS44のNo)、再度ステップS43(さらに開閉器50aを1°開く)を実行する。この場合、S44でレーザ加工機10a内の流量が所定値以上になるまでS44のNOのループ(レーザ加工機10aの流量が所定値以上でない(所定値未満である)と判定し実行)が続き、順次開閉器50aを徐々に開くこととなる。なお、開閉器50aの開閉角度が所定の最大角度まで達しても、S44でレーザ加工機10aの流量が所定値以上でない場合は、図示しないが、さらに他の開閉器51b、51c等を開くことで、異常が発生した冷却装置20bを代用するように選択した冷却装置20である冷却装置20a,20c,20dからレーザ加工機10bに冷却水が供給されても良い。これにより、レーザ加工機10bの停止を抑止(稼働率低下を抑制)することが可能となる。
【0062】
監視端末30は、レーザ加工機10aの流量が所定値以上であると判定した場合(ステップS44のYes)、レーザ加工機10bからのステータス情報を受信し、レーザ加工機10b内の流量が所定値以上であるか否かを判定する(ステップS45)。例えば、監視端末30は、レーザ加工機10b内の流量が規定値以上である場合、レーザ加工機10b内の流量が所定値以上であると判定する。
【0063】
監視端末30は、レーザ加工機10bの流量が所定値以上でない(所定値未満である)と判定した場合(ステップS45のNo)、ステップS41に戻る。監視端末30は、レーザ加工機10bの流量が所定値以上であると判定した場合(ステップS45のYes)、異常が発生した冷却装置20bの開閉器50bを閉じる(ステップS46)。なお、図示しないが、S46で開閉器50bを閉じた後に、レーザ加工機10a、10bの流量が所定値以上でない場合は、さらに他の開閉器51b、51c等を開くことで、異常が発生した冷却装置20bを代用するように選択した冷却装置20である冷却装置20a,20c,20dからレーザ加工機10bに冷却水が供給されても良い。これにより、レーザ加工機10a、10bの停止を抑止(稼働率低下を抑制)することが可能となる。
【0064】
以上の動作により、流路40a,40bが流路41aを介して接続(共有)され、冷却装置20aからレーザ加工機10a,10bへ冷却水が供給される。
【0065】
-開閉器の閉動作について-
図8は、開閉器の閉動作におけるレーザ加工機システムの動作を示すフローチャートである。
図8の動作は、
図4~
図6のステップS17において行われる。ここでは、冷却装置20bに異常が発生した場合における、レーザ加工機10a,10bとの間の開閉器51aを閉じる際の動作を説明する。また、開閉器50a,50b,51aの開閉弁が電動式のボールバルブである場合を例に説明する。
【0066】
まず、監視端末30は、開閉器51aを制御し、開閉器51a(開閉弁)を1°開く閉じる(ステップS51)。そして、監視端末30は、センサ情報を受信し、レーザ加工機10aの流量が所定値以上であるか否かを判定する(ステップS52)。例えば、監視端末30は、レーザ加工機10a内の流量が規定値の102%以上である場合、レーザ加工機10a内の流量が所定値以上であると判定する。
【0067】
監視端末30は、レーザ加工機10aの流量が所定値以上であると判定した場合(ステップS52のYes)、ステップS53を実行する。一方、監視端末30は、レーザ加工機10aの流量が所定値以上ではない(所定値未満である)と判定した場合(ステップS52のNo)、ステップS54を実行する。
【0068】
監視端末30は、レーザ加工機10bの流量が所定値未満であるか否かを判定する(ステップS53)。例えば、監視端末30は、レーザ加工機10b内の流量が規定値の98%未満である場合、レーザ加工機10b内の流量が所定値未満であると判定する。
【0069】
監視端末30は、レーザ加工機10bの流量が所定値未満であると判定した場合(ステップS53のYes)、開閉器50a,50bを制御し、開閉器50a(開閉弁)を1°閉じ、開閉器50b(開閉弁)を1°開く(ステップS55)。これにより、冷却装置20bから流路40に流入する冷却水の流量が増加する。一方、監視端末30は、レーザ加工機10bの流量が所定値未満ではない(所定値以上)と判定した場合(ステップS53のNo)、開閉器50aを制御し、開閉器50a(開閉弁)を1°閉じる(ステップS56)。これにより、冷却装置20aから流路40に流入する冷却水の流量が減少する。
【0070】
また、ステップS54において、監視端末30は、ステップS53と同様に、レーザ加工機10bの流量が所定値未満であるか否かを判定する。例えば、監視端末30は、レーザ加工機10b内の流量が規定値の98%未満である場合、レーザ加工機10b内の流量が所定値未満であると判定する。
【0071】
監視端末30は、レーザ加工機10bの流量が所定値未満であると判定した場合(ステップS54のYes)、開閉器50bを制御し、開閉器50b(開閉弁)を1°開く(ステップS57)。一方、監視端末30は、レーザ加工機10bの流量が所定値未満ではない(所定値以上)と判定した場合(ステップS54のNo)、ステップS58(開閉器51aが閉じた?(言い換えると、開閉器51aが完全に閉じているか?または所定角未満まで閉じられているか?))を実行する。なお、ステップS55~S57の後、ステップS52に戻る。
【0072】
監視端末30は、開閉器51aが閉じたか否かを判定する(ステップS58)。具体的には、監視端末30は、開閉器51aが所定角未満(例えば、1°未満)である場合、開閉器51aが閉じたと判定する。監視端末30は、開閉器51aが閉じたと判定した場合(ステップS58のYes)、処理を終了し、開閉器51aが閉じていないと判定した場合(ステップS58のNo)、ステップS51に戻る。
【0073】
以上の動作により、冷却装置20a,20bとの間の流路をつなぐ開閉器51aが閉じられ、冷却装置20a,20bとの間の流路が遮断される。
【0074】
以上の構成により、レーザ加工機システム100は、複数のレーザ加工機10と、複数の冷却装置20と、複数のレーザ加工機10及び複数の冷却装置20の動作を監視及び制御する監視端末30と、複数のレーザ加工機10と複数の冷却装置20とが共通に接続された流路40とを備える。複数の冷却装置20は、複数のレーザ加工機10を冷却するための冷却水を流路40に供給する。すなわち、複数のレーザ加工機10に冷却水を供給するための流路40に複数のレーザ加工機10と複数の冷却装置20とが共通に接続される。これにより、複数の冷却装置20のうち一部の冷却装置20の動作を停止させる必要が生じたとしても、流路40を介して他の冷却装置20から複数のレーザ加工機10に冷却水が供給されるため、複数のレーザ加工機10を停止させる時間を抑制することができる。よって、レーザ加工機システム100における製品の生産速度の低下、言い換えるとレーザ加工機システムの稼働率の低下を抑止することができる。
【0075】
また、監視端末30は、冷却装置20b(第2冷却装置)が停止した場合、対応するレーザ加工機10b(第2レーザ加工機)を停止させる。さらに、監視端末30は、レーザ加工機10a(第1レーザ加工機)と冷却装置20a(第1冷却装置)とを接続する流路40a(第1流路)と、レーザ加工機10bと冷却装置20aとを接続する流路40b(第2流路)と、を横断して接続する流路41a(第3流路)に設けられた開閉器51a(開閉器)を開けた状態にする。これにより、冷却装置20aからレーザ加工機10bに冷却水が供給されるため、レーザ加工機10bの故障または停止を抑止することができる。
【0076】
また、監視端末30は、冷却装置20bが警告情報(定期メンテナンスの時期が到来した旨を示す情報)を送信した場合、開閉器51aを開けた状態にする。これにより、定期メンテナンスのために冷却装置20bの動作を停止させたとしても、冷却装置20aからレーザ加工機10bに冷却水が供給されるため、レーザ加工機10bを停止させずに継続して稼働させることができる。
【0077】
また、監視端末30は、レーザ加工機10bのセンサ19の検出結果が所定値未満である場合、開閉器51aを開けた状態にする。これにより、レーザ加工機10b内の流路における流量が所定値以下となったとしても、冷却装置20aまたは冷却装置20bによって、レーザ加工機10b内の流路における流量を増加させることができるため、レーザ加工機10bを停止させずに継続して稼働させることができる。
【0078】
なお、監視端末30は、受信したステータス情報(レーザ加工機10及び冷却装置20の稼働状況や警告情報など)を蓄積し、各冷却装置20のメンテナンススケジュールを表示装置31に表示させてもよい。
【0079】
また、上記実施形態では、開閉器50a~50e,51a~51dが備える開閉弁が電動式のボールバルブである場合を例にして説明したが、開閉弁は電動式のボールバルブに限られず、電動式のゲートバルブ(電動式の仕切弁)などであってもよい。また、上記実施形態では、各冷却装置20から吐出される冷却水の流量を開閉器50a~50eの開閉弁(ゲートバルブ)の開度によって制御したが、冷却装置20から吐出される冷却水の流量自体を増減させることによって制御してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0080】
本開示のレーザ加工機システムは、製品の生産速度の低下、言い換えるとレーザ加工機システムの稼働率の低下を抑止することができるため、有用である。
【符号の説明】
【0081】
100 レーザ加工機システム
10(10a~10e) レーザ加工機
19,21 センサ
20(20a~20e) 冷却装置
30 監視端末
31 表示装置
40,40a~40e,41a~41d 流路
50a~50e,51a~51d 開閉器